キモ姉&キモウト小説を書こう!part32at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!part32 - 暇つぶし2ch100:名無しさん@ピンキー
10/09/23 20:07:12 fq1x0/sm
NTRとかイラネ

101:名無しさん@ピンキー
10/09/23 20:08:05 oKy9Q3Xd
作者さんは気にせず連載してほしい。

102:名無しさん@ピンキー
10/09/23 20:16:51 gqYDneri
NTRあるなら注意書きして欲しいかな
注意書きしてくれれば問題ないです
某スレみたいに注意書き無いせいで荒れるのは勘弁

103:名無しさん@ピンキー
10/09/23 20:18:50 NPFzTvVo
寝取られ展開はあり得ないだろ
お前ら脅え過ぎ

104:名無しさん@ピンキー
10/09/23 20:46:49 MTlO7pBY
作者です
反応を確認しに来てみると、予想外のスレ内空気になっていて驚きました
ネタバレ的な発言になってしまうので控えていましたが、作中実際に寝盗られる描写は今後も一切ありません
登場人物の壊れた行動理念を表現したいがために、あのような描写を投下してしまいました
私の不注意のせいで、皆さんにいらぬご心配をおかけして申し訳ありませんでした

以後も、引き続き投下する予定です。もしよろしければ、また読んでやって下さい。では

105:名無しさん@ピンキー
10/09/23 20:52:28 vgu5aHhi
続き楽しみにしてます

106:名無しさん@ピンキー
10/09/23 21:20:40 X2c6NeLN
いいよ、いいよー作者さん
GJ

107:名無しさん@ピンキー
10/09/23 23:52:32 T3iYAeGj
>>104
GJです。NTR展開はなさそうって思ったけどなぁ…。感じ方は人それぞれか。

108:名無しさん@ピンキー
10/09/24 02:14:55 7jiUFGE3
自分の嫌いなものは全否定したがるバカが
さも自分が多数派みたいな態度で騒いでるだけ
気にしなくていいだろ

109:名無しさん@ピンキー
10/09/24 02:19:30 tb5kvPT+
エロパロ板というか、ピンクの粘着キチガイ率の高さって凄いよなー
全体的に粘着気質な奴も多いし。エロは人を狂わせるのかね

110:名無しさん@ピンキー
10/09/24 02:33:47 nlQS2ZUI
でもキモウトの足は舐めたい

111:名無しさん@ピンキー
10/09/24 02:48:32 ilZv3QvX
全年齢板より人が少ないから荒らしやすいだけだと思わないでもない

てかこのスレだと男は普通に姉妹や泥棒猫間で寝たり寝なかったりするんだがそれはいいのか

112:名無しさん@ピンキー
10/09/24 02:55:10 jA5IF5dq
>>104
投下楽しみにます!

113:名無しさん@ピンキー
10/09/24 06:52:40 vIa86Lq4
>>104
ありがとうございます。今後も楽しみにさせていただきます。

114:名無しさん@ピンキー
10/09/24 13:19:45 euFPTd0W
まぁやっぱり何人も言ってるようにNTRとヤンデレは駄目だと思う。荒らしとかじゃなくて、真剣にな

本当に「お兄ちゃんより気持ちいい」みたいなNTR書いたら、その時めちゃくちゃ叩いてやったらいいし、それを荒らしとは思わないが
ただ、まだそういう描写があったわけでもないのに騒ぐなとは思うわな。草郎は止めろ


115:名無しさん@ピンキー
10/09/24 13:49:37 d60Hp7ap
注意書けばいいよ
読みたくない人は読まなきゃいい話だし
というか無駄に嫌嫌言ってるのはヤンデレスレでやたら掘り返して叩いてた奴じゃないのか

116:名無しさん@ピンキー
10/09/24 14:15:29 X8N1k47X
ヤンデレとは共通項もけっこうあるから
禁止すると今までに投稿されたものの大部分もひっかりそう

117:名無しさん@ピンキー
10/09/24 14:39:29 WQ2WmMGS


118:名無しさん@ピンキー
10/09/24 15:02:28 HiRj2VUS
ヤンデレでNTR展開とかありえないものを心配してどうする

119:名無しさん@ピンキー
10/09/24 15:11:15 exEmd4xo
NTR駄目って言うならキモ姉キモウト主人公以外が登場するSSも禁止にしようぜ

120:名無しさん@ピンキー
10/09/24 15:49:33 ilZv3QvX
>>110
お前は舐められる側だと何度言えば

121:名無しさん@ピンキー
10/09/24 16:30:05 /5IqaiJK
姉や妹が他の男に寝取られるのは
キモ姉・キモウトという属性からしておかしいっちゃおかしいけど
(弟や兄一筋だからキモ姉妹なわけで)
姉妹の視点で弟や兄が泥棒猫に寝取られる話は有りだと思うし
もともと弟や兄の恋人だった女キャラが他の男に寝取られるってのも展開次第で有りと思う

ただしNTRは基本、鬱展開で読者を選ぶから
注意書きがあったほうがよさげかも

122:名無しさん@ピンキー
10/09/24 16:40:21 GU5t9r3q
難しい…こちらの考えていない展開にまで、どう注意書きをすれば良いんだろう?

123:名無しさん@ピンキー
10/09/24 16:53:35 3eBTRRPm
だよな
今回の作者だって自分ではNTR展開なんて考えてなかったっぽいし
匂わす表現にも逐一注意書きするのか?

124:名無しさん@ピンキー
10/09/24 17:18:52 0nPMNmQM
姉妹視点で兄弟が泥棒猫に寝取られるってのは、
ふつうの兄や弟にとっちゃハッピーエンドだかr

おや、誰か来たようだ


125:名無しさん@ピンキー
10/09/24 17:49:49 b7WCClU6
>>124…雉も鳴かずば打たれまいに…

もっとも姉妹側の思いを兄弟が知らない場合、気をつけようがないというか
防御不能だよな。まして兄弟の恋人からしたら、もう天災としか言いようがない。


126:名無しさん@ピンキー
10/09/24 18:12:27 euFPTd0W
つか、まだ描写されたわけでもないのにNTRとか騒ぐなよとは思うんだが、
注意書きさえしてりゃNTRでもOKみたいな流れもどうかと思う
ヤンデレとNTRは水と油だし、そこをOKにしたら絶対荒れる。嫌なら読まなきゃいいって言うのもわかるが、ちらほらレス見てたらやっぱりNTR嫌いは多いんだから

127:名無しさん@ピンキー
10/09/24 18:35:06 b7WCClU6
>>126
NTRの是非自体にはあまり関心無いのですが、そこに至る前にクレームが出ちゃうのは困りますよね。
姉妹がに寄ってくる兄弟以外の男という名の「五月蠅い虫」をキャラクターとして出すことすら禁じられるか、
あるいは「こいつは○○です」とネタバレ全開の注意書きをしなければならないとなると…

128:名無しさん@ピンキー
10/09/24 18:39:29 htw8cS8w
寝とり連呼して騒いでるのってヤンデレスレの荒らしだろ
自分の意見が話題にしてもらえたので味を占めたな

129:名無しさん@ピンキー
10/09/24 19:23:01 IdYYYRzZ
まー何にせよ作者が本来想定していた筋書きが周りの五月蝿い声によって歪めざるを得なくなるのは良くない
それがNTR一直線だとしても

130:名無しさん@ピンキー
10/09/24 19:28:55 W6MErjK9
文句があったらそっとNGしろ
記憶から消せ

無価値なものに割くべき記憶領域はない

131:名無しさん@ピンキー
10/09/24 20:03:15 ZhuBDjpm
そろそろ三つの鎖がクル予感!

132:名無しさん@ピンキー
10/09/24 20:14:07 nE+ENI66
幸さん...流石に死なんと思うが、
どうなのか、楽しみです!!

133:名無しさん@ピンキー
10/09/24 22:29:06 hlOYLarl
キモ姉最高

134:名無しさん@ピンキー
10/09/24 23:42:01 u8ROOha6
>>114
96だけどあってからじゃ遅いから今のうちに言ってるの



男が犯しそうな雰囲気だったから念のためにレスした
NTRがあったら俺を含め文句言う奴や不快に思う奴がいる、でもなければ文句言う奴はいない
だったら入れないでほしい
NTRの専用スレはあるし、わざわざ揉めるようなのを入れなくてもいいじゃない

でもNTRがないようで安心した



135:名無しさん@ピンキー
10/09/24 23:45:00 81gWYa0w
>>134
・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。

136:名無しさん@ピンキー
10/09/25 00:15:03 OW9JKP/h
>>134
まだ95,96は「この後の展開としてNTRは勘弁してくれよ~?」と言う風に聞こえるが
98は明らかに荒らしだろ
見てて気分悪くなったわ

137:名無しさん@ピンキー
10/09/25 00:21:07 R+5nyzfV
つまりこのスレでは、キモ姉妹に言い寄る男が返り討ちに遭うとか
謀略に乗せられて銀座通りで裸踊りを踊るハメになるとかの
お話を書くのは禁止なんですね?
男が出てきた時点で警告が入ってしまいますから。

138:名無しさん@ピンキー
10/09/25 00:34:24 OFaGKRpN
>>137
受け手の感じ方・受け取り方次第としか言いようがないかな
あとは多少荒されてもスルー、叩かれても耐えれる作者のメンタルを期待するしかない

後者はよくわからんけど前者は個人的には欲しい描写だなぁ

139:名無しさん@ピンキー
10/09/25 00:44:19 HATaol8D
お兄ちゃんがキモウト以外と付き合ったらNTRなの?
話を盛り上げる過程だとしても?

だとしたら書き溜めしてたSSがボツになりかねないんだが・・・
教えてエロい人

140:名無しさん@ピンキー
10/09/25 00:51:18 OW9JKP/h
>>139
誰もそんな事言ってないぞw

141:名無しさん@ピンキー
10/09/25 01:22:59 FiivI4mj
読み返してないのでうろ覚えなのですが、『きっと、壊れてる』は茜目線の物事の描写や心理の描写を極力避けていて、茜の行動や心理は浩介なり美佐なり巧なり作者なりを通過してでしか読み手にわからないようになってるんですよね。
そういった形式の話のなかで、ほぼ浩介と同等の濃さでされている巧目線での行動や心理の描写が、茜にかなり危険な好意を抱いているのがよくわかるもので、しかもそれに対する茜の反応と思惑がわからないから、不安に感じるのだと思います。
(そういった理由で、巧目線の部分を読んでいる感覚が、寝取られものを読んでいるときのものと似てしまうのかもしれません)
こういった問題(と呼べるのかどうかはわかりませんが)は起こらない方がいいのですが、しかしこれも作者さんの話の組み立て方が上手な証拠だと思います。
それなので話の旨味を「寝取られ」だと一種の思考停止で勘違い判断せずに落ちついて読むのが一番だと思います。

142:名無しさん@ピンキー
10/09/25 01:26:35 HATaol8D
>>140
ごめん、今日になって久しぶりにスレを見たからまだ92氏のSSを読んでなくて、>>134の「男が犯し~」っていうのを主人公指してるもんだと勘違いした
半年ROMります

143:名無しさん@ピンキー
10/09/25 01:31:10 IEd262kT
てすと

144:キモウトとひきこもり兄Ⅳ
10/09/25 01:34:07 IEd262kT
話の方ができたので載せていきたいと思います。
今回も途中で規制がかかった場合は保管庫の方を使い続けていきたいと思います。

作中 エロあり

145:キモウトとひきこもり兄Ⅳ
10/09/25 01:35:39 IEd262kT
(一人side)

「兄さんお出かけですか?」
「あぁそうだよ」
「どこにいくんですか?」
「えぇっとまぁ散歩みたいなもんだよ」
「そうですか、車に気をつけてくださいね。あ、すぐ帰ってきますよね?」
「たぶん大丈夫だと思うよ。」
「ならいいです。行ってらっしゃい兄さん。」
「ん、行ってくる~。」

バタンッ!!

こんな風に外に出たはいいものの身体からは汗がダラダラ出ている。
暑い……これじゃ麻奈ちゃん見つける前に俺が干からびるぞ……。
携帯とかほとんど使わないからアドレスも聞いてないし…というか持ってきてないな…これじゃ探すのにも一苦労だ。
あたりを見回しても住宅が並んでいるだけでこの暑さの中で外に出ているのは俺ひとりだけだった。

とりあえず日陰でも探して休まないと死にそうだ……。

「あちぃ……それにセミさんも頑張りすぎだろ…。お前達死んでいいころじゃないのか……?」

時間は12時を過ぎた頃。
空から照りつける太陽が燦々としており身体から水を奪っていく。
アスファルトから映える陽炎は頭の中のようにゆらゆらとしている。
意識もなんだか朦朧としてきた。
少し先に人がいるようだけどかすんで見えない。

「あ!!!一人くん!!!!こっちです~!!!!こっち~~~!!!!」
スタタッ

どうやら天使が迎えに来たのかもしれない。そうだ、桜のこと頼むように言っておかないと……。

「天使さん、妹のこと頼みます…。」
「何言ってるですか!!!私ですよ!!麻奈です!!!」
「麻奈ちゃん…?!麻奈ちゃんって天使だったの……?」
「ふざけたこと言ってないで早く家にきてください!!!水ならいくらでも出しますから!!」
「うおっ!?麻奈ちゃん引っ張らないで!!!痛い!!痛いって!!!」

半ば強引に麻奈ちゃんに連れていかれた。意外と力が強い。怒らせたら怖いタイプなのかな?

「はいお茶です!!!それにしても体力ないですね~もっとガツーンとしないと女の子を守れませんよ!!?」
「お茶ありがと、なんだか最近体の調子が悪くてさ、まだ学校に慣れてないのかもしれないからね。」
「そうなんですか~。なら一回ゆっくりしてからケーキづくりの練習にしましょうか?」
「いや大丈夫、お茶飲み終わるころにはよくなってるから。」
「なら大丈夫そうですね!私は先にある程度用意しておきますから終わるまで待っていてください!」

ひとりだけになってしまった。
改めて麻奈ちゃんの部屋を見ると俺と桜の部屋とは真逆の可愛い部屋にみえる。
一言でいうとぬいぐるみだらけだ。あちこちにネズミさんやらクマさんのぬいぐるみがある。
というか初めて女の子の部屋に入った。今さらだけど恥ずかしいな。


146:キモウトとひきこもり兄Ⅳ
10/09/25 01:36:55 IEd262kT
(麻奈side)

一人くんと二人きりです!!!この前みたいに桜に邪魔されないから仲良くなれるチャンスです!!!!
これはデートなんじゃないですか!!!?しかも最初から家でデートだなんて/////
よし!!!今日は頑張るです!!!一人くんとケーキを食べたりしてイチャイチャするですよ!!!
卵よし!!砂糖よし!!薄力粉よし!!!その他よし!!準備バッチシです!!!

「一人くん~!!準備できましたよ~!!!」
「早いね、もう準備できたの?」
「そりゃ楽しみにしていたんですから~!!それに早く作りたいかな~って思ったからです!」
「ありがと麻奈ちゃん。」
ナデナデ
「っ~~~~!!!!な、何するんですか!!!?」
「うわぁ!!そんなに驚かないでよ!?この前もそうだったけど。」
「いきなり頭ナデナデされたらだれだってびっくりしますよ!!??」
「そういうものなの?!桜はいつも嬉しそうだけど…?」
「桜は普通じゃありません~~~!!!それにいつもナデナデってどういうことですか!!?」
「桜に感謝するときとか、なんとなく気分でやってるけど?」
「むむむ、兄妹で変なのですか……これだと太刀打ち出来ないです。」
「ま、まぁそんな細かい意味はないから安心していいよ。」
「そうなんですか?」
「うん、そう。」
「そうですか、ならいいです!早速ケーキですよ!!!」

(数時間後)

「どうですか~?これが手作りケーキの破壊力ですよ!!」
「これは……美味い!!麻奈ちゃん美味いよこれ!!!」
「当たり前ですよ~!!はい、あ~んです!!」
「麻奈ちゃん!!?」
「あ~んです!」
「あ、あ~ん。モグモグ」
「どうです?美味しいですよね!?」
「お、美味しいよ…麻奈ちゃん強引な性格なのか……。」
「強引じゃないです!!!桜がやっているんですから私もやるのですよ!!」

なんかおかしい気がするけど気にしちゃだめだ。

147:キモウトとひきこもり兄Ⅳ
10/09/25 01:38:00 IEd262kT
(数時間後)

「今日はほんとありがとね麻奈ちゃん。」
ナデナデ
「っ~~~~~!!!恥ずかしいですよ!!。」
「ホント動物みたいでかわいいな~。」
「動物じゃないです!!!人ですよ!!!!…それにかわいいだなんて……。」
「麻奈ちゃんは十分可愛いよ。あ、そうだ!そういえば麻奈ちゃんはいつ桜と仲良くなったの?」
「な、なんでですか!?」
「いつ桜と仲良くなっていたのかな~って。」
「そ~ですね、多分高校の初めのころですよ。」
「何がきっかけで?」
「お話してたらです。性格があっていたんだと思いますよ?」
「ふ~ん意外だな~。」
「意外とは何ですか!!!私は桜とすっごく仲良しなんですよ!!?」
「お…おお、じゃあ桜が欲しがりそうな物ってわかる?」
「そうですね~~一人くんが渡せば何でもいいと思いますよ。」
「俺が?」
「一人くんが桜のことを考えて選んだってことに意味があるんです。女の子はそういうものなのですよ!!」
「そうか、そうなのかもね。ありがと麻奈ちゃん。」
「いえいえです。あ、桜の分のケーキはもって帰らなくていいですか?」
「ケーキは誕生日のドッキリにしようと思っているんだ。だからまだ遠慮しておくよ。」
「そうなのですか~!一人くん優しいお兄さんですね!!!私もこんなお兄さんが欲しいです!!!」
「は、恥ずかしいな~。そうだ、麻奈ちゃんも誕生日教えてくれたら一緒にパーティーしようね。それに妹ならいくらでも大歓迎だよ。」
「はぅ……冗談なのに!!一人くんはもしかしてシスコンさんなのですか!!?」
「…シ…シス。」
「一人くん?」
「ぁ……ぁあ…。」
「一人くん!!!どうかしたのですか!!?」
「ぬわぁあ!な、なに麻奈ちゃん!?」
「なにボケっとしてるんですか!!!!」
「いや、なんでもないよ……ちょっとボケっとしてただけ…。」
「顔色悪いですけど本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、心配かけてごめんね。」
「本当に桜と一人くんは似ていますね~!!不思議なところもそっくりです!!」
「そうなのかな。あ、麻奈ちゃん今日はもう帰るね。」
「あ、もう少しゆっくりしていってもいいんですよ?」
「いや、よしておくよ。桜がご飯作っていると思うから。」
「そうなのですか…少し寂しいですね。」
「ごめんね麻奈ちゃん…それと今日はありがとね。」
「一人くんが頑張っているのを応援するくらいお安いなのです!!玄関までですけど送りますね。」

「それじゃ麻奈ちゃんまたね。」
「バイバイで~す!!」
バタンッ

うぅ…一人くん行っちゃったよ…でも今日は楽しかったです!!
それにしても一人くんが急に黙り込んだのは何か理由があったのかな。
それとも一人くんなにか昔にあったのかな…。

148:キモウトとひきこもり兄Ⅳ
10/09/25 01:39:09 IEd262kT
(一人side)

ケーキ美味しかったな~。ある程度覚えたし紙にまとめたから一回練習すれば大丈夫か。

日も傾きだした。
辺りは夕日が影を作り、暖かさの中にどこか静けさを感じさせている。
行くときもそうであったように道には人の気配は感じられず、まるで世界に一人だけいるかのような錯覚が起きる。
やはり今日も体調が悪いのだろう。昼の時といい、ボケっとしていたときのことも。
それでも明日だけは意地でも…。

「明日は桜と買い物か……久しぶりだな。」

帰り道の寂しさを紛らわすためにひとり呟いた。
返事が返ってくるわけでもなく、声は闇の中に消えていった。

もうすこしで家につくはずだ。
そうしたら家に桜もいるはずだしこの寂しさは消えるだろうと頭に思い浮かべながら歩いていた。
道をよく見ると懐かしさがわいてくる。
しかしどこか変わっている。どこか違っていた。
だからこそ今を大切にしていこう思った。
学校に再び行けるようにもなったし、麻奈ちゃんや紗耶ちゃんとも仲良くなった。
少しずつだがこうして昔のように人と関わりを持てるようになった。

___桜のおかげだな

だからこそ俺がしっかり者にならないとな。

あともうすこしだ、早く歩くか。

(桜side)

兄さん……遅いです。
どこにいるんですか…早く帰ってきてください…。
はぁはぁ……兄さん!兄さん!!兄さん!!!

兄さん、散歩じゃないんですか…!?
もしかして事故に巻き込まれたとか……いやです!そんなの絶対にありえません!!
連絡も取れません…心配です…兄さん…。

兄さんのベットに入って慰める。
私は兄さんがいなくて心配なのになにをやっているんでしょうか…。
股間はおもらしをしたみたいに濡れてしまっています…。
でも兄さんの匂いがします…。
今はこの快楽に溺れても…。

「兄さん…ハァハァ…クンクン…クチュクチュ…っ!ハァハァ…兄さんのが入ってくるよ…ぁ!にいさん!!にいさん!!
にいさんごめんなさい…えっちで汚い妹でごめんなさい!…ハァハァ…でもにいさんじゃないとだめなんです!!!
いいですにいさん!!もっとわたしを犯してください!!ずっとにいさんといられるからだにしてください!!
クチュ…あぁ!!兄さん気持ちいいです!!ひゃ!にいさん痛い!!!いたいよ!!
だめ!!もうだめです!!イク!イッちゃいます!!!兄さぁあああああん!!!」

ハァハァ……兄さん……汚い子ですみません……。
でも…兄さんしかいないんです…。
兄さんがいないと私……。



149:キモウトとひきこもり兄Ⅳ
10/09/25 01:40:55 IEd262kT
ピンポーン!!

兄さん!?兄さんなんですか!!?は、早く兄さんを兄さんを!!!!

私は急いで着替えて玄関を開けました。
ですがそこにいたのは……。

ガチャ
「兄さん!!?」

「……コホン…すみません。こちらに紅瀬一人さんはいますか?」
「あっ……。」
「すみません、紅瀬一人さんはいますか?」
「は、はい…私の兄ですが今は出かけていますのでよろしければ中で待っていただけますか?」
「お心遣い感謝します。」
「いえ、どうぞお入りください。」

兄さん、誰ですかこの人は…私は兄さんのことは何でも知っているはずです…。
くやしいですが綺麗な人です。歳は兄さんと同じくらいかもしれません。
私の小さな胸よりもずっと膨らみが大きい胸です。それに振る舞いの一つ一つがとても優雅です。
一番気になるのは髪の色がブロンドで眼の色も私とは違う青色。日本人のそれとはかけ離れた容姿。

「あのすみません、兄さんとはどんな関係で?」
「今日はそのことについて話に来たので一人が来てからでいいでしょうか?」

兄さんを呼び捨てで呼んだなんて……何者なんですか兄さん。
許しません…絶対に許しません…。

(一人side)

ふぅ…もう目の前だ。
昼よりかは日差しもなかったから倒れることはなかったしスムーズにいけたな。
ありゃ…鍵持ってくるの忘れてたな。まぁ桜がいるだろうから大丈夫か。

鍵を探してポケットの中に入れていた手でそのままインターホンを押す。
家の中からスタタッと桜の歩く音が聞こえてきた。

ガチャ
「兄さんお帰りなさい。」
「ただいま、桜。」
「兄さん今お客さんが来ています。兄さんに会いに来たようです。」
「そう、随分珍しいね。それじゃ先に居間に行ってるよ。」
「はい、わかりました。私はお茶を用意しておきますね。」

居間に入るとそこにいたのは金髪の女性だった。俺にこんな知り合いがいたかと思考を張り巡らしたが全く覚えがなかった。

「会いたかったぞ一人!!」
ガバッ!!

いきなり抱きつかれた、自分でもなにが起こっているのかわからなかった。
「一人!!一人!!!あぁ~本当に嬉しいよ!君に会えてよかった!!」
「ちょ、いきなり抱きつかないでください!!!」
「あ、あぁすまない…つい嬉しくて…。」
「で、改めてお訊きしますがどちら様ですか?」
「え…?なにを言ってるんだ一人…私を忘れたとでも言うのか…?」
「すみません本当に覚えてないです。」
「嘘だ!昔から好きだったじゃないか!!ずっと、ずっと!!君は憶えていないのか!!?」


150:キモウトとひきこもり兄Ⅳ
10/09/25 01:42:17 IEd262kT
肩を掴まれた。彼女の頬には涙が垂れている。どうやら本当に俺の知り合いらしい。

「落ち着いてください!話なら十分聞きます。私も思い出すかもしれません。」
「落ち着いていられるか!!!君のためにここまで来たというのに!!!なんてバカバカしいんだ!!」

顔がものすごく近い、彼女の顔は怒気にみちていたが声にはどこか涙が混じったように聞こえた。

「一人っ!!なんで!!なんでだ!!!ぐすっ…私はずっと君に逢いたくてしかたがなかったのに…。それなのに!!君ってやつは!!」
「落ち着いて!!! ってちょっtうわぁああああ!」

彼女を落ち着かせるために彼女の手を抑えたが力が強く彼女に押し倒されてしまった。
そして運が悪く、ちょうどそこで桜がお茶を持ってきてしまった。

「兄さんお茶持ってきまし……な、何やっているんですか…兄さん。」

あぁやばい完全に誤解されてる……。このままじゃ今日は一緒の部屋じゃ寝れないな…はは…。

「兄さん?お客さまと戯れるのは後にして下さい。それにまだちゃんと自己紹介していないようですし早くしましょう?」
「あ、あぁそうだな…。すいませんどいてくれますか?」
「妹さんも来たようだしそうしようか、一人さっきは取り乱してすまなかった……このとおりだ。」

彼女は立ち上がると俺に目をあわせて申し訳なさそうに謝った。
育ちの良さを感じさせる謝り方だ。どこかの社長娘とかなのかもしれない。

「お名前を教えていただけないでしょうか?」
桜が切り出した。桜の顔はどこか好奇心にあふれた表情だった。彼女に興味があるのだろうか。

「改めて名乗ろう、私の名前は伊吹瀬里朱だ。どうだ?一人思い出してくれたか?」
「せ、せりす…?」

「そうだ、お前の彼女にして許嫁の瀬里朱だ。」

理解できなかった、そう言うしかない。
隣座っている桜の見ると表情は読み取れなくなっていた。ただ、黒い何かが見えた気がした。


151:キモウトとひきこもり兄Ⅳ
10/09/25 01:48:26 IEd262kT
今回はここまでです。
今回は !や? が多くなり読み辛いかと思いますが楽しんでいただけたら僥倖です。
あと今までのを個人的に保管しているので加筆したのをサイトで配布するかもしれません。

その際は本人確認のためここにリンクの載せるやも知れないので事前に意図を説明しておきます。

それでは

152:名無しさん@ピンキー
10/09/25 04:54:10 0/eKs90l
>>137
意味がわからない
誰もそんなこと言ってない
話がややこしくなるから無理矢理屁理屈こねないでくれ

153:名無しさん@ピンキー
10/09/25 05:53:03 yWT6E5n3
>>151
エロありGJ。

154:名無しさん@ピンキー
10/09/25 06:53:18 o9a7QXQD
乙でした
どうして俺には金髪碧眼の許嫁がいないのだろう

……なんてレスを書きかけで寝落ちしてたら
朝から妹が洗面所で髪の脱色始めて
薬品臭くてたまらんのだが

155:名無しさん@ピンキー
10/09/25 17:18:11 o+xKE10q
その臭いを嗅いだ時点で既に奴の術中にある
随分時間も経ってるし、もう・・・

156:名無しさん@ピンキー
10/09/25 18:14:25 QybLr5FH
職人さんGJ、次回以降の妹の活躍が楽しみです

そして>>154にはそろそろ金髪碧眼の許嫁ができた頃かな?おめでとう!

157:名無しさん@ピンキー
10/09/25 18:37:35 jAnzJA/s
金髪なら青よか緑の瞳の方がいいな

158:名無しさん@ピンキー
10/09/25 18:39:51 c1VFkqat
それはお前のイメージってだけで

159:名無しさん@ピンキー
10/09/25 18:56:37 W/lwNXWV
かわいければそれでいい

160:名無しさん@ピンキー
10/09/25 19:27:36 OW9JKP/h
>>151GJ
俺も便乗して、試作コメディを投下。
注意:パロネタあり。エロなし。

161:河童の苦悩(1/6)
10/09/25 19:29:16 OW9JKP/h
やあ、みんな!俺の名前は明神河童(ミョウジンカッパ)。
自他共に認めるイケメン(池で泳いでいそうな顔面)だ。
今日は息抜きとして、みんなに俺のイケメン振りを伝えられればと思っている。

あれは、いつだったか。
雨で川が増水して近所の野良猫が流されているところを発見した俺が、
猫を華麗にスルーして、クラスのマドンナである珠代ちゃんに告り、そのまま勢いで抱きつこうとした時の話だ・・・。

「一億年と五千年前からあっいっしってっる~!!」
どこかで聞いた事のある歌を歌いながら、
勢い良くバタンッと俺の部屋のドアを開けて侵入してくる奴がいた。
とりあえず、心の中でツッコんでおこう。歌のチョイスが古いんだよ。
「オイ!邪魔すんなよ!これから俺の武勇伝をみんなに聞かせようと思ってたのに!」
「何言ってんのお兄ちゃん、珠代先輩にビンタされた時の話なら、それお兄ちゃんの武勇伝じゃないから。珠代先輩の武勇伝だから」
「うるせぇ!珠代ちゃんはツンデレなんだよ!猫だって後で助けようと思ったんだ!」
「結局、お兄ちゃんの同級生の出来松さんだっけ?川に飛び込んで助けたんだよね~。もう珠代先輩メロメロ」
「ふんっだ。本物のイケメンは嫌いだ。で?お前何しに来たんだよ?」
「いやだな~愛するお兄ちゃんに会いに来たに決まってるじゃない!!」
あぁ・・・キモい。

コホンっ紹介が遅れてすまんね。
このだいぶネジが外れていそうな女は俺の妹、明神木野子(ミョウジンキノコ)だ。
「アッチョンブリケ」とは言わない。それはピノコだ。
肩ぐらいまである茶髪がビッチっぽいが、彼氏はできた事がない。理由はすぐに話そう。

何?名前がおかしい?
しらねぇよ!休日の昼間っから寝室でイチャついてるアホ夫婦(両親)に言えよ!
俺の名前なんてアレだぞ?
母さんがカナヅチだから、溺れた時助けてくれるようにって名付けられたんだぞ?
なんで生まれたての子供頼りなんだよ!親父!てめーが助けろよ!!

ハァハァ・・。まぁそれはひとまず置いておこう。
木野子は俺の一学年下。つまり高校一年になるわけだが、
頭にどういう衝撃を与えればこうなるのか、俺の事が大好きらしい。LIKEではなくLOVEだ。
黙っていればソコソコな容姿なのに非常に勿体ない。

古くは幼稚園の時にお遊戯で、俺と手を繋いで踊っていた女の子を積み木で殴り、
最近では学校の文化祭、『未成年の主張』とかいう古臭いイベントで、
「お兄ちゃん~~~~!!愛してる~~~~!!手出したメス豚は・・・ブっ殺すから~~~~~~~~~~~~~!!」
と叫んだ何処へ出しても恥ずかしくない、真性のキチ○イだ。

そのせいで、せっかくイケメンに生まれた俺まで年齢=彼女なしというこの状況。
「どうしてくれんだよ!」
「何が?それよりお兄ちゃん!遊ぼうよ~。ツイスターゲームしよ!」
「やらねぇよ!どこに兄妹二人でツイスターゲームやる奴がいるんだよ!」
「じゃあバッファローゲームは?」
「バッファローゲーム??聞いた事ねぇなぁ。どんなゲームよ?」
「じゃあ一度やってみようよ!う~んとね~まずお兄ちゃんが頭に指でツノをつくるの」
「こうか?」
頭の横で人差し指を伸ばして角っぽくみせる。

「そうそう!それで~下を向いて木野子めがけて突進してくるの!」
何かオカシイと思いながらも言われた通り、角を突きだしたまま、木野子に向かって小走りしてみる。
ムニュン
「?」
この感触は・・・。木野子の胸だった。

162:名無しさん@ピンキー
10/09/25 19:29:30 c1VFkqat
wiki見たら画像掲示板とか出てたけど要らんだろ
こういうアホが増長するだけで作者の迷惑

196 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 05:53:17 ID:PMZHWs3C
こんなナルシストのオナニー野郎にキャラクターデザイン(笑)で粘着される方がよっぽど作者のモチベ削れると思うが

124 名前: Nice@名無し 2010/09/06(月) 23:23:55 ID:QsctEw6w0
ヤンデレ家族フィナーレおめでとうございます
URLリンク(freedeai.saloon.jp)
URLリンク(freedeai.saloon.jp)

完結記念に作者様にご感想を。
ヤンデレ家族と傍観者の兄のテーマに帰結した楽しめる作品でした。
予想していたシナリオに近いものだったので、余計にそう感じるのかもしれません。
(ラストのシーンがやっぱりジミー君が一人プラモで作ってるっていう予想が大当たりでした。)
傍観者が主人公であること、ヤンデレ家族が物語りの軸になること、
魅力的なキャラクターがどんどん出てきてもそこはぶれていなかったのが素敵でした。
連載中IFの話を読む限り、(物語の)人々は過去がどうあれ今の現実と日常・人付き合いを大事にすべき・・・
という暗喩が含まれていると思っていましたが。

キャラクターデザイン面で言えば、
ジミー・ロマンス:90年代ギャルゲー主人公タイプ(東鳩1タイプ)
弟:2000年代ギャルゲー主人公タイプ(東鳩2タイプ)
妹:可愛い普通の妹
葉月さん:物語のエンジン役?美人
などなど勝手に憶測してました。
キャラクター重視の後日談とかあれば読みたい位どのキャラも良かったです。

最後に完結お疲れ様・おめでとうございます。

163:河童の苦悩(2/6)
10/09/25 19:30:06 OW9JKP/h
「バッファローーーー!!やったね!お兄ちゃん!見事乳首にクリーンヒットだよ!」
「くだらね~~~~~!!」
何この下賤な遊び!考えた奴馬鹿じゃないの!?
「いや~お兄ちゃんさすがだね!木野子の乳首に命中率100%!!ちなみに惜しいと『ニア・バッファロー』って言うらしいよ」
「知るか!!妹の胸触っちゃったじゃねぇか!!どうしてくれる!!」
「いやだなぁ!毎晩どさくさに紛れて、触ってるじゃない!」
「嘘をつくな!嘘を!俺がいつ触った!?」
「寝てる時」
「何?」
「だ~か~ら~寝てる時だって。毎晩、木野子がお兄ちゃんのベットに潜り込んでるもの」
「何~~~~!!!聞いてねぇぞ!そんなの!・・・いや待て、嘘だろ?それ。もし本当に潜り込んでたら、お前は朝まできっといるはずだ!!」
「うん。そうしたいのは山々なんだけどねぇ~。朝立ちしてるの見たら我慢できなくなっちゃうから」←頬を赤らめながら言ってる
「そこかよ!俺が怒るから、とかそんな理由じゃなくて!?・・いやそんな事はどうでもいい。じゃあ本当に毎晩俺のベットに潜り込んでいるのか?」
「うん」
ガーン。神様、いや河童大明神様。俺はモテないばかりについに実の妹に手を出してしまったようです。
「まぁまぁドンマイお兄ちゃん!大丈夫よ。お兄ちゃんの好きなエロ小説なんか、毎晩兄妹でヤってるじゃない。うらやましいなぁ」
「はい仮にも女子高生がヤッてるとか言わな・・ん?・・・お、お前!!なぜそれを!?」
「この前、部屋漁った」
実は河童は二次元妹萌えな男だった!!

「ふざけんなよ!!なんで勝手に人の部屋漁るの!?」
「まぁまぁ、それはいいじゃない。それよりお兄ちゃん!あんな妹駄目よ!暗いし、何より貧乳っぽいじゃん!」
「お前はなんっっっにもわかってない!そこがいいんだよ!あの子は俺の理想の妹なんだよ!!
うるさくて、馬鹿で、チビのくせに胸だけは立派な現実の妹よりな!」
ちなみにこいつの胸はDカップで、いまだ成長中らしい。
・・・いや・・・なんで知ってるの?って言われても、サイズ上がる度に無理やり報告してくるんだもん、そりゃ覚えるよ。
「ははは、現実みなよ~お兄ちゃん」
「うるさい!うるさい!もう出てけ!二度と入ってくんじゃねーぞ!」
「あっ待って、せっかく新しく買ったブルマで誘惑しようとした・・」
「バタン!!」
フー。木野子を追い出し、ドアを締めてやっと静かになったぜ。
ちなみに、あの木野子(アホ)が最後に言っていたのは、俺がブルマ好きという根も葉もない噂をどこからか聞きつけてきたからだ。
別に嫌いではないが、『ナイスブルマ!』と叫ぶほどファンでもない。
一体どこから、そんな噂が出始めたのか。

そういえば昔、俺達が今通っている高校に異常なほどブルマが好きな校長がいたらしい。
そいつはブル魔王と恐れられ、時代の流れでブルマが廃止される折には、
国会議員に立候補して法律でブルマ着用を義務付けようとしたらしい。
立候補者締切日まで体育教師総動員で監禁し、陰謀を食い止めたその事件は、
ブル魔王の伝説として代々語り継がれていく事に・・はならない。
その後、ブルマ泥棒で逮捕されるから。学校のタブーになりました★

ブル魔王よ・・今は一体どこで何をしているのか・・・。
「バタンッ」
人が感傷に浸っている時に誰かが俺の部屋のドアを勢いよく開ける。
何やら凛々しい顔をした老人が立っていた。
誰だ・・コイツは・・俺の拳法かなんかの才能を見込み、迎えに来た仙人かなんかか・・・?
それとも、何かの力に覚醒しようとしている俺を止めにきた暗殺者かなんかか・・・?

「河童よ。ワシのコレクションNO:298ミキちゃんのブルマ見なかったか?」
・・・ブル魔王ここにいた。はい、祖父でした。

「ふざけんなよ!!なんでせっかく伏線にしようとしたのにすぐ出てくるんだよ!!」
「ワシのマキちゃんのブルマ知らんか?」
「知らねえよ!!ミキちゃんだろ!?ボケきてんならその悪趣味やめやがれ!!」
「孫が冷たい・・」
泣きそうな顔をしながらトボトボと引き返すブル魔王。
残念ながら、ちっとも悪いとは思ってないぜ!!
あいつのせいで俺のあだ名はしばらく『ブルマ三世』だったんだぞ!!
確かに大泥棒の孫だけど・・ってやかましいわ!!

164:河童の苦悩(3/6)
10/09/25 19:31:07 OW9JKP/h
もうやだこの家族。
ん?そういえば、今日はめずらしく木野子(アホ)は一回で引き返したな。
普段は、追い返しても追い返しても粘り強く部屋に入ろうとするんだが・・。
どうも胸騒ぎがして、俺の部屋がある2階から階段を下り、様子を見に居間へ行ってみた。

いた!テレビを観てやがる。
しかも近っ!ソファーに座らず、テレビの前に正座して30cmぐらいの距離で凝視してるよ。目悪くなるぞ。
何をそんなに熱心に観てるんだ!?

「今日は最近巷で噂のアイドルグループ、MKI24の皆さんに密着取材しま~す!」
元気な声で、はしゃいでいるように魅せる女子アナウンサー。あいつらも大変だな・・・。
で?そのMKI24とやらが木野子は好きなのかな。パッと見、普通のアイドルグループに見えるが。
再度テレビを盗み観る。

左端の髪をツインテールにしている小柄な女の子がインタビューに答えるところだった。
「わたし~、今日はお兄ちゃんのパンツ穿いてるんですよ~もう幸せで死にそう!!キャ~!!」

!!!!!!!!!

それに負けじと、左から2番目のポニーテールで長身の女の子が前に出る。
「わたしなんか~!今朝、兄さんの眼球舐めてきゃった~!!ホント美味しかった~~!!キャ~!!」

!!!!!!!!!

な、何この子たち・・・。
放送していいの?これ。ツインテールとポニーテールって純真の証じゃないの・・?

プロ根性か、女子アナは何事もなかったかのように爽やかな笑顔で、リポートを進める。
「ははは、ご覧のようにM(マジで)K(キモい)I(妹)24(人のグループ)の皆さんは、日々自分のお兄さんへの愛を演技や歌で表現しているわけです。」

「嘘こけ、普通に行動で表現してるじゃんか・・・」 ←思わず声に出したツッコミ

放送席の男性アナが一言。
「すごいですねぇ」
「本当に皆さん、お兄さんへの愛で溢れていますよね!以上!MKI24の皆さんでした~!!」
再び放送席。
「いや~アイドルの世界も変わりましたねぇ。」
男性アナの隣にいる女子アナが、付け足す。
「ちなみに年に1度のファン投票で見事第1位に輝いた妹さんには、NASAプレゼンツ『お兄ちゃんと行く!1週間の宇宙旅行』が贈与されるそうです。」
「ほほう、それはすごい。大好きなお兄ちゃんと二人っきり、宇宙で1週間彷徨うわけですな、はっはっは」
「そうですね、さらに現在メンバーの追加募集をしていて、15歳以上のお兄ちゃんを愛する女の子なら誰でも良いそうです。宛先はこちら」

テロップが流れた瞬間、今まで微動だにしなかった木野子(アホ)がついに動き出した!!

バババババババッ

は、早い!!手の動きが見えない!!なんだあのメモを取るスピードは!?
「命に関わるため、応募にはお兄さんの同意書が必要なのでお忘れなく。では皆さん、よい週末を~!!」
放送事故レベルの事を爽やかに締めやがったアナ達が手を振っている間に、俺は自分の部屋へと猛ダッシュで帰った。

あぁ・・・どうしてこうなった・・・・。
なんだあの企画!!てかNASAって、あのNASA!?何やってんのNASA!?ヒマなの!?
ていうかあの子達アイドルなの!?
お兄ちゃん宇宙に拉致したいだけじゃん!夢も希望もないよ!!
人間は大地を離れては生きてはいけないのよ!?
それにファンいるの!?誰が応援すんだよ!!

165:154(洗脳済)
10/09/25 19:31:25 o9a7QXQD
金髪碧眼ノ妹ハ最高デス
金髪碧眼ノ妹ハ私ノ嫁デス
金髪碧眼ノ妹ハ下ノ毛モ金髪オイシイデス

166:河童の苦悩(4/6)
10/09/25 19:32:19 OW9JKP/h
ハァハァ・・・落ち着け俺。
少なくとも参加には『お兄ちゃんの同意書』が必要だと言っていた。
俺はサインする気はない。大丈夫。大丈夫だ・・・。

「お・に・い・ちゃ・ん(はぁと)」
「うわぁぁぁぁ!!」
「きゃあ!何よ?どうしたの?そんな声出して」
いつ間にか木野子が俺の部屋のドアから顔だけをチョコンと出していた。
怖い・・生首みたいだ・・。

「い、いや何でもない・・ど、どうした?」
「うん、お兄ちゃん」
部屋に入りドアを閉めた後、茶髪を軽くかき上げて妙な色気を出してくる木野子。コイツ・・まさか・・。
「あ、ああ」
ヤバイ、変な汗出てきた。

「宿題教えて!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!嫌だ!それだけはkんあばえし・・・・何?」
「だ~か~ら~宿題教えて?数学得意でしょ?」
「あっああ」
何だよ・・ビックリさせおって・・。
寿命が二万年縮まったわ!!流石の吾輩もビビったぜ。
ここで断ると、しつこく居座りそうだからなぁ・・・。仕方あるまい。
「どれだよ?」
「これ~」
部屋の隅に畳んで置いてあった、ちゃぶ台ぐらいの大きさのテーブルを部屋の中央に広げて、木野子と挟んで向かい合う。
木野子は持参してきた通学カバンから、教科書を取り出すと、付箋を付けてあったページを開いた。

ていうか、なんでこの子はシャツを第2ボタンまで開けてるの?
谷間がチラチラ見えるんだが・・・まぁいいや、シカトで。

木野子が見せてきたのは、特別難しくもない問題だった。
「何がわからないんだ?」
「わからないところがわからない」
出たよ・・・一番厄介なタイプだな。少しお説教してやる。
「いいか?お前は確かにアホの子だが、授業をキチンと聞いていれば解けない問題じゃないぞ??」
「授業??いいよ~寝たいもん」
「寝るな寝るな!お前は何をしに学校にいっとるんだ!」
まさか、『お兄ちゃんと登下校するため(特大はぁと)』とか言わないだろうな・・。
さすがにそれ言ったら、アホの王様だぞ・・・。

「お兄ちゃんと登下校するため(特大はぁと)」

うん、どうやら我が家は魔王と王様が同居しているようだ。
とりあえず誰か衛兵を呼んでくれないか?

まさか・・ここまでとは・・。しかも一字一句間違えてねーよ!! すごいな俺!!
しかし、こんなのでも妹は妹。宇宙に1週間拉致監禁は免れそうだし、イケメンな上に超優しい俺が、しょうがねーから面倒みてやっか。
「しゃーねーなー、教えてやるからここに座れ」
向かい合っていると少し教えにくいので、若干左に移動し右側にスペースを作った。そこへ、木野子(キング)を呼ぶ。
「は~い」
クククッ笑っていられるのも今のうちだわさ。
みっちりしごいて、ヒーヒー言わせてやるぜ!!!
・・・
・・

あれから3時間が経過した。
今も木野子は、俺が数字だけイジった、比較的難しい教科書の問題を必死に解いている。
「できた~!!」
「ほう??我に見せてみよ」

167:河童の苦悩(5/6)
10/09/25 19:32:58 OW9JKP/h
・・・ふむ・・・正解だ。過程の数式も申し分ない。
「OKだ。後は自分でテスト前に少し勉強すれば、必ず良い点数取れるぞ」
「やった~!!ありがとねお兄ちゃん!!」
「お前こそ、3時間も集中力がもつとは正直意外だったぞ。頑張ったな」
「へへへ~お兄ちゃんに褒められた」
照れるように微笑む木野子。
いつもこう素直で健全ならかわいい妹なんだが・・。
まぁ、休みの日が潰れてしまったが、教えて良かったな。

「ねぇお兄ちゃん!!この勢いでさ!現国も教えてよ!」
「現国?」
「うん、文章は教科書と同じでいいけど、問題は昔みたいにお兄ちゃんがオリジナルの作ってくれると嬉しいなぁ」
そういえば、そんな事もあったな。かなり前の話だが。
「え~お兄ちゃんさすがに疲れちゃったなぁ。面倒だな~」
「いいじゃん!前に作ってくれたの友達に見せたら、『お兄さんの字綺麗でカッコイイね!』って言ってたよ!」
「ま、まじか!?」
「うん」
「そ・・その友達は、無口キャラで黒髪ロングで貧乳か??できればちょっとエッチな子がいいんだけど!!」
「そんな気はしない事もないかもしれない」
何とも曖昧な答えだが、俺は1%の可能性でもあれば理想を追い求めるぜ!!!
「よぉ~し、お兄ちゃん頑張っちゃおうかなぁ」←腕まくりしてる
「キャ~!頑張って!お兄ちゃん」
そう言いながら、なぜか木野子はあぐらをかいていた俺の上へ向かい合って座る。
腕を俺の首に回し、足も俺の腰に回してガッチリとホールドされた。
マズい・・この体勢は非常にマズいんだ・・。

しかし・・コイツの身体柔らかい・・。
しかもなんか甘い良い匂いする・・。
「こっこら!何してんだ!」
「へへへ~、現国の前に、かー君分補給~」
「かー君言うな!」
「いいじゃ~ん、二人っきりの時ぐらい~」
オレの胸へ顔を擦り寄せて、気持ち良さそうにしている木野子。
本当にマズイぞ!!!

「・・・オイ、昨日しらねー女と喋ってただろ?」
しっしまった!遅かった・・・。
発動しやがった。
実は木野子は俺にくっ付くと心の内をすべてさらけ出してしまう、という恐ろしい病気にかかっている。
今回は声が非常にドス黒い気がする。
クソッ今回はかなりダークサイドな感情が溜まっていたようだ。

「お前、何度言ったらわかんの?私以外の女と喋ったら駄目だって、言ったよなぁ?」
「ヒイィィ、ごめんなさい。あれは宿題の範囲がわからなくて委員長に聞いてただけなんですぅぅ・・」
ここでの最善策は、ひたすら謝る事だ。
謝って、謝って、木野子様の怒りを鎮めるんだ!そうすれば比較的いつもの木野子に戻る。
けっ決して立場が弱いわけじゃないんだからっ!

「後よぉ、珠代だっけ?あのブスにまだ付きまとってんのか?」
「たっ珠代ちゃんはブスなんかじゃ!!」
「あぁっっ!?」
「・・・ない・・・ような・・ははははははっ」
「お前今度約束破ったら、どうなるかわかってんだろうなぁ?」
「どっ・・・どうなるんでしょう?」

「あれをこうしてボンッっだ」
!!!!!!


168:河童の苦悩(6/6)
10/09/25 19:33:33 OW9JKP/h
「そっ!!それだけはやめてぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「だろう?そうされたくなかったら、おとなしくしておくんだなぁ」
「はいっ、以後気をつけますっ!!」
「よおし、いい子だ。で?」
「で?、と申しますと?」
クソッ中々ダークサイドが静まらない・・。余程溜まってたんだな。

「そろそろ、ヤらせろや?お前も童貞捨てたいだろう?ホレホレ」
俺に抱きついたままの木野子がお尻を左右に振って俺の股間を刺激し始めた。
「いっいや~~~!」
「嫌で済めば世の中、性犯罪なんてねーんだよ!!おら、誠意みせろや誠・・・・・・」
!!
木野子の動きが止まった。
危なかった。やっとか・・・。
「・・・あれ?木野子何してたんだろ?わぁ!!!かー君だ!!やだぁ木野子に抱きついて何してんの~!?」
「おっお前が最初に抱きついたんだろーが!」
「そうだっけ?まぁいいや、かー君分ほきゅうぅぅぅぅ~~~!!」
ギュッと女の力とは思えない力で俺に抱きつく木野子。

マズい・・柔らかさと良い匂いでクラクラしてきた・・・。
おっぱいが俺のおっぱいの上でムニッと形を変えて、誘惑してくる。

賢いみんなはもう気付いたよね?
状況まったく変わってないんだよねっ!

しかし・・なんだこの柔らかさは・・天使のほっぺのようだ。
えへへ・・・触っちゃおうかなぁ・・・・。
だってさぁ、考えてもみてよ?
俺、男じゃん?
木野子、女じゃん?
なんの問題もないじゃ~ん!!
・・・いや・・・・イカンイカン!!
兄の尊厳をこんなアホの子で失ってはならない!! 私・・負けない!!!!

「俺の上に座るな!てか、なんだこの格好!!」
「いいじゃ~ん!減るもんじゃないし~」
「しかも普通後ろ向きに座るだろ!なんで向かい合ってんだよ!お前もう勉強する気ねーだろ!」
「いいじゃ~ん!木野子が発情するだけだし~」
「よくねぇ!大体お前は・・・」
「木野子の事を褒めまくって、スイッチ入れたのは旦那ですぜ??ヒヒヒッ」
「うわっキモ!ちょ・・変なとこ触るな!あ!!あぁ~~」
・・・・
・・・
・・
その日やっとの事で、木野子(アホキング)を引き離した時には既に夜中の11時だった。
ギリギリ貞操は死守しました。

こんな感じで毎日が過ぎていく。
キモチ悪い事に変わりはないが、なんだかんで可愛い妹だ。
いつまでも、こうしてバカやれる日々が続けば・・
「お兄ちゃん~!!」
「邪魔すんなよ!!人が締めてる時に!!」
「今、珠代先輩から電話かかってきて『ごめんなさいあなたとは付き合えません』だって!」
「いまさらかよ!!知ってるよ!!ビンタされた時点で気付くよ!!」
「ハハハッ残念だったね」
「笑うな笑うな!!ていうか、お前キモウトだろ!?こういう時は『あの泥棒猫!』とか言いながら、包丁持って駆けだすんじゃないの?」
「え~初登場なのに、そこまでできないよ~。それにそんな事したら、すぐお巡りさんに捕まっちゃうじゃん」
「意外にそこは冷静なんだ!!」

需要があれば続くかもしれない。

169:名無しさん@ピンキー
10/09/25 19:33:53 OW9JKP/h
以上、駄文失礼。

170:名無しさん@ピンキー
10/09/25 19:36:08 o9a7QXQD
書き込みかぶったスマソ
アホの子かわいいので続けて下さい

171:名無しさん@ピンキー
10/09/25 19:42:05 c1VFkqat
被ってしまったごめんなさい

172:名無しさん@ピンキー
10/09/25 19:47:17 OW9JKP/h
>>170,171
いいってことよ。気にすんな

173:名無しさん@ピンキー
10/09/25 20:20:30 zO1v85EQ
>>171絵の話は保管庫BBSでやれゴミクズ

174:名無しさん@ピンキー
10/09/25 20:35:05 X3zrXXTs
歓迎だ
大いに需要あるでよ

175:名無しさん@ピンキー
10/09/25 20:36:45 8MKiFeYb
>>171
蒸し返す上に被るとかひどいっすねw

176:名無しさん@ピンキー
10/09/25 20:58:21 uEOmjl2e
>>173
下手糞絵師さん必死っすねw

177:名無しさん@ピンキー
10/09/25 21:05:00 v53mQLrz
絵を書きたい奴はHPにでもうpすればいいんじゃねーの?
キャラクターデザイン(>>162)とか痛い事するなら特に

178:名無しさん@ピンキー
10/09/25 21:10:49 zO1v85EQ
>>176よく読めよチンカス
スレチだからよそでやれって言ってるだけなんだが
馬鹿はこんな事も解らないのか
切ないね

179:名無しさん@ピンキー
10/09/25 21:14:07 2ZVIrWxQ
>>169
やばい、ダークサイド相当面白かった
続き期待しています

180:名無しさん@ピンキー
10/09/25 21:15:33 v53mQLrz
>>178
脊髄反射しちゃうお前もな
スレチって言いたいならスルーしろ

181:名無しさん@ピンキー
10/09/25 21:38:54 /QoJMqeB


182:名無しさん@ピンキー
10/09/25 23:12:54 yeqp+ujE
      ____ うん キモすぎ
     /____\  _____
    / |  ─ 、- 、!          \
    !___|─|(●)(●)|-──- 、   ヽ
    (    `‐ァ(_, )、|(●), 、(●)  \  i  <このスレキモいね
     入  `トェェェイノ ,,ノ(、_, )ヽ、─  i  |      
    /ヽ-、` ┬〒ィ´  `-=ニ=- ' 二  |  !      
    | (/`v二)| ヽ   `ニニ´     |  /    
    ヽ_入 _ ノ   \ ____)  / /
    |──┤  ○ ━6━◯━ヽ
    |____|    \|/ _____\   ヽ
     |  |  |       ! ヽ__ノ !    |     
      |__||__|      >、 ___ ノ     ノ-o   
    __|__||__|_     (___.ヘ ___/

183:名無しさん@ピンキー
10/09/25 23:50:53 beKGhue1
ss

184:名無しさん@ピンキー
10/09/26 00:03:38 LXtRKjk1
衛兵読んでも王様には逆らえないと思うんだ

185:名無しさん@ピンキー
10/09/26 04:07:19 Ht9wvmfY
面白かったよ GJ

186:名無しさん@ピンキー
10/09/26 18:41:26 +YsEnYuq
>>168
需要ならここにあるぜ。

187:名無しさん@ピンキー
10/09/26 20:18:54 JuMgwytw
投下ないかな

188:名無しさん@ピンキー
10/09/27 00:22:35 YBOO8xMq
俺の愛する未来のあなたへと三つの鎖の投下がしばらくない・・・
作者さん待ってます

189:幸せな2人の話 6
10/09/27 01:31:16 UAuQBQvZ
今晩は。
ちょっとお呼びの者では無いかもしれませんが、
表題につきまして投下いたします。

190:幸せな2人の話 6
10/09/27 01:32:38 UAuQBQvZ
******************************************

暫らく俺を物欲しそうに見つめた後、雪風はいたずらがドッキリが成功した時のようにくすっと笑った。
「さあ、選手宣誓はこれでおしまい。
 私、こういう息の詰まる展開って苦手なの、そろそろいつもの私達に戻ろっか?
 兄さん、今日の晩御飯は私が作るんだけど何が良い、今日の雪風は頑張っちゃうよ~?」
その言葉と共に彼女はいつもの俺が知っている雪風に戻った。
「そうだな、ハンバーグじゃダメかな?」
おれも、いつも雪風にそうしているように答えた。
「分かったわ、兄さんの大好きな和風ハンバーグね。」
「俺は和風が好きなのか?」
「ええ、大根おろしがた~くさん載っているポン酢風味のソースが兄さんの好物よ。
 兄さんにとって何がおいしくて、何が嫌いかなんて顔をちょっと見れば分かるわ。
 ふふ、勿論分かるのは料理だけじゃないよ?」
そう言って、ふふん、と得意げに胸を張る。
「それじゃあ、兄さんは先に帰ってて。
 私は買い物をしてから帰るわ」
雪風は少し早足で歩き出した。
夕日で伸びた影の背丈くらいに俺達の距離が開く。
ぴたっと、歩みを止めて、くるりと雪風が振り向く。
「そうそう兄さん、兄さんは一つだけ勘違いしているよ。
 私はね、兄さんのことが欲しいし、それに愛してるの。
 でも、私は兄さんの事が嫌いでもあるんだよ。
 そうやって私の心を読める癖に、私の事を理解してくれない。
 私の欲しいものは何でもくれるのに、一番欲しいものはくれない。
 本当に、兄さんって一体何なのかな?」
そう言って、雪風はまた歩き出す。
夕日が影になって雪風の表情は見えなかった、どんな表情だったのかはだから分からない。

191:幸せな2人の話 6
10/09/27 01:35:27 UAuQBQvZ
雪風が立ち去った後も俺はそこから動く事だ出来ず、立ち止まって夕暮れの雲をぼんやりと見ていた。
「俺は、お前の知ってる通りの俺だよ」
細長い巻き雲が青と紫がかった赤に塗り分けられている。
「理解していないだと?
 理解していないのは雪風だってそうじゃないか」
誰に対してでもなく呟く。
俺にとってシルフは大切な妹だ。
都合の良い玩具だなんて思った事は絶対にない。
昔、初めてシルフを見たときは本当に悲しかった。
他人から拒絶され続けて、誰も信じられないって顔をしてたんだ。
そのシルフが俺や雪風と一緒に生活する中で少しずつ明るくなってくれて、それが嬉しかった。
そして、もっと笑って欲しい、もう暗い顔なんてして欲しくないなって思った。
その気持ちに雪風の言うような卑怯な嘘なんて全く無い。
確かにシルフがいつも俺の事で悩んでいるのも知っていた、でも俺も悩んでいた。
悩んで、それでもシルフが踏み出さないのなら、今のままで良いって俺は決めたんだ。
そして、シルフがその先を口にするまではずっと気付いてない振りを続けていようって。
雪風もきっと俺の考えを理解してくれているんだと当たり前の様に思っていた。
だから、雪風にあんな事を言われるなんて思ってもみなかった。
それにいつもならあんなにきつい言い方は絶対にしない。
俺の弱い所をちゃんと汲み取って、もっと優しく嗜めてくれる筈なのに。
……自分勝手な言い分なのは分かっているけど。

192:幸せな2人の話 6
10/09/27 01:35:55 UAuQBQvZ
俺はずっと雪風とは何でも通じ合っているんだって思ってその事を疑った事さえ無かった。
なんせ、いつもあいつは俺の事なら何でも理解してくれて、俺のする事なら何でも笑ってくれていたから。
それは雪風が俺に合わせていてくれただけ、だったんだよな。
俺の事が異性として好きだから俺の我侭を聞いていた、か。
じゃあ今までずっと本当の気持ちを言えず、本当は望んでない事にも笑っていたのか?
それなら、あいつも辛かったんだっていうのは分かる。
分かるよ、だけどな……
「だからって、あんな言い方はないだろ。
 二人のことを大切に思っていたし、そう付き合ってきたんだ。
 ったく、雪風だってそうだよ、あいつだって俺の事を何でも分かってくれるのに、
 一番大事な事を理解してくれないじゃないか」
そうぼやく自分がとても惨めで、情けなく感じられる。
何とか隠そうとしていたが、本当は雪風の言葉は一つ一つが辛くてしょうがなかった。
さっき雪風から突き放された時は、まるで母親から見捨てられた子供のような泣きたい気持になっていた。


193:幸せな2人の話 6
10/09/27 01:38:51 UAuQBQvZ
俺にとっては雪風もシルフも特別な存在なんだ。
決して見捨てたりなんてしない、俺はそんな薄情な奴じゃない。
はっきりと言える、雪風もシルフの事も大好きだって。
けど、それでも雪風が言うなら、俺のしていた事は間違っているのか?
そんな訳は無い、雪風が間違っているんだ。
もし雪風の言うとおりなら俺はただの馬鹿じゃないか、絶対に違う。
でも、俺の事もシルフの事も一番知っている雪風が言うなら……。

帰路の間ずっと考えていたが何をどうすればいいのか分からなかった。
とりあえず、玄関まで迎えに来てくれたシルフをぎゅうっと抱きしめてみた。
それはシルフがして欲しいとずっと思っていたけど言えなかったことだって、俺は知っていた。
それに今の俺にとってどうしても必要な事でもあって。
顔を真っ赤にして固まるシルフは暖かくて、とても良い抱き心地だった。
何だかほっとして、気持ちが落ち着いた。

ただ、一つ問題が増えてしまった。
一部始終をご覧になって、俺の真後ろでニコニコと笑ってらっしゃる妹様にどう弁解するば良いのだろう?

194:幸せな2人の話 6
10/09/27 01:39:13 UAuQBQvZ
******************************************

さっき姉さんから電話があった、もうすぐお兄ちゃんが帰って来るって。
電話越しにそう私へ伝える姉さんはとても楽しそうだった。
それを聞いてから玄関で待ち続けてる。
今まで、何をやってもお兄ちゃんは喜んでくれなかったけど、きっと今度は大丈夫。
だってお父さんだって喜んでくれたんだもの。
もう本当のお父さんやお母さんの事は殆ど覚えていないけど、それでも覚えている事がある。
お父さんが駅に着いたからお迎えしてあげようねって、お母さんが言って一緒に玄関で待ってて。
それでお父さんがドアを開けると、お帰りって言いながら抱きつく。
その時のお父さんの嬉しそうな顔はまだちゃんと覚えている。
それはお兄ちゃんに出会う前の私の、少ししかない楽しい思い出の一つ。
だから絶対に大丈夫。
大丈夫、なのに不安になってしまうのはどうしてかな?

195:幸せな2人の話 6
10/09/27 01:41:38 UAuQBQvZ
「ただいま、ってシルフ!?」
「お帰り、お兄ちゃん」
「あ、ああ。
 ……雪風に言われたのか、ここで待ってろって?」
そう確認するお兄ちゃんの顔はとても怖かった。
自分の体が縮こまるのが分かる。
どうしよう、私はまたお兄ちゃんを困らせるような事をしたのかな?
「え、あ、ううん、違うの。
 昔、お父さんにこうやってあげたら、凄く喜んでくれてたのを思い出したから。
 だから、お兄ちゃんも嬉しいかなって、思って……」
「どれぐらい、ここで待っていたんだ?」
「多分、30分ぐらい、だと思う」
恐る恐る、怯えながら答える。
私がが質問に答えるとお兄ちゃんは安心したように表情を緩めた。
「そうだったのか。
 ごめんな、そんなに待たせちまって。
 それに、こんな問い詰めるような聞き方をしちゃったのも、ごめん」
「大丈夫、お兄ちゃんは悪くないわ。
 それよりどうしたの?
 お兄ちゃん、すごく辛そうな顔してる」
「ん、辛そうな顔をしているのか?
 そうだな、ちょっとだけだが、ほんの少しだけ辛い事があったんだ」
そう答えるお兄ちゃんはちょっとなんて軽い事には見えない位とても悲しそうで、それが嫌だった。
私が好きなのは笑っているお兄ちゃんだから。
「ねえ、私に何か出来る事は本当にないの?
 私なんかじゃ役に立てないかも知れないけど……。
 それでも、お兄ちゃんの為なら私は何でもするよ」
もうこの言葉を何回言ったかなって心の中で苦笑する。
お兄ちゃんは一度だって私にお願いをしてくれた事なんて無いけど、それでもいつも言わずにはいられない。
「本当に何でも良いのか?」
「うん、私はお兄ちゃんに喜んでもらいたいの。
 私はお兄ちゃんの、恋人、だから」
例え、お兄ちゃんにとっては押し付けられただけでも。
それでも、私は恋人なんだから。

196:幸せな2人の話 6
10/09/27 01:42:22 UAuQBQvZ
「ありがとうな。
 じゃあ一つだけ、シルフにお願いしてもいいかな?
 少しだけ目を閉じててくれないか?」
「え、目を閉じる?」
驚いて、思わず聞き返してしまった。
お兄ちゃんが私にお願いするなんて本当は期待してなかったし、
それに、目を瞑るって言う事はどういう意味なのかも分からなかったから。
「嫌なら良いんだけど」
「嫌なんかじゃない、ちょっと待って。
 ……これで良い?」
慌てて目を閉じると、すぐにとても暖かいもので体を抱きとめられた。
「お兄ちゃん!?」
「悪い、もう一つお願いができた。
 暫らくこうさせててくれ。
 はは、シルフってすごく暖かいんだな、ずっと忘れてたよ」
その言葉と共に私を抱きしめる力が強まる。
これってお兄ちゃんの腕、だよね?
じゃあ私は今お兄ちゃんにぎゅって抱きしめられてて、あ、う、ぁ。
そこまで考えて、もう頭が働かない。
胸がどきどきと鳴り続けて頭がぼおっとする、体が熱い。
お兄ちゃんが私の体をゆっくりと放す。
目を開くと、そこにはお兄ちゃんが間違いなく立っていた。
たぶん実際には10分くらいだったと思うけど、私には何時間にも感じられた。
体がふらっとする。
私は足に力を入れて、そのまま地面にへたり込んでしまいそうになるのを我慢する。
「ありがとう。
 お陰で楽になれたよ」
「あ、え、う、うん。
 私、その、お兄ちゃん、に抱っこされて?」
体にはまだお兄ちゃんの感触が残ってて、それが暖かくて、心地よくて、嬉しくて。
うぅ、自分でも何を言っているのか分からない。


197:幸せな2人の話 6
10/09/27 01:42:51 UAuQBQvZ
気付いたら私は部屋に駆け戻っていた。
そして、扉を閉めて、今度こそ床にそのままへたり込む。
まだ胸はこんなに鳴り続けている、息も荒い。
こんなの知らなかった。
お兄ちゃんに抱きしめられるって、あんなに気持ち良いんだ。
お兄ちゃんの体って、硬くて柔らかくて、それにあんなに暖かいなんて、知らなかった。

198:幸せな2人の話 6
10/09/27 01:44:54 UAuQBQvZ
******************************************

お兄ちゃんに抱きしめられた後、やっと気持ちが落ち着いた時にはもう2時過ぎだった。
水が欲しいと思って居間の方へ向かうと、こんなに遅いのにまだ明かりが点いている。
それに話し声も聞こえる。
お兄ちゃん達がまだ起きてるのかな?

部屋の中をこっそり覗くとお兄ちゃんが漬物石を抱きながら、足つぼ健康器の上で小刻みに震えつつ正座をしていた。
そんなお兄ちゃんの向かいで姉さんもやっぱり正座をしている、座布団の上にだけど。
「あははは、兄さん。
 私は確かにシルフちゃんを思い遣ってねって言ったよ?
 でも、セクハラしろなんて誰が言ったのかな~?
 だ・れ・が?」
「いや、その、あれは合意の上であって、だな」
「あら、今更言訳をするつもりなの?」
「いや、言訳ではなくて、状況の確認を」
「あははは、兄さんは何か勘違いをしてないかな~?
 私は今、兄さんを裁いてるんじゃなくて、罰してるんだよ?
 もうとっくに兄さんは有罪なんだからね」
「……はい」
しょんぼり、とうなだれるお兄ちゃん。

良く分からないけど姉さんにいじめられているのは確かだったので、お兄ちゃんを助けようと部屋に入った。
けれど、中に居たお兄ちゃんに見つめられた途端に、抱きしめられた時の感触が蘇った。
また頭がぼうっとして、体が火照る。
それで、恥ずかしくなった私はその場から逃げてしまった。
「うふふ、兄さん、今夜は寝かさないからね~?」
そうお兄ちゃんに告げる冷え切った声が背中から聞こえた。
ううぅ、見捨ててごめんなさい、お兄ちゃん。

部屋に戻って頭から布団を被ったのに、私は朝まで全然眠る事ができなかった。

199:幸せな2人の話 6
10/09/27 01:50:40 UAuQBQvZ
以上です、ありがとうございました。
魔法少女すーぱーシルフというパラレルのネタを思いつきましたので、
もし、そういう物が大丈夫なようでしたら近くに番外編として一回書かせて頂きたく思います。
また来週もよろしくお願いいたします。

200:名無しさん@ピンキー
10/09/27 02:06:38 WGLueRao
GJ
みんないい子で幸せになってくる

201:名無しさん@ピンキー
10/09/27 02:18:10 eeIoHldD
GJ~
照れるキモウトっていいよね!

202:名無しさん@ピンキー
10/09/27 02:21:15 3bXMEPAE
戦闘妖精がきたか

203:名無しさん@ピンキー
10/09/27 06:17:19 rHYUsS6c
誰かwiki更新頼む

204:名無しさん@ピンキー
10/09/27 20:11:14 DIV8YqB7
>>203
言いだしっぺの法則って知って居るか

205:名無しさん@ピンキー
10/09/28 00:04:42 xYTgj7jn
うむ、久しぶりにきたが連載中の作品も良作揃いじゃないか。

206:名無しさん@ピンキー
10/09/28 13:23:42 mYTTybvW
キモ姉妹が法律を作ったら

新訂刑法一条 不当交際罪


人の兄または弟を不当な手段で略取した者は死刑または終身刑に処す

未遂は罰する


兄または弟が犯した場合は重洗脳刑または廃人刑に処す

未遂は罰する

とか作りそうで怖い…

207:名無しさん@ピンキー
10/09/28 18:59:30 /pgci4UK
つまり『おとなになったらおよめさんにしてあげる』とか
幼少期の約束が映像なんかに残ってれば正当な交際と認めてもらえるわけですね?

208:名無しさん@ピンキー
10/09/28 19:54:45 RcQSNpna
私には夢がある。
いつの日か、泥棒猫の死体が積み上がる小高い丘で、
かつての兄達と、かねてより兄に所有されたかった妹達が、
兄妹愛を超えた性愛というベッドで夜を共にできる日がくるという夢が。

みたいなスピーチしてノーベル妹賞を受賞するマーチンルーサーキモウト

209:名無しさん@ピンキー
10/09/29 00:14:35 4NGS3+W2
いや、さすがにそれはノーベルさんにあやまr
おっと誰だこんな時間に

210:名無しさん@ピンキー
10/09/29 05:44:00 0Zlge5YA
>>208

なぜか固有結界の使い手で再生されたせ

I am the bone of my brother

体は兄で出来ている……

211:名無しさん@ピンキー
10/09/29 11:47:47 uRA9kCp7
>>210
その英文を「私は兄の骨です」と読んだら、アダムが肋骨の内の一本からイブを作ったという神話を連想してしまった。そういやあれも兄妹だったっけ?

212:名無しさん@ピンキー
10/09/29 12:02:21 BJ4Sw44Y
ならばリリスは泥棒猫か

213:名無しさん@ピンキー
10/09/29 12:24:34 AbL71jGG
>>206
わかっているさ 愛する者を

自分を捨てても 守るんだ~

214:名無しさん@ピンキー
10/09/29 14:49:18 4NGS3+W2
Q:愛ってなんだ?
A:ためらわないことさ……

215:名無しさん@ピンキー
10/09/29 17:24:19 F78/5k4S
刑の内容が気になるな

重洗脳刑になったら姉妹のことしか考えられなくなるとかか

重があるなら軽もあるのかとか

216:名無しさん@ピンキー
10/09/29 20:34:17 dwShjjyD
>>212
旧約聖書にはリリスという存在は明確に記述されてなかったらしい。
リリスというアダム最初の妻が定義されたのは中世の話だとか。



「つまり! 泥棒猫なんて存在そのものが後付けの二次創作!
お兄ちゃんは同じ血と肉で構成された妹と結ばれるのが神話の時代からの真理なのよ!」
「お前は何を言ってるんだ」

217:名無しさん@ピンキー
10/09/29 20:46:47 reoLcGwb
>>216
それは逆だ。旧約聖書が編纂された際に抹殺されたリリスの存在が
中世の研究者によって再発見されたんだ。
……つまり、聖書の編纂にはイブの圧力が…

218:名無しさん@ピンキー
10/09/29 20:53:54 quvjyTx4
神話で近親相姦なんて普通ですよねー

でも自分の兄弟しか愛さなかった女神っているんだろうか

219:名無しさん@ピンキー
10/09/29 20:57:24 reoLcGwb
>>218
ギリシャ神話の女神ヘラなんてどう?

220:名無しさん@ピンキー
10/09/30 11:40:51 UnphnPEo
「お兄ちゃん! 突然ですが問題です!」
「は?」
「口に毛の生えた棒を出し入れして、最後に白い液体を吐き出すのってなーんだ?」
「ちょ、おま、それって」
「ヒント! 私は今朝お兄ちゃんが寝ている間にシちゃいました!」
「おいいいいいい!?」
「さあ、答えは!」
「お前……まさかとは思うけど……フェ、フェラt」
「ぶっぶー時間切れ! 答えは『歯磨き』でしたー!」
「……え? あ、ああ~そうか……」
「ん~? ちなみにお兄ちゃんはなんて答えようとしてたのかな? かな?」
「な、何でもないっ! ちょ、トイレ行くからっ!」
「こらー! 逃げるなお兄ちゃ~ん!」


inトイレ
「俺のチ○コから歯磨き粉の匂い……だと……」

221:名無しさん@ピンキー
10/09/30 15:02:22 5C0g+yRF
つまり兄のチンコに歯磨き粉を塗って歯磨きしたと。変な病気になりそうw

222:名無しさん@ピンキー
10/09/30 16:53:42 s/4TP2MB
その質問、妹だとかわいらしいけど姉だとうざいことこの上ないなあ

ウザ姉ってキモ姉と同カテゴリーでいいんだろうか

223:名無しさん@ピンキー
10/09/30 16:59:21 e0JWRkeV
妨害3分で終わり吹いた

224:名無しさん@ピンキー
10/09/30 17:00:01 e0JWRkeV
誤爆です。失礼・・・

225:名無しさん@ピンキー
10/09/30 18:09:35 H+EUadpJ
○月×日
彼女が俺の家に遊びに来た。殺気立った妹が邪魔をしようと襲いかかってきたが3分で鎮圧完了
折角の時間を無駄に使わせないでいただきたい

226:名無しさん@ピンキー
10/09/30 18:46:16 RPrtM//t
兄は妹を制圧できる。
妹は泥棒猫を××できる。
泥棒猫は何もできない。

素晴らしい3すくみじゃないか!

227:名無しさん@ピンキー
10/09/30 23:10:53 yW0hrxAx
三竦みになってないw

228:名無しさん@ピンキー
10/10/01 04:13:09 /wrVMC5R
泥棒猫は兄を言いなりにできるからやっぱり三すくみなんじゃない?

229:名無しさん@ピンキー
10/10/01 07:59:26 Onp1DbwS
妹がいる以上、それは不可能だな

230:名無しさん@ピンキー
10/10/01 12:50:43 0Hmen/Su
しかしある種の妹はそれができない場合もあるんじゃないか

231:名無しさん@ピンキー
10/10/01 16:56:21 kA5rtCcz
>>229を見てなんとなく、
妹「兄さんがいる限り、私は何度で蘇る!トウァ!」
という電波を受信した。

232:名無しさん@ピンキー
10/10/01 17:17:16 5gzBHfg8
泥棒猫は兄を誘惑できる、かな

233:名無しさん@ピンキー
10/10/01 19:11:37 OpRrpLeu
毎回泥棒猫に撃退されるキモウト

234:名無しさん@ピンキー
10/10/01 19:41:16 g4WZ9uhO
次やったらこのことをお兄さんにばらすわよと脅されるキモウト

235:名無しさん@ピンキー
10/10/01 20:38:18 Onp1DbwS
泥棒猫に弱みを握られ脅されている、ということを兄にチクる妹

236:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:13:56 TrkRZWJm
今晩は。
表題について投下いたします。

237:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:16:11 TrkRZWJm
あの日、家に帰ってきたお兄ちゃんに、ぎゅうって抱きしめられた。
私は混乱した。
訳が分からなくて、暖かくて、お兄ちゃんの匂いがして、嬉し過ぎて。
あの時、私には何を考えて、思えば良いのか分からなかった。
今になると全部夢だったんのじゃないかとも思う、でもあの時のお兄ちゃんは間違いなく本物。
あの日からお兄ちゃんは変わった。
お兄ちゃんはいつも私の側に居てくれた。
けれど、お兄ちゃんはどこか一定のところまでしか私の側に来てくれない。
私はお兄ちゃんにもっと近くに居て欲しいのに、そんな事を思う瞬間があった。
多分それがお兄ちゃんの家族に対する間合いだったのだと思う。
私はその距離を縮めたいといつも思っていたのに、踏み出す勇気が無くていつもお兄ちゃんに近づけなかった。
だから、お兄ちゃんが近いのに遠かった。
でもあの日からのお兄ちゃんと私の距離はとても近い。
それは比喩だけではなく、実際の意味でもそう。
この前、ちょっとだけ私は勇気を出した。
勇気を出して、座っていたお兄ちゃんの横に座って擦り付けるようにお兄ちゃんにくっついた。
それから、お兄ちゃんにこうして居たいってお願いした。
そうしたらお兄ちゃんは笑いながら私にそっと寄り添うようにして体を預けててくれた。
その時のお兄ちゃんの重さが心地よかった。
そうやって、少しずつ勇気を出してお兄ちゃんに私は触れるようになった。
その度にお兄ちゃんが近付いていく気がして、嬉しくなる。

238:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:17:54 TrkRZWJm
私とお兄ちゃんは一緒にテレビを見ている。
私はお兄ちゃんの前に座っていてお兄ちゃんの手が私の前に回されている。
お兄ちゃんと体がくっついている背中が少し暑い。
でも、それが暖かくてとても気持ちいい。
テレビに写る雄のライオンがごろごろと喉を鳴らして寝転がっていた、かわいい。
私はちょっとだけライオンに対抗してお兄ちゃんの胸に頭を擦り付けてみる、ごろごろ。
お兄ちゃんは笑いながら私の頭を撫でてくれた。
「姉さん、どうしてさっきから私の事を見ているの?」
「べぇっつにぃ~。
 シルフちゃんはいつもお姉ちゃんが抱きついても嫌がるのに、
 兄さんだと嬉しそうに頭をすりすりするんだな~って思っただけだよ~?」
向かいに座っている姉さんはそっぽを向いたまま、拗ねた様子で私に言った。
「す、すりすりなんてしてないよ」
思わず声が裏返る。
「ふ~ん、それに最近のシルフちゃんって何だかお兄ちゃんにべたべただよね~?」
今度はジト目で睨みつけられる。
「こ、恋人だから、変じゃないの」
「はいはい、そこまでそこまで。
 ったく、シルフをからかうんじゃないぞ」
「あ~、兄さんまで敵に回るんだ。
 いいよ、いいよ、私はベットの上で一人寂しく慰めるもん。
 シルフちゃ~ん、シルフちゃ~んって切なく喘ぎながら」
それだけは本当に止めて欲しい。
「やめんか、年頃の娘さんが喘ぐとか言うな」
「くすくす、勿論冗談だよ。
 私はシルフちゃんじゃなくていつも……」
姉さんがくすり、と笑って私の方に顔を向ける、でもその視線は私ではなくもっと上に向けられている。
私を抱いているお兄ちゃんの腕の力が強まった気がした。
「ふふ、それもただの冗談、だよ。
 さ、邪魔者はお風呂にでも入りますか~。
 い~い? 二人もいつまでもそうしてないでちゃんとお風呂に入らなきゃダメなんだからね?」
そう注意してから、姉さんは部屋から出て行った。
その後で、お兄ちゃんがほっと溜息を吐いた。
「ったく、雪風の奴。
 シルフも偶には雪風にやり返してやっても良いんだぞ?」
「うん、頑張る」
そう答えながら、私はまたお兄ちゃんに体を預けた。
こうやっているととても安心できる。
「なあ、シルフ」
「何、お兄ちゃん?」
私は体をずらしてお兄ちゃんの方を向いた。
お兄ちゃんはなんだか考え事をしているような様子だった。
「明日は暇か?」
「え、うん」
「それだったら、明日デートしないか?」

239:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:18:44 TrkRZWJm
お兄ちゃんの言っている言葉の意味が分かるのに分からなかった。
デート、ってあの恋人同士がするお出かけの事だと思う。
でも私はお兄ちゃんに片思いしてるだけで、ずっと恋人になれなくて。
あれ、でも今は期間限定で恋人だから、ええっと……。
「嫌だったら別に良いんだ。
 なんていうかな、俺達も一応、恋人同士って事なんだしな。
 偶にはそれらしい事とかしてみないかな、と思うんだが」
今までお兄ちゃんが自分から恋人なんて言ってくれることは無かった。
じゃあ、お兄ちゃんも今は私の事を恋人って思ってくれている事なのかな。
お兄ちゃんの恋人、そう考えるだけで心臓が鳴って、息が乱れる。
「嫌じゃない!!
 する、私もお兄ちゃんとデート、したい」
胸の高鳴りを抑えて、必死に言葉を返した。
「なら、例えば行きたい所とかあるか?」
「ライオン、私、ライオンが見たい」
とっさに画面を見て答える。
ライオンがわふっ、って大きなあくびをしていた。
何だか馬鹿にされた気分。
「ライオンかぁ。
 くす、お前は本当に動物が好きだな」
兄さんがわしゃわしゃと私の頭を撫でる、顔が火照る。
「じゃあ、しっかりと探さないとな、ライオンのたくさん居る動物園」
「うん、楽しみにしてる」
立ち上がる前に、お兄ちゃんがぎゅっと力を込めて私を抱いてくれた。
それは、きっと家族にする物とは違う抱擁。
体中が暖かくて、ふわふわとした。

ぼんやりとした頭で考える。
やっぱりお兄ちゃんは変わったと思う。
私はお兄ちゃんの妹になってから今日まで幸せだった。
けれど、今日の幸せが明日も続いてくれるだろうかといつも不安だった。
でも、きっと明日の私は今日の私よりももっと幸せになれる、そう信じられる。
そんな嬉しい事があるなんて、私は思っていなかった。

240:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:19:35 TrkRZWJm
**************************************

私は一人で廃墟に居た、壁が丸い建物でドーム上の天井には骨組みしか残っていない。
天井がかつてあった所からたくさんの星が覗いている。
ここは今日の朝お兄ちゃんが秘密の場所だよと言って連れてきてくれた所だ。
その時に元々は小さな劇場だったと教えてもらった。
そこを教えてもらったのがとても嬉しかった。
嬉しかったから姉さんに言った、すると姉さんはとても怒って私にとても嫌な事を言った。
その嫌な事を言うのを何回お願いしても止めてくれなかった。
だから私は姉さんを叩いた、それをお兄ちゃんに見られた。
きっと今までと一緒だと思った、誰かを叩くと追い出される、いつもの事だ。
でも、今は嫌だった。
折角お兄ちゃんに出会えたのに。
お兄ちゃんは何処にも居なくならないって約束してくれたのに。
だから逃げた。
けれど逃げたところで行く当てもなく、結局ここに居る。
誰かの足音がする、お兄ちゃんがいた。
私はまた逃げようとして薄いガラス張りのドアを開けようとした。
でも、古びた金具が壊れてそれが私の方へ倒れてくる。
きっとガラスが砕けて私はずたずたになる、もう、それでもいいやと思って目を閉じた。
じゃりじゃりとガラスの降る音、でも私は痛くなかった。
代わりに、お兄ちゃんの呻き声が聞こえた。
私はお兄ちゃんに押しのけられていて、お兄ちゃんの背中がずたずたになっていた。
訳が分からなかった、どうして私なんか守ったのって聞いた。
お兄ちゃんは呻きながら笑った。
だってシルフは家族だから一緒にいないと駄目だろうって笑った。
私は泣いた、泣きながらお兄ちゃんを抱きしめた。
私はやっと居場所を見つけ直せた。
私はここに居て良いんだ。

夢を見た、決して楽しい夢ではないけど私にとって大切な夢。
「私は、ここに居て良い。
 だって、お兄ちゃんが言ってくれたんだもの」
そう呟いた。

241:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:20:45 TrkRZWJm
**************************************

今日は朝からずっと騒がしかった。
姉さんがお兄ちゃん好みの服装を選ぶといって私を着せ替え人形にして。
その後はずっと姉さんにお化粧を手伝ってもらって。
鞄に入れてた凍った麦茶を取り上げられて。
それから麦茶と入れ替わりに昨日コンビニで買ってきたというものをこっそり入れようとした姉さんを追い出して。
……あれ? 姉さんのほうが張り切っているような気がするのだけど。

そんなごたごたが一段落してからやっと私達は出発できた。
今、私とお兄ちゃんは動物園のライオンのスペースに来ている。
立派なたてがみのライオンが大きなあくびをする。
暑さのせいなのか、とてもやる気がなさそうにずっとごろごろしている、やっぱりかわいい。
「お兄ちゃん!! ほら、あくびしてる!!」
「あ、ああ。そうだな、オスのライオンって基本的に暇そうだよな……」
「? お兄ちゃん、どうしたの?」
今日のお兄ちゃんはなんとなくぼおっとしているような気がする。
「いや、本当にシルフはライオンが好きなんだなって思ってな。
 好きか、ライオン?」
「うん、大好き!!
 ふわふわしてて、大きくて、ごろごろしててかわいいから。
 あの子なんか家で飼いたいなって思う」
そう言って、私は隅っこの日陰でごろごろしている少し毛の白い子を指差した。
居間であの子がやっぱりごろごろしながらあくびをする所を想像する、すごく良い。
「ああ、そうだな、そりゃ無理だな……、
 ありゃアンゴラライオンといって輸入こそ禁止されていないがワシントン条約で取引が規制されているな。
 さらに、輸入した後に特定動物飼育の許可を都道府県知事から取らなくちゃならない。
 許可を取るためには施設規模、施設管理、動物管理の要件を満たす必要があって、基本的には動物園クラスの施設でなければ無理だ。
 ついでにあのライオンが一日に6kgの生肉を食べるとして、月のえさ代が大体60万円だな。
 何より一番の問題は、居間でごろごろされると掃除の邪魔になって雪風がライオンさんにブチ切れる可能性が……、」
お兄ちゃんがライオンをぼんやりと見ながら、教科書を読み上げるようにぼんやりと喋る。
「お兄ちゃん……、姉さんが許してくれない事ぐらい私にだって分かるよ。
 でも私、お兄ちゃんって夢が無いと思う」
「え、あ、そうだよな、分かって言ってるんだよな。
 ごめんなシルフ、夢を台無しにするようなこと言っちまって」
私の言葉にはっとしたようにこちらを向いて、お兄ちゃんが謝った。
今日のお兄ちゃんはちょっと変だと思う。

242:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:21:07 TrkRZWJm
「えっと、ううん、私こそごめんね、お兄ちゃん。 
 私、ずっとライオンを見てたから退屈だったでしょ?」
「いや、動物ってのは何をするか分からないから俺も見てて結構楽しいぞ。
 それに、今日はデートなんだからシルフが楽しんでくれて何よりだよ」
そう言ってお兄ちゃんが笑う。
その笑顔とデートって言葉に顔が熱くなる。
「そうだな、ライオンは飼えないとしてもあれはどうだ?」
兄さんは近くにあった露店に向かって歩く、私も付いていく。
そして一番大きいライオンのぬいぐるみをひょこっと持ち上げる。
たてがみがふわふわしてて、顔が寛いだ顔をしてて、すごくかわいい。
「まあ、シルフぐらいの歳でぬいぐるみってのは無いかな?」
「そんな事無い、欲しい」
「そうか、なら」
そう言ってお兄ちゃんが店員さんにお金を手渡してぬいぐるみを受け取る。
そして、ライオンの入った大きな袋を私に手渡してくれた。
「ほれ、大切にしてくれよ?」
「うん!! 大事にする、ベッドに置いて一緒に寝る!! 
 ねえ、お兄ちゃん……」
「ん、なんだ?」
「ありがとう!!」
とても嬉しかったのでつい大きな声で言ってしまった。
お兄ちゃんはそんな私をびっくりした様子で見ていた。
「……?
 どうしたの?」
「いや、どうもしてないぞ?
 それよりも喜んでくれて嬉しいよ、本当に」
そしてお兄ちゃんが何かを誤魔化す様に笑った。
うん、やっぱり今日のお兄ちゃんは変だ。


243:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:21:32 TrkRZWJm
*************************************************

動物園を出た後に私達は雑貨店を巡って、映画を見て、食事をした。
もちろん、ライオンさんも一緒。
私にとって間違いなく人生最高の一日だった。
いや、ひょっとしたら生涯最高の一日なのかもしれない。
きっと、お兄ちゃんとのたった三ヶ月の関係はそのまま終わってしまうのだから。
こんなにお兄ちゃんに近づけたのにまた私達は仲の良い兄妹に戻らないといけないのかな?
そんな事を思ってしまうと、こんなに楽しいのに気持ちが沈んでくる。
嫌だな、そんなの。
「シルフは今日のデート、楽しかったか?」
帰りの列車の中でお兄ちゃんが私に尋ねた。
夕日に染まる車内はガラガラで私達しか居ない。
「うん、凄く楽しかった」
「じゃあ、どうしてそんなに寂しそうな顔をしてるんだ?」
「うん、あと少ししたらもうお兄ちゃんの恋人じゃなくなっちゃうのかな、って思って……」
「それが寂しかったのか?」
「うん」
それから私達は黙って椅子に座っていた。
列車は私達が出会った時に住んでいた街の手前まで差し掛かる。
次は×××駅と懐かしい駅名が告げられる、その車内放送が流れた時にお兄ちゃんが言った。
「ここで一緒に降りてくれないか?
 どうしてもシルフと行きたい所があるんだ」
本当は、そこに行かないで終わりにするつもりだったんだけど、と付け足して。
いつもからは想像もつかないくらいにお兄ちゃんの顔は固かった。
「うん、私はお兄ちゃんとならどこにでも行くよ」
ぎゅっ、とお兄ちゃんが無言で私の手を握る。
そして私達は手を繋いだまま駅のホームへ降りた。
お兄ちゃんの手は柔らくて暖かかった。

244:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:23:17 TrkRZWJm
以上です。
分量的には一応もう終盤に入っているのかなと思います。
最後まで読んでいただければ嬉しく感じます。
次回もよろしくお願い致します。


245:名無しさん@ピンキー
10/10/02 02:08:11 Q8olzIQe
>>244
乙! もう終盤…だと!?
もう少しだけほんわかとした話を読みたかっただけに惜しいな
雪風の企みにwktkしつつ次回も楽しみにしております

246:名無しさん@ピンキー
10/10/02 04:26:29 ZIfomV0q
GJ
シルフには幸せになってほしい、本当に

247:『きっと、壊れてる』第8話
10/10/02 17:55:51 SZbvIUdd
こんばんは。日が落ちるのが早くなってきましたね。
『きっと、壊れてる』第8話投下します。
注意:エロなし

248:『きっと、壊れてる』第8話(1/8)
10/10/02 17:56:58 SZbvIUdd
--------------------------------------------------------------------------------
独白。
そういう言い方をすれば、まだ聞こえは良い。
実際に私は心の中で一人で喋っているし、今の所この胸中を誰かに打ち明ける気はない。
兄さんの所有権をめぐり、侃侃諤諤の議論ができれば、どんなに楽になれることだろうか。

玉置美佐。
兄さんの恋人。
4,5年前だったか、前にも一度兄さんにちょっかいを出してきた事があった。
その時は怪文書1枚でおとなしく引き下がった。
しかし、どういう因果か、兄さんと再会し再び付き合う様になった女。

あの人はどう思っているのかは知る由もないけど、私はある程度玉置美佐を認めている。
普通の女だったら、妹と如何わしい関係を持っている可能性がある男など、
二度と関わりたくない、と思うのが正常な思考回路だろう。

それにも関わらず、玉置美佐は今一度兄さんとの関係を築き、共に人生を歩んで行こうとしているらしい。
賞賛に値すると私は考えている。

玉置美佐は、兄さんの優しさや愛らしさ、儚さをしっかりと理解しているのだ。

いわば私達は同志。
もし、私に息子ができたら、ああいう物事の奥を見通せる女性にこそ、お嫁に来てほしいと思う。

しかし残念な事に、私はこのまま兄さんを渡すつもりは更々ない。
やっとここまで来たのだ。
鏡花水月な兄さんの存在が欲しくて。
我慢して、我慢して、やっとここまで辿り着いたのだ。

あのヘラヘラした男の報告で、玉置美佐も今度は本気である事がわかった。
悲しいかな、私は玉置美佐に正式に兄さんとの別れを打診しなければならないようだ。
道端で拾ったあの男を使って。
なるべく証拠が残る様な事はしたくなかったのだが、仕方ない。

が、今はまだその時ではないと私は判断した。
私にはもう少し時間が必要だからだ。

機が熟した時、私と玉置美佐の聖戦を始めよう。

・・・あの人はもう枯れた。
きっと、動かない。
邪魔は入らない、玉置美佐と十分に雌雄を決する事にしよう。

・・・世の中には、残念ながら不必要な物があるのだ。

--------------------------------------------------------------------------------

249:『きっと、壊れてる』第8話(2/8)
10/10/02 17:57:34 SZbvIUdd
「お茶を頂けますか?・・・どうも」
茜はCAから温かいお茶を受け取り一口読むと、各座席に付与されているイヤホンを耳に着け、
持参した文庫本に目を通し始めた。
日本史上、最大の熊害(ゆうがい)である三毛別羆事件を題材とした『熊嵐』というドキュメンタリー小説だった。
横目でそれを見た浩介は、なんでこのタイミングで、と思ったが、
茜に話しかけると、浩介の肩にもたれ掛かって眠っている楓を起こしてしまいそうなので、見なかった事にした。

「・・すぴぃ」
楓は気持ち良さそうに眠っている。
昨夜も遅くまで勉強していたのだろうか、夜型なのは相変わらずのようだ。
浩介は楓に掛かっている毛布を掛け直すと、自分の座席のすぐ右側にある窓の外へ目を移した。
綿飴のような白く大きい雲が眼下に広がっている。
そのフワフワとしていそうな形状は、大人になった今でも「あそこで寝てみたい」と思わせるには十分だった。

朝の8時。
茜と楓、そして浩介は飛行機に搭乗し、空の旅を楽しんでいた。

「兄妹3人、再会を祝してどこかへ出掛けよう」

楓が1週間と少し前の夕食時に提案した事だった。
8月も中旬に入り、浩介は来週から土,日を合わせて9日間のお盆休みを取る事になっていた。
茜も急ぎの仕事はないらしく、楓も予備校の夏期講習の休みが4日間あるらしい。

急な話だった。
浩介は迷ったので、「予約が取れたら連れていくよ」と言った。
まずホテルの予約がこんなに急に取れないだろうと思っていたからだ。
しかし、最近の不景気で旅行者が少ないのか、ホテルと飛行機の搭乗券のパックが余っていたらしく、
あっさりと予約が取れてしまったのだ。
夏のボーナスが削られるのは痛かったが、約束した事を撤回するわけにもいかず、
茜と楓を引き連れて、2泊3日の北海道旅行へ出掛ける事になった。

先日浩介が美佐に、旅行に行く事と、『楓』というもう一人の妹がいて、現在家に居候している旨を伝えると、
「そんな設定聞いてない」と、美佐はもう一人の妹の存在に目を丸くして驚いた。
そして、「私も一緒に付いて行く!」と言い出し、同僚に休みを入れ替えてもらえるように連絡していたが、
代わりは見つからなかったようだ。
「1日2回、朝と夜に必ず定時連絡をするように!」
そう捨てゼリフを吐き、悔しそうな表情を見せた美佐を思い出た浩介は、誰にも気付かれないように苦笑いをした。

飛行機の中というのは、快適なようで、する事があまりない。
眠気がない浩介は、茜のように本を持ってくれば良かった、と後悔した。

浩介は楓を挟んで通路側の座席に座っている茜を見た。
本を読んでいる茜の長いまつ毛がピクリピクリと早いリズムで動いている。
浩介は笑いを堪えた。
滅多に見せる事はないが、昔から変わらない。
何かを楽しみにしている時に見せる、浩介だけが知っている茜のクセだった。

茜と二人で暮らしていた時は、旅行など行かなかった事を、浩介は思い出した。
学生の頃は慣れない生活に加え、勉学や生活費を捻出する為のアルバイトがあった。
社会人になってからも、日々情報技術のスキルアップを求め、休日も自宅で勉強する事が多かった浩介は、
こうして家事を仕切ってくれている茜に還元する事など無かったのだ。

茜への慰安旅行としても行く事にして良かった。
浩介は再度、窓の外に目をやった。

そして、近いうちに今度は両親も含め、家族全員を旅行に連れて行こう。

どこまで続いているのかわからない青い空を眺め、浩介はそう心に決めた。

250:『きっと、壊れてる』第8話(3/8)
10/10/02 17:58:09 SZbvIUdd
9時半過ぎ、新千歳空港に着いた浩介達はまずレンタカーを借りる事にした。
北海道は広く、効率よく各所を回るためには車が必須の為だ。
シルバーのセダン車を選んだ。
ペーパードライバーの浩介はできれば運転は避けたかったが、
他に運転免許を持っている人間がいないため、我慢して運転席に乗り込んだ。

3人を乗せた車は、北海道の長い道を走る事になる。

とりあえず、3人無事に東京へ帰れる事が最優先。

気合を入れた浩介は、アクセルペダルを踏んだ。

・・・
・・


「えーっと・・初日何処行くんだっけ?」

旅行ガイドブックを片手に助手席に乗り込んだ楓が、運転席の浩介と、後部座席に座っている茜を交互に見た。
「初日は旭山動物園に行って、旭川のホテル」
浩介を運転に集中させたかったのか、茜がいち早く口を開いた。
旭山動物園は茜が希望した場所だ。動物好きな茜らしい、と浩介は思った。
「2日目は?」
「旭川から富良野に行ってラベンダー畑、夜には札幌よ。最終日は小樽に行って夕方には新千歳まで戻ってくるわ」
「さすがおねーちゃん!暗記してるの?」
「暗記っていうか、みんなで決めたじゃない」
「とりあえず、いくら丼は絶対食べたいな」
「昨日はジンギスカンって言ってなかった?」
「うん!ジンギスカンも絶対食べる」
「蟹は?」
「もちろん!!えへへ、楓はおいしい物食べられればそれでいいや」
「もう、滅多に来れないんだからちゃんと観光もするのよ?」
「はーい」
「はははっ楓は昔から食いしん坊だったもんなぁ」
二人の話を聞いていた浩介は、思わず笑った。
「失礼だなぁ。楓はよく食べるけど、スタイル最高に良いよ?ボン・キュッ・ボンってやつ?」
「へぇ・・・」
浩介は「見た目は細いのにそうなのか?」と言いかけたが、後部座席に座っている人の事を考え、軽く流す事にした。
茜は女性としては背も高く、スレンダーでスタイルは良いと言えるのだが、やはり比較的一つ目のボンの部分が小さいからだ。

「・・・懐かしい言葉ね。最近聞かないわ」
「・・・ははは、そうだな。でも函館も行きたかったなぁ」
やはり少し不機嫌そうな茜に気を使い、浩介は話題を変える事にした。
函館は日程的に回りきる事ができなさそうだったので、断念した場所だった。
「あっ楓、オルゴール館は行きたかったなぁ」
「あぁ確かに雰囲気良さそうだなあそこは」
「でしょ?オルゴールの奏でる音色がちょ~ロマンティック!!あっこの前友達がね・・・」
茜は今時の女子高生らしい言葉遣いで、オルゴールの音色の良さからいつの間にか友達の恋愛話を熱弁した。
茜と容姿がそっくりなため、とても違和感があるな、と浩介は思った。
そして、美佐と楓を会わせたらとてつもなく五月蠅くなりそうだ、と苦笑いした。

「あ~なんか話してたら本当に行きたくなってきちゃった。どうしても無理なんだっけ?函館」
「う~ん・・ちょっと無理だなぁ。削るとしたら今日のあさひや・・」

「動物園は駄目よ?」

「・・・また今度な」
「・・・うん」
茜の一言で、気持ちが盛り上がっていた浩介と楓は、一瞬で黙らざるを得なくなった。
本気で怒りそうな茜の気配を、しばらく離れていてもしっかりと覚えていた楓に感謝をしつつ、浩介は運転に集中した。

251:『きっと、壊れてる』第8話(4/8)
10/10/02 17:58:54 SZbvIUdd
旭山動物園は行動展示と言われる、動物の生活や習性を来園者に見せる展示方法をいち早く取り入れ、有名になった動物園だ。
近年では北海道の代表的な観光地として、海外からも数多くの観光客が訪れているらしい。
浩介達は受付で入園チケットを購入し、園内に入った。

近年、北海道といえど夏場は30度を超える日もめずらしくなく、この日は最高気温32度の予報だった。
ふと、浩介は楓の格好が目に入った。
いかにも夏らしいTシャツにホットパンツ姿の楓は、健康的な美を振り撒いていて、
可愛らしいとは思った浩介だったが、ここは楓の貞操観念の欠落を危惧して、
注意しておかなければいけないと思っていたところだった。

「しかし・・・楓、その格好もう少しなんとかならなかったのか?」
「え?変?」
「茜、足出し過ぎじゃないのか?これ」
浩介は茜に同意を求めようと話を振った。
「兄さん、今の若い子はこれが普通よ」
そう言った茜は、どこかのお嬢様のようなゆったりとした白いワンピースに、黒い日傘を差している。
茜は昔から、ゆったり目のロングワンピースのような服を好み、色も地味な物が多い。
茜と楓で比較すると、どうしても浩介には楓の格好が、露出し過ぎているように感じてしまっていた。
「そうだよ。お兄ちゃんオヤジくさい」
「オヤ・・・」
女性陣に反論され、浩介は何も言い返せなった。
もう自分の世代と考え方が違うのだ、そう割り切る事にした。

「ねぇ、どこから回るの?」
3人は、動物の絵が描かれている入口近くの園内地図の前まで来た。

「白熊よ」

茜は地図をチラッと見ると、スタスタと浩介と楓を置き去りにするかのような勢いで、歩き始めた。
どうやら、最初から回る順番は決めていて、場所を確認したかっただけらしい。
茜の歩くスピードに唖然とした浩介は、隣でヤレヤレといった表情で立っていた楓に向けて口を開いた。
「・・・なぁ、アイツはここまで動物好きだったのか?」
「えぇ!?やだお兄ちゃん、知らなかったの!? 昔なんて週末になると、しょっちゅう一人で動物園行ってたんだから」
「一人で!?」
博物館や美術館、それに映画館やカラオケは、一人で行く人間の存在を知っていたが、
動物園は聞いた事がないな、と浩介は思った。

「うん。あぁお兄ちゃん週末も部活でいつも遅かったから、知らなくても無理ないかも。お姉ちゃん夕飯までには帰ってくるし」
「そうだったのか」
「それでね、帰りにはブサイクな動物のぬいぐるみ買ってくるの、必ず」
「なるほど、その為にバイトしてたんだな」
楓の話を聞いた浩介は、茜が高校の頃コンビニで週に1度か2度アルバイトしていた事を思い出した。
そして、『いつもどこで買ってくるんだ』と思っていた茜の部屋に置いてある、
ぬいぐるみ達の出身地がようやく判明した事に、不思議な達成感を感じた。

「言われてみればそうかもね。お姉ちゃん、自分の物は極力自分で買ってたみたいだから」
「でも当時は焦ったよ、茜が接客業やるって言い出すから」
「確かに。でも高校生のバイトって接客業ぐらいしかないしねぇ。ちゃんとできてたのかな」
「一度心配で見に行った事があるんだけど、一応形にはなってたぞ。営業スマイルはなかったけど」
浩介はコンビニのレジを無表情でこなしている茜の姿を思い出し、楓に気付かれないように微笑んだ。

「・・・」
浩介は楓が何か思いつめた顔をしている事に気付いた。
「楓?」
「・・ん?あぁちょっと思い出しちゃって!昔の事」
楓はそう言うと、浩介の腕に突然手を絡ませてきた。
フワッと楓の香りが浩介の無防備な鼻に届く。
茜と同じ香り。
浩介はその懐かしい香りに、嫌気が差した。
もう自分の心は決まっているのに、この香りを嗅ぐと決意が弱まる気がしたからだった。

252:『きっと、壊れてる』第8話(5/8)
10/10/02 17:59:28 SZbvIUdd
「お、おい・・・どうした?」
「なんとなく・・もうこれからは素直に甘える事が出来なくなるかもしれないから」
「??・・・別に大人になろうが、一緒に住んでなかろうが楓は俺の妹だろ?」
「それはそうだけどね。女の子には色々あるのよ。おねーちゃんにもよく言われない?」
「そういえば、何回か言われた事があるな。・・・とりあえず恥ずかしいから離してくれよ」
「やだ~」
楓は腕を組んだまま、浩介を引きずるように歩きだした。
「おいっ楓」
浩介が楓を説得しようとすると、注意された反抗期の中学生のような顔をした楓が浩介に振り返った。

「いいじゃん、兄妹なんだし」
「兄妹だから恥ずかしいんだよ」

浩介の本心、それは『茜に見られたくない』だった。
もう普通の兄妹を築こうとしている最中なのに、「それはおかしい」と諭されるかもしれない。
それでも浩介は、美佐と腕を組んでいる姿すらも、できれば見せたくなかった。
まだ完全にフッきれていないのだな、と浩介はお腹の中がまだ消化し切れていないような気分になった。

「だめ~。白熊の所に着いたら解放してあげるから!」
しかし、浩介の意向は無視するかのように、楓は腕を離さなかった。
そこまで、浩介と腕を組みたいのだろうか、楓の顔は真剣だ。

不意にある想像が浩介の頭の中を走った。
急に二人の兄妹がいなくなり、これまでの数年間楓は寂しかったのかもしれない。
そう考えると、ここで断るのも不毛に終わりそうな気がしてくる。楓はおそらく甘えたいだけだ。

浩介は抵抗する力を弱めると、楓の頭を撫でた。
「えっ!?何?」
「・・・何でも。じゃあ熊の所までな」

浩介の急な心変わりに驚いたのか、楓は真面目な顔を崩さず、何かを考えている。
こうして真剣な顔をしていると、本当に茜とソックリだ、と浩介は思った。
浩介は楓を見ながら、後ろを振り向きもしないで、白熊の所へ急いで歩いている人物の事を考えた。
「・・うん!!じゃあ白熊までね!!」
楓は最後には嬉しそうな表情を見せ、浩介の腕に改めて抱きついた。
意外に力が強く、抱き枕にでもするかのように、きつく浩介の腕を抱いている。

車中で楓が言っていた事は本当かもしれないと浩介は思った。
浩介の腕に当たる女性特有の柔らかさは、茜や美佐よりも確実に勝っていた。

何くだらない事を考えているだ俺は。

浩介は雑念を振り払うかのように、歩きだした。
遠く前方を歩く茜を見る。様子は変わっていない。

周りを見渡す。やはり家族連れが多く、皆楽しそうに園内を歩いている。
自分達3人も、傍から見ればただの仲の良い家族に見えているだろうか、と浩介は思った。

そうでなくてはいけない。

浩介は密着して隣で楽しそうに歩く楓を見た。何も欲情は湧かない。
それは茜の異質さの再確認だった。

もう終わった事だ。考えるのはやめよう。

浩介は歩く速度を速めた。
茜に気付かれてしまったとしても、何も困る事などない、それが普通なんだ。

途中で楓に文句を言われるまで、浩介は、歩幅を大きくして歩いた。
結局、白熊のエリアに着くまで、茜がこちらを振り返る事はなかった。

253:『きっと、壊れてる』第8話(6/8)
10/10/02 17:59:57 SZbvIUdd
夕方になり、予約していた宿に到着した。
航空会社が経営している、市内でも比較的大きいホテルだ。
3人はフロントで受付を済ますと、エレベーターに乗り込んだ。
途中一緒に乗っていた中年の男性が降り、エレベーターの中が浩介達だけになると、
楓がガラス張りになっている後面に走った。
おそらく外が見渡せるようにガラス張りに設計されたのだろう。旭川の街並みが夕日と重なって美しく映っていた。

「すごいよ、おねーちゃん!見て!ちょ~綺麗!!」
「高い所は苦手」
楓が茜の手を引っ張ろうとすると、茜は逃げるように浩介の陰に隠れた。

「そうなのか?茜、高所恐怖症だったんだな」
浩介は意外そうに後ろを少し振り返り、茜の顔を見た。
割と真剣な顔をして、隠れている茜は本当に高い所が苦手なようだ。

「だって・・・落ちたらどうするのよ」
仕方ないじゃない、といった顔で口を尖らせる茜を見て、浩介は茜の数少ない弱点を発見した気がして微笑ましくなった。

「おねーちゃん、たまにボケるよねぇ」
「でも子供の頃は平気だったよな?」
これは間違いないだろうと浩介は思った。
遊園地で、高い所に上るアトラクションに乗っていたのを覚えていたからだ。

「そうね、鳥に憧れた時期もあったわ」

茜は旅行を満喫して気分が良いのか、めずらしく冗談を織り交ぜ、浩介の問いかけに答えた。

廊下を渡り自分達の部屋に入ると、値段の割に広々とした光景が目に入った。
シングルベッドが3つ並んでいる。
浩介の本音では、また茜を意識してしまうかもしれない自分が恐ろしく、できれば別々の部屋が良かった。
しかし楓がもし『何も知らなかった』場合、なぜ兄妹なのに別室にするのか、と不振に思いそうなので同室にしたのだ。

「楓は窓側~」
楓は入り口から一番遠いベッドまで小走りで駆け寄り、体を投げ出し大の字に寝転んだ。
「茜は?」
「私はどちらでもいいけど・・お金を出した人が真ん中に寝れば?」
そう言うと、茜は一番手前のベッドに腰掛け、荷物を整理し始めた。

茜の機嫌は特に悪くはなさそうだった。
昼間、楓と腕を組んで後ろを歩いていた時、いつ茜が振り向き、その視線が腕に向くのか、
浩介は実質脅えていたが、結局茜は白熊に夢中で気付かなかったようだ。

「ねぇお風呂行こうよ。汗かいちゃった」
いつの間にか起き上がっていた楓は入浴の支度をしていた。
旅行用のシャンプーやトリートメントが入っている小さなポーチを取り出し、同意を求めるかのように茜を見た。
「そうね、夕食までまだ少しあるし。兄さんはどうする?」
「俺はもう少ししたら行くよ。どうせ風呂は男の方が早いしな」
浩介は携帯電話を取り出すと、メールの作成画面を開いた。
美佐に連絡を取るためだった。

「そう、じゃあ楓、先に頂いてましょう」
「ねぇ、おねーちゃん。なんでお風呂も『頂く』って言うの?」
「ご馳走だからよ」
姉妹は他愛もない話をしながら、部屋を出ていった。
浩介はベッドに寝転がり、メールの文を考える。

う~ん、なんて書けばいいんだ。美佐はまだ仕事中だろうし・・。

浩介は普段あまり使わないメールの文章に悪戦苦闘したが、結局『お土産は何がいい?』という一文を送信する事にした。
3分と待たず帰ってきたメールの文章は『スイカ熊が欲しい』という、浩介には理解できない謎の文章だった。

254:『きっと、壊れてる』第8話(7/8)
10/10/02 18:00:46 SZbvIUdd
茜と楓が風呂に行ってから約1時間後、浩介は窓の外の旭川の街並みを眺めていた。
茜と楓が部屋を出てから10分後、浩介も大浴場に向かった。
部屋のキーの事もあり、あまり長湯はしているつもりはなかったが、
久しぶりに広い風呂に直面した浩介は、普段よりはゆっくり浸かったつもりだった。
それでも茜達よりかは出てくるのが早かったようで、安心していたところだ。

コンッコンッ

控えめなドアを叩く音に気付き、浩介がドアを開けると、そこには茜がいた。
まだ遠目から見ると楓との判別は付けにくかったが、この距離なら間違える事はない。

「遅かったな、あれ?茜だけか?」
少し身を乗り出して廊下を見ても、楓の姿はなかった。

「えぇ、ゲームをやってから戻るって」

茜は湯上り姿で、顔には赤みがさしており、濡れた髪からは普段よりも強く茜の香りがする。
スレンダーの身体に浴衣もよく映えていて、浩介は直視できずに目を背けた。
「ゲーム?」
「ほら、大浴場の近くに小さいゲームセンターみたいなのがあったじゃない」
「子供か・・あいつは」
楓は少し幼いような気がする。高校3年ならもう少し背伸びしようとしていてもいいのでは、と浩介は少し心配になった。

「フフッ体は成長したのにね」
茜はそう言いながら微笑むと、部屋の中に入り、自分のベッドに腰掛けた。
姉としては放っておいても大丈夫だと考えているのか、
確かにそこまで深刻な話でもないか、と浩介は深く考えない事にした。

「しかし・・良い所だな北海道は。食べ物もうまいし、なにより空気が綺麗だ」
浩介は窓の外を見ながら、ガラス越しに茜に語りかけた。
空は、そろそろ夜の帳が下りそうだった。

「えぇ、良い所。欲を言えば飛行機は避けたかったのだけど」
「??高所恐怖症は飛行機も怖いものなのか?」
素朴な疑問。
飛行機嫌いな人は聞いた事があったが、高所恐怖症とは結びつくものなのか、浩介にはよくわからなかった。
「えぇ、そうね。とても怖いわ」
「そっか、悪かったな。でも行く前に言ってくれれば良かったのに」
「ううん、気にしないで。今回は楓が主役だから」
「あぁ、そうだな」

・・・
・・

10分程度経っただろうか、茜と二人で静かな時間を過ごした。
最近は楓が居候しているので、久しぶりの静寂。
浩介にとって、長年変わらないこの茜と二人きりの静かな時間は、とても居心地が良かった。

ふと、浩介は文庫本を読んでいる茜に視線を移した。
透明なビンに入った白い液体を飲もうとしている。

「牛乳?」
「えぇ、さっき買ったのよ。お風呂出た所にあったでしょ?売店」
茜はそう言うと、コクコクと喉を鳴らし、ビンの約3分の1程の牛乳を飲み干した。
「なんでまた」
浩介は茜が牛乳を飲んでいる姿など見るのは、小学校の時以来だった。
嫌いなわけではないだろうが、買ってまで飲む物でもない。

「・・・もう少し、グラマラスになろうかと思って」
「?」


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