パワポケでエロパロ16at EROPARO
パワポケでエロパロ16 - 暇つぶし2ch400:名無しさん@ピンキー
10/08/16 17:42:16 HIjZm5P5
つジェノサイド

401:名無しさん@ピンキー
10/08/16 18:00:49 1FwtUrHW
桜空と漣の可愛さは紙一重

402:名無しさん@ピンキー
10/08/16 22:01:53 I7tDqi05
ディッガー篇ブラックタイガーで森の遺跡で死にまくって
金0持ち物0になったから休憩がてら表やってみた。
歴代最高レベルの野球っぷりになんか感動した。
五十鈴が素直クールで可愛い。やたら攻略難易度高いけど。
どうも超特もらい損ねて初球○もらったぽかったけど、あの展開で初球○は正直勘ぐるレベル。…開通式とか。


403:名無しさん@ピンキー
10/08/16 22:37:37 kld1MWL7
10裏は一章はリセットゲー二章トラウマゲーかな
一章で88ミリ砲弾数が多い奴を粘ってて何やってんだ俺と思った
二章は狭い通路にいるドラゴンやジェノサイドが恐かった、でも楽しかった

404:名無しさん@ピンキー
10/08/16 22:50:56 HqD3yA72
11の裏サクは楽だったなぁ。速射ねらう持ち委員長が強すぎた。

405:名無しさん@ピンキー
10/08/16 23:05:03 cTUzhAgJ
>>434
彼女の超特殊能力は「神速」と「絶倫」です
つまりはそういうことです
漣の決勝前夜のイベントで内野安打○
茜のイベントで広角打法、守備職人
スタッフは一体どこに向かおうと言うのだろうか

406:名無しさん@ピンキー
10/08/16 23:09:18 G75iyluB
絶倫のワンランク下で、(起ち的に)回復○とかありそう。てかないのかな?

407:名無しさん@ピンキー
10/08/16 23:47:18 mPfVxQxM
>>433
激しく同意。この2人は自分の中でのベストヒロインツートップ。

「ああいう感じの子好きなんだね~何かわかる。」と友達に言われたのがすご
く気になるが・・

408:名無しさん@ピンキー
10/08/17 01:03:12 bsTwpLBK
やっぱりさらは最高
旧作のキャラとは比べ物にならない魅力を持っている

409:名無しさん@ピンキー
10/08/17 06:37:43 WrjnA9sD
雑談は他所でやってくれませんかね

410:名無しさん@ピンキー
10/08/17 08:23:02 AKT+7jp7
>>441
まあまあ、落ち着け

雑談で盛り上がりすぎると少し投下しづらいかなと思うので、ほどほどにね
萌えスレもあるんだし

411:名無しさん@ピンキー
10/08/17 22:44:57 2kFTnH2x
この暑さでSSのネタが何も思いつかん…

412:名無しさん@ピンキー
10/08/17 23:08:04 AKT+7jp7
何か冷たい物で連想するんだ
海とかプールとか

413:名無しさん@ピンキー
10/08/17 23:11:34 uKahcZsX
夏はアイスだ。

アイス パピコ しゃぶる
後は誰か任せた

414:名無しさん@ピンキー
10/08/17 23:36:14 22kjGBSx
おいおいそこは卵アイスだろう?

415:名無しさん@ピンキー
10/08/17 23:59:03 UCdaRhqJ
リコの間接キスアイスは良かったな・・・

そもそもだ。なぜ王道のバニラバーアイスを挙げない

416:名無しさん@ピンキー
10/08/18 00:20:36 CJko5Fof
夏→肝試し→幽霊…あとは分かるな?

417:名無しさん@ピンキー
10/08/18 00:44:53 JUNeOUF0
>>448
デウエスですね分かります


418:名無しさん@ピンキー
10/08/18 06:11:53 pFw0FTwt
アイスといえば春香ちゃんだろ

419:名無しさん@ピンキー
10/08/18 08:44:31 78Z7iSk+
真央や漣みたいなのは、覚醒すると焦らしてから射精させてくれそうだ

420:名無しさん@ピンキー
10/08/18 18:20:51 IbenlVTY
あぁ・・
武美BADのあと、戻ってきた主人公が武美を抱くという俺得展開を思いつくも、あの流れからどう考えても無理な展開なのでボツ
今度は友子と武美が再会して8主と9主とで4Pというストーリーを思いつくも、名前かぶるし既に似たような作品があったのでボツ

2連続で途中まで書いたパロネタがつぶれた。
ダメだ・・暑いしこれ以上いいネタがうかばねぇ・・

421:名無しさん@ピンキー
10/08/18 18:33:01 r/egyuZd
そんなこと言ったら俺だって昔7主×真央×ピンクの3P考えてたが12発売でボツにしちまったぞ

422:名無しさん@ピンキー
10/08/18 18:40:08 7V7DNw2Y
なんで?

423:名無しさん@ピンキー
10/08/18 19:39:09 ptVFXO8t
自分の想像は大事にするべきだとおもうがなあ
それこそパワポケだから超展開が出来ると思うし
俺得な展開大歓迎だよ

だから>>452>>453の作品読んでみたい
友子と8主と武美と9主の4Pすげえ読みたい
真央とピンクとの3Pすげえ読みたい

424:名無しさん@ピンキー
10/08/18 20:57:01 OObH+dta
ここで聞いてしまうのは少しアレなのかもしれないけど…
○PのPってどういう意味なの?
ムリなら無視してもらって結構です

425:名無しさん@ピンキー
10/08/18 21:03:08 PmRr4lXe
三人プレイ=3P=三人でセックス

426:名無しさん@ピンキー
10/08/18 21:45:39 DkLnUJb4
ここは初めてか?力抜けよ

427:名無しさん@ピンキー
10/08/18 22:19:57 OObH+dta
ああそういうこと…
さんきゅ

428:名無しさん@ピンキー
10/08/18 23:02:29 roB+RlRA
まぁ、ここの作品は多人数物は少ないですけどね

429:名無しさん@ピンキー
10/08/18 23:02:55 Gme0zJtN
>>458
どういうことなの・・・

430:名無しさん@ピンキー
10/08/18 23:47:55 ptVFXO8t
>>460
10主ハーレムくらいかな?
パワポケだと2でハーレムできるけど、そもそも2の作品がすくない・・・

431:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:44:03 vJmH92ar
10裏のインタビューで俺の中の美空熱がピークに達したから投下させていただきます。
勢いで書いたからいろいろ雑かもしれないです。
※注意
・白瀬は結構でかいと思ってる人は怒るかも
・若干の尿描写あり


432:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:45:09 vJmH92ar
今日のわたしは普段よりちょっとウキウキしている。久しぶりのデートだ。
最近は色々と忙しくて、なかなか二人の時間がとれなかった。普段はちょっと固いらしい表情も自然と緩む。どんな服にしようかな。
ふと服を見渡す。…どれも露出控えめな服だ。少し落ち込む。わたしは自分の体にあまり自信がない。
背も低いし、なんというか、その、胸も…無い…。付き合ってるわたしが言うのも何だが、あの人はカッコいい。
顔がとかではなく―もちろん顔も決して悪くはないと思うけれど―中身がだ。
刃物のような鋭さと、干したての布団のような柔らかい優しさをあわせ持つ、野性味を帯びたオトナの男の魅力がある。
何となく映画に出てくる裏世界のエージェントみたいな人だなぁって感じた。
まさか本当にエージェントだとは思わなかったけど。
そんなカッコいい人と、わたしが付き合ってていいのかなぁ、ってたまに思う。

せっかくのデートなのにこんなネガティブじゃダメだ。今日は目一杯楽しもう。

そう思い、頭から負の感情を振り払った。

待ち合わせ10分前に着いた。あの人はもういた。こっちな気づいたらしく、手を振っている。
「すいません、待たせちゃいました?」
「いや、今来たばかりだよ。…あれ?その服新しいやつ?良く似合ってて可愛いよ。」
「へぇ、良くわかりましたねー。こないだ安かったんで、ミルキー通りで買ったんですよ。
本当はかわいいじゃなくて綺麗って言われたいですけどね。」
「アハハ、ごめんごめん。―じゃあ、行こうか。」
「はい!」


わたしたちは手を繋ぎながら、遊園地に向かった。久しぶりだ。そういえば前来たとき
はジェットコースターで気絶しちゃったっけ。

入園券を買って、入り口に並ぶ。しばらくすると番が回ってきた。受付の人に券を見せると、ん?としている。

「お嬢ちゃん、これね、大人用のチケットよ。中学生の人は中学生用の
チケットがあるからそっちでお願いね。」

わたしがなにも言えないでいると、隣で彼が説明していた。
受付の人がしきりに謝っている。

何を言われたかをはっきり理解できたのは、彼に手を引かれて入園した後だった。



433:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:46:05 vJmH92ar
「ごめんね美空ちゃん、何だか来て早々嫌な気分にさせちゃって。」

「いや、まったく、気にしてませんから。」

表情が固い。
間違いなく怒ってるな…どうしたものか、そうだ。

「なぁ美空ちゃん、アイス食べないか?」

「え?買ってくれるんですか?わーい!」

…それでいいのか。

「どうかしましたか?何か言いたそうな顔して。」

「いや、なんでもないよ。次はあれ乗ろうか。」

そんなこんなで、俺たちは遊園地をたっぷり楽しんだ…楽しむはずだったのだが…
こういう日に限って不幸は重なるもので、

「お嬢ちゃん、迷子かしら?」

「今日はお兄さんとデート?いいわねぇ~」

「申し訳ありませんがこちらの乗り物は十六歳以下の方はお断りさせていただいております…」

終いには

「アメあげるからこっちにおいで。」

なんてのまで、
彼女のコンプレックスを抉るような出来事が重なり、遊園地を出てご飯を食べにいく頃にはすっかりむすっとした美空ちゃんがいた。
ちなみに飴には若干惹かれていた。

「なぁ、気のせいかもしれないけれど、美空ちゃん、ものすごく不機嫌じゃないか?」

「そんなことないです!」

あぁ……



434:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:46:27 vJmH92ar
居酒屋に着いた。今日はいつもの女将さんの居酒屋とは違う店だ。
奥の方に二人で座り、注文をとる。

「じゃあ煮付けと冷奴とこれと…あと生ビール。美空ちゃんは何飲む?グレープフルーツジュース?」

「…いや、今日はわたしもお酒を飲みます。」

「えっ…えっと、ちなみに美空ちゃん、飲酒経験は?」

「馬鹿にしないでください!甘酒なら飲んだことあります!」

頭を抱えたくなった。美空ちゃんには悪いが、どう見てもお酒を飲めそうには見えない。
…まぁいいか。ここで駄目出ししたら当分機嫌を直してくれなさそうだ。―嫌な予感はするが。
「じゃあ、生二つで。」

「あのー、お客様。」

やめてくれ。あんたがなにを言いたいのかは良くわかる。わかるが、もうこれ以上美空ちゃんの機嫌を悪くさせないでくれ。

「当店では、未成年の方には飲酒をお断りさせていただいております…。」

終わった。俺の内なる願いも虚しく、店員から言葉が吐き出された。

「わ、わたしは24ですよ!」

バン!っという音と共に、美空ちゃんの怒声が響く。机を見ると、運転免許証。俺のサポートのためにこないだとったやつだ。

店員が急いで確認している。

「ももも申し訳ありませんお客様!」

「お詫びはいいですからさっさとビールと焼酎とワインと…この辺の適当に10杯ほど持って来て下さい!」


435:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:46:56 vJmH92ar
ちょっと待て。10杯だと?

「み、美空ちゃん…流石に10杯はのみす」

「何か言いましたか!?」

「いや…なんでもありません。」

どうやら覚悟するしかないようだ。けっこう頑固なとこあるからなぁ…


「まったくよってたかってわらしのころこどもあつかいして。これれもりっぱなおとなれすのに!」

目の前には髪と同じくらい顔を赤くして、もはや呂律も回ってない美空ちゃんが、今にも眠りそうに突っ伏していた。
…あ、寝た。

「すいません、お勘定お願いします。」

程なくして店員がやってくる。
さっきの店員だ。机に突っ伏している美空ちゃんを見て申し訳なさそうな顔をしている。

「ごちそうさま。」

苦笑しながら金を払う。さて…おぶって帰るか。

外に出ると思いの外寒く、もうすぐ冬なんだなぁと思っていると、背中に小さい体の震えが伝わってきた。残念ながらそれ以上のもの
―例えば、柔らかい二つの感触など―
は望むべくもなかったが。
少し急ぐか。そう思って歩を早めた。ここからなら俺の家の方が近い。



436:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:48:01 vJmH92ar
家に着き、とりあえずベッドに美空ちゃんを寝かして、風呂をいれることにした。
起きてたら一緒に入ってもよかったのに。


風呂から出てもまだ、美空ちゃんは寝ていた。穏やかにすぅすぅ寝ている。
…このところオオガミの件が忙しくてゆっくりできてなかったからなぁ。
まるで子供みたいなあどけない笑顔を見ていると、日々の危険な生活が嘘のように思えてくる。
そのほっぺたはぷにぷにして柔らかそうで、その髪の毛は絹よりもさらさらで、確かに胸は無いけれど、
美空ちゃんにも魅力はタッブリあるから普段そんなに気にしなくていいのになぁ。

そんなこと思っていると、美空ちゃんがもぞもぞし始めた。どうやら、お目覚めらしい。
「んん…あれ?ここは…?」

「俺の家だよ。寝ちゃったからおぶって来た。」

「…すいません。迷惑をかけちゃいましたね。」

「そんなことないよ。それより、大丈夫?かなりの量飲んでたけど。」

「ぅう…頭が痛いです…?!」

まぁそうだろう。水を持ってこようとして台所に行こうとした時、

「あ、あ、あの…」

「どうした?気持ち悪い?」

「いえ…そうじゃないんですけど……」

何か言いたそうな、でも躊躇している、そんな顔だ。

「あ、とりあえず水持ってくるよ。」

再び台所に向かおうとした時に、

「あの、と…トイレ借して下さい!」

ああなるほど。そういや今日は昼から一回も行って無かった気がする。
なんてのんきに考えてたが、どうやら美空ちゃんはあんまり余裕がないらしく、
急いでベッドから立ち上がって歩こうとした。



437:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:48:31 vJmH92ar
が、

「あれ…?あ、歩けない…」

数歩してがくっと崩れた。急に立ち上がったからだろう。

「大丈夫?肩借すからとりあえずトイレまで…」

「ぅぁ…今立ったら…で、出ちゃいます…」

涙目で、上目遣いで両手でスカートの上から押さえている。非常にヤバそうだ。

「ぇええ!?でも…せめてお風呂場で…ほら!」

だが、もはや手遅れだったらしく…

「ぅう…も、もうだめ…ごめんなさい…ぁああああああ…」

一瞬だった。微かな音と共に、床に液体が広がっていき、押さえていたスカートの色が濃くなっていった。
やっちゃったか…

「ゃぁああああ…み、みないで、下さい…ひっく…ふぇぇぇぇぇん!」

「だ、大丈夫だから、とりあえず風呂場に行こう!」

「うわああああん!」
ダメだ、完全にパニックに陥っている。無理もないが。仕方ない。こうなったら…

「よいしょっと!」

泣きじゃくっている美空ちゃんの体を両手で抱き抱え、風呂場に連れていく。所謂、お姫様抱っこと言うやつだ。腕が少し冷たい。
ぽた…ぽた…、と液体が腕から滴っている。

「ひっく…ぐすっ…汚いですよ…ごめんなさい…」

「そんなことないさ。」
よっぽど恥ずかしいのか顔を真っ赤に染めて、しゃくりあげながら呟いている。

「ほら、着いたよ。とりあえずシャワーで体を洗って。向こうは俺がやっとくから。」

「すいません…」

「いいからいいから。バスタオルはその辺にあるし。着替えは…とりあえず俺のシャツでも適当に着ていてくれ。下着は…一晩あれば乾くと思うから。」


438:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:48:58 vJmH92ar
雑巾とバケツを持って後始末をする。下がフローリングだったのは不幸中の幸いだ。染み込まない分、処理が格段に楽だ。
まぁ、床のことはいいとしても、美空ちゃんが心配だ。思い詰めすぎてなければいいんだけれど…。





439:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:49:21 vJmH92ar
今日は久しぶりのデートのはずだった。目一杯遊んで楽しむはずだった。なのに、やたらと子ども扱いされて、イライラしてお酒を飲みすぎて…
その結果がこれだ。

水を張ったタライの中の汚れたスカートが目に入る。
何を着ていこうかと悩んだ末に決めた服だ。
…今となっては、なんの意味もない。
わたしのしちゃったことは、子ども以下のことだ。きっと彼は幻滅しただろう。嫌われただろう。

「ぐすっ…わぁぁぁ…」

…悲しくて、情けなくて、恥ずかしくて、涙が止まらない。
すぐ帰ろう。これ以上彼に迷惑をかけちゃいけない。
…それに、わたしなんかが彼といる資格はない。もっとふさわしい人がいる。
帰ろう。






440:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:49:45 vJmH92ar
「あの…」

気付くと美空ちゃんが風呂から上がっていた。俺のだぼだぼのシャツに、バスタオルを巻いていて、妙な色気がある。
が、何とか泣き止んでいるものの、目を真っ赤にして俯いている美空ちゃんを見ると、何だかいたたまれなくなってくる。


「美空ちゃん、大丈夫?」

「…ごめんなさい、わたし、いろいろ迷惑かけちゃって…」

「いいよいいよ、お酒のせいだし仕方ないさ。」

「でも、幻滅…しましたよね。こんな年になって、その…お、おもらしなんて…ひっく
…嫌われちゃいましたよね…」

「……!いや、そんなことはない。確かにちょっとびっくりしたけど、俺はそんなことで
君を嫌いになったりはしないさ。」

「…やっぱり…あなたは、優しいです。でも、いいんです。ほ…本当のことを言ってくれて。呆れたよって。信じられないって。
わ、わたしだって、時々あなたとわたしなんかが付き合ってていいのかなって思いますもん…
こんな、背が小さくて、童顔で、色気もなくて、胸もない、子供っぽい女じゃなくて、もっとふさわしい人がいるんじゃないかな、って。
あの銀髪の女の人みたいな。…だから、が、我慢しなくてもっ、いいんです、よっ、…」

「我慢なんてしていない。」

「嘘です!」

「嘘なんかじゃないさ。」

「ひっく…嘘ですよ!」

よっぽど落ち込んでいるのか、言葉では説得できそうにない。こういう時は…

「美空ちゃん。」

名前を呼ばれる声と同時に、わたしは彼の腕の中にいた。

抱きしめられたのだと気付いたのは、しばらくしてからだった。

441:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:50:05 vJmH92ar
落ち着いてよく聞いてほしい。ショックだったのはわかる。自暴自棄になっちゃうのもわかる。辛かっただろうから。
恥ずかしかっただろうから。でも、自分を卑下するような、悲しいことは言わないでくれ。
俺は美空ちゃんのことが大好きだ。…大切な人だ。大事な人が自分で自分を傷つけるとこなんて、俺は見たくないし、してほしくない。
それに、俺は美空ちゃんしか持ってない、他の誰とも比べられない魅力をいっぱい知ってるし、そこに惹かれる。
誰にも君の代わりはできないし、俺の愛する人は君しかいない。
柔らかな髪、心地よい肌、天真爛漫で優しい心は、一緒に居るだけで俺を癒してくれる。
それに、君のおかげで、俺は1つの後悔をせずに済んだし、こうして今でも笑っていられる。
もしあの時君が居居なかったら、俺はきっと白瀬を、長年の相棒で友人を殺していただろう。
バケモノの仮面をかぶって、裏の世界に生きているって自分に言い訳して、心を殺して。
もしそうなっていたら、俺はきっと笑みを失って、一生後悔していたと思う。
君が居たから、そうならずに済んだんだ。
―君は俺の恩人だ。
だからこそ、俺は訊きたい。本当に君は俺に嫌ってほしいのか?自分の心をだまして…仮面をかぶっているんじゃないのか?」

途中から、目の前が滲んではっきりと見えなかった。堪えきれない感情が止め処無く溢れてきた。

「あ…あああああ…イヤです…絶対にイヤですよぉ……ひっく…嫌われたくありません…大好きです…!
離れたくないですよ…うわあああああああん!!」




442:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:50:35 vJmH92ar
…目が覚めたら、ベッドの中だった。どうやら泣き疲れて眠ってしまったみたいだ。
―すぐ隣に、彼が居た。添い寝してくれたらしい。
ぎゅっと抱きつくと声が返ってきた。

「おはよう。…もう、大丈夫だよな?」

「はい…落ち着きました。」

「よかった。美空ちゃんには、やっぱり笑顔が似合うからな。笑っていてほしい。」

「…ありがとうございます。…今日は、何だかスッキリしました。いっぱい泣いて、悩み事を洗いざらい出して、
そしたらとても晴れやかな気分になれました。」

「そりゃよかった。
一人で解決できなくても、二人ならどうにでもなることだって一杯ある。」

「はい…」



443:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:50:57 vJmH92ar
何分経っただろうか、
手が伸びてきた。その手はわたしの服越しに、胸を撫でてきた。



「あっ…んっ…や、やめ」

「ん…いや?」

尋ねながらも手は休めない。

「いやっ…じゃっ…ないです、けどっ、いきなり…」

「不意打ちさ。…えい。」

いきなり口づける。柔らかい門の間に舌で割って入る。最初は驚きで固まっていた門の主も、次第に応じてくれる。
ぴちゃ…くちゃ…と、卑猥な音を奏でる。

「ふう。」

名残惜しいが口を離す。美空ちゃんはもうとろん、としている。

服をはだける。明るいオレンジの下着が、彼女の持つ子どもっぽさによく似合っている。こんなこといったら怒るだろうけど。
それをずらすと、やはり顔に似合うごく控えめな胸が露になる。
全く無いわけではない。が、膨らみ、と呼ぶにはいくらか足りないそれ。俗に言う、まな板とか、ぺったんこ、とか、そんな感じだ。
…白瀬も大きくはなかったけど、これはもうひとつ…いや、もうみっつぐらい小さいよなぁ。

「相変わらずちっちゃくてかわいいよな。」

「ぅう…小さいって言わないでくださいよ…」

「誉めてるんだよ。…それに、こうやって揉んでるとそのうち大きくなるかもしれないし。」

「あんっ…そうなら、イイ…んですけど、ね…」

そう言いつつ胸を弄る。 吸って、摘まんで、揉んで…、小さくても、それでもやっぱり柔らかい胸を存分に味わう。
体積的に揉む、というよりは撫でる、と言う方が近いのかもしれないのだけれど。


444:名無しさん@ピンキー
10/08/19 00:54:01 vJmH92ar
「あっ、そっちは、だ、だめです!」

空いた手で下の方を探る。バスタオルで閉じた彼女の秘所は、もうすっかり濡れそぼっており、準備万端のようだ。
彼女も気づいていたみたいで、顔を真っ赤に染めている。
カワイイ。ちょっといじめたくなる。いじめよう。うんそれがイイ。

「もうびしょびしょになってる。…美空ちゃんって、結構いやらしいよね。」

「ひゃっ、ちがいますっ…いやらしくなんかっ…」

「あれ、違うの?じゃあ、何でこんなにぐしょ濡れなのかな?…もしかして…またやっちゃった、とか?」

さっきの恥体を思い出したのだろう。恥ずかしさに震える体。だが揺れない胸。

「…!?や、やってませんよ!」

「ホントにぃ~?じゃあ、これはなんなのかなぁ?」

一掬い、蜜を彼女に見せる。

「ぅうう…」

「答えたくない?やっぱり…」

「…ちがいます!わかりましたよ…い、いやらしいわたしが、気持ちよすぎて、いっぱいだしちゃった…いやらしいお汁です!
…ひっく…ひどいですよ…さっき…泣かないで欲しいって言ってたのに…」
ああ、ちょっとやり過ぎたかもしれない。

「ごめんごめん、泣かないで、ほら。」

「…ひっく…誰のせいだと…ぐす…思ってるんですか…」

「ごめん。ごめんのおわびに…えいっ!」


445:怪盗の休日
10/08/19 00:54:55 vJmH92ar
バスタオルをといて、無防備にさらけ出された彼女の秘所をじっくりと見る。
そこには一本の毛もなく、ぴっとひかれた一本の筋が、僅かに開き、蜜を溢れさせていた。

「あんまり見ないでくださいよぅ…恥ずかしいです…ひゃぁあっ!?」

コンプレックスなのだろう。いいと思うんだがなぁ。ぴちゃっと一舐め。いい反応。

「綺麗だよ。つるつるしてて、余計なものが何もない。」

「気にしてるんですから…」

「いや、これは正真正銘の誉め言葉だ。…もういいよな?」

「はい…」

「いくぞ…」

ズプ…と挿入していく。片手の指に余る程度は経験しているのだが、相変わらずかなりキツい。やはり体が小さいからなのか。
それでも、初めての時に比べれば、大分慣れては来ている。

散々弄ったせいか、彼女はすでに辛そうだが、実は俺も同じたった。

久しぶりと言うこともあって、溜まってるのもある。だが、ここで我慢しなければ男の名が廃る。
何とか堪えて、壁に擦り付けるように出し入れを繰り返す。が、お互いもうあまり我慢は効かないようで、

「ぁあっ…わた…わたしっ…もう…」

「ああ…!俺もだ…」

腰を入れて、よりいっそう深く突いた。

「あっ…あっ…もう…だめっ…ぁあああああ!」

「くっ…いくぞ…美空ちゃん…!美空…!」


俺と美空ちゃんはほぼ同時にピークに達した。
久しぶりの愛する器に、白い奔流をたっぷりと注ぎ込む。
それも止み、とてつもない疲労に襲われた俺の意識は、落ちていった。




446:怪盗の休日
10/08/19 00:55:15 vJmH92ar
目を覚ます。時計を見ると、朝の9時。隣には、あどけない顔で眠る美空ちゃん。
お互いそのまま寝てしまったらしい。
しばらくその寝顔を眺める。それだけで、俺の心は洗われるようだ。
不安定な生活、危険と隣り合わせな毎日だが、絶対に生き延びてやろう。また幸せなひとときを味わうために。
この子を悲しませないために。

名残惜しいが、起こさなければいけない。

「美空ちゃん、起きて。」

ふにゃ…と目を擦る美空ちゃん。ああもういちいちカワイイ。抱き締めたい。

「そのまま寝ちゃったからさ…とりあえずシャワー浴びないと。あ、一緒に入ろうか?」

起床早々、彼女の顔は朱に染まった。


447:怪盗の休日
10/08/19 00:58:06 vJmH92ar
以上です。タイトル入れ忘れてた。
パワポケで1番好きな彼女はって言われたら迷わず白瀬なんだけど、
二番目って言われたら春香、朱里、美空、秋生、ピンク、あたりですごく悩む。

448:名無しさん@ピンキー
10/08/19 02:16:23 H1zNm5Yb
GJ
美空かわいいよ
強がってる所と弱気な所の差がたまらんかった

449:名無しさん@ピンキー
10/08/19 13:42:22 i11Nm8aQ
URLリンク(www.pixiv.net)

ワロタwwww

450:名無しさん@ピンキー
10/08/19 14:08:58 BUdIsFQo
いちいち外部のサイト引っ張ってくる奴なんなの?

451:名無しさん@ピンキー
10/08/19 14:47:13 DlnWiZQk
そんな事より13の情報はまだかね。あと>>479乙です

452:名無しさん@ピンキー
10/08/19 15:12:51 H1zNm5Yb
>>483
9月ごろかな?
いつもそんなもんだし

453:名無しさん@ピンキー
10/08/19 16:46:32 xbwZyfIe
>>479
GJ!
本当に、ありがとうございました。

454:名無しさん@ピンキー
10/08/19 21:57:55 XluddS2W
>>481
GJ!!!

>>482
プラゴミさんのやることにケチつけんじょねーよ!!!!

455:名無しさん@ピンキー
10/08/19 22:03:11 H1zNm5Yb
>>486
プラゴミの絵じゃないよ?

456:名無しさん@ピンキー
10/08/19 22:09:03 XluddS2W
>>487
プラゴミさんが転載したんだろ
そんなことくらいわかってるから

457:名無しさん@ピンキー
10/08/19 22:10:17 BUdIsFQo
ふたなりにするなら誰がいいだろうか。やはりカズあたりか…

458:名無しさん@ピンキー
10/08/19 23:29:21 DlnWiZQk
サイボーグの女の子とかでもいいじゃないかな

459:名無しさん@ピンキー
10/08/19 23:46:31 k/r1bpXB
人造人間が作れるあの世界ならチンコの一本や二本ぐらい普通に生やせそうだよな

460:名無しさん@ピンキー
10/08/19 23:56:00 xbwZyfIe
ふたなりパワポケ君・・・(ボソリ

461:名無しさん@ピンキー
10/08/20 00:59:19 y/iHTUJ9
女体化したパワポケ君を犯すふたなり彼女と申したか

462:名無しさん@ピンキー
10/08/20 01:04:12 LIXLurgE
女体化するなんて勿体ない

463:名無しさん@ピンキー
10/08/20 07:10:43 gm9Emtx+
ここは変態の多いインターネッツですね

464:名無しさん@ピンキー
10/08/20 07:11:37 frW/IeAl
女体化10主×11主(逆も可)

465:名無しさん@ピンキー
10/08/20 10:12:34 tDzLkWlm
彼女候補の何人かがアレなだけに11主なら女体化でも普通に受け入れられる自分がいる…

466:名無しさん@ピンキー
10/08/20 15:52:57 /QhvFgcx
なんか最近ageてばっかりの基地外が居ない?
言ってる事も幼稚だし少し節度を持って書き込んでくれや

467:名無しさん@ピンキー
10/08/20 17:04:04 LIXLurgE
>>498
過去ログ読んで……シコれ(棒読み)

468:名無しさん@ピンキー
10/08/20 17:40:49 zti98I2N
>>498
気持ちはわからんでもないが、それはきっと「あれ」だから触れたらダメだぜ。

469:名無しさん@ピンキー
10/08/20 20:22:31 rjPAXDqC
エレキトリカルビームですね

470:名無しさん@ピンキー
10/08/20 22:49:56 FxJZgfjG
ポタの女主人公はびっくりするほど可愛かったからアリだな

471:名無しさん@ピンキー
10/08/20 22:58:01 b7H4G15y
プラゴミさん…さらの新作絵あるいはSSはまだでしょうか?
みんなあなたのことを首を長くして待っていますよ?

472:名無しさん@ピンキー
10/08/20 23:16:08 Okwn1Bb/
ときメモのガールズサイドみたいなもんだと考えれば、すべてに合点がいく

473:名無しさん@ピンキー
10/08/21 00:31:12 1qvEghi7
俺もプラゴミさんの新作を待っている
工場でのアルバイトは忙しいでしょうが…ぜひ書いてください!
それとあの女の子はやめたほうがいいですよw

474:名無しさん@ピンキー
10/08/21 12:00:39 ZLK3zVIP
11主が純で性格◎だから、性別反転してもかわいいだろうね。普通に彼女候補でも違和感なし。魔人がいるしそういう設定もおもしろそうだなー
11彼女候補も性別反転しても普通に想像できるwとりあえずstk涼子×11主はえろで

475:名無しさん@ピンキー
10/08/21 14:44:21 BHdU6vPB
歴代1強くて大人なのが8主
歴代1下半身なのが6主
歴代1優しいのが11主
歴代1馬鹿なのが10主
歴代1リア充なのが7主
歴代1可愛いのが5主
8主なんて
「そりゃあ、クリスマスといったらホテルでしょう!」
「え?いきなり?」←8主
…この時点でこれまでの天然鈍感主人公とは何かが違うと思った。

476:名無しさん@ピンキー
10/08/21 14:46:52 810QXm/H
このスレにはプラゴミさんが不足している
はやくさらの作品を……

477:名無しさん@ピンキー
10/08/21 15:21:10 UPR/FbwY
タマちゃんとの絡みがアホ可愛い5主もいいと思う

478:名無しさん@ピンキー
10/08/21 15:41:08 pXLmR37i
>>507
6と10wwwww
ついでに不運なのは12主かな。大学の経済学部出てて内定してた会社が倒産って泣いていいと思う。

479:名無しさん@ピンキー
10/08/21 16:45:09 5FV5riso
>>506
涼子は性別反転させると笑えない罠が…女同士なら風呂にも侵入するようになるだろうけど…

>>507
後は歴代1ナイスガイなのは9主、歴代1周りが幽霊だらけなのは4主ってところか…

480:名無しさん@ピンキー
10/08/21 16:49:06 mFF6Yaoh
>>507
最後に
「寝る前に靴下を下げておかないと」って発言する奴だからなww
歴代1平凡な2主(他に比べるとストーリーが大人しく見える)
歴代1いじくりやすい4主(神隠しで、別世界へ的なネタを)
実は歴代の裏主って神隠しされた4主だったりして(6、ダッシュは無論除く)

481:名無しさん@ピンキー
10/08/21 18:33:55 BHdU6vPB
9主はあれで働きさえすれば完璧なんだけどなぁ。

>>512 あれって絶対
「クリスマスにホテル」の意味把握した上でからかってるよね。

482:名無しさん@ピンキー
10/08/21 22:19:28 BHdU6vPB
>>510 12主は得体の知れない雰囲気がある。
運動神経がよくは無かった割りに銃の扱いがやたらうまかったり、
妙に機転が利いてたり、あまつさえ
「僕の部下にはどこか壊れてる奴しか居ない、2流は居ない」
ジオットにスカウトされてる。

483:名無しさん@ピンキー
10/08/21 22:49:16 4K9lJog2
のび太然り、運動神経と銃の扱いは関係ないでしょ

484:名無しさん@ピンキー
10/08/21 23:04:43 mFF6Yaoh
一芸特化か・・・でも凄いのに変わりないがな

485:名無しさん@ピンキー
10/08/21 23:23:02 rtGhUrOg
>>512
2主は歴代1女ったらしじゃないか?
ハーレムエンドがあるし

486:名無しさん@ピンキー
10/08/21 23:53:38 UPR/FbwY
ハーレムは3の主人公じゃかったっけ?

487:名無しさん@ピンキー
10/08/22 00:02:24 OqGKvP5s
いいえ2です

488:名無しさん@ピンキー
10/08/22 00:35:24 RGuFjHLu
>>511 涼子だからこそえろが映えそうかなと。涼子は男じゃなくても11主が女なら襲いそうだ
歴代一優しいのに3Pイベントとか これがノーマルだったらよかったのに ノーマルだったら柿元兄弟とか?
いずれにしても1・3主や12主とは違ったかわいそさだ、好きな主人公だけど。

8主や9主はエロでもかっこいい。
どーでもいいが性別反転で戦国ランス思い出した


489:名無しさん@ピンキー
10/08/22 14:03:26 KrPWo9oh
涼子×女体化11主ねぇ…

魔神の気まぐれで女の子にされた挙句相も変わらずスト…もとい追っかけの一環として覗きをしていた涼子に11主が食べられちゃうのかw

490:名無しさん@ピンキー
10/08/23 18:42:14 tTBueK/7
何その神設定。と実は11のヒロインの中で涼子が1番好きな自分が言ってみる


491:名無しさん@ピンキー
10/08/23 19:15:33 uwE6BV+2
朱里、しのぶ、ときてその次かなぁ

492:名無しさん@ピンキー
10/08/23 21:56:21 UHWfffa+
日出子とカノンは俺の中で最下位争いだな。
その上にナマーズパークの緑髪お姉さんがいたりするわけだけどよ

493:名無しさん@ピンキー
10/08/23 22:01:22 tEdiiI+v
ナマーズパークのお姉さんは個人的にかなりツボ

494:名無しさん@ピンキー
10/08/23 22:10:58 NQHh0A+6
11主女体化で涼子性別反転・・・こういいうことか?



 死んだ兄の意思をついで男装して女性でありながらプロ野球選手になった11主

兄の念願だったナマーズを優勝させるべく男に負けないように努力するが

ナマーズの内情を嗅ぎ回っていた翼(北条息子)にそのことがばれてしまい

言う事を聞かなければ正体をばらすと脅されてしまう。

 そして翼の部屋に呼び出された11主はひたすら胸をもまれ、いよいよ本番に

移行しようとしたその時、同じく11主の正体に気づいていたストーカーの涼子が

助けに来る話ですね! 


どこかで聞いた事があるような?

495:名無しさん@ピンキー
10/08/24 01:05:19 8uit7fcv
むしろ魔人のきまぐれで女にされて、入浴中に忍び込まれて
「女の悦びは女の方がよく知っているんですよ…一緒に気もちよく…」
とか      

496:名無しさん@ピンキー
10/08/24 03:50:31 BAXyei3q
>>526の11主が男装っ娘って設定に異常なまでの萌えを感じた。
野球は頭が良くなきゃ~って台詞もパワーで男に勝てないことへの強がりだと認識すれば…うん、可愛いな。

そして>>527の考えてる設定が自分と全く同じで吹いてしまったww


497:名無しさん@ピンキー
10/08/24 14:03:04 xru5lLir
…某会員制イラスト投稿サイトに11主を(女体化はしてないけど)やたら可愛く書いてる絵師が居ることは黙っておくべきか…

498:名無しさん@ピンキー
10/08/24 14:27:52 vt6kcjpn
>>529
涼子ホイホイってタグがついてそうだな

499:名無しさん@ピンキー
10/08/24 18:29:57 6vwAcuTn
>>529
むしろここにいる奴であの人を知らん奴がどれくらいいるんだろう

500:名無しさん@ピンキー
10/08/24 18:33:02 8uit7fcv
5主か11主が一番可愛いよな。若いし

501:名無しさん@ピンキー
10/08/24 21:36:05 8nElR5+Q
大人になるほど可愛くなるマジックってどんだけw

まとめ掲示板のなっちゃん作品ナイスデース!

502:名無しさん@ピンキー
10/08/24 22:38:08 N+i8VeKb
確かに5主は可愛かったな
そして8主はカッコ良すぎ
9主ェ……

503:名無しさん@ピンキー
10/08/24 23:23:52 vt6kcjpn
>>534
9主はほら、あれだよ
ヒモカッコイイってやつだよ

504:名無しさん@ピンキー
10/08/24 23:47:56 qNkDYZsU
9主はダサかっこいいと俺は思ってる

505:名無しさん@ピンキー
10/08/24 23:50:01 NnUzTp85
スタッフ曰くカッコイイ所とマヌケな所を持つ男って
設定をあらかじめ決めていたらしいね。

506:名無しさん@ピンキー
10/08/25 09:57:01 7VrMzh+c
流れを切るようで悪いが涼子×女体化11主の小説は来ないのか。
なんか涼子×女体化11主の話を聞いただけでワクワクが止まらないんだが。

507:名無しさん@ピンキー
10/08/25 10:15:14 Zm44Pt7L
お前が書くのを待ってんだよ
言わせんな恥ずかしい

508:名無しさん@ピンキー
10/08/25 13:36:56 iidxRD+e
主人公じゃなしに鋼あたりなら女体化で構想を練ったことがあるんだけどな

509:名無しさん@ピンキー
10/08/25 14:09:13 NE4TbtP0
最近プラゴミさんがこなくて寂しい…

510:名無しさん@ピンキー
10/08/25 18:17:10 zqoM7OAg
ふ、ふんだ!
別に書くの待ってなんかないんだもんっ!


いざツンツンしてみると恥ずかしいな・・・

511:名無しさん@ピンキー
10/08/25 20:35:57 iSE3Gb20
>>532
ダッ主「……………お、俺は若い主人公じゃないの!?」

512:名無しさん@ピンキー
10/08/25 21:00:32 ipG/cpRz
5主は28歳だけどな

513:名無しさん@ピンキー
10/08/25 22:14:02 qc8mCL7n
>>543
君は子供の皮を被った大人だから・・・

514:名無しさん@ピンキー
10/08/25 22:33:32 ct55nB/N
>>543
この年上キラーめ!

515:名無しさん@ピンキー
10/08/26 00:24:25 8Kt0C4xr
一般人な彼女キャラとの結婚EDで、一番年齢差があるのって誰になるんだろう…
やっぱ典子…?

516:名無しさん@ピンキー
10/08/26 00:26:33 nMxDXC4z
>>547
日出子さん・・・

517:名無しさん@ピンキー
10/08/26 12:53:08 rOIpZ2Mi
熟女の魅力なようこ先生よ

518:名無しさん@ピンキー
10/08/26 23:17:55 /nDb1LL4
案外、雅美さんって40過ぎてたりしてな。





パワポケ1とパワプロ5が繋がっているなら、のりかのペニバンで早川の処女が・・・なんでもない。今すぐ忘れてくれ

519:名無しさん@ピンキー
10/08/26 23:28:44 XJrergrm
>>550
プロフィールに30才って書いてある

520:名無しさん@ピンキー
10/08/26 23:31:27 /nDb1LL4
>>531
すまん、見落としてた。情けねぇな俺

521:名無しさん@ピンキー
10/08/27 00:34:33 ne73yppY
>>547
そんなののりk…

いや何でもない…

522:名無しさん@ピンキー
10/08/27 23:10:53 aYLkTY46
ついにパワポケの薄い本か…胸が熱くなるな

523:名無しさん@ピンキー
10/08/27 23:16:38 4jXPz/zZ
どういうことだ!

524:名無しさん@ピンキー
10/08/27 23:21:46 gSgA5n4+
>>554
水原「(ピクッ」

525:名無しさん@ピンキー
10/08/28 00:17:21 yylOK04J
お前の髪じゃねーよww

526:名無しさん@ピンキー
10/08/28 00:20:30 Hl6vAT1f
どこぞのブログでサラの同人書くー、とか言ってたような

527:名無しさん@ピンキー
10/08/28 17:00:00 Hl6vAT1f
今調べてみたら、それぞれ別の企画だったのな
>>558の俺のミスだ。すまん

528:wikiの”管理”人 ◆oGztAG52Yc
10/08/28 17:19:10 mTzGGSwH
まとめwikiの掲示板に投下された、「S.N」さんの作品を保管しました
タイトル「不安」
登場キャラ:神田奈津姫
URLリンク(wiki.livedoor.jp)

以上、代理告知でした

529:名無しさん@ピンキー
10/08/28 22:06:53 BWfZ477S
乙れす!

某フリゲの影響でグロ描写ばかりの展開しか浮かばない…w

530:名無しさん@ピンキー
10/08/29 00:49:16 rvApNGJe
プラゴミさんのさらの作品が楽しみです。というかバイト先で仲いい子が
パワポケ10の事知っててさらのバッドがトラウマになってるのが一緒で
びっくりした・・

531:名無しさん@ピンキー
10/08/29 01:57:18 zPXYfj+B
10は結構売れたからねぇ。10万ちょいだっけ? 俺の回りにも結構「10から始めた」って人が多かった。

532:名無しさん@ピンキー
10/08/29 02:05:40 R+xr7r5j
10と11は野球と3D押しとWBCで28万~29万を記録してるよ。
売れていないとよく言われる12や8や1・2ですら12~13万ね。

ダッシュだけは例外で2万ちょいらしいが……まぁ子ども向けアピールとカードのみって売り方が悪かったな

533:名無しさん@ピンキー
10/08/29 08:53:14 Uhf92Dvb
だがダッシュはやって損はないと言い切れる濃ゆさ

534:名無しさん@ピンキー
10/08/29 10:31:09 +quScqzG
8も12もかなりおもしろいのになぁ…

535:名無しさん@ピンキー
10/08/29 10:33:44 488BfNlB
でも8は野球システムが残念すぎた・・・。

536:名無しさん@ピンキー
10/08/29 13:46:14 i193DmuA
釣られてんじゃねーよ

537:名無しさん@ピンキー
10/08/29 18:47:59 jn+6ZDzk
俺の趣味は釣りなんだ
しかし今日は5時間粘ったけどボウズだった

538:名無しさん@ピンキー
10/08/29 20:11:14 SmwwkiPH
>>569
誰も話しかけてこなかったんですね

539:名無しさん@ピンキー
10/08/29 21:13:15 +quScqzG
河川敷で座ってたらロリ巨乳と同棲できるらしいよ。

540:名無しさん@ピンキー
10/08/29 21:13:36 +quScqzG
河川敷で座ってたらロリ巨乳と同棲できるらしい。

541:名無しさん@ピンキー
10/08/29 21:21:10 UBvKMIlw
12の裏サクセスって微妙だな

542:名無しさん@ピンキー
10/08/29 23:18:52 Uhf92Dvb
>>572>>571


543:名無しさん@ピンキー
10/08/30 00:32:37 Ukh8qSBC
>>573
キャラとお話はいいんだけど、いかんせん敵が強すぎた感じ。

544:名無しさん@ピンキー
10/08/30 00:38:59 LZLFQSmS
そうか?個人的には5と1、2を争う面白さだったけどな。


545:名無しさん@ピンキー
10/08/30 08:06:56 22IqUagv
スレリンク(eroparo板:143番)-153
糞作者売名行為の瞬間
同じトリップで違うスレでSS投下するなんて・・・ぶっちゃけ非常識な振る舞いなんだがwwww
あーあ、何でこんな糞が職人扱いされてるのやら・・・

546:名無しさん@ピンキー
10/08/30 08:07:56 22IqUagv
↑こんなことしてる暇があるならこのスレでSS書けっての
byポケは9以降しか認めない男

547:名無しさん@ピンキー
10/08/30 11:02:18 owAI3ncT
よし、久々に詩乃の「私も愛しとーよ」で吐血してくるか(○^^)

548:名無しさん@ピンキー
10/08/30 12:34:05 AdNE+TGD
やっぱ詩乃はカワイイよな

549:名無しさん@ピンキー
10/08/30 12:48:15 qi2it5df
でも最初の選択間違えたら失敗するんだよな
6からパワポケ初めてすぐに惚れたけど攻略できず悩んだ

550:名無しさん@ピンキー
10/08/30 18:19:18 rdR/TDwq
>>576
クエストの条件が厳しいのもあるな
できる限り全員仲間にする俺には大変だった

考えてみるとクエストバグって救済措置みたいな物だな
これ無しでは相当厳しい

551:名無しさん@ピンキー
10/08/30 19:29:01 LZLFQSmS
でも裏最強はぶっちぎりで12主だろう。
射撃、鷹の目、高速装填、冷静、強靱+MPドゥームズデイ。
もしくは
剣、二刀流、炎の扱い、錬金術+フレイムイーター二刀。 

552:名無しさん@ピンキー
10/08/30 23:07:21 Pu59hWoc
規制中だからこっちに書かせてもらいたい
つか運営死ねよクソが

命を軽々と奪うパワポケにはこんな死に様があってもいいと思うんだ
URLリンク(imepita.jp)

553:名無しさん@ピンキー
10/08/30 23:11:42 IphnxUll
>>583
土台が違うのに最強とかFFとドラクエで最強を比べるようなもんだぞ

554:名無しさん@ピンキー
10/08/30 23:13:40 tZlzbruS
imepita厨死ね

555:名無しさん@ピンキー
10/08/31 00:34:03 T9WF8A2e
八つ当たりとかだらしねえな。
そこは許容の心だろ?

556:名無しさん@ピンキー
10/08/31 00:44:21 OmVLYtm2
>>585
その前にここはエロの妄想を競うスレなんだが・・・

557:名無しさん@ピンキー
10/08/31 01:14:59 vI9yyOmb
真央ちゃんの頭撫で撫でしたい胸を揉みしだきたい
それ以上の事は恥ずかしくてここには書けん!

558:名無しさん@ピンキー
10/08/31 08:01:58 Ld5x7wTm
>>587
ここはニコニコじゃありませんよ^ ^

559:名無しさん@ピンキー
10/08/31 21:24:14 rjfwBA0f
エロじゃないけど妄想を上げてもいいかな?

560:名無しさん@ピンキー
10/08/31 21:49:58 hfsGVW7u
>>591
どうぞー

561:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:17:44 pYZtdwuD
まず言い訳ですが創作に行き詰ってしまい、
この方向性でいいのかと悩んでいるのであげてみることにしました。
かなりおかしな事になっているのでご注意下さい。


「野球の試合ですか…」
パソコンが載った机が均等に並んでいるオフィスの中でも一際大きなデスクの前でそう質問した。
机の主は蛍光灯が太陽の代わりであるこの部屋でも遮光度の高そうな黒いサングラスを掛けている。
瞳孔が開いてることは間違いなさそうだが、それ以上のことは口から説明して貰わないと分からない。
両手をポケットの辺りに落ち着かせ指令を待った。
「公式試合ではないがな。 移動日を挟んだ後、阪神甲子園球場にて開催されるオールスター第一戦目だ」
オールスターとは羽振りの良い話だが野球には興味がない。俺にはチケットが勿体無い話だ。それに気になる点もある。
「オールスターの観戦に空きなんてあるんですか?だって年に一度のお祭りじゃないですか」
「ある、それを示すのがこれだ」
デスクの上を滑ってきた紙束を手に取り目を通す。ざっと見ただけでも1枚目の数字と2枚目の数字にはかなりの開きがある。
1枚目の数字は50万を超える数字がいくつかありあわや7桁に届くかという数も見受けられるが、2枚目は最高値が50万を割っている。
他の太字も20万をはみ出る程度だ。平均値や総和に直すと差は2倍は下らないかもしれない。 
「選手選出の投票数は年々減少傾向にある。
 海外への流出もあるが現状のオールスターは選手間での馴れ合いの場だ。それが見破られているのかもしれないな」
灰原隊長の意見と似たようなものをどこかのニュースソースで見かけた覚えがある。
確か携帯電話やインターネットの普及は選手同士でのコミュニュケーションを促したが、同時に敵としての意識も取り払ってしまったという論調だった。
ただ、彼等は戦いのプロだ。フィールドに立てば敵も味方も関係無いとは思うが。
「でも俺一人が観戦に行ったところでさくらにはなれないと思いますけど…」
ビールでも飲んでやればらしくなるだろうか。
「一人ではない、20名の捜査官が各自ペアを組んでの観戦だ。分かるな」
「……了解です」
つまりはそういうことなのだろう。始球式か商品の贈呈時か、目立つようなことはしないはずだ。
「ペアはこの2日の内に決め、決まり次第報告だ。忘れるな」
「あ、ちょっと待ってください」
「どうした?」
「席の指定を頼みたいんですけど」

562:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:18:31 pYZtdwuD
「で…なんでこんなところを希望したわけ?」
夏至を1月程すぎたためか、目の前の緑の芝生とその向こうにある黒土の景色には太陽の光とナイターの照明が入り混じっている。
17:00にもなっていないため暗くなるにはまだ早いが、それでも陽は少しづつ翳ってきているのでライトを点けているのだろう。
首を左に動かすとファールポールが目の前を通過し内野席と外野席の狭間にあるアルプスタンドが見えてきた。
なんでも1929年の中学野球の折に、席に陣取っていた観衆の白いシャツが万年雪のように見えたことから付けられた名称らしい。
確かにこうして見ると山のように高い座席群だ。
「聞いてますか~?」
そう思っていたところ後ろから女の声が聞こえてきた。声の主は今回余り物同士でペアを組んだ白瀬 芙喜子その人だろう。
言葉を返すためフェンスのラバー部分を掴む手はそのままで首だけ振り向かせて言葉を返した。
「バックネットも内野席もグラウンドを高い網で阻んでるけど、ここはスッキリしてるだろ」
射撃をするにしてもグラウンドに乱入するにしても障害物の無いここが最適だ。
後ろの席の段は山脈のように高く、その山肌には観客が各球団の色をあしらったメガホンを両手にプレイボールを待ちわびている。
色彩がバラバラなのはオールスターだからだろう、今日はホームチームのファンに気を使ってビジター応援席へと逃げる必要はない。
「はぁ~…金曜の夜にわざわざ兵庫まで出張して、こんな冴えない男とこんな衆人監視のもとこんな視聴形態として駄目駄目な手段で
 18人のおっさん達を見続けるなんてホント最悪!」
「頼むから言葉に気をつけてくれ」
周りに大勢いる観客を怒らせることになってしまう。
「大丈夫よ、凄いうるさいじゃない。私達が喋ったところで周りに聞こえやしないわよ」
「だからこそだろ?何かあってからじゃ遅いんだ。スポンサーが変わったことで式典の進行に何か変化や遅延が出てくる。
 彼等が行動を起こすとしたらそこしかない」
そう言ってから左側に置いたボストンバックから6倍率の双眼鏡を手に取った。それを目の前に持っていきマウンド付近に視線を拡大する。
見えてきた景色は内野のダイヤモンドを駆け回る選手達だ。視線を二塁から右に移すと27.431mの隙間を抜かせまいと人が懸命にグラブを伸ばしている。
ショートの選手だろう。守備においては足と肩と反射神経という全てに優れていなければならない大役だ。
彼が纏っている服の色はホッパーズのホームユニフォームである赤と白のツートンになっている。
「彼等って誰よ?」
双眼鏡をバッグに入れ、代わりに外側についたポケットからパンフレットを取り出し広げてみる。
ビジターチームの守備練習の後はホームランダービーとスケジュールには記されていた。
アナログの腕時計を見てみると二つの針は16:45を示している。まだホームのノックが始まったばかりなのでパンフレットは畳んでおいた。
「聞いてる?」
「…さぁ、車工場に解雇された日雇い労働者かもしれないし、誤審問題を上げつらわれた審判員かもしれない。
 NPBと関係の深い人物も考えられるね。栄養費問題とかは沈静化したけど選手指名におけるブローカーの存在は高野連も認めたがらないだろ?
 あれ怪しいと思うんだ。金田正一が小池秀郎の指名交渉に行った時も元海軍参謀が」
「ストーップ!ポールに登ろうとするな!」
「大丈夫、一応は右利きだし」
弾薬の射出角を考慮してライトスタンドをとってくれるよう隊長には頼んでおいた。
その通りになったのはさすがというべきか何というべきか。
「上まで登ったら見えないって皆から空き缶ぶつけられるわよ。それでもいいのね?」
掴まれた右腕を振り払ってから反論した。
「でも47808だぞ。なるべく高いところから見渡したほうがいいんじゃないか」
まず満員と見て良いだろう。隊長の読みは外れ、監視に払う労力もとてつもないがこれはこれで良いことだ。
エンターティメントを守る為にも監視カメラは多いほうが良い。
「…あのね、後ろの大勢の観客達の観戦を邪魔しちゃうのよ。それぐらいは計算できるわよね」
「…かもな」
「それに『20人の捜査官で5万人を監視しろ!』なんてこと隊長が命令するわけ無いよ。あんたの考えすぎ~」
「何言ってんだよ、47788人だろ」
「いいから黙りなさい、そんなことは有り得ないから」

563:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:19:45 pYZtdwuD
「そうか?皆がフル出動してこの球場に10個の監視線を張ってるんだぞ。こんなの絶対に何かあってのことじゃないか」
上から見れば10個の直線が球場中心目掛けて交差し20個の平方体に分割しているといったところだ。
皆の配備位置はレフトのポールやネット裏、ファールスタンドなど。
スタンドの上と下を2人で監視する点を線とし、それが左右対称の監視位置となるように組まれているとのことだ。
「隊長からそう言われたの?」
言われてはいないが防諜のためには味方にも真相を話さないのがセオリーだ。
「そういうわけじゃないけど、最悪のケースは想像しておくべきだろ。
 君はスタンドの上の方の監視を頼むよ。広告看板の隙間からゴルゴ13が出てくるかもしれないし」
「ナイナイ、それこそ有り得ないから。だって周りに見張られてる中でどうやってM16を持ち出すのよ。
 スミス&ウェッソンの10㎜×22mmだとしても…」
そう言って白瀬は腰に手を当て銃を取り出す素振りをして見せた。その後は片目を瞑りながらマウンドへと仮想の銃口を向ける。
「1回表、0.254mのマウンドに立っている1.86mの大神博之をファールポールの影から狙撃、フェンスラバーの高さは1.9m」
その距離はおおよそ85.222763364506247993480305101792mだ。と、甲子園を見たピタゴラスが教えてくれた。
「浜風も吹くし最終的なジュールは9mmパラベラムに格下げね、ボウリングで14ポンドの球投げつけるのと一緒」
俺が距離を測っている間に白瀬は弾薬の発射モデルを組み立てたらしい。
彼女の証明を疑うわけではないが少し気になる点があったので質問をしてみた。
「じゃあ人を殺すには十分だろ。貫通力は弾頭の方があるし、殺傷力はブラックタロンが一番だって…」
「それを当てる保証ができないって言ってるの。突風率も考えると私でも頭吹っ飛ばせる自信ない。
 一般人なんて7ヤードでも3発に1回しか当てられない下手糞なんだから、そんなことしようとは思わないわよ」
隊長によると腕の良い狙撃手なら突撃用のアサルトライフルでも300m先の頭を撃つことが出来るそうだ。
ただアサルトライフルは目立つから使えない、白瀬の言わんとすることは俺に対しての反証だろう。
「じゃあレーザーポインターはどうだ。あれは下手に目に入ったら失明するし、選手が狙われたことも何度かあったし」
「うん、光ならイタズラで済むもんね。でもそんなことのために私達が呼ばれたなんて考えられないよ。
 球場での安全管理は警備員の仕事でしょ」
白瀬の意見は筋が通ってるような気もするがそれで納得するわけにはいかない。
「だったらこれは何なんだよ」
「そうね…慰安旅行でもないし、何しに来たのかしらね?デートにでもしとく?」
いつものからかい気味の笑顔と口調でなじってきた。ただ、最近はこいつの扱い方もなんとなくだが分りつつはある。
「そう言ったからには責任持てよな」
「うん、持つ持つ。その代わり代金は全部アンタ持ちだからね」
目を逸らし後ろの外野席を仰ぎ見るようにして首を上げた。目に入ったのは肩から飲料をぶら下げ階段を下りてくる売り子の姿だ。
「……すいませーん!生一つとオレンジジュースで!」
「言っとくけどそれアンタが処理してよね」
階段を降り売り子が近づいてきたが、飲料を手渡される前に訂正をしておいた。
「すいませんやっぱりコーラとオレンジで」
ボックスの中には氷と供に色鮮やかな飲料が幾つか目に入った。
売り子は沢山のペットボトルの中から黒っぽい液体とオレンジ色の液体を取り出し白瀬に手渡した。
「それでよし。 はいオレンジジュース」

564:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:20:40 pYZtdwuD
本当はコーラが飲みたかったのだが、それを言うのも癪だと思いポケットから460円を取り出してオレンジジュースと交換した。
それにしてもとんでもないボッタクリだ。コーラの元になるシロップ、つまり原液のことだがこれは読んで字のごとくコーラの味の素だ。
1ガロン(3.78ℓ)当たり4ドル25セントで取引されているこれを、コップに9セント分いれ、上から400mlの炭酸水を注ぐことでコーラのMサイズが完成する。
言ってみれば俺が今持っているコーラは本来は9円にも満たない商品というわけだ。
ただ、この換算は小売業者、つまりマクドナルドなどにシロップを卸す場合の原価になり、自社でボトリングをするのであれば原価は更に下がる。
平成7年時に迫る今の円高の影響も考慮すれば、5円玉を真っ二つにしてしまうぐらいの元値だろう。
残りの22x/230がさっきの売り子のアルバイトにどれぐらい払われるかは定かではない。
兵庫府の1時間当たりにおける最低労働賃金は721円だが甲子園の売り子のバイトは完全歩合制らしく、どれだけボトルを捌けたかがその人の給料になる。
運輸や包装の賃金を引いてみても利益は200円は残るはずだ。売り子の取り分が100円とすれば7本を売った時点で時給は最低賃金に迫る700円になる。
だが末端が50%もリベートを貰える筈は無い。とんでもないボッタクリをされているのは俺もさっきの子も同じなのかも。
「…! ぶっ!」
「うわ、汚っ」
コーラのことを考えていたためかオレンジジュースを飲み込んだことに気管支が驚いてしまった。
闇鍋と同じだ、蛇や蛙といった俗に言うゲテモノでも暗闇なら普通にイケる。だが明るい場所では視覚による先入観が味覚に影響を与えてしまう。
オレンジとコーラの発想は危険だった。バニラ味のコーラもゲテモノに近い。最前列であったことが幸いだった。
「……これ…おかしい。オレンジの味がする」
ファンタにしておけばよかった。
「さっきから何ふざけてんのよ。あんまり恥ずかしいことしないでよね」
「あぁ…気をつけるよ」
一応は謝っておく。
「頼むからね。…にしても、こんなに暑いのに5万人の蒸し風呂は勘弁してほしいな~」
「だからさ…お前も気をつけろって」
少々注目が集まっていたため先ずは注意から入った。
「大体、ちっともおかしくなんてないさ。野球は日本の国技みたいなもんだし象徴だろ。これを見てるのは5万人どころじゃないと思うぞ」
「そうかしら。1回テレビで見たことあるけど視聴者クイズとか試合中なのに選手のインタビューとか入れてて凄くゴチャゴチャしてたわよ」
確かにスポンサーが出資をしている以上はそれは避けられない事態だ。
物事の裏側を見てやろうという視点は捜査官には必須だが、つき合わされる身としては中々にめんどくさい。
「隊長も人気落ちてるって言ってたじゃない。そもそも野球って世界的にみたら競技人口も少ないマイナー競技だもん。
 過熱してるのはアジアだけ~」
WBCもカバーしてるらしい。白瀬の捻くれた意見に同調したわけではないが良く挙げられる問題点を口に出してみた。
「人数が必要、道具もいる、競技面積も広大、だから気軽に楽しむには適さない…」
仮に環境が整っていたところに入れたとしても、そこには序列がありまずは球拾いから始めなくてはいけないというパターンが多いそうだ。
下手をすれば長い間ボールをそれでしか触らせてもらえないということもあるらしい。
飛んでいったボールを集める人員が必要なのだろう。
「そんなところかな。野球のワールドカップだ!なんてお偉いさんは言ってるけど正直お寒い現状だよね」
後ろからの視線がなんとなしに気になったので話題を転換した。
「でもこの世で一番数字を使うスポーツじゃないか。そこは面白いとは思わないのか?」
「数字って例えば?」
数字に関しての質問を返されるとは思わなかった。何かあるかと思い記憶をふるいにかけてみる。
「ほら、セイバーメトリクスとか君なら分かるだろ。俺にはさっぱりだからさ、教えてくれると助かる」
「…あのね、巨人と横浜の対戦成績が巨人が8勝で横浜が1勝なの。ぶっちゃけると巨人の8勝1敗ってこと」
その数字は5日前に新聞で見た記憶がある。前半戦の成績を言っているのだろう。

565:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:21:30 pYZtdwuD
「確率論なんてものじゃないけど野球の試合を9回やって8勝1敗になる確率は約1.7%なの。なんでそうなるかは大丈夫だよね」
「えっと…全部の勝敗のパターンが512通りあって…8勝1敗がその内9通りしかないから…」
「正解。でもこれは引き分けがない場合よ。もっと言うなら表と裏を決めるコイン投げでの確立なの」
「…それが?」
「ここではμを0.5ってことにしてるから1.7%をそのまま確立測度に代入してみるね。
 そうすると57シーズン戦えば8勝1敗の結果が出ることになる」
「57回投げればってことか」
「そ、でも巨人が横浜に沢山勝ったのは今年に限ったことじゃないよね。
 何回も表を出し続けてたら誰だってコインに細工してるんじゃないかって思うはず」
コインに例えるとはおかしな話だ。なんとなくだが嫌な予感がする。
「でもそんなこと言ってる人はいないわ。何でかって言うと」
「…それは巨人が横浜より強いからで、金を使って球団を補強してるのがコインの細工だから」
「そうそう、良く分かったね」
いつもよりキツイ皮肉だと思った。この細工は誰もが見破っている。
「セイバーメトリクスも結局はホームランを打てる選手が必要だもん。
 数字を使うっていうのも突き詰めればお金を使った競争って意味なの、そういうところは好きかな♪」
少々気分が悪くなる物言いだったので口を挟むことにした。
「一応言っとくけど長打率はランナーを進塁させる能力であってパワーを表してるわけじゃないからな」
「あ、そうなんだ?じゃ (1×1B)+(2×2B)+(3×3B)+(4×HR)/AB これでいいよね」
「日本語でお願いします」
「ったく…ようは塁打数を打数で割ったの。アンダスタン?」
ここはシカトしておこう。
「ファンタジーリーグ・ベースボールって知ってる?」
「何それ?」
「SRBAっていうアメリカの野球研究学会があってさ、そういった野球好きな人達が試合のデータを分析してありとあらゆる選手の成績を算出するんだよ。
 OBPとかSLGとか…この二つを足せばあのOPSになるんだ。出塁率と長打率を足した日本でも人気の得点貢献度モデルなんだぞ」
「フーン」
「でもメジャーでは1981年にそれより進んだモデルが提唱されてるんだ。野球は27個のアウトを取られるまで攻撃が続くスポーツだろ。
 それを数式に表したトータルアベレージていうのがあってその公式が」
「やめろー!さっさと本題に入れ!」
「…それで30人で選手達をドラフト指名していって30チームを作る。仕上げに色々な得点算出のアルゴリズムを掛けてシーズンを戦わせる。
 数学が得意だったら誰でもGMになれるんだよ。凄く面白そうだから頑張って日本版を作ってみようぜ」
グラフィカルな野球ゲームより面白そうだ。
主要な選手の成績は頭の中にあるが、アルゴリズムの組み方はまるで分からないのでそこは白瀬にやってもらおう。
「へぇ~データ入れて見守るだけの野球ゲームってとてもとても斬新ね。貴方1人でどうぞ」
予想に反して毒がありつつもそっけない反応が返ってきた。
「なんでだよ。メジャーではそういう統計分析を使って選手を雇ってるんだぞ。
 それを日本でも試してみようってことだよ。黒星がひっくり返るかもしれないんだ」
「無理だと思うわよ、オセロじゃあるまいし」
「茶化すなよ、上手いこと言おうと思ったわけじゃない」
「ん?そう思ってたの?」
「違うって…。セイバーメトリクスはさ、防御率や打率をパッと見ただけじゃその選手の実力は分からないって事を言ってるんだ。
 相手がいるスポーツだから結果は相手に左右されるけどフォアボールとかはそうじゃないだろ?
 解説者だって投手の一人相撲は良くないとかストライクからボールになる見極めが大事だって言ってるしさ」
「まぁ裏づけにはなってるわね。それで?」
「だからセイバーメトリクスを研究すればシーズンのシュミレーションも出来るし本当の戦力だって明らかにできる。
 多分、君が作った地理的犯罪予測の精度向上にも役立つよ」
実際に他球団から解雇された選手やベンチの選手をかき集めワールドシリーズを制した球団もいる。
昔はセイバーメトリクスが浸透していなかったため本当は優秀なのに首を切られた選手が大勢いたというわけだ。
今の日本でもそうなっている危険性はある。数学は人の可能性を見つけ出す学問だ。

566:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:23:43 pYZtdwuD
「あのねぇ…数学は魔法じゃないのよ?」
そう思っていたところそれとは真反対の意見が飛び出してきた。
俺は少なからず動揺した。誰よりも数学を信じている白瀬がそれを否定したからだ。
「野球は選手がするものなの、それを数学に置き換えようなんてオタクのすることよ。
 風向きとか試合中の怪我、ボーク、守備妨害、サインミス、人工芝、ナイターの照明、ショートバウンド、ストライクゾーンの違い。
 球場の中で起こることなんて46次元ユークリッド空間でも収まらないって。
 株価の予測とかもそう、変数が多すぎるのよ。あれが上がったー下がったー、戦争がおきたー平和になったーとかでね。
 最低でもこの世界は68億次元はあるわ、野球に限らず未来を予測するなんてできっこないの」
白瀬は強い口調でそう言いきった。犯罪予測のモデル設計は失敗に終わったのだろうか。
「それに選手の能力がゲームみたいに正確なわけないじゃない。酷だけど監督の采配はゲームのコントローラとは違う。
 代打の切り札がヒットを打ったってそんなの偶然かもしれないんだから」
結果は全てまぐれ当たりだというのか、それではあまりにもだ。
「じゃあ満塁ホームランや三球三振は奇跡なのかよ」
「そこまでは言ってないけど…なんでそう思うの?」
「なんでって打球の初速が最大になるのはボールを仰角27度で打った時だし、速いストレートがホップして見えるのはマグナス効果と1/2gt^2の関数がボールにあるからだろ。
 だから空振りもホームランも絶対に理由がある、結果を回帰していけばグリップのテークバックとボールのリリースポイントを三角測量で測るとこから始まる筈だよ。
 ランディジョンソンの奪三振率が歴代の奪三振王の中でぶっ契りなのも
 腕が長いからマウンドとホームベースまでの距離が短くなってストレートが届くのが速かったからだって論説があるんだぞ」
特に2001年はとんでもないSORである、これを1試合平均に割り振ると 13.43 SO を計上していたことになる。
「ヘェ、ソレハシラナカッタ」
「だろ?腕の長さを最大限に生かすための工夫もしてるんだ。
 大きく踏み出した足を回転軸にサイドスロー気味に投げる、そうすれば腕の遠心力を生かしながら距離を短くできるって事に彼は気付いた。
 ただこのやり方だとリリースがほんの少しずれるだけでバッターを殺しかねない、腕の振りも速いから指先に掛かる遠心力が強くて制御も難しい。
 バイクでコーナを曲がる時と同じ力が指先に掛かるんだよ」
「それで大体いいけど、遠心力は半径の大きさに反比例するのよ、それは分かってる?」
「腕が長いと軽減されるってことだよな。ランディはそれを満たしてたからこのフォームの適正はあったんだと思う」
「でもコントロールに苦しんだんでしょ?」
「遠心力を克服するまではね、ハンドルの切り方を掴んだのかは知らないけど歳とともにフォアボールの数は少なくなっていった。
 でも若い頃のランディはフォアボールもデッドボールも凄く多かった。
 思うんだけどさ、スピードとコントロールって負の関連があるのかもしれない、ノーランライアンも暴投王だし」
新垣渚も暴投王だ。
「じゃあその二人をセイバーメトリクスしちゃえば伝説のOBなのに要らない選手になっちゃうね。…ほら、数学っておかしいでしょ」
「いいや、そうじゃないって分かってるはずだ」
「もう…拘るなぁ」
「三振が取れる投手は自力でアウトを取れるから優秀なんだ。
 野球は良い当たりでも捕れるように野手が配置されてるから被打率じゃ本当の実力は分からない。
他にも守備シフトっていってバッターの打球の偏り具合で配置を変えたりもする。
 例えば典型的なプルヒッターの場合…そうだな、ここは小笠原にしよう。
 小笠原は左打者でライト方向に引っ張った打球を飛ばす期待値が高い。
 ただ数の少ないホームランの方向別数値で期待値を出したから、データとしては不完全だけどね」
全てのヒットを幾何学的に表しているデータがあれば良いのだが、それは入手するのも集計するのも難しいだろう。

567:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:24:31 pYZtdwuD
「小笠原諸島はライト方向にあったのね!」
「それ素晴らしいよ。その情報を元に野手達は打球の分布図に居座るんだ、宝の地図みたいに」
「誤解するなー!皮肉で言ってんの!」
「?…なんで?」
「…分かんなくて良いから続けなさい。選手達はライト方向に舵をとりました」
「あぁ、シフトの変更はダウジングでボールを捕るのはサルベージだ。
 強烈なライナーがセカンドの真正面に飛べば、それは野手のお手柄だ」
「先生~それだと小笠原選手が流し打ちをしてしまった場合はどうなるんでしょうか?」
「あ…えっと…ライト側にずれるって事は定位置より何歩か左に行くって事だから……幾何学的にやってみよう、2次元だけどね」
パンフレットには球場の見取り図があったのを思い出したのでボストンバッグのチャックを開けて引きずり出した。
細かいグリッド線が書かれた写し紙も取っておく、ペンは胸ポケットに挟んでいる物でいいだろう。方眼用紙をパンフレットに被せて話を始めた。
「まずスタジアムを直交座標系に見立ててから守備の定位置に印をつける。記号は野球の数式に則って123456789にしよう」
「升目からはみ出すから…」
「そうだな…点にしとくよ。次に定位置から右のx軸にずらした座標とセカンドベースの少し後ろの座標に印をつける、これがシフトと打球だ。
 打球が抜けるまでの時間は(ホームベースの座標と打球の座標を結んだ線の長さ/打球速度)で割り出す。
 出したタイムリミットを選手の守備範囲(打球に反応するまでの時間+{√(Xi-Xn)^2+(Yi-Yn)^2/加速度})で引き算する。
                               (打球を捕るための最短距離)
 そのためには選手を走らせてみないといけないけど…ここでは線でシュミレーションしてみよう。
 打球の速さに基づいて線を引けばいい、その間に引ける線の長さが選手の守備範囲だ」
二本目のペンを左手に取った、一応は右利きだが射撃の訓練は左右両方を行なっているので両手で線を引くぐらいはできる。
「じゃあ選手は加速度m/s^2や打球速度m/sの表示が義務付けられるのね」
「それ分かりやすくて良いよ、良いデータだ」
「そうね、弾薬や戦闘機みたいで素敵」
同感だが話が逸れてきたので打球の線を引いていく。
「打球の線が引かれたらそれに反応して守備の線を引いていく、守備の線に打球の線が突き当たればアウト。逆ならヒットだ」
「アウトだ…センターの右に伸びていく打球をショートが捕った。でもアンタの妄想よね?」
そう思って当然だが100%デタラメというわけではない。
「去年の6月2日、ロッテ対巨人の4回表で実際にあったことさ、この日小笠原は似たような打球をもう一本打って捕られてる」
勿論だが俺は機械じゃない。速度を完全に再現できているわけはないが白瀬を黙らせるにはある程度のハッタリは必要だ。
「このシフトでヒットになった場合は定位置からも同じように線を引いてみる。それでアウトになっていればヒットは野手の責任だ。
 最後にこのやり方で出した定位置で捕れた確率と捕れなかった確率、
 シフト変更で捕れた確率と捕れなかった確率をベイズ統計にぶち込めばそのチームの守備期待値が出る…かな。合ってる?」
選手の加速度や反応速度を数値化するところがかなりの障害になってきそうだ。
用済みになったペンやパンフレットを元あった場所にしまいながら白瀬の返答を待った。
「あ~ぁ、どうしてこんなに馬鹿なんだか…」
「式がおかしいのなら言ってくれよ、アドバイスが欲しい」
「じゃなくて!もし、それで捕れたとしてもバッターの足の速さに焦って1塁へ悪送球をしてしまった。そうは考えられない?」
「あぁ 捕球に掛かった時間+(塁までの距離/送球の速度)-(塁までの距離/打者の加速度)がある。後捕ってから投げるまでの時間を」
「ふざけてないで真剣に聞いて」
捕球に掛かった時間に加算し、バッターがファーストを踏むまでの時間にスタートを切るまでのタイムラグを加算すればより正確になる。
と言おうとしたところでいつになく真剣な白瀬の声が聞こえてきた。

568:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:25:29 pYZtdwuD
「ベイズの定理も結局は過去の確率から推論で未来を考えてるのよ。あの場合はこう、この場合はこう、だからこうなるだろ!って風にね。
 でも今これから起きることは過去を数学で洗ってみても導き出せない、それはベイズも分かってたはずよ。
 夢を追うなとは言わないけどその現実は理解しなさい」
それは嘘だ、天気予報もテロを予測するソフトウェアもこの世界にはある。ただそれが100%では無いだけだ。
「そりゃあ…エラーを導き出す方程式はないけど、シフトはアウトの確率を変えるフォーメーションにはなるはずだよ。
 バッターが広角に打てるタイプだったら動かなければいいし、方向が偏ってたらそっちを固めればいい。
 だから…話が逸れたけど守備で失点を少なくする工夫はできるから、投手を選ぶ上では奪三振率が重要なんだ」
「と、思ったらランディとライアンが危険球で退場だ~」
「……そうはならないために四球と三振の比率を掛け合わせたモデルもシーズン分あるんだ。
 それをエクセルにいれてから線形近似のオプションで分析して、そこから信頼区間を」
「だ・か・ら!それに偶然って要素が関わってるの!満塁で手に汗かいてたとかガッツポーズした相手へのピーンボールだったとかね。
 それまで予測しろって?」
「…そうは言ってないよ、君が予測できない変数は俺が集める。それに言ってたじゃないか、神はサイコロを振らないって」
少なくとも俺はそう思いたい。
『神は…』とは量子論の発展のさなかに生まれた発言だ、つまり物理の言語と数学が産み出した哲学でもある。
白瀬は量子力学の課程に入ってからこれを良く口にし、こう言っていた、この言葉にはロマンがあると、俺もそれに同感だ。
物事に偶然はない、これこそがロマンだ。
「最近はそうでもないかなって思ってる。あいつって意外とギャンブル好きなのよ」
いつもより少しトーンダウンした口調だった。声に元気が無いが、分かるのはそれだけだ。俺に白瀬の苦しみは良く分からない。
量子の世界はゼノンのパラドックスの時点でチンプンカンプンだ。反論したいが何も言えない。
「数学は確率を操作するものじゃなくて事実を確認するだけのものなの。
 月が地球に落ちてこないのは自由落下運動に水平運動を加えれば説明がつく、楕円軌道の面積速度が一定なのも角運動量保存則でバッチリ。
 これが何の変哲も無い本当の数学よ。セイバーメトリクスで確率を変えようとするのはその真理に反してるわ。
 神様には逆らえっこないし、隕石の軌道は変えられない。石油も増やせないし、横浜が巨人に楯突くことも許されません」
「巨人も神様なのかよ…」
白瀬は強い人間だけが数学を使って好き勝手していると言いたいのだろうか。
確かに素粒子の発見は原爆の扉をこじ開けもした。だが放射線でガンを治療することも可能とした。
セイバーメトリクスも野球の競技性を破壊したりはしない、使う人間が悪用すればそうなってしまうだけだ。
「そうよ、たまにBクラスに降りてくるけどね♪」
「…なんだそれ」
「順位も数字を使って決めてるけどあれも一つの指標よね。
 Aクラスになった巨人阪神中日がBクラスのヤクルト広島横浜から優秀な選手を取り上げる。
 トランプの大富豪みたいで面白いよね」
どうしようもない事実だがそれが全てではないはずだ。偏っていく勝率を変える方法もある。
「でもさ、戦力の格差を無くそうって努力もしてるじゃないか。メジャーなんかは放映権料も各球団ごとに分配してるから球団の独自採算がとれてる。
 他にも一つの球団の年棒総額が高くなりすぎたらMLBが税金を徴収して弱い球団の補強の当てにしたり、
 ドラフトも弱い球団から良い選手を獲ってく完全ウェーバー制で…」
「うん、分かってる。でも全部大リーグのことだよね」
「……………」
「それにお金を使って強くなるのが悪いだなんて思ってないよ。だって強い奴が良い思いをするのは当たり前じゃない。
 それを野球で再現してくれてるだけでしょ。だったらそれを楽しまなきゃ!」
「……お前ってさ、やっぱ相当の捻くれ者だよ」
「そう?」
「ああ、普通の人は物事をそんな穿った視点で見たりはしない」
「あ、褒めてくれてるんだ?」
「逆だよ、可哀相な奴だなと思って。そんな生き方してて辛くないのか?不思議だよ」
気丈に振舞ってはいるが、この世に希望も何もあったもんじゃない。そう言っているようにしか聞こえない。

569:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:26:24 pYZtdwuD
「心配してるのか馬鹿にしてるのか良く分からないけど御心配なく。私はむしろ貴方の方が心配です」
「……はぁ?」
お前は俺の母親か。
「意外と深刻に考え込むタイプでしょ。これで正しいのか間違ってるのかって」
「いや…思春期はもう卒業してるから」
少しばかり前の自分ならそうだったかもしれない。でも今は体と心の釣り合いが大分取れてきた気がする。
俳優や政治家に腹を立てたり自分と違う価値観を認められないなどということは無くなったはずだ。
「思春期どうこうじゃなくてアンタの性格!考えとか言いたいことも結構溜まってるんでしょ?このお姉さんに話してみなさい」
今度は姉か。
「別にないよ」
まるで俺が野球界の現状に不満を持っているかのような言い草だ。野球選手になるわけでもないしそんなことに興味は無い。
「そうやって自分に嘘をつく…」
「嘘なんてつく必要ないだろ」
「でも野球に興味ないって言ってた割には結構詳しいよね。それってなんで?」
ボトルキャップに口をつけたところ、顔を覗き込むようにして白瀬は質問をしてきた。
気にせずボトルを傾けたがいつまでたってもジュースが降りてこない。
諦めて傾きを戻すと視界には再びグラウンドが姿を現した。だが未だに白瀬が右横で俺の言葉を待機している。
そこまで聞きたいのであれば、少しびびらせてやる必要があるかもしれない。
「……じゃあ言ってやるよ。全部君の言う通りで、ドラフトでの裏金やFA制度にプロアマ規定っていう問題もある。
 ちょっと前までは逆指名っていう選手が球団を選べる制度があって、選手に裏金を贈る温床になってたんだ。
 贈与は選手だけじゃなくてさっき言ったブローカーにあたる指導者にもウチを指名させてくださいって賄賂を贈るんだよ。
 まだこの慣習は残ってる。プロとアマが接触しちゃいけないって言っといてこの様だ」
ポカンと口を半開きにしている白瀬の顔が横目に見て取れた。言いたいことを忘れない内にと眼をノックに向けてから口を動かした。
「メジャーの草刈場になったらいけないなんて言ってるけど、その大元であるFAで選手を買い漁ってきた本人がそれを言っても説得力がないよ。
 それに日本のFA制度には裏があって獲得選手の年棒×0.8の補償金か0.5+人的補償かを元いた球団に払わなくちゃいけないことには触れてない」
「ど、どういうこと?」
「消費税が50%以上は付くってことだよ。だから控えの選手が他の球団でレギュラーをとろうとしてもそう簡単には売買されない。
 でも選手に消費税がつくのは国内のFAだけでメジャーに移籍する場合はつかない、というよりつけられない」
「それホントなの?」
「ホントさ。だから球団側としてはFAで出て行かれるよりも金の入ってくるポスティングシステムで選手を売りたいんだ」
FAの補償制度は選手の自由移籍を阻害する最悪の制度だ。ただ発足当時に比べればかなり緩いものにはなってきている。
それでも年棒でAランクBランクという記号がつけられた選手はまだ補償制度の檻の中だ。
「メジャーのFA補償は金や選手じゃなくてドラフトの指名権を譲渡するって形をとってる。これ良く考えられてると思わないか」
「つまり?分かり易く喋って」
「警察と俺達とで考えてみてくれ、まず容疑者を20日間拘留するわけだけど、
 令状が政治資金規正法違反だったもんだから捜査2課とか弁護士とかから色々と茶々が入る」
「警察さんはこっちによこせと、弁護士さんは保釈金は払うぞと言いました」
「だな。でも金で売ることはしないから弁護士は除外だ。切羽詰った政治家は捜査2課でなら調べを受けてもいいって言い出した」
「巨人に移籍したいよ~」
「……ここでは捜査2課にコネを持っているということにしておこう。で、どうにも移籍は濃厚だ。君ならどうする?」
「そうね、政治家の意向に逆らえないんだったら警察と取引をするわ。このホシはくれてやるから他の山をよこせってね」
「捜査権の譲渡だな。メジャーのFAも同じで、実力のあるベテランと新人を発掘する権利を交換するってことだよ」
「成る程ね。でも犯罪者に例えるってのは良くないわよ、あんたの意図は分かるけど野球選手が怒りそう」
そこは誤解しないで欲しい、けして選手が犯罪者だと言っているわけではない。
「人的資源って点では同じさ、この制度なら現役選手が振り回されることもないしチームの世代交代や戦力の増強も同時に行なえる。
 これって凄く合理的なアルゴリズムだよ。このアイデアを思いついたMLBのコミッショナーは凄いよ」
「う、うん…まぁね」

570:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:27:19 pYZtdwuD
「本当の意味でメジャーへの流出を止めたいのならFA制度の問題点や、MLBを見習った戦力格差の是正をしなくちゃいけない。
 でもそれはせずに、NHKのメジャー中継をやめさせろってオーナー会議で喚いてるだけだ。
 くだらないよ。あんなのが阪神のご意見番で読売テレビの放映権料集中構造がある限り日本球界は奴等と供に沈没さ」
サンテレビも言い方は悪いが阪神にジャックされているため同じ関西に拠点を置くオリックスの試合はほとんどが映らない。
パリーグが交流戦でしか見られない現状もおかしな話だ。ファンの取り合いを最初から有利な形で彼等は行っている。
「すっごい早口だったけどよぅく分かったから大きな声出さないで!熱狂的な阪神ファンがいたらどうすんのよ」
白瀬の突っ込みも中々際どいところではあると思う。
「馬鹿にしてるつもりはないよ。悪いのは経営体制や制度であって選手やファンはむしろ被害者だ。
 選手は補償金や人的補償のせいで一つの球団に縛り付けられるかお金のある球団に買われるかしか選択肢がない。
 ファンの人達が巨人はずるいとか阪神だって同じじゃないかとか、そんなことを言い合ってしまうのも金が全てのルールがあるからだ。
 球界の格差を何とかしたいなら巨人ファンも阪神ファンも一緒になって声を上げるべき……なんだと思う」
何を下らないことを言ってるんだ。神はサイコロを振らないの足元にも及ばない。
台詞が偽善じみていて気持ちが悪い。俺は阪神ファンは大嫌いだ、道頓堀で溺れてしまえばいい。
「お、出ました。小波節」
「あのさ…別にかっこつけた訳じゃないからな。今すぐ忘れろ」
もしかすると相当青クサく聞こえたかもしれない。不本意だ。
「分かってます。でも、ちょっと赤っぽかったからそこは気をつけてね」
「…どこらへんが?」
赤、つまりコミニストは平等や公平を謳ってはいるが、買収に弱く仲間を売ることが非常に多い。追い討ちをかけられた気分だ。
「う~ん…これって言えるわけじゃないけど打倒資本主義!みたいなとこ」
「分かった。気をつけるよ」
「いけないって言ってるわけじゃないわよ?ただそういう意見を無闇やたらに言ったら危ないからね」
「?…なんで危ないんだ?」
「あのね、自分の仕事が何なのか分かってるでしょ?レッドパージされたいのならご自由に」
レッド、つまり赤であり共産主義者の英語版か。
「だから赤じゃないって言ってるだろ、俺は今の給料や訓練を無駄にしたくない。
 そもそもレッドパージって何年前の話だよ。多分、3(俺の人生+2)ぐらいだそ」
GHQ占領後でベルリン封鎖や朝鮮動乱があったあたりだから1950年当たりか。
「意味分かんないこと言ってないで赤狩りは今でもあるんだからから気をつけるように!言っとくけど巻き添えはゴメンだから」
「今でもって…そうなのか?」
「目に見えないとこでね。選手会が提案した代理人の交渉とかも随分叩かれたじゃない。あれもその一環だと思うなぁ」
「代理人を連れてきたら年棒を下げるって言ってたな」
スポーツ欄の紙面内容を噛み砕いて言ってみた。
「そうね。でも叩いてるほうが悪い奴で叩かれてるほうが良い奴だとも言えないわよ。だって今の野球選手って貰いすぎだよね。
 査定が低い~って言うけど私の給料と比べたら全然多いくせに!って思っちゃうかな」
白瀬の言うことも分かるが、その分平均生涯賃金に達する選手はごく僅かだ。
選手会の活動は戦力外通告を受けた選手に対する就職斡旋や厚生年金の導入などをNPBに要求していたのが主だったと思う。
「分からないでもないけど俺達だって多いじゃないか、それにオーナーと選手がそれで納得してるんだから俺達が口を出すことじゃない」
「あれ~?それっておかしくない?」
「…なんでだよ」
「だって球団の賃金格差を無くすことが目標なんでしょ。だったらその第一歩じゃん」
「あ…」
頭と心臓が握りつぶされたような感覚がした。いつの間にか論理の展開に無理が生じていたのかもしれない。

571:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:28:22 pYZtdwuD
「いや…そういう意味じゃないよ。なんていうか…一つの球団に力が集まることが良くないって言ってるだけで」
他の球団ではレギュラーを張れる選手が能力の高い選手が集まっているばかりにベンチで100試合ほど座っているケースもある。
こういった飼い殺しを防ぐためにも戦力の分散は必要なことだ。と思うがそれとこれとを結びつけるのは些か飛躍しすぎなのかもしれない。
「あ~ごめんごめん。ちょっとからかってみただけ」
「……あ?」
「やっぱ深刻に考え込むタイプだね。引っ掛けるの簡単」
「悪い…状況が良く把握できない」
整理すると嵌められたということなのだろうか。
「でも真面目な話、貴方が目指す球界の改革には障害になってくると思うわよ。だって選手の年棒が高くなりすぎたら球団も運営に困っちゃうじゃない」
それは良く分かっているがいつの間にか改革を目指してる事にされているのは遺憾だ。
「小波委員長!サラリーキャップの導入はプロスポーツの健全化において必須事項だと私は思います」
「どういうノリだよそれ…。言っとくけど俺は野球になんて興味ないし球界を改革したいなんてことも思ってない。勝手に変なイメージを作らないでくれ」
「いいじゃない、そっちの方が面白そうだもん!」
ストーリを作ることが好きな白瀬がこうなってしまったらもう話は聞いてくれないだろう。好きにやらせることにした。
「まず選手会ね。ゲームにおける肖像権の管理問題について運動した実績があるけど、結局企業がNPBを買収したり、
 最高裁で負けたりして権利は球団の物になってる。戦力としては点で当てにならないわね」
「戦力って…お前戦争起こす気かよ」
どこまでの事態を想定してるのだろうか。野球が元で血が流れるということだけはやめておいてほしい。
「次に消費者である観客だけど、あんたが言うようにファン同士での摩擦もある。選手の年棒に対する苛立ちもある。
 だから連帯は望めそうにない…。あ~ぁ…こりゃ絶望的かな」
「もういいだろ。そういうのは地道にやっていくしかないし、そもそもそんなこと考えながら観るのは良くないよ」
少なくともスタジアムにある野球はそういった経済のしがらみや社会体制からは切り離して考えるべきだ。
「そうね…でも1回あんたが言ったようなことがあったんだよね。それ覚えてる?」
白瀬の言葉に額に手を当てて考えてみた。球界を激震をさせたという事件は幾らかある。
黒い霧事件やドラフトでの裏金問題がそれだ。ただ労働争議となると一つしかない。
「ストライキのことか?」
経営難の親会社の都合で職を失いそうになった組合員達は連帯してNPBや企業に声をあげていた。
スコアラーやトレーナーにスカウト、その他諸々の人々も意見を同じくして2日間試合をボイコットし、新規参入企業の導入までこぎつけた。
強行的な手段をとりはしたが、最終的にはNPBとの話し合いで事態を進展させた良いストライキだったと思う。
「ううん、もしかすると私達がまだ産まれてなかったぐらいの時のこと。ストの時ってアンタ12、3才でしょ?」
「…産まれてなかった時のことを思い出せって?」
「うん!頑張ってね♪」
図書館で読んだメジャーの労働運動の文献を大雑把に思い出してみた。
労使協約の内容は、日本より3年短い期間で取得できるFA権、肖像権の選手帰属、
最低年棒や年金制度にトレード拒否権、代理人を使った交渉の許可などだ。
このような充実した制度を得るために選手会は球団と戦いかなりの犠牲を払った。
ファンから見れば球団も選手も金持ちであることに変わりはなく億万長者と百万長者の戦いと揶揄されたのだ。
1994年のストライキはそのファン離れが最も顕著だったものだ。
「多分94年のストのことじゃないかな」
「う~ん、どうだろ…内容言ってみて」
「えっと…サラリーキャップ制の導入で年棒が抑制されることを懸念した選手会は1994年の8月12日からストを敢行した。
 ストは長期化し、残りの公式戦やプレーオフだけではなくワールドシリーズも中止になった。
 事態を重く見た大統領は交渉の調停に乗り出したが収拾できなかった。結果ストは232日間続きサラリーキャップ制の導入は見送られた」

572:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:29:30 pYZtdwuD
「な~んか、ごね得って感じね」
「何言ってんだよ。その代案として今の収益分配制や贅沢税ができたんだぞ。行き過ぎた賃金カットを止めたかったってだけだろ」
「甘い!アンタが考えてるほど労働者は清く正しい存在じゃないのよ」
やはり物の見方が穿ちすぎてる。
「自分の尊厳を守りたいだけだなんて言ってるけど本音はお金が欲しいだけなの。でなきゃ選手の年棒がうなぎ上りになってる説明がつかないでしょ」
「じゃあお前そういう人を実際に見たことあるのかよ」
「あるわよ、年棒を脱税してた選手とかアンタも調査したことあるわよね。それが真実じゃない」
「…あんなのごく一部じゃないか、全員そうだって言ったらいけないよ」
「はぁ~、あんたってやっぱ良く分かんない…。
 いい?人間は欲望を抑えきれない生物なの!それを抑えるためのサラリーキャップ制なの!」
かもしれないがそれが行き過ぎた裁きになってしまうこともあると思う。
「1回その波が広がったこともあったけど途中でポシャっちゃったよね。あれなんだったけ?」
「さぁ、サラリーキャップが野球界で適用されたことはないよ。何かと勘違いしてるだけじゃないのか」
考えられるのはアメリカンフットボールだろう。レベニューシェアリングというリーグ全体の運営収益をプールして均等に配る制度がある。
試合日程や移動距離なども優勝チームが一番負担がかかる行程が組まれており、格差を表すチームの最大年棒比率は1.47倍。
全ての球団が黒字運営だそうだ。スポーツビジネスの理想的な運営体制だろう。
「勘違いなんかじゃないわよ。喉まで出掛かってるのに思い出せない…なんだったかなぁ…」
「無いよ、君の勘違いだ」
労働運動が盛んなメジャーですらサラリーキャップは導入されてない。
過去にそれが民主的に確立されていたとしたら球史に残る一大事件として文献に残っていたはずだ。
「えっとね、法務機関よ。プロフェッショナル・ロウヤーズ……」
「…ペイメント・レプリゼンタティヴ」
「うん、それそれ!知ってたんじゃない。そういう名前の雇用代行機関あったよね」
「違う、そいつらはスポーツの発展や健全化なんて目指しちゃいなかった。
 その証拠に6年前のスポーツゼネストの煽りを受けて地下経済のネットワークごと粉々に吹き飛んだよ」
選手の権利を守ってきたのは選手会なのに、よりによってプロペラ団のことをそんな風に思っていたとは酷い誤解だ。
少なくとも俺の好きな文献にはそんな長ったらしい横文字が登場したことは無い。早く誤解を解かなければ。
「そうなんだ…でも高すぎる年棒を抑えるためにってサラリーキャップを球界に組み込んでたじゃない。
 一時期は成果も上げてたわよね。どうして駄目になったの?」
「駄目も何も結局やつ等はゴリゴリの利権集団なんだよ。そういうもっともらしい難癖をつけて選手から年棒をカツアゲしてたんだ」
「だけど親会社の赤字は減ってた」
「それは…そうだけど、そういうのは減益増収って言うんだよ。人件費をカットして儲けを上げてたらデフレになるよ」
「分かってるけど赤字が出てたら仕方の無いことじゃない。親会社の経営を球団が圧迫したら共倒れよ」
脳味噌がねじ切れそうだ。テレビで禿散らかしたオヤジが言っているようなことを白瀬が言って欲しくない。
「あんたとは少し違ったアプローチだけどスポーツを良くしたいって気持ちは根っこにあったんじゃないの?」
「はぁ?俺は野球なんか愛してないしそいつらも野球を愛してなんかいやしないよ。
 高校野球のブローカーなんかよりもっと低俗で下劣でえげつない集団で、言うなれば野球選手を食い尽くすハイエナの群れなんだぞ!」
何分昔の話だ、活動を事細かにファイリング出来てるわけではないだが断片的な資料を見ただけでも彼等の本性は分かる。
ピラニアかショウジョウバエか、それともシロアリか又はサナダムシ。ハイエナは死肉を食いはするが狼の要に団結して狩りをすることもある。
自立して餌を探す彼等ではなく宿主を吸い尽くす寄生虫がお似合いだ。

573:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:30:57 pYZtdwuD
「あいつらは有望なアマの選手を見つけては小額の賄賂で抱き込んだり、逆らったらプロは無理だとか因縁つけたりして、安い値付けて球団に卸してた。
 それで球団は良い選手が安く手に入ったお礼としてプロペラ団に手数料を払ってた。こんなの企業と暴力団の関係そのままだろ。
 これのどこがサラリーキャップだよ。プロアマ規定はどうしたって言ってんだよ!」
「ど、どうどう」
「ふざけてんじゃねぇ!」
「ちがーう!暑苦しいって言ってんの!伝えたいことがあるなら冷静に話せ!冷めた頭脳に熱いハートがあんたの持論でしょうが」
「…そんなこと言ったっけ?」
冷えたコーラに26℃のエアコンだったと思う。
「言った。秋霜烈日がどうのってね」
「ああ…それね」
「頭冷えた?では続きをどうぞ」
そうは言われても一度途切れてしまった会話の取っ掛かりを簡単には見つけられない。
それに、多分俺の憤りは白瀬には伝わっていない。でなければこんなにあっけらかんとした対応はできないだろう。
「もういいよ。もう言いたいことは言った、みっともないとこ見せてすみませんでした」
そもそも、もう演説は疲れた。プロペラ団には腹が立つけどそれを我慢するのが理性であり大人の考えだ。
底の浅い見識で世の中を斜に構えて解釈するのはガキのすることだ。
「もう…。じゃあ質問するけど、どうしてプロフェッショナル・ロウヤーズ」
「プロペラ団!」
「怒んないでってば、どうしてプロペラ団を暴力団なんかに例えたりしたの?」 
「なんかってなんだよ。やってることは暴力団と同じだぞ、彼等は」
「静粛に!」
「…どした?」
「客観的事実に基づく冷静な判断をお願いします小波検事」
「お前頭大丈夫か」
どうやら今度は検察官が俺の役柄らしい。
「ご心配なく、白瀬裁判所は24時間営業よ。では検察側が被疑者を暴力団と結びつけた根拠から示してもらいます」
舞台設定は法廷だそうだ。こいつのおままごとに付き合うのもいい加減飽き飽きだ。
「…暴力団のアルバイトがどれくらいあるかは知ってる?」
「知らない。あんたみたいに公安と一緒に捜査してないから」
「公安は暴力団を監視する組織じゃないぞ。あれは…」
「検事!要点だけ簡潔にお願いします!」
「分かった分かった…また今度な。まぁ色々あるんだ、総会屋とか倒産整理とか商品クレームとか」
「借金の取立てとかもそうよね?」
「ああ、会社の不良債権とかも取り扱ってるけど、大体はアパートの扉をバンバン叩いたりしてる。
 売春とかもそう。俺の女に手を出したなって言って金をせびる。出会い系サイトは大体そういうことするための釣堀」
「あんた引っかかったことあるの?」
「ないよ、そもそもこういうのは民事介入暴力って言ってそんなには儲からない。何でかって言うとせびる相手がそんなに金持ってないから」
「ふんふん。アパートの扉を叩いても出てくるお金はたかがしれてるのだ!ってことね。……ね、今のどうだった?」
「いいんじゃないか。で、沢山儲けるにはそういう小口じゃなくて大口の企業対象暴力に切り替える必要がある」
一応、企業への暴力介入も広義の意味では民事なのだが、ここは法人相手の商売ということにしておこう。
「会社からお金をせびるってことよね」
「それもあるけどちょっと違う、企業の為の別働隊になるってことだよ」
「別働隊ね、具体的にどうぞ」
「えっとな…一番時給の良いバイトは不動産関連なんだけど…」
ボストンバッグに双眼鏡があったことを思い出したのでチャックを開け中からそれを取り出す。


574:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:32:05 pYZtdwuD
「お前、この席嫌だって言ってたよな」
「そうね、選手が小さく見えるしカウントとかも分かりづらいし」
「じゃあどこだったら良いか教えてくれ」
言って白瀬に双眼鏡を手渡そうとしたのだが。
「こんなの使うまでもないわよ。特等席はマスコミ関係者や大手企業が座ってるバックネット裏に決まってます」
「だよな、じゃあ君の為に俺が特等席を取ってくるよ」
「ホント?ワーイ」
「といっても今日は満席だ。君が座りたい席には部長が張っていてコーラをすすってる」
「え~なんとかしてよ」
「分かった俺のスミス&ウェッソン ビクトリーモデルで退かしてやるよ」
「うわ~頼りになるなぁ~。カッコイイ~!」
「というわけで席が空きました。報酬としてコーラは貰ってもいいですか?」
「うん。別にいいよ」
了承を得られたのでこのふざけた芝居は終わりだ。手持ち無沙汰になっていた右手をバッグに入れて、双眼鏡を手放す。そして話を再開した。
「これが"地上げ"ってやつの正体なんだ。君は企業で俺は暴力団、部長は土地の持ち主でコーラは資産価値。
 チケットっていう権利があるから退かせられない相手を暴力で追い払ってそのお零れを貰う。意外と稼げる商売なんだぜ」
大抵は脅したり弱みにつけこんで追い払うのだが威圧が効かない場合は暴力に出ることもある。
借地権を持つ人間を追い払えれば土地を底地という法的な意味での更地にすることができるからだ。
これが地上げという名で呼ばれてる由縁だ。
「借地権はそこで野球を見ることよね。で、営業権とかも奪い取る…」
「そう、パソコンや帳簿とかにあるデータも資産価値になる。この場合は記者席を乗っ取って記事を書くとかがそれだよ。
 そういう雑所得もまとめて奪い取れるのが強い暴力団で、強い暴力団をバックにつけているのが強い企業なんだ」
「つまりプロペラ団は地上げみたいに選手を脅して、値切って、球団に売って、手数料を貰って儲けてたってこと?」
「そうだけど…」
野球選手が野球をする権利を奪われるとあったら大事だ。
なのに首を捻りながら不満そうな表情で問いかけてくる白瀬に少し苛立った。
「ちょっとわかんないなぁ…何で地上げと選手との交渉がイコールになるのよ」
「…なんで?」
交渉だと。
「だって地上げって身包み剥がして売っぱらって終わりってだけじゃないよね。その土地を使って営業したりもするし、
 テナントとかで権利がゴチャゴチャしちゃった土地を建て直すためにもやってることじゃない。
 企業と借地主の仲を取り持つビジネスにしてる暴力団も多いって聞くよ」
「…フーン。あっそ、結構詳しいんだな」
それは知らなかったが、白瀬は予備知識があった上で俺の話を聞いていたようだ。
だというならばあんなふざけた芝居に黙って付き合って俺をおちょくっていたのか。
「これでもエージェントですから。だからプロペラ団の行為も選手の身売りってだけじゃないと思うわよ。球団と選手の相互理解って言うか」
結局意見は平行線だ。でもそれは当たり前のことだ。人は主義を一つしか持てない。
「ねぇ、聞いてる?」
一人の人間の頭に新自由主義と共産主義の思想が両方入ってるなんてことは有り得ない。この二つは水と油の関係のため脳が拒否反応を起こす。
そのため主義主張が対立する人間も拒絶しあうように出来ている。俺は赤ではないから白瀬と俺はさながら水と油だろう。
「違うって言ってんだろ、お前は何にも分かってない」
そう言うと溜まっていた鬱憤が一気に爆発した。


575:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:33:13 pYZtdwuD
「地上げを資金力がある暴力団がする場合は自分から土地を回収して企業に売ってるんだ。
 そうなったら企業との力関係は逆転する。少ない金しか出さない企業には土地は売らない。
 プロペラ団もポスティングシステムを使って同じことをした。安い値段をつける球団には選手は売らないって言ったんだ!」
「まったー!はい、ピラティス呼吸法。吸って~、吐いて~」
「悪ノリするなって言ってるだろ!真面目に聞けよ!」
「こっちだって真面目に言ってるの!そもそもポスティングシステムってなんなのよ。そこが分かんない」
「…っち!」
そんなことも知らないというのにインテリ振っていたのか、むかつくアマだ。
「さっき売り子がジュースを売ってただろ、あの中からコーラを1本買うには?」
「230円出せばいいのね」
「そう!」
「なんでそんなカリカリしてるのよ」
「してない!君がコーラを230円で買ったけど俺もコーラが飲みたかった。じゃあどうすればいい」
「どうしようもないでしょ、私が先に買ったんだから」
「そのやり方が抽選指名制度。君に先を越された俺はどう足掻いたってコーラを飲むことが出来ない」
「ねぇ…さっきから気になってたんだけどコーラが良かったの?」
「それ凄くいい質問だよ。確かにコーラが飲みたかったけど俺は代わりにオレンジジュースを手に入れたろ。
 ドラフトも同じで1順当たり12/12の指名権は絶対に保護されてる。オレンジジュースは外れ1位ってことさ」
「1人1本は買えるって言いたいんだ?でも、それと何の関係があるのよ」
「ポスティングシステムではそれは通用しないってことだよ。
 君の小銭入れに230円しかなくて俺の財布に462円が入ってたらコーラもオレンジも俺の物にできる」
「1円でも高く入札した方に権利があるってこと?」
「そう。そしてプロペラ団はこの理論をドラフトに組み込んだ。金さえ出せば指名する権利を奪っていいって言ったんだ」
競りの参加数は12だったがドラフト1位の指名権は12/xという具合に変動した。xを弄るには金が物を言う。
順番に指名するというルールが無ければそうなってしまうのは自明の理だ。
なのに彼等は金欲しさにポスティングシステムを悪用して球界を骨抜きにしたんだ。
「でも、それってジュースの話じゃない。ドラフトがそんなに簡単にいくかしら」
「いったんだよ。株の見せ玉みたいにワザと高い値を付けて相手に浪費させるマネーゲームになりだしたんだ。
 最悪だったのはその煽りを選手が受けてしまったことさ。
 最低落札価格が設定されてるからそれを下回る値じゃ球団も指名できない。230円の水は買いたくないだろ」
「まぁ…そうね」
「炎天下の中なのにずっと売れ残ってたら、賞味期限切れになって廃棄される。そういった自分の将来に絶望して自殺してしまう人もいた」
「うん…」
白瀬は俯むきながら同意の言葉を吐き出した。さすがにこれは知っているようだ。
「こんなの球界の健全化じゃなくて民事介入暴力そのものだよ。
 サラリーキャップは年棒のキャパシティを決めて、戦力格差を無くして、スポーツを面白くするためのものでプロペラ団のヘソクリを貯めるための制度じゃない。
 経済と違ってスポーツを暴力で統制しても上手くいきっこない。でもいつまでたっても野球から暴力は無くならない。それが凄く嫌だよ」
プロペラ団は勿論だがその言い成りになっていた連中にも腹が立つ。
いや、多分言い成りなどではなくプロペラ団のやり方なら自分達も上手い汁が吸えていたから従っていたのだろう。餌がなければ犬はなびかない。
そして鳴り物をバコバコ鳴らしたり、野次を飛ばしたり、選手に物を投げたりする奴らも消えてしまえば良い。
そうやってくだらないことばかりしてるから野球がドンドン嫌われていくんだ。
「ごめん、野球とプロペラ団が嫌いだっていうのは分かった」
そうだ、良く誤解されるが俺は野球が大嫌いだ。ルールは複雑だし根性論だしサインの暗号化もやり過ぎだ。
「でもあんまり深刻に考えるな、禿げるわよ」
まだふざけるつもりか。

576:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:34:51 pYZtdwuD
「…考えるなってなんだよ?ラビットボールやコルク入りのバットを仕組んだ成績操作も全部あいつらの仕業なんだぞ。
 八百長や出来レースで野球を食い物にしてばっかで、良くしようなんてこれっぽっちも思っちゃいない。
 もしそれを思ってたとしても自分が英雄だって思ってなきゃあそこまでイカれたことは出来ないよ」
「そうね。でも成績操作をプロペラ団が仕組んだって確かなの?貴方の論証じゃないっていう物的証拠はある?」
「…そうすれば辻褄も合うし論証としては充分だろ。あれは選手会の権威を失墜させるために画策したプロペラ団の工作活動だよ」
プロペラ団が幅を利かせていた頃は打撃成績を向上させたい球団や選手が積極的にラビットボールという反発係数の高いボールを買い集めていた。
今は彼等の影響力も無くなっため来年からは日米双方で国際球の統一を検討しているとのことだ。
トライアルは繊維工業を子会社に持つゾウソウか米上院と繋がりの深いジャジメントかの一騎打ちになるだろう。
「ラビットボールを使いたいって言ったのは選手達だよね。だったら双方合意の上じゃない。
 それにコルク入りのバットだって選手が愛用してたバットがファールで折れてそれが露見したはずよ。見落としてるわけじゃないわよね?」
白瀬の言い分には納得がいかない。飛ぶボールやバットがあればそれを使いたくなるのがバッターの性というものだ。
「それになんだかあんたらしくない。プロペラ団は全て悪で選手は全員被害者って考えずに決めちゃってる感じ」
そういった需要を作り出し売りさばいた大元に責任があると思う。
現にピッチャーの立場で彼等が物を売ったことは無い、数が多く儲かる方の味方なんだ。
「なんでそんなに庇うんだよ。彼等は選手会の邪魔ばっかりしてスパイもして…」
「それは…あんたがそこまで言うんだからそうみたいね。知らなかった」
「知らなかった?完全に消滅したのは6年前なんだぞ。それまではプロペラ団の暗躍は小学生の間でも常識だったんだ。
 なのに君は知らなかったってのか」
だと言うのにプロペラ団のふざけたサラリーキャップだけは持ち上げるだなんて都合が良すぎる。こいつの論述はあやふやだ。
「怒んないでよ!本当に記憶に無いんだってば!」
「あぁ、そうかい。さぞかし友達の少ない小学生だったんだろうな。傑作だよ」
仲間内から外されて新聞やテレビからの情報をまともに飲み込んでいたんだろう。会話でしか見えてこない真実もあるというのに哀れな奴だ。
「なにそれ…友達が少ないって台詞あんたにだけは言われたくないわよ!」
「ッハ、こう見えても俺は友達多いぜ、今回お前と組んでやったのも皆から取り残されてオフィスをうろちょろしてたからさ。
 お前傍から見てても結構寒いんだよ、一匹狼気取りの迷子犬ってことにそろそろ気付けよな」
「なんですって?…」
「世俗から蚊帳の外だった理由を説明しろって言ってんだよ。お前、小学生で不登校だったのかよ」
心の毒を口に乗せて出している感覚だ、とても気分が良い。
強気で皮肉屋な白瀬は悔しそうに下唇を噛み膝の上で拳を握っている。
こいつと口喧嘩をしてもいつも敗者は俺だった。でも今日は勝てそうだ。
人間としてあまり良い傾向とはいえないがそれが楽しいし嬉しい。何よりいい気味だ。
「だから……」
「大体労働者は馬鹿だって言ったけどお前も労働者だろうが。
 そういう民衆なのに民主主義を苔にしたり、体制側の意見に格好付けて同調する奴は俺は大っ嫌いだね」
最大限の侮蔑を込めて言ってやった。白瀬の目鼻立ちの整った顔が徐々に崩れていく過程が堪らない。
言いたいことは溜め込まないで言うに限る。
「…だから……ちがうってばぁ……」
嘘泣きは女性被疑者が調書の作成を妨害するために使う良くある手だ。
「うぅ……っひ…」
「泣き真似だってのは分かってる。うざいだけだから今すぐ止めろ」
このまま置いていってもいいのだがそれでは周りの年に1度しかない観戦の邪魔になってしまう。
そもそもこいつが本当に泣く訳はないのだが一応泣き止ませた方が良いだろう。
「…聞いてるか?」

577:名無しさん@ピンキー
10/09/01 00:35:47 pYZtdwuD
「ほ…ほんとに…っひ……おぼえてないのに…ぅ…ひどいよぉ…」
「とりあえず泣き止めよ。色々と支障がでるだろ」
ボストンバックを探ってみるがハンカチとティッシュは常備していない。
嘘の涙だとしてもガンパウダーが染みついた布を顔に当てたくはないだろう。
パンフレットもスケジュールが載ってるため渡すのは無理だ。どうしたものか。
「……知らないって本当?」
「う…ぅん…」
なんとなく聞いた一言に随分としおらしい声で返答がされた。それに興奮した罰か周りの視線が刺すような物に変わっている。
小学校の頃と同じだ。女子を泣かせると周りから非難の声が轟々と浴びせられ、終わりの会という名の延長戦で皆から痛めつけられる。
それだけはゴメンだ。嘘泣きだということをこの観衆の前で証明しなければ。
「文献は…調べた?」
「しらべた……でも…そんなの……の…のって……ないし…」
「それは…まぁそうか。ステガノグラフィーでJpegにファイル変換されてるしな」
「な…なんで……しらないのか…わかんないのに……そんな……ひっ…ひどすぎるよぉ!」
「いや……その年代で知らないなんて聞いたことないからさ…てっきり嘘ついてるのかと…」
当時皆の携帯に出回っていた紛争地域での首切り動画も知らないのだろうか。
「うるさい!どっかいけぇ!」
「そ…それは無理だって、監視の任務があるだろ」
「もういい!もう顔も見たくない!あたし一人でやるからとっとと帰れ!」
まずいまずいまずいまずい。白瀬と喧嘩したため任務遂行不可能でしたなどとあの人に報告すれば俺が血を見るのは明らかだ。
女を泣かせるな、なんてことをあの人が言うはずはないが泣き止ませるのもスパイの器だとかは言ってくるかもしれない。
もっともだ。早く関係を修復して隊長には黙っていてくれるようお願いしよう。
「ごめん。お前…君があんまりプロペラ団を擁護するからさ、ちょっと腹が立って」
違う違う。これでは逆効果だ、冤罪の場合まずは自分の非を詫びなければ。
「そうじゃない…。分かって貰えなくて嫌になって、自分の意見を押し付けようとしたんだ。
 あんなこと言うなんてどうかしてたよ。本心じゃないんだ」
そう言ったが返答は無く、白瀬はそっぽを向いて目尻を拭うような仕草を見せている。
謝罪では彼女に許してもらうことは難しいかもしれない。別の策を考えたほうがいいだろう。
「腹減ったろ?外野の1階席に売店があるらしいからさ、そこで何か買ってくるよ」
これで良いはずはない。白瀬はカレーや焼きそばといった男性向けのメニューを思い浮かべているかもしれない。
「焼き鳥とかラーメンだけじゃなくてソフトクリームとかクレープもあるらしいからさ…何が良いか教えてくれ」
相手に意見を求めても返答は無い、そういう時は辛いものだ。心臓がうるさくなり体から汗が噴き出ししてくる。
緊張してるのかもしれない。今は日差しが雲に遮られており体感温度は下がっているからだ。
空に広がる雲もうっすらとだが黒色だ。この様子だといつ一雨きてもおかしくない。
「行ってくる、適当に選ぶぞ?」
立ち上がって言葉を掛けるが背を向けたままだ、それでもいつまでもここにいても意味が無い。
白瀬の目の前を通り、売店へと続く広い通路へと歩いていく。周りの視線が若干気になるが気にしたら負けだ。
この傾斜がきつく横幅の大きな全長の長い道を歩けば歩くほど、俺に侮蔑の視線を送る観客たちのホットゾーンからは離れていく。
Pin Σ=φ/(|Xi-Xn|+|Yi-Yn|)f だ。これならあの席に渦巻く侮蔑という感情から離れていく引き算ができるはずだ。
それにちょっとしたフィルダースチョイスじゃないか、女の心はナックルボールみたいに不規則でよく分からない。
「…やめよう」


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