10/08/23 01:20:37 6QhxyK6b
なぜ奏の人気が高いのだろうか・・・?
俺は岩沢さえいてくれればそれでいいんだが
426:名無しさん@ピンキー
10/08/23 01:32:41 IHfAEeLb
>>425
そんなことここで言われてもw
二期はないと思うけどゲーム化とか
他の媒体ならあるかもね。テレビアニメでやってくれるのが1番いいけど
427:名無しさん@ピンキー
10/08/23 08:13:00 kuQKylUn
奏はあれだ。綾波とか長門みたいなもんだ。
428:名無しさん@ピンキー
10/08/23 18:29:24 RUAYkP3K
なんかキモオタのコピペ思い出したw
コポォとか笑う奴
429:名無しさん@ピンキー
10/08/23 21:20:14 wfxC5mfI
>>418
『値段が付けられないので・・・・』って店員さんに言われちった
430:名無しさん@ピンキー
10/08/23 21:32:04 RUAYkP3K
>>429
店員分かってるなぁ~ww
431:風と木の名無しさん
10/08/23 22:27:54 XWAVe+vt
前の人途中だからかいちゃ駄目っすよね
432:名無しさん@ピンキー
10/08/23 22:40:08 RUAYkP3K
書けよ
速く
頼む
433:名無しさん@ピンキー
10/08/23 22:46:10 XWAVe+vt
じゃあ、卒業式ネタ。
エロなし•カプ無しのただのネタです。
キーボードじゃないんで遅くなります
434:~卒業式~ 1
10/08/23 23:28:07 XWAVe+vt
日向視点。
卒業式も一通り終わり、直井、ゆりっ
ぺがこの世界から旅立った。
「じゃ、次は俺がいく。かなでのこ
と、よろしくな」
音無が言った。
「ああ。•••短い間だったが、お前と
居た時間は、すげぇ楽しかったぜ」
本当に、本当に短かったな。
そして、音無はかなでちゃんに向か
って、
「かなで、かなでもいままでありが
とな。また会えたらその時はよろしく
な」
かなでの手をそっと握ってそう言った
「結弦、」
「•••。じゃあまたあえたら。•••2人と
も•••大好き、だ」
音無の最後の顔はどこか照れたような
でも、少し悲しげで、
それでも晴れやかな表情だった。
•••。
しばしの沈黙。
3分くらい経っただろうか。
「卒業式、楽しかったか?」
きいてみた。
「•••うん」
笑顔で答えたが、嬉しそうな声ではな
かった。
435:~卒業式~ 2
10/08/24 00:04:30 0pOrXJkb
「どうした•••?」
不安な思いがこみ上げてくる。
「ううん、どうもしないわよ。ただ•••
」
「ただ?」
「•••最後は悲しいのね」
「•••そうだな」
新しい人生を歩み始めたんだ、みんな
この娘も、そうしてやらないと。
「な、なぁ。かなでちゃんの•••その、
未練って•••なんだ?」
「••••••」
「ああ、むっ無理していわなくても」
「ありがとう」
「は?」
「私は心臓が弱くて•••」
ふぅん。まぁか弱そうな感じだもんな
「そして、心臓移植をすることになっ
た」
移植、ねぇ。
「その、心臓をくれた命の恩人に感謝
出来なかったのが、私の唯一の不幸」
「えっ、でっでもその•••恩人•••は」
436:~卒業式~ 3
10/08/24 02:45:55 0pOrXJkb
「そう。今はここにその恩人はいない
。命をくれた恩人にありがとうって言
えない•••」
「今はって•••恩人ってまさか•••」
音無、なのか?
「結弦よ」
なんで•••
「なんでそんなことが、わかるんだ?
」
「結弦がこの世界に来た時、私が胸を
ひと突きしたの、みてた?」
あぁ、あれか。
俺はこくりと頷く。
「結弦には、心臓がなかった」
心臓が、ない。
俺は冷や汗をかいていた。
「結弦が記憶を取り戻したのは、私の
胸の上、自分の心臓の音を聞きながら
眠ったから。」
そうだったのか•••
~~~~~~~~~~~~~~~
「日向君、いきなりなんだけど•••
私は結弦のこと、すきなのかもしれ
ない」
顔を赤くして言った。
好き、ね。
「音無も、お前のこと好きだったんだ
ぜ」
かなでちゃんは目を丸くした。
「本•••当•••?」
「あぁ、本当だ。」
「結弦•••」
なんか、音無の話してたら、俺も
音無の後、追いかけたくなってきちま
ったよ•••
音無•••また会いたい•••
「わたしは一人でも大丈夫よ。」
ぅおっ、心よまれてた•••
「でも•••」
一人だと流石に可哀想だ。
「いいのよ。わたしは天使。見送るの
が役目」
笑顔でいわれてしまった。
ここは、甘えるか•••
「じゃあな。」
かなでちゃんと握手を交わし、別れを
告げる。
「はい」
••••••そして俺も新たな人生へ歩みだし
た。
437:~エピローグ~
10/08/24 02:49:50 0pOrXJkb
日向君も、逝った。
私一人、体育館の中だ。
私は、待つ。
音無君のことを。
ずっと、
ずっと、
永遠に。
438:名無しさん@ピンキー
10/08/24 02:53:46 0pOrXJkb
駄文サーセンでしたorz
439:名無しさん@ピンキー
10/08/24 02:57:52 0tnqshSj
乙してやんよ!
440:名無しさん@ピンキー
10/08/24 04:09:13 0pOrXJkb
>>437って音無君じゃなくて
結弦だったな。
441:名無し.co.jp
10/08/24 22:17:22 SxY6MrPa
続き投稿します。続きは木曜日か金曜日に投稿します。あ~受験生って面倒だな毎日が疲れる。
442:名無し.co.jp
10/08/24 22:22:16 SxY6MrPa
そしてついていった教室に入ると本当の奏がいた。奏は信じられない物を見たようになりNPCも唖然としていた。
教師「えっと…あなたは」
沈黙になった教室でようやく教師が口を開いた。それは当然の疑問だなぜなら同じ教室に瞳の色以外全く同じ人がいるのだから。
奏(赤)「今日転校した立華奏の妹です。」
音無(なにぃぃぃぃぃぃぃ)
そう叫んでしまいそうなのを必死に耐えて心の中に留めた。っていうかそんな嘘通じる訳ないだろう!
教師「そうですかわかりました。」
NPCA「へー生徒会長に妹がいたんだ」
NPCB「姉と違って明るい子だな」
NPCC「そっくりだな~双子なのかな」
なんだこいつらの順応性の高さ…高過ぎだろ誰か1人ぐらいツッコメよ
奏「あなたどうして…」
奏(赤)「さぁ……」
そう言って奏(赤)は俺が座ろうとしていた真後ろの席に座った。1時間目は数学だった不真面目にしていたら何を言われるかわからなかったから真面目に授業を聞いていると。
443:名無し.co.jp
10/08/24 22:24:10 SxY6MrPa
奏(赤)「ねぇ…結弦って結構頭いいんだね」
音無「いいのか…仮にも生徒会長の妹が授業中に駄弁ってて」
奏(赤)「いいんじゃないこの前に結弦と日向君が駄弁ってたし」
音無「それとこれは話が別だろ」
奏(赤)「何処が違うの?」
音無「それはお前の立場じ(ry」
奏(赤)「奏」
音無「え?」
奏(赤)「あなたが私の事奏って呼んでくれたらやめる」
音無「わかったよ…奏」
奏(赤)「うん」
そう言って奏は満面の笑みを浮かべてた
教師「もう少し静かにできますか」
奏(赤)「ごめんなさーい」
こっちの奏は凄い上機嫌になったみたいで普段なら絶対にしない態度をとっていた。普段こんなことをしないせいか内心ドキドキしていた。
444:名無し.co.jp
10/08/24 22:24:52 SxY6MrPa
奏と話す為に体を後ろに向けていた体を前に向けると物凄く不機嫌そうな奏が目にとまった。表情はいつもと変わらないのに背中から黒いオーラがにじみ出ている感じだ。
そうして午前中が終わり昼休みとなった俺は今の内になんであの時の奏が現れたか聞こうと思い席に向かおうとすると。
『生徒会長の立華奏さん至急生徒会室に』
『生徒会長の立華奏さん至急生徒会室へ』ピンポンパンポーン
この声ゆりか…そうだよな知りたいのは皆同じだもんな。昼飯ついでに奏から話しを聞こうと思ったんだが。機嫌が悪いみたいだし・・・って何落ち込んでんだ俺は本題は何故奏がハーモニクスを使ったかだろ。
そう自問自答していると奏(赤)が
奏(赤)「ねぇ…結弦の為にお弁当作って来たんだけど屋上で食べない?」
445:名無し.co.jp
10/08/24 22:26:18 SxY6MrPa
音無「は?」
今こいつは何て言った…お弁当を作ってきた何故、俺に食べて欲しくて…
奏「………………」
その時奏は1人生徒会室に向かった
―生徒会室―
直井「何で僕もここに来ないと行けないんだ」
ゆり「生徒会副会長の立ち会いがいるかなって前見たいに」
直井(くそ…音無さんと学食で食べようと誘おうと思っていたのに)
直井「はやく終わらせるように」
奏「わかってる」
ゆり「奏ちゃん…何か急ぎの用事でもあるの?」
奏「何でもない」
ゆり「そうじゃあ最近ハーモニクスを使った」
奏「使ってない」
ゆり「じゃあアブソーブは」
奏「もう試した」
ゆり「わかった…最後にまたあなたの部屋に入ることになるけどいい」
奏「わかった」
ゆり「ありがとう…竹山君お願い」
竹山「了解あとクライ(ry」ガチャ
ゆり「もういいわありがとう…奏ちゃん」
奏「ううん…いいの」
446:名無し.co.jp
10/08/24 22:27:15 SxY6MrPa
―屋上―
奏(赤)「おいしい?」
音無「えっ…ああ」
奏(赤)「そう…良かったこういうの初めてだから」
音無「なぁ…何でお前はここに居るんだ」
奏(赤)「私じゃあ…だめ?」
音無「え?」
奏(赤)「私じゃあだめなの…私だってこんなにあなたの事」
そう言って奏(赤)はどんどん顔を俺の顔に近づけて来た。その時屋上のドアが開く音がしたが顔のすぐ前に奏(赤)の顔があるせいで見えなかった。そして、俺と奏(赤)はキスをする形になった。
奏「結弦…」
聞こえた時誰が来たのか直ぐにわかった。俺の事をそう呼んでくれるのはあいつしかいない。
音無「奏……」
奏は俺と目があうと何処かに駆け出していった。
音無「奏っ」
俺は直ぐに奏を追いかけた。後ろから「待って…」と声が聞こえたがただ俺は奏を探しに行った。
447:名無し.co.jp
10/08/24 22:28:43 SxY6MrPa
今日はここまでです。長々とだらだらと駄文をすいません。
448:名無しさん@ピンキー
10/08/24 22:32:01 QJCtJjqo
リアルタイム乙!
449:名無しさん@ピンキー
10/08/24 23:40:46 p2hBQjKJ
GJ
450:名無しさん@ピンキー
10/08/24 23:55:36 QMTTWeMt
gj!エロも募集!
451:名無しさん@ピンキー
10/08/25 04:10:49 drQZOUxk
下げようぜ。
メール欄に sage
あと、受験生とかあんまり書かない方が良くないか?全年齢板じゃないし。
何が言いたいかというとGJ
452:名無しさん@ピンキー
10/08/25 05:46:40 j980ZVY3
>>407
すまん
別のトコのssとかこのスレのssとか
投下しててそっち手つけてなかった
453:名無しさん@ピンキー
10/08/25 11:06:58 INH4Njfc
>>452
よし、今から頑張ってくれ
音入は好きなんだ!
454:名無しさん@ピンキー
10/08/25 22:30:15 FB5H6W06
>>452
超ガンがれ!
455:名無しさん@ピンキー
10/08/26 19:26:22 TIr18Hb+
>>358の続きです。
グダグダ感抜群です。
456:Love Me Tendar
10/08/26 19:27:42 TIr18Hb+
そろそろ日が傾き、空一面が茜色に覆われる時間帯。
あたしは今日もここ、屋上に来ていた。人気のない場所なので、一人になりたい時は絶好の場所だからだ。
風景を見渡せるように、手すりに身体を預け、自販機で買ってきたKeyコーヒーを煽る。視界に入ってくるのは、下校したり、部活の片づけをしているNPCたち。
「ふぅ…」
残っているコーヒーを一気に飲み干し、溜め息を吐く。
…今日も、ダメだった。
自爆してから結構日が経つが、相変わらずなんの進展もない。あるのは、遊佐さんの暴走度の上昇と、日に日に募っていく音無くんへの想いだけ。
ここ最近のみんなの反応を見た限りだと、遊佐さんは誰かにバラした、ということはしていない気がする。一応あたしたちだけの秘密ということで、約束は守ってくれてるみたい。
でも、そんなことよりも真っ先に浮かんでくるのは音無くん。
胸の前で拳をギュッと握る。
そして再び走る、胸の痛み。
一瞬だけ息ができなくなる。
苦しい。
痛い。
つらい。
次々と襲ってくる負の感情が、苦痛という名の悪魔に姿を変え、あたしの身体を蝕んでいく。それは、あたしが彼のことを考えれば考えるほど勢いを増していき、激痛を走らせ、心に悲鳴を上げさせる。
近頃はタイミングが悪く、音無くんとはまともに会話できていない。
音無くんは戦線の男子の中では人気が高いから、ほかの戦線内の女の子からも結構話しかけられている。そのまま会話が弾むことが多く、音無くんはあたしに気づかずにほかの女の子のところへ行ってしまう。
彼の姿が見えなくなると、胸の中に大きな空洞を感じる。虚無感とでも言うのか。
同時に湧き上がってくる、恐怖。
彼のことを想うと嬉しいはずなのに、身体が震え、悪寒が走り、怖くて、つらくて、悲しくて、痛くて。
好きなのに。こんなにも彼のことが好きなのに。頭の中が音無くんでいっぱいなのに。それに矛盾する形で襲い掛かってくる恐怖に、あたしはおびえている。
457:Love Me Tendar
10/08/26 19:29:40 TIr18Hb+
「あはは……。滑稽ね、滑稽だわ」
そのまま重力に従って、地面に腰を下ろす。
こんな時でも脳裏に浮かぶのは、やっぱり音無くんの顔。
あたしはこれから、どうすればいいのだろうか。やはり、告白しかないのだろうか。
でも、見ている限り、あたし以外にも音無くんに好意を寄せている女の子はたくさんいる。
最近は好意が顕著に現れてきている関根さんと入江さん。あの二人、音無くんと一緒にいる時は一段と嬉しそうな表情(かお)をするし、若干過激なボディタッチをしているところも何度か見たことがある。
椎名さんは、時折集中力を高める訓練に付き合えという形で、音無くんを誘っている。
ひさ子さんも、よく彼を麻雀に誘っているようだ。
爆弾発言をしたけど、本気なのか冗談なのかよくわからない遊佐さんも、ちょくちょく音無くんと二人きりでご飯を食べているところを見かける。
音無くんをからかって遊んでいるのかどうかはわからないけど、恋人同士がやる、いわゆる「あーん」なる行為をやっていた時もあった。無論、音無くんは狼狽していた。
最後に、かなでちゃんでさえ無表情を装いながらも、普段からチラチラと音無くんを盗み見たり、まるで妹が兄にじゃれ付くような感じで甘えてくることがある。
漫画かなにかで知ったのか、さすがにツイスターゲームとか、二人で王様ゲームをやりたいって言った時は驚いたけど。
ちなみにこの件に関しては、音無くんにTPOを盾に取られたため、未遂で終わっている。念のため。
ユイは日向くんとラブラブの相思相愛だから、音無くんにはただの先輩として接しているので問題ないだろう。
直井くんは……キモいわね。この前なんかパンツ1枚で、音無くんの部屋で彼が帰ってくるのを待っていたようだし。彼、本気でコレっぽいわ。
仮にここが現世だったら、真っ先に警察に突き出すけどね。だって変態だし。
458:Love Me Tendar
10/08/26 19:30:14 TIr18Hb+
最後はともかく、みんな多かれ少なかれ彼のことが好きだということが窺える。しかもみんなかわいいし、彼女にしたら楽しくなると思う。同性のあたしから見ても、彼女たちが魅力的なのは百も承知している。
対するあたしは暴力的で、ガサツで、かわいげもないし、誇れるものがなにもない。戦線のリーダーという肩書きこそあるものの、今回に至ってはなんの役にも立ちはしない。
かなでちゃん、遊佐さん、椎名さん、ひさ子さん、入江さん、関根さんと、こんなにも選り取り見取り状態なんだから、わざわざその中からあたしを選ぶなんて、まずないだろう。
そもそも音無くんからあたしに告白してきてくれる確率はほとんどゼロに等しい。
仮にあたしから告白してフラれでもしたら、友人に戻れなくなるどころか、彼が戦線自体から去ってしまうかもしれない危険性だって孕んでいる。
「う……っく…」
最悪の結末を考えた末に、漏れる嗚咽。この世界では泣いたことなんてなかったのに。
でも、あたしの意志に反して、瞳からは涙がポロポロと止め処なく零れ落ちてくる。
それだけは、嫌だ。
あたしは、彼と一緒にいたい。
離れたくない。
側にいたい。
別に彼のいちばんになれなくてもいいから、せめて、あたしの近くにいて欲しい。
好きじゃなくていいから、嫌いにならないで…。
あたしの前から、いなくならないで…。
やっぱり、今の関係を壊さないためには、現状維持しか、ないのかもしれない…。
ならばあたしのすることはただ一つ。
この想いを胸の奥底に封印すべく、心にカギをかける。
固く、しっかりと。
459:Love Me Tendar
10/08/26 19:30:43 TIr18Hb+
「ゆり、おまえ顔色すごく悪いじゃないか。どうしたんだ?」
「……平気よ。なんでもないわ」
「でも…」
「大丈夫よ。ちょっと、顔を洗ってくるわね…」
席を立ち、怪訝な表情を浮かべる音無くんを通り越した刹那――。
―あれ?
フラり、と強烈な立ちくらみに襲われ、身体が傾く。
突如視界がぼやけ、周りの景色がブレ始めてきた。
「ゆり?」
手で顔を覆うも、一向に症状が治まる気配はない。
ああ、なにやってんだあたしは。
戦線を纏めるリーダーなのに、自分の体調管理を怠るなんて、バカ丸出しじゃない。
音無くんやほかのみんながなにか言ってるけど、意識が遠のきかかっているあたしには聞き取れない。
ごめん……みんな。
とうとう足の力が抜けてあたしはそのまま前のめりに倒れ、ゆっくりと意識を手放して闇の中に沈んでいった。
460:名無しさん@ピンキー
10/08/26 19:34:04 TIr18Hb+
今回はここまで。
あと数回ほど続くので、もうしばらくお付き合いしてくれると幸いです。
461:名無しさん@ピンキー
10/08/26 19:51:29 RNMYT6Zt
リアルタイムgj
462:名無しさん@ピンキー
10/08/26 20:24:13 xfr3IIvI
GJ!ゆり元気になればいいなぁと思った。
ときに、需要あるか分からないけど迷惑がないようだったら明日にでも関根×岩沢出す
混み具合(どうなるのか分からないけど)によっては明後日にしてみる
463:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:24:31 iQfVGuna
エロパロ版でエロ無しってのもどうかと思うけど投下します
初投稿なんで暖かい目で見守ってくださいww
23:50からちょいちょいアイディア貰いましたー
設定は、現実世界、ユイは現在ニート。てか日向に養ってもらってる。ガルデモは五人。記憶はないけど体が覚えてる。ユイにゃん元気。ユイ↓にゃん↑☆
464:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:25:38 iQfVGuna
「♪…幼~い~日々にっ見・つ・け・たっ、深い闇に…♪」
重いギターケースを背負いながら、街中を歩く。
今日は所属しているガールズバンドのスタジオ練習だった。
バンド名は『Girls Dead Monster』通称、ガルデモ。
このバンド名について岩沢さんに不思議な話を聞いたことがある。
バンド名を決める時にメンバーがそれぞれ案を紙に書いて一斉に見せあったらしいのだけれど、不思議なことに全員の紙にこの名前が書かれていたそうだ。
その話を聞いた時は流石にびっくりしたけれど、でも私がこのバンドに名前をつけるとするなら、きっと私もそう名付けるだろう。なぜかは分からないけど、そんな気がする。
岩沢さんに出会ったのは私が音楽の世界に入る前のことだった。
高校に入って、これまでなんとなく入ろうとしてこなかった部活に入ることを決め、けれどいざ入ろうとすると自分が何をしたいのか、何が出来るのか分からなくて。
そこで巡り合ったのが軽音部だった。
465:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:26:22 iQfVGuna
当時、特に音楽に興味を持っていなかった私は、軽音部っていうくらいだからきっとカスタネットとかを演奏するんだろう、なんて思ってて。
見学に行って愕然とした。
世界が開けた気がした。
こんな綺麗な世界があったんだって。
そのあと、色んな部活に仮入部してみたけど、結局私は音楽室のドアを叩いていた。
こうして、私は今も歌っている。
466:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:27:06 iQfVGuna
あ、そういえば日向先輩に会ったのもそのころだったっけ。
昼休憩に岩沢さんと一緒にお昼食べようと思って行ったら、岩沢さんと音無先輩、それに日向先輩が三人で話してて、結局4人でお昼食べることなって、それから日向先輩とも話すようになったんだ。
なんかこう、頼りないな~ってのが第一印象だったのは覚えてる。
けど、なんか気になって。
いつしか、『岩沢さんのついで』に話すんじゃなくなってた…
……ナニコレめちゃくちゃはずい!
467:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:27:48 iQfVGuna
そ、それにしても、岩沢さんはやっぱり凄い。
ヴォーカルとしての技術も、ギターとしての技術も、私よりずっとずっと上手い。
…ずっと追いつけないんじゃないかって、ホントに私なんかが一緒にやってていいのかって思ったことも何度もある。
けれど、そんな風に私が落ち込んでた時、日向先輩が言ってくれたんだ。
「俺が聞いてやんよ!」って。
…あの時は、嬉しかったな。
468:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:28:20 iQfVGuna
そ、それに、世の中には頑張りたくても色んな事情で頑張れない人達がいるのに、頑張れる私が頑張らないのはそういう人達に失礼だ。
むしろ、私が頑張って歌を歌うことで、そういう人達に元気をわけてあげたい。
「よっしゃ!頑張りますか!」
そうとなれば早く帰って練習しなくちゃっ!
ずれてきたギターケースのストラップをかけ直し、心地よい疲労感を背負いながら、私は帰路を急いだ。
469:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:29:26 iQfVGuna
先輩に貰った合鍵を使って家の中へ。
「ただいま~」
日向先輩は…まだ帰ってないか。
とりあえず洗濯物を取り込みにかかる。
家事は二人でローテーションを組んでやっているのだけれど、洗濯だけは私がしている。
というのも、前に日向先輩に洗濯を任せた時、なぜか、洗濯バサミを上に掲げながら『洗濯バサミ最高!』なんて涙を流しながら土下座で言ってたからだ。ぶっちゃけ意味わかんない。
…一緒に暮らし始めるようになってから気づいたけど、日向先輩は時々おかしい。いや、むしろ時々マトモなのか。
こないだも、『ひっなひなにしーてやんよー!』なんて叫んでた。なんでだ。病院が来い。
(…まぁ、そういうとこも含めて好きになったんだけど、さ)
……顔が熱い。
ベッドに倒れ込んで枕に顔を押し付けた。
470:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:30:26 iQfVGuna
…頬に柔らかな感触。
くすぐったくて逃げるように寝返りをうつ。
…しばらくして。
唇に柔らかな感触が。
「ん…んぅ」
苦しくて目が覚める。
目の前には日向先輩の顔。
…は?
「どぅえぇぇぇ!?」
驚いてベッドの端で俯いて縮こまる。
(なんで?え、なんで?いやそりゃ恋人だしそういうことするのも当たり前だしだけどだけどっ)
「な…なんで…?」
かろうじて声が出た。
「ん?なにがだ?」
先輩は妙に元気だ。
「その…キス…」
「そんなの決まってるじゃねぇか」
先輩はニカッと笑って。
「ひっなひなにしてやんYOー☆」
ウィンクしながらそう言った。
…………
……
とりあえず、股間を蹴り上げて失神させ簀巻きにした。
さ、家事しなくちゃ。
471:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:30:51 iQfVGuna
しばらくしたら先輩は起きた。
どうやらおかしかった時の記憶はないらしい。
厄介なもんだ。
まぁ簀巻きにしとくのもかわいそうなんで解いて上げた。
「それにしても、カップ麺も食べ飽きましたね~」
ずるるっと啜りながら私。
先輩は食べる手を止めて、
「文句あるなら食わなくていいぞー」
そう言って私からカップ麺を取り上げようとする。
「た、食べますよ食べますって」
しかし…一ヶ月カップ麺だけってのは酷いと思う。
むしろ、ここまでよく耐えた方じゃないだろうか。
「先輩は料理出来たりしないんですか?」
とりあえず話を振ってみる。
「俺がかぁ?家庭科でやったことはそりゃあるけどなぁ…」
若干渋るような口調の先輩。
ここは…もう一押しですねっ
「ユイ、先輩の手料理食べてみたいですっ☆」
上目づかいでおねだり+ウィンクだ。
これなら先輩も断れないだろう。
てか、ホントもうカップ麺食べたくない。無理。マジで。
「俺の?はっ無理無理。めんどくさいっての。」
うわこいつ断りやがった。
とりあえず近くにあったスリッパで頭殴っとく。
「ってぇ!つか、むしろ料理はフツー女がするもんだろ!お前がやれっての」
「そりゃ出来ますけど…男女差別反対ー」
「出来るんならやりゃいいだろが」
えー。
「だってメンドいじゃん」
無言でスリッパで頭はたかれる。
「何すんだコラァ!」
「これでおあいこだろ」
したり顔で先輩。
「ふっざけんな!乙女の頭はたくなんて5倍返しされても文句言えねぇぞ!」
「はっ…どこに乙女がいるんだっての」
ムカついたので連打してやった。
「うぉ!八発も殴りやがって!上等だこのアマァ」
「こっちこそ!殴られた回数数えてるちっせぇ男に負けるかっての!」
………
……
…机の上のカップ麺は、すっかり伸びていた。
472:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:33:31 iQfVGuna
以上です^^;
駄文でホントすんません・・・
ちなみに自分のblogの方でも掲載してるんですが
いろんな人からの評価欲しかったんで投下しました
なんで批判でもおkいやむしろどんどん批判してください(ドMェ・・・
お目汚しでスンマセンでしたーノシ
473:名無しさん@ピンキー
10/08/26 22:00:45 dqNt1Q5o
>>459
弱きなゆりかわいいな、GJなんだかんだで音ゆり好きだから応援してるぜ
>>472
ユイにゃんニートwGJ
やっぱこの二人いいな
474:名無しさん@ピンキー
10/08/26 23:00:09 rOvMAHuD
>>473
本編で観れなかった分音ゆり展開にもえまくりです
>>472
GJ ともに料理しない~♪
けんかっぷるかわいい!
これ読んで音無×岩沢と日向×ユイの4人組もいいと思った
475:名無しさん@ピンキー
10/08/26 23:00:54 rOvMAHuD
間違えた>>473じゃなくて>>459だ
連投スマソ
476:名無しさん@ピンキー
10/08/27 19:36:17 hz5X1yGC
予告ですが関根×岩沢約8000字で20:00ころ投稿します
477:関根×岩沢
10/08/27 20:00:50 hz5X1yGC
彼女たちの活動に昼も夜もないが、しばしば支障をきたすことだってある。
その原因はおもにゆりによる突然の動員であることが多い。
ミーティングでは陽動部隊としての平時の在りかたと作戦時の在りかたを問われ、
もし即答できないようなことがあらば、特製のマニュアルを手渡される。
NPCとのほどほどの対話の仕方から、天使との距離を確保するための対策法、
緊急時の集合場所がマークされた連絡通路網の図面や、いざというときの日向の使い方、
はたまた下衆に襲われたときの金的のつぶし方まで載せられている大変な指南書だ。
とはいえこの度はそのゆりはまったく関係がない。
彼女たちは機材の損傷によってその活動を阻まれていた。
「ちっ、あーいっちまったか」
アンプから音が出ない。その原因がシールドの断線であることを見て取ったひさ子は、
ジャックからシールドを引き抜いて早々その交換をしようとした。
部屋の隅に置いてあるプラスチック製の箱の中には、マイクやケーブルの類が収められている。
が、今日は何かが違った。
「替えなくなってるじゃねーか。どういうことだよ。
関根、入江、おまえら何か知ってる?」
「そうなんです!あたしも思ってました。
そこで気の利くあたくし関根めは三日前に購買部に取り寄せを頼んでおりますよ」
「んじゃ明日ごろには届くか。関根、感謝するよ」
「褒められるなんてめずらしいね、しおりん」
478:関根×岩沢
10/08/27 20:02:17 hz5X1yGC
違和感を覚えてはいたがひさ子の切り替えは速い。
軽めのフィンガリングトレーニングから、横移動、縦移動のフレーズ、
ペンタポジションの確認や弦飛び、エコノミーピッキングなど、
生音ながらも流麗に弦を弾き始めていた。がしかし、
チョーキングやビブラートの練習に差し掛かったときに諦めた。
「感じ出ないからやめだ、卓囲んでくる。
それにしても一本もねーとはな。まさかだよ」
「行っちゃうんですか?」
関根の問いかけにそれじゃ岩沢によろしく、とだけ答え、
藤巻たちが暇をもてあましているであろう男子寮へと向かった。
と、バンドの要であるひさ子がいなくなったところで、関根は入江の様子を気にし始めた。
なにやら不具合でもあるのか、入江はバスドラのフットペダルを懸命に踏み込んでいた。
「シャフトがずり落ちちゃっててビーターがヘッドまで届かないんだ。
それにちょっと変なんだよ。チューニングボルトがすごく固い」
「落ちるってことは普通は緩くなってるはずだね。あっちゃーミステリー」
「レンチ?うーん、ハンマーかな」
いつもならケーブル類の箱の横に並んで置かれているはずの工具箱。
が、それも見当たらない。
「そこにあったのなら踊りながらやってきたTK先輩がどこかに持ってっちゃった」
「えぇー! TK先輩どこにいるのかなんて見当がつかないよー」
「松下先輩なら知ってるかも。森で稽古してるか藤巻先輩たちと麻雀?」
「だったらTK先輩も麻雀してる?? Oh! I don´t knowって言われたら戻ってくるよ」
「それがいいね」
479:関根×岩沢
10/08/27 20:04:22 hz5X1yGC
小さく手を振って見送ったあと、関根は内心どきどきとし始めていた。
そんな関根の心中を知ってか知らずか、入れ替わりになってやって来たのは岩沢だ。
背中にはストラトの入ったソフトケースを背負っており、その表情は平生となんら変わりない。
彼女はこの場にいない二人のことを口にした。
「ひさ子と入江、用事?」
「野暮用って言ってました。いわゆる隠し事の常套句の一種ですね!」
「そうなんだ、仕方ないか。それよか新曲持ってきたからとりあえず演ろうか。
一度聴かすからその後遊んでみてくれ。あ、入江いない分スリップビート増やしてみて。
それとあたしはひさ子のパートいじってみるからメロディに関してはあまり外さないで」
中止するという考えは彼女の頭の中には片隅にもなかった。
というより、既にチューニングを始めていた。
5フレ7フレのハーモニクスをぽんぽんと鳴らしては指に伝わる振動とその耳を頼りに合わせていた。
「はやっ、お願いだから少しくらい迷ってください」
「ん? どうして? 速ければ速いだけ時間浮くからいいじゃないか」
関根がそわついているのに対し、岩沢は坦々と調弦をしていた。
というより、既に色んなコードを用いて試奏を始めていた。
唐突な、すさまじい破裂音が室内を震わせたのはそんなときだった。
校内を震わせたと言っても過言ではないほどの重低音が轟いた。
「うわっっ、えっ? 4弦?」
480:関根×岩沢
10/08/27 20:05:51 hz5X1yGC
焦った関根が手元に忍ばせていたニッパーで自分の弦を無理やりぶった切っていた。
アンプに繋いでいた状態だったのでその音量は相当なものだった。
外からうるせーぞーという複数の非難の声が上がっていた。
にもかかわらず、岩沢はといえば、いつも通りだ。
「チタンピック使ってかつてないアタック音求めたりでもした?
関根の弾き方ならまだしばらくは使える弦だったろうに、もったいない。
新曲さ、聴かせてから二人ですぐに始めてみたいから張り替え終わるの待ってる。
けどなるべく早く始めよ、日が暮れたら寮に戻らなくちゃならないからアコギ版になる」
「あ、替え弦ありません」と白々しく告げる関根であったが即答された。
「あたしの使え。たまにベースも弾いてるから持ってる。.105inchでいい?」
「え、ええぇっ! そんなの困りますから……」
「あたしは困らないから遠慮する必要ない」
岩沢はギターケースのポケットから4弦を取り出すと、それを手渡そうとした。
なのに関根は受け取ろうとしない。
どことなく手持ち無沙汰になった岩沢だが、
そのとき目敏くも、ペグに残っていた4弦の切り口を注視していた。
目が良くないと分からないが不自然なくらいに鮮やかな断面をしていた。
岩沢は言った。
「……自分で切った?」
「そんなことしたら今後メーカーの方角に向かって足を向けられません!
だからそんな訳ないですって!」
勘が働いた岩沢は、関根の動揺をよそにして彼女のベースケースをあさった。
するとあっさりと替え弦が見つかった。
481:関根×岩沢
10/08/27 20:08:15 hz5X1yGC
「なんだ、やっぱり持ってるじゃないか。今日は練習したくない日とかだったら正直に言ってくれ」
「そうじゃないです……」
「じゃ、巻き直して。それで始めよ、好きな曲からでいいからさ」
ひさ子同様岩沢も気を取り直すのが速かった。
にしても、新曲へのアプローチのことで頭の中が一杯なはずの岩沢が気を使った。
これは普段は有り得ないことと言えた。
そのせいか関根は少しだけ特別な気持ちになっていた。
「どしたー。二人だけじゃ演りたくないとかだったらそれもはっきり言ってくれよ、
あたし言われないと分からないからさ」
関根とは対照的に岩沢はちょっと不安がった。
訊ねた通り、考えようによっては拒絶されているようにも思えたからだ。
そのことは関根も敏感にさとっていた。
「やりたいです、あたし……」
「だったら曲決めてって。ガルデモじゃなくてもいいよ、関根が聴いてる範囲なら多分弾ける」
ピックを人差し指でぴっと弾いた。
退屈からそうしたようにも見えるし、面白がってそうしたようにも見えた。
空を舞ったピックはくるくると回り、それを収めようとして岩沢は右手をぱっと広げた。
そして着地点でしっかりとキャッチ。
と思いきや、
掴んだものの感触は明らかに違った。すべすべで温かだ。
握手というより、指と指とが絡まり合うように握っていた。関根の手を。
ことのほかがっちりと握っていたし、また握られてもいた。
482:関根×岩沢
10/08/27 20:10:32 hz5X1yGC
何故こうなったのか、と頭にはてなを浮かべていた岩沢であったが当然のことながら手を離そうとした。
指を伸ばし、腕を右に振り、左に振り、肘を引っ込めようともしたがそれが上手くいかない。
しまいにはぶんぶんと振ってみた。それでも離れない。
「これだとハンマリングオンとプリングオフだけで演奏することになる。
……それとも歯でピッキングしろってこと? どっちにしても難度上がるよな」
関根は思っていた。なんて音楽キチなんだろうと。
そう思わずにはいられなかった。だが関根はそんな岩沢のことが好きだった。
シールドを断線してストックを隠したのも、シャフトを落として固定して工具を隠したのも、
岩沢と二人きりになるために関根が仕組んだことだった。
「………?」
ふと関根は身を寄せて、わずかに背伸びをしていた。
状況を把握出来ない岩沢はただぽかんとした。
そんな彼女は弱味に付け込まれた。
背中に右手が添えられ、ぎゅっと抱きしめられた。
なおかつそれに加え、そのまま机の上に押し倒された。
「痛い…関根。それにネック反れるかもしれないしボディが傷つく」
「……それならこうすればいいんです」
右手が腰の辺りを回ってストラップがほどかれ、ギターが隣の机にそっと横たわった。
それによって二人の身体はぴったりと合わさった。
熱っぽくなっていた関根は二度、三度、と拙い口付けをした。
それはさきほどと同じく、唇がそっとふれあうだけの淡いものだ。
時計の針の音が、関根の心音と同じくらい強く響いていた。
「どこにも行かないでください、岩沢先輩」
483:関根×岩沢
10/08/27 20:12:44 hz5X1yGC
関根がそれ以上なにもしてこない上に、
そんなに悪くもない心地がしていた岩沢はどうしてよいのやら分からないでいたが、
「どうしてそんなこと……。みんなと演奏してるとき、楽しいってこういうことかもしれないって思うよ。
あたしは音楽を止めない。だからみんなと離れることもない。
もしみんなと離れるときが来るとすればあたしが音楽を止めるような時かな。そんな日来ると思う?」
みんなの方が音楽を止めることもある、という可能性を考慮することを忘れながらも断言していた。
岩沢が音楽を続けることに疑いはなかった。
それでも、関根には言いようのない淀んだ不安が広がっていった。
今までずっと分からずにいた岩沢のことを、急にすべて分かったような気がしていた。
その過去も、痛みも、―訊いたこともない―のに、だ。
それは錯覚と言っていいもの。
だけれどそれは、彼女が知ろうとした岩沢のすべて。
「約束してください。じゃないとあたし、信じません。信じられないです」
「するまでもないよ」
二人は沈黙に身を任せることになった。
身体を重ねて、ゆったりと、食い違いの未来を見つめたまま。
これが恋であったのかどうかは分からない。
恋なんて形のないものだ。
どれだけ切ないまでに深く思いを寄せていたとしても、
関根自身にとっても曖昧な感情だった。
だからだろうか。
それを確かめようとして関根はもう一度岩沢に身を寄せた。
484:関根×岩沢
10/08/27 20:15:20 hz5X1yGC
あと数センチ、というところだった。
拒むでもない岩沢に口付けを交わそうとしたそのとき、
部屋の戸が無造作に、力強く、ガラリと開かれた。
「貴様ら、ゆり……」
闖入者は野田だ。
少し不思議な光景だな、と思った程度なのかもしれない。
どう思ったのかはさておき、彼は彼女らに淀みなく尋ねなおした。
「貴様ら、ゆりっぺのことをどう思っている」
目撃されたとしても野田ならばなんら問題はない。
むしろそのまま続けても気付くかどうかといったところだ。
「ときどき使いっぱにするのはやめてほしーです」
「いざというときに頼りになるやつ」
野田は「そうか」とだけ言うと即座に帰っていこうとした。
だがその真意を測りかねて関根が訊いていた。
「意味分かんないよ?」
「ゆりっぺに頼まれたアンケートだ。邪魔したな」
はたしてこんな風に訊きまわってちゃんとした答えが得られるのだろうか。
野田はちゃんと記憶したのだろうか。
それに万が一のことだけれども、余分なことを言ったりしないだろうか。
関根は色々疑問を抱きながらも彼の帰り際にひと言を告げた。
485:関根×岩沢
10/08/27 20:17:55 hz5X1yGC
「あと人選間違ってると思います、と伝えてください」
もちろん野田はそれに気付くこともなく、乱暴に戸を閉めて立ち去った。
関根は緊張していたが、自然をよそおって野田と応答する程度のことは出来ていた。
密着していた身体もそれとなく、いつの間にか離していた。
「変わってるけど面白いやつだよなー」
岩沢はそう呟いて微笑を浮かべていた。
だが関根は、繋いだままの左手を見つめて無条件反射的に呟いていた。
「岩沢先輩、変わってるのはあなたもです……」
「ん? 何か言った?」
※ ※ ※
わずかな間だけ分かった気がしていたあたしが、時が経った今、
心から信じることのできる先輩の唯一つの面影。
譜面台の上にある、あたしの拠りどころであるスコア―
演奏を終えたとき、岩沢先輩のその頬にはひとすじの涙が零れ落ちていた。
少なくともあたしにはそう見えた。
誰よりも先輩のことを理解しているつもりだった。
でも先輩は最後まで何も言わなかった。
「……先輩」
486:関根×岩沢
10/08/27 20:20:41 hz5X1yGC
岩沢先輩は目を閉ざして、しばらく立ち尽くして、
そして全身から力を抜いたようにふっと倒れこんだ瞬間に、姿を消した。
約束はしてくれなかった。でも、そんなことするまでもない、って言ってくれたのに。
「あたしよりよっぽど嘘つきだ……」
あたしは泣いていた。知らず、とめどない涙が溢れていた。
※ ※ ※
「―いい?今回は最小限の人数で作戦を行う。作戦決行は本日ヒトキューマルマル」
時計の針は進み、開演の時が差し迫っていた。
「特等席だぜ?」
岩沢は相棒であるアコースティックギターに語りかけた。
ステージ全体が見渡せる舞台中央にスタンドを置き、立てかけていた。
背後のざわめきが少しずつ高まる。
緞帳に向き直り、ストラップを肩に掛け、
ストラトの重みを感じながら毅然として言った。
「時間だ」
メンバー全員の士気を高めようとして、
まだオフになっているマイクの前で気合を入れる。
487:関根×岩沢
10/08/27 20:21:21 hz5X1yGC
「さあ、派手に演ろうぜっ!」
大きなストロークでコードが掻き鳴らされた。
それを合図に幕が開いていく。
岩沢は細やかな運指に切り替えて、前奏を始めた。
歓声が上がるとともに、入江がスネアを十六分で弾いた。
関根も3弦をグリッサンドしてスイッチを入れた。
Crow Songだ。
find a way ここから
found out 見つける
グルーブもぴたりと合い、華やかに盛り上がっていった。
一つ、また一つと歓声が立ち上った。
やがてアウトロに入り、
ひさ子がオクターブ奏法でスライドをかけて締めくくりを迎え、館内が沸いた。
ミスもない、走ることももたることもない、好調な滑り出しだった。
だが残響が止んでから、オーディエンスを見つめていた岩沢が呟いた。
彼女は満たされていなかった。
「どうして?もっと集まってくれ」
―フィードバック音が空間を貫いた。
その瞬間ひさ子は驚きを隠せなかった。岩沢のリフとひさ子の声が重なった。
488:関根×岩沢
10/08/27 20:23:59 hz5X1yGC
「アルケミー!? こんな序盤で……!」
オーディエンスが握り締めた拳を上げて色めき立った。
関根は流れる汗を拭い取る暇もなく、岩沢に沿ってベースラインを奏でていた。
きらめく照明が岩沢を熱した。
最高の時間が過ぎていくことを予感させた。
後方に人がなだれ込み、ほどなくハコは満員になった。
幕間に控えていた遊佐もリズムを刻む。
ガルデモメンバーは会場のボルテージを肌で感じていた。
怒号が響いたのはそんな時だった。
「お前達、大人しく寮に戻れ!!」
最後尾で教師ががなり声を上げた。
近くにいた男子生徒の一人が不平を漏らしたがしりぞけられた。
岩沢はピッキングを強めた。
屈してはいけない。岩沢はそう思った。
音色の違いに気付いた関根はそれに同調して、体全体を弦に託すように揺らした。
後列はもみ合いになっていた。
NPCたちはステージへの道を閉ざそうとした。だが教師は強靭だった。
生徒らを弾き、竹刀で威圧して、中央をかき分けた。
こともなく壇上へと昇り、そして、岩沢たちを拘束したとき、ガルデモの演奏は止んだ。
体育館を埋め尽くした生徒たちは口々に彼女たちの自由を訴えた。
教師は声を荒げて生徒たちを突きはなし、ガルデモへとその矛先を向けた。
関根と入江は悄然としていたが、ひさ子と岩沢は強い意志を保っていた。
489:関根×岩沢
10/08/27 20:27:16 hz5X1yGC
後者二人の反抗的な視線を見て取った教師が、その代償を払わせるべくして言った。
「ふん、これは捨てても構わないなぁ?」
その先には岩沢のアコースティックギターがあった。
「触るな……」
「あん?」
「それに……それに、触るなあぁああああああーーーーっ!!」
岩沢はギターへと飛び込んだ。
気をとられたもう一人の教師にひさ子が頭突きを食らわせた。音響室へと駆け上がった。
追いかけようとした教師は、何かに足を取られた。
フェーダーのつまみが上限まで上げられたとほぼ同時に、岩沢はアコースティックギターを掻き鳴らした。
静寂の館内にその歌声が響き渡った。そこにPC、NPCという隔たりはなかった。
目の前の人々。
オーディション活動と弾き語り時代の岩沢自身。
そして今ある逆境とが一つになった。
泣いてる君こそ孤独な君こそ
正しいよ人間らしいよ
岩沢は呼んでいた。やっと、自分自身のことをも含めて。
落とした涙がこう言うよ
こんなにも美しい嘘じゃない本当の僕らを―
見つけた。一人では決して得ることが出来なかった本当の希望を。
490:関根×岩沢
10/08/27 20:29:16 hz5X1yGC
―ありがとう
※ ※ ※
窓ガラスの向こうから足音が聞こえた。
あたしは慌てて、制服でごしごしと目元を拭った。
「あれ、一番乗りだねしおりん」
「おはよーみゆきちっち! さあて今日も朝練朝練」
「愛称に愛称の語尾が加わってバルカン半島の人みたいな名前になってるよ?」
みゆきちは多分すぐに気付いてしまうから、なるべく虚勢を張った。
楽しげなウォーキングラインを奏でる。なるべく、なるべくと。
でも却っておかしかったみたいで、みゆきちは手を休めていた。
「だからユイ、おめーは……」
「もう少し待っていてくれたらひさ子さんも納得のフレーズを……」
「そういうことじゃねぇよ。とりあえず完成度をだな……」
と、そんなところでひさ子先輩とユイの声がしたので、
二人が部室に到着するなり嘘をつくことで誤魔化すことにした。
「聞いてくれますかせんぱい!」
「あ、何だよ」
「さっきまでみゆきちの恋の悩みを相談されちゃってて、ホント参ってたんですよー」
「しおりん?」
「どんな話だったんですか」
491:関根×岩沢
10/08/27 20:30:35 hz5X1yGC
ユイが食いついた。あたしはここぞとばかりに滔々と語り始めた。
こんな感じです、と。
「みゆきち曰くですね、何度もごめんねーまたもて話なんだけど聞いてくれるー?
あたしーNPCたちに告られるのまではまだ我慢できてたんだけどーちょっ、大山先輩?
あの人マジ受けるw 大山先輩さ、あの人、ほら……えーと野田先輩いるじゃん。
野田先輩がなんか近ごろゆりっぺ先輩と仲いいらしくてー、
それで僕も彼女作りたくなったんだ、とかあたしにぶっちゃけてくんの!
有り得ないっしょふつー。
あの人顔悪くないし性格もよさそうだけど正直わけ分かんないところあるからあまり絡みたくないんだよね、
あ、でもあたしが断わっちゃうと今度はしおりんに目をつけちゃいそうだから一応受けちゃったんだ。
でも先輩そういうことまったく気付いてなくてー、という風なことを……」
「おー、あんた今日も励むねー」
とひさ子先輩が、がしり、と腕を肩に巻きつけてきた。
「ねぇ、しおりん、まさか他の人たちにもそんなこと言ってたりしてないよね?」
温厚さが取り柄でもあるみゆきちも頬をひくひくとさせている。
「なんとなく慣れました」
ユイは傍観を決め込んでいる。
岩沢先輩がいなくなってから、ストッパーが不在になりました。
要するに責められる時間が長くなりました。大きな痛手です。
そんなこんなですが、こちらは相変わらず賑やかです。
……音楽、続けていればいつか会えますか?
ジャコパスやビリーシーンやビクターウッテンみたいな超絶ベーシストに―
先輩を逆に困らせてしまうような存在に―なっててあげますから覚悟していてください。
たとえ会えなかったとしても、そこまでになれれば先輩の耳に届くと信じています。
だって先輩は音楽を止めたりはしないから。
492:名無しさん@ピンキー
10/08/27 20:32:49 hz5X1yGC
以上です、
関根純粋説。しかしふざけ具合がイメージに反してたらすまない。
493:名無し.co.jp
10/08/27 21:01:50 3w3dSpnG
>474の続きですがすいません…最後まで書けなかったのでまた後日にまとめてupします。
494:名無しさん@ピンキー
10/08/27 21:24:14 6Dg3FqJD
・・・^^;
495:名無しさん@ピンキー
10/08/27 21:31:15 ZO3L3JKW
しおりんマジ破壊活動
496:名無しさん@ピンキー
10/08/27 21:50:43 hz5X1yGC
二つだけ・・・
保管庫に編集してくれた人thx
>>493、気を使わせてもうしわけない
497:名無しさん@ピンキー
10/08/27 21:51:46 3nrRktRA
>>493
いろんな意味で空気読めよカス
498:名無しさん@ピンキー
10/08/27 21:57:14 hz5X1yGC
>>497
それはおかしい。493は俺より前に宣言してた。
499:名無しさん@ピンキー
10/08/28 05:57:16 /c4PPTtt
長編おつー
500:名無しさん@ピンキー
10/08/28 22:07:09 fXyDce32
7話キャラコメ(ゆり・大山・ひさ子・椎名)
大山がSSSの巨乳を独占した件について
501:名無しさん@ピンキー
10/08/29 15:16:28 JP66ywgw
大山くん(藤巻のにくべんき)なら許す
502:名無しさん@ピンキー
10/08/29 18:42:04 XXfcU36t
ひさ子の太ももハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
503:名無しさん@ピンキー
10/08/29 23:55:14 87ptQtNh
>>500
ユイ「あたしは?」
504:名無しさん@ピンキー
10/08/30 18:29:56 8nuO0j3g
ユイは俺のセフレ
505:名無しさん@ピンキー
10/08/30 18:54:57 2NWheJnu
ロリータコンプレックス乙
506:名無しさん@ピンキー
10/08/30 19:36:41 chui1/lh
岩沢さんって乳でかいの?
507:名無しさん@ピンキー
10/08/30 21:28:55 8nuO0j3g
>>506
ひさ子に負ける感じじゃね
508:名無しさん@ピンキー
10/08/30 21:57:05 NpBCC6mv
岩沢さんは脚が良い
509:名無しさん@ピンキー
10/08/31 22:17:24 Mva6SYGi
>>503
日向「巨乳の意味調べてこいよ」
510:名無しさん@ピンキー
10/08/31 22:28:57 yGjZiqXp
絶妙な柔らかさだからおk
511:名無しさん@ピンキー
10/09/01 23:34:37 DJDvJXrZ
誰かゆりっぺ×野田を!
512:名無しさん@ピンキー
10/09/02 21:24:45 sV7x1s+/
最近書き込みが無くて寂しいな……
513:名無しさん@ピンキー
10/09/02 22:01:42 Ej1joLSu
だれか!
結弦×初音
の近親相姦モノを!
514:名無しさん@ピンキー
10/09/02 22:33:58 KoShVLMu
R-18じゃなくてもいいので
音無×奏のssを書いているサイトを教えてください
515:名無しさん@ピンキー
10/09/02 22:36:03 EmwEP9ZI
vipだか制作速報だかのSS保管庫にもあるよ。
毛嫌いする人も多いけど。
516:Wind
10/09/02 22:40:41 F0eqCLy4
入ってよろしいでしょうか?……あっ
ここはチャットじゃないですよね
すみません
517:エラ呼吸
10/09/02 22:44:24 llLbYzUH
いえいえ、大丈夫ですよ
皆さん待機モードですが深夜には活発になると思います
518:名無しさん@ピンキー
10/09/02 22:51:38 KoShVLMu
>>515
㌧
正直台本形式のものは苦手なんだが……まぁ何もないよりはマシか
全部読み終わったら、自分で書くという最終手段も残っているしな
519:Wind
10/09/02 22:56:30 F0eqCLy4
>>517
ありがとうございます!
反応遅くなるかもしれませんが…
よろしくお願いします!
520:Wind
10/09/02 22:59:21 F0eqCLy4
クレクレをする気はありませんが、
あまりssとかを書くというのもできません
ごめんなさい。
521:Wind
10/09/02 23:07:02 F0eqCLy4
あ、あと今日は眠いので、12:30ぐらい
には消滅して粉々になって朝まで
逝っているので、ごめんなさい。
普段は、6:30~あいてます。
522:Wind
10/09/02 23:09:31 F0eqCLy4
>>521
の6:30はPMの方です。
523:Wind
10/09/02 23:27:00 F0eqCLy4
今日はもうこれなくなってしまいました。
明日きます。オチ
524:名無しさん@ピンキー
10/09/03 00:03:09 CVTo7t4e
まさに風の如く去っていったな・・・
近親相姦とか需要あるのか?単に俺の趣味じゃないだけか
525:名無しさん@ピンキー
10/09/03 00:24:50 6O3w5j0v
近親相姦も母親とかは無理だけど妹なら全然おk。
526:名無しさん@ピンキー
10/09/03 00:27:15 YCKj5NsN
兄弟なら全然オッケーだよな
527:名無しさん@ピンキー
10/09/03 00:30:52 6O3w5j0v
同意出来ない
528:名無しさん@ピンキー
10/09/03 00:53:09 aagNkUmC
最近過疎気味だな。。。
529:名無しさん@ピンキー
10/09/03 16:19:27 kkq1RZT7
ネタになる話題も少なくなったし、信者もアンチも他所のスレで昔のように暴れ始めてるみたいだし。
530:名無しさん@ピンキー
10/09/03 17:04:31 KtWXtBTl
いやいや週に一回でも投下されてれば充分だろ
531:名無しさん@ピンキー
10/09/03 19:17:12 pd4MewOD
ひさ子エロマダーーー?
532:名無しさん@ピンキー
10/09/04 11:31:00 jom9Ikvc
日向とゆりっぺは恋人じゃないけど、体の関係だけあるとかは…ないよなw
533:名無しさん@ピンキー
10/09/04 13:57:30 DEmFO13b
有りだろ
534:名無しさん@ピンキー
10/09/04 20:24:58 ylzNpAii
週末だけど投下あるの?
535:名無しさん@ピンキー
10/09/04 22:11:40 DEmFO13b
言い出しっぺの法則
536:名無しさん@ピンキー
10/09/04 22:34:46 8zEPuA3R
遊佐とゆり、奏(赤)のSS待っています
537:名無しさん@ピンキー
10/09/04 23:48:34 wC/FduXc
「きて・・先輩・・・」
「ああ」
クチュ
「あぁん!」
「お前のアソコ、髪の毛と同じ色で綺麗だな・・・」
「あ・・・せ、先輩のアソコも髪の毛と同じ色で綺麗ですよ・・・」
「いや、褒め返してるつもりか知らんが全然嬉しくねーぞ・・・青くねーし」
538:名無しさん@ピンキー
10/09/04 23:56:49 ylzNpAii
一日の練習が終わった深夜に、皆が寝静まった女子寮の二人の部屋で、お互い黙りこくったままkeyコーヒーを飲み、
ごく当たり前のように同じベッドに滑り込んで、激しいセックスをする岩沢とひさ子
539:名無しさん@ピンキー
10/09/05 00:54:59 3yTCQdUf
どっちにチンコ生えてんだ?
540:名無しさん@ピンキー
10/09/05 04:51:09 tgnPQmg/
>>538
はよ書け!がんば~
541:名無しさん@ピンキー
10/09/05 14:49:10 +A5Cf94D
>539
別に片方に生えてないと肉体を重ねられない訳でもなかろう。
むしろ生えてない方がエンドレスで淫靡だ。
542:名無しさん@ピンキー
10/09/05 16:41:42 /RUGgwwu
>>459の続きです。
543:Love Me Tendar
10/09/05 16:42:27 /RUGgwwu
「……ん」
不意に目が覚めた。
なぜかはわからないけど、どことなく、なにもない闇の世界にたった一人呑まれている孤独感があった。
瞼をゆっくりと開いていき、まだ少しボーっとする頭をフル稼動させ、現在地を確認する。
カーテンが締め切られた、どこかの部屋。顔だけを動かして自分の姿を確認すると、ベッドで横になっている就寝スタイル。そしてかすかに匂う薬品の匂い。ということは、ここは学園内の保健室ね。
ああ、そうか。そういえばあたし、校長室で倒れたんだっけ。どのくらい意識を失ってたのかしら。
やや自嘲気味に笑いながら、ムクりと身体を起こす。すると突然ドアの開く音がした。
「ゆり、大丈夫か?」
ドアの向こうから現れたのは音無くんだった。
あたしが今、もっとも会いたかった男性(ひと)。そして今、もっとも会いたくなかった男性(ひと)。
彼は安堵と心配が入り混じったような表情を浮かべて、あたしに近づいてくる。
「まったく、心配させやがって。目の前で突然倒れたから、マジで焦ったぞ」
「……ごめん。あの、音無くんがあたしを看ててくれたの?」
「ああ。1時間くらい前はかなでが看てたんだけど、時間も時間だから、さっき女子寮に帰したよ。あと、ゆりの症状は疲労と寝不足から来る貧血だったから、しばらく安静にしてればすぐに良くなるよ」
そういえば、音無くんは生前に医学を志していたんだっけ。納得。
聞いたところによると、あたしはあれから丸一日近く眠っていたらしい。時計を確認すると、時刻は23時をちょっと回ったところだった。
あたしはなにを話せばいいのかわからなかったけど、そんなあたしの心を悟ったのか、音無くんはあたしの心配を取り除くような形でいろいろと話してくれた。
544:Love Me Tendar
10/09/05 16:44:06 /RUGgwwu
音無くんが言うには、あたしが倒れた以降の戦線は、阿鼻叫喚の大混乱だったようだ。特にかなでちゃんと野田くんは狼狽しまくりだったとのこと。
たぶん野田くんがあまりにも大袈裟に騒ぎ立てるから、その動揺が、純粋な心の持ち主であるかなでちゃんに感染(うつ)ってしまったのだろう。
かなでちゃんはなにを思ったのか、そのあと暴走状態のまま食堂を占拠し、どうやら麻婆豆腐とお粥の融合体、麻婆粥なるものをシンクロ召喚させなすったようで。
その謎の物体はこれでもかってくらいに赤かったらしく、眠っているあたしに代わって、試食という名目で無理矢理食べさせられた日向くんの断末魔の叫びが木霊したとか。
……あの時意識を失っていなかったら、危うくあたしがアレを食べさせられていたのかもしれない。
なぜそんなことをしたのかと音無くんが問うと、かなでちゃん曰く―汗をかけば早く良くなる、らしかった。
かなでちゃんの気遣いは嬉しいんだけど、それは風邪の症状であって、貧血とは関係ないんじゃないかしら。
野田くんは言うまでもなくバカ全開だったようだ。上着を脱ぎながら人肌で暖めるとかほざいたらしく、それを聞いた戦線の女性メンバー全員から袋叩きにされたとのこと。なんか高松くんだけが共感していたらしいけど。
それからも、あたしが倒れた空白の時間を、音無くんが詳しく教えてくれた。
その最中でも、しょっちゅう別の女の子の話が出てくる。わかってはいたけれど、あたし以外の女の子の話を楽しそうに話す音無くんを見ていると、やっぱりつらい。
あたしは乾いた笑みを浮かべながら、音無くんの言葉に相槌を打つのが精一杯で。
そんなあたしの表情に気づいたのか、雑談を話し終えた音無くんはそのままベッドの脇に置いてある椅子に腰がけて、神妙な顔つきで聞いてきた。
「なぁゆり。ここ最近元気ないようだけど、なにか悩み事でもあるのか?」
545:Love Me Tendar
10/09/05 16:44:37 /RUGgwwu
「…………」
いきなりの空気の変化とその質問に身体がわずかに震え、あたしは無言で俯いてしまう。
音無くんに、この気持ちを悟られるワケにはいかない。
悟られるワケには、いかないんだ。
少しの間沈黙が続いたが、ふいに音無くんが口を開いた。
「俺さ、おまえには感謝してるんだぜ? 入隊当初は記憶が戻るまでの間だけ所属するつもりだったけどさ。でも、ここでみんなと一緒に生活してみて、いつしかこの空気が心地よくなってきて―」
一つ一つ、ゆっくりと言葉を噛み締める音無くん。
「―みんながいると毎日が楽しくて、すごく安心するんだ。生前では得られなかった青春や友情って、こんな感じなのかなって」
「…………」
音無くんはやさしげな表情で、あたしを見つめている。
ダメ……やめて…。
「入隊したてで、この世界のことについて右も左もわからない俺にいろいろ教えてくれたり、指導してくれたおまえには特に世話になったからな。だから、今の俺がいるのはゆりのおかげだ」
彼の表情が眩しくて……。
「ありがとな、ゆり。あの時戦線に誘ってくれて、本当に感謝してる。おまえが俺の力になってくれたように、俺もおまえの力になってやりたいんだ」
それでもあたしは、彼の真摯な瞳から目が離せない。
もうやめて…。
そんな目であたしを見ないで…。
あたしにやさしくしないで…。
せっかく頑丈にカギをかけたのに…。
現状を維持するって、決めたのに…。
今やさしくされたらあたし、感情を抑えきれなくなっちゃうよ……。
「無理にとは言わないけど、悩みがあるなら話してくれよ。一人で抱え込む必要なんてない。俺はどんな時でもゆりの味方だ。だからさ、もう少し俺を頼って欲しい」
546:Love Me Tendar
10/09/05 16:44:58 /RUGgwwu
「―ッ!?」
もう、限界だった。
感情を、コントロールできない。我慢できない。
彼のやさしい言葉と表情に、あたしはとうとう抗うことができなくなり、今まで必死に抑え続けてきた想いを爆発させてしまった。
「音無くん、音無くんッ!」
彼の胸に勢いよく飛びつく。もう離さないように、その身体を強く、強く抱きしめる。
そして――。
「う…あぁ…っ! ああ…あぁぁあぁああぁあッ!!」
あたしは激しく泣き出した。
心の防波堤が決壊したかのように。
そこから感情の波が涙となって溢れ出してくるみたいに。
「ゆ、ゆり!?」
「うあああっ……ごめ、ん…うくっ…うぅあああ…!」
一度決壊した涙は、そう簡単には止まらない。
あたしの意志とは無関係に、次々と瞳から溢れ出る。
「……ゆり」
無意識のうちに彼の手が動いたのがわかる。
彼もそっとあたしの背中に手を回し、そしてもう片方の手で髪を梳くように撫でてくれる。
「うぅあぁ……音無くん、音無くん、音無くんっ!!」
あたしたちしかいない夜の保健室で、あたしの慟哭だけが響き渡る。
「ゆり……」
音無くんがあたしをギュッと、力強く抱きしめてくれる。
「うぅ……もう…ダメ、うっく……我慢…できない…」
あたしの声の感じが変わった。まるで疲労に満ちた声だった。
もうダメ。ここまで来た以上は引き返せない。
だからあたしは、覚悟を決める。
いったん音無くんから離れ、目頭に涙を溜めながら、零しながら、彼を正面に見据える。
そして、ポツリ、と口を開く。
「……好き」
「……え?」
上がったのは驚きの声。
でも、あたしはそのまま続きを紡ぐ。
「好きなの……」
すぅ、と軽く息を吸い込み、あたしは、ずっと言えなかった、でも言いたかった言葉を思いきり叫んだ。
「あたしは音無くんのことが好き―――ッ!! ほかの女の子と仲良くしちゃイヤなの―――ッ!!!」
長い間、ずっと胸の奥に秘めてきた想いをすべて吐き出した。
自分の顔を見ることはできないけど、きっと今のあたしの顔は真っ赤で、涙と鼻水でぐちゃぐちゃに汚れているだろう。
だけど、しばらく経っても音無くんからはなんの反応もない。
嗚咽を漏らして泣きじゃくっているあたしには、彼がどういう表情をしているのかもわからない。この沈黙が、あたしにとって最悪の結末を物語っているような気がしてならなかった。
あはは…。あたし、やっぱりフラれるんだ…。
そうよね、あたしみたいな女なんか……彼女にするメリットが、ないものね…。
もう、仕方がない。現実を、受け入れるしかない。それと同時に、彼の側にいられなくなることも。
溢れ出る涙を拭おうともせず、あたしは彼の側を通り過ぎようとする。
さよなら……音無くん。
こうして、あたしの最初で最後の恋は、その実を結ぶことなく終わりを告げた――。
547:名無しさん@ピンキー
10/09/05 16:45:39 /RUGgwwu
中途半端菜気もしますが、今日はここまで。
548:名無しさん@ピンキー
10/09/05 17:37:24 Zk/r7yLM
GJ!
完結?
549:名無しさん@ピンキー
10/09/05 17:53:49 nH15I0gY
GJ
なんという乙女なゆりっぺ
550:名無しさん@ピンキー
10/09/05 18:44:18 tgnPQmg/
gj!
ベッドシーンは無しか~。
551:名無しさん@ピンキー
10/09/05 19:50:10 MjogqYZt
ゆりっぺかわいすぎ、でももうチョイツンデレ成分がほしいかも
552:名無しさん@ピンキー
10/09/05 20:21:20 ozJAGKg1
おいおいゆりっぺがヒロインみたいじゃないか
553:名無しさん@ピンキー
10/09/05 20:26:46 Lf3ZppId
今更なにを
あんな白髪金目発育不全花沢香菜野郎のどこがヒロインだって?
554:名無しさん@ピンキー
10/09/05 20:43:20 4zEISZa1
好きなキャラをマンセーするのは構わないけど
他のキャラを貶める奴は最低のクズだよね
同じファンとして見られるのも不愉快
555:名無しさん@ピンキー
10/09/05 21:20:05 tgnPQmg/
>>553
野田乙
556:名無しさん@ピンキー
10/09/05 22:56:55 Lf3ZppId
>>554
ネタだったのに・・・
557:名無しさん@ピンキー
10/09/06 00:03:16 6B6OiUXt
>>547
GJ
続きが気になって仕方がない。ゆりっぺルートも見たかったってつくづく思う
ゲーム化キボンヌ
>>553
冗談で言ってても不快に思う人いるからw
558:Wind
10/09/06 00:42:04 pX7ZYhYj
こういうSSっていうのかな?
書ける人ってすごいですね…!
559:名無しさん@ピンキー
10/09/06 01:40:06 65H2NTo8
>>557
ゲーム化ってして欲しくない人とか、やっぱり結構いるのかな?
俺はゲームが出たらそのハードごと買うのに。
560:名無しさん@ピンキー
10/09/06 01:40:48 lS2kuVkH
エロゲー化なら待ってる
561:名無しさん@ピンキー
10/09/06 07:02:32 5Dij8x+S
エロゲ化は声優変わっちまう人いるだろうからなぁ…
562:名無しさん@ピンキー
10/09/06 14:58:38 v9WxokLO
自前のエロゲなら持ってるが
563:名無しさん@ピンキー
10/09/06 15:12:06 ZyvU30/Y
ゆりっぺは草食系
天使ちゃんは肉食系&体育会系
564:名無しさん@ピンキー
10/09/06 18:18:33 65H2NTo8
keyだし、無理じゃ無いよな。リアルに。
565:名無しさん@ピンキー
10/09/06 18:51:29 FCsrNB/e
山のない話ですが勘弁。野田×ゆり書いてみた。
566:野田×ゆり未満
10/09/06 18:52:33 FCsrNB/e
色とりどりの花が咲き乱れている校内の庭園の片隅で、
野田はハルバードを振るっていた。天使と闘うための訓練だ。
水平・垂直斬り、袈裟斬り、突き、を幾度となく繰り返す。
汗の飛び散るその筋骨隆々とした肉体はSSSでも指折りだが、
いざ実戦となるとチャーに引けを取る。椎名には手も足も出ない。
なので当然、ゆりには時間稼ぎ程度の戦力としてしか見られていない。
が、皮肉なことに、野田自身は自分の力に一片の疑念もない。
<いつもの勇姿>をゆりに見せつけるため、今日も励んでいるという訳だ。
そんな、どこか可哀相な彼が構えを変えて斧槍を握りしめたとき、
木陰の奥から聞きなれた声が飛び込んできた。
入江さん、こんなところにいきなり呼び出してごめんなさい!
たぶんびっくりしてるよね、でも伝えたいことがあるんだ。
率直に言うよ。
僕はあなたのことが好きです!
考えれば考えるほど胸が苦しくなるんだ。
入江さんのことを見かけるだけで胸が苦しくなって、
どうしたらいいのか分からなくなるんだ。
ドラムをずんばん叩いている君の姿が焼き付いて離れない。
初めて見たとき、すごく輝いて見えたんだ。
それはきっかけに過ぎなかったけど、
一緒に食事を摂ったことがあったよね、それからずっと、
笑顔も、やさしい声も、なんだか臆病な姿も、
そのすべてにどきどきするようになって、頬が熱くなるんだ。
僕の心はいつも、入江さんのことでいっぱいなんだ。
567:野田×ゆり未満
10/09/06 18:53:34 FCsrNB/e
消えて無くなっちゃいそうな気持ちになる。
けど、入江さんと僕とはSSS以外では接点がないし、
一緒にいるときなんて、思うように話すことができないんだ。
こんな状況がつづいたらどうにかなりそうだよ!
もう入江さんの側にいても、一人でいても、ずっとずっと胸が苦しい。
きっと今までのような関係じゃいられなくなっちゃうと思うけど、
気持ちを抑えておけなくなっちゃったんだ。
自分の都合だけで、しかも本当に突然の告白で、ごめんね。
思いを伝えたからって楽になれるかは分からない。
でもこんな風に思いを伝えられる相手がいてくれて、それだけで嬉しいんだ。
入江さん、僕は誰よりもあなたのことが好きです―
腹から声が出ておらず、とても気弱そうなので、
飯はしっかり食ってるんだろうか、と野田は思った。
そこで思考がそれたのか、いつの間にかハルバードを振り下ろしていた。
そう、自身が昼食を摂っていないことに気付いたのだ。
そしてこのままこの場所にいるのも無粋だということにも。
なので即座にタオルで汗を拭い、シャツと制服に袖を通し、学食へと向かっていた。
左手に斧槍を握ったまま、右手の箸でチキン南蛮をつつく野田に好奇な視線が注がれる。
同席している日向、高松が口々に言った。
「それ明らかに邪魔だろ、食事のときくらいせめて床にでも置けよ」
「常に足でボールを触っているサッカー少年やハンドクリップで握力をつけている野球少年のようですね」
野田は話を聞いているのか、いないのか分からない調子で頷く。
というより食べることに意識を傾けている。聞いていない。
568:野田×ゆり未満
10/09/06 18:54:12 FCsrNB/e
そんな野田を見て日向は気になっていることを投げかけた。
「お前ってホントゆりっぺのことしか見えてないよな」
ぴくりと手を止めた野田であったがぶれる様子もなく答えた。
「俺の視力は悪くない。あの柱に掲示されている献立表だってすべて見える」
ちぐはぐな会話に日向はため息を吐くよりほかなかった。
「メガネが無くても過ごせるというのはなかなかに羨ましいことですね。しかし身体では負けませんよ」
「ふっ、競うまでもない」
よほど自信があるのだろう。高松の肉体もなかなかのものなのだが、それも意に介していない様子だった。
「でもな」日向が煽る。「ゆりっぺは頭悪いやつ嫌いだからな。その点じゃ高松の方がまだ分があるな」
「そうですね。私もあなたも文化系ではありませんがあなたには負けていないつもりです」
「なんだと? もう一度言え」
がたりと椅子から立ち上がった拍子に机にぶつかり、高松のラーメンの汁がトレーに零れた。
どうにも熱しやすい性格のようだ。対照的に、高松は冷静だった。
「何か一冊読書でも始めてみたらどうですか。なんだったら校内新聞を読むことから始めてもいいと思いますが。
もっとも、日常的な知識はそれだけで身につくとは思いませんけれども」
「それ面白いかもな。とりあえずお前が本読んでる姿なんかイメージできねぇよ。竹山から何か借りてみたらどうだ?」
「つまらん」
「まぁそう言うなって、ものは試しだ。あいつならお前にあった本を探してくれるんじゃねーか?
読書ソムリエ竹山に期待だな。……あーでもあいつ電子書籍とか、そういう方に走っちゃってんのかな」
「とはいえ今のあなたがゆりっぺさんに好かれることはおそらくないでしょうね。今までとは違った努力が必要ということです」
「何故だ」野田は断言した。「ゆりっぺは俺を認めている。何故俺が今のやり方を変えねばならない」
そんな野田を軽んじて日向は言った。
「お前そんなんじゃ一生捨て駒だぞ。きっとゆりっぺならそんな風に見るな」
「要するにゆりっぺさんはあなたのことを認めてなんていないということです」
とそのとき、野田が机を激しく叩いた。その拍子に日向のタコライスが浮き上がり、サルサソースとレタスが宙を舞った。
焦りを顕わにした野田は定食もほっぽり、何も言わずに背を向けた。
「おい野田、もったいないだろ。どっか行くにしても食べてからにしろよ」
569:野田×ゆり未満
10/09/06 18:55:06 FCsrNB/e
野田は利き手に移したハルバードの鈍色に光る切先で威圧しながら日向を指した。
「貴様、ゆりっぺが俺を認めていないだと?」
日向は言葉を選ばずに言い放った。
「俺にはそう見える」
高松も同調した。「私も同じ意見です」
納得のいっていない様子の野田だが、まったくの聞く耳を持っていないという訳でもないらしい。
そうか……ゆりっぺが……、などとぶつぶつと呟いたあと、食堂から姿を消した。
彼が立ち去ったあと、日向と高松が感想を漏らす。
「相手はゆりっぺだぜ? 一筋縄じゃいかないことはあいつ以外誰だって分かるようなもんだ。
ただ分かってる連中はゆりっぺにちょっかい出しやしないことだし、ライバルは少ないよな。
俺もあいつのことを一瞬、刹那的には異性として意識したことはあるが、まぁ幸運にも恋愛対象には至らなかったな」
「しかし並々ではない恋ですね。上手くいくと良いのですが」
両名ともゆりが築いている心の壁のようなものを、敏く感じているようであった。
男子寮、竹山の部屋の前にやって来た野田は呼び鈴も鳴らさずにドアノブに手をかけた。
無用心にも鍵はかかっておらず、ガチャリという響きとともに戸が開かれた。
無断であることとも思わず、ずかずかと侵入していく。
六畳一間の約三分の一を占めている二段ベッドが幅をきかせていることが目に付く。
そしてリビングテーブル、本棚、食器棚、衣装箪笥、二つの学習机。これだけでもう目一杯に窮屈だ。
野田はその狭い部屋の奥の本棚に近寄ると、ぎっしりと詰まった本の背表紙をしげしげと見つめた。
竹山がいてくれたなら何かしら薦めてくれたに違いないが、彼がいないのでそうはいかない。
散文、詩、史書、実用書、事典・辞書、ほかにも様々な本が立ち並んでいるがどれを手にとっていいのやら、皆目見当がつかない。
だから、思い切って勘に身を任せることにした。それより方法が無かったとも言える。
本棚の上段の一番右端に収まっている少し怪しげな黒い背表紙の本を手に取っていた。
銀色の文字で『薄紅色の野苺~淫蕩性春白書』と書かれている。
漢字の割合が多いからなんだか賢そうなところと、うすべにいろ、を読めたことが選択された要因だ。
テーブルの上に置かれていたメモ用紙に「竹山へ かりていく 野田」とだけ記し、黒いカバーの本を大事そうに小脇に抱えた。
そしてゆっくりと読める場所を求めて図書室へと立ち入った。(……のだが、追い返された。)
570:野田×ゆり未満
10/09/06 18:56:06 FCsrNB/e
「僕は白……の…らみに顔を埋めていた。彼女は目を…り、…としていた。
舌先を乳首に…わせると、「んっ……んっ……」と…えようとする。
玉…のように白い…部に…し付けた若…が徐々に赤…けて、…り出した」
ここは作戦本部室。図書室で朗読を始めたため、追い出された末に辿り付いた場所だ。
野田はろくに読めやしなかったのだが、ときおり、乳首、だの赤いビロード、だのという語が委員の耳に届いた結果だ。
だがこの作戦本部室とて自由に使用してよい場所ではない。
今は野田とゆりしかいないが、ゆりは野田が何を読んでいるのかくらいは気付いている。
「……な肉花に中指を…し入れ、あえかな木の芽を人差し指で弄ぶ。
それに応えるように彼女は「ああっ、そ、そこ……」と…びながら、
僕の……の実を…で包み込むように…んだ。欲情の…りが下着を…らす」
冷淡な目でそれを迎えるゆり。
「……あたし居るんだけど。それ紛うことのないセクハラだからね」
「なんだそれは。それより、読めない字が多いから手助けしてくれ」
あまりにも鈍感な野田の言葉から、単なる学習なのかと割り切ることが出来たゆりは、少しだけ手伝ってみようと思った。
「と、なに……?
僕は白磁器の膨らみに顔を埋めていた。彼女は目を瞑り、凝としていた。
舌先を乳首に這わせると、「んっ・・・…んっ・・・…」と堪えようとする。
玉葱のように白い臀部に擦り付けた若鮎が徐々に赤剥けて、滑り出した。
(中略)
玲瓏な肉花に中指を挿し入れ、あえかな木の芽を人差し指で弄ぶ。
それに応えるように彼女は「ああっ、そ、そこ……」と悦びながら、
僕の胡桃の実を掌で包み込むように揉んだ。欲情の滾りが下着を濡らす……」
ゆりはそれきり読むと、ぱたりと本を閉じた。
「どういう意味だ。ゆりっぺ」
「野田くん、あなた……」
「本を読むと頭が良くなると言われた。だから竹山の部屋から持ち出した」
571:野田×ゆり未満
10/09/06 18:57:02 FCsrNB/e
「なかなかのセレクトね、でもあなたの意図がいまいち分からないから、もう少し詳しく説明してくれる?」
野田は躊躇無く答えた。
「ゆりっぺは頭の悪いやつが嫌いだと聞いた」
「そうね」
「俺自身はゆりっぺに認められてると思っているんだ。だが日向や高松はそれは勘違いだと言う」
「うん、それ半分正解」
ゆりの即答を聴いた野田は慄きながら問うた。
「俺には分からない。ゆりっぺ。俺は……」
野田は最後まで言い切るつもりはなかったに違いない。
それにしてもゆりにしてみればSSSとして、聞きたくない話だった。
「止めろぃ!! それ以上は言わないでくれる?」
そこで、中途で話が止まった。
けれどその代り、不憫に思ったのか、恋についてのアドバイスを手ほどいていた。
「……恋人が欲しいのならまず自分を愛してあげなさい。
それでも寄ってこないような人は縁がないのよ。放るの。
あなたが幸福でなければあなたの相手だって幸せにはなれないわ。
少なくともあなたが幸せな恋愛を送りたいと思うのならそうすることね」
真面目な顔をして野田は聴いていた。ゆりからこんな話を聞けることは普段まずない。
「気持ちを感じ取る力、想像力といってもいいのかしら。そういったものを鍛えることも大事よ」
ゆりは饒舌に語り始めた。
「たとえばだけど、あたしにとっていいこと、
―あたしの椅子がアルゴノミクスに基づいて作られたちょっとお高めの椅子になったとするじゃない。
するとあたしは快適よ。腰痛の心配はまるでないわ。でも日向くんや藤巻くんは文句の一つくらい言ってくるでしょうね」
572:野田×ゆり未満
10/09/06 18:57:43 FCsrNB/e
滞りなく語る。
「また、あたしにとって悲しいこと、
―不覚にも竹山くんをクラなんとかと呼んでしまったり、高松くんの肉体で吹いてしまったりするとするじゃない。
滑稽だわ。考えただけ胸が痛くなるわ。
そしてユイがそんなあたしを気遣ってもいいのか迷うとするじゃない。それはまさに傷口に塩を塗る行為。
それだけならまだしも、遊佐さんが活動履歴として記録してしまったとする。
後日、日誌に目を通しているあたしがそんな記述を見つけて「ふふっ」と思い出し笑いなんてしてしまう。
それはかなりの恥辱ね。さらに、こんな記録残したりして、ひょっとして遊佐さんってあたしを小ばかにしちゃってる?
なんていう逆恨みさえ抱いてしまうかもしれない」
「つまり……どういうことだ……」
「悪例を持ち出してまであたしが言いたいのはね、人の幸福を自分の幸福のように感じられるように、
人の悲しみを自分の悲しみと感じられるような人になりなさいということよ。間違っても日向くんのようになったらいけないわ。
椅子の例でいえば、『すわり心地のよさそうな椅子だな、でも高貴さが足りないかな。
いっそチッペンデールのような職人でも養成して室内装飾をも込めて椅子作りをさせないとゆりには似合わないよ。
でも待てよ、どんなに華美な装飾もゆりの前ではかすむな。
ゆりが可憐だってことは永遠普遍だから。そうだな、結局はその椅子でもいいな』とか言え、
ということよ。気障ったらしくなく媚びた調子にもならず、心から自然と言えることがポイントよ。
そして最低限の話だけど、
自分が何に対しても自信が持てなくったって、人の話くらいは聞けるでしょ。
相手が苦しんでいるときに話を聞いてあげられれば、最終的にはそれで十分よ。違う?」
「ぐーっ……」
野田は寝ていた!
573:野田×ゆり未満
10/09/06 18:58:54 FCsrNB/e
「って寝るなあぁあああーーーっ! あたしの長広舌はなんだったんだあぁああああーーーっ!!」
ゆりは校長席から立ち上がってつかつかとソファーへと近づいた。
腹いせにソファーに横たわっている野田の右頬にビンタを食らわせた。
ぴしゃり、といい音が鳴った。が、彼は目覚めない。
「お前は眠り姫ならぬSleeping Princeかっ! キスで目覚めたいんか!」
と、ゆりが喚きたてていたその瞬間だった。
至近距離に入っていたゆりのその左肩に、野田の右腕が絡みついてきた。
「うきゃわっ」
無論野田に意識はない。偶然の寝返りで、ゆりの肩に腕をかけてしまっただけに過ぎない。
潜在的にはそういったものもあったのかもしれない。ただ、それを知る術は無い。
だが野田は、ある想いを口にし始めた。
……率直に言う。俺はゆりっぺのことが好きだ。
考えれば考えるほど胸が苦しくなる。
見かけるだけで胸が苦しくなって、どうしたらいいのか分からなくなる。
地下で出会ったあのとき、それからずっと、
笑顔も、強気な声も、ときおり見せる寂しそうな姿も、
そのすべてにどきどきするようになった。胸が熱い。
日向をずんばん突き落としているゆりっぺの姿も焼き付いて離れない。
初めて見たとき、輝いて見えた。
俺の心はいつも、ゆりっぺのことでいっぱいなんだ。
消えて無くなりそうな気持ちになる。
けど、ゆりっぺと俺とはSSS以外では接点がないし、
一緒にいるときは、上手く、思うように話すことができない。
こんな状況がつづいたらどうにかなりそうだ。
もうゆりっぺの側にいても、一人でいても、ずっと胸が苦しい。
今までのような関係ではいられなくなってしまうのかもしれないが、
気持ちを抑えてはおけない。
574:名無しさん@ピンキー
10/09/06 19:00:43 Inmd1OI5
超支援!!!!
575:野田×ゆり未満
10/09/06 19:00:46 FCsrNB/e
自分の都合だけの、しかも突然の告白で、悪い。
思いを伝えたからって楽になれるかは分からない。
でもこんな風に思いを伝えられる相手がいてくれて、それだけで嬉しい。
俺は誰よりもゆりっぺのことが好きだ……zzz
訓練中に聞いてしまった告白の内容をほぼ暗記しており、
金太郎飴ではあるが、自分の気持ちに即して声に出していた。
これが寝言であろうとも、模倣であろうとも、真意であろうと思われた。
あまりにも思いがけない言葉に、ゆりはぴたりと止まってしまった。
なんだか慰められたような気持ちになっていた。
「もうみんな来るから起きてよね。今の言葉はひとまず覚えておくから。
あなたみたいな馬鹿、一人はいてくれないと困るのは確かね」
そう言うと、ゆりは野田のおでこに接吻をしていた。
―それに加えて、肋骨に肘鉄を食らわせた。
「ぐぉほっ」
さすがの野田もこれには目を覚まさずにはいられなかった。
ゆりは清々しささえ湛えた微笑を浮かべた。
「スキだらけね。それじゃあ何の役にも立たないから」
「っ……不覚だ……」
「椎名さんの門下生にでもなってみたら?
ん、でも椎名さんはここのところ音無くんにご執心でそんな時間なんて無いかしら」
「じゃあゆりっぺがメニューを組んでくれ」
「ええー、あたし? そんな面倒くさい。
そりゃ多少は接近戦も出来るけど、あたしに頼るくらいなら自分でなんとかなさい」
「そうだな。今までもそうしてきた。ただ、俺は遠回りをするかもしれない」
「そのときはそのときで考えなさい。今のところは、期待してるわ」
576:名無しさん@ピンキー
10/09/06 19:03:13 FCsrNB/e
―終わりです。正直支援あって嬉しい。ありがとう。
ゲーム化するとしたらいつ頃になるんだろか、あれば待つ派。
577:名無しさん@ピンキー
10/09/06 19:05:20 JIAsygPH
リアルタイムgj!
そして>>574!
空気読んでくれ!
578:名無しさん@ピンキー
10/09/06 19:25:37 c8t/zM4M
GJ
野ゆりサイコー
579:名無しさん@ピンキー
10/09/06 20:18:20 5Dij8x+S
初の野ゆりだな、GJ
580:名無しさん@ピンキー
10/09/06 21:25:29 Inmd1OI5
>>577
あまりに嬉しくてつい。すまん
>>576
じいいいいじぇえええええ!!!
581:名無しさん@ピンキー
10/09/06 23:07:36 r3tLLvxB
ゆりっぺ「野田くん×高松くんなんかいいわぁ~」
582:名無しさん@ピンキー
10/09/07 11:38:50 n7oByXs6
山の上のホテルと音無×遊佐は完結したのかな?
>>576
GJ!
583:名無しさん@ピンキー
10/09/07 14:16:02 2sOjqiFH
山の上は書きかけッス、また気が向いたら書くッス
ゆっさゆさはあれでおわり
584:名無しさん@ピンキー
10/09/07 23:45:33 ReAIHlCF
>>555
野田が漢字書けるわけないだろ?
人のせいにすんな芋っぺ
585:前スレ176改め27
10/09/08 00:12:16 1i36OGl8
ガードスキル『規制解除確認カキコ』
586:27
10/09/08 00:15:01 Qtx7oSwn
少々間隔が開いてしまいましたが、>>31の続き、8話Bパートのギルド跡降下のところのネタの続きです。
大山、直井まで書きました。
大山はなんか性格変わっちゃった感が(というか鬼畜)、直井は天使に一方的に攻められますので、嫌な方はNGお願いします。
-ギルド連絡通路B12-
幾つ目のゲートかもう誰も数えていないがやっぱりゲートがあって、例によって赤目天使が冷たい目で微笑みながらハンドソニックをかざして待ちかまえていた。
「またですか、どうしましょう日向先輩」
「さあて、どうすっかぁ」
そんなやりとりの後ろで、直井が大山の肩を掴み、囁いた。
「さあ、気づくんだ、お前はピエ」
「うわぁぁぁぁぁぁぁん!」
直井の目を直視しないうちに大山は泣き叫び、赤目天使に突進していった。
「僕の椎名さんを返せぇぇぇぇぇ!!」
「催眠術使ったのかお前最低な」
ジト目で直井を睨みつける音無。
「あ、音無さん違うんですよ、言葉のアヤなんですぅっていうか催眠術使おうとしたらかかる前からいきなり」
「アホね」
「アホですね」
「アホだな」
「次は僕がイキますから」
そんなやりとりも知らずして、大山はハンドソニックをかわして赤目天使を押し倒した。
「ひっ」
「僕のっ、僕の椎名さんを!」
馬乗りになって赤目天使の制服をビリビリと引き裂いていく。
「誑かしたのは! この貧乳か!!」
「ひぃっ」
露わになった、微乳という名の美乳を鷲掴みにして責め苛む大山。
「いやぁっ」
半泣きになりながらも、顔が上気してほのかな桜色に染まりつつある赤目天使。
「何だいもう乳首が固くなってるよ、貧乳のくせに生意気な」
「おい大山、なんかキャラ違ってねぇか?」
「何か言った?」
「いや、何でもない」
座った目で戦線メンバーを一瞬睨むと、さらに赤目天使の微乳を執拗に揉みしだく。
「あ…」
「おっぱいを揉んだだけで感じるだなんて、とんでもない淫乱生徒会長様だね」
「い…嫌ぁ」
「嫌だって? 下の口はそうは言ってないよ」
赤目天使のスカートをまくり、薄いグレーのショーツに手を突っ込みぐちゅぐちゅと音を立ててかき回す大山。
そしてショーツからゆっくりと手を抜くと、淫液にまみれて糸を引く指を赤目天使に見せつけた。
「これでも嫌なのかい? 責められて悦ぶ変態生徒会長様は」
「う…」
「変態生徒会長様の下の口の涎で汚れた指を綺麗にしなよ」
顔を背ける赤目天使の口に、無理矢理指を突っ込む大山。
「うぐっげほっげほっ」
むせる赤目天使の苦しげな表情に、どす黒いオーラを滲ませながら、加虐感を高ぶらせていく。
「しょうがないなぁ、淫乱生徒会長様は」
赤目天使の口から手を離すと、今度は腰からナイフを取り出して制服のスカートに切れ目を入れ、そして引き裂く。
「ははは、こやつめ! ショーツがエッチな液体でグチョグチョだよ」
「い、いやぁ」
「嫌なもんか、ますますエロい涎が染み出してきたよ」
半泣きで赤面しながら顔を背ける赤目天使を言葉で嬲り、さらにねっとりと潤った秘唇を指で嬲る大山。
ショーツを引きずり下ろすと、今度は無毛の恥丘から淫核にかけてをじっくりと責め立てる。
「あ…う」
息が荒くなり紅く上気した顔に、涙目の瞳は焦点が合わず瞳孔も開きっぱなし、可愛らしい唇からはだらしなく涎が垂れてきた。
そんな赤目天使の淫惑の表情に、大山がさらに口撃を加える。
587:27
10/09/08 00:16:38 Qtx7oSwn
「エロ生徒会長様ばかり気持ちよくてもしょうがないよ、僕のハンドソニック、しゃぶってよ」
大山はズボンのチャックを下ろし、おもむろに股間のハンドソニックを掴んで取り出すと、赤目天使の頬をぺちぺちと叩いた。
「あ、そうそう、歯を立てたり咬んだりしたらこれだからね」
腰に差した拳銃を抜くと、銃口で赤目天使の頭を小突く。
「うわーやっぱキャラ違うよ」
「まさに外道、って奴ですね」
「なんか言った?」
またまた座った目で戦線メンバーを一睨みすると、股間のハンドソニックを赤目天使の口にねじ込み、頭を押さえつける大山。
「さあ淫乱生徒会長様、巧くしゃぶりなよ」
つぶらな瞳からは涙を、上の口からは涎を、下の口からは愛液を滴らせながら、赤目天使は一生懸命に、股間のハンドソニックという名の猛々しい肉棒を音を立てながらしゃぶり、大山に奉仕していく。
「ん…さすがスケベ生徒会長様、可愛い顔して意外にフェラチオが巧いなんて」
「おふぉふぁひふんひひほはれはふぁは(音無君に仕込まれたから)」
「音無お前、天使に何てことを仕込んだんだよ」
「音無さんそんな女にさせなくても僕がして差し上げます!」
「後で天使に上手なフェラのコツを教えてもらおうかな」
「音無クン、詳しい話を聞かせてもらいましょうか」
「まてまてまて、俺はナニもしていないぞ」
戦線メンバーのそんなやりとりの中、激しい口淫により大山の股間のハンドソニックが一瞬ビクっと震えると、赤目天使の口内に勢いよく白濁液を放出した。
「うはっ出ちゃったwwww流石は生徒会長様、これからはオナホ生徒会長様って呼んであげるよ」
そして賢者モードに入りつつある大山は、ゆっくりと拳銃を握ると、赤目天使にその銃口を向けた。
「でも、僕の椎名さんを奪ったことだけは許せないな。この落とし前だけはつけさせてもらうよ」
「おい待て大山、いくら何でもそれは非道だ-」
音無が止めようとするも、それよりも先に引き金に指がかかる。
「待てっ」
-パンッパンッ-
乾いた銃声が通路内に響く。
「え…」
大山の腹から血が滲みだしてきた。
この直前、白濁液と涎で周りがベトベトになった赤目天使の口から微かに言葉が紡ぎ出されていたことに、大山も戦線メンバーも、誰も気がつかなかった。
赤目天使の口から発せられた言葉、即ち「ガードスキル『ディストーション』」に。
「「「大山ー!」」」
「これは自業自得なのかな」
「ディストーションって撃った方向に戻すことも出来たのか」
「大山先輩って鬼畜の割にあっけない最期でしたね」
「次イキましょ」
腹から滲み出た血の海に沈み気が遠くなっていく大山と、放心状態でへたり込む赤目天使を後に、一行はさらに奥へと進んでいった。
588:27
10/09/08 00:18:01 Qtx7oSwn
***注意***
この先天使ちゃんが天使ちゃんでなく、悪魔ちゃんになります。
あと直井が責められてぐっちょんぐっちょん、浣腸責めでスカトロプレイの直前です。
嫌な人はNGお願いします。
一行がさらに進むと、またまた赤目天使が無表情でゲートの前に一人ぽつんと立っていた。
「音無さん、ここは僕に任せてください」
そういうと直井は、余裕たっぷりの表情で赤目天使に
近づいていき、ハンドソニックがぎりぎり届かないと目測した距離で、立ち止まった。
「さあ、僕の目を見るんだ」
「ガードスキル『ハンドソニック』」
次の瞬間、赤目天使が揺らめいたように見えた。
「「「えっ!?」」」
と同時に、直井の制服が一瞬にして切り刻まれ、床に散っていった。
「うわぁ音無さん!」
思わぬ状況に硬直し、身動きがとれなくなった直井。そんな直井を脇目に、戦線メンバーはひそひそと囁きあった。
「制帽と靴下だけ残して裸にひん剥くなんて、随分とフェチだな」
「女の子みたいに綺麗な肌ですね…なんか微妙に敗北感が…あぅ」
「お前より綺麗かも」
「なんじゃとゴルァ」
「股間のハンドソニックは意外と大きいのね」
「ガードスキル『荒縄』」
まばゆい光とともに空中に出現した荒縄を掴むと、赤目天使は一瞬にして直井を縛り上げ、床に転がした。
「なにをするんだすぐにほどけ僕は神だぞ」
「あー日向先輩、あれって先輩の部屋にあったえろ本に載ってたえすえむの縛り方ですよね」
「まてこら秘蔵のエロ本ってかお前俺の部屋勝手に漁るんじゃねぇ!」
「一瞬にして亀甲縛りとは、恐ろしい娘!」
「あれをガードスキルと呼んでいいのか?」
「おいそんなこと言ってる場合じゃないだろう、誰か助けてやれよ」
「いや、私武器持ってないし」
縄を解こうともがく直井。だが、もがけばもがくほど、その柔肌に縄が容赦なく食い込んでいく。
「貴様、僕の目を見ろ!」
「ガードスキル『アイマスク』」
「なにをするうわやめろ」
「ガードスキル『ボールギャグ』」
「ああっ、音無さんっ助けムググ」
「どう見てもガードスキルじゃないような気が…」
「ガードスキル『ハンドソニックver.4.1a』」
光の粒子とともに、赤目天使のハンドソニックが鞭に変化した。
「あー日向先輩、あれって先輩の部屋にあったえろ本に載ってた女王様が使ってた鞭ですよね」
「いやまてだから俺の部屋勝手に漁るな」
赤目天使は床に転がされて芋虫のようにもがく直井の柔肌に、容赦なく鞭を打った。
視覚を奪われた不安感が他の感覚をむしろ鋭敏にしていくのか、直井は一段ともがき苦しむ。
「ぐっ!うぐぐぅっ!」
その透き通る白い柔肌に、幾重にも赤い筋が刻みつけられていく。
赤目天使のどことなく幼さを残す表情が、次第に妖艶な女の表情へと変わっていった。
「ガードスキル『ボンデージスーツ』」
まばゆい光が赤目天使の全身を包み、そして光の粒子がゆっくりと引いていくと、そこには制服ではなく漆黒のボンデージスーツを身につけた、小悪魔とも言うべき存在が現れた。
「あの体型で女王様の格好、アンバランスさがたまんねぇな」
「日向先輩マゾだったんですね!それならば私がいたぶってあげます!」
「あれもまた天使の内面の一つだというの…?」
「ガードスキル…なのか?」
589:27
10/09/08 00:20:22 Qtx7oSwn
そんなやりとりをひそひそと続ける戦線一同を横目に、赤目天使はさらに直井の股間をブーツで踏みにじる。
「ふぐぅっ!」
男性器を踏みにじられた痛みなのか、股間のハンドソニックへの刺激に対する快楽なのか、直井自身にもどちらともわからない感覚が、股間から全身に広がっていく。
「ガードスキル『言葉責め』」
赤目天使が、直井を蔑んだ目で睨みつける。
「ふふっ、ここを踏みつけにされて喜ぶなんて、とんでもない変態の豚ね」
「むぐぅーお゛ほ゛」
「しかもカウパー液だだ漏れってやつかしら」
さらにグリグリと直井の股間を責め苛む。
「この変態豚、あなたが裏でやっていたこと、すべてお見通しよ」
「う゛う゛う゛」
「陰でNPCに暴力を振るってたことも、そこの芋っぺが私を陥れた時に気がつかない振りをして、漁夫の利で権力を得たことも」
「芋っぺですってぇ!?」
ゆりっぺが食ってかかるが、音無が後ろから肩を掴んでなだめすかす。
「とりあえずここは押さえろ」
そんなゆりっぺを一睨みして、赤目天使は続ける。
「7話以降いつの間にかSSSのアジトに入り浸って生徒会長代行の職務を疎かにしたのにとどまらず、音無君に色目を使ったり」
「相当腹に据えかねているようだな」
「でも、一番許せないのは」
「う゛ぶぅ!」
鞭を握りしめて思いっ切り直井の柔肌を打ち据える赤目天使。
「6話で音無君とお楽しみだったところを邪魔したことよ。中途半端にSSSの連中を痛めつけたせいで芋っぺに音無君を呼び出す隙を与えた。これは万死に値するわ。おかげでせっかくのお楽しみを中断して助けにいかなくちゃならなかった」
「いやそれは単に八つ当たりだろうってか音無お前やっぱり俺らがひどい目に遭ってたときに天使とよろしくヤってたんじゃねぇか!」
「音無クン、詳しい話を聞かせてもらいましょうか」
「音無先輩、ひどいですぅ」
「いやまて、みんな落ち着けっていうか言葉責めはガードスキルじゃないだろう」
内輪揉めを始めた戦線メンバーを脇目に、赤目天使はさらに直井をいたぶる。
「そんなわけで、お・し・お・き」
「ぬ゛う゛ぅ」
「ガードスキル『ローション』」
例によってまばゆい光と共に出現したローションのボトルを掴むと、赤目天使は仰向けになっていた直井を足で転がし、うつ伏せにした。
「あ゛ぶぅっ」
桃尻に一発鞭をかまし、ボトルからローションをドバドバとぶちまける。
尻の割れ目にぶちまけられたローションをねっとりとのばしていく赤目天使。
590:27
10/09/08 00:23:04 Qtx7oSwn
「ふふ、お尻をローションまみれにされて、股間のハンドソニックからもエッチな涎が垂れてるわね。こっちも気持ちよくさせてくださいって催促かしら」
「む゛む゛む゛」
「でも股間のハンドソニックは気持ちよくさせないわよ。お仕置きだから」
ローションにまみれた赤目天使の指が、直井の菊門にふれる。
「あ゛あ゛ん゛」
そしてねっとりと菊門をほぐしていくと、やがて指の動きが止まった。
「!? ずいぶんと緩いケツの穴ね…」
赤目天使の表情が曇る。
「まさか…」
ゆっくりと、そして確実に中指を尻穴に挿入していく。
そして奥まで入れると、中でグリグリとかき回す。
「ひぐぅっ」
前立腺を刺激されたのであろう、一瞬ビクっと反応する直井。
「いい反応だけど…これは…」
人差し指を追加すると、スムーズに入っていった。
さらに薬指を追加する赤目天使。
やっぱりするすると入っていく。
「あ゛あ゛あ゛」
快感でビクビクと戦慄く直井。
「指三本も喰わえ込むなんて、開発済みなのね?」
「あ゛う゛う゛」
「白状しなさいっ、音無君にケツマンコを開発されたのね!」
「音無お前…コレなのか?」
「BL系の同人誌を書く戦線メンバーがいたから、彼女達にネタとして提供しておくわ」
「音無先輩…直井はいいけど、日向先輩は私のモノですからね」
「いや待てお前ら、俺は直井に指一本入れてないぞ」
そんなやりとりも脇にほっといて、赤目天使はさらに続ける。
「どうしても白状しないつもりね、ならばこれよ。ガードスキル『エネマシリンジ』」
まばゆい光の粒子とともに、空中に極太の浣腸器が出現した。
すでに浣腸液は充填済みである。
凶悪なサイズの浣腸器を抱えると、その先端を直井のケツマンコに突き立てる赤目天使。
「む゛ぐぐぐ」
ケツマンコを刺激されての快楽か、それともこれからさらに責め苛まれるであろうことへの期待なのか、本人にもどちらともつかない感覚で、全身を震わしていく直井。
赤目天使がゆっくりとピストンを押して、浣腸液を腸内に流し込んでいく。
直井の腹が徐々に膨らんでいき、しまいにはまるで妊婦のようになっていった。
「ガードスキル『アナルプラグ』」
光の粒子が引いていくと、出現した太めのアナルプラグを掴んで、直井のケツマンコをゆっくりと嬲りながら挿入する。
「ん゛ぶぶぅ」
浣腸液の便意による苦痛と、アナルプラグが前立腺を刺激しての快楽がない交ぜになり、もはや訳も分からず身体を震わす直井。
「どう? 白状する気になったかしら」
さらに赤目天使がブーツでアナルプラグをグリグリと踏みにじる。
「いや、ボールギャグを咬まされて白状もなにもないだろう」
「アホね」
「アホでもいいわよ、コレはお仕置きなんだから」
そういうと赤目天使は、直井の腹をブーツのつま先で小突いた。
「アナルプラグで栓をしてても、あれだけの浣腸液を入れられた上にあんなことやったら、そろそろヤバいことに」
「おしっこならともかく、さすがの私でも大きい方はちょっと…」
「これ以上やるならスカトロスレに逝けとかツッコミが入る前に、次イクわよ」
「直井、後で助けるから耐えてくれ」
「まあ何だ、達者でな」
「う゛ぶぅー、ぶふぅー」
ゴロゴロと腹が鳴って脂汗を垂らしている直井と、そんな直井を蔑むように薄笑いを浮かべながらアナルプラグをブーツでグリグリと踏みにじる赤目天使を後にして、一行は薄暗い通路を先へと進んでいった。
591:27
10/09/08 00:23:53 Qtx7oSwn
以上です。
大山ファンのみんな、すまん。
少しかわいそうかとも思ったんだが、やっぱこういうキャラクターなのかな、と。
罪滅ぼしに、いずれ椎名さんとのラブラブなSSを書きたい思います。
あと直井ファンのみんなもすまん。
悪気はないんだが、普段強気な小僧が一見か弱い女の子にぐっちょんぐっちょんに攻められ涙するというシチュエーションにすげぇ興奮するんで。
ちなみに直井のケツマンコは「音無さんを想いながら自分で開発した」と直井が電波を飛ばしてきました。
あと天使ちゃんごめんなさい。マジごめんなさい。
このあとどう云うわけか本編と違う展開で遊佐、ひさ子、関根、入江が出てくるという電波を受信したので、書いているところです。
ではおやすみなさいませ。
592:名無しさん@ピンキー
10/09/08 06:09:16 68zqaF6A
乙
ある意味すごいよ
593:名無しさん@ピンキー
10/09/08 06:48:46 kNqzDctg
>>591
gっっっっj!!!!!
鬼畜大山サイコーーー!当然日向もあるんだよな?
594:名無しさん@ピンキー
10/09/08 06:57:52 RSPW0hIW
>>591
直井乙wwwwひでぇ
遊佐、ひさこ、関根、入江が出る、だと!?
つか日向の展開が想像出来ないのだが
595:名無しさん@ピンキー
10/09/08 19:24:57 OFLfXEMK
>>591
乙。M直井と鬼畜大山とS天使ちゃんたまんねぇ
確かに日向は想像できないな…ユイにゃんの前で天使を犯すのか
直井みたいに侵されるのか…どっちにしろユイにゃんショックうけちゃいそう
596:名無しさん@ピンキー
10/09/08 22:31:52 kNqzDctg
まじ天使ちゃんにかうぱーきもちいいの?
変態!って言われたい
597:名無しさん@ピンキー
10/09/08 23:56:03 d/MBkwnv
>>595
一緒に犯しちゃえばいいんじゃないかな
598:名無しさん@ピンキー
10/09/09 01:12:12 fcTg1HmX
まさかの3P…
その発想はなかった
599:名無しさん@ピンキー
10/09/09 06:18:19 oUTwlbZJ
あの世界では処女膜破れても
しばらくしたら処女に戻るのか?
傷とかは自動的に治るみたいだし
600:名無しさん@ピンキー
10/09/09 07:37:34 pxdQ/2ZA
ずっと挿入したまんまだったら処女膜がナニに絡みついてくんのか
601:名無しさん@ピンキー
10/09/09 13:43:00 WYX17kox
何それ怖い
602:名無しさん@ピンキー
10/09/09 13:59:20 ukJHpt9z
抜けなくなるのね?
603:名無しさん@ピンキー
10/09/10 02:44:37 jZsAJMGI
身体が服ごとバラバラに切り裂かれても布地を巻き込まず、
ちゃんと一固体の人間として傷が治るから、急速な
自己治癒能力によるものではないよね。
もっと別の力が働いているのではないかと思われる。
だから、他人の臓器同士が癒着することは無いんじゃないかな。
なったらなったで合体したまま学校生活を送ることに・・・
>>602
抜くときにまた処女膜が破れるか広がるだけで済むかと。
604:名無しさん@ピンキー
10/09/10 23:47:37 kBcHv4Xv
そういうときのハンドソニックですよ
605:名無しさん@ピンキー
10/09/11 00:18:30 LC+xkFDa
最近涼しくなったからひさ子と大山も有りかもしれ無いと思い始めた
606:名無しさん@ピンキー
10/09/12 02:42:47 2VBB4cOr
>>605 www
607:名無しさん@ピンキー
10/09/12 14:12:35 aqeSqk7u
天使「バイブレーション」
ヌルッ
ゆりっぺ「あああああ」
608:名無しさん@ピンキー
10/09/12 18:08:54 ZkJnZ+7h
>>607
なにそれ面白そう
609:名無しさん@ピンキー
10/09/12 19:01:26 HHK1f980
天使「Vibration」
ゆり「ひああっ!もぅ、やめ、ふぁああ!」
天使「……やめない」
ゆり「私が、何したって、あひゃああっ!?」
天使「何もしてない」
ゆり「なら、なんで、んはああっ!?」
天使「これから先、するかもしれない」
ゆり「そんな、曖昧な、あぁぁああぁあん!」
天使「だから念のため」
ゆり「ちょ、二本目ってどこに、ちょっと!そこは、らめらってえぇぇぇえええぇえぇぇええ!!」
610:名無しさん@ピンキー
10/09/12 19:07:24 kPnEaJ5b
>>609
GJ
遊佐とかに見られてるんだろうなw
611:名無しさん@ピンキー
10/09/12 19:30:53 k5xef2KX
>>609
ゆり「私が、何したって」
……どの口がそれを言うw
612:名無しさん@ピンキー
10/09/13 06:31:16 H4+PQ+lP
>>609
gj!後ろで野田がハァハァしてそうww
613:名無しさん@ピンキー
10/09/13 16:05:08 x7uww1ZT
かなでから、「この山を越えた向こうに中学時代に死んだ魂が集まる学校が、そのまた向こうに
小学生で死んだ魂の学校がある」と聞き、妹に会えるかもしれないと山越えを決意する音無
614:名無しさん@ピンキー
10/09/13 16:15:18 M8D0prpq
音無「かなでの元へ還り、再びかなでから生まれることで永遠にかなでと一緒にいられるはず」
615:名無しさん@ピンキー
10/09/13 16:48:21 YACwaJe0
>>614
ぬらりひょんの孫乙
616:名無しさん@ピンキー
10/09/14 01:24:09 kTKSynVP
ひさ子と大山をムリに絡めてみた。ソフト路線。しかし長いです。
以下文中の読みづらい語。
あんたん そうりん へんぱ しまおくそく きょうぼく かつぜん けんこん あいたい かくかく かかわらず らつみ
けだし ひんしゅく いささか ひばり そしゃく ふるえる とろける とく ためらう きめ なめらか にゅうし 麻雀用語
617:かなでは興味を持たなかった話 -博打ー
10/09/14 01:25:06 kTKSynVP
仰ぎ見れば、空は雨雲が漂い、天鼓が閃光を放ち、風が猛り狂い、暗澹としていた。
耳を側立てれば、校内の外れにある叢林から、夜鷹の鳴き声が盛んに響く。
偏頗な揣摩臆測が飛び交い、独りきりとなった。友人たちも次第に、未練を解消して消えていった。
彼女はいつしか愛想を失った。
望みとなったのはここで得た役職と、ようやく巡り会えた恩人らしき人物。
しかしそれさえも、見えなくなりそうだった。
喬木は風に妬まれる。ローファーと階段の滑り止めとの接触によって生じた戛然たる音も聞かず、
月色に照らされた乾坤暗き闇のなか、かなでは佇み、靉靆としていた。
或る昼食時、赫々とした一枚の皿が音無の視線に触れた。
油分はそれ程浮かんではいないが、異常に健康に悪そうな料理が皿に盛られていた。
クラス、学年、どころか生徒全体が手を付けないにも拘らず、献立から抹消されない不可思議な一品。
それは食堂のおっさん、おばさんの遊び心によって誕生したメニューか。
価格にして¥300。大手チェーン店の牛丼と同じくらいの価格。その名は麻婆豆腐。
罰ゲームとして成り立つ程の刺激は、山椒による痺れである麻味、唐辛子の辛さである辣味からくる。これらはそもそも
苦味、酸味、甘味、塩味、旨味といった五味とは違い、痛覚に訴えるものであるので味覚と呼んでよいのか疑問であるが、
例外的にその麻婆豆腐に限っては、その麻辣の後に濃縮された何とも言えない味わいがおとずれる。
ただ、その味わいを知っている者はほぼ誰もいない。品行方正なNPC達は手をつけないし、
手をつけるのは、根性試しをする一部のPCや、一部の偏食家くらいなものなので、いつ廃止されてもおかしくない物であった。
「かなでが食べなくなったら幻のメニューになりそうだな」
毎日手をつけているのはかなでだけだということを、音無は知っていた。
材料の維持費もある。需要が無くなれば意外にあっさりと姿を消してしまうのかもしれない、とそんなことを思っていた。
蓋しその通りだろう。と、かなで自身もそうは思ってはいたが、顰蹙して一語も発しなかった。
音無が諷した内容は受け入れがたかったようで、かなではにべもなく目の前にある麻婆豆腐にレンゲをつけ、ぱくぱくと口に運んだ。
618:かなでは興味を持たなかった話 -博打ー
10/09/14 01:25:54 kTKSynVP
だが、音無は皮肉を言いに来た訳ではない。
もしも麻婆豆腐がリストから外れてしまったときのことを考えて、かなでが気に入るんじゃないかと思えるような代替えの品を用意してきたのであった。
「今月から始まったメニューみたいなんだけど、これ面白そうじゃないか?」
音無が掲示した学園大食堂・フードコート、と書かれた食券の中央には、大きな文字で<別品>と記されていた。
今のところ推薦している音無自身も試食していないので、まったくの未知数の品だ。というより券売機にこのメニューがあったのかさえ怪しい。
NPCはもとよりPCたち、日向やユイといったSSSの戦員たちも日頃のメニューで満足しているので、まだ誰も手を出していない。
しかし音無には、玄人限定っぽさを醸し出しているこのメニューこそが、かなでの新たな好みとなるような気がしていた。
「それじゃ引き換えてくるから、ちょっと待っててくれ」
音無は笑顔で食券を手にかざして、まだ混雑しているカウンターの前に縦列に並び、そこそこの時間をかけて引き返してきた。
するとかなでは、寂然としながらも些か興味を示してトレーを眺めた。
「丼もの?」
トレーの左には蓋付きの陶器の丼、右には椀、隅には山椒の小袋が置かれていた。
「何だろうな、期待していいのか?これは?」
見たところ天丼、親子丼、牛丼といったあたりのようにも見えたのだが、山椒が付いているところがポイントだ。
とはいえ、いかんせん、蓋を開けてみるまでは分からない。
音無がひそやかな好奇心を抑えながら間取草紋の蓋をそっと開けると、湯気が立ち昇った。
それとともに独特の甘い香りが漂った。たれの香りだ。
身の側ではなく、焼いた皮の方を表にして、御飯の上に、炭火で焼き上げられた鰻が並べられていた。
「道理でいい値段な訳だ」
かなではどこか嬉しそうにしている音無を横目にしながらも、麻婆豆腐をぱくぱくと口に運んでいた。
もう7割ほど食べ終わっている。そのため、彼女の胃袋はとても空腹とは言えない状態だ。
「かなでも一口食べてみてみろよ。非常時のときのために味見しておいたほうがいいと思う」
「期間限定じゃないの?」
「鰻なんていまや年中食べられる。何も丑の日だけって訳じゃないから。
というより、この世界に季節ってあるのか?」