10/08/09 13:58:02 qcQIKO9Q
「~♪」
しばらくしたある日。あたしは久しぶりに音無くんと一緒に川原へ、明日のオペレーション、モンスターストリームを行うための下準備に来ていた。鼻歌まで歌って。
川の主は以前かなでちゃんが釣り上げたから、今回は本当にただの魚釣り。危険はないはずだけど、一応念のためってことで。
だから別にモンスターストリームじゃなくてもいいんだけど、考え直すのもめんどくさいし、このままでいくことにした。
「どうしたゆり? 今日はなんか機嫌よさそうだな」
「え? そう見える?」
「ああ。なにかいいことでもあったのか?」
音無くんが不思議そうに問いかけてくる。そりゃあ、久しぶりに音無くんと一緒にいられるんだもの。頬も緩むし、自然と笑顔にもなるわ。おまけに胸の痛みも感じないし、もう最高ね!
今までは緊張して悶絶することが多かったけど、あれはきっとまだこの感情を完全に自覚していなかったからだろうし、音無くんへの恋心を本格的に自覚した今は、若干スッキリした気持ちになっていた。
遊佐さんにバレた、ということも少しは拍車をかけているんだと思う。だったら、もうバレたらバレたで開き直ってやるわ。そのほうがあたしらしいし。
だからと言って大っぴらに行動するのはまだ抵抗があるから、今は少しずつ外堀を埋めていけばいいと思っている。
「音無さん」
不意に背後から声が聞こえたので、歩みを止めて後ろを振り返ると、ある意味あたしにとってラスボス的存在の遊佐さんが立っていた。
え? この娘、なんでここにいるの? オペレーションメンバーには行き先を伝えてあるけど、遊佐さんやガルデモのみんなには伝えていないはず。ということは、ほかのメンバーから聞いたのかしら?
「あれ、遊佐? おまえ、どうしてこんなところにいるんだ?」
「音無さんとゆりっぺさんが二人で校内から出て行くところを見かけたので、付いてきました」
チラ、とこちらを軽く一瞥する遊佐さん。
う、あの日以来この娘、ちょっと苦手だわ。なんかあたしの心の中をすべて見透かされているような気がするし。
オペレーションの時は私情を持ち込まないけど、こういった私生活の中で出会うと、少しばかり警戒してしまう。なによりあたしの気持ちを知っているから、それを材料になにかしてきそうで。
百歩譲って戦線の女性メンバーにバレるならまだしも、仮にもほかの男性メンバーや音無くんにバラされでもしたら、あたしは今すぐにでも壁に頭を打ち付けて、自ら死を選ぶだろう。
いや、すでに死んでるから意味ないわね。じゃあ、この世界からの消滅かしら。
「付いて来た理由ですが、ちょっと音無さんにお聞きしたいことがあったので。少しお時間よろしいですか?」
「ああ、構わないよ」
「では失礼して」
遊佐さんはそう言うなり、音無くんに擦れ合うほど近寄ってきて――。
270:名無しさん@ピンキー
10/08/09 13:58:46 qcQIKO9Q
「―なっ!?」
「お、おい遊佐!?」
あろうことか、遊佐さんは音無くんと腕を組み始めたのだ。それどころか腕をさらに抱き寄せて、その豊満な胸を音無くんに押し付けているようにも見える。
いや、押し付けている。完璧に。
あたしは慌てて止めにかかる。
「ちょ、ちょっと! なにくっついてるのよ! 離れなさい!」
「いえ、わたし独自でちょっとしたアンケート調査をしているんですが、女性の意見はあらかた聞いたので、今度は男性メンバーの中で、唯一の常識人である音無さんの意見をお聞きたいんです。極秘なので、密着しないと耳打ちできませんし」
「だったら、なんでどさくさに紛れて必要以上に胸を押し付けるようなことすんのよ! っていうか、そもそもどうして耳打ちなのよ! アンケート調査なら普通にアンケート用紙に記入でいいでしょ!」
「…………実はアンケート用紙を忘れてしまって…」
嘘だ。絶対嘘だ。
明らかにわざとでしょ。それ以前にアンケート調査自体が嘘でしょ。その証拠に、目がほんの一瞬だけ泳いだもの(あまりにも速かったので、ほとんどの人は気づかないと思うが)。
だいたい、音無くんも音無くんよ! いつまで遊佐さんの胸の感触を確かめてるのよ! さっさと振り払うなり腕をほどくなりしなさいよっ!
「いいから離れなさいっ!」
「……仕方ありませんね」
スッと遊佐さんが音無くんから離れ、改めて隣に立つ。
「音無さん。アンケートは次回に回すとして、聞いて欲しいことがあります」
「あ、ああ…。な、なんだ?」
遊佐さんの抱擁からようやく解放された音無くんが、どもりながら返答する。
そんな中、遊佐さんは盛大な爆弾を投下した。
「わたし、音無さんのことが好きです。わたしと、結婚してくれませんか?」
271:名無しさん@ピンキー
10/08/09 13:59:26 qcQIKO9Q
刻が止まった。
そして、流れる沈黙。
訪れる静寂。
……………………。
『えぇえええええええぇぇぇええええぇぇえぇえぇッ!?』
耳を劈(つんざ)くような、けたたましい驚きの声が川原付近に木霊した。
は? いや、ちょっと待っ―えぇ!?
今この娘、なんて言った? 音無くんのことが好き? 結婚してくれ?
…………はぁ!? なぜ!? ホワーイ!?
付き合うんじゃなくて結婚!? いくらなんでも発想がぶっ飛びすぎてない!?
いきなりの爆弾発言に思考が追いつかない。当然ながら、それはあたしだけでなく音無くんも同様で――。
「あ、あの…遊佐さん?」
「音無さん、結婚してください」
「えぇっ!? いや、そのだな…」
「わたしでは、ダメですか?」
「あ、いや、そういうワケじゃ……」
「わたし、音無さんのことがどうしようもないくらい好きなんです。わたしになにをしても構いません。音無さんのしたいこと、して欲しいこと、全部してあげます。ですから、わたしと結婚してくれませんか? そして、わたしの苗字を遊佐から音無にしてください」
遊佐さんの告白に、頭の中がオーバーヒートしてしまった音無くんの目がグルグル回っている。
当然だ。交際をぶっ飛ばしていきなり結婚だなんて、そうそうあるものじゃない。
その隙に彼女は音無くんの懐に入り込もうとする。そして妖艶に、音無くんに顔を近づけていく。
ここでなにかしなければ、二人はキスをしてしまう。
そう直感したあたしは、無我夢中で声を大きく張り上げる。
「ダメぇえぇえ!! 音無くんの苗字をもらうのはあたしなんだからあぁあぁあッ!!」
力の限り叫んだ。
どのくらい経っただろうか。あたしは呼吸を整えると、二人を視界に入れる。
「…………」
「…………」
「…………はっ」
流れる沈黙の均衡を破ったのは、直接的な原因でもあるあたしだった。
……結局、この日の出来事は熱に浮かされていたことによる気の迷いということで、ようやく決着がついた。
272:名無しさん@ピンキー
10/08/09 14:00:12 qcQIKO9Q
その夜。
あたしは再び校長室にいた。今度は遊佐さんもちゃんといる。
「……もう死にたい…」
「わたしたち、すでに死んでいる身なんですが…」
遊佐さんのツッコミに返す元気もないくらいに、あたしは衰弊しきっていた。
紆余曲折あったが、なんとか音無くんも納得してくれて、それからは何事もなかったかのように普段通りに接してくれた。
「そういえばさ、今日のあれ、本気なの?」
机と融合するように突っ伏していた顔を上げて、遊佐さんに問いかける。
「秘密です」
またこれか…。
何度聞いても、遊佐さんは「秘密です」の一点張り。
彼女の場合、本気っぽく言っても実は冗談だったり、冗談っぽく言ったら実は本当のことだったり、逆に本気っぽく言ったら実は本当のことだったりと、本気なのか冗談なのか、心境がまったく読めない。
おまけに素性、生い立ち、死亡経緯、その他諸々がとにかく謎に包まれすぎているから、余計に気味の悪さに拍車をかけている。
この娘、下手をすればTKよりも正体不明の謎キャラなんじゃないかしら。
「しかしゆりっぺさん、ご自分の発言を撤回なさるなんて、意外とチキンだったんですね」
「チキン言うな! もしそうだとしても、あなたに言われるとなんかすごく腹が立つわ!」
「失礼しました。仮にも恋のライバルなんですから、心配なんですよ」
「……別にあなたに心配してもらわなくても大丈夫よ」
恋のライバルについてはもういいわ。
どうせ聞いたところで同じ返答しか帰ってこないことは目に見えているので、敢えてスルーする。
まぁ、遊佐さんなりにあたしのことを心配してくれていることについては嬉しいんだけど。
「ホテルは取りましたか? ティッシュはありますか? 避妊具はいりますか?」
「なんの心配してんの!? 実はあなた、あたしのこと全然心配してないでしょ!?」
「……そんなことありませんよ。じゃあそうですね……レモン食べますか? クラシックかけます? もうベビーベッドは買いましたか? お子さんの名前は決めました?」
「接続詞おかしくない!? そもそも妊娠もしてないから!」
「では二人で全裸待機でもしていましょうか」
「猥褻物陳列罪!」
それ以前にこの世界って妊娠できるのかしら、なんて考えつつ、あたしとスターを取ってフリーダム状態となっている遊佐さんの、理解不能のアホトークは深夜の3時過ぎまで続いた。
……ってかあたし、また寝不足じゃん。主にこの人のせいで。
273:名無しさん@ピンキー
10/08/09 14:01:12 qcQIKO9Q
今回はここまで。
取り敢えずエロあり前提で進めてみますが、初書きなので挫折する可能性あり。
274:名無しさん@ピンキー
10/08/09 14:27:24 RB0b2yPq
新作ktkr
275:カレナック
10/08/09 18:28:29 NUF8MpAs
キタ―――――!!
エロス展開に期待
276:名無しさん@ピンキー
10/08/09 20:57:42 /IWj6J/j
>>273
GJ!!
続きに期待
277:名無しさん@ピンキー
10/08/09 21:00:41 NOCGw1mE
エロまちGJ!!ふさしぶりだから嬉しー!!
278:名無しさん@ピンキー
10/08/09 23:21:17 X4MdZsBu
テストの回の時、もしも椎名さんが居たら……
ゆり「椎名さん、お願いねっ」
高松「言った通りにすればうまく行くはずです」
椎名「うむ、分かった……」
ガタッ
椎名「先生!」
教師「……ん?」
椎名「実は私、着痩せするタイプ何です」
男子共「おぉっ!」
教師「さっさと服着て座れ」
椎名「浅はかなり」カタッ
い~つも~ひ~とりであ~るい♪
椎名「次は、下も脱ぐか……」
高松「次は、下も脱ぐか……」
お目を汚してすみませんでした
279:名無しさん@ピンキー
10/08/09 23:38:23 NRVVsmSP
それをちゃんとした作品にするんだ!
280:名無しさん@ピンキー
10/08/10 04:50:58 Te/JMkcc
おい!すんど眼はひでえ!
281:名無しさん@ピンキー
10/08/10 11:35:47 0dtZR+ti
ユイが「し~ん~わ~ざ~」って日向に言った後
日向がシカトするから「もういい、大山先輩にかけよ」って言ってたから 妄想
大山「ギブギブッ!痛い痛い痛い痛い痛いぇ!」
ユイ「ハァ~、大山先輩って弱っちぃですね~」むにゅ
ユイ「むにゅ?」
椎名「貴様、許さんっ!」
ユイ「う、うわぁっ!みんな、見てます!おろして下さい!椎名先輩!」
藤巻「おおっ!椎名の子犬を踏んだユイを椎名が!」
ゆり「見事に決まったわね」
日向「あ、あれは!キンニクバスター!!!」
大山「ザマァw」
松下「パンツまるみえだぞ!」
ユイ「見いいぃぃいいるなああぁぁああ!!!」
椎名「浅はかなり」
ユイ「後で覚えとけよ貴様ら!!!」
後でみんなの肉便器になるユイにゃんでした
282:名無しさん@ピンキー
10/08/10 12:45:45 y4vTTm+k
大山キャラ違ぇwww
それにしてもいろいろと乏しい体型に興奮するとはな・・・
俺はユイに誘惑されても耐えきる自信があるわ
283:281
10/08/10 14:53:37 0dtZR+ti
大山「ここでキャラ変えたら、神様も吃驚仰天かなって」
284:名無しさん@ピンキー
10/08/10 15:14:01 Te/JMkcc
>>281
なぜそっから肉便器wwww
gjww
285:281
10/08/10 16:21:46 0dtZR+ti
大山「松下五段!ちゃんと抑えといてよ」
松下「おうっ」
ユイ「え?何するんですか?」
大山「次は、僕達が技をかける方だよ」
ユイ「え!?聞いてないですよ!そんなの!」
松下「体勢はこんな感じでいいか?」
ユイ「え、何ですか!?この体勢?」
TK「Oh!! Sex!!」
ユイ「セック……!?も、もしかして大山先輩!?」
大山「取りあえず、濡らそっかw」
ユイ「いやっ!やめっ、あぅっ、あっ、あっ!」
一方その頃 後にやんよと言う男は
直井「お前は、この鉛筆より……」
日向「うああぁぁああ!!!」
音無「やめろ、この馬鹿」
直井「音無さん!聞いて下さいよ!」パアァ
日向「鉛筆に比べて俺は!俺は!」
やんよの日
ユイ「ユイ、初めて大山先輩に盗られちゃったよ……」
日向「へ(裏声)……、あ、えと、あの、あっ!どんなハンデでもつったろ!!!」
gj、初めて貰って調子にのりました。
286:名無しさん@ピンキー
10/08/10 17:44:33 6ky5rDL/
大山ァ……
5話の純粋さはどこ消えた
287:名無しさん@ピンキー
10/08/10 18:41:43 Te/JMkcc
大山!お前には椎名がいるんじゃないのか!?
GJ!!
288:名無しさん@ピンキー
10/08/10 18:46:32 y4vTTm+k
大山のキャラ崩壊ワロタwww
GJ!
289:名無しさん@ピンキー
10/08/11 22:41:17 iTJW8r4N
URLリンク(www29.atwiki.jp)
これは使われてない系?
290:名無しさん@ピンキー
10/08/11 22:43:26 Q2c6Vk4c
使われてないの?
291:名無しさん@ピンキー
10/08/11 22:47:21 wvBekvPc
移転したからな
292:名無しさん@ピンキー
10/08/11 23:01:18 Q2c6Vk4c
まじかよ移転先は?
293:名無しさん@ピンキー
10/08/11 23:19:27 wvBekvPc
>>1
294:名無しさん@ピンキー
10/08/11 23:27:50 Q2c6Vk4c
ああwどうもです
295:名無しさん@ピンキー
10/08/11 23:53:27 U9lEUHWu
中村さんは音無より日向のイメージがあるんだが・・・
俺だけ?
296:名無しさん@ピンキー
10/08/12 00:04:58 RW5MaSRm
主人公はどのキャラとの組み合わせても許される感じだけど
日向とユイは公式でカプだからわざわざ日向とゆりはなあって人が多いんじゃね?
297:名無しさん@ピンキー
10/08/12 00:20:37 j3fjl6lj
第1話を見た時は音無とゆりが公式になると思ってたぜ
最終的にまさか敵キャラが公式とはな・・・
298:名無しさん@ピンキー
10/08/12 06:17:00 UD8Mu2rs
まさに百合っぺ
299:名無しさん@ピンキー
10/08/12 08:25:21 4aAjilFB
>>297 普通わかるだろ
CMの時点で
300:名無しさん@ピンキー
10/08/12 20:02:15 UD8Mu2rs
まだかよ!!
301:名無しさん@ピンキー
10/08/12 20:10:26 j3fjl6lj
>>299
仕方ないだろ
CMなんか見たこと無かったんだ
自分で公式=敵キャラっていう可能性を
脳内で排除してたのが悪かったぜ
結構あるパターンなのにな
302:名無しさん@ピンキー
10/08/12 20:13:14 j3fjl6lj
>>300
気長に待とうぜ
303:名無しさん@ピンキー
10/08/12 20:37:27 FBg/wlzN
>>300
>>302
明日から有明で祭りだからな
職人さんにも参戦する人多かろうよ
それに祭りの後には新ネタがごっそり出てくるし
304:名無しさん@ピンキー
10/08/12 21:06:17 UD8Mu2rs
よし、信じるからな、それ
305:名無しさん@ピンキー
10/08/12 22:52:42 E3qcHSr+
どーも
非エロでいきます
ちなみにコレは演劇です
「桃太郎」
306:名無しさん@ピンキー
10/08/12 22:56:23 E3qcHSr+
昔々、あるところに、おじいさん(TK)とおばあ……おねえさん(ゆり)がおりました。
ある日、おねえさんは川へ洗濯に、おじいさんは家でダンスを踊っていました。
おねえさんが川で洗濯をしていると、川上の方からどんぶらこどんぶらこと、大きなハルバートが流れてきました。
「TK。ちょっと芝刈りに行って来てくれない?」
「OK! ! Here We Go!」
おねえさんはその拾ったハルバートをおじいさんに渡し、芝刈りに行かせました。
おじいさんが山で芝刈りをしていると、小さな鬼(天使)に出会いました。
「Who Are y」
おじいさんの言葉を遮るように、鬼は手にした短刀でおじいさんの胸を貫きました。
ブシャァッ!
おねえさんはなかなか帰ってこないおにいさんが心配になって山を登ると、おじいさんが血まみれの状態で倒れていました。
「TK……そんな……」
おねえさんがショックで呆然としていると、切り裂かれたおじいさんから、元気な男の子が出てきました。
「TK……あなたの仇は討つわ………………………この子がね!」
おねえさんはその子供に『桃太郎』と名づけ、自分に服従するように、適度に甘やかし、適度に鍛えて育てました。
そして数年が経ち、健やかに育った桃太郎(野田)は、おねえさんにはしっかり従うものの、里に下りては悪さばかりする困り者でした。
「桃太郎、里の人たちから苦情が来てるわよ。なんでこんなことしたの?」
「むしゃくしゃしたから」
「ワオ、今時の若者ね。じゃあ桃太郎、ちょっとお願いがあるの。これを見事にこなせたら、今回の事は見逃してあげる」
「怒らないのか!?わかった!なんでもするぞ!」
「鬼ヶ島(天使ヶ島)に殴りこみに行ってきて」
「おお!まかせとけ!」
何も理解せず、安請け合いした桃太郎は、おじいさんの形見のハルバートとおねえさんが作ってくれたキビダンゴを持って旅に出ました。
307:名無しさん@ピンキー
10/08/12 22:59:15 E3qcHSr+
ある日、桃太郎は強そうな犬に出会いました。
「なあ、そのキビダンゴ分けてくれたら力になるぞ」
「黙れ!ゆりっぺの手作りキビダンゴを誰が貴様なんぞにやるものか!」
桃太郎は冷たくも突っぱねました。
「いやでもさ、俺たちいないと鬼に勝てないぞ」
「貴様らの力を借りるまでもない」
桃太郎は内容を捻じ曲げるつもりのようです。
犬(音無)は困り果てました。
「じゃあもういいよ。手伝わせてください(棒読み)」
「ふん、そんなに手伝いたければしょうがないな」
「(腹立つなコイツ)」
犬が仲間になりました。
308:名無しさん@ピンキー
10/08/12 23:00:11 E3qcHSr+
続いてある日、桃太郎は強そうなキジに出会いました。
「そのキビダンゴを分けてはくれまいか?」
「ダメだ。コレはゆりっぺから貰ったものだからな」
またも桃太郎は拒みました。
「そうか、ならば仕方ない」
キジ(椎名)は早々に諦めました。
「はいストップ!!」
「何を急に叫びだすんだお前は」
「(おい椎名!ちゃんと台本どおりにやらなきゃダメだろ)」
「しかし、ヤツの方からアドリブで言ってきたぞ?」
「(アイツはアホなんだ!こっちが大人になってサポートしてやらないといけないんだ!)」
「………………フム、仕方あるまい。」
キジは覚悟を決めたようです。
ブシャアァ!!!
「ぐわぁぁぁぁぁああああああああ!!」
「おい椎名!何やってんだ!?」
「台本ではキビダンゴを受け取って仲間になると書いてあった。よこさないのだから力づくで奪うしかなかろう?」
「いやそんなドヤ顔されても困るんだが。…………仕方ない。本人が生き返るまで待つか」
桃太郎が生き返るまでその死体を眺めるという不毛な時間を過ごしました。
309:名無しさん@ピンキー
10/08/12 23:01:09 E3qcHSr+
そしてある日、強そうなサルに出会いました。
「でなんで俺がサルなんだよ!?」
サル(日向)は出会った瞬間に意味不明なことを叫びました。
桃太郎一行はそれに生温かい視線を送り、その場をあとにしました。
「ちょっとまて!キビダンゴをくれ!」
「ダメだ」
とぼとぼと去っていきました。
またある日、熊に出会いました。
「なんかひとつだけ格が違うのキタ!」
熊(松下)はのっそりと、興味も無さそうに肉うどんを食べていました。
「なぁ、熊なんてすごい頼りになりそうじゃないか?キビダンゴあげて仲間にしようぜ?」
「何度言えばわかるんだ?俺はゆりっぺのキビダンゴを他人にやる気は微塵もない」
「はぁ…………」
犬の提案をバッサリと切り捨てた桃太郎に犬は少し苛立ちます。
「(なぁ松下五段。あんたはどういう設定なんだ?)」
「通りすがりのただの熊だ」
「そうか。いまどきの熊は肉うどん立ち食いしてるのか」
「ゆりっぺに日向の代役として参加するよう言われてな」
「そうか。じゃあとりあえずこの食券三枚で協力してくれるか?」
「勿論だ!」
310:名無しさん@ピンキー
10/08/12 23:02:12 E3qcHSr+
鬼ヶ島にて―――
「うわ、たくさんいるな………」
小船で鬼ヶ島の陰に隠れながら犬が呟きました。
犬の言うとおり、その島は見た目可愛らしい鬼たちで埋め尽くされていました。
「桃太郎、どうする気だ?」
「正面突破だああああああああああああああああああああああ!!!!」
「あ、バカ!」
鬼たちの群れに飛び込んでいった桃太郎は、あっという間に串刺しにされてしまいました。
「主人公が噛ませ犬でどうすんだよ…………」
「これからどうする?」
「俺達だけで倒せるか?」
「……やれるとこまでやってみよう」
そこからは犬たちの逆襲でした。
一人でいるところをキジがすばやさで岩陰につれこみ、三匹がかりで倒す。
それを繰り返し、なんとか鬼ヶ島を制圧したのでした。
めでたしめでたし
311:名無しさん@ピンキー
10/08/12 23:02:58 E3qcHSr+
駄文失礼しますた
312:名無しさん@ピンキー
10/08/12 23:06:44 Y0gVJtvv
俺も下半身にキビ団子が二つついてるんだけど
誰か仲間にならない?
313:名無しさん@ピンキー
10/08/12 23:53:11 XHy+8aBY
>>312
もぎ取ってもいいのか?.
314:名無しさん@ピンキー
10/08/13 00:00:43 j3fjl6lj
>>312
その団子は潰しても良いのか?
315:名無しさん@ピンキー
10/08/13 00:19:15 OMk9BdgB
つーか喰わせるのか?
団子丸ごと喰わせるのか?
いまさら「餡」だけなんてオチをつけるなよ?
団子は丸ごとかぶりつくものだぞ?
316:名無しさん@ピンキー
10/08/13 00:20:15 JIn5yZqk
>>312いじめw
普通に面白かった
おじいさんと猿の扱いひどすぎてワロ
317:名無しさん@ピンキー
10/08/13 00:32:55 QVQfOQeS
ちょっとふやけててもいいならな
318:名無しさん@ピンキー
10/08/13 04:48:56 a0+d4f2A
>>311
普通に面白いwゆりっぺワオじゃねーよwwww
319:名無しさん@ピンキー
10/08/13 13:15:14 kZUH+WgM
>>306乙
遊佐さんがナレーターだと思うと胸熱
320:名無しさん@ピンキー
10/08/13 21:54:19 pGPQQTGN
音無×岩沢
でいきます
我ながら気持ち悪いくらい純愛にしすぎた気がする。
321:名無しさん@ピンキー
10/08/13 21:55:09 pGPQQTGN
「音無、いるか?」
コンコンとノックしてみたが、一切の返事がない。
おかしいな。この時間帯に外出する用事もあまり考えつかない。
おそるおそる扉を開けると、電気がついていなかった。
本当に外出してるのか?
真っ暗な室内の中、手探りでスイッチを見つけてつける。
すると足元に音無が倒れているのが見えた。
「ぅわっ!」
声をあげて、我ながら柄じゃないなと思う。
クスクス笑って、足元でスースー寝息を立てている音無を揺さぶった。
「おい、音無。起きろ」
「ぅぅ、ん」
微かにうめき声をあげて、起きるのかと思ったがまた寝息を立て始めた。
「はぁぁ……。ったく、」
こめかみを押さえて呆れる。
オペレーションがあった後はいつもこうだ。
しかもなかなか起きない。
「おーい、いますぐ起きないとキ、キスするぞー」
「んん…………いらない……」
カチンときた。
こっちが少し照れながらも言ったというのに断った。
何も言わなけりゃよかったのに。
いや待てよ。
ここでキスしちゃっても誰にもバレないんじゃ?
音無は新入りで新しい部屋にいるから相部屋の人なんていないし。
となれば他の人が来ることもない。
肝心の当人は目の前で寝てる。
「大丈夫……だよな……」
いつもと違い、あどけない表情の寝顔にドキドキしながら
その唇にゆっくりと近づき―――
322:名無しさん@ピンキー
10/08/13 21:56:07 pGPQQTGN
「おーい、音無いるかー?」
「!!!」
途中で入ってきたひさ子に遮られた。
慌てて音無から飛びすさる。
だがひさ子の表情を見れば見られたかなんて一目瞭然。
「ひさ子!」
「いいよ?離れなくても」
ニヤニヤとした顔がさらに焦燥感を掻き立てる。
「そっかぁ。岩沢にその気があったのは知ってたけど実行するところを生で見られるとは思いもよらなかったよ」
「ちょ……違うって!」
自分でもわかるくらい顔が熱かった。
「あはは、したヤツは大抵そういうの」
「……んん」
口論をしてると脇で音無がモゾモゾと動き始めた。
急いで扉の前のひさ子のところまで戻る。
323:名無しさん@ピンキー
10/08/13 21:57:03 pGPQQTGN
「……んと…………なんで岩沢とひさ子がここにいんの?」
起き上がった音無の寝ぼけた視線にドキリとしたが、ひさ子のニヤニヤ顔を見てまた腹が立った。
「おいひさ子!いい加減にしてくれ」
「大丈夫だ。関根と入江以外には黙っといてやるから」
「?…………ぇと、話が見えないんだが?」
「それはな……」
「ストップ!」
疑問符を頭上に浮かべる音無に説明しようとしたひさ子の口に慌てて蓋をした。
その行動に不満があるのか、ひさ子が口をとがらせる
「いいじゃないか。他の娘にとられる前に早めに言っといた方がいいぞ?」
「いやだからそういう問題じゃなくてな」
なんとかこの状況を打開する方法はないかと頭の中で暗中模索。
「もっとそれにふさわしいシチュエーションで言いたいっていうか……二人きりじゃないと……」
「そうか。じゃああたしは退散するか。」
「え?ちょっとひさ子?」
「ふたりきりじゃないと言えないんだろ?」
「いやでも場所的に……」
「音無の部屋なんて絶好のシチュだろ」
「今日は勘弁……」
「明日明日言うヤツは信用されないよ」
「く……」
諦めるしかないのか……。
「なぁさっきから何の話してるんだ?」
頭上の疑問符を増やしている音無に向かい合うようにすわると、
ひさ子は何かを察して、出ていった。
「おい、ひさ子はいいのか?」
「ん、いいんだ」
324:名無しさん@ピンキー
10/08/13 22:24:53 a0+d4f2A
wktkしてきた!
325:名無しさん@ピンキー
10/08/13 22:36:08 esc3ttQw
>>323
GJ!!
続きに期待
326:名無しさん@ピンキー
10/08/13 22:58:56 h1s7vRPF
続きはまだか!!
生意気言ってすいません、続きお願いいたします
327:名無しさん@ピンキー
10/08/14 21:31:50 CH2LMjfc
>>295
日向をユイ以外とくっつけるのは子供からおもちゃを取り上げるような罪悪感がしてさ
そのかわりユイにゃんには日向のおもちゃになってもらうけど
328:名無しさん@ピンキー
10/08/15 11:52:09 YlwHh8Ps
どうした?と尋ねてくる音無を見て、自分が未だに覚悟できていないのに気がついた。
もし断られたらどうしよう。
自然と肩が震えた。
『ごめん、俺好きなヤツいるから』
『俺はそこまで君が好きなわけじゃないし……』
そんな答えだったらどうしよう。
……きっとあたしは耐えられない。
バンドもできないだろう。
ギターひとつで立ち直れるだろうか?
「おい、どうした?」
音無の心配そうな声にハッとした。
「大丈夫か?震えてるみたいだし、休んでいったらどうだ?」
「……いや、いいよ」
やっぱり遠慮した。
明日にしよう。
このままじゃ自分の想像に殺される。
「いや、ダメだ。そんな顔してる女子を放って置けるか」
もうやめてくれ。
それ以上優しくしないでくれ。
お前を好きになればなるほど、フラれたときの悲しみが大きくなる。
きびすを返して出ようとすると、腕を掴まれた。
「………………何?」
「今日は休んでけ」
「………………いい」
「ダメだ」
「………………帰らせてくれ」
「ダメだ」
「………………なんで」
断固として意見を変えない音無に苛立ちを覚える。
329:名無しさん@ピンキー
10/08/15 11:52:36 YlwHh8Ps
コイツがこんなに頑固だったことなんてあったか?
「………………なんでそんなに引き止めるんだよ」
もういいだろ。
「………………なんでそんなに力こめてるんだよ」
もう許してくれ。
「………………なんでそんなに真剣な顔なんだよ」
あたしをこれ以上、
「………………なんでそんなに…………優しくするんだよ」
苦しませないでくれ。
心中を吐露し、掴んでいる腕をダランと垂らした。
俯いた顔を上げたくなくて、そのまま外に出ようとする。
「お前が心配だからだろ」
その言葉に驚いて顔を上げると、優しい表情の音無がいた。
あんなに苦悩したあたしの心をそっと受け止めるような、そんな顔。
何かが拭いさられた気がする。
やっぱりあたしは、どうしようもないくらい音無が好きだ。
「なぁ音無…………」
たとえフラれても、音無が誰かを好きになっても。
「…………何だ?」
この気持ちは変わらない。
「あたし…………」
そっと、呟いた
「好きだ………………」
330:名無しさん@ピンキー
10/08/15 11:53:26 YlwHh8Ps
「好きなんだ…………音無が…………」
ああ、もう伝えてしまった。
「どうしても、好きなんだ…………」
もう引き返せない。
「岩沢…………」
驚いた顔の音無に、あたしは笑ってやった。
「あんたの返事がどうでも、かまわない…………フラれる覚悟も、今できた」
音無はその文字どおり音ひとつ立てずに立っていた。
あたしにはその沈黙でほとんど理解できた。
次に言われる言葉も。
「俺は…………」
また震えがぶり返してきた。
覚悟したのに。
もうダメだ。
堪えられない。
双眸から水がこぼれる。
「―、――」
掴まれた腕を引っぱられて抱きしめられた。
正直、あたしには何が起こったかわからなかった。
音無が口を開いた瞬間、何も聞こえなかった。
音無に引っぱられた時、何も感じなかった。
抱きしめられてからしばらくして、音無の体の熱が伝わってきた。
その熱で体が溶かされていくようだった。
331:名無しさん@ピンキー
10/08/15 11:53:58 YlwHh8Ps
「…………ごめん、音無。今、聞こえなかったからもう一回言ってくれ」
「……………………………好きだ」
「どういうトコが?」
「考えたことないな」
「……なんだそりゃ」
「気がついたら気になって、気がついたら好きになってた」
「…………じゃあ、あたしと同じだ」
音無が腕をほどくと、あたしは今度はこっちから飛び込んでやった。
「おい!」
首に手をまわして体重をかけ、押し倒した。
背中から床に倒れた音無からうめき声が聞こえた。
「…………岩沢、かなり痛ぇんだけど」
「あぁ、ごめん。そこまでする気はなかったんだけど」
ったく、と呆れる音無とは対照的に、あたしははしゃぎっぱなしだった。
下の位置になった音無が、あたしを見上げて何かに気がついたように声をかけてきた。
「なんて顔してんだよお前」
「え?」
「鏡見てみろ」
言われたとおりにクローゼット前の鏡を見ると、涙で顔を腫らしたあたしがいた。
見ていると、その顔は急に吹きだした。
「自分の顔見て笑うのか」
「いや、だってさ」
ひとしきり笑ったあと、ホッと息をついた。
「…………なんでフラれた場合のことばかり考えてたんだろ」
「なんで俺がフッた場合のことばかり考えたんだよ」
それもそうだな、と頷いた。
「とりあえず、おりてくれるか?」
そういえば、まだ上に乗ったままだったな。
少しの間考えこんで、
「嫌だ」
音無の上でうつぶせになって体重をかけた。
「あのな……」
音無が困ったような表情になる。
ふと、音無の視線を追うと、なんで困ってるのかがわかった。
「へぇ、意外とウブなんだな。胸があたったくらいで」
「っ……あのな、少しは恥じらいを持てよ」
「へぇ。音無はあたしの照れ顔がみたいのか?」
「…………アホ」
ニヤニヤしながら言うと、音無が呆れたように呟いた。
「で、どうする?」
「どうって?」
「このまま帰るか?それともキスくらいはしとくか?」
「する」
ホント遠慮ないな、と呟きながらもまんざらでもなさそうな音無。
フフッと笑ってその唇に重ねた。
332:名無しさん@ピンキー
10/08/15 11:57:33 YlwHh8Ps
ここまでです
最初はガルデモハーレム書く予定だったのに
どうしてこうなった。
岩沢視点は難しいです。
続きはエロにしたいけど
エロに関しては語彙が少なすぎるので辞退させていただく。
誰か書いてくれ。
333:名無しさん@ピンキー
10/08/15 12:12:03 rWwMS3pu
GJ!
エロ無くてもいいんで是非続きを!
334:名無しさん@ピンキー
10/08/15 17:24:13 4roBrR4Y
>>332
GJ!!
エロでも非エロでもかまいませんから
続きを書いてくださいお願いします
335:名無しさん@ピンキー
10/08/15 23:53:49 r6Swg0i0
入江には是非とも足コキを…
キャラコメネタ的に
336:名無しさん@ピンキー
10/08/16 00:06:05 xo5xuB4m
キャラコメkwsk
337:名無しさん@ピンキー
10/08/16 00:11:02 ZbQaK2z6
>>332
GJ!
音無岩沢いいわ~。音楽キチ以外の恋する岩沢さんたまらん
ぜひ続きをお願いしますw
338:名無しさん@ピンキー
10/08/16 04:01:56 DABQQROy
>>326=>>334
わざとやってるだろ
339:名無しさん@ピンキー
10/08/16 08:18:11 O6fAmLzr
普通に面白いじゃまいか。
340:名無しさん@ピンキー
10/08/16 09:01:27 yVYGdNN1
新作キターーーー!!gj
341:名無しさん@ピンキー
10/08/16 16:33:45 yVYGdNN1
エロシーンまだー!!
342:名無しさん@ピンキー
10/08/16 17:07:29 cFZt+SBi
>>269-272もお待ちしております
343:名無しさん@ピンキー
10/08/16 23:58:34 s8jTZ11S
岩沢らしくなくていい!!
344:名無しさん@ピンキー
10/08/17 22:28:00 8fpv9C73
岩沢・・・音楽キチ
ゆりっぺ・・・戦闘狂
なぜ差がついたのか
345:名無しさん@ピンキー
10/08/18 02:29:33 8HFo+Ck3
魂かな?
346:名無しさん@ピンキー
10/08/18 04:53:18 s8xHRi/7
おっぱい
347:名無しさん@ピンキー
10/08/18 07:48:08 pCjbhQt7
ゆりっぺの方がでかいよな。
つうか、おっぱいランキングって
ひさ子>椎名>ゆりっぺ>遊佐>関根>岩沢>入江>ユイ>かなで
ぐらいだと思うのだが。
348:名無しさん@ピンキー
10/08/18 08:03:07 Fj/ggjzG
ゆりっぺ>椎名だと思うが・・・
さらし巻き付けてるらしいからな・・・
349:名無しさん@ピンキー
10/08/18 09:55:40 VtFEH6yS
チャー>松下>大山>TK>高松>野田>竹山>音無>日向>直井>藤巻
こうだな
350:名無しさん@ピンキー
10/08/18 10:50:15 9IMYVMQr
夏コミの新刊、4対1か5対1くらいで圧倒的に天使ちゃんだな
351:名無しさん@ピンキー
10/08/18 11:38:28 5CbSRkkU
天使ちゃんの立ちションが見たいです…
352:名無しさん@ピンキー
10/08/18 16:04:06 02IqKgQK
>>349
それは何のランキングだ?
353:名無しさん@ピンキー
10/08/18 16:14:46 Fj/ggjzG
自前の刀の(ry
354:名無しさん@ピンキー
10/08/18 17:11:47 wqdygorN
お前らTKはアメリカ人なんだぞ? 刀だって……あれ? そいやTKって何人?
355:Love Me Tendar
10/08/18 18:43:41 l/js7KBn
>>272の続きです。
この物語もようやく後半に入ったんで、タイトルをつけてみました。
356:Love Me Tendar
10/08/18 18:44:02 l/js7KBn
時刻は昼食時。いつものメンバー(あたし、音無くん、かなでちゃん、日向くん、直井くん)で食堂に向かう。
今までならオペレーション、トルネードで食券を巻き上げるところだけど、かなでちゃんと闘うことがなくなった以降は、陽動でゲリラライブを行う必要はもうない。なので、普通に食券を購入する。
「うへー、今日はほとんど満席じゃん。全員座れるかねぇ? 音無、そっちはどうだ?」
「あそこなら6人くらいはギリギリ座れそうだぞ」
「音無さん、なに食べますか? 僕が食券を買ってきますよ!」
「―って、いちいちくっついてくるなよおまえは!」
すり寄ってきた直井くんの首根っこを掴み、引き剥がす音無くん。
あたしも同意だわ。確かに申し出自体はありがたいかもしれないけど、だからと言ってわざわざくっつく必要性はないと思う。
「じゃあ、音無さんはここで待っててください! 僕が今日音無さんの食べたいものを見事に当ててきますから!」
「お、おいこら、直井!」
直井くんは音無くんの制止も聞かず、そのまま食券販売機へ走っていってしまった。
ふぅ、と溜め息を吐く音無くんも頭をかきながら若干呆れ気味だ。
「あっ、おーい! せんぱぁーい!」
ふと聞き覚えのある声。
食堂の出入り口から声が聞こえたのであたしたちが振り返ってみると、ユイが手をブンブンと振っていた。尻尾をピコピコと動かしながら、嬉しそうにこちらに走り寄ってきた。
「えーいっ♪」
ユイは迷うことなくそのままの勢いで日向くんに抱きつき、日向くんもユイを優しく抱き止める。周囲(NPCを含む)にとってはいつものことなので、特に誰も反応しない。俗に言うバカップルというやつだ。
ちなみに、そのバカップルの片割れであるユイ曰く―。
「バカップルは、恋人たちにとっては最高の褒め言葉です」
とのことらしい。
つまり、周囲の人間からその言葉を引き出せるということは、きっと、それだけ幸せ者に見えるからなのだろう。
357:Love Me Tendar
10/08/18 18:44:27 l/js7KBn
「バンドの練習は終わったのか?」
「はい! それで先輩をお昼に誘いに校長室へ行ったんですけど、大山先輩が食堂に行ったって教えてくれて」
「そっか」
「先輩先輩。あたし、ここんところガルデモのほうで忙しくてあまり一緒にいられませんでしたけど、ようやく一息ついたんで、明日から一緒にいられますよっ。あたし、明日はひなっち先輩とずっと一緒にいたいです!」
「そうだな。久しぶりだし、それもいいな。じゃあ、校内で悪いけどさ、明日はデートにでもしゃれ込むとするか」
「あ、うんっ♪」
ユイは頬を紅潮させ、蕩けるような笑顔でそのまま日向くんの腕を取り、俗に言う腕組状態で食券を買いに行く二人。おそらくその後の日程は、食事を摂りながらゆっくり決めるのだろう。
「…………」
「ははっ、あの二人、本当に仲がいいな」
「うん。羨ましい」
「でもあいつら、絶対俺たちも一緒にいるってこと忘れてるな。まぁ、久しぶりに一緒に過ごせるんだから、目の前でいちゃいちゃされても多少は目を瞑ってやるか」
「うん。久しぶりだものね」
これから日向くんとユイのラブラブっぷりを嫌と言うほど見せ付けられるとわかっているのに、音無くんとかなでちゃんからは、羨望の眼差しこそあるものの、妬みなどの感情は見られない。むしろ、あの二人を温かく見守っている感じだ。
あたしは無言のまま俯いてしまう。
「じゃあ結弦、あたしたちも食券を買いに行きましょう?」
「そうだな。直井の奴、変なもの持ってこなけりゃいいけど……。ゆり、おまえはなに食べたい? 俺がついでに買ってきてやるよ」
「……いらない。あたし、用事を思い出したからもう行くわ」
「え? あ、お、おいゆり!」
なぜか唐突に居た堪れない気持ちになったあたしは、音無くんの制止を無視して食堂から飛び出した。
358:Love Me Tendar
10/08/18 18:45:37 l/js7KBn
それからも、あたしの情緒は不安定になっていくばかりで。
「あ、音―」
「おーい音無ー、一緒に麻雀やらなーい?」
「ああ、いいよ。メンバーは?」
「あたしと藤巻、そんでTKと松下五段だよ。んじゃ、親はあたしねー」
「くそっ、今度こそひさ子の独壇場を阻止してやるぜ!」
「次は負けん…!」
「絶望のカーニバル…」
「…………」
次の日。
廊下にて。
「音な―」
「あ、先輩先輩ー!」
「音無ー、視聴覚室にゲームしに行こうぜー」
「は? そんなものまであるのか?」
「もちろん。こっちの世界にも、向こうの世界(げんせ)のものがちゃんとあるんだぜ」
「まぁ、いいけどな。んで、メンバーとジャンルは?」
「えっと、あたしとひなっち先輩、先輩と天使さんに大山先輩、そしてしおりんにみゆきちの7人です!」
「ジャンルは格ゲー。メル○ラな。へっ、俺、生きていた頃はこのゲームやり込んだんだぜー」
「それ、なんかズルくないか? おまえが圧倒的に有利じゃないか」
「大丈夫だって。メインキャラは使わないようにするからさー」
「メインキャラじゃなくても、ゲーム全体の立ち回り方を知っている以上はどのキャラでもそれなりに強いだろ。日向はハンデありで、使用キャラはランダムセレクトな。やり慣れていないこっちとしては、これくらいのハンデをもらわないと正直やってられない」
「えぇっ、なんだよそれー」
「ひなっち先輩以外は全員初心者なんだから、ハンデを付けるのは当然ですー。さっ、もうみんな先に行って待ってるんで、あたしたちも早く行きましょー!」
「…………」
次の日。
校長室にて。
「お―」
「音無さんっ、おはようございますっ! 今日は図書室でこんな本を見つけたんですよ! 一緒に読みませんか?」
「どれどれ……タイトルは、男の友情を超える時―ブッ!? おま、これ、BL本じゃないか! なんでこんなものが図書室にあるんだよ!」
「音無さん、一緒に読みましょう! そして、あわよくば実践を!」
「いやだよ! 俺は完全にノーマルだ! そっちの趣味はねぇよ!」
「僕にはあるんです!」
「言い切った!?」
「音無さんは最近、女どもの相手ばかりしていて、全然構ってくれないじゃないですか。僕にも音無さんの無限の愛を注いでくださいよっ」
「気持ち悪いこと言うなよ!? 確かに女子メンバーと一緒にいることは多いけど、愛とかは関係ないからな!」
「音無さん、僕、もう我慢できません!」
「人の話を聞けって―うわっ、馬鹿! やめろ来るな近寄るな!」
「…………」
音無くんは直井くんから逃げるように、校長室から出て行った。
359:名無しさん@ピンキー
10/08/18 18:46:44 l/js7KBn
今回は短くてごめんなさい。
では失礼します。
360:名無しさん@ピンキー
10/08/18 18:52:26 Fj/ggjzG
ヒャッハーーーーー!!
GJ!
361:名無しさん@ピンキー
10/08/18 18:58:06 x5P/AizW
遂に来たか!
GJ 続き楽しみに待ってるぜ
362:名無しさん@ピンキー
10/08/18 20:56:23 ChDHo2NT
GJ!!
直井www
続きに期待
363:名無しさん@ピンキー
10/08/18 22:28:58 s8xHRi/7
きたあああああ!GJぅうう!!
364:名無しさん@ピンキー
10/08/18 23:43:57 fP0CV61v
過去ログ追って読んだがおもしろいなw
音無主人公のゆりルートも見たかったかもw
続き待ってる
365:名無しさん@ピンキー
10/08/19 02:43:35 ioJ1HTGU
天使の麻婆豆腐が辛いんだけど
366:名無しさん@ピンキー
10/08/19 08:09:05 gQ5bqz8J
芋っぺ男いないからな・・・
音無と日向は鉄板の相手がいるし
367:名無しさん@ピンキー
10/08/19 16:20:53 FEoJ837v
野田さんがいるさ
368:名無しさん@ピンキー
10/08/19 16:33:34 LMDFFgKM
>>366
男いないなら女とくっつけばいいんじゃね?
369:名無しさん@ピンキー
10/08/19 16:48:59 0U0JYifi
>>368
頭いいな!
370:名無しさん@ピンキー
10/08/19 17:47:35 ZnoXMdTV
正にゆりっぺだなw
371:名無しさん@ピンキー
10/08/19 18:44:14 LAOVzsCB
攻めも受けもどっちも対応できそうだしな
372:名無しさん@ピンキー
10/08/19 21:27:06 3Qvtv+6r
百合っぺ見たいけど、レイプッペも見たいな
373:名無しさん@ピンキー
10/08/19 21:39:31 LMDFFgKM
ゆりっぺ×奏が好きです
374:名無しさん@ピンキー
10/08/19 22:39:38 7Ejmi2ND
レズっペまだー?
375:名無しさん@ピンキー
10/08/20 00:01:53 lWaxFm/6
もはやエロゲ化しろよ
376:名無しさん@ピンキー
10/08/20 00:08:26 DHOtZs48
>>372
と、いうわけで 鬼畜直井×ゆりっぺ お願いします
377:名無しさん@ピンキー
10/08/20 00:43:13 ysY/ra4v
天使軍団に集団レイプされるゆりっぺ
378:名無しさん@ピンキー
10/08/20 10:41:59 J5CtXIzE
それだっ!
379:名無しさん@ピンキー
10/08/20 20:41:45 JJf5Xxw4
18禁SS倉庫が更新されてると思ったら新しいシリーズが乗ってる!ぜひ続きを!
山の上のホテルの人も乙です!
380:名無しさん@ピンキー
10/08/20 23:55:48 jxG6ICj6
>>347
俺、ひなっち先輩だけどユイにゃんは絶妙なやわらかさだったよ
381:名無しさん@ピンキー
10/08/21 05:49:10 eA/v2tmR
>>380
うp
382:名無しさん@ピンキー
10/08/21 08:02:22 3RicSqrm
陵辱・百合・エロなし
で
ユイやんいないしやや長いです
携帯からのうpなのでちんたらしてしまいますが
この時間帯からならいいかなと思いました
383:確信への歩み
10/08/21 08:05:42 3RicSqrm
天井と蛍光灯の白さが目に飛び込んだ。
「……はぁあっ」
何度目の目覚めになるだろう。覚えがある。間違いない。
ここは、今や馴染みとなった保健室だ。
まず自分の指を見つめて、それを動かしてみた。
うん、動く。
足はどうだろうと思って膝を曲げてみるがこちらも問題なしだ。
ベッドから上体を起こして大きな伸びをすると、肺の中にすうっと新鮮な空気が入っていった。
あらためて体を見渡すが切り傷ひとつない。
制服も新調されたばかりのようにみえるが、誰かが俺のことを着替えさせたというわけでもなさそうだ。
「あー、意識ははっきりしてそうだな。無事でなにより、この世界に感謝だな」
片手を挙げた日向がすぐ隣りのベッドに横たわっていた。
頭部を打ったんだろうか。俺とは違い、頭に包帯を巻いていた。
「こんなとこで会いたくはなかったな」
「まったくだ」
きっと『死んだ』んだろう。
日向の包帯、それにシャツは赤々と染まっていて痛々しかった。
いまだに血を見ることは慣れない。というより慣れることはないと信じたい。
他人の血を見ることに慣れてしまう人間になってしまうことは怖いことだ。
少しだけ目をそらそうとして保健室の奥を見つめたら、そこにもう一人の患者がいた。
384:確信への歩み
10/08/21 08:13:30 3RicSqrm
「ったくゆりっぺのやろう容赦ねぇぜ、一度は自分がなってみやがれってんだ」
藤巻がなにやら文句を言っている。
見たところ健康そうだが、こいつにもやっぱりなにかがあったんだろう。
「その声さ、ゆりに届くか? それにゆりだってここにいる以上は一度はそういう目にあってるんだろ」
「今度は直に言うつもりだからちっと揉め事になるかもな」
ゆりのことは俺よりよっぽど知っているんだろうがそれでも腹に据えかねているらしい。
こいつそれだけのことはされてきていそうだし、分からないでもない。
でも俺はゆりはリーダーはやれてる。むしろゆりはゆりにしか出来ないことをやってるとも思ったので口を噤んだ。
まぁギルド降下作戦のときも俺は幸いにして生き残れたわけだし、これまであまり痛い思いはしていない。
だからこれはラッキーだった側の人間が思うことに過ぎない。
俺にとっての衝撃はといえば……かなでに胸を貫かれたときのあの瞬間的な痛みしかなかった。
あれはここに来て早々の出来事だったし、あのいきなり具合は今から思ってみてもかなりの怖さだ。
と、ふとそんな風にかなでのことを思っていて思い出した。
俺が今ここに横たわっている理由だ。
それは……
「なあ音無。起きたら訊きたいと思ってたんだけどさ」
「なんだ?」
「いやさ、実は俺がここにいるのはゆりっぺがらみなんだけど……お前もそうなのかと思ってさ」
「ああ、俺はゆりとは関係ない。自業自得ってやつだ。にしてもお前のそのゆりがらみって……?
その状態からすると校長室のトラップに引っかかって転落したようにしか思えないんだが」
「落ちたのは当たってる。けどあの罠にかかるほど落ちちゃいないさ」
「じゃ、高いところっていったら屋上からとかか? またどうして?」
「ご明察。理由はわれらが姫君に訊いてくれ」
385:確信への歩み
10/08/21 08:20:02 3RicSqrm
なんとなく、落ちた、というより落とされたように見えた。だとしたら同士討ちだ。怖いもんだ。
日向を見ていると藤巻も似たような事故に遭ってここにやってきたのかもしれないなと想像させられた。
「てめぇはどんな死に方したんだ?」
「俺? まぁあれだ。お前らと同じようなもんだよ」
「にしては外傷がねぇじゃねぇか。不自然だぜ」
「外傷がないのはお前もだろ、……さては水死か」
「くそっ、それは仕方ないだろうが!泳げねぇもんは泳げねぇんだよ!
お前ゆりっぺに気に入られるだけあるよな、人の痛いとこ突いてきやがる」
ゆりは皮肉や揚げ足とりの上手さなんか評価したりするだろうか。
あながちなくはないとも言えないから恐ろしい。
ところで、藤巻は俺も死んだからこそここにいるんだと思い込んでいるみたいだけれども、
実はそうじゃない。俺は気を失っただけだった。
※ ※ ※
「……あのさ、いつも思うんだけどお前って色んな力持ってるよな」
「そんなことない」
「ハンドソニックとかさ、あれだけでも凄いと思う。
あれってやられる側からしたら相当の脅威だから」
「………」
風に流れた髪を手ぐしでさらりと梳かしたかなでは、かすかに眉をひそめた。
その仕草は淡くはかないものだった。
「そこでなんだけど、俺からひとつ提案があるんだ。
かなでがこれ以上恐れられると天使っていうより悪魔とさえ呼ばれかねないから……
なんとかしたい。だからもうちょっとかなでのことを教えて欲しい」
386:確信への歩み
10/08/21 08:26:13 3RicSqrm
「天使でも悪魔でも変わりはないわ。私は私だもの。
でも結弦は気になるの?」
「……例えばだけど、かなでが使える力のなかでもっと穏やかなものってないかな。
あまり目立たないもので、人に影響を与えられるものとか。
そういうのがあったら試しに使ってみてくれよ。俺に向けてでいいから」
「私もあまり知らない」
「そっか……」
「……知らないスキルならある」
「あんのか! あーでもそれってものすごく怖いなー」
「フェイズシフト」
※ ※ ※
そう、そこから先のことは覚えていない。これが先ほど思い出した記憶。
かなでと行動を共にしていることはなるべく隠しておきたいので藤巻には隠した話だ。
はたして実験の結果はどうなったんだろうか。
自分でも確認した通り四肢に異常はないし、全身滞りなく動く。
確かに穏便で、何事もない。
気を失わせるだけなら非暴力的だし、ひょっとすると成功ってやつなんだろうか。
ただ被験者は俺ひとりだし、なんの副作用もないというのもあやしい。不発だったということも有り得た。
「こんなんで本当に天使に敵うもんか?」
「叶えるのよっ」
ガラガラッと威勢のいい音を立てて戸が引かれた。弾かれたといってもいいくらいだ。
さすがわれらが戦線のリーダーゆりだ。ここを病室だとは思っていない。
三床が横並びになったベッドの中央に歩み寄り、とうとうとまくし立て始めた。
387:確信への歩み
10/08/21 08:30:37 3RicSqrm
「あなたたち起きるの遅すぎる。いったいなんなの?
時間は無限だけどいつまでも眠っていていいとは言ってないわ。
あたしにやられてるようじゃまるで駄目じゃない。ぜんぜんね。
藤巻くんはいい加減に弱点克服しなさい。プールに突き落とされたくらいでなによ。
言っておくけど水に慣らしてあげようとしたんだからね、あそこ足着くのよ?」
「ゆりっぺてめぇ! 世の中どうにもならねぇことだってあんだよっ!」
「どこがどうにもならないことなのよ。いい加減恥ずかしいと思ったほうがいいわ。
それと日向くん……あなたほど学習能力のない人あたし知らないんだけど」
「だいぶ学ばせてもらってっから。落ちる方に関しては。
ってか今回はなにが目的なんだよ」
「SSS一斉危機管理定期テストよ」
「は?」
「んだと?」
「他のみんなは全員無事なの。それだけに、あなたたち二人のだらしなさは際立っていたわ。
二人にはいずれ抜き打ちテストを受けてもらうから覚悟してね」
「今回だって抜き打ちじゃねぇかよっ」
「それより音無くんだけ見当たらなかったんだけど、どうしてここにいるのよ。
まさかあなた消毒液のにおいがたまらなく好きでここにいついちゃった消毒液フェチなの?そうなのね?」
「そんなわけ……」
なぜだろう―
「あるのかもしれないな」
俺は自分でも思ってもみない言葉を口にしていた。
388:確信への歩み
10/08/21 08:36:26 3RicSqrm
「ちょっ、あなた大丈夫? そんな奇癖持ちなんて奇跡だわ。キモッ」
「ゆりっぺ寒いぞ」
ぐしゃっと鈍い音が立ち、日向が前のめりに伏せった。
有無を言わさないゆりの前蹴りだった。
「鳩尾一直線か。日向まだ内蔵完治してないと思うぞ」
「ああっ? なにか文句あるわけ? あたしは腹が立ったらそのままにはしておけないの!」
「いい蹴りかもな。俺も受けたいくらいだった」
どすっと鈍い音が立ち、激痛に襲われた。
…息ができない。俺はあえぎあえぎ酸素を求めた。
つーか俺ェ…なんてこと言ってんだ……
「ゆりっぺェー、白いもん見えてっからなー」
ガツン、という金属音がした。藤巻ェ……
「あなたたちどうしようもないわ。しかも音無くんまで堕落してるとはね」
「あまり責めるのはよしてよゆりっぺ」
大山が俺たちを擁護する。
あまりの存在の希薄さに気がつかなかったがゆりと同時にこの部屋に入ってきていたようだった。
「あのね、腐ったリンゴを一緒にはしておけないの」
「僕たちはみかんやリンゴじゃないよ! 人間なんだよ!」
「そんなベタなセリフ物書き志望のやつが書いたら……」
日向は苦痛のあまり最後まで言い切れない様子だ。なにが言いたかったんだ?
「ゆり……」
意図せずして、それも唐突に、俺の口が開いた。あれ?
「なにかしら」
「……もっと聴かせてくれないか」
「へっ?」
「さっき言ってくれた、堕落してる、って言葉」
389:確信への歩み
10/08/21 08:41:46 3RicSqrm
辺りが水を打ったように静まり返った。
なによりも、俺自身が自分の言葉に傾注させられた。
うわ!? そんなの聴きたいなんてことがあるわけあるかっ!!
「音無くんって消毒液フェチなうえにMだったのね。見抜けなかったあたしが悪かったわ」
冷ややかな視線を感じる。それはゆりからばかりではない。
気絶寸前な日向や藤巻からも感じられる。
「僕たち人間なんだよ! ちょっとした性質上のかたよりだってあるよ!」
大山が俺を弁護してくれる。
きっと性癖という言葉を知らないんだろう。ややこしい言い方をしている。
しかしなんていいやつだったんだ大山は。
「ふざけんなよっ! Mのなにが分かんだよ!」
けたたましいくらいの大声が響いた。
一瞬誰の声だか分からなかった。
俺だ。って俺!!
「お前…結構いっちゃってるやつだったんだな……」
日向の罵声がなぜか心地いい。
ボイスレコーダーで録音してリピートしまくりたい感じだ。
って俺!?
390:確信への歩み
10/08/21 08:48:37 3RicSqrm
「ちょ、ちょっと待った。勘違いさせるようなこと言って悪いな!ジョーク…だ、ジョーク!」
なんとか声が絞り出た。が、動悸がして止まない。
苦しい言い分だが大山は許してくれるだろうか。
「少しなら分かるような気がするよ。それってゆりっぺになじられたときのような気持ち……かな」
「大山くん、こういうときはかばったって良くはならないのよ」
完全に真性だと思われている。
しかし本当は大山が真性なんではなかろうかという疑問も生まれた。
「つまらねぇジョークだぜ」
ほんと、冗談にならない。
かなで……なんかマジでやばいんだが……
「そうだ日向! お前がいつか言ってたけど大山って魔法みたいなものが使えるんだっけ!」
場にしらっとした空気が流れた。
なんでここで突然、と日向は思ったことだろう。けれども乗ってくれた。
「脱力系の魔法しか使えないが幾度となく戦線の分裂を阻止してくれたたしかな賢者ではある」
「そんな前振りされたらいやでもハードル上がっちゃうね!」
「大丈夫よ。期待していないからやってあげて」
大山は神妙な面持ちで身構えて言った。
「それじゃ……死せる魂を常世の闇へ葬らん…。安らかに眠れッ! イクソシズム!!」
空に十字を切っていた。
その光景は陳腐だがどことなく神秘的でもあった。
「音無はなにかに取り憑かれてたのか? 珍しく的を得てる方かもな」
「で、どーなんだよ?」
「く、下らないんじゃないか」
どの口がそれを言う! 大山マジごめん。
391:確信への歩み
10/08/21 08:53:58 3RicSqrm
「少し期待しちゃったあたしも馬鹿みたいじゃない。とにかく音無くんと日向くんが定期的に検診を
受けないといけないメンヘラだとすると今後の戦力のことを考えないといけないわね・・・・・・誤算だわ」
「なんで俺も含まれてんだよっ!」
「当たり前じゃない。魔法とやらのことを音無くんに吹き込んだのはあなたなんでしょ?おとなしく連座しなさい」
「おっと、一緒にしてもらっちゃ困るんでわりぃが俺はもう行くからな」
藤巻は頭にへし曲がった保冷温庫を引っ付けたまま、保健室を後にした。
よっぽどの強打だったんだな。
「別に……メンヘラじゃないけどさ」
またかっ!頭んなかはわりと冷静なのに……!?
「……なんていうか……そう呼ばれるのも悪く……ない」
ああ、みんなどん引くぞ。そりゃそうだ。
日向がお前最近なんかで無茶したのか?と冗談めかすがさきほどの俺のジョーク発言の効果はもはやない。
すでに冗談としての限度はオーバーしていた。
「どうしよう僕のせいで音無くんがもっとおかしくなっちゃったよお!!」
「……消毒液フェチでMなうえにメンヘラだったのね。ムリ、SSSに置いておけない」
ゆりはにこやかに微笑んでいる。
が、それに反比例した冷ややかな言葉が胸に突き刺さる。
ひと言でいい。これはささいな行き違いなんだ、と俺は言いたかった。
「ゆり……冷静に聴いて欲しい。俺は」
392:確信への歩み
10/08/21 08:58:39 3RicSqrm
立ち去ろうとしていたゆりの足がぴたりと止まった。
日向と大山も俺になにかを期待しているのだと分かった。
そして誰より、俺は俺自身の言葉に救われたかった。
「俺は……」
校庭からは陸上部の掛け声が聞こえてくる。
唾を飲む音さえ聞こえてきそうなほどの静けさだ。
「―お前のことが好きだ、大好きだっっ!!」
うん、千里先の山のほら穴で尻を出したままでいいから隠れたい。
でも待てよ、照れがあるってことはゆりのこと本当に好きだったのか?俺?
しかしながらその辺りがどうなのか分からないまま告白ってのはないな。
「な、なに言ってんのっ!? 消毒液フェチでMでメンヘラなうえに告白魔だったの!!?
女の子にこんなシチュエーションで告白する男がどこにいるのよ!ってここにいたし!
そりゃあたしはそこそこの美人で性格もよくて権力も握ってるし、あなたが
ギルド降下作戦のときにあたしにしがみついたときに欲情しちゃったとしても分からなくはないわ。
でも岩沢さ……はもういないけどみゆきちもしおりんもいるしユイだって椎名さんだって遊佐ちゃんだっているじゃない。
あたしには目的があるし恋は邪魔なの。そういうことだからあなたは考え直すしかないの。よーしっオーケー?」
「気持ちに嘘はつけないっ。大好きだ、ゆり!」
393:確信への歩み
10/08/21 09:04:48 3RicSqrm
「マジかよ……。お前こいつを誰かと勘違いしてねぇ?分かってんのか?ゆりっぺだぜ?」
「ああん?あなた喧嘩売ってるの?買うわ、買占めよ、大人買いよ!」
「馬鹿だ、音無。お前は馬鹿だ!」
日向はしきりに俺をののしる。
するとだ、不思議な感覚……につつまれていった。
そうだ。『お前…結構いっちゃってるやつだったんだな……』と言われたときと……同じだ……
「落ち着いて聴いてくれ日向」
「え?」
もみ合っていたゆりと日向の動きが同時に止まった。おろおろしていた大山も。
ゆりへの告白によって俺はもうひとつ上のステージ、新たな高みへとのぼり詰めていた。
俺はゆりが好きだ。今……確信を持って言える。
けど、それだけじゃない。
「俺はお前のことだって……」
394:確信への歩み
10/08/21 09:08:59 3RicSqrm
「両っ性っ愛っキターーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!
あ、そういう存在は認めるけど
あたしの半径100m内には二度と入らないで以上w」
「お前がコレだったのかよっ!てかそれコレを越えてんじゃねぇか!カムアウトすんなよアウトだっつーの!!」
「えっと、言葉が見つからないよ……」
※ ※ ※
「ある一定の揺れが親しみに、ある一定の揺れが嫌悪に変わるようにシフトしているみたい」
かなではいつも通りの平静さでフェイズシフトとやらの説明をしてくれた。
詳しいことは俺に使用するまで分からなかったスキルらしい。
付け加えると、シフトした感情と元からある感情とが混ざるのでとても危険とのことだ。
「今更だけどさ、かなでのスキルって身を守るためのものだけじゃなかったのか?」
「わからない」
「使い方しだいってことか」
それにしてもとんでもない力だった……と過去形で言いたいところだが、
あれから三日経ったというのにいまだに効用が続いている。
現状の俺は完璧にSSSから除籍扱いのうえ、バイを始めとしたあらゆる噂を身にまとうことになってしまった。
なので生徒会にやっかいになっている。だけど……
「結弦、必ず治すから……」
悲しいよ、かなで。
俺はお前のことまでイヤになり始めている……
395:確信への歩み
10/08/21 09:12:59 3RicSqrm
「僕はいつだって音無さんの味方です!だから僕の催眠術とこの愛を受け入れて下さいっ!」
胸を張って俺の味方だと誇示してくる直井が非常にうとましい。
うぜぇw
嗚呼、ゆり、日向……俺に誹謗中傷罵詈雑言の波を浴びせてくれッ
『末期なことを自覚しなさい。や・ば・す・ぎ・る。』
『お前マジで引くわ……』
ハァハァ……
「どうしたの結弦…?どこか苦しい?」
「……なんでもない」
※ ※ ※
「ゆりっぺさん、音無さんは再起不能。回復のめどは立っていない模様です」
「そう、報告通りだとすると変態のままということね。
変態のくせに生徒会に受け入れられているのはなんでなのかしら。
もしかして……天使も同類……?」
―音無のせいでますますレッテル貼りをされることになった天使であった―
完
396:名無しさん@ピンキー
10/08/21 09:17:37 3RicSqrm
ちなみに言うと初のABssでした。
最終的には音無がゆりに駆逐される生徒会バッドENDになったのかも。
397:名無しさん@ピンキー
10/08/21 09:50:21 nwYwK0J+
乙!
変態生徒会イイヨイイヨー
398:台本形式でスマン。
10/08/21 12:00:28 s1UaWIZV
NPC女C「あ、ああっ、いやぁ、あんっ、ひゃんっ、あっ」
「ハァハァ」パンパン
NPC女A「Cが休んだ……。B、何か知ってる?」
女B「知らないよぉ。だって、昨日あんなに元気だったのに……。」
女D「もしかしたら……。あの、噂の」
女A「カミサマ?そんなの年頃の精神不安定な子が考えた都市伝説ってやつだよ。」
女D「でも、隣のクラスの子が見たらしいよ!」
女C「はいはい。まあ、今日Cのお見舞いに行こう。」
女B「うん。」
女D「やっぱり、都市伝説だよね。」
ゆり「ほうほう」
399:名無しさん@ピンキー
10/08/21 12:11:55 s1UaWIZV
ゆり「みんな、聞いて!」
日向「何だ?ゆりっぺ」
ゆり「この、世界にカミサマという者が現れたわ!」
日向「マジで!」
音無「本当かよ!」
野田「とーとー、おでましか!」
ユイ「でも、それ都市伝説ですよね?」
ゆり「さあ?本当か嘘かは分からないわ。」
野田「と、としでんせつ!なんなんだそれは!」
椎名「黙れ。」
藤巻「し、椎名が喋った!」
大山「それほど、野田君が馬鹿だって事だよ!」
野田「うるせぇっ!」
椎名「で、都市伝説とは何なんだ?」
日向「椎名っちも同レベルじゃねぇかよ。」
ユイ「アホですね。」
大山「椎名さんは、漢字使ってるよ!」
ゆり「お前ら、うるせえええぇぇ!!!」
400:名無しさん@ピンキー
10/08/21 12:29:28 s1UaWIZV
ゆり「で!カミサマというのは」
夜、女子寮に現れる。
そして、どこかの部屋のインターホンを押し、
女の子の声で「部屋に入れてくれない」と言う。
そして、部屋に入れてしまうと
口を塞がれ、無理矢理犯される。
そして、最後に
「カミサマ」
そう書いた紙を置いて帰る。
日向「都市伝説だな。」
音無「だな。」
ゆり「女の子の声をした変態レイプ男というわけ。」
C「有り難うA、B、D。」
B「友達でしょ。お見舞いに来るのが当然だよぉ。」
A「で、元気そうだけど……。何で休んだの?」
C「……。」
D「やっぱり、カミサマ?」
C「!」
A「だから、都市伝説だっ!えっ!C、嘘だよね!何、その反応!?」
401:名無しさん@ピンキー
10/08/21 12:43:56 s1UaWIZV
A「ほ、本当にいたんだ。カミサマ。」
D「カミサマって書かれた紙、見せられたら。」
B「私、思ってたんだけど、カミサマって本当に男性なのかなぁ?」
A「え?」
B「ペニパン履いた女の子かも。」
ADC「ペニパン?」
B「あの、ペニスのパンあっ!」
ACD「……。」
B「ち、違うよぉ!えと、あの、と、と友達が持ってたの!わ、WAWAWA私は、そんなの持ってないよ!」
A「聞かなかった事にしよう。」
C「あれは、本当に男だった。」
D「カミサマって一人なの?」
C「一人だった。」
A「そうか。怖かったな。」
C「うぐっ、ひっく、うぅっ」
B「うぅっ、ひっく、うぐっ」
A「B、お前は泣くな。C、今日は私達がここに泊まるよ。」
C「うぐっ、あ、りがとう」
AD「友達でしょ」
B「うぐっ、ねぇ、ひっく、わ゛だしは?」
A「友達だよ。」
D「この四人は友達、いや、親友でしょ!」
402:A、B、C、D分かりにくいな。
10/08/21 13:02:53 s1UaWIZV
>>398 女A「はいはい。今日は(ryです。すみません。
その夜
A「ドロー2だ。」
D「あっ、もうAズルいよ!」
A「ズルくない。」
ピンポーン
B「誰か来た。」
「あの、落とし物を拾って、この部屋の方のはず何ですけど」
B「C、落とし物だって。」
A「カミサマだ。」
C「ひっ!」
A「あたしが出てくる。」
D「気をつけて……。」
A「一応、木刀持ってくよ。」
「あ、あのぉ。留守ですか?」
A「すみませ~ん!今、行きま~す!」
ガチャ
「あ、はいこれ。Cさんのパンティです。」
A「てめぇが、カミサマか。死ね!」ブゥン
カミサマ「木刀なんて振り回さないで下さいよ」パシッ
A「くっ!おらぁっ!」蹴りっ
カミサマ「うぐっ!」ヨタヨタ
A「今度こそ、死ねぇ!」ブゥゥゥン
403:名無しさん@ピンキー
10/08/21 13:22:41 s1UaWIZV
カミサマ「撃つよ」
A「け、拳銃!」
カミサマ「中に入らせて貰うよ。君は後で美味しく食べてあげるから」
A「あ、あぁ、け、拳銃……。」
トントン
B「あ、A!カミサマは!おっぱらっ……。」
カミサマ「手、挙げないと撃つよ」ニコ
C「い、い、いい(いやあああああああぁぁぁぁぁ)」
D「……。」
カミサマ「Cさん、今にも叫びたそうだね。叫ばれたら困るから」
B「ん、んぐっ、んぐうううぅぅ(は、早い!もう皆口と手を塞がれた!)!」
カミサマ「初めは……。君からだ。」
B(わ、WAWAWA私!)
カミサマ「あは、君って淫乱だね。こんな濡れてるや」
B(見て!もっと見てカミサマ!)
D(A!何してるの!早く!早く!)
カミサマ「ふんっ、ふんっ、ふんっ!」パンパン
B(本物のおちんちんってこんななんだ。もっと突いてカミサマ!)
404:名無しさん@ピンキー
10/08/21 14:17:01 s1UaWIZV
ゆり「あなた、何してるの?」
A「はっ!カミサマが!」
ゆり「カ、カミサマ!」
A「部屋の中に!」
B(あぁん!カミサマ!カミサマ!カミサマ!カミサマ!)
ゆり「大人しくしなさい!カミサマ!」
A「ぶっ○す!!!」
ゆり「あなたも!」
カミサマ「やあ、ゆりっぺ」ドピュ
B(あ、温かいのが!中に中に!出てるぅ!)
ゆり「お、大山君!」
カミサマ「バイバイ」シュン
A「き、消えた……。」
B(あれ、おちんちんは?カミサマは?温かいのは?)
ゆり「大山君だったなんて……。それに、消えちゃったし……。」
A「何で消えたんですか!?」
ゆり「……。その子たちを解放してあげなさい。」
A「あ、はい、大丈夫か!?B!?」
B「わ、WAWAWA私のおちんちんを返して!!!」
ACDゆり「……。」
完
405:名無しさん@ピンキー
10/08/21 14:31:42 s1UaWIZV
別ルート ゆりが来ない
カミサマ「で、出るっ!」ドピュ
B(あ、温かいのが!中に中に!出てるぅ!)
カミサマ「くっ、やめっ!」
B(もっと!もっと!もっと頂戴!)
カミサマ「ま、また!出ちゃう!」
B(出してぇ!)
カミサマ「はぁぅっ!」ドピュ
A「う、撃たれる……。」
D「んんん!!!」ドン
A「うわっ!」カックン
A「はっ!D、C!大丈夫か!?口と手の取ってやる!」
D「う、うん。大丈夫。」
C「Bが!」
A「Bがどうしたんだ!?」
B(ん!萎えちゃやぁ!)
カミサマ「 」
B(カミサマ!お口で私のお汁飲んでぇ!)
カミサマ「 」
A「……。」
D「Bの性欲がカミサマを超えた。」
C「で、カミサマが気絶した。」
B(んあぁっ!カミサマ!カミサマ!カミサマ!カミサマ!)
A「あたしたちは、この状況をどうすりゃいいんだ……。」
完
406:名無しさん@ピンキー
10/08/21 19:42:27 yscUl93G
乙&GJ!
407:名無しさん@ピンキー
10/08/21 22:38:04 zG6kzXgd
そういえば音無×入江の人はどうしたのだろうか……
随分前に書いているという報告以来音沙汰ないけど
408:名無しさん@ピンキー
10/08/21 22:46:53 oocdPL1e
ガルデモの面子っていまいち把握してなかったけど、
おーでぃおこめんたりーで顔と名前と声認識した
409:名無しさん@ピンキー
10/08/21 23:36:28 eA/v2tmR
最近来てるなwGJ!
410:名無しさん@ピンキー
10/08/22 04:02:37 PN01K6CC
>>408
俺は顔と名字は一致してたが、
どっちがみゆきちで
どっちがしおりんか最近までわかん
なかった。
411:名無し.co.jp
10/08/22 21:32:49 YBG/DzNk
え~と…最近、音無×奏が全くないので書こうと思いますがハーモニクス天使×奏×音無の三角関係って需要ある?
412:名無しさん@ピンキー
10/08/22 21:46:07 PN01K6CC
絶対ありますよ!
wktk
413:名無しさん@ピンキー
10/08/22 21:54:45 tbZpf1L7
もうその組み合わせだけでいける
414:名無し.co.jp
10/08/22 22:00:42 YBG/DzNk
じゃあ今日中に少し投稿するが作者は投稿するのがはじめてなので漢字変換ミスや誤字脱字があります。タブあと、作者は最近18才になったのでエロの専門用語がわからない(漢字が読めないので)からエロなしになります。
415:名無しさん@ピンキー
10/08/22 22:08:02 +YksOv1l
ぐぃいおおおぉおおいぃ!エロなしか
よし、続けたもれ
416:名無し.co.jp
10/08/22 22:21:05 YBG/DzNk
投稿します。奏は戦線メンバーと和解している方向であといるメンバーは岩沢はどう頑張っても出せないのでいないという事で
音無「神も仏も天使もなし…と」ガチャッ
音無「ってあれゆりだけか?」
ゆり「もうすぐ日向君か高松君くらいがくるわよ」
音無「そっか」
音無「………」
ゆり「………」
音無(会話が続かない…)アセッ
音無「そういえば、この校長室校長先生に返さないのか?」
そう…今は奏とも打ち解けてこの部屋を使う必要も無くなっていた。
ゆり「何言ってるの…返せるわけないじゃない」
音無「えっ…なんでだ奏とは敵対する必要はないだろう」
ゆり「違う違う、奏ちゃんの問題じゃなくてこのまま渡したら次の日に校長先生が野田くん(第1話)のようになるのよ」
あぁ…あの入り口の仕掛けか確かにあれは痛かったからな
ゆり「大丈夫奏ちゃんにはもうあなたが心配するような事はしない」
音無「そっか」
俺はまだ奏と敵対関係にあると思っていたけどひと安心だな。
しばらくすると他のメンバーが集まってきた。椎名はいつも通り大山と犬の人形を眺めて、TKと松下五段はダンスの練習、藤巻は何処からか持ってきたマンガを野田と読み、ユイと日向はいつも通り喧嘩をしていた。
その時、ガチャッと扉が開いた
417:名無しさん@ピンキー
10/08/22 23:02:20 8qJ0Stuw
今日たまたま入った楽器屋にLisaさんのサイン入りギターがあってビビった
418:名無しさん@ピンキー
10/08/22 23:04:08 +YksOv1l
>>417
当然買ったんだろ?
419:名無し.co.jp
10/08/22 23:05:14 YBG/DzNk
そこには赤い目をした奏がいた
ユイ「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」
日向「なんだってあの時の天使がここに」
大山「うわぁぁぁぁぁぁ」
ユイはすごいスピードで部屋の端まで逃げ、大山は足が尋常ではない震え方をしながら怯えていた
奏(赤)「もうすぐ授業の時間だけど」
野田「貴様…まだ諦めていなかったか良いだろう本気で相手をしてやる」
藤巻「瞬殺された奴のセリフとは思えないぜ」
野田「うるさい」
椎名「浅はかなり」
ゆり「まって…皆行きましょう」
野田「正気かゆりっぺ!」
ゆり「ここで歯向かったら全滅よ」
俺は奏が何故このような事をしたのか考えていた。全員が校長室からずらずらと出ていき俺も出ようとした時。
奏(赤)「待って…」
そう言って奏(赤)が俺の袖口を掴んでいた。
奏(赤)「良かったら…一緒に授業を受けたい」
音無「えっ…」
そう言った奏(赤)は頬を赤らめ身長差のせいで見上げられる形になっていた。
音無(こいつホントにあの時の奏か)
奏(赤)「ダメ…」
うっ…駄目だ断れない
音無「わかった」
そう言った自分の頬が熱くなっていたことがわかった。
420:名無し.co.jp
10/08/22 23:07:47 YBG/DzNk
すまん今日はこれまでだ続きはできるだけはやくあげるがすまない
421:名無しさん@ピンキー
10/08/22 23:12:19 +YksOv1l
がんばれ~!見てるぞよ
422:名無しさん@ピンキー
10/08/22 23:54:13 ki8hKdp4
このスレ二期始まるまでは続けたいとこだな
423:名無しさん@ピンキー
10/08/22 23:58:33 +YksOv1l
だな
424:名無しさん@ピンキー
10/08/23 00:29:32 Qokp3w5A
二期か・・・やるとしたらどれくらい先なんだろうか
425:名無しさん@ピンキー
10/08/23 01:20:37 6QhxyK6b
なぜ奏の人気が高いのだろうか・・・?
俺は岩沢さえいてくれればそれでいいんだが
426:名無しさん@ピンキー
10/08/23 01:32:41 IHfAEeLb
>>425
そんなことここで言われてもw
二期はないと思うけどゲーム化とか
他の媒体ならあるかもね。テレビアニメでやってくれるのが1番いいけど
427:名無しさん@ピンキー
10/08/23 08:13:00 kuQKylUn
奏はあれだ。綾波とか長門みたいなもんだ。
428:名無しさん@ピンキー
10/08/23 18:29:24 RUAYkP3K
なんかキモオタのコピペ思い出したw
コポォとか笑う奴
429:名無しさん@ピンキー
10/08/23 21:20:14 wfxC5mfI
>>418
『値段が付けられないので・・・・』って店員さんに言われちった
430:名無しさん@ピンキー
10/08/23 21:32:04 RUAYkP3K
>>429
店員分かってるなぁ~ww
431:風と木の名無しさん
10/08/23 22:27:54 XWAVe+vt
前の人途中だからかいちゃ駄目っすよね
432:名無しさん@ピンキー
10/08/23 22:40:08 RUAYkP3K
書けよ
速く
頼む
433:名無しさん@ピンキー
10/08/23 22:46:10 XWAVe+vt
じゃあ、卒業式ネタ。
エロなし•カプ無しのただのネタです。
キーボードじゃないんで遅くなります
434:~卒業式~ 1
10/08/23 23:28:07 XWAVe+vt
日向視点。
卒業式も一通り終わり、直井、ゆりっ
ぺがこの世界から旅立った。
「じゃ、次は俺がいく。かなでのこ
と、よろしくな」
音無が言った。
「ああ。•••短い間だったが、お前と
居た時間は、すげぇ楽しかったぜ」
本当に、本当に短かったな。
そして、音無はかなでちゃんに向か
って、
「かなで、かなでもいままでありが
とな。また会えたらその時はよろしく
な」
かなでの手をそっと握ってそう言った
「結弦、」
「•••。じゃあまたあえたら。•••2人と
も•••大好き、だ」
音無の最後の顔はどこか照れたような
でも、少し悲しげで、
それでも晴れやかな表情だった。
•••。
しばしの沈黙。
3分くらい経っただろうか。
「卒業式、楽しかったか?」
きいてみた。
「•••うん」
笑顔で答えたが、嬉しそうな声ではな
かった。
435:~卒業式~ 2
10/08/24 00:04:30 0pOrXJkb
「どうした•••?」
不安な思いがこみ上げてくる。
「ううん、どうもしないわよ。ただ•••
」
「ただ?」
「•••最後は悲しいのね」
「•••そうだな」
新しい人生を歩み始めたんだ、みんな
この娘も、そうしてやらないと。
「な、なぁ。かなでちゃんの•••その、
未練って•••なんだ?」
「••••••」
「ああ、むっ無理していわなくても」
「ありがとう」
「は?」
「私は心臓が弱くて•••」
ふぅん。まぁか弱そうな感じだもんな
「そして、心臓移植をすることになっ
た」
移植、ねぇ。
「その、心臓をくれた命の恩人に感謝
出来なかったのが、私の唯一の不幸」
「えっ、でっでもその•••恩人•••は」
436:~卒業式~ 3
10/08/24 02:45:55 0pOrXJkb
「そう。今はここにその恩人はいない
。命をくれた恩人にありがとうって言
えない•••」
「今はって•••恩人ってまさか•••」
音無、なのか?
「結弦よ」
なんで•••
「なんでそんなことが、わかるんだ?
」
「結弦がこの世界に来た時、私が胸を
ひと突きしたの、みてた?」
あぁ、あれか。
俺はこくりと頷く。
「結弦には、心臓がなかった」
心臓が、ない。
俺は冷や汗をかいていた。
「結弦が記憶を取り戻したのは、私の
胸の上、自分の心臓の音を聞きながら
眠ったから。」
そうだったのか•••
~~~~~~~~~~~~~~~
「日向君、いきなりなんだけど•••
私は結弦のこと、すきなのかもしれ
ない」
顔を赤くして言った。
好き、ね。
「音無も、お前のこと好きだったんだ
ぜ」
かなでちゃんは目を丸くした。
「本•••当•••?」
「あぁ、本当だ。」
「結弦•••」
なんか、音無の話してたら、俺も
音無の後、追いかけたくなってきちま
ったよ•••
音無•••また会いたい•••
「わたしは一人でも大丈夫よ。」
ぅおっ、心よまれてた•••
「でも•••」
一人だと流石に可哀想だ。
「いいのよ。わたしは天使。見送るの
が役目」
笑顔でいわれてしまった。
ここは、甘えるか•••
「じゃあな。」
かなでちゃんと握手を交わし、別れを
告げる。
「はい」
••••••そして俺も新たな人生へ歩みだし
た。
437:~エピローグ~
10/08/24 02:49:50 0pOrXJkb
日向君も、逝った。
私一人、体育館の中だ。
私は、待つ。
音無君のことを。
ずっと、
ずっと、
永遠に。
438:名無しさん@ピンキー
10/08/24 02:53:46 0pOrXJkb
駄文サーセンでしたorz
439:名無しさん@ピンキー
10/08/24 02:57:52 0tnqshSj
乙してやんよ!
440:名無しさん@ピンキー
10/08/24 04:09:13 0pOrXJkb
>>437って音無君じゃなくて
結弦だったな。
441:名無し.co.jp
10/08/24 22:17:22 SxY6MrPa
続き投稿します。続きは木曜日か金曜日に投稿します。あ~受験生って面倒だな毎日が疲れる。
442:名無し.co.jp
10/08/24 22:22:16 SxY6MrPa
そしてついていった教室に入ると本当の奏がいた。奏は信じられない物を見たようになりNPCも唖然としていた。
教師「えっと…あなたは」
沈黙になった教室でようやく教師が口を開いた。それは当然の疑問だなぜなら同じ教室に瞳の色以外全く同じ人がいるのだから。
奏(赤)「今日転校した立華奏の妹です。」
音無(なにぃぃぃぃぃぃぃ)
そう叫んでしまいそうなのを必死に耐えて心の中に留めた。っていうかそんな嘘通じる訳ないだろう!
教師「そうですかわかりました。」
NPCA「へー生徒会長に妹がいたんだ」
NPCB「姉と違って明るい子だな」
NPCC「そっくりだな~双子なのかな」
なんだこいつらの順応性の高さ…高過ぎだろ誰か1人ぐらいツッコメよ
奏「あなたどうして…」
奏(赤)「さぁ……」
そう言って奏(赤)は俺が座ろうとしていた真後ろの席に座った。1時間目は数学だった不真面目にしていたら何を言われるかわからなかったから真面目に授業を聞いていると。
443:名無し.co.jp
10/08/24 22:24:10 SxY6MrPa
奏(赤)「ねぇ…結弦って結構頭いいんだね」
音無「いいのか…仮にも生徒会長の妹が授業中に駄弁ってて」
奏(赤)「いいんじゃないこの前に結弦と日向君が駄弁ってたし」
音無「それとこれは話が別だろ」
奏(赤)「何処が違うの?」
音無「それはお前の立場じ(ry」
奏(赤)「奏」
音無「え?」
奏(赤)「あなたが私の事奏って呼んでくれたらやめる」
音無「わかったよ…奏」
奏(赤)「うん」
そう言って奏は満面の笑みを浮かべてた
教師「もう少し静かにできますか」
奏(赤)「ごめんなさーい」
こっちの奏は凄い上機嫌になったみたいで普段なら絶対にしない態度をとっていた。普段こんなことをしないせいか内心ドキドキしていた。
444:名無し.co.jp
10/08/24 22:24:52 SxY6MrPa
奏と話す為に体を後ろに向けていた体を前に向けると物凄く不機嫌そうな奏が目にとまった。表情はいつもと変わらないのに背中から黒いオーラがにじみ出ている感じだ。
そうして午前中が終わり昼休みとなった俺は今の内になんであの時の奏が現れたか聞こうと思い席に向かおうとすると。
『生徒会長の立華奏さん至急生徒会室に』
『生徒会長の立華奏さん至急生徒会室へ』ピンポンパンポーン
この声ゆりか…そうだよな知りたいのは皆同じだもんな。昼飯ついでに奏から話しを聞こうと思ったんだが。機嫌が悪いみたいだし・・・って何落ち込んでんだ俺は本題は何故奏がハーモニクスを使ったかだろ。
そう自問自答していると奏(赤)が
奏(赤)「ねぇ…結弦の為にお弁当作って来たんだけど屋上で食べない?」
445:名無し.co.jp
10/08/24 22:26:18 SxY6MrPa
音無「は?」
今こいつは何て言った…お弁当を作ってきた何故、俺に食べて欲しくて…
奏「………………」
その時奏は1人生徒会室に向かった
―生徒会室―
直井「何で僕もここに来ないと行けないんだ」
ゆり「生徒会副会長の立ち会いがいるかなって前見たいに」
直井(くそ…音無さんと学食で食べようと誘おうと思っていたのに)
直井「はやく終わらせるように」
奏「わかってる」
ゆり「奏ちゃん…何か急ぎの用事でもあるの?」
奏「何でもない」
ゆり「そうじゃあ最近ハーモニクスを使った」
奏「使ってない」
ゆり「じゃあアブソーブは」
奏「もう試した」
ゆり「わかった…最後にまたあなたの部屋に入ることになるけどいい」
奏「わかった」
ゆり「ありがとう…竹山君お願い」
竹山「了解あとクライ(ry」ガチャ
ゆり「もういいわありがとう…奏ちゃん」
奏「ううん…いいの」
446:名無し.co.jp
10/08/24 22:27:15 SxY6MrPa
―屋上―
奏(赤)「おいしい?」
音無「えっ…ああ」
奏(赤)「そう…良かったこういうの初めてだから」
音無「なぁ…何でお前はここに居るんだ」
奏(赤)「私じゃあ…だめ?」
音無「え?」
奏(赤)「私じゃあだめなの…私だってこんなにあなたの事」
そう言って奏(赤)はどんどん顔を俺の顔に近づけて来た。その時屋上のドアが開く音がしたが顔のすぐ前に奏(赤)の顔があるせいで見えなかった。そして、俺と奏(赤)はキスをする形になった。
奏「結弦…」
聞こえた時誰が来たのか直ぐにわかった。俺の事をそう呼んでくれるのはあいつしかいない。
音無「奏……」
奏は俺と目があうと何処かに駆け出していった。
音無「奏っ」
俺は直ぐに奏を追いかけた。後ろから「待って…」と声が聞こえたがただ俺は奏を探しに行った。
447:名無し.co.jp
10/08/24 22:28:43 SxY6MrPa
今日はここまでです。長々とだらだらと駄文をすいません。
448:名無しさん@ピンキー
10/08/24 22:32:01 QJCtJjqo
リアルタイム乙!
449:名無しさん@ピンキー
10/08/24 23:40:46 p2hBQjKJ
GJ
450:名無しさん@ピンキー
10/08/24 23:55:36 QMTTWeMt
gj!エロも募集!
451:名無しさん@ピンキー
10/08/25 04:10:49 drQZOUxk
下げようぜ。
メール欄に sage
あと、受験生とかあんまり書かない方が良くないか?全年齢板じゃないし。
何が言いたいかというとGJ
452:名無しさん@ピンキー
10/08/25 05:46:40 j980ZVY3
>>407
すまん
別のトコのssとかこのスレのssとか
投下しててそっち手つけてなかった
453:名無しさん@ピンキー
10/08/25 11:06:58 INH4Njfc
>>452
よし、今から頑張ってくれ
音入は好きなんだ!
454:名無しさん@ピンキー
10/08/25 22:30:15 FB5H6W06
>>452
超ガンがれ!
455:名無しさん@ピンキー
10/08/26 19:26:22 TIr18Hb+
>>358の続きです。
グダグダ感抜群です。
456:Love Me Tendar
10/08/26 19:27:42 TIr18Hb+
そろそろ日が傾き、空一面が茜色に覆われる時間帯。
あたしは今日もここ、屋上に来ていた。人気のない場所なので、一人になりたい時は絶好の場所だからだ。
風景を見渡せるように、手すりに身体を預け、自販機で買ってきたKeyコーヒーを煽る。視界に入ってくるのは、下校したり、部活の片づけをしているNPCたち。
「ふぅ…」
残っているコーヒーを一気に飲み干し、溜め息を吐く。
…今日も、ダメだった。
自爆してから結構日が経つが、相変わらずなんの進展もない。あるのは、遊佐さんの暴走度の上昇と、日に日に募っていく音無くんへの想いだけ。
ここ最近のみんなの反応を見た限りだと、遊佐さんは誰かにバラした、ということはしていない気がする。一応あたしたちだけの秘密ということで、約束は守ってくれてるみたい。
でも、そんなことよりも真っ先に浮かんでくるのは音無くん。
胸の前で拳をギュッと握る。
そして再び走る、胸の痛み。
一瞬だけ息ができなくなる。
苦しい。
痛い。
つらい。
次々と襲ってくる負の感情が、苦痛という名の悪魔に姿を変え、あたしの身体を蝕んでいく。それは、あたしが彼のことを考えれば考えるほど勢いを増していき、激痛を走らせ、心に悲鳴を上げさせる。
近頃はタイミングが悪く、音無くんとはまともに会話できていない。
音無くんは戦線の男子の中では人気が高いから、ほかの戦線内の女の子からも結構話しかけられている。そのまま会話が弾むことが多く、音無くんはあたしに気づかずにほかの女の子のところへ行ってしまう。
彼の姿が見えなくなると、胸の中に大きな空洞を感じる。虚無感とでも言うのか。
同時に湧き上がってくる、恐怖。
彼のことを想うと嬉しいはずなのに、身体が震え、悪寒が走り、怖くて、つらくて、悲しくて、痛くて。
好きなのに。こんなにも彼のことが好きなのに。頭の中が音無くんでいっぱいなのに。それに矛盾する形で襲い掛かってくる恐怖に、あたしはおびえている。
457:Love Me Tendar
10/08/26 19:29:40 TIr18Hb+
「あはは……。滑稽ね、滑稽だわ」
そのまま重力に従って、地面に腰を下ろす。
こんな時でも脳裏に浮かぶのは、やっぱり音無くんの顔。
あたしはこれから、どうすればいいのだろうか。やはり、告白しかないのだろうか。
でも、見ている限り、あたし以外にも音無くんに好意を寄せている女の子はたくさんいる。
最近は好意が顕著に現れてきている関根さんと入江さん。あの二人、音無くんと一緒にいる時は一段と嬉しそうな表情(かお)をするし、若干過激なボディタッチをしているところも何度か見たことがある。
椎名さんは、時折集中力を高める訓練に付き合えという形で、音無くんを誘っている。
ひさ子さんも、よく彼を麻雀に誘っているようだ。
爆弾発言をしたけど、本気なのか冗談なのかよくわからない遊佐さんも、ちょくちょく音無くんと二人きりでご飯を食べているところを見かける。
音無くんをからかって遊んでいるのかどうかはわからないけど、恋人同士がやる、いわゆる「あーん」なる行為をやっていた時もあった。無論、音無くんは狼狽していた。
最後に、かなでちゃんでさえ無表情を装いながらも、普段からチラチラと音無くんを盗み見たり、まるで妹が兄にじゃれ付くような感じで甘えてくることがある。
漫画かなにかで知ったのか、さすがにツイスターゲームとか、二人で王様ゲームをやりたいって言った時は驚いたけど。
ちなみにこの件に関しては、音無くんにTPOを盾に取られたため、未遂で終わっている。念のため。
ユイは日向くんとラブラブの相思相愛だから、音無くんにはただの先輩として接しているので問題ないだろう。
直井くんは……キモいわね。この前なんかパンツ1枚で、音無くんの部屋で彼が帰ってくるのを待っていたようだし。彼、本気でコレっぽいわ。
仮にここが現世だったら、真っ先に警察に突き出すけどね。だって変態だし。
458:Love Me Tendar
10/08/26 19:30:14 TIr18Hb+
最後はともかく、みんな多かれ少なかれ彼のことが好きだということが窺える。しかもみんなかわいいし、彼女にしたら楽しくなると思う。同性のあたしから見ても、彼女たちが魅力的なのは百も承知している。
対するあたしは暴力的で、ガサツで、かわいげもないし、誇れるものがなにもない。戦線のリーダーという肩書きこそあるものの、今回に至ってはなんの役にも立ちはしない。
かなでちゃん、遊佐さん、椎名さん、ひさ子さん、入江さん、関根さんと、こんなにも選り取り見取り状態なんだから、わざわざその中からあたしを選ぶなんて、まずないだろう。
そもそも音無くんからあたしに告白してきてくれる確率はほとんどゼロに等しい。
仮にあたしから告白してフラれでもしたら、友人に戻れなくなるどころか、彼が戦線自体から去ってしまうかもしれない危険性だって孕んでいる。
「う……っく…」
最悪の結末を考えた末に、漏れる嗚咽。この世界では泣いたことなんてなかったのに。
でも、あたしの意志に反して、瞳からは涙がポロポロと止め処なく零れ落ちてくる。
それだけは、嫌だ。
あたしは、彼と一緒にいたい。
離れたくない。
側にいたい。
別に彼のいちばんになれなくてもいいから、せめて、あたしの近くにいて欲しい。
好きじゃなくていいから、嫌いにならないで…。
あたしの前から、いなくならないで…。
やっぱり、今の関係を壊さないためには、現状維持しか、ないのかもしれない…。
ならばあたしのすることはただ一つ。
この想いを胸の奥底に封印すべく、心にカギをかける。
固く、しっかりと。
459:Love Me Tendar
10/08/26 19:30:43 TIr18Hb+
「ゆり、おまえ顔色すごく悪いじゃないか。どうしたんだ?」
「……平気よ。なんでもないわ」
「でも…」
「大丈夫よ。ちょっと、顔を洗ってくるわね…」
席を立ち、怪訝な表情を浮かべる音無くんを通り越した刹那――。
―あれ?
フラり、と強烈な立ちくらみに襲われ、身体が傾く。
突如視界がぼやけ、周りの景色がブレ始めてきた。
「ゆり?」
手で顔を覆うも、一向に症状が治まる気配はない。
ああ、なにやってんだあたしは。
戦線を纏めるリーダーなのに、自分の体調管理を怠るなんて、バカ丸出しじゃない。
音無くんやほかのみんながなにか言ってるけど、意識が遠のきかかっているあたしには聞き取れない。
ごめん……みんな。
とうとう足の力が抜けてあたしはそのまま前のめりに倒れ、ゆっくりと意識を手放して闇の中に沈んでいった。
460:名無しさん@ピンキー
10/08/26 19:34:04 TIr18Hb+
今回はここまで。
あと数回ほど続くので、もうしばらくお付き合いしてくれると幸いです。
461:名無しさん@ピンキー
10/08/26 19:51:29 RNMYT6Zt
リアルタイムgj
462:名無しさん@ピンキー
10/08/26 20:24:13 xfr3IIvI
GJ!ゆり元気になればいいなぁと思った。
ときに、需要あるか分からないけど迷惑がないようだったら明日にでも関根×岩沢出す
混み具合(どうなるのか分からないけど)によっては明後日にしてみる
463:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:24:31 iQfVGuna
エロパロ版でエロ無しってのもどうかと思うけど投下します
初投稿なんで暖かい目で見守ってくださいww
23:50からちょいちょいアイディア貰いましたー
設定は、現実世界、ユイは現在ニート。てか日向に養ってもらってる。ガルデモは五人。記憶はないけど体が覚えてる。ユイにゃん元気。ユイ↓にゃん↑☆
464:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:25:38 iQfVGuna
「♪…幼~い~日々にっ見・つ・け・たっ、深い闇に…♪」
重いギターケースを背負いながら、街中を歩く。
今日は所属しているガールズバンドのスタジオ練習だった。
バンド名は『Girls Dead Monster』通称、ガルデモ。
このバンド名について岩沢さんに不思議な話を聞いたことがある。
バンド名を決める時にメンバーがそれぞれ案を紙に書いて一斉に見せあったらしいのだけれど、不思議なことに全員の紙にこの名前が書かれていたそうだ。
その話を聞いた時は流石にびっくりしたけれど、でも私がこのバンドに名前をつけるとするなら、きっと私もそう名付けるだろう。なぜかは分からないけど、そんな気がする。
岩沢さんに出会ったのは私が音楽の世界に入る前のことだった。
高校に入って、これまでなんとなく入ろうとしてこなかった部活に入ることを決め、けれどいざ入ろうとすると自分が何をしたいのか、何が出来るのか分からなくて。
そこで巡り合ったのが軽音部だった。
465:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:26:22 iQfVGuna
当時、特に音楽に興味を持っていなかった私は、軽音部っていうくらいだからきっとカスタネットとかを演奏するんだろう、なんて思ってて。
見学に行って愕然とした。
世界が開けた気がした。
こんな綺麗な世界があったんだって。
そのあと、色んな部活に仮入部してみたけど、結局私は音楽室のドアを叩いていた。
こうして、私は今も歌っている。
466:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:27:06 iQfVGuna
あ、そういえば日向先輩に会ったのもそのころだったっけ。
昼休憩に岩沢さんと一緒にお昼食べようと思って行ったら、岩沢さんと音無先輩、それに日向先輩が三人で話してて、結局4人でお昼食べることなって、それから日向先輩とも話すようになったんだ。
なんかこう、頼りないな~ってのが第一印象だったのは覚えてる。
けど、なんか気になって。
いつしか、『岩沢さんのついで』に話すんじゃなくなってた…
……ナニコレめちゃくちゃはずい!
467:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:27:48 iQfVGuna
そ、それにしても、岩沢さんはやっぱり凄い。
ヴォーカルとしての技術も、ギターとしての技術も、私よりずっとずっと上手い。
…ずっと追いつけないんじゃないかって、ホントに私なんかが一緒にやってていいのかって思ったことも何度もある。
けれど、そんな風に私が落ち込んでた時、日向先輩が言ってくれたんだ。
「俺が聞いてやんよ!」って。
…あの時は、嬉しかったな。
468:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:28:20 iQfVGuna
そ、それに、世の中には頑張りたくても色んな事情で頑張れない人達がいるのに、頑張れる私が頑張らないのはそういう人達に失礼だ。
むしろ、私が頑張って歌を歌うことで、そういう人達に元気をわけてあげたい。
「よっしゃ!頑張りますか!」
そうとなれば早く帰って練習しなくちゃっ!
ずれてきたギターケースのストラップをかけ直し、心地よい疲労感を背負いながら、私は帰路を急いだ。
469:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:29:26 iQfVGuna
先輩に貰った合鍵を使って家の中へ。
「ただいま~」
日向先輩は…まだ帰ってないか。
とりあえず洗濯物を取り込みにかかる。
家事は二人でローテーションを組んでやっているのだけれど、洗濯だけは私がしている。
というのも、前に日向先輩に洗濯を任せた時、なぜか、洗濯バサミを上に掲げながら『洗濯バサミ最高!』なんて涙を流しながら土下座で言ってたからだ。ぶっちゃけ意味わかんない。
…一緒に暮らし始めるようになってから気づいたけど、日向先輩は時々おかしい。いや、むしろ時々マトモなのか。
こないだも、『ひっなひなにしーてやんよー!』なんて叫んでた。なんでだ。病院が来い。
(…まぁ、そういうとこも含めて好きになったんだけど、さ)
……顔が熱い。
ベッドに倒れ込んで枕に顔を押し付けた。
470:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:30:26 iQfVGuna
…頬に柔らかな感触。
くすぐったくて逃げるように寝返りをうつ。
…しばらくして。
唇に柔らかな感触が。
「ん…んぅ」
苦しくて目が覚める。
目の前には日向先輩の顔。
…は?
「どぅえぇぇぇ!?」
驚いてベッドの端で俯いて縮こまる。
(なんで?え、なんで?いやそりゃ恋人だしそういうことするのも当たり前だしだけどだけどっ)
「な…なんで…?」
かろうじて声が出た。
「ん?なにがだ?」
先輩は妙に元気だ。
「その…キス…」
「そんなの決まってるじゃねぇか」
先輩はニカッと笑って。
「ひっなひなにしてやんYOー☆」
ウィンクしながらそう言った。
…………
……
とりあえず、股間を蹴り上げて失神させ簀巻きにした。
さ、家事しなくちゃ。
471:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:30:51 iQfVGuna
しばらくしたら先輩は起きた。
どうやらおかしかった時の記憶はないらしい。
厄介なもんだ。
まぁ簀巻きにしとくのもかわいそうなんで解いて上げた。
「それにしても、カップ麺も食べ飽きましたね~」
ずるるっと啜りながら私。
先輩は食べる手を止めて、
「文句あるなら食わなくていいぞー」
そう言って私からカップ麺を取り上げようとする。
「た、食べますよ食べますって」
しかし…一ヶ月カップ麺だけってのは酷いと思う。
むしろ、ここまでよく耐えた方じゃないだろうか。
「先輩は料理出来たりしないんですか?」
とりあえず話を振ってみる。
「俺がかぁ?家庭科でやったことはそりゃあるけどなぁ…」
若干渋るような口調の先輩。
ここは…もう一押しですねっ
「ユイ、先輩の手料理食べてみたいですっ☆」
上目づかいでおねだり+ウィンクだ。
これなら先輩も断れないだろう。
てか、ホントもうカップ麺食べたくない。無理。マジで。
「俺の?はっ無理無理。めんどくさいっての。」
うわこいつ断りやがった。
とりあえず近くにあったスリッパで頭殴っとく。
「ってぇ!つか、むしろ料理はフツー女がするもんだろ!お前がやれっての」
「そりゃ出来ますけど…男女差別反対ー」
「出来るんならやりゃいいだろが」
えー。
「だってメンドいじゃん」
無言でスリッパで頭はたかれる。
「何すんだコラァ!」
「これでおあいこだろ」
したり顔で先輩。
「ふっざけんな!乙女の頭はたくなんて5倍返しされても文句言えねぇぞ!」
「はっ…どこに乙女がいるんだっての」
ムカついたので連打してやった。
「うぉ!八発も殴りやがって!上等だこのアマァ」
「こっちこそ!殴られた回数数えてるちっせぇ男に負けるかっての!」
………
……
…机の上のカップ麺は、すっかり伸びていた。
472:名無しさん@ピンキー
10/08/26 21:33:31 iQfVGuna
以上です^^;
駄文でホントすんません・・・
ちなみに自分のblogの方でも掲載してるんですが
いろんな人からの評価欲しかったんで投下しました
なんで批判でもおkいやむしろどんどん批判してください(ドMェ・・・
お目汚しでスンマセンでしたーノシ
473:名無しさん@ピンキー
10/08/26 22:00:45 dqNt1Q5o
>>459
弱きなゆりかわいいな、GJなんだかんだで音ゆり好きだから応援してるぜ
>>472
ユイにゃんニートwGJ
やっぱこの二人いいな
474:名無しさん@ピンキー
10/08/26 23:00:09 rOvMAHuD
>>473
本編で観れなかった分音ゆり展開にもえまくりです
>>472
GJ ともに料理しない~♪
けんかっぷるかわいい!
これ読んで音無×岩沢と日向×ユイの4人組もいいと思った
475:名無しさん@ピンキー
10/08/26 23:00:54 rOvMAHuD
間違えた>>473じゃなくて>>459だ
連投スマソ
476:名無しさん@ピンキー
10/08/27 19:36:17 hz5X1yGC
予告ですが関根×岩沢約8000字で20:00ころ投稿します
477:関根×岩沢
10/08/27 20:00:50 hz5X1yGC
彼女たちの活動に昼も夜もないが、しばしば支障をきたすことだってある。
その原因はおもにゆりによる突然の動員であることが多い。
ミーティングでは陽動部隊としての平時の在りかたと作戦時の在りかたを問われ、
もし即答できないようなことがあらば、特製のマニュアルを手渡される。
NPCとのほどほどの対話の仕方から、天使との距離を確保するための対策法、
緊急時の集合場所がマークされた連絡通路網の図面や、いざというときの日向の使い方、
はたまた下衆に襲われたときの金的のつぶし方まで載せられている大変な指南書だ。
とはいえこの度はそのゆりはまったく関係がない。
彼女たちは機材の損傷によってその活動を阻まれていた。
「ちっ、あーいっちまったか」
アンプから音が出ない。その原因がシールドの断線であることを見て取ったひさ子は、
ジャックからシールドを引き抜いて早々その交換をしようとした。
部屋の隅に置いてあるプラスチック製の箱の中には、マイクやケーブルの類が収められている。
が、今日は何かが違った。
「替えなくなってるじゃねーか。どういうことだよ。
関根、入江、おまえら何か知ってる?」
「そうなんです!あたしも思ってました。
そこで気の利くあたくし関根めは三日前に購買部に取り寄せを頼んでおりますよ」
「んじゃ明日ごろには届くか。関根、感謝するよ」
「褒められるなんてめずらしいね、しおりん」
478:関根×岩沢
10/08/27 20:02:17 hz5X1yGC
違和感を覚えてはいたがひさ子の切り替えは速い。
軽めのフィンガリングトレーニングから、横移動、縦移動のフレーズ、
ペンタポジションの確認や弦飛び、エコノミーピッキングなど、
生音ながらも流麗に弦を弾き始めていた。がしかし、
チョーキングやビブラートの練習に差し掛かったときに諦めた。
「感じ出ないからやめだ、卓囲んでくる。
それにしても一本もねーとはな。まさかだよ」
「行っちゃうんですか?」
関根の問いかけにそれじゃ岩沢によろしく、とだけ答え、
藤巻たちが暇をもてあましているであろう男子寮へと向かった。
と、バンドの要であるひさ子がいなくなったところで、関根は入江の様子を気にし始めた。
なにやら不具合でもあるのか、入江はバスドラのフットペダルを懸命に踏み込んでいた。
「シャフトがずり落ちちゃっててビーターがヘッドまで届かないんだ。
それにちょっと変なんだよ。チューニングボルトがすごく固い」
「落ちるってことは普通は緩くなってるはずだね。あっちゃーミステリー」
「レンチ?うーん、ハンマーかな」
いつもならケーブル類の箱の横に並んで置かれているはずの工具箱。
が、それも見当たらない。
「そこにあったのなら踊りながらやってきたTK先輩がどこかに持ってっちゃった」
「えぇー! TK先輩どこにいるのかなんて見当がつかないよー」
「松下先輩なら知ってるかも。森で稽古してるか藤巻先輩たちと麻雀?」
「だったらTK先輩も麻雀してる?? Oh! I don´t knowって言われたら戻ってくるよ」
「それがいいね」
479:関根×岩沢
10/08/27 20:04:22 hz5X1yGC
小さく手を振って見送ったあと、関根は内心どきどきとし始めていた。
そんな関根の心中を知ってか知らずか、入れ替わりになってやって来たのは岩沢だ。
背中にはストラトの入ったソフトケースを背負っており、その表情は平生となんら変わりない。
彼女はこの場にいない二人のことを口にした。
「ひさ子と入江、用事?」
「野暮用って言ってました。いわゆる隠し事の常套句の一種ですね!」
「そうなんだ、仕方ないか。それよか新曲持ってきたからとりあえず演ろうか。
一度聴かすからその後遊んでみてくれ。あ、入江いない分スリップビート増やしてみて。
それとあたしはひさ子のパートいじってみるからメロディに関してはあまり外さないで」
中止するという考えは彼女の頭の中には片隅にもなかった。
というより、既にチューニングを始めていた。
5フレ7フレのハーモニクスをぽんぽんと鳴らしては指に伝わる振動とその耳を頼りに合わせていた。
「はやっ、お願いだから少しくらい迷ってください」
「ん? どうして? 速ければ速いだけ時間浮くからいいじゃないか」
関根がそわついているのに対し、岩沢は坦々と調弦をしていた。
というより、既に色んなコードを用いて試奏を始めていた。
唐突な、すさまじい破裂音が室内を震わせたのはそんなときだった。
校内を震わせたと言っても過言ではないほどの重低音が轟いた。
「うわっっ、えっ? 4弦?」
480:関根×岩沢
10/08/27 20:05:51 hz5X1yGC
焦った関根が手元に忍ばせていたニッパーで自分の弦を無理やりぶった切っていた。
アンプに繋いでいた状態だったのでその音量は相当なものだった。
外からうるせーぞーという複数の非難の声が上がっていた。
にもかかわらず、岩沢はといえば、いつも通りだ。
「チタンピック使ってかつてないアタック音求めたりでもした?
関根の弾き方ならまだしばらくは使える弦だったろうに、もったいない。
新曲さ、聴かせてから二人ですぐに始めてみたいから張り替え終わるの待ってる。
けどなるべく早く始めよ、日が暮れたら寮に戻らなくちゃならないからアコギ版になる」
「あ、替え弦ありません」と白々しく告げる関根であったが即答された。
「あたしの使え。たまにベースも弾いてるから持ってる。.105inchでいい?」
「え、ええぇっ! そんなの困りますから……」
「あたしは困らないから遠慮する必要ない」
岩沢はギターケースのポケットから4弦を取り出すと、それを手渡そうとした。
なのに関根は受け取ろうとしない。
どことなく手持ち無沙汰になった岩沢だが、
そのとき目敏くも、ペグに残っていた4弦の切り口を注視していた。
目が良くないと分からないが不自然なくらいに鮮やかな断面をしていた。
岩沢は言った。
「……自分で切った?」
「そんなことしたら今後メーカーの方角に向かって足を向けられません!
だからそんな訳ないですって!」
勘が働いた岩沢は、関根の動揺をよそにして彼女のベースケースをあさった。
するとあっさりと替え弦が見つかった。