10/06/25 00:42:43 xHym+Wnk
『いなゆき姫』
昔々その昔、ある王国にいなゆき姫というそれはそれは美しい、そして胸の無いお姫様がいました。
しかしそのお姫様には胸が小さいということの他に、とても大きな悩みがありました。
男性に恐怖心を抱くあまり、男なら誰彼構わず殴ってしまうという悪癖があったのです。
「ああ、今日も家来の男の人を殴り飛ばしちゃった」
いなゆき姫はこのように毎日男の人をついつい殴り飛ばしてしまうのです。
そもそもいなゆき姫がこうなったのはこの国の王様、つまり彼女の父親のせいでした。
娘可愛さに、幼いいなゆき姫にありとあらゆる手段を用いて男性は怖いものだと叩き込んだのです。
そしてそんな父親の溺愛振りも彼女の悩みの種でした。
「そうだ、お城から出て行こう。それで男の人の居ないところに行けばいいんだ。
そうすればきっと誰にも迷惑を掛けずに済むもの」
こうしていなゆき姫は密かに城から抜け出す決心をしたのでした。
同じ王国の同じ城に山田という下働きの娘が暮らしておりました。
彼女には日課がありました。それは自分の部屋に飾られてある魔法の鏡にある質問をすることです。
何を問い掛けているかというと……。