10/05/03 14:19:24 We7KWcii
長身の女が図書館に入っていく。
「沙希…あんた大丈夫?」
「…何が」
マミの問いに苛ただしげに答える。視線は図書館の入り口に向いているままだ。
「なんでそこまであのメガネ女にこだわるわけ?」
…まるでストーカーじゃん、というマミの言葉に眉をひそめ
「バーカ、あたしはあいつに思い知らせてやりたいだけだよ…コケにしやがって」
「ま、いいけど」
あきれたようにマミがため息をつく。ちょうどそこに長身の女が図書館から戻ってきた。
「おい、いたか?」
沙希の問いに長身の女は両手を頭上にあげて「○」のマークで答えた。
「よし…」
沙希はにいっ、と口元を釣り上げる・右手でポケットに忍ばせた「モノ」をぎゅっと握りしめながら。
* * * * *
図書館の隅で女は本を読んでいた。肩まで伸びた黒髪と黒いスーツで沙希はすぐに判別できた。
バン、
と女が座っている机を強く叩く。驚いたのは周囲の人間で、一瞬空気が止まりその後批判的な視線が
沙希達に集中する。が、沙希達は当然気にしない。そして意外にも女も動じていなかった。
困ったような顔をしてゆっくりと視線を沙希に向ける。視線が絡み合った瞬間、なぜか沙希は身震いした。
「よお、久しぶりだなメガネ」
わざと低い声色で相手を脅す。が、やはり、というか女性専用車両で彼女たちの出鼻をくじいたこの女はただ者ではなかった。
きょとん、と沙希をしばらく見つめた後、困ったような顔をして
「あの~すみません、どちら様だったか忘れまして…」
「はあ?お、おまえふざけんなよ」
これにはさすがに3人もあきれた。周りの空気も緊迫したものからなぜかお笑いの空気に変わっていく。