井上堅二 バカとテストと召喚獣でエロパロ 4問目at EROPARO
井上堅二 バカとテストと召喚獣でエロパロ 4問目 - 暇つぶし2ch800:名無しさん@ピンキー
10/06/18 20:07:03 SojuezCj
姫路さんが明久を監禁するっていうシチュとかはどうですか?

801:名無しさん@ピンキー
10/06/18 20:59:56 +ZqxO1Cj
飯を食っても死ぬ。食わなくても死ぬ。恐ろしいシチュエーションだ

802:717
10/06/18 22:43:32 tSWbEDXL
717です。昨日の続きを投下させていただきます。
「勘違いから始まる恋もある」 終章 後編です。

次レスより投下します。

803:終章 後編
10/06/18 22:45:14 tSWbEDXL
週が明けて月曜日。頭の整理も出来ないまま、僕は学校に来ていた。
FクラスとAクラスでは校舎が違う。だから、今教室に来ている霧島さんのように意図的に行動しなければ、木下さんに偶然会ってしまうこともない。
情けないことに僕は、それをありがたいと思ってしまっていた。今、木下さんに会っても何も言える自信が無い。
土曜日はあの後、頭が真っ白なままだったし、昨日は逃避するように一心不乱にプリントで勉強をやり続けていた。
木下さんがなぜあんなことをしたのか、そして……、僕はなんであの時木下さんを拒んだのか。
自分が何をすればいいのか思いつかず、今日になってもただひたすらテスト勉強を続けていた。
「おい、明久。ちょっと面貸せ」
「雄二? なんだよ急に」
いつの間にか雄二が目の前に居た。
「いいから、さっさと来やがれ」
「いてっ、何すんだよ!」
雄二は強引に僕の腕を引っ張って連れ出そうとしてくる。反抗してるけど力じゃ雄二には敵わない。
「ちょっと、坂本!」
「坂本君!」
姫路さんと美波が雄二を引き止める。雄二はめんどくさそうに振り向いて言った。
「別に何かしようってわけじゃねえ。話を聞いてくるだけだ」
そうして教室のドアから出て行った雄二に、渋々ながらついていくことにした。


「一体何なんだよ雄二。」
「別に俺の意思じゃねえよ。ったく、翔子のやつ……」
「霧島さんがどうしたってのさ」
「なんでもねえよ。それより週末に何があったんだよ」
「……別に。なんにもないよ」
話す義理もないし、木下さんだって誰にも言わないだろうから僕が言わなきゃ済む話だ。
「嘘つけ。木下姉となんかあって、似合わねえツラして落ち込んでやがるんだろうが」
「……ッ!!」
知らないはずの話をピンポイントで当てられて、一瞬言葉に詰まる。

804:終章 後編
10/06/18 22:46:10 tSWbEDXL
「……そうだとしても、雄二に何の関係があんのさ」
「俺もそう言ったさ。落ち込みたいやつに構ってやる必要はねえ、とことん落ち込ませればいいじゃねえかってな」
「なんなんだよさっきから! ケンカ売ってんの!?」
雄二の言い草に腹が立って掴みかかる。けど、当の雄二は未だやる気なく頭を掻いている。
「で? なにがあったんだよ」
「…………」
「チッ……」
やっぱり、人に言うことじゃない。そう思って教室に戻ろうとすると……。
「なんでもねえってんならこの世の終わりみてえなツラしてんじゃねえよ。こっちまで気が滅入るだろーが」
「…………」
「たいしたことでもねーくせに、グチャグチャ落ち込みやがって……」
「……ッ!! 勝手に決め付けんなよ! 僕だって木下さんとちゃんと……もっと、もっと!」
「それを、ちゃんと伝えたのかよお前は」
「な……!」
伝える? 僕が?
「なにがあったのかなんて知らねーが、言うことを何も言わねーうちから何をそんなに悩んでやがる。お前が脳みそ振り絞ったところでたかがしれてんだろうが」
木下さんと一緒に過ごして、終わってほしくなんてなくて、もっと……この先も、僕は、僕は……。
「バカなテメーが出来ることなんてそう多くは……ぐほぉ!!」
まだ延々喋ってる雄二の腹目がけて正拳突きをお見舞いしてやった。
「て、テメェ、なにしやがる……」
「ふん! 雄二にだけはバカなんて言われたくないね! 自分だって霧島さんには本心を言わないくせに」
「なっ……本心も何も翔子は、ってか相談にのってやったのにぶん殴るってどういうことだテメェ!」
「そうだね。じゃあ今度お礼に霧島さんに、水族館のペアチケットでも渡しておくよ」
「なっ、正気か!? ふざけんな」
雄二を無視してダッシュで教室に戻る。ったく、あんな言い方するから素直にお礼言いたく無くなるんだよ。
ガラッ。 教室の扉を開けて中に入り、自分の席に座る。
机の上に置きっぱなしになっていた教科書を開いて、昨日やったプリントを見直して明日からのテストに備えることにした。
よしっ、まずは明日の数学だ。あれだけやったんだから絶対いい点数とってやる!


805:終章 後編
10/06/18 22:47:05 tSWbEDXL
文月学園には「試験召喚システム」という制度があり、それにはテストの点数が大きく関係してくる。
そのためテストの採点は普通の学校より素早く行われる。いつでも最新の点数で試召戦争を行えるようにと配慮されたためらしい。
とはいえ、さすがにテストが終わってすぐ戦争を仕掛けるようなクラスは無いんだけど……今の僕には都合がいい。
三日間のテストもさっきの時間で終了して、生徒が昼休憩をしている間に採点が終わり、もうすぐ結果が出ることになる。
手ごたえは悪くなかった。今までよりはずっといい点が取れたはず。
っと、前のドアから鉄人が入ってきた。
Fクラスだけあって、みんなさぞ絶望的な表情をしているかと思えば……クラスの大半が、何故か危険な笑みを浮かべていた。どうやら現実逃避を決め込んでるらしい。
「これから答案と成績表を返す。いつも通りその場で確認してもらうので、出席番号順に別室に来てくれ。受け取りが終わってもすぐに帰らず教室にいること」

コンコン
「失礼します」
「吉井か……、そこに座れ」
言われた通りに椅子に座る。
「これが成績表。こっちが各科目の答案と解答だ。採点の間違いが無いか確認してくれ」
渡された答案に目を通して、解答と見比べていると……。
「随分といい点数を取ったじゃないか。最近は授業もしっかり受けているようだしな、勉強に目覚めたのか?」
鉄人が唐突に尋ねてくる。正直、自分でも疑ってしまうほど良く出来ている。でも……。
「いえ、これは……すごく上手に教えてくれた人が居たからなんです」
「……ほう。つまりこの成績は今回だけってことか?」
「それは……分かりません。……でも、目標ができたんです!」
鉄人は無言でこちらを見据えてくる。
「今はまだ……全然遠い目標ですけど、それでも来年までに成し遂げたいことがあるんです! だから……これから一生懸命かんばります!」
「そうか……。まあ精々やってみることだ。ところで吉井、馬鹿の一念という言葉を知っているか?」
「へ? 馬鹿の一年?」
なんだそれ? いかにも見たくなくなるようなホームドラマのタイトルみたいだな。暗にバカにされているんだろうか。
「ふっ、まあいい。教室に戻るぞ。お前で最後だからな」
あ! そうだった。急がなきゃ行けなかったのに!
「先生! 早く行きましょう!」
「おいおい、なんだ急に」
Aクラス、まだ終わってないといいんだけど。


806:終章 後編
10/06/18 22:48:36 tSWbEDXL
帰りの挨拶が終わってすぐに教室を飛び出しAクラスの校舎へ向かう。
くっ、他のクラスのHRはほとんど終わってるみたいだ。この分じゃAクラスも……。
目的地のAクラスの周りにも人影がぽつぽつと見える。木下さんはまだいるだろうか。
Aクラスの教室の扉を開けて周囲を見渡す。木下さんは……いない。
もう帰ってしまったんだろうか。でも、この教室は広いうえに個人のスペースがあるから教室内にいるかもしれない。どうすれば……。
「……吉井?」
「あっ、霧島さん!」
教室内を見渡していた僕の前に霧島さんが立っていた。霧島さんなら知ってるかも!
「えっと」
「優子なら、HRが終わってすぐに帰った。ここ数日元気無かったから……心配」
……尋ねる前に返答が返ってきた。くそっ、やっぱり帰っちゃってたか……すぐに追いかけないと!
「吉井!」
走り出そうとした瞬間に霧島さんに呼び止められる。
「優子はいい娘だから……頑張って」
「……うん、わかってるよ。ありがとう、霧島さん」
今度こそ外に出るため走り始める。雄二の奴勝手に喋ってくれやがって……。もう一発殴っておけばよかったよ!
速度をつけて一気に階段を降りて玄関に向かう。一応Aクラスの下駄箱の方も確認したけど居なかった。
となると……、そのまま靴を履き替えてから外に出て、校門から木下さんの家がある方に向かって走った。

「ハッ、ハァッ……」
おかしい。木下さんの姿が全然見当たらない。このままじゃもう着いて―着いてしまった。
もはや見慣れた木下さんの家。中に居るのだろうか、それにしたって全力で走ってきたのに追いつかない程早く帰っているとは考えにくいんだけど……。
恐る恐るインターフォンを鳴らしてみる。…………反応がない。
もしかしたらどこか寄り道をしているのかもしれない。とはいえ心当たりなんて……。


807:終章 後編
10/06/18 22:49:48 tSWbEDXL
「明久?」
「はい? って秀吉!? なんでここに!」
「いや、お主はここを誰の家じゃと思っておるのじゃ……」
そ、そうだった。ちょっと落ち着こう。それに秀吉に聞けば……。
「えっと、秀吉、その、木下さんって……」
「姉上か? ふむ、まだ帰っておらんようじゃの。どこか寄り道でもしておるのか……」
秀吉にも心当たりが無ければどうする……、もう一度来た道を戻ろうか……。
「そういえば今日は木曜日じゃったのう」
「えっ? ……う、うん、そうだけど」
秀吉の発言の意図が分からず返事が遅れる。
「ここ最近姉上は火曜日と木曜日は帰りが遅かったからのう。同じ用事なのかもしれん」
「そ、そうなんだ」
相槌を打ちつつも少なからず気落ちした。その理由は知っているけど、勉強会は先週の土曜日でもう終わっている。今日帰りが遅いのとは関係―
「一昨日もテストで、学校は早く終わったというのに随分帰りが遅かったからのう」
「え?」
一昨日……つまり火曜日も?
「昨日は普通に帰ってきたのじゃがの。どこぞでテスト勉強でもしておったのか……姉上に聞いてはおらぬから分からぬがの」
勉強会はもう終わった……はず。でも火曜日と今日の帰りが遅いってことは、もしかしたら……。
「ところで明久よ。せっかくここまで来たのじゃから上がって行かぬか? テストも終わったし遊んでもいいじゃろう」
「……ありがとう。でも、また今度にさせてもらうよ。これから行くところがあるんだ」
「それは残念じゃな。……のう、明久」
「ん、何?」
「…………いや、気をつけるのじゃぞ」
「うん、またね秀吉」
「うむ、またな明久」
木下さんが居るであろう場所。目的地に向かって走り出す、居てくれるといいんだけどな。
言いたいことが……ちゃんと伝えたいことがあるんだから。
「……そうじゃの。嫌とは言わぬが……やはり少し寂しいのかもしれぬな」


808:終章 後編
10/06/18 22:50:51 tSWbEDXL
「ハァッ、ハァッ……さすがに……キツイ……」
さっきからずっと走りっぱなしだから、すっかり息が上がってる。ここにも居なかったら……いや、大丈夫!
もう何度も来てる見慣れた建物だ。入口から入って、テーブルのある閲覧室を覗く……。
「……いた」
閲覧室の一番奥のテーブルに突っ伏してる人がいる。文月学園の制服、ショートカットの茶色の髪。
その人の所へ近づいていく、足音をたてないようにゆっくりと。眠っているのかな……?
隣に立って、ひとつ息をつく。……よし!
トントン
「ん……あっ、すみません……え! よ、吉井君!」
「シーッ、ちょっといいかな。話があるんだ」
「えっ……でも」
「お願い、木下さん」
「……うん、わかったわ」
さすがにここでは話はできないので、一旦外に出る。建物の裏手に行けば周りを気にする必要も無いだろう。

建物の裏までまわって、足を止めて向き直る。木下さんは顔を伏せている。さて……と。
「まずは、これを見てほしいんだ」
さっき渡されたばかりの成績表を手渡す。それに目を走らせて、木下さんは口を開く。
「へぇ……、すごいじゃない……。総合はD、ううんCクラスレベルかも。数学と、世界史はBクラス並だし」
「うん、木下さんが教えてくれたお陰だよ。本当にありがとう」
「ううん、吉井君が頑張ったからよ。はい、返すわ」
成績表を受け取り鞄にしまう。ふう……ここからだな。
「それで……その、この前のことなんだけど……」
「…………吉井君、そのことは……」
「ごめん。無神経かもしれないけど、聞いてほしいんだ。僕はまだ何も言えてないから」
「…………」
木下さんはまた俯いてしまう。けど、やっぱり逃げちゃだめなんだ。
「あの時……その、木下さんに何もしなかったのは間違いじゃなかったと思う」
「……うん」
「僕は木下さんに……伝えたいことがあったから。先にそれをちゃんと言わなきゃダメだと思ったんだ」
「えっ……?」
さあ、言ってやれ。余計なことは考えずに、ずっとあった気持ちをそのまま。
「僕は、テストが終わったからって木下さんと一緒にいられなくなるのが凄く嫌だった」
「…………うん」
「勉強は好きじゃないけど、木下さんと勉強するのは楽しみで、なんでもないこと喋ってるだけで楽しくて、それがずっと続けばいいなって思ってて」
「……うん、うん」
「それで……僕は」
言いたい事なんて、最初から一つしかなかったんだ。

809:終章 後編
10/06/18 22:52:08 tSWbEDXL
すごく綺麗で、頭が良くて、怒ると怖くて、笑うとかわいくて、負けず嫌いで、意外と照れ屋で、何よりすごく優しい。
そんな木下さんを、僕は……僕は!
「僕は……優子さんのことが、好きなんだ!」
「…………吉井君!」
目の前にいた木下さんが勢いよく抱きついてきた。しっかり受け止めて背中に手をまわす。
「ホントに、ホントにアタシでいいの?」
「うん、木下さんじゃなきゃいやだよ!」
「ありがと……ありがとう。アタシも明久君のこと……好きだよ」
抱きしめる腕に力を加える。木下さんは顔をあげて、涙のせいで少しだけ赤くなった瞳でこっちを見つめて―
「今ならもういいよね……? キス……して?」
「……うん」
「…………んっ」
僕は初めて自分の意志で、好きな女の子にキスをした。

「ね、ねえ木下さん、そろそろ離れたほうが……」
「い・や・よ。このくらいはいいじゃない、恋人なんだし」
図書館からの帰り道、木下さんはずっと腕を絡めてきている。その……柔らかい部分を意識しちゃって大変なんだけど離してくれる様子は無い。
「で、でも誰かに見られちゃうかもしれないし」
こんな状況をFクラスの奴らに見られたら、どんな酷い目に会うか分からないし……。
「……ふーん。吉井君はアタシなんかと付き合ってるの知られたくないんだ、そうなんだ」
「なっ、そんなわけないよ! むしろ僕にはもったいなくて、みんなに自慢したいくらいだよ!」
「ありがとっ! それなら腕組むくらいいいわよねっ」
は、ハメられた……。でも、僕も嬉しいからいっか。
「そうだ、木下さんに頼みたいことがあるんだけど」
「あら、何かしら?」
「えっと、これから先も勉強教えてほしいんだ。来年の振り分け試験に向けての」
「うん、もちろんいいけど……ふーん、振り分け試験ねぇ。何か目標でもあるのかな?」
くぅ……、絶対分かってるくせに……。もう、知るか!
「せめて……来年くらいは木下さんと同じクラスになりたいから。もっと木下さんと一緒にいたいんだ」
すると、少しだけ木下さんも顔を赤らめて、嬉しそうにしてくれた。
「それなら、今までよりビシビシやるわよ? 絶対にAクラスになってもらうんだからね?」
「うん、頑張るよ」
「ふふ、その意気よ」
きっと大丈夫。木下さんとならきつくても耐えられるよ。

810:終章 後編
10/06/18 22:52:55 tSWbEDXL
「あ、ところで聞きたいことがあるのよね」
「うん、何?」
「えっと、アタシは初めてだったんだけど……、吉井君はどうなのかな、って」
「どうって、何が?」
「その、…………キス、が」
……察しろよ僕! 二人揃って赤くなる。でも、キス……か。そういえば……。
「えーっと、あの、あるって言うのか……むしろ、その」
しどろもどろになる僕を見て、木下さんは一気に不機嫌そうな表情になって……。
「ふーん、あるんだ。そうよねー、吉井君はモテるもんねー。前に誰かと付き合ってたとか?」
「ちっ、違うよ! モテてなんかないし、彼女がいたこともないよ! あれは、勘違いで……その」
「へー、じゃあ付き合ってるわけでもない女の子とキスしたんだ。アタシの時は拒否したのにねー」
「いや、あの時とは状況が違って、なんていうか、とにかく違うんだよ!」
だめだ、この誤解だけは何としても解かないと。
必死で言葉を探していると、木下さんが目の前に立って、両手で僕の顔を固定してきた。
「何回?」
「へ?」
「だから、何回したの? キス」
「い、一回だけだよ! あれは、ほんとに勘違いで……ん!」
「んっ…………」
訳も分からぬ内に唇を奪われた。一度目より少し長く唇が触れ合って、離れるのを名残惜しく感じる。 
「これで二回目だから……、アタシが一番よね?」
そういうこと、か。―嬉しい。木下さんの気持ちがほんとうに嬉しくてたまらなくて、思わずそのまま抱きしめた。
「絶対、絶対間違いなく、木下さんが一番で、誰より大好きだよ」
「……うん!」
大好きな人と気持ちが通じて、こうして抱き合えて……。告白して本当に良かったって、心の底からそう思えた。

811:終章 後編
10/06/18 22:55:06 tSWbEDXL
エピローグ

さて、今日は日曜日。秋晴れの空の下、僕は…………全力で走っていた。
「なんで、こんな時にかぎって寝坊しちゃうんだ僕は!」
木下さんに告白して恋人関係になってから今日で三日目、……まだ二日しか経ってないなんて思えないな……。

テスト明けの金曜日、校門をくぐった瞬間にFクラスの連中に取り押さえられて、有無を言わさず有罪判決&拷問三昧で、朝からボロボロになった。
それにしても……皆知ってたってことはつまり、(僕は誰にも言ってないから)木下さんから聞いてFクラスに広めた人物がいることになるよね……。
木下さんからその話を聞ける人で、尚且つFクラス所属……唯一の味方に裏切られた気分だ。
更に、その後には美波と姫路さんによる尋問が待っていた。
二人とも、まさに根掘り葉掘り聞いてきた。僕の話なんておもしろいのかな? まあ女の子は恋愛話が好きだって言うからね。
でも最後に二人揃って『私(ウチ)、まだ諦めません(ない)から!!』って言われたんだけど……どういう意味だったんだろう。
その時雄二は呆れた目で、何故かそこに居た霧島さんは出来の悪い子供を見るような目でこっちを見ていた。
……ホントに何だったんだろう?
お昼休みには木下さんが教室まで誘いに来てくれて、一緒に屋上でお弁当を食べた。しかも! なんと木下さんの手作り弁当!
何度か料理を教えたことはあったけど、正直こんなに短期間で上手くなっているとは思わなかったよ。
卵焼き、マカロニサラダ、ミニハンバーグなんかのおかずがあって、ご飯は炒飯にしてあった。
僕が教えたメニューを、お弁当として作るために何度も練習したらしい。なんていうか……こんなに幸せでいいんだろうかって気さえしてくるよ。
そのうえ……お互いに卵焼きを食べさせあったりもしたんだよね。さすがにかなり恥ずかしかったなぁ……。木下さんも顔を赤くしてたしね。
その後、教室に戻ったら……屋上での行動を監視カメラに押さえられていたみたいで、本日二度目の拷問を受けるはめに……これじゃ体が持たないな……ははは。


さて、本日は日曜日。普段より静かな駅の近くで、アタシは人を待っていた。
「待ち合わせの時間過ぎてる……、もう、寝坊でもしたのかしらね」
今日はアタシたちにとって初めてのデート。遅れている恋人の姿を探しながら、今日の予定を決めた時のことを思い出していた。


テストが終わって、週末に入った土曜日。テスト前までと同じように吉井君の家を訪問した。
新たな目標を掲げた吉井君の頼みを了承して、今までと同じ週三日の勉強会を続けることになった。
吉井君は今まで以上に集中して勉強に取り組んでいた。……その横顔に見惚れてたのは秘密にしておこう、うん、それがいいわ。
振り分け試験まではあと半年程。それまでにかなり成績を上げなきゃいけないけど……きっと大丈夫、吉井君ならできるはず。
そうなって来年、吉井君と同じクラスで過ごせるなら……どんなに楽しくなるだろうかと想像して心が弾む。アタシも頑張って教えなきゃね。
あ、あとやっぱり二人きりでいるのは緊張しちゃうのよね。まあ、今までもそうだったんだけど……。
でももう恋人同士なんだし……、何があってもおかしくないわけだし……、いろいろ考えちゃってやっぱり冷静でなんかいられないみたいだわ。
それに実際、休憩の時とか終わった後とかには寄り添って座って触れ合ったり……目線が合って、そのまま……キスしちゃったりしたし……。
あ、でもそれだけよ!? 正直、あの時のアタシは本当に混乱してたみたい。今じゃあんな大胆なことはとてもできそうにないよ……。
いっそ吉井君からきてくれればな……って、やっぱナシナシ! 今はすごく幸せだし……うん、しばらくはこのままでもいい……かな?
そのあと、帰り際に今日の事を提案してみた。
テスト後とはいえ気を抜けないのは確かだけど、適度な息抜きは必要だしね。……それに、ちゃんとしたデートをしてみたかったし。
吉井君も、勿論とばかりに了承してくれて今日の予定が決まったわけ。

812:終章 後編
10/06/18 22:56:05 tSWbEDXL
あっ、来た来た。うーん十五分遅れってところね。
「きっ、木下さんごめん。その、つい寝坊しちゃって……」
ふふ、ほんとに寝坊だったのね。今日が楽しみで眠れなくてとかだったら……さすがに自惚れすぎね。
「もう、せっかくのデートなのに遅刻なんて……」
そんなに怒ってはいないんだけど、ちょっと機嫌悪そうにしてみる。待たされたのは事実だしね。
「ご、ごめん。そのかわり何でも言うこと聞くから……」
そんなに簡単に人権を売り渡していいんだろうか。そもそも吉井君にして欲しいこと……ま、まあいっぱいあるけどここじゃあね……。あ、そうだ。
「じゃあ、お願いがあるんだけどいいかな?」
「あ、うん。何かな?」
付き合いはじめてたったひとつだけある不満をこの機会に直してもらおう。
「その、付き合ってるのに『木下さん』なんて呼び方は堅すぎないかなって思うんだけど……」
人のこと言える立場じゃないけどね。アタシも一度しか名前で呼べてないし。
「そ、そっか、なんか慣れちゃってて」
「ふふ、そうかもね。でも変えてくれたら嬉しいかな」
「うん、わかったよ。えっと……優子さん」
うん、やっぱりこの方が嬉しい。嬉しいんだけど……もう少し欲張ってみようかな。
「うーん、さん付けはちょっとねぇ。アタシたち同い年なんだし呼び捨てでいいのになー」
「うえっ!? ちょっとそれはハードルが高いんじゃないかと……」
「そんなことないない。はい、どうぞ?」
あ、困ってる困ってる。ホントは名前で呼んでくれただけで十分なんだけど……どうせならもっと嬉しいほうがいい。
「ほらほら、電車もうすぐだし遅くなっちゃうよ?」
うーん、ちょっと無理かな? まあ仕方がない―
「……よし、じゃあ行こうか、優子」
凄い、吉井君顔真っ赤。かく言うアタシもかなり危ないんだけど。うん、いい、これはいいわね……。
「うん、ありがとね! 吉井君!」
「って木下さんはそのままなの!?」
あ、また元に戻ってるわよ?
「だって吉井君が言う事聞くって言ってくれたのよね?」
「そ、それはそうだけど、その……」
ああ、吉井君といるだけで本当に楽しい。今も……これからも、ずっとこうしていられたらいいな。
でも神様になんて願わない。努力するのは自分、そして誰よりも感謝したいのは……。
「ね、ちょっと耳貸して」
「え? う、うん」
そういって肩を少し落としてくれた吉井君の耳元に口を近づける。

「ありがとう。大好きだよ、明久!」

<終>

813:終章 後編
10/06/18 22:58:38 tSWbEDXL
以上で、「勘違いから始まる恋もある」 全編終了です。
スルーしたことも多いですが(主にメインヒロイン達) あくまで明久と優子の物語ということでご容赦を。

原作などで優子さんの出番が少なめなのが悲しくて
かわいい優子さんが書きたい一心で、初めてSSに挑戦してみました。
拙い文章&表現でしたが、読んで下さった方に少しでも優子さんの魅力が伝われば嬉しいです。

GJをくれたり、感想を書いてくれた方々、励みになりました。本当にありがとうございました。
なにか思いついたらまた書くかもしれませんので、その時はよろしくお願いします。
それでは、また。

814:名無しさん@ピンキー
10/06/18 23:09:02 EPDcsgGJ
リアルタイム遭遇ktkr!
やべぇ甘すぎて脳味噌とろけそうw
近いのに遠くに感じてる二人に悶々としたけど、最後良かった、うん。
長編に加えハイクオリティなものを投下してくれた>>813氏に盛大なGJ! そして乙でした!
次回があるなら期待してます。

815:名無しさん@ピンキー
10/06/18 23:39:31 xNzbxJ8o
>>813
素晴らしい!! いいねぇ、両想いってのは( ̄▽ ̄)
ここまで完成度の高いSSは久し振りに読んだ

816:名無しさん@ピンキー
10/06/19 00:08:33 AXdMuuYF
す…凄すぎる。
かつてこんな完成度の高い優子SSを読んだ事があるだろうか?
本当にお疲れ様です職人様。次回作を期待しております。

817:名無しさん@ピンキー
10/06/19 00:08:57 4xwAIeIt
もう言葉はいらんやろ

818:名無しさん@ピンキー
10/06/19 00:34:58 6uS4AwWW
>>813
久しぶりにいい物を読ませて貰ったよ
ありがとう!

819:名無しさん@ピンキー
10/06/19 00:41:02 gGySEJQA
とてもよかったです!

また期待していますよ^^

820:名無しさん@ピンキー
10/06/19 00:47:17 ZWKRAb3s
>>813
俺はバカだから、良い言葉が思い付かん
だから、一言こう言うんだ
GJでした!

821:名無しさん@ピンキー
10/06/19 02:50:17 rOEECby3
GJ以外に言葉は無い!

だが欲を言うならエロシーンも読みたかった…


822:名無しさん@ピンキー
10/06/19 15:13:08 4qxPIDps
ここまでクオリティ高いSS初めてです!
SS書くの初めてってw
その才能を俺に分けてくれw

823:名無しさん@ピンキー
10/06/20 01:59:40 SfpJjk3k
優子かわいいよ優子

また気が向いたら書きに来てください

824:名無しさん@ピンキー
10/06/20 02:00:56 52SjDcVm
癒されました!

825:名無しさん@ピンキー
10/06/20 20:42:46 p6RfaFt7
こんな良作が投下されても保管庫が更新されないんじゃあなぁ……

826:名無しさん@ピンキー
10/06/20 21:18:39 piuTasRn
新しい保管庫を作ったらどうだ?

827:名無しさん@ピンキー
10/06/21 16:39:48 8zoDuApT
ナイスアイディア!誰か作ってくれ
…俺パソコン苦手なんだ。
まぁ、誰でも更新できる保管庫にしてほしいかな。

828:名無しさん@ピンキー
10/06/21 19:27:27 It0CHb5m
誰にでも、ってしたら荒らされたりしないだろうか?
俺はもしもしだから何もできないけど……

829:名無しさん@ピンキー
10/06/21 20:08:22 45dLazp8
荒らすとか誰得だよ
誰でもできるようにしたら、親切な人が更新してくれんじゃない?

830:名無しさん@ピンキー
10/06/21 21:14:54 WD7GSNVZ
人任せな意見で悪いが作ってくれる人次第じゃね?
その人が忙しくて更新までは大変って言うならフリーにしてもいいだろうし
まあ、そもそも作ってくれる人がいればの話だが

831:名無しさん@ピンキー
10/06/21 21:17:51 45dLazp8
URLリンク(wiki.livedoor.jp)

できたてほやほやです。
皆さんで更新しながらまったり伸ばしていけばいいんじゃないかな?

832:名無しさん@ピンキー
10/06/21 21:58:07 It0CHb5m
なんという親切さん
乙です

833:名無しさん@ピンキー
10/06/21 21:59:41 IZGNIgUH
ありがとう!

834:名無しさん@ピンキー
10/06/21 22:23:37 45dLazp8
前の保管庫は3問目の「僕と雄二と召喚大会」から止まっていたので、そこからまとめるつもりです。
作品が投下されましたら、私のほうでまとめますが、なかなか更新されない場合はできる人がしてくれれば有り難いです。

なんかいろいろと勝手に決めちゃいましたが、大丈夫ですかね??

835:名無しさん@ピンキー
10/06/21 22:42:13 WD7GSNVZ
>>834
乙なんだぜ!
更新方法も問題ないと思うし、善意でやってくれた人に文句言う人はいないだろさ

836:名無しさん@ピンキー
10/06/21 22:44:10 LNlhkpIV
読んできたけど召喚戦争途中だったね

837:名無しさん@ピンキー
10/06/21 22:44:45 LNlhkpIV
戦争じゃなくて大会だった

838:名無しさん@ピンキー
10/06/21 22:48:38 It0CHb5m
とりあえずsageてくださいな

839:名無しさん@ピンキー
10/06/21 23:24:06 DB6Dzwk2
vipで明秀のSSが投下されてるけどエロすぎわろた。

840:名無しさん@ピンキー
10/06/21 23:36:45 1TRUjki6
乙です感謝です

841:名無しさん@ピンキー
10/06/22 20:06:53 0HXw8XBW
保管庫編集中にふと思った。
前スレ734の明久×玲のSSを見たら、言葉使いっていうか、一人称が「姉ちゃん」になってたり
した場合でも、そのまままとめたほうがいいのか、直してまとめたほうがいいのか、どっちがいいんだろ?
このSSに限らずの話になっちゃうんだけど……

842:名無しさん@ピンキー
10/06/22 21:07:19 WVBM4uno
誤植は直した方がいいと思うぜ?

843:名無しさん@ピンキー
10/06/22 21:17:45 0HXw8XBW
了解です。
まったり更新していきますので、よろしくお願いします。

844:名無しさん@ピンキー
10/06/23 01:01:29 UdY097px
>>841
無理しないほうが。エロパロまとめはそこまでやってないよ。
思った以上に労力あるから。

845:名無しさん@ピンキー
10/06/23 17:53:11 QVgnpMkD
明久×葉月のほのぼのを書いてたはずがいつの間にか鉄人の話になってた
誰か助けて

846:名無しさん@ピンキー
10/06/23 21:15:56 KLDXg0dg
SS中の人称とかは直さなくていいだろ
手間がかかり過ぎないか?
元の投稿が(間違ってるとしても)そうなってるならそのままでいいと思うんだが。
もちろん気合で直すって人がいれば嬉しいには違いないけど。

847:名無しさん@ピンキー
10/06/24 05:12:49 EXczZYpA
鉄人は使いやすい上にキャラが濃いからなw

848:名無しさん@ピンキー
10/06/26 00:03:55 5pgIH1fB
たまには、服でも着るか

849:名無しさん@ピンキー
10/06/28 01:09:02 7IKWCPxd


850:名無しさん@ピンキー
10/06/28 01:10:40 2t46xLLx
葉月でエロとはありなのか

851:名無しさん@ピンキー
10/06/28 01:20:09 oJLJ0c9+
全く問題ないさ
まあ、注意書きは入れた方がいいかもしれんが

つーか、PCの規制きついわ……

852:名無しさん@ピンキー
10/06/28 22:27:10 d6xydO/x
>>850そういや見たことないな
キャラ自体の人気はありそうなのに

853:名無しさん@ピンキー
10/06/29 00:54:12 1XPYpRJ0
ふむ、実刑は三年くらいで済みそうだな

854:名無しさん@ピンキー
10/06/29 13:46:01 fa4Jz5OI
まあとりあえあずアニメ二期決定オメ

855:名無しさん@ピンキー
10/06/30 22:40:33 tyVyJQ/G
葉月単体で考えるからダメなのか。
よし、なら姉妹丼にすればいいんだ

856:名無しさん@ピンキー
10/07/03 17:48:13 7Mn7Goh8
ほしゅ

857:名無しさん@ピンキー
10/07/03 20:29:20 MEHbHX3S
姉妹丼誰か頼む‼

858:名無しさん@ピンキー
10/07/03 20:32:24 MfDgmIOB
>>857
葉月単品なら……

859:名無しさん@ピンキー
10/07/04 20:33:31 afpB8Q3+
したらばのなりきりスレがエロパロ化してるんだが
それも明久×優子
誰か編集して保管庫に頼むw

URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

860:名無しさん@ピンキー
10/07/04 20:46:26 CH4KErHY
勝手にするのは良くない


861:名無しさん@ピンキー
10/07/05 11:20:37 CshIuQxE
事の始まりは少し前。
あれはそう、確か僕が美波の好きな人……もとい好きな動物を知ってしまった時だ。
まあ色々あってあの時の美波の片思いの相手が誤解である(と恥ずかしがって美波は言い張っている)と分かったわけだけど、それでもあの事件は何人かの知り合いに大きな被害をもたらした。
美波に事の真相を聞こうとした新聞部の部員さん、美波の片思いの相手に似ている鉄人に突撃レポートを試みた新聞部の部員さん。
そして、僕の隣を歩いている少女に。

――

音をたてないように慎重に慎重に自宅の扉を開け、そこに誰も居ないのを確認して胸をなでおろす。
どうやら最悪の事態である玄関で出かける寸前の姉さんとばったり鉢合わせ、なんてのにはならなかったみたいだ。
この状況を姉さんに見られるのはマズい。もの凄くマズい。
さらにもしこれから僕がやらんとせん事が姉さんにばれれば、それこそまさにこの場で未来に今生の別れを伝えなきゃいけないレベルでマズい。
僕は少々元気を取り戻した彼女の手を引き、家の中に入るように促す。
すると彼女は少し照れくさそうにしながら靴を脱ぎ始めた。

第一戦:不純(?)異性交遊を隠し通せ
勝利条件:姉さんに見つからずに仲間ユニットとともに自室に辿り着く
敗北条件:姉さんに自機もしくは仲間ユニットが発見される

僕は頭の中のチェックリストに大きく『達成!』と赤字で書き、これからどう動くべきかを考えながら自室を目指す。
この家は見た目以上にシンプルな設計の為、何処かに隠れて僕を脅かそうとしている姉さんとばったり! なんてのはまず有り得ない。
考えられるのは何処かの部屋に入っている姉さんと出くわす可能性だけど、さっさと部屋に行けば会う事もないだろう。
なんて事を考えながら、僕はドアに手をかけ。

「あら、アキくん。今日は早かったんですね」

交通事故級の急展開で第一戦完全敗北となった。

――

「言いたい事は分かりました」

頭で地面がえぐれるんじゃないかってくらいに地に頭をこすりつけて許しを乞う。
相手は姉さんだ。こっちの感情論なんか通用しない。その上常識も通用しない。
だって常識のある人は弟の部屋でまるでそれが当たり前のように下着姿でごろごろしてたりなんてしないはずだ。
今の僕に出来るのは、自分自身の存在を賭けた土下座で姉さんに彼女に攻撃をするのだけはやめてもらうという事だけ。

「つまりアキくんは、自分はどうなってもいいからその子を少しの間うちで預からせてほしい、と」
「預かるっていっても今から少しの間遊ぶだけだからさ! ね!?」
「…………一応聞いておきますが、アキくんは源氏物語を読んだことがありますか?」

源氏物語って言うと確か……勉強した気がする……なんだったかな、確か……そうだ!!
成程、姉さんの言いたいことが分かったぞ。確かに勉強した『源氏物語』には女の子と一緒に居るシーンがあったはずだ。
勢いよく顔を上げ、宣言する。

「大丈夫。僕は葉月ちゃんを抱えて海に飛び込んだりしないよ!」

満面の笑みでそう返すと、姉さんは下着姿のまま膝の上に葉月ちゃんを乗せてほほえましい顔をしてこっちを眺めていた。
どうやら正解みたいだ。やっぱり、勉強しておいてよかった。

「アキくん、それは平家物語ですよ」

……あれ? 違った?

――

862:名無しさん@ピンキー
10/07/05 11:21:37 CshIuQxE
なぜ僕が葉月ちゃんをうちに招待したかと言うと、話は今日の帰り道まで戻る。
頑張って勉強したが結果が(残念な事故のせいで)悪かったため、一人暮らしは絶望的だろう。
そんな悲しい現実から逃げるために、僕が気晴らし紛れに普段とは違う帰り道で帰っていた時だった。

「葉月ちゃん、なにしてるの?」
「……あ、バカなお兄ちゃん……」

いつかのぬいぐるみ屋さんの前で、浮かない顔をした美波の妹の葉月ちゃんを見つけたのは。

「どうしたの? また何か欲しいものでもあるの?」

葉月ちゃんは静かに首を横に振った。どうやらまた一万円作り出す必要はないらしい。
じゃあなんだろう。ぬいぐるみ屋さんで浮かない顔をする理由なんて他に考えられないけど……
もしかしてぬいぐるみ屋の店員さんに一目惚れしたとか?
それならこの表情も頷ける。恋煩いだろう。
しかしこれ以上葉月ちゃんに暗い顔をされているとこっちまで悲しくなってくる。ここはひとつ、背中を押してあげるのも優しさって奴だろう。

「大丈夫だよ。愛があれば歳の差なんて関係ないからさ!」
「ふぇ? バカなお兄ちゃん葉月とお付き合いしてくれるですか?」
「いやいや、僕じゃなくて。きっと真剣に話せばぬいぐるみ屋のおじさんも分かってくれるはずだよ!」
「……葉月、おじさんに何も話す事ないですよ?」

あれ、会話がかみ合ってない。
もしかして僕何か勘違いしてる?

「えっと……葉月ちゃんは何でここに居るの?」

――

どうやら僕は珍しく明後日の方向に勘違いしてたみたいだ。葉月ちゃんの話を聞く限りでは事の顛末はこんな感じらしい。
美波の大切な物を葉月ちゃんが勝手に自分の部屋に運んでいて、それが美波には気に食わなかった。
なんだか最近美波のご機嫌が斜めだったのもたぶんこのことが原因なんだろう。
それにしても葉月ちゃんも可哀相に。美波もそんな事で怒らなくてもいいじゃないか。
葉月ちゃんがなにを持って行ったかは知らないけどそこは年上として、姉として、許してあげるのが当然だろう。
少なくとも僕は姉さんに隠しておいたHな本や自分の下着類をごっそり持って行かれても奪い返そうとして返り討ちにあうくらいで、へそを曲げて姉さんに当たる様な事はしてない。
逆に僕の部屋に姉さんの下着や女物の服ががっつり置いてあっても怒るようなことはしない。やるとしてもせいぜい丁寧に畳んで『落ちてましたよ』という書き置きと一緒に部屋に返しておくくらいだ。

「……怒ってるお姉ちゃん、見たくないです」

葉月ちゃんが俯いたままぽつりとつぶやいた。
いつもがすごく仲がいい分、喧嘩してしまうと普通の姉妹以上に気まずいんだろう。心なしかトレードマークのツインテールも沈んで見える。

今にも泣き出しそうな葉月ちゃんを見ながら考える。
このまま彼女を放っておくなんて事は出来ない。
『そろそろ夜になろうって時間帯に小さな女の子を放っておくのは危険』という事もあるし、『彼女に元気になってほしい』っていうのもある。
ただ、彼女を無理矢理美波の家に引っ張って行ったって逆効果でしかないだろう。
となると、出来る事は決まっている。
僕は肩を落としている葉月ちゃんの頭をそっと撫でながら、出来る限りの笑顔でこう言った。

「よかったら、うちに来る?」

驚いたようにこちらを見上げる葉月ちゃんの顔が、夕日に照らされていつもよりも赤らんで見えた気がした。

863:名無しさん@ピンキー
10/07/05 11:23:25 CshIuQxE
――

何度も何度も頭を下げて頼みこんだ甲斐あってか、姉さんは驚くほどすんなりと葉月ちゃんがうちに居ることを承諾してくれた。
不純異性交遊にならないのかと問いかけてみたところ、姉さんは
「アキくんがこの子をムラムラして我が家に連れこんだというなら不純異性交遊として判断しますが……」
と少々眠そうな目で答えた。
それなら心配ないだろう。
僕が彼女を連れ込んだのはあくまで自分の良心に従ったまで。その行動には一片の下心もない。
まあ僕にも自分の命の大切さと、美波の怖さくらい身にしみて分かってる。
今まで十数年かけて培ってきた生存本能に従えば葉月ちゃんに手を出すなんて暴挙に出られる筈がない。

「それじゃあ心配ないですね。今回は特例として許可しましょう」
「ホントに!? ありがとう姉さん!! よかったね、葉月ちゃん!!」
「はい!! 葉月も嬉しいです!!」

葉月ちゃんが土下座の状態から正座の状態に姿勢を変えた僕に抱きついて来る。
嬉しそうな葉月ちゃんと僕の方を見ていた姉さんの目がスッと細くなるのが見えた。
あれは……何かを企んでいる目だ。なんというか、抱きついた葉月ちゃんを見て、何かをひらめいたというような目でこちらを見据えている。

「二人を見ているとなんだか姉さんも嬉しくなってきました」

まずい。
おそらく姉さんは嬉しくなったからと言って葉月ちゃんごと僕に抱きつくつもりだ。
姉さんがソファから腰を上げるのが見える。
姉さんは今下着姿。こんなシーンをもし葉月ちゃんに見られて、その上美波に喋られたら……僕の人生は、終わるだろう。

「ごめん、葉月ちゃん。ちょっと我慢してね」
「へ? あ、バカなお兄ちゃん!?」

条件反射とも言えるほどの速さで葉月ちゃんを抱えあげ、僕は一気に駆けだした。
「あ、待って下さいアキくん。姉さんともハグを……」なんていう姉さんの声には気付かないふりをして。

――

どうやら今日の姉さんは追ってきてまで僕に抱きつこうとする気はないらしい。
よかった。もし追われたら葉月ちゃんを抱えたまま雄二の家まで全力疾走する事になってただろう。
大きく息を吐き、抱きかかえていた葉月ちゃんの方を確認する。
どうも気付かないうちに力を込め過ぎていたようだ。葉月ちゃんは顔を真っ赤にして僕の方をきつく抱き返してきていた。
慌てて葉月ちゃんをベッドに降ろしてあげる。

「ごめん、苦しかったかな?」

よほど苦しかったらしい。葉月ちゃんは顔を真っ赤にしたまま二三度首を振るだけだった。
悪い事したなぁ。

さて、姉さんの許しも貰ったことだしこれからどうするかを真剣に考えよう。
一番の目標は葉月ちゃんと美波の仲直り。
二人が仲直りできたら葉月ちゃんが落ち込む事もないし、僕があれこれ考えなくてもよくなる。

「……それができれば苦労しないか」

それが出来ないから二人の関係が悪くなってるわけだし。
やっぱり今は様子見が一番かな。
でもいつまでも葉月ちゃんが帰らなくて美波が心配しちゃいけないから、一応、美波にメールだけは送っておくか。
今度はいつぞやの合宿の時みたいに誤解を生まないように十分に注意して。
それから先はまあ、なるようになるだろう。

864:名無しさん@ピンキー
10/07/05 11:24:52 CshIuQxE
まず宛先を確認する。
今回は美波に僕から送るんだからここで問題が生まれる事はない。
次に本文で何故メールを送ったかを明確にして。
そして……そうだなぁ、後は葉月ちゃんが遊ぶのに飽きて家に帰りたくなった時に迎えに来てもらおう。
少しの間推敲をして、出来あがった本文がこれだ。

『葉月ちゃんは預かってます。
 遊ぶのに飽きたら返すので迎えに来てください』

こんなかんじでいいかな。
漢字の間違いがあるかもしれないけど意味の取り違えは無いはずだ。
送信っと。
ちゃんと送信出来たのを確認して、葉月ちゃんの方に向きなおす。
葉月ちゃんは慣れない部屋で落ち着かないのか、僕の枕に顔をうずめて周囲をキョロキョロとせわしなく見まわしていた。

「お待たせ。何して遊ぼうか?」
「えっと、葉月バカなお兄ちゃんのお話聞きたいです!!」

ツインテールがぴょこんと跳ねる。だいぶ元気が戻ってきたみたいだ。よかったよかった。
でも、お話かぁ。あの美波の妹とは思えないほどにかわいらしいお願いだ。
こういう時は何を話すべきなんだろう。
さすがに秀吉がいかに可愛いかとかを語っても葉月ちゃんにはつまらないだけだろうし……

「あ、あの……バカなお兄ちゃん」
「ん? なに?」
「お膝の上に座っても……いいですか?」

おずおずと葉月ちゃんが僕に尋ねてくる。
さっきから何か気にしてるみたいだなぁと思ったらそんなことだったのか。
でも、考えてみたら葉月ちゃんのこの申し出も不思議はない。
美波があの日以来機嫌が悪いとすれば、葉月ちゃんは一週間くらい美波と一緒に居る機会が無かったってことだ。
葉月ちゃんだって小学生。やっぱり人とのかかわりが恋しいお年頃なんだろう。
とはいえ、やはり他人の膝の上に乗せて欲しいというのは恥ずかしい事らしい。
葉月ちゃんは部屋に入った時と同じくらいに顔を赤くしながら、僕の膝の上に腰を下ろした。

「えへへ」

そのまま、僕の胸に頭を預ける形で寄りかかってくる。
ふわりと髪が宙を舞うと同時に、甘いような爽やかなようないい匂いが僕の鼻腔をくすぐった。
……ハッ! いかんいかん!!
今不覚にも胸がキュンとしてた、葉月ちゃん相手に秀吉と同じ程の愛を抱きそうになったなんて美波にばれたら……
なんだろう、いい匂いを嗅いで気分がいいはずなのに冷や汗が止まらない。
葉月ちゃんに冷や汗がばれてないのが幸いか。

「バカなお兄ちゃん、あったかくて気持ちいい……」

やめて葉月ちゃん! 君の頭をそんなに僕の胸にこすりつけないで!!
ふわりといい匂いが僕の胸を高鳴らせるたびに、額から嫌な汗がドバドバと溢れだしてる。
出来る事ならすぐにでもやめてもらいたかったが、日向ぼっこ中の猫みたいな本当に気持ち良さそうな顔を見せられて、それをはねのける事ができるほど、僕は冷酷にはなれない。
もともと膝に座って良いよと言ったのは僕だし。
こんな事なら安請け合いなんてするんじゃなかったなんて後悔してももう遅い。
僕にできる事は、僕の胸の高鳴りを含めた物が葉月ちゃん経由で美波にばれないように祈る事だけだった。

865:名無しさん@ピンキー
10/07/05 11:26:30 CshIuQxE
話をする事もままならないそんな状況を打ち破ったのは、僕の携帯電話のコール音。
助かった! 地獄に仏とはこのことだろう、僕はすかさず傍に置いておいた携帯電話を拾って通話ボタンを押した。

「もし」
{アキィィィ!!! アンタ葉月になにしてるのよ!!!!!}

しまった!! これは罠だ!! 助けると見せかけて上手い事僕を絞首台の上まで誘導しやがった!!!
これは誰の仕業だ!? ……雄二か!? やっぱり雄二なのか!! いや、どうせ雄二だ、間違いない!!!
クソッ、雄二の奴め……あとで霧島さん宛に根も葉もない嘘メール送ってやるから覚悟しておけよ!

「な、なにもしてないよ!! 誤解なんだ!!」
{いい? 葉月に手を出したら死んだ方がいいって言うくらいの経験させるからね!!!}

駄目だ、この状況がばれたら死んだ方がいいって心の底から思う事になる。
なんとか誤魔化せないか……

{とにかく、葉月がそこに居るんでしょう? さっさと代わりなさい!!}
「ええ!? でも」
{いいから早く!!!}

本気の美波を僕程度が誤魔化すなんて出来るわけが無かった。
言われるがままに葉月ちゃんに携帯電話を渡す。

「誰ですか?」
「み、美波だよ」
「……」

葉月ちゃんは少し複雑そうな顔をして、僕から携帯を受け取って、美波と話し始めた。
どんな事を話しているのかはほとんど分からない。
聞き取れたのは『裸』とか『痛い事』とかの僕たちの間では起こり得ないだろう単語の数々。
そして『葉月で遊ぶ』という何とも不穏な文節が何度か。
そこから先は何も耳に入らなかった。
……マズい、美波は酷いくらいに有る事無い事吹き込まれてるみたいだ。
これは明日登校したら命が終わると考えた方がいいだろう。
一度でいいから秀吉とデートしたかったなぁとか、姫路さんに気持ちを伝えるべきだったなぁとか、走馬灯のようにやり残したことが頭の中をよぎっていく。
そんな僕を現実に引き戻したのは、いつの間にか膝から立ちあがっていた葉月ちゃんの一言だった。

「もういいです!! 今日は葉月お家に帰りません!!」
{え、ちょっと葉月}
「今日はバカなお兄ちゃんの家にお泊りするです!! お姉ちゃんのバカ!!!」

そう気持ちいいくらいに啖呵を切った葉月ちゃんは、僕に携帯電話を渡すと、そのまま僕の後ろで横になってしまった。
……なんかもの凄くめんどくさい方向に話が進んでる気がする。
とはいえ、このまま電話を切ってしまうわけには行かないだろう。
恐る恐る、電話口に出てみる。

「も、もしもし、お電話代わりました」
{……}

まさか電話で返事が返ってこないというのがここまで恐ろしい事とは……
通話は続いている。もしかして、美波は今、凶器を持って既に僕の所へ?
後ろに誰も居ないことを確認して、念のために部屋に鍵をかけてもう一回問い直す。

「もしもし、吉井です……美波様でしょうか?」
{……アキ}

今度は返事が返ってきた。どうやら最初よりは怒りが収まってきてるみたいだ。
これはうまく謝りつつ誤解を解けば、僕は生きて明後日を迎えられるかもしれない。

866:名無しさん@ピンキー
10/07/05 11:28:33 CshIuQxE
まず何と謝るべきだろうか。
素直に葉月ちゃんを家に呼んだことを謝るか、雄二のせいという事をアピールしながら謝るか、電話の前で土下座でもするか。

{ねぇ、アキ。さっきのメールなんだけど……}
「ごめんなさい!! 雄二が土下座で葉月ちゃんなんです!!!」
{……はぁ?}

いかん、テンパって変な事を口走ってしまった。

「いや、ごめん。えっと……メールが何?」
{えっと、もうこの際メールはいいや。なんでアキの家に葉月が居るのかだけ教えて}

僕は包み隠さず全てを話した。
葉月ちゃんと美波の事。メールの内容。今の状況全て、誇張もなく、隠す事もなく、全て。
僕が話で誤解が解けたらしく、美波は最後まで口をはさむことなく僕の話を聞いてくれた。ザマミロ雄二め。
そして、全ての話を聞き終わった美波は受話器越しにこうつぶやいた。

{……アキ、アンタ、日本語の使い方を最初から勉強しなおしさい}
「ええ、なんで!?」
{アンタのメールは毎回毎回紛らわしいのよ。……怒鳴ったりしてごめん、すぐに葉月を迎えに行くから……}
「……ま、待って美波!!」

ここで二人を会わせるのはおそらく最悪だ。
美波は写真の件から葉月ちゃんに対して少なからず悪い印象を持っているし、葉月ちゃんは美波に対して(電話で何を言われたかは知らないが)あそこまで激昂していた。
ここはお互いに一日距離を置いた方がいい。

「美波、今日さ、葉月ちゃんをうちで預かってもいいかな?」
{……なんで?}
「美波も葉月ちゃんも、今顔合わせると喧嘩しちゃうでしょ。一日離れて頭を冷やさなきゃ」

……返事はない。
僕の発言について考えてくれているのか、それとも僕の身勝手な申し出に怒りに震えているのか。

{………………ちょっとウチの両親と相談してみる。あとでこっちから電話するわ}

どうやら僕の熱意が通じたみたいだ。
通話は「それじゃ」という美波の一言を最後に通信が切れてしまった。
たぶんこれはアレだ。勝ち負けでいう大勝利。
大魔王美波の怒りは収まった、僕の人生はまだまだ続くよ! やったね秀吉!!
今生きている、これからも生きられるという事実を噛み締めながらベッドで横になっている葉月ちゃんの方に向かい直る。

「今日、うちに泊まる?」

葉月ちゃんは枕に顔をうずめたまま返事をしない。
よく見ると可愛い耳が真っ赤に染まっていた。……もしかして、泣いてるのかな。
無理もない。あれだけベッタリな美波にあそこまで言いたくなるほどの事を言われたんだ。
どうするべきか迷った僕は、とりあえず葉月ちゃんの頭を一度撫で。
「どうなるかは分からないけど、とりあえず用意はしておくね」
と言って、もしかしたら何処かでまだ僕に抱きつく機会を伺っているかもしれない姉さんを探すことにした。
一応葉月ちゃんを泊める許可を取っておかないと。

867:名無しさん@ピンキー
10/07/05 11:30:49 CshIuQxE
……居ない。
居間にも、姉さんの部屋にも、お風呂やトイレにも居なかった。
ほんの十数分の間に出かける用意を済ませて何処かへ出かけてしまったのだろうか?
でも何処に行ったんだろう。
冷蔵庫の中は満タンで買い足す必要無いし、仕事を始めたってのも無いだろうし……
だとしたらこの場合僕は誰に土下座すれば……じゃなくて。
何処に行ったんだろう。裏をかいて僕の部屋に居るとか?

――

一応部屋に帰って来てみたけどやっぱり居ない。
クローゼットの中やベッドの下みたいな昔姉さんが隠れていた場所も探したけど居なかった。

「お兄ちゃん、電話なってたですよ」

僕がポスターの裏にスイッチがないか探していると、いつの間にか起き上がっていた葉月ちゃんが枕を抱いたままそう教えてくれた。
美波からだろうか? 意外と早いなぁ。
葉月ちゃんから携帯を受け取って、ディスプレイに表示される物を確認してみる。

『着信:一件  留守電:一件 新着メール:一件』

着信は美波から、留守電も美波だ。そしてメールが姉さんから。
一件ずつ確かめてみるか。
まずは美波の留守電から……

{……あー、アキ? ウチだけど。
 お父さんやお母さんはキチンと面倒見てくれるなら泊まるのもいい経験だろうって。
 あとで着替え持っていくから。……なんていうか、その、ウチたちの事で迷惑かけて、ごめんね。じゃあ、またあとで}

やれやれ、こっちは上手くいったみたいだ。
さて、姉さんのメールは……

『from:姉さん
 本文:言い忘れてましたけど、姉さん今日から向こうに帰りますので。
    ちゃんと約束は守っておくんですよ?』

……
携帯を一回閉じて、開いて、受信メールを確認……

『from:姉さん
 本文:いい忘れてましたけど、姉さん今日から向こうに帰りますので。
    ちゃんと約束は守っておくんですよ?』

見間違いとかじゃないみたいだ。
そういえば今朝、荷造りをしてたっけ。
色々あったからすっかり忘れてた、そういえば帰るって言ってたなぁ。
となると、今日から十日間くらいが、僕の残された自由時間って事か。
今のうちに出来ることを出来るだけやって、悔いの無いように……

「バカなお兄ちゃん、どうしたですか?」

くるりと部屋全体を見回しながら今後の計画を考えていた僕の目が、葉月ちゃんを捕えた。

さてここで問題です。
吉井くんの家は明久くんと玲さんの二人暮らし。
そこに明久くんの知り合いの葉月ちゃんが泊まる事になり、丁度玲さんも数日家を離れることになりました。
これらが表す状況は?

          ~僕と葉月ちゃんと二人きりの夜・きっかけ編~
                                                  終わり

868:名無しさん@ピンキー
10/07/05 11:44:45 CshIuQxE
               次回予告

――
「バカなお兄ちゃん! 一緒にお風呂に入りましょうっ!!」
――
テッテレーとかテーレッテーって感じの音楽流しながら『ドッキリ大成功』と書かれた看板を持った美波が入ってきて僕を問答無用でぶん殴ってきたりして……
――
「いつもはお姉ちゃんと一緒にお風呂に入ってて、それで」
――
これはヤバイ、葉月ちゃんのぷにぷにとした柔らかさが直に僕の僕をむにむにと攻め立ててくる!!
いつもの賢者な僕なら我慢できただろうが、あいにく姉さんを気にして性欲の処理もままならなかった今の僕にこの攻めは紙やすりでじわじわと理性を削られているような物だ。
理性が全て削り取られれば、姉さんに殺されるか、美波に殺されるか、自分で死を選ぶか、どれにせよ死は免れないだろう。
僕は必死で甘い匂いと柔らかい感触のダブルコンボを切り抜ける方法を模索するが、今の二人は中サイズ程度のバウタブに一緒に入っているという圧倒的密着状態。
逃げ場は……無い。
――
「大きくなってる」
――
どうしてこんな時だけそんな記憶思い出すかなぁ!!? 僕が思い出したかったのはもっと別の、痛みの記憶なのにさ!!!
――
「えっと……前も、洗って欲しいなぁって」
――

             僕はようやく理解した。

               ここは、地獄だ。

            天国であり、地獄でもある。

              湯煙天国地獄だ!!

                                ―― 僕と葉月ちゃんと二人きりの夜・湯煙地獄編




                           (予告はイメージです。本文内容ともに開発中の為予告なしに変わる事もあります。ご了承ください。
                            また、続きなんて存在しない場合もあります。ご了承ください)



書き始めて分かったけど葉月ちゃんって話し方が分かりにくいよね
です付ければいいだけなのかと思えばです付けてない時もあるし
まあ正ヒロインなのに変わりはないけど

読んでくださった方が居ればありがとうございます
続きが出来ればまた今度

※補足説明※
玲さんが伝えたかった源氏物語での少女のシーン
・ご存知有名な源氏物語ヒロイン、紫の上の話
 光源氏に見染められ、祖母・北山の尼君の死後、紆余曲折の後に光源氏に育てられる事になった

アキちゃんが思い出した『源氏物語(平家物語)』での少女のシーン
・平家物語の終盤壇ノ浦の戦いより
 稀代の幼女こと安徳天皇(八歳)が側近に抱かれ海に入水した

知識が半端な為、間違ってたら申し訳ないです

869:名無しさん@ピンキー
10/07/05 20:36:03 f1+O0NLG
>>868
GJ!
葉月ちゃん可愛いな
しかし明久よ、毎度のことながら無意識にフラグ立てんなw

870:名無しさん@ピンキー
10/07/05 20:50:36 XWEB5SKY
GJ
明久よ、葉月に手を出したら四重の意味で人生が終わるから気をつけろ


871:名無しさん@ピンキー
10/07/06 04:03:13 57trVV6M
稀代の幼女w

872:名無しさん@ピンキー
10/07/06 04:04:20 +Iv+t3UJ
>>870
4回?何を言ってるんだお前は
このスレに潜伏中の全員が一回ずつ手を下すに決まってるだろ

873:名無しさん@ピンキー
10/07/06 04:17:25 My+R2icN
>>868
いやこれは素晴らしい。これは素晴らしい。
とりあえず挿絵の葉月ちゃんを確認してきたぜ。
ドキムネですな!

874:名無しさん@ピンキー
10/07/06 09:13:21 FMJYmeuz
>>871
何を言ってるんだ?
期待の幼女だろ?
まったく、興奮したからってF組みたいな間違いをしないように気をつけろよ?

875:名無しさん@ピンキー
10/07/06 23:51:09 HgihYpQs
幼女祭り会場はここですか?

876:名無しさん@ピンキー
10/07/07 20:47:54 qMNFk7pP
好きになったのがたまたま幼女だっただけでロリコンじゃないから大丈夫

877:名無しさん@ピンキー
10/07/08 21:14:19 6k0y/co8
>>876ロリコンは皆そう言うんだよ

878:名無しさん@ピンキー
10/07/08 21:43:15 WKeop8+f
生まれ立て
「あうー・・・」
「アキくん、ほら、いってみて」
「うー・・・あー・・・ーちゃ・・・いす・・・」
「ほら、もうちょっと、がんばってアキくん!」
「んー・・・あぅぁー・・・」
「だめ、か」
「あー・・・おー・・・おねーちゃ・・・だいすき・・・」
「・・・(ボッ)・・・ア、アキくんすごいっっ、ほら、つぎはこれいってみて!ねっ、ねっ!」

幼児時代
「おねーちゃん、あれは?」
「あれはひこーきです」
「おねーちゃん、あれは?」
「あれはヤシの木です」
「おねーちゃん、あれは?」
「あれはロリコンです」
「おねーちゃんは、なんでもしっててすごいなー」
「そんな事ないですよ、このくらい・・・」
「おねーちゃん、あたまなでなでするー」
「え?え?・・・・・・(ボッ)」

小学生時
「おねえちゃーん、おねえちゃーん、しゅくだいやってー」
「宿題は自分でやらなきゃダメですよアキくん」
「なんでー?」
「え・・・だって、自分で出来なきゃ、ほんとに解けた事にはならないし・・・」
「ぼくがとけなくても、おねえちゃんがとけるからだいじょうぶだよ!」
「全くもう・・・私だっていつまでも一緒ってわけじゃないんだからね?」
「ならずっとおねえちゃんといっしょにいるー」
「え・・・(ボッ)・・・し、仕方ないですねアキくんは、ほら、宿題貸して、やってあげますから」


こうして天才は育まれる

879:名無しさん@そうだ選挙に行こう
10/07/10 20:26:01 vde+D2RC
小学校時代
「……ゆうじ」
「ついてくんなっていってるだろ!!」
「……ゆうじ」
「ついてくんなってば!!」
「……ゆうじ」
「な、なんで全力で走ってるのに追いつけるんだよ……!!」

中学時代
「……雄二」
「ああ? ……翔子、お前どうしてここに」
「……お母さんが、雄二が喧嘩に行ったって言ってたから」
「……外にまだ結構な数の奴らが居たと思ったんだが……」
「……邪魔だったから、全員気絶させた」
「…………」

そして高校時代
「……雄二の全てを忘れないための完全記憶能力」
「……雄二を取り押さえるためのスタンガン」
「……雄二に付いていくために鍛え上げた肉体」
「……そして、雄二への愛」

こうして、最強のストーカーは誕生した

880:名無しさん@そうだ選挙に行こう
10/07/10 22:02:59 m0wCrcog
涙が止まらんな

881:名無しさん@そうだ選挙に行こう
10/07/11 16:56:33 OlurvnET
>>878-879
なんかこういうの良いな
お姉さん可愛いよお姉さん
GJです

882:名無しさん@ピンキー
10/07/12 20:10:10 Dc1KQdm8
>>868
GJ!

続きが楽しみ

883:名無しさん@ピンキー
10/07/14 01:59:50 EPcguxno
このスレって

①瑞希×美波          などの女性×女性(ただしババア長除く)

②瑞希×明久          などの女性×男性

③愛子×香美ちゃん      などの女性×中性よりの男性

④瑞希×秀吉          などの女性×中性

⑤アキちゃん×秀吉      などの完全中性同士

⑥香美ちゃん×秀吉      などの中性よりの男性×中性

⑦明久×秀吉          などの男性×中性

⑧雄二×明久          などの男性×男性

⑨鉄人×明久          などのムサい男性×男性

⑩鉄人×ジョルジーニョ    という地獄絵図

と十段階分けしたら、何処から何処までがセーフなの?

884:名無しさん@ピンキー
10/07/14 02:06:25 PbAdoJYI
どこまでかは知らんが、その区分けは絶対おかしい

885:名無しさん@ピンキー
10/07/14 02:34:42 AwlKkRkj
じゃあ7で。

886:名無しさん@ピンキー
10/07/14 02:37:59 piSL96uF
全部ありだろバカテス的に考えて

887:名無しさん@ピンキー
10/07/14 02:42:58 gjxTWV6R
⑧-⑩書けるもんなら書いてみろやコラw特に⑩は悪意と悪ふざけの産物だろw

888:名無しさん@ピンキー
10/07/14 17:09:42 p+vkfruN
たすてけ

889:名無しさん@ピンキー
10/07/14 21:59:37 JeuZZ98q
明日提出する調書が選考通ったら②でも書かせてもらうかな、少し暇になるだろうし。

890:名無しさん@ピンキー
10/07/15 07:40:33 9Ks5Y+RH
アキちゃん×明久が面白そう

891:名無しさん@ピンキー
10/07/15 08:59:25 3njc46br
>>890
召喚獣(等身大アキちゃんモデル)×明久
フィードバックを用いた史上最強?の自慰ですね

892:名無しさん@ピンキー
10/07/15 23:52:44 Eld5yZ1l
5,6,7

893:名無しさん@ピンキー
10/07/16 22:49:29 SFv8x5YR
>>887
エイト…ゼロ…ワン…

894:名無しさん@ピンキー
10/07/19 00:57:21 6ydmLgpl
愛子の実技は保健体育のスペシャリストな兄か姉に(本番なしで)叩き込まれた、という電波を受信した
これなら「処女だけど実技が得意」でも問題ないと気づいた瞬間、自分の才能に驚愕した

895:名無しさん@ピンキー
10/07/19 11:56:39 GLB1UECU
>>894
俺はお前の頭脳が恐ろしいぜ…

896:名無しさん@ピンキー
10/07/19 14:53:21 Yz1hku+h
>>894
その設定が本当でお姉さんだったら面白いものが見れそうだな
実技は愛子以上で知識はムッツリーニ並

ある日愛子とムッツリーニが保健体育のことで論議しているのを目撃するお姉さん

妹の彼氏かな?と思いちょっとからかってみるお姉さん

すると妹の彼氏と思われる少年は自分並の知識を有している

しかし実技に対してはとてつもなく耐性がない

面白くなってからかいがエスカレート

自分のポジションが奪われて最終的にムッツリーニまでもが奪われてしまうのではないか?と焦る愛子

そんな面白いものが見れそうだな(笑)
ムッツリーニは年上のお姉さん系に好かれるみたいだから無くはない筈だ!

897:名無しさん@ピンキー
10/07/19 23:00:53 6ydmLgpl
>>896
それもいいな
だがムッツリーニが明久ポジションになるのは気に食わん

というわけで、兄姉(オリキャラ)は出さずに設定だけ匂わせて書いてみようと思う
……エロまでたどり着けるといいな……

898:名無しさん@ピンキー
10/07/19 23:45:23 EIsDu5pd
>>896
オリキャラ登場上等だ!
さあ早く執筆作業に戻るんだ!

>>897
さあさあ!ばっちこーい!

899:名無しさん@ピンキー
10/07/22 01:24:51 Tf1kdu2F
三上美子さんの話をどうかひとつお願いします
俺の文才のなさに泣きたくなったので

900:名無しさん@ピンキー
10/07/22 19:23:14 FtXOwtNd
>>898
オリキャラは毛嫌いする人も居るから諸刃の剣

しかし保管庫はいつになったら更新されるんだ?

901:名無しさん@ピンキー
10/07/23 00:09:27 WtQUfYlC
>>899
>>887のご要望にこたえた後に挑戦するかも

902:897
10/07/24 23:34:52 bjik9LBA
ムツ愛途中までいくよー
原作未見なんで色々アレだと思うけど、スルーでよろしく。
タイトル「ボクと実技と初めての」

903:ボクと実技と初めての
10/07/24 23:35:32 bjik9LBA
「…………なぜここにいる」
「うん?いやぁ、噂のムッツリ商会の繁盛っぷりを見せてもらおうと思ってさ」
放課後の校舎裏。売り上げを確認していた彼の横に、さっそうと現れたのは、緑のショートヘアの少女。
飄々とした彼女に、彼は少なからず興味と警戒心を持っている。
というのは、彼女が彼と同じ分野で戦う同志であり、かつ、実践派を自称して彼を挑発するからに他ならない。
ともあれ、あまり積極的にかかわると、いろんな意味で血を見る、そういう相手なのだ。
「…………もう店じまいだ。帰る」
「えー、なんでさ?あ、ボクがいちゃ邪魔?まぁ、そりゃそうだよね。抱き枕買ってるとこなんて人にみられたくないもんね」
うんうん、とうなずく彼女の横で、彼はさっさと荷物を片づける。
「…………帰る」
「あ、ちょっと!待ってよムッツリーニくん!待ってくれないと……(ぴらっ)」
「…………!(ぶしゅううう)」

***

「…………それで、俺に何の用だ」
出血→輸血という一連の流れを終えて、彼はしぶしぶ彼女に向き合う形になった。
「うん。実はムッツリーニ君に聞きたいことがあって」
「…………何だ?」
彼の正面に座りこんだ彼女のスカートは短い。
意図しなくても太ももがかなり見えていて、その奥にあるのがスパッツだとわかっていても視線がいってしまう。
そんなことはお見通しなのか、彼女はあくまでニコニコと、さわやかに言い放つ。
「ムッツリーニ君の参考書(エロ本)の隠し場所、教えてくれないかな?」
「…………却下だ。」
立ち上がろうとする彼の袖をつかんで、彼女は食い下がる。
「もう、待ってってば!あ、わかった、じゃあボクも何かムッツリーニ君の質問に答えるからさ?それでいい?」
何がどうそれでいいのか。
つっこみたいところではあったが、彼女のハニートラップに引っかかる間もなく逃げようとした彼の頭に、ふと一つの疑問が思い出される。
実は彼も、彼女に聞こうと思っていたことがあった。
参考書の話はまた別としても、彼から彼女に接触する機会はそうないのだから、ここで聞くのもいいかもしれない。
「…………俺も、聞きたいことがある」
座りなおした彼にほっとした表情を見せて、彼女は先を促す。
「うん、何?」
「…………お前の言う実践の相手は誰だ?」
「え?」
あまりにもストレートな質問に、普段は余裕綽々で対応している彼女も、目を丸くする。
しかしそんな様子には構わず、彼は続ける。
「…………転校前の学校のことも調べたが、お前とそのような関係になっている男はいなかった。
 …………であれば、実践派という自称そのものが疑わしくなる」
あくまで敵情視察として、少し調べさせてもらった、と彼が付け加えて話を結ぶまで、彼女はぽかんとしていた。
「なんだ…………ムッツリーニ君、やっぱりボクに興味があったんだ」
「…………っちがう!」
拳を握りしめて否定する彼に、彼女はいつもの調子を取り戻す。
「アハハ、ムキにならなくていいよ。でもちょっと心外だな、僕の実技を疑われるなんて」
いたずらっぽく笑った彼女は、ほんの少し目を伏せて、いつもとは違う表情で続けた。
「証明、してあげようか。ボクの実技がホンモノだって」

***

904:名無しさん@ピンキー
10/07/24 23:37:02 4iKM/F8K
きたあああああああああああああああ

乙です

905:ボクと実技と初めての
10/07/24 23:37:29 bjik9LBA
いつもならあの一言で失血死していただろう彼が今ここにいるのは、神の僥倖としか思えなかった。
いや、実は彼女からの挑発で一度出血した後、また何かあると予想して、処置していたのが功を奏したのだが。
「じゃあ、いいかな?」
水泳部の更衣室。長いベンチにタオルを敷いて、そこに二人は並んで腰かけていた。
そうして彼の顔を覗き込む彼女は、間違いなく美少女だ。かわいい。上目遣いだけでも、それなりの破壊力はある。
「…………(ゴクリ)」
目の前で瞳を閉じる彼女は、油断ならないいつもの彼女とは別人に見える。
薄暗いせいか、鼻につく塩素の匂いのせいか、いや、まずこの距離の近させいか。
ともあれ彼の頭の中には、これまでに詰め込んだありとあらゆる保健体育の知識が渦巻いていた。
「…………」
まずは唇を重ねる。柔らかい。顔を近づけると、ほんのりと彼女の甘い体臭が鼻をくすぐる。
唇をついばむ。もちろん彼女もそれに応じる。舌を伸ばして唇を舐めれば、それにもすぐに応える。
軟体動物のような舌を絡ませ、口内を貪る。
「は、む……」
「…………ん」
実技であろうとなんだろうと、保健体育で彼女に負けるわけにはいかなかった。
というのはもちろん彼女も同じことで、自然と口付けという名の実技の応酬も長くなる。
ややもすればがむしゃらになりそうな彼と違って、彼女は時折、控え目に動く。それがまた男を深追いさせる。
その必死さに、彼女も少し押されてしまったのか、つと彼の服を引っ張って止めるよう促す。
ようやく口を離すと、どちらのものともいえない唾液が糸を引く。
「は……ムッツリーニ君、急ぎすぎ」
そういう彼女の瞳は熱っぽくて、また、ついた息も色っぽくて。
「…………っ」
もう一度口づけて、ためらうことなく腕をまわして身体を抱き寄せる。
一瞬驚きに震えた彼女も、彼の背に腕を回す。
密着した体は熱くて、そのうえ柔らかくて、これが女子の体か、とまだ冷静な部分が確かめる。
そして冷静な彼の体は、これまで蓄積してきた知識を実行に移す。
そっと背をなぞり、無防備な腿に指を這わせる。
ひくりと彼女が震えて、彼にすがりついて、その実践が成功していることを証明する。
するするとスカートの中に手を進ませると、彼女が口付けから逃げる。
けれどそれは、決して消極的なものではない。その証拠に、彼女はいつものように、男を挑発する笑みを浮かべている。
「ふふ、やっぱり、スパッツの中が気になる?」
そういえば最近、そんなことを彼の召喚獣が口走ってしまったような気がする。
というか要するに、それは本心だ。気になるもんは気になるのだ。と、開き直れる彼でもないのだが。
「…………そんなことは」
「いいよ。でも、脱がせにくいだろうから……」
徐に立ち上がって、彼女は自らのスカートの中に手を入れ、スパッツだけを脱ぐ。
「はい。これで問題ないでしょ?」
すとんと、再び腰を下ろした彼女は、まだまだ余裕と言った風情で笑う。
しかし、床に脱ぎ捨てられてスパッツは、なんだか妙に生々しい。
それでも彼は、『保健体育では負けられない』という、こういう場面にはイマイチ似合わない気合いでもって、彼女をベンチに押し倒す。
「わっ……だから、急ぎすぎって……んっ」
抗議しかけた彼女が息をのんだのは、服の上から胸をもまれたからだ。
彼の手は円を描くように彼女の胸をもみしだき、合間に先端をこねる。
常にノーブラと公言している通り、服越しに伝わる感触は肌そのものだ。
おかげで、ほんの少し触れただけで、胸の先端がぷっくりとたちあがって、服の上からでもよくわかる。
それを指摘するようにこりこりとつまんでやると、高い声が漏れる。
「んんっ……ぁんっ気持ちいい、よぉ、ムッツリーニくんっ……」
「…………っ」
見た目にはいつもどおり服を着たままだというのに、この淫靡さはなんだ。というか、その目つきはなんだ。
いや、それより何より、さりげなく彼女が膝を立てているせいで、魅惑のミラクルゾーンが見えそうだ。
というか、ちょっと下がれば見える。確実に見える。どうなんだ。ここは見るべきなのか、それとも脱がせるべきなのか。
ここで「見るためだけに」身体を離すのは流れをブッタ切るからナシなんじゃないか。
とはいえ見ないで脱がせるのはあまりにもったいないのではないか。どうすればいいんだ。どちらがベストアンサーなんだ。
「…………」
などと悩むこと、数秒。
「は……あ、んんっ」
胸への愛撫を片手にまかせ、もう片方の手を太ももに滑らせ、まずはスカートの中に進む。
そしてまだ見ぬ神秘のヴェールに触れて、するべきことは。

906:ボクと実技と初めての
10/07/24 23:38:01 bjik9LBA
「ひゃ、そこっ……」
ヴェールの上からの愛撫、それが寡黙なる性識者の出した答えだった。
まずはゆるりと、軽くなぞるようにたしかめる。
思った以上に柔らかく、頼りないそこは、しっかりと熱をあげている。
真ん中あたりに指を這わせて、一番敏感なモノがあるあたりを強めにこする。
「あっ、そこはっ……ひゃ、やぁんっ!」
びくびくと震える体。可愛い悲鳴。すがりつく手。
今のところ彼が圧倒的に優位で、彼女はただうちふるえているだけ、なのだが。
「…………っ」
そんな状況で、いつもは鼻から噴出するはずの血液が下半身に集まって、彼は彼なりにかなりのピンチに陥っていた。
そうなると当然その有様は彼女にもわかってしまうわけで、肉食系女子も黙ってはいない。
「あ、あっ……ムッツリーニくん、も……っしてあげるっ」
「…………っ!?」
頼りなさそうにすがりついていた手が、生き生きと彼の体を降りていって、硬く立ち上がったそれを服の上からなで上げる。
のみにとどまらず、つかんだり、先端を手のひらでこねたり、これぞ本領発揮という勢いで、一気に彼を追い詰める。
「…………くっ」
制服の上からでも、そういう刺激を女性から与えられているというだけで、かなり興奮する。
そして苦しい。
休まず彼女を攻撃していた手を止めて、彼は身体を引く。しかし撤退ではない。新たな攻勢に出るためだ。
しかし彼女は逃げたと思ったのだろう、意味ありげな笑みで彼を眺めていた彼女は、彼の動きでぱっと頬を染める。
彼女の膝を抱えて、足を開かせる。そこには、ぐっしょりと濡れそぼった水玉模様の布があった。
「…………濡れてる」
「っ!そ、それは、だって、ムッツリーニ君がえっちなことするから、気持ちよくて……」
と、あまり恥じらうでもなく、それでも慌てたように言い訳を言うあたり、本当に実践派なのかと疑いたくなる。
「…………つまり、快感によって愛液が分泌された…………性交渉の準備をしている、ということ」
「む、ムッツリーニくんだって、もう準備が―ひゃっ!?」
するりと、その濡れた水玉を脱がせれば、いやらしく糸を引いた粘液が目に飛び込んでくる。
途中で途切れたそれは彼女の太ももに落ちて、ぬらぬらと光って彼を誘惑する。
「…………(ペロリ)」
「えっ!?ひゃ、ちょ、ムッツリーニ、くんっ……!」
太ももに落ちた粘液を舐めとり、そのまま脚の間へと進んでゆく。
むせるような女の匂いがするそこは、参考書で知っていたつもりだったが。
「…………ここが、大陰唇……小陰唇……」
眺め、名称を確かめ、舌を伸ばす。
「や、だめ、シャワー浴びてないから、汚いよっ……!」
シャワーを浴びずにこうされるのは初めてなのだろうか。やはり、言うほどの経験はない、と判断せざるを得ない。
そもそも、ここまでしている男が、その程度の抵抗で止めると思っているのだろうか。
ともあれ、今は知識を経験にしている最中だ。このチャンスを十分にモノにしなければ。
「…………(ちゅぷ、ちゅうっ、じゅううっ)」
「ひゃ、やぁ、吸っちゃだめぇっ……」
丹念に口を動かす彼の頭を、彼女の引き締まった太ももがはさむ。
かわまず、生温かい愛液をすする。汗のようなしょっぱさと、なんともいえない風味がする

907:ボクと実技と初めての
10/07/24 23:44:32 bjik9LBA
これはまさに、体験しなければわからない部分だろう。
時折陰核を吸うと、びくりと身体が跳ねる。
「ムッツリーニ、くんっ、も、もぅ、だめっ、きもち、いぃっ……」
息を乱して、身体を震わせて懇願する様は、かえって男を挑発すると、知っているのか。
「…………まだ、指も入れていない」
言葉とともに指をさし入れると、予想以上に熱い粘液と肉壁に包まれる。
ここに自分自身が入っていくと想像するだけで、彼自身が気持ち良いような錯覚に陥る。
「あ、あぁ……ん、もっと、奥……して……」
ゆるゆると、入口の近くを行き来していた彼にねだる彼女の顔も、これでよく見える。
いつもはぱっちりと開いている大きな目が、少し虚ろになっている。
息が上がったせいか、頬に血が上って、ほんのりと色づいている。
「…………(いい)」
もっと過激で直接的な画像なんていくらでも見ているのに、やはり目の前にすると違う。
何より、自分が触れている場所の熱と、それが直接つながっていることがよくわかる。
ねだられるまま指を奥まで突っ込んで、その締め付けとぬめりとを味わいながら動かすと、彼女の表情も変わる。
「んふ、あぁ、んっ……あ、あ、ソコ、いいっ……」
声の高さや、大きさも、彼の指一本で面白いように変わってしまう。
もちろん(保健体育に限っては)勉強熱心な彼は、それをつぶさに観察し、自分のモノにする。
「あ、やぁ、だめぇっ、そこ、イイのっ……っ!」
すがりつく彼女の、今にも泣き出しそうな表情につばを飲み込みながら、彼は手を動かし、彼女の中を蹂躙して。
「ひっ、だめ、そこっ、クリ、しちゃあっ……っあ、ひやぁあんっ!」
油断していた場所まで一気に攻め立てれば、彼女を追い込むのもそう難しくはなかった。


908:名無しさん@ピンキー
10/07/24 23:45:36 bjik9LBA
とりあえずここまでー。
中途半端ですまん。
待て次週。

909:名無しさん@ピンキー
10/07/25 08:47:49 wTNB37D6
URLリンク(image.akiba.kakaku.com)

910:名無しさん@ピンキー
10/07/25 10:49:00 xk4R/6Wh
>>909
!?

911:名無しさん@ピンキー
10/07/25 13:38:25 WTzKUuDW
>>909
これは不味くても文句を言うなと言うことか!?
でも秀吉のカードっぽいのは欲しい!!

912:名無しさん@ピンキー
10/07/25 19:56:54 02/Pz7I2
おいおい、GJもなけりゃ乙の一言もねぇのかよ
こんなんだから廃れてくんだよ
>>908
GJ! 愛子スキーにはたまりませんな
全裸で待機してます!

913:名無しさん@ピンキー
10/07/25 21:39:28 5X82SZCs
>>907
gj!

おまえらはSS<カレーなのか??

914:名無しさん@ピンキー
10/07/25 22:26:29 URpVC2WY
>>908
正統派なエロがよいですぞ。乙ですー

915:名無しさん@ピンキー
10/07/26 00:00:48 4p5p1JRr
>>913

916:名無しさん@ピンキー
10/07/26 00:03:34 jnVCka6m
>>915
ミスった……。

>>913
命の危険>良質なssなだけ

>>908
GJ!!

917:名無しさん@ピンキー
10/07/26 13:58:29 inTsImiD
>>908
GJ!!

>>909
タイミング考えようぜw

918:名無しさん@ピンキー
10/07/26 14:07:44 wWueegKV
感想を強要する奴や廃れていくとか言い出す奴がスレの空気を悪くしてスレを崩壊へと導くってババァ長が言ってた

それはそうと投下乙

919:名無しさん@ピンキー
10/07/26 19:14:24 PMNnoU4o
まぁタイミング云々じゃなくて板のルールも守れないスレだとみなされればそのうち圧縮くらっても仕方ないな

920:名無しさん@ピンキー
10/07/29 18:04:31 oJmZryjU
a

921:名無しさん@ピンキー
10/07/30 14:53:15 /FAboe3F
容量微妙だな

922:名無しさん@ピンキー
10/07/31 22:13:37 6SUko2pe
投下させてもらいます

注意事項
 明久の性格が黒くなってます
 凌辱系なので苦手な方はタイトルかIDでNGを
 明久×優子ですが、少しだけ明久×秀吉を匂わせる描写があります

以上、OKな方はどうぞ。
タイトル 「優秀」な性奴隷のつくりかた

923:名無しさん@ピンキー
10/07/31 22:14:49 6SUko2pe
ガラガラ
普段あまり使われてない特別棟にある準備室のドアを開ける。
中に居た人物は嫌な笑みを浮かべながらこっちを見ていた。
「貴方は……Fクラスの吉井君よね。このふざけた写真を机に入れたのは貴方なの?」
こっちの話を聞いていないかのように笑みを崩さず、口も開かない。
「一体どういうつもりなのよ。何が目的なの?」
問いかけを無視して、ニヤニヤと品の無い表情を浮かべ続ける。
「……ッ!! なんなのよ! こんな写真見せて何をするつもりか聞いてんのよ!」
アタシが声を荒げても何もなかったようにして、ゆっくりと口を開いた。
「……本当に見れば見るほどそっくりだよねぇ、秀吉とさ」
「くっ…………!」
……やっぱり。あの写真の意味は想像の通りだった。

とある日の朝、登校してきて机の中を確認したら封筒が入っていた。慣れてるとまでは言えないが似たようなことはあった。
おそらく告白のための呼び出しか、はたまた時代遅れ気味の情熱込めたラブレターか。
どちらにしてもあまり興味は湧かない。手紙なんてものを使うということは、大して面識もない相手が多いからだ。
ほとんど意識もしてない、どういう人かもよく分からない人の告白を受け入れるつもりはない。
面倒だな、なんて思いながら封を切り中身を確認すると、予想していた二つ折りの手紙と―
予想もしていなかった写真が数枚出てきた。
「何よこれ……」
中から出てきた写真の中の人物は露出の激しい服装で、扇情的なポーズをとっている。
いくつか衣装を替えて、カメラに向かって媚びるような表情を作って……その辺の雑誌のグラビアなどよりは明らかに性表現が露骨だ。
ただそれだけならいい。くだらない悪戯だと写真を破り捨ててさっさと忘れてしまえばいい。
しかし……、写真の中でポーズをとっている人物は……アタシと全く同じ顔を持つ双子の弟だった。

「何やってんのよアイツは……」
これまでも散々注意したことはあった。男のくせに女性用の衣装を着たりすることを幾度も咎めてきた。
しかしこれは訳が違う。万が一この写真を他人が受け取れば、どういう目で見るか……。
下の服を脱いでいる写真もあるが、前から撮られているものは一枚もない。
胸元もどういう仕組みかは分からないが、肌色の膨らみが見えていて……少なくともこの写真だけを見て判断するなら……女性にしか見えない。
一瞬寒気がした。絶対にありえない事が頭をよぎった。それほどにこの写真の人物は自分と……。
「……ふざけないでよ」
こんなものを撮って何をするつもりなのか。いったい誰がこんな真似を……。
写真と一緒に入っていた折りたたまれている手紙を開く。
『この写真のことを知りたかったら放課後、別棟の三階にある準備室まで来てね。』
簡潔な内容で差出人の名前などは無い。
どうする……。先生に持っていく? ……こんな写真を持って?
「行くしか……」
写ってるのは秀吉だし反論の余地もある。それにこんなくだらないことをした奴を引っ叩いてやりたい。
「誰だか知らないけど……、こんな真似許さないんだから」

924:名無しさん@ピンキー
10/07/31 22:16:36 6SUko2pe
すみません。タイトル入れ忘れたので投下し直します

925:「優秀」な性奴隷のつくりかた
10/07/31 22:17:35 6SUko2pe
ガラガラ
普段あまり使われてない特別棟にある準備室のドアを開ける。
中に居た人物は嫌な笑みを浮かべながらこっちを見ていた。
「貴方は……Fクラスの吉井君よね。このふざけた写真を机に入れたのは貴方なの?」
こっちの話を聞いていないかのように笑みを崩さず、口も開かない。
「一体どういうつもりなのよ。何が目的なの?」
問いかけを無視して、ニヤニヤと品の無い表情を浮かべ続ける。
「……ッ!! なんなのよ! こんな写真見せて何をするつもりか聞いてんのよ!」
アタシが声を荒げても何もなかったようにして、ゆっくりと口を開いた。
「……本当に見れば見るほどそっくりだよねぇ、秀吉とさ」
「くっ…………!」
……やっぱり。あの写真の意味は想像の通りだった。

とある日の朝、登校してきて机の中を確認したら封筒が入っていた。慣れてるとまでは言えないが似たようなことはあった。
おそらく告白のための呼び出しか、はたまた時代遅れ気味の情熱込めたラブレターか。
どちらにしてもあまり興味は湧かない。手紙なんてものを使うということは、大して面識もない相手が多いからだ。
ほとんど意識もしてない、どういう人かもよく分からない人の告白を受け入れるつもりはない。
面倒だな、なんて思いながら封を切り中身を確認すると、予想していた二つ折りの手紙と―
予想もしていなかった写真が数枚出てきた。
「何よこれ……」
中から出てきた写真の中の人物は露出の激しい服装で、扇情的なポーズをとっている。
いくつか衣装を替えて、カメラに向かって媚びるような表情を作って……その辺の雑誌のグラビアなどよりは明らかに性表現が露骨だ。
ただそれだけならいい。くだらない悪戯だと写真を破り捨ててさっさと忘れてしまえばいい。
しかし……、写真の中でポーズをとっている人物は……アタシと全く同じ顔を持つ双子の弟だった。

「何やってんのよアイツは……」
これまでも散々注意したことはあった。男のくせに女性用の衣装を着たりすることを幾度も咎めてきた。
しかしこれは訳が違う。万が一この写真を他人が受け取れば、どういう目で見るか……。
下の服を脱いでいる写真もあるが、前から撮られているものは一枚もない。
胸元もどういう仕組みかは分からないが、肌色の膨らみが見えていて……少なくともこの写真だけを見て判断するなら……女性にしか見えない。
一瞬寒気がした。絶対にありえない事が頭をよぎった。それほどにこの写真の人物は自分と……。
「……ふざけないでよ」
こんなものを撮って何をするつもりなのか。いったい誰がこんな真似を……。
写真と一緒に入っていた折りたたまれている手紙を開く。
『この写真のことを知りたかったら放課後、別棟の三階にある準備室まで来てね。』
簡潔な内容で差出人の名前などは無い。
どうする……。先生に持っていく? ……こんな写真を持って?
「行くしか……」
写ってるのは秀吉だし反論の余地もある。それにこんなくだらないことをした奴を引っ叩いてやりたい。
「誰だか知らないけど……、こんな真似許さないんだから」

926:「優秀」な性奴隷のつくりかた
10/07/31 22:19:04 6SUko2pe
「封筒に入れた分だけじゃなく、他にもいっぱいあるんだよね」
そう言って、吉井君はポケットから写真の束を取り出し床にばら撒く。
床に視線を向ける。封筒の中身と似たような写真が数十枚はある。……吐き気がしてくる。
「……この写真どうやって撮ったわけ? 大方あのバカを言いくるめたんでしょうけど」
「言いくるめる? はは、まさか。普通にお願いしただけだよ、写真撮らせてってね」
「こんな写真を? そんなの……」
「秀吉は僕の言う事なら何でも聞いてくれるからね。もちろんご褒美もあげたけど」
「はぁ? ご褒美ってまさかアンタたち……、ッッ!」
あぶなっ……変な想像が……。
「さすがに気づくのが早いね。そう、秀吉は僕の性奴隷みたいなものなんだよ」
「え……な、何言って……」
「多分、木下さんが想像した通りの意味さ。秀吉の体で性欲を発散しているんだよ」
性……奴隷? 何を言ってるの? そんなことが現実にあるわけ……。
「あれ? 信じられないって顔してるね。……意外だなぁ」
吉井君が携帯を差し出して画面を見せてくる。
「なによ……これ……」
画面に写っていたのは秀吉だ。カメラに向かって上目遣いで、舌を出して舐めているのは明らかに―
バシッ!
「うわっと」
見ていられなくて、吉井君の携帯を持っている手を払いのけた。
「こんなの……アタシには関係ないでしょう! アンタ達のことなんて知ったことじゃないわ」
この二人がどんな関係だろうがアタシには関係ない。携帯を拾い上げた吉井君を睨み返す。
「へぇ、弟の事を関係ない……か」
「……なによ?」
「ま、それもそうだね。それより本題に入ろうか」

また元の嫌な笑みに戻る。……嫌悪感が増していく。一刻も早くこの場から立ち去りたい。
「まあ、いろいろあって秀吉とこういう関係になった訳だけどさ」
「……異常ね。頭おかしいんじゃないの」
「ははっ、ひどい言われようだね。同性同士のカップルなんて普通にいるもんだし、そういうのが好きな人もいるらしいのにさ」
「……ッ、そうじゃないわよ。性奴隷なんて考え方がおかしいって言ってんのよ」
「あ、そっか。初めてしてから秀吉が意外とハマっちゃってさ、それに僕も」
「そんな話聞く必要ないって言ってるでしょ、頭悪いわね。用が無いなら帰りたいの。アンタ達のことなんか心の底からどうでもいいのよ」
もう一度強く睨みつける。しかし、アタシの言葉も視線も特に気にした様子もなく、また口を開いた。
「うん、じゃあ簡潔に。―木下さんにも秀吉と同じことをしてもらおうと思うんだ」
「断るわ」
アタシの言葉に初めて吉井君が目を見開いた。おそらく予想していなかった返答だったのだろう。

927:「優秀」な性奴隷のつくりかた
10/07/31 22:20:48 6SUko2pe
「即答って……驚いたよ」
「わざわざこんな下らない写真を見せて、こんなとこに呼び出す下衆男の考えなんて簡単に予測できるし、考えるまでもないことだわ」
「そっか、そこまで察しがついてるんなら、断った時に僕がなんていうか分かるよね?」
「…………」
……大方、写真をどうにかするって話なんだろう。ただ、下手に出るつもりはない。
「ふん、好きにしたらいいじゃない。そんな写真見ても、大抵の人はアタシじゃなくてあの馬鹿だって分かってくれるわ」
「…………」
「そうなれば、秀吉と貴方の関係はご破算。アタシはこの手紙を持って、職員室でも警察にでも今日の事を話しに行くわ。そうすれば……」
「ふふふ……」
「……なによ?」
「考えが甘いよ、木下さん」

「どういう……ことよ」
立っているのに疲れたのか、吉井君が適当な椅子を引っ張り出して座る。その動きから目を離せない。
「校内に、この写真はばら撒くつもりはないよ。木下さんの言う通り、あまり意味は無さそうだしね」
「ふん、だったら……」
「だから、ネットでばら撒くつもりさ。みんなに見てもらえるようにね」
「く……」
確かに、不特定多数に向けて発信されるのは不味い。でも、そこまでなら想定内だ。
「……やってみればいいじゃない。それで一生を棒に振るのはどっちかしらね」
「随分余裕だね。一度インターネットで広まれば、回収は不可能になるのに」
そうかもしれない、でも……。
「そこまでやれば貴方も退学程度じゃ済まないわ。心無い人に嫌な視線向けられるのと、犯罪者として一生を過ごすの、どちらがマシかなんて一目瞭然ね」
本心なんかじゃない。もし、吉井君が言葉どおりに行動したらと思うと……身の毛がよだつ。
ただ、この卑怯な相手に弱みを見せることだけはしてはいけない。強気に、自分の行動など無意味だと思わせるしか……。
「そうだね。このご時世こんな画像程度ありふれてるし、ただ画像をばら撒いただけじゃ効果は大きくないだろうしね」
「……何が、言いたいのよ」
「ただばら撒くわけじゃないってことだよ。ねえ木下さん、文月学園のプロモーションビデオのこと覚えてる?」
「……それがなによ」
「あの映像って結構有名なんだよね。文月学園っていろいろ注目されてるからさ」
椅子に座ったままこっちを見据えてくる。自分の優位を疑わない目で。
「そういえばあの時は、秀吉と入れ替わってたんだってね。歌が苦手なんて可愛らしいね」
「……余計な話はするなって言ったでしょ」
「はは、ゴメンゴメン。つまり、何かしらで木下さんのことを見たことがある人ならこの写真にも興味がわくんじゃないかと思ってさ」
「なっ……」
「映像を見れる所に写真と名前を載せていろんな人に見てもらってさ。あ、携帯の画像も一緒に並べとこうか。それで……」
『この娘、優等生っぽいけど頼めば簡単にヤラせてくれる淫乱娘だよ! 僕もコスプレ姿でのご奉仕を頼んだらあっさりOK。かなり楽しめたよ!』
「……とでも書いたらどうかな? 果たして嫌な視線程度で済むかな?」
「ふざけないで!! そんなことをしたら貴方だってただじゃ……」
「僕の友達に機械に詳しい人がいてね、発信元を特定されにくくする手段を教えてもらったんだ。だから僕の心配はしてくれなくてもいいよ」


928:「優秀」な性奴隷のつくりかた
10/07/31 22:22:49 6SUko2pe
……まずい。こんなの本当に洒落じゃ済まされない。コイツが捕まるかは分からないけど、少なくともアタシの生活は……。
「それにね、写真はそれだけじゃないんだよ」
「えっ……?」
「さっき、『この』写真は校内に撒かないって言ったけど、こっちの写真は校内に広めるつもりなんだ」
そういって取り出した写真には秀吉ではなく、正真正銘アタシが写ってる。Tシャツと下着姿でソファーに寝っ転がって手には……。
「家では結構ずぼらなんだね。それに……なかなかいい趣味を持ってるみたいだね」
「この写真……あの馬鹿!!」
「まあまあ、秀吉は一応嫌だって言ってたんだよ? 断るなら二度としてあげないって言ったら、すぐに折れたけどさ」
いかにも楽しそうに笑う。なんで……なんでここまでするの……?
「見知らぬ他人から下手すれば襲われる……、見知った人には異常性癖がバレて……随分楽しい学校生活を送れそうじゃない?」
「や……めて」
「転校したとしても、文月学園から来たことがバレれば無駄になるだろうね。だから、諦めてくれないかな?」

そう言って、吉井君はこっちに近づいてきてアタシの頬に手を伸ばしてきて……。
「んっ……!」
そのまま唇にキスしてきた。一瞬頭が真っ白になったが、すぐに正気に戻って突き放す。
「やっ……、なにすんのよ!」
「っとと、さっき言った通りだってば。具体的に言ってほしいの? それとも……まだ断るつもり?」
チラッと目線を写真に向ける。それが意味するのは……でも。
「でも……こんなの絶対嫌よ……」
「ねえ、木下さん」
また同じように頬に手を添えてくる。一瞬身構えたが、さっきと違ってそのまま言葉を繋いできた。
「別にさ、変態的な要求するつもりもないし普通にするだけだからさ。いい加減受け入れてよ」
ふざけるな。するだけ? 受け入れろ? そんなことできるはずが……。
こっちの気持ちなどお構いなしに、吉井君はアタシの胸に手を伸ばしてくる。
その意図を理解して、払いのけようと手を上げかけた途端に、
「動かないで」
余裕の態度を崩さなかった吉井君が初めて感情を露にした。ここに来て初めて聞いた声色。苛立ちを抑えきれない様子で続けて口を開く。
「これ以上抵抗するようならもう終わり。その時は写真をばら撒くよ」
「……ッ!」
そのまま胸へ伸ばしてくる吉井君のその手を―アタシは止めることができなかった。


929:「優秀」な性奴隷のつくりかた
10/07/31 22:23:47 6SUko2pe
「やっぱり女の子の体っていいよね」
制服の上から胸を触りながら言ってくる。
「……痛っ」
「っと、ごめん大丈夫? 力入れすぎたかな」
「あ、…………」
吉井君の事が分からない。元から親しいわけじゃなかったけど、少なくともこんなことをする人には見えなかった。
今のような相手を気遣う言動も、最低な行為をしているのも事実で……。
「んー、じゃあ上を脱いでくれる?」
「そんなこと……」
「服脱がなきゃできないでしょ。ね?」
口調こそ強くないが、言外に拒否は許さないという意思が伝わってくる。
「……」 スッ プチ プチ
ブレザーのボタンを外して脱いで床に置いた後、ネクタイを緩める。
しかし、それ以上手を進められなくなった。どうしても抵抗感が拭えない。
そのまま躊躇していると、吉井君がブラウスのボタンに手を伸ばしてきた。
「ちょ、ちょっと」
「あんまり時間あるわけじゃないからね。待ってる暇はないんだよ」
「わかった、脱ぐ、脱ぐから……」
残ったボタンを外して、袖から手を抜く。吉井君はアタシの手からブラウスを乱暴に奪って、後ろに放り投げる
下着だけになってしまった上半身を両腕で抱えて必死に隠そうとしたが、すぐに意味をなさなくなった。
「ブラジャーは自分で外せる?」
「えっ、そんな」
「じゃあいいよ。ちょっと動かないでね」
そういって正面から抱きしめるような体勢になる。背中に触れる吉井君の手の感触に気づき声を上げようとした時には、すでにホックが外されていた。
「やっ、やだ!」
「うーん、やっぱり服の上からの感触とは違うねぇ。」
無遠慮にまた胸を触ってくる。さっきまでと違って直接肌に吉井君の手が触れて……。
「ひゃっ!」
「ん? くすぐったかったかな」
アタシが胸元に集中してる間に、首元に口づけられ思わず声が出た。
「んっ、やっ、こんなの……」
「でも、ホントに肌きれいだね。秀吉もきれいだったけど、それとも違うんだよなぁ」
胸を弄る手を止めず、首から肩にかけての部分に吸いついてくる。
「んん、やめて、吉井君……」
「それは無理だよ。なんかこうして触れてるだけで気持ちいいんだもん」
「んっ!」
唇を離さぬまま、胸の触り方を変えてくる。
さっきまでの全体を揉むような動きをやめて、胸の頂点に指先で刺激を与えるようにいじりまわしてくる。


930:「優秀」な性奴隷のつくりかた
10/07/31 22:24:44 6SUko2pe
「やっ、あぁん」
「結構反応いいね。木下さんは自分でしたりするの?」
「そんなのするわけ……ひゃ! え!?」
肩の辺りから移動して、今度は胸に口をつけてくる。
「んん……、な、なにしてるのよ!」
「ふぇ? ふふぇをなめふぇるんだふぇろ」
「やあっ、離してから喋ってよ!」
「ふぇー、れもなぁ」チュパッ
「ふひゃっ!」
否応なしに体が反応する。
正直な話、アタシはそこまで純情な女の子じゃない。世の女性がどうなのかは知らないけど、自分で自分を慰めたことくらいはある。
行為自体は不快に思っていても、刺激を与えられると声も反応も抑えきれない。
「だめ、やめてよ……」
「そう言ってる割には……押しのけようとしないんだね。木下さん」
「ッッ! やっ、ちがっ」
無意識に吉井君の頭を抱えこもうとしていたことに気付いて手を戻す。
その間も吉井君はアタシの胸を唇で、舌で、吐息で弄ぶ。
「んっ! ふっ……はぁ」
「んー、ここはどうかな」ペロッ
「やぁっ、なんでへそなんかぁ……」
「気持ち良くない?」
「なわけないで……くぅぅ」
どうしても反応が抑えきれない。こんな状況で肌を直接舐められて、気持ちいいはずなんか無い。
けど、それでも……。
「……やばっ、ホントに時間無いな。んじゃ、そろそろ下も脱がすよ」
「えっ、いやっ、ちょっと」
宣言と同時に、力の抜けていた下半身に手を回されて、ショーツが太もも辺りまで下ろされる。

「やっ、やだ、やめて」
足に力を入れてその動きを阻害する。すると吉井君は何を言うでもなく、顔を近づけてきて……。
「あ……ふむっ!? ん、あ、ちゅぷ」
唇にキスをされる。それだけじゃなく、開いたままだった口から舌が入ってくる。
「んっ……ちゅ、はぁ…ちゅぱ、ちゅ、はぁ……ちゅぷ、はぁぁ……」
唇を吸われて、アタシの口の中を吉井君の舌が暴れまわる。
どうにか避けようとしても、狭い口内では舌の触れ合いを制限することはできない。
「はぁっ、む……ちゅっ、ちゅ」
ざらついた吉井君の舌が、アタシの舌に絡まり、唾液が音を立てる。頭に直接響いてくる卑猥な音に意識が朦朧としてくる。
「あむっ……ちゅぱ、あぁ……はぁ、あっ……!」
「スカートは……まあいいか。このままでも」
意識を逸らされているうちに、いつの間にか下着を脱がされていた。吉井君の手が守るものを失ったスカートの中に伸ばされる。
すっ、くちゅ
「んっ! 痛っ」
「あれ!? ごめんごめん」
無造作にいきなり指の先を入れられて痛みが走る。少し慌てたように謝罪の言葉を口に出す吉井君を見て……。
(違う! こんな考え……)
自分の思考を必死に頭の中から追い出す。こんなことされておいてこんなことを考えるなんて……。


931:「優秀」な性奴隷のつくりかた
10/07/31 22:26:55 6SUko2pe
「あっ、ん……んぅ」
さっきの反省か、表面をなぞるように触ってくる。
「少しだけ……濡れてるね」
「ん……」
くちゅ、くちゅ
表面から少しだけ中に指が入ると、僅かに分泌された粘液が音を立てる。
それがとんでもなく恥ずかしい気がして、耳を覆いたくなる。
「ん……ちゅっ」
「やっ、ん……あっ!」
秘所をいじる手は止めずに、再び胸に口をつけてくる。それも乳首だけを対象に、唇と舌で刺激を与えてくる。
「んっ、んっ、あ……だめ、だめ!」
割れ目をなぞるように動かしていた指は、いつの間にかゆっくりと中に侵入してきている。
先程と違って慎重に、それでも確実に。
その指使いが、痛みとは違う刺激を伝えてくる。
「ん、やあぁ、はっ、あぁ……」
少しずつ粘液の量が増してきて、音が大きくなる。ほんの少しずつ不快感が別の感覚に変わっていく。

「あっ、あぁ、んっ…………あ」
吉井君の指と口がアタシの体から離れる。そのまま上着を脱いで床に敷いて、アタシをそこに倒し、ズボンのベルトを緩めている。
「ごめんね。ちょっと準備足りないと思うけど時間も無いし、我慢もできないしさ」
そう言って、ズボンとパンツを下ろして下半身は裸になった。
一瞬、その股間にそそり立つモノに目線がいったが、すぐに目を逸らす。
吉井君はアタシの反応など特に意にも介さず、必死に閉じていた足に手をかけて広げようとしてくる。
望まない初体験への嫌悪が、さっきの何倍もあるだろう痛みへの恐怖が頭の中を駆け巡る。
少しは持っていた希望が、いつか好きな人と行うであろうと思っていた一生で一度の「初めて」への憧れが完全に砕かれる。

だから、この時のアタシは求めたんだろう。この状況を受け入れるための免罪符を。
……そんなもので、なにも救われなどしないことが分かっていても。
「ね、ねぇっ、吉井君。ちょっと待って」
「……いまさらやめないよ? 元々やめるつもりは無かったけど」
「ううん、違うの。そうじゃなくって……その、なんでこんなことしたの?」
吉井君が完全に理解ができないという表情をしている。
「ええと……この期に及んでそんなこと」
「だからそうじゃなくて、だって……秀吉とずっとしてたんでしょ?」
こんな事をされてる最中でも、時折見せる吉井君の気遣いが気になった。
最低な行為をしていても、なにからなにまで最悪な人じゃないはず。
「だったらなんでアタシにまで、その……こういうことしようとしたの?」
そう思い込んで、自分の為に吉井君を擁護して、この行為に及んだ何かしらの「理由」を見つけたかった。
いつか秀吉と入れ替わった時に感じた、吉井君の秀吉に対する態度を思い出して。
人からはよく女の子に間違えられる弟に対して、少なからず吉井君も同じように思っていたはず。
その秀吉になんでもさせられるようになっていて、不満なんて無かったはず。だから……。


932:「優秀」な性奴隷のつくりかた
10/07/31 22:27:59 6SUko2pe
「なにか理由があったんじゃ、ない、の……?」
喋りながら、涙が零れ落ちていくのを感じる。
覚悟なんて決められなかった。受け入れるしかない状況でも、受け入れられるはずがなかった。
そんなことはできないから、せめて……納得して諦めたかった。
女だったら誰でもいいとかそんなのじゃなくて、相手が木下優子だからこんなことをしたって言って欲しかった。
「ねぇ、答えてよ……」
いや、そこまでじゃなくてもいい。この際、秀吉とそっくりな顔をしてるからって理由でも構わない。
どんなにちっぽけでも、たった一つでいいからアタシじゃなきゃいけない理由があってくれれば―
それに縋って、仕方がないって言い訳して、この状況を、この後することを、諦められるんじゃないかと、……そう思ったのだ。
「まいったな……。泣かれても困るんだけどな」
そういって、制服のズボンからポケットティッシュを取って、一枚取り出してアタシの目元を拭う。
そうやって、とても根っから腐った人間とは思えないことをしながら、吉井君は
「でも、別に理由なんて無いんだよ。強いて言うなら脅迫材料が手に入ったからこうしただけかな。別に誰でも良かったし」
無邪気な残酷さで、アタシが最後に縋ろうとしたものを粉々に打ち砕いたのだった。

「んっ、はっ、ヒグッ、あっ、あっ、グスッ」
「すご……、気持ちいいよ、木下さん」
初めて秘所を貫かれた痛みも、流れ出る血も、アタシの中で暴れる吉井君の―の感触も、どこか他人事のように思えた。
「くっ、はっ、木下、さん、んっ」
「やっ、ああっ、んん…んっ! ちゅ、ちゅぱ、あむ」
腰を振りながら唇を合わせて舌を差し込んできた吉井君に、思考を放棄して応じる。
「んちゅ、ちゅ…ちゅぷ、んっ、はぁあ…ちゅっ、ちゅ」
ぐちゅ、ぬぽっ、ぐちゅ
少しずつ、痛みは薄れはじめて潤滑油が増えてくる。
それでも、愛撫されていた時に少しだけ感じていた痺れるような感覚を、今はもう感じない。
「ちゅ…ちゅぱ、ぷはっ、やっ、あ、んっ! はっ…あんっ」
「くっ、やっぱり、尻の穴とは、全然、感覚が、ちがうや」
「んっ、んっ、はぁっ、ちょ、ちょっと、つよすぎぃ…」
最初に入ってきた時から乱暴に突いてきたのに、ペースは衰えるどころかどんどん上昇している。
さっきまでの気遣いなんて微塵も見られず、ただひたすらに蹂躙されていく。
「くはっ、いいよ、木下さんの膣内、もうっ、我慢できなさそうだ」
「あ、あ、ひゃ、んっ、んぅぅ!」
スパートとばかりに腰を打ちつけられながら、痛いくらいに胸を掴まれる。
「っ、もう、出るよ、木下さん! 出すよ!」
「あっ、あ…んぁっ! やっ! あぁん! あっ、ああっ!」
どびゅ、びゅるっ、びゅっ、びゅっ
「あ、ああ、あ、あつ…い、な、中に、出て…」
胎内に放出された精液の熱さを感じて、
(……そういえば、避妊具、つけさせて、なかったわ、ね)
と、今更ながらに気づいたのだった。


933:「優秀」な性奴隷のつくりかた
10/07/31 22:30:33 6SUko2pe
パァン!!
「いってて……」
「このくらいは……いいわよね」
行為が終わって服装を直した後、吉井君の頬を一発引っ叩いた。
吉井君は、少し赤くなってきている頬をさすりながらも、文句は言ってこない。このくらいは許すつもりみたいだ。
避妊具の件については、緊急避妊薬を渡された。一緒に通常の経口避妊薬も渡されて、飲んでおくように、だそうだ。
男性である吉井君が持っていたことに少し驚いたが、秀吉に産婦人科に行ってもらったら、あっさり処方してくれたそうだ。
まあ、そんなことはどうでもいい。アタシにはもう一つしなければならないことがある。

「吉井君、お願いがあるんだけど」
「……これ以上殴られるのは勘弁してほしいんだけどな」
「アタシを、貴方の彼女にして」
「………………へっ?」
結局、最後の最後―全てが終わった後でもアタシは認められなかった。
アタシを何とも思ってない相手に、犯されて、奪われたことが。
だから、これが最後の妥協案。
「もしかして、木下さん僕のこと好きだったとか……?」
「面白くもない冗談言わないで」
アタシの真意を理解できないとでも言いたげに、目を見開かせてこっちを見る。
「理解しようとしなくていいわ。イエスかノーかだけ答えて」
それでも、口を開こうとしない吉井君に無理矢理決定させる。
「イエスなら今後もこの関係を続けていいわ。でもノーならこのまま職員室に駆け込んで全てを話す。その後どうなろうともね」
「いや……まあ、彼女を名乗るくらい構わないんだけど……」
「そ、それならいいわ。よろしくね。最低な彼氏さん」
アタシはそういって右手を吉井君の前に差し出す。だけど、吉井君は未だに訝しんでるみたい。
「理解しなくていいって言ったでしょ」
強引に、吉井君の手を引っ張って形式だけの握手を済ませる。
「じゃあ、今日はもう帰ってもいいわよね。さよなら」
「え、ああ、うん」
まだ呆けてる吉井君を部屋に残して、さっさと立ち去る。

既に日は落ちかけていて、もう校舎内に他の生徒の姿は見当たらない。
玄関に向かって歩きながら、頬を伝う涙を手で拭う。
「グスッ……ズッ」
目を押さえて無理矢理涙を止める。泣く必要なんかない。だって……「理由」は用意したから。
今日、アタシを犯したのはアタシの彼氏。……人間として最低なだけの。
今日みたいに学校で求められて、万が一誰かに見つかった時の言い訳。脅されて、奴隷なんて扱いを許容してるわけじゃない。
そしてなにより、……これから関係を持ち続ける自分への言い訳。
数年後、数十年後に思い出すのは、いいように弄ばれたことじゃなく、屑な男に引っかかっただけだと弁明するための。
そうやって、あの最低な男が飽きるその時まで―アタシは自分の心を騙し続ける。


934:名無しさん@ピンキー
10/07/31 22:32:59 6SUko2pe
終了です。
なんとなく書いてるうちにこんな風になった。
しかも、やけに時間かかったし……と愚痴をこぼしつつ
それではまた。

935:名無しさん@ピンキー
10/07/31 23:13:17 8zyhqM+7
>>934
超乙!!です。

こういう文章書ける人ってあこがれる
次回も楽しみにしています

936:名無しさん@ピンキー
10/07/31 23:25:19 +XacePiA
優子さんに萌えた
可愛いよ優子さん可愛いよ
ひょっとしたらメインヒロイン二人よりも人気あるんじゃね?


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