10/03/13 15:32:17 8QczJriD
「くっ…」
四肢を異次元から現れた鎖で拘束され、身動きが取れなくなる。ロックは口元から滴る血を指で拭い、シンディを見据えた。
「さすが…あの男の師ですな。一対一ならばシュラなどたやすく捕らえられると思っていたが…想像以上に苦戦させられたよ」
強大な魔力と多彩な召喚術は格闘を主体とする修羅にとって相性は最悪とも言える相手だった。
それでもシンディは互角の戦いを繰り広げたが、一瞬の隙を突かれ鎖に囚われてしまった。ロックは腕を組みながらシンディに歩み寄った。
「…くっ…あ…!」
「やめたまえ。どんな力をもってしても、その鎖は引き契れはしない」
「っ…止めを刺しなさい…私の力が貴方の命に届かなかった、その結果は甘んじて受けます…ッ」
「…このまま毒の盃をくれてやるのはたやすいこと。しかしハキの研究には…貴女に生きていてもらったほうが都合が良いのだよ」
ヒュッ、と二本の指をシンディの喉元に突き付ける。魔族の鋭利な爪が皮膚を裂き、うっすらと血が喉元を滴った。
「…っ、」
「美しい顔だな。凜とした面持ちのなかに、どこか幼さを感じる。…壊してやりたくなってくるよ」
口角を吊り上げた歪んだ笑みを浮かべ、ロックはシンディの頬をそっと撫ぜた。