10/03/13 15:30:21 8QczJriD
覇龍の塔。アルクオンの石像に囲まれるなかシンディは座禅を組んでいた。淀みのない座禅。さすがは機神拳を極めた者であった。
「………」
意識を深淵へと集中するなか、シンディは弟子と妖精の姫、そして羅刹機アルクオンの安否を気にかけていた。アレディの覇気と腕前を踏まえればその心配も杞憂だとは思っていたが。
「……。…何者です」
その時、微かに何者かの気配を感じ取った。見事な気配の消し方で、相手は相当の使い手であろうことはわかっていた。
「出てきなさい。隠れていても無駄です」
スッ、と立ち上がり、黒いミルトカイル石に向けて覇気を放つ。覇気は敢え無く弾かれ消えてしまったが、威嚇が功を成したのか相手は黒石の影からゆらりと姿を現した。
「フッ…フフ…これは失礼を。シンディ・バード」
「…瞬転…ですか。私に気付かれることなく覇龍の塔に侵入されたのは初めてです」