10/05/10 08:48:14 l2fuB3Zm
全身を赤黒い布で覆ったその店主が売っているのはどれもキワ物ばかりで――
特殊な性癖を持つ僕の、目を引いた。
当時中学生だった僕は塾帰りの途中、薄暗い路地裏に見えた
明りに誘われフラフラとその露店を訪れた。そして
「コレヲオサガシデショウ?」
男とも女とも付かない外見をした店主が、かすれた声で
僕に金色の液体の入った小瓶を差し出した。
「これって・・・?」
「人ヲ虫ニシ、虫ヲ人ニスル薬」
「え?」
「マァ・・・タノシメ・・・フフ」
僕が顔を上げた時、売人はにんまりと笑いぼろぼろの歯を
こちらに見せたかと思うとそのまま店をたたみ姿をけした。
いつもより30分ほど遅れて家に帰ると、姉から怒号が飛んできた
「もう、早く帰って来てって行ったでしょ?
今日は私用事で夜出なきゃいけないんだからねっ」
両親が共働きで夜も帰るのが遅い我が家では
大学生の姉が料理を作っているのだが、今日は彼氏との
”お出かけ”の約束があるらしく気が立っていた。
「ちょっと塾が遅くなったんだよ・・・」
「はぁ?はいはい、じゃあご飯そこに置いてあるからね
私、これ飲んだらもぅ行くから。」
あんたに構ってる暇ないのよ。との言葉を聞いて僕は一つの決心をした。