調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart35at EROPARO
調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart35 - 暇つぶし2ch650:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:12:40 e0TGAGpp
シャドルー。
その言葉を聞いた時、ジュリアの心に最大警報が鳴り響いた。
ホークが唾棄するように口にした、悪の代名詞、シャドルー。
世界中で起こっている拉致事件に自分は巻きこまれたのだと、ようやくジュリアは悟ったのだ。
「あなたはベガ様に忠誠を誓う戦闘マシンになるの。私が変えてあげる。……今はまだ実感が湧かないかもしれないけれどね」
さも当たり前のようにカノンは言った。 
「嘘よ!そんなこと、できるはずがないじゃない!!」
「それが出来るのよ。私達、シャドルーの精神操作と、ベガ様のサイコパワーを駆使すれば、人間を洗脳するなんて簡単なことなの」
カノンはミランダとアリスに指示をだした。彼女達は指示どおり、ジュリアの洗脳準備に取り掛かり始める。
カノンは続けた。
「あの二人も、あなたと同じ反応をしたわ。泣いて、叫んで、大変だったけれど、今は立派にベガ様の下で働いているの」
カノンの手がジュリアの首を強引に二人のいる方向へ向けた。
「どう、素晴らしいでしょ。これも教育の結果というわけ」
呆然と、ジュリアは二人の研究員の姿を見た。
淡々と動作する様は、人と言うよりはロボットのようだった。
ジュリアがいくら目を凝らしても、彼女達の姿からは全く、人間らしい感情というものは見て取ることが出来なかった。
彼女達に助けを求めたところで、こちらの言葉は一切、彼女達の心には届かないのではないか。
心を持たない人形。
自分もこのような人間に変えられる?
暗澹とした未来が、ジュリアの張りつめた平静を断ち切った。
「嫌!嫌よ!!離して!!お願い!!」
カノンはジュリアの悲鳴を無視して、彼女の耳に密閉式のヘッドフォンをかぶせた。ジュリアから聴覚を奪われる。
カノンは二人に指示を出した。指示を受けて、ミランダ達は機械を起動させる準備を始める。
イスの後ろに設置された機械は、暗黒のオーラ、「サイコパワー」を生成し、対象に送り込む装置だ。
サイコパワーは、負の感情を増幅させた力で、人間の破壊衝動を高め、肉体を強化する作用がある。
人体にサイコパワーを送り込むことで、肉体強化と共に、精神もシャドルーの構成員としてふさわしい物へ変えていくのだ。
装置が、コードを通じてジュリアのヘッドギアにサイコパワー流し込み始めた。
サイコパワーを流された瞬間、ジュリアの瞳孔が突然収縮した。目を大きく見開き、放心した表情に変わる。
「せいぜい、頑張りなさい」
カノンの冷たい励ましはジュリアの耳には届かない。

651:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:13:15 e0TGAGpp
頭に何かが流れてくる。その何かが頭に流れる度に、次第に心が喧騒しだすのをジュリアは感じていた。
(……!!)
何かは、まるで波動のように全身へと伝わる。
頭から足の先まで、満遍なく拡がる黒い波動。
全身に波動が満ちると、筋肉が激しく躍動し始めた。
拘束された手足がビクビクと痙攣する。それに合わせて、彼女の座るイスもやかましく音を立て始めた。
筋肉の躍動。そこに感覚など何もない。快感は当然のこと、痛覚さえもない。
だが、その激しい痙攣は、彼女の心の情緒を不安にするに足るものだった。
「があああああっ!!」
獣じみた声が、腹の底から絞り出された。
ヘッドギアから供給されるサイコパワーが、彼女の心に結びつき、眠っていた攻撃性を目覚めさせ始めたのだ。
理性が痺れだした。次第に考えがまとまらなくなる。
「うああああああ!!!!おおああああ!!!」
黒い思念が渦を巻き始めた。次第にそれはジュリアの心を飲み込む大渦に変化していく。  

[……たい]

最初、それは取るに足りないほどの、小さな思念に過ぎなかった。

[壊したい]

[破壊したい 殺したい]

小さな思念は、次第に膨れ上がり、強烈な衝動へと姿を変えて、ジュリアの心に迫ってきた。
[破壊したい 殺したい ]
(違う)
[無茶苦茶にしてしまいたい]
(違う!!)
[全てこの手で]
(違う違う!!)
湧きおこる、おぞましい衝動を否定するように、必死に彼女は首を振った。
『 破壊 殺戮 』
ヘッドフォンから、怖気が走るような単語が囁かれた。その女声はまぎれも無く、ジュリア自身の声だった。
『 破壊 殺戮 破壊 殺戮 』
平板で機械的な口調で、「ジュリアの声」は、ジュリアの精神に言葉を塗りこんでいく。
[破壊したい]
(そんなの、違う!!)
『 破壊 破壊 破壊』
(私はそんなこと……!!)
理性は否定するが、理性の内に秘められた本能は違った。
本能はサイコパワーの全てを受け入れて、理性の殻を破ろうとうごめいていた。
コードから伝う邪悪な波動が、本能に訴えかけると同時に力を与えているのだ。
自分が壊されていく。
彼女の虚ろな目から涙が流れ、頬を伝い始めた。
(違う違う違う!!!)
「違う!!!!」

652:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:13:53 e0TGAGpp
洗脳装置のヘッドランプが消えた。機能が停止した合図である。
機械の停止と同時に、ジュリアの激しい震えも、ゆっくりと穏やかになり、止まった。
全身の筋肉が弛緩しているのだろう、ジュリアの体は、イスにすべてを預け切った状態だった。
うなだれるように首を折り曲げ、放心した表情で、呆然と下方を眺めていた。
口端から垂れるヨダレが胸を伝って腹部に流れている。
収縮していた瞳孔は、少しずつ元に戻っていった。
「ハア、ハア、ウ……ア……ア……」
苦しげに、ひどく無機的な息を吐き、ジュリアは必死に理性を取り戻そうと喘いでいた。
理性が戻ると、真っ先に思い起こされるのは、黒き波動の与える強烈な衝撃。ジュリアの目に熱い涙があふれてきた。
痛いのではない。
苦しいのではない。
恐ろしいのだ。
底知れぬ程に暗い波動が、自分を変えようと迫ってきた。その実感が、ジュリアを恐怖の谷底へと追い込んでいる。
ジュリアを一瞥して、カノンはミランダに言った。
「『慣らし運転』の調子はどう?」
「はい、カノン様。パワー供給レベルを1に設定し、対象に送り込みました。サイコパワー伝導率は、最小値が22%、最高値は35%を計測」
ベガ様の見込み通り。
カノンは、恐ろしい程のポテンシャルを持つジュリアを歓喜の目で見つめた。
サイコパワーは人体を強化する力を無限に秘めているが、一方で、人間がもつ破壊性を異常に刺激する。
最初からサイコパワーを大量に人間に与えてしまうと、膨張した破壊衝動が精神を食らいつくし、結果、殺意に飢えた獣へと変えてしまうのだ。
「殺意の波動」とも呼ばれることのあるそれは、本来、ベガのような、負の思念を真っ向から受け止めきれる程の、類稀な素質が備わっている者でしか扱える力ではないのだ。
何もかもを壊された廃人は使い物にならない。
対象を使い物にならないようにしない為にも、最初の「慣らし」は重要だ。
どのような反応を見せたかによって、サイコパワーをどれだけ流し込んでいいものかを測るのだ。
ジュリアの反応を見て、カノンが下した決定は、
「パワー供給レベルを3に移行」
アリスが装置を起動させ始めた。機械の起動ランプが点灯し、再びジュリアへサイコパワーが送り込まれる。
先ほど供給されたものの倍のパワーだ。
「ひっ!!!!」
ジュリアが再び葛藤の世界に戻っていく。限界まで背を反らして、虚ろな目を限界まで見開いて天を仰いだ。
「いやああああああああ!!!」
「『洗脳プログラム1』を実行します」
ジュリアの悲鳴をよそに、研究員が装置の操作盤に手をかけて、手慣れた手つきで次々と操作していく。


653:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:14:30 e0TGAGpp
[破壊したい 壊したい 全てを壊したい]

「違う!!違うの!!私は!!!」

『 破壊 殺戮 破壊 殺戮 』

「もうやめて!!お願い!だから……ああああ!!!!」

[破壊したい!!全て壊したい!!! 我慢できない!!!]

『 破壊 殺戮 殲滅 殺戮 破壊』

「こわし……た……いやっ!!いやああああ!!!」

『 破壊 受け入れる 殺戮 受け入れる 殲滅 受け入れる 殺戮 受け入れる 破壊』

(壊したい……)

「駄目っ!!!だめぇえええええ!!!」

[我慢する必要はない ただ解き放つだけ]

(解き、放つ……)

「私は!!私は!!!」

654:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:15:06 e0TGAGpp
サイコパワーの供給レベルを3に移行してから一時間。彼女の心の限界はピークに達していた。
変革される精神は、負の感情を無茶苦茶な配分で掻き混ぜた、ドロドロのカクテルと化していた。
心をバラバラに破壊され、望まない形に組みかえられていく、経験したことのない苦痛の世界に彼女はいた。
抵抗しようとも、その意思が粉々に粉砕されてしまい、どうにもならない。
『 破壊 全て受け入れる 殺戮 全て受け入れる 殲滅 全て受け入れる 殺戮 全て受け入れる 』
(受け入れる……)
「……ああ!!受け……い……」
ついに本能が理性を上回り始めた。膨張した衝動を理性では抑えきれなくなり、徐々に本能に従い始めているのだ。
支配の逆転。
これまで理性に抑えつけられ、支配を受けていた本能は、サイコパワーの後ろ盾を得て、激しい反乱を起こしている。
本能が理性を凌駕すると、被暗示性が極限にまで高められ、どんな無茶な暗示さえも受け入れてしまう状態になる。
『全て受け入れる 受け入れなければならない』
『受け入れなければならない 衝動に身を任
せる 委ねる 委ねる』
洗脳装置は、対象の声を徹底分析し、独自の音声出力システムで「本人の声」を生成する。
その音声で紡がれた暗示を、ヘッドフォンを通じて対象の耳へ注ぎ入れるのだ。
本能を剥き出しにした人間は、自分の声を、そのまま自分の考えとして受け入れてしまう。
自身の声が与える暗示は、第三者が与える暗示とは比べ物にならないほどの影響を脳に及ぼすのだ。
『委ねる 全てを委ねる 逆らわない 逆らえない』
『逆らわない 逆らえない 委ねる 衝動のままに』
(さか……らわない……)
「さからわ……いや……!!さか……」
[我慢できない!!!壊す!!殺す!!!殺す!!!]
『逆らわない 逆らえない 委ねる 衝動のままに』
(ころす 破壊する)
「あああ……!!ころ……す……いあ、うわっ、はかいす……はかいする!」
自分の声が耳元で囁くたびに、ジュリアはいとも簡単に思考を操作され、自身を捻じ曲げてしまう。
崩れる心の様を体現するように、彼女の顔つきも、だんだんと力を失った、弛緩したものへと変化していった。
ジュリアの心の扉は、闇から差し伸べられる手によって開かれようとしていた。
「ころす……殺す……」

655:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:15:52 e0TGAGpp
「ストップ。休息時間よ」
カノンの指示と同時に、洗脳装置はジュリアに電気信号を送った。意識のブレーカーを落とし、強制的に失神状態に追い込むものだ。
「あっ」
驚いたような声を残して、すとんと、糸が切れたようにジュリアの意識は落ちた。
かちりと音がして、彼女を拘束していたリングは一斉に外れた。カノンの手で、頭を覆っているヘッドギアも外される。
「カプセルに運びなさい」
「はい。カノン様」
ミランダとアリスは、イスに座るジュリアの両隣りに並び、肩を担いで立たせると、カプセルの方へと歩いて行った。
二人に連れられるジュリアの顔は穏やかだった。先ほどまで抵抗の叫びをあげ続けていた者とは思えない。
ジュリアは再びカプセルの中に入れられた。手足もリングで固定される。そして、蓋が静かに閉じられた。
「休息プログラム作動」
ジュリアの口に気圧マスクが張り付いた。コードが一斉に体の各所に伸びて、先端の吸盤が柔肌に吸いついていく。
「カプセル内に栄養液を満たします」
エメラルドの液体が、カプセル内に溢れ出した。ジュリアの体をゆっくりと登り、包み込んでいく。
サイコパワーの供給は時間をかけて行われる。
精神の変調と同時に、サイコパワーは急激な肉体組成の変質を促す。
筋肉の増強は、対象の肉体に激しい疲労を刻むため、適度な休養が必要となるのだ。
また、張りつめた緊張状態にあった意識を、一度シャットダウンさせることで、脳に与えた情報を整理させるという目的もある。
液体がカプセル内を完全に満たした。
ジュリアのブラウンの髪は、高濃度栄養液の中で、なめらかに浮き沈みを繰り返していた。
体を包む栄養液は、皮膚を介して全身の筋肉を癒し、さらなる強化への基盤を作っていく。
「対象の進捗データを確保しました。読み上げます」
アリスがモニタ画面に映るデータを読み上げ始めた。
「全体進捗状況7%。筋組織増強可能容量残86%。精神支配率9%。最終抵抗数値145……」
 

656:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:16:27 e0TGAGpp
▽第二回測定結果報告
  全体進捗状況…7%
  筋組織増強可能容量残…86%
  精神支配率…9%   
  最終抵抗数値…145
  サイコパワー伝導率
 ・最小値…21%
 ・最高値…39%
  重点プログラム内容…破壊衝動に訴えかける、攻撃性の強化。
  特記事項
 ・素晴らしい筋組織。代謝レベルの示す通りの結果を現している。
  精神支配率が若干低いため、与える暗示の発声頻度を引き上げるものとする。


 ○前回測定結果
  オルガスムス回数…32回
  最高興奮値…164
  最高性感度数…143
   
  肉体組成値…145 
  特筆事項…下半身、特に脚部の組成値が著しく高い。
  本能レベル…94
  代謝レベル…98 

 ○適性診断結果(F~S)
  適性職種
  研究員…C
  戦闘員…A+
  工作員…B

 ○追記事項
  測定を見直した結果、戦闘員適性をA++に変更する。

657:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:17:08 e0TGAGpp
休憩を途中で挟みつつ、教育は進んでいった。
3度目の教育を受ける頃には、ヘッドギアから与えられるサイコパワーと、彼女自身の声によって語られる暗示に抵抗する意思も見えなくなっていた。
彼女の表情にも、目に見えて変化が現れていた。
まぶたはとろんと、半ば力なく下がり、口の端から唾液を垂れ流していた。
瞳孔の収縮した瞳は、一体、どこを見ているものか分からない。放心状態にあるかのような、呆けた表情だ。
全身の筋肉は電流を流されているかのように、ビクビクと痙攣を起こしていた。
サイコパワーが全身の代謝を異常な速度で促しているのだ。通常では考えられない速度で彼女の筋力強化は進んでいた。    
だが、順調に見えた洗脳教育、肉体改造は、4回目の教育に差し掛かった時に壁にぶつかった。
恋人の存在である。
『忘れる 忘れる 忘れる』
(ホーク!!助けて!!)
「私は……!!うう……」
消えていく恋人の姿を心から手放すまいと、彼女は頑として暗示を受け入れない。
「よくあることだけど、面倒よね」
サイコパワーにより、ジュリアの破壊衝動を膨張させ、彼女に眠る本能を解放したあと、
カノンはジュリアの持つ、余計な記憶の削除に入ったのだが、すぐに問題に直面した。
ジュリアが抱く恋人への想いは、暗示を受け付ける隙間が無い程に強固なものだったのだ。
ジュリアの心の中の大切な部分、これからベガが入るべき位置に、T=ホークという邪魔者がいるのである。
『 ホーク 忘れる 忘れる 消える』
「ホーク!!ああ!!私は……!!私は……!!」
折角封じ込めた理性が再び戻ってきている。
カノンは操作盤に向かい、音声出力プログラムを呼び出した。
ホークという存在を忘れさせるより先に、ホークに対する疑念を植え付けるよう、処理方針を変更する為だ。
「ジュリアがホークを忘れられないのは、恋人が今の状況を打開してくれると固く信じているからよ。あなたがどこまで恋人のことを想っているのか、試してあげるわ」
カノンの操作が完了すると、ジュリアに囁く言葉が変化した。
『ホーク 憎い なぜ助けてくれない ホーク 憎い 』
(嫌!!嫌!!)
「ホークは……そんなのじゃ……!」
『 なぜ助けてくれない 助けて欲しいのに 憎い 』
「ホーク……たす……けて」
彼女の虚ろな瞳から、一筋の涙が流れる。それに構うことなく、「自身の声」はホークに対する疑念を植え付けていく。
『 助けて欲しいのに なぜ なぜ 苦しい 信じられない もう信じることができない』
(信じ……)
『信じられない 信じられない 信じられない』
「信じ……られない……」
ほんの少しの疑念。そこから生じた疑心の傷口を、暗示が急速に広げていく。
「ホーク……助けて欲しいのに……」

658:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:17:36 e0TGAGpp

 ▽第四回測定結果報告
  全体進捗状況…21%
  筋組織増強可能容量残…73%
  精神支配率…16%   
  最終抵抗数値…132
  サイコパワー伝導率
  ・最小値…12%
  ・最高値…27%

  特記事項
  T=ホークの存在が、対象の洗脳教育を妨げている。
  サイコパワー伝導率に影響がみられるが、プログラムの進行には何等支障は無い。
  当初の、対象の記憶からT=ホークを消去する方針から、T=ホークへの疑念を植え付ける方向へと変更し、様子を見るものとする。

659:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:18:07 e0TGAGpp
『 ホーク 殺す 裏切った 許さない ホーク 殺す 裏切った 許さない』
「許さない……」
ギラギラした瞳には明確な敵意が見て取れる。サイコパワーが、ジュリアの負の感情にしっかりと結びついた証だ。
ジュリアが抱いている恋人への想いを崩し始めて3時間が経過していた。
カノンは、ジュリアの中に居座るホークを、「自分を救ってくれない裏切り者」として、時間をかけて認識させていった。
負の感情が増幅しきった心は、少し誘導をかけただけで疑心を生み、激しい憎悪に変換していった。
最初は教育の邪魔でしかなかった恋人の存在は、ここへきて、彼女の攻撃性を大きく高める要素の一つに変質していた。
『 裏切りものには 罰を 私が くだす』
「裏切り者には罰を……」
『 ホークに死を 裏切り者に死を 』
「死を……罰を……」
もう葛藤の叫びはあがらない。彼女の心が、何の抵抗も無く暗黒を受け入れているのだ。
うわごとのように憎しみを口にする唇は、邪悪な笑みさえ浮かんでいた。
闇に酔いしれている。
『裏切り者に死を 力が欲しい 力が欲しい』
暗示が次の段階に入った。紡がれる単語が別種のものへ移り替わる。
『制裁を加えるため 力がいる 誰にも負けない 圧倒的な力』
「圧倒的な……力」
『皆がひれ伏す力』 
「ひれ伏す……」
自らを裏切った男を排除したいと願わせ、次に圧倒的な力が欲しいと願わせる。
そして徐々に軌道を、シャドルーへの絶対の忠誠を誓わせる方向へと曲げていくのだ。
「欲しい……力が欲しい」
『力を得るため シャドルーに誓う 』
「力を得るため……シャドルーに……従う」
拒絶していた筈の単語を、何の抵抗も無く口にしていた。
もう彼女は、暗示の海と溢れる負の力の導きによって、二度と以前の自分には戻れない位置に立っていた。
『シャドルーはあなたを導く あなたに力を与える シャドルーに従う 』
とうとうとヘッドフォンが語りかける内容を、能面のような表情でジュリアは聴き続けた。
語られる言葉が、心地よく耳をくすぐる。
想いを口にすると、力を渇望する心が喜びに震えだす。
「シャドルーは……私を……」
緩慢に、しかし確実に。
彼女の心は、シャドルーの所有物へと着実に変化していった。


660:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:18:36 e0TGAGpp
 ▽第六回測定結果報告
   全体進捗状況:56%
   筋組織増強可能容量残:46%
   精神支配率:45%   
   最終抵抗数値:64
   サイコパワー伝導率
  ・最小値:43%
  ・最高値:67%

  特記事項
   大きな進行率を記録。T=ホークに対する懐疑心が、サイコパワーと同調した結果と思われる。
   これは、親衛隊№4『アプリーレ』の洗脳教育の際に見られた反応とほぼ同一の反応である。
   サイコパワーと感情の因果関係を証明する、実証結果の一つとして報告する。


661:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:19:13 e0TGAGpp
「センサーの感度良好。これより対象にベガ様への忠誠を刷り込みます」
首筋、乳房の側面、わき腹、下腹部、内腿。洗脳装置から伸びたコードが、ジュリアの性感帯の各所へ、触手のように張り巡らされていた。
コードの先端には、黒い四角形のパッドが取り付けられ、ジュリアの肌に貼りついている。
先ほどまでは無かったこれらのセンサーは、微弱な電流を体内に流すことにより、深い性的快感を人体に与えるものだ。
ミランダが注射器を取り出した。ピストン部を押し上げると、針の先から青白い液体が玉のように飛び出す。
「ブレインシュガー」の名で呼ばれる、シャドルーが生み出した精神特効薬の一つである。
ミランダはジュリアの首筋に注射針を突き立てた。
「対象に薬剤を投与」
首筋にちくりとした痛み。
静脈に注入された薬剤は、すぐに全身へ駆け巡る。
「ん……」
薬剤が投与されてすぐに、ジュリアの無感動だった表情が、夢見る少女のように、うっとりとしたものへと変化した。
幸せにたるんだ唇、うるんだ瞳。
「う……んはぁ……」
まどろむような気持ち良さの中で、ジュリアは幸福感を噛みしめていた。
どこまでも飛んでいけるような気分。
ぷかぷかと海の上に浮かんでいるような感覚。
もう何がどうなってもこの気持ち良ささえあればいいという倦怠感。 
思考力を麻痺させて、ただ多幸感を味わわせ続けるのがブレインシュガーの効力だ。
その幸福感は、大切な人とのセックスで味わうことのできるそれと酷似したものである。
「興奮数値76。……81……」
装置に設置された計測器が、ジュリアの心の動きを正確に割り出す。
「興奮数値100を超えました。これよりベガ様への忠誠心を植え付けます」
彼女の耳を覆うヘッドフォンが、再び彼女自身の声で囁きだす。
『シャドルー総統 ベガ様 愛している シャドルー総統 ベガ様 愛している』
暗示漬けになった脳は、すぐに新しい暗示を受け入れていった。
「シャドルー総統……ベガ様……」
蕩けるような声で、ジュリアはつぶやいた。

662:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:19:56 e0TGAGpp
ドクン

「ふあっ!!」
突然、はじけるような波動を感じて、ジュリアの体がはねた。
『ベガ様 愛している ベガ様 愛している』
快楽の衝撃に心臓をドキドキと高鳴らせるジュリアに構わず、装置は耳元で暗示を繰り返す。
『ベガ様 愛している ベガ様 愛している』
「ベガ様……愛してる……」
再びあの波動がやってきた。体全体を揺さぶる衝撃。
「ああっ!!」
嬌声が上がった。背が勢いよく反りあがる。
衝撃の後に、砂糖菓子のように甘い余韻がやってきた。
余韻は多幸感に姿を変えて、既に蕩けたジュリアを優しく包み込む。
(きもひ……いい)
ジュリアが暗示を受け入れるたびに、体中のセンサーが反応し、電流を肉体に流す。
痺れは激しい性感を生み、肉体の諸器官を興奮状態に追い込んでいく。
ジュリアが夢中になっているのは、電流が与える刹那の衝撃では無かった。
体が跳ね上がるほどの激震の後にやってくる、身を包みこむような、優しい余韻がたまらないのだ。
にじむような幸福感が、大きな安心感を纏ってやってくる。
「ベガ様……ベガさまぁ……」
体をビクンビクンと震わせながら、ジュリアは何度も口にした。
幸福感欲しさにベガの名を口にする様は、まるでご褒美をねだって芸をする犬のようだった。
(ベガさま、愛してます)
口先だけではなく、心から彼女はベガを慕い始めていた。
『ベガ様に捧げる ベガ様に全てを捧げる』
『ベガ様に尽くす ベガ様に愛を尽くす』
次々に言葉を変えて、耳をくすぐり続ける暗示を、ジュリアは幸せに身悶えしながら受け入れる。
「捧げますっ!!愛します!!ベガさまぁ!!」
(ベガ様に愛されたい。他の人なんてどうでもいい)
だらしなく口端から唾液が出るのを気にせず、カノン達が見ている前で、何度も何度も愛を告白した。
彼女には、その愛が洗脳によって与えられたものだという意識は無い。
最初から、それも生まれる前から、自分はベガに恋し、愛を捧げ続けているのだと信じ切っていた。
「見ているこちらが恥ずかしいぐらい、本当にいい感じに仕上がってきているわ」
洗脳の成果に、カノンは満足気だった。このプロセスを経過すると、女性なら誰だってこうなるのだ。
共にジュリアの洗脳を担当している女性研究員二人も、今のジュリアと同じように、燃え尽きるような愛に狂ったのだから。 
ベガの存在に依存しきった心身は、二度と他の男に振り向くことは無い。
このプロセスを経ることで、ベガの言葉に喜びを感じ、ベガの愛撫に身を焦がせる、身も心もベガのカリスマに魅入られた人間が誕生するのだ。
プロセスが始まって20分。
すでにジュリアの心の中は、ベガへの愛で満たされていると言ってもいい状態だったが、まだまだ、ベガに対する愛情は時間をかけ、入念に行われる。
ベガに最も近い位置に立ち、ベガに対する寵愛を受けることになる親衛隊には、「忠誠心」以上の、「愛慕」を刻み込まなければならないのだ。
親衛隊は、文字通り、心身を捧げつくす存在だ。自ら進んでベガの慰め物になるのも、親衛隊の重要な任務の一つであり、また至高のご褒美なのである。
「ふぁ、あっ」
柔肌に取りつくセンサーは、強烈な刺激を与えると同時に、快楽中枢に働きかけ、より深い性感を得ることができる体へと改造していた。
ベガの愛撫に酔い、悶え、絶頂するように、より淫蕩な体へと変えられていく。
イスの座面が濡れていた。ジュリアから溢れた愛欲が濡らしたものだ。乳首も興奮で反り立っていた。
『ベガ様しか私を満たせない 他の男では満たされない』
『ベガ様が触れると感じる ベガ様以外の男では物足りない』
『ベガ様が触ると気持ちいい 病みつきになる』
ジュリアの心に取りつけられる、見えない貞操帯。深層にまで達する暗示が、ベガ以外の異性の存在をかすませる。
ベガ以外では満たされない淫蕩な肉体。
極限まで強化された性感は、ベガを満足させる為、ベガによって与えられるご褒美を享受する為にあるのだ。
「ベガさま!!ベガさまああああああ!!!」
未来の親衛隊は、言葉を覚えたばかりの幼児のように、同じ単語を何度も繰り返し、心に刻んでいった。

663:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:20:31 e0TGAGpp

 ▽第七回測定結果報告
  全体進捗状況:72%
  筋組織増強可能容量残:46%
  精神支配率:92%
  性感度(調整前)
  ・口腔:45
  ・耳:23
  ・首:21
  ・胸部:47
  ・腹部:32
  ・腕:12
  ・性器諸器官:56
  ・脚足:32
   
  性感度(調整後)
  ・口腔:67
  ・耳:34
  ・首:41
  ・胸部:82
  ・腹部:53
  ・腕:32
  ・性器諸器官:97
  ・脚足:67

  特記事項
  胸部、脚部における性感度上昇具合が素晴らしい。乳首は、調整前のクリトリスよりも感度を増している。

664:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:21:17 e0TGAGpp
再び、サイコパワーの供給に入った。洗脳事態はほぼ完了しており、最後は体組織の増強に焦点があてられていた。
サイコパワー供給レベルは最高の5。
全身の筋肉は激しいマッサージを受けているかのように、ビクビクと痙攣を起こしていた。
だが、彼女の存在を定義する、最後の暗示を受け入れるために、これまでよりも一層神経を集中させている彼女は、そのことを全く気にも留める様子はなかった。
「私はシャドルーに絶対の忠誠を誓います」
これまでの洗脳過程を経たジュリアは、はっきりと忠誠の言葉を紡いでいく。
そこに、以前あった葛藤や、苦痛の表情はもう無い。
「シャドルーの野望を成就する為に力を尽くします」
抑揚の無い声だが、非常に明瞭な響きだ。
「永遠の忠誠をベガ様に……」
彼女はもう以前の彼女ではなかった。シャドルーに身を捧げる親衛隊の一人。
「私は『ユーリ』。ベガ様を護衛する、誇り高き親衛隊ナンバー7、『ユーリ』」
ジュリアと呼ばれた女が消え、誇り高き洗脳兵士ユーリが誕生した瞬間だった。
   
「ストップ。彼女の意識をそのままに、装置を停止させなさい」
装置が停止される。  
「報告します。暗示プログラム・忠誠刷り込みプログラムにより、対象の洗脳過程を無事終了いたしました」
ミランダが現在の状況を報告した。
その横で、ジュリアは冷徹な瞳で前方を眺めていた。
感情が失われた表情は、かつて明るさを振りまいていたころの面影を欠片も残してはいない。
教育開始当初と比べて、ジュリアの筋肉が引き締まっているのが分かる。
元々鍛えられていた腕の筋肉も、太さは以前とさほど変わらないものの、さらなる発達が一目でうかがえた。
腹部も、余計な脂肪がそぎ落とされたため、筋肉の線を一層美しく覗かせていた。
データが示した通り、脚部の筋肉の発達が素晴らしく、特にふくらはぎの筋組織が魅力を放っていた。 
彼女の思考は、教育の影響で大きく変革されていた。
無表情に前方を見つめ続けながらも、彼女の脳裏に横たわるのはシャドルー総帥への絶対の忠誠だ。
カノンによって、ジュリアの耳を覆うヘッドフォンが外された。カノンが言葉を囁く。
「ユーリ。聞こえるわね」
「はい……聞こえます」
抑揚のない声でジュリアは言った。
忠誠の楔が、彼女の脳裏にしっかりと食い込んでいる。シャドルーの研究者である、カノンにも、その従属は向けられていた。
「あなたは誰かしら?」
カノンの問いに、ジュリアは従順に答える。
「親衛隊ナンバー7、ユーリでございます」
迷いなく、はっきりと彼女は口にした。
「ジュリアからユーリに生まれ変わったわけだけど、気分はどう?」
「素晴らしい気分でございます。親衛隊に選ばれて、私は幸せで一杯です。カノン様は私に最大の誇りを与えてくださいました。感謝してもしきれない思いです」
嬉しさを抑えて、カノンは続けて言った。
「あなたの主は誰かしら?」
「シャドルー総帥……ベガ様です」
言葉を口にした時、人形のようだった「ユーリ」の顔が、僅かに蕩けたのをカノンは見逃さなかった。

665:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:22:49 e0TGAGpp
軽く質問を終えると、カノンは再びユーリを休養させるよう、ミランダ達に指示を与えた。   
洗脳が終了し、肉体を強化したものの、今のユーリはまだ、戦闘員として必要な技能は何も身についていない状態だ。
「ここからが肝心ね」
 
 ▽第八回測定結果報告
  全体進捗状況:85%。
  筋組織増強可能容量残:0%
  精神支配率:100%   
  最終抵抗数値:0
  サイコパワー伝導率
・最小値:96%
 ・最高値:100%
  備考:これより、技能習得プログラムに移るものとする。

666:名無しさん@ピンキー
10/03/27 22:26:14 e0TGAGpp
2回目はここまでです。地文が長いのがネックですねん。
ラストの3回目のアゲは、調整の為、早くて明日の昼、遅くて夜ごろになりそうです。
長くて申し訳ないですがよろしくおねがいです。

667:名無しさん@ピンキー
10/03/27 22:34:30 XH5bcYZZ
ありがたいことじゃ

668:名無しさん@ピンキー
10/03/27 22:37:44 eUYxsdnH
>>666
手早い仕事乙
機械姦好きなんで個人的に描写濃いのは嬉しいよ

669:名無しさん@ピンキー
10/03/28 02:49:41 5SNfM6bi
>>627
すごい、まさに626で言った通りのストーリーのゲームだ!ありがとう!
気に入ったからさっそく公式ホームページとか色々見てみた。
かなりいいゲームだけどいい点と微妙な点もあった。
キャラに関しては1が1人いいのがいる。2は公式の画像が宇宙服みたいなの着てるからわかりにくいけど6人いいキャラがいるから
いいキャラの数からして2の方がいいな。天堂樹梨が絵のうつり方によって微妙になったりよくなったりするね。
きょにゅうキャラが多いようだけど個人的にはあんまりでかすぎて作りものみたいで不自然に感じるから胸は普通サイズでいいと思う。
まず豹藤あづみは性格や雰囲気的に男みたいで女として見れないのは残念。天堂静香は年増だから微妙。
緋風すずは御剣夕子なんかはかなりいいな。あと公式を見る限りではキャラクターは性格が魅力的。
公式画像にはmc時はマグロ目になるのはすごくいいと思うけどmc完了後がどうも通常の目に戻ってるのがかなり惜しい!
mc後はずっとほんの少し鋭いマグロ目だとよかった。ただ、mc後は目は普通に戻るけど目の下にT字型の模様ができるのが
悪堕ちした感じが出ててよかったなー。
この作品もそのようだけどセックスシーンはmc作品とそうでない作品の差がなくていまいちだし単調になりがちだから個人的にいらないと思った。
mc装置好きだから2の公式をみるとステファニー・ゴールドウェルが装置でmcされてるのがツボだった。紫色のマグロ目がかなりいい!
装置にかけられてる時胸の上あたりにあるブレスレットが洗脳道具でこの道具を通じてmc電波を受信させることで主人公の命令に従うという
仮面ライダーブラックのmcシーンみたいなのを期待してたけどどうやらそれは服についてるただの飾りっぽいことがわかってちょっと残念。
服も悪堕ち服がほしい。
まー、とにかく女キャラ(特に2)とストーリーがすごくいいから買う。

MAIKAの人ここ見てないかなー。見てたらぜひともこの意見をゲーム作りに反映してほしい。
こんなにいいゲームなのに2が発売された2005年7月8日以来3が出てないのがすごく残念…。
ターゲットの女キャラを一新してまた発売してほしい。
他にもこういうゲームないかな。

670:名無しさん@ピンキー
10/03/28 06:41:20 iWJPe+8d
ただ一言…神

671:名無しさん@ピンキー
10/03/28 09:59:42 S7PtJo/n
>>669
テンプレ見れよ
と、思ったらwikiってタイトルだけ紹介で詳細はないのだな
ユズレンジャー→サイレンジャーもほぼ同じパターンだよ

672:名無しさん@ピンキー
10/03/28 15:13:48 BcxIYADM
ユーリプロジェクト最終回を投下させていただきます。
最後の方は百合注意です。
あと、今回も長いです。多大なるスレ消費をお許しください。

673:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:14:27 BcxIYADM
イスに腰掛けるユーリの体の各所にセンサーが取り付けられた。
忠誠刷り込みプログラムの時とは違う、紫色の端子が身を覆う。
ユーリにサイコパワーを与えていた、おなじみのヘッドギアは外され、代わりに顔まで覆い隠す紫色のヘルメットがかぶせられた。
洗脳装置からコードが伸びているのはヘッドギアと同じだ。
「これから、訓練プログラムに移行します」
カノン達は、次なるプログラム、訓練プログラムの準備に取り掛かっていた。 
「戦闘技能の習得・訓練を擬似戦闘プログラムにより行います」
ヘルメットの頭頂部に備えられたランプが、真っ赤に点灯する。
「擬似戦闘プログラム開始」
ミランダがそう言った瞬間。
突然、ユーリの視界が真っ白に染まっていった。
10秒足らずで異世界へとワープするような、これまで彼女が体験したことの無い感覚。
研究室から一瞬で、見えない翼によって、彼女の体はどこか遠い、異世界へと運ばれた。
(……)
異様な感覚にも、ユーリは全く動じることがなかった。ただ無感動に現状を観察する。
視界に拡がるのは白一色の世界だ。白色があるだけで、他には何もない。温度は、暖かくもなく、寒くも無いと言ったところか。
全裸でイスに腰掛けていた筈のユーリだが、気付けば、地に足をつき、直立の姿勢を取っていた。
体を見ると、戦闘員のコスチュームである、紺色のバトルスーツを着用した姿だった。
体全体にフィットするレオタードのような戦闘服の感触は、なめらかで気持ちがいいものだった。
腕に付いた赤いナックルパーツも、重そうな見た目には似合わぬ軽さで、しっかりとユーリの体に馴染んでいる。
『ユーリ。私の声が聞こえる?』
「はい。カノン様」
聞こえてきたのはカノンの声だった。ここではない、どこか遠くから響いて聞こえる。
『ここは、あなたの脳が作りだした、仮想空間の中よ。あなたには、この空間の中で様々な技能を試してもらうわ。私の言う意味が分かるかしら』
「はい。理解できます」
『よろしい。……これから、あなたの脳に戦闘プログラムをインプットするわ。あなたは自然に、インプットされた通りの動きが出来るようになる』
「……」
『これからあなたの前に排除対象が現れるの。私がインプットするプログラム通りに、対象を排除しなさい』
「―排除」
ユーリの目に凶気の光が宿った。口元には邪悪な笑みが浮かびあがっている。
『あなたが優秀な戦闘員になることを願っているわ。……では、始めましょう』
開始の合図とともに、5メートル程先にふっと、黒い人影が現れた。

674:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:15:34 BcxIYADM
まるで最初からそこにあったとでも言うように、唐突に現れたそれは、顔の無い、黒い人形のようなものだった。
人形は、男性をイメージした固く隆起した筋肉をつけている。
ユーリより背の高いそれが、ゆっくりと歩み寄ってきた。
『基礎プログラム1 インプット』
カノンの声と共に、ユーリの脳へ戦闘知識が一瞬で埋め込まれる。
「……!」 
ユーリの目が、驚きを表現するかのように大きく見開かれた。
脳がプログラムをインプットする際に起こる、反射反応の一種である。見開かれたまぶたはすぐに元に戻った。
ユーリの体が動き始めた。
直立状態から前傾姿勢に、まるで風に揺らめくような自然さで移行する。
彼女の長い髪が、見るものを幻惑するかのように揺らめいた。と同時に、右足は既に地を踏み出す力を蓄えている。
「対象を『排除』します」
プログラムされた通りの言葉が、ユーリの口から抑揚のない声質で発せられた。
足が地を蹴り込む。
5メーターの距離は、瞬きもせぬうちに縮められた。
人形の目前で、ユーリの足は急ブレーキをかけた。鋭く、甲高い音がブーツから発せられる。
異常な脚力から生み出されたエネルギーは、地を踏み、ブレーキをかけることでさらに増幅した。
エネルギーは彼女の体を伝い、下半身から上半身へ、そして右腕へと昇っていく。
腕に蓄積された爆発的エネルギーを、全て解き放つ。
ユーリの腕が人形に伸びる。人形の胸部に、凄まじい衝突エネルギーが集中し、爆ぜた。
骨を砕くような乾いた音が、白い世界にこだました。
限界まで引き伸ばしされたユーリの右腕。それが、人形の背から木の枝のように伸びている。
全てが一瞬だった。
「排除―『完了』」
冷たい声で、報告の言葉を口にした。
突き立てた腕を人形から引き抜くと、人形はどっと音を立てて地に伏した。倒れた人形は、次第に地に沈み込んで、消えた。
『基礎プログラム1。達成率96%』
研究員、アリスの報告が、ここでは無い、どこか遠くの世界から聞こえた。

675:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:16:18 BcxIYADM

「上出来よ。しっかり肉体が適応出来ている」 
嬉しげにカノンは言った。
「ありがとうございます。カノン様」
イスに腰掛けたユーリが、まっすぐ視線を向けたまま応える。
「さあ、次々とプログラムをインプットしていくわよ」
シャドルーの技術習得プログラムは、対象の大脳に強力な電気信号を与えることで、一瞬にして技能を習得させることが出来るものである。
「ラーニング」と言われるそれは、技能習得に必要な知識、運動を、1秒程度の僅かな時間で脳に叩きこむ強烈なものだ。
もちろん、普通の人間の脳が耐えきれるものではない。
だが、度重なるサイコパワーの供給を受けたユーリの脳は、常人とは桁違いの容量と、耐久性を獲得していた。
僅かの抵抗反応を起こしこそすれ、「ラーニング」によって脳が破壊されることはあり得ない。

イスに座り、ぼんやりと前方を眺めるユーリの意識は、カノンや研究者達とは違う、高次元の世界にある。
擬似戦闘プログラムが、ヘルメットを通じて、ユーリの脳に仮想現実を作りだしているのである。
仮想世界の中で、ユーリは装置から与えられた仮の肉体を、自在に動かすことができる。
仮の肉体とは言っても、体中に張り巡らされたセンサーによって伝えられた肉体組成値を元に、装置が徹底的に筋力量等を解析した物が反映されているために、現実の肉体とほとんど誤差はない。
つまり、ユーリはイスに座りながら、戦闘技術を習得し、実践することが出来るのである。
「排除、完了しました」
仮想現実で、またユーリが一つ任務をクリアしたようだった。
「基礎プログラム6。達成率97%。基礎プログラム7に移行します」
非常に飲み込みが早い。達成率もほとんどが98%前後にある。今のところ、なんら問題も無くラーニングが進んでいる。
今は戦闘術、殺人術の基礎習得に重点を置いているが、後程、要人暗殺プログラム、拉致プログラム、拷問プログラムと、より複雑な技能を習得させていくのだ。
ユーリの洗脳教育は、着実にコンプリートに向かっている。

  ▽第九回測定結果報告
  全体進捗状況:92%。
  現プログラム内容:基礎技能習得過程Ⅰ
  技能習得率:26%

  特記事項
  問題無く技能習得が行えている。平均数値98%は脅威である。

676:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:16:49 BcxIYADM
「任務、完了致しました」
ユーリの前には、世界的な格闘家で知られる男が、血まみれの状態で息絶えていた。
タイの国技、カポエラを扱うこの男を仕留めるのにかかった時間は、わずか4分程度であった。
『戦闘プログラム53。達成率94%。戦闘プログラム54に移行します』
仮想現実の中での、異様な訓練は、格闘家達との模擬戦闘に移っていた。
シャドルーが把握する要注意人物の中に、格闘家は145名いる。その中で、はっきりとしたデータが取れているのは65名だ。
このプログラムは、対人戦闘経験を積むことを目的に、格闘家65名との模擬戦闘を行うものである。
ユーリは、淡々と格闘家達を葬り去り、好成績を維持していた。
『戦闘プログラム54を開始します』
先ほど倒した格闘家の姿が霧のように消えた。
代わりにユーリの目の前に現れたのは、天を衝くかのような大男だった。筋骨隆々の、逞しい男だ。
「……!」
ユーリの表情に動揺が走った。

眼前に立つ男は、T=ホーク。
大自然を愛し、シャドルーに敵対するメキシコの英雄、そして、「ジュリア」の恋人でもある男だ。

「僅かに、葛藤が見えるわね」
操作モニタの数値を見ながら、カノンはつぶやいた。
先のプログラムの中で、徹底的にT=ホークに対する嫌悪感情を与えた筈であるのに、ここに至って、葛藤が垣間見えるのは何故か。
「不愉快ね」
そうぼやきながらも、彼女はプログラムを続けていく。


677:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:17:23 BcxIYADM
「ジュリア!ジュリアじゃないか」
T=ホーク、いや、正確には、T=ホークを模倣したプログラム生命体は、本人が見せるであろう反応を、そのままシミュレートした。
「どうしたんだ……その格好は、シャドルーの奴らに何かされたのか」
彼は巨体に似合わぬ涙を流し始めた。そしてゆっくりと近づいてくる。
「そんな冷たい顔をしないでくれ。あの明るい顔を見せ―」
「私に近寄るな」
刺すように鋭い言葉がユーリから放たれた。冷たい瞳をホークに向けている。
「ジュリア……お前……」
「対象を『排除』します」
即座に、ユーリは上体を強くひねった。力を溜めて、空を切り裂くかのような鋭い回し蹴りが放たれる。
「ジュリア……」
ホークの悲しい声も空しく、ユーリの右足が彼の左腕に食い込んだ。丸太のような太腕から、骨の折れる嫌な音が聞こえてきた。
「ぐうっ!!」
くぐもった声を出して痛みを耐えるホークに、ユーリはすかさず、天を突くようなアッパーをその顎に叩きこんだ。
「がうああっ!!!」
巨体が空を飛び、しばらくしてから地に強く叩きつけられた。細身の女性が放ったとは思えない、重い一撃だった。
「ジュ……リア……!」
仰向けに地面に横たわるホークは、まだジュリアの名を呼んでいた。呼びかけ続ければ彼女の心が戻る、そう信じてでもいるかのような、半ば盲目的な行動である。
その呼びかけを無視し、ただ無感動に、ユーリはホークの方へと歩を進めていった。
「目を……覚ますんだ。お前はシャドルーに」
ホークの腹に、ユーリは馬乗りになった。体をひねり、腕に力を込める。手刀で一気に、ホークの分厚い胸板を貫こうとする態勢だ。
「―排除する」
手刀が無慈悲に胸板を貫いた。

678:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:17:58 BcxIYADM
『戦闘プログラム54。達成率61%』
『ためらいが見えるわね』
遠くからの声を聞いているのかいないのか、ユーリはホークの亡骸をただじっと見ていた。
『ユーリ、聞こえるわね』
「はい」
『ためらいが見えたわ。戦闘技術に長けたあなたなら、もっと迅速に仕留めることが可能なはずよ』
「……」
カノンの声を聞いている今も、彼女はホークを見つめていた。これまでと変わらない、感情を宿さない目ではあるが、そこには確かに、何かが込められていたのである。

「……カノン様」
ユーリが静かに口を開いた。
「もう一度チャンスを頂けませんでしょうか」
その瞳は、再び凶気をはらみだした。垣間見えた何かは、もう影も見えない。
「今度こそ、的確に任務をこなして御覧にいれます」
 
 

 ▽第10回測定結果報告
  全体進捗状況:95%。
  技能習得率:85%
  現プログラム内容:戦闘プログラム、要人暗殺プログラム、拉致プログラム

  特記事項
  戦闘プログラム54の際、不具合を見せるが、再演習を3度繰り返した結果、達成率平均98%を記録。
  問題無しと判断する。


679:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:18:39 BcxIYADM
「ユーリの調子はどうだ、カノン」
「はい。洗脳教育は全て完了しております。現在、技能習得プログラムに移り、その内の一つ、性技習得プログラムを行っているところです」
カノンが立っているのは、シャドルー本部の中で最も豪華絢爛な空間、ベガの私室だった。
部屋の中には、陶器や絵画等の、世界各国から集めたコレクションが飾られている他、拷問具等の悪趣味を極めた物まであつらえてあった。豪華さと陰湿さが妙に馴染んだ、独特な空間である。
ベガは、煌びやかに宝石がちりばめられたイスに腰掛けていた。顎を手でさすり、満足げな表情をカノンに向けている。 
「『ユーニ』と言い、『ユーリ』と言い。好い人材に恵まれたものだな、カノンよ」
そう言って、ベガは隣で直立姿勢を取る少女、親衛隊ナンバー5、サツキを見やった。
凛とした表情で立つ彼女の体にも、濃紺色の素材がぴったりと吸いついていた。
ベガの手がゆっくりと伸び、短く切り揃えられた黒髪に触れる。
「ふああっ!!」
頭に手の平が触れただけで、サツキは敏感に反応した。
頭部から足先までを、全ての部位を小刻みに震わせながら、気持ちよさげに喘いでいる。
髪を撫で、一通りの感触を楽しんだ後、ベガの指は、彼女の端正な顔に触れた。サツキの顔は、男はもちろん、女も見惚れる、中性的なものだ。
そして、ベガの指は降り、サツキの薄い乳房を優しく包み始めた。
小さな膨らみは、これでも女なんだと主張するかのように、ふかふかとした柔らかい感触をベガに伝える。
優しくさすられただけで、彼女の顔は発情した牝犬のように蕩け出した。
同性であるカノンが見ている前で、あけっぴろげに淫乱な姿をさらしている。
「サツキ。お前も、新しい仲間が出来て嬉しいだろう、ん?」
バトルスーツを押し上げる突起部分をつまみ、ベガはサツキに問いかけた。
「はい……。あっ!っ、わ……わたひも、うれしいですっ!」
サツキは、最愛の人に敏感な箇所を触れられて、頬を赤らめる一方、平常心を保とうと苦心していた。
負けず嫌いのサツキは、ベガの愛撫に身を任せる際、いつも乱れまいと決心して挑むのだが、彼女の試みは未だ達成されたことがない。
試みの失敗は、自分より強い男に負けたという、マゾヒスティックの香りがほのかにただよう、心地のいい堕落感をサツキに運んでくる。
いつもの凛とした表情はもう見えず、あるのは発情しきった負け犬の顔だった。
「べ……ベガさまっ、はあっ!」
だらしなく嬌声をあげ続けるサツキも、一度戦場に立つと、獲物を射抜く鷹のような目をした冷酷な表情へと変貌し、日本刀を手に血の舞踊を繰り広げる非情のアサシンと化す。
少女と言える年齢の彼女も、シャドルーの技術により、徹底した肉体改造を施されているのだ。
「これで親衛隊は7名になる。我がシャドルーはさらなる躍進を見せることとなるだろう」
ベガの声の上から覆いかぶさるように、一際高い女の鳴き声が部屋に響き渡った。
サツキが纏うバトルスーツ、その股の部分に生じた黒い染みが、一層嫌らしく範囲を広めていった。

680:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:19:12 BcxIYADM
「んっ、はっ、ううんっ」
淫靡な水音が、白い世界に満ちていた。途切れることの無い音の発信源は、ユーリの唇の中にあった。
「べふぁ、さむぁ、あ、どうれす?きもひひです?」
男の象徴を、ユーリは嬉々として舐めあげていた。
喉の奥まで男を迎え入れる、舌で側面をなぞる、人差し指と親指の輪っかを絡ませて優しく愛撫する。
精液を吐き出させるよりも、男に長く気持ち良さに浸ってもらうことを目的とした、媚びるようなフェラチオ。
「ふふふ、お前は舌使いが上手いな。これは期待できそうだ」
「!!! ありがとうございます!!」
ユーリの心を歓喜に包みこむのはベガの言葉。
ベガをシミュレートしたプログラム体を相手に行っているのは、男を悦ばせる為の技術を学ぶ、性技習得プログラムである。
一瞬で脳に叩きこまれる娼婦の技術を、ユーリは次々に実践していく。
ベガのペニスを、地に這いつくばるようにして貪るユーリの姿は、まるで飼い主に餌をねだる犬のようだった。
なだらかな背筋のライン、地に触れそうな乳房が男心をそそる。
「もうそろそろだ。しっかりと飲み下せ」
ベガの言葉と同時に、ユーリの口内で暖められたペニスが、大きく脈動し始めた。
精液を体外に吐き出す男の反応を感じると、後押しするように指を上下に動かし始めた。
ユーリの狂ったように動く指が、ベガのペニスに快楽と力を注ぎ、激しい射精を促す。
「ぐうっ」
ベガの唸り声。
ユーリの技巧の前には、どのような男も、ベガでさえも、心地よさに我を失う。
ベガが我を失した瞬間、ユーリの口内にマグマがあふれ出した。
「んんっ」
男の白き分身を、まるで甘いミルクを飲むかのように、ユーリは全て飲み下していく。
喉を隆起させて、こくこくと音を鳴らす。まるで男にアピールするかのようだ。
その動作に、男を満足させるよう徹底された、隙の無いユーリの技巧が垣間見える。
だが、本人はそれを技とは思ってはいない。
美味しい飲み物をくださったベガ様へ、溢れる感謝の気持ちを伝えるために、必死にアピールしているのだ。
精神をあますところなくベガに染められた、まさに親衛隊にふさわしい行動である。
亀頭から袋まで、まだ精液がしたたる場所を舌で清めていき、ユーリは言った。
「ごちそうになりました。ベガ様」
淫蕩な一言を、彼女は心の底から口にした。
「フフフ。では、次はお前を満足させねばな」
精液を出したばかりであるのに、ベガのペニスは太く、逞しさを失っていない。
ユーリの背後へ周り、ベガは強靭なそれをユーリの女へと押し込んだ。
「はあぁん!!」
ベガはバックから、一息に子宮口の前にまで侵略した。
腰を甘美なハンマーで砕かれたユーリは、力を失ったように倒れ込んだ。尻を突き出し、上半身だけを地に伏せた形。
「ははは、どうした。挿れただけで果てたのか」
ベガの声がユーリの堕落感を煽る。あまりの心地の良さに、彼女の顔がふやけ出した。
「べがさまぁ……あいしていますぅ……」
甘ったるい声で、ユーリは心の内からベガにアプローチする。 
「そうか。では、私も全力でお前を愛してやろう。いくぞ」
男が女の中で暴れた瞬間、白い世界に甘い絶叫が響き渡った。 
  

▽第十二回測定結果報告
  全体進捗状況:97%。
  技能習得率:94%
  現プログラム内容:性技プログラム

  特記事項
  基本的な性技を習得。足を使った性技が少し荒いのが難点だが、手技は得意な模様。

681:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:21:18 BcxIYADM
カノンが研究室へと戻った時、ユーリの性技プログラムは終わり、教育はラストを迎えていた。
「あっ!ああああっ!!!」
イスに座りながらよがり声をあげるユーリの表情は、ヘルメットに隠れて良く見えないものの、あごに滴る唾液と、座面に溢れた愛液の水たまりを見れば、今彼女がどのような表情をしているのかは容易に想像がつく。
「34回目のオルガスムを観測」
「持続時間、1分2秒」
ユーリの淫声を聞こえていないかのように、アリスは報告を口にしたが、彼女達が欲情しているのは頬の赤みを見れば分かる。
特にミランダは、唇を緩ませて、まるで自分がオルガスムに達したかのような、陶酔しきった顔つきをしていた。無理もないことかもしれない。
「35回目、信号発信」
ミランダが手元のボタンを押した瞬間、ユーリの体が大きく痙攣を始めた。
「おああああああああ!!!!!」
ヴァギナから愛液があふれだした。体には何も触れてはいないにも関わらず、ユーリは一瞬にして絶頂を迎えたのだ。
「あはぁ、あ……」
ユーリの絶頂感が退いたのを見計らって、研究員がまたボタンを押す。
「きた、きて……あはは!あ、あ、うあああああああああ!!!!」
壊れたような笑みを口に浮かべてから、獣のように吠える。
研究員のボタンに連動して、また彼女は絶頂の波に飲み込まれる。 
今、ユーリに行われているプログラムは、脳に「絶頂感」を引き起こす、特殊な電気信号を送り続けるものである。
擬似訓練プログラムでも使われた、顔を覆うヘルメットが彼女に絶え間ないオルガスムを引き出しているのだ。
間断なく絶頂感を与え続けるこのプログラムは、対象がどれほどのオルガスムに対する許容量を持っているのかを確認する為のものである。
要するに、耐久性テストだ。
イスにできた愛液の水たまりは、ユーリ震えに伴って、ピチャピチャと跳ねる。
溢れた愛液が、滝のようにイスから滴り落ちていた。
脱水症状を起こしそうな勢いだが、体液を作る水分を絶やさないように、彼女の腕に付けられた点滴が常時水分を補給している。
いくら達してもいい準備が整えられていた。
「37回目のオルガスムを観測」
「持続時間、1分37秒」
「38回目、信号発信」
カチッという音と共に、再びボタンが押される。再びユーリが狂った。
「ああああああああああああああああ!!!!!!」
舌がだらんと口から出ている。その壊れた笑みは快楽に狂ってはいるが、決して苦痛を浮かべてはいない。
サイコパワーで耐久性が増した脳は、エクスタシーに対しても高い許容力を発揮する。
洗脳教育を受けた女達は、普通の人間なら脳が失神命令を出す程の絶頂感にも耐えることが可能なのだ。
しかも、絶頂に伴う体力の疲労も極僅かで済むのである。
「べ、ベガさまああああああああ!!!!!」
ユーリが42回目の強制絶頂を迎えた。
がたがたとイスを揺らし、愛液を再びヴァギナから絞り出す。

682:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:22:02 BcxIYADM
肉体の刺激を介さずに、連続で絶頂を迎える感覚など、普通の人間には経験出来ないものだろう。
イスに動きを封じられ、無理やりオルガスムを引き出され続ける彼女の姿は、傍から見ると、まるで拷問を受けているかのように映るだろう。
だが、当の本人は心の底から性拷問を楽しんでいた。
「くるぅ!!またくる、あ、あぁあああああああああ!!!」
楽しげな絶叫。矛盾した叫びをあげ続ける彼女の心に、多くの女性が絶頂前に感じるという、未知なるものへの恐怖感と言うもの一切含まれていない。
ただ、快感の渦に飲み込まれて、自身を失うだけ。
「おああああああ!!!!!」
「58回目のオルガスムを観測」
報告を続ける二人の研究員をみて、彼女達にも同じことをしてやらないとと、カノンは思った。
洗脳した女性構成員に、ご褒美として連続絶頂プログラムを施すことはよくあることだ。 
ベガの寵愛を受ける親衛隊にも、稀にだが、施すことがある。
最も、親衛隊にとっては、ベガへの奉仕が最高のご褒美であるようだが。  
また、ユーリは吠え声をあげ、身を震わせた。まさに性欲に焦がされた獣だ。イスという檻が無ければ、どうなっていることか。
「もっときて!もっと!!!あ、あああ、あああっ!!!ひぃいいいいいい!!!!」
163回目の絶頂で失神するまで、ユーリは何度もエクスタシーの波に揉まれ続けた。

▽最終測定結果報告
  全体進捗状況:100%
  オルガスムス耐久性テスト
  ・オルガスムス最高持続時間:3分2秒
  ・回数:163回
  ・全体経過時間:1時間12分
  特記事項:ベガ様を満足させるに足る耐久性を保持している。親衛隊の中ではアプリーレ、エネーロに次ぐ三番目の耐久力である。

683:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:22:46 BcxIYADM
全ての教育が終わり、ユーリは再びカプセル内で栄養液に浸り、休養していた。
「1号室の『ユーニ』も立派な成長を遂げたものね」
別室で、「ジュリア」と同時進行で洗脳を施していた「エレン」の報告書の束を繰りながらカノンは言った。
「まあ、そういうことだよ。俺もいいのに巡り合えたねぇ」
1号室でエレンを担当した男性研究者、ハージスは笑みを浮かべながら言った。
「手を付けることが出来ないのは残念だけど」
常日頃、飄々としたこの男でも、命は惜しいらしい。
「あんまりそんなことを言っていると、総帥に目を付けられるわよ?」
「いやあ、でも本当に上玉だったな~。顔も可愛いし、おっぱいは控えめで俺好み。生殺しもいいところだぜ」
同僚の釘をかわして、ハージスは下劣な言葉を吐く。黙っていれば美男子と言えないことも無いのに、これではただの下劣漢だ。
カノンは、へらへらしているハージスの頭にげんこつを食らわしてから、ユーリの報告書をくれてやった。
「はぁ……もう。冗談はいいから、ちゃんと読みなさいよ」
「お前もな。……ああでも手こずったな~、報告書が増える増える」
頭をかくハージスを見やり、カノンは再びユーニの報告書に目を落した。  
 
 ▽捕獲対象データ
  名称…エレン=アーベライン
  性別…♀
  年齢…16
  出身地…ドイツ
  身長体重…162㎝ 46㎏
  捕獲理由…親衛隊増員の為
  処理方針…肉体強化、精神変革
  
  備考
  一般教育機関ではトップクラスの、天才的データ集積能力を持ち合わせている。
  この能力を利用した特殊技能教育を施すことを視野に入れたい。


684:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:23:16 BcxIYADM
▽第一回測定結果報告
  オルガスムス記録回数…28回
  最高興奮値…172
  最高性感度数…135
  肉体組成値…122 
  特筆事項…筋組織に特に優れた点は見当たらないものの、全体的にバランスが取れている。
  本能レベル…52
  代謝レベル…98
  
  備考
  本能レベルが極端に低いが、これは彼女の持つデータ集積能力と関係があるものと考えられる。
  素体にあった、特別な洗脳プログラムの構築を急ぐ。

 ○適性診断結果(F~S)
  適性職種
  研究員…S
  戦闘員…C++
  工作員…A
  
  備考
  本来なら研究員向きであると思われるが、指令により親衛隊として教育する。


685:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:24:17 BcxIYADM
 ▽第二回測定結果報告
  全体進捗状況…6%
  筋組織増強可能容量残…97%
  精神支配率…4%   
  最終抵抗数値…165
  サイコパワー伝導率
  ・最小値…20%
  ・最高値…27%
  重点プログラム内容…破壊衝動に訴えかける、攻撃性の強化。

  特記事項
  素体は暗示に対して異常に高い抵抗力を保有している。
  これは本人の意識によるものではなく、無意識下のものであると考えられる。
  サイコパワー伝導率にも影響しているため、一旦サイコパワーの供給をストップする。
  ついては、サイコパワー供給の前に、素体にB‐GV2等の薬物投与し、
  サイコパワーを受け入れる土壌の構築を行うこととする。

 ▽第三回測定結果報告
  全体進捗状況…6%
  筋組織増強可能容量残…90%
  精神支配率…4%
  第二回測定結果報告記載の通り、素体は高い暗示抵抗を持っている為、処理方針を薬剤投与に絞ることとした。
  今回与えたのは以下の通り。
 ○投与薬剤
  ・B‐GV2…記憶の抹消
  ・マインドA…思考の除去
  ・αぺクドル誘導体…心理的抵抗力の除去
  
  特記事項
  マインドAは、投与過多になると完全な人形状態と化してしまうので、特に注意する。


686:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:25:39 BcxIYADM

 ▽第四回測定結果報告
  全体進捗状況…10%
 ○投与薬剤
  ・B‐GV2…記憶の抹消
  ・マインドA…思考の除去
  ・αぺクドル誘導体…心理的抵抗力の除去
  
  特記事項
  投与したB‐GV2の影響で、徐々に記憶の忘却が始まった。
  素体に質問を行った結果、自身の故郷、家族情報の忘却を確認。
  だが、まだ自身を定義する記憶の忘却までは至っていない。
  なお本日、素体が我々に対して抱いていた恐怖心が完全に失われた。
  我々に対し、コミュニケーションを試みようとしてくるほどだ。αぺクドル誘導体が効いている。
 
 ▽第六回測定結果報告
  全体進捗状況…34%
  筋組織増強可能容量残…74%
  精神支配率…43%   
  最終抵抗数値…82
  サイコパワー伝導率
  ・最小値…45%
  ・最高値…67%
 ○投与薬剤
  ・マインドA…思考の除去
  ・αぺクドル誘導体…心理的抵抗力の除去
 
  特記事項
  第5回測定により、記憶の完全消去が認められたため、B‐GV2の投与を終了する。
  なお、今回よりサイコパワーの供給を開始した。心理抵抗を抑えたことによるためか、2回目にして高い伝導率を
  記録。筋組織の著しい増強も行われた。
  また、方針の最終確認の為、暗示プログラムを起動させるも、素体には不適と再認識する結果となった。
  現在の方針通り、薬物投与による洗脳教育を施していくものとする。

  なお、次回から総帥・シャドルーへの忠誠心刷り込み、および『ユーニ』の定義付けを開始する方針。
  暗示による精神操作ではなく、素体の脳に直接電気信号を送信し、条件付けを行う方式による。
  心理抵抗を無視して、素体の思考を変更することが出来る手法であるが、この方式は本来、
  訓練プログラムにおいて実施されるものであり、忠誠心刷り込みに使用するのは初めてのことである。
  素体の人間性が著しく損なわれ、機械的・無機的になる恐れがあるため、総帥の許可を頂く必要有。

 ○追記
  総帥の許可を頂いた為、次回より電気信号送信方式による忠誠心刷り込みプログラムを開始する。

687:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:26:18 BcxIYADM

 ▽第七回測定結果報告
  全体進捗状況…64%
  筋組織増強可能容量残…23%
  精神支配率…100%   
  最終抵抗数値…34
  サイコパワー伝導率
 ・最小値…76%
 ・最高値…91%
 ○投与薬剤
  ・αぺクドル誘導体…心理的抵抗力の除去
  ・ブレインシュガー…多幸感の生成 
 
  特記事項
  パワー供給率を早くも最高レベルに移行。あまりに速い進行速度に驚きを禁じ得ない。第一回測定時と比べると別物である。
  前回報告の通り、今回から総帥・シャドルーへの忠誠心刷り込みおよび『ユーニ』の定義付け、性感強化を施す。
  結果、条件付けを全て完了。
  危惧していた人間性の欠如も、最小に留めることが出来たが、やはり実施前と比べると大きな相違がみられる。
  表情は無機的な物になり、声も完全に無感動なものに変化した。しかし、忠誠心はしっかりと存在するようで、総統の名を
  何度も口にするようになった。
  研究員とは違い、親衛隊は総統とのコミュニケーションが取れなければならないのだから、人間性の消失は致命である。
  感情パターンの把握を急ぐこととする。


  なお、性感度上昇具合は以下の通り
  性感度(調整前)
  ・口腔:32
  ・耳:32
  ・首:22
  ・胸部:34
  ・腹部:41
  ・腕:22
  ・性器諸器官:65
  ・脚足:12
   
  性感度(調整後)
  ・口腔:54
  ・耳:47
  ・首:30
  ・胸部:74
  ・腹部:75
  ・腕:41
  ・性器諸器官:102
  ・脚足:32

  特記事項
  性器諸器官の反応がすこぶる高い。また、耳は息を吹きかけられると激しく感じる程の性感を獲得。

 ○追記
  一見すると感情が無いように思えた素体だが、ベガの名を口にする時に脳に愛情反応があることを確認。
  また、我々の質問に対しても的確に応えるとともに、ある種の言葉には脳が感情反応を示した。
  よって、素体の感情自体は消えておらず、単に感情の発露・表現に乏しいだけと発覚した。
  
  これより、素体を隊員名である「ユーニ」と記載する。

688:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:27:12 BcxIYADM
 ▽第九回測定結果報告
  全体進捗状況:76%。
  技能習得率:12%
  現プログラム内容:基礎技能プログラム・戦闘プログラム、要人暗殺プログラム、拉致プログラム
  
  特記事項
  基礎技能習得Ⅲ、戦略構築プログラムでの技能習得率が異常に高い。
  平均数値99%。ほぼ100%を記録する洗練された戦略構築。
  彼女が持つデータ集積能力が遺憾なく発揮された模様。
  この結果を受け、特殊技能習得プログラムの採用を決定する。

 ▽第十一回測定結果報告
  全体進捗状況:81%。
  技能習得率:12%
  現プログラム内容:特殊技能開発プログラム『ユーニ』
 
  特記事項
  特殊技能開発プログラムによりユーニが、データ集積能力を特化させた「高速演算」を習得した。
  シャドルー開発のCPU「アイビス」並みの情報処理能力を保有するに至る。


  参考…特殊技能開発プログラム採用ケース一覧(親衛隊)
 ○特殊技能開発プログラム採用ケース一覧(親衛隊)
  ①親衛隊№2 ファブリエ
   軍事兵器全般の取り扱い、修理、改造技術の習得。

  ②親衛隊№4 アプリーレ
   医療全般の技術の習得。
  
  注意
  特殊技能開発プログラムは、対象者の保持する能力を限界まで引き出し、対象者自身の脳に特殊技能を開発させるプログラムである。
  過剰な負荷を強いるプログラムの為、採用には細心の注意を払うこと。

689:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:28:07 BcxIYADM
▽最終測定結果報告
  全体進捗状況:100%
  オルガスムス耐久性テスト
  ・オルガスムス最高持続時間:2分15秒
  ・回数:123回
  ・全体経過時間:45分
  特記事項:耐久性は残念ながら現親衛隊の中で最下位である。
  だが、前回の報告通り、性技プログラムでは総帥を十二分に満足させる好成績を出しているため、問題無しとする。

全てに目を通したカノンは、ハージスの疲れ顔に納得した。これはさぞや難敵だっただろう。
ユーリとユーニ。二人をタッグにしてベガに奉仕させる方針であると、カノンは聞いていた。
『ユーリ』は戦闘型、『ユーニ』は報告書を見る限り、戦略型と言えるだろう。
いいチームになりそうだと、カノンはハージスに見せないよう、静かに微笑んだ

690:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:28:43 BcxIYADM
▽洗脳結果報告
 ①親衛隊№6 ユーニ
  素体データ
  ・素体名称…エレン=アーベライン
  ・性別…♀
  ・年齢…16
  ・出身地…ドイツ
  ・身長体重…162㎝ 46㎏
  適性職種
  ・研究員…S
  ・戦闘員…C
  ・工作員…A
   総合点:81点
  性感度
  ・口腔:54
  ・耳:47
  ・首:30
  ・胸部:74
  ・腹部:75
  ・腕:41
  ・性器諸器官:102
  ・脚足:32
  技能等
  ・高速演算
   事象を取り巻くデータを分析することで、効率的な戦略を組み立てることが可能。



 ②親衛隊№7 ユーリ
  素体データ
  ・名称:ジュリア=カーソン
  ・性別:♀
  ・年齢:19
  ・出身地:メキシコ
  ・身長体重:164㎝ 49㎏
  適性職種
  ・研究員…C
  ・戦闘員…A++
  ・工作員…B
   総合点:80点
  性感度
  ・口腔:67
  ・耳:34
  ・首:41
  ・胸部:82
  ・腹部:53
  ・腕:32
  ・性器諸器官:97
  ・脚足:67
  技能等
  ・破壊力
   戦闘技術、肉体に秘める破壊力は親衛隊一を記録する。

691:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:29:31 BcxIYADM
謁見の間。
全てを威圧する厳かな空間の中には、ベガ総帥の肖像画と、それを背景に設けられた王座があった。
その王座に、ベガが不敵な笑みを浮かべ、深く腰掛けていた。
その周りを囲むようにして、親衛隊の少女達5名が立っている。
彼らは一様に前方の二人の少女を見ていた。
彼らの前で、二人の少女が並んで敬礼していた。

一人はユーニ。
親衛隊ナンバー6。
エレンという名であった少女は、第一号洗脳教育室で、薬物投与主体の洗脳を受け、新たに親衛隊として加わった。
幼い顔立ちと未成熟な胸は、可愛らしさを感じさせる。
卓越した計算能力、情報収集能力を生かした緻密な戦略分析は、戦闘のみならず、多方面で活躍するオールラウンドな能力だ。

もう一人はユーリ。
親衛隊ナンバー7。
元の名をジュリア。第二号洗脳教育室にて、精神操作主体の洗脳を受け、親衛隊として生まれ変わった。
男の劣情を掻き立てるグラマラスな肉体には、親衛隊一の破壊力が眠っている。彼女の打撃の前には、いかな防御も無駄な抵抗と化すだろう。

二人とも、親衛隊のコスチュームに身を包んでいる。
裸かと見まがう程に線を強調しきった紺のバトルスーツ。
スーツの背中の部分は、白い肌を見せつけるかのように切り抜かれていた。
腕には、赤いナックルパーツ、足には濃紺のブーツが装着されている。
頭には小さな帽子が控え目にかぶさり、首元にしっかりと結んだ黄色のネクタイは、紺を背にして鮮やかに自己を主張していた。     
ベガは、二人の新たな親衛隊の姿を眺め、邪な笑みを浮かべた。
「ふふふ。いいぞ、そのコスチュームに身を包んでこそ我が親衛隊にふさわしいというものだ。……では早速、仲間入りの宣誓をしてもらおうか」
その言葉を受けて、新たな親衛隊二人は、素早く敬礼を解き、右手を胸元に添えた。
「親衛隊ナンバー6、ユーニです。ベガ様にわたしの全てを捧げます」
オレンジ色のさっぱりしたショートカットヘアーの、幼い顔立ちの少女ユーニは、無表情な、人形の様な顔をベガにむけて宣誓した。
「親衛隊ナンバー7、ユーリ。素晴らしき力を頂き、ありがとうございます。これからはあなた様の為に命を尽くす所存でございます」
ユーリのきりっと引き締まった表情は、教育で見せた淫靡さは少しもうかがえない。
二人とも、自らが唱えた忠誠の言葉に、ぞくぞくとした感動を覚えた。
(私はベガ様の為に一生を尽くすことができる、選ばれた存在)
その考えが、洗脳教育で与えられた思念であると、彼女達は気がつかない。
「よかろう。では、入隊式を執り行う。メルツ、ファブリエ」
ベガに呼ばれた少女、メルツとファブリエがユーリとユーニの方へと歩み寄る。四人は二人ずつ、向かい合わせの形で立ち、姿勢をただした。
ユーリの前に立つのは、ジュリアと呼ばれていたころの彼女を拉致した少女の一人、メルツだった。
「歓迎のキスを……」
メルツが、ミルクのように甘い声で囁いた。
彼女の桃色の唇がやさしく、ユーリの唇に覆いかぶさる。
「ん……」
どちらが漏らしたのか分からない、かすかな響き。
やわらかい唇と唇が、互いをついばむように動作する。
それだけの行為なのに、頭の中は気持ち良さで真っ白になる。
軽く、ほんの僅かな短いキス。
「親衛隊にようこそ……」
唇を離して、メルツが歓迎の言葉をユーリに送る。
キスの時間は10秒と短かったのに、二人はドキドキと心臓を高鳴らせていた。
とろんとまぶたを緩ませ、頬を真っ赤に染めている様は初恋をした少女の様だ。
メルツに至っては、我慢が出来ないと駄々をこねるように、膝をもじつかせてさえいた。
「これでお前たち二人も私のものだ」
ベガが言うと、ユーリとユーニは再び敬礼のポーズをとった。
「これから、お前たちは我が野望の為に尽くすのだな」
ベガの言葉に、二人は揃って答えた。
「はい。全ては、ベガ様の為に」
シャドルーに新たな隷属者が誕生した。 

692:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:31:00 BcxIYADM
宣誓式の日の夜。
「ああっ!!!もっと、もっとおおお!!!」
淫らな響きが室内に拡がる。
白く、無機質な部屋の中央。キングサイズのベッドの上で、二人の少女が睦あっていた。
ユーリとユーニは、二人でタッグを組み、ベガに尽くすように指令を受けたのだ。
そのために、彼女達は互いのことを知るためのスキンシップを図っていた。
スキンシップと言っても、それは淫らで、背徳の色が漂う物であるが。
「性感度、あっ、上昇……ふああああっ!!……引き続き、性器諸器官への刺激を続け……んんっ、はああ……」
少女の一人ユーニが、新しいパートナーの性器に口を付け、丹念に刺激を咥えていた。
刺激を加える度に、彼女はパートナーの「データ」を分析し、読み上げるように口にしていた。
機械的な内容の中に差し挟まれる、蕩けるような淫靡な声が、彼女を一機の機械では無く、一人の少女なのだと決定づけている。
「んっ、んっ!!ユーニ、すごくいい!!ああああ……あっ!ああああああ!!!」
絶叫をあげるのは親衛隊ナンバー7、ユーリ。
ガクガクと体を震わせながら、下半身の女から滝のような愛液を流している。
全身を快楽にゆだねながらも、その舌はユーニの愛液を味わうのを止めなかった。
少女同士のシックスナイン。
二人の口からは、互いの愛液をすすり合う淫らな水音が絶え間なく続いている。
優しく、時に荒々しく、二人は互いを確かめ合うように性器を慰め合った。
パートナーの全てを知るため、一分一秒を無駄にしまいと、少女達は休まることのない痴戯を繰り広げる。
「あ……かいら……くはんのう……いく、あ……いく!!!あ、あはああああ!!!」
続いてユーニが咆哮をあげた。
ユーニが絶頂する間も、ユーリは顔が濡れるのも構わず、パートナーがより高みに上り詰めるようにと、ひたすら愛を与え続ける。
軽いキスから始まった愛の儀式は3時間を経過していた。
「まだ、まだよ、ユーニ。私はまだあなたを……」
頬を赤く染め、荒い息を吐きながらユーリは言う。
「あなたの……あっ……データが完全に揃うまで、付き合って頂きます……」
消え入りそうな声でユーニは応えた。
彼女達が、新たな親衛隊候補を攫う任務を受けるのは、これより3日後のことである。

 〈完〉

693:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:32:29 BcxIYADM
これでこのSSは終わりです。単発物SSの割に長かったかもしれませぬ。
読んで頂いた方々、大変お疲れさまでした!!
また何か浮かべば投下させていただくかもしれません。その時はよろしくです。


694:名無しさん@ピンキー
10/03/28 15:38:04 O/Kq/716
いや、マジでおつかれさん
頑張りすぎだろw

695:名無しさん@ピンキー
10/03/28 17:51:20 88VtuQd5
GJ!
なんか胸いっぱいだが一言だけ言わせてくれ。

ベガうらやましすぎるぞコンチクショウ!

696:名無しさん@ピンキー
10/03/28 19:16:28 UePvgKxk
お疲れ様でした。
シャドルー洗脳モノが大好きなので、満足だったよ!
サクラとかカリンとか他のキャラクターでも書いてくれると嬉しい。

697:名無しさん@ピンキー
10/03/28 20:09:05 P5izuwHH
>>693
GJ!!
個人的に機械洗脳大好きだからツボど真ん中ストライクの逸品
キャラ的にはユーニの方が好きなのでそっちの洗脳過程も出来れば詳しく見たかったけどそこは脳内補完でw

ともあれお疲れ様でした
次があるならまた見てみたいです

698:名無しさん@ピンキー
10/03/28 20:23:56 wIyJYdt5
悪堕ちって本当にいいですね

699:名無しさん@ピンキー
10/03/28 21:27:08 /vAauZdB
1人堕とすだけでもこんなにじっくりねっとり描写できることに感動した。
GJでした。

700:名無しさん@ピンキー
10/03/28 21:45:33 0rO6TmJb
すごいです。
とてもまねできません。
恐れ入りました。
楽しませていただきましたです。

701:名無しさん@ピンキー
10/03/28 22:37:53 3x4Va5cG
GJ!
ベガは幸せ者w

702:名無しさん@ピンキー
10/03/29 00:57:51 ruXrZG0z
GJJJ!!
これは・・・(・∀・)イイ!!

703:名無しさん@ピンキー
10/03/29 11:20:48 Hpc3cuQP
これはエロい
GJ

704:名無しさん@ピンキー
10/03/29 11:23:58 EtU5lCmt
やだ……
ここまで賛美レスしかないなんて……
逆に怖くなってきたわ。。。。

705:名無しさん@ピンキー
10/03/29 12:52:39 Q8IY7Iqh
みんな正直だよね。
良作がくると雑談がふっ飛ぶわ。

706:名無しさん@ピンキー
10/03/29 13:27:02 AvlwHQj2
ベガさまが両刀ならば俺にも快楽堕ちが

707:名無しさん@ピンキー
10/03/29 14:30:03 Q/q+sAxd
積んでいたエスカレイヤーで悪堕ちあると聞いたんだが
どの√か教えて下さい

708:名無しさん@ピンキー
10/03/29 15:29:29 0jjmJPbr
鬼畜のTRUEかな
確かセーブデータ当ててフル化した後回想から流れが見れたはず

709:名無しさん@ピンキー
10/03/29 15:43:02 TcRfkEmr
めだかボックスが記憶消去+別人格注入の洗脳展開らしい
でも打ち切りで即洗脳解けそう

710:名無しさん@ピンキー
10/03/29 15:57:00 0jjmJPbr
記憶消去は先週のラストだったな
今週読んでないけどまぁそういう予想はしてた
ただ打ち切りまではもう少しかかりそうかもしれない

まぁ打ち切りなんて予想できないものだけど

711:名無しさん@ピンキー
10/03/29 16:48:03 +Kw6aY4I
>>707
鬼畜ルートだな
中盤で過激なセックスに進むかどうか相談されるからそこでおkする
鬼畜度によって2通りのエンディングに別れる
他に敵の作ったクローンが登場する定期イベントもあり

712:名無しさん@ピンキー
10/03/29 16:59:22 +Kw6aY4I
ついでにいうとアリス2010でも悪堕ち版が出てくる
ハルカもやってないと楽しめないかもしれないが

713:名無しさん@ピンキー
10/03/29 18:46:43 E9xwiHBB
>>709
だれがやられているのかkwsk

714:名無しさん@ピンキー
10/03/29 18:51:35 HHrOXB4g
めだか本人だな

715:予定調和
10/03/29 22:08:24 weCi6VyO
前回投下したSSに目を通してくださった方々、ありがとうございます。

予告したとおり属性は強姦・レズ・触手・逆強姦。属性耐性必須。

前回の粗筋
スーパーヒーローフルボッコタイム真っ最中。

それでは続きをどうぞ。

716:予定調和
10/03/29 22:13:45 weCi6VyO
月夜女姫と蘭がたまたま所用で私刑に関わらない日に、春香は秋生と冬子の2人に今日しかできないことをやろうと提案した。
その提案とは前に秋生が言い出して月夜女姫にこっ酷く叱られた「陵辱」だ。
「でも、このようなことをして本当に大丈夫なのですか?」
秋生は自分の望んだことができるという期待よりも、月夜女姫にこっそり逆らうという後ろめたさのほうが大きい。
「平気だってば、先輩はあたしに関しては甘いからね。正直に言えば多分許してくれるよ」
春香が晴川の首輪に繋がれた鎖をいつも以上に乱暴に引っ張りながら言う。
この3人で私刑をするのは滅多にない機会で、普段秋生と冬子は助手のようなことしかやらせてもらえていない。
一切の光がない、暗闇の私刑執行室に着く。まずは秋生の逆回復魔法により衰弱させ、無駄に抵抗させないようにする。
そして身に着けているものを剥ぎ、凍てつくような外気に全身の地肌を晒させる。
晴川は筋骨隆々とした逞しい肉体を、夏菜は若くて健康的な魅力に溢れる肉体を黒の一族の3人に視姦される。
「服を脱ぐとますますムキムキに見えますね、晴川さん。その体にふさわしい逸物もお持ちのようで」
「夏菜って華奢って言ったら聞こえはいいけど、肉付きは悪いわね。特に胸とかさ」
「年下のあたしより小さいんじゃないの?ここに来てから毎日美味しいもの食べさせてあげてんのに貧相な体だねえ」
「私と比べたら皆どんぐりの背比べですよ」
人間だったときのスタイルのよさなら秋生が最もよかったが、体型が自由に変えられる黒の一族にとっては秋生の自慢は何の意味も持たなかった。
「胸に脂肪の塊なんてものがあっても邪魔なだけでしょ」
夏菜が見えない3人に向かってぶっきらぼうに呟く。
確かに戦闘で殆ど動く必要のない秋生ならともかく、激しく動き回る夏菜にとっては邪魔にしかならない。
男の気を引く必要が感じられない夏菜にとっては不要の代物だった。
「これはまた、わかりやすい負け惜しみですね」
秋生が夏菜の申し訳程度に膨らんだ胸を両手で揉みしだくが、夏菜は言葉を発せずにじっと耐え忍ぶ。
「それじゃあ早速、夏菜ちゃんには犯されてもらいまーす!」
春香の宣言を聞いて、夏菜は内面の動揺を悟られないよう必死に冷静を装った。
いつかこうなると予測はしていたことだ、心の準備はとっくにできている。
「どうせ俺が操られるのだろうが……青野、できるだけ痛くしないように努力はする。こういうときは経験者がリードするものだからな」
「私、晴川さんならいいよ……」
年の離れたカップルが初めてまぐわうかのような甘い雰囲気が漂うが、春香がそれを地獄に塗り変えた。
「あれ、何を勘違いしてロマンチックなムードになっちゃってんのかな?そんな甘っちょろいことするわけないじゃん。あんたたち、入ってきて」
どやどやと男の集団が入ってきて、部屋の中の男女比が逆転する。
暗闇で何も見えない晴川と夏菜には何人入ってきたかがわからないことが不安を掻き立てる。
「そんなねえ、長い間やってきて上司と部下を超えた関係になってもおかしくないような男に処女を捧げられるとか、
 都合のいい話があるわけないでしょう?夏菜は顔も見たことのない見ず知らずの男にやられて散らすのがお似合いよ。
 あなたたち、本来突っ込むべき穴だけじゃなくて口もお尻も同時に使って徹底的に犯し尽しなさい!そおら!」
夏菜は男の塊の中に投げ込まれ、冬子の指示で盛った男の集団が一気に夏菜に殺到する。
男たちは手探りでしか夏菜の位置を把握できていないが、
逃げまわる体力が最初から奪われている夏菜は柔らかい皮膚を男たちの手によって揉みくちゃにされる。
唇も胸も秘穴もごつごつした手で容赦なく触られる。
「やだあ……やだやだやだあああああああ!」
夏菜の顔はテレビで流れたこともあり、知っている人も多い。
よほど性欲がない男でなければ、夏菜ほどの女性が裸に剥かれていて「犯せ」と言われたら本能に逆らえない。
誰も彼もが我先にと夏菜の陰門にその逸物を突っ込もうとするため、雌をめぐって争う獣そのものだった。
「ひぎっ、ぎゃあああああああ!……たい、痛いって!メリメリいってる!!」
「ウオオオオオオ!!」
夏菜の処女膜を破った男は雄叫びをあげて、さらにピストン運動を始める。激しい動きに服を脱がされて冷えていた体が熱くなってくる。
「流石処女マンコは一味違うぜ!この締め付け、たまんねえ!最高だ!」

717:予定調和
10/03/29 22:17:36 weCi6VyO
そして今度は夏菜の尻が狙われる。座薬すら入れたことのなく、今まで何者の侵入も許してこなかった砦が突破される。
「おおかってえ、尻の穴はきっついわあ……」
「嘘、そんなのそこに入るわけないでしょ!?無理無理!痛い痛い痛い痛い痛い痛むぐう!んんー!?」
「おらおら、上の口も休んでんじゃねえぞ」
髪を鷲掴みにされ、口を抉じ開けられて逸物を咥えさせられる。吐き出そうとしても体に力が入らないのでどうしようもない。
「はーい、先着3名決定♪この後は順番だから、私が肩を叩いた人から空いてる穴を使ってやってね。
 あと今やってる3人はイッたら交代してもらうから、ごゆっくり~」
3人から同時に責められ、口は塞がって声も出せない夏菜は強い恐怖を感じ体が動かせなくなる。
口を塞いでいる逸物を噛み切る力すら出せない。このままでは肉体的にも精神的にも壊される。
群がってきた男は何人いるか見当もつかない。終わりが見えない恐怖に体が、心が、耐えられない。
「途中から快楽に変わって楽になるとでも思ったかしら?ああ、でも夏菜ってそういうの見ないからわからないかもね」
強姦は犯している男が一方的に快楽を貪れるだけで、犯されている側は男が飽きるまで半永久的に、一方的に苦痛を味わうだけ。
この場合は男が力尽きても次から次へと新しい男が補充されるので耐えなければならない時間も引き延ばされている。
「はっ……はっ……で、出る、おおおおおぉぉぉっ!!」
「むうんんー、んんーー!!」
頬を伝う涙とは別の体液が陰門から漏れ出す。男の放った白濁液に混じって血と蜜が太腿から床にぽたぽたと垂れる。
そのタイミングを見計らって、冬子が男の背後から首筋にがぶりと噛み付いた。
「……ぷはぁ!美味しい……イッた直後の人間の精力の味を知ってるのはたぶん私だけね。教えたら皆やりたがるから内緒にしててよかったわ」
夏菜の処女を散らした幸運な男は絶頂を迎えて頭が真っ白になった最高の気分のまま、冬子に首から精力を吸われ尽くされ果てていた。
「よかったわね、人生で最も幸せなまま逝けるなんてさ」
冬子が男に囁いた言葉は誰の耳にも届かずに周りの狂声にかき消される。
冬子が男を片付けても、その男が亡くなっていることに気付く者は1人もいなかった。
その後、初めて口が開放されて再び喋ることができるようになった夏菜はここぞとばかりに暴言を吐いた。
「げほっ、おえっ、あんな不味いもの飲ませるなんてどういうつもり!?」
夏菜はどこにいるかもわからない冬子に向かって喚き散らす。
「初体験が目隠し4Pなんてすごく貴重なんだから、楽しまないと損よ?」
「あれを楽しめ?ただ単に気持ち悪くて痛いだけじゃない!今下に突っ込んでる2人も早く終わってよ!痛いんだってば!」
「今こんなに嫌がってる夏菜だって、私の手にかかればへろ~んってなっちゃうんだから……」
「今、何か言った?」
「いいえ。さあ、あなたが6人目よ!」
冬子は側に待機していた男の手を引いて夏菜の頭を掴ませた。

最後の男の逸物が抜かれた後、はっきりしない意識で夏菜は陵辱が終わったことを感じた。
「お、終わったの……?」
長く辛い犯され方だったがもう男が群がってくる気配はない。
「まさか。これからが面白いのに」
夏菜は仰向けに寝転がったまま、ぼんやりしていると冬子の声が聞こえてくる。
しばらくそのままでいると、両耳に柔らかく湿った細長い触手のようなものが侵入してきて不快感がぐんと高まる。
「何これ、気持ちわる!?」
「ああ、これ最初は気持ち悪いと思うけどすぐに気持ちよくなるから我慢して……って鼓膜破ってるからもう聞こえないか」
歯をカタカタ鳴らして震えている夏菜の耳の中を、触手は遠慮なく侵していく。
鼓膜を突き破って侵入した触手は耳管を通って鼻腔の嗅細胞まで達し、
そこで形状を変化させてそれぞれ脳神経である内耳神経と嗅神経に癒着し、結合した。
「今から夏菜に自分がどういう状態になってるか見せてあげるから、もう少し待つのよ」
生きながらにして頭の中を他人にかき回される気分を味わうのは何回目だろうか。
それは今まではいずれも魔眼によるものだったが、今回は視覚、聴覚、嗅覚を封じられたままという過去に例のないやり方だった。
その封じられたはずの夏菜の目にある人物が映し出される。
その人物は床に仰向けになり両耳から赤い触手をゆらゆらと生やしながら、目を見開いて驚いているように見える。
「これ……私?」

718:予定調和
10/03/29 22:20:28 weCi6VyO
夏菜は目に見えている自分が口を動かし喋っているのがわかる。まるで鏡に映った姿を見ているようだ。
しかし、瞬きはしているのに視点が自分の意思で動かせない。声は録音した自分の声を聞いたような違和感がある。
「どうやら見えたみたいね。面白いでしょ、これ」
触手に鼓膜が破られているはずなのに夏菜は冬子の声を聞き取ることができた。
その声もまた少し前まで喋っていた冬子の声と違って聞こえる。
「ど、どうなってるの……?」
そもそも、暗闇のはずなのにどうして自分の姿を見ることができるのか、違和感だらけだった。
最初は鏡像に見えた自分の姿も、右手を動かそうとすると目に映っている自分も右手を動かすから余計に頭が混乱する。
「感覚の共有、と言えば理解しやすいかしら。夏菜が今見ているもの、聞こえているものは全部私と同じものよ。
 もちろんダブったりしないようにフィルターをかけることもできるんだけど、夏菜は見えてたほうがいいでしょう?
 拒否しても見させるけど」
否応無しに見せられる今の自分の精液塗れの惨めな姿に夏菜は顔を背けようとするが、目に映る自分の顔が動いただけである。
「まあ、これも肉体変化の応用なんだけどね。私くらいコントロールできるのは他にいないと思うわ。
 夏菜の耳に差し込まれてる触手、どこから生えてるか見てみる?」
大きな翼の後ろにあって確認し辛いが、夏菜は冬子の視点でそれがまるで尻尾のような位置にあるのを見た。
それが2本ともそれぞれ左右の耳に繋がっている。夏菜に見せている側から、耳に差し込まれた2本より一回り太い3本目の触手が生やされた。
そうすると何も変化がない夏菜にも尾骨のあたりから痺れるような快感が背中を走り抜ける。
「っ!?うへえ、気持ち悪いってば」
「嘘つき。ほんとは生えたとき気持ちよかったくせに。じゃあこれを……」
寝転んだままの夏菜の目の前に触手の先端を突きつけて、冬子が言い放つ。
「奉仕してもらいましょうか」
「ほう……し?」
冬子に言われた言葉の意味が理解できないのか、夏菜はキョトンとした顔をしている。
「いや、奉仕しろって言われても、具体的に何すればいいのかわかんないんだけど」
冬子はそれを聞いて夏菜の無知さ加減に思いっきり呆れた表情を見せた。
「夏菜、もうこの前20歳になったのにその無知っぷりは不味いわよ……いいわ、私が教えてあげるから」
触手の先端をさらに夏菜の顔に近づける。またもや夏菜は顔を背けようとするが、今度はぴくりと顔の筋肉が動いただけだった。
「逃げようとしてもダメよ。感覚は共有してるけど、夏菜の体の支配権は全部私が握ってるんだからね」
「あっ……あ……」
口も動かせなくなったので、夏菜は不明瞭な声しか出せなくなる。
「奉仕する悦びと奉仕される悦びが同時に味わえるわ。普通の人間には絶対に味わえない感覚よ、しっかり堪能していきなさい」
冬子は夏菜の両手を操り自分の触手を大切そうに包ませ、そのまま夏菜の唇と舌で舐めしゃぶらせる。
「んっ、んっ、じゅる……」
「気持ち悪さ」に対しては心の準備ができていた夏菜だったが、
それとは全く異なる「快楽」に意識の逆を突かれて頭の神経がショートしてしまった。一瞬意識が飛び、再び強烈な快楽によって呼び戻される。
死んだ魚のようだった目の色が変わり、色めき立って快楽に飢えたの雌の目に成り下がっていく。
「そう、先っぽの口の部分は舌の先で軽くつつくように……咥え込んだら咽喉の奥でよく味わって……」
自分でやるだけより、何倍も気持ちがいい。一旦きっかけを作ってしまえば夏菜もこのシンクロする悦楽に逆らえない。
後は冬子が何もしなくても夏菜は一心不乱に触手の先端に舌を這わせ続ける。
「うぅん、んんっ、そうそう、いい調子よ」
人外の肉欲の世界に絡めとられたら、2度と抜けることは出来ない。
ヌチャヌチャと卑猥な音が聞こえること、よがり狂いながら、触手にうっとりしている自分が客観的に見えること、口内の柔らかい感触。
奉仕しているのに同時に奉仕されているという矛盾しながらも噛み合う感覚にたちまち虜になる。
「ちょっと、ストップ、ストップ!夏菜ったらいつまでやれば気が済むのよ」
「だってえ……気持ちいいんだもん……」
これがついさっきまで奉仕の意味も知らなかった夏菜と同一人物の姿なのだろうか。
あれほど嫌がっていた触手が今では欲しくてたまらない、見えていないはずの瞳に欲情の色がありありと浮かんでいる。
「もっと、それ、欲しいのお……」
「そういうときはね、自分の手でアソコを押し広げてここに入れて欲しいっておねだりするのよ」
「……こう?」

719:予定調和
10/03/29 22:24:21 weCi6VyO
夏菜に顎を引いて上目遣いで尋ねられると、冬子のほうが誘惑されているのではないかという気にさせられる。
夏菜の押し広げられた陰門からはまだ血と精液が混じった液体が零れていた。
おねだりさせる予定であった冬子だが、夏菜のくりくりとした可愛い瞳の破壊力に思わず引き込まれる。
感覚を共有しているということは、冬子がごくりと生唾を飲み込んだことも当然夏菜に伝わる。
「い、いいわ。そのまま、夏菜の貧相な語彙で私を誘ってみなさい」
夏菜はいつもの芯が通った声ではなく、甘ったるい猫撫で声で冬子の挑発に答えた。
「冬子お、強がってるのが私にもまるわかりだよお?ほんとはあ、冬子のほうが入れたくてたまらないくせにい」
これから味わう禁断の快楽への期待と自分が冬子を誘惑しているという事実に酔い、夏菜は恍惚とした表情で冬子に扇情的な視線を送る。
「……ちっ!そうよ、もう、我慢の限界よ!」
自分の思考を夏菜に見透かされた冬子が忌々しげに舌打ちをした。
広げられた陰門に触手をズブズブと沈め、一息に貫く。膣がぎゅっと収縮し、それをがっちりと受け止めた。
「ひっ!?あ、あっ、きたあああぁぁぁああああ!!」
夏菜と同時に、挿している冬子も抗いようのない愉悦に襲われ足腰に力が入らなくなる。
冬子はこれが初めてではないとはいえ、自分の秘穴にも同じ触手が刺さったのと等しい刺激を受け一瞬頭が真っ白になる。
「さっきの輪姦でいい感じに解されてるわね。いつまで意識を保っていられるかしら?」
この二重快楽のよさを知ってしまえば、もう普通のプレイに満足できなくなる。
冬子のほうは言わずもがな、夏菜も既に手遅れだ。単純に感度を2倍にされるよりも始末が悪い。
「しゅごいいい!突っ込んで、突っ込まれて、気持ちいいが、頭の中で、ぐりゅぐりゅ回ってるう!!混ざって、1つになってるう!!!」
冬子が自発的に潜り込ませようとしなくても、夏菜のほうからもりもりと触手をより深くまで咥えこんでいく。
「夏菜ったら、顔面壊れすぎよ!ははっ、目がイッちゃってるって!!自分が今どんな顔してるか、見えてるんでしょう?」
触手をニュルニュル動かすのはそのままで、冬子は自分の割れ目に手を伸ばす。
そこはこっちにも何か突っ込んでくれといわんばかりに蜜を垂れ流している。
「私のおまんこもぐちょぐちょになっちゃったじゃない……そっちに突っ込んだまま、オナニーしてあげる。
 これも普通の人間だと実現不可能な感覚よね」
アナルセックスならできなくもない。だが、秘部で他人と繋がったまま自慰をする感覚を得ることは普通の人間にできる範囲を超えている。
「気持ちよすぎて、らめ、頭、こわ、こわっ、壊れ、おかしくなる!」
ぐちゅりと音を立てて冬子が自分のヴァギナを弄る度に、自慰の快感が追加で快楽の渦に混ぜ込まれて自我を保てなくなる。
「はあ、はあ、そろそろ、ガツガツ突いちゃいましょうか!」
子宮口に穴を空ける勢いでグリグリと抉る。1回突くごとに子宮が揺さ振られ、その振動が精液で満たされた中身を撹拌する。
「そんなに突いたら、中に入っちゃうって!」
「最初からそのつもりだけど?」
触手を突然きゅっと細くし、ちょうどぱっくり口を開けた子宮口に滑り込む。
その中で触手をうねうねと動かすと、触れ合った肉壁から生じる甘い電流が2人を悦ばせる。
「ああっ、そこでぐちゅぐちゅやるの、あ、あ、反則うう!」
「普通の人間にはできないから反則技かもね。でもこういうことするときにルールなんてないわ。私が気持ちよければそれでいいのよ!」
この繋がった状態で冬子が気持ちいいということは、そのまま夏菜も気持ちいいことになる。
夏菜がぶしゃあと潮を噴き、冬子もそろそろその高みに達しようとしていた。
「うわ、中で、ずずって、吸わ、吸われてる!?」
夏菜から吸い取られた精液は冬子の体内でタールのような真っ黒い粘液に変換される。
その粘液は本来の生殖機能が失われる代わりに、どぎつい催淫効果をもたらすものとなる。
「これを膣の中に注がれたら、夏菜は淫欲の虜になって男を漁る淫婦になるのよ……」
しかしいくら男を漁り続けても、禁断の快楽を知ってしまった今では永遠に満足できない。
触手が脈動し、管の中を粘液が走りぬける。それだけで射精に似た感覚がどっと押し寄せて理性を壊していく。
冬子は夏菜が、夏菜は自分が浅ましい雌犬に身を堕とすことを想像して胸が高鳴る。
冬子が愉しそうに口の端を歪ませた。
「きひひ……たーっぷり注いで、夏菜の頭をぶっ壊して、エロエロなことしか考えられなくしてあげる!」
びくっと冬子が全身を震わせる。

720:予定調和
10/03/29 22:28:18 weCi6VyO
そしてカッと目を見開くと、びゅるびゅると下品な音をたてながら夏菜の体内で触手の先端が噴火した。
「いっ?!あああああぁぁぁああああついいいいい!!」
「くううううぅぅぅぅぁぁぁぁああああああ!!」
2人とも痙攣が治まらない。冬子は夏菜の上に跨った姿勢のまま、意識を飛ばしてしまった。
白目をむいているので、ギリギリで意識を保てている夏菜も視界が閉ざされる。
「はあ、はあ、気持ち、よかったでしょ?まだ終わらせないからね」
膣内に入り込むために細くした触手が再び太さを増していく。
夏菜の息遣いに連動して膣が収斂し、ぎゅっ、ぎゅっとリズムよく締め上げる。
粘液の催淫効果により、静まることのない絶頂の余韻に漂ったままでいられる。何度イっても、イきたりない。
「これ以上は、だめだめ、気持ちよすぎて、死ぬって!あはっ、お腹の中で、触手が、太く、おっきくなってきて、きつきつになってきてる!」
次第に触手のストロークを激しくしていくと、本能が理性を凌駕してこの快楽に慣れている冬子ですら喋る余裕がなくなってくる。
「ああっ、ひいん、んふっ、ちょっ、待って……」
体力の限界、体が全く動かなくなるまで快楽を得ようと忘我状態になった夏菜が、冬子に襲い掛かった。
「もっと、もっと、もっと、ちょうだいいいいいぃいい!」
とうとう夏菜は我慢できなくなり、両手で自分の秘部に刺さっている触手を掴んで扱き始めた。
軽く触手を揉むだけで気絶しそうになるほどの衝撃が2人の頭を揺さ振るのに、そんなものを扱かれては正気を保つのは難しい。
「ひっ、いひひっ、うひゃあああああああああああああ!!いいいいいいいいいいいいい!!あは、あははははははははははははははは!!」
「白石さん、かけ方が雑、これ、もう、解けかけてる!私まで、壊れる、から、やん、止まりな、さいよ!
 この、くぅ、はあ、はあ……はあぁぁぁん!!」
本能を剥き出しにした夏菜の思考に押し流され、冬子も夏菜に遅れながらも潮を撒き散らした。
冬子の支配を振り切るほどに暴走した夏菜は、繋がれた触手を通して逆に冬子の頭の中を蹂躙した。
普段なら冬子に向けられる夏菜の意思は封殺することができるのだが、それを跳ね除けるほどに今の夏菜の情欲は強くなっていた。
感覚を共有している2人はどちらが犯し、どちらが犯されているか曖昧になってくる。
「私を犯して!冬子の色で私を染め上げてえ!!」
現状では確かに形の上で犯されているのは夏菜のほうだが、精神的な優位性も夏菜のほうにあった。
フィルターを使っても押し切られるなら耳に刺さった触手を物理的に抜いて感覚の共有を絶てばいい、と冬子は考えたが
「ぬ、抜けない?!」
より深く繋がりたいという夏菜の意思が冬子の行動を阻害する。冬子は触手どころか手足の自由も利かなくなってきていることに気付いた。
「変なところのスイッチが入ったっぽいわね……ってうわ!?んうぅっ!?」
夏菜が上半身だけを起こし、ぬっと両手を伸ばして冬子の顔を捕らえた。そしてそのまま引き倒し、冬子の唇へ自分の唇を重ねた。
夏菜に急に唇を奪われ目を白黒させた冬子だが、唾液を送り込まれ歯茎と咥内に舌を這わされると瞬く間に警戒心が薄れていった。
夏菜の舌が冬子に「こっちに来て」と語りかけてきているようだ。
冬子は誘われるままに夏菜の舌に自分の舌を絡ませる。
ちゅぷちゅぷといやらしい音が響き、冬子は自分が今何をしているのかはっきりわからなくなる。
夏菜の鼻息が冬子の顔にかかると、冬子のまぶたがずんと重くなる。
夏菜がゆっくりと口を離すと2人の間に涎の橋がかかった。
「なんとなくキスしたくなったからあ……しちゃった」
「ふぁ……今だっ!!」
そのまま多幸感の海に浮かんでいたい気持ちをなんとか堪えた冬子は、
気が緩んでいる夏菜の隙を突いて両耳に差し込んでいた触手を引き抜いた。
「ひぎっ」
夏菜が小さく奇声をあげて動かなくなったのを確かめると、しゅるしゅると3本の触手を自分の体内に収納し冬子はやっと一息つくことができる。
「ふう、一時はどうなることかと思ったわ。ここまで派手に壊れると思ってなかったから、治療は白石さんに任せたほうがよさそうね」
このまま夏菜を放置すれば調教を施した自分たちがどうなるか見当もつかない。殺されるのならまだいいほうだ。
最悪、晴川たちが今受けているのと同じ私刑を処されるかもしれない。

721:予定調和
10/03/29 22:31:36 weCi6VyO
「……!!」
そのとき冬子は背後から突き刺さるような視線を感じ、恐る恐る振り向いた。
押し潰されるようなプレッシャーのおかげで、振り向く前に視線の主を十中八九予想できていたが―。



夏菜が男の集団の中に投げ込まれて犯されているとき、晴川は仰向けのまま夏菜のことを心配することしかできなかった。
1人や2人ではなく、もっと多い人数であることが簡単に予測できるほどの数の興奮した男の声。
まだそのような行為すらしたことのなかった夏菜の気持ちを想うと、何もできない自分が情けなくて心が痛んだ。
「ちょっと!あたしが目の前で裸を見せても全然勃たないってどういうことよ!?……って、見えてないんだっけ」
「……」
晴川はむすっとした表情で春香の言葉が聞こえなかったふりをする。
「ねえ、ずっと寝転がってるのも暇でしょ。あたしと気持ちいいこと、しよ?」
春香が晴川に甘ったるい声で話しかけてくる。
晴川からは見えないが、今の春香は月夜女姫と顔を合わせているときには決して見せない艶っぽい表情をしていた。
「……」
「ここでも無反応を貫くつもりね……そんなんだから冷血人間って言われるのよ。
 それとも、そこまであたしに性的魅力がないって言いたいわけ。へえ、そう……」
素足で晴川の萎えっぱなしの逸物を思いっきり踏みつけ、そのままグリグリとつま先を押し付ける。
「いっで……」
「ごめん、あたし足コキとかやったことないからやり方よくわかんないや。こうやって踏みつけたらいいのかな?」
半端な知識で逸物を痛めつけても、被虐趣味ではない晴川は萎えるばかりだった。
私刑ではまだ急所責めはされていないので、実質これが初めての急所責めとなる。
「やっぱりこれ間違ってるかも。じゃあ、次はパイズリでどう?でもこのままじゃできないから、こうやってもみもみして……」
春香が自分の胸を揉んでいくと、たちまち乳房が膨らみ春香の小柄な体格に不釣合いな大きさになる。
それでいて弾力と張りは十分にありはちきれんばかりの形を保っている。
「これで大体FかGくらいかな。これをずっとあのクズはぶら下げてるのかあ、重たいったらありゃしないねえ。
 ほんとはローションつけたほうがいいんだろうけど、あたしの蜜をあんたの逸物に塗って……これでいっか」
極上の柔らかさが晴川の逸物を挟むと、晴川も本能を理性で抑えておけるのも限界が近くなる。
ゆったりとしたテンポで逸物を扱いて、晴川の意思に反してむくむくと持ち上がる逸物に春香はハアッと熱い吐息を吹きかける。
「く……アア……」
「おお、硬くなってきてる。やっぱりあんたも男だね。あたしのおっぱい、気持ちいいでしょ?
 ああ、もうすっごいガチガチだよ。我慢汁も出てきてるねえ……」
魔に堕ちた春香に強制的にイかされるなど屈辱にもほどがある。晴川は自制心を限界まで発揮させてひたすら忍耐に努めようとした。
「あたしのこと、エッチなことなんて全然知らない子供だと思ってたでしょ?
 でも、この歳でそういうこと全く知らないのってあの純真無垢な蘭ちゃんだけだと思うよ。
 あんたや先輩に見せてたのは全部あたしの外面。本当のあたしはこういうことにも興味津々な女の子なんだよ」
理性を振り切って本能に身を任せてしまえばどんなに楽なことか。
しかしそれは同時に晴川のプライドをずたずたに切り裂く、決して許されないことだった。
「我慢しなくていいよ。ここに来てから抜いてないでしょ?夏菜ちゃんが同じ部屋にいるしね。
 ほら、溜まったの全部出して……楽になっちゃえ」
春香はストローでジュースを飲むかのように晴川の鈴口に吸い付く。
畳み掛ける春香の言葉、逸物を包む魔悦に耐え切れず、晴川の精神力は限界を迎えた。
「……うっ!?」
「ふぁっ!?うぶぅっ!!」
抜く機会がないので溜まりに溜まっていた精液が春香の口内に出され、飲み込めなかった分が口から溢れ出す。
いいように手玉に取られてしまった晴川は羞恥心に潰されそうになった。


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