調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart35at EROPARO
調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart35 - 暇つぶし2ch600:名無しさん@ピンキー
10/03/24 06:01:02 8PQ7HrYI
あなたのSS 呪文みたいに
無限のリピート 

601:名無しさん@ピンキー
10/03/24 06:50:11 67gtK+AF
輪姦卑行

602:名無しさん@ピンキー
10/03/24 10:11:01 sSWMzzLx
今回が、一万二千九百十四回目に該当する。

603:名無しさん@ピンキー
10/03/24 12:47:18 yBTsuCJX
なんかしらんがそろそろかめはめ波くらい出せそうな気がしてきた

604:名無しさん@ピンキー
10/03/24 22:15:16 k/PbKllc
で、どうすれば無限ループから抜け出せるの?
鍵はやっぱりベタだけど協力?和平?融和?

605:名無しさん@ピンキー
10/03/24 22:17:16 FNJsw1/e
自分に催眠かけて終わったことにしちゃえばいいよ

606:名無しさん@ピンキー
10/03/25 00:11:48 TlMxeV3O
>>604
友愛

607:名無しさん@ピンキー
10/03/25 01:15:14 CSpBRxPm
つまん

608:名無しさん@ピンキー
10/03/25 01:48:49 YXfTvqV0
夏休みの思い出

609:INHUMAN
10/03/25 18:06:02 XUHG6xOA
ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッドを立てて非人間的だと思わないの!?
削除依頼を出して消してもらうかどうか分からないけど、
一応の覚悟はしてなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ~!!
まともに潰れなさいよ~!!


610:名無しさん@ピンキー
10/03/25 20:25:29 4fipY5ru
>>609
ナイス!!
GJ!!

611:名無しさん@ピンキー
10/03/25 20:31:07 rlPV/tv2
そういやドラマやるんだっけ?アレ。

612:名無しさん@ピンキー
10/03/25 20:34:05 sVBHReod
アレじゃわからねえよ
お前はジジイか

613:名無しさん@ピンキー
10/03/25 20:41:11 YXfTvqV0
もやしもんだろ

614:名無しさん@ピンキー
10/03/25 22:39:38 akQcWnsl
夏にだったけか
蛍の役は誰だろな

615:名無しさん@ピンキー
10/03/25 23:01:39 LGYcOq0T
>>609は怪物くんではなくらきすた
と悪の奴隷スレ名物マジレスをしてみる

616:名無しさん@ピンキー
10/03/26 00:30:03 A0wGBCfn
東方の聖ってキャラが見方によっては悪堕ちになるかも
妖怪退治専門の僧侶が美貌を手に入れるために妖怪の仲間になって魔女になるって設定
原作はオブラート包まれすぎだから期待するなよ

617:名無しさん@ピンキー
10/03/26 01:05:35 Zgj7a4Ma
悪堕ちで、ヒロインが敵の女幹部もしくは女首領に悪堕ちさせられた挙句に自分の相棒(もちろん女)を喜んで落とすみたいなのが少なくて困る。

618:名無しさん@ピンキー
10/03/26 01:09:18 bp5V5aUw
それはこまるな

619:名無しさん@ピンキー
10/03/26 01:15:59 +xgJI1Gw
相棒が先に堕ちて主人公に仕掛けて来るのは結構見かける気もするもなも

620:名無しさん@ピンキー
10/03/26 01:21:22 Zgj7a4Ma
>>619
でもその相棒を堕とす敵キャラは大抵男じゃね?

621:名無しさん@ピンキー
10/03/26 12:47:31 cvE12Gmm
>>616
キャラ設定見てきたが結構違うくね?
敬愛する弟が死んでしまったので生きるために妖術を使った
妖怪がいなくなると妖術が使えないので助けることにした
助けているうち妖怪が不憫に思えてきたので共存を図ることにした
どっちかっていうと暗い過去のある主人公的な感じだが…

622:名無しさん@ピンキー
10/03/26 14:19:31 p3RJ9xfO
>>621
>>616はお前さんのような界隈者じゃない。
>原作はオブラート包まれすぎだから期待するなよ
自分勝手に解釈して原作設定を否定している。
典型的な東方厨だ…多分アンチじゃない。

623:名無しさん@ピンキー
10/03/26 14:33:58 CtrbGKsN
聖、善人過ぎて悪堕ちと言われましても…
って感じだしなあ
妖怪だろうが見捨てられなかった、度が過ぎていい人だと思うよ

あー、女の子同士のちゅーで悪堕ちするSS読みたい。
純粋にべろちゅーのみで堕ちて欲しい。闇の力注ぎ込んだりしていいから。
まうすとぅーまうすで。

624:名無しさん@ピンキー
10/03/26 23:35:58 wqwaqCye
>>623
「んんっ、ん、んんんんっ!」
「んちゅ、ちゅぷ、ちゅるぅっ、フフ、だいぶできあがってきたみたいね…」
妖しい雰囲気をまとった女が、言う。
「はぁ、はぁ…こ、こんなことされたくらいで、わたしは、ぁうぷッ!」
弄ばれながら、何とか抵抗しようとする少女。
「ちゅぅうう、んちゅ、んちゅ、ンフフ、そんなこと言って、あなたの顔、もう蕩けきってるわよ…
 早く闇の快楽に身を委ねてしまいなさい、ほら、またしてあげる…」
「い、いや、はむぅん! んん、んちゅ、ちゅぷ、ちゅぷぅ」
「ちゅる、ちゅぷぅ、ぬちゅ、ぬちゅる、ホラ、言ってごらんなさい。
 いま、どんな気持ち?」
「あぁ、ああ…きもちいい…きもちいいの…」
少女の答えに、女が妖艶な笑みを浮かべる。
「やっと素直になったわね…さあ、まだたっぷりとしてあげる…
 あなたの心が完全に闇に浸るまで、存分にね…」
二人の姿が、闇の底へと堕ちていく。
どこまでも、どこまでも…

625:名無しさん@ピンキー
10/03/26 23:41:43 b+8pR6Ok
もっと……もっとちょうだぁい……

626:名無しさん@ピンキー
10/03/27 09:32:08 kWKRB8iY
こういうゲームをやってみたい。
主人公は世界征服を目論む悪の軍団のボスで平和を守るために悪である主人公に対抗する
戦士たち(女だけというのも不自然だから男は一応2人ぐらいで女は9人ぐらい)のうち、
女キャラを悪堕ちさせるゲームがしてみたい。
うまくいけば戦士たち側の全ての女を悪堕ちさせることも可能。
その世界の人々や元仲間だった男達を共に倒して世界征服を果たすのがゲームの目的。
もちろん悪堕ちした女はエンディング後も世界征服を果たした主人公の部下のまま。
「はっ、かしこまりました○○(悪軍団のボスの名前)様」とかの部下らしい言葉もほしい。
マグロ目は必須で悪堕ちして以降は常にマグロ目。
女の服装は主人公のアジトから出てきて以降は悪コスチュームで
エロ要素は別にいらないからこういうのを作ってほしい。

627:名無しさん@ピンキー
10/03/27 10:10:25 nc4pDSUX
>>626
ジャスティスブレイドは?

628:名無しさん@ピンキー
10/03/27 10:11:09 QdEFD3GJ
>>625
なぜか田中理恵の声で脳内再生された

629:名無しさん@ピンキー
10/03/27 10:59:05 e0TGAGpp
ストリートファイターの親衛隊って、一般人が堕ちるんだよね?
ということで、ユーリ洗脳を書いてみたよ!単発だけど、かなり長いんで4~5回ぐらいに区切るよ!!
属性は 機械姦 闇エネルギー注入 レズ 実験 ぐらいかな?


630:ユーリ・プロジェクト①
10/03/27 11:00:01 e0TGAGpp
ジュリアが買い物袋を持って外へ出たとき、雲ひとつない青い空に、メキシコ中を照らしだす陽気な太陽が浮かんでいた。
昨日まで降り続いていた雨が、地面のあちらこちらに水たまりを作っていたが、太陽はそれすら、自分の物だと主張するかのように水面に映りこんでいる。
前日の雨を追いだすかのような青空が広がる晴天の日こそ、絶好のバースデイ・パーティ日和に思えた。
ジュリアの恋人、ホークも、きっとそう思ってくれている筈だ。
今日はホークの誕生日だ。ジュリアが、仕事仲間を呼んでパーティを開こうと提案すると、彼は顔を赤くして恥ずかしがったのだが、
みんなとの付き合いは大事よと言うと、彼も最後にはしぶしぶ賛成した。
1年に1回の、大切な日なのだ。特別な日は、みんなで祝いたい。
ブラウンの長髪が、風に流されてさらさらと舞う。日差しを受けてまぶしく輝く髪が、彼女の楽しい気分を表現しているかのようだ。
こみ上げてくる嬉しさと手をつないで、彼女は街の中心部へと歩いていく。
歩くこと20分、次第に人通りの多い、街の心臓部がやってきた。様々な種類の店が、一様に看板を並べて、客の目を引こうと頑張っている。
ここへ来れば、食材、服、アクセサリー、おもちゃ、何でも揃うのだ。
ジュリアはいつも利用している食料品店に入っていった。スーパー「メキシカン」である。
パーティーで皆に料理を振る舞うため、ジュリアは必要な食材を見て回った。
買う物は決めていた筈だったのだが、あれこれと見て回るうちに、作りたい料理も増えていき、いつの間にか買い物かごは予定よりも多くの食べ物でいっぱいになってしまった。
「買いすぎの気もするけれど、たまにはいいわね」
かごいっぱいの食材を見て、ジュリアは満足気にうなずいた。
これだけの荷物を持って帰るのは、女性には文字通り、荷が重いのではないかと心配したくなるが、当人は全く気にしていない。
スレンダーな体型をしているジュリアだが、これでも子供の時から、林業を営む父の手伝いで、ある程度の重さの荷なら、軽々と持てる程の力を身に付けているのだ。
だが、いつもこのぐらいの荷物を持ちあるくジュリアでも、店員が大量の荷物に目を丸くするのを見ると、さすがに恥ずかしさを覚えずに居られなかった。
「よいしょ!」
両手に、食材で一杯の袋を提げて、彼女はまた来た道を戻って行く。
すでにジュリアには、今夜のパーティーの盛り上がりが頭に浮かんでいた。


631:ユーリ・プロジェクト①
10/03/27 11:00:37 e0TGAGpp
彼女が、街の中心部を離れた、人通りの少ない道へと足を踏み入れた時だった。
通りに隣接する、建物と建物の間。その暗い路地裏の中から、二つの人影が姿を現した。
その人影の正体は、まだ幼さの残る少女達だった。一人はピンク色の髪をツインテールにまとめ、もう一人は紫の髪をさっぱりとしたボブカット。
共に、16から18歳ぐらいの年齢だろうか。
彼女達は、どこにでもいる少女と言うには、あまりに異様ないでたちをしていた。 
線を強調するように体にぴったりと密着した、薄いストライプを走らせる濃紺のレオタード。
頭の上に載せられた紺色の帽子。襟元に締まる、濃紺を背景に咲き誇る黄色のネクタイ。
手首から肘近くまでを、真っ赤なナックルパーツが、脚足には細長いブーツが、それぞれの部位を保護していた。
彼女達はただ無表情で、両腕を体の横に伸ばし、直立の姿勢をとっていた。並んで静かに佇む様子は、統率のとれた軍隊を思わせる。
彼女達の目には光が無かった。ただ、じっと前方を見つめる瞳の中に、なんら感情を読み取ることは出来ない。
その光なき視線は、街を歩くジュリアに注がれていた。
だが、ジュリアは誰かが自分を見つめている、それも、獲物を射るような視線をくれていることに、全く気付きもしなかったのだ。


632:ユーリ・プロジェクト①
10/03/27 11:01:22 e0TGAGpp
女の一人が動きだした。猫のようにしなやかで、瞬発力のある動作だ。
暗い闇から光の中へ飛び出した少女は、一気にジュリアとの間合いを詰めていく。
そして、細く引き締まった腕を、ジュリアの背後から腰に絡みつかせた。
「きゃあ!」
ジュリアは思わず小さな悲鳴を漏らした。
少女達の急襲は、襲撃対象の不意を完全に突くよう、周到に計算されたものだった。
組みつかれるまで、ジュリアには襲撃者の足音さえ聞こえなかったのだ。
腰に巻き付いた、細いつるのような腕が、ぐいぐいと後方に獲物を引き込む。細身なのに恐ろしい力だ。
耐えきれず、ジュリアの足はずるずると地面を引きずりだした。
襲われている。
自分を襲った異様な状況を理解したジュリアは、とっさに悲鳴を絞りだそうとした。
しかし、後ろから伸びる手の平が、ジュリアの口にしっかりと蓋をしてしまった。
「んん~!ん~!!」
助けを乞う懸命の叫びは、口を押さえつける襲撃者の手によって、低く、くぐもった声に変換された。
口をふさがれたと同時に、何かが口内に入ってきたのをジュリアは感じた。
何か、丸くて苦いものだ。
不意を突くようにやってきた異常事態に、ジュリアの心は限界に近づいていた。
為すすべもない状況に、理性は思考を放棄した。
混乱に支配されるがまま、激しく首を振り抵抗するジュリアだったが、ただ彼女の長髪が乱れるだけで、事態は何ら変化しない。
暴れるジュリアの眼前に、もう一人の女性の姿が出現する。紫色の髪をした、まだ子供らしい顔立ちの少女だ。
彼女は感情を表さない瞳でジュリアを見つめていた。
(何、この娘)
彼女が現れるのとほぼ同時に、暴れるジュリアの腹に重い衝撃が与えられた。
「がっ!?」
目の前に現れた女の拳が、ジュリアの腹にしっかりとめり込んでいた。
とてもこの少女が放ったものとは思えないほどの、強烈な一撃。  
目を丸くし、息を詰まらせるジュリアは、叩き込まれた衝撃で先ほど口に侵入した異物を飲み込んでしまった。
異物は彼女の喉を通った後、胃に淵に辿りつき、急速に溶けはじめた。
少女は一層強い力で、ジュリアの体をぐいぐいと引っ張って行く。
この娘達は自分に恐ろしいことをしようとしている。あの目は普通じゃない。なんとかして逃げなければ大変なことに……。
恐怖に駆られながらも、ジュリアは残された力を振り絞った。力を込め、全身全霊を込めた抵抗を繰り広げる。
しかし、抵抗を諦めさせるような、急激な眠気がジュリアを襲った。
大波のような眠りは、抵抗心だけでなく、意識全てを根こそぎ刈り取ってしまう。
(駄目!)
少女がジュリアの口に投げ入れたのは強力な睡眠剤だった。
この薬を服用すると、いかに屈強な男であっても、泥に沈みこむかのような眠気に呑まれて、なすすべもなく昏倒する。
対象の不意をつき、即座に薬を投与するという行動は、彼女達が人間を拉致する際の「プログラム」に沿ったものだった。
ジュリアは、最初から彼女達の「プログラム」の中にはまり込んでいたのだ。
全てが一瞬で行われた。
ジュリアの意識は深い眠りの底に沈澱した。全身の力も、空気が抜けるように消えてなくなる。
完全に抵抗するすべを失ったジュリアを、二人の少女達は路地裏の闇の中へと引きずり込んでいく。
「任務完了。帰還します」
普段から、この道は人通りが少ない所ではあった。しかし、この日の通りはいつにも増して静かすぎた。
陽気な太陽は、素知らぬ顔でメキシコの街を照らし続ける。
誰にも知られることも無く、日常という名のベールが、また一つ、罪を覆い隠していった。

 ▽捕獲対象データ
  名称:ジュリア=カーソン
  性別:♀
  年齢:19
  出身地:メキシコ
  身長体重:164㎝ 49㎏
  捕獲理由:親衛隊増強の為。
  処理方針:シャドルーの一員としての意識を刷り込み、必要な技術を習得させる。
  備考:シャドルー重要人物ファイル№54「T=ホーク」と親交の深い人物と思われる。

633:ユーリ・プロジェクト①
10/03/27 11:01:59 e0TGAGpp
ジュリアの意識が、深い眠りの海から浮上する。
「……んんっ」
目が覚めたと言っても、完全な覚醒にはまだ至っていなかった。
頭がまるで鉛のように重く感じるし、視界もぼんやりと霞がかっている。
それになんだか息苦しい。体にもまだ力が入らなかった。
(ここは、どこ)
ジュリアがまず考えたのは、自分のいる場所がどこかということだった。
持てる全ての感覚を研ぎ澄ませて、彼女は状況の確認を始めた。
彼女は、自分が仰向けに寝かされた状態で、何かの器のようなものに入れられているのだと気付く。
白い、浴槽のようなもののようだ。しかし、それは浴槽と言うには、あまりに機械的だ。カプセルと言ったほうが正しいのかもしれない。
肌にひんやりとした空気が触れるのを感じる。
頭や腕と言った、普段から露出することの多い場所だけでなく、腹や乳房、下腹部等の、布で覆い隠すべき部分にも直接、空気が触っている。
彼女は下着さえ身につけていない状態だった。
僅かに息苦しさを感じるのは、鼻と口を覆うようにマスクが装着されているからだった。
気圧を調整された麻酔用マスクは、彼女が首を激しく振ったとしても、しっかりと吸いついて離れない。
腕に力を入れ、持ち上げようとしても、何かに阻まれて、動かすことが出来なかった。
足も同じ状態だ。手首、足首そして腹部に、丸い輪っかのようなものがはめられていて、ジュリアの動きを拘束しているのだ。
彼女が思い切り暴れて見せても、全く外れる様子はない。
彼女の体は昆虫標本のように、軽く股を広げた状態で張り付けられているのだった。
頭は固定されていないようで、僅かにだが、首を起こすことが出来た。
首を起こした状態で、ジュリアは視線を下の方へと向けていった。
見えたのは、腕や腹など、体の各所に張り付いた白い吸盤のようなもの。吸盤からは黒いコードが伸びているのが見えた。
ジュリアの目に映ったものの中で、特に異質だったのは、彼女の豊満な乳房に吸いついた、細長い透明な筒のようなもの。
筒からも、吸盤と同じように、黒いなチューブが伸びていた。

目まいがする。
なぜこのような状態で自分は寝かされているのだろう。何が行われようとしているのだろう。
恐怖が今さらのようにやってくる。
(誘拐されたんだ)
自分が冷たい表情をした少女達に襲われたことを、ここに至ってようやく彼女は思い出したのだ。
「対象の覚醒を確認」
唐突にやってきた誰かの声で、ジュリアの思索は終了を迎えた。
「測定を開始します。測定科目は……」
淡々とした女の声が、カプセルの外から聞こえてくる。ジュリアの存在を全く無視しているかのようだった。
(教育?測定?)
意味が分からなかった。だが、
「データを読みあげます。対象者名、ジュリア=カーソン、女性、年齢、18歳」
女性が頭上で告げる内容は、間違いなくジュリアを指し示すものだった。
「ここはどこなの?あなたは誰?」
ジュリアは近くにいると思われる女性に向けて問いかけた。その声は十分に女性の耳に届いた筈だった。
「意識レベル、安定。測定を開始します」
「答えてよ!」
女はジュリアを完全に無視していた。ここがもし病院だったのなら、ジュリアの声を黙殺するなど、あり得ない筈だ。
「測定」という単語からジュリアは、自分が病院にいるのかもしれないと想像したのだが、ここは違う。自分の全く知らない、日常からかけ離れたどこか遠いところなのだ。
機械が静かに唸り声をあげた。その音と共に、カプセルの蓋が覆いかぶさってきた。
「何するのっ!出して!」
何とかここから抜け出さなければと、めちゃくちゃに体を動かすが、拘束は頑として溶けない。それでもあきらめきれなかった。
抵抗も空しく、蓋が完全に閉じてしまった。
外が見える透明なガラスがはめられているおかげで、彼女は外からの光を奪われるようなことは無かったが、不安と恐怖を拭う要素には数えることができない。
(一体何が始まるの?) 
曇天のような分厚い不安が、彼女の心を捕えて離さない。

634:ユーリ・プロジェクト①
10/03/27 11:02:33 e0TGAGpp
外界から隔絶されたとある島に創設された、秘密結社「シャドルー」中枢本部。
最先端軍事力の結晶と称される施設の中に、洗脳教育室はある。
麻薬売買、軍事兵器密入、暗殺等、数々の悪事に手を染めるシャドルーであるが、その構成員も多種にわたる。
野望に魅了され、自ら志願することで構成員となった者。
弱みを握られたために、無理やり構成員として働かされる者。
補助を受ける代わりに構成員として尽くす者。
能力を見込まれて、スカウトされた人間も存在する。
そして、シャドルーの持つ技術力の行使によって、洗脳を施された者もいるのだ。
第1号から第5号まで設けられた洗脳教育室は、誘拐した人間に精神操作、肉体改造を施し、シャドルーの構成員とするための施設である。
洗脳に必要な設備は全てここに集結されているのだ。
ジュリアがいるのは第2号洗脳教育室だった。
その中で、三人の研究員たちは、ジュリアの解析を黙々と進めていく。
「感情パターン解析」
抑揚のない声で、研究員の一人が言い、目にも止まらぬ速さで操作盤のキーを叩いていく。
彼女達のきびきびとした無駄のない動きは、効率性を得た代償に、人間らしさを損なっているかのようにも見える。
部屋の中には、ジュリアを閉じ込めている、機械仕掛けのカプセルと、同じく複雑な機械を密集させた肘掛イスが設置されていた。
2つとも、捕獲対象を洗脳し、シャドルーに引き入れるための悪魔の装置だ。
白衣を着こなした彼女達を取り巻く環境は、傍から見れば医療の現場ともとれそうなものだったが、
ここはあくまで、日常と断絶された、秘密結社シャドルーの「教育」の現場なのである。
「アドレナリン値測定……」
機械的に動く、洗脳担当者である研究員達も、元々はシャドルーとは無関係の民間人だった。
ジュリアと同じように拉致されたあと、徹底した洗脳を施されたのだ。彼女達は洗脳教育室の卒業生とも言える存在だった。
ある一人以外は。 
「感情パターン解析終了。さあ、始めるわよ」
眼鏡をかけた、栗色の髪の女性が指示を出した。
「はい、カノン様」
残りの二人は、その女性の言葉に忠実に従う。
「そう、好い子よ」
妖しく微笑む女性、カノン=モリスンは、洗脳教育室を創設した第一人者であった。
この部屋にある装置も、彼女が一から作り上げたものだ。
もちろん、彼女は洗脳教育を受けてはいない。シャドルー総帥の持つ野望に惹かれ、自ら入社を志願した者の一人である。
今、彼女はジュリアの洗脳プログラムを進めながらも、最近シャドルーに引き入れた女性研究者の様子にも目を光らせていた。
(全く問題は見られない、か)
カノンをマスターと仰ぎ、淡々と作業をこなしていく女性研究者2名、ミランダとアリスの洗脳も、カノンの手によって行われたのだ。
元々二人は、それぞれ化学、医学を学ぶ、カレッジスクールの優等生だった。その彼女達も、シャドルーに拉致され、ベガに対する忠誠と、軍事研究についての知識・ノウハウを叩きこまれたのだ。
技術だけをみれば、洗脳教室創設者、カノンに劣るものではない。
「催淫ガスを注入しなさい」
カノンの指示に従い、二人は次々に機械を操作していく。

635:ユーリ・プロジェクト①
10/03/27 11:03:13 e0TGAGpp
プシュー……
空気が漏れるような音が聞こえてきた。と同時に、甘い匂いがジュリアの鼻孔をついた。
催淫ガスが管を駆け抜け、マスクへと送り込まれているのだ。マスクから送られる甘いガスは、蠱惑的なかぐわしさをもってジュリアに迫ってくる。
(あまい……?)
ジュリアの体の動きは次第にとまり、ゆったりとしたものになった。
先ほどまでの混乱が嘘みたいに引いていく。あとに残るのは水面を漂っているかのような穏やかさだ。
「はあ……はあ……」
(熱い……どうして……)
もしジュリアが、訓練を受けた軍人だったのなら、少しは抵抗できたのかもしれない。
だが、訓練などを受けた経験のない彼女は、体を官能の炎に包み、心を淫らに変貌させる催淫ガスの効果に、あっという間に支配されてしまった。
顔を赤く上気させ、快感にとろけた瞳を虚空に彷徨わせているのがその証拠だ。
「はあ……んっ……」 
呼吸がだんだんと荒くなる。口から、ガスを吸い込んでは胸を膨らませ、吐いてはしぼませる。
ガスが彼女を満たしていくに従って、快感が全身に感染し、呼吸の速度も加速していく。
「ああ……いい……はあ……ひもち……ひい」
(だめぇ……勝手に……こうふんして……)
全てが、淫らな思念の渦に沈んで消えた。
先ほどまで抱いていた不安をもう彼女は感じていない。
状況を理解しようという努力も、もう見えない。
マスク越しで見えにくいものの、彼女の口元が歪んでいるのは外からでも確認できた。普段の彼女なら決して、恋人の前でさえ見せない、淫らな、娼婦染みた笑みだ。
(ほしい……ほしい……)
彼女のヴァギナが、ひくひくとうごめいている。咥えたくて、咥えたくて、我慢できないと主張する子供のようだ。
愛のジュースが、とろとろと、とめどなく溢れては垂れ落ちていく。
彼女の変化を待っていたかのように、機械から一本の管が伸びてきた。
丸い粒が一杯ついた、嫌らしい形状の突起が先端に付けられている。
男性器をかたどったバイブだった。
女の興奮を掻き立てるバイブの後ろに、股間全てを覆うカバーが控えていた。
女から愛液を貪欲に絞っては吸い取っていく淫猥なマシン、膣液吸引機である。
それが、ジュリアの股の間をゆっくりと進み、彼女の秘密の近くにまで進んだ。そのことに、彼女は気付かない。



636:ユーリ・プロジェクト①
10/03/27 11:04:12 e0TGAGpp
「対象の膣液を採取するため、吸引器を挿入します」
カプセルの外で研究員が言った。ジュリアの耳は外の声を捕えていたが、彼女の心にまでは届かなかった。
それどころではない状態なのだから、当然だ。
嫌らしい突起が、ゆっくりと彼女の秘密に触れた。
「ひっ!!」
それだけで、すさまじい衝撃を感じた。
高圧の電気が流れたかのよう。彼女の体は驚き、快楽から逃げるかのように、激しくはねた。だが、腹部を固定する枷に阻まれる。
少しずつ、突起がジュリアの中へ侵入する。
突起についた粒が、ジュリアの膣壁をこすっては、愛液の分泌を急き立てた。甘い電気が彼女の脳をスパークさせる。
「ひぃぃぃぃぃ!!!!」
悲鳴があがった。ジュリアは目を固く閉じ、限界まで体を反らせた。
ゾクゾクとする。甘い感覚に、全てがはじける。
1センチ、3センチ、5センチ。
進むたびに、腰が砕けるかのような愉悦が爆発する。
ヴァギナから誕生した甘い激震は、心臓を躍らせ、体を快楽の炎に包みこむ。呼吸も不安定になった。
「~~~~~~~っ!!!」
声にならない声。快楽の爆弾から逃れるかのように、彼女の体は勝手に暴れまわる。
ジュリアは何度も限界の扉を見た。しかし、扉はいとも簡単に開かれる。その先にあるのは新たな限界の扉。
催淫ガスは女を獣のように発情させる。快楽中枢を剥き出しにされ、興奮を強制的に高められたジュリアに限界などなかった。
ついに、突起は彼女の最奥にまで達した。
ぴたりとその動きを止める。カバーが股間に密着して、女の秘図を覆い隠してしまった。
ただ入れただけなのに、既に秘唇は熱い愛液に濡れ爛れていた。股間と吸引部分の僅かな隙間から、熱い液体が涙のように流れている。
このとき既に、彼女は甘い沼の中で自身を失った状態であった。
「あっ  がっ  ああ」
いつの間にか、彼女の上げる声は無機的な声に変っていた。感じるに従って声をあげる、単純な機械がそこにいた。
吸引機の動きは止まったが、突起部分は彼女の震えに応えるように膣壁を舐めている。
その深くもやさしい快感は、先ほどの衝撃に比べればマイルドなものだった。
「興奮数値101、性感数値81」
「異常ありません。膣液のさらなる分泌を促進するため、吸引器の前後運動を開始します」
女達の声がしたすぐ後だった。
「あがっ!?」
膣内を静かに舐めていた機械が、激しく前後運動を始めた。時折回転運動を織り交ぜる不規則な動きは、ジュリアの女をかき乱しては満たしていく。
グチュ グチュ グチュ
「があああっ!ああああああ!!!おおあああああああ!!!!!」
機械と膣がもたらす水音、体がカプセルを叩くタップ音、そして快楽の叫び。
カプセル内に狂悦の多重奏が響きわたる。
「ひいぃぃぃいぃ!!!があああああああああああ!!!!」
淫らな獣が上げる甲高い咆哮。
通常、人体が感じることのできないほどの、凶暴なオーガズムをジュリアは感じていた。
神経を焼き切る程の絶頂感が、強烈なスパークを脳に叩きつけ続ける。
「ああああああああああ!!!!はああっ!!!!うあああああああ!!!!!」
(!!!!!!)
悶え狂うジュリアに構うことなく、突起は膣内で何度もピストン運動を繰り返す。
不規則に、身をひねる回転を加え、あらゆる刺激を与え続ける。
女を悦ばせる為の機械は、ジュリアの性本能を肥大化させ、破裂させていった。
何度も絶頂する。そのたびに咆哮する。膣に与えられる刺激の一つ一つが、オーガズムへ直結するスイッチと化していた。
強制的な連続絶頂で、ジュリアは完全に自身を失った。自分が何をされているのか、もう分かってもいない。

637:ユーリ・プロジェクト①
10/03/27 11:04:47 e0TGAGpp
「これは中々の逸材ね」
半ば白目をむきかけ、絶叫するジュリアの様を、楽しそうに見つめながらカノンは満足そうに言った。
ここまでの反応を示す女は初めてだった。これは教育し甲斐がある。
二人の研究員は、狂態の悲鳴に顔を向けることも無く、仕事を続けている。
「膣液を採取しました。ただいまの興奮数値134、性感度数136。オルガスムスを1分につき3回観測」
「搾乳可能状態になりました。これより射乳を促し、採取を行います」
通常、出産経験のない女性は母乳を出すことは無い。射乳を促すホルモンが生成されていないからだ。
だが、一定以上の性的興奮状態に陥ったとき、特殊な手法を対象者に用いれば、母乳の生成を促し、搾乳することが可能だ。
「分かったわ。はじめなさい」
この射乳で、大抵の者は失神する。未出産女性の強制射乳は人外の悦楽を伴うのだ。
豊満な乳房をいじられて、この女はこれ以上、どうよがり狂うのだろう。
淫らな想像を背景に、カノンは静かに笑みを浮かべた。


638:ユーリ・プロジェクト①
10/03/27 11:05:21 e0TGAGpp
「あ……は……」
絶頂の嵐はまだ続いていた。ジュリアの声は枯れ、意識も半ば失神に向かいかけいた。
彼女が意識を手放そうという寸前で、吸引機は止まった。嵐が去って行く。
「あ……!……はあ……」
(と……とまっ……ら……?)
体の痙攣が徐々におさまってくる。だが、いったん火のついた身体はまだ疼いたままだ。
あれだけ狂悦を演じ、堪能したと言うのに、ジュリアは物欲しそうに足をすりあわせていた。
マスクも、ジュリアの興奮の炎を消さないように、間断なくガスを与え続けていた。
胸に吸いついた搾乳機が突然動きだした。チューブから、優しい風が吹いてくる。それは渦を巻くような気流となって、槍のようにとがった乳首を撫でまわし始めた。
「ああ……」
再三、絶頂を迎えたにもかかわらず、これまで全く触られていなかったピンクの突起は、気流が与えるソフトな刺激に悶え始めた。
甘い風が乳首から乳房へ、乳房から一気に全身へ。
「はああああ!!んん!!」
(むねが、からだが、しびれる!!!) 
気流は竜巻のように、小さな渦を巻いている。渦は乳首の側面を優しく、抱き締めるかのように愛撫し続ける。
「ふわっ、ふわああああああああ!!!!」 
先ほどまでのハードな刺激とは違った、ソフトな責め。
気流の責めで、乳首の感度はますます上がる。
あっという間に、二つの乳首はクリトリス並みの感度を持つ器官へと作り変えられてしまった。
「ふああ!!!ああああ!!!
ジュリアの声は止まらない。だが、先ほどまでとは違い、どこか柔らかさのある悲鳴。
少しずつ、気流の動きが変わっていった。
とがった乳首の側面を愛撫していた気流の間隔は徐々に狭まり、乳頭の先の一点に集中しはじめた。
細い、針のような、微小な竜巻が生成された。小さな竜巻は先の部分、尻尾の部分で乳首の先端を拡げ、中に押し入ってくる。
「うわあああああ!!!!!」
乳首の内壁を撫でられる感覚は、ソフトな感覚とは程遠いものだった。
やわらかいヤスリが、快楽中枢をじかにこすりつけてくるかのよう。
ゾクゾクと震える乳房。呼応するように、体全体が痙攣し始める。
再びジュリアの目が上にひっくりかえり始めた。口からははしたなく唾液を垂れ流している。
「あぐっ あ ああ」
竜巻は乳房の中にまで侵入した。乳房の内部を、竜巻は激しく愛撫し始める。
「ら  らめ ああ  おああああああああああ!!!!」
二つの乳房が、搾乳機によって激しくかきまわされる。
普段触られることのない、乳房内部の乳管を直接愛撫する異様なマッサージは、母乳の生成を強制する。
激しい疼きを感じていた。切ない気持ちがあふれ出してくる。
乳房の内部に何かがたまってゆくのをジュリアは感じた。それは先端に集中し始め、外へ出ようとしていた。
「乳の生成を確認。搾乳を開始します」
カプセル外の声と共に、搾乳機の動きが変化した。気流はかき回す運動をやめ、
一気に吸い出した。
「ぐああああああああああ!!!!!!!!」
ジュリアの絶叫が響く。
母乳が、乳首から勢いよくほとばしる。ゆっくりと出るのではなく、水鉄砲のように発射される母乳。
母乳は、発射される度に乳首の内壁をこすって、快感を置き去りに体外へと出ていく。
その様は、男性の性器官、ペニスが精を放つのに酷似していた。
母乳は過敏になった乳首から発射される。どんどん出る。
もう十分なほどの量を出したと言うのに、まだ搾乳機は乳首を吸い続ける。
二つの豊満な乳房は、白い果汁を搾りだす果物のようだった。
ジュリアの体が暴れ、乳房が激しく動作しても、しっかりと吸いついた搾乳機は全く離れる様子はない。
ガクガクと、体が全体が砕けるような痙攣がジュリアを襲った。絶えまなく続く痙攣は、彼女の思考をふるい落としていく。
ジュリアの意識がだんだんと遠くなってきた。母乳を吐きだすとともに、精神も一緒に抜けて出ていくようだった。
あそこを貫かれる快感とは違い、無理やり母乳を作り、それを搾取される等、常人には理解できない程の快楽なのだ。
苦痛にも似た、未知の快楽にジュリアは耐えることが出来ない。
「あっ!!!」
彼女の精神が壊れるのを防ぐ為、脳はぷつっと、ブレーカーを落とすかのようにジュリアの全ての機能をシャットアウトした。

639:ユーリ・プロジェクト①
10/03/27 11:06:24 e0TGAGpp
「対象の失神を確認しました」
女はそう言い、終了キーを叩いた。
ジュリアを悦ばせていた、カプセル内の全ての機能がストップする。
搾乳機は胸から離れ、ヴァギナを貫いていた吸引機も、たまった愛液を滴らせながら、ゆっくりと抜け出る。
体中に吸いついていた吸盤も次々に外されていった。
脱力したジュリアの姿を見届けて、カノンはカプセル横の検査機に向かった。
女から絞り出された体液は、カプセル内部から外へ向かう管を通り、外部の検査機に行きつく。
検査機は、膣液から本能レベルを、母乳から代謝レベルを瞬時に割り出すものだ。

女性の興奮状態により、分泌される膣液は、粘り、匂い等が多様に変化する。
性的な興奮状態にある時、女は普段脳を制御している理性を麻痺させ、奥深くに眠った本能を解放する。
猿から進化を遂げた人間が、失った獣性に全てを支配され、牝に立ち返る瞬間である。
極限にまで高められた性興奮状態で放出される膣液から、人間が潜在的に抱え持つ、「本能」を解析することが可能なのだ。
一般的に、本能レベルが高ければ高いほど、洗脳教育の成果が色濃く表れてくる。
本能レベルは、対象を教育するプランを立てる上で、最も重要視すべき項目の一つとして数えられる。

一方、母乳からは体が持つ代謝のレベルを割り出すことが可能だ。
生命を維持するために、人間は肉体の様々な箇所において、常にエネルギーを消費している。
母乳を作るのも、体がエネルギーを消費して行っているものの一つだ。
乳房を特殊な技術でマッサージし、強制的に射乳を誘発させるという行為は、人体のエネルギーを母乳の生成のために無理やり引き出すと言うことだ。
あり得ない条件下で作られた母乳から、異常な状況に置かれた肉体がどれだけのエネルギーを引き出すことに成功したのかを割り出すことが可能なのだ。
どちらも、これから行われるセッションにおいて、必要となってくるデータである。

640:ユーリ・プロジェクト①
10/03/27 11:07:39 e0TGAGpp
カノンが見た時には既に、検査機の液晶モニタには検査結果が映し出されていた。
「本能レベル94、代謝レベル98……」
素晴らしい数値だった。
一般女性の平均数値は、性興奮レベルが76、代謝レベルが67。
ジュリアのレベルは、そのどちらも大きく上回っている。
良い素材だ。これでこそ、ベガ親衛隊にふさわしい。
1号室で検査した、もう一人の親衛隊候補、エレンもなかなか良い数値を叩きだしていた。連続で優良な人間が手に入ったのは嬉しい限りだった。
彼女がほくそ笑んでいるときだった。
「どうだ、カノン。プロジェクトの調子は」
教育室の扉が突如開き、マントをはおった男が悠然と現れた。
彼が入ってきただけで、部屋の空気が一気に様変わりしたようだった。
彼が纏う、黒く、禍々しいオーラが部屋の属性に影響を与えているのだ。
男の名はベガ。秘密結社シャドルーの総帥である。
「ベガ様。全ては順調に進んでおります」
カノンは手を額に添えて敬礼をした。二人の女性達も同じように敬礼をとる。
「それは結構なことだ」
彼は両脇に女性戦闘員を侍らせていた。
二人とも、頭に小さな帽子をかぶり、濃紺のレオタードを着こんで、赤いナックルパーツを着用している。
シャドルー親衛隊のコスチュームだ。
彼女達は、一切の感情を失った、人形のような瞳をカノン達に向けていた。
二人も、かつては平和に暮らしていた一般人であった。だが、カノンの手によって教育されてからは、立派な親衛隊としてベガの傍で奉仕している。
ベガがカプセルに近づく。それに合わせるように研究員がカプセルを操作し、蓋を開いた。
静かな音を立てながら、ゆっくりと蓋が開いて、中からジュリアが女の全てを露出した姿で現れた。
ベガの指がジュリアの唇に触れた。やわらかな唇を出発点として、あご、首と降りていき、胸元、腹、下腹部の茂みに辿りついた。
「事前のリサーチ通りの娘だな。素質がある」
ベガの満足そうなその笑みは、カノンの自尊心を満足させるものだった。
「はいベガ様。彼女はベガ様を護衛する、親衛隊にふさわしい素材と言えるでしょう」
ジュリアの上で遊んでいたベガの指が離れた。
「『ユーリ』の完成、楽しみにしているぞ」
そう言い残し、彼は洗脳教育室の扉へ向かった。二人の親衛隊員も付き従う。
彼が部屋を去った後も、暗黒のオーラはその場に残っていた。
まだこの研究室に彼が存在していると思わせる濃いオーラは、カノンの胸を心地よく高鳴らせていた。
    
 
 ▽第一回測定結果報告
  オルガスムス記録回数…32回
  最高興奮値…164
  最高性感度数…143
   
  肉体組成値…145 
  特筆事項…下半身、特に脚部の組成値が著しく高い。
  本能レベル…94
  代謝レベル…98 

 ○適性診断結果(F~S)
  適性職種
  研究員…C
  戦闘員…A+
  工作員…B
  
  私見……類稀な潜在的戦闘能力。期待値はこれまでの親衛隊の中でも群を抜く。


641:名無しさん@ピンキー
10/03/27 11:12:14 e0TGAGpp
これで一回目は終わりです。
前書いた、モモタローの時に「もっと堕ち描写を」との声があったから、なんとか
頑張ってみたけれど、無駄に長くなった。御免なさいね。
だいたい完成はしているんで、2回目は今晩辺りにあげようかなと思ってます。
生殺しにはならぬように気をつけます……。

642:名無しさん@ピンキー
10/03/27 13:41:32 XH5bcYZZ
すっばらしいー
GJ

643:名無しさん@ピンキー
10/03/27 13:52:51 SYCMgK3B
王道っていいよね~
GJ!!!!!!!

644:名無しさん@ピンキー
10/03/27 14:00:40 /M5SER2O
GJ
説明文がくどいのを除けば良作だNE

645:名無しさん@ピンキー
10/03/27 14:45:37 CmdJI3tp
大作乙ですなあ
って桃太郎の人かw

646:名無しさん@ピンキー
10/03/27 20:49:27 7vEvp1Q5
モモタロウの人GJ

647:名無しさん@ピンキー
10/03/27 21:18:13 QIlRcU2B
桃太郎gj

648:名無しさん@ピンキー
10/03/27 22:11:06 e0TGAGpp
ユーリプロジェクト、2回目上げさせてイタダキマス。
1回目はこちら>>630から。
4~5回と言いましたが、どうやら3回のアゲで済みそうです。
2回目は1回目に比べてさらに長いですが……投下しまーす。


649:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:12:03 e0TGAGpp
ジュリアのまぶたがゆっくり開かれた。
ぼんやりとした意識とは正反対に、全身の筋肉ははっきりと、けだるい感覚を染み込ませていた。
「目が覚めたみたいね」
耳元で女の声が聞こえた。誰かの手が伸びてきて、ジュリアの頬に触れる。
「まだぼんやりとしているか。仕方がないかもね。あれだけ、楽しんだんだから」
楽しんだ?何を?
すぐに、暴力的な快楽に包まれて意識を失った記憶が思い出され、顔が熱くなった。
「あなた……誰?」
だんだんと視界がはっきりとしてくる。
寝ぼけたような意識も、だんだんと回復していく。
そして、自分が異常な状況下におかれているのだということを思い出した時、ジュリアに眠っていた恐怖も、むくりと首をもたげてきた。 
「ここ!?どこなのよ!?」
激しく首を動かし始めるジュリア。
この時、ようやく彼女は、洗脳教育室の全貌を知ることが出来た。
白い壁に囲まれた、殺風景な部屋。彼女が左前方を見ると、棺のような、人一人が入ることができるカプセルが設置されていた。
先ほどまでジュリアが拘束されていたカプセルである。
そして、ジュリア自身はというと、機械仕掛けの肘掛イスに座らされた状態だった。
さっきと同じく、全裸の姿だ。
手首を肘掛の上で、鉄製のリングで固定されているために、動かすことが出来ない。
足も同様に、だらしなく股を開いた状態で、イスの脚部にベルトで止められていた。
だが、彼女を取り巻く状況で最も異様なのは、頭部に取りついた黒いヘッドギアだった。
太いコードが頭部から5、6本、イスの後ろで唸り声をあげる機械へと伸びている。
ジュリアを捕えているこの装置は、シャドルーが誇る悪夢の発明の一つだった。
それも知らず、ただ戸惑いを全身で表現するジュリアの姿を、カノンはおかしそうに眺めていた。
「私はカノン。そして、ここは教育室よ」
カノンはジュリアに囁くように言った。その両手は、ジュリアの肩に置かれている。
「きょういくしつ?」
「そう。教育室。あなたが生まれ変わる場所よ」
ジュリアには、未だに今の状況が理解できていない。
あるのは、買い物の途中で女性二人に襲われて、気がつけば得体の知れない装置にかけられて、体をめちゃくちゃになるまで責められたという、支離滅裂な記憶だけだ。
だが、この女が危険な人物だろうという確信はあった。
「生まれ変わるって、どういうことなの」
「そのままの意味よ。これまで築いてきた人格を私達の都合のいいように改造して、シャドルー総帥に身を尽くし、捧げる女に生まれ変わるの」

650:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:12:40 e0TGAGpp
シャドルー。
その言葉を聞いた時、ジュリアの心に最大警報が鳴り響いた。
ホークが唾棄するように口にした、悪の代名詞、シャドルー。
世界中で起こっている拉致事件に自分は巻きこまれたのだと、ようやくジュリアは悟ったのだ。
「あなたはベガ様に忠誠を誓う戦闘マシンになるの。私が変えてあげる。……今はまだ実感が湧かないかもしれないけれどね」
さも当たり前のようにカノンは言った。 
「嘘よ!そんなこと、できるはずがないじゃない!!」
「それが出来るのよ。私達、シャドルーの精神操作と、ベガ様のサイコパワーを駆使すれば、人間を洗脳するなんて簡単なことなの」
カノンはミランダとアリスに指示をだした。彼女達は指示どおり、ジュリアの洗脳準備に取り掛かり始める。
カノンは続けた。
「あの二人も、あなたと同じ反応をしたわ。泣いて、叫んで、大変だったけれど、今は立派にベガ様の下で働いているの」
カノンの手がジュリアの首を強引に二人のいる方向へ向けた。
「どう、素晴らしいでしょ。これも教育の結果というわけ」
呆然と、ジュリアは二人の研究員の姿を見た。
淡々と動作する様は、人と言うよりはロボットのようだった。
ジュリアがいくら目を凝らしても、彼女達の姿からは全く、人間らしい感情というものは見て取ることが出来なかった。
彼女達に助けを求めたところで、こちらの言葉は一切、彼女達の心には届かないのではないか。
心を持たない人形。
自分もこのような人間に変えられる?
暗澹とした未来が、ジュリアの張りつめた平静を断ち切った。
「嫌!嫌よ!!離して!!お願い!!」
カノンはジュリアの悲鳴を無視して、彼女の耳に密閉式のヘッドフォンをかぶせた。ジュリアから聴覚を奪われる。
カノンは二人に指示を出した。指示を受けて、ミランダ達は機械を起動させる準備を始める。
イスの後ろに設置された機械は、暗黒のオーラ、「サイコパワー」を生成し、対象に送り込む装置だ。
サイコパワーは、負の感情を増幅させた力で、人間の破壊衝動を高め、肉体を強化する作用がある。
人体にサイコパワーを送り込むことで、肉体強化と共に、精神もシャドルーの構成員としてふさわしい物へ変えていくのだ。
装置が、コードを通じてジュリアのヘッドギアにサイコパワー流し込み始めた。
サイコパワーを流された瞬間、ジュリアの瞳孔が突然収縮した。目を大きく見開き、放心した表情に変わる。
「せいぜい、頑張りなさい」
カノンの冷たい励ましはジュリアの耳には届かない。

651:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:13:15 e0TGAGpp
頭に何かが流れてくる。その何かが頭に流れる度に、次第に心が喧騒しだすのをジュリアは感じていた。
(……!!)
何かは、まるで波動のように全身へと伝わる。
頭から足の先まで、満遍なく拡がる黒い波動。
全身に波動が満ちると、筋肉が激しく躍動し始めた。
拘束された手足がビクビクと痙攣する。それに合わせて、彼女の座るイスもやかましく音を立て始めた。
筋肉の躍動。そこに感覚など何もない。快感は当然のこと、痛覚さえもない。
だが、その激しい痙攣は、彼女の心の情緒を不安にするに足るものだった。
「があああああっ!!」
獣じみた声が、腹の底から絞り出された。
ヘッドギアから供給されるサイコパワーが、彼女の心に結びつき、眠っていた攻撃性を目覚めさせ始めたのだ。
理性が痺れだした。次第に考えがまとまらなくなる。
「うああああああ!!!!おおああああ!!!」
黒い思念が渦を巻き始めた。次第にそれはジュリアの心を飲み込む大渦に変化していく。  

[……たい]

最初、それは取るに足りないほどの、小さな思念に過ぎなかった。

[壊したい]

[破壊したい 殺したい]

小さな思念は、次第に膨れ上がり、強烈な衝動へと姿を変えて、ジュリアの心に迫ってきた。
[破壊したい 殺したい ]
(違う)
[無茶苦茶にしてしまいたい]
(違う!!)
[全てこの手で]
(違う違う!!)
湧きおこる、おぞましい衝動を否定するように、必死に彼女は首を振った。
『 破壊 殺戮 』
ヘッドフォンから、怖気が走るような単語が囁かれた。その女声はまぎれも無く、ジュリア自身の声だった。
『 破壊 殺戮 破壊 殺戮 』
平板で機械的な口調で、「ジュリアの声」は、ジュリアの精神に言葉を塗りこんでいく。
[破壊したい]
(そんなの、違う!!)
『 破壊 破壊 破壊』
(私はそんなこと……!!)
理性は否定するが、理性の内に秘められた本能は違った。
本能はサイコパワーの全てを受け入れて、理性の殻を破ろうとうごめいていた。
コードから伝う邪悪な波動が、本能に訴えかけると同時に力を与えているのだ。
自分が壊されていく。
彼女の虚ろな目から涙が流れ、頬を伝い始めた。
(違う違う違う!!!)
「違う!!!!」

652:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:13:53 e0TGAGpp
洗脳装置のヘッドランプが消えた。機能が停止した合図である。
機械の停止と同時に、ジュリアの激しい震えも、ゆっくりと穏やかになり、止まった。
全身の筋肉が弛緩しているのだろう、ジュリアの体は、イスにすべてを預け切った状態だった。
うなだれるように首を折り曲げ、放心した表情で、呆然と下方を眺めていた。
口端から垂れるヨダレが胸を伝って腹部に流れている。
収縮していた瞳孔は、少しずつ元に戻っていった。
「ハア、ハア、ウ……ア……ア……」
苦しげに、ひどく無機的な息を吐き、ジュリアは必死に理性を取り戻そうと喘いでいた。
理性が戻ると、真っ先に思い起こされるのは、黒き波動の与える強烈な衝撃。ジュリアの目に熱い涙があふれてきた。
痛いのではない。
苦しいのではない。
恐ろしいのだ。
底知れぬ程に暗い波動が、自分を変えようと迫ってきた。その実感が、ジュリアを恐怖の谷底へと追い込んでいる。
ジュリアを一瞥して、カノンはミランダに言った。
「『慣らし運転』の調子はどう?」
「はい、カノン様。パワー供給レベルを1に設定し、対象に送り込みました。サイコパワー伝導率は、最小値が22%、最高値は35%を計測」
ベガ様の見込み通り。
カノンは、恐ろしい程のポテンシャルを持つジュリアを歓喜の目で見つめた。
サイコパワーは人体を強化する力を無限に秘めているが、一方で、人間がもつ破壊性を異常に刺激する。
最初からサイコパワーを大量に人間に与えてしまうと、膨張した破壊衝動が精神を食らいつくし、結果、殺意に飢えた獣へと変えてしまうのだ。
「殺意の波動」とも呼ばれることのあるそれは、本来、ベガのような、負の思念を真っ向から受け止めきれる程の、類稀な素質が備わっている者でしか扱える力ではないのだ。
何もかもを壊された廃人は使い物にならない。
対象を使い物にならないようにしない為にも、最初の「慣らし」は重要だ。
どのような反応を見せたかによって、サイコパワーをどれだけ流し込んでいいものかを測るのだ。
ジュリアの反応を見て、カノンが下した決定は、
「パワー供給レベルを3に移行」
アリスが装置を起動させ始めた。機械の起動ランプが点灯し、再びジュリアへサイコパワーが送り込まれる。
先ほど供給されたものの倍のパワーだ。
「ひっ!!!!」
ジュリアが再び葛藤の世界に戻っていく。限界まで背を反らして、虚ろな目を限界まで見開いて天を仰いだ。
「いやああああああああ!!!」
「『洗脳プログラム1』を実行します」
ジュリアの悲鳴をよそに、研究員が装置の操作盤に手をかけて、手慣れた手つきで次々と操作していく。


653:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:14:30 e0TGAGpp
[破壊したい 壊したい 全てを壊したい]

「違う!!違うの!!私は!!!」

『 破壊 殺戮 破壊 殺戮 』

「もうやめて!!お願い!だから……ああああ!!!!」

[破壊したい!!全て壊したい!!! 我慢できない!!!]

『 破壊 殺戮 殲滅 殺戮 破壊』

「こわし……た……いやっ!!いやああああ!!!」

『 破壊 受け入れる 殺戮 受け入れる 殲滅 受け入れる 殺戮 受け入れる 破壊』

(壊したい……)

「駄目っ!!!だめぇえええええ!!!」

[我慢する必要はない ただ解き放つだけ]

(解き、放つ……)

「私は!!私は!!!」

654:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:15:06 e0TGAGpp
サイコパワーの供給レベルを3に移行してから一時間。彼女の心の限界はピークに達していた。
変革される精神は、負の感情を無茶苦茶な配分で掻き混ぜた、ドロドロのカクテルと化していた。
心をバラバラに破壊され、望まない形に組みかえられていく、経験したことのない苦痛の世界に彼女はいた。
抵抗しようとも、その意思が粉々に粉砕されてしまい、どうにもならない。
『 破壊 全て受け入れる 殺戮 全て受け入れる 殲滅 全て受け入れる 殺戮 全て受け入れる 』
(受け入れる……)
「……ああ!!受け……い……」
ついに本能が理性を上回り始めた。膨張した衝動を理性では抑えきれなくなり、徐々に本能に従い始めているのだ。
支配の逆転。
これまで理性に抑えつけられ、支配を受けていた本能は、サイコパワーの後ろ盾を得て、激しい反乱を起こしている。
本能が理性を凌駕すると、被暗示性が極限にまで高められ、どんな無茶な暗示さえも受け入れてしまう状態になる。
『全て受け入れる 受け入れなければならない』
『受け入れなければならない 衝動に身を任
せる 委ねる 委ねる』
洗脳装置は、対象の声を徹底分析し、独自の音声出力システムで「本人の声」を生成する。
その音声で紡がれた暗示を、ヘッドフォンを通じて対象の耳へ注ぎ入れるのだ。
本能を剥き出しにした人間は、自分の声を、そのまま自分の考えとして受け入れてしまう。
自身の声が与える暗示は、第三者が与える暗示とは比べ物にならないほどの影響を脳に及ぼすのだ。
『委ねる 全てを委ねる 逆らわない 逆らえない』
『逆らわない 逆らえない 委ねる 衝動のままに』
(さか……らわない……)
「さからわ……いや……!!さか……」
[我慢できない!!!壊す!!殺す!!!殺す!!!]
『逆らわない 逆らえない 委ねる 衝動のままに』
(ころす 破壊する)
「あああ……!!ころ……す……いあ、うわっ、はかいす……はかいする!」
自分の声が耳元で囁くたびに、ジュリアはいとも簡単に思考を操作され、自身を捻じ曲げてしまう。
崩れる心の様を体現するように、彼女の顔つきも、だんだんと力を失った、弛緩したものへと変化していった。
ジュリアの心の扉は、闇から差し伸べられる手によって開かれようとしていた。
「ころす……殺す……」

655:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:15:52 e0TGAGpp
「ストップ。休息時間よ」
カノンの指示と同時に、洗脳装置はジュリアに電気信号を送った。意識のブレーカーを落とし、強制的に失神状態に追い込むものだ。
「あっ」
驚いたような声を残して、すとんと、糸が切れたようにジュリアの意識は落ちた。
かちりと音がして、彼女を拘束していたリングは一斉に外れた。カノンの手で、頭を覆っているヘッドギアも外される。
「カプセルに運びなさい」
「はい。カノン様」
ミランダとアリスは、イスに座るジュリアの両隣りに並び、肩を担いで立たせると、カプセルの方へと歩いて行った。
二人に連れられるジュリアの顔は穏やかだった。先ほどまで抵抗の叫びをあげ続けていた者とは思えない。
ジュリアは再びカプセルの中に入れられた。手足もリングで固定される。そして、蓋が静かに閉じられた。
「休息プログラム作動」
ジュリアの口に気圧マスクが張り付いた。コードが一斉に体の各所に伸びて、先端の吸盤が柔肌に吸いついていく。
「カプセル内に栄養液を満たします」
エメラルドの液体が、カプセル内に溢れ出した。ジュリアの体をゆっくりと登り、包み込んでいく。
サイコパワーの供給は時間をかけて行われる。
精神の変調と同時に、サイコパワーは急激な肉体組成の変質を促す。
筋肉の増強は、対象の肉体に激しい疲労を刻むため、適度な休養が必要となるのだ。
また、張りつめた緊張状態にあった意識を、一度シャットダウンさせることで、脳に与えた情報を整理させるという目的もある。
液体がカプセル内を完全に満たした。
ジュリアのブラウンの髪は、高濃度栄養液の中で、なめらかに浮き沈みを繰り返していた。
体を包む栄養液は、皮膚を介して全身の筋肉を癒し、さらなる強化への基盤を作っていく。
「対象の進捗データを確保しました。読み上げます」
アリスがモニタ画面に映るデータを読み上げ始めた。
「全体進捗状況7%。筋組織増強可能容量残86%。精神支配率9%。最終抵抗数値145……」
 

656:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:16:27 e0TGAGpp
▽第二回測定結果報告
  全体進捗状況…7%
  筋組織増強可能容量残…86%
  精神支配率…9%   
  最終抵抗数値…145
  サイコパワー伝導率
 ・最小値…21%
 ・最高値…39%
  重点プログラム内容…破壊衝動に訴えかける、攻撃性の強化。
  特記事項
 ・素晴らしい筋組織。代謝レベルの示す通りの結果を現している。
  精神支配率が若干低いため、与える暗示の発声頻度を引き上げるものとする。


 ○前回測定結果
  オルガスムス回数…32回
  最高興奮値…164
  最高性感度数…143
   
  肉体組成値…145 
  特筆事項…下半身、特に脚部の組成値が著しく高い。
  本能レベル…94
  代謝レベル…98 

 ○適性診断結果(F~S)
  適性職種
  研究員…C
  戦闘員…A+
  工作員…B

 ○追記事項
  測定を見直した結果、戦闘員適性をA++に変更する。

657:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:17:08 e0TGAGpp
休憩を途中で挟みつつ、教育は進んでいった。
3度目の教育を受ける頃には、ヘッドギアから与えられるサイコパワーと、彼女自身の声によって語られる暗示に抵抗する意思も見えなくなっていた。
彼女の表情にも、目に見えて変化が現れていた。
まぶたはとろんと、半ば力なく下がり、口の端から唾液を垂れ流していた。
瞳孔の収縮した瞳は、一体、どこを見ているものか分からない。放心状態にあるかのような、呆けた表情だ。
全身の筋肉は電流を流されているかのように、ビクビクと痙攣を起こしていた。
サイコパワーが全身の代謝を異常な速度で促しているのだ。通常では考えられない速度で彼女の筋力強化は進んでいた。    
だが、順調に見えた洗脳教育、肉体改造は、4回目の教育に差し掛かった時に壁にぶつかった。
恋人の存在である。
『忘れる 忘れる 忘れる』
(ホーク!!助けて!!)
「私は……!!うう……」
消えていく恋人の姿を心から手放すまいと、彼女は頑として暗示を受け入れない。
「よくあることだけど、面倒よね」
サイコパワーにより、ジュリアの破壊衝動を膨張させ、彼女に眠る本能を解放したあと、
カノンはジュリアの持つ、余計な記憶の削除に入ったのだが、すぐに問題に直面した。
ジュリアが抱く恋人への想いは、暗示を受け付ける隙間が無い程に強固なものだったのだ。
ジュリアの心の中の大切な部分、これからベガが入るべき位置に、T=ホークという邪魔者がいるのである。
『 ホーク 忘れる 忘れる 消える』
「ホーク!!ああ!!私は……!!私は……!!」
折角封じ込めた理性が再び戻ってきている。
カノンは操作盤に向かい、音声出力プログラムを呼び出した。
ホークという存在を忘れさせるより先に、ホークに対する疑念を植え付けるよう、処理方針を変更する為だ。
「ジュリアがホークを忘れられないのは、恋人が今の状況を打開してくれると固く信じているからよ。あなたがどこまで恋人のことを想っているのか、試してあげるわ」
カノンの操作が完了すると、ジュリアに囁く言葉が変化した。
『ホーク 憎い なぜ助けてくれない ホーク 憎い 』
(嫌!!嫌!!)
「ホークは……そんなのじゃ……!」
『 なぜ助けてくれない 助けて欲しいのに 憎い 』
「ホーク……たす……けて」
彼女の虚ろな瞳から、一筋の涙が流れる。それに構うことなく、「自身の声」はホークに対する疑念を植え付けていく。
『 助けて欲しいのに なぜ なぜ 苦しい 信じられない もう信じることができない』
(信じ……)
『信じられない 信じられない 信じられない』
「信じ……られない……」
ほんの少しの疑念。そこから生じた疑心の傷口を、暗示が急速に広げていく。
「ホーク……助けて欲しいのに……」

658:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:17:36 e0TGAGpp

 ▽第四回測定結果報告
  全体進捗状況…21%
  筋組織増強可能容量残…73%
  精神支配率…16%   
  最終抵抗数値…132
  サイコパワー伝導率
  ・最小値…12%
  ・最高値…27%

  特記事項
  T=ホークの存在が、対象の洗脳教育を妨げている。
  サイコパワー伝導率に影響がみられるが、プログラムの進行には何等支障は無い。
  当初の、対象の記憶からT=ホークを消去する方針から、T=ホークへの疑念を植え付ける方向へと変更し、様子を見るものとする。

659:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:18:07 e0TGAGpp
『 ホーク 殺す 裏切った 許さない ホーク 殺す 裏切った 許さない』
「許さない……」
ギラギラした瞳には明確な敵意が見て取れる。サイコパワーが、ジュリアの負の感情にしっかりと結びついた証だ。
ジュリアが抱いている恋人への想いを崩し始めて3時間が経過していた。
カノンは、ジュリアの中に居座るホークを、「自分を救ってくれない裏切り者」として、時間をかけて認識させていった。
負の感情が増幅しきった心は、少し誘導をかけただけで疑心を生み、激しい憎悪に変換していった。
最初は教育の邪魔でしかなかった恋人の存在は、ここへきて、彼女の攻撃性を大きく高める要素の一つに変質していた。
『 裏切りものには 罰を 私が くだす』
「裏切り者には罰を……」
『 ホークに死を 裏切り者に死を 』
「死を……罰を……」
もう葛藤の叫びはあがらない。彼女の心が、何の抵抗も無く暗黒を受け入れているのだ。
うわごとのように憎しみを口にする唇は、邪悪な笑みさえ浮かんでいた。
闇に酔いしれている。
『裏切り者に死を 力が欲しい 力が欲しい』
暗示が次の段階に入った。紡がれる単語が別種のものへ移り替わる。
『制裁を加えるため 力がいる 誰にも負けない 圧倒的な力』
「圧倒的な……力」
『皆がひれ伏す力』 
「ひれ伏す……」
自らを裏切った男を排除したいと願わせ、次に圧倒的な力が欲しいと願わせる。
そして徐々に軌道を、シャドルーへの絶対の忠誠を誓わせる方向へと曲げていくのだ。
「欲しい……力が欲しい」
『力を得るため シャドルーに誓う 』
「力を得るため……シャドルーに……従う」
拒絶していた筈の単語を、何の抵抗も無く口にしていた。
もう彼女は、暗示の海と溢れる負の力の導きによって、二度と以前の自分には戻れない位置に立っていた。
『シャドルーはあなたを導く あなたに力を与える シャドルーに従う 』
とうとうとヘッドフォンが語りかける内容を、能面のような表情でジュリアは聴き続けた。
語られる言葉が、心地よく耳をくすぐる。
想いを口にすると、力を渇望する心が喜びに震えだす。
「シャドルーは……私を……」
緩慢に、しかし確実に。
彼女の心は、シャドルーの所有物へと着実に変化していった。


660:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:18:36 e0TGAGpp
 ▽第六回測定結果報告
   全体進捗状況:56%
   筋組織増強可能容量残:46%
   精神支配率:45%   
   最終抵抗数値:64
   サイコパワー伝導率
  ・最小値:43%
  ・最高値:67%

  特記事項
   大きな進行率を記録。T=ホークに対する懐疑心が、サイコパワーと同調した結果と思われる。
   これは、親衛隊№4『アプリーレ』の洗脳教育の際に見られた反応とほぼ同一の反応である。
   サイコパワーと感情の因果関係を証明する、実証結果の一つとして報告する。


661:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:19:13 e0TGAGpp
「センサーの感度良好。これより対象にベガ様への忠誠を刷り込みます」
首筋、乳房の側面、わき腹、下腹部、内腿。洗脳装置から伸びたコードが、ジュリアの性感帯の各所へ、触手のように張り巡らされていた。
コードの先端には、黒い四角形のパッドが取り付けられ、ジュリアの肌に貼りついている。
先ほどまでは無かったこれらのセンサーは、微弱な電流を体内に流すことにより、深い性的快感を人体に与えるものだ。
ミランダが注射器を取り出した。ピストン部を押し上げると、針の先から青白い液体が玉のように飛び出す。
「ブレインシュガー」の名で呼ばれる、シャドルーが生み出した精神特効薬の一つである。
ミランダはジュリアの首筋に注射針を突き立てた。
「対象に薬剤を投与」
首筋にちくりとした痛み。
静脈に注入された薬剤は、すぐに全身へ駆け巡る。
「ん……」
薬剤が投与されてすぐに、ジュリアの無感動だった表情が、夢見る少女のように、うっとりとしたものへと変化した。
幸せにたるんだ唇、うるんだ瞳。
「う……んはぁ……」
まどろむような気持ち良さの中で、ジュリアは幸福感を噛みしめていた。
どこまでも飛んでいけるような気分。
ぷかぷかと海の上に浮かんでいるような感覚。
もう何がどうなってもこの気持ち良ささえあればいいという倦怠感。 
思考力を麻痺させて、ただ多幸感を味わわせ続けるのがブレインシュガーの効力だ。
その幸福感は、大切な人とのセックスで味わうことのできるそれと酷似したものである。
「興奮数値76。……81……」
装置に設置された計測器が、ジュリアの心の動きを正確に割り出す。
「興奮数値100を超えました。これよりベガ様への忠誠心を植え付けます」
彼女の耳を覆うヘッドフォンが、再び彼女自身の声で囁きだす。
『シャドルー総統 ベガ様 愛している シャドルー総統 ベガ様 愛している』
暗示漬けになった脳は、すぐに新しい暗示を受け入れていった。
「シャドルー総統……ベガ様……」
蕩けるような声で、ジュリアはつぶやいた。

662:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:19:56 e0TGAGpp
ドクン

「ふあっ!!」
突然、はじけるような波動を感じて、ジュリアの体がはねた。
『ベガ様 愛している ベガ様 愛している』
快楽の衝撃に心臓をドキドキと高鳴らせるジュリアに構わず、装置は耳元で暗示を繰り返す。
『ベガ様 愛している ベガ様 愛している』
「ベガ様……愛してる……」
再びあの波動がやってきた。体全体を揺さぶる衝撃。
「ああっ!!」
嬌声が上がった。背が勢いよく反りあがる。
衝撃の後に、砂糖菓子のように甘い余韻がやってきた。
余韻は多幸感に姿を変えて、既に蕩けたジュリアを優しく包み込む。
(きもひ……いい)
ジュリアが暗示を受け入れるたびに、体中のセンサーが反応し、電流を肉体に流す。
痺れは激しい性感を生み、肉体の諸器官を興奮状態に追い込んでいく。
ジュリアが夢中になっているのは、電流が与える刹那の衝撃では無かった。
体が跳ね上がるほどの激震の後にやってくる、身を包みこむような、優しい余韻がたまらないのだ。
にじむような幸福感が、大きな安心感を纏ってやってくる。
「ベガ様……ベガさまぁ……」
体をビクンビクンと震わせながら、ジュリアは何度も口にした。
幸福感欲しさにベガの名を口にする様は、まるでご褒美をねだって芸をする犬のようだった。
(ベガさま、愛してます)
口先だけではなく、心から彼女はベガを慕い始めていた。
『ベガ様に捧げる ベガ様に全てを捧げる』
『ベガ様に尽くす ベガ様に愛を尽くす』
次々に言葉を変えて、耳をくすぐり続ける暗示を、ジュリアは幸せに身悶えしながら受け入れる。
「捧げますっ!!愛します!!ベガさまぁ!!」
(ベガ様に愛されたい。他の人なんてどうでもいい)
だらしなく口端から唾液が出るのを気にせず、カノン達が見ている前で、何度も何度も愛を告白した。
彼女には、その愛が洗脳によって与えられたものだという意識は無い。
最初から、それも生まれる前から、自分はベガに恋し、愛を捧げ続けているのだと信じ切っていた。
「見ているこちらが恥ずかしいぐらい、本当にいい感じに仕上がってきているわ」
洗脳の成果に、カノンは満足気だった。このプロセスを経過すると、女性なら誰だってこうなるのだ。
共にジュリアの洗脳を担当している女性研究員二人も、今のジュリアと同じように、燃え尽きるような愛に狂ったのだから。 
ベガの存在に依存しきった心身は、二度と他の男に振り向くことは無い。
このプロセスを経ることで、ベガの言葉に喜びを感じ、ベガの愛撫に身を焦がせる、身も心もベガのカリスマに魅入られた人間が誕生するのだ。
プロセスが始まって20分。
すでにジュリアの心の中は、ベガへの愛で満たされていると言ってもいい状態だったが、まだまだ、ベガに対する愛情は時間をかけ、入念に行われる。
ベガに最も近い位置に立ち、ベガに対する寵愛を受けることになる親衛隊には、「忠誠心」以上の、「愛慕」を刻み込まなければならないのだ。
親衛隊は、文字通り、心身を捧げつくす存在だ。自ら進んでベガの慰め物になるのも、親衛隊の重要な任務の一つであり、また至高のご褒美なのである。
「ふぁ、あっ」
柔肌に取りつくセンサーは、強烈な刺激を与えると同時に、快楽中枢に働きかけ、より深い性感を得ることができる体へと改造していた。
ベガの愛撫に酔い、悶え、絶頂するように、より淫蕩な体へと変えられていく。
イスの座面が濡れていた。ジュリアから溢れた愛欲が濡らしたものだ。乳首も興奮で反り立っていた。
『ベガ様しか私を満たせない 他の男では満たされない』
『ベガ様が触れると感じる ベガ様以外の男では物足りない』
『ベガ様が触ると気持ちいい 病みつきになる』
ジュリアの心に取りつけられる、見えない貞操帯。深層にまで達する暗示が、ベガ以外の異性の存在をかすませる。
ベガ以外では満たされない淫蕩な肉体。
極限まで強化された性感は、ベガを満足させる為、ベガによって与えられるご褒美を享受する為にあるのだ。
「ベガさま!!ベガさまああああああ!!!」
未来の親衛隊は、言葉を覚えたばかりの幼児のように、同じ単語を何度も繰り返し、心に刻んでいった。

663:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:20:31 e0TGAGpp

 ▽第七回測定結果報告
  全体進捗状況:72%
  筋組織増強可能容量残:46%
  精神支配率:92%
  性感度(調整前)
  ・口腔:45
  ・耳:23
  ・首:21
  ・胸部:47
  ・腹部:32
  ・腕:12
  ・性器諸器官:56
  ・脚足:32
   
  性感度(調整後)
  ・口腔:67
  ・耳:34
  ・首:41
  ・胸部:82
  ・腹部:53
  ・腕:32
  ・性器諸器官:97
  ・脚足:67

  特記事項
  胸部、脚部における性感度上昇具合が素晴らしい。乳首は、調整前のクリトリスよりも感度を増している。

664:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:21:17 e0TGAGpp
再び、サイコパワーの供給に入った。洗脳事態はほぼ完了しており、最後は体組織の増強に焦点があてられていた。
サイコパワー供給レベルは最高の5。
全身の筋肉は激しいマッサージを受けているかのように、ビクビクと痙攣を起こしていた。
だが、彼女の存在を定義する、最後の暗示を受け入れるために、これまでよりも一層神経を集中させている彼女は、そのことを全く気にも留める様子はなかった。
「私はシャドルーに絶対の忠誠を誓います」
これまでの洗脳過程を経たジュリアは、はっきりと忠誠の言葉を紡いでいく。
そこに、以前あった葛藤や、苦痛の表情はもう無い。
「シャドルーの野望を成就する為に力を尽くします」
抑揚の無い声だが、非常に明瞭な響きだ。
「永遠の忠誠をベガ様に……」
彼女はもう以前の彼女ではなかった。シャドルーに身を捧げる親衛隊の一人。
「私は『ユーリ』。ベガ様を護衛する、誇り高き親衛隊ナンバー7、『ユーリ』」
ジュリアと呼ばれた女が消え、誇り高き洗脳兵士ユーリが誕生した瞬間だった。
   
「ストップ。彼女の意識をそのままに、装置を停止させなさい」
装置が停止される。  
「報告します。暗示プログラム・忠誠刷り込みプログラムにより、対象の洗脳過程を無事終了いたしました」
ミランダが現在の状況を報告した。
その横で、ジュリアは冷徹な瞳で前方を眺めていた。
感情が失われた表情は、かつて明るさを振りまいていたころの面影を欠片も残してはいない。
教育開始当初と比べて、ジュリアの筋肉が引き締まっているのが分かる。
元々鍛えられていた腕の筋肉も、太さは以前とさほど変わらないものの、さらなる発達が一目でうかがえた。
腹部も、余計な脂肪がそぎ落とされたため、筋肉の線を一層美しく覗かせていた。
データが示した通り、脚部の筋肉の発達が素晴らしく、特にふくらはぎの筋組織が魅力を放っていた。 
彼女の思考は、教育の影響で大きく変革されていた。
無表情に前方を見つめ続けながらも、彼女の脳裏に横たわるのはシャドルー総帥への絶対の忠誠だ。
カノンによって、ジュリアの耳を覆うヘッドフォンが外された。カノンが言葉を囁く。
「ユーリ。聞こえるわね」
「はい……聞こえます」
抑揚のない声でジュリアは言った。
忠誠の楔が、彼女の脳裏にしっかりと食い込んでいる。シャドルーの研究者である、カノンにも、その従属は向けられていた。
「あなたは誰かしら?」
カノンの問いに、ジュリアは従順に答える。
「親衛隊ナンバー7、ユーリでございます」
迷いなく、はっきりと彼女は口にした。
「ジュリアからユーリに生まれ変わったわけだけど、気分はどう?」
「素晴らしい気分でございます。親衛隊に選ばれて、私は幸せで一杯です。カノン様は私に最大の誇りを与えてくださいました。感謝してもしきれない思いです」
嬉しさを抑えて、カノンは続けて言った。
「あなたの主は誰かしら?」
「シャドルー総帥……ベガ様です」
言葉を口にした時、人形のようだった「ユーリ」の顔が、僅かに蕩けたのをカノンは見逃さなかった。

665:ユーリ・プロジェクト②
10/03/27 22:22:49 e0TGAGpp
軽く質問を終えると、カノンは再びユーリを休養させるよう、ミランダ達に指示を与えた。   
洗脳が終了し、肉体を強化したものの、今のユーリはまだ、戦闘員として必要な技能は何も身についていない状態だ。
「ここからが肝心ね」
 
 ▽第八回測定結果報告
  全体進捗状況:85%。
  筋組織増強可能容量残:0%
  精神支配率:100%   
  最終抵抗数値:0
  サイコパワー伝導率
・最小値:96%
 ・最高値:100%
  備考:これより、技能習得プログラムに移るものとする。

666:名無しさん@ピンキー
10/03/27 22:26:14 e0TGAGpp
2回目はここまでです。地文が長いのがネックですねん。
ラストの3回目のアゲは、調整の為、早くて明日の昼、遅くて夜ごろになりそうです。
長くて申し訳ないですがよろしくおねがいです。

667:名無しさん@ピンキー
10/03/27 22:34:30 XH5bcYZZ
ありがたいことじゃ

668:名無しさん@ピンキー
10/03/27 22:37:44 eUYxsdnH
>>666
手早い仕事乙
機械姦好きなんで個人的に描写濃いのは嬉しいよ

669:名無しさん@ピンキー
10/03/28 02:49:41 5SNfM6bi
>>627
すごい、まさに626で言った通りのストーリーのゲームだ!ありがとう!
気に入ったからさっそく公式ホームページとか色々見てみた。
かなりいいゲームだけどいい点と微妙な点もあった。
キャラに関しては1が1人いいのがいる。2は公式の画像が宇宙服みたいなの着てるからわかりにくいけど6人いいキャラがいるから
いいキャラの数からして2の方がいいな。天堂樹梨が絵のうつり方によって微妙になったりよくなったりするね。
きょにゅうキャラが多いようだけど個人的にはあんまりでかすぎて作りものみたいで不自然に感じるから胸は普通サイズでいいと思う。
まず豹藤あづみは性格や雰囲気的に男みたいで女として見れないのは残念。天堂静香は年増だから微妙。
緋風すずは御剣夕子なんかはかなりいいな。あと公式を見る限りではキャラクターは性格が魅力的。
公式画像にはmc時はマグロ目になるのはすごくいいと思うけどmc完了後がどうも通常の目に戻ってるのがかなり惜しい!
mc後はずっとほんの少し鋭いマグロ目だとよかった。ただ、mc後は目は普通に戻るけど目の下にT字型の模様ができるのが
悪堕ちした感じが出ててよかったなー。
この作品もそのようだけどセックスシーンはmc作品とそうでない作品の差がなくていまいちだし単調になりがちだから個人的にいらないと思った。
mc装置好きだから2の公式をみるとステファニー・ゴールドウェルが装置でmcされてるのがツボだった。紫色のマグロ目がかなりいい!
装置にかけられてる時胸の上あたりにあるブレスレットが洗脳道具でこの道具を通じてmc電波を受信させることで主人公の命令に従うという
仮面ライダーブラックのmcシーンみたいなのを期待してたけどどうやらそれは服についてるただの飾りっぽいことがわかってちょっと残念。
服も悪堕ち服がほしい。
まー、とにかく女キャラ(特に2)とストーリーがすごくいいから買う。

MAIKAの人ここ見てないかなー。見てたらぜひともこの意見をゲーム作りに反映してほしい。
こんなにいいゲームなのに2が発売された2005年7月8日以来3が出てないのがすごく残念…。
ターゲットの女キャラを一新してまた発売してほしい。
他にもこういうゲームないかな。

670:名無しさん@ピンキー
10/03/28 06:41:20 iWJPe+8d
ただ一言…神

671:名無しさん@ピンキー
10/03/28 09:59:42 S7PtJo/n
>>669
テンプレ見れよ
と、思ったらwikiってタイトルだけ紹介で詳細はないのだな
ユズレンジャー→サイレンジャーもほぼ同じパターンだよ

672:名無しさん@ピンキー
10/03/28 15:13:48 BcxIYADM
ユーリプロジェクト最終回を投下させていただきます。
最後の方は百合注意です。
あと、今回も長いです。多大なるスレ消費をお許しください。

673:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:14:27 BcxIYADM
イスに腰掛けるユーリの体の各所にセンサーが取り付けられた。
忠誠刷り込みプログラムの時とは違う、紫色の端子が身を覆う。
ユーリにサイコパワーを与えていた、おなじみのヘッドギアは外され、代わりに顔まで覆い隠す紫色のヘルメットがかぶせられた。
洗脳装置からコードが伸びているのはヘッドギアと同じだ。
「これから、訓練プログラムに移行します」
カノン達は、次なるプログラム、訓練プログラムの準備に取り掛かっていた。 
「戦闘技能の習得・訓練を擬似戦闘プログラムにより行います」
ヘルメットの頭頂部に備えられたランプが、真っ赤に点灯する。
「擬似戦闘プログラム開始」
ミランダがそう言った瞬間。
突然、ユーリの視界が真っ白に染まっていった。
10秒足らずで異世界へとワープするような、これまで彼女が体験したことの無い感覚。
研究室から一瞬で、見えない翼によって、彼女の体はどこか遠い、異世界へと運ばれた。
(……)
異様な感覚にも、ユーリは全く動じることがなかった。ただ無感動に現状を観察する。
視界に拡がるのは白一色の世界だ。白色があるだけで、他には何もない。温度は、暖かくもなく、寒くも無いと言ったところか。
全裸でイスに腰掛けていた筈のユーリだが、気付けば、地に足をつき、直立の姿勢を取っていた。
体を見ると、戦闘員のコスチュームである、紺色のバトルスーツを着用した姿だった。
体全体にフィットするレオタードのような戦闘服の感触は、なめらかで気持ちがいいものだった。
腕に付いた赤いナックルパーツも、重そうな見た目には似合わぬ軽さで、しっかりとユーリの体に馴染んでいる。
『ユーリ。私の声が聞こえる?』
「はい。カノン様」
聞こえてきたのはカノンの声だった。ここではない、どこか遠くから響いて聞こえる。
『ここは、あなたの脳が作りだした、仮想空間の中よ。あなたには、この空間の中で様々な技能を試してもらうわ。私の言う意味が分かるかしら』
「はい。理解できます」
『よろしい。……これから、あなたの脳に戦闘プログラムをインプットするわ。あなたは自然に、インプットされた通りの動きが出来るようになる』
「……」
『これからあなたの前に排除対象が現れるの。私がインプットするプログラム通りに、対象を排除しなさい』
「―排除」
ユーリの目に凶気の光が宿った。口元には邪悪な笑みが浮かびあがっている。
『あなたが優秀な戦闘員になることを願っているわ。……では、始めましょう』
開始の合図とともに、5メートル程先にふっと、黒い人影が現れた。

674:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:15:34 BcxIYADM
まるで最初からそこにあったとでも言うように、唐突に現れたそれは、顔の無い、黒い人形のようなものだった。
人形は、男性をイメージした固く隆起した筋肉をつけている。
ユーリより背の高いそれが、ゆっくりと歩み寄ってきた。
『基礎プログラム1 インプット』
カノンの声と共に、ユーリの脳へ戦闘知識が一瞬で埋め込まれる。
「……!」 
ユーリの目が、驚きを表現するかのように大きく見開かれた。
脳がプログラムをインプットする際に起こる、反射反応の一種である。見開かれたまぶたはすぐに元に戻った。
ユーリの体が動き始めた。
直立状態から前傾姿勢に、まるで風に揺らめくような自然さで移行する。
彼女の長い髪が、見るものを幻惑するかのように揺らめいた。と同時に、右足は既に地を踏み出す力を蓄えている。
「対象を『排除』します」
プログラムされた通りの言葉が、ユーリの口から抑揚のない声質で発せられた。
足が地を蹴り込む。
5メーターの距離は、瞬きもせぬうちに縮められた。
人形の目前で、ユーリの足は急ブレーキをかけた。鋭く、甲高い音がブーツから発せられる。
異常な脚力から生み出されたエネルギーは、地を踏み、ブレーキをかけることでさらに増幅した。
エネルギーは彼女の体を伝い、下半身から上半身へ、そして右腕へと昇っていく。
腕に蓄積された爆発的エネルギーを、全て解き放つ。
ユーリの腕が人形に伸びる。人形の胸部に、凄まじい衝突エネルギーが集中し、爆ぜた。
骨を砕くような乾いた音が、白い世界にこだました。
限界まで引き伸ばしされたユーリの右腕。それが、人形の背から木の枝のように伸びている。
全てが一瞬だった。
「排除―『完了』」
冷たい声で、報告の言葉を口にした。
突き立てた腕を人形から引き抜くと、人形はどっと音を立てて地に伏した。倒れた人形は、次第に地に沈み込んで、消えた。
『基礎プログラム1。達成率96%』
研究員、アリスの報告が、ここでは無い、どこか遠くの世界から聞こえた。

675:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:16:18 BcxIYADM

「上出来よ。しっかり肉体が適応出来ている」 
嬉しげにカノンは言った。
「ありがとうございます。カノン様」
イスに腰掛けたユーリが、まっすぐ視線を向けたまま応える。
「さあ、次々とプログラムをインプットしていくわよ」
シャドルーの技術習得プログラムは、対象の大脳に強力な電気信号を与えることで、一瞬にして技能を習得させることが出来るものである。
「ラーニング」と言われるそれは、技能習得に必要な知識、運動を、1秒程度の僅かな時間で脳に叩きこむ強烈なものだ。
もちろん、普通の人間の脳が耐えきれるものではない。
だが、度重なるサイコパワーの供給を受けたユーリの脳は、常人とは桁違いの容量と、耐久性を獲得していた。
僅かの抵抗反応を起こしこそすれ、「ラーニング」によって脳が破壊されることはあり得ない。

イスに座り、ぼんやりと前方を眺めるユーリの意識は、カノンや研究者達とは違う、高次元の世界にある。
擬似戦闘プログラムが、ヘルメットを通じて、ユーリの脳に仮想現実を作りだしているのである。
仮想世界の中で、ユーリは装置から与えられた仮の肉体を、自在に動かすことができる。
仮の肉体とは言っても、体中に張り巡らされたセンサーによって伝えられた肉体組成値を元に、装置が徹底的に筋力量等を解析した物が反映されているために、現実の肉体とほとんど誤差はない。
つまり、ユーリはイスに座りながら、戦闘技術を習得し、実践することが出来るのである。
「排除、完了しました」
仮想現実で、またユーリが一つ任務をクリアしたようだった。
「基礎プログラム6。達成率97%。基礎プログラム7に移行します」
非常に飲み込みが早い。達成率もほとんどが98%前後にある。今のところ、なんら問題も無くラーニングが進んでいる。
今は戦闘術、殺人術の基礎習得に重点を置いているが、後程、要人暗殺プログラム、拉致プログラム、拷問プログラムと、より複雑な技能を習得させていくのだ。
ユーリの洗脳教育は、着実にコンプリートに向かっている。

  ▽第九回測定結果報告
  全体進捗状況:92%。
  現プログラム内容:基礎技能習得過程Ⅰ
  技能習得率:26%

  特記事項
  問題無く技能習得が行えている。平均数値98%は脅威である。

676:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:16:49 BcxIYADM
「任務、完了致しました」
ユーリの前には、世界的な格闘家で知られる男が、血まみれの状態で息絶えていた。
タイの国技、カポエラを扱うこの男を仕留めるのにかかった時間は、わずか4分程度であった。
『戦闘プログラム53。達成率94%。戦闘プログラム54に移行します』
仮想現実の中での、異様な訓練は、格闘家達との模擬戦闘に移っていた。
シャドルーが把握する要注意人物の中に、格闘家は145名いる。その中で、はっきりとしたデータが取れているのは65名だ。
このプログラムは、対人戦闘経験を積むことを目的に、格闘家65名との模擬戦闘を行うものである。
ユーリは、淡々と格闘家達を葬り去り、好成績を維持していた。
『戦闘プログラム54を開始します』
先ほど倒した格闘家の姿が霧のように消えた。
代わりにユーリの目の前に現れたのは、天を衝くかのような大男だった。筋骨隆々の、逞しい男だ。
「……!」
ユーリの表情に動揺が走った。

眼前に立つ男は、T=ホーク。
大自然を愛し、シャドルーに敵対するメキシコの英雄、そして、「ジュリア」の恋人でもある男だ。

「僅かに、葛藤が見えるわね」
操作モニタの数値を見ながら、カノンはつぶやいた。
先のプログラムの中で、徹底的にT=ホークに対する嫌悪感情を与えた筈であるのに、ここに至って、葛藤が垣間見えるのは何故か。
「不愉快ね」
そうぼやきながらも、彼女はプログラムを続けていく。


677:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:17:23 BcxIYADM
「ジュリア!ジュリアじゃないか」
T=ホーク、いや、正確には、T=ホークを模倣したプログラム生命体は、本人が見せるであろう反応を、そのままシミュレートした。
「どうしたんだ……その格好は、シャドルーの奴らに何かされたのか」
彼は巨体に似合わぬ涙を流し始めた。そしてゆっくりと近づいてくる。
「そんな冷たい顔をしないでくれ。あの明るい顔を見せ―」
「私に近寄るな」
刺すように鋭い言葉がユーリから放たれた。冷たい瞳をホークに向けている。
「ジュリア……お前……」
「対象を『排除』します」
即座に、ユーリは上体を強くひねった。力を溜めて、空を切り裂くかのような鋭い回し蹴りが放たれる。
「ジュリア……」
ホークの悲しい声も空しく、ユーリの右足が彼の左腕に食い込んだ。丸太のような太腕から、骨の折れる嫌な音が聞こえてきた。
「ぐうっ!!」
くぐもった声を出して痛みを耐えるホークに、ユーリはすかさず、天を突くようなアッパーをその顎に叩きこんだ。
「がうああっ!!!」
巨体が空を飛び、しばらくしてから地に強く叩きつけられた。細身の女性が放ったとは思えない、重い一撃だった。
「ジュ……リア……!」
仰向けに地面に横たわるホークは、まだジュリアの名を呼んでいた。呼びかけ続ければ彼女の心が戻る、そう信じてでもいるかのような、半ば盲目的な行動である。
その呼びかけを無視し、ただ無感動に、ユーリはホークの方へと歩を進めていった。
「目を……覚ますんだ。お前はシャドルーに」
ホークの腹に、ユーリは馬乗りになった。体をひねり、腕に力を込める。手刀で一気に、ホークの分厚い胸板を貫こうとする態勢だ。
「―排除する」
手刀が無慈悲に胸板を貫いた。

678:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:17:58 BcxIYADM
『戦闘プログラム54。達成率61%』
『ためらいが見えるわね』
遠くからの声を聞いているのかいないのか、ユーリはホークの亡骸をただじっと見ていた。
『ユーリ、聞こえるわね』
「はい」
『ためらいが見えたわ。戦闘技術に長けたあなたなら、もっと迅速に仕留めることが可能なはずよ』
「……」
カノンの声を聞いている今も、彼女はホークを見つめていた。これまでと変わらない、感情を宿さない目ではあるが、そこには確かに、何かが込められていたのである。

「……カノン様」
ユーリが静かに口を開いた。
「もう一度チャンスを頂けませんでしょうか」
その瞳は、再び凶気をはらみだした。垣間見えた何かは、もう影も見えない。
「今度こそ、的確に任務をこなして御覧にいれます」
 
 

 ▽第10回測定結果報告
  全体進捗状況:95%。
  技能習得率:85%
  現プログラム内容:戦闘プログラム、要人暗殺プログラム、拉致プログラム

  特記事項
  戦闘プログラム54の際、不具合を見せるが、再演習を3度繰り返した結果、達成率平均98%を記録。
  問題無しと判断する。


679:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:18:39 BcxIYADM
「ユーリの調子はどうだ、カノン」
「はい。洗脳教育は全て完了しております。現在、技能習得プログラムに移り、その内の一つ、性技習得プログラムを行っているところです」
カノンが立っているのは、シャドルー本部の中で最も豪華絢爛な空間、ベガの私室だった。
部屋の中には、陶器や絵画等の、世界各国から集めたコレクションが飾られている他、拷問具等の悪趣味を極めた物まであつらえてあった。豪華さと陰湿さが妙に馴染んだ、独特な空間である。
ベガは、煌びやかに宝石がちりばめられたイスに腰掛けていた。顎を手でさすり、満足げな表情をカノンに向けている。 
「『ユーニ』と言い、『ユーリ』と言い。好い人材に恵まれたものだな、カノンよ」
そう言って、ベガは隣で直立姿勢を取る少女、親衛隊ナンバー5、サツキを見やった。
凛とした表情で立つ彼女の体にも、濃紺色の素材がぴったりと吸いついていた。
ベガの手がゆっくりと伸び、短く切り揃えられた黒髪に触れる。
「ふああっ!!」
頭に手の平が触れただけで、サツキは敏感に反応した。
頭部から足先までを、全ての部位を小刻みに震わせながら、気持ちよさげに喘いでいる。
髪を撫で、一通りの感触を楽しんだ後、ベガの指は、彼女の端正な顔に触れた。サツキの顔は、男はもちろん、女も見惚れる、中性的なものだ。
そして、ベガの指は降り、サツキの薄い乳房を優しく包み始めた。
小さな膨らみは、これでも女なんだと主張するかのように、ふかふかとした柔らかい感触をベガに伝える。
優しくさすられただけで、彼女の顔は発情した牝犬のように蕩け出した。
同性であるカノンが見ている前で、あけっぴろげに淫乱な姿をさらしている。
「サツキ。お前も、新しい仲間が出来て嬉しいだろう、ん?」
バトルスーツを押し上げる突起部分をつまみ、ベガはサツキに問いかけた。
「はい……。あっ!っ、わ……わたひも、うれしいですっ!」
サツキは、最愛の人に敏感な箇所を触れられて、頬を赤らめる一方、平常心を保とうと苦心していた。
負けず嫌いのサツキは、ベガの愛撫に身を任せる際、いつも乱れまいと決心して挑むのだが、彼女の試みは未だ達成されたことがない。
試みの失敗は、自分より強い男に負けたという、マゾヒスティックの香りがほのかにただよう、心地のいい堕落感をサツキに運んでくる。
いつもの凛とした表情はもう見えず、あるのは発情しきった負け犬の顔だった。
「べ……ベガさまっ、はあっ!」
だらしなく嬌声をあげ続けるサツキも、一度戦場に立つと、獲物を射抜く鷹のような目をした冷酷な表情へと変貌し、日本刀を手に血の舞踊を繰り広げる非情のアサシンと化す。
少女と言える年齢の彼女も、シャドルーの技術により、徹底した肉体改造を施されているのだ。
「これで親衛隊は7名になる。我がシャドルーはさらなる躍進を見せることとなるだろう」
ベガの声の上から覆いかぶさるように、一際高い女の鳴き声が部屋に響き渡った。
サツキが纏うバトルスーツ、その股の部分に生じた黒い染みが、一層嫌らしく範囲を広めていった。

680:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:19:12 BcxIYADM
「んっ、はっ、ううんっ」
淫靡な水音が、白い世界に満ちていた。途切れることの無い音の発信源は、ユーリの唇の中にあった。
「べふぁ、さむぁ、あ、どうれす?きもひひです?」
男の象徴を、ユーリは嬉々として舐めあげていた。
喉の奥まで男を迎え入れる、舌で側面をなぞる、人差し指と親指の輪っかを絡ませて優しく愛撫する。
精液を吐き出させるよりも、男に長く気持ち良さに浸ってもらうことを目的とした、媚びるようなフェラチオ。
「ふふふ、お前は舌使いが上手いな。これは期待できそうだ」
「!!! ありがとうございます!!」
ユーリの心を歓喜に包みこむのはベガの言葉。
ベガをシミュレートしたプログラム体を相手に行っているのは、男を悦ばせる為の技術を学ぶ、性技習得プログラムである。
一瞬で脳に叩きこまれる娼婦の技術を、ユーリは次々に実践していく。
ベガのペニスを、地に這いつくばるようにして貪るユーリの姿は、まるで飼い主に餌をねだる犬のようだった。
なだらかな背筋のライン、地に触れそうな乳房が男心をそそる。
「もうそろそろだ。しっかりと飲み下せ」
ベガの言葉と同時に、ユーリの口内で暖められたペニスが、大きく脈動し始めた。
精液を体外に吐き出す男の反応を感じると、後押しするように指を上下に動かし始めた。
ユーリの狂ったように動く指が、ベガのペニスに快楽と力を注ぎ、激しい射精を促す。
「ぐうっ」
ベガの唸り声。
ユーリの技巧の前には、どのような男も、ベガでさえも、心地よさに我を失う。
ベガが我を失した瞬間、ユーリの口内にマグマがあふれ出した。
「んんっ」
男の白き分身を、まるで甘いミルクを飲むかのように、ユーリは全て飲み下していく。
喉を隆起させて、こくこくと音を鳴らす。まるで男にアピールするかのようだ。
その動作に、男を満足させるよう徹底された、隙の無いユーリの技巧が垣間見える。
だが、本人はそれを技とは思ってはいない。
美味しい飲み物をくださったベガ様へ、溢れる感謝の気持ちを伝えるために、必死にアピールしているのだ。
精神をあますところなくベガに染められた、まさに親衛隊にふさわしい行動である。
亀頭から袋まで、まだ精液がしたたる場所を舌で清めていき、ユーリは言った。
「ごちそうになりました。ベガ様」
淫蕩な一言を、彼女は心の底から口にした。
「フフフ。では、次はお前を満足させねばな」
精液を出したばかりであるのに、ベガのペニスは太く、逞しさを失っていない。
ユーリの背後へ周り、ベガは強靭なそれをユーリの女へと押し込んだ。
「はあぁん!!」
ベガはバックから、一息に子宮口の前にまで侵略した。
腰を甘美なハンマーで砕かれたユーリは、力を失ったように倒れ込んだ。尻を突き出し、上半身だけを地に伏せた形。
「ははは、どうした。挿れただけで果てたのか」
ベガの声がユーリの堕落感を煽る。あまりの心地の良さに、彼女の顔がふやけ出した。
「べがさまぁ……あいしていますぅ……」
甘ったるい声で、ユーリは心の内からベガにアプローチする。 
「そうか。では、私も全力でお前を愛してやろう。いくぞ」
男が女の中で暴れた瞬間、白い世界に甘い絶叫が響き渡った。 
  

▽第十二回測定結果報告
  全体進捗状況:97%。
  技能習得率:94%
  現プログラム内容:性技プログラム

  特記事項
  基本的な性技を習得。足を使った性技が少し荒いのが難点だが、手技は得意な模様。

681:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:21:18 BcxIYADM
カノンが研究室へと戻った時、ユーリの性技プログラムは終わり、教育はラストを迎えていた。
「あっ!ああああっ!!!」
イスに座りながらよがり声をあげるユーリの表情は、ヘルメットに隠れて良く見えないものの、あごに滴る唾液と、座面に溢れた愛液の水たまりを見れば、今彼女がどのような表情をしているのかは容易に想像がつく。
「34回目のオルガスムを観測」
「持続時間、1分2秒」
ユーリの淫声を聞こえていないかのように、アリスは報告を口にしたが、彼女達が欲情しているのは頬の赤みを見れば分かる。
特にミランダは、唇を緩ませて、まるで自分がオルガスムに達したかのような、陶酔しきった顔つきをしていた。無理もないことかもしれない。
「35回目、信号発信」
ミランダが手元のボタンを押した瞬間、ユーリの体が大きく痙攣を始めた。
「おああああああああ!!!!!」
ヴァギナから愛液があふれだした。体には何も触れてはいないにも関わらず、ユーリは一瞬にして絶頂を迎えたのだ。
「あはぁ、あ……」
ユーリの絶頂感が退いたのを見計らって、研究員がまたボタンを押す。
「きた、きて……あはは!あ、あ、うあああああああああ!!!!」
壊れたような笑みを口に浮かべてから、獣のように吠える。
研究員のボタンに連動して、また彼女は絶頂の波に飲み込まれる。 
今、ユーリに行われているプログラムは、脳に「絶頂感」を引き起こす、特殊な電気信号を送り続けるものである。
擬似訓練プログラムでも使われた、顔を覆うヘルメットが彼女に絶え間ないオルガスムを引き出しているのだ。
間断なく絶頂感を与え続けるこのプログラムは、対象がどれほどのオルガスムに対する許容量を持っているのかを確認する為のものである。
要するに、耐久性テストだ。
イスにできた愛液の水たまりは、ユーリ震えに伴って、ピチャピチャと跳ねる。
溢れた愛液が、滝のようにイスから滴り落ちていた。
脱水症状を起こしそうな勢いだが、体液を作る水分を絶やさないように、彼女の腕に付けられた点滴が常時水分を補給している。
いくら達してもいい準備が整えられていた。
「37回目のオルガスムを観測」
「持続時間、1分37秒」
「38回目、信号発信」
カチッという音と共に、再びボタンが押される。再びユーリが狂った。
「ああああああああああああああああ!!!!!!」
舌がだらんと口から出ている。その壊れた笑みは快楽に狂ってはいるが、決して苦痛を浮かべてはいない。
サイコパワーで耐久性が増した脳は、エクスタシーに対しても高い許容力を発揮する。
洗脳教育を受けた女達は、普通の人間なら脳が失神命令を出す程の絶頂感にも耐えることが可能なのだ。
しかも、絶頂に伴う体力の疲労も極僅かで済むのである。
「べ、ベガさまああああああああ!!!!!」
ユーリが42回目の強制絶頂を迎えた。
がたがたとイスを揺らし、愛液を再びヴァギナから絞り出す。

682:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:22:02 BcxIYADM
肉体の刺激を介さずに、連続で絶頂を迎える感覚など、普通の人間には経験出来ないものだろう。
イスに動きを封じられ、無理やりオルガスムを引き出され続ける彼女の姿は、傍から見ると、まるで拷問を受けているかのように映るだろう。
だが、当の本人は心の底から性拷問を楽しんでいた。
「くるぅ!!またくる、あ、あぁあああああああああ!!!」
楽しげな絶叫。矛盾した叫びをあげ続ける彼女の心に、多くの女性が絶頂前に感じるという、未知なるものへの恐怖感と言うもの一切含まれていない。
ただ、快感の渦に飲み込まれて、自身を失うだけ。
「おああああああ!!!!!」
「58回目のオルガスムを観測」
報告を続ける二人の研究員をみて、彼女達にも同じことをしてやらないとと、カノンは思った。
洗脳した女性構成員に、ご褒美として連続絶頂プログラムを施すことはよくあることだ。 
ベガの寵愛を受ける親衛隊にも、稀にだが、施すことがある。
最も、親衛隊にとっては、ベガへの奉仕が最高のご褒美であるようだが。  
また、ユーリは吠え声をあげ、身を震わせた。まさに性欲に焦がされた獣だ。イスという檻が無ければ、どうなっていることか。
「もっときて!もっと!!!あ、あああ、あああっ!!!ひぃいいいいいい!!!!」
163回目の絶頂で失神するまで、ユーリは何度もエクスタシーの波に揉まれ続けた。

▽最終測定結果報告
  全体進捗状況:100%
  オルガスムス耐久性テスト
  ・オルガスムス最高持続時間:3分2秒
  ・回数:163回
  ・全体経過時間:1時間12分
  特記事項:ベガ様を満足させるに足る耐久性を保持している。親衛隊の中ではアプリーレ、エネーロに次ぐ三番目の耐久力である。

683:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:22:46 BcxIYADM
全ての教育が終わり、ユーリは再びカプセル内で栄養液に浸り、休養していた。
「1号室の『ユーニ』も立派な成長を遂げたものね」
別室で、「ジュリア」と同時進行で洗脳を施していた「エレン」の報告書の束を繰りながらカノンは言った。
「まあ、そういうことだよ。俺もいいのに巡り合えたねぇ」
1号室でエレンを担当した男性研究者、ハージスは笑みを浮かべながら言った。
「手を付けることが出来ないのは残念だけど」
常日頃、飄々としたこの男でも、命は惜しいらしい。
「あんまりそんなことを言っていると、総帥に目を付けられるわよ?」
「いやあ、でも本当に上玉だったな~。顔も可愛いし、おっぱいは控えめで俺好み。生殺しもいいところだぜ」
同僚の釘をかわして、ハージスは下劣な言葉を吐く。黙っていれば美男子と言えないことも無いのに、これではただの下劣漢だ。
カノンは、へらへらしているハージスの頭にげんこつを食らわしてから、ユーリの報告書をくれてやった。
「はぁ……もう。冗談はいいから、ちゃんと読みなさいよ」
「お前もな。……ああでも手こずったな~、報告書が増える増える」
頭をかくハージスを見やり、カノンは再びユーニの報告書に目を落した。  
 
 ▽捕獲対象データ
  名称…エレン=アーベライン
  性別…♀
  年齢…16
  出身地…ドイツ
  身長体重…162㎝ 46㎏
  捕獲理由…親衛隊増員の為
  処理方針…肉体強化、精神変革
  
  備考
  一般教育機関ではトップクラスの、天才的データ集積能力を持ち合わせている。
  この能力を利用した特殊技能教育を施すことを視野に入れたい。


684:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:23:16 BcxIYADM
▽第一回測定結果報告
  オルガスムス記録回数…28回
  最高興奮値…172
  最高性感度数…135
  肉体組成値…122 
  特筆事項…筋組織に特に優れた点は見当たらないものの、全体的にバランスが取れている。
  本能レベル…52
  代謝レベル…98
  
  備考
  本能レベルが極端に低いが、これは彼女の持つデータ集積能力と関係があるものと考えられる。
  素体にあった、特別な洗脳プログラムの構築を急ぐ。

 ○適性診断結果(F~S)
  適性職種
  研究員…S
  戦闘員…C++
  工作員…A
  
  備考
  本来なら研究員向きであると思われるが、指令により親衛隊として教育する。


685:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:24:17 BcxIYADM
 ▽第二回測定結果報告
  全体進捗状況…6%
  筋組織増強可能容量残…97%
  精神支配率…4%   
  最終抵抗数値…165
  サイコパワー伝導率
  ・最小値…20%
  ・最高値…27%
  重点プログラム内容…破壊衝動に訴えかける、攻撃性の強化。

  特記事項
  素体は暗示に対して異常に高い抵抗力を保有している。
  これは本人の意識によるものではなく、無意識下のものであると考えられる。
  サイコパワー伝導率にも影響しているため、一旦サイコパワーの供給をストップする。
  ついては、サイコパワー供給の前に、素体にB‐GV2等の薬物投与し、
  サイコパワーを受け入れる土壌の構築を行うこととする。

 ▽第三回測定結果報告
  全体進捗状況…6%
  筋組織増強可能容量残…90%
  精神支配率…4%
  第二回測定結果報告記載の通り、素体は高い暗示抵抗を持っている為、処理方針を薬剤投与に絞ることとした。
  今回与えたのは以下の通り。
 ○投与薬剤
  ・B‐GV2…記憶の抹消
  ・マインドA…思考の除去
  ・αぺクドル誘導体…心理的抵抗力の除去
  
  特記事項
  マインドAは、投与過多になると完全な人形状態と化してしまうので、特に注意する。


686:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:25:39 BcxIYADM

 ▽第四回測定結果報告
  全体進捗状況…10%
 ○投与薬剤
  ・B‐GV2…記憶の抹消
  ・マインドA…思考の除去
  ・αぺクドル誘導体…心理的抵抗力の除去
  
  特記事項
  投与したB‐GV2の影響で、徐々に記憶の忘却が始まった。
  素体に質問を行った結果、自身の故郷、家族情報の忘却を確認。
  だが、まだ自身を定義する記憶の忘却までは至っていない。
  なお本日、素体が我々に対して抱いていた恐怖心が完全に失われた。
  我々に対し、コミュニケーションを試みようとしてくるほどだ。αぺクドル誘導体が効いている。
 
 ▽第六回測定結果報告
  全体進捗状況…34%
  筋組織増強可能容量残…74%
  精神支配率…43%   
  最終抵抗数値…82
  サイコパワー伝導率
  ・最小値…45%
  ・最高値…67%
 ○投与薬剤
  ・マインドA…思考の除去
  ・αぺクドル誘導体…心理的抵抗力の除去
 
  特記事項
  第5回測定により、記憶の完全消去が認められたため、B‐GV2の投与を終了する。
  なお、今回よりサイコパワーの供給を開始した。心理抵抗を抑えたことによるためか、2回目にして高い伝導率を
  記録。筋組織の著しい増強も行われた。
  また、方針の最終確認の為、暗示プログラムを起動させるも、素体には不適と再認識する結果となった。
  現在の方針通り、薬物投与による洗脳教育を施していくものとする。

  なお、次回から総帥・シャドルーへの忠誠心刷り込み、および『ユーニ』の定義付けを開始する方針。
  暗示による精神操作ではなく、素体の脳に直接電気信号を送信し、条件付けを行う方式による。
  心理抵抗を無視して、素体の思考を変更することが出来る手法であるが、この方式は本来、
  訓練プログラムにおいて実施されるものであり、忠誠心刷り込みに使用するのは初めてのことである。
  素体の人間性が著しく損なわれ、機械的・無機的になる恐れがあるため、総帥の許可を頂く必要有。

 ○追記
  総帥の許可を頂いた為、次回より電気信号送信方式による忠誠心刷り込みプログラムを開始する。

687:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:26:18 BcxIYADM

 ▽第七回測定結果報告
  全体進捗状況…64%
  筋組織増強可能容量残…23%
  精神支配率…100%   
  最終抵抗数値…34
  サイコパワー伝導率
 ・最小値…76%
 ・最高値…91%
 ○投与薬剤
  ・αぺクドル誘導体…心理的抵抗力の除去
  ・ブレインシュガー…多幸感の生成 
 
  特記事項
  パワー供給率を早くも最高レベルに移行。あまりに速い進行速度に驚きを禁じ得ない。第一回測定時と比べると別物である。
  前回報告の通り、今回から総帥・シャドルーへの忠誠心刷り込みおよび『ユーニ』の定義付け、性感強化を施す。
  結果、条件付けを全て完了。
  危惧していた人間性の欠如も、最小に留めることが出来たが、やはり実施前と比べると大きな相違がみられる。
  表情は無機的な物になり、声も完全に無感動なものに変化した。しかし、忠誠心はしっかりと存在するようで、総統の名を
  何度も口にするようになった。
  研究員とは違い、親衛隊は総統とのコミュニケーションが取れなければならないのだから、人間性の消失は致命である。
  感情パターンの把握を急ぐこととする。


  なお、性感度上昇具合は以下の通り
  性感度(調整前)
  ・口腔:32
  ・耳:32
  ・首:22
  ・胸部:34
  ・腹部:41
  ・腕:22
  ・性器諸器官:65
  ・脚足:12
   
  性感度(調整後)
  ・口腔:54
  ・耳:47
  ・首:30
  ・胸部:74
  ・腹部:75
  ・腕:41
  ・性器諸器官:102
  ・脚足:32

  特記事項
  性器諸器官の反応がすこぶる高い。また、耳は息を吹きかけられると激しく感じる程の性感を獲得。

 ○追記
  一見すると感情が無いように思えた素体だが、ベガの名を口にする時に脳に愛情反応があることを確認。
  また、我々の質問に対しても的確に応えるとともに、ある種の言葉には脳が感情反応を示した。
  よって、素体の感情自体は消えておらず、単に感情の発露・表現に乏しいだけと発覚した。
  
  これより、素体を隊員名である「ユーニ」と記載する。

688:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:27:12 BcxIYADM
 ▽第九回測定結果報告
  全体進捗状況:76%。
  技能習得率:12%
  現プログラム内容:基礎技能プログラム・戦闘プログラム、要人暗殺プログラム、拉致プログラム
  
  特記事項
  基礎技能習得Ⅲ、戦略構築プログラムでの技能習得率が異常に高い。
  平均数値99%。ほぼ100%を記録する洗練された戦略構築。
  彼女が持つデータ集積能力が遺憾なく発揮された模様。
  この結果を受け、特殊技能習得プログラムの採用を決定する。

 ▽第十一回測定結果報告
  全体進捗状況:81%。
  技能習得率:12%
  現プログラム内容:特殊技能開発プログラム『ユーニ』
 
  特記事項
  特殊技能開発プログラムによりユーニが、データ集積能力を特化させた「高速演算」を習得した。
  シャドルー開発のCPU「アイビス」並みの情報処理能力を保有するに至る。


  参考…特殊技能開発プログラム採用ケース一覧(親衛隊)
 ○特殊技能開発プログラム採用ケース一覧(親衛隊)
  ①親衛隊№2 ファブリエ
   軍事兵器全般の取り扱い、修理、改造技術の習得。

  ②親衛隊№4 アプリーレ
   医療全般の技術の習得。
  
  注意
  特殊技能開発プログラムは、対象者の保持する能力を限界まで引き出し、対象者自身の脳に特殊技能を開発させるプログラムである。
  過剰な負荷を強いるプログラムの為、採用には細心の注意を払うこと。

689:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:28:07 BcxIYADM
▽最終測定結果報告
  全体進捗状況:100%
  オルガスムス耐久性テスト
  ・オルガスムス最高持続時間:2分15秒
  ・回数:123回
  ・全体経過時間:45分
  特記事項:耐久性は残念ながら現親衛隊の中で最下位である。
  だが、前回の報告通り、性技プログラムでは総帥を十二分に満足させる好成績を出しているため、問題無しとする。

全てに目を通したカノンは、ハージスの疲れ顔に納得した。これはさぞや難敵だっただろう。
ユーリとユーニ。二人をタッグにしてベガに奉仕させる方針であると、カノンは聞いていた。
『ユーリ』は戦闘型、『ユーニ』は報告書を見る限り、戦略型と言えるだろう。
いいチームになりそうだと、カノンはハージスに見せないよう、静かに微笑んだ

690:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:28:43 BcxIYADM
▽洗脳結果報告
 ①親衛隊№6 ユーニ
  素体データ
  ・素体名称…エレン=アーベライン
  ・性別…♀
  ・年齢…16
  ・出身地…ドイツ
  ・身長体重…162㎝ 46㎏
  適性職種
  ・研究員…S
  ・戦闘員…C
  ・工作員…A
   総合点:81点
  性感度
  ・口腔:54
  ・耳:47
  ・首:30
  ・胸部:74
  ・腹部:75
  ・腕:41
  ・性器諸器官:102
  ・脚足:32
  技能等
  ・高速演算
   事象を取り巻くデータを分析することで、効率的な戦略を組み立てることが可能。



 ②親衛隊№7 ユーリ
  素体データ
  ・名称:ジュリア=カーソン
  ・性別:♀
  ・年齢:19
  ・出身地:メキシコ
  ・身長体重:164㎝ 49㎏
  適性職種
  ・研究員…C
  ・戦闘員…A++
  ・工作員…B
   総合点:80点
  性感度
  ・口腔:67
  ・耳:34
  ・首:41
  ・胸部:82
  ・腹部:53
  ・腕:32
  ・性器諸器官:97
  ・脚足:67
  技能等
  ・破壊力
   戦闘技術、肉体に秘める破壊力は親衛隊一を記録する。

691:ユーリ・プロジェクト③
10/03/28 15:29:31 BcxIYADM
謁見の間。
全てを威圧する厳かな空間の中には、ベガ総帥の肖像画と、それを背景に設けられた王座があった。
その王座に、ベガが不敵な笑みを浮かべ、深く腰掛けていた。
その周りを囲むようにして、親衛隊の少女達5名が立っている。
彼らは一様に前方の二人の少女を見ていた。
彼らの前で、二人の少女が並んで敬礼していた。

一人はユーニ。
親衛隊ナンバー6。
エレンという名であった少女は、第一号洗脳教育室で、薬物投与主体の洗脳を受け、新たに親衛隊として加わった。
幼い顔立ちと未成熟な胸は、可愛らしさを感じさせる。
卓越した計算能力、情報収集能力を生かした緻密な戦略分析は、戦闘のみならず、多方面で活躍するオールラウンドな能力だ。

もう一人はユーリ。
親衛隊ナンバー7。
元の名をジュリア。第二号洗脳教育室にて、精神操作主体の洗脳を受け、親衛隊として生まれ変わった。
男の劣情を掻き立てるグラマラスな肉体には、親衛隊一の破壊力が眠っている。彼女の打撃の前には、いかな防御も無駄な抵抗と化すだろう。

二人とも、親衛隊のコスチュームに身を包んでいる。
裸かと見まがう程に線を強調しきった紺のバトルスーツ。
スーツの背中の部分は、白い肌を見せつけるかのように切り抜かれていた。
腕には、赤いナックルパーツ、足には濃紺のブーツが装着されている。
頭には小さな帽子が控え目にかぶさり、首元にしっかりと結んだ黄色のネクタイは、紺を背にして鮮やかに自己を主張していた。     
ベガは、二人の新たな親衛隊の姿を眺め、邪な笑みを浮かべた。
「ふふふ。いいぞ、そのコスチュームに身を包んでこそ我が親衛隊にふさわしいというものだ。……では早速、仲間入りの宣誓をしてもらおうか」
その言葉を受けて、新たな親衛隊二人は、素早く敬礼を解き、右手を胸元に添えた。
「親衛隊ナンバー6、ユーニです。ベガ様にわたしの全てを捧げます」
オレンジ色のさっぱりしたショートカットヘアーの、幼い顔立ちの少女ユーニは、無表情な、人形の様な顔をベガにむけて宣誓した。
「親衛隊ナンバー7、ユーリ。素晴らしき力を頂き、ありがとうございます。これからはあなた様の為に命を尽くす所存でございます」
ユーリのきりっと引き締まった表情は、教育で見せた淫靡さは少しもうかがえない。
二人とも、自らが唱えた忠誠の言葉に、ぞくぞくとした感動を覚えた。
(私はベガ様の為に一生を尽くすことができる、選ばれた存在)
その考えが、洗脳教育で与えられた思念であると、彼女達は気がつかない。
「よかろう。では、入隊式を執り行う。メルツ、ファブリエ」
ベガに呼ばれた少女、メルツとファブリエがユーリとユーニの方へと歩み寄る。四人は二人ずつ、向かい合わせの形で立ち、姿勢をただした。
ユーリの前に立つのは、ジュリアと呼ばれていたころの彼女を拉致した少女の一人、メルツだった。
「歓迎のキスを……」
メルツが、ミルクのように甘い声で囁いた。
彼女の桃色の唇がやさしく、ユーリの唇に覆いかぶさる。
「ん……」
どちらが漏らしたのか分からない、かすかな響き。
やわらかい唇と唇が、互いをついばむように動作する。
それだけの行為なのに、頭の中は気持ち良さで真っ白になる。
軽く、ほんの僅かな短いキス。
「親衛隊にようこそ……」
唇を離して、メルツが歓迎の言葉をユーリに送る。
キスの時間は10秒と短かったのに、二人はドキドキと心臓を高鳴らせていた。
とろんとまぶたを緩ませ、頬を真っ赤に染めている様は初恋をした少女の様だ。
メルツに至っては、我慢が出来ないと駄々をこねるように、膝をもじつかせてさえいた。
「これでお前たち二人も私のものだ」
ベガが言うと、ユーリとユーニは再び敬礼のポーズをとった。
「これから、お前たちは我が野望の為に尽くすのだな」
ベガの言葉に、二人は揃って答えた。
「はい。全ては、ベガ様の為に」
シャドルーに新たな隷属者が誕生した。 


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