調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart35at EROPARO
調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart35 - 暇つぶし2ch261:名無しさん@ピンキー
10/03/05 05:32:49 LwlDefY+
>>258
誰得

262:名無しさん@ピンキー
10/03/05 06:23:47 iSBqAPa8
>>258
>>261
同人誌的にはメロンパンナとの百合カプがけっこうな人気だった覚えがあるが
洗脳萌え的な同人誌としてはどうかなあ

263:名無しさん@ピンキー
10/03/05 18:04:59 cQpjydOT
舞-himeの漫画でヒロインが悪堕ちするって聞いたんだが・・・
画像とかもってる人いる?買おうかどうか迷ってるんだが・・・

264:名無しさん@ピンキー
10/03/05 18:17:17 ZaHYReCt
今やってる戦(EXA)のほう?
それともチャンピオンに載ってたほう?

チャンピオンに載ってた方なら、
確かにちょっと悪堕ちっぽいシーンラストであったけど。

戦の方は連載したばっかりだから知らん。

265:名無しさん@ピンキー
10/03/05 18:25:47 zFV/YupH
うおー、アイルの魔受胎2来たかー
悪堕ち部分としても期待だし、普通に作品としても期待だわ
そういえば、MAIKAのジャスティスブレイド3の話はどうなったんだ?

266:名無しさん@ピンキー
10/03/05 19:27:05 LwlDefY+
>>262
チャンピオン版持ってるがあれは悪堕ちでは無いかと
溺愛してたヒロインの弟が死んだ後ラスボスとして復活するんだけど
自分(弟)のいない今の世界、自分がいる新しい世界どちらを選ぶか問われて後者選択

ヒロインは皆と一緒にいたいだけなので仲間に降伏促すも拒否
主人公+別のヒロインとバトルした後、説得されて弟止めに行く

悪堕ちって言うか依存してるだけ?コスも若干変わる物の殆ど変化無い
アニメと内容が違い過ぎるし、漫画的にも残念な出来なので買うのはお勧めしない

267:名無しさん@ピンキー
10/03/05 19:45:25 S4GJZ02u
レス番間違えて大変なことになってると思う

268:名無しさん@ピンキー
10/03/05 20:01:18 LwlDefY+
oh...
失敬、>>263でした

269:名無しさん@ピンキー
10/03/05 20:41:30 fTEaO39q
俺思うんだけど
このスレはもう情報スレだって明記していいんじゃねぇ?
ここ一年間スレ内容の90%以上が情報のやりとりだったわけだし

SS投下できなくて可哀想~みたいな意見もあるだろうが、
ぶっちゃけそんなの偽善者
いくら同情みせたところでこのスレはSSを評価しないのは事実
このスレにいた書き手も軒並み追い出された形で外部に移転し
イラスト職人も追い出された形でふたばに移転

今このスレでは事情知らない新人書き手を持ち上げては叩く流れになってる
叩きに参加してない連中も知らんぷり
書き手を擁護するつもりまったく無いがテラカワイソスぎて吹けるわw
それだったら最初から情報限定スレにしたほうが慈悲というものだろう
俺みたいな情報だけ欲しい連中がほとんどなわけだし

270:名無しさん@ピンキー
10/03/05 20:50:13 X2iMs4HI
は?何、俺の意見が皆の意見みたいに言ってんの?
普通にSS読みたいわ
荒らしだと思うが、ちょっとひどいわ、お前

271:名無しさん@ピンキー
10/03/05 20:54:28 3mOoSfOP



・・・ガッカリだ。縦読みじゃなかったお前に失望した

272:名無しさん@ピンキー
10/03/05 20:57:28 27aAcucl
SSが絡むとなぜかみんなおかしくなるよね
悪堕ちしてるみたいで面白

273:名無しさん@ピンキー
10/03/05 21:01:34 fTEaO39q
>>270
だからそういうのが偽善者だって
普段は読みたい読みたい詐欺していざ投下されたらいなくなる
最近のSS総スルー状態見ればわかるだろ
無理して慰めるくらいなら、最初から栄養剤与えんなよwww鬼畜www

みんなが情報スレにしてほしいと願ってるなら、堂々とすればいいのに

274:名無しさん@ピンキー
10/03/05 21:12:14 27aAcucl
堂々とSSを叩き倒すためのアリバイづくりですね
わかりました
外道すなあ

275:名無しさん@ピンキー
10/03/05 21:15:30 Oc5XpWNk
>>273
それはお前ぐらいだ>情報スレにしてくれと願っている

多分、本気でSS禁止したら、一気に過疎るよ。

276:名無しさん@ピンキー
10/03/05 21:17:11 TWG+qdRm
エロパロ板なのに現状エロ重視してないSSなんだから反応少なくても別におかしかないだろ
前振りだというのなら、実際エロ要素に至ってから反応すればいいだけだし、それまで静観してる人が多いってだけの話だよ

277:名無しさん@ピンキー
10/03/05 21:42:18 LwlDefY+
SSに反応する奴はするし、しない奴はスルー
それで良いじゃないか、SS投下したんだから反応しろって言ってる奴がクソなだけ

278:名無しさん@ピンキー
10/03/05 21:46:48 27aAcucl
SSちゃんはかまってちゃんなのか
かまってもらわないと死んじゃうんだな
かわうそです

279:名無しさん@ピンキー
10/03/05 21:49:04 KgyQhSva
>>263
むしろ「舞ー乙hime漫画版」の方が悪堕ちって感じかも

終盤になってhime達(舞衣 なつき など)が登場するんだけど思いっきり悪になっててチャイルド使って大虐殺やろうとしてる
フミさん(漫画版だと伝説の乙hime)も人形化って感じでセルゲイ(漫画版だとラスボス)の傀儡になって敵になる




280:名無しさん@ピンキー
10/03/05 22:02:07 fTEaO39q
SS厨必死過ぎwww
ここは>>279みたいな情報スレであることを望んでる人が大多数なんだよ

281:名無しさん@ピンキー
10/03/05 22:08:39 LwlDefY+
>>279
いいなそれ、HiMEが残念だったから乙は買わなかったのに・・・
でも最初から悪として登場して最後まで更正しないなら悪堕ちと呼べるんだろうか

282:名無しさん@ピンキー
10/03/05 22:15:00 27aAcucl
wの使用回数に比例して頭がこわれてるんだってさ
おっさんが得意顔で話してたよ

283:名無しさん@ピンキー
10/03/05 22:32:53 cQpjydOT
ID:27aAcucl
なにこのキ○ガイ・・・
ここはエロパロ板ってわかってる?ssを待つところだぞ?

カレー屋に行って、サラダが妙にうまいからカレーは作らず、サラダ屋になれとでもいうのかな、こういう奴は
こういう奴のすごいところは、自分が変なことを言ってるって気づいてなくて、人と違うことを言ってる俺かっこいいい、みたいな雰囲気を出してるとこなんだよな
ああ、すごいところて言っちゃダメなのか。皮肉にも気づかなそう。気持ち悪いところ、だ


284:名無しさん@ピンキー
10/03/05 22:34:25 cQpjydOT
ああ、間違った。
ID:fTEaO39qがキ○ガイだ

ID:27aAcuclの人、ごめん

285:名無しさん@ピンキー
10/03/05 22:38:07 KgyQhSva
>>281
うーん、前作のキャラや今作でも(舞衣をのぞき)スターシステムで出てるんで 堕ちてると言えば堕ちてるかな

アニメ版と比較すればセルゲイやマシロ姫も凶悪化して堕ちてるって言えば堕ちてる

286:名無しさん@ピンキー
10/03/05 22:40:36 1XZD7IPt
ID:fTEaO39qは学校でむしゃむしゃしたことでもあったんだよ

寛大な心で許してやろうぜ

287:名無しさん@ピンキー
10/03/05 23:07:05 jIFyS3CM
SSに関しては、他人の褌でアクセス数を稼ぐ某サイトさんぐらいは
感想をきちんと書いてあげればいいのにと思ってしまうな

あとやっぱ情報に関してはなるべくフェチ板でやるべきじゃね
上の動画サイトのURL貼りまくりの流れなんて、それこそyoutube板や半角板でやるようなことだし

288:名無しさん@ピンキー
10/03/06 00:17:32 /JHV4uoI
>>286
ID:fTEaO39qは学校で何食べたんだろう

289:名無しさん@ピンキー
10/03/06 00:19:28 fHD8B8jk
>>286
いや、違うな
あの反応は会社で上司にやられたんだよ
ガキを装ったレスにみえてきたぜ

290:名無しさん@ピンキー
10/03/06 00:23:18 EcymOPsm
会社で上司にむしゃむしゃされちゃったのか

291:名無しさん@ピンキー
10/03/06 00:26:42 sPcsFaL3
まあ偽善とか以前に、SS板で『ここには情報しか書き込まん』みたいな宣言を
スレ内でしたら、板違いスレとして管理者から排斥されるわなw

292:名無しさん@ピンキー
10/03/06 00:50:00 JrEgXFjj
ssに無理に反応しろとは言わないし、いいと思ったらGJすればいいだけの話ではあるんだが
ss板でここは情報しかいらないなんて言うアホはこの総叩きにも納得だわな。
てか、ここはssを読みに来るところだべ。その合間にちょっと情報があるぐらいが普通
情報が欲しいなら自分で調べな坊や

293:名無しさん@ピンキー
10/03/06 00:55:24 7+9lP7+L
エロパロでSSがいらないなんて初めて聞いたわwむしろ情報の方がスレチだろw

まぁ、作家は減ったよな…

294:名無しさん@ピンキー
10/03/06 00:59:12 2/Eufwm1
時の砂でも撒かれたか

295:名無しさん@ピンキー
10/03/06 02:53:06 IVCR8H+a
SSの投下を楽しみに待つ

296:名無しさん@ピンキー
10/03/06 03:29:33 UmbL1R+D
前回の投稿だって、誉めてる人は居たけど止めろみたいなのは無かったし
SSを禁止とか言い出すのが突然過ぎてビックリかな。
雑談を止めて反応しなきゃ、彼らはSSを排除したがってるってのも乱暴だし
SSがある事で情報の集まりが悪くなる訳でもないのだから、NGにして各自あぼーんすればいいだけの事。

因みにチャンピオンはチェックして無いのだけど、ひふみとかどうなの?
多重人格的に。

297:名無しさん@ピンキー
10/03/06 03:36:38 FFQs3v0O
くくく・・・人間どもめもっと醜く罵り合え!

298:名無しさん@ピンキー
10/03/06 03:42:07 6ket1tay
どうせ釣りだろうからビックリするこたないんじゃないの

それはそれとして、
ここだと読む側はおかず目当てで、ともかくエロ目当てで気が短い人ばかりなのに対して
書く人は、ラノベ風バトルメイン+エロ的に書きたい人が多そうに見受けられるかな

299:名無しさん@ピンキー
10/03/06 03:57:02 6ket1tay
「ともかく」じゃなく「とにかく」だった

300:名無しさん@ピンキー
10/03/06 05:54:03 KDuc6sqV
お前たちが情報なさすぎて使えないからグダグダになるんだろ
俺は俺で独自の道を模索するわ

301: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄
10/03/06 06:53:08 gcZxu0Ik
          ____         _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
       /_ノ  ヽ、_\      ( もう・・・俺のぱかぱか・・・・!!!
.     / (● ) (● )\   (  また本心と・・・・違うこと・・言っちゃったお・・・
    ///////(__人__)///\   ◯   ほんとは・・・素直になりたいのに////
    |              | 。O   ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄
     \           /
    ノ            \
  /´               ヽ
 |    l              \
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))

302:名無しさん@ピンキー
10/03/06 08:31:57 8F+1ByPs
そんなことよりカレーの話しようぜ

303:名無しさん@ピンキー
10/03/06 11:49:21 zNg/goz8
カレーを使った悪堕ちか、新しいな

304:名無しさん@ピンキー
10/03/06 11:51:22 /Ek9Lra1
加齢で洗脳とか誰得

305:名無しさん@ピンキー
10/03/06 12:01:58 fHD8B8jk
「いらっしゃい」
「カツカレーひとつくださーい」
「へい カツ一丁」

「ごちそうさまでーす ここのカレーはクセがありますよねー」
「隠し味があるんだよ へへへ……」
「なんか気がついたらこの店に入ってるんですよねー」
「ククク…… またのご来店お待ちしてます……」


おおざっぱにかくとこんな感じかな

306:名無しさん@ピンキー
10/03/06 12:13:25 0yQVDnzK
>>287
『某』を使うなよ

307:名無しさん@ピンキー
10/03/06 12:25:43 8F+1ByPs
>>305
提供:coco壱

308:名無しさん@ピンキー
10/03/06 12:35:45 rxIgoIEr
>>305
カレー将軍思い出した

309:名無しさん@ピンキー
10/03/06 12:35:51 H+EIJ8AD
包丁人味平のブラックカレーだな

310:名無しさん@ピンキー
10/03/06 16:18:54 kKh4viXd
小学校の図書室に>>305みたいな話の載った怪談集があったなあ。あれはおはぎだったけど

311:名無しさん@ピンキー
10/03/06 16:44:56 UmbL1R+D
キビ団子を喰わせて、そこにナノマシンだかでペットになるんだっけ?→ぱちもそ だか。
元々の桃太郎からして犬、猿、キジをキビ団子で配下にしているし
桃太郎が成長して殿様、それも悪い殿様になったら
なびかない村の美人指導者にキビ団子を無理矢理喰わせて忠誠を誓わせ、村を裏切らせたり
一揆を企ててる村長の美人な嫁に以下略
素晴らしい能力を持ってはいるが、民の為とか正義の為にしか動かない美人軍師を以下略
みたく、洗脳アイテムとして使えるね。
美味くてまた食べたい=シャブみたいな中毒で。
また食べさせてくれるなら、自分を慕ってくれる村人も、その子供も裏切りますから!とか

312:名無しさん@ピンキー
10/03/06 19:23:37 npjqReGh
>>303
URLリンク(d-ko.1000.tv:8839)

つまりこれか。

313:名無しさん@ピンキー
10/03/06 21:02:17 DOMVgpjc
>>311
悪の桃太郎が正義の鬼娘に洗脳キビ団子食わせて
犬怪人、猿怪人、鳥怪人に悪堕ちさせて操り、
鬼娘の里を侵略するとかの電波を受信

314:名無しさん@ピンキー
10/03/06 21:25:18 NDS3wiaO
鬼から見たら、平和に暮らしていた島を襲撃されて虐殺・略奪を受けたってことだもんなw

315:名無しさん@ピンキー
10/03/06 21:44:54 KQhQXRYe
芥川のモノタロウですね。

316:予定調和
10/03/06 23:18:11 Cq04AHDH
前回投下したSSに目を通してくださった方々、ありがとうございます。

前回の粗筋
冬子陥落。しかしそのことに他の4人はまだ気がついていない。

それでは続きをどうぞ。

317:予定調和
10/03/06 23:23:17 Cq04AHDH
月夜女姫とその妹に基地の支部を追い出された私たちホワイトウイングは、晴川さんに連れられてとあるビジネスホテルに泊まった。
本部が襲われてから続いているこの放浪生活だけれど、毎日こんなホテルに泊まるお金を5人分もぽんぽん出せる晴川さんは
一体何者なのだろうといつも思う。でも、この人のおかげで終わりの見えない放浪生活のきつさもいくらか和らいでいるのも確かだ。
逃避行が野宿だと私や赤坂さんあたりはすぐにへばりそうだし、私たちの体調のことをしっかり考えてくれているという安心感がある。
「白石さん、ちょっといいですか?」
今にも布団に入って寝ようとしていた私は、オートロックのドアをノックする音でぼんやりしていた頭を覚醒させられた。
「あーごめんなさい白石さん、寝てました?」
ドアを開けると寝巻き姿の見知らぬ女性が立っていた。……違う、髪を結っていないだけでこれは黒松さんだ。
髪を解いた黒松さんを見たのはこれで初めてではなかったけれど、見慣れてないせいで毎回誰なのか判断するのがワンテンポ遅れてしまう。
「いえ、大丈夫です。何か用ですか?」
「白石さんとお話がしたいなって思って。部屋に入れてもらっていいですか?」
本当は疲れているからすぐに寝たかった。しかし、私は頼み事を断るのがかなり苦手だ。
つくづく損な性格だと自分でも思っているけれど、成人した今でも治る気配がないのでもう諦めている。
黒松さんを部屋に入れて備え付けの椅子に座ってもらってから、私はベッドの上に座って黒松さんと向かい合う。
「それで、お話っていうのは何ですか?」
「今日月夜女姫が言ってた『私たちの中に裏切り者がいる』って件です」
「それなら、私だけではなく全員で話し合ったほうがよくないですか?」
「その必要はありませんよ。もう私は誰が裏切り者なのかわかりましたし、証拠もありますから」
赤坂さん、青野さんの2人のうちどちらかが裏切り者―今日の2人の言動をよく思い出してみる。特に変わったところはなかった。
それに裏切る理由もよくわからない。弱みを握られたとか?世界を破滅に追い込もうとしている相手に手を貸さなければならない弱みって何なの……?
「根拠の無い決め付けでないのなら聞きます。赤坂さんか青野さん、どちらなんですか?」
不自然に黒松さんの口角がつりあがった。大切な仲間が敵の手に落ちているかもしれないというときに、なぜそんな顔をするのかが私には理解できない。
「きひひひ、『どちらか』ねえ……もう1人いるじゃない、目の前にさあ!!」
黒松さんが私の両肩を持っていきなりベッドに押し倒してくる。
不意を突かれたのもあるけれど、肉弾戦スタイルの黒松さんの腕力に私が敵うはずがなかった。
「な、何するんですか……」
「そうだ、暴れられると困るから先にこれをしておかないとね」
上に覆いかぶさった黒松さんの目が妖しく真っ赤に光る。急いで黒松さんを退かせようとして足をばたつかせても無駄な抵抗にしかならなかった。
「……ぁ……ぅ……」
目を背けようとしたときにはもう手遅れ。手足の自由が全く利かなくなったばかりか、声が喉に張り付いたようになって声がうまく出せなくなる。
黒松さんって肉弾戦一辺倒だと思ってたのに、いつの間にこんな力を身に付けたの?
「もうわかってると思うけど、私が月夜女姫様の言っていた『裏切り者』よ」
助けも呼べない、人目も期待できないこの状況で安直に黒松さんを部屋に入れたことを今更ながら後悔する。でもどうして黒松さんが……。
「は……」
「ん~、何か言いたそうだけど全然聞こえないなあ。そうだ、こうすれば」
顎が外れそうなほど大きく口を開けて、黒松さんが私の首筋に噛み付いてきた。一体黒松さんはどうしてしまったの?
これではまるで黒の一族そのものじゃない!
<私の声が聞こえる、白石さん?>
「ん……」
甘ったるいものが頭の中に充満したかのように、思考速度ががくっと落とされる。
<黒松さん!これはどういうことですか?どうしてこんなことを……>
<だからさっきも言ったでしょう。私はもうそっち側の人間じゃないのよ>
黒松さんの背中がもぞもぞと動いて間もなく、服を突き破って真っ黒な翼が生えて私の視界を奪った。
<そんな、これは黒の一族の翼……>
<ふふっ、羨ましいでしょう?月夜女姫様からこの力は戴いたのよ>

318:予定調和
10/03/06 23:27:55 Cq04AHDH
<黒の一族に寝返るなんて、黒松さんはこの世界がどうなってもいいのですか!?>
さも誇らしげに黒の一族になったことを告げる黒松さんだけれど、こんなのホワイトウイングでずっと一緒にやってきた黒松さんじゃない。
月夜女姫に踊らされているだけだ。
<どうなってもいいなんて思ってないわ。私は月夜女姫様の望むまま、この世を黒の一族の住みやすい世界に変えたいだけよ>
<それはエゴの塊です。月夜女姫さえよければそれでいいのですか?!>
<当たり前よ!月夜女姫様さえよければ、私はそれでいいの!>
<……う……>
言い返さなければと言葉を探すけれど、頭の中が絡まってうまく考えられなくなってきた。
―絡まっているだけじゃない。外側から順番に解されて、消されてきている。
消した後には黒くてどろっとした何かに全部置き換えられてきている。
私を、変えようとしている……。
<それに白石さんってさ、晴川に脅されて嫌々そっち側に付いているのでしょう?そこまで意地になる必要もないじゃない>
確かに私はこの仕事を自分から進んでやっているわけではない。可能ならば今すぐに普通の人間としての生活に戻りたいと思っている。
それができないのは晴川さんが私の大切な人や物をちらつかせて脅しをかけているからだ。
<それは……そうですけれど……>
<執着する理由がないわね。白石さんも今のホワイトウイングの戦力で月夜女姫様に敵うわけがないって、
 口には出さなくても心の中では思ってるんでしょう?>
そんなこと、わざわざ口に出さなくても皆わかっている。わかってはいるけれど……ここで諦めたら、今までの苦労が水の泡じゃない!
<頑固だね、白石さんは。それじゃ、持久戦と行きましょうか>
<じきゅう、せん?>
<朝になって誰かがこの部屋に入ってくるまで白石さんが意識を保っていたら白石さんの勝ち。どう、簡単でしょう?>
この一縷の望みに賭けるしかない。後は私の精神力次第。
<いいですよ。朝まで耐えられればいいんですね>
<そうそう。耐えられればいいのよ。耐えられるなら、ね……>

冬子が秋生の動きを封じた時点で、既に勝負はついていた。
今の秋生は目が一応開いてはいるものの、深いトランス状態にあり心が全くの無防備のまま放置してあった。
「そんな心身共に疲れきった状態で私の心を揺さぶる攻撃に耐えられるわけがないじゃない。
 脳味噌とろとろの状態で正確な判断を下せっていうのがそもそも無理だけどさ」
冬子は秋生の首筋から口を離し、今にも寝てしまいそうな秋生の顔をじっくりと眺めていた。
首筋には噛み跡がくっきりと残り、冬子の唾液が大量に付着している。
今なら冬子がいくら好き勝手に性格を歪めても、秋生は全て素直に従ってくれる。
ホワイトウイングの女性陣の中で最も年上なこともあって、いつも落ち着いていてニコニコ笑顔を絶やさない。
ホワイトウイングに加わるのを嫌がったのは、生き物の命を絶つ行為に関わりたくなかったからだと聞いていた。
そんな優しい秋生が自ら進んで殺掠を行うような人間になったら、それまでの秋生を知る人間はどんな反応をするだろうか。
殺戮を恋焦がれるような、今とは真逆の性格にしてみても面白い。あるいは、ただひたすら淫乱な変態に。
秋生は過去に言いがかりに近い噂を流されたことがあった。
「長年付き合っている彼氏がいながら、その大人しそうな顔に釣られた男を片っ端から食っている淫乱女」
という秋生の裏の顔の存在を主張するものだ。
そのときは本人と秋生の性格を知る人全員が否定したのですぐに噂は消えたが、それが真実になれば……。
「おっと、いけないいけない。『黒の一族にする以外に余計な刷り込みはするな』って月夜女姫様から言われていたのだったわ」
何より優先するべきは月夜女姫の意思。冬子は唾液塗れの秋生の首筋に再び噛み付くと、黒の一族に変えるべく力を流し込み始めた。

319:予定調和
10/03/06 23:31:22 Cq04AHDH
<……つめたい……きもち、いい……>
<いい、白石秋生さん。あなたは生まれ変わるの>
<うまれ、かわる……>
<黒の一族になって、月夜女姫様に全てを捧げるのよ。もう晴川に嫌々従うことはないわ>
<わたしが、くろのいちぞくに……>
<黒の一族になれば今以上の力が手に入るし、ずっとこのまま若いままでいられる。それは素晴らしいことではないかしら?>
<はい……>
秋生の顔からはは自分の体が作り変えられるという恐怖は微塵も感じられず、むしろこれから起こることの期待に染まっていた。
<よし、そろそろね>
冬子は秋生の首筋から口を離しぺろりと舌なめずりをして、これから秋生の体に起こるであろう変化に胸を高鳴らせる。
「あ……もっと……もっとしてください……」
「もう十分だから、あとはじっとしていなさい」
「そうですか……あ、耳が」
乱れてボサボサになった秋生の髪の隙間から、先の尖った耳の先端がぴょこんと顔を出していた。
「なんだか急に部屋が暑くなってきましたね……黒松さんは暑くないですか?」
「冬子『様』でしょ、冬子『様』。その力をあげたのは誰だと思ってるのよ。それに私は暑くないわ」
「申し訳ありませんでした、冬子様。先ほどから汗が止まらなくて……うぅ……はあっ……」
沈黙の暗示がとっくに切れていることに冬子が気付いて秋生の口を慌てて手で塞がなければ、
悲鳴がホテルの同じ階全体に聞こえてしまっていた。
「ん~~~~!ん~~~~~!」
長く伸びた爪で無意識に布団を引っ掻いてずたずたにしながら、
一気に生えてきた黒い翼がもたらす今まで感じたことのない感覚に秋生は酔いしれる。
「ふう、間一髪だったわ」
「もう、冬子様は乱暴です。悲鳴を上げられたら何か困ることでもあるのですか?目撃者は証拠の残らないように殺せば何も問題はないでしょう」
「月夜女姫様から目立つ行動は極力控えろと言われてるのよ」
「なるほど……これで『裏切り者』は2人目。晴川も追い詰められましたね」
「きひひひ、全くだわ。それじゃ白石さん、朝にならないうちに月夜女姫様に挨拶に行くよ。私に付いてきて」
ベッドの布団から零れ落ちた綿を放置したまま、普通の人間でない2人はすうっとそこから姿を消した。



少し考えればわかることだ。
月夜女姫が現れてから俺が見ていないところで黒の一族と接触したのは黒松ただ1人。
しかもそのときボロボロにやられている。あのときにきっと何かされたに違いない。とりあえず今日は黒松だけ別行動にしてみて様子を見よう。
とにかく今は月夜女姫の言っていた「裏切り者」を突き止めるほうが先だ。
「でもさ、何で冬子だけ単独行動なの?危なくない?」
「今回の黒松の仕事は偵察だ。機動力のある者が適任だろう。その点だと青野でもよかったんだが、お前は1人にすると調子に乗るからな」
「うー……」
青野がふて腐れるが、放っておいても問題がないので無視する。
「本当は黒松さんが『裏切り者』だと疑っているんですよね、晴川さん?」
白石め、余計なことを。わざわざ不安を煽ることを皆の前で言わなくてもいいだろうに。
「え、そうなの、晴川さん?」
「……今まで単独行動もたくさんあっただろう。別に月夜女姫の言ったことが気になるわけではない」
「そうだよね、あんなの絶対月夜女姫のでたらめに決まってるよ」
「本当かなあ……」
皆ここまで精神的揺さ振りに弱い奴らではなかったはずだが、どうしてしまったんだ?

次に俺たちが月夜女姫の襲撃を受けたのは、月夜女姫が別の街に現れたと報告があってから3時間後のことだった。
泊まっていたホテルごと焼き払われ、崩れつつあるホテルから脱出するだけで全員疲れきっていてとても戦えるような状態ではなかった。

320:予定調和
10/03/06 23:36:15 Cq04AHDH
俺たちから離れた地点をわざわざ直前に襲撃して「裏切り者は黒松ではない」ということをアピールしているようにも感じる……一体何が目的だ。
「今日は一段とチームワークが悪いわね。誰か1人いない気もするし、どうしたのかしら?」
「白々しいぞ、お前が全部仕組んだくせに」
「仕組んだ?何のことかしら。黒松さんがここにいないのはお前が別行動をさせたからでしょう?『裏切り者』かどうか確かめるためにね」
全てお見通しよ、とでも言いたげな顔で月夜女姫は地べたに転がされた俺たちを見やる。
「お前、どうしてそれを……」
「さあて、なぜかしらね。ふふふ……」
裏切り者は黒松ではなかったということか?となると考えられるのはここにいる赤坂か青野か白石かということになる。
そもそも月夜女姫は裏切り者が「4人の中にいる」と言っただけで1人とは断定していない。黒松と他にもう1人いるのか……?
もしかしたら既に俺以外の全員が月夜女姫の手に堕ちているということも……いや、俺が仲間を信じられなくなってどうする。
決して裏切り者などいない!
「絶対、この中に情報を漏らしてる人がいるよね」
「そうだね。私も仲間を疑いたくないけど、ここまでやられると……ねえ?」
「もう、晴川さんが黒松さんを疑ったりするからチームがバラバラじゃないですか!どうするんですか!?」
どうするんだって……俺が訊きたいぞ、白石。本当にどうしたものか……。裏切り者はいるのか、いないのか。いるとしたら誰なのか。
どうやって調べるのか。拷問でもして吐かせる?そんなことをしたらそれこそホワイトウイングはお互いが信じられなくなって終わりだ。
個々の力で倒せるほど月夜女姫は弱くない。だからといってこのままだと……。



まだあちこちで煙が上がっている中、天道姉妹は地面に這い蹲る4人を見下ろして嘲っていた。
「うふふ、困ってる困ってる。追い詰められて命からがら見せる抵抗ほど見てて楽しいものはないね。お姉様、次はどうするの?」
「そうね、今度はこちらが追い詰める番なのだから、ゆっくり楽しみたいわ」
次は、晴川に最後の引き金を引かせよう。ここまで疑心暗鬼になっていれば下準備は万全のはず。
自分の行動のせいで仲間が寝返ってしまうのだから、もう目も当てられないでしょう。
まだまだ苦しんでもらうからね。





ホワイトウイングのメンバー5人は、24時間営業の飲食店の机に集まっていた。
ここに来るまでに何度も天道姉妹の襲撃を受け、睡眠も満足にとることができずに全員疲労困ぱいだった。
「はーるーかーわーさーん。このまま逃げ続けてもあたしたちが消耗するだけだよ。何とかならないの?
 ふあぁ、眠う。もう3日もアイス食べてないしい……」
赤坂が机にあごを乗せて今にも寝てしまいそうな顔で訴える。
きちんと飯は3食食わせているが、月夜女姫にじりじりと追い詰められているのは確かだった。
「だが、今の戦力では勝算がないだろ?そもそもまともにダメージを与えてすらいない」
何度交戦しても、月夜女姫の障壁すら破れなかった。しかも向こうはまだまだ余力を残して戦っているように見える。
「それに、閃光弾も使い切った」
この状態で戦っても、勝負になるどころか逃げることすら難しい。
「とにかく今は支部に行き、対抗策を練るんだ」
「あと半分以上かあ、きっつー……」
青野が不満を漏らすのも仕方がない。道路はボコボコ、線路はグニャグニャで使える交通手段が空路くらいしかないからだ。
一応船も使えるが、空港が無事な内は使わなくてもいいだろう。どうせ道中で襲われたら死ぬのは同じだ。

晴川がそろそろ移動しようと席を立ったとき、店の机が軽々と吹き飛ぶような爆風が晴川たちを襲った。
屋根に大きな穴が空き、店内の照明が殆どやられて視界が一気に暗くなる。

321:予定調和
10/03/06 23:40:03 Cq04AHDH
「くそ、もう見つかったか」
ここまで細かくこちらの情報が漏れていると、晴川も本格的に裏切り者の存在を否定できなくなってくる。
「一体何が……助けてくれ……」
幸いにも他の客はいなかったものの、店員が頭から血を流しながら助けを求めている。
「しっかりしてください!」
「待て赤坂、そいつに治癒術は使うな!」
「え?でも今使わないとこの人死んじゃう……」
「死にそうなのは俺たちも一緒だ。俺たちがやられたら誰が月夜女姫を倒すんだ?」
ホワイトウイングが倒されたらどちらにしてもこの店員も死ぬ。
今までは一般人の救助も戦闘中にやってきたが、今の疲弊したホワイトウイングにその余裕はない。
「見つけた」
晴川が振り返るとすぐ後ろに月夜女姫が壮絶な笑みを浮かべて立っていた。
晴川は素早く袋から御神刀を取り出し斬りつけたが、またしても障壁に弾かれる。
完全に狩る立場と狩られる立場が逆転していた。
「お前ら、まだいけるな?白石の防御が通用しない以上、纏まっていたらただの的だ。散らばって狙いを絞らせるな!」
散らばったとしてもあの超広範囲攻撃を使われると全く意味がないのだが、手加減しているのかまだ初回の1回しか使われていない。
相手に慢心があるうちがチャンスである。
晴川は夏菜に指示して店の壁を破壊させ、各自バラバラに逃げるように伝えた。集合場所は言わなくても4人はわかっている。
「その様子だと、もう閃光弾は使い切ったのかな?」
「うわっ、こっちにも!?」
夏菜は目の前に出現した蘭に行く手を阻まれ、戦闘態勢を取らざるを得なくなった。
「逃げられないってわけね……お前なら攻撃が通じる分、月夜女姫より勝てる可能性がある!」
他の4人の援護が期待できなくても、夏菜は今まで1人で黒の一族を何人も伸してきた自信から蘭に真っ向勝負を挑んだ。
蘭がここまでの戦いで本気の半分しか出していないことを夏菜は知らない。知らないからこそ、無謀にも向かっていくことができる。
「貴方ってなかなかタフだから長く遊べるんだよね。今日も楽しませてもらうよ!」
「青野、倒すことを考えるな!相手の隙を作って逃げろ!」
「わかってる!」
「わかってねえな、あれは……」
いつもなら相手から先制攻撃される前に誰かが感づいて直撃を免れているものだが、
この寒気がするほどの威圧感を放っている敵の接近に誰も気が付けなかった。それほどまでに皆疲れきっているということだ。
「きゃあああああ!!」
「大変、春香ちゃんが!」
やろうと思えば5人全員を一気に攻撃することもできるのに、今日の月夜女姫は執拗に春香ばかりを狙っていた。
チームで最も強固な秋生の障壁でさえ歯が立たないのに、薄っぺらな春香の障壁では気休めにしかなっていない。
現時点ですでに戦力は晴川たちが下回っているのに、さらに春香が欠けて決定的な差が開くのは避けなければならない。
「きゅう~」
最早立ち上がる気力すらなくなった春香は目を回して力尽きてしまった。元々春香は夏菜のように打たれ強いわけではなく、
音を上げてへばってしまうのは4人の中でいつも最初だった。
「白石!黒松!赤坂の介抱を頼む!」
ぐったりと動かなくなった春香を揺すったりして反応を見ていた秋生と冬子が、なにやらこそこそと話をしている。
「白石さん、春香ちゃんの容態は?」
「ぐっすり眠っています。心身ともに疲れきった状態で且つ信頼できる仲間ですから魔眼が非常に効きやすかったですね」
「へえ、そう。わざわざこのタイミングでかけなくてもよかったかもしれないわね。春香ちゃんって基本的に何に関しても甘いから」
「おい、白石と黒松!後ろから来てるぞ!集中力を切らすな!」
「だから何?」
冬子は晴川に冷めた目を向けると何の躊躇もなく気合の乗ったストレートを撃ち込む。
晴川はギリギリで顔を逸らして避けたものの、突然の冬子の豹変に驚きを隠せない。

322:予定調和
10/03/06 23:43:17 Cq04AHDH
「私に指図していいのは月夜女姫様だけ。あなたに従う義理はないのよ」
「そうか、お前がやはり月夜女姫の言っていた『裏切り者』だったんだな。悪魔に魂を売るとは堕ちたものだな」
かつて仲間だった冬子にも殺すつもりで刃を向けた晴川だったが、いくら振り回してもかすりもしなかった。
ゆっくりと体を変化させて正体を現した冬子はケタケタ笑いながら一定の間合いを保っている。
「温い、温すぎだわ。そんな調子で月夜女姫様を倒そうだなんて、笑っちゃうわね」
「黒松、お前、その姿は……」
冬子の烏のような黒い両翼に尖った耳、鋭く伸びた爪、紅い瞳はまさに黒の一族そのものだ。
「常に冷静沈着なあなたも今回ばかりは動揺が隠せないみたいね。どう、この姿。綺麗でしょう?」
冬子は見せびらかすように手をひらひらさせるが、その行動は晴川の頭を更に熱くさせた。
「……お前は俺が最初に黒の一族を狩り始めた理由を知らないからそんなことが言えるんだ」
「何なのよ、その理由って」
「俺はその魔に堕ちた醜い格好が、反吐が出るくらい嫌いなんだよ!」
怒りにまかせて冬子に斬りかかった晴川だが、月夜女姫と同じ薄紫の障壁に阻まれる。
それでも晴川はギリギリと力を込めるのを止めず、しばらくするとピシッと1本の亀裂が走った。
「私の闇界障壁に月夜女姫様と同等の強度があるわけない、か……でもこれだけ硬ければ十分ね」
かわすばかりでなく攻撃に転じた冬子は、防御一辺倒になった晴川にさらに口汚く罵声を浴びせる。
「大体さあ、まだ自分が特別だとか思ってんの?あなたなんて御神刀がなければただの一般人じゃない。
 私たちがいないと何にもできないくせに、威張っちゃってさあ!ああ、今は御神刀があっても何もできてなかったわね」
冬子の魔力の込められた弾丸のような胴回し回転蹴りが直撃し、頭が割れたかのような激痛で晴川は防御の体勢に入ることすら出来なくなる。
「あら、まさか胴回し回転蹴りがクリーンヒットするとは思わなかったわ。
 あなた、私が手を抜いていなかったら頭が原形を留めてなかったわよ?治癒術かけてあげましょうか、薄鈍さん?」
「まだ動けるぞ、お前こそ俺を甘く見すぎ……ん、体が……?!」
晴川の体勢がぐらりと傾き、御神刀を地面に突き刺してそれに寄りかかる格好になる。
「なんだ、急に体に力が入らなく……」
「逆回復魔法を使わせていただきました」
いつから晴川の背後に立っていたのだろうか。そこには以前の温和な雰囲気はそのままで黒い翼を生やした秋生がいた。
逆回復魔法―相手に外傷を与えずに衰弱させて戦闘力を奪うことができるので、秋生が好んで使おうとした術だった。
実際は秋生の消耗の割に黒の一族には効果が薄いので殆ど使われることはなかったが。
「白石……お前もか」
「ちょっと、白石さん?せっかくいいところだったのにどうして邪魔するのよ!?」
「申し訳ありません、冬子様。月夜女姫様から『早く春香ちゃんを連れて戻ってきなさい』との命令がありましたので」
「それなら仕方がないわね。叱られないうちに戻るとしましょう」
「待て……」
春香を抱えて転移しようとした2人を晴川が膝を地面につけたまま呼び止める。
「何かしら?」
「赤坂をどうするつもりだ?お前たちの仲間にするつもりか?」
「さあ?私は聞いてないから知らないわ」
「そうそう、忘れるところでした。晴川さんに月夜女姫様から伝言があります。」
それまで温和な雰囲気だった秋生の周りの空気がさっと冷えたように感じる。
「明後日の午前0時に月夜女姫様が大事な報告をなさるそうなので、テレビをチェックしておきなさい、とのことです」
「一体、何をする気だ……」
その問いがまるで聞こえなかったかのように、2人は晴川を無視して春香を抱えて別の場所に転移してしまった。

「晴川さん……まだ、生きてる?」
うつ伏せに倒れこんでいた晴川にボロ雑巾のようになった夏菜が声をかけたのは、黒の一族全員が引いてからしばらく経った後だった。
「ああ……何とかな」
「他の皆の姿が全然見えないんだけど、知らない?」
何も知らない夏菜はここで初めて晴川から過酷な現状を知ることになる。
裏切り者の存在を信じざるを得ない証拠があってもまだ希望にすがりたい夏菜にとって、この事実は重すぎた。

323:予定調和
10/03/06 23:48:45 Cq04AHDH
「白石と黒松が月夜女姫の言っていた裏切り者だった。赤坂は……その2人に攫われた」
「えっ、嘘……裏切ったってどういうこと?」
「もう2人とも黒の一族と何ら変わらなかったよ。おそらく月夜女姫は普通の人間を同族に変えてしまう力があるのだろう。
 信じられんが、あれを見せられたら信じるしかない」
この中に裏切り者がいるという、月夜女姫が言っていた通りだった。
晴川はまさか黒の一族に体まで変化させられているとまでは思っていなかっただけに、ショックが大きい。
「ならこんなところでのんびりしてる場合じゃないでしょ!早く春ちゃんを助けに行かないと、春ちゃんまで黒の一族にされるってば!!」
「2人で行ってどうなる?返り討ちにされるだけだ」
「でも……」
「赤坂のことは諦めろ。あいつらに攫われた以上、無事に帰ってくることはないだろう。辛いだろうが、今は月夜女姫を倒すことだけを考えろ」
春香を見捨てるという選択。救出に行ったときにこちらに勝算があればそのような行動は考えられないが、
戦力に大きな開きがある今はこのような非情な選択をしなければ一網打尽にされかねない。
「それで私が『はいそうですか』って納得できると思う?2年以上一緒にやってきたんだよ、今更見捨てられるわけないじゃん!
 私はそこまで割り切れないよ……」
強すぎる結束力がここにきて仇となる。晴川は仲間を助けたいという夏菜の気持ちは痛いほど理解できた。
だからといって今は感情だけで動いて玉砕していい場面かというとそうではない。
「確かにお前は俺を含めた5人の中では1番強い。火力と俊敏な身のこなしは群を抜いているし、
 障壁は張れないが攻撃を食らってもある程度は持ち前の根性で耐えられるだろう」
実際、夏菜の活躍がなければここまで黒の一族を減らすことができたかどうか怪しい。今
回も攫った相手が普通の黒の一族ならば迷わず助けに行っている。1人だけでも残ったのが夏菜なら、晴川と2人で組めば十分に勝算はありえた。
ただ、その相手が月夜女姫では分が悪すぎる。勝機のない襲撃は晴川たちの損害を増すだけだ。
「しかしそれで俺たちが月夜女姫を倒せるかどうか、それはお前も理解できないわけじゃないだろ?」
夏菜は答えに詰まり、顔を伏せた。
やってみなくちゃわからない、というありがちな言葉はもう通用しない。過去に何度も苦渋を味わわされたのは紛れもない事実だからだ。
「皆、どうしてこんなことに……」
不安で泣き出しそうになるのを堪え、明らかに無理をしている顔で夏菜は強がった。
「そう、だね……私たちがやってるのはこの世界の未来が懸かってる戦いなんだから。
 春ちゃんには悪いけど、こっちは準備を整えてから行かないと犬死にになっちゃうし」
非情な選択をしなければならないほどの状況に、絶望感が漂う。
「ところで、お前も黒の一族になってたりはしないよな?」
「わ、私は白石さんや冬子ちゃんみたいに演技が上手くないから無理かな……」
「そうだよな、お前がもし寝返ってて味方のふりをしようとしてもオーバーアクションですぐにばれそうだしな」
「うーん、変な点で信用が得られてて複雑だ……」
もう戦える者が2人しかいないという絶望的な状況でも、雇い雇われの関係を超えた決して揺るがない絆の強さが晴川と夏菜の間にはあった。



月夜女姫が予告した日の午前0時。各局が特番体制を組んでいるらしく、どこも似たような内容を放送していた。
テレビに映し出されたのは、月夜女姫と囚われの身となった春香だった。
月夜女姫は体のラインが曖昧になるほどのゆったりとした豪勢な漆黒のドレスを着込んでおり、
背中の部分だけばっくりと開いていて大胆に露出させていた。尖った耳には銀白色のイヤリングをしている。
「テレビをご覧の皆さん、こんばんは。私がこの日本を支配する黒の一族の長、月夜女姫よ」
「何よこいつ、女王様にでもなったつもりなの?偉そうに……」
テレビを観ている夏菜は毒づいたが、現場にいるであろう撮影スタッフは物音すら立てなかった。
「今日は皆さんにお知らせがあるわ。ここ、ホワイトウイングの元本部に囚われているのは、ホワイトウイングのメンバーの1人、赤坂春香」
「春ちゃん、ぐったりしてるみたいだけど大丈夫かな……」
側に走るパイプに手錠で両手を繋がれて座ったまま軽く万歳をしている格好の春香だが、目にはしっかりとした意思の光が感じられまだ敵の手には堕ちていないように見えた。
「今から24時間以内にこの赤坂春香を他のホワイトウイングのメンバーが助けに来ない場合、避難所とその周辺にいる人間を皆殺しにするわ。
 どの避難所でどの程度の範囲になるか、いつ皆殺しにするかは私の気分次第で」

324:予定調和
10/03/06 23:55:48 Cq04AHDH
撮影スタッフもそこは聞かされていなかったらしく、テレビの向こうもざわつき始めた。
「静かに。大丈夫よ、きっとホワイトウイングは避難所の人たちを見殺しになんてしないわ。正義の味方だもの、当然でしょう?」
月夜女姫はテレビの中にいるのにも関わらずまるで直接射竦められた気がして、晴川と夏菜はぶるっと体を震わせた。
「こいつ、赤坂を出汁に何万人もの人を人質にとりやがった」
「ど、どうすんのよ……」
「ああ、そうそう。わかってると思うけど、普通の軍隊を投入するのは死人が増えるだけだから止めておきなさいね。
 では、最後に囚われた春香ちゃんの言葉を」
画面が春香のアップになり、月夜女姫が画面外に消える。
ぐったりしているように見えるが外傷は見当たらず、精神的に少し参っている程度らしい。
「あの、あたしがふがいないせいでたくさんの人に迷惑をかけてしまって……その、謝ります。ごめんなさい。
 まずあたしを拘束している犯人ですが、月夜女姫とその妹、白石さんと冬子ちゃんの4人です。
 さらに晴川さんは知っていると思いますが、月夜女姫は普通の人間を黒の一族に変える力を持っています。
 晴川さん、あたしにはどうしたらいいかわかりません。助けに来て欲しいのは確かですが、
 まともにぶつかるとどうなるかはわかっていると思います。だから、無理は言いません。
 できるだけ多くの人が幸せになれる方法を考えてください。あたしは晴川さんのこと、信じてますから」
「春香ちゃん、そんなふうに綺麗事しか言わないとカンペがあるんじゃないかって疑われるわよ」
「あ、あたしは別にそんなつもりじゃ……」
「こんな極限状態でも台本に書いたような台詞が言えるとはねえ。ホワイトウイングはさぞかし厳しい訓練を課しているのでしょうね」
「……」
これ以上月夜女姫と会話を交わしても視聴者によくない印象しか与えないと思った春香は、キッと月夜女姫を睨みつけたまま押し黙る。
自分との付き合いが長い相手に正論で言いくるめる自信もなかったし、下手に刺激して余計に不利な状況になるのも困る。
「では、春香ちゃんはもう言いたいことがないみたいなので、ここまでにしましょう。じゃ、カットしてー」
どの局もほぼ同時にニュース番組に切り替わり、先ほど流れていた内容を繰り返していた。
「操られて言わされてるわけじゃ、なさそうだな」
「私は春ちゃんがあそこまで堂々とした態度を取れる人だったとは思ってなかったわ。
 春ちゃんってこういう場面になったら『はわわ、えっと、その、どうしようどうしよう』ってなるタイプだと思ってたし」
「お前、2年以上ホワイトウイングで一緒に活動してきて赤坂のこと何にもわかってないんだな。
 赤坂はちょっとしたことならすぐあたふたしてしまうが、一度肝が据わるとああ見えて打たれ強いんだぞ」
その「一度肝が据わった」状態というのが本当に窮地に立たされたときにしかならないので、
今の春香はテレビに映された見た目以上に追い詰められていることになる。





この続きは次回までゆったりお待ちください。

325:名無しさん@ピンキー
10/03/07 00:09:11 fB8eyMP5
続きが気になるほど面白い内容でもないし
SSとしては展開が遅すぎるな

326:名無しさん@ピンキー
10/03/07 00:29:22 OCTN5SzP
長くなるならブログかサイトにやれ、と言われるよ?

327:名無しさん@ピンキー
10/03/07 00:55:50 VksZaA1i
冗長の感は否めないし、どうにも比重が悪堕ちよりバトルに向いてるきらいもある
大がかりな展開はちょっと面白いけど、それに振り回されてる感じかな
正義側のリーダーがただの外道だというのは受けるけどw

まあとりあえず書いてしまえばいいと思うけどね
そして次はプロットと推敲をしっかりすることをお薦めする

328:名無しさん@ピンキー
10/03/07 01:22:03 dxrJAnnA
この板はSS板であり、エロパロ板だからな
SSを拒否する声が板違いであると同時にエロくないSSも板違い

329:名無しさん@ピンキー
10/03/07 01:26:09 SHxis/sE
途中でエロ含むんならここじゃなきゃダメじゃね?

330:名無しさん@ピンキー
10/03/07 01:30:47 2/Jfb+bw
悪堕ち自体にエロスを感じているおれのようなやつは直接的なエロ表現はむしろなくてもいいくらいだが
しかしまぁ>>316->>324は読み物になってしまってる感は否めない
楽しませてもらってはいるけどSS投下向きな作品ではないかもね

331:名無しさん@ピンキー
10/03/07 02:18:19 vqyxuWQL
もうちょっと読みやすい書き方を工夫しないとこれは敬遠されるって

332:名無しさん@ピンキー
10/03/07 03:43:08 mow8RTmk
洗脳シーンだけで抜ける俺に隙はなかった
正義側が敗北フラグをバシバシ立てるもんだからきっちり洗脳完了大勝利で終わりそうで安心して待てる

333:名無しさん@ピンキー
10/03/07 04:05:06 lAXjbb19
みんな厳しいなぁ。
それでも楽しみに読んでる人はいるから、くじけなさんなよー。

唾液まみれの首筋えろすw

334:名無しさん@ピンキー
10/03/07 05:48:51 8ahO+rh9
洗脳シーンが俺にとってはエロ

だって、普通のエロなら他のSS見ればいいじゃん

335:名無しさん@ピンキー
10/03/07 08:08:37 Bwx4ZFVa
どこまでも>>298が真理だなあ


336:名無しさん@ピンキー
10/03/07 08:59:09 UvyL2+XV
つまり作者は頑張ればいいわけですよ

337:名無しさん@ピンキー
10/03/07 11:42:35 n5KIhuxG
>>313
勝手にインスパイアされてSSおこしてみたよ。
直接的エロは短いけどあるよ。
異形化があるけれど、かなりライトですよ。

338:悪説 桃太郎
10/03/07 11:43:20 n5KIhuxG
あるところに、鬼達が住む楽園がありました。
鬼はは人間と同じ姿をしています。人間と違うのは、頭に角があり、力が人間に比べて大層強いこと。
たったそれだけのことで、彼らは人々から強くうとまれていました。
ですから、やさしく温和な心を持つ彼らは、人間達と仲良くしたいと思っていますが、その願いは中々叶えることはできません。
元々、彼らは人間達の住む里から離れた、山の奥ふかくに住んでいたのですが、人間が生活の場を拡げたことで、だんだんと住処を追いだされてしまいました。
住み場所が無くなった鬼達ですが、彼らは人間達を責めません。
人間達は生活の場所を拡げるに相応しい発展をしただけなのだと受け取ったのです。
山が完全に人間の物になると、彼らは海へでて、人間達の住処から離れた島に向かうことにしました。
何時かこういう日が来るのではないかと、鬼達は遥か昔から、山の木で作ったイカダを備えていたのです。
人の寝静まった夜に、ひっそりとイカダを浮かべて、海を渡ること半日。
次の日の昼には島についておりました。
まだ人間も、もちろん鬼さえも、住んではいない島。
そこにはおいしい果物のなった木々が並び、美しい獣達が静かに暮らしている、まさに楽園でした。
元々は山に住んでいた鬼達です。新しい自然の中でも、すぐに溶け込み、彼らの文化を築いてきます。
いつしか、そこは鬼達の住む島、「鬼ヶ島」と呼ばれるようになりました。

これからする話は、鬼ヶ島が出来てから200年の時が過ぎたころのお話です。

ある日、鬼六が田んぼ仕事をしていると、
明るく元気な声が聞こえてきました。彼が声のする方を振り向くと、美鬼が美しい色の果物を手に持ち、走ってくるところが見えました。
「美鬼じゃないか、嬉しそうな顔をして、どうしたんだ?」
美鬼はその名が現す通り、器量のいい、元気な娘です。鬼六は、彼女のことを慕い、また彼女も鬼六のことが好きでした。
「忙しいときにごめんなさい。鬼六さん、これ差し入れです」
そう言って差し出すのは、あの可愛らしい形をした果物です。
「おお、桃じゃないか。珍しいなあ。俺はこれが大好きなんだ」
大きな体をしていながらも、鬼六は甘い物に目がありません。一口かじり、うまいうまいと大喜びです。
「人ノ島へ行った夏鬼から送られてきたの。今向こうでは大人気なんだって」
美鬼は笑顔で言いました。
人ノ島に旅立った三人の鬼、夏鬼、絹鬼、真鬼は、美鬼の幼いころからの親友です。
彼女達は、人間達が自分たちと仲良くしてくれるかどうかを知るために、自分達から人の都へと出向いて行ったのです。
「むこうでは、桃がよく採れるんだろうなあ。行ってみたいなあ」
舌なめずりをしながら、夢見る様子で鬼六は言います。彼も他の鬼達同様、人間達と仲良くすることを強く願っているのです。
「大丈夫よ、鬼六さん。この桃が届いたのはきっと、三人が人間達と仲良くなった証よ。私達の夢ももうすぐ叶うわ」
そうだなと、鬼六は笑い、つられるように美鬼も笑いました。二人の笑顔は、鬼ヶ島を照らす太陽のようでした。

339:悪説 桃太郎
10/03/07 11:43:50 n5KIhuxG
「桃様、これで1週間になります。このままではあの娘は餓死してしまいます」
ここは人間の住む都、その中でも最も美しいと噂される建物、桃之御殿です。
御殿の主人犬山桃太郎は、召使いの言葉を聞いても露ほど表情を変えません。
「だが、他の娘は口にしたのだろう」
「はい、絹鬼、真鬼は、桃様の力を封じ込めた『きび団子』を口にしました」
「変身はどのぐらいかかるかな」
「真鬼は既に犬の力を手にし、絹鬼は後僅かで鳥の力を手にすると思われます」
召使いの言葉に、桃太郎はほくそ笑みました。
それは、仕えて10年になる召使も、思わず背筋にぞくりと、震えが走るほどの冷たい笑みでした。
「今から真鬼の様子を見に行く。支度をせい」
 
御殿には、見とれるほどに美しい庭もあれば、ほおが落ちる程の食べ物もあります。
ですが、多くの者たちは地下にある、大牢獄のことを知りません。
桃太郎を案内する召使いは、この薄暗い牢を知る者の数少ない一人です。
この場にはそぐわない、きらびやかな衣装をまとう桃太郎は、石の敷き詰められた廊下を召使いと歩いていきます。
やがて、一つの牢に辿りつきました。厳重な鎖が、扉に付けられています。
「ここか。鬼娘、真鬼がいる牢は」
「はい、今開けますので……」
召使いが鎖に付けられた鍵を開けます。
先に危険が無いか確認しようと言う召使いですが、桃太郎は、
「俺を襲えば切るまでよ」
そういい、桃太郎は何のためらいもなく、牢に入って行きました。
牢の中には、鬼娘の一人、真鬼がいました。体には犬のような白い体毛、長い耳が生えています。
可愛い尻尾がゆらゆらと揺らす様は、鬼と言うよりも犬そのもののように見えます。
彼女は石の床に横たわって寝ていましたが、主人の匂いを感じ取ったのでしょうか、びくりと体を震わせて、目を覚ましました。
短く切った髪は男の子のような溌剌さです。
柔らかく豊かな胸、細い手あし、そしてしなやかな腰をもった彼女は、とても元気で健康的な雰囲気を持っていました。
犬のような体毛は、彼女の乳房、下腹部を覆い隠していますが、彼女の備える色気を損なうものではありませんでした。
それどころか、ますます妖しく、美しいものにしている、そう桃太郎は思いました。
「真鬼」
桃太郎が、尊大な調子で真鬼に語りかけました。すると、真鬼は途端に頬を赤らめ、媚びるような目で桃太郎を見上げました。
「ずっと待っていました、桃太郎さまあ」
甘い声、熱い吐息が彼女の唇から放たれます。まるで、発情した犬が見せるような、淫靡な仕草です。何かをおねだりするように、彼女は膝をすり合わせていました。
「どうだった、きび団子の味は。えも言われぬ美味さだっただろう」
桃太郎の声一つ一つが、彼女の興奮を燻ぶるようです。首を縦に振り振り、彼女は答えます。
「はい、とてもおいしかったです。あんなおいしいものを食べたのは初めてですっ!」
「そうか。だが、あれで満足してはならん。この世にはもっとうまいものがあるのだ」
 そう言って、桃太郎は真鬼のあごを指で軽く持ちあげました。とろけた真鬼の顔は、桃太郎に見つめられて、さらに溶けだすかのようでした。
「これから手伝ってほしいことがあってな。お前が俺の言うことを聞くなら、お前を満たしてやらんことはない」
主人の手が彼女の胸に伸びます。体毛の上から感じる主人の指の感覚に、すぐに真鬼の体が悦びを感じ始めます。
びくびくと震える体は、彼女の興奮のあおりをうけ、ますます快感をせがみます。
「はあっ、ごしゅ、はあっ、はぁ」
外に伸びた桃色の舌は、熱い口内から逃げだそうとしているかのようにも見えます。
その様子を満足げに見つめる桃太郎は、いじっていた彼女の乳房から手を離しました。
「あっ、ご主人様、もっと……」
未練がましそうに腰をくねらせる真鬼に、桃太郎は言います。
「最高のご褒美は、主人の与える仕事を終えてから楽しむものだ、真鬼。言っただろう。手伝ってほしいことがあるのだ」
もう一度、彼は真鬼の瞳を見つめました。
「お前は俺のためなら何でもするか」
「はい、わたしは御主人のためならどんなことだってやり遂げて見せます」
「かつての友人を陥れるようなこともできるか」
「できます!」
元気に言う彼女は、桃太郎が満足するほどに、冷酷さを秘めた笑顔で言いました。

340:悪説 桃太郎
10/03/07 11:47:43 n5KIhuxG
真鬼の牢から離れた場所で、捕えられた鬼娘の一人、絹鬼は、必死に自分と戦っている最中でした。
飢えに耐えきれず、差し出されたきび団子を口にしてしまってから、彼女の体にも真鬼と同じように、変身が始まっていたのです。
彼女は鳥の力を得ようとしていました。既に背中からは美しい玉虫色をした、鳥の羽根が生えています。
「……いあ……いやだ……」
彼女は、まだ幼い体を自らで抱きしめるようにし、床にかがみこんでいました。
そうしている間にも、本来の彼女の優しい心は一つ一つばらばらにされていき、これまでになかった新しい感情、残酷な気持ちがあふれていきます。
「わたしがわたしじゃなくなる」
声も、感情を徐々にうしなった、抑揚のないものになってきているのに、彼女は気づいていました。
流し続けた涙ももう出ません。涙を流すということが、どういう感覚であるのかを、彼女はもうすっかり忘れていました。  
凶気をはらんだ瞳の光は、ただ虚ろに前方の扉を見つめていました。
すると、彼女の目の前で、扉が開いたのです。
「ほう、これはなかなか面白い見せ物だな」
絹鬼の主人、いや、彼女達を捕え、きび団子を食べるように仕向けた人間、桃太郎でした。
はばかりない、好奇の視線を投げかけられて、絹鬼の中に、自身でさえ戸惑いを覚える程の、強い殺意が湧きおこりました。
「そうだ。俺が欲しいものはその凶気」
悠々と桃太郎は、絹鬼に近づいていきます。彼女の美しい髪に桃太郎が触れました。すると、先ほどまで彼女が抱いていた殺意はかき消えて、
かわりに深い安心感がやってきたのです。


341:悪説 桃太郎
10/03/07 11:48:07 n5KIhuxG
「だめっ!」
彼女は叫んで、顔をそむけました。
桃太郎に心を一瞬でも許そうとした、自分を恥じるかのようでした。
「これは残念だ。お前はかなりの人見知りらしいな」
桃太郎はこの状況を楽しんでいました。そして、外に隠していた、絹鬼の仲間の名を呼んだのです。
「真鬼。出番だ、絹鬼を慰めてやれ」
「ご主人様、おまかせくださいませ」
その声と共に牢へ入ってきた真鬼の姿を見たときの絹鬼の表情は、驚きというよりも、恐怖に近い物でした。
絹鬼の友達の真鬼が、まるで犬のような姿に変わり果てていたのですから。
そしてその恐怖は、真鬼の姿を「美しい」と思ってしまった自分にも向けられたものだったのです。
「へえ、絹鬼ちゃんは鳥なんだ。すごくきれいな羽が生えてる」
真鬼は、全く恐れることもなく、絹鬼に近づいていきます。
姿は変わっても、心までは変わっていない。そう絹鬼に思わせるほど、真鬼はあくまで「いつも通り」でした。
でも、普通はこんなに恐ろしいことがあったなら、どうかなってしまうものではないでしょうか。
そう思うと、絹鬼は急に、真鬼の自然さが不気味に思えてきたのです。
「こないで!真鬼ちゃんは普通じゃないよ!」
「何を言っているのよ。わたしはきび団子の力で生まれ変わっても、わたしのままだよ。
絹鬼ちゃんも食べたんでしょ?なら、わたしがどんなにしあわせなのか分かるはず」
嘘だと絹鬼は思いました。
きび団子を食べても、わたしはわたしのままという、真鬼の言葉には嘘があるのです。
だって、このやりとりの間にも、絹鬼は自分の心が、とても邪悪なものに塗り替わっていくのを感じていたのですから。
葛藤の間にも、変身は続きます。絹鬼の足の指から、鷲のようなかぎ爪があらわれ始めました。
変化とともに、何とも言えない気持ちよさが体を包みます。
「いやあ、ううう……」
目を固くつむりながらも、変身がもたらす気持ちよさに耐えることができません。
ですが、真鬼も、絹鬼が今感じているような気持ちよさの末に、あんな姿になったのだと思うと、心をゆるすことはできないのです。
「無理しなくていいの」
震える絹鬼に、真鬼はやさしく囁きました。
耳元で囁く真鬼の顔は、先ほどの笑顔とは一転、冷たい表情に変っていたのですが、絹鬼には分かりませんでした。
「たとえ、あなたが変わっても、わたしはずっと友達でいる。約束よ」
表情が変わっても、その可愛い声には全く邪気が見えません。
絹鬼の行き場のない心は、次第に真鬼に傾いていきました。
「ずっといっしょ?」
「そう、ずっといっしょ」
真鬼の指が絹鬼の人さし指に絡みました。
指きりゲンマン、嘘ついたら針千本飲ます。
固く閉じていた絹鬼の目が、ゆっくりと開きました。見るものに恐怖を与え、委縮させる、鋭い眼光が溢れています。
「ありがとう」
感情のこもらない声で絹鬼が言ったあとすぐです。彼女の身体は、一気に鳥の姿へと変わっていきました。
手足の鋭いかぎ爪、ピンと伸びた尻尾。薄い胸には、羽の色と同じ、玉虫色の衣が覆っていきます。
急速な変身を見て、微笑をたたえているのは桃太郎だけではありません。
犬奴隷となった真鬼も、変身を続ける絹鬼自身も、この異常な事態を楽しんでいました。
心の底から楽しんでいました。

342:悪説 桃太郎
10/03/07 11:48:51 n5KIhuxG
最後の牢には、真鬼と絹鬼をまとめるお姉さん役のような鬼、夏鬼がいます。
彼女の目の前には、とてもおいしそうなきび団子が置かれています。
たった一つの、それも一口でほおばれるほどの、とても小さな団子ですが、それでもお腹が減っている夏鬼にとっては、喉から手が欲しい程の食べ物だったのです。
ですが、彼女がそれを口にしないのには理由があります。彼女を捕えた桃太郎が言ったのです。
「このきび団子をくえば、お前は俺のものになる。体が強く変化し、心も邪悪に染まってな」
その言葉を聞いているのですから、手を出そうとしてもだせないのです。
「真鬼たちは今どうしているの」
弱った声でつぶやく夏鬼は、もう立ち上がる元気もありませんでした。
長い髪を床に垂らして、じっと時間が過ぎるのを待っていました。ですから、牢の扉が開いても、すぐにはその方向を見ることもできませんでした。
「夏鬼。お前の仲間を連れて来てやったぞ」
彼女を捕えた桃太郎の声です。その声を聞いても、抵抗そぶりも見せないほど、夏鬼は弱っています。
ですが、聞きなれた声が耳に届いた時、夏鬼にまだ残っていた元気があふれてきたのです。
「夏鬼さん、まだきび団子食べてないの~」
「わたし達と同じように、桃太郎様に染めて頂いたらよろしいのに」
まぎれも無く、真鬼と絹鬼の声です。ですが、彼らの言っている意味が分かりません。
つかの間の元気は、不安に塗り替わってしまいました。
(二人は何を言っているの)
頑張って顔をあげ、夏鬼は二人の声のする方を見ました。
彼女達は以前とは違う姿に変貌していました。
犬と鳥。驚きの声をあげようとした夏鬼ですが、夏鬼が驚いた顔をした時にはすでに、獣のように変身した真鬼が、素早い身のこなしで夏鬼に襲いかかっていたのです。一瞬で、真鬼に羽交い絞めにされてしまい、身動きが取れなくなってしまいました。
「ちょっと、真鬼!どうしたのよその格好!絹鬼も!普通じゃないよ!!」
暴れようとする夏鬼ですが、きび団子によって力を得た真鬼は、鬼達が驚くぐらいに強い力を持っていました。
真鬼の熱い吐息が、夏鬼の首筋にかかります。
「はやく食べてよ夏鬼さん。わたし、夏鬼さんがどのような姿になるか、楽しみなんだからさあ!」
興奮した真鬼の声は、発情した犬のようです。
「夏鬼さんは恐れているだけなんです。わたしもそうでしたが、今では、なぜ自分があんなに強情になっていたのか分かりません。受け入れるのも勇気ですよ」
きび団子を手に、ゆっくりと夏鬼に近づいてくる絹鬼の顔は全くの無表情で、声にも感動というものがありませんでした。
ですが、その瞳はぞっとするぐらい恐ろしい光を湛えていたのです。
夏鬼は恐ろしくなって、ますます暴れ出します。ですが、真鬼の前では赤ん坊同然でした。
その様子を静かに見守っていた桃太郎がいいました。
「この二人はすすんで俺の出すきび団子に手を出したのだ。こんなにおいしいものは他にないと言ってな」
「嘘よ!」
「嘘ではない。だからこそ、二人は今までの自分を捨てて、俺に仕えているのだからな」
桃太郎との問答している最中にも、きび団子を持つ絹鬼の手が、すぐ顔の前にきていました。
「嫌っ!!わたしは変わりたくない!!嫌よ!!」
歯を固く食いしばり口に入れまいとする夏鬼に、桃太郎は感心したようでした。
「とても強い精神力を持っているな。このままでは、餓死するまでお前はきび団子を口にしないであろうな」

343:悪説 桃太郎
10/03/07 11:49:17 n5KIhuxG
絹鬼の方を向き、桃太郎は命令しました。
「女には下半身にも口があるだろう。そこから食わせてやれ」
「え、うそ!やめて!!いやあああああ!!」
抵抗も空しく、絹鬼の鋭い爪は、夏鬼のまとっていた褌を切り裂きます。夏鬼の秘密の部分が、牢の中にあらわになりました。
「くくく、可愛いものだ、夏鬼。女のホトから食うという贅沢、真鬼も絹鬼もせなんだぞ」 
絹鬼の爪が、優しく夏鬼の核に触れました。その鋭くも甘い感覚は、夏鬼の体の力を一層こわばらせました。
「許して、いや、いや、いやだあああ!!食べる!口を開くから、そこだけはやめて!!」
「なに、既に口は開いているではないか。……絹鬼、夏鬼を少し素直にしてやれ」
いったん絹鬼の手が止まります。そして、絹鬼は夏鬼の瞳を見つめます。
「夏鬼さん。じっとわたしの目をみつめていてください。そう、じっと」
「ああ、あ……」
絹鬼の瞳を見つめたときです。夏鬼は、絹鬼の瞳に自分が吸いこまれていくような感覚を覚えたのです。
再び、絹鬼は夏美の秘密に手をのばしました。
「ははは、存分に楽しめ、夏鬼」
桃太郎のあざけるような声も既に夏鬼には聞こえていないようです。
狂乱状態に陥りながらも夏鬼は、大事なところを慰められて、深い心地よさを感じずにいられません。
後ろからも、真鬼の甘い吐息が鼻孔をくすぐってゆきます。
その吐息が体に入ると、夏鬼の心には淫らな思いが湧きおこり、体も熱く、さらに熱く、溶けだしていくように興奮していったのです。
いつの間にか、夏鬼は興奮に耐えきれず、真鬼のように発情した吐息を漏らしていました。抗いの言葉はもう発していません。
下の方も大変なことになっていました。
絹鬼の指は、いつの間にか、水っぽい音を立てています。
夏鬼のたまらない興奮が、彼女の体を濡らし、絹鬼の指にも注いでいたのです。
「ふああっ、ああ、いいの、もっと、ほし……」
僅かな時間で、淫乱になってしまった夏鬼ですが、これは仕方ないことなのです。
彼女の精神は、桃太郎達が牢に足を踏み入れる前から半ば壊れていました。
そこに、真鬼の甘い息、絹鬼の眼を受けては、どうしようも無いのです。
絹鬼の瞳を見つめた者は、心の全てを絹鬼にさらけだし、意のままに操られてしまいます。
また、真鬼の甘い吐息を吸った女はみな、性欲に身をたぎらせる牝と化し、我を忘れるのです。
彼女達の力を、何の抵抗もうけることなく受け入れるほど、夏鬼は弱っていました。
耐えろ、というほうが酷という物でしょう。
二人の責めによって淫らに染まった夏鬼の股からは、食べ物をせがむかのように、女だけが放つヨダレが溢れては地に落ちて行きました。
「さあ、夏鬼。食事の時間だ。存分に味わえ」
その言葉と同時に、絹鬼の指がきび団子を夏美の肉壺に入れてしまいました。
「ふあああああ!!」
それだけのことで、夏鬼は快楽の果てに達してしまったようでした。
天を仰いで、口をだらし無く開いています。力を失って倒れそうな彼女を、しっかりと真鬼は抱きとめていました。
「そろそろだね!夏美さん!」
「怖がることはありません。力に身を任せてください」
真鬼と絹鬼の言葉を、夏鬼はぼんやりとした様子で聞いています。自身をすでに失ったようです。
彼女の変身が始まったのはすぐのことです。
抜けた筈の力が、また体に戻ってくるのを夏美は感じました。
徐々に体が動くようになります。力が完全に戻りました。ですが、まだ力の奔流は止まりません。
「ああ!?ああああ!うがっああ!!!」
彼女に、なめらかな山吹色の毛が生えてゆきます。
同時に、引き締まったお尻からも、細長い尻尾が生えてきました。
「かわる。わたし、かわるんだ」
うわごとのように言う夏鬼の表情に、嫌悪は全く現れておりません。それどころか、口元には笑みさえ浮かんでいます。
いつの間にか、真鬼は夏鬼を離していました。真鬼は欲情にまみれた顔を隠そうともしていません。
絹鬼も、相変わらずの無表情ですが、目には喜びの色が浮かんでいます。
美しくも細い彼女の体に、体内のきび団子がさらに「力」を送り込みます。
既に彼女の体は、詰め込まれていく「力」に、今にもはちきれそうになっていました。
狂気をはらんだ力は、彼女の精神を侵していきます。
そしてついに、夏鬼は溢れる力に心を支配されてしまいました。
「あああ!!があああああああああ!!!!!おああああああああああ!!!!!」
夏鬼は、背を大きく反らせて、地下牢中に響くかのような、狂気の叫びをあげました。
この時、夏鬼は桃太郎の僕として生まれ変わったのです。


344:悪説 桃太郎
10/03/07 11:49:54 n5KIhuxG
変身が終わりました。美しい肢体にまとった山吹色が、艶やかに動きます。夏鬼は猿の力を手にしたようでした。
限度無く、体に力を蓄えておける能力です。
「ご主人様」
夏美は桃太郎の前にひざまずきます。
「わたしは馬鹿でした。早くきび団子を頂いておりましたら、すぐにでもこの姿を桃太郎様にお見せできましたのに」
心の底から悔しそうな声を出す夏鬼の頭をなでながら、桃太郎は言った。
「謝らずともいい。俺は嬉しいのだ、夏鬼。お前が美しく変身してくれたのだからな」
「ありがとうございます、ご主人様!」
 


人ノ島で何があったのかを知らない鬼六と美鬼達は、送られてきた桃に期待感を寄せていました。
この桃はきっと、人が鬼を受け入れてくれた証なのだと。

彼らは知りません。1カ月後に、かつての仲間を率いた桃太郎が、鬼ヶ島を自分の物にしようとやってくることを。

彼らは知りません。送られてきた桃は、桃太郎からの宣戦布告の証だということを。


345:悪説 桃太郎
10/03/07 11:51:26 n5KIhuxG
これで終了です。昔話には悪堕ちできそうな話が意外と多い?

346:名無しさん@ピンキー
10/03/07 12:14:23 aPcfj3WS
そういやあかぐや姫は天人の衣を着た瞬間に人間だった頃の色々を忘れたって設定だった希ガス。

347:名無しさん@ピンキー
10/03/07 12:28:55 zy6CcB4B
おかしい
いつもの誉め殺しのターンじゃないぞ
どうしたんだ?
悪いもんでも食ったのか?

348:名無しさん@ピンキー
10/03/07 13:17:13 +50nWbRn
>>347
誉め殺しは故人に使って二度殺すもんだとヴァルキリープロファイルで言ってた


349:名無しさん@ピンキー
10/03/07 13:47:45 tQiojgJZ
>>345
GJ
とても楽しめました。
恐るべしきび団子。

350:名無しさん@ピンキー
10/03/07 13:50:57 zy6CcB4B
>>349
こんな感じのレスが正当なんだよ
おっかしいよなあ

351:名無しさん@ピンキー
10/03/07 14:19:23 yI8fJiQ7
個人的には全身変化より獣耳とか羽が生えるような
部分変化の方が興奮するんだがなかなかどうして。面白かった。


352:名無しさん@ピンキー
10/03/07 20:45:08 aa/AMUkA
この前の嵐のせいか皆気を遣って情報出さなくなったな

353:名無しさん@ピンキー
10/03/07 20:53:01 mow8RTmk
堕ち描写はとても良い
しかし、美しい猿鬼というものが俺にはイメージ出来ぬのだ……
口惜しいのう……

354:名無しさん@ピンキー
10/03/07 21:15:57 x8wWkqR+
情報出さなくなったというか、本当に何かあれば情報出すが
とくに大きな変化もないのにわざわざ書くこともないというだけ

355:名無しさん@ピンキー
10/03/07 21:39:38 xHr7XCUt
>>306
スレの伝統ネタにマジレスだろうけど
なんとか戦隊なんとかジャーとかいうサイトさんな
そうでなくとも長い目でみれば
あのサイトのアクセス数が増える分
各サイトに個々人が更新チェックに訪れるアクセス数は減るだろうしなあ

356:名無しさん@ピンキー
10/03/08 00:16:29 rrAoOdcN
これくらいの長さだと普通に反応あるんだよな
いくつもパート分ける様なSSだと単純に読む方のテンションが保たないんだと思った

357:名無しさん@ピンキー
10/03/08 00:35:44 iQmF+6Z4
長さは関係ない
悪堕ち分が低い短編よりも、
長編でも悪堕ち分が高いほうが断然貴重
このスレで二十くらい投下しながら神作と呼ばれた作品だっていくつかあるんだから

358:名無しさん@ピンキー
10/03/08 01:44:26 wJ7ldd0i
俺の悪堕ちポイント
嫌がる→大好き、連鎖堕ち、主従関係
が全部ツボにはまってていいなぁ

359:名無しさん@ピンキー
10/03/08 01:45:56 psPHxAez
文章量に比べて悪堕ち描写が少なくても
密度が高いから好きになる作品とかあるし

悪堕ち分がどれだけ多いか高いか、これに尽きるんじゃないかな
質量と密度どっちも大事だと思う

360:名無しさん@ピンキー
10/03/08 02:16:31 26Efzfos
おっぱいの良さにも通じる話だな

361:名無しさん@ピンキー
10/03/08 04:55:08 k+CvQPxh
かなりよかった
戦隊ものにしか反応しないおれも興奮した

362:名無しさん@ピンキー
10/03/08 07:07:02 LaOZ3V0O
強制悪堕ち・・・・・・・・・イイ!!
ただもっと濃厚な堕ちシーンが欲しかった

363:名無しさん@ピンキー
10/03/08 10:09:39 MC98sPHb
そういや昔はインスパイヤされますた!系が多かったね。
今回の悪桃太郎みたく、将棋エロくね?とかな感じからなの

364:名無しさん@ピンキー
10/03/08 20:00:43 Q88cKQNT
将棋は恒例過ぎるな
もう7~8年くらい言い続けてるだろ

365:名無しさん@ピンキー
10/03/08 22:08:06 XULPVikC
御伽噺といや月光条例って漫画でもろに悪堕ちが結構あるな
うしとらの人だから絵の汎用性は低いだろうが個人的には一寸法師の姫がいけた
金棒の棘が触手みたいに伸びて巻き付いて行き、目がマグロ目になっていく
1Pだけどね

366:名無しさん@ピンキー
10/03/08 22:19:10 F89jDQU5
あれは…色んな意味でキツイんで俺はおすすめしない

367:名無しさん@ピンキー
10/03/08 23:25:57 tbyp+LbO
将棋シリーズは完結してるじゃないか

368:名無しさん@ピンキー
10/03/09 00:17:47 4XKdEgHs
王手飛車堕

369:名無しさん@ピンキー
10/03/09 00:31:14 4VQjWgO8
飛車・角二枚堕ち。

370:名無しさん@ピンキー
10/03/09 02:21:15 6V9KOIWR
GジェネのMS・MAを少女に変換して捕獲を悪堕ち、開発を改造、設計を交配と考えてみる
自軍戦力になったMS少女たちに元同僚を捕獲させて連鎖堕ちとかいけそうな

371:名無しさん@ピンキー
10/03/09 02:27:09 9BkHil3f
連邦軍に拉致られ寝返ったザク子にハァハァ

372:名無しさん@ピンキー
10/03/09 05:43:38 FBpExsED
その姿 見るに忍びないな
もっとやれ

373:名無しさん@ピンキー
10/03/09 07:54:22 Bmid0X+o
流石にそこまでは飢えてないな

374:名無しさん@ピンキー
10/03/09 09:23:26 CFUgMvFQ
>>365
月光条例は普通におもろいが…

ぶっちゃけ悪堕ちには目覚めんと思うぞ。

ガチで堕ち時の描写がエグすぎる。

むしろ正気に戻った後仲間になったらここまで可愛く化けるものかと驚くくらい堕ち時はエグすぎる。

375:名無しさん@ピンキー
10/03/09 18:24:09 2SubgUS1
ブリーチのアニメオリジナルは、ホント悪落ち展開好きだよな。
刀獣とか。

376:名無しさん@ピンキー
10/03/10 01:22:22 pGrS5m7h
マンガ葛葉ライドウ対コドクノマレビトに悪堕ち確認
一般人ゲストキャラで鬼切丸みたいな感じ

377:名無しさん@ピンキー
10/03/10 02:17:56 K4v7xQIQ
悠久の車輪にも悪堕ちが増えてきたな
もう少し描写が欲しいがアケゲーでは難しいか

378:名無しさん@ピンキー
10/03/10 04:00:57 gjmP/gsH
>>355
なんだ、アクセス数減った人が逆恨みしているだけか
アクセス数とか気にしたら負けだろ

379:名無しさん@ピンキー
10/03/10 09:33:35 EnigEgoP
悪堕ちの始祖ってイザナミの「黄泉食い」なのかな 異形化とかもまざってるけど

380:名無しさん@ピンキー
10/03/10 12:03:08 /rbKHeUI
>>379
前スレ読め

381:名無しさん@ピンキー
10/03/10 18:19:45 cDZvF33a
(*´ω`*)ポワワーン

382:名無しさん@ピンキー
10/03/10 18:20:06 cDZvF33a
誤爆です。すいません・・・

383:名無しさん@ピンキー
10/03/10 18:25:30 MyC3kdZA
そういや昨日侍チュートのコントで
ハリセンボンの死神がチワワに操られてたよ

384:名無しさん@ピンキー
10/03/11 01:11:11 7UtX2BlS
誰得だその情報

385:名無しさん@ピンキー
10/03/11 12:31:22 BlegAG8P
改心してライトサイドになった悪の女幹部、公 明党が
悪堕ちして再びダークサイドに・・・

386:名無しさん@ピンキー
10/03/11 13:22:30 kYtmP8wF
ライト(右)・サイド'(翼)ですね。

坊や何歳? ここ18禁よ。
18過ぎてて自民党が正義とかねーわー。
自民党の魅力は泥臭い大人の現実主義だろ。

387:名無しさん@ピンキー
10/03/11 13:35:11 aeQa+I/F
政界そのものがダークサイドだろ
常識的に考えて・・・

とりあえず非実在青少年で語れや

388:名無しさん@ピンキー
10/03/11 14:13:40 T1f1xjDl
これだから中年は…

ここは政治スレじゃねーんだよ

389:名無しさん@ピンキー
10/03/11 16:50:33 COCg41ud
>>386
自民党が正義なんてどこにも書いてねェwww

390:名無しさん@ピンキー
10/03/11 16:54:14 tH0V/xxT
対立する陣営がどっちも悪じゃな…。
悪「堕ち」が成立しないよね。
だって元から悪なんだもん、寝返り裏切りであっても堕ちじゃない(´・ω・`)

391:名無しさん@ピンキー
10/03/11 17:02:13 aeQa+I/F
>>389
そう書いてあるように見えるのも確かなんだな

392:名無しさん@ピンキー
10/03/11 19:01:58 CPcuOi1n
政治家娘悪落ち物を前に書いてた人がいたな
あれ結構好きだったんだが
ネーミングはともかく内容は本格的だったし

393:名無しさん@ピンキー
10/03/11 19:18:33 T1f1xjDl
だから政治スレにいけよ中年たち
悪堕ちと無理やり結びつけて悪堕ちの話題っぽくみせようとしても無駄なんだよ
だから中年は疎まれるんだよ

394:名無しさん@ピンキー
10/03/11 19:25:26 A851cSiB
ロードオブヴァーミリオンのジャンヌダルクがすんごく悪っぽい

395:名無しさん@ピンキー
10/03/11 19:49:20 DuNMw28o
>>393
まあ日本には年寄りと中年とゆとりしかいないってどっかに書いてあったしな。
気にしるな。

>>379
悪堕ちの始祖は「ジャックと悪魔の国」(1962年)だと思ってたわw

396:名無しさん@ピンキー
10/03/11 20:06:23 CPcuOi1n
>>393
気に入らない話題の時はスルーしとけ
わざわざ書き込まなくてもすぐ終わる流れだろ

397:名無しさん@ピンキー
10/03/11 20:13:32 0Y+55/aF
test

398:名無しさん@ピンキー
10/03/11 21:02:26 WAaBjj0L
>>386
君が背伸びしてる中学生ぐらいに見えるぞw

399:名無しさん@ピンキー
10/03/11 22:11:09 QcvmlpWG
>「ジャックと悪魔の国」
これは良い
半世紀も前の映画だが、いまだにヌケる自信がある(キリッ

400:名無しさん@ピンキー
10/03/11 22:25:58 PGX3+TTL
洋画はダメだ
日本語吹き替えでも無反応
やっぱり日本人にかぎるNE

401:名無しさん@ピンキー
10/03/11 22:43:02 0m8sI6sG
実写はダメだ
やっぱり悪堕ちは非実在に限る

402:名無しさん@ピンキー
10/03/11 22:52:53 LJUkN3yN
スピーシーズの最初の奴とか好きだぜ

403:名無しさん@ピンキー
10/03/11 23:27:57 7UtX2BlS
スピーシーズ悪堕ちって最初の電車の部分か
あれはハンパなくエロかった

404:名無しさん@ピンキー
10/03/12 00:13:13 z2jJJWYy
まさかスピーシーズの流れになるとはな
自ら繭作ってるの
あれはやばかった

405:名無しさん@ピンキー
10/03/12 00:56:15 7aus3dz+
>>392
あれはヒロイン3人組の内2人分で終わってしまったので、
せめてあと1人、もしくは最後まで書ききって欲しかったなあ
もしくは、個別ではなく連鎖堕ちにして欲しかった

406:名無しさん@ピンキー
10/03/12 02:02:44 EkWlw2Ul
規制とかスレ違いがウザ
ロリコンが必死過ぎ
そん事でスレを巻き込まないでほしい

407:名無しさん@ピンキー
10/03/12 04:05:08 TUE1OYur

時々何書いてるかわからん奴がいるよなこのスレ

408:名無しさん@ピンキー
10/03/12 04:07:00 9s/WN3Nt
洗脳されてんだろ

409:名無しさん@ピンキー
10/03/12 09:10:26 WC84Q1ax
>>400
むしろ外人の方がある意味非実在的でしっくり来るな
自分も下の人と同じであまりこの属性で生々しい部分があると受け付けないらしい

410:名無しさん@ピンキー
10/03/12 12:58:56 ykaSA3cG
話を切って悪いが
ヒロインとかが洗脳される場合、主人公は悪と正義のどっちの立場の方がいい?
俺は主人公はあくまでも正義で悪のやつらにヒロインが洗脳されるのが好きなんだが…できればエロはなしで

411:名無しさん@ピンキー
10/03/12 13:56:52 w0jtoVCs
俺は逆に悪側視点の方が好きだな
悪視点ってのはなかなか商業ではやりにくいと思うんで
同人や二次創作ならではの魅力ではあるんだよね
だが結局は人それぞれだからなぁ

SS書く為に聞いてるのなら、自分の好きな視点の方で書いた方がいいんじゃないかね
その方が書き易いだろうし、敵側に感情移入する読み方もあるから俺はそれでも歓迎したい

412:名無しさん@ピンキー
10/03/12 16:53:13 ykaSA3cG
いやいや、ssを書くためじゃないよ
ただ、エロゲとかってほとんど主人公が悪で、なんか個人的に悪堕ちって感じがしないんだよね
むしろ、エロゲの快楽堕ちがない一般向けのアニメの悪堕ちのほうが萌えるから、そう考えてるやつとかいるのかな、って思って

しかもエロゲとかの洗脳のCGってキャラのアップにしすぎてカプセルに入れられてても、なにこの異空間みたいなの多いから一気に萎えないかい?
もっとカメラ引いてくれ…楽だからってキャラのアップやめてくれよ

413:名無しさん@ピンキー
10/03/12 17:00:43 TUE1OYur
寝取られスキーと寝取りスキーの差じゃなかろか
俺はどっちでもOK
ていうか下手に男主人公の視点が入るくらいならヒロイン主人公でいい

414:名無しさん@ピンキー
10/03/12 17:15:40 QUqMcwU0
どっちでもOKという点では、いつもは寝取られスキーの舞方氏も、今回は寝取り話のようだな。
でも、今回の話はヒロイン視点でやったほうがよかったんじゃないだろうか。

415:名無しさん@ピンキー
10/03/12 18:32:05 Q6nE300F
そうか?
俺はNTR大嫌いだけど、悪堕ちに関しては男は正義側の方がいい
>>412も言ってるけど、そうじゃないとなんか悪堕ちっていうより改造に近い感じがするんだよな
まあ百歩譲って悪側でもいいけど洗脳とエロを絡めるのはやめてほしい快楽堕ちになるから


416:名無しさん@ピンキー
10/03/12 19:46:36 +L5qKHt2
NTRと言えばバハムートドラグーン

417:名無しさん@ピンキー
10/03/12 20:01:30 TUE1OYur
>まあ百歩譲って悪側でもいいけど洗脳とエロを絡めるのはやめてほしい快楽堕ちになるから

さすがに関係ない性癖語りを混ぜるなよ、とちょっと思った

418:名無しさん@ピンキー
10/03/12 20:07:54 Q6nE300F
スマン
ちょっと言い過ぎたかな

419:INHUMAN
10/03/12 22:34:28 gg5TITjg
ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッドを立てて非人間的だと思わないの!?
削除依頼を出して消してもらうかどうか分からないけど、
一応の覚悟はしてなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ~!!
まともに潰れなさいよ~!!


420:名無しさん@ピンキー
10/03/12 23:25:43 GtOInZYi
419 名前:あぼ~ん[NGName:INHUMAN] 投稿日:あぼ~ん

421:名無しさん@ピンキー
10/03/13 08:02:50 4PTg44nq
快楽=欲望のために他人を踏みにじれるようになるなら悪堕ちだと思うんだけどなあ

422:名無しさん@ピンキー
10/03/13 08:42:03 24Hj2Ktf
でもおれも快楽で堕ちるとなんか萎える

423:名無しさん@ピンキー
10/03/13 08:51:03 mQ8Y/h55
拷問で堕とすのが好きなんだがこれ萎える人多いみたいな

424:名無しさん@ピンキー
10/03/13 08:52:26 ega+EEHf
>>420はスルー。

425:名無しさん@ピンキー
10/03/13 09:49:33 xUhSZYIy
快楽堕ちスキーの俺としては逆にビンビンなんだがなぁ
触区シリーズとか大好き

426:名無しさん@ピンキー
10/03/13 10:49:18 V1+GSZzw
触区は初代が至高だな。
2はどうもギャグ色が強い。主人公も善人すぎるし

427:名無しさん@ピンキー
10/03/13 12:47:52 2wiIE7Ba
快楽堕ちじたいはまぁいいんだけど
快楽堕ちってエロゲ・エロ漫画シチュエーションで
セリフとかがワンパターンで苦手。

428:名無しさん@ピンキー
10/03/13 14:02:42 TH50hMja
>>427
悪の大魔王:あーそれそれ
正義の味方:きもちー
悪の大魔王:あーそれそれ
正義の味方:わたしはあくのだいまおうさまのものです
こんな感じか

429:名無しさん@ピンキー
10/03/13 15:00:13 xUhSZYIy
連鎖堕ちに特化しててアリナも含めて全部すきだったな
EDが無理やりハッピーエンド感はあったけど

快楽堕ち以外だったら
味方への不信感を煽ったり不満を募らせたりして悪サイドに引き込むのがいいな
悪の組織の方が自分を認めてくれると思い始めたりとか
Zガンダムでティターンズにレコアが行ったみたいな

430:名無しさん@ピンキー
10/03/13 15:26:01 t/Xt4zDU
う~ん、まあでもZガンダムの組織は良くも悪くもどっちもどっちだしなw

431:名無しさん@ピンキー
10/03/13 15:36:36 U07AyCAT
そうか?確かに組織の立場は近いが
作中の善悪はわりとあるけどな

432:名無しさん@ピンキー
10/03/13 15:57:46 xUhSZYIy
0083とかはどっちもどっちにかかれてるけどZはシロッコが悪サイドでかかれてるからな
まぁそこはおいといて

悪堕ちを後押しはするけど根幹は本人の心の闇なのがポイント
後でその積もった恨みを正義の味方にぶつけるも良し
説得されて心を揺さぶられるのも良し
引き込んだ奴に感謝の意を伝えるも良し

433:名無しさん@ピンキー
10/03/13 16:04:15 87pwAdZ2
心の闇を突かれた後、アイテムやパワーで悪堕ちするパターンが一番好きです

434:名無しさん@ピンキー
10/03/13 19:01:59 itmguHva
俺は真っ白な正義を洗脳装置とか洗脳魔法とか闇の装備とかで強制的に真っ黒に染めるのが好き

435:名無しさん@ピンキー
10/03/13 19:16:56 TVjrtOSb
うんうん
何の心の隙もない正義のヒロインを強制的にと言うのもいいよね。

436:名無しさん@ピンキー
10/03/13 19:36:51 24Hj2Ktf
>>433
>>434
うまい酒が飲めそうだ

437:名無しさん@ピンキー
10/03/13 19:48:44 3gj4ZCI5
また自分の性癖語りスレになってるな
フェチ板行けフェチ板

438:名無しさん@ピンキー
10/03/13 19:51:19 OoksHSU9
自治厨うざいでチュー

439:予定調和
10/03/13 22:21:35 rW04+53t
前回投下したSSに目を通してくださった方々、ありがとうございます。

前回の粗筋
秋生陥落。春香は黒の一族に捕まってしまう。

それでは続きをどうぞ。

440:予定調和
10/03/13 22:27:08 rW04+53t
意識がぼんやりしながらも、あたしは現状把握に努めようとしていた。
視界は真っ暗。目が慣れてきても「どこかの部屋」ということしかわからない。
足は自由に動かせるけど、手は片手ずつ手錠でパイプのようなものに繋がれていて外せない。
そしてなにより、全身を覆っている脱力感。魔法も一切発動できない。
手錠くらいならあたしでも何とかなりそうなのに、何もできない今だとびくともしない。
「あら、春香ちゃん。目が覚めたみたいね」
不意に暗闇の中から先輩の声が聞こえたような気がして、びくっとしてしまった。
気絶する前の記憶がはっきり思い出せないけど、確かあたしは月夜女姫にやられたからここに囚われているはず。どうして先輩の声が聞こえるの?
「赤坂さん、お久しぶりです。本当は昨日会ったばっかりですけど」
今度は蘭ちゃんの声……疲れてるからかな、空耳が酷い。それか夢だ、夢に違いない。
「ちょっと、聞こえてるなら返事くらいしなさいよ」
「ひゃいっ!?」
何か尖ったもので頬をつんつんと突かれて、素っ頓狂な声が出てしまった。もしかして夢じゃない……?
「あの、ひょっとして先輩と蘭ちゃんですか?」
「そうそう。でね、春香ちゃん。今の自分の状況わかってるかしら?」
「わかりません……まず、ここはどこなんですか?」
「ホワイトウイングの元本部よ。だからそんなに怖がらないで」
「え、そこって今は月夜女姫がいるって報告があったような。先輩たちも捕まっちゃったんですか?」
「違うわ。なぜなら、春香ちゃんを捕まえさせたのは私だから」
うぅ、頭がこんがらがってきた。月夜女姫と戦ってやられて捕まってるはずなのに、
先輩があたしを捕まえさせたってどういうことだろ?ひょっとしてやられた後に保護してくれたとか?
それともあたしを奪還するためにここまで来てくれたか。どっちだろ?
「えっと、なんだかよくわからないですけど助けてくれたんですね、ありがとうございます」
「なんか赤坂さん、勘違いしてない?」
「『助けた』という表現はあながち間違ってはいないわね。間違ってはいないけど、おそらく勘違いもしている」
「どういう意味、ですか」
少し真実を知るのが怖かった。小さな灯り1つとない真っ暗な部屋で、私は先輩や春香ちゃんの姿が全く見えないのに、
先輩たちはまるであたしがきちんと見えているかのような話ぶりだからだ。いや、まさかね。暗視スコープとか着けているんだろう、きっと。
しかし次に先輩が発した言葉でその楽観的な予想はあっさりと否定された。
「私が助けたのは『晴川から』ということ。あと、私が月夜女姫である、ということよ」
最初に交戦したときからなんとなく似ている気はしていた。でも、あの時は月夜女の印象のほうが強かったのだ。
先輩本人の口から告げられても、事実を素直に受け入れられない。
「じゃあ、今まで戦ってきた月夜女姫は全部先輩だったってことですか!?」
「そうよ。ここを最初に襲ったのも、あちこち都市を壊して回ったのも、ホワイトウイングを襲ったり惑わせたりして追い詰めたのも、
 全部私。春香ちゃんのよく知っている先輩、天道彩の仕業なのよ」
「そんなわけない!あの優しかった先輩がそんなことするなんて、ありえないです!どうして……ひぐっ」
泣いちゃだめだ。いくら酷いことをしたといっても、先輩にも何か事情があるのかもしれない。
先輩は理由もなく他人を困らせて楽しむような性格じゃない!
「どうしてって言われてもねえ。滑稽だから。それだけ」
「ただ自分が面白いからって理由だけで、何の罪もない人をたくさん殺したりしてたんですか……?」
「そうよ。悪いかしら?本当は普通の人間に配慮なんてする必要は全くないのだけど、無計画に殺しすぎると数が減るからね。
 事前に避難する時間をあげているのだからむしろ感謝して欲し」
「そういう問題じゃないでしょう!!どうしちゃったんですか、先輩。元に戻ってくださいよ……」
こんなの、あたしの知ってる先輩じゃないよ……。
「それは無理ですよ、赤坂さん。お姉様は月夜女様に力を戴いて今の力を手にしたんです。私はお姉様から。
 そこの元ホワイトウイングの2人も完全に堕ちちゃってるし、黒の一族が世界を支配するのも時間の問題だと思いますよ。
 だれもお姉様には敵わないんですから。誰もそんな力を自分から手放したりするわけがないじゃないですか」
月夜女から力を貰った?そんな力が月夜女にあったなんて。そのまだ誰も知らない重要なことを私に教えるってことは、
もしかして、生きて返すつもりがない……?それともう1つ、
「そこの元ホワイトウイングの2人ってどういうことですか!?」

441:予定調和
10/03/13 22:31:12 rW04+53t
「私のすぐ後ろにいるじゃないですか。って、普通の人間の赤坂さんには見えてないんだっけ。ほら、2人も赤坂さんに話しかけてあげたら?」
2人も捕まって先に黒の一族にされたのかな?だとしたら、私もいずれ……。
「あなたがここまで間抜けだとは思わなかったわ。
 だって、晴川より私と接触する機会が多いのに私が黒の一族になっていることに微塵も気付く気配がないんだもの」
「おかげで、私の魔眼にきれいにかかってくれましたね」
「冬子ちゃん、白石さん……そんな」
もう無理だ。既に2人も敵側に回られていては、ホワイトウイングに勝ち目は無い。
蘭ちゃんの言ったとおり、世界が黒の一族に支配されるのは時間の問題。
「冬子ちゃんなんて気安く呼ばないでくれる?まだ私とあなたが対等な立場のままだと思ったら大間違いよ」
肝臓の辺りに何の前触れもなく鈍い衝撃が与えられる。肺の中の空気が押し出されて息をするのが苦しい。
暗闇だから殴られたのか蹴られたのかはわからない。
「ふーん、いつからお前はそんなに偉くなったのかしら?」
「でもこいつは普通の人間ですよ?それにこれから黒の一族になったとしても私より立場は下のはずではないですか?」
「誤解しているようだけど、お前の立場はただの人間よりほんの少し上なだけよ。
 春香ちゃんには蘭と同等のポジションに就いてもらうわ。つまりお前より上ってこと」
「ちょっとそれどういうことよ!私のほうが先に」
「文句あるの?」
姿が全く見えないのに、凍てつくような殺気が全身で感じられた。
月夜女姫と対峙したときでも、これほどの殺気を感じたことはまだない。特に寒いわけでもないのに鳥肌が収まらない。
「……ありません」
「穀潰しが調子に乗ってんじゃないわよ、全く」
誰にでも優しくできて、決して我侭を言わなかった先輩とはまるで別人だ。本当に先輩本人なのか疑いたくなってくる。

でも、テレビを通した犯行声明の後はあたしのよく知ってる優しい先輩に戻ったように感じた。人質の扱いとしては手厚すぎるくらいだ。
食事は今まで食べたことのないくらい豪華なものが出たし、外に出たり外部と連絡を取ったりする以外の要求はほぼすんなり聞いてくれる。
拘束具は全部外してくれたし、部屋の照明も先輩が眩しくならない程度なら許してくれた。しかし全身の気だるさはいつまで経っても抜けず、
魔法もずっと発動できない。そうやってたくさんの無関係な人の命と引き替えに生かされている自分が嫌になって、
2人で逃避行を続けているであろう晴川さんと夏菜ちゃんに申し訳なくなった。

先輩があたしを軟禁し始めてから、既にかなりの時間が経っていた。
犯行声明で言ったことを実行していれば、相当な数の人が犠牲になっているはずだ。
「もう何万もの人間が死んでいるのに何も行動を起こさないとは、
 実は晴川って自分以外の人間はどうなってもいいって思ってるんじゃないのかしら」
「実際に殺してるのは先輩たちじゃないですか!晴川さんのせいみたいに言わないでください!」
「世間の非難の矛先は晴川に向けられてるわよ?」
そんなの、長いものには巻かれることしかできない一部の人だけだ。大多数の人は黒の一族が悪いってわかってるはず。
「晴川さんはそんなことでへこたれたりするほど弱くないです」
「じゃあ、そこに春香ちゃんが黒の一族になって襲って来たらどうなるでしょうね」
「やっぱり、先輩……」
遅かれ早かれあたしもこうなる運命なのは簡単に予想できていたた。
軟禁されて最初に変わり果てた冬子ちゃんと白石さんを見てから覚悟はできている。
「私の言ったことに誘われてあいつらがここに来てくれたら目の前で春香ちゃんを黒の一族にするのを見てもらう予定だったけど、
 このまま待ってても来そうにないしね」
先輩が両肩をがっしりと掴み、そのまま押し倒してきた。すごい怪力だ。
あたしがベストコンディションだったとしても、振り払うことはできなさそう。
そして間髪入れずに首筋に噛み付いてきた!!
「く……ぁ……」
途端に声が出せなくなる。元々の気だるさに加えてさらに力が吸い取られたように脱力して、弱弱しい抵抗しかできない。
痛いわけじゃない。しかし自分の体の中に異物が染みこんでいくおぞましい感触に体の震えが止まらない。
<どうしてそんなに嫌がるの?何もデメリットなんてないのに>
体の中がぐつぐつ煮えたぎっているみたい……火あぶりになっているかのように全身が熱くなって、汗が滝のように噴き出してくる。

442:予定調和
10/03/13 22:34:21 rW04+53t
<デメリットならあります……あたしが黒の一族になったら、それこそ世界の終わりです!>
<終わりではないわ。私と一緒に世界を作り直すの>
<そんなの……きゃあああああああ!!やだ、爪が……>
爪が硬く、鋭くなり、まるで刃物のように変化していた。もう時間がない!
<ほらほら、次は耳が尖ってきてるわよ?>
もっとゆっくり変化するものと思っていただけに、動揺が隠せない。先輩に耳を撫でられて、余計に意識がはっきりしなくなる。
<んはあ……>
このまま先輩の好きにさせたらだめだ。間違いなく、黒の力に飲み込まれる。
あたしが、あたしでなくなってしまう。
<そろそろ翼が生えてくる頃かしら?>
だめ……飲まれちゃだめ、絶対だめ!
頭がぼうっとしてくるにつれて全身の倦怠感はいつの間にか消え去り、代わりに力が漲ってる。今なら反撃することもできるかもしれない。
体は黒の一族にされようとも、心まで汚されるわけにはいかない。
<はあ、はあ、ふぁあああああ!!>
崖っぷちに片手1本でぶら下がっているような危機的状況で、脳髄を焦がすほどの快楽に襲われる。
それを気持ちいいと頭が認識したがるのを懸命に打ち消していく。我慢に我慢を重ねて、反撃の機会をじっと待つ。
<これはまた立派な翼ね……体の変化はこれで完了。次は心を……>
突然、どんよりとしていた思考が晴れてクリアになる。先輩の羽毛の1本1本、壁の僅かな歪みまでくっきりはっきり見える。
周りの動きが全部スローモーションに見えるくらい、感覚が研ぎ澄まされてる。
きた……今だ。
<させ……ないっ!!>
思いっきり手に力を込めて先輩を引き剥がそうとすると、バチッと黒い火花が飛んで先輩の体が壁まで吹き飛ばされた。
「効いた……?御神刀でも駄目だったのに」
黒の力だと闇界障壁は効果がないのかな?
「いたた……やってくれたわね」
さっきは不意打ちだから当てられただけで、1対1だと能力差がありすぎる。
ここは晴川さんと合流して改めて作戦を練り直したほうがいいかもしれない。有効な攻撃手段ができただけでも大きいはず。
先輩がどのくらいこの迷路のような本部に詳しいかわからないけど、あたしだって何回も出入りしてるから土地勘はある。
黒の一族になったせいで視界もよくなったし、逃げ切ってみせる!

先輩が体勢を立て直す前にバッテリーの抜かれていた通信機を回収して部屋を飛び出し、一直線に出口を目指す。
照明がギリギリまで抑えられている今でも、転移阻止装置は働いているらしく空間転移は使えない。
「そこまでよ!」
やっぱりそう簡単には逃がしてくれないみたい。白石さんと冬子ちゃんの2人がかり……しかも、黒の一族となった2人だ。
あたしもパワーアップしているとはいえ勝負になるかどうか。
「器用貧乏だったあなたが、私に敵うかしら?」
「このままホワイトウイングに合流されると色々と困りますからね。反逆者は洗脳してあげないといけません」
「あたしは負けない!」
いつも通り光球で攻撃しようとしたけど、いつもよりかなり弾が大きい。
その分反動も大きくて撃った後によろめいてしまった。色もいつもなら真っ白なのに今は赤紫っぽくて異様だ。
「「きゃあああああ!!」」
爆煙が晴れると、2人は力なく横たわっていた。あれ?こんなに2人とも弱かったっけ。それともあたしが強くなったから?
でも、これなら……この力があれば、ホワイトウイングの逆転も夢じゃない。早く合流して3人で平和を取り戻すんだ!

春香が通り過ぎた直後に2人の黒の一族はむくっと起き上がり、顔を見合わせてぷっと吹き出した。



どうしよう。
晴川さんと連絡が取れたのはいいんだけど、なぜか透明化できないから目立ちまくりだし。
それに本部の外に出ても転移もできないってどういうこと?おかしいなあ、黒の一族になる前でも少しなら透明化と転移はできてたのに。

443:予定調和
10/03/13 22:38:39 rW04+53t
「うわっ、出たあ!ば、化け物お!!」
「とと、ごめんなさいー!!」
休んでいた路地に入り込んできたおじさんにいきなり驚かれて、化け物呼ばわりされたあたしもびっくりして逃げ出してしまった。
この調子だとこのまま晴川さんと夏菜ちゃんに会っても疑われそうな気がする。なんとかしないと……。
そうだ、白石さんや冬子ちゃんが普通の人間の姿でホワイトウイングに潜伏できたのなら、今のあたしも普通の人間の姿に戻れるはず。
ふらふらっと立ち寄った駅の中の化粧室で自分の今の姿を確認する。
目が紅い。充血しているわけじゃなくて、普通はこげ茶色のはずの虹彩が鮮やかな紅に染まっている。瞳孔が縦に割れていてまるで猫みたいだ。
長く伸びた爪はかなり切れ味がよくて、気を付けていないとあちこちに切り傷を付けてしまってすごく迷惑。早く爪切りで処理したほうがよさそう。
耳たぶは尖っているだけで硬さは以前と変わらないけど、やっぱり奇怪なことには変わりはない。
そしてさっきから邪魔な大きくて黒い翼。烏の羽によく似ているけど、どういうわけか軽く羽ばたいただけでかなり浮き上がることができる。
飛びすぎて天井に頭をぶつけてしまったくらいだ。
「お願い、戻って……」
頭の中の知識を頼りに、目を瞑って念じてみる。
目を開けてみると、見慣れた自分の姿が鏡に映っていた。
「よかったあ……一生あの格好でいることになんてならなくて」
これなら化け物呼ばわりされることもないはず。
大丈夫、黒の力を手に入れても心はそのままだし、あたしは力に振り回されはしない。
「おい、あれって人質になってた赤坂ってヤツじゃないか?」
人通りの多い場所に来ると、あたしを指差してはこそこそと話をしている人があちこちにいる。
いやー、あたしもすっかり有名人だなあ。え、ちょっと、そんなにぞろぞろ寄ってこないでよ、照れるってば。
「あんたが捕まってなかったら俺の子供は死なずに済んだんだよ!責任取れよ、偽善者め!」
え……?
「被害者面して同情誘ってるのがみえみえですげームカつく」
いや、やめて、どうしてそんなこと言うの……?
「何万人も犠牲にしてのうのうと生きてるなんて恥ずかしくないの!?黒の一族を倒せないんだったら、さっさと死ねばいいのに」
あたしはあたしなりに精一杯頑張ってるんだよ?それなのにどうしてこんなこと言われなくちゃいけないの?
皆……そんなにあたしが嫌いなの……?あたしは皆の味方なのに、どうして応援してくれないの?ねえ、どうして、どうして!?
「い、いや……いやあああああああああっ!!」
感情の乱れに伴って、体の変化を抑えていられなくなる。
蹲って普通の人間の姿に戻ろうとしても両手の爪はギリギリと音を立てて伸びてくるし、翼も勝手に広がってくる。
尖ってきた耳を両手でふさいでも、罵声は全部シャットアウトできない。
「うわ、こいつ黒の一族だったのか!?」
「きゃああああああああ!化け物!殺される!!」
そう、だよね。あたしは化け物だよね。あってるよ、それで。皆、人の心は覗けないもんね。
「はあ、はあ……うぅ……えぐ……ひっく……」
漸く落ち着いて自分の変化が静まったとき、あたしの視界には誰もいなかった。
晴川さんならこういうことを言われても平気そうだけど、あたしは晴川さんほど図太くないから……はっきり言って、辛い。
心が折れそうだよ……。

その傷悴した春香の様子を、物陰から声を殺して笑いながら眺めている人物がいた。



晴川さんと落ち合う場所として指定されたのは、街から離れた港だった。ここなら人目につかないし、落ち着いて話もできる。
「春ちゃーん!よかったあー、ほんとに無事に帰ってきて……」
夏菜ちゃんは懐中電灯を持ってぶんぶん手を振っていたからわかりやすかった。
近くに寄って顔を見直してみるとなんとなくやつれているような気がする。やっぱり逃避行はきついんだろうなあ……。
「春ちゃん、捕まってからあいつらに変なことされなかった?私はてっきり春ちゃんも黒の一族になって襲ってくるものかと……」
「大丈夫だよ。あたしは見ての通り自力で脱出してきただけ。それに月夜女姫も人質の扱いに慣れてないのかな、やたらと丁重に扱われたし」

444:予定調和
10/03/13 22:42:20 rW04+53t
それから2人にあたしが手に入れた情報、それと黒の力について包み隠さず話した。
あたしが黒の一族になった姿を見たときにはびっくりしてたけど、改めてホワイトウイングに味方することを告げると意外とすんなり納得してくれた。
「改造手術で脳改造の直前に脱出かあ。
 『彼女を改造した黒の一族は、世界征服を企む悪の秘密結社である。改造人間赤坂春香は人間の自由のために、黒の一族と闘うのだ!』
 ……おおっ、これはお約束の正義の逆転フラグ!最高のシチュエーション!よーし、燃えてきたあ!!」
夏菜ちゃんのいつもと変わらないペースにあたしもやる気を分けてもらえる。攻略の糸口は掴めた。
もう、何をするにも中途半端で「器用貧乏」と言われてたあたしじゃない。
チームのお荷物……とまでは思ってなかったけど、最底辺から一気に主力に躍り出た。
「いや、改造人間って夏菜ちゃん……まあ、似たようなものだけどさあ」
改造人間の前に秘密結社もどこか違うような気がするけど、そんな些細なところを突っ込んで夏菜ちゃんのやる気を削がなくてもいっか。
「でも、これで大幅な戦力アップですね、晴川さん。……晴川さん、あんまり嬉しそうじゃないですね。もしかしてまだ疑ってますか?」
せっかくあたしが命からがら脱出してきたんだからもう少し嬉しそうにしてもいいのに、晴川さんの顔はいつもに増して険しい。
「赤坂、普通の人間の姿に戻ってくれるか?」
「あ、はい」
本当は黒の一族の姿でいたほうが楽なんだけど、あの格好は目立つからなあ。

そこから先は、見るも無残な惨殺行為が行われた。
いきなり晴川さんが銃を取り出して至近距離からあたしの頭を狙って全弾発射。叫び声をあげる暇さえない。弾がきれた後は御神刀で滅多斬り。
体から頭が離れて足元に大きな血溜まりを作った。
信じていた晴川さんに裏切られたと認識できたのは、胴体がうつ伏せに倒れた後。
頭の中の大事にしなければならないものが、純粋な悪意と憎悪と殺意に侵食されていく。
おかしいな、死んでも不思議じゃない怪我なのに、まだ意識はある。
頭にあれだけ銃弾を撃ち込まれて、さらに頭と体が切り離されてもまだ生きてるって……黒の一族の体の頑丈さに寒気がすると同時に、感謝した。
まだ、あたしは死ねない。
「ちょっと晴川さん、何やってんのよ!?」
春香の返り血を浴びた晴川に夏菜は食ってかかる。その晴川は春香から目を逸らして怒りをあらわにして口を開いた。
「あのな青野、お前さっきの赤坂の話が本当だと思ってるのか?あんなできすぎた話がありえるか。
 白石と黒松のときはわからなかったが、今回はあからさますぎたな。俺をみくびるのもいい加減にしろ!」
「春ちゃんが裏切ったっていう証拠は何もないでしょ!どうして春ちゃんを信じてあげないの!?
 信じられなくて疑うより、信じて裏切られたほうがいいに決まってるでしょ!やりすぎだって言ってんのよ!」
「そんな甘い考えだと、油断して背を向けた瞬間に何をされても文句が言えないぞ。しかし、もう少し楽に逝かせてやればよかったな」
行きすぎた人間不信が晴川と夏菜の間に軋轢を生じさせる。
「晴川さんのバカ!仲間を信じてあげなくて正義の味方が務まるわけないでしょ!」
「綺麗事ばかり並べていればいいと思うなよ。そういうのがもう通用しない戦いだってのがまだわからないのか?今はこの死体の処理を考えろ」
順調にきていたときには目立たなかった、晴川の度を超えた現実主義と夏菜の理想主義の違いが浮き彫りになる。
「自分で仲間を殺しておいてよくそんな台詞が吐けるわね……」

「ちょっと2人とも、人を勝手に殺さないでよ」

「「え……?」」
のそりと立ち上がり、手足を軽く解しながら2人を見やる。
さっきまで死体と思われていた人物が立って話をしていれば驚くのも無理はない。想像以上の再生速度にあたしもびっくりしたくらいだ。
「まさかホワイトウイングにもあたしの居場所がないとは思わなかったよ……
 もうあたしを受け入れてくれる人は先輩しかいないんだね……うふふ」
どうせこいつ、あたしのことを月夜女姫と戦う駒としか見てないんだ。
それにこいつ、あたしの力なしで先輩に敵うと思ってるんだ。
そんな思い上がった蛆虫はあたしが殺しておかないとね。

445:予定調和
10/03/13 22:46:20 rW04+53t
「思ったとおりか……あれでまだ死んでいないとは信じられんな」
心の底に渦巻く闇が、溢れんばかりに溜まった負の感情が、あたしを取り返しのつかないところまで堕としていく。
もう、どうなってもいいや。
「春ちゃん、晴川さんが信じてなくても、あたしがいるじゃん!一緒に月夜女姫を倒そうよ!」
何よそれ。あたしに先輩を殺す手伝いをして欲しいって?笑えない冗談はよしてよ。
「夏菜ちゃんだってこいつに従ってるだけの犬じゃない。もう……遅いよ」
正義の味方のつもりでいた自分が急に馬鹿馬鹿しくなる。いくら高い給料を貰ってても、
どうして普通の高校生が生活を投げ打ってまで命を危険に晒さないといけないの?しかも最近は負け続けでこのままいっても勝ち目ないし。
頑張ってるのに一般人から浴びせられるのは罵詈雑言。そもそもあたしを殺そうとした奴の言うことなんて聞いていられない。
「やるしかなさそうだな。青野、覚悟を決めろ」
「う……春ちゃん、ごめん!」
こいつらがあたしを殺そうとするのなら、返り討ちにしてやる。
夏菜ちゃんは後回し。まずはあたしの人生を滅茶苦茶にしてくれたあの男だ。
この男さえいなければ、あたしは正義の味方ごっこなんてしていないで普通の高校生活が送れたのに。こいつさえいなければ!
「死ねえええぇーーーー!!」
「む、でかいっ?!」
この距離なら夏菜ちゃんは間に合わない。晴川も避けられない。
「晴川さん!」
力の限りの怨恨を込めて放った光弾はコンクリートの地面をガリガリ削りながらも速度を一定に保ち、完全に晴川を捉えていた。
1発だけで十分な気もしたけど、すっきりしたかったから必要以上に乱射した。
「死ね死ね死ね死ねええええええぇぇーーー!あはは、楽しい……あ、あれ?」
晴川に今のあたしの術を止める力はないはず。誰かが、晴川を守ってる……?
爆煙が晴れたとき晴川の手前に立って障壁を張っていたのは、
ホワイトウイングに補充された新しいメンバーとかそんなことはなくて……少し前にあたしが突き飛ばしてきた、先輩だった。
「月夜女姫?!」
「先輩?!どうして……」
先輩のところから脱走してきたばかりなのに、怒っているようには全然見えなくて、むしろ優しく微笑んでいるようにさえ見える。
その笑顔が今は逆に怖い。
「ダメじゃないの春香ちゃん。こいつを殺したら」
「おい、どういうつもりだこれは」
「あら、命の恩人に対してその言い草はないんじゃないかしら。私が割り込んでなかったら、お前は消し屑も残ってなかったわよ」
先輩は月夜女を殺したホワイトウイング、特にそのリーダーである晴川を殺したいほど憎んでいるんじゃなかったっけ。
なのに今更助けるってどういうことなの……?
「先輩、どうして邪魔するんですか?こいつは先輩の敵のはずじゃ」
「春香ちゃん、とりあえず落ち着こうか」
先輩がまるで仏のような優しい笑顔を浮かべながらあたしに向かって歩いてくる。
頭に手を置いてなだめる様は、昔あたしが友達と喧嘩して先輩に感情に任せて八つ当たりしたときの対応そのままだった。
「今あいつを殺したらもったいないわ。あいつには世間への見せ物役と、私の玩具役と、
 人間が私に支配される様を見届ける役をやってもらわないといけないからね」
「そう、ですよね、殺しちゃったらそれでおしまいですよね。……何なの、私は先輩と話してるの、邪魔しないでくれる?」
あたしが邪魔をしてきた夏菜ちゃんに手を出すより先に、先輩があたしと一緒に倉庫の屋根に転移して2人を見下ろす格好になった。
「私があの2人を大人しくさせてくるから、春香ちゃんはここで待ってて」
2人と対峙した先輩は余裕たっぷりで、あたしの知っている先輩より何倍も輝いて見える。
あたしはそれをだらしなく口を開けて見蕩れてしまっていた。
「晴川さん、どーすんの、逃げるの、戦うの?」
「逃げるぞ!」
あれは晴川がいつも使ってる閃光弾!先輩は懐中電灯を向けられて眩しかったのか咄嗟の対応ができていなかった。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch