不気味なモノに寄生されて虜になる娘!!Part13at EROPARO
不気味なモノに寄生されて虜になる娘!!Part13 - 暇つぶし2ch250:名無しさん@ピンキー
10/03/21 00:23:11 VoKOh/lw
>>249
気の向くまま、蟲の導きに従えば良いかとw


251:名無しさん@ピンキー
10/03/21 12:05:51 zsKXopuE
巫姫堕ちのトコはかなり前にエロく加筆されてたな
結構こまめに覗いてるけど、久々に日記が更新されてて、文章もあったな。

252:名無しさん@ピンキー
10/03/21 16:39:02 VoKOh/lw
>>251
その加筆の後も、特に触れてはいないがエロ描写が何回か書き足されてる模様
あれ?こんなキャラいた? みたいなのが緋袴の下で白濁液垂らしてるとかエロ過ぎだろとw

253:名無しさん@ピンキー
10/03/21 21:04:05 k7Aak9nv
ひっそりと文も増殖しております

254:名無しさん@ピンキー
10/03/22 00:13:42 RjTxDUq9
蟲さまが妄想を吸ってより巨大に、より強力になってスレに光臨・・・

255:名無しさん@ピンキー
10/03/22 04:00:00 RjTxDUq9
::::\\::::::::::::', ┃| 
─--ミ::::::::::::| .┃|     
/::::  \:::リ-}.┃|
 <●>  !> イ┃ニヤリッ 
.、      __ノ .┃| 
r)\   |:::::| .┃| グ・・グ・・グ・・続きまだーーーーー!!
ィェァ 〉  l::::::》.┃|  ∧∧
='´  ,,イ::ノノ ┃|  ((;  )) 
. ..,,/ |::::://: ┃| ⊂    \

256:名無しさん@ピンキー
10/03/22 08:57:55 gXmDtgvQ
巫姫気になる人は真田(飛鳥)編見れば幸せになれるんじゃないかな

探す時間を含めて楽しめ…ってことなら
思いっきり蛇足で申し訳ないんだけどさ

257:乙×風 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:13:30 18Na2GZG
 スーパーロリータタイムはっじまるよー♪
 うん。少し自重しようか私。
 前回分の投稿にて誤字の指摘を頂きました。ありがとうございます。
『若干』と『弱冠』ですね。辞書引いて調べましたよ。
 作者の学の無さがどんどん露呈されていきますよ? これ以上は無いと思いたいほんと。
 そういえばマリオンとリシュテアお母さんの回想シーンでもおかしな所が。

『チャームだけね♪』
『…なるほど』』

 』』って何だw
 まあ、瑣末ですが。お涙頂戴的シーンなだけに自分で気になってしまいました。
 どうして投下する時に気付かないんだー。

 ―気を取り直しましょう。
 クロト編後半戦です。ALL ERO。
 リオがやや鬼畜な上にヤンデレになりつつあります。NGワードはこんな感じです。

(洗脳、猥語レッスン、レズ、種付け、堕落) 

 ではいってみましょう。
 以下、13レス消費します。

258:永久の果肉7 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:15:28 18Na2GZG
第七話  Desire Seed

 
「……私は…グリーズ様と…一緒に、なりたい…」

 虚ろな瞳をしたままクロトが呟く。それを見て、リオはほくそ笑んだ。
(気持ちいい…♪)
 官能的な快感ではない。
 だが、人の心に付け入り、甘い言葉で誘惑し、そして堕落させる。
 その一連の行動に、悪魔シュトリとしての本能が充足を覚えるのだ。
 穢れを知らない純情な乙女を、オスに飢える淫らな獣へと堕とす。
 自分の力で他人を歪ませる。なんという快感だろうか。

 才能に恵まれ、人徳に恵まれ、環境に恵まれ、将来も約束されている。
 自分には無いものを、クロトは全て持っていた。
 羨ましい。妬ましい。
 自分は辛く苦しい思いをしてきたのに、その間この女はチヤホヤされ続けてきた。
 そんなの理不尽だ。
 だから、この女も同じ目に遭わせてやろう。
 無理矢理レイプし、苦痛を与えてやろう。
 その上で、種子を植え付けてやるのだ。
 神から二物を授かった幸福な女に、抗う事の出来ない快楽を教え込むのだ。
 そして最後には、身も心も花の化け物に変えよう。

「契約成立だね♪ それじゃ、遠慮なく♪」
 魔力で爪を生成する。黒い霧を凝縮させ、作り出した禍々しい紅い爪。
 業物の刀剣には叶わないが、下手なナイフなどよりもよっぽど切れ味がいい。
 その爪を一閃。クロトの体を、縦一文字に切り裂く。
 恐怖心が麻痺しているのかクロトは瞬きすらしない。
 一瞬後、白のブラとショーツが左右に両断された。
「…あ…」
「ふふふ。クロトさん。おっぱいおっきい♪ 羨ましいな♪」
「…いやぁ…見ないで、下さい…」
「そう言う割りには…こっちはドロドロ♪」
「ひゃあっ…!?」
 爪を引っ込めて、割れ目に指を差し入れた。
 暖かい肉の泥濘に指が沈み込み、くちゅり、と音がする。
「ほーら。クロトさんのマン汁でリオの指、ネチョネチョだよぉ♪」
 濡れた指の間でくちくちと糸を引かせる。
 そうやってクロトの羞恥心を散々煽った後、汚れた指先を彼女の鼻先に突きつける。
「リオの指が汚れたの、クロトさんのせいだからね? 綺麗にして♪」
「…でも…」
 純情なこの女は自分の愛液を舐めるのには抵抗があるらしい。
 チャームで散々心を引っ掻き回しているのに、本当に初心な女だった。
(そんなクロトさんを、自分からおチンポをおねだりするスケベさんに変えたい♪)
「ふーん? 嫌なんだ? まあリオはいいけど?
 でもそれならクロトさんの『お願い』も聞いてあげられないかなぁ?」
「…あ…っ、や、やります…やりますから…」
 慌てて掌を返す年上の女を見てぞくりとした。
 八つ星の一流魔術師を、手玉に取っている。
 淫魔として、人外としてのプライドが満たされていく。
「ふふふ。そうそう。リオはぁ、素直なクロトさんが大好きだから♪
 リオの指を父様のおチンポだと思っていっぱいペロペロしてね?」
「…っ、……グリーズ様の…」
「おチンポだよ♪ おチンポ♪ はい言ってみて♪」
「お、おチ……ん…ぽ…」
「クロトさぁん。聞こえないよぉ?
 リオ、そんなんじゃクロトさんのお願い、聞いて上げられないかも?」
「あ、言いますっ、ちゃんと、言いますからっ」

259:永久の果肉7 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:17:17 18Na2GZG
「そう? それじゃ言ってみて♪ お、チ、ン、ポ、ってね♪」 
「は、はい―はぁ…はぁ…」
 呼吸を整え、腹を括るクロト、破廉恥な言葉を言おうとしている―
 そんな彼女の心が羞恥心で今にも爆発しそうなのが分かった。
(はぁ…クロトさん、すっごいどきどきしてる♪ 私も、どきどきしちゃうよぉ♪)
 こんな所で猥語の発音練習をするなんてなんて背徳的なのだろうか。
 聞く側のこっちまで興奮してしまう。
 はあはあ。はあはあ。荒い吐息はもうクロトだけのものではない。
 クロトの羞恥心がリオの興奮を呼び、二人の心は徐々に高まっていく。
 どくっ、どくっ、というクロトの心音が、ここまで聞こえそうだった。
「―お、チンポ…」
 確かに聞こえた。小さいがはっきりと聞こえた。
 あのクロトに汚い言葉を言わせた。けれど、少し物足りない。
「もっと大きく」
「っ―おチンポ…っ」
「もっと」
「…おチンポっ…」
「もっとっ」
「おチンポっ!」
「あはははははははははははははははっ!!!!」
 最高だ。最高の気分だ。楽しすぎて頭のネジが外れてしまいそう。
 いやもう外れているのか。
「良く出来ましたクロトさぁん♪
 ご褒美にリオの指、好きなだけペロペロしていいよぉ?」
「あ、ありがとうございますっ―はむっ…ちゅるっ…! ぺろっ…!
 れろれろっ…あふぁ…っ! グリーズ様のっ…ちゅっ…! んんっ」
「ふふふ。美味しい? 父様のおチンポは?」
 口から離すのが勿体無いのか、ぶんぶんと首を縦に振るだけだった。
 行儀が悪いと思うが、別にいい。彼女の堕落っぷりは見ていて気持ちが良い。
 クロトは指に付着した自分の愛液は勿論、指の間から爪先まで丁寧に舐めしゃぶっていた。
 べろべろと一心不乱におしゃぶりをされて、指がふやけてしまいそうだ。
(あはっ♪ くすぐったい♪)
「ふふふ。そう、そう♪ クロトさんエッチな事才能あるよ♪
 父様はエッチな女の子が大好きな変態さんだからきっとお似合いだね♪」
「…あ…それ、本当、ですか…?」
「うん♪ だからぁ…もっといやらしい子になろうね♪」
 どん、とクロトの体を突き飛ばす。
 抵抗の無い彼女はあっさりと尻餅を付き、虚ろな瞳でこちらを見上げた。
(そんな目で見られたら…私、我慢できないよう♪)
 脱力したクロトの股はあられもなく開かれている。
 その奥で羞恥の丘が解れ、愛液に濡れて光っているのだ。
 クロトの女の臭いが鼻腔を満たし、子宮の中でアドニスの花が疼き出す。
 どくん。
「んっ!? にゃぁっ…♪ 奥からっ、出てきちゃうっ♪
 アドニスの触手チンポ、出てくるよぉっ♪」
 ヴァギナに咲いたアドニスの花は、言わば第二の性器だ。
 花の中心部はまるで女性器の大陰唇のような形状をしている。
 そしてその奥は膣同様の肉ヒダ連なるトンネルになっているのだ。
 その、花の茎に当たる部分は子宮の内側まで続いており、その最奥に『雌しべ』がある。
 勿論、花の内側は人間の女性器よりも遥かに敏感な性感帯だ。よって、
 ずるずるずるぅ!
「にゃっ!? にゃあぁぁぁぁぁああっ!!!」
 花開いたアドニスの中央から雌しべがせり出した瞬間、リオは絶頂した。
(ふにゃぁ♪ きもちぃぃよぉ♪)
 それは人間のペニスを何重にも重ね、亀頭部分に大量の疣疣を生やした凶悪な触手だ。
 太さも、さっき精気を頂いた騎士達と同等以上。
 そんな凶悪な触手に子宮の内側から犯され、あっと言う間にエクスタシーを迎えたのだ。

260:永久の果肉7 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:19:12 18Na2GZG
「はぁ…はぁ…にゃあん…♪ これが、アドニスの生殖器……触手チンポ…♪」
 これが生えたという事は、この小さな体の中でアドニスの種子が生成されたという事だ。
 目の前の女に種付けする為の種子が。
「はあっ、はぁ!」
「…あっ…」
 仰向けに倒れるクロトに覆い被さり、マウントポジションを決める。
 頭が回らなくなってきた。
 雌しべ触手が生え出した瞬間大量のフェロモンが漏れ出し、自分の理性すら溶かしている。
「クロトさんっ! クロトさん! この触手チンポで、ズボズボしてあげるからねっ。
 この触手チンポを、父様のものだと思って、エッチするんだよっ♪」
「…グリーズ様の、と…思って―きゃ…っ」
「んにゃぁっ♪」
 雌しべの先端が肉ビラを掠める。
 それだけで触手ペニスから蕩けそうな快楽が流れ込んできた。
 胎内から生え出した瞬間はあまりの快楽で気付かなかった。
 だがどうやらこの雌しべ自身も相当敏感らしい。
 つまり。内側から犯される快感と、犯す快感の両方を同時に感じてしまう事になる。
(だめぇ♪ 触手チンポっ、気持ちよすぎるよぉ♪)
 更にこれを女の膣へと挿入すれば―きっと気が狂いそうな快楽が待っている。
(あっはぁ♪ もう我慢できない♪)
 雌しべの先端をクロトのヴァギナへとあてがう。
 そして躊躇いも遠慮もなく、一気に最奥まで貫いた!
 ぶつ。
「―い、いたぁい…っ!」
「んにゃああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁっっ♪」
 クロトの処女が散った瞬間、二人は正反対の反応をした。
 クロトは激痛に涙を流し、リオは腰が抜けそうな快楽に涎を垂らす。
(すごっ、すごいよぉっ♪ 女の子のおマンコっ、とっても気持ちいい♪)
 まるで肉のぬかるみ。暖かく、柔らかく、そしてドロドロに濡れている。
 こんな所にペニスを突っ込んだら、それは気持ち良いに決まっていた。
(父様の気持ちが、分かった気がする♪)
 こんなに気持ちのいい事、そうそう止められるものじゃない。
 淫魔になって初めて父の気持ちが理解出来るなんて、皮肉な話だった。
「どう? クロトさぁん? おチンポ、気持ち良い?」
「い、痛いです…っ…とっても、痛いですっ」
 はっ、はっ、とクロトは短く息を切らしている。
 アドニスの催淫香とリオのチャームを持ってしても破瓜の痛みは軽減しきれないようだ。
 だが、それでいいのだ。
「ふふふ♪ そうだよねぇ♪ 始めては誰でも痛いよね♪ 
 でも私はもっと痛かったんだよ?」
 未熟な上に弱い体を始めて蹂躙された時、物理的にも痛いのは当然だった。
 だがそれ以上に精神的苦痛も大きかった。
 自分を脅し、強姦し、雌と罵る父親が恐ろしかった。
 それに比べれば、今のクロトの苦痛など大したものではない。
「だからぁ…今だけは沢山痛い想いをしてね♪」
 ずりりりっ―ゆっくりと、腰を引き、触手を抜いていく。
「いっ!? あぁっ!」
 多重のエラがガリガリと処女幕の残骸を削り、クロトに更なる激痛を与えた。
 ところが痛みに対する反射で膣が収斂し、より深く触手をくわえ込む。
「んはぁ♪ クロトさんのおマンコっ、締まって…っ、気持ち良いよぉ♪」
 自分の膣の感触、クロトの膣の感触。
 それらが触手の敏感な粘膜を通して快楽へと変換される。
 気持ちよすぎて、腰が止まらない。
 ずりゅりゅっ!
「いっ、がっ!?」
「んにゃああぁぁっ♪」
 引き抜いた触手を一気に突き込んだ。
 無理矢理高められ、柔らかく解れた膣壁が触手ペニスを満遍なく締め上げる。

261:永久の果肉7 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:20:52 18Na2GZG
 雌しべ触手は敏感で、腰砕けになってしまう。
 男達のペニスと同じで、どうやら先端に近い場所に性感が固まっているようだった。
 特に亀頭周辺の疣疣はその一つ一つがクリトリス並に敏感だ。
 ともなると快楽に対して貪欲になったリオはそれを心ゆくまで味わおうと思った。
 じゅぷっ! じゅぷっ! じゅぷっ!
「いっ!? いやっ! いたいっ!」
「はあっ! はあっ! 触手チンポっ、いいよぉ!」
 がつがつと雌しべでクロトの女を蹂躙する。
 亀頭を子宮口に強く打ちつけ、快楽を貪る。
(蕩けちゃうよぉ♪ 腰が止まらないよぉ♪)
 娼婦のように腰を使い、だらしなく顔を弛緩させる。
 フリルをふんだんに使ったスカートが揺られ、ちりちりと尻尾の鈴が鳴る。
 伸びた八重歯の間からダラリと舌を垂らし、クロトの胸元へ涎を零す。
 快楽で頭が回らなかった。
 悪魔の本能が、女の心を責めろ、汚い言葉で貶めろ、と囁くがそんな余裕は無い。
 アドニスから与えられる快楽が、これほどとは思っていなかった。
 淫魔でこれほど狂うのならば、只の人間ならこの快楽に絶対に抗えないだろう。
(アレエスの街をアドニスの花で埋め尽くす―ほんとに出来るかも♪)
 男達の精気を吸って自身は付けたつもりだが、本当にそれくらいは出来るかもしれない。
 命の恩人であるネーアに、恩返しが出来るかもしれない。
 そしてその為には。
「はあっ! はあっ! 出すよっ!? クロトさんの子宮にっ、種付けするよ!?
 アドニスの種を、植え付けちゃうよ!?」
「あっ、いやっ、いやですっ! そんな事されたらっ! ああっ!
 いやっ、抜いてっ! 抜いて下さいっ…!」
「やだやだっ、種付けするの! 触手チンポからザーメンどぴゅどぴゅ出して!
 アドニスの種子をクロトさんにプレゼント、するのっ!」
 ぎちり、と露出した乳首を抓り上げる。
「いぎいいぃっっ!?」
 血が僅かに滲み、クロトが激痛に絶叫する。
 ぎゅぅ、と雌しべが締め付けられた。
(あにゃ♪ もう限界♪)
「んにゃああぁぁっ♪ しまるぅ♪ あっ♪ あっ♪ あぁっ♪
 でるぅ♪ でちゃぅっ♪ クロトしゃんに種付けしちゃうぅ♪
 にゃ、あぁっ、ぁぁぁあぁぁぁぁあぁんっ!!」
 亀頭を子宮口にぐちり、と食い込ませる。
 触手ペニスと子宮がどろどろになって同化してしまうような感覚。
 どくん、と子宮の中でアドニスが脈動した。
 次の瞬間。
 びゅるっ! どぴゅどぴゅっ! どくどくどくどくどく!
「にゃっ!? にゃあぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁああ!!!」
(にゃにこれぇっ…!? 頭、おかしくなっちゃぅぅっ♪)
 初めての射精。その快感は予想を遥かに超えていた。
 元々敏感な器官である上、雌しべ触手自体は子宮の奥から伸びているのだ。
 長さは30センチを優に超えている。
 そしてその中を平均男性の三倍近い量の精液が通り抜ける。
 丸くて柔軟な、固形物と共に。
 男の快楽を知らない少女が、戸惑うのも無理の無い話しだった。
「しゃせーっ、きもちよすぎるよぉっ♪」
 取り分け、輸精管の中をごりごりと削りながら種子が通り抜ける時など意識が飛んだ。
 だらしなく舌を垂らしながらぷるぷると体を震わせて射精の快楽に溺れる。
 蝙蝠の翼も、二本の尻尾もぴん、と突っ張っていた。
「いやぁ…っ、入ってくるぅ…アドニスの種子が…私の中にぃ…」
 一方クロトは激痛に呻く事も忘れ、寄生植物の種を植え付けられる感触に絶望していた。
 アドニスの種子を植えつけられれば目の前の少女のように淫欲の虜になってしまう。
 そして男を漁る淫婦となって股からアドニスの花を咲かせるのだ。
 いや、それどころか新たな犠牲者を求め、さ迷い歩くだろう。
 最後には、心も体も完全な化け物―アネモネへと変異してしまうのだ。
(ふふふ。分かる。クロトさんが絶望しているのが♪)
 だがそれもすぐに、目も眩むような快楽に押し流されるだろう。

262:永久の果肉7 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:22:29 18Na2GZG
 子宮に根付いたアドニスの意思に、誰も逆らう事は出来ないのだから。
 さあ、これからが本番だ。この乙女に快楽を刻みこんでやろう。
 純情な年上の女が淫乱な雌へと変貌するところを想像し、胸が高鳴る。
(にゃぁ…でもちょっと、休憩…)
 だがこちらも足腰が馬鹿になりかけていた。

 射精の余韻が抜けてから、第二ラウンドを開始しよう、そう思った。

 ***

 種付けされてしまった。アドニスの種子を。
 それもこれも全て自身が招いた事だ。この少女の姿をした魔物に油断しなければ。
(……あれ? 思考が…戻ってる…?)
 一体どういう事か。チャームの効果が切れていた。
「ふふふ。その方が面白いと思って♪」
 目の前で淫蕩に笑うのは猫耳を生やした淫魔だ。
 この体にグロテスクな触手を挿入したまま彼女は愉しそうに笑う。
「こ、後悔、しますよ…っ、正気に戻れば…意識を操られなければ…貴女なんかにっ」
「にゃん? 意識を操る? 違うよぉ。
 リオはぁ、クロトさんの願望を引き出してあげただけ♪
 さっきクロトさんが『おチンポ♪ おチンポぉ♪』って言ってたのもぉ。
 リオの指がふやけるまでペロペロしてくれたのもぉ。ぜーんぶクロトさんの意思だよぉ♪」
「そ、そんな訳がありません!」
「ふふふ♪ 必死になっちゃって、クロトさん可愛い♪
 まあ、否定するのは構わないよ♪ どっちが正しいかすぐに分かるから♪」
「な、何を言って…」
 
 どくん。

「…っあっ」
 子宮が強烈に疼いた。
「ふふふ。いいこと教えてあげるよクロトさん。
 女の子はね? みいんなスケベになる素質を持っているんだよ?」
「ち、違いますっ、私はっ―あぅっ…!?」
 どくどくと子宮が疼く。アドニスの種子が、子宮に定着しているのだ。
(そ、そんな…、これ、いくらなんでも早すぎるんじゃ…?)
 資料では種子を植えつけられても体が発情するまでタイムラグがある筈だ。
 ついさっき種付けされたばかりでこの反応は異常だった。
「どうしたのクロトさん? 顔、真っ赤だよ? 興奮してるの?
 いやらしい気持ちになってるの? 純情系じゃなかったの?」
「だ、黙って下さいっ…! これくらい、耐えてみせますっ」
「我慢は体に毒だよぉ? 楽になろうよ? ねぇ? 
 そうすれば、とっても気持ちよくなれるんだよ?」
(き、気持ちよく?)
 その言葉がとても甘美に聞こえて、心のどこかでそれもいいかな、と思ってしまう。
「―って駄目ですいけません! そんなふしだらなっ、エッチな事はいけません!」
 ぶんぶんと首をふり、邪念を払う。
(そうだ、この子の声も、瞳も、魅了の効果がある…耳を傾けては駄目…!)
「ふふふ。今更対策しても遅いよぉ?
 それにぃ、この部屋はアドニスの催淫香が充満してるし。
 呼吸し続ける限りエッチな気分は治らないよ?」
 ―だからさ。クロトさん。楽になろうよ―
 耳元で甘く囁かれ、全身から力が抜けた。
(駄目駄目! 気をしっかり持ちなさい! ここで私が堕ちたら、大変な事になる!)
「あははっ。無駄な努力だよクロトさん。
 もうクロトさんの中にはアドニスの種が根付いてるんだよ? 
 その快楽に耐えられるわけないから♪」
「そ、そんな事、試してみないと…」

263:永久の果肉7 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:23:52 18Na2GZG
「―えい♪」
 ぐちゅり、挿入されたままの触手を軽く捻られた。
「ひゃあぁぁっ!?」
 それだけで、体中に電気が走った。
(な、何今の…っ? 体が痺れて、ふわぁっ、って…!)
「気持ちいいでしょ♪ それが女の快感だよ♪」
「い、今のが…?」
「……なんか、ほんとに反応が初々しいよね?
 ひょっとしてクロトさん、オナニーもした事ないの?」
(……え? オナニーって、何でしょうか?)
「クロトさん…ほんと純情キャラだよね……
 まあいっか♪ その方が堕とし甲斐もあるしね♪」
「な、何を言って…」
「そうだ! 良い事思いついた! ねえねぇクロトさん?
 リオの触手チンポ使ってオナニーしてみて!」
「あの、それ以前にオナニーって何でしょう?」
「簡単だよぉ♪ 自分で自分を気持ちよくするの♪
 ―あ、そうだ! そのままじゃ動きづらいよね? ―よいしょっと♪」
 抗議する暇も無く脇下を小さな手に掴まれ、引っ張り上げられる。
「え、あ…っ、ちょっと待って下さ、」
 気が付いたら体勢が逆転していた。
 リオが仰向けに寝転び、自分の体が起き上がっている。
 万有引力の法則により、垂直になった体に重力が押しかかって、
 ぐちゅぅっ。
「ひゃあぁぁぁぅ!?」
 挿入したままの雌しべに深く貫かれた。
(あっ、な、何でっ、痛くないのっ)
 ところが驚くべき事に、痛みが全く無い。
 さっき処女を散らされたばかりなのに、あの引き攣るような痛みが完全に消えていた。
 それどころか―
(びりびりして…これ…き、きもちいい、の…?)
 にんまり、と仰向けの淫魔が口元を綻ばせた。
「お腹の中のアドニスがクロトさんの体を作り変えてるんだよ♪
 さっき沢山リオのセーエキ中出ししたからね♪
 クロトさんの体、どんどんスケベになっていくよ♪」
「そ、そんな…」
「ということでぇ、リオの触手チンポ使って早速オナニーしてね♪」
「い、嫌です! 無理です! そんな事、出来るわけありません!」

「我侭言うとそこで寝てる三人みんな殺しちゃうよ」

 背筋が凍った。
 感情の抑揚が全く無い、平面な声。
 脅しと言うより、ただ事実だけを伝えているようだった。
 人間を殺すのに、何の躊躇いもないのだと。
 赤い猫目がこちらを見ている。
 獣の目だ。人間と違って、感情のない瞳だ。
 何を考えているか分からなくて不気味だ。狂ったように笑っている方がよほど人間らしい。

 ―かと思ったら少女の顔が急に破綻し、無邪気な笑顔となった。
「という事だから、頑張ってオナってね♪」
 歳相応のあどけない笑みと先程の冷酷な表情のギャップが堪らなく不気味だった。
 得体の知れない何かを、相手にしているようだ。
(…刺激しては、駄目だわ…この子、何をするか分からない…)
 今はいう事を聞くしかなかった。
「んっ―あ…!?」
 とりあえず軽く腰を揺すってみると痺れるような刺激がヴァギナに満ちた。
(あ…っ、アソコっ、じんじんしてっ…!)

264:永久の果肉7 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:25:30 18Na2GZG
 未知の刺激に脳が茹で上がる。どきどきと胸が高鳴り、全身から甘ったるい汗が吹き出た。
「はっ♪ にゃっ♪ そうそう♪ もっとぐりぐりして?
 色んな角度からおマンコを苛めて、気持ちいいところを探すの♪」
「う…は、はい…」
 はしたない事をしている、そういう自覚はあるが止めるわけにはいかない。
 手を抜いても心を読まれれば激怒されるだけだ。
(し、仕方ないの…オナニーしないとこの方達が殺されてしまうから)
 仕方ないのだ。
 クロトは腰を使い始めた。
 騎乗位の体勢で前後左右にぎごちなく、ゆっくりと腰を動かす。
 じわじわとした官能が敏感になった肉ヒダから流れ込み、思考を溶かす。
(あ、これっ、触手の、段差みたいになってる所が…こりこり擦れて…っ)
「あっ…はっ…やっ…だ、めぇっ…!」
 多重エラが陰唇の肉ビラと充血した肉ヒダをかき回す。
 その度に蕩けてしまうような官能が下半身に満ち、甘い声を上げてしまう。
 セックスなんて不潔なものだと思っていた。
 ところが淫魔とアドニスに汚染されたこの体は、それを甘美なものと感じてしまう。
 いや、正直に言おう。セックスがこんなにも気持ちいいものとは思わなかった。
「―んっ……あっ、んっ―ひゃっ!?」
 ぐり、と腰を捻った瞬間、電気が走り抜けた。
(な、何今の!? びりって、したっ)
 少なからず淫らな願望があったのだろう。
 思い切って腰を動かしてしまったのだが、どうやらそれが『弱点』に当たったらしい。
 陰核の裏側に位置する膣壁だ。その辺りにこりこりとした『しこり』がある。
「ふーん。クロトさん、そこが良いんだ♪」
「ひゃぁん!?」
 ぐり、と亀頭の先を擦り付けられると、余りの快感に声が裏返った。
 目の奥がつーんとするような感覚。
 耳鳴りがして、腹の奥からじわり、とした痺れが広がった。
(し、知らないっ、私、こんな気持ち良いの知らないっ)
 無自覚のまま、クロトの中で欲望が膨れ上がる。
 未知の快楽に、自分の意思を無視して体が動き始めた。
「んっ! ぁあっ! あぁん!」
 腰を上下に動かし、触手を敏感な所に擦り付ける。
 びり、びりと強い快楽が背筋を駆け上って嬌声となって喉から漏れた。
 あぁん、という喘ぎが自分の声かと疑うほど色っぽく、そして恥ずかしい。
(あっ、いやっ、止まらないっ、腰、止まらないっ、どうしてぇ!?)
「あっ! あっ! いやっ! こんなのいや! どうしてぇ!? 
 あっ! ああっ! ああんっ! 気持ちいいっ! 気持ち良いのっ!
 エッチな事っ、駄目なのにぃっ! 汚いのにぃ!」
「いーんだよ? 思いっきり気持ちよくなっても?
 だってそうしないとリオが怒っちゃうからね♪
 だからぁ、仕方なくクロトさんは気持ちよくなってるの。
 ね?『仕方がないの』。だから、誰も怒らないよ?
 誰もクロトさんの事、責めたりしないよ? 嫌いになったりしないよ?」
(そ、そうよ。そうだわ。私は脅されてこんな事をしているの)
 だったら、どれだけ乱れても構わないではないのか?
 そう思うと心が軽くなった。それどころか必死で欲望を堪える事が馬鹿らしく思えてくる。
 そうだ、仕方ないのだ。いやらしく振舞えば、目の前の淫魔も喜ぶ。
 ならそれでいいではないか。そう、これは三人の男の命を救う為なのだ。

 その思考が、リオによって誘導されたとは気付く由も無い。

「そうそう♪ それにねクロトさん?
 リオの魔力で種子の成長速度を上昇させてるから、普通の人に抵抗出来る訳ないの♪
 最初から、無駄なあがきだったんだよ♪ 
 だからぁ。好きなだけ気持ちよくなればいいんだよ♪」
 淫魔の囁きが、心の鎧を溶かして消した。

265:永久の果肉7 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:26:44 18Na2GZG
「あっ? ああぁっ! いいっ! 気持ちいいっ! 気持ち良いの!
 セックスするの、気持ちいいですっ!」
 じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ!
 クロトが豹変した。
 快楽を受け入れ、自ら積極的に腰を動かしていく。
(触手の先、いぼいぼが気持ちいいです…っ)
 それを弱点に押付けるように腰を動かす。
 結合部からは白っぽい愛液が空気と混じり、卑猥な音を立てている。
 リオに放たれた精と愛液の臭いが攪拌されて、辺りに濃厚な性臭を振りまいた。
 豊満な胸が上下にぶるんぶるんと生物のように震え、ピンク色の先端が残像を生む。
 肩まで伸ばした銀髪が水母のように漂い、広がる。
「あっ! あっ! あっ! いいっ! 腰っ! 勝手に動くんです!」
「はぁっ♪ はあっ♪ ほんとだっ♪
 クロトさんっ、腰をくねくねさせてすごいやらしい♪
 きっと父様も喜ぶよ♪ 父様も好き者だから♪ とってもお似合いだよ♪」
(グリーズ様が…喜ぶ…?)
「うん♪ だからもっとスケベになってね♪」
 心が、開放されていく。
「あっ! あんっ! あぁんっ! いいっ! オナニーいいですぅ!」
「はあ! はあっ♪ どこ? 何処が気持ち良いのっ?」
「アソコっ、アソコですっ―あぁんっ!」
「そこ、はっ…おマンコって言うのっ」
「おマンコっ、おマンコいい! 蕩けちゃいますっ!」
「どうしてっ? どうしてクロトさんのくさマンコ蕩けちゃうのっ?」
「それはっ、触手にっ」
「触手チンポっ、だよっ♪」
「触手チンポに、犯されてっ」
「違うっ、触手チンポハメてオナってるから、だよっ♪」
「は、はいっ! あ、あんっ! 私のくさマンコ!
 触手チンポハメてオナってるからっ、どろどろに蕩けそうなんですぅ!」
(あぁっ…言ってしまったぁ…)
 卑猥な言葉を、こんなに大きな声で叫んでしまった。
(でも、ゾクゾクする……♪…)
 いやらしい気持ちが溢れて止まらない。
 最初は人質に取られた三人の男の命を救うためだった。
 だが今は何の為にこんな淫らな事をしているのか分からない。
(違う…私、気持ちよくなりたい…もっと…もっと…)
 どうして今までこんな素晴らしい事を敬遠していたんだろう。
 こんなに気持ちいい事なら、もっと前からしておけばよかったのに。
「クロトさん♪ だったら今から沢山エッチすればいいんだよ♪
 今までしてこなかった分をね♪ こんな風にっ」
 ぐちゅんっ。
「ぁああぁんっ!?」
 思い切り下から突き上げられて意識が一瞬飛ぶ。
(すご、すごいっ。もっと、もっと気持ちよくなれる!)
「それっ、もっとして下さいっ」
「だーめ♪ もっといやらしい言葉を使って、おねだりしないとしてあげない♪」
 それは、さっきのような卑猥な言葉を使えという事。
 自分を浅ましい存在へと自ら貶めろ、という事だ。
「―下さい…」
「んー?」
「私のクサマンコに、リオ様の触手チンポでハメハメズボズボして下さいっ!!」
 催淫香で、或いは胎内の種子が、クロトの心を浅ましく歪めていく。
 自分を堕とす、背徳的な行為に脳が痺れる。
(あぁ…快感…です…♪…)
「―あはぁ♪」
 下になった少女の顔が淫蕩に蕩けた。
 そして赤い猫眼に映る自分の顔は―まさしく雌そのものだった。

266:永久の果肉7 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:27:54 18Na2GZG
「いいよぉ♪ 犯したげる♪ リオ、クロトさんの事大好きになっちゃったから♪
 だからぁ、触手チンポでズンパンしてクロトさんを悶え狂わせてあげるぅ♪」
 直後から、淫魔が本気を出した。
 じゅぷっ! じゅぷっ! じゅぷっ!
「んああっ!? あああっ! ふか、ふかいっ!」
 がつがつと下から突き上げられる。子宮が突き破られるかと思うほどの勢いだ。
(あぁっ…♪ すごいっ…! おマンコっ! 痺れちゃうっ! 変になる!)
 だが種子に犯された子宮も膣も、今では性感帯の塊。
 強いストロークで子宮が揺さぶられると、頭の中が真っ白になり、甘い喘ぎが漏れる。
「はぁっ♪ はああっ♪ クロトさんもぉ♪ 動いてぇっ♪
 もっと、気持ちよくなれるよぉっ♪」
「あっ! はぁっ! はいぃっ!」
 ピストンのペースが僅かに落ちる。きっと経験の少ないこちらに合わせてくれたのだろう。
 その気遣いに感謝しながら、快楽を貪る為に腰を使う。
 少女の突き込みに合わせて腰を落とす。
 じゅくうっ、と結合部から白い泡が吹き出し、子宮が揺さぶられた。
「はあぁぁああぁっっ!?」
 その衝撃に、体がぴん、と突っ張る。
 視界が真っ白にそまり、膣がきゅう、と収斂した。軽く、達してしまったのだ。
「にゃぁぁっ♪ クロトさんのマンコ、きゅうきゅうしてるよぉ♪
 ちょっとイっちゃったんだねぇ♪」
(い、今のが、イク?)
 子宮がきゅん、として文字通り意識が飛んだ。
 全身に甘く、蕩けそうな痺れが広がっている。
 なんて素晴らしい感覚だろう。これさえあれば、他に何もいらない。
「ほらほらぁ♪ どんどんイクよぉ♪ 今まで我慢してきた分、沢山イっちゃおうねぇ♪
 さ、クロトさん♪ 腰を引いて♪」
 言葉と同時に淫魔が突き込みの反動を利用して腰を引く。
 言われるままこちらも腰を引いて、
「ぁああぁぁぁあっっ!?」
 ずるずると多重エラがGスポットを削り、触手が引き抜かれていく。
 一度達した膣内は酷く敏感で、またアクメの細波に襲われた。
(ああ、またぁ…っ♪ またおマンコ、きゅんっ、ってなってますぅ…♪)
「もう、一回っ」
 引いた腰で再び淫魔が突き上げを繰り出した。
 タイミングを合わせてこちらも腰を落とす。
 ぐちょんっ。
「んああぁぁぁぁんっ!」
 再び子宮に衝撃。意識が浮上する。
 さっきより深く、濃密なアクメが襲い掛かってくる。
 全身が痙攣し、半開きの口からたらたらと唾液が零れた。
 力が入らない。思考が働かない。
 だというのに腰だけが動き、快楽を貪ってしまう。
「はあっ! あっ♪ クロトさんのマンコっ、最高っ♪ 
 イきっぱなしでっ、触手チンポがむしゃぶられちゃうぅ♪」
 じゅぷっ! じゅぷっ! じゅぷっ!
「んあぁっ!! すごっ! いっ! あぁぁっ!! 腰っ! 止まらなっ!
 ああんっ!? らめっ! あああんっ!! きもちいいっ! いいんれすうっ!
 マンコっ、びくびくしてぇ! ああああぁぁぁっ!!」
 頭の中はずっと真っ白だ。視界では常に星が散っている。
 押し寄せる絶頂の波に髪を振り乱し、涙と汗と涎を飛ばす。
 馬乗りになった体がロデオのように上下に揺れる。
 少女の体に手を付いて辛うじてバランスを取っているがその細腕もガクガクと震えていた。
「はぁっ♪ はあっ♪ 駄目ぇ♪ もう駄目ぇ♪ 触手チンポから、ザーメン出しちゃう♪
 にゃぁあっ! クロトさんにっ、こってりスペルマ搾り取られちゃよぉ♪」
 びくびくと、胎内の雌しべ触手が脈動した。
 それが射精の前兆だと理解して胎内の種子が歓喜に打ち震えた。

267:永久の果肉7 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:29:24 18Na2GZG
「下さいっ! わたしのぉっ、クサマンコにぃ!
 どろどろ精液注いでくださいいっ!! あああっ!!?
 くるくるくるくるくるくるくるっきちゃ、きちゃうきちゃう!!
 大きいのがっ、ああっぁぁっ!!? いやあああっ! ああぁぁぁぁっっ!」
 かつて無い大きな絶頂の気配に背筋が寒気が走る。
 それを迎えれば自分は今度こそ自分でなくなってしまう。
 だが快楽を貪る腰は止まらない。
 そして止めるつもりも無かった。
「ふにゃあぁっ♪ でるでるでるでるでるぅ! しゃせーするぅ♪
 あっ! あぁぁっ♪ あっ♪ ああっ♪ あっ、あっ、あっ♪
 しゃせーアクメきちゃううにゃぁぁぁああぁぁぁぁぁあっっ♪」
「イっくぅぅぅぅうぅぅぅううぅぅぁぁぁああぁぁっ!!!」
 二人同時に、絶頂した。
 きーん、と耳鳴りがして、意識が飛ぶ。
 がくがくがくがくがくっ。電流でも流されているかのように体が痙攣している。
 美しい顔は鼻水と涙と涎にまみれ、見るも無残なものだ。
 エメラルド色の瞳も白目を向いて―あさましい雌犬のよう。
(あー、しゃせー、されてますぅ…♪)
 びちゃびちゃと子宮のアドニスに精液が吹きかけられる。
「あはぁぁぁあぁぁぁぁぁぁっっ…♪」
「にゃあぁぁぁぁぁぁぁんっっ♪」
 種子を中心に性感が発達しているらしい。
 ねばねばとした熱いスペルマの感触を受けるたびに、腹の奥が甘く蕩ける。
 その感触があまりにも心地良い。
 アドニスの種子と同調した心と体が、膣内射精こそが最大の幸福であり快楽だと自覚する。
 舌を突き出して涎を垂らす淫魔もさぞかし気持ち良さそうである。
(もう、どうなってもいいですぅ)
 人間でなくなっても構わない。こんな快楽に、元から抗える訳などなかったのだ。
 ぶしゅぶしゅと潮だか小水だか分からないものが二人の腰周りを汚している。
 自分の粗相か淫魔の粗相か。きっと両方だろう。
 キツイ雌の発情臭にアンモニアの臭い、それと淫魔と寄生植物の催淫臭が混じる。
 脳が、心が、犯される。侵蝕される。
「あはぁ♪ エッチ、気持ちよかったよね♪」
 良かった。これ以外何もいらないほど。
 耳朶を打つのは淫魔の声。その声に、はいぃ、と素直に答える。
「うん♪ それでいいの♪ その調子でどんどんエッチしてね♪
 きちんと出来れば、父様と沢山エッチさせてあげるから♪」
(グリーズ様と…?)
 あの人と、こんな激しい交わりを出来る。
 それはきっとこれ以上ない幸福だろう。
 その時、この身は人間のものではなくなっているかもしれないが、別に構わない。
「ふふふ。それじゃ、そういう事だから、次のステップに移ろうかな♪
 ―よっと。ちょっとどいてね♪」
 淫魔に覆い被さっていたこの体を、優しく退かされる。
 あれだけ激しい交わりをしたのにも関わらず淫魔の体力には余裕があるようだった。
「ふふふ。何言ってるのクロトさん?
 リオのザーメン、あんなに搾り取ったんだからクロトさんもまだまだ元気な筈だよ♪」
(……え…?)
 靄が掛かったような思考の中、体を動かしてみる。
 クロトの体は、気だるく、溶けて無くなりそうな絶頂の余韻が体を支配している。
 だが、腹の底には、熱い精の感触が残っており、そこから力が漲ってくる。
(あ…ほんと…だ…まだまだ…私動ける…)
 横たわっていた体を起こす。
 びゅるうぅ、と子宮の中から精液が逆流して、腰周りをどろどろに汚した。
(……エッチ、したいかも…)
 体が動くと分かれば性的欲求が再び溢れ出してくる。
 アドニスの種子がもっと精を集めろ、と訴えかけてくる。

268:永久の果肉7 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:31:31 18Na2GZG
 そうすれば、更なる快楽を与えてやろう―と。
「リオ様ぁ…私ぃ…」
 自分でも驚くほどの猫撫で声が出た。
 これが先程まで処女だった女か。自慰も知らなかった乙女か。
「分かってるよぉ♪ まだまだシ足りないんだよね?
 でも安心して? 相手はまだ三人も居るよ♪」
 ぱちん、と淫魔が指を鳴らす。
 うぅ、と呻き声を上げて二人の結界術士、それに見張り番の男が一人、目を覚ます。
「……あぁ…♪」
 また、あの快楽が味わえる。子宮に、精を受ける事が出来る。
 淫らな期待に胸がときめき、じくり、と膣から雌の汁を絞り出す。
 立ち上がり、ふらり、と幽鬼のような足取りで男達に近付く。
「……え? く、クロト様っ!?」
「…あ? な、何だっ! どうなってるんだ!?」
 正気に戻った男達がこちらに気付き、次々と驚きの言葉を投げかけた。
 顔を真っ赤にして、この裸身に見とれる男達の反応がとても愛しく思える。
「……何も考えないで? 皆で気持ちよくなりましょう?」
 淫魔の精を吸い、急激に成長したアドニスが催淫香を吐き出す。
 それはリオの催淫香と混じり、濃度を上げ、男達からあっと言う間に理性を削りとっていく。
「私の事、皆さんで沢山犯してくださいね…♪」
 尻を男達へと向け、指で自らヴァギナを割り開く。
 肩越しに男達に流し目を送る。
 
 魅了の魔術を掛けられていないにも関わらず、その瞳は虚ろだった。

 ***

「あっ…♪ んっ…♪ あんっ♪」
 城壁内の居住空間にて、女の嬌声が響いていた。
 内部は濃密な雄と雌の発情臭で満ちており、素面の人間ならばむせ返ってしまうだろう。
「にゃっ♪ クロトさんもっ―にゃんっ♪ 上手になってきたね♪」
 結界術士の男の上に跨りながら、同じように騎乗位で精を貪るクロトを見やる。
 銀髪の女は見張り番の男に跨り、気持ち良さそうに腰を振っていた。
 上下左右前後。右に回転。左に回転。緩急をつけ、捻りを加える。
 その動きは男の精を搾り取り、快楽を貪るメスのものだ。
 やや童顔気味のその顔も、今では官能に蕩け、だらしなく弛緩している。
(ふふふ。もうすっかりエッチの虜になっちゃって♪ 可愛い♪)
 心を覗けばクロトはもう快楽を得る事しか考えてない。
 アドニスの種子に精神を支配されてしまったようだ。
 ―と、突然自分がくわえ込んでいたペニスが精を放った。
「にゃぁぁぁうっ♪」
 びゅるびゅると子宮に注がれる熱い感触に甘い声を上げる。
 軽く達し、全身が痺れ、蕩けるその余韻にどっぷりと浸る。
(にゃぁ、でもこっちの人はそろそろ限界かなぁ?)
 腹に注がれた精は、薄く、水っぽい。
 精を放った男の頬は痩せこけ、口の端から泡を吹いていた。
 クロトの下になっている男も同様の状態だ。
 そしてすぐ脇には既に精を搾り取られ、意識を失った結界術士が一人転がっている。
(まあ、こんな可愛い女の子二人と何回もエッチ出来て幸せだったよね♪)
 こっちもお腹いっぱいになって幸せだ。
 二人の男に、ちゅ、と感謝の気持ちを込めて頬にキスをした。
「さってと。そろそろ動こうかな」
 立ち上がり、肩をぐるぐると回す。
 クロトと二人で三人の男から精を吸収し、淫魔の力は更に強大になっている。
(この街をアドニスで埋め尽くす。それくらい、ほんとに出来る気がする♪)
 だが自分は知っている。リビディスタに住む父と母はこと戦闘ではほぼ無敵だ。
 一人一人の能力も高いが、コンビを組んだ二人と戦う事になろうものなら勝ち目はない。
 せめて、どちらか片方をおびき出し、戦力を分断しなければ。

269:永久の果肉7 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:33:02 18Na2GZG
 こちらの戦力は少ない。一対多の戦闘は避けられないだろう。
 そう言えば森で出会ったメデューサは三人の騎士達とどうやって戦ったのだろうか。
(―あ。いい事思いついた)
「クロトさん? ―おーい、クロトさーん?」
 絶頂に達したらしい。恍惚としたクロトに声を掛ける。
 彼女は暫く体を痙攣させた後、虚ろな瞳でこちらを見た。
「……? リオ様ぁ? なんでしょうかぁ?」
「ここの結界、クロトさんで操作出来るよね?」
 元々結界術士達は落ちこぼれの仕事だ。
 専門的な知識も大なり小なり必要だが、クロト程の使い手なら問題ない。
「…はいぃ。出来ると思いますぅ」
「うんっ。それなら城壁の結界、片っ端から解除していって♪」
 アレエスを包む結界は六つの区画に分かれており、それぞれが独立している。
 城壁の内部にて所定の魔術を発動する事で、それらの解除、増強を行うのだ。
 もし、それらの結界が全て解除されればこの街はどうなるか?
 きっと森の中の魔物達が雪崩れ込み、街は混乱するだろう。
 だがここにはリビディスタの屈強な戦士達が居る。きっと崩壊するような事はない。
 いや、してもらっては困る。そう、魔物達には、戦士達の気を引いてもらえればいい。
「はいぃ。お任せ下さいぃ。リオ様ぁ」
 虚ろな瞳でクロトが微笑んだ。
 忠実な僕を手に入れて、リオも邪悪な笑みを浮かべる。
(あ、そうだ。一回外に出て、森の魔物さん達に報せてこよう♪) 
 結界を内側から無効化する、と森で言い触らせば魔物達はこぞって街へと集結するだろう。
 さっきのメデューサをもう一度見つけて話をしてみるか。
(ふふふ。これでアレエス陥落も夢じゃない)
 ただ、事を急いでもしょうがない。
 時間はある。ゆっくり、確実に、外堀を埋めていくのだ。
 ふと浮かんだのは、犬のように人懐っこい、メイドの女の子。
 その子の笑顔を、快楽で無茶苦茶に歪むところを見たくなった。
(パセットちゃんがアンアンよがり狂うところも、見てみたいなぁ♪)
 魔物達が集結したら次は屋敷だ。パセットを皮切りにメイド達に種付けしてやろう。
 そうだ。アドニスの種を産み付けてからありったけの魔力を注げばいい。
 そうすれば種子の成長も早くなって、すぐに他の女を犯すようになる。
 屋敷の中のメイド達は仲間を犯し、すぐにアネモネだらけになるだろう。

 そして、最終目標は、あの女。
 大切な唯一無二の友人を利用し、この身を毒殺しようとしたあの人でなし。
 あの、血も涙も無い女に復讐するのだ。

「ふふふ。待っていて下さい、義母様?
 もう少ししたら、その首、貰いに行きますから♪
 あは、あはははははははははっっ!!」

 リオは血の繋がらない母の顔を思い出し、狂った笑いをあげた。

270:乙×風 ◆VBguGDzqNI
10/03/22 18:35:08 18Na2GZG
 以上で七話終了です。
 誤字脱字絶対ある筈なので見つけたら報告をお願いします。

 最近、股から生えた触手チンポとふたなりペニスとどっちがエロイのかと悩んでいます。
 触手チンポをアソコから生やした方が寄生モノらしいとは思うのです。
 が、チムチム化した陰核は、なんというか想像しやすいというか生生しいと思うのです。
 グロテスクな化け物の器官。
 女に生えるチムチム。
 どっちも捨て難い。まあ両方しちゃえばいいんですが。
 何の話だこれ。まあいいか。しかもなんとなくデジャビュが。

 最近空と此処以外にろくな寄生要素が無いのが残念です。
 児ポがどんどん改正されるせいで最近は鬼畜なゲームもどんどん減ってる気がします。
 モンスターパークっていうエロゲにオニャノコのクリに寄生してフタナリ化とか。
 他にも子宮に寄生して中で延々と振動する虫とか。
 っていうのがありましたがそれも去年の末のゲーム。
 何か他に真新しい寄生モノないですかねー。

 あ、そうだ。次回予告忘れてました。
 取り合えずエロ無さそうです。今回濃かったので勘弁して下さい。
 リオを探しに森に入ったマリオンがネーアと遭遇してマジ切れするお話?
 珍しくバトルばっかりになる予定です。 
 
 それでは今回はこの辺で。

 YOHJO☆BAN☆ZAHHHHI!!


271:名無しさん@ピンキー
10/03/22 18:45:47 r5bbsnod
投稿をリアルタイムで読んじまったよ、ごちそーさまでした GJ!!


272:名無しさん@ピンキー
10/03/22 19:57:09 RbcVrNSu
今日も神が巡礼して下さった・・・
お疲れ様です
クロトさんが無事堕ちたので安心しました
もう心残りなど・・・
あります!! 続き期待です

273:名無しさん@ピンキー
10/03/22 20:39:00 bdqAHCEd
>>270
堪能させていただきました。
>股から生えた触手チンポとふたなりペニス
好みとしては前者ですが、後者には「入れるのと入れられるのを同時に出来る」という
機能的な優位点があるので捨てがたいですね。今回のシチュなら
クロトと結界術師を同時に…なんて使い方も出来ますし。

274:名無しさん@ピンキー
10/03/22 22:26:20 fLYuBFDh
ちょうどいいタイミングで来てた!GJ!!
ネーアさんはこの暴れっぷりに対してどう思ってるんだろうかwktk

ふたなりの方が扱いやすそう(?)で感覚も直結なイメージかなぁ
いや、触手も神経同化とかで馴染めばそうかもしれないけどw
玉のないクリペニスは見た目が妖しい感じになるので好きです
なんとなく『ふたなり+触手+淫魔尻尾+猫尻尾』の4人責め想像したけど、流石にこれは多すぎる…かな?

275:名無しさん@ピンキー
10/03/22 22:42:04 gmcYCeHf
リオに猫耳が生えた時からパセットのくせっ毛が猫耳になるフラグだと思ってたが今回を読む限りなさそうだな
猫耳スキーなのでちょっと残念

しかしリオは姉のことどう思ってるのかな…妬ましく思ってるんだろうか

276:名無しさん@ピンキー
10/03/22 22:55:55 gAf1bpv/
パセットは犬っぽい気がする
リオにとっての姉は何考えてるか分からないけど尊敬してる人
だったんだろうけど歪んでそうだからその辺も期待

乙×風さん乙でした
乙が二つ並ぶのが少し不思議

277:名無しさん@ピンキー
10/03/26 16:12:27 iNsJMbjy
tst

278:名無しさん@ピンキー
10/03/27 00:29:43 uhwkNS1m
ネーアさん見つけた
URLリンク(monster-girl.homelinux.net)

279:名無しさん@ピンキー
10/03/27 14:00:14 2QNLoNCy
>>278
まさかこのスレでこの絵を見る事になるとは。

280:名無しさん@ピンキー
10/03/27 17:31:10 M5ygg4tu
SO2の漫画でMCしてた子に似てる

281:乙×風 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 17:56:11 euBGPUwC
 今日もロリータデイがやってきました。
 最近れでぃ×○と!とか幼女の裸をプッシュする番組が多くて大変よろしい。
 でもみみなちゃんのチクビまで見せるのはどうかと思うよ!! 嬉しかったけど!

 はい。自重します。チラシの裏にでもって奴ですね。スレ違いだし。

>>278
 何この娘可愛い。ハグされたい!!
 葉っぱやら何やらで大事なところが見えない所がかえってエロスですな。
 補足ですが、アネモネになると人だった時の足は無くなります。
 下半身=花本体、みたいな。
 そういう意味ではデビルメイクライ4のエキドナさんに近いか。
 あ、そういえば、キメラシードって寄生要素かw
 デビクラでエロSSは何か違う気がするけどw

 さて。今回投稿分はエロシーン無しです。ごめんなさい。
 内容はサブタイトル通り。NGワードは、

(エロ無し、バトル多め)
 
 戦いの末に友情が生まれるかもしれません。なんという少年漫画。
 そんなノリですが、それでもよろしければどうぞ。
 以下、15レス消費します。

282:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 17:58:17 euBGPUwC
 第八話  ネーアVSマリオン


 マリオン=リビディスタは森の中を駆けていた。
 日は昇り、太陽光が木々を縫って真下へと降り注いでいる。
 早朝、リオが居なくなってから五時間程度が経っていた。
 魔物が闊歩するこの森で、五時間もの間生存出来る可能性は、低い。
(―おかしい)
 そこでマリオンはふと気付いた。
 森の中に足を踏み入れてから二時間程度経つが、今まで一匹も魔物と遭遇していない。
 偶然なのか、それとも何か理由があるのか。
 マリオンは脚を止め、意識を集中し、探索魔術を展開する。
 青い魔術陣が足元から展開し、その余波で茜色のマントが揺れる。
 探索魔術の範囲は半径300メートル程度。
 その範囲内に存在する人や魔物の気配を捉える事が出来る。
 熟練の魔術師ならもっと広範囲に渡って探索を掛ける事が出来るのだが。
(こんな事なら、もっと探索魔術の勉強をしておけばよかった…っ)
 マリオンの魔術は攻撃と強化に特化している。
 高等と言われる転移魔術すら扱えるので、魔術師としてはむしろ優秀だ。
 母から施されたスパルタ教育の賜物と言える。
(でも、どれだけ強くてもっ、これじゃ意味がない!)
 大切な妹を守る為に力をつけた。だがその守るべき対象が居なくなってしまったら。
 自分は何の為に今まで生きてきたのか。
(―? 強い魔力反応がある)
 探索魔術の範囲ぎりぎりの所で覚えのある魔力反応を感知した。
 これは―あのアネモネの反応だ。
 アネモネの撃破は、ヘスペリスとしての任務だ。放っておく訳にはいかない。
(でも、今は)
 今はリオを見つけ出すのが最優先だ。アネモネはお呼びじゃない。
 しかしそれにしてもこのモンスターは見つけ易い。
 アネモネは催淫ガスは人間を引き寄せるだけではない。
 獰猛な魔物を遠ざける効果があるのだ。これは最近判明した事である。
 今までも、探索魔術でモンスターの少ない所を探し出す事で、アネモネを追跡したのだ。
(この辺りに魔物が少ないのはあのアネモネのせい―あ…)
 ちょっと待て。
 と、いう事はこの辺りは、森の中で唯一『人間にとって最も安全な場所』という事では。
 最後の望みが見えた気がした。
 マリオンは探索魔術を切り上げ、アネモネが居た方向へと走る。
 木々の密度が増し、徐々に視界がピンクの靄で染まる。
 走りながら防御魔術を展開し、催淫ガスを防ぐ。
 リオが生きているかもしれない。
 だが楽観視も出来ない。アドニスの種を植え付けられている可能性もあるのだから。
(いや、大丈夫。定着するほど、まだ時間が経ってない。今なら間に合う)
 アドニスの種子を分離する術はこの二百年の間である程度研究が進んだ。
 完全にアネモネ化していない限りは、人間へと戻す事が出来る。
 精神や肉体―主に子宮を中心に少なからず後遺症は残るが、社会復帰も可能だ。
「―いた」
 木々のカーテンが途切れる。
 視界が開けたその先は、小さな泉だ。
 その端で、蕾上となった肉の花が鎮座していた。
 脚となる触手を泉に浸し、水分を吸収しているのか。
 そう言えばここは日当たりもいい。植物らしく光合成でもしているのだろう。
(―寝ている?)
 ゆっくりと近付けば花の様子を観察する。
 しゅうしゅうとガスを撒く花は、人が呼吸するように一定の間隔で膨らみ、萎む。
 足元の触手は微動だにしない。
(リオは―居ない、か)
 探索魔術を使って辺りを調べるが泉周辺にはこのアネモネしか存在しない。
 そしてアネモネの魔力反応が強すぎてその中に人が居るかどうか判別は出来なかった。

283:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:00:51 euBGPUwC
(花びらの一枚でも切り取って、中を覗いてみよう)
 気分としては散々引っ掻き回されたので一刀両断でもしてみたい。
 だが中にリオが居る可能性がある以上、そんな事は出来なかった。
(起こさないようにしないと)
 目が覚めたら、中に居るリオを人質に取られる可能性もある。
 マリオンは腰の鞘から愛用のサーベルを引き抜いた。
 刀身にやや反りがある、細身の剣だ。異国の地にカタナと呼ばれる類似種があるらしい。
 マリオンはゆっくりとアネモネに近付く。
 動作は一瞬だ。花弁の根元に剣を突き刺し、切り裂く。
 中を覗いてリオが居るなら素早く取り戻して、すぐに転移魔術を起動。森の外へと、

『んふふ。いいわぁ。リオのぷにぷにお肌。病み付きになりそう♪』

 閉じた花から、声が聞こえた。
『肌だけじゃない。この匂いも、その声も。だいすきよぉ♪
 あたし、もう貴女を絶対に手放さない♪』
 ぎり、と剣を持つ手に必要以上の力が篭った。
『ほらぁ。リオもいいでしょう? 気持ちいいでしょう?
 アネモネの触手、癖になるでしょう? いいのよ? 好きなだけ味わって?
 そしてエッチな声をあたしに沢山聞かせて? んふふ。んふふふふっ』

 ぶちん。自分の血管が切れる音を聞いた気がした。

 強化魔術発動。サーベルを納刀し、ロッドを両手で持つ。
 足元で魔術陣が浮かび上がり、淡い光がマリオンの両手を包み込んだ。
 光が晴れれば白いグローブの上にびっしりと魔術文字が浮かび上がる。
 強化魔術の作用を表すそれは魔術文字の密度が濃ければ濃い程威力も比例する。
 そしてマリオンの二の腕は魔術文字の光で真っ白に埋め尽くされていた。
 これがどれくらいのものなのか―5メートル程度のゴーレムと殴り合いが出来る程度だ。

「死ね」

 両手で握り締めたロッドをフルスイング。
 渾身の力を込めてにっくきアネモネに怒りの一撃を、

「―っ!?」
 足元の触手が急になぎ払われた。
 こちらの胴を狙う横薙ぎの一撃だ。
 しかしそれも牽制のつもりだったらしく、威力も、速さも大した事はない。
 反射的に身を翻らせ、距離を取ってかわした。
「―寝込みを襲うとは、やってくれるじゃない」
 着地し、眼前を見据えた瞬間、肉の花が咲いた。
 ぐぱり、と音を立てて四つの花弁が割れる。
 中から現れたのは豊満な肉体を持った浅葱色の肌の女。
 何度も苦汁を舐めさせられた、アネモネだ。
 ―そう、花肉の中にはアネモネしか居なかった。
「ってあら? また貴女なの? いい加減しつこ、」
「リオは何処」
「え? 何、貴女リオの知り合いなの?」
「質問に答えて」
「は。最近の子供は礼儀がなってないわねぇ。それが人にものを頼む態度なのかしら?」
「人が相手なら、敬意は払う。でも貴女はモンスター」
「あら。あたし、これでも中身は立派な乙女よ♪」
 ウィンクをするアネモネに向けてロッドを突きつけた。
 魔力を収束させ、いつでも雷撃の魔術を発動できるようにする。
「私、そういう冗談は嫌い。もう一度だけ聞く。リオは何処」
 こちらの心中を察して、アネモネは大袈裟に肩を竦めた。
「さあねぇ。何処に居るかまではちょっと分からないわ。
 まあでも何をやっているかは想像つくけど?」

284:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:02:26 euBGPUwC
「何を、やっているか?」
「分かってるでしょう? あたしはアネモネ。リオは人間。
 アネモネに魅了された女の子がどうなるか」
「種子を、植え付けたのっ?」
「それがあの子の望みよ」
「え?」
 今、何と言った。
(リオが、望んだ?)
 自ら、進んでアドニスの種子を受けれた? そんな馬鹿な。
 あの子は優しくて、臆病な子だ。
 魔物に襲われて、犯されて、そして自らも魔物へと変わる事を、恐れない筈がない。
「嘘。リオに限って、そんな事ある筈ない」
「は。笑わせるじゃない。貴女にリオの何が分かるのよ」
「分かる。だって私はリオのお姉さんだから」
 そうだ。リシュテアの意思を受け継ぎ、あの子を守るとあの日誓った。
 そしてその為に強くなった。
 厳しい父と母の教育にも耐えて、ヘスペリスになり、過酷な任務をいくつもこなした。
 その間、リオの事を忘れた事など一度もない。
「貴女の言う事なんて信じない。きっとガスのせいでリオはおかしくなった。
 だからアドニスの種子を受け入れた。そうに決まってる」

「貴女、救いようのない馬鹿ね」

 心底呆れたような声だった。
 いや、その表情の奥底に、別の感情が垣間見える―それは、怒り。
「モンスターに説教される謂れはない」
「あっそう。丁度良かったわ。話し合いの通じる相手じゃないな、って思ったところよ」
「化け物と話す舌なんて持ってない」
「それは残念だわ。あたし貴女の妹さんとは楽しくお喋りしたのに」
「嘘。そんな筈ない。貴女は卑怯。リオの事を話して、私を混乱させようとしている」
 だったらもう言葉はいらない。
「リオを探すつもりだったけど、もういい。先に貴女を始末する」
「やれるものならやってみなさい。でも泣いても謝っても許さないわ。
 貴女みたいな分からず屋の頑固者は一度きつーくお灸を据えてあげなきゃね?」

 骨の一本や二本、覚悟しなさい。

 そう、アネモネが宣言すると同時に、ロッドから紫電を放った。
 不意打ち上等。問答無用の四連射。
 それらを大した狙いも付けず、巨体に向けて放つ。
「ふん。おざなりな攻撃ね」
 避ける気もないのか、四つの雷撃は四本の触手に迎撃され、消滅する。
 だがそれは只の牽制。次弾を放つ為、注意を逸らしたに過ぎない。
 ロッドに収束させていた魔力のストックはまだある。
 次は計八発の雷撃を生み出し、放つ。
 ばじばじ。空気が爆ぜる音を響かせ、紫電の矢がアネモネを襲う。
「数撃てば当たるって? 芸のない攻撃ね」
 触手が再びなぎ払われ、五つの電撃が消滅した。
 残る三発はかすりもしない。雷撃をわざと拡散させたのだ。
 そのせいで一発はアネモネの上方へと逸れ、一発は森の奥へと吸い込まれる。
 だが最後の一発は違う。
 適当に撃った七発の雷撃に交えて、こちらは狙いを定めていた。
 魔術の集弾率を広げ、あたかも適当に打ったと見せかけて。
 最後の一発、その狙いは、泉の水面。
「―っ!?」
 アネモネがこちらの意図に気付いた。が―遅い。
 彼女が、泉に浸した触手を水面から引き上げるよりも早く、雷撃が水面に着弾した!

285:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:04:09 euBGPUwC
「きゃあぁっ!!」
 悲鳴を上げ、アネモネが体を仰け反らせる。
 だがダメージ自体はそれほどではない。魔力をセーブし威力を搾ったのだ。
 次の一撃で終わらせる為に。
 ロッドを放り出し、腰のサーベルに手を掛ける。

 何故愛用の剣が『サーベル』なのか、勿論理由がある。
 魔術と剣術の両方を体得する為、マリオンはとある近道をした。
 魔術にしろ、剣術にしろ多種多様な種類があり、戦術がある。
 魔術なら攻撃、防御、回復、補助、探索。
 剣術にしてもそうだ。そもそもどんな剣を使うかで覚えるべき技術も変わる。
 女の細腕と低い体力で切り合いをするならば、速度と技術に特化した短期決戦しかない。
 マリオンは父と母と共に考えた。
 父の戦士としての才能。母の魔術師としての才能。
 それら両方を生かす為に、娘にどんな戦闘スタイルを身に着けさせるべきか。

 結果、魔術にしろ剣術にしろ、汎用性を切り捨て、たった一つの戦術を極めた―

 剣の柄に手を添えたまま、アネモネに肉薄する。
「っ、このっ、小癪なまねをっ」
 ダメージから回復したアネモネが触手を繰り出す。
 その瞬間、体内にストックして魔力を開放。転移魔術を発動させる。
「っ!?」
 そして転移先は、目標を失い、混乱するアネモネの真後ろ。

 ―マリオンの戦術は実にシンプルだ。
 攻撃魔術はあくまで牽制。敵の注意を引き付け、本命を叩き込む為の布石。
 ダメージを与え、弱らせる事も目的ではあるが、それで終わらない時もある。
 本命は剣による直接攻撃。
 しかし、女の腕では限界がある。
 スピードによるかく乱も、緻密な技術も、通じるのは人間同士の決闘だけだ。
 こと魔物相手には兎に角、威力だけが求められる。
 そして女の力では限界がある。
 それ故の強化魔術だった。筋力を上昇させ、一撃必殺を狙う。
 そしてその戦術に最も適正な剣はサーベルだ。
 レイピアのような『突き』に特化した剣では威力が足りない。
 ロングソードのような『叩く』に特化した剣では技術が生かせない。
 剣神の血より与えられた技術と速さを生かす為には『切る』事に特化した剣が良い。
 その為の『サーベル』―

「転移魔術!?」
 勘の良い魔物はすぐにこちらの居場所に気が付いた。
 体を捻り、触手を繰り出す動作に入り、

 サーベルが抜き放たれた。

 きいぃぃん。
 抜刀の余力で刀身が鳴り響いていた。
 真上から降り注ぐ陽光を浴びて、きらきらと輝いている。
 振り抜いた曲剣はアネモネの胴体の左側から右側へと横一文字に『通り抜けている』。

 ―魔術で体勢を崩した相手に近付き、強化した膂力にて必殺の『居合い』を放つ。
 それこそがマリオン=リビディスタのスタイル。
 戦士であり、魔術士である彼女の、常勝の戦術だった。

 サーベルを振り、アネモネの体液を刀身から払う。
 勝負はついていた。アネモネは動かない。
 マリオンは背中を向け、サーベルを鞘に収める。

286:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:05:27 euBGPUwC
 ―きん。
 鞘に刀身が完全に納まった瞬間。 
 ずり、と生々しい音を立ててアネモネの体が横へと『スライド』する。
 構わずにマリオンは歩き始めた。
 ぐちゃり、と背後で熟れた果実が潰れる音が響く。
 彼女がどうなったかなど、見るまでも無かった。
(余計な時間を取られた)
 リオの生存は確認出来たが、本人の顔を見るまではまだ安心出来ない。
 今頃は、体内のアドニスに操られるまま男と交わっているかもしれないからだ。
『いや、アソコ、疼いてっ、止まらないっ、助けてぇ! 切ないよぉっ』
「……ぁぅ」
 乱れる妹の姿を想像して赤面してしまう。
 アネモネを追撃している間、種子に犯され、正気を失った女性を何人も見てきたのだ。
 その被害者達の顔が、リオと入れ替わり、あられもない声を発している。 
(何考えてるの私っ)
「まだまだ、安心出来ない。これから、なんだから」
 そうだ。見知らぬ男とセックスするなんて、絶対認めない。
 もし、もうしていたら、その男も両断してやる。
 今切り捨てたアネモネのように。

「そうね。これからね」

「っ!?」
 背後から聞こえた声に驚き、振り向く。
 左腰のサーベルに手を掛け、腰をやや落とし、いつでも迎撃出来る体勢を取った。
「びっくりしたわぁ。振り返った瞬間に―ばっさり!
 剣筋が全然見えなかった。『切られた!』って気付いたのも貴女が背中を向けてからだし」
 ずりりりりり。
 肉を引きずる音を立てながら、花弁の上で触手が蠢いている。
 上半身と下半身の断面から細かい触手の束があふれ出し、繋ぎ合っているのだ。
(再生している?)
「でも残念。『切断』じゃ、あたしは殺せないわよ?」
 再生を終えたアネモネが、腰に手を当てて胸を張る。
 浅葱色の艶かしい肌にはもう傷一つ付いていなかった。
 得意の居合いは通用しない。
 しかも必殺の一撃は不意打ちである事が大前提。敵も二の轍は踏まないだろう。
(だったら、焼き殺すっ)
 サーベルを抜き放ち、雷撃の魔術を付与する。
 下手な飛び道具は通用しない。剣を通して、直接雷撃を叩き込むしかない。
「今度はちゃんと殺す」
「そう? まあ頑張って頂戴」
「舐めるなっ」
 遠距離から抜き身のサーベルを振りぬく。 
 魔力を帯びた高速の斬撃。それは雷撃を纏いながら敵を両断する剣圧となる。
 それも低い位置から横一文字に放った一撃だ。
 体の大きいアネモネには避けられる筈もない。
 当たれば、ダメージ。防がれれば距離を詰め、剣による直接攻撃を行う事が出来る。
 どちらにしろ、こちらが優位になる流れを生み出す事の出来る一手だ。
 だが、
「よっ―こらせぇ!」
 だむっ! 大地を震わす衝撃音。
 それと同時にアネモネの巨体が宙を舞った!
(なんて出鱈目っ)
 飛び上がったアネモネの足元を剣風が通り抜ける。
 予想外の行動に対応が遅れた。マリオンはその場に立ち止まり上空のアネモネを見据える。
 巨大な影が、足元に落ちる。アネモネは真上だ。
(迎撃するっ)
 ワイバーンやハーピーを両断した経験もあるのだ。

287:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:07:00 euBGPUwC
 巨大な的が、向こうからやってきてくれるのなら、むしろ好都合というもの。
 剣を再び鞘に収め、居合いの構えを取る。
「ネーアスパイラルシュートぉ!!!」
(変な名前!) 
 心の中で即座に突っ込んだ。
 アネモネは花弁の下の触手を螺旋状に束ね、自らの体も錐揉み回転させ、こちらに急降下!
 直撃を受ければ、マリオンの使う下位の防御魔術では防ぎきれない。
 だが問題ない。こんな直線的な攻撃、すれ違いざまに切り抜けばすむ事だ。
 タイミングは体が覚えている。ミスなどしよう筈も、
「―カッコ嘘!」
(えぇ? 嘘? 嘘なの?)
 何が嘘なんだろう。ネーアスパイラルシュート? 名前が嘘なのか?
 それとも何か別の意味があるのだろうか。

 唐突に足元がぐらついた。

「っ!?」
 ぼこり、と地面が波打ち、次の瞬間下から何かが飛び出してきた!
(これはっ、!? 木の、根っ!)
 反射的に飛び退き、下からの不意打ちを紙一重で回避する。
 アネモネのドリルキックの軌道から僅かに逸れ、居合いの間合いからも離れた。
 カッコ嘘、とはドリルキックが本命では無かったという事か。
「続けて『触手の檻』!」
 まだ何かあるのか。多芸なアネモネだ。
 頭上のアネモネから触手が凄まじい勢いで延びる。
(取り囲むつもり!?)
 ずむ! ずむずむずむずむずむ!
 こちらを包囲するように触手が地面に次々と突き刺さる。
 気が付けば頭上に、アネモネの本体が。
(好都合)
 こちらを包囲したという事は、どこに攻撃しても当たるという事だ。
 だが剣を警戒しているのか触手の包囲は思ったよりも広範囲だ。
 半径五メートル程だろうか、剣の間合いよりもかなり遠い。
 ならば、と防御魔術に割いていた魔力を使い、雷撃の魔術を展開する。
 あとは何処でも良い、この魔術を放てばこのアネモネは黒焦げだ。
 そして動けなくなった所をじっくり料理してやればいい。
「私の勝ち」
「いいえ。貴女の負けよ」
 ハッタリに耳を貸す気は無かった。
 頭上のアネモネ本体に向けて、中位の雷撃魔術を放つ。
 それとほぼ同時にアネモネの真下、つまりマリオンの頭上に蒼の魔術陣が展開された。
 下位の攻撃魔術だ。別段珍しい事ではない。
 人型や知性を持った魔物なら人間の使う魔術の真似事くらい出来る。
 強大な魔力を持ったこのアネモネならおかしくはない。
 だが中位の雷撃を迎え撃つのに下位の攻撃魔術では打ち勝てない。
 相殺し、こちらが押し勝てる。

 そう思った瞬間。頭上の魔術陣から『大量の水が零れ落ちてきた』。

 しまった、そう思った時にはもう遅い。
 火事の時に使用される放水の魔術だ。付近に水場があれば、威力も上昇する。

 ばちばちばちばちばちっ!!

 雷撃が、流れ落ちる大量の水に押し返され、こちらに牙を向いた。
 バケツをひっくり返したような水が、防御結界にぶつかり、魔力同士で摩擦を起こす。
 自ら放った雷撃が、水を通してこちらの防御魔術を削り取る。
 雷撃に使用した魔力は防御魔術のそれよりも遥かに多い。

288:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:08:43 euBGPUwC
 慌てて防御魔術を補強しようと魔力を集中させるが―少し遅かった。
 防御魔術が耐久限界を超え、砕け散る。
 と同時に全身に大量の水が降り掛かり、感電した。
「…っあ、あぁっ…! あぁぁあぁっ…! ―あぁぁっ!!」
 電流が全身を焼く。
 救いだったのは、水を通した事で威力が大幅に減衰していた事だ。
 防御魔術と相殺し合った分も含めて、人を殺す程の威力は無かった。
(……何て、無様…)
 だがダメージは少なくない。
 アネモネと戦うどころか、剣を握る事すら出来ないくらいだ。
「……リオ…ごめんなさい…」
 呟き、その場に倒れ付す。
 視界がぼやけ、脳が働かない。
「殺す、なんて言った割には呆気無いものね」
(…うるさい)
「貴女、腕はいいのに単純なんだから、行動が読み易いわ。まだまだ半人前ね」
(うるさいっ)
「雷撃の魔術なら私の触手にでも撃てばダメージは通るのに、貴女はそうしなかった。
 わざわざ私の胴体を狙って真上に魔術を放った。
 それって、心の贅肉よ? 触手に撃てば、カウンターの放水も威力が落ちていたのに」
 放水という性質上、それは重力に従い落下する。
 さっきのネーアの反撃は、マリオンが真上に向けて雷撃を放つ事前提の作戦だったのだ。
(そんな事、言われなくても分かってる!)
 そうだ。雷撃は感電という便利な特性があるからマリオンも好んで使っているのだ。
 硬い鱗や、鎧を着込んだ敵にもダメージを与えられる。
 剣に付与する事で接近戦でも優位に立てる。
 だがこのアネモネを相手にしていると、すぐに頭に血が上ってしまう。
(どうして…?)
 切れやすいのは性格と分かっているが、このモンスターはそれを差し引いても―苛つく。
 その態度や仕草が、癇に障る。
 いや、それだけではない。何か、何かあるのだ。
 さっきこのアネモネと少し会話をして―駄目だ、上手く言葉に出来ない。
 何か、気付きかけている。
 だがそれは、喉に引っ掛かった魚の小骨のように、あと少しのところで出てこない。
「リビディスタっていうのはそんな人間ばっかりなのかしら?
 強くなる事だけを考えて、本当に大切なのがなんなのか、気付いていない」
 触手が体を拘束する。
 剣を取りこぼし、花弁の上へと引き上げられた。
 待ち受けていたのは、眉根を寄せて、こちらを睨むアネモネの女だ。
「ねえ? 貴女さっき言ったわよね? 自分はリオのお姉さんだって」
「…だから…なに…」
「少しでも、あの子の気持ちを考えた事はあるの?」
「あるっ、あるに決まってるっ…」
 リオは健気な子だった。
 厳格なリビディスタの家で育った彼女は我侭を言わない、素直な子になった。
 物心付いた頃。自分の髪や瞳の色が他人と違う事に気付いた。
 そして、自分がリビディスタの家に歓迎されていない事も。
 父は無関心。義母は赤の他人どころか、仇を見るような目でリオを見た。
 次第に、リオは世話係のパセットしか心を開かなくなった。
「リビディスタに居ても、リオは幸せになれない。
 だから私は、強くなって。父様と母様に認めてもらって。お金を稼いで。
 屋敷からリオを連れて出て行こうと思ったっ」
 それが、十二年前リオの母リシュテアと交わした約束だ。
 その約束があったから、父と母の厳しい教育にも。
 そしてヘスペリスの任務にも耐えてこられた。
 マリオンは目前のアネモネを睨み付けた。
 剣は無くても、体がいう事を利かなくても、戦う意思は残っていた。
 視線が交錯する。 

289:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:10:10 euBGPUwC
 それは一瞬か、それとも永遠か。
 何十秒と続いた睨み合いの末、先に引いたのは人外の赤い瞳だ。

「この、分からず屋ぁっ」

 ばちいん! と、張り手が炸裂した。
 叩かれたのは無論、身動きの取れないマリオンだ。
 が、何故叩かれたのかが理解出来ない。
 自分はリオの為を思って今まで行動してきた。
 褒められはしても、咎められる事は無い筈だ。
「ど、どうしてっ」
「貴女、ほんっきで馬鹿ねっ。
 そこまでリオの事を思ってるなら、どうして今まで一緒に居てあげなかったのよ!?」
「だから、それは、お金を稼ぐ為にっ」
「いらない! いりません! そりゃ貧乏が良いって訳じゃないわよ。
 でもね。その為にリオの傍から離れる必要は無かった。
 ううん。離れちゃいけなかったのよ」
 このアネモネの言い分も少しは分かる。
 リオの事が心配なら、片時も離れるな、といいたいのだろう。
 出来れば自分もそうしたい。
 だが、将来の事を考えると、ほんの少しの間だけでも、傍から離れる必要があったのだ。
「屋敷には、面倒見のいいメイドがいる。
 その子は賢くて、優しくて、リオとも仲がいい。だから、」
「馬鹿。それって単に貴女がそのメイドの子に甘えてるだけじゃないの」
「それは、」
「違うとでも言うの?
 じゃあ聞くけど、そのメイドにも手に負えない事態が発生していたら?
 貴女がリオの傍を離れたせいで、リオが危ない目に遭っていたとしたら?」
「……何それ。自分の事を棚に上げて、よくそんな事が、」

「リオはね。実の父親にレイプされてたのよ」

 自分の耳を疑った。
 まさか。ありえない。母なら何かしでかす可能性もあったかもしれない。
 だがあの厳格な父親が自分の娘に手を出すなど。

『旦那様っ、リオっちが居なくなった事、誰にも口外するなってっ。
 余計な事はするなってっ!
 それじゃまるで『探すな』って言ってるみたいじゃないですか!』

 不意に、パセットとの会話がリフレインされた。
 父の真意は分からない。感情を表に出さない人だ。彼の考えなど理解できない。
 だが、このアネモネの言葉。そしてパセットの言葉。
 それらを統合すると―
(―口、封じ?)
 娘を犯した、という事実を隠蔽する為、リオの探索をあえて行わなかった。
 病弱な娘だ。放っておいても野垂れ死にする事を見越して。
 そう考えれば、辻褄が合う。
 ぞっとした。あの父親が、そんな汚い一面を隠し持っていた事に。
「貴女が居たら。そんな事にはならなかったんじゃないの?」
「それは…」
「貴女が傍でリオの事を見ていたら。お父さんとの関係にも気付けたんじゃないのっ?」
「……っ」
「お金もっ。名声もっ。どうだっていいわよ!
 どうしてずっとあの子の傍に居てあげなかったのよ!?
 傍に居てあの子の悩みを聞いてあげればよかったのよ!
 お姉ちゃんが相談に乗ってあげるから、って!
 あの子の味方になってあげれば良かったのよ!」

290:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:12:28 euBGPUwC
 この時になって、ようやくマリオンは気付いた。
 目の前の魔物が、リオを今まで放っていた自分に対して本気で怒っている、と。
「傍にいて、抱きしめてあげればよかったのよ!
 リオは親の温もりを知らずに育ったんだのよっ。
 だから貴女が甘やかしてあげないといけなかったのにっ」
「…ごめんなさい」
「…今更謝っても遅いわよ。
 もう、あの子は道を踏み外してしまった。
 実の父に身も心も犯されて、汚されて。
 だから、あたしみたいな化け物に縋ってきた。
 あたしから与えられる、仮初の温もりに依存した。
 可哀想な子……もう、人には、戻れない…」
 それっきり言葉が途切れた。
 二人の間で重々しい空気が流れる。
(このアネモネは…嘘なんて一つもついてない)
 目を見れば分かる。
 この魔物は、リオの事を親身になって心配してくれていた。
 そして自分を叱ってくれた。まるで母親のように。
(―あ、そうか。そうなんだ)
 やっと分かった。このアネモネと会話をし始めてから、気に掛かっていた『何か』。
 喉元まで来ているのに中々出てこない正体不明の感覚。
 それは、郷愁だ。
(このアネモネ……雰囲気がリシュテアお義母様とそっくりなんだ)
 身振り手振りを使った大袈裟な仕草。話し方や言葉遣いも似ている。
 それに何よりも、他人の世話を焼きたがるところがそっくりだ。
 魔物如きに尊敬する女性の真似事をされていると思って、腹が立っていたんだろうか。
(ほんと、私は馬鹿)
 不器用で、気が利かなくて、すぐに周りが見えなくなる。
 リオの事を考えたつもりで、結局全部が空回りだった。
 どうしようもない、お姉さんだ。
「私、リオに会いたい」
「…会ってどうするのよ?」
「分からない…でも会いたい」
 会って、どうしようか?
 先ずは挨拶だろうか。
 ただ今。遅くなって御免。寂しくなかった? いい子にしてた?
 それとも、ごめんなさいだろうか。
 辛い思いをさせてしまった。
 予想も出来ない事だったが、だからと言って『しょうがない』で片付けられる訳もない。
(どうしよう?)
 考えれば考えるほど何をすべきか分からなくなってくる。
 しょうがないので目の前の『お姉さん』に助言を頼んだ。
「私何を言えばいいの? リオに何をしてあげれば、いいの?」
「あら簡単よ。ぎゅー、って抱きしめてあげればいいの」
「…え? それだけ?」
「だって、言葉になんて出来ないでしょ? 貴女の気持ち。
 だったら、行動で示してあげればいいのよ」
(私の気持ち……)
 そうだ。どうせ不器用なのだ、言葉で伝えようと思っても、きっと上手くいかない。

「ありがとう」

 あっさりと、その言葉は出てきた。
「あれ? 私、ありがとう、って今言った?」
 自分でも信じられない。
 ありがとうなんて言ったのはいつ振りだろうか。
 しかもさっきまでいがみ合っていた、魔物相手なのに。
「あはは。何よそれ? あたしにそれ、どうリアクションしろって言うの?」
 アネモネは愉快そうに笑っている。

291:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:14:24 euBGPUwC
 その表情が、死んだリシュテアと一瞬被った。
(お義母様……私、約束破るところだった)
 リオを守る。そう誓ったのに。
 危険はやはりというか、すぐ近くに潜んでいた。
 父も母も、もう信用出来ない。
 そして真実を知った今こそ、リオを救ってみせる。
「いい顔になったわね」
「……じろじろ見ないで」
「堅苦しい事言わないでよ♪ どうせ今から『親密な仲になる』んだし♪」
「……え」
 忘れていたが目の前の女はアネモネである。
 アネモネは人間の女に種子を植え付け、繁殖するモンスターだ。
(そんな事分かってる)
 分かってるが、あまりにも人間臭いので忘れていただけだ。
「そういえば、お互い自己紹介もまだだったわね? あたしはネーアよ」
「いきなり馴れ馴れしくなるのは種付けの前フリ?」
「もう。こっちが名乗ったんだからそっちも素直に名乗りなさい」
「……マリオン=リビディスタ」
「マリオンね。素敵な名前じゃない」
 真正面から笑顔で言われて面食らってしまう。
 名前を褒められたのはリシュテアに一度あるだけで、それ以来だった。
「べ、別に普通」
「あははっ。何照れてるのよ。そういう時は素直にありがとう、って言えばいいのよ」
「…お節介」
「あら。そうだった? ごめんね。こういう性格だから」
(ほんと、お義母様と似てる)
「それでねマリオン?」
「…何」
「種付けさせてくれる?」
「死んでも嫌」
「素直でいい子ね。ますます種付けしたくなったわ♪」
「ほんと、止めて」
 虚勢を張ってはいるが体の痺れは抜けていない。
 この状態で催淫ガスを使われればあっと言う間に理性を失ってしまうだろう。
 そうなったら終わりだ。
「あははっ。冗談よ冗談♪ 本気にするんじゃないの」
「え? 種付け、しないの?」
「また次にしましょう。あ、ほんとはあたしも種付けしたいわよ? 
 でも少しだけ待ってあげるわ」
「どうして?」
「リオの事なんだけどね? あの子、自分から望んで人間を止めたい、って言ったの。
 ひ弱な体も、居場所の無い屋敷も、怖い両親も、全部要らない、ってね」
「……ん…」
「あたしは最初からリオの味方よ。
 あの子がモンスターとして生きるというなら、それについていく。
 でも貴女はどう? アネモネになってまで、リオについていく?
 それとも、リオの意思を無視して、あの子を人間に戻す?」
「……まだ、分からない」
「そうでしょうね。
 だから、実際貴女がリオと会って決心するまで、貴女に種付けするのは止めておくわ」
「助かります」
 正直いきなり犯されて、アドニスの種子を植えつけられるのは御免こうむる。
 しかしリオが望むのなら。一緒にアネモネになって欲しいと思っているなら。
(それも、悪くないかもしれない)
「ま、そういうわけだからゆっくり考えて頂戴。
 ―あ、そうだ。それよりも少し聞きたい事があるのよ。
 リオのご両親って…二人とも普通の人間なの?」
「え?」
(何でそんな事聞くの?)

292:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:16:01 euBGPUwC
 少なくとも父のグリーズは人間だ。
 彼は幾多の魔物を葬り去ってきた英雄であり、マリオンの剣の師でもある。
 魔物などよりもよっぽど化け物じみた強さを持つが、普通の人間のはずだ。
 その心は、おぞましい化け物かもしれないが。
「父様は人間。間違いない」
「お母さんの方は?」
 尋ねられて、考え込んでしまった。
 人間、だとは思う。仮に魔物だったというなら父が子供を設けようとは思わないだろう。
 何か特別な力があった訳でも無い。
 強いて言うなら。
「リシュテア義母様は魅了の魔術を使えた―みたい」
「チャーム、ね……他には?」
「オッドアイだった。右目が緑で。左目が赤。髪はピンク」
「身体的特徴はリオにちゃんと受け継がれてたのね。他には何かない?
 どんな些細な事でもいいから。マリオンが気付いた事」
「と言われても」
 何しろ十年以上も前の話だ。
 見た目や声、雰囲気は何となく思い出せるが……細かい事は流石に。
「…お義母様の家、ずっと娼館をやっていた、って聞いた」
 これは関係ないか。
「ふぅん。生まれてくる子に店をずっと継がせてきたのね。何か理由があるのかしら」
「決まりだって、言ってた。気がする」
「気がするだけなのね……他には? 何かない?」
「……そう言えば、勘がいい、みたいな事を言ってた」
「気がする?」
「真似しないで―私、父様にずっと剣を教えてもらってたけどあの人の事全然分からない。
 でも、義母様は私が子供の頃から、父様の事を理解してた」
「へえ。愛の力かしら?」
「……えと、肌を通して、心が分かる、って言ってた」
「気がする?」
「気がする」
「ふぅん? 何かしらね? 読心能力かしら?」
「ん。今思えばそうとも思える」
「他には何か無い?」
「―あ」
 思い出した。特徴的というか、どちらかと言えば個性というか。
「猫っぽかった」
「は?」
「にゃーん」
「いや、リアクションしにくいんだけど」
「猫舌だった」
「……それだけ?」
「リオの名前は最初はクロとかシロでした。名付け親はお義母様」
「ネーミングセンス無いわね」
「貴女、人の事言えない」
 ネーアスパイラルシュートとか触手の檻とか。
「他にも猫さんのこすぷれしてたみたい」
「あー。そんなサービスまであったのねぇ」
「にゃーん」
「いやもうそれ分かったから。うーん。猫ねぇ。成る程ねぇ。
 でも猫のモンスターなんて居たかしら?」
「異国の地に『ネコマタ』というモンスターが居る」
「流石、そういう事は詳しいのね。そいつどんな奴なの?」
「それは―ごにょごにょごにょ―」
「ずばり当ててあげましょうか? サキュバスの親戚みたいな奴なんじゃない?」
「すごい。どうして分かったの?」
 ネコマタは男を誘惑して精気を吸うモンスターだ。
 何分異国の魔物なので生態系を含めてその詳細までは分かっていないが。

293:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:17:37 euBGPUwC
「んー。まあ何となく、ね。でもそいつって魔術とか使えないでしょ?」
「分からない。ネコマタは、普通の猫が長生きして、魔力を蓄えて、それで魔物になる。
 だから、魔術っぽい何かは使えるかもしれない」
 そもそも魔術自体がその異国とやらに存在しない可能性が高いのだ。
 魔術はこの国でウラヌスが研究し、発展させたものだから。
「と、なると―ネコマタ以外にも混じっているのかしら」
「魅了の魔術と言えばサキュバス」
「他には…セイレーンかしら。リオのお母さん、歌とか上手かった?」
「……聞いたこと無い」
「スケベだったとか?」
「お義母様の事馬鹿にしないで」
 ついキツイ口調になってしまった。
「あ―ごめんね? そういうつもりで言ったわけじゃないの」
 が、本当に申し訳なさそうに謝罪するアネモネの顔を見て、冷静になる。
「―ん……こっちも言い過ぎた…ごめんなさい」
 ネーアは、決して義母の事を嘲ったり侮蔑しているわけでは無い。
 悪気は無かったのだ。
 だが、その義母の事を悪く言う人間は、リビディスタにいくらでも居た。
 その代表ともいえる人物は―言うまでもない。母ドルキだ。
 母はリシュテアの事を汚らわしい毒婦、とよく罵っていた。
 見舞いに行く時も、あんな女の所に言ってはいけません、と何度も怒られた。
 あんなに、素晴らしい女性なのに。
 皆知らないのだ。リシュテアが、どれだけ魅力的な女性か。
 面倒見が良くて。優しくて。面白くて。それに、強い。
 力が強い、という意味ではない。心だ。
 病を患っているとは思えないほど、あの人はバイタリティに溢れていた。
 無茶―と言われていたリオの出産も、無事に成し遂げた。
 自分の命を犠牲にして。
 その覚悟がどれほどのものか。
 マリオンは、その時この指に絡めた温もりを通して、良く知っていた。

 だから、リシュテアを馬鹿にする者は許せなかった。

「―正直に話すわよ?」
 不意に、アネモネが切り出した。
 真剣な表情だ。何か大切な話があるらしかった。
「今の話の流れで薄々感づいたと思うけど、リオのお母さん、人間じゃないかもしれないわ。
 いえ。正確に言うと、人間じゃないモノの血が混じってる」
「……うん」
 そう言われて、不思議と納得できた。
 あの瞳や髪は勿論、声や仕草に至るまで、彼女は魅力的過ぎた。
 それは人ならざるモノのみが、成せる事なのかもしれなかった。
「実は、リオと……その、している時にね?」
 ちらちらとこちらの顔色を伺いながらネーアは話す。
 もうしてしまったのだから堂々と話せばいいのに。いや切れるかもしれないけど。
 自分の妹に種付けした張本人が目の前に居るのだから即座に叩っ切るのが普通だけど。
 なんか、もう。話しているとそんな気も失せた。この魔物は悪い奴じゃない。
 現に今も、こちらに気を遣って慎重に言葉を選んでいる。
 悪戯をした子供が親に謝罪するように。
「もう、別に怒らないから。普通に話して」
 そう助け舟を出すと、一瞬呆気に取られた顔をして、
「―ありがと。貴女、いい子ね。切れやすいけど」
「一言多い。次は十七つに分割して欲しい?」
「あはは。謹んで遠慮させてもらうわ」
 緊張していた空気が僅かに緩んだ。
 こういう空気は、嫌いではない。
 ヘスペリスの仲間達には気のいい娘も居たが、ここまで気楽に話す事は無かった。
「そうそう。リオの事だったわね。
 実はエッチしている時ね。あの子、急に性格が変わったの」

294:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:18:53 euBGPUwC
「え?」
「エロエロだったわ」
「え、エロエロ…?」
「ええそれはもう。凄かったわ。
 事こういう事はあたし達アネモネの専売特許なのに。リオも負けてなかった。
 っていうかあたしちょっと自身無くしちゃったわ。
 あんな小さな子に好き放題されて。
 敏感な所を膣圧でピンポイントで締め付けるとか、あの子の歳で出来る訳ないじゃない」
「―ごくり」
「ちょっと興奮した?」
「どきどきしてる」
「雰囲気作りにガスでも撒く?」
「それはいらない」
「あら、残念―ええぇと、それでね? 言葉遣いもエロエロだったわ。
 なんかおマンコとか触手チンポとか言ってたし」
「……そ、それは嘘っ、リオが、そんな事っ」
「んふー。そう? そう思うわよねぇ? でもねぇ…うふふふ。
 真実は残酷なのよ? あたしと出会う前からあの子はエロスの権化だったのよ?」
「うぅ。いかにもそれが真実みたいな言い方は止めて」
 自分の妹がそんないやらしい女の子だったとは思いたくなかった。
「事実よ。でも、理由がちゃんとある。リオね。性格が変わったって言ったけど。
 同時に魔力も上昇していたわ。凄い勢いでね。
 あれって、あたしの体液を飲ませてからだわ。リオの中で、何かが変わったのよ」
「どういう事?」

「眠っていた魔物の血が、目覚めたのよ」

 変わり者の母。その血を継いだ娘は人外と交わり、豹変した。
「あの魔力の質は、人間よりもあたし達魔物に近かった。間違いないわ。
 リオも、リオのお母さんもモンスターの血を引いてる」
「……そんな」
「エッチしてる時、やたらとにゃーにゃー喘いでるなー、って思ったんだけど。
 ネコマタか……でも、もう一種類が分からないわ。
 魅了の魔術を使う魔物の血が、混じっている筈なのよ」
 候補としてはサキュバスか、もしくはそれ以外の何かか。
「あたしの勘では、そのもう一種類が、ちょっとやばい奴かもしれない」
 サキュバスやネコマタなら単に『食事』の為に人間を襲うだけだ。
 それも人間側からすれば、迷惑な話だろうが、人が家畜を殺して食うのと変わりない。
 だが魔物の中には、純粋に破壊を愉しむ者もいる。
 人を騙し、堕落させる事に快感を覚える者も居る。
 リオがそういう類のモンスターであった場合、事は深刻になる―という事か。
(―あれ?)
「今、気付いた」
「ん? 何?」
「アネモネは、体内のアドニスを通じて互いに繋がってる」
「そうよ。上下関係が強い種でね。
 種付けされた女は自分に種付けをした女に逆らえないの。吸血鬼とかと一緒ね」
「だったら、貴女がリオの事を調べたり、言う事を聞いてもらう事も出来る」
 種付けをしたのがこのアネモネなのだから、リオはこの女に絶対逆らえない筈だ。
 今のリオの様子も、このアネモネには分かる筈である。
「その筈なんだけど……どうにも繋がりが悪いのよねぇ」
「何それ」
「リオ自身の魔力が強すぎるのかしら、アドニス同士の繋がりが阻害されてるのよ」
 話を聞けば聞くほど不安になっていた。
 リビディスタの屋敷を出ておよそ二年。
 その間に守るべき妹は穢された挙句、正体不明の魔物へと変容しつつあるというのだ。
「触手、放して」

295:永久の果肉8 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:20:20 euBGPUwC
「どうするつもり?」
「おしゃべりはここまで。リオを探しに行く」
「体は大丈夫なの?」
「まだ少し痺れが残ってるけど、じっとしてられない」
「そう。まあ、しょうがないわね。
 あたしも少し心配してたところだし、一緒に行きましょうか」
「一人で大丈夫」
「…貴女気付いてないの? 一人じゃ無理よ多分」
「何で」
「探索魔術使ってみなさい」
「?」
 意識を集中し、魔術を発動。半径三百メートル付近を調べ上げる。
「―うじゃうじゃいる」
 魔物が。それもその筈。会話の為にアネモネがガスを撒いていないのだ。
 暢気におしゃべりに夢中になっている間にすっかり取り囲まれてしまった訳である。
「全員蹴散らす」
「ちょっと待ちなさい。様子がおかしいわ」
 アネモネの言葉を聞いて、再び探索魔術を展開。
(移動、している?)
 時間を掛けて魔物達の動きを見ていると、彼らはこちらを無視して移動していた。
 移動先は―アレエスの街。
「何で。街には結界が張ってるのに」
 それを分かっているからこの森の魔物達は街には中々近付こうとしない。
 攻めても無駄、と分かっているのだ。それが何故今になってこんな行動を。
「あ。これはまずいわ」
「どうしたの」
「リオの居場所が分かったのよ。何処だと思う?」
「勿体ぶらなくていい」
「街の中よ」
「ならいい。森の中よりかは安全」
「そうじゃないのよ。今繋がりが少し戻ったんだけど―
 あの子、もう人間じゃなくなってるわ」
 言われてどきりとした。それはつまり、
「アネモネに、なっちゃったの?」
「そんなに早く種子は育たないわ」
「でも、今、人間じゃなくなってるって」
「恐れていた事が現実になったわね…」
 アネモネは肩越しにアレエスの街を見詰める。
 その視線の先に、リオの姿を見ているようだった。
「結局、どういう事なの」
「繋がりが戻ったのはアレエスの結界が無くなったからよ」
「っ!? そんな、ありえないっ。だって結界は内側からしか解除出来ないからっ」
「だから、内側から空けてもらったのよ。
 きっとリオがそう、仕向けたんだわ。完全に魔物になってしまった自分が潜入する為に」
「でも、入ったなら結界はまた張り直せばいい!
 わざわざ解除するなんて、どうしてそんな事をするか、分からない!」
「理由は、そうね……はっきりとは分からないわね。でもこれだけは言えるわ。
 今のリオは、貴女の知っているリオじゃないかもしれない」
「え?」
「そうか―結界を解除したのは魔物を招き入れて、街を混乱させる為。
 自分が動きやすくする為ね。全く酷い事を思いつくものだわ。
 人間の時のリオなら、絶対にこんな酷い事はしないのに」
「結局何なの? リオは一体どうなったのっ。教えてっ」
「この魔力の反応には覚えがある。ドス黒くて、どろどろしていて。
 触るとこちらが腐ってしまいそう。……そう。あいつらは人の負の感情を好む。
 純情な心を、汚く穢し、堕落させる事に快感を覚える最低の連中よ」
 アネモネが振り返った。
 美しい顔は、悔しそうに唇を噛み、苦々しい表情を浮かべていた。

「あの子の正体は、悪魔よ」

296:乙×風 ◆VBguGDzqNI
10/03/29 18:26:25 euBGPUwC

 以上で八話終了です。
 何時の間にか全体の半分を過ぎてますね。まあプロット段階では、ですが。
 勿論ここから話が伸びたり縮んだりする可能性もあります。
 尚、今回のバトルシーンですが慣れないモノを書いたと思うので色々間違いがあると思います。
 もし何か気になるところがあれば遠慮なく言って下さいね。
 ―実際サーベルで居合抜きとか出来るんだろうか。
 まあ、出来なくてもマリオンのは居合専用に調整しているという事で。

 あそうだ。次回ですが、ちょっと思い立って予告っぽいのを考えてみました。



 ―親友であるリオを必死に探すパセット。
 だがどれだけ探してもリオは見つからない。
 絶望に明け暮れるパセット。
 しかし突如、その前に探し人が現れた。
 涙を流しながら喜ぶパセット。
 だが彼女は知らなかった。目の前の唯一無二の親友がすでに人でない事を。
 そして、人の姿をしたリオが悪魔のような笑みを浮かべている事にも気付かない。
 魅了の魔術を使われた事にも。

 気が付けば、パセットは見知らぬ場所に居た。
 人気の無い細い路地裏。その奥に、人々に忘れ去られたような一軒家がある。
 その中でパセットが見た物は。

 メイドの背中で、悪魔が邪悪な笑みを浮かべている。
 彼女の運命は決まっていた。
 リオの数々の責め苦に、パセットは喘ぎ悶える!

 次回、永久の果肉、第九話、

『ドッグ・ハント』


 ―あはは。やめときゃよかったwwww
 もうやりませんよ次回予告。私の羞恥心的に。
 
 いつものように感想や誤字脱字の指摘等承りますー。
 まだまだ修行が足りませんね色々な意味で。
 それでは今回はこの辺で。
 
 幼女万歳。
 って今回幼女出てないし。まあいいか。

297:名無しさん@ピンキー
10/03/29 18:37:55 0jjmJPbr
乙×風さんおつかれさまでしたー
リオ第一のマリオンが可愛くなってきた
しかし、次回予告があると来週が気になる・・・

あと>>282
>アネモネは催淫ガスは人間を引き寄せるだけではない。
この部分 ↑ と>>290
>リオは親の温もりを知らずに育ったんだのよっ。
この部分の語尾がおかしいような気が

298:名無しさん@ピンキー
10/03/29 18:48:19 rSL0oaTM
こまけぇこたぁいいんだよ すべて脳内変換で乙
そして乙×風氏お疲れ様です これが楽しみに一週間生きてきた
そして今回のバトルものも分かりやすくもう頭で戦闘アニメが繰り広げられてましたよ
はやく姉と妹の再開が待ち遠しい!
わたし 予告 あると とても 気になる

299:名無しさん@ピンキー
10/03/29 18:50:37 LgvbtehQ
リオっちの行く末が気になって生きるのがつらい

300:名無しさん@ピンキー
10/03/29 20:17:47 VNN5qf/7
たぶん「魔天使」級に、人間世界的に救いようの無い展開になるんだろうなぁ…
だがそれがいい(AA略

301:名無しさん@ピンキー
10/03/29 20:27:30 0UiGGQoH
先週忘れたから、今週こそ乙&GJと言わせて貰う!

自分の中ではマリオンさんが某アセリアと被って仕方が無い
ネーアと仲良しになってる辺りも萌えポイント
そしてリオとの再会が悲しいお知らせになりそうでガクブル……
二次元エンドなら、最後の理性を振り絞ったマリオンがリオを殺すとか?


302:名無しさん@ピンキー
10/03/29 21:32:35 chIfkVts
みんな仲良く魔物になって大団円になるといいなあ……
アネモネだけに姉もね!……ナンチテ

303:名無しさん@ピンキー
10/03/29 22:55:18 XcZRoKUC
まーた面白くなってきたなチクショウ
月曜日が楽しみになる日が来るとは思ってなかったぜ

304:名無しさん@ピンキー
10/03/29 22:57:47 0jjmJPbr
火~土まで別々の作品が投下されるようになったら毎日が楽しいのに

305:名無しさん@ピンキー
10/03/29 23:29:26 E0y3TRh3
なにげに「十七つに分割」というワードにニヤリとしたのは俺だけじゃないはず・・・
な、なんだこの蔓は!?ちょっ・・・ま、まって・・・!!

306:名無しさん@ピンキー
10/03/30 00:39:24 YBOr7igS
うはwwwみなぎってきたwww

ちなみに↑で出た絵師のサイトは結構このスレ住人的には常連さん多そうな気がする。

307:名無しさん@ピンキー
10/03/30 00:45:01 l4Y7PF4b
確かなんでも殺せる人のやつだっけ

乙×風氏GJ、結構長いのにいざ読むともう半分過ぎちゃったのかって感じです
やっぱりリオは暴走モードだったのか・・・ますます期待が膨らむぜ!
これほど待ち遠しい「月曜」が来るとは思わなかったw

308:名無しさん@ピンキー
10/03/30 00:46:51 l4Y7PF4b
>>305に安価つけたつもりで忘れてた失礼
お詫びに出番のなかったリオさんを預かっt(ry

309:名無しさん@ピンキー
10/03/30 04:36:31 28GHs550
メイデン・フォースが

310:名無しさん@ピンキー
10/03/31 02:12:28 4jKxpDzC
乙x風さんgj
そういえば永久の果肉の前作って完結してたっけ
ネーアが主人公のやつ

311:名無しさん@ピンキー
10/03/31 02:28:54 s/0hZOSU
完結してないよ

615 名前:乙×風 ◆VBguGDzqNI [sage] 投稿日:2010/02/10(水) 18:13:12 ID:jWO+6BHz

==========省略============

 尚、前作『無限の果肉』シリーズですが。
 キャラが多すぎて収集が付きません(´・ω・`) 自業自得ですけど。
 まあ、大筋は大体決めています。エンディングも考えてます。
 だがそこまでの経過を書くのが辛い。ひたすらエロシーンですから筆が進まんのです。
 ですから『永久の果肉』に続投の旧キャラに、過去話という形で『無限の果肉』の顛末を語らせるつもりです。
 ファンの方々、今まで期待させておいて大変申し訳ないのですがそういう事でどうかお願いします。
 その分今回のお話はきちんと完結させるつもりです。キャラも絞りましたしね。 

 長々と失礼しました。
 今は筆が乗っているので多分、次週くらいには投下出来ると思います。
 それではこれで。

312:名無しさん@ピンキー
10/03/31 12:48:17 iXQFa4Mq
さすがのネーアもクラスチェンジしたリオの前では
アネモネリンクを逆利用されて下剋上堕ちしそうな予感

313:名無しさん@ピンキー
10/03/31 16:02:42 fmY8cMNX
エッチなことは知り尽くしてるのに堕とされるのか…それはそれでいいな

314:名無しさん@ピンキー
10/04/01 23:36:05 UWbnJEy5
もうスレ容量400kとか飛ばしすぎだろ…
俺の触手が持たないジャマイカ

315:名無しさん@ピンキー
10/04/01 23:38:37 brssPewj
あと3つくらいで500かねー
今月中には埋まりそうだなー

316:名無しさん@ピンキー
10/04/02 10:36:38 a+hqIS5p
これが13スレの威力か…さすが不気味な数字

317:乙×風 ◆VBguGDzqNI
10/04/05 18:07:11 SwFdKQpN
 今週もウルトラマンデーの時間がやってきました。
 今回はエロオンリーですぞ。
 まあ、前回のエロ無し話も思ったより評判が良かったので実はほっとしています。
 ただし、297氏が指摘してくれた誤字は…もう何というか。
 やっちまった感が漂います。シリアスなシーンなだけにほんと悔しいですわぁ。
 
 さて、気を取り直して投下といきましょうか。
(二穴攻め、乱交、百合、ふたなり、逆レイプ、焦らしプレイ、精神崩壊)
 NGワードはこんなもんですか。
 今回はリオがパセットを堕とす話ですー。
 15レスほど消費します。

318:永久の果肉9 ◆VBguGDzqNI
10/04/05 18:10:08 SwFdKQpN
 第九話  ドッグハント


 アレエスの街を一人のメイドが駆けている。
 街を東西に分断する中央通りだ。そこを北上しながらメイドは叫び声を上げていだ。
「リオっちーーーっっ!! 何処行ったのーー!! 返事してーっ!!」
 大声を上げているのはパセットだ。
 出店と人でごった返す大通りで、人目も憚らずリオの捜索をしている。 
 街行く人々が何事かと奇異の視線を向けてくるがそれに構っている余裕は無かった。
 太陽はすでに真上までに上っている。
 彼女が消えてからもう何時間経つのだろうか。
(プチ家出とかだったらいいんだけどっ。もうほんとにリオっちは人の気も知らないで!) 
「見つけたら絶対おっぱい揉んでやるんだからぁ!!」
 逆切れ気味に叫んだ時だった。

「…あのパセットちゃん。街中で何大声で叫んでるの?」

「へ?」
 背中から馴染み深い声が聞こえた。それは、もう何年も聞き続けた声だった。
 淡い期待を込めて振り返る。
 熟れた桃のような髪。そしてゴスロリドレス。
 愛らしい顔はややはにかんだ様子で―探し人はそこに居た。
「リオっち!? リオっちだ! どの面下げて帰ってきやがったこんちくしょう!
 うわあぁんバカあぁぁぁっ!!! 心配したんだからぁぁぁっ!!」
「え!? あれ!? パセットちゃんっ?」
「バカバカバカバカバカ! ロリロリロリロリロリロリ!
 本気で心配したんだゾ!? プチ家出か!? 家出なのか!?
 するならするでどーしてパセットに一言声掛けてくれないのさ!?
 パセットとリオっちの友情はそんなもんだったのか!?」
「パセットちゃん…」
 ぎゅう、と小さな体を抱き締める。
「パセットは怒ってる。分かるよねリオっち?」
「うん。ごめんなさい」
「謝っただけじゃ許さないから。昨日作ったげたご飯だって食べてくれなかったし。
 いや、体調が悪かったんなら別にいいんだけど?
 いやいやそうじゃなくて心配掛けた分、ちゃんと罪を償いなさい!
 主に体で! 具体的にはオッパイ揉ませろ!!」
 我ながら無茶苦茶な事を言ってるな、と思う。
 だがそれが自分らしい。冗談を言えるくらいには、本当に安心した。
(良かった…リオっち、帰ってきてくれて、ほんと良かった…っ)
 抱きついたのは泣いているところを見られたくなかったからだ。
 まあ、半泣きの顔はバッチリ見られたと思って、
「いいよ? 私のおっぱい揉ませてあげるから、許して?」
(ほうほう、リオっちにしては中々殊勝な心掛けだ。
 このパセットの無理難題冗談冗句を真に受け自らのてオッパイを差し出すとは)
「って何ですと…!?」
 がば、と離れてリオの顔を伺う。
 何やら顔が赤い気がするのは気のせいか。
 いや、それ以前に。
(あれ? リオっちって、右目、青色じゃなかったっけ?)
 どうして、彼女の目は両方とも赤い?
 そんなこちらの疑問を読んだように、リオはくすり、と笑う。
 その表情が何故かとても艶かしく見えて、どきり、としてしまった。
(な、なんか今のリオっち、ちょっと変だ…)
 自分がお世話をしていた少女は、どちらかと言えば陰鬱な子だった。
 気弱で、言いたい事が言えないような、自己主張が下手な子だ。
 それにすぐに情緒が不安定になる。
 可愛い顔はいつも悲しい表情をしていた。パセットからすれば実に勿体無い話である。

319:永久の果肉9 ◆VBguGDzqNI
10/04/05 18:12:58 SwFdKQpN
 それがどうだ。
 今のリオは明るい笑顔を浮かべている。
 どことなく色っぽい雰囲気も、なんだか小悪魔っぽい感じがしてとても可愛らしい。
 自信と幸福に満ちた表情は、そこらの男も女も関係無く惹き付けて止まないだろう。
(うっわぁ。リオっちやっぱり可愛い。完全敗北です。
 わたくしめのようなタヌキ娘では歯が立ちません。バタンキュー)
「ふふふ。パセットちゃんも可愛いよ♪ 私大好き♪」
 くらりと来た。
 いやもう妖しいとかリオらしくないとか果てしなくどうでもいい。
 これが我が主。リオ=リビディスタその人である。
 一言で言うと、可愛いは正義!!
「好きなら是非おっぱい揉ませて下さいな!」
 何言ってるんだ。頭おかしいんじゃないのか。
 しかしリオの甘い体臭を嗅いでいるとどうにも頭がすけべな方向に行ってしまう。
 それに、すっ、と細めた少女の瞳とか、はふぅ、という艶かしい吐息とか。
 何だこのエロオーラ。こっちまでドキドキしてきた。
(あ、れ、なんぞ? 頭、クラクラしてきた…)
「いいよ? オッパイくらい。迷惑掛けた御礼に、沢山触らせてあげる。
 でも、その前に、『私の我侭、聞いて欲しいな』」
 リオの声は耳朶を打ち、脳に響き、心にまで染み渡る。
 少女の色香に惑わされた精神は、ゴスロリ少女の言葉に何の疑問なく聞き入ってしまう。
「…うん。いいよ…パセットは…リオっちのメイドさんだから…」
「ありがとパセットちゃん! 大好き♪」
 ちゅ。とほっぺたにキスをされる。
(あぁぁぁぁぁあぁぁっ…幸せぇ…)
 暖かい感触に心が幸福感で満たされた。
 赤い両目。どことなく淫靡な雰囲気。
 それらに対する警戒や疑心はそれで綺麗さっぱり流された。
 だから、こちらを見る紅い目が、狩猟動物のように細まっている事にも気付かない。
 リオが、薄ら寒い笑みを浮かべている事にも。
「じゃこっち! こっち来て! パセットちゃんに見せたいものがあるの!」
 手を引かれ、大通りから外れる。
 狭い路地に入り、ジグザグに進んでいく。
 人通りが徐々に少なくなり、表通りから聞こえる喧騒が泡沫の夢のように感じる。
 こちらの手を引きながら走る少女の足取りは、軽やかだった。
 どこにそんな体力があるのか、ぼんやりと考える。
(元気になったんだねぇ…)
 思考がうまく働かない。まるで夢の中のようだ。

 そしてそれが悪夢のような現実である事に、すぐに気付かされる事になる。

「さ、着いたよ♪」
 ぱん、と手を叩かれる。
「―はれ?」
 猫騙しの音で正気に戻った。
(何だかぼーっとしてたなぁ…)
 大通りから随分離れた所に来てしまった。
 そもそも何処をどう通って来たのかも思い出せない。
「んで此処は何なのさ?」
 見るからにオンボロの一軒家が目の前に鎮座している。
 薄汚れて、黴が生えて、メイドとしての本能が疼いてしょうがない。
「? ここを掃除すればいいの?」
「あははっ。違うよ。取り敢えず中に入ってみれば分かるから」
「ふーん。ま、いっか♪ 鬼が出るのか蛇が出るか♪」
 どっちでもないよ。背中からリオの声が聞こえた。
 同時に勢いに任せて入り口の扉を開ける。

「あっ!! あっんっ! いいっ! もっとっ! もっと下さいぃ!
 貴方様の逞しいおチンポで、私のクサマンコをズボズボして下さい!!」

320:永久の果肉9 ◆VBguGDzqNI
10/04/05 18:14:43 SwFdKQpN
「家を間違えました」 
「合ってるよ♪」
 速攻でドアを閉めようとするがリオが戸口に腕を挟み、阻止された。
「ほらほらパセットちゃんも入って入って♪」
「え、いやパセットはこんなアダルティックかつエロティックな家には、ってきゃわ!?」
 ぐい、と背中を押されて無理矢理家に入れられてしまう。
 この華奢な少女はこんなに力が強かったか?
 いやいやそんな事よりもこの現状を何とかしないと。
「あん! あん! いいっ! おチンポいいっ!!」
(うっわぁ…っ)
 一軒家の中では現在進行形で激しい情事が繰り広げられていた。
 リオの部屋と大して変わらない大きさの室内では、二人の男が一人の女を犯している。
 そこは居住区画の余ったスペースに作られた一軒家だ。
 今にも壊れそうな安物のベッドが二つと、クローゼットが一つ。窓は一つだけ。
 無論屋敷にあるような調度品も無く、埃臭いそこは浮浪者が住むような家だった。
 その中に四人の屈強な男と、うら若い女が居る。
 男は皆逞しい腹筋とそそり立ったペニスを露出させ、女も絹のような柔肌を晒していた。
 彼らは二つあるベッドの内の一つを占領し、騎乗位に女を犯している。
 一人が下から突き上げ、一人がその背後から尻穴を穿ち、残り二人はマスを掻いている。
(え、ええ? あれっ、ひょっとしてお尻にも入ってるの!?)
 がつがつと腰を交互に打ち付けられ、女の体がリズミカルに踊る。
 だが銀髪の女は二本の怒張を受け入れながらも、その激しい性交に感じているようだった。
 涎をだらしなく垂らし、眉根をハの字に寄せ、甘い嬌声を上げている。
 垂れ目の翠の瞳はしっとりと濡れて、実に色っぽい。
(ってあれ、ひょっとしてクロト様じゃ!?)
 そうだ、どこかで見た事があると思ったら。
 確かドルキの門下生の魔術師だ。腕が良くて頭も良くて人も良くて顔も良い。
 パセットすらも羨望を覚えるほど完璧な女性。
 それもドルキに将来を約束された一流の魔術師だ。
 それがどうしてこんな所で、こんな乱交紛いの事を。
(クロト様って、こんなエロエロだったんだ…)
 快楽を受け止め、悦に浸るその表情。
 唾液に濡れ、艶かしい喘ぎを漏らす唇。
 カーテンの隙間から漏れる光を受けて、汗と精液に濡れた裸体がヌラリとした光沢を放つ。
 細い腰がそこだけ別の生き物のように捻り、くねり、男を貪っていた。
(うわ…家の中、凄い匂い…っ)
 女と男の性の匂い。それに汗の匂いが交わり、鼻が曲がりそうだ。
 だが、不思議と不快ではない。むしろ、こちらも胸がドキドキしてくる。
 濃密な性の匂いに混じり、甘い、何かの花のような匂いがした。
「ドキドキしてるね♪」
「り、リオっち…これ、どうなってるの?
 あれ、クロト様でしょ? どうしてこんな事、してるのっ?」
「簡単だよ。クロトさんはね。自分に素直になっただけ。私もそう。
 そして、今度はパセットちゃんの番だよ?」
「…え? な、何言ってるのリオっ―っ!?」
 いきなりキスされた。
 柔らかい唇の感触が押し当てられて、それだけでどきり、としてしまう。
 不意打ちだったので抵抗する暇も無い。
 目を白黒している間にリオの舌がこちらの咥内に入り込んできた。
(っ舌っ、リオッちに舐められてっ)
 唾液に濡れた舌同士を擦り合わされる。
「くちゅっ―ちゅるっ、んちゅっ♪ れろれろ♪ じゅるるっ♪ じゅるじゅるっ♪」
「んーー!? んーー! んんんんんっっ!!!」
 咥内を舌で蹂躙されて、反射的に体を暴れさせた。
 ところがしっかりと抱き付かれているせいでビクともしない。
(どうしようっ、リオッちに、キスされてる!?)
 キス自体は嫌ではない。ただそれは男と女でやるものだと思っている。
 それに親友だと思っていた娘から唐突にされるのも衝撃的だった。
 それもじゃれあうようなキスではなく、性的な意味のものを。
 どろり、と大量の唾液を送り込まれる。


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