11/01/18 01:58:10 rj2GLmWx
初めてのsenkaです
ファンタジー
町娘(非ロリ・処女)
「殺せ殺せ!異教徒どもは女子供といえど容赦するな!」
「奴等と通じる異端者も見逃すなよ!」
「聖ギュトン様の祝福を受けた我等に敵はない!ラスピアの豚どもは地上から消滅するのだ!」
「唯一絶対なるヘズラ神の愛と恵みを広めようではないか!」
大陸の南端に位置し、いくつもの異なる宗教や民族が共存するラスピア王国。美しかった首都アルガルヴェは狂信的な宗教国家により陥落した。
長い歴史を誇るヘズラ教の分派で、過激さと不寛容さで頭一つ抜けているギュトン派。彼等にとっては、異教徒や異端者の虐殺は罪にならない。むしろ汚れた魂を浄化して天国へ導く慈悲である。
火の海の中、徹底的な略奪・暴行・虐殺が至る所で繰り広げられている。
小間物屋の娘・ファティアは狭い路地裏を伝うようにして逃げ惑っていた。顔は涙と煤で汚れ、亜麻色の髪はあちこちが焦げてしまった。
ギュトンの兵達は笑いながらファティアの両親を切り捨てた。近所に住む同じ歳の娘は犯された揚句、首をへし折られた。
(許して……、どこに逃げたらいいの?ごめんなさい、マリー……ごめんなさい!)
見捨ててしまった友人の悲鳴が耳にこびりついている。逃げるのが少しでも遅れていたら、自分も同じ最期を迎えただろう。
(誰か、誰か助けて!)
ファティアは路地裏から、町中央の広場を覗いてみた。
甲冑の上に豪華なマントを羽織った女が、5、6人の兵士に何かを命令している。
(え……?女の人?)
ラスピア王国での女性の地位は低くはないが、軍人はかなり珍しい。
その女性は癖のある黒髪に、美しいとも醜いとも言えない地味な顔立ちだった。だが目だけは他のギュトン兵同様、ぎらつきつつも陶然としていた。