【ととモノ。】剣と魔法と学園モノ。8【エロパロ】at EROPARO
【ととモノ。】剣と魔法と学園モノ。8【エロパロ】 - 暇つぶし2ch98:血塗られた王たちの記憶 6ページ目
10/02/19 23:09:45 jpF7qiHn
「あんたねぇ! 今、自分がすべき事ぐらい――」
「今、この場で今すぐ取りかかって」
 エドは口を開く。
「どこまでできる。俺やお前以外の魔導師や錬金術士が必死こいて探してるのに無いものを、俺たちがどうしてできる」
「…………」
「俺たちだって、限界はある。ついでに言うと、学校卒業したばっかのボンボンだ」
「………けど」
「無茶苦茶言うなよ……!」
 エドは、自分の限界がどれほどかを知っている。いや、知ってしまった。
 ダンテと再び会った事で、卒業後にろくに成長せず停滞してしまった自分を見て。
 だが。
「……アホっ!」
 ディモレアが叫び声をあげなければ、エドは更に自虐的なスパイラルを続けていただろう。
「………他の連中が出来ないからアタシ達が出来ないなんて誰が決めたのよ」
「………けど」
「アンタ……あれはまだ持ってるでしょ?」
「あれ?」
「隕石だって呼べるあれよ!」
 ディモレアの言葉に、エドは思い出す。一度、世界を壊そうとした時に使ったあれを。
「………あれが、使えるのか?」
「違うわよ。今こそあれを使うときじゃない。何か出来るかもしれない」
 ディモレアはエドに視線を合わせる。それは絶望に染まってなどいない、前だけを見て、そして仲間を救う手だてを探す為の。前へと向いた瞳。
 エドの、停まってしまった瞳とは違う。
「…………」
 そしてエドに、そんな彼女の言葉が届く。
「……よし!」
 エドは立ち上がる。やれるだけの事はやってみよう。
 後悔するのは、後だって出来る。


 二人の日々が始まった。
 カガリとその胎児の容態を見る、次に紅い石の効果についての研究、パーネにもらって来た患者の血液から病原体の検出、
 そして培養と解析、石が如何なる効果を持ち、そして使えるかどうか。
 やるべき事など、山ほどある。だがしかし、カガリの容態が長く保つとは思えなかった。
 一人前の冒険者ですら倒す流行病に、身重のカガリが勝てる筈は無い。
「…………やっぱ無理か」
 エドはそう呟く。始めてから一週間、カガリはよく保った方だと思う。
「ええ、そうね……」
 ディモレアも肩を落とす。どんなカタチであれ、自分は親友を救えなかった。その事実が、ディモレアの気を落とさせた。
 カガリはほとんど目を覚まさなかった。熱に冒され、時折うわごとのように呟く事はあっても意志の疎通までは出来ない。
「……………」
「どうする?」
 エドは、ディモレアに問う。カガリと、その子供の事である。
 カガリが助からないという事に気付いた、ならその子供はどうする?
 エドの子供でもあるのだから。
 出産には、まだ時期がある。まだ早い。今すぐ出したとしても未熟児として生まれ、抵抗力が低いだろう。
 ならば堕ろすか。いいや、時期が経ちすぎている。そして、エドもディモレアも、そんな事は出来ない。カガリも子供も、まとめて死んでしまう。
 ならば。
「……出す、しかないか」

99:血塗られた王たちの記憶 6ページ目
10/02/19 23:10:20 jpF7qiHn
 エドは呟く。もっとも、出産に立ち会った事など無い。当たり前だ。エドがかつて暮らしていた故郷でも、パーネが生まれて来たときだって立ち会った事は無い。
 そりゃそうだ。エドはまだ幼かったから。
「なぁ、ディモレア。お前、赤ん坊取り上げた事って」
「ある訳無いでしょ」
 ディモレアもあっさり答える。だが、その瞳に不安が混じっているのは解った。
「……でもやるしか無いでしょうね……カガリにも聞いてみるけど……」
 ただ、今のカガリと意思疎通が出来るか解らないけれど。

 何が必要か解らないのでとりあえずいっぱしの治療器具といざという時は錬成して作るのが錬金術士なのである程度の素材を集めてカガリの部屋へ向かうと、カガリはちょうど眠っていた。
 熱はまだ高いが呼吸は落ち着いている。
「……大丈夫?」
 ディモレアがそう声をかける。返事は無い。
「……今から、赤ん坊をなんとかする」
 エドが、聞こえるかどうかは解らないが声をかける。
「……ごめん。お前を助けられない」
「………ごめんね、カガリ」
 二人はそう言うと、それぞれ道具を手に取り、手袋をはめる。
 息を飲む。今から、始める。

 それは長時間に渡った。
 親友の死を看取るかも知れない、いや、これから看取るその前に。彼女の血をこの世界に残しておく為に。
 その間。
 カガリが明確に意識を取り戻す事は無く、ただ呻きを繰り返すだけだった。
「……女の子、か?」
「そう、みたいね」
 お腹の中にいた子は、まだ外に出るには早そうではあった。だが。
「ここで殺す訳には、いかないんだ」
 カガリの子供。エドの子供。仲間の、親友の、大切な、一緒にいたいと願った仲間が残すものを。捨てる訳には。
 いかない。
「……いいか、臍の緒……切るぞ」
「ええ」
 臍の緒を震える手で切り離し、ディモレアが子供を抱き上げる。
 子供は取り出されたばかりだとは思えないほど、まだすやすやと眠っている。
「……ぅ………」
 直後、カガリが小さくうめき声をあげた。エドとディモレアは、思わず顔を見合わせる。
「……カガリ」
 ディモレアが、口を開く。
「女の子よ。貴方の子供……女の子よ………」
「……テ……ナ……」
 カガリの口が、小さく動く。口の形が、何度か動く。
「え? なに?」
「名前、か? 名前か?」
 カガリが頷くかのように、身体が少し上下する。
 その口の動きを、エドは読み取ろうと目をこらす。
「かて……りーな? カテリーナ、か?」
「………ぅん…………」
 彼女の名前なのだろう、腕の中で眠る小さな命の名前。
 エドが小さくその名を呟いたとき、カガリの唇が再び動いた。
「………ありがとう……いままで」
「?」
 エドもディモレアも、その瞬間を見ていなかった。でも、確かに今。

 その声が、聞こえた。

「………カガリ」
 ディモレアが、もう一度だけ呟く。手を、そっと腕に置く。
 そして腕から首筋へ、そして心臓へ。
 彼女の鼓動は、もう聞こえなかった。


100:ディモレアさん家の作者
10/02/19 23:11:45 jpF7qiHn
投下完了。
やはり一ヶ月以上も間があくのはまずいかも知れない……。

最近になってようやくPSPが復活した。やっぱ1000型は中古で凄く安いね。

101:二番煎じ
10/02/19 23:42:57 5simZKZi
>>100
超GJです!

成る程…参考になりますねー。
自分のペースを崩さないよう、無理しないように頑張るのが吉だと思いますよw

さて…そろそろ何を書こうか試行錯誤して来まするー。

102:名無しさん@ピンキー
10/02/28 19:27:43 lVjzXTln
圧縮警報

103:名無しさん@ピンキー
10/03/03 02:05:03 jw7KmwmP
>>100
GJ!というか、カガリーー!!
…………(黙祷)

やっぱ一度はクリアしないと分からないね。うん。
続きやろうかな。ランツレート奪還からだったかな。
でもディスガイアが……


104: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:10:26 auNbT54d
以前書いた『絆』で、出そうと思ってたけどあまりに使いにくすぎて出せなかったキャラが二組。
そのままほったらかしも何なので、久しぶりに1のネタ。
ただ、長くなってしまったので二度に分けて投下します。

注意としては、前半は百合モノ。構成はバハ子×クラ子、バハ子×ドワ子。
そして後半は♂×♀だけど、♂×♂に見えるような部分があります。
なので苦手そうな方はスルーお願いします。楽しめる方は楽しんでもらえれば幸いです。

105: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:11:02 auNbT54d
あってないようなものの消灯時間が過ぎ、寮に灯る明かりも少しずつ減り始めていた。
地下道探索の疲れで、とっくの昔に寝ている生徒がいれば、まだ地下道に残っている生徒もいる。転科のために夜遅くまで起きて勉強を
続ける生徒もいるし、中には夜通し遊ぶために起きている生徒もいる。
そんな寮の一室。明かりは既に消されているが、中では二つの荒い息遣いが漏れていた。
「んん……あうっ…!」
甲高い喘ぎ声を上げるクラッズの女の子。その表情には、快感とも苦痛とも取れない表情が浮かんでいる。
「やっ……こんな格好、恥ずかしいよぉ…!」
「クラちゃん、可愛い…」
自身も仰向けに転がり、クラッズの小さな体をその上に寝かせ、執拗に攻めるのはバハムーンの女の子である。
ほんのりと膨らんだ胸に手を這わせ、とめどなく蜜を溢れさせる秘部の小さな突起を指で弾く。その度に、クラッズの体はビクンと跳ね、
悲鳴に似た喘ぎ声を上げている。
「ね、ねえ……もう、十分でしょぉ…?三回もなんて、聞いてないよぅ…」
「まだ、聞きたいな。クラちゃんの声…」
「バハちゃん、もうやめてってばあ…!明日も、探索行くんじゃ……ひゃうっ!」
バハムーンが、クラッズの耳を甘く噛む。クラッズの言葉が止まると、指でそっと彼女の秘所を広げる。そこに尻尾を押し当てた瞬間、
クラッズはハッと我に返った。
「だっ、ちょっ、待ってっ!ストップっ!やめて!」
必死にバハムーンの腕を振り払い、足を閉じて抵抗するクラッズ。さすがにそうされては、バハムーンも中断せざるを得ない。
「……ダメ?」
「ダメだっていっつも言ってるでしょ!?そんなの入れられたら、私死んじゃうってば!」
「一回でいいから、してみたいなぁ…」
「バハちゃん……本当に怒るよ?」
その一言で、バハムーンはビクッと身を竦めた。
「や、やだぁ……怒らないでぇ…」
「……うん、いや、怒らないから。しなければ、だけど」
「うん……ごめんね、クラちゃん…」
言いながら、バハムーンはクラッズのうなじをつぅっと舐める。ぞくぞくした快感に、クラッズはピクンと身を震わせる。
「んあ……それ、結構好き……かな…」
「いっぱい、気持ちよくしてあげるね…」
首筋にキスをし、今度は尻尾の代わりに指を押し当てる。そしてクラッズの呼吸に合わせ、ゆっくりと彼女の中へと沈めていく。
「んうっ……うああ……あっ!」
熱い吐息を漏らし、身を震わせるクラッズ。その姿に、バハムーンは何ともいえない嬉しさのようなものを感じる。
「気持ちいい?一気に、イかせてあげるね…」
言うなり、バハムーンは指の角度を変え、腹側を擦るように指を曲げる。さらに、親指で敏感な突起をグリグリと刺激し始めると、途端に
クラッズは体を弓なりに反らせ、全身を強張らせる。
「きゃあっ!?だ、ダメぇ!それっ……ダメっ!強すぎるぅ!うああぁぁっ!」
「二箇所責め、いいでしょ?また、イクときの声、聞かせて…」
「ま、待ってっ……くっ、はぁ……や、ダメ……わ、私、もう……あ、うああぁぁ!!!」
必死の抵抗も虚しく、ガクガクと体を痙攣させるクラッズ。さすがに三回も絶頂を迎えていては、もう彼女の体力は限界だった。
何かバハムーンが言っているのは聞こえるが、それを声として認識できない。やがて、凄まじい快感の中、クラッズの意識はすうっと
暗く沈み込んでいった。

106: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:11:41 auNbT54d
日光が目を直撃し、クラッズは目を覚ました。見ればかなり日は高く、だいぶ寝坊してしまったらしいことは想像がついた。
「んん……バハちゃん…?」
見回しても、バハムーンの姿はない。朝食でも買いに行ったのだろうか。
とりあえず、ベッドから降りる。が、そこで部屋の中に違和感を覚えた。
「……?」
部屋の中をじっくりと見回す。最初は気付かなかったが、徐々に頭が覚醒するにつれ、その正体に気づいた。
バハムーンの荷物が、ない。探索に行く時の消耗品も、消えている。
クラッズの頭が、急速に覚醒を始める。さらに、テーブルの上に紙切れを見つけ、クラッズは大慌てでそれを手に取った。
「うーそーでーしょーっ!?」
クラッズの絶叫が、朝の寮に響き渡った。

それより少し前。同じ寮の一室で、バハムーンの男子が目を覚ましていた。
目を開けると、茶色いふさふさした毛が目に映る。まだ寝ているらしく、気持ちよさそうな寝息と共に、体が規則正しく上下に動いている。
「おい……朝だぞ」
腹の上で寝るドワーフは、バハムーンの声など耳に届いていないようで、実に幸せそうな顔で寝ている。バハムーンとしても、自分の
上で腹ばいになっているドワーフの温もりは心地よかったが、かといっていつまでも、そうしているわけにはいかない。
「朝だぞ、起きろ」
「んん~…」
軽く肩を揺するも、ドワーフはバハムーンの胸に頭を摺り寄せ、再び寝息を立て始めた。
「おい、起きろ。もう朝だ。飯の時間だぞ」
「んあ……ああ、バハムーン、おはよ…」
飯、という言葉に反応したのか、眠そうな目を何とか開けるドワーフ。次いで、今度は大口を開けて欠伸をする。鋭い歯が並ぶ口内が、
バハムーンの眼前に広がる。
「その歯を見ると、少しゾッとするものがあるな」
「ん、別に噛むわけじゃねえんだし、いいだろー」
ドワーフは少し体を起こしたが、すぐにまたバハムーンの体にしがみついた。
「……おい、何をしている」
「ん~、その、あんま離れたくねえな、ってさ……へへ」
「やれやれ、朝から何を言ってるんだ」
そう言いつつ、バハムーンの顔も笑っている。バハムーンは体を起こすと、ドワーフを抱き上げてベッドから降りた。
「お、おいおい!何するんだよ!?」
「離れたくないんだろう?だから、こうしてやったまでだ」
「あ、いや、それはその、嬉しいけど……あの、着替えなきゃなんねえから、下ろして…」
「わがままな奴だ」
「それはしょうがねえだろー!できるんだったら、一日中だってああしてたいけどさ…」
ぶつぶつ言いつつ、ドワーフは服を身に着けていく。着替えるとはいえ、二人とも服は着ていない。
「それにしても、お前また筋肉ついたな」
「お、わかる?オレもそろそろ、お前に負けないぐらいにはなったかな、へへ!」
「俺には、まだまだ程遠いぞ。そもそも種族が違うんだ、こればかりは負けられんな」
「ちぇー、絶対いつか抜いてやるからな」
言いながら、ドワーフはパンツを穿き、ズボンに足を通す。続いてシャツを羽織り、上着はまだ着ずに置いておく。

107: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:12:18 auNbT54d
「学科も、僧侶では戦闘向きではないからな。転科を考えてみたらどうだ?戦士とか君主なら、お前には合ってそうだが」
「転科かあ。でも、オレこの学科好きなんだよ」
「ま、そもそも君主になれるかどうか、些かの疑念もあるがな」
バハムーンの言葉に、ドワーフはムッとした顔を向ける。
「……それ、言いっこなしだろー」
「はっはっは、気にするな。何であろうと、お前が俺の彼氏だということは変わらん」
そう言い、バハムーンはまったく反省のない笑顔を向ける。
「ちぇ、いっつもそうやってごまかす」
だが、そう言いつつもドワーフの尻尾はパタパタと振られている。
ともかくも服を着ると、二人は揃ってハニートーストを頬張る。朝は甘い物を、というのがバハムーンのこだわりで、最近はドワーフも
それに倣っている。
「んーで、今日はどこ行くんだ?」
「まだ決めてはいない。最近ずっと探索続きだから、いっそ休みでもいいかと思っているがな」
「何だよ、じゃあ起きなくてよかったじゃねえか」
「まだ決めてはいないと言ってるだろうが。あくまでも、案の一つとしての話だ」
「ん~、たまには、その……ゆっくり、一緒にいたいけどな…」
少し恥ずかしそうに言うドワーフ。それを見て、バハムーンは楽しげな笑顔を浮かべた。
「その意見には、俺も全面的に賛成だ」
「何だよ!じゃあ最初っからそう言えよな!くそー、いちいち言わせやがって…!」
「お前の意見も、尊重しなきゃならんからな。そう愚痴るな」
絶対嘘だ、と言いたいところだったが、確実にうまくはぐらかされるので黙っていた。
食事を終えると、二人は揃って大きな伸びをする。
「しかし、ずっと部屋に篭っているのも良くない。少し購買にでも行くか?」
「あ、そだなー。明日のパンも買いたいしな」
「ついでに、面白い装備でも入っていればいいんだがな」
部屋を出ると、バハムーンがドワーフの肩を抱き寄せる。が、ドワーフはすぐにその腕を振り払う。
「なんだ、嫌か?」
「いつも言ってんだろ!?外ではやめろよ!」
「部屋の中だろうが外だろうが、大した違いはないだろうに」
「全然違うだろうがっ!いいか、とにかく外ではやめろ!」
部屋で二人きりだと、今では自分から甘えるようになったドワーフ。しかし一歩でも外に出ると、相変わらずいつも通りに振舞っている。
そのため、二人の関係が大きく変化していることに気付く生徒はいない。
廊下を歩き、その端にある階段へ向かう。そして階段に差し掛かった瞬間、階段を飛び降りるように走ってきた影がドワーフにぶつかった。
「うわっ!?」
「きゃっ!?」
よろめいたドワーフをバハムーンが支える。
「ドワーフ、大丈夫か?」
「あ、ああ。オレは平気だけど……えっと、大丈夫か?」
相手は小さなクラッズだった。ドワーフの体に吹っ飛ばされ、尻餅をついている。少し捲れたスカートの下からちらりと白い物が見え、
ドワーフは慌てて視線を逸らした。

108: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:12:53 auNbT54d
「痛たた……ご、ごめんね。だいじょ……ぶ…」
そこまで言った口が、二人の姿を見て止まる。『ああ、またか』と、ドワーフは心の中で悲しいため息をついた。
「え、え~~~っと……ほ、ほんとごめんね、あはは、は……じゃ、じゃあ、その、私はここで~…」
「大丈夫なようだな。行くぞ、ドワーフ」
「ちょっ、ちょっと待てよ!引っ張んな!」
何とか留まるドワーフに対し、クラッズは引きつった笑顔を向ける。
「わ、私はほんと、平気だからさ!だから、その、えっと、ほんと、大丈夫だから…」
元々、バハムーンは男子連中から非常に恐れられており、今でも二人に近づく者はいない。女子には被害がないはずなのだが、それでも
さすがに心象が悪すぎるため、彼は女子からも恐れられていた。今では公認の彼氏となったドワーフも、その例外ではない。
「いや、でもさ、なんかすっげえ急いでるみたいだし、何かあったのか?」
「急いでる邪魔をしては悪いだろう。さっさと行くぞ」
「だぁから引っ張んなっ!ったく、お前女にはほんと冷たいのな…」
「男でなければ興味はない」
「男でも興味持つなっ!」
二人のやり取りを、クラッズは苦笑いを浮かべて見ていた。少なくとも、ドワーフの方はさほど警戒しなくてもよさそうな人物だと、
心の中でホッと息をつく。
「えっと、じゃああの、ちょっと聞きたいんだけど、バハムーンの女の子見なかった?」
「って言われてもな……どんな子?」
「え~、こう髪はこのくらいで、無口で内気でポアッとしてて…」
「無口で内気って……そんなバハムーン見たことねえよ…」
「まったくだ。そいつは本当に俺と同じ種族か?」
「だよねぇ……あ~、じゃあやっぱりもう行っちゃってるんだ~…!」
そう言い頭を抱えるクラッズ。さすがに、何か大変なことになっているのだと言うことは、二人にも理解できた。
「どうしたんだ?よければ、話聞くぞ?」
「おいドワーフ…」
「うるせえっ!黙ってろ!」
「えっとね、その子私の友達なんだけど、私寝坊しちゃって……それで、一人で地下道行っちゃったみたいなんだ」
「一人で?どこまで?」
「予定通りなら、たぶんトハス」
「トハス!?」
二人が同時に声を上げた。二人でも楽とは言えないところなのに、一人でそんなところに行くとは何を考えているのか。
「で、でも、一人でそこまで行けるって事は、それなりに力はあるんだろ?」
「だけどあの子、たまに勝手に宝箱開けちゃうんだよぉ~!もし、スタンガスとか死神の鎌とか引っかかったら…!」
「とんでもない女だな。そんな奴、放っておけばいいだろう。一度痛い目に遭えば、嫌でもわかるというものだ」
「それは、そうだけど…!でも、放っておけるわけ、ないじゃない…!」
本気で心配そうな顔をするクラッズに、ドワーフは心の底から同情した。きっと、この性格のせいで苦労しているのだろう。

109: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:13:30 auNbT54d
「でも、君一人じゃ、トハスまで行くのはきついだろ?」
「そう……だけど、でも、逃げ回れば何とかなるし!それに…!」
「いいよ。オレ、一緒に行ってやるよ」
「え?」
「おいおい、ドワーフ…!」
呆れたように話しかけるバハムーンを睨みつけ、ドワーフは続ける。
「一人でも仲間いれば、少しはマシだろ?」
「あの、気持ちは嬉しいけど…」
「いいよ、こいつは。ほっといたって、死にやしねえし」
バハムーンは少し不機嫌そうに、二人のやり取りを聞いている。
「何も初対面の相手に、そこまですることないだろうに」
「じゃあ、お前が俺に会った時はどうだったんだよ!?ったく、お前はいいよ。部屋に戻っててくれ。この子送り届けたら、
すぐ戻るからさ」
「……ほんとに、いいの?」
「いいっていいって。困ったときはお互い様ってね」
クラッズは人懐こい笑顔を浮かべ、頭を下げた。
「ほんと、ありがとう!すっごく助かる!」
「気にするなって。困った女の子放っておくなんて、できねえしな」
そう言い、ドワーフはあてつけがましくバハムーンを睨む。バハムーンは相変わらず不機嫌そうに、二人を見ている。
「じゃ、ちょっと行ってくるから。悪いけど、少し待っててくれな」
バハムーンの脇をすり抜け、二人は階段を降り始める。バハムーンはつまらなそうな顔で、それを見送っていた。
階段を降り、寮のロビーを抜ける。その時、上から大きな声が響いた。
「忘れ物だ!」
二人が見上げた瞬間、巨体が二階の窓から飛び出してきた。そして、着地際に退化した翼を思い切り羽ばたかせ、着地の衝撃を軽減する。
「やっぱ、来てくれたんだな」
そう言い、ドワーフはバハムーンに笑いかけた。が、当のバハムーンはつまらなそうな顔をしている。クラッズの方も、ようやく
離れられたと思った彼が再び現れ、その顔を引きつらせている。
「まったく、何の用意もなしで、どこに行くつもりだったんだ」
装備一式を手渡しながら、バハムーンは実に不機嫌そうな声を出す。
「休んでてもいいんだぜ~?元々はその予定だったんだし」
「やれやれ、お前を放っておけるわけないだろう。ちっ、休みの予定が、とんだ割を食わされたもんだ」
そうぼやく彼に、ドワーフは笑顔を向ける。
「けど、ついて来てくれるんだろ?お前ならそうしてくれると思ったぜ」
「ふん。期待に沿えて光栄だ」
「つ、ついて、来てくれるん……だぁ…。あはは……は…」
引きつった笑顔を向けるクラッズに、バハムーンは蔑むような視線を送る。
「貴様のような下等種族と、こいつだけをトハスなんぞに送り出せるか」
「こいつ、口は悪いけどさ。そんな悪い奴じゃないから、心配しなくていいぜ」
恋人の証言ほど、信用ならないものもない。今では、クラッズの心の中は友達に対する心配より、自分の身に対する心配でいっぱいに
なっていた。

110: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:14:07 auNbT54d
地下道入り口に着くと、ドワーフは重装備に身を包み、ポジショルを唱えた。
「……ん、もうポストL2にいるみたいだな。すぐ追いかければ間に合うかな」
「さっさと追いつくぞ。こんな奴等のために、無駄な時間を食いたくはない」
「だぁから、そういうこと言うなっての!」
「あの……ほんと、ごめんね。でも、ありがとう」
申し訳なさそうに言うクラッズ。だが、バハムーンは彼女を一瞥しただけで、あとは無視を決め込んだ。
「気にすんなって。さて、早く追いつかなきゃいけないのは確かだし、頑張るかー!」
ドワーフが言うと、バハムーンは何も言わずに先頭に立ち、地下道へと歩き出した。二人もすぐに、その後をついて行く。
正直なところ、クラッズは二人にさほどは期待していなかった。自身もそれなりに実力はあり、何よりいつも一緒にいる相方の実力は
飛び抜けたものである。とにかく探索好きで、戦闘も嬉々としてこなす彼女に比べ、この学校でも有数の問題児である二人が、それほどの
実力を持っているとは、とても思えなかったのだ。
が、最初の戦闘から、クラッズは目を見張った。バハムーンもドワーフも、今まで見た中でも相当な実力者である。ドワーフは重装備で
敵の攻撃を弾き返し、相手によって魔法と物理攻撃とを使い分け、的確に回復もこなす。
バハムーンの方は、軽装に素手ながらも敵を一撃で打ち倒し、相手の攻撃など掠りもしない。まして、彼の吐き出すブレスは、彼女の
相方であるバハムーンのものよりも強力だった。
そんな二人と一緒のため、進行は異常に速い。あっという間に地下道を通り抜け、一行はドゥケット岬の中継点に出た。
「ふう。さてと、君の友達は…」
一息つくと、ドワーフはまたポジショルを唱えた。
「……意外と速えな。ポストR2だ」
「ふん。それなりの実力はあるようだな」
「二人とも、すごく強かったんだね。私、こんなに強い人だって思わなかった」
クラッズが正直に言うと、ドワーフは笑った。
「オレはそうでもないって。こいつにくっついてるおかげだよ」
「背中を預けるに値する相手がいなければ、その実力も出せんがな」
そう言って笑う二人を見て、クラッズは少し羨ましくなった。自分の方は、盗賊と戦士という組み合わせであり、戦闘はバハムーンが、
宝箱や扉の鍵は自分がというように役割分担されている。戦闘も少しはこなせるが、背中を預けられたことなど一度もない。
「二人とも、ほんとに信頼しあってるんだね」
「オレの場合、入学してすぐこいつと一緒になったからなー。……でも出会い自体は最悪だったっけな」
ドワーフがいたずらっぽい笑顔を向けると、バハムーンは曖昧な笑顔を返した。
「結果がよければ、過程などどうでもよかろう。さあ、話はこれぐらいにしてさっさと行くぞ。追いかけるこっちが置いていかれては
たまらんからな」
そしてまた、三人は地下道へと入って行った。この地下道の道のりは長く、仕掛けも複雑なものが多いが、三人ともここに来ることは
多い。そもそも、今回は探索が目的ではないため、大して手間取ることもなく、順調に進行していく。
信じられないほど早く地下道を抜け、一行はポストハスにたどり着いた。そしてまた、ドワーフがポジショルを唱える。
「……よし、追いついてきたぞ!トハスL3だ!」
「結構なことだ。さっさと見つけて、さっさと帰るぞ」
ここまで来ると、さすがに敵も強い。バハムーンもたまには攻撃を受けるようになり、クラッズに至っては一撃でかなりの傷を負うことも
あったが、ドワーフの援護のおかげで進行自体には支障をきたしていない。

111: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:14:42 auNbT54d
フロアを移動するごとに、ドワーフはポジショルを唱える。だんだんと両者の距離は縮まっていき、そしてトハス中央に来た時、
ドワーフが叫んだ。
「……よしっ、追いついたぞ!」
「ほんと!?二人とも、付き合わせちゃってごめんね。それと、ここまで送ってくれてありがとう!あとは私、一人で探せるから…」
そう言いかけるクラッズを遮るように、バハムーンが言葉を重ねた。
「ドワーフ、どうせこいつを一人にさせる気はないんだろう?」
バハムーンの言葉に、ドワーフはニッと笑った。
「さすが、よくわかってるよなあ」
「ちっ、そうくるだろうとは思ったが……乗り掛かった船、ということもあるか」
「い、いいよいいよ!?そこまでお世話にならなくたって…!」
クラッズは慌てて言いかけるが、ドワーフは優しく笑う。
「盗賊の君一人じゃ、ここはきついだろ?それに、手分けすれば早く探し出せるしな」
「手分け、か。なるほど、そうすれば早く帰れるな。それじゃあ、俺は向こうを…」
歩き出したバハムーンの背中に、ドワーフが慌てて声をかけた。
「ちょっと待ってくれよ!お前にはこの子と一緒に行ってほしいんだ」
「は…?」
「えええ!?」
バハムーンとクラッズは同時に声を上げ、同時にお互いを見、同時に顔を逸らした。
「俺より、お前が一緒の方がいいんじゃないのか?大体、俺はこんな奴と二人でなど…」
「お前、ヒーリング使えるだろ?それに、お前強いけど魔法には弱いよな。オレは防具も見ての通りだし、いざとなったらバックドアルが
あるし……何よりさ、俺としてはお前がついててくれる方が、安心できるんだよ」
そう言われると、バハムーンも断りにくくなってしまう。ややあって、バハムーンは渋々といった感じで頷いた。
「……仕方ないな。なら、お前の言うとおりにしてやる」
「そ、そっかぁ……ま、まあ、ドワ君がそう言うなら、しょうがないか。あはは…」
クラッズも相当に気が進まない様子だったが、手伝ってもらっている手前、拒否もできない。結局、クラッズとバハムーンは二人で
探索をすることに決まってしまった。
「一応、お互い何かあるといけない。探している奴が見つかろうと見つかるまいと、10分後に一度この入り口で落ち合うぞ」
「ああ、わかった。んじゃ、お前も無理すんなよー」
「ドワ君も気をつけてね。それと……は、早く見つかるといいよね…」
「それはオレの台詞だろ?まあいいけど、君も気をつけてくれよな」
三人は二手に分かれると、それぞれ別の方向へと歩き出した。
ドワーフは一度周囲を見回し、人影がないのを確認すると近くの小部屋に入っていく。ここは非常に見通しが利くため、ざっと見回して
見当たらないのなら、あとは小部屋か、相当遠くにいるかしか考えられない。
たまに出現する敵は、強敵が多い。しかし幸いなことに、ほとんどが闇属性の敵であるため、僧侶であるドワーフとしては戦いやすい
相手である。
そうしていくつかの小部屋を回り、二重構造になっている小部屋に入った時、ドワーフは足を止めた。
入ってすぐ左の空間、メタライトルの光が辛うじて届く場所に、誰かがうずくまっている。その制服はランツレートの物であり、
背中の翼から、種族はバハムーンだとわかる。恐らく、彼女がクラッズの探していた相手だろう。

112: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:15:23 auNbT54d
念のため、驚かせないようにそっと近寄る。ふと見ると、彼女の前には金の箱が置いてあった。それを、彼女はじっと見つめていたのだ。
「……何してるんだ?」
ドワーフが声をかけると、バハムーンは顔を上げた。どことなく内気そうな、いわゆる一般にイメージされるバハムーンとは、随分と
隔たりのある表情だった。
「……箱」
「いや、そりゃ見ればわかるって。お前、まさかそれ開ける気か?」
「……開けてみようかなって思うけど、罠がわかんないから…」
ドワーフは宝箱に向かってサーチルを唱えた。詠唱が完成すると同時に、宝箱に仕掛けられた罠の情報がドワーフの頭に流れ込む。
「……ボムだ。結構強烈だから、開けるのはやめ…」
ドワーフの言葉を終わりまで待たず、バハムーンは何の躊躇いもなく宝箱を開けた。
直後、辺り一面に凄まじい爆音と爆風が巻き起こった。咄嗟に盾で防いだにも関わらず、ドワーフは爆風で数メートルほど
吹き飛ばされる。一方のバハムーンは、腕で顔を庇っただけで、相変わらず宝箱の前に立っている。
「痛っててて…!てめえー!!!何考えてやがんだぁー!?」
中身を取り出そうとしたバハムーンの体が、ビクッと震えた。そんな彼女に、ドワーフは大股で歩み寄る。
「ボムだっつってんだろうが!?どう考えてもオレ巻き込まれるだろ!?てめえ、オレまで殺す気かよ!?」
「……あ」
「『あ』じゃねえだろ!!!」
これは確実だと、ドワーフは確信した。この口調といい、行動といい、クラッズの証言にぴったり一致している。
「にしても、やっぱりお前か!あのなあ、お前友達置いてここ来ただろ!?あのクラッズの女の子!」
「え……クラちゃん、知ってるの…?」
「知ってるも何も、オレ達はそいつ連れてきたんだよ!ああ、今はお前探すために別行動とってるけど……とにかく来てるんだよ。
お前を追って、あの子一人でここに来ようとしてたんだぞ!?あんないい子に、心配掛けさせんじゃねえよ!」
一気にまくしたてるドワーフを、バハムーンはぼんやりした顔で見つめていた
「……お前、聞いてるか?オレの話…」
「うん」
「ほんとかよ…?とにかく、待ち合わせすることになってるから、お前はオレと一緒に来る!いいな?」
「うん。でも、その前に宝箱…」
バハムーンは改めて、宝箱の中身を漁る。中から出てきたのは、何かの素材とがらくただけだった。
「何だろうね、これ…?」
そう言い、嬉しそうに笑うバハムーン。確かにこれは放っておけないなと、ドワーフは頭の隅でクラッズの言葉に納得していた。
「ったく……まあ、ボムに巻き込んだのは許してやるけど、あの子には心配かけたこと、ちゃんと謝れよ」
ぶつぶつ言いつつ、ドワーフはメタヒーラスを唱え、自分と彼女の傷を治療する。そして彼女の前に立ち、さっさと入口に向かって
歩き出した。その後に続き、バハムーンも歩き始める。
「にしても、こんなとこまで本当に一人で来るとか……実力があるのは認めるけど、もうちょっと周りのことも考えてさぁ…」
説教じみたことを言いつつ歩くドワーフの背中を、バハムーンはじっと見つめている。
「大体、勝手にいなくなるなんて最低じゃねえかよ。置手紙したからって、何でもやっていいわけじゃねえだろ?お前だって、あの子の
性格はよくわかってんだろうにさー」
「……ふかふか……小っちゃい……でも男の子…」
ぼそりと、バハムーンが呟いた。
「なのに……んお?何か言ったか?」
「……ううん」
「そうか?じゃあ空耳か…」

113: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:16:02 auNbT54d
意外と早く見つけてしまったため、まだ合流するまでには時間がある。入口に着いた二人は何をするでもなくボーっとしていたが、
やがてドワーフが妙にそわそわし始めた。最初はバハムーンも気にしていなかったのだが、ドワーフの落ち着きはなくなる一方である。
一体どうしたのか尋ねようとした瞬間、ドワーフが一瞬先に口を開いた。
「悪りい、ちょっとオレ外すからさ、お前はここで待っててくれよ」
「……どうしたの?」
「えっと……その……しょ、小便だよ!だから、いいな!?絶対来るなよ!」
そう言い、近くの小部屋の影に向かおうとするドワーフに、バハムーンが声をかける。
「その辺でしちゃえばいいのに…」
彼女の言葉に、ドワーフはビクリと体を震わせた。
「え、ええっと……い、一応女の子の前で、んな真似できるかよっ!」
「一応って…」
「う、うるせえ!言葉の綾だ!とにかく、来るなよ!ほんとに!」
そう言い残して壁の裏に消えるドワーフを、バハムーンはボーっとした顔で見送っていた。
当然、すぐに戻るだろうと思っていたのだが、思ったよりも時間がかかっている。おまけに、辺りのモンスターの気配も濃い。
少し悩んだ後、バハムーンはのそのそとドワーフの消えた方へ歩き出した。これでも一応は、彼女なりに気を使っているのだ。
ドワーフが消えた壁の向こう側に回ると、比較的近くにドワーフがしゃがみ込んでいるのが見えた。
「……おしっこじゃなかったの?」
「えっ!?わっ!?」
突然話しかけられ、ドワーフは大慌てで顔を上げた。
「てっ、てめえ来んなってっ……ちょっ、おい!こっち来んなってば!!!」
「……あれ?」
その時、バハムーンは気づいた。ドワーフの股間には、男にあるべきものが存在していない。そして用の足し方は、女そのものである。
「てめっ……どうして待ってろって…!くそっ、こっち見んな!」
「もしかして……女の子?」
股間を拭き、がちゃがちゃと慌ただしくズボンと腰の鎧を付け直しつつ、ドワーフは彼女の顔を睨んだ。
「うるせえなっ!オレは女じゃねえ!!男だ!!」
「……でも、女の子…」
「うるっせえなあ!!オレは男だったら男なんだよっ!!女じゃねえんだよ!!」
だが、ドワーフの言葉など、既に彼女の耳には入っていなかった。
目の前にいる、小さくてふかふかの毛を持つ、まるでぬいぐるみのような女の子。
――すっごく可愛い…。
クラッズがここに来ていると、ドワーフは言った。『オレ達は』とも言っているので、他にも仲間がいるかもしれない。となると、
近々この小さな子とは別れることになるかもしれない。
――可愛い子……でも、もうすぐお別れ……その前に、一回ぐらい…!
自分を見る目の変化に気付き、ドワーフは思わず後ずさった。
「お……おい、何だよ…?な、何するつもり…」
その言葉が終わるより早く、バハムーンはドワーフを抱きかかえていた。そして、一目散にゲートへと走り出す。
「お、おいっ!?何するんだよっ!?バ、バハムーン!!!助けっ……むぐぅ!?」
叫ぼうとしたドワーフの口を押さえ、彼女はゲートへと飛び込んだ。そして後には、元のようにただ静寂が満ちていた。

114: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:16:36 auNbT54d
ドワーフと別れたバハムーンとクラッズは、黙々と反対側のゲートを目指して歩いていた。クラッズからすれば彼には話しかけ辛く、
バハムーンからすれば彼女とは話したくないのだ。なので、二人の間には非常に気まずい空気が漂っていたが、やがてクラッズが
それに耐えきれなくなった。
「あ、あのぉ~…」
「……なんだ?」
「あの、さ……バハ君って…」
「バハ君だぁ?」
「あっ!?えっと、そのっ!嫌ならその呼び方やめるけど、別に悪気があったわけじゃっ…!」
大慌てで弁解するクラッズに、バハムーンは面倒臭そうな顔を向けた。
「……別に、呼び方など何でも構わん。で、俺がどうした」
何とか許しを得て、クラッズはホッと息をついた。
「あの、別に大したことじゃないけど……何か、その、悪い噂ばっかり聞いてたんだけど…」
「全てではないにしろ、大半が事実だ。否定はしない」
「でも、今のバハ君って……その~、思ったより悪い人じゃないような…」
「女に興味はない。それに…」
そこで一度言葉を切ると、バハムーンは微笑を浮かべた。
「今はあいつがいる。男であっても、他の奴にはさほど興味はない」
本当に、噂ほど悪い人ではないのだろうと、クラッズは思った。彼は確かに問題児なのだろうが、少なくとも悪人ではない。
「と、ゲートか。ここまでの小部屋にも人影はなかったな」
「あれ、ほんとだ。じゃあドワ君、合流できてるかな?」
「あるいは、先に進まれたか、だな。いずれにしろ、一旦戻るとするか」
懐に入れてきたフレンチトーストを齧りつつ、バハムーンは元来た方へ歩き出す。クラッズも小腹が減ってはいたが、さすがにまだ
彼から食べ物をたかろうという気にはなれない。
橋のようになった狭い道を抜け、来るときに通ったゲートへと戻る。見たところ、まだドワーフはいないようだった。
「ドワ君、いないね」
「あいつは一人だからな。少し時間がかかっているんだろう」
特に深く考えず、二人はドワーフを待つことに決めた。しかし、いくら待ってもドワーフが来ることはなく、その気配すら感じられない。
時間が経つごとに、バハムーンの顔は険しくなり、クラッズの顔にも不安が募る。やがて、とうとう約束の時間を過ぎた時、バハムーンが
のそりと動いた。
「いくら何でも遅すぎる。探しに行く。お前はここで待っていろ」
「一人じゃ危ないよ!私も…!」
後に続こうとしたクラッズを、バハムーンはギロリと睨みつけた。
「俺は、あいつからお前を任されている。お前を危険に晒すわけにはいかない。わかったらそこにいろ」
「……わ、わかった、ごめん…」
言葉よりも視線に威圧され、クラッズは足を止めた。それを確認して、バハムーンは歩き出した。

115: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:17:10 auNbT54d
「でも、バハちゃんもどうしたんだろ……もし会ってても、ドワ君男の子だから平気だろうけど…」
そんなクラッズの呟きを背中に感じながら、バハムーンはドワーフを探し始めた。もしもモンスターにやられたのであれば、どこかに
死体が残っているはずだ。あるいはバックドアルで逃げたのならば、ここには何の痕跡も残らない。
できることなら後者であってほしいと思いつつ、バハムーンは近くの小部屋の周囲を見回っていく。その時、足元の壁と床に黒い染みが
あるのを見つけた。その臭いから、どうやらここで誰かが用を足したらしいことはすぐにわかった。
――この染みの付き方……女か。
臭いがあるということは、これはまだ新しいものである。バハムーンはその場にしゃがみ込むと、その染みに軽く触れてみた。
思った通り、まだ僅かに温もりが残っている。となると、ここについ数分前まで誰かがいたのだ。
突然、バハムーンの脳裏にクラッズの呟きが蘇る。直後、バハムーンはゲートへと駆け戻り、驚くクラッズの胸倉を掴み上げた。
「きゃあぁ!?や、やめてぇ!!わわわ、私、女の子だし、バハ君となんかできるわけっ…!」
「答えろ!!貴様、さっきドワーフが男だから平気だと言っていたな!?」
「……へ?」
「なら、もしあいつが女だったらどうなるというんだ!?さっさと答えろ!!」
質問の意図はわからなかったが、彼の目には、はっきりと焦りの色が浮かんでいた。
「え、ええっと……あの子、小さい女の子が好きで……それで、その、その好きっていうのが、バハ君が男の子を好きだっていうのと
同じ意味で……それで、たまに暴走して…」
バハムーンの顔色が、目に見えて変わった。
「そういうことか…!くそ!やっぱりあいつを一人にするんじゃなかった!」
「ちょ、ちょっと待ってバハ君!一体何!?どうしたの!?」
ゲートに飛び込もうとする彼の腕を、クラッズが間一髪で掴んだ。
「貴様の連れにバレたようだ!あいつは男だが女だ!」
「え?な、何それ?どういう意味…?」
「心が男であるだけで、体の方は女だということだ!貴様らにわかりやすく言うなら、あいつは男のふりをした女だ!」
「え……ええええ!?じゃ、じゃあ本当はドワ君じゃなくって、ドワちゃん…!?」
「ここで話してる暇はない!向こうで会わなかった以上、あいつらはこのゲートの先だ!お前はここにいろ!……くそ、ふざけるな…!
あいつに何かあったら、絶対に許さんぞ…!」
「待ってよ!わ、私も行く!バハちゃんのことなら、私にだって責任あるもん!」
ゲートに飛び込むバハムーンの後を追うクラッズ。まったく場違いながら、クラッズはドワーフのためにここまで焦る彼を見て、
ほんの少しだけ、ドワーフが羨ましいと思っていた。

116: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:17:42 auNbT54d
ゲートの先はマップナンバー43番。いくつもの小部屋とダークゾーンの存在するマップである。そんな場所故に、ドワーフをさらった
彼女にとっては好都合だった。ダークゾーンを走り抜け、適当な小部屋に到着すると、バハムーンは部屋の隅にドワーフを下した。
「て、てめえ何しやがるんだよ!?勝手にこんなところまで来やがって…!」
「……君、可愛いから…」
「うるっせえ!可愛いとか言うな!!大体、可愛けりゃ何だって…!」
「……可愛がってあげる」
その目に宿る異様な光に、ドワーフはようやく気付いた。それはかつて、現在の彼氏であるバハムーンに向けられたものと酷似していた。
「お、おい…!ふざけんな…!て、てめえ、それ以上近寄るんじゃねえ!!」
「男の子みたいな言葉遣い……可愛いけど、本当に男の子みたいだよ…?」
「『みたい』じゃなくって、オレは男だっ!女じゃねえっ!」
その言葉に、バハムーンは首を傾げた。
「……でも、女の子だよね?」
「ぐっ……そ、それは、その、体はそうだけど……で、でもオレは男なんだよっ!男だったら男だっ!」
「……女の子なのに?」
「だぁから男だっつってんだろうがっ!体は女でも、男なんだよっ!」
「…………よくわかんないや」
「わかんないで済ませるんじゃねえっ!!!わかれよっ!!!」
しかし、もうバハムーンは考えるのをやめたらしく、ゆっくりとドワーフに迫ってくる。身の危険を感じ、ドワーフはスターダストを
構えた。それでも歩みを止めない彼女に向かい、ドワーフはとうとう本気で攻撃を仕掛けた。
咄嗟に、バハムーンは剣で防ぐ。そして鎖が巻き付いた瞬間、バハムーンは思い切り引っ張った。
「うわっ!?」
ドワーフの手から、スターダストがすっぽ抜ける。それに気を取られた瞬間、バハムーンはあっという間に距離を詰め、ドワーフの
両腕を掴んだ。
「く、くそぉ!放せ!放せよ!!」
「暴れないで。危ないから」
「じゃあやめろって……う、うわあ!」
バハムーンはドワーフの腕を掴んで持ち上げ、片手で器用に腰鎧を剥ぎ取っていく。ドワーフは足をばたつかせて抵抗するものの、
腕だけで吊るされる痛みのため、大した抵抗にならない。
「て、てめえやめろ!もうやめろよ!ふざけんな馬鹿!やめろってば!」
ドワーフの言葉に、バハムーンが耳を貸す気配はない。鎧を剥ぎ取り、さらにズボンを剥ぎ取り、とうとうその手がパンツにかかる。
「よせーっ!やめろ!!やめてくれよ!!もうやめろぉー!!」
「大丈夫、気持ちよくしてあげるから」
「しなくていいからやめろって……うあっ!」
とうとう最後の下着まで剥ぎ取られ、ドワーフは尻尾で股間を隠し、バハムーンを睨みつける。そんなドワーフに構わず、
バハムーンはその尻尾をどかしにかかる。
「よせぇ……み、見るなぁ…!」
「……毛だらけでよくわかんない」
バハムーンは空いている腕でドワーフの片足を上げさせ、ついでに尻尾を掴む。足が上がったおかげで、毛の間に小さな割れ目が
はっきりと見えるようになる。

117: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:18:16 auNbT54d
「畜生…!見るなよぉ…!」
「きれいだね……自分でしたりとか、しないの?」
言いながら、バハムーンは尻尾を放し、そこに指を這わせた。途端に、ドワーフの体がピクッと震える。
「うあっ……やめろ、触るなぁ…!」
そうは言っても、ドワーフの体はバハムーンの刺激に素直に反応し、いくらも触っていないにもかかわらず、そこはじんわりと
湿り気を帯び始める。
「敏感なんだ?思ったより慣れてるみたいだけど……中は、どう?」
全体を優しく撫で、指で割れ目を開かせると、バハムーンはゆっくりと指を入れた。その瞬間、ドワーフの全身がビクンと震えた。
「い、痛ってぇ!やめろっ、もうやめろぉーっ!!」
「きつい……もしかして、初めてなの?」
その感触とドワーフの反応から、まず間違いないようだった。この、ふわふわで小さな女の子が、しかも処女だということに、
バハムーンの胸はいやが上にも高鳴る。
「うう……そこ触るなぁ…!オレは女なんかじゃ…!」
「どうして?気持ちいいのに…」
「だから、さっきから言ってんだろ…!?オレは、女じゃねえ!!」
ドワーフは涙目になりつつ怒鳴るが、バハムーンはやはり首を傾げるだけだった。
「……気持ちいいのに、もったいないよ」
「もったいなくねえからやめろってんだよっ!!いい加減に……あっ!?」
続く言葉を完全に無視し、バハムーンは割れ目に舌を這わせた。
「うああ!やめろぉ!!やめ……んあっ……お、オレは女じゃ……んんっ!」
バハムーンの舌が、優しく秘裂を舐める。襞をなぞり、敏感な突起をつつき、そして中へと侵入する。
「ふあぁっ!?や、やだ……嫌だぁ…!うあっ!も、もうやめて……くれぇ…!」
力なく哀願するも、バハムーンはその声にますます興奮し、舌の動きもそれに従って激しくなる。
「こ、こんな……あうっ!あんっ!……ち、ちくしょぉ…!」
女そのものの喘ぎ声が漏れる。無意識に出た声に、ドワーフは唇を噛む。それと同時に、バハムーンも顔を離した。
「可愛い声……気持ちいいでしょ…?」
「やめ……ろ…!頼むから、もうやめてくれよぉ…!」
言ってから、思わず涙が浮かんだ。これほどまでに自分が女だと思い知らされたことは、今まで一度もない。
「……どうして泣くの?」
「オレは……女じゃ、ねえ…!」
「女の子じゃなかったら、そんなに気持ち良くなれないよ」
彼女としては、特に深く考えずに出た言葉だった。しかしその一言は、ドワーフの心を挫くのに十分な力を持っていた。
「う……うええぇぇ…!」
「……泣かないで。もっと、気持ち良くしてあげるから」

118: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:18:50 auNbT54d
バハムーンは再びドワーフの秘裂を開かせると、そこに舌を這わせる。尖りきった突起を転がすようにつつくと、途端にドワーフの
体が跳ね上がる。
「うああっ!そこは、やめっ…!」
「ここ、好きなんだ…?中の方の気持ちよさも、教えてあげる」
言うなり、バハムーンは敏感な部分にキスをし、ドワーフの中に舌を突き入れた。既にだいぶ昂らされ、さらに体内で舌が動き回るという
未知の快感に、ドワーフの体はガクガクと震えた。
「や、やめろ!!やめろぉ!!うああああ!!!こ、こんなの嫌だぁ!!んあっ……し、舌動かすなぁー!!」
ドワーフは叫び、必死に抵抗しようとするが、強すぎる快感の前にそれも叶わない。
どんどん強くなる、『女』としての快感。恐ろしく不快な快感。自身の秘部から伝わる感覚は、何のごまかしも利かない、純粋な
女としての感覚だった。
頭に白いもやがかかり、体が浮き上がるような感覚を覚える。それが何であるかを悟り、ドワーフは最後の力を振り絞り、叫んだ。
「嫌だぁ!!嫌だぁー!!!こんなのでイきたくねえよぉ!!イきたくない!!やだっ……あ、ああっ!!」
そんなドワーフの顔をちらりと見上げ、バハムーンは笑った。
「無理しないでいいのに……イッちゃえ」
ドワーフの体内でさらに激しく舌を動かし、内側を強く舐め上げる。ドワーフの体が、ビクンと震えた。
「やだ……あ、ぐぅ、あ、ああああぁぁぁぁ!!!!」
一際大きな声で叫び、ドワーフの体が思い切り仰け反る。体は小刻みに震え、しかしその顔には強い絶望の表情が浮かんでいた。
「ああ……あ……ぁ…!」
やがて、その体から力が抜けていく。それと同じくして、堪えきれなくなったかのように、涙が一粒、頬を伝った。
「あぁ……イかされ……たぁ…」
涙声で、ドワーフが呟いた。絶望に打ちひしがれたような、悲しみに満ちた声だった。
そんな様子には微塵も気づかず、バハムーンは顔に付いたドワーフの愛液を舐め、妖艶に笑う。
「ふふ、可愛い……中の気持ちよさ、もっと教えてあげる…。だから、初めて……もらっても、いいよね…?」
ドワーフにとっては、死刑宣告にも等しい言葉。しかしその言葉は、もはやドワーフには届いていなかった。

119: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/04 00:19:35 auNbT54d
以上、前半投下終了。
それではこの辺で。

120:名無しさん@ピンキー
10/03/04 07:58:37 hjE1bxhB
GJ!
お久しぶりです!
氏の作品楽しみにしておりました!

121:名無しさん@ピンキー
10/03/05 22:11:55 Z77JTczo
ここにきて男装ドワ子の再登場とか……嬉しすぎて脳内ボイスがわけわかんないことになった

122:名無しさん@ピンキー
10/03/08 11:55:04 qciTaF+G
GJ
久しぶりの氏の作品を堪能させていただきました

123:名無しさん@ピンキー
10/03/09 18:08:09 GY+pejLx
最近普通科ディアボロスがかわいく見えてきた

……おかしいだろうか

124:名無しさん@ピンキー
10/03/09 18:26:56 wpwvf7Au
まったくもって正常です

125: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:21:33 tbv7teIj
こんばんは。それでは前回の続き投下します。
後半は衆道士バハムーンとドワーフになります。

念のため注意としては、♂×♀ですが♂×♂に見えたりします。
なので脳内変換に自信ない人はご注意を。一応前よりは♂×♀っぽいですが。
それでは、楽しんでもらえれば幸いです。

126: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:22:21 tbv7teIj
地下道に戦いの音が響き渡る。モンスターの群れが囲むのは、たった二人の冒険者。
「ぐあっ!」
「バハ君、大丈夫!?」
「くっ……俺のことより、自分を心配していろ!」
一瞬気を抜いたクラッズ目掛け、死霊の戦士が槍を繰り出す。直前に気付いたものの、クラッズはその攻撃を避けきれず、
脇腹に槍が突き刺さった。
「あぐっ……ぁ…!」
「ちっ、これだから下等な種族は…!」
バハムーンが駆け寄り、その槍を蹴り折る。間髪入れず、死霊の戦士にも拳を叩きこみ、急所への一撃で葬り去る。
しかし、バハムーンも決して余裕ではない。既に全身ひどく傷ついており、左目は額からの流血により開けられなくなっている。
「ごめん……私、足引っ張ってる…!」
「今更何を言う。そんなこと、初めからわかっていたことだ」
続いて襲いかかる闘牛の頭の攻撃をかわし、カウンターの貫き手を喉に放つ。
「それより、すぐ治療を…」
「も、もういいよ!このぐらいならまだ戦えるし、バハ君にこれ以上迷惑かけられないよ!」
傷を押さえ、クラッズは何とか立ちあがった。
「もう、8回もヒーリング使ってもらってる!このままじゃ、バハ君がやられちゃうよ!だからお願い、自分の傷を治して!」
その言葉を、バハムーンはつまらなそうに聞いていた。やがて、その顔に不敵な笑みが浮かんだかと思うと、クラッズに手を向けた。
直後、クラッズの傷が見る間に塞がっていった。一瞬何が起こったのかわからなかったが、クラッズはすぐに気付いた。
「バ、バハ君!?どうして私なの!?このままじゃ、バハ君が…!」
「貴様のような下等な種族に心配されるほど、俺は落ちぶれていない。それに…」
次々に襲いかかる敵をカウンターで片づけつつ、バハムーンは言葉を続ける。
「これだけ傷ついていれば、モンスターはひ弱な貴様ではなく、俺を狙う。こっちにとっても好都合だ」
「だからって、そんな…!」
「俺は、あいつに貴様を任された。貴様を守るのが、今の俺の為すべきことだ。あいつの信頼に、俺は応える義務がある」
強い口調で言い切るバハムーンに、クラッズは言葉を失った。
「そして、あいつが今ひどい目に遭っているのなら、俺はあいつを助ける義務がある。それらを放り出して、あいつの恋人が務まるか!」
最後のモンスターを打ち倒し、バハムーンは血に染まった唾を吐き捨てた。
「バハ君…!」
「……だが、もしあいつに何かあったら、貴様も容赦しないぞ…!」
「う……わ、わかってる。と、とにかく早く二人探そ!」
「言われるまでもない!」
戦闘を終えた二人は、戦利品を拾うのもそこそこに、すぐ探索を再開する。ダークゾーンの多いこのフロアは厄介ではあるが、
小部屋によって分けられているため、思ったよりも探索は容易い。
やがて、隅の方にある小部屋の前まで来た時だった。
「嫌だぁ!やめろぉ!それだけは嫌だぁー!!」
中から響く悲鳴。それは明らかにドワーフの声だった。
「ここかぁ!!!」
即座に、バハムーンは扉を蹴破った。直後、二人の目の前に信じられない光景が飛び込んできた。
「バハちゃん!?」
「あ、クラちゃん…!」
ドワーフを押さえつけ、秘裂に指を入れようとしているバハムーンの女の子。ドワーフはもう抵抗する気力もないのか、ぐったりと
して見える。

127: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:22:59 tbv7teIj
「ドワーフ…!」
彼の声に、ドワーフは顔を上げた。
「バハムーン……お、オレ、こいつに……う、うええぇぇん…!」
大粒の涙をこぼし始めるドワーフ。その状況から、バハムーンはドワーフの身に何が起こったのかを悟った。
直後、彼の気配が一変した。
「貴様……覚悟はできてるだろうな…!?」
その目はまるでダークドラゴンのような威圧感を放ち、隣にいるクラッズはおろか、同種族であるはずの彼女でさえも怯えさせた。
「こ、来ないで…!それ以上近寄ったら…!」
咄嗟に、彼女はドワーフを抱きあげ、秘裂に尻尾を押し当てた。
「……ほう、そう来るか」
「ちょっとちょっと、バハちゃん!?何考えて…!」
「だがそれは、俺も同じ真似ができるとわかっての行動か?」
「え……きゃああぁぁ!?」
言うなり、隣のクラッズを抱き上げ、同じように尻尾を押し当てて見せる。
「クラちゃん…!」
「嫌ああぁぁ!ちょっとちょっと、バハちゃん!お願いだからやめてよぉ!!」
「ついでに言うと、俺にあるのは尻尾だけじゃない。こいつの腹が裂けてもいいのか?」
「やっ……無理無理無理ぃ!!お尻とか絶対無理ぃ!!」
「クラちゃん!」
ドワーフを抱き上げたまま、彼女はギリッと歯を鳴らした。
「……ひ、卑怯者!」
「それはお前だ!」
「お前がだろ!」
「先にやったのはバハちゃんでしょ!」
「……あ」
三人同時の突っ込みを受け、彼女はようやくその事実に気付いた。
「え、えっと……で、でも、私はただ、気持ちよくさせてあげただけ…!」
「じゃあどうして、そいつは泣いているんだ?そして、そいつは俺の彼氏だ」
「彼氏…?でも、女の子…」
「体はな。だが、そいつは紛れもなく男だ。それを女として扱った貴様は、そいつを苦しめただけだ」
再び濃くなった殺気に、彼女はどんどん委縮してしまう。
「で……でも、その、私…」
「……は~…」
その時、クラッズが溜め息をついた。そして、なおも言い訳しようとする彼女をキッと睨みつける。
「バ~ハ~ちゃ~ん~!」
「ひっ…!?」
途端に、様子が変わった。その目は完全に怯え、まるで母親に叱られる子供のような顔になっている。
「あのさあ、バハちゃん。状況わかってる?それと自分が何したかわかってる?ねえ、わかってんの?」
「あ、あ、あのっ……あの、えっと…!」
狼狽する彼女を見つめ、クラッズは一瞬、自分を抱えるバハムーンに視線を送った。

128: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:23:43 tbv7teIj
「バハ君、もう大丈夫。ちょっと放して」
「……ああ、わかった」
彼の腕から解放されると、クラッズはずんずん彼女に近づいていく。彼女は彼女で、どんどん後ろに下がっていく。
「あ、あの、ごめんなさい…!この子、放すからぁ…!」
「そんなの、当たり前でしょっ!!」
「ひぅっ!」
ドワーフが解放されても、クラッズはなお詰め寄る。もはや彼女はバハムーンと思えないほどに縮こまっており、その前に仁王立ちする
クラッズの方が大きく見えるほどである。
「一人で勝手にこんなとこまで来て、助けてくれたドワちゃんと…!」
「……『ちゃん』とか言うな…」
ドワーフが、ぼそりと呟いた。
「あ、う……ごめん、ドワ君。とにかくドワ君にも、バハ君にも迷惑かけて、おまけに何、さっきの?バハちゃん、自分が何したか、
ちゃんとわかってる?」
「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!も、もうしないよぉ……謝るからぁ…!」
「謝って済む問題じゃないでしょ!!!」
「……貴様等の力関係は、どうにもわからんな…」
後ろで、バハムーンがぼそりと呟いた。
「ごめんなさい……ごめんなさいぃ…!クラちゃん、許してぇ…!」
「……許されると思ってるの?」
吐き捨てるかのような冷たい言葉。クラッズはドワーフを抱き起こすと、彼女を睨みつけた。
「クラちゃんん…!」
すがるように声をかけるが、クラッズは怒りに満ちた目で彼女を睨み返す。
「私だけだったらまだしも、他の人にまで迷惑かけて……バハちゃんがそんな子だったなんて、私思わなかった」
「クラちゃん……お願いだから、許し…」
「バハちゃんなんか、大っ嫌い!」
途端に、彼女は雷に打たれたように立ち竦んだ。やがて、その目には大粒の涙が溢れ、たちまち頬を伝って流れ落ちる。
「う……うええぇぇーん!!」
子供のように泣き出す彼女から視線を逸らし、クラッズは帰還札を取り出した。
「帰ろ、ドワちゃ……ドワ君」
「あ、おい…」
ドワーフが止める間もなく、クラッズは帰還札を使ってしまった。後には、バハムーンの二人組が取り残される。
「あのアマ……俺を忘れて行きやがった…」
もはや怒る気も失せたらしく、呆れたように呟く。そして、今だ泣き続ける彼女に視線を向けた。
「まあ、いい。それより貴様、覚悟はできてるだろうな」
低く、威圧感のある声に、彼女は涙に濡れた顔を上げた。だが、そこに逃げたり抵抗したりしようという意思は感じられない。
「……クラちゃんが……ひっく……あんなに怒ってるの、初めて見た……私、すごく悪い事した…」
まだ涙をこぼしつつ、彼女は続ける。
「ごめんなさい……ぐすっ……君にも、悪い事した……ごめんなさい…!罰は、ちゃんと受ける……ごめんなさい…!」
彼が目の前に迫っても、彼女は動かない。そして、静かに手を振りかざした時、さすがに怖いのか、ギュッと目を瞑った。

129: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:24:30 tbv7teIj
だが、来るはずの痛みが来ない。恐る恐る目を開けると、拳が目の前で止まっていた。
「……殴る気も失せた。貴様をここで殺したところで、何が変わるわけでもない」
拳を引くと、彼は軽く息をついた。
「それに、貴様にはまだ謝っていない相手がいるだろう?俺や、貴様の連れには素直に謝れたんだ。あいつに謝れないなんてことは
ないだろう」
その言葉に、彼女は黙って頷く。
「貴様とて、俺と同じバハムーンだ。種族の恥を晒すような真似をしないと、信じている」
何だか狐につままれたような顔の彼女に、彼は手を差し出した。
「帰るぞ。そんな所にへばりついていても、何ができるわけでもない」
彼女はしばらく躊躇っていたが、やがておずおずとその手を掴む。
彼女を引き起こすと、彼は汚いものでも触ったかのように、手をズボンで丁寧に拭った。
「帰還札は持っているか?」
「あ、うん、持ってる……じゃあ、使うね」
光に包まれ、消える二つの影。彼は気づかなかったが、帰還札を使う直前、彼女は隣の彼を、どこかうっとりした目で見つめていた。

中継地点でクラッズとドワーフを探してみたが、二人は既にランツレートまで戻っているらしく、バハムーンの二人組もその後を追う。
寮の入口で彼女と別れ、部屋に戻ってみると、ドアの鍵は開いているようだった。
「ドワーフ、いるか?」
「……ん」
消え入りそうな、小さな声。中に入ってみると、ドワーフはベッドの上に膝を抱えて座り込んでいた。
「……大丈夫か?」
「ん……って、お前こそ大丈夫かよ…?」
言いながら、ドワーフはバハムーンにヒールを使う。普段ならメタヒールを使うところなのだが、今は精神を集中できないのだろう。
隣に座ると、バハムーンは優しくドワーフの肩を抱いた。
「すまなかった。お前を一人にするべきではなかった」
「いいよ……オレが言ったんだから…。お前のせいじゃねえって…」
ドワーフは弱々しくも、何とか笑顔を見せた。だが、その笑顔が余計にバハムーンの胸を痛める。
「……ところで、あの女はどこに行った?俺を置いて帰りやがって」
「あ、ごめん。それ、オレもあの子も交易所で気づいたんだけど、追いつかれたら殺されるって泣いちゃったから、つい…」
「……どうせ、ここに帰れば結果は同じだというのにな。あいつは部屋にいるんだな?今からでも遅くは…」
そう言って立ち上がろうとしたバハムーンの服の裾を、ドワーフがギュッと掴む。
「……行かないでくれよ……お願いだから、一緒にいて…」
普段からは想像もつかないほどに、か細い声。その目には涙が溜まり、今にも零れ落ちそうだった。
「ドワーフ…」
「思い出しちまうんだよ……オレ……女の方で、イかされて…!オレ……オレ…!」
「わかった、もう黙れ。そんなこと、もう口に出す必要もない」
バハムーンはドワーフを抱き寄せると、零れた涙を舐め取るようにキスをする。
「バハムーン…!」
「そんな記憶など、すぐに忘れさせてやる。今は、俺だけを感じていろ」
言うなり、バハムーンは強くドワーフを抱き寄せ、その唇を奪った。さすがに一瞬驚いたものの、ドワーフはそれに抗うこともなく、
無遠慮に侵入する舌へ、甘えるように舌を絡める。

130: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:25:08 tbv7teIj
ドワーフの平たく長い舌の感触を楽しみつつ、バハムーンはその服に手を掛けた。片腕はドワーフを強く抱き寄せたまま、もう片方の
手で器用にボタンを外していく。やがて、全てのボタンが外されると、ドワーフは袖から腕を抜き、脱がせるバハムーンを手伝う。
舌を絡ませ、不意に唇を離す。ドワーフが追い縋るように舌を突き出すと、バハムーンはそれを舐めるように舌で触れ、再び唇を重ねる。
いつもより、ずっと長いキス。時に焦らし、時に欲望のままに、二人はその感覚を貪るように味わう。
バハムーンが、ズボンに手を掛ける。ベルトを外し、止め具を外すと、ドワーフは脱がせやすいように尻尾を垂らす。
ズボンを丸めてベッドの下に放ると、バハムーンはすぐに下着へ手を掛ける。それも同じようにして脱がせた時、ドワーフが不意に
胸を押した。それに気付き、バハムーンは唇を離す。
「ん、どうかしたのか?」
「……あ、あのさ…」
ドワーフは一度視線を逸らし、どこか言い辛そうに口を開く。
「前も、似たようなことあっただろ…?あん時も、オレ、初めてだからって狙われて……今回も、初めてだってわかったら狙われて…」
「おい、ドワーフ…」
「だ、だからっ!」
叫ぶように言うと、ドワーフは怯えたような目でバハムーンを見つめる。そして、震える手を伸ばし、自分から秘部を広げて見せた。
「し、知らない奴に、奪われるくらいなら……お、お前に、その、こっちの初めても、もらってほしい…」
そんなドワーフを、バハムーンは何とも言えない表情で見つめる。やがて溜め息をつくと、ドワーフの頭にそっと手を置いた。
「……俺は、女とヤるつもりはないぞ」
その一言に、ドワーフはビクッと耳を垂らした。
「そ、そんな言い方しなくたってっ……だって、だって……オレ…!」
今にも泣きそうな顔になるドワーフの頭を、バハムーンは優しく撫でた。
「お前は、男だろう?」
「え…?」
「聞こえなかったわけではあるまい?お前は、男だろう?」
「……そ、そうだけど、でもっ…」
「体は女でも、お前は男だろう?」
「……うん」
ようやく頷いたドワーフに、バハムーンは微笑みかける。
「だから、俺はお前と付き合っているんだ。俺は女とヤる趣味はない。……だがな」
ドワーフの頭を優しく撫でつつ、バハムーンは続ける。
「もし、お前が本気でそう望むなら、俺はそれに応えよう。しかし俺とて、いきなりそんなことを言われても覚悟が決まらん。
だから、しばらく待て」
「しばらくって……どれくらいだよ…?」
「そうだな、ひと月もあれば十分か。それでもし、ひと月後もお前が今と同じように望むのなら……その時は、俺も覚悟を決める」
少し不服そうではあったが、ドワーフはその言葉に黙って頷いた。
改めて、バハムーンはドワーフを抱き寄せる。そして服を脱ぎ、自身のモノに唾を付けると、ドワーフの耳元に囁く。
「悪いが、少し我慢しろ」
聞き返す間もなく、ドワーフの後ろの穴にバハムーンのモノが押し当てられる。次の瞬間、バハムーンは思い切り腰を突き出した。
「んぐ、あっ…!うあ、あああぁぁっ!!」
抱き締められ、身動きの取れないままに、ドワーフが悲鳴を上げる。いつもならば、ドワーフの愛液を絡めて入れているのだが、
バハムーンはそこに触れようともしない。

131: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:25:51 tbv7teIj
「い、痛いっ……痛てえよ、バハムーンっ…!」
「ドワーフ……すまん、我慢してくれ」
「あぐっ!うっ!バハ……んむぅ…!」
ドワーフの口を自身の唇で塞ぎ、バハムーンは腸内を激しく突き上げる。バハムーンが動く度に、滑りの悪い結合部に痛みが走る。
だが、体内を突き上げられる度、鈍い痛みと快感が走り抜ける。そして、重ねられた唇と、絡まり合う舌の感触が、痛みを和らげる。
「ふ、ぁ…!んっ……むぅ…!」
痛みから逃れるように、ドワーフは積極的に舌を絡め、バハムーンの体にしがみつく。それに応えるように、バハムーンもドワーフを
強く抱き締める。全身で感じるお互いの温もりが、二人の快感をさらに強めていく。
快感が高まるにつれ、痛みが消えていく。最初はバハムーンのモノを拒むようにきつく締め付けていたドワーフも、徐々に彼のモノを
優しく受け入れるようになっていく。
「くっ……ドワーフ、もうっ…!」
「んあぁ…!いいよ……お前の、オレの中にっ…!」
ドワーフはバハムーンに全身で抱きつき、彼のモノを強く締め付けた。同時に、バハムーンが低く呻いた。
ビクンと、体の中で彼のモノが跳ねるのを感じる。それを感じる度に、ドワーフの中にえもいわれぬ快感が湧きあがる。
強く腰を押し付けていたバハムーンが、ゆっくりと腰を引く。だが、そのまま引き抜くのかと思っていると、彼は再び強く
突き上げてきた。完全に油断していたドワーフは、予想外の快感に悲鳴を上げる。
「うああっ!?お、お前っ……あぐっ!お、終わったんじゃ…!?」
「生憎と、一度ぐらいで治まりはしないんでな。それに、お前だって足りないだろう?」
「オ、オレはっ……あうっ!バハムーン、もうやめっ……んあっ!!」
出されたばかりの精液が、腸内で激しく掻き混ぜられる。溢れた精液が結合部を伝い、それが潤滑剤となってドワーフの痛みを消し去る。
それによって、ただでさえ強くなっていたドワーフの快感は、一気に跳ね上がった。
「バハムーンっ……ま、待って!!オレ、もうっ……あぐぅ…!い、イっちまうよぉ!!」
だが、彼は動きを止めるどころか、ますます強く突き上げる。ドワーフはベッドのシーツをぎゅっと掴み、必死に耐えていたが、
それもすぐに限界が来た。
「も、もうダメっ……ああっ、ああああぁぁぁ!!!」
ドワーフの体が反り返り、ガクガクと震える。だが、バハムーンは動きを止めたりなどせず、なお激しくドワーフの腸内を突き上げる。
「ああっ!!あっ!!バハっ……ま、待てぇ!!オレ、今イってっ……う、動くなぁぁ!!!」
途切れることのない快感。ただでさえ敏感になっているところをさらに犯され、ドワーフの快感は限界以上に跳ね上がる。
「うあああぁぁ!!!やめっ……ぐぅ、あああぁぁぁ!!!」
再び、ドワーフの叫び声が響く。細かく何度も達してるらしく、ドワーフの体は反り返り、足はピンと伸びてぶるぶる震えている。
腸内はバハムーンのモノをさらに引き込むかのように蠢動し、唯一尻尾だけが、それ以上の動きをやめさせようとするかの如く、
結合部を隠すように閉じられる。
「くっ……ドワーフ、また出すぞ!」
「あぐぅぅ!!も、もうやめっ……これ以上っ……これ以上、イけねえよぉ!!バハ……あああぁぁぁ!!!」
ドワーフが叫ぶと同時に、腸内がギュッとバハムーンのモノを締め付ける。それに促されるように、バハムーンは再びドワーフの体内に
精液を注ぎ込む。
モノが跳ねるのに合わせ、バハムーンはドワーフの奥深くを突き上げる。その度に、大量の精液と空気が腸内で掻き混ぜられ、
ガボガボと大きな音が響く。その音までもが、激しく犯されている事実を認識させ、ドワーフに強すぎるほどの快感を与える。

132: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:26:33 tbv7teIj
「はあっ……はあっ……うああぁ、あ…!」
もはや何度目かわからない絶頂を迎えるドワーフ。しかし、さすがにもう叫ぶ元気もないのか、今までと違って力なく呻くだけである。
汗だくになった体からは徐々に力が抜けていき、目は今にも閉じられそうになっている。
「バハムーン……オレ……もぉ……無理ぃ…」
力ない声で言うと、とうとうドワーフの全身から力が抜けていった。バハムーンが突き上げる度に、その口から小さな呻き声が漏れるが、
もう今までのように叫び声をあげたりはしない。呼吸もすっかり浅くなっており、意識は既になくなっているらしかった。
「はぁ……はぁ……ドワーフ…!」
そんなドワーフの体内に、バハムーンは三度目の精を注ぎ込む。さすがにバハムーンも疲れており、これ以上しようという気は
起こらない。
ゆっくりと、ドワーフの中から引き抜く。
「う……ぁ…」
無意識に反応するのか、ドワーフの体がピクンと震える。それとともに、あまりに激しく犯されて、すぐには閉じなくなった肛門から、
精液がどろりと溢れ出た。
それを軽く拭き取ってやると、バハムーンはドワーフの体を抱きしめた。
「……もし、お前の望みが変わらなかったとしても…」
聞こえていないと知りつつ、意識のないドワーフの耳元で、そっと囁く。
「俺はお前を、放しはしない」
そう言い、バハムーンはドワーフをさらに強く抱きしめた。体毛が肌をくすぐり、汗ばんだ体からはいつもより強く匂いが感じられる。
そうして目を瞑っているうち、いつしかバハムーンも眠りに落ちていた。

一方、クラッズの部屋では夜が更けてからも、クラッズの叱責の声が響いていた。
「ほんっと、信じられないよ!どうしてドワちゃんにまで手ぇ出すわけ!?しかも、あの二人は恩人だよ!?」
「ごめんなさいぃ……クラちゃん、もう許してぇ…!」
「そもそも、ドワちゃんにちゃんと謝ったの!?それもしないで、許してとか言ってるんじゃないよね!?」
未だに怒り心頭のクラッズに、泣きそうな顔で謝り続けるバハムーン。
「あ、謝ろうとしたけど……バハ君に、来るなって言われたんだもん~…!」
「だからって、さっさと引き下がるの!?」
「だ、だって……すっごく怖い顔で言われたんだよぉ…」
「……う~……それは、まあ、じゃあしょうがないけど……あとで、ちゃんと謝るんだよね?」
若干、クラッズの口調が和らぐ。それを聞いた瞬間、バハムーンの顔にホッとした表情が浮かんだ。
「う、うん。ちゃんと謝る……だから……ゆ、許して、くれる…?」
「……謝ったらね」
溜め息混じりに言うと、クラッズはもう一度彼女を睨んだ。
「ああ、それからちゃんと謝るまで、エッチ禁止ね」
「え……そ、そんなぁ~…!」
「何?文句があるの?」
和らいだと思った表情が、再び鬼のような形相になっていく。元の目つきが悪いだけに、その迫力も凄まじい。
「ドワちゃんに好き勝手しておいて、色んな人に迷惑かけておいて、許してもらわないうちからやりたいことやるんだバハちゃんは!?」
「ご、ごめんなさいごめんなさい!!わかったよぉ!!言うこと聞くから怒らないでぇ!!ふええぇぇ…!」
泣き出すバハムーンに、再びボルテージを上げていくクラッズ。二人が眠れるのは、まだまだずっと先のことのようだった。

133: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:27:10 tbv7teIj
一ヶ月後、ドワーフとバハムーンはいつものように朝食を取っていた。相変わらずハニートーストやアップルパイなど、甘い物中心の
メニューである。
「ふー、ごちそうさまっと」
「速いな。朝食ぐらい、もっとゆっくり食えばいいものを」
「いいだろー別に。それに、これぐらい普通だって」
「……前は俺より遅かったと思うんだがな?早食いは太るぞ?」
「お前はどうなんだお前は。俺は三つだけだけど、お前それで八個目じゃねえかよ。大食いは太るぞ」
「俺はゆっくり食ってるからいいんだ」
「よくねえよ」
いつも通りの会話。いつも通りの日常。いつもと変わらない、当たり前の風景である。
だが、ここ最近は、それにも少しだけ変化が訪れていた。
食事を終えたドワーフは制服を着ると、鍵を持ってドアへと向かう。
「さてと、それじゃあオレ、行ってくるなー」
「また、あの女のところか?お前も飽きないな」
「いいだろー。だって、お前以外ではようやく、初めてできたまともな友達なんだから」
「ま、そうだろうな。別に俺とて、止める気はない。ゆっくり遊んでくるといい」
「安心しろって、ちゃんと夜までには帰るからさ。へへっ」
そう言ってドアに手を掛けるドワーフの背中に、バハムーンが声をかける。
「……夜と言えば、あれからちょうどひと月だな」
「うっ…」
ドワーフの体毛が、ぶわっと逆立つ。
「確か今日の夜には、お前のもう一つの初物がもらえるという話だったが…」
「ううう、うるせえー!!その話はなしだっ!!もう言うなっ!!あああ、あん時は頭ん中ぐちゃぐちゃで、どうかしてたんだよ!!」
全身ぼさぼさにして叫ぶドワーフを、バハムーンはニヤニヤしながら見つめる。
「そうか、それは残念だな。二度目の初物をもらえるというのは、なかなか魅力的だったんだが」
「嘘つけぇー!!お、お前だってそんなん嫌だろ!?だからもう、その話はなしっ!!もう言うな!!いいな!?」
「はっはっは、わかったわかった。今回は諦めておいてやろう」
「次回はもうねえよ!!」
乱暴にドアノブを掴み、捻じ切らんばかりの勢いで回す。そこでふと、ドワーフの動きが止まった。
「……けど、ありがとな。あん時、あのままやっちゃってたら……オレ、きっと一生後悔してた」
「俺は、お前の彼氏だからな。お前のことは、理解しているつもりだ」
そう言うバハムーンに、ドワーフは恥ずかしそうな、それでいて嬉しそうな笑顔を向けた。
「へへっ、お前のそういうとこ……オレ、大好きだぜ!」
返事も待たず、ドワーフはそのままドアをすり抜け、出て行ってしまった。だがその直前、尻尾がぼさぼさになっていたのを、
バハムーンは見逃さなかった。
「……意外と恥ずかしがりなのも、変わらんな」
小さく笑い、九個目のハニートーストを取った瞬間、部屋のドアがノックされる。ドワーフかとも思ったが、それならばわざわざ
ノックする必要がない。

134: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:27:48 tbv7teIj
「誰だ」
尋ねるも、返事はない。バハムーンは忌々しげにハニートーストを置くと、勢いよくドアを開けた。
「……おはよう」
そこにいたのは、あのクラッズと一緒にいるバハムーンだった。
「帰れ」
冷たく言い放ち、ドアを閉めようとする。しかし彼女は隙間に足を突っ込み、さらにドアに手を掛けて抵抗する。
「か・え・れ!」
「待って……いきなり、ひどい…!」
怪力の二人に掴まれ、ドアがメリメリと悲鳴を上げる。
「そもそも貴様、俺に何の用だ。いや、何があろうと俺は貴様に用はない。帰れ!」
「待ってってばっ……せ、戦闘訓練……付き合ってほしいなって…!」
それを聞いた瞬間、彼はいきなりドアから手を放した。突然抵抗がなくなり、彼女は勢い余って倒れそうになる。
「なんだ、そういうことか。貴様を叩きのめせるというなら歓迎だ。行くか」
「……負けないもん」
そして、二人は連れ立って体育館へ向かう。その光景を見た者は、とうとう彼が女にまで手を出すようになったと勘違いし、結果として
彼等の行く先は、海を割った聖人の奇跡の如く、人波が避けていくのだった。

体育館に、激しく床を踏み鳴らす音が響く。それに加えて、荒い息遣いと武器のぶつかり合う音。
ガツンと一際大きな音が響き、木剣が床を転がる。直後、これまたゴツンと鈍い音が響いた。
「い……痛い…!」
「ふん、その程度か?手加減してやってるんだ、少しぐらいは手応えがないとつまらんな」
ど真ん中を占拠するバハムーンの二人組。彼女の方は頭を押さえてうずくまっており、彼の方は物干し竿をくるくると回している。
「そんなに長いの使ってるのに、手加減とか…」
「なんだ?素手でやれというのか?やっても構わんが、俺は素手の方が得意だぞ」
とは言いつつ、長大な物干し竿をまるで体の一部のように操る姿は、決して手加減をしているように見えない。
「……君が素手なら、私の方が強いよ…!」
「ほ~う?貴様、俺を舐めるなよ」
彼女が木剣を拾うと同時に、彼は物干し竿を投げ捨てた。
「素手より武器を持った方が有利だというのは、戦士や侍の…」
「隙あり!」
突然、彼女は不意打ちで木剣を振り下ろした。その速度は、常人なら目で追えないほどに速い。
が、彼はそれを平手で打ち払うと、彼女の腹に蹴りを叩きこんだ。
「ぐっ…!」
たまらず体を折った瞬間、彼は上から彼女の腰を掴み、その巨体を逆向きに軽々と持ち上げた。そして一瞬の間を置き、その体を
思い切り床に叩きつける。止めとばかりに、彼はぐったりした彼女の尻尾を掴むと、片手で放り投げた。

135: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:28:46 tbv7teIj
「うぅ……げほっ…!」
「不意打ちしておいてそれか?情けない奴だ」
「……く、悔しいよ…!私だって、自信あったのに…!」
必死に涙を堪える彼女に、彼は溜め息をついた。
「貴様の剣は、確かに速い。だが、攻撃が雑すぎる。その大振りばかりで、今まで生き残ってきた腕は認めるがな」
「……どうすればいいの…?」
「それは自分で考えろ。一言言うなら、牽制ぐらいは覚えておけ」
何だかんだ言いつつ、質問にも答えてくれる彼に、彼女はどこか嬉しそうな目を向ける。
「……君って、優しいし、強いし、すごいよね…」
「褒めても何も出ないぞ」
「私、今まで友達、クラちゃんしかいなかったから……君みたいに、強い人と友達になれて、嬉しいな」
「おい、待て。俺がいつ貴様と友達になった?やめろ、俺は女と付き合う趣味はない」
「大丈夫、私も男の子と付き合う趣味ないから…」
「……その割に、貴様、ドワーフには好き勝手してくれたな」
その言葉に、彼女は首を傾げる。
「だって、あの子って女の子…」
「よし、貴様いい度胸だ。今日は死の淵に辿りつくまで、存分に戦闘訓練をしようじゃないか」
「え、え…?だって、ほんとにあの子……ま、待って待って!!わ、私そういうつもりじゃっ……ゆ、許してぇー!!!」
どちらかというと、彼女に付きまとわれて迷惑そうな彼。とはいえ、彼としても彼女のような存在は珍しく、また同種族でもある。
彼女を心の底から嫌っているわけでは、決してない。
それ故か、本気で逃げ回る彼女を追いかけ回す彼の姿は、どこか楽しげにも見えるのだった。

その頃、ドワーフは寮の屋上でクラッズとお喋りを楽しんでいた。元々、種族的な相性も良かっただけに、二人はもはや無二の親友とも
言える存在になっていた。
「あはは。でも、ちょっと困ることもあってさ…」
「んお?何かあったのか?」
「ん~~~……君と、バハ君と仲良くなってからさ、私の数少ない友達がすごい勢いで逃げてったんだよね…」
「あ~……それは、なんか、悪りいね。でも、その程度で離れちまう奴なんて、最初っから友達になんてしない方が賢明だよ」
「……なんか、ちょっと納得しかけた。でも、うん、その考えもありかなあ…」
「ま、あいつの受け売りなんだけどさ」
二人は大きな声で笑い、一頻り笑ってから同時に溜め息をついた。
「……バハちゃんも、問題児だからなぁ…。いい子なんだけど……って、そうそう。ドワちゃ……くん、あれからバハちゃんと話した?」
クラッズが尋ねると、ドワーフは不機嫌そうに顔をしかめた。
「……するかよ、話なんて」
「でも、その、ね?バハちゃん、あれはあれで気にしてるんだよ。ドワ……君に謝ろうとしてるけど、いっつも話聞いてもらえないって、
嘆いてるんだよ」
「君には悪いけど、オレ、あいつだけは絶対に許せねえよ」
「許してあげて、なんて言わないし、言えないよ。でも、せめて謝るのを聞いてあげるだけでも、ダメかな…?」
そう言い、クラッズは不安げにドワーフを見上げる。そうされると、さすがのドワーフも少し心が揺らいだ。

136: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:29:28 tbv7teIj
「そ、そんな目で見るなよ……オレが悪者みたいじゃねえか…」
「ご、ごめん。そんなつもりはないんだ。でも…」
「……わかったよ。今度会ったら、話ぐらいは聞いてやる。それでいいか?」
「ほんとに!?ドワちゃ……ドワ君、ありがとう!」
何の衒いもない、満面の笑み。その顔を見ると、ドワーフの胸は自然と高鳴った。そして、前から思っていたことを、
ついに尋ねてみようという決心がついた。
「……なあ、ちょっと聞いていいか?」
「あ、うん?なあに?」
「あのさ、もし君が、あいつと会ってなくて……オレも、あいつと会ってなかったとして、もし最初にオレと君が会ってたら……その…」
「……うん、それで?」
言葉に詰まってしまったドワーフに、クラッズは優しい声で問いかける。
「あの……もし、オレと君だけで会ってたらさ、オレと付き合って……くれた、かな…?」
「……ん~…」
その質問に、クラッズは難しい顔をして考え込んでしまった。そしてたっぷり一分ほど悩み、重い口を開く。
「……私、今でこそバハちゃんと、その、付き合ってるっぽくなってるけど、ほんとはそういう気なかったし……だから、ね、ドワ君が、
体の方は女の子だってわかったら……たぶん、付き合ってなかったと思うな……君には、悪いけど」
今度はドワーフが黙りこむ。だが、こちらは比較的すぐに笑顔を浮かべた。
「そっか……そうだよなー。いや、ありがとな。はっきり言ってもらえて、すっきりした。君って優しいよな」
「ドワ君だって、似たようなものじゃない?ていうか、私達って意外と似てる?」
「言われてみれば、そうかもな。性格も似てるっちゃあ似てるし、その気がなかったのに同じ性別の奴と付き合う羽目になったりな」
二人はまた大きな声で笑い、そしてまた大きな溜め息をついた。
「……な~んで、こうなったんだろうな…」
「お互い、運がないんだよ……ああ、でもその相手がすっごく強いし、冒険者としての運はあるのかなあ?」
「まあ……それはそうかも。それに、オレは君と会えただけでも、結構運あると思うけどな、へへ」
恥ずかしげに笑うドワーフを、クラッズは笑顔で見つめた。そして、耳にそっと唇を寄せる。
「ね?付き合うのは無理だけど、これぐらいならしてもいいよ」
「へ?」
振り向いたドワーフの首を掻き抱き、唇を重ねる。驚くドワーフの唇を吸い、ちゅっと可愛らしい音を立てて唇を離す。

137: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:30:09 tbv7teIj
「……これぐらいなら、浮気にはならないよね?それに、前のお礼してなかったし、君ってその辺の男の子より、
ずっとかっこいいからさ」
そう言い、いたずらっぽく笑うクラッズ。ようやく状況を理解したドワーフは、全身の毛を逆立てつつ尻尾をぶんぶん振り始める。
「い、いきなりそういうことするなよなー!びっくりするじゃねえかよ!」
「えへへ、ごめんごめん。でも、ほら。『体が女の子だってわかったら』付き合わなかったってだけで、それ以外は百点満点なんだよ?」
「……くぅ~っ、逆にそれ、すっげえ悔しいぞー。でも、ま……いいけどな!」
すっかり上機嫌のドワーフと、ちょっと恥ずかしげに笑うクラッズ。だが、そんなひと時の恋人気分も、一瞬で打ち破られる。
「わぁーん!!やだってばあ!!もうやめてよぉー!!」
「待て貴様ぁ!!言いだしたのは貴様の方だぞ、責任は取れぇ!!」
階下の叫び声に、二人は飛び上がらんばかりに驚いた。慌てて下を見ると、体育館からバハムーン二人組が飛び出してきたところだった。
「バハちゃん!?ちょっ……追い回されてる!?」
「うわっ、あの野郎、素手じゃねえか!?おいこら、バハムーン!!よせって!!殺す気かてめえはー!?」
だが、屋上からの声は届いていないようで、二人はそのまま走っていく。それを見て、ドワーフとクラッズは顔を見合わせた。
「……助けに行くか」
「そうしよ!バハ君の方、お願いね!」
「わかってる!」
そして、二人は大急ぎで階段を駆け下りていく。
「待てぇ!!貴様も戦士なら逃げるなぁ!!」
「うわぁーん!!クラちゃん、助けてぇー!!」
「おいバハムーン、待てってばぁー!!」
「バハちゃん、こっちこっちー!!そっちに逃げないでー!!」

奇縁によって繋がった者同士。普通なら決して繋がることのなかった彼等は、更なる奇縁によって繋がりを持った。
それが幸運なのか、不運なのか、傍目からは判断できない。多少の波風が起こった点に関しては、不運とも言えるだろう。しかし、
新たな仲間となれたことを考えれば、幸運とも言える。周りからすれば、問題児が合流したことで、もはや悪運の領域だろう。
だが、鬱陶しくも、実力のある仲間。可愛らしく、守りたくなる相手。初めて出会った、尊敬できる力を持つ仲間。限りなく理想に近い、
一緒にいたいと思う相手。
そんな、普通ならば探すことすら難しい仲間と、出会うことのできた彼等。多少の不運はあれど、彼等はやはり、幸運なのかもしれない。

138: ◆BEO9EFkUEQ
10/03/11 00:34:26 tbv7teIj
以上、投下終了。
こいつらは扱い辛いけど動かしやすいなあ。
どうでもいいけど2を最初からまた初めてみたら、最後の最後でまたもメインのデータに上書きしたorz

それではこの辺で。

139:名無しさん@ピンキー
10/03/11 23:50:32 l5xb5jS5
お疲れGJ

幸せな終わり方をしたのは解る……が、不完全燃焼なのがもどかしい…!
男は度胸、何でも試してみるもんさで突き抜けて欲しくもなかったりするようなですます

140:名無しさん@ピンキー
10/03/13 00:40:21 xVOwyKy9
乙です

いまでこそ丸くなったがバハ男もバハちゃんと同じ事やってたなw
色々あったが良い仲間になれてなによりだ
みんな何時までも幸せでいてほしいね・・・

141:二番煎じ
10/03/14 01:05:08 kaS6d/VL
どうも、二番煎じです。
前回投稿から早一ヶ月…投下ネタはホワイトデー。
少し長いので少し時間をかけて投稿します。
ではどうぞ。

142:White Day's 1/9
10/03/14 01:16:37 kaS6d/VL
-フェアリーPT:男性陣-

「で、だ。前回のバレンタインの時のことは覚えてるな?」
「あぁ、『一日遅れのバレンタイン』でしょ?忘れるはずがないよ」
「小生は忘れたくても忘れられないバレンタインだったけどネー、ヒヒヒ!」
「……俺、今まで生きてきた中でそんな皮肉を込めた笑い、聞いたことねぇよ……」

今日はホワイトデー。
バレンタインデーとは打って変わって恋する青年の為の日……ではなく、チョコレートを貰ったお返しをする日である。(ヒューマン談)
こうしてヒューマン、クラッズ、そしてフェアリーと男三人でフェアリーの寮に集まり、話し合いをしていたのである。
「まぁ、だ。あの出来事を繰り返さない為にだな……フェアリー!ぬかりはないな?」
「耳に胝が出来るほど聞かされたからね……ちゃんとフェルパー達には昨日のうちに言っておいたよ」
「よぅし、よくやったフェアリー!それじゃあ今日の探索は休み!ホワイトデーの作戦を練るぞ!」
「小生は別にお返しはいらないよネー?」
「却下」
その後クラッズとヒューマンの言い争いが続いたが、フェアリーが場を静めクッキーを買わせるべく購買へと向かわせた。

-フェアリーPT:女性陣-

「それにしても……フェアリーにしては珍しいよねぇ?『急遽、明日は探索は休みにするから』なんて」
ワッフルを口に運びながらフェルパーはエルフ達に話しかける。
どうやら女性陣は食堂で話し合っていたようだ。
「それでしたら、きっとホワイトデーだからではないでしょうか?」
ケーキを食べていたセレスティアがフェルパーの疑問の答えを返す。
「ほわいとでー?」
「貴女……本当に何も知らないんですわね」
優雅にパフェを食べていたエルフが食べる手を止め、フェルパーを見る。
「ホワイトデーというのは、殿方が女性にチョコを貰ったお返しをする日ですの。バレンタインの時にチョコをあげてなければ、当然お返しは貰えませんけど」
「へー……僕の暮らしてた所ではそんなことしてなかったからなぁ……。あ!じゃあ僕はお返し貰えないのか……」
食べかけのワッフルを皿に置き、耳を伏せて悲しそうな顔をする。
「チョコはあげてなくても、気持ちはあのキスで届いたはずですよ。元気をだしてください」
セレスティアがニコリとフェルパーに微笑みかける。
「うん……そうだよね!」
フェルパーもセレスティアに笑い返す。
その様子を見ながらエルフは微笑んでいた。

143:White Day's 2/9
10/03/14 01:17:35 kaS6d/VL
-???PT:女性陣-

「渡せるかな?渡せるかなぁ?うー、緊張してきたぁ~!」
そう言い落ち着き無くパタパタと歩き回っているのは、見た目よりずっと年下に見えるクラッズだった。
「ふむ、リーダー殿も女の子に戻ることがあるのだな。普段からでは想像もできん」
ディアボロスがクラッズを小馬鹿にするように平然と言い放つ。
「そういうお主が手に持ってるそれはな~に~?」
「あっ、こら!返せ!やめて!」
大事そうに抱えていた小袋をクラッズに取られ、顔を真っ赤にしながら取り返そうとする。
「この口調の割には純情乙女め!だからあの男共にドMと罵られるのだぞ!」
ビシッとディアボロスを指差し、そのままほっぺをグリグリする。
「ええい!返せ!」
「あー、わしのチョコレートクッキー返せー!」
「私のだ!そしてどうしてチョコレートクッキーだとわかった!」
「匂いと感だ!レンジャー学科舐めるなぁ!」
「無駄なことにレンジャースキルを発揮するな!罠解除率零のダメレンジャーめ!」
「五月蝿い、お主が解除してみろ!気配バレバレのダメ忍者め!」

寮内に言い争いが虚しく木霊した……

-クラッズPT:男性陣-

パシン
「で?あのドMとダメチビは何をやっているんだ?」
カチャ
「どうやらバレンタインの時にチョコレートを渡せなかったとかでー……」
パシン
「チョコレート関係の物を渡しに行くらしいお」
カチャ
「へー……まさか俺達にじゃないよな?バレンタインの時に貰ってないし」
パシン
「ロン。平和、混全帯口九、二盃口、混一色、ドラ二で三倍満だドワーフ」
「ノームてめぇ、俺に何の恨みがあって三倍満だコラ!」
「早くよこせ、子三倍満で二万四千円だ」
ぐちぐち言いながらもノームに二万四千円を払うドワーフ。
「あーあ、なけなしの金が……」
「勝てば良いんだよ」
「知ってらい!コノヤロー!」
ニヤリと黒い笑みを浮かべるノーム、うっすら涙を浮かべるドワーフ。
バハムーン、フェアリーがやれやれといった表情をし、バハムーンが口を開く。
「ほら、凹むなドワーフ。もう一局やろうぜ」
「うぃ、今度こそ負けねーぞ!」
ジャラジャラと音を立てまた麻雀をやりはじめる。
「よーし、今度はおいらが親だお!」
フェアリーがさっと手牌を見た後に口をあんぐりと開ける。
「て……天和……だと……?」
「「なにぃ!?」」
「まぁいいや、元はドワーフの金だ」
なんだかんだで平和だった。

144:White Day's 3/9
10/03/14 01:18:00 kaS6d/VL
-フェアリーPT:男性陣-

「な……何で俺らが……」
「力仕事は自分には堪えるよ……」
「小生は今回は見学ということデー……」
「却下」
現在フェアリー達はクッキー生地を練っていた。
何故こうなったかというと、クッキーを買いに購買へ行ったところ、トレネッテに『手作りの方が思いが伝わる』と言われ、手作りせざるをえなくなったからである。
「あーもう!やってられん!」
「モンスターを相手にしてる方がっ!楽だよっ!」
「二人ともエプロン似合ってるヨー、ヒヒヒ!」
「クラッズ!お前も生地作りをしろー!」
ヒューマンの怒号が響いたが結局クラッズがクッキー作りに参加することはなかった。

-小一時間後-

「やっとできた……」
「後は焼けば良いんだよね?」
「あぁ、後はオーブンで」
「ファイヤー!」
クッキー生地を炎が包みこむ。
薄く伸ばされた生地は火力に耐え切れずに灰になってしまった。
「あ……阿呆ー!フェアリー、おま、ゲフンゲフン!お前なんてことを……!」
「お、落ち着いて!焼けば良いっていうから……」
「火力が強すぎだ!」
「一からやり直しだネー、ご愁傷様、ヒヒッ!」
そこでまたヒューマンの怒号が響き、フェアリーが謝り倒していた。

-クラッズPT:女性陣-

二人は罵り合っていた時に(主にクラッズが)散らかした物を片付けながら会話する。
「あの人達、何処にいるかなー?」
「食堂じゃないか?」
「よーし、食堂へ行こー!」
片付ける手を止め、クラッズが扉の方へと走っていきそのまま蹴り飛ばす。
扉は凄い音をたてながら外れんばかりに勢いよく開いた。
「お、おい勘弁してくれ。ここは私の寮であってリーダー殿の寮じゃ」
「細かいことは気にしない!さぁ、出発ー!」
まだまだ散らかっている部屋、若干壊れている扉を見て少し涙目になりながらも先へ行ってしまうクラッズの後を追いかけた。

145:White Day's 4/9
10/03/14 01:18:24 kaS6d/VL
-フェアリーPT:女性陣-

「やっぱり……毎日の日課が潰れるとやることがありませんわね」
そう言いながらもパフェを食べる手を止めないエルフ。
「エルフは食べ過ぎだよー。食堂のパフェ、制覇しちゃうんじゃない?」
「既に二十六種類目ですからねぇ……」
「う、五月蝿いですわね!量が少ないからですわ!」
エルフにそのように言われ、フェルパーは並べられたパフェの容器を見る。
「これ……結構大きいんじゃない?」
「う……そ、そうですわね……。でもわたくしは食べても太らない体質だから食べてるのですわ!」
「いくら太らないからといって食べ過ぎは毒ですよ」
セレスティアに窘められ、エルフはそっぽを向いた。
「魔法使いは頭の回転を良くするために甘いものが必要でしてよ!……だからあと四種類だけ、ね?」
セレスティアに顔を向け直し、片目を瞑りお願いする。
普段はお願いはしない彼女だが、そうしまで食べたい位パフェが好きなのだろう。
「しょうがないですねぇ……あと四種類だけですよ」
やり取りの一部始終を見て、フェルパーがのほほんとした顔で笑う。
「何か親子みたいだねー。セレスティアがお母さんで、エルフが娘?」
「そうですか?」
「確かに……セレスティアは良いお母さんになれそうですわね」
「エルフさんまでからかわないで下さい!」
言葉こそは怒っていたが、セレスティアは満更でもない顔をしていた。
「……どうしたのかな、あの人達。三回目だよ、ここ通るの」
フェルパーが人を視線で追う。
視線の先にはクラッズどディアボロスの女の子がいた。
「え?あぁ、あの人達、まだ居たんですわね。大方誰かと待ち合わせかしらね?」
「手に小さな袋も持ってますしね……。あれ、探し人が居なかったのですかね?」
三人は諦めた表情をした女の子達が食堂から出ていくのを見届けた。

146:White Day's 5/9
10/03/14 01:18:46 kaS6d/VL
-クラッズPT:女性陣-

「誰かなー、食堂にいるって言ったのは?」
食堂から出た後、クラッズはディアボロスに抱き着き頭をグリグリしていた。
「痛い痛い、私は『食堂じゃないか』と言っただけで、食堂にいるとは一言も」
「五月蝿いドM!少しは抵抗したらどうだ!」
「えぇ!?そこ怒るとこ!?」
クラッズに怒られ、ようやく抵抗し始めるがクラッズが離れる気配はない。
「そんなんじゃわしは離れんぞぉー!」
変なところで変な力を発揮してしまったクラッズにディアボロスは迷惑極まりないといった表情をする。
不意にクラッズの押さえ付ける手が緩んだ為、ディアボロスは慌てて抜け出した。
「スンスン……何か良い匂いがする。こっちかな?」
「そうか?私には何も匂いなどしないが……」
「レンジャー学科舐めるな!」
「関係ないだろう!」
クラッズが匂いのする(と思われる)方へとドンドン進んで行ってしまうので、ディアボロスはついて行かざるをえなかった。

-フェアリーPT:男性陣-

「出来た……」
「出来たんだねぇ……」
「良い匂いだネー」
フェアリー達はこんがり焼き上がったクッキーを見てやり遂げた表情を浮かべていた(クラッズ以外)。
「後はこのクッキーを袋に詰めて……」
「リボンを巻いて……」
ヒューマンが手際よくクッキーを袋に詰め、フェアリーがそれにリボンを巻いていく。
「小生にも一袋わけて欲しいナー?」
「例の如く却下だ」
ヒューマンとクラッズがまた言い合いをしていたが、フェアリーは違うことを考えていた。
(フェルパー……喜んでくれるかな?)
思わずにやけ顔になるフェアリー。
リボンを巻き終え、ヒューマンに三個、自分で三個持ち、調理室から出た時に不意に声をかけられた。
「あーっ、見つけたーっ!」
「いたーっ!?」

147:White Day's 6/9
10/03/14 01:19:08 kaS6d/VL
-フェアリー・クラッズPT:男性・女性陣-

不意に叫ばれたため、ヒューマンとフェアリーが驚いたよう目の前のクラッズとディアボロスを見る。
「どうだ、わしの嗅覚は!」
「まさか……本当にいるとは」
クラッズとディアボロスが何やら会話をしているが、ヒューマンがお構いなしに話し掛ける。
「み、見つけたって……君達、俺達を探してたのかい?」
「はい!その……バレンタインの時にどこにもいなくて渡せなかったので、今日チョコレートクッキーを持ってきました!」
バレンタインの時に見つけられなかったのはそれもそのはず、夜遅くまで探索をしてその後はフェアリーの寮に集まっていたからである。
「チョコレートクッキーって、私のと被って……」
「早い者勝ちでしょ?」
「えー……」
「まぁ、そんなわけで……受け取ってください!」
クラッズが小袋を前に差し出す。
だが……
「え、自分?」
「はい!」
クラッズがチョコレートクッキーをあげたのはフェアリーだった。
ヒューマンは自分に来ると思ってたのか何ともいえない表情をしている。
「え、え?あ……有難う」
「そして私のために用意してくれたと思われるクッキーを貰って行きますね!」
そう言うや、 クラッズはフェアリーの持っていた小袋を一つ引ったくり、何やら叫びながら逃げて行った。
「あっ、待って!こ、これは私からのバレンタインプレゼントです……だ!」
ディアボロスはヒューマンに小袋を押し付けるように渡すと、急いでクラッズを追いかけに行ってしまった。
二人はとても速いスピードですぐに見えなくなってしまった。

148:White Day's 7/9
10/03/14 01:19:28 kaS6d/VL
-フェアリーPT:男性陣-

「ディアボロスか……。苦手な種族に好かれちまったな、俺も」
「恋愛に種族は関係ないヨー?」
「いや、わかってる……と?フェアリー、どうした?」
フェアリーは何かボーゼンと立ち尽くしていた。
「いや、フェルパーへのメッセージカードを入れたのを持って行かれて……」
「あー……それはそれは。立ち尽くしたくなるわな」
「逆にあのクラッズの子が可哀相だヨー、今頃告白したは良いけど実は相手に彼女いましたー、なんてサー」
クラッズがヒヒヒと笑い、フェアリーを見る。
「ん、んー……何か悪いことしたなー……」
「まぁ、持ってかれたからには仕方ねぇよ。さ、エルフ達と合流しようぜ」

ヒューマンがフェアリーの背中を押し、エルフ達を探しに行った。

149:White Day's 8/9
10/03/14 01:19:52 kaS6d/VL
-フェアリーPT-

「おーい!なんだ、食堂にいたのか」
「うわぁ……なにこれ、パフェの容器?」
食堂へ真っ先に向かい見事にビンゴした。
そしてエルフ達に近付き、フェアリーがまずこの状況の感想を述べる。
「あら、探索を休んでまで今までどこにいましたの?」
「まずこのパフェは誰が食べたのか教えてくれ」
「エルフだよー。今三十種類食べ終わ」
「フェルパー、余計なことを言わないで頂戴!」
「モゴモゴ!」
フェアリーとセレスティアが苦笑いを浮かべる。
そして思い出したようにフェアリーが小袋を二つ取り出しエルフとセレスティアに渡した。
「はい、バレンタインのお返しだよ」
「まぁ、良いんですか?」
セレスティアがニコリと微笑み小袋を受け取る。
「あら……別にお返しなんて大丈夫でしたのに」
エルフは口ではそんなことを言いながら、嬉しそうな顔をしていた。
「俺も用意してるから受け取ってくれ」
「小生は用意してないから悪しからずだヨー」
ヒューマンがエルフ達に小袋を配る。
「わざわざ有難うございます」
セレスティアはやはりニコリと微笑みながらヒューマンを見る。
「意外ですわね、貴方のお返しは期待してませんでしたのに」
「フェアリーのは期待して俺のは期待してなかったのかよ」
「まぁ受け取ってあげますわ」
冷やかしながらも嬉しそうな顔をするエルフ。
そしてフェルパーが嬉しそうな声をあげる。
「わーい、ありがとう!甘いかなー、食べるのが勿体ないよー!」
口の端から涎を少し垂らしながら幸せそうな顔をする。
「フェアリーはフェルパーの分を用意してませんの?」
「あ」
フェアリーはエルフに言われ、思い出したようにこれまでのいきさつを話した。
「……という訳なんだ。」
「うにゅう……」
「だから自分はこれで許してもらおうと思うんだ」
そう言うとフェアリーは周りを見渡し、パーティー意外に誰も見てないことを確認するとそっとフェルパーの唇に自分の唇を重ねた。
「はいはい、お腹一杯ですわ」
「だな」
「ですね」
「だネー」「そんな……しょうがないよ」
「……僕は積極的になってくれて嬉しいよ」
フェルパーが猫独特の顔でニッコリと笑うと、フェアリーの手を握る。
フェルパーの顔はほのかに赤くなっていた。
フェアリーもニコリと笑うとフェルパーの手を握り返した。

150:White Day's 9/9
10/03/14 01:20:18 kaS6d/VL
-クラッズPT-

「ただいまー」
「……ただいま」
「よぅ、ダメチビとドMか。お帰り」
「……で?何でバハムーンとドワーフはパンツ一枚なの?」
「麻雀やってたら、払うものがなくなってだな……」
「うぃ、同じく……」
「今日はついてるお!」
「確かに、フェアリーはツモ率が高いね」
不審者を見るような目でバハムーンとドワーフを見るクラッズ、言い訳をするバハムーンとドワーフ、ホクホク顔のフェアリー。
ノームは相変わらずのポーカーフェイスだった。
「そ、そんなことよりお前等はどうだったんだ?」
「ふっふー、バッチリ!ちゃんとクッキーも貰ってきたし、メッセージカードも入ってる!」
「ほう、メッセージカードまで?」
「というよりリーダー殿、あれははたして貰ったと……」
「ドMはつべこべ言わない!それではメッセージカードを読み上げます!」
リボンをほどき、袋の中からメッセージカードのみを取り出し読み上げはじめる。

-フェルパーへ
バレンタインから一ヶ月たち、今日はホワイトデーですね。
もうパーティーを組んでから半年たったのに、君と出会ったことを昨日のことのように鮮明に思い出せます。
こんな頼りない自分だけど好きになってくれてありがとう。運命を信じるなら君との出会いは運命と信じます。
フェアリー-

「……」
メッセージカードを読み終わり、クラッズが口をあんぐりと開けたままになる。
「り、リーダー殿」
「……」
「ご愁傷様、だね」
「……」


クラッズの行った行為が、フェアリーとフェルパーの愛を深めたのかは定かではない。
むしろ、どちらでも愛は深まっていただろう。
しかしフェアリーを積極的にしたぶん、クラッズの行為は良い方向へ転がったのだろう。

クラッズの恋は終わってしまったが、ディアボロスの恋はどうなったのか?
それもまた別のお話。

151:二番煎じ
10/03/14 01:28:42 kaS6d/VL
有難うございます、二番煎じです。
バレンタインでは充実しなかったので今日も充実しなそうです。
皆様は楽しい一日を過ごしてください。

今回は二パーティー同時進行してみましたが扱い切れずグダグダに……
複数パーティーを扱い切れる職人さんを私は心より尊敬します。

ではでは、今日はこれにて。

体が動かない……

152:>>34 ホワイトデー1/3
10/03/18 11:22:55 vsa5PVFP
 ホワイトデー…それはバレンタインデーが貰った男性が女性に送り返す日である。
 男によっては一番大変な日でもある。ホワイトデーの朝…
 「おはよーさん」
 「おはよう」
 「おはよー」
 まあいつものと変わらない日常ではあるが…
 「そういや今日はホワイトデーだな」
 「ん?そういやそうやったな」
 「フェル男。お前はどうするんだ?確かチョコは貰っているはずだろ」
 「ああ、ちゃんと用意してあるで」
 「ヒュム子とバハ子とノム子…ん?1つ多くないか?」
 「ああ、それはセレ子はんの分や」
 「セレ子って…ヒュム男のパーティーの女子だな。貰っていたのか」
 「まあせやけどな…でもあん時のセレ子はん様子おかしかったしな…」
 「?…どういう事だ?」
 「ああ、実はな…」

 1ヶ月前~バレンタインデー夕方~
 「あの…フェル男さん」
 フェル男に話しかけてきたセレスティアの女子のセレ子(職業:戦士)
 「ん?セレ子はんか、何の用や?」
 「実は…ちょっと作りすぎてしまいまして…受け取ってもらえませんか?」
 「え!?わいにくれるんでっか!?」
 「は、はい…良かったら是非…(小声で)本当はフェル男さんのために作った手作り本命チョコ…私からの気持ちです…」
 「ん?なんかゆうたか?」
 「い、いいえ!何でもありません!」
 「セレ子はん…顔真っ赤やで?風邪でもひいたんとちゃうんか?」
 そういってフェル男はセレ子のおでこをさわる。
 「!!」(顔真っ赤&爆発)
 「セレ子はん?」
 「い、いいえ!フェル男さん!!私は大丈夫です!熱はありませんから!!」
 「なんであわててるんや?」
 「そ、それより、お礼はフェル男さんの特製クッキーでいいです!」
 「へ?わいの特製クッキー?そんなんでええんでっか?」
 「それでいいです!それじゃ失礼します!!」
 そういって、大慌てでセレ子は行った
 「…セレ子はん?」

 「というわけや」
 「(フェル男もちゃっかり本命貰ってるじゃないか…)まあ…その何だ、彼女の気持ちは早く答えてやった方がいいぞ」
 「は?なんでや?」
 「それはだな…」
 「シクシク…」
 今の声にフェル男とエル男はドワ男のいる方向に向けた、何故か隅っこだが…
 「さっきから聞いてりゃ…甘ったるい事言って…俺は羨ましく…羨ましくないからなぁ!!」
 「ふっ…ドワ男君、どうやら君と僕は同じ存在…」
 突然現れたノームの男、名前はノム男(職業:格闘家)
 「ふざけんなぁ!!お前のようなバトルマニアに一緒にするな!!」
 「はっ…どこが違う?何故違う…?」
 「あいっかわらずむかつく言い方だぜ!!今ここで叩き潰す!!」
 「はたして狂戦士の君に僕のスピードについてこれるかな…?」
 「うっせえ!勝負だ!!」
 「のぞむところ!!」
 そう言って、ドワ男VSノム男のバトルが切り落とされた!!
 「ほっといたほうがええな…」
 「教室に行こう…」
 フェル男とエル男はドワ男とノム男を置いて教室へ向かった…

153:>>34 ホワイトデー2/3
10/03/18 11:23:57 vsa5PVFP
 -教室
 「よ、おはよーさん」
 「おはよう」
 フェル男とエル男は教室に入って3人の女子に挨拶した。
 「おはようさん2人とも」
 「おはよう、エル男君、フェル男君」
 「おはようございます…」
 挨拶を返した女子軍。順番にバハ子(職業:竜騎士)ヒュム子(職業:人形遣い)ノム子(職業:レンジャー)
 「そういえば…ドワ男さんがおられませんが…」
 「ドワ男ならノム男と勝負の最中や」
 「またかい、あの2人は」
 「本当にバトルが好きなんだね2人とも」
 「いや、そういうわけじゃないが…」
 「そういえばフェル男さん…今日はホワイトデー…」
 「わかってるわい。お前らの分のバレンタインのお礼をちゃんと持ってきてるで」
 「わざわざ悪いね、急がせるような事して」
 「ありがとうございます…」
 「フェル男君のクッキー美味しいし、仕方ないよ、それよりエル男君今日は…」
 「ああ、わかっているよ」
 エル男はそういうと、ヒュム子は嬉しそうに微笑んだ。
 「ん?なんや2人ともどっかいくんか?」
 「ああ、まあな」
 「デートだよ」
 「デートですか…羨ましいです」
 「そういやフェル男、あんた彼女いないのかい」
 「ん?彼女なんておるわけないやろ」
 「そうなんですか…?もてそうな感じをしていますが…」
 「そういえばクッキーの袋が1つ多いのはなんでだい?」
 「ああ、それはヒュム男のパーティーのセレ子はんの分や」
 「セレ子さん…ふふ…」
 「セレ子ねえ…フェル男…あんたまんざらじゃないのかい?」
 「お前らもエル男のような事言うなあ」
 フェル男がそういって、辺りをみわたしたら悩んでいるヒュム男パーティー一同がいた
 「なんやヒュム男、悩んだような顔して」
 「ん?フェル男か…実は俺のパーティーの1人が風邪を引いてな…」
 そういえば、セレ子がいないのである。
 「セレ子さんが心配なんだけど、今日僕達は探索に出なくちゃならなくて…」
 「それで、セレ子の穴とセレ子を見てくれる奴を探してて悩んでいるんだ?」
 「セレ子はんが…やっぱ熱があったんやなあん時」
 「ん?熱があったって…俺のチョコ渡した時は普通だったぞ?」
 「へ?」
 「そうだフェル男さん、フェル男さんのパーティーで空いてる人いる?」
 「今日はエル男とヒュム子はデートで無理やし、ドワ男は手伝う気ならんやろうしな…」
 「あと、フェル男さんも無理…」
 「は!?ノム子、なんでわいも無理に入ってるんや!?」
 「何故なら…フェル男さんは、セレ子さんを見る役だから…」
 「お?フェル男、セレ子を見ててくれるのか?わりぃなー」
 「なんでやねん!?わいも空いてるで!!」
 「(無視)なので、あいてるのは私か…バハ子さんだけです…」
 「ノム子とバハ子か…今日は仕掛けが多いしノム子に頼むかな」
 「はい…わかりました…よろしくお願いします…」
 「だからわいは…」
 「いいじゃないか、どの道渡さなきゃならないんだろう?バレンタインのお礼を」
 「そらそやけど…」
 ノム子によりフェル男は強制的にセレ子の面倒を見ることになった。

154:>>34 ホワイトデー3/3
10/03/18 11:24:55 vsa5PVFP
 ―自由時間
 「はぁ…まさかわいがセレ子はんの面倒見るなんてな・・・まどちみち渡さなきゃならんけどな」
 保健室や食堂などで体温計や氷(詰め替え用)などを持ちながらセレ子の部屋に向かうフェル男の姿があった
 「ノム子も変な事ゆうたしな…」

 ―自由時間前
 「フェル男さん、頑張ってください…」
 「何を頑張るんや!?」

 「まあ、そんな事ゆうててもしゃーないか」
 そうこういってるうちにセレ子の部屋の前まで来ていた。
 トントン…ドアをたたいた
 「どうぞ…」
 ドアの向こうからセレ子の声が聞こえた
 「はいらせてもらうで」
 ドアを開けると寝込んでいるセレ子がいた。
 「あ、フェル男さん…お見舞いに来てくれたんですか…?」
 起き上がろうとするが
 「あかんでセレ子はん!ちゃんと寝てなきゃ!」
 「すみません…フェル男さんにも用事があったでしょう…?」
 「暇やったし、別にええで」
 「あの…それでヒュム男さんの探索は中止になったんですか?」
 「いや、わいのとこのノム子を代理で探索に行ったで」
 「そうですか…私だけこんな姿に…」
 「いや、風邪はちゃんと治さんなあかんで…バレンタインのときも真っ赤やったし」
 「いえ、熱はあったわけじゃありません…あれは…」
 「あれは?」
 「いいえ、気にしないでください…」
 「そっか…セレ子はん、一応バレンタインのお礼を持ってきたんやけど…」
 「あの…あの時の私のチョコ…美味しかったですか?」
 「おう、美味かったで、義理の中では」
 「義理…ですか…」
 そういってセレ子の顔を伏せてしまう
 「(小声)私のフェル男さんの想いはまだ足りないでしょうか…もっと頑張らなくちゃ…」
 「ん?セレ子はんなんかゆうたか?」
 セレ子は顔を出しながら
 「いいえ、なんでもありません…」
 「せやせや、はいわいのクッキー。元気になってから食いや」
 「ありがとうございます…(小声)そして、フェル男さん、大好きです…」
 「ん…?なんか聞こえたような…」
 「気のせいです…」
 会話のやり取りも恋への第1歩…フェル男がセレ子はフェル男が好きだと気付くのは、
 恋の到来を告げるまで延々と流れる、練習曲(エチュード)の終焉より、先か…後か…。

 ―同時刻、ヒュム男パーティー
 「しまったなー…バハ子連れてくるんだったな…爆裂拳使えねー」
 「でも、罠感知はノム子さんはピカイチですわよ」
 「本当だよ、ヒュム男お兄ちゃんは罠でメデューサで私たちを石にさせたりとか」
 「それゆえその罠に自分は避けたりとかね…」
 「頼りなくて悪かったな!それと避けて悪かったな!!」

 「本当にクラ子ちゃん達が石になった時大変だったんだよ…重いから…」
 「私の所はそんなにありません…あともしもの時の妖精の粉は持っていたほうがいいですよ…」


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