【ととモノ。】剣と魔法と学園モノ。8【エロパロ】at EROPARO
【ととモノ。】剣と魔法と学園モノ。8【エロパロ】 - 暇つぶし2ch250:流れ星の英雄 第二章~巨星~(15/21) ◆BEO9EFkUEQ
10/04/24 00:38:57 zBDsGyVE
「ふっ……はぅ、ん……ぷぁ…」
口内に含んだまま、ゆっくりと頭を動かす。その間も口の中では舌を動かし、彼のモノを舐め続ける。
鈴口を舌の腹で舐め、同時に舌先は裏筋をなぞる。時には舌を巻き付かせたまま頭を動かし、舌で彼のモノを扱く。
「くぅ……そのまま根元まで咥えろ」
「ん……ふー」
文句を言いたそうな顔をしつつも、ドワーフは素直に従う。
「んっ……う、うえぇ…!……げほっ…!」
えずきつつも、ドワーフは必死に彼のモノを飲み込んでいく。やがて、湿った鼻先がバハムーンの下腹部に当たり、動きが止まる。
「んえっ……かはっ…!ん、んぅー…!」
口内の温かい感触と、押し当てられた鼻のひんやりとした感覚。そして、涙ぐんだドワーフの目が、征服欲を心地よく刺激する。
既に高まっていた快感が、それらを受けて一気に跳ね上がる。ドワーフが再び舐め始めようとした瞬間、バハムーンは不意に彼女の
顎を強く掴んだ。
「うあっ!?あ、がっ…!」
痛みに口を開けた瞬間、バハムーンは彼女の口から自身のモノを引き抜いた。それを彼女に突き付け、もう片手で強く扱く。
「くうっ……出すぞ!」
「えあっ……うあぁ!?」
ビクンと彼のモノが跳ね、勢いよく精液が飛び出す。それは彼女の顔にかかり、続いて口の中へと吐き出されていく。
「うえぇ……はあ、え…!」
ドワーフは顔を背けようとするが、顎を掴まれているためそれも叶わない。やがて精液の勢いが弱まり、動きも止まる。
バハムーンはドワーフの舌の上に溜まった白濁を満足げに眺め、ようやく彼女を解放する。
「うえぇ~、へんなあじ……ひでえにおいふるひ…!」
「吐き出すな、飲め」
「うう……このやろお…!」
悪態をつきつつ、ドワーフはギュッと目を瞑り、口を閉じた。
「う……おぅっ…!う、ぇ……んっ……んっく…!」
何度か吐きそうになりつつも、やがて喉がごくりと大きく動く。ややあって、ドワーフはようやく目を開けた。
「口を開けて見せろ」
「わざわざ確認までするかよ……この変態野郎」
それでもドワーフは大人しく従い、大きく口を開けて見せる。
「ちゃんと飲んだようだな」
「てめえが言ったんだろうが…!」
「顔のそれも、掃除しとけ。ハンカチは使うなよ」
その意味を理解すると、ドワーフは顔をしかめる。
「……最低だな、てめえ」
「何とでも言え」
指で顔にかかった精液を掬い、口元に運ぶ。少し躊躇い、それを舐め取ると、やはり目を瞑ってしっかりと飲み下す。
そんな彼女の様子を、バハムーンは満足げに見守っていた。その視線に気づき、ドワーフはあからさまに不機嫌な顔をする。

251:流れ星の英雄 第二章~巨星~(16/21) ◆BEO9EFkUEQ
10/04/24 00:39:31 zBDsGyVE
「……見んな、変態」
「俺の勝手だ。それより、これで終わりだと思ってないだろうな?」
「言うだろうと思ったよ」
言いながらスパッツを脱ぎかけると、バハムーンがそれを止める。
「待て。まだ俺は何も言ってないぞ」
「はぁ?じゃあ何しろってんだ?」
「そうだな……オナニーでもしてもらおうか」
「はあぁ!?」
それを聞いた瞬間、ドワーフの体毛が一気に膨らむ。
「こ、ここでかよ!?なんでわざわざ、んな事!?」
「感謝してほしいところだがな?濡らさないままやっては痛いだろう?」
「て、てめえが触ればいいじゃねえかよ」
「自分でやった方が濡らしやすいだろう?俺は気を使ってやってるんだ」
「……てめえが見てえだけだろうが、変態」
「ああ、見えないから床には座るな。そこの椅子に座ってもらおうか」
「……やっぱそうじゃねえか…」
指定された椅子に座ると、ドワーフはスパッツに手を掛けた。するとまた、バハムーンが口を開く。
「ああ、完全には脱ぐな。膝の辺りまでにしろ」
「なんでだよ、やりにくいんだよ……こだわりでもあんのか、変態が…」
ぶつぶつ文句を言いつつも、やはりドワーフは大人しく従う。
膝下までスパッツを下げ、許す範囲で軽く足を開く。一度深呼吸をすると、ドワーフはそっと股間に手を伸ばした。
「……んっ…!」
形をなぞるように、全体をそっと撫でる。僅かに呼吸が荒くなり、尻尾がピクンと動く。
割れ目を覆うように手をやり、指先で秘唇をさする。再び呼吸が乱れ、その中に微かな嬌声が混じる。
しばらくその感覚を楽しんでから、ドワーフは親指で少しずつ尖り始めた突起に触れた。
「んあっ……はぁ、ん…!」
普段からは想像もつかない、甘い声。それに加え、普通ならば決して見られない彼女の痴態。それだけでも、バハムーンのモノが
再び勢いを取り戻すのに十分な刺激があった。
少しずつ慣れてきたらしく、ドワーフは突起をぐりぐりと押し潰すようにして刺激し、さらに中指を秘裂へと導く。
「あっ!くぅ……んっ!」
くちゅ、と微かな音が響き、ドワーフの指が中へと沈みこんでいく。その顔に苦痛とも快感とも取れない表情を浮かべ、震える呼吸を
繰り返しながら、中に入れた指をゆっくりと出し入れする。いつしか左手は自身の胸へと添えられ、指先でつんと立った乳首を
弄り始めている。
さらなる刺激を求め、もっと奥まで指を入れようとしたときだった。
「んあぁ……わっ!?」
突然、バハムーンが腋を掴んで持ち上げた。そして再びベッドに座ると、ドワーフを自身の膝に乗せる。
「な、何だよ?」
「もう十分濡れてるだろう?そろそろ本番に移ろうか」
「半端なとこでやめさせやがって……十分っつわれてもな…」

252:流れ星の英雄 第二章~巨星~(17/21) ◆BEO9EFkUEQ
10/04/24 00:40:04 zBDsGyVE
ドワーフは視線を落とし、バハムーンの股間にあるモノを見つめる。
「……こんなでけえの、入るかな…」
「お前は欲張りなんだろう?」
「そりゃ……そうは言ったけどよ!けどっ……あたし、自分でしたことしかねえぞ」
「お前の手は随分でかいが、それが入るなら大丈夫じゃないか?」
「手は入んねえよ!指二本入れるんだって、結構きついんだからな」
だが、今更バハムーンがやめる気はなく、ドワーフもそれについては覚悟を決めていた。
「さて、話はここまでだ。自分で入れてみろ」
「ま、またあたしがかよ……てめえは自分でやる気ねえのか」
「親切で言ってるんだぞ?自分で入れた方が、負担も少ないだろう」
「初めての奴に、自分からさせるか。変態野郎が…」
いい加減に邪魔なスパッツを脱ごうとすると、やはりバハムーンがそれを止める。
「脱ぐな。そのままにしておけ」
「だぁから、てめえは何なんだよ!?何のこだわりがあるんだよ!?」
「黙って言うことを聞け」
「……ちっ、そういう約束だからな、しょうがねえ」
膝辺りにあったスパッツを少しずり上げ、太股辺りに持ってくると、ドワーフはバハムーンの腰を膝で挟むように体を寄せる。
彼のモノを掴み、腰を浮かせて自身の秘部へと押し当てる。やはり不安があるのか、ドワーフの耳はいつもより垂れている。
「……あたしがするんだからな。てめえは動くなよ」
「いいから早くしろ」
「うるせえ、黙ってろ」
先端を何度か秘裂に擦りつけ、愛液を絡める。そうしてある程度絡んだところで、ドワーフはいよいよ腰を落とし始めた。
「んっ……んぅ……あっ、く……つぅっ…!」
秘唇が少しずつ開かれ、つぷつぷと音を立てながら、バハムーンの巨大なモノが入りこんでいく。
先端が埋まり、さらに奥へと入れていくにつれ、ドワーフの顔は次第に苦痛に歪んでいく。
「うぅ……あっ…!く、はっ…!はあっ……はあっ…!つっ…!」
彼のモノを半ばまで受け入れた時、ドワーフの動きが止まった。その顔は苦痛に歪み、呼吸は浅く切れ切れになっている。
「あっつ…!こ、これぐらいでいいだろ…!?これ以上は……つあっ……痛えし、無理だ…!」
「……まあいいだろう。動け」
「痛えっつってんだろっ…!やってやるけどよ、くそ…!」
極めてゆっくりと、ドワーフは腰を動かし始めた。かなり痛むらしく、上下の動きはほとんどせず、前後に動かすことが多い。
バハムーンとしては多少物足りなくも思ったが、それでも快感が無いわけではない。
「はあぁ…!あぅ……くっ、あっ…!んんっ…!」
入らないというだけあり、ドワーフの中はきつく、また彼女自身が痛みで強く締め付ける。そのため腰を動かさずとも、それなりの
快感は伴っていた。まして、痛みを必死に堪えて奉仕する彼女の姿が、何よりも強い快感をもたらす。
だが、それでも多少物足りない。しばらくは彼女に任せていたバハムーンだが、更なる快感の欲求は膨れ上がるばかりだった。
そして、それが限界に達したとき、バハムーンはドワーフの腰をしっかりと掴んだ。
「え?お、おいっ!何すっ…!」
彼女の言葉を終わりまで聞かず、バハムーンはドワーフの体を思い切り押し付け、同時に腰を突き上げた。

253:流れ星の英雄 第二章~巨星~(18/21) ◆BEO9EFkUEQ
10/04/24 00:40:41 zBDsGyVE
「ひぐうぅっ!!!」
大きな悲鳴。硬い肉を無理矢理押し広げ、バハムーンのモノが根元まで彼女の体内に入り込んだ。
ドワーフの体は強張り、食いしばった歯の隙間からは荒い息が漏れる。その目はギュッと固く閉じられ、眦からはとうとう涙がこぼれた。
「……て……てめえぇ~…!」
涙に濡れた目を開き、ドワーフが弱々しくも非難がましい声を出す。鼻をグスグスと鳴らし、それでも必死にこちらを睨む彼女の姿は、
バハムーンの目には何とも可愛らしく映った。
彼女の体ごと腰を突き上げる。途端に、ドワーフはバハムーンの腕を強く掴んだ。
「うああっ!てめえっ……動くなって言った…!」
「文句を言うな。黙っていろ」
そっけなく言うと、バハムーンは再び腰を動かし始めた。だが、ドワーフは彼の腕から手を放すと、代わりに自分の口を押さえた。
「んんっ!ふぐっ……うぅ~…!くっ……ふあぁ…!」
痛みに涙を浮かべつつ、必死に声を抑えるドワーフ。バハムーンは彼女を気遣う様子もなく、またそんな余裕もない。
根元まで感じる、ドワーフの体温。無理矢理入れたせいもあり、その中は痛みを感じるほど狭く、それこそバハムーンのモノで
いっぱいになっている。
突き上げれば、小さな悲鳴と共に強く締め付け、腰を引けば不安げな目でこちらを見つめる。そんな彼女の姿に、バハムーンは
あっという間に昇り詰めた。
「ぐぅ……このまま出すぞ!」
「うあぅぅ……は、早くしろおぉ…!」
苦痛から逃れたいためか、ドワーフはより強く彼のモノを締め付けた。それにより、バハムーンはあっさりと限界を迎えた。
ドクンと、彼女の中でバハムーンのモノが跳ねる。みっちりと食い込んでいるそれの動きは、彼女にもはっきりと感じられた。
それが跳ね、その度に腹の奥がじんわりと暖かくなる。それを何度か繰り返すと、動きは小さくなり、やがて止まった。
「はぁ……はぁ…!お……終わった…?」
息も絶え絶えという感じで、ドワーフが尋ねる。バハムーンは答えず、ただ荒い息をついていたが、やがて顔を上げた。
「……まだだ」
言うなり、彼はドワーフの体を持ち上げ、体勢を入れ替えてベッドに押し付けた。
「う、嘘だろ!?だってお前、二回もっ……や、やめろ!もうやめろよぉ!てめえのでかすぎて痛えんだよぉ!」
「それは嬉しい言葉だ。だが、さっきも言っただろ。文句を言うな!」
無理矢理四つん這いの姿勢を取らせると、バハムーンは後ろからドワーフにのしかかる。そして逃げられないように腰を掴むと、
自身のモノを押し当て、一気に貫いた。
「あがっ……かはっ…!」
ドワーフは痛みに全身を仰け反らせ、やがて体から力が抜ける。腰だけを持ち上げられたまま、ドワーフはベッドに突っ伏した。
「いい格好だな。こういうのは嫌いじゃない」
バハムーンが言うと、ドワーフは抗議の意味を込めて、尻尾で彼の手を叩く。
「うるせぇ……はぁ……文句は、言わねえでやるから……はぁ……さっさと、終わらせやがれ…!」
「なら、痛くても文句は言うなよ」
そう言うと、バハムーンは何の遠慮もなしに腰を動かし始めた。体の奥を貫かんばかりに突かれ、あまりの痛みにドワーフは悲鳴すら
上げられなくなる。
「んぐぅぅ~…!ぐ、ううぅぅ~……う~!」
枕を噛み、シーツを握り締め、ドワーフは必死にその痛みを耐える。ギュッと閉じられた目からはポロポロと涙がこぼれ、シーツに
染み込んでいく。それに構わず、バハムーンはただただ、己の欲望を満たすために彼女の体内を突き上げる。

254:流れ星の英雄 第二章~巨星~(19/21) ◆BEO9EFkUEQ
10/04/24 00:41:32 zBDsGyVE
腰を動かす度、先に出された精液が溢れ、結合部からドワーフの太股を伝い、スパッツに染みを作っていく。
「うぅ……ん、ぐっ…………グスッ……んうぅ…!」
パン、パンと規則正しく響く乾いた音に、グチャグチャという湿った音が響く。部屋の中には熱気が充満し、二人の体からはじっとりと
蒸れた汗の匂いが感じられる。
苦痛と疲労でさすがに限界が近いらしく、ドワーフの中はそれまでのように強くは締め付けてこない。それでもきつくはあるのだが、
既にだいぶ慣れてきたらしく、痛いほどのきつさではない。
不意に、バハムーンが片手を腰から放す。代わりに尻尾を掴むと、ドワーフはぎょっとしたように振り返った。
そんな彼女の顔を楽しみつつ、バハムーンはゆっくりと尻尾の付け根へ手を滑らせる。そしてその付け根にある小さな穴に親指を
あてがうと、一気に中へと突き入れた。
「きゃあああぁぁぁ!?」
突然の刺激に、ドワーフは再び全身を仰け反らせ、甲高い悲鳴をあげる。同時に、その指を拒むように穴がギュッと締め付けられ、
同時に彼のモノも強く締め付けられる。
「くっ……よく締まるじゃないか。ほら、もっと締めてみろ」
「お前っ……んあっ!やんっ!い、いきなりそんなっ……ああっ!」
さすがに恥ずかしいのか、ドワーフの全身の毛は普段の倍ほどに膨らみ、耳はすっかり垂れ下がっている。
「随分と女らしい声も出せるんだな。そんな声は初めて聞くぞ」
「う、うるせっ……きゃんっ!」
「女らしいというより……子犬の悲鳴か?」
「だ、黙れ!誰が犬……きゃう!」
実質、それに近い声をあげながらも、ドワーフは必死に否定する。だが、バハムーンにとってそんなことはどうでもよかった。
精液と愛液が入り混じり、熱くぬるぬるとしつつも、強く締め付けてくるドワーフの中。既に二回出しているとはいえ、その刺激は
彼を追い込むのに十分なものだった。
再び、彼の動きが荒くなっていく。子宮を突き上げられ、さらには後ろの穴を指で犯され、ドワーフはその刺激に耐えようと全身を
強張らせる。それによって彼のモノは強く締め付けられ、バハムーンに大きな快感をもたらす。
「うああっ!は……激、しっ…!腹がっ……破、れるっ…!」
「くぅぅ…!また、中に出すぞ!」
「あぐぁっ…!うあ、あああっ!」
最後に一際強く腰を叩きつけると、バハムーンはドワーフの中に三度目の精を放った。その感覚に、ドワーフの中がまるで最後の
一滴まで絞り取ろうとするかのように蠢動する。
「また……中、出てる……いっぱい…」
ドワーフがうわごとのように呟く。それを心地よく聞きながら、バハムーンは指を引き抜く。
「んっ!」
ピクッと尻尾が跳ね、中が一瞬ぎゅっと締め付けられる。その感覚を味わってから、ようやくモノを引き抜く。

255:流れ星の英雄 第二章~巨星~(20/21) ◆BEO9EFkUEQ
10/04/24 00:42:13 zBDsGyVE
「ふあ……あぁ…」
もう限界だったらしく、ドワーフはそのままベッドに突っ伏した。バハムーンはそんな彼女に手を掛けると、ころんと仰向けに寝かせた。
そして、完全には脱がせなかったスパッツに手を掛けると、それをきちんと履き直させる。
じわりと、股間に黒い染みが広がる。やがて秘部がヒクつき、こぽっと小さな音を立てて精液が溢れる。あまりに多いそれは、
スパッツを通り抜けて表面まで溢れ出た。
黒いスパッツに、白濁した精液が強く映える。それを眺め、バハムーンがポツリと呟いた。
「……たまらんな」
そんな彼に、ドワーフは息も絶え絶えになりつつ、呆れた顔を向ける。
「これが……はぁ……はぁ……見たかったのかよ…。はぁ……救いようのねえ……はぁ……変態、野郎め…」
「何とでも言え」
言いながら、バハムーンは彼女の隣に寝転ぶと、ハンカチで溢れた精液を拭ってやる。そして、後ろから彼女をぎゅっと抱きしめた。
「このまま寝ろ」
有無を言わさぬ強い口調。それに対し、ドワーフはうんざりした顔をする。
「はっ……帰ってゆっくり寝ようと……思ってたのによ…。それすら、できねえのかよ…」
「……お前のやりたいようにさせるのも、癪だからな」
「ま……命令じゃ、しょうがねえな…」
そう言うと、ドワーフは目を閉じた。程なく、部屋に小さな寝息が響く。
それを確認してから、バハムーンも静かに目を瞑る。それから間もなく、部屋の寝息は二つになっていた。
ドワーフを抱き締め眠るバハムーンに、彼に抱かれて眠るドワーフ。その姿は、誰がどう見ても、恋人同士にしか見えなかった。

翌日、ドワーフは何事もなかったかのように、仲間と一緒に行動していた。本人たっての希望で、一行は朝から剣士の山道での
戦闘に明け暮れている。
しかし、この日は特にドワーフの動きが悪い。本人はそれを表に出さないよう頑張っているらしいのだが、特に走るのが相当に
辛いようだった。おかげで、戦果は先日よりさらにひどい。
「ドワーフ、大丈夫かい?随分辛そうだよ?」
戦闘が終わって一息つき、セレスティアが尋ねる。すると、ドワーフは悪びれる様子もなく答えた。
「ゆうべバハムーンの野郎に、すっげえ激しくヤられたんでな~。文句ならそいつに言えよ」
あまりにあっさりとした物言いに、最初は誰も反応できなかった。真っ先に動いたのは、やはりフェルパーである。
「やーっ!この人達大っ嫌いー!なんでエッチなことするのー!?信じられないー!」
「結局行ったんかい、君は……トカゲもよくやるよ…」
顔と耳の内側を真っ赤にするフェルパーに、すっかり呆れ顔のフェアリー。そんな彼等にも、バハムーンは涼しい顔である。
「手頃な女がいて、ヤれる状況だったんだ。ヤらねえ方がおかしい」
「……さすが、けだものですわね。あなたも、なぜそうなるのがわかっていて行くんですの?」
「あぁ?約束はしちまったんだからしょうがねえだろ」
「そんな約束、守る必要がありまして?」
「あたしはてめえとは違うんだ、この無責任委員長が」
今までならば、この時点で激昂していたであろう。しかしエルフも、既にだいぶ相手に慣れてきている。
「言いなりになると約束したとはいえ、限度というものがありますわ。まさか死ねと言われて死ぬわけじゃないですわよね?」

256:流れ星の英雄 第二章~巨星~(21/21) ◆BEO9EFkUEQ
10/04/24 00:42:48 zBDsGyVE
「あたりめえだろ、馬鹿かてめえ」
「ほら見なさい。あなただって守るものと守らないものがある。つまりあなたの体は、その程度の軽さということですわね?」
「いや、そりゃ……違うけどよ……えっと…」
「まして、冒険者は健康管理が最も大切なことですわ。あなたは冒険者としての自覚がありませんの?」
「そ、そういうわけじゃねえよっ!でも、その……し、死ぬわけじゃねえんだ!それなら約束を守るのは当たり前だろ!?」
「まあまあ。委員長もドワーフも、そこまでにしておこうよ」
いつもの如く、セレスティアがやんわりと二人を止める。
「見方を変えれば、こんな状態でも頑張って、戦闘の訓練をしてるんだ。それはとてもすごいことだと思うよ。でも、そんな状態に
なるのがわかってるなら、せめて日を改めるなり何なり、手はあったはずじゃないかい」
「あんな激しくされるなんて聞いてねえし。文句ならあいつに言えって」
ドワーフの言葉に、バハムーンは不敵に笑う。
「そう激しくしたつもりもないがな?お前の中が狭すぎるだけだ」
「てめえのちんこが無駄にでけえんだよ、肝っ玉は小せえ癖に。でかけりゃいいってもんじゃねえぞ」
「お前は欲張りだと聞いたが?現に、昨日は泣いて喜んでたじゃないか」
「な、なっ……てめえ、金玉握り潰すぞ…!」
「泣いて喜ぶモノが消えちまっていいのか?」
「……よぉし、わかった。それはやめてやるから……てめえの頭カチ割らせろぉ!!!」
斧を振り上げるドワーフ。それを慌てて止めるセレスティアと、バハムーンを叱り始めるエルフ。そして、バハムーンとドワーフに
襲いかかろうとするフェルパーを必死に宥めるフェアリー。
相変わらず、統一性もなければ協調性もない問題児。それと裏腹に、連携と絆を深めていく風紀委員。
だが、傍から見れば絶望感漂うこの一行も、実際には少しずつ、お互いを理解し始め、また仲間としての意識を持ち始めていた。
目に見えないほどに、しかし確実に一歩ずつ、一行はお互いに歩み寄っているのだった。

257: ◆BEO9EFkUEQ
10/04/24 00:45:30 zBDsGyVE
以上、投下終了。容量どっぷり食って申し訳ない。
あ、ちなみに以前書いてたパーティと絡めてしまうと両方の話に齟齬をきたすので、奴等は出てきませんのであしからずw
これはこれでまったく別の話だと思ってください。

それではこの辺で。

258:名無しさん@ピンキー
10/04/25 09:14:22 8ipiUie4
乙です

しかしバハムーンがひどいww
マニアック過ぎるだろwww

そして狂戦士の残念っぷりに・・・(;ω;`
あとフェルパーがどんどん可愛くなっていって困ります

259:名無しさん@ピンキー
10/04/27 11:26:14 Jy+rvLfE
乙でした。

ブルマ同好会が誕生しやがったw
英雄色を好むというが、バハムーンはもうちょっと手心というか……なんというか……

260:>>34 なれない職業
10/05/03 14:12:17 gBip/LtK
クロスティーニ学園のいつものと変わらない日常―
今回はちょっとした日常会話である。

食堂にて―
「う~ん」
机に向かってうらなせるフェル男、そこに…
「フェル男、どうしたんだ?」
声をかけてきたのはヒュム男とクラ男であった
「ん?ああ、ヒュム男か、この学園ってなんでなれへん職業あるやろうなと思って…」
「なれない職業、そういやそうだな…まあ俺には関係ないが」
「なんでもなれるヒュム男にはわからへん悩みや…クラ男ならわかるはずやわいの気持ちが」
「う~ん、まぁわからなくもないかな…?でも具体的には…」
「ああ、誰が何になれないのにもしなったらの想像だな」
「せや、まずは、わいは1番初めに想像するのはノームの魔法使いや」
「ノム子?そういや説明書では魔法使いに向いてると書いてあったのになれなかったのはおかしかったな」
「そういえばそうだね、これじゃせっかくの特徴を台無しにしちゃってるよ」
「ノム子からの体験談で、最初は魔法使いになろうとしたんや、ところがなれない事に気づいておちこんどったで」
「そうなんだ…だからノム子さんは必死で盗賊系統の本読んでたんだね…」
「そういうことや、次に想像するのはフェアリーの剣士や」
「フェアリーが剣士~?スフォリアさんがいるからなの?」
「さすがに考えてみろよ、あんな重い刀をフェアリーはどうやって持つんだよ?」
「そこはフェアリー剣士の師匠のスフォリアはんの頼みで作ってもらうと言う事や」
「なあ、俺からも想像しても言いか?」
「いいで、ヒュム男お前の想像力を見せてもらうで」
「そうだな…俺はクラッズの魔法使いやドワーフの魔法使いなど」
「あれ?でも僕は魔法使い学科で風水士になれるけど…?」
「まあ、ドワーフの精神も意外に高いから選んだんだろうけどな…」
「なんか問題でもあるのか?」
「ドワ子やったら問題ないだろうけど、ドワ男は嫌がるやろ」
「「あー…確かに…」」
「どういう意味だーーーー!!!(遠い声)」
なんか幻聴が聞こえたが気にしない事にする、ちなみにおまけでドワ子の紹介。(職業:アイドル)
「それじゃ次だ、次はバハムーンの魔法使いやフェルパーのレンジャー…」
「あかんあかん、全然想像できんから没。」
「即答!?」
「それじゃあ次は僕がしてもいいかな?」
「ええでクラ男、どんなんや?」
「それじゃあ僕はセレスティアの人形遣い」
「「!!??」」
「セレスティアが人形遣いだと…!?」
「流石のわいも思いつかんかったわ…」
「どんな人形を持ってるんだろうね?」
「天使の人形だろう。にっこり笑ってる」
「セレ子はんの人形遣いねぇ…見てみたい気もするけどなれへんねんな…」
1人考え込むフェル男
「いや、仮になれたとしてもセレ子はんはなってくれるんかいな…無理やろ…」
1人考え込むフェル男を見てたセレ子
「……」



数時間後…ショッピングセンターにて
「お?あれはヒュム子とセレ子じゃないか?」
「何してるんでしょう…?」

「やっぱセレ子ちゃんは天使の人形が似合うと思うんだよ」
「そ、そうですか…帽子も決めないと…」

「恋する乙女同士…ですね…」
「アタイらも負けてられないけど」

261:名無しさん@ピンキー
10/05/03 14:16:59 gBip/LtK
どうも>>34の者です。今回はちょっとgdgdの上、短編となってしまいました。
きっかけは2Gの発売ですかね。種族毎になれる職業が増えてるといいですが、
ノム魔とセレ人は本当に見てみたい気がする。

>>流れ星の英雄のSSの人
拝見させていただきました、すごいですね…これに比べたら
私なんかまだまだです…まだ1つも18禁SSがありませんし(書き方がわからないだけ)
バハと狂戦ドワが酷すぎて逆にギャグキャラになってる感じです。
うちのバハ男はまだ登場してませんが、ギャグキャラにすべきかしないべきか…

262:名無しさん@ピンキー
10/05/03 14:54:09 pseWl/Z/
見方によっては他の書き手さんこき下ろしてるようにも見えなくもないし
過度の謙遜は不快だからやめたほうがいいよ

263:名無しさん@ピンキー
10/05/03 15:21:35 gBip/LtK
>>262
そうですか…すみません
以後気をつけます。

264:ビギナー ◆y2MJUhpJNw
10/05/06 13:05:45 aXS3kkCf
test

265:ビギナー ◆y2MJUhpJNw
10/05/06 13:06:15 aXS3kkCf
>>259 バハムーンが手心を加える話を作りたくなった。
せっかくの学園モノ。なので学生らしい感じの
付き合い始めたばっかりでエロいようなそうでも無いような
でも本人たちはいっぱいいっぱいでカウパーとかなんとかでぱんつ濡らしてるような
甘酸っぱいのでもよろしいか?そうか!わかったありがとう!

266:2/1 ビギナー ◆y2MJUhpJNw
10/05/06 13:07:39 aXS3kkCf
「はい、今日の勉強はおしまい。このままがんばれば次かその次にレベルアップしたら転科できそうだね。」
「おぉ!40Lv近くなって基本学科に転科できなかった時はさすがにどうしようかと思ったが
 ヒュムのおかげでなんとかなりそうだな。」
「私もいい勉強になってるよ。ラグナロクは全員使えたほうがいいし・・・バハムーンくんと仲良くなれたしね。」
 教科書を手際よく鞄にしまいながら、ヒューマンがはにかんだようにほほえんだ。 
以前は、勉強中は内容を理解しているかノートを覗くため隣に位置取り(バハムーンの書く字は反対から解読するには個性的すぎた)、
休憩中や雑談時には机を挟んだ対面に移動してたが、ヒューマンの告白を経て一応恋人同士ということになってからは勉強が終わっても
そのままにしている。まだ告白前との変化はないに等しいが、距離が縮まるだけでも結構照れくさい。
「尻尾、いつもは足に絡めてるけどかなり長いんだね。」
「フェルパー程自在には動かせなくて邪魔だからな。その分自分の体重程度なら踏んづけても痛くもないが」
「今日のアレ二人とも痛そうだったよねぇ。」
 うっかりフェルパーの尻尾を踏んだフェアリーが報復の鬼人切りをもらうという一幕を思い出してヒューマンは顔をしかめる。
「そんなわけで足に巻いたまま尻に敷いてるやつも多いが座り心地が悪くてな。ヒュムなら試してみてもいいぞ。」
「ことわる。でも自在に動かせないって言う割りに今日はずいぶん・・・」
先ほどから少しうるさく感じるほどに床の上を往復している。
これまでの補習でもバハムーンは時々尻尾をほどいていたが、動くところをみるのは初めてだ。
「うー、ちょっと緊張しているんだ。恋人とかいってもいまひとつ良くわからんからな。」
ふてくされたような表情と口調には不釣り合いに素直な告白に赤面したヒューマンは、二人の間に拳二つほどあいていた距離を詰め、
揺れ動く尻尾を捕まえると自分の膝に挟み込んだ。
「か、かわいいなぁもう!だったらこうだよ。」
「のごっ!」
バハムーンが悲鳴を上げる。
「わ、ごめん!痛かった?」
「いや、大丈夫。」
「ごめんね、ごめんね。」
バハムーンが心なしか涙ぐんでいるように見えて、ヒューマンの目に涙が浮かぶ。
「痛くない、びっくりしただけで。っそうじゃなくて、あの、・・・・・・・」
「あぁっ、まだ持ったままだ!ごめん、気づかなくて」
「違うんだ!あの・・・、うれしいから、・・・もっと・・・して、くれ」
予想外の懇願に、涙目のヒューマンの口がぽかんと開いた。
「え?」
「・・・もう言わせんな。」
バハムーンは消えそうな声でつぶやくと、恥ずかしさが限界にきたのかヒューマンに抱きついて頭頂部に顔を埋めた。
おおらかであっけらかんとした性格の種族に属する彼にしては珍しい反応だ。

267:2/2 ビギナー ◆y2MJUhpJNw
10/05/06 13:08:11 aXS3kkCf
ヒューマンは自分のそれよりも二回り大きいバハムーンの手を取り、もう一方の手で先ほどよりは丁寧に拾い上げた尻尾を膝に乗せた。
先ほどの反応を見てしまうと足に挟むのはためらいがある。
(成り行きで愛撫しているのが彼らにとって“そういう”部位だったらどうしよう、今はまだ覚悟が、でもやっぱり)
などと悩んでいるのを察したのか、かすれた声を絞りだすようにつぶやく。
「うぅ、尻尾なんて踏んづけても尻に敷いても平気な鈍感なとこなのに・・・
・・・なんでヒュムが触るとこんなうれしいんだ・・・」
「わ、私も、バハムーンくんに触れると、うれしい、よ?」
ものすごく恥ずかしい逡巡を遮られて、それはそれで恥ずかしい本音が思わず口に出た。しかも声が裏返っている。
バハムーンがヒューマンを抱く指に力が入った。


「もう俺興奮しすぎてブレス吐きそう」
「嘘!」
「嘘じゃない。ヒュムのせいだ」
「やぁん」
「困るか?」
「困るすごく」
「じゃぁ、塞いで」
「・・・・・・ふさぐ?」
バハムーンの言葉の意味を理解して、ヒューマンは耳まで真っ赤になった。
挑発しているのか本当に興奮のせいか半開きになったバハムーンの唇を睨むように見つめた後
眉根にしわが出来るほど硬く目を閉じて、自分の唇を押しつける。
「ぷはっ、これでいい?」
ヒューマンが息苦しさから身を離した瞬間、バハムーンは彼女の唇にちろりと舌を這わせた。
「ひゃん!!」
背中を駆け上がる快感に仔犬のような声が漏れた。目が潤み、膝から力が抜ける。
バハムーンが肩を抱いていなければ長いすから崩れ落ちそうだった。

自分の声が恥ずかしい。蕩けきった顔を見られているのが恥ずかしい。こんなに気持ちよくて恥ずかしい。
 それなのにもっとしたいのが一番恥ずかしい。しかもきっとバハムーンにはその気持ちを知られている。

「もうブレス吐いてもいいか?」
甘い羞恥心に身動きがとれないヒューマンをからかうように挑発するバハムーン。ヒューマンは挑発に乗った。
―憎たらしい恋人に同じ気持ちを味合わせてやるために、と自分に言い訳をして。


後日、ブレスについてディアボロスに相談したヒューマンは
『種族が違うから断言は出来ないけど』
『相手をすごく好きになったらそうなるのかも。わたしがそんな気持ちになったことがないだけで』
という優しくも暖かいフォローを受けることになる。
しかも立ち聞きしていたクラッズのせいで尾ひれがつくこともなくほぼ原文のまま噂が広がり
彼女は在学中ことある毎に「脳筋バハムーンの策略にはまった」「ブレスの人」と呼ばれ、身をよじったのだった。
バハムーンの転科は成功した。
噂を聞いたPTメンバーの男たちに「そんな策略を練る頭があるなら魔法を覚えろ」とタコ殴りにされたが本人は全く気にしていない。


268:名無しさん@ピンキー
10/05/06 23:27:23 /Zrn7WOo
GJ!
甘酸っぱくてかわええな
こういうのもいい
すごくいい

269:名無しさん@ピンキー
10/05/07 00:48:47 foHUYmKO
GJ!
このニヤニヤ感がたまらんw
歯が溶けるような甘ったるい話は大好物です

270:ビギナー ◆y2MJUhpJNw
10/05/07 17:25:57 JkAOT0fq
GJありがとうございます。
褒めてもらったので違う感じのも出してみる。
とりあえずエロくなる寸前まで。

271:1/4 ビギナー ◆y2MJUhpJNw
10/05/07 17:27:42 JkAOT0fq
「ここで良いか?」
「もっと、下・・・たぶん、その辺。」
ドワーフの問いかけにヒューマンが答えた。迷宮内の気温は低いが、ヒューマンは全身から汗を流して荒い息をついている。
「たぶんて、おい」
「だって私もやったことないんだもん。もう少し前、お腹側に角度付けて。」
「よし、せーの、で入れるから暴れるなよ。余計な傷が増えるからな」
「分かってるから、はやく。」
「いくぞ、せー、の!」
「痛っ!いっっったぁあい!」
悲鳴が壁に反響する。幸い四方を壁に囲まれた小部屋なので、物音に反応したモンスターが寄ってくることはないだろう。
「たぶん、はいった。ヒールかけるぞ」
息を止め、ぼろぼろと涙をこぼすヒューマン。
魔法が効き、精神を塗りつぶすような痛みが引いてようやく呼吸が出来るようになった。痛みに青ざめていた顔にに朱がさす。
「ありがとう。・・・動けそう。うん、もう大丈夫。動くよ」
涙をぬぐいながらほほえむヒューマンに、こちらは心配のあまり青ざめていたドワーフも、毛づやを取り戻して笑いかけた。

「脱臼が治ったのはひとまずありがたいですが」
ヒューマンの呼吸が落ち着くのを見計らってノームが切り出した。
「今回はここまでですね。バックドアルで脱出して最寄りの魔法球から帰還しましょう。」
「私はまだ戦える!武器だって、ほら!」
「もちろんヒューマンの為だけに言っているのではありません。未だ迷宮中央にもたどり着かないのに魔力は残り少なく、敗走寸前。
一度の失敗でこの有様です。これ以上続けては仲間を失うことになります。」


272:2/4 ビギナー ◆y2MJUhpJNw
10/05/07 17:29:36 JkAOT0fq
前衛ヒューマンは誰でも全身に痣を作っている。
学園の制服から見える肌は広くはないが袖口や襟元、女子であればスカートと靴下の間に青黒い模様が見当たらないことはほとんどない。
バハムーンはつい最近までヒューマンにはもともと“ぶち”があるのだと思っていた。特殊代謝を持つ彼らにはそもそも傷が残るという概念がない。
「増えてる。そんなところ攻撃されてたか?」
先刻まで冒険していた溶岩流れる迷宮の熱が残って暑いのだろう。ヒューマンは肘まで袖を巻き上げていた。露出した部分のちょうど中ほどが縞状に変色している。
最後の戦闘の記憶を反芻する。そのときには模様はなかったはずだ。

付き合いだしてからは、自由時間は学生寮のどちらかの部屋で過ごすことが多くなった。二人並んで座り込み尻尾を玩ばれながら他愛ない雑談をして、時々口付けを交わす。
照れくさい充実感を分かち合う幸福な時間。バハムーン自身はその関係に満足していたが、ヒューマンの中にある別の感情に気づいてもいた。
高い繁殖力に由来するその感情は、目に見えない分、肌に残る模様以上に彼には実感しづらい。
自分の行動で恋人がとろける様を眺めるのは気持ちいいが、食欲や睡眠欲など自分にわかる感情に置き換えて考えるとあまり刺激してはかわいそうだとも思う。
自らの肉体を取り扱うことに関しては随一の種族故、強く求められれば応えることもできる気がしているが、今のところヒューマンにそのつもりはないようだ。

「なんだろう?手形っぽい。ドワーフ君に肩を治してもらった時かな。」
「そんなことでも跡がつくのか」
「結構強く掴まれたからね。気にするといけないからドワーフ君には内緒ね。」
気に入らない、と思った。何が気に入らないのかは良くわからない。わからないことを掘り下げて考える趣味はないのでその苛立ちは放置することにした。
「俺は口が軽いからな。ふさいでおいた方がいいんじゃないか?」
感情を上書きするべくヒューマンと指を絡める。はじめて口付けを交わして以来“口をふさぐ”は二人の合言葉のようなものだ。
ヒューマンはばか、と悪態をつきながらも応じてくれた。時間を重ねれば、こういった合言葉も増えてゆくのだろう。
唇をなぞり、舌を絡めるうちにヒューマンの呼吸に甘いものが混じり始め、バハムーンの膝を強く握る。彼はこの瞬間が好きだ。
前衛を勤め上げ自主トレに励む彼女は、同種族の中で比べれば決して非力ではない。指を立てられたのがヒューマンの体であれば、くっきりと跡が残るのだろう。
上書きしたはずの感情が滲んだ。気に入らない。力を入れすぎて白く変色した指。模様の残る腕。


273:3/4 ビギナー ◆y2MJUhpJNw
10/05/07 17:30:09 JkAOT0fq
「バハムーン君てさ、やさしいよね」
口付けの余韻に放心しているように見えたヒューマンが唐突に呟いた。
「どうした、急に?」
「結構近くにいるけど、痛くされたことってないな、と思って」
尻尾を踏まれたフェルパーと怒りをぶつけられたフェアリー、ヒューマンの肩を癒し腕に痛みを残したドワーフ。普通なら、集団生活をしていれば避けられない痛み。

バハムーンたちにとって、他者を傷付けないための努力は呼吸と同じだ。
生命力の高い彼らにはどうという事もない怪我が他種族には致命傷になることを思えば、自分たちにとってすら危険な強い力をうかつに使うわけには行かない。
高位次元の存在を始祖に持つ者の義務。

不意に滲み出る感情が形を持った。ヒューマンの腕に残る赤黒い模様が気に入らない。わざとヒューマンの意図とは違う返答をする。
「俺以外の男に近づいて痛くされたことがあるのか?」
「そんなんじゃないよ。私はそんなにもてませんよーだ」
「もてたら、どうかなるかもしれない?」
「なんでそんな意地悪言うの?」

印を刻み付けたいと思った。体と心、両方に残る刻印。外側ではなく内側に。血ではなく記憶で。それを刻むための鎚にひとつだけ心当たりがあった。

覚悟を決めるために、ヒューマンの顎をつかみ唇を合わせた。反応を楽しむためではない口づけは初めてだ。
違いを感じたらしいヒューマンが身を離そうとするのをさえぎって強く抱きしめた。痛みがあるように。苦痛がないように。
バハムーンの体はガタガタと震えていた。刻み付けることは傷付けることになりうる。怖くてしょうがない。
「ほんとに、今日は、なんで・・・」
本当の気持ちは伝えられる気がしないし、説明するつもりもない。少ない語彙の中から短い言葉を選んだ。
「欲しい。」
腕の中のヒューマンが熱くなった。どうやら伝わったようだ。
「なんで」
「わからない。嫌か?」
「・・・・・・・・・・・嫌じゃない、私も」
欲しい、と小さくささやくのを待たず口をふさぐ。互いを確かめ合うための口付け。心がけ次第でこんなにも感覚が違うものかと驚き、ヒューマンの指を思い出す。
膝を握りしめたくなるわけだ。これまで悪いことをしたな、となぜか思った。

舌を絡めながらリボンをほどき、ファスナーを下ろす。女子の制服に触るのは初めてだが、戦闘中に脱着できる程なので思いのほか簡単に剥がすことが出来た。




274:4/4 ビギナー ◆y2MJUhpJNw
10/05/07 22:42:35 JkAOT0fq
下着姿になったヒューマンの体は、案の定痣だらけだったが、その痛みを知らないバハムーンは痛々しいとは思わなかった。
もうふた回りほど乳房が大きければ見たものの多くが乳牛のようだ、と思うだろう。もっとも、誰にも見せるつもりはないが。
「私だけずるい。」
「ヒュムも脱がせればいい。」
同じ条件の方がいいかと思い口付けを交わす。初めのうちはおとなしく詰め襟のホックに手間取るヒューマンの背中をまさぐっていたが、
すぐにまどろっこしくなって自分で脱いだ。
「なんか、手馴れてて嫌かも。」
「したいことをしているだけだが、そう感じるってことはこれでいいみたいだな。」
「ばかぁ。」
嫌な思いをさせたくないので、背骨をなぞり、反応のいい部分を探しながら行動の理由を言うことにする。
「尻尾や羽がない背中はどんな感じかと思ってな。」
「どう?」
「かわいい」
すでに上気していたヒューマンの頬にさらに血が上り、耳の先まで真っ赤になる。その特有の短く丸い耳先を舐めあげる。
「ひぅっ!」
予想以上の反応に気をよくしたバハムーンはヒューマンの耳に舌を這わせたまま床の上に押し倒し、下着を剥ぎ取りだした。
抵抗されることも無くやすやすと脱がせた最後の下着はすでに泡立ち糸を引いていた。

下着を脱ぐ。そうなっているのを彼自身初めて見る鎚は使いたい相手に対して大きすぎるような気がした。
こちらを伺うヒューマンも怯えている様に見える。弱音がこぼれた。
「無理そうか?」
「わからない。でも・・・」
逡巡。続きを聞くのか怖い。むき出しの部分が縮むような思いだが、もちろんそんな都合のいい事は起こらない。
「私に、ちょうだい。大丈夫、赤ちゃんよりは絶対に小さいよ。」
震える声で、ヒューマンも怖いのだとわかった。考えてみれば当然だ。怯えながらも気丈に自分を励まし、求めてくれるやさしいヒュム。
もう一度、口づけを交わして膝を割った。熱く潤んだ中心をなぞるとヒューマンの体が跳ね上がる。
沈めこもうとした指は、その寸前で止められた。
「な、中は、触ったことないの」
「やっぱりだめか?」
「そうじゃなくて、あの、初めてだから、指じゃなくて・・・ね?」
恐怖とは違う震えが体を駆け抜ける。
鶏卵ほどもある先端をあてがい、息を吐くタイミングにあわせてゆっくりと沈めていった。
幸い組織を傷つけた感触はなかったがヒューマンは痛みに息を詰め、身を硬くしている。バハムーン自身も快感より締め上げられる痛みの方が強かった。
ヒューマンの体を抱きしめ、強制的に肺から息を搾り出す。腕を緩めるとあえぐような呼吸を始めたが、全身の強張りは抜けなかった。
答えがわかっているので痛いか、とは聞かなかった。
「どうだ?」
色々な意味をこめた短い問いに思わぬ返答が帰ってきた
「うれ、しい。」
苦しげな笑顔と精一杯の抱擁。バハムーンは腰を打ちつけたい衝動を必死にこらえ、無意識に尻尾をヒューマンの足に巻きつけた。
「やんっ」
短い悲鳴とともに、痛みが消えた。ぬるり、と熱い律動に包み込まれる。快感に跳ね上がった腰を、もうとめることができなかった。
「ヒュム」
気遣う声は口づけでふさがれた。ヒューマンは変わらず苦しげにあえいでいたが、その息は熱く、あいまに甘い悲鳴が混じっていた。それが答えだ。
充足感に蕩けそうなのに歯を食いしばっている自分が可笑しいと思った。覗き込めばヒューマンも同じ表情をしている。
がくがくと震えているのは自分か、彼女か。バハムーンの腕をつかむヒューマンの指に力が込められ、筋肉に爪が食い込む。
二人分の咆哮が溶け合うのを不思議なモノのように聞きながら、バハムーンは欲望のインクをヒューマンの中に吐き出した。


繁殖の欲求とはかけ離れた彼の衝動は彼女に刻むには不純なモノに思えたので、心身が落ち着いた後、バハムーンはヒューマンに謝罪した。
ヒューマンは快く許してくれた。彼らもまた繁殖とは違う衝動に駆られて動いているらしい。
バハムーンは腕に残るの爪あとを見てニヤついた。彼女の刻印。数分後には消えるが、たいした問題ではないと思えた。この腕だって数百年もすれば消える。
ヒューマンの模様はもう神経を逆撫でたりしない。もっと深い印をこれからはふたりで刻んでいけばいいだけだ。


275:ビギナー ◆y2MJUhpJNw
10/05/07 22:55:31 JkAOT0fq
というわけで取説の説明てんこ盛りで異種姦やってみました。ちんこ入ってる時間が短すぎますね。
ヒューマンの寿命が短いも入れるつもりだったけどかわいそう過ぎて書けませんでした。

276:名無しさん@ピンキー
10/05/08 19:57:26 m+XAZcB5
挿入なしの薄エロのが向いてると思う。
個人的にヒュマ子に尻尾巻きつけはGJ

277:ビギナー ◆y2MJUhpJNw
10/05/10 19:51:34 0N3Z0+qR
>>276 自分でもそう思う。挿入すると疲れちゃってだめだ。…創作の話ですよ?
ヒューマンも巨根はめられてひぎぃ要員に作ったはずなのに好物詰め合わせになってしまってお恥ずかしいです。
純情スケベとか青あざ女子(DVとかでなく好きなことを痣だらけになるまでがんばってる娘)とか大好物です。(^q^)

278: ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:33:41 3SMjIhlK
だいぶ間が空いてしまいましたが、続き投下したいと思います。お相手はフェルパー。

注意としては、13・14レス目に暴力的な描写がありますので、ダメな人はご注意を。
それでは、楽しんでもらえれば幸いです。

279:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(1/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:35:38 3SMjIhlK
死亡者数、18名。うち、ロスト6名。
この月は死者がやや多く、一つのパーティがロストするという事態になった。残念な結果である。

ジェラートタウンに近い、魔女の森。その中に、軽い調子の声が響く。
「ははは、委員長もそんなこと、気にしなくてよかったのにさ。責任感があるのはいいけど、余計なもんまで背負い込むのはどうかと
思うよ、僕は。たまには魔が差したっていいじゃん」
「でも……やっぱり、まだ迷いますわ。わたくしが転科したら、あのバハムーンがどう動くか…」
「大丈夫だって。何なら、僕一人で何とかしてみせようか?それに何だかんだで、あいつも馴染んできてるみたいだし」
ふらふらと飛び回りつつ、軽い調子で話すフェアリー。バハムーンはドワーフが持っていたおにぎりを奪って食べてしまい、
怒った彼女に追い回されている。
「そうそう、気にしなくても大丈夫だよ。いざとなったら、私だって少しは役に立てるしさ。委員長だって、たまにはわがまま言っても
いいんだよ?」
「……そう言ってくれると、少しは気が楽になりますわ」
「さっすが副委員長。委員長のためなら何だってするもんな、副委員長は」
「こ、こらフェアリー!」
「ははは。図星だからって怒るなよ。別に悪気はないって、魔が差しただけだよ」
そんな彼を、爛々と光る金色の双眸が見つめていた。真ん丸に見開かれたそれは、フェアリーの一挙一動をじっと見守り、瞬きすら
することはない。
やがて、その目がスッと細くなり、そして再び大きく見開かれた。
「んなぁーう!!!」
興奮した猫の鳴き声。直後、フェアリーは大きく飛び上がった。
足の真下を、毒のナイフが通過していく。続いて胴目掛けて振られたダガーを、フェアリーは後ろに飛んでかわす。
「うわっととと!お、お、おいフェルパー!やめっ…!」
「んなぉ!!」
首に飛んできた回し蹴りを、着地して避ける。脇腹に繰り出されたダガーをさらに下がってかわし、一瞬の隙を突いて距離を離す。
「ちょっ……危ない!危ないって!!刃物は勘弁して…!」
「んまぁーう!!」
離した距離が、一瞬にして詰められる。フェアリーの言葉を全く聞かず、フェルパーは次々に殺意の籠った攻撃を仕掛けていく。
「フェルパー、やめなさい!!」
「おいおい!フェルパーやめなって!」
エルフとセレスティアが慌てて止めに入るも、フェルパーは二人の腕をあっさりとかわし、フェアリーに襲いかかっていく。
バハムーンとドワーフはまったく関心を払っておらず、バハムーンが朝に出たフライドチキンの骨を渡すことで和解が成立していた。
そんなバハムーンの頭上を、フェアリーが飛び抜ける。さすがに彼の巨体は、フェルパーの追撃を一時的にでも止める効果があった。
その隙に、フェアリーは大きく空へと飛び上がる。
「おいおいフェルパー、ふざけるのもいい加減に…!」
「んむぅ~……んなん!」
フェルパーが走った。そしてバハムーンの前で思い切り跳躍し、つい振り返ったその顔を踏みつける。
「ぶっ!?」
鼻血を噴き、よろめくバハムーン。彼を踏み台に、フェルパーはフェアリーと同じ高さにまで跳び上がった。

280:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(2/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:37:06 3SMjIhlK
「うおっ…!?」
「んなぉー!!!」
毒のナイフとダガーが一閃する。その直前、フェアリーは頭を下にすると、地面に向かって全力で羽ばたいた。間一髪、二つの刃物は
彼のズボンの裾を切り裂くに留まった。
地面すれすれで軌道を変え、フェアリーはエルフとセレスティアの後ろに逃げ込む。それに一瞬遅れて、フェルパーが着地した。
「あっはははーぁ!すごいすごーい!」
満面の笑みを湛え、フェルパーが手を叩く。ただし、その笑顔は狂気に満ち、およそ可愛げとは無縁である。
「すごいね!全部避けちゃった!あんな動き、初めて見たー!んにゃーん!」
「ぼ……僕こそ、地面に飛ぶなんて初めてだった…!怖かったぁ…」
「フェアリー、大丈夫かい?まったく、こらフェルパー…!」
「貴様、何しやがる!?」
セレスティアが叱るより早く、踏み台にされたバハムーンが大股で彼女に歩み寄り、その尻尾を掴んだ。
「ふぎゃーあっ!?馬鹿ぁ!エッチー!!」
文字通り跳びあがって驚き、直後尻尾を掴む手にダガーを振るう。慌ててバハムーンが手を放すと、フェルパーはその場にへたり込んだ。
「尻尾掴むなんて最低ー!馬鹿ぁ!変態ー!うあーん!」
「貴様……俺の顔を踏んでおいて、その言い草か…!」
「二人とも、やめなさい。フェルパー、あなたもいい加減にしてくれないかしら?ただでさえ、問題が起こった直後で、周りの目が
厳しいんですのよ」
エルフがバハムーンにヒールを唱え、フェルパーを睨む。ドワーフは彼等より少し離れたところで、幸せそうに骨を齧っている。
「くすん……それ私のせいじゃないもんー」
「俺のせいでもないぞ」
「あなたのせいですわよ!」
「あの女が悪い。俺は売られた喧嘩を買っただけだ」
一週間ほど前、彼はパニーニで再び喧嘩沙汰を起こしていた。しかも今回は、あろうことか相手を殺してしまったのだ。
そもそもの発端は、彼が一人で勝手に剣士の山道をうろついていたときに、以前喧嘩をした六人組の一人に会ってしまったことだった。
相手はバハムーンの女子で、イノベーターとまではいかずとも才能のある生徒であり、竜騎士に転科していた。
無論、性格が合うはずもなく、しかも恨みのある相手である。学園外でもあり、彼女は武器を抜いて彼に襲いかかったのだ。
だがそれに応戦した直後、二人の前にささくれシャークが現れた。さすがに強敵であるため、二人は『相手を倒すまで』という約束で
共闘し、これを倒した。
が、その後が問題だった。一時的とはいえ、力を合わせてくれた彼に彼女がお礼を言っている間に、彼は後ろから彼女の首を
掻き切ったのだ。
先に仕掛けたのは彼女であり、確かに相手を倒すまでという約束はした。だが礼を言っている相手の首を後ろから切るなど、
それはあまりに卑怯ではないか、というのが大半の意見だった。
当然の如く、これは風紀委員の中でも問題になり、エルフら三人は些か苦しい立場に立たされた。特に善の思考を持つ委員からは
彼の退学を具申するべきだとの意見が出されたが、そこはセレスティアが先に手を打ち、彼を謹慎とすることでその声を抑えた。
それに加え、喧嘩の相手の蘇生が無事に済んだこと、また先に手を出したのは相手だということで、辛うじて最悪の事態を避けることが
できたのだ。
そして、今はようやくその謹慎が解け、クロスティーニからブルスケッタへと向かう途中である。

281:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(3/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:38:00 3SMjIhlK
「みんな、その話はもういいじゃない。とりあえずは解決してるんだしさ。それより、今は目の前の心配事をどうにかしないかい」
セレスティアの声に、一行は空を見上げる。天気の変わりやすいこの地は、非常によく雨が降る。今も、空には厚い灰色の雲が
かかってきている。
「しなくていいだろ、んな心配。どうせあと十五分もすれば雨降るぞ」
「だから不安なんじゃないか!ていうか、君わかるの?」
「ああ、雨の匂いがするからな」
「私も私も!私もわかるよ!あのね!空気がね!じとーってして、水の匂いしてるんだよ!」
「匂いに頼らずとも、風が強くなって空気が冷たくなってきてますわ。雨が近いことは確かですわね」
「耳長三人組は、天気に詳しいんだなあ」
フェアリーの言葉に、エルフとドワーフがムッとした顔をする。フェルパーはあまり気にしておらず、いつもの通りである。
「まあともかく、雨に濡れるのは嫌なものだからね。こんな森、早く抜けよう」
その言葉に、それぞれ休憩を終えて荷物をまとめ、再び魔女の森を歩きだす。とはいえ、複雑に入り組んだ地形とワープゾーン、
加えて度重なるモンスターの出現に、なかなか思うように進めない。十五分ほど経つと、果たしてドワーフの言葉通りぽつぽつと雨が
降り始め、それはやがて視界を遮るほどの土砂降りとなった。
さすがに傘など持っては来られないため、一行はずぶ濡れになりながら探索を続ける。
「うあ~ん、雨やだぁー!どっかで雨宿りしようよぉ~!」
フェルパーが泣き声で叫ぶ。やはり祖先が猫だけあり、水に濡れるのは大嫌いらしい。
「僕もそうしたいよ、ほんと……羽が重くてしょうがない」
「君の羽はねえ……私のは水弾くから、問題ないんだけどね」
「ったくてめえらは。雨ぐらいでガタガタ抜かしてんじゃねえよ」
そう言うドワーフは、毛が水を吸ってしまい、全身からボタボタと水を滴らせている。
「……あれ?ドワーフ、君ってそんなに細かったっけ?」
セレスティアの言葉に、ドワーフはちょっと不機嫌そうな顔になった。
「え、細いか?そっか……もうちょっと鍛えねえとダメかな」
「ああ、太い方がいいんだ……いや、細いっていうんじゃないけど、ほら、どうしても君って筋肉質なイメージあるし、おまけに毛が
あるせいで余計に太く見えるんだよね。だから、思ったよりは細いなってさ」
「濡れただけで細く見られるなんて、委員長もそこだけは羨ましいんじゃないかい?」
フェアリーが言うと、エルフはムッとした顔で睨みつける。
「羨ましくも何ともありませんわ。毛だらけで野蛮で……それに、ああ…!」
もう我慢できないというように、エルフは大きく息を吸った。
「大体、この臭い!!いつも臭うけれど、雨に濡れたあなたの臭さは格別ですわね!!ちゃんと体洗ってるんですの!?」
それに対し、ドワーフも声を張り上げる。
「ああ!?てめえこそくっせえんだよ!全身から変な臭いさせやがって!ほんと、てめえのそれ鼻が曲がっちまいそうで、
吐き気がすんだよ!」
「香水のどこが変な臭いですの!?あなたの獣臭さの方がよっぽど臭いですわ!」
「私も臭いの嫌いー」
どうやらフェルパーもドワーフの臭いが気になっていたらしく、あからさまに嫌そうな顔をして見せる。

282:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(4/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:38:40 3SMjIhlK
「てめえは臭い無さ過ぎなんだよ!そんな臭い消して何がしてえんだ!?気持ち悪りい!」
「臭いは無い方がいいんだもんー、んなー」
「そうですわ!そもそもあなたは―!」
言い合いを続ける女三人をよそに、セレスティアは自分の翼の匂いを嗅いでみる。
「……私も臭うのかな?」
「いや、副委員長のはそうでもないんじゃない?水弾いてるし」
「そんなもん、気にすることでもねえだろうに。どうしてあそこまで言い合いするのか、俺には理解できねえな」
「女の子は色々大変なんだよ。と、それより……委員長、ドワーフ、フェルパー、こんなところで喧嘩しないで。君達は熱くなってるから
いいだろうけど、私は風邪ひきそうだよ」
「……ちっ!ほんっといけ好かねえ、あのアマ。こんな天気じゃ昼寝もできねえし、ああぁぁ~っ、ほんっとイラつく!」
「それはそうだな。昼寝の時間は欲しかったところだが…」
「私も日向ぼっこしたいなー。したいなぁー……でも今はどっかで雨宿りしたいよぉー!」
「ブルスケッタまでは休めないぜ、尻尾三人組。昼寝したかったら、頑張って歩くことだね」
何を言おうと、最終的な決定権は風紀委員の三人にある。結局、彼等はその後、ブルスケッタまで休まず歩く羽目となった。

ブルスケッタに着くと、尻尾三人組はすぐに寮へと向かった。誰かしら監視がいた方がいいかという議論はあったが、あの三人なら
すぐに寝てしまうと判断し、風紀委員の三人は職員室へと向かう。そこでエルフは転科の手続きをし、精霊使いになることが決まった。
「それにしても……ちょっと、悔しいですわね」
「ん?何が?」
セレスティアが尋ねると、エルフは溜め息をついた。
「わたくしは、こうして転科するまでに一年を費やしましたわ。でも、あのドワーフは……入学当初から、狂戦士になれるほどの力を
持っていましたわ…」
「スタートラインからして、あいつらは僕達とは違うんだよね。イノベーターって呼ばれるのも、納得だよ」
軽い口調で言うのはフェアリーである。
「でも、だからって僕達は僕達だ。早いとか遅いとか、負けとか勝ちとか、気にする必要性はないって」
珍しく気遣うような言葉を言うフェアリーに、エルフも珍しく微笑みかける。
「ありがとう……少し、気が楽になりましたわ」
「ほら、あの流行ってる歌でもあるじゃん?後ろだった人に追い越された人、テスト前にきっと大逆転~ってさ。それ目指そうよ」
「はは。君も意外と優しいところあるんだねえ」
「ああ、魔が差した」
「結局それなんだ」
「ふふふ。でも、その方がフェアリーらしいですわ」
そう言って笑顔を浮かべるエルフに、二人も笑みを返す。
「さあ、それじゃあまた会えるのは一週間後かな。委員長、頑張ってね」
「わたくしがいない間、任せますわね。副委員長、フェアリー、しっかり頼みますわよ」
「だ~いじょうぶだって。何にも気にしなくっていいから、頑張ってきな委員長」
最後にそれぞれ握手を交わし、三人は別れた。
彼女がいない間、その分までしっかり頑張ろう。そんな思いが、残った二人の胸に湧き上がるのだった。

283:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(5/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:39:22 3SMjIhlK
エルフが転科を初めてから、はや数日。問題児達は魔女の森での憂さ晴らしとでも言わんばかりに怠惰な生活を送っており、
これといった問題が起こる気配もない。このままなら楽だと、セレスティアもフェアリーも思っていたのだが、そう思い通りに
いかないのが世の常である。
六日目の朝、一行は朝食を取りに学食へ向かったが、フェルパーがいつまで経っても来ない。女同士であるドワーフに何か知らないかと
尋ねても、「どうしてあたしがあいつのことを知ってなきゃいけねえんだ」と、にべもなく返された。
人物が人物だけに、行動が把握できないのはかなりの不安がある。仕方なくセレスティアが迎えに行くと、彼を出迎えたフェルパーは
どこか調子が悪そうに見えた。
「フェルパー、どうしたんだい?風邪でも引いたのかい?」
「……違うのー。でも、来ないでほしいな。しばらくほっといてー」
「そうもいかないよ。朝ご飯だって、ちゃんと食べなきゃ体に…」
「いいからほっといてー!お昼は食べに行くからー!」
バタンと、勢いよくドアが閉められる。これ以上は何も話せないだろうと判断し、セレスティアは仕方なく学食へと戻った。
「あれ、副委員長、あの猫は?」
「んー、何だか機嫌悪くってねえ。風邪かとも思ったんだけど、そうでもないっぽいし……しばらくほっといてくれってさ」
「一番ほっときたくない奴なんだけどな……にしても機嫌悪いとか、猫は気紛れだよなあ」
そう言ってドワーフを見つめるフェアリー。ドワーフは幸せそうな顔で骨を齧っていたが、その視線に気づくと不機嫌そうな顔になる。
「何か言いてえことでもあんのかよ、チビ妖精が」
「……骨、好きなんだねえ」
「これが嫌いな方がおかしいんだ。この歯応えもいいし、噛めば噛むだけ味もあるんだぞ」
「……犬」
隣でぼそっと呟いたバハムーンに、ドワーフは容赦なく頭突きをかました。鼻を押さえて震えるバハムーンを無視し、フェアリーは
セレスティアに話しかける。
「とにかく、まさか一日中放っておくわけじゃないよね?」
「ああ、うん。昼は食べに来るって言ってたよ」
「そっか。じゃあ特に問題もないかな」
「……は、話が終わったならヒールを頼む…」
震える声で言うバハムーンに、セレスティアは呆れた顔を向ける。
「それ、自業自得だと思うよ私は」
「うるさい……痛いもんは痛いんだ…」
「お前はほんっと、ありとあらゆるもんに弱えな。それでよく、自分の手ぇ切ったりできるよ」
「それはそれ、だ…!」
「どう違うんだよ」
結局、食卓を鼻血で汚されるのも嫌なので、セレスティアは彼の鼻を治してやる。そして食事を終えると、各自はそれぞれの部屋へと
戻った。エルフがいないため、勝手に動くわけにもいかないのだ。
それぞれに自分の学科の勉強をしたり、武器の手入れをするうち、あっという間に時間が過ぎていく。すぐに昼食の時間となり、一行は
朝と同じ位置に陣取る。
四人にやや遅れて、フェルパーが姿を現した。しかし、その表情は暗く、何やらビクビクと辺りを窺っているように見えた。
「フェルパー、本当に大丈夫かい?どっか悪いんじゃないかい?」
「……いいの!平気なの!ほっといて!」
そうは言うものの、その姿はとても平気なようには見えない。だが、持ってきた料理の量は多く、食欲は旺盛なようだった。

284:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(6/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:39:55 3SMjIhlK
「そうか、ならいいけど……あ、私の隣空いてるよ」
普通なら、大人しく従うはずだった。しかし、今日のフェルパーは違った。
「……嫌!」
不機嫌そうに言うと、いつもは食事中近寄らないはずのドワーフの隣に座る。不調ではないとしても、普段と比べてあまりに奇妙な
行動が多すぎる。
疑問をよそに、フェルパーは黙々と食事を始める。バハムーンとドワーフは我関せずといった様子だが、風紀委員の二人としては
放っておこうという気にはなれない。
「ずいぶんと不機嫌だねえ。ほんとに熱なんかないのかい」
言いながら、フェアリーはフェルパーの額に手を伸ばした。それが触れそうになった瞬間。
「シャッ!!」
「痛っ!?」
威嚇の鳴き声と共に、フェルパーは思い切り引っ掻いた。手の甲がざっくりと切り裂かれ、見る間に血が溢れだす。
「いっててて……副委員長、ヒールお願いするよ」
「大丈夫かいフェアリー!?まったくフェルパー、なんてことするんだ!?」
フェルパーは答えない。代わりに、二人を怒りとも怯えともつかない目で睨むと、再び食事を始める。
「まあまあ、副委員長。彼女を責めないでやって。魔が差すなんてこと、誰にだってあるんだから」
「だからって、こんな怪我させるのはどうかと思うよ私は」
相変わらず、ドワーフとバハムーンは食事に夢中であり、三人と関わろうとする気配はない。が、不意にドワーフが顔を上げ、何やら
ふんふんと匂いを嗅ぎ始めた。そしてフェルパーを見つめ、一度、ふん、と鼻を鳴らすと、にやりとした笑みを浮かべ、再び食事に戻る。
「そりゃ、痛くもない腹を探られるのは不快だっていうのはわかるよ。でも、だからって引っ掻くことはないんじゃないかい」
「……ほっとけほっとけ。しばらくはそいつに触んねえ方がいいぞ」
彼女にとってのメインディッシュであるところの、大きな骨にかぶりつきながら、ドワーフが言う。
「え、どうして?」
「そりゃあ、なあ?」
フェルパーを見つめ、ドワーフは意地の悪そうな笑みを浮かべた。フェルパーの耳がビクッと倒れ、食事の手が止まる。
「そ~んな状態だもんなあ?そりゃあ触られたくもねえよなあ?」
「………」
「ドワーフ、どういうことだい?フェルパーが不機嫌な理由、知ってるのかい?」
「わっかんねえかなあ。こいつはな、男に触られるのが嫌なんだよ」
「男に?でも、いつもは普通に…」
セレスティアが言いかけると、ドワーフはますます意地の悪い笑みを浮かべる。
「いつもはな。でもなあ、今のこいつは盛…」
バン!と大きな音が響き、周囲の生徒までもが驚いてそちらへ顔を向ける。
テーブルを叩き立ちあがったフェルパーは、大きな声で叫んだ。
「もう嫌!みんな嫌いー!」
止める間もなく、フェルパーは走り去ってしまった。一体何が起こったのかと、セレスティアとフェアリーは呆然とするほかない。
「あーあ、行っちまった。ったく、せっかく面白い反応見られると思ったのによ」
「……あ、あの、ドワーフ?フェルパーは一体…?」
つまらなそうに息をつくと、ドワーフは気のない顔を向ける。

285:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(7/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:40:31 3SMjIhlK
「だから、盛りだよ、盛り。発情期」
「……さ、さらっと言うね…」
「あいつ、エロいの苦手だろ?なのに、あの時期は体が火照って男求めちまうからな。それが許せねえんだろ」
それを聞いた瞬間、バハムーンが横目でドワーフを見つめる。
「……お前は、まだその時期じゃねえのか」
「あたしはまだだなー。生理と一緒で、個人差あるんだよ。てぇか、てめえはそれ聞いて何するつもりだ?」
「楽しみにするつもりだ」
直後、ドワーフは咥えていた骨を掴み、バハムーンの顎を殴りあげた。ガコッと妙にいい音が学食に響く。
「ま、まあそんな時期じゃあ、そっとしておいた方がいいかな。あんまり刺激してもなんだしねえ」
「そっとしておく……ねえ」
気のない感じで、フェアリーが繰り返す。しかしその顔には、彼の言葉に従おうなどとは微塵も考えていないような、そんな表情が
浮かんでいた。

部屋に逃げ帰ったフェルパーは、ベッドの上で膝を抱えて座り込んでいた。カーテンすら閉め切り、暗い部屋の中で眼だけが光っている。
イラつきと怯えの混じった、震える呼吸の音が響く。やがて、尻尾がゆらりと動き、下着の上から自身の秘部へと触れた。
途端に、フェルパーはハッとしたように尻尾を戻し、ただでさえ赤くなった頬をますます紅潮させる。
「うぅ~…!」
ただ外に出ただけで、こうなってしまう。どんな種族であろうと、『男』の匂いを感じるだけで止めようもないほどに体が疼き、火照る。
普段ならば、関わり合いになりたくないと思う他人にでさえ、そうなってしまう。まして、それが気心知れた仲間であれば余計である。
彼等の匂いを感じてから、動悸が鎮まらない。全身が熱くなり、無意識に自身で慰めようとするほどに、疼いてしまう。
それが、フェルパーはたまらなく嫌だった。そういうことは大嫌いなはずなのに、自身が無意識に求めてしまうなどということは、
どうしても認めたくなかった。
「う~……こんなのやだ……もうやだぁ…」
涙声で呟くと、フェルパーはベッドに突っ伏し、頭から布団を被った。経験上、こういう時はとにかく寝てしまうのが最善の手段だった。
この状態で寝るのは多少骨が折れるものの、不可能というわけではない。事実、布団を被ってから二十分ほど経つと、部屋の中には
寝息が聞こえ始めていた。
祖先が猫だけに、フェルパーはよく眠る。一時間経ち、二時間経ち、数時間経った頃、布団の中でフェルパーの耳がピクリと動いた。
微かに目を開ける。夢と現の狭間を行き来しつつ、フェルパーはもう一度耳を動かす。
ドアの方から、カチャカチャと微かな物音が聞こえる。それに気付いた瞬間、フェルパーの頭は急激に覚醒を始めた。
ガバッと体を起こす。それと同時にカチャンと軽い音がし、続いてドアが開けられた。
「やあフェルパー、調子はどうだい?……うおぅ、目だけ光ってら」
小さな影。いつもの軽い口調。それは紛れもなくフェアリーだった。
「え……えぇー!?どうして開くのー!?鍵閉めたのにー!?」
「おいおい、僕はレンジャー学科所属だぜ。こんな鍵ぐらい、朝飯前だよ」
「そ、それより、どうして勝手に開けるのー!?なんで来たのー!?ほっといてって言ったのにー!」
「魔が差した。それと、夕飯にも来ないから、さすがに心配…」
部屋の中に、微かながら『男』の匂いが入りこむ。途端に、フェルパーの体はかあっと熱くなり、鼓動が早まる。

286:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(8/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:41:03 3SMjIhlK
「こ、来ないでー!部屋に入んないでー!あっち行ってよー!もうほっといてー!」
「うわっ!?ちょっ……危ない!危ないって!!」
手近にある物を、フェルパーは手当たり次第に投げつける。毒のナイフ、椅子、前日着ていたシャツ、靴、枕など、あらゆる物が
飛んでいく。とはいえ殺意の籠った攻撃ではなく、とにかく投げているだけなので、かわすのは容易だった。
一通り投げてしまい、それ以上投げるものがなくなると、フェルパーは耳をぺったりと寝かせ、ベッドの上を後ずさる。
「来ないで!ほっといてー!」
「いやあ、ほっといてもいいんだけどさあ。それじゃあ何にも根本的な解決にはならないし。問題は根元から断ちたいだろ?」
そう言いながら、ずんずん近づいていくフェアリー。一応、フェルパーが襲いかかってくるかと身構えていたのだが、予想に反して
彼女はただベッドの上で震えているだけだった。
「な……何するのぉ…!?」
「だから、言っただろ?問題は根本から解決したいんだよ」
フェアリーは遠慮なくベッドに上がると、手を伸ばして震えるフェルパーの腕に触れた。
ビクッと、フェルパーの体が震える。その目は完全に怯え、フェアリーをモンスターでも見るかのような目つきで見つめている。
「え……エッチなことしないって言ったぁー…!」
「あ~、そんなことも言ったね。でも、今は君自身がそれを求めてるんじゃないのかい?」
言いながら、フェアリーは彼女の胸に手を伸ばした。
「んにゃぅ…!」
その手が軽く触れた瞬間、フェルパーは聞いたこともないような甘い鳴き声を出す。だがその直後、彼女はフェアリーの手を思い切り
打ち払った。
「やぁー!!やなのぉ!!こんな声出したくないー!!こんなのやだぁー!!こんなの違うー!!こんなの私じゃないのぉー!!」
叫びながら、フェルパーは本気で泣きだしていた。そんな彼女に、フェアリーは優しく声を掛ける。
「そうは言うけどね、君は君だよ。自分のことを、そう簡単に否定するのはどうかと思うな」
「だってだって……エッチなこと嫌いなのにぃ…!ほんとに嫌いなのぉ…!」
「でも、今はそういうのを求めちゃうんだろ?だったら、今は別にそれでいいじゃん。魔が差したとでも思えばさ」
言いながら、そっと手を伸ばす。しかし触れる直前で、フェルパーが爪をかざして威嚇してきたため、そこで止まる。
「な……なんで、こんなことするのぉ…?ほっといてよぉ……何にもしなくていいよぉ…」
「なんでって、そりゃあ…」
手軽にやれそうだから、という本音を危うく漏らしかけ、フェアリーは慌てて口をつぐむ。
「……魔が差したから。それに、えっと、君は仲間なんだから、仲間が困ってたら助けるのは当然だろ?」
「助けるって、どうするつもり…?」
「求めに応じるつもり」
「やだーっ!エッチなのはやだー!もう帰ってよぉ!これ以上ここいないでよぉ!!」
時間が経つごとに、フェアリーの、言い換えれば男の匂いが強くなり、それに比例してフェルパーの疼きもますます強くなっていた。
フェアリーもそれに気付き、心の中で密かに笑う。

287:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(9/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:41:43 3SMjIhlK
「そこまで毛嫌いしなくってもいいじゃん。それに、エッチなのは恥ずかしいことじゃないぜ」
「う、嘘だぁ…!」
「本当だって。じゃあ何かい?そういう時期のある君の種族は、恥ずかしい種族なのかい?」
「……そんなことないもん…」
「だろ?自然なことなんだよ。別に恥ずかしくもない。それでも、どうしても恥ずかしいって言うなら、そんでもって、
そんなの自分じゃないって言うなら、それでいいじゃん。今の君は、君じゃない。自分じゃないと思って、その時期を楽しんじゃいなよ」
「………」
彼の言葉に、フェルパーは驚いたような、それでいて縋るような目で彼を見つめる。
「エッチなことしたいんだろ?じゃ、思いっきりしてみればいいじゃん。強い相手殺す以外でも、少しは何か楽しみ見付けなよ」
「でも……でも、やっぱり恥ずかしいよぉ…」
「大丈夫だって。こんなの誰にも言わないし、恥ずかしいことでもないって」
「ほ……ほんと?」
「本当だよ。だから、今は湧きあがる気持ちを否定しないで、やりたいようにやればいいさ。魔が差すのも、たまには悪くないってね」
ゆっくりと、手を伸ばす。フェルパーはビクッと耳を伏せたが、その手を打ち払ったりはしなかった。
何もしてこないのを確認し、胸に触れる。途端に、フェルパーは熱い吐息を漏らす。
「はぁっ……は、あ…!」
「柔らかいな……どうだい、平気そうかい?」
初めての感触を楽しみつつ、フェアリーは優しく問いかける。フェルパーは耳を伏せて震えているものの、微かに頷いてみせた。
ゆっくりと、円を描くように揉みしだく。フェルパーの呼吸はますます荒くなり、全身が強張る。
「や……やっぱり、恥ずかしいよぉ……んに…」
「あんまりそういうことは考えないで。ただ今の感覚だけに集中してればいいよ」
「う、うん……わかった……ふ、にぁ…」
熱く震える吐息。その中に怯えの混じった嬌声と、ねだるような鳴き声が響く。その声を聞きながら、フェアリーは彼女の背中に手を回す。
パチッと小さな音がし、直後フェルパーは慌てて胸元を押さえた。
「やっ!?な、なんで外せるのぉ!?」
「おっとー、ビンゴだったか。僕だって、そりゃ少しぐらいは知識あるさ」
その口と同様、彼の手はよく動く。喋りながら、さらにフェルパーの制服のボタンを外し、胸元を押さえる腕の隙間から指を差し込む。
指先に彼女の体温が伝わり、僅かな膨らみを感じる。同時に、フェルパーは大きく息を吐いた。
「あっ!……う、あぁ…!」
「手、どけて。気持ちよくしてあげるから」
「んなぁ……あ、あんまり……変なこと、しないでね…?」
躊躇いながらも、フェルパーはゆっくりと手をどける。その手が完全に離れると、押さえられていたブラジャーがパサリと落ちた。
露わになった胸を、フェアリーはしばらく見つめていた。思ったよりも小ぶりだが、整った形をしている。そして、先端は既に
硬く尖っていた。
「……そんなにじっと見ちゃ、やだ…!」
そう言い、フェルパーが身を捩る。
「ああ、ごめんごめん。魔が差したっていうか、つい見惚れちゃってね」
言いながら、フェアリーは再び手を伸ばす。フェルパーの耳はもはや完全に寝てしまっているが、彼女が抵抗する気配はない。また、
尻尾は何か期待するかのように、くねくねと艶めかしく動いている。
手が触れる。フェルパーはピクッと体を震わせ、固く目を瞑る。そんな彼女を見つめながら、フェアリーはゆっくりと手を動かす。

288:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(10/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:42:16 3SMjIhlK
「はぅ…!はぁ……はっ…!は、あ…!にゃっ…!」
「柔らかいし、温かい。触ってる僕も気持ちいいな」
「やぁ~……そういうの、言わないでぇ…!」
「褒めてるんだぜ?恥ずかしがる必要ないって」
全体を包み込むように触り、硬くなった先端を指で挟む。フェアリーが指を動かす度に、フェルパーは敏感に反応し、可愛らしい声を
あげる。それだけでも、フェアリーにとっては十分に気持ちを昂らせてくれるものだった。
「どう?気持ちいいかい?」
「あ、あ…!そんなの……い、言いたくな……にゃあっ!?」
片手を放し、フェアリーは彼女の胸に吸いついた。フェルパーの体がビクンと跳ね、その手は彼の頭に当てられる。
だが、押しのけるような気配はない。ただ彼の頭に手を当て、フェルパーは熱い吐息を漏らす。
強く吸いつき、舌先で乳首を転がすように舐める。頭に当てた手に、時々強く力が入る。しかしそれは、
彼を押しのけようとする動きではなく、むしろ彼の頭をより強く押し付けるようなものだった。
「にゃぅぅ……私、君のお母さんじゃないよぅ…!あっ…!」
「ん……いや、誰もそんなの求めちゃいないから。気持ちいいだろ?」
「あう……そ、そんなの、わかんないぃ…!」
「強情だな君も。ま、聞くまでもないことではあるね」
空いている片方の手を、スカートの下に潜り込ませる。途端に、フェルパーはその手を押さえた。
「あっ!やだっ!」
そこは既に、ブルマの上からでもわかるほどに濡れていた。紺色の生地の中心に、じんわりと染みが広がっている。
「ここ、こんなになってるもんな」
「あぁ……言わない、でぇ…!恥ずかしいよぉ…!」
「にしても、君これ気に入ってるんだねえ。あげた僕としても、気に入ってもらえるのは嬉しいよ」
押さえられているとはいえ、彼女の手にはほとんど力が篭っていない。ブルマの上から秘部を擦ると、途端にフェルパーの体が
仰け反った。
「にゃあっ!はーっ、はーっ…!あ、んぅ…!」
快感に翻弄されつつも、フェルパーは必死に声を抑えようとする。そんな彼女をいたぶるように、フェアリーはブルマの中に
手を差し込み、割れ目に直接触れた。
「うあっ!?や、やめ……ぇあ…!」
くちゅ、と、湿った音が響く。フェアリーは大きく指を動かし、わざと大きな音を立てる。
「やだ、ぁ…!音立てちゃ、や……いっ!?」
つぷっと、中指を彼女の中に沈みこませる。さすがに痛かったらしく、フェルパーの体は仰け反ったままぶるぶる震えている。
「痛かったかい?こんなに濡れてるから、大丈夫かと思ったんだけどな」
フェアリーは指を引き抜くと、それを彼女の目の前に突き付けた。指を開くと、その間に愛液がねっとりと糸を引く。
それを見た途端、フェルパーの体がかあっと熱くなり、耳の内側までもがはっきりわかるほどに赤くなった。
「やぁー!そんなの見せないでぇ!」
フェルパーはいやいやをするように首を振り、ギュッと目を瞑ってしまう。危険人物だとはいえ、年相応の女の子の振る舞いをする
彼女は、やはり可愛らしい。

289:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(11/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:42:52 3SMjIhlK
「ま、見ての通りになっちゃってるからさ。そろそろ下も脱ごうか?いい加減、僕も限界きそうだし」
「ぬ……脱ぐの…?」
「脱がなきゃ続きもできないし。君だって、もっと気持ちいい思いしたいだろ?」
「………」
フェルパーは答えない。だがその目には羞恥だけでなく、ある種の期待も混じっているようだった。
ブルマとショーツを一緒に掴み、反応を確かめるようにゆっくりと引き下ろす。フェルパーは抵抗せず、黙って尻尾をまっすぐ下に
下ろした。
秘裂との間に糸を引きながら、ブルマとショーツが引き下げられる。フェアリーはそれをまとめて丸めてしまうと、ベッドの下に
ポンと放り投げた。そして、自身も着ているものを脱ぎ捨てる。
のしかかるように体を寄せると、フェルパーは少し身を引いた。
「逃げるなよ。別に取って食うわけじゃないんだし」
「うぅ~……や、やっぱり怖いよぉ…」
「さっき痛くしちゃったからかい?大丈夫だって、僕のそんなにでかいわけじゃないし……言ってて悲しくなるけどね」
「……なんで?」
「いや、こっちの話。とにかく、もっと気持ちよくしてあげるからさ。じっとしててくれよ」
そう言い、フェアリーはフェルパーの足に手を掛ける。だがそこで、フェルパーは彼の手を押さえた。
「ほ、ほんとに痛くない?気持ちいいだけ?痛いのやだよ?ほんとに痛くないよね?」
「えーと……少しは痛いかもしれない……けど、最初だけだよ。……たぶんね」
さすがにフェルパーは不安そうだったが、フェアリーが有無を言わさぬ勢いで彼女にのしかかる。そして自身のモノを、彼女の秘裂に
押し当てる。
ゆっくりと、腰を突き出す。少しずつ秘唇が開かれ、彼のモノが飲み込まれていく。
「あっ、あっ!あぁっ!あっ……あああーっ!!」
悲鳴とも嬌声ともつかない声を上げ、フェルパーの体が仰け反る。フェアリーは一瞬躊躇い、しかしすぐにまた腰を突き出していく。
だが、半分も入らないうちに、フェルパーは膝を締め、必死にフェアリーを押し返そうとする。さすがにそこまで抵抗されると、
フェアリーも無理をしようという気にはなれず、一旦動きを止めた。
「フェルパー、大丈夫かい?」
「うぅ~…!痛い~……痛いよぉ…!さ、最初気持ちよかったのにぃ…!痛くしないでぇ…!」
「そっか、最初は気持ちよかったのか」
そう聞き返してみるも、フェルパーはあまり余裕がないらしく、ただこくこくと頷くだけである。
「じゃ、痛くない範囲で動くよ。辛くなったら言ってくれ」
思い切り奥まで突き入れたい衝動を何とか抑え、フェアリーはごく浅い部分で腰を動かす。
抜ける直前まで腰を引き、再びゆっくりと突き入れる。ほとんど先端しか入っていないが、その分亀頭部分が擦れてクチュクチュという
湿った音が響き、二人を昂らせる。フェルパーは相変わらず荒い息をついているが、徐々に抵抗はなくなってきていた。
それを見て取ると、フェアリーは少しずつ動きを強めていく。先端しか入らなかったのが、半ばまでを受け入れるようになり、
その先の硬さも消えていく。より強く感じる彼女の体温が、フェアリーに強い快感を与える。
「んっ!あぅっ!う……んなぅ…!んにっ!ふ、にゃぅ…!」
フェルパーの声は、悲鳴から喘ぎへと、そして喘ぎ声といったものから、だんだんと猫の鳴き声に変わっていく。
「フェルパー、どうだい?平気かい?」
「んにゃ……へ、へいき……あっ!で、でも……んんっ!あんまり、強く…」
「じゃ、大丈夫かな」

290:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(12/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:43:26 3SMjIhlK
言うなり、フェアリーはフェルパーの腰を掴むと、思い切り腰を打ちつけた。
「うあぁっ!?いっ……あぁっ…!」
フェルパーの体がビクンと跳ね、口からは明らかな悲鳴が漏れる。しかし、その顔には苦痛というよりも、むしろ快感の表情が
浮かんでいた。
「くぅ……君の中、すごく温かくてきつい…!うあ、あんま動けないな…!」
「んっ……あう!あ、あんまり……強く、しないでぇ…!お、おっきすぎて……お腹、きついよぉ…!」
少しは辛いらしく、荒い呼吸の合間に何とかそう言うフェルパー。途端に、フェアリーの顔に笑みが浮かぶ。
「そっかあ、大きくてきついのかあ……あーっ、君ほんっと大好きだ!」
「んにゃっ!?」
突然、フェアリーはフェルパーを強く強く抱きしめた。フェルパーは状況がよくわかっていないようで、目をパチクリしている。
「可愛いなあ、君はほんと!まあとにかく、気持ちよくさせてあげるから、いっぱい楽しんでくれよ」
「え?う、うん……んっ、あ、あっ!」
ゆっくりと腰を引き、やや強めに腰を突き出す。最初こそ、フェルパーは悲鳴に近い声をあげていたが、数回繰り返す頃には、
既にその声は嬌声へと変わっていた。
「んにゃあっ!あうっ!にゃっ!や、やぁ……うぁっ!は、激しいよぉ!」
「はっ、はっ……でも、気持ちいいだろ…!?」
「うあぁっ!い、痛いってばぁ…!あんまり……あぁっ!激しいのは、やだぁ…!」
嘘ではないのだろう。しかし言葉とは裏腹に、尻尾は彼の腰に巻き付き、ぐいぐいと自分の方へ引きつけている。
「その割には……くっ!この尻尾は、何だい…!?」
「やぁぁ……だ、だって、それは……んにっ!勝手に……なっちゃうんだもん~…!あんっ!」
パン!パン!と大きな音が響く。秘裂からは愛液が溢れ、フェアリーが動く度、彼の腰とフェルパーの肉付きのいい尻に幾筋もの糸を引く。
それだけに留まらず、結合部から滴り落ちる愛液が、シーツに大きな染みを作っていた。
二人の体はじっとりと汗ばみ、蒸れた匂いが鼻孔をくすぐる。フェアリーの動きは徐々に大きく荒くなり、それに従ってフェルパーの声も
次第に大きくなっていく。
「くぅぅ……君の中、すっごく締め付けてくる…!」
「うああっ!!んにっ!!あうっ!!お、お腹にずんずん来るぅ!!激……しい、よぉ!!」
もはやフェルパーの声に苦痛の色は全く無く、激しい行為にも快感しかないらしい。その声に促されるように、フェアリーはさらに強く
腰を打ちつける。
「うっ……フェルパー、ごめん!もう出そうだ!」
「うあぅ!あっ!で、出るって何……あっ!?うあぁ!?」
ドクンと、フェルパーの中で彼のモノが跳ね、熱いものが体内に注ぎ込まれる。
「んにゃあっ!お、お腹にあっついのがぁ!!お腹ぁ、あ、熱いぃ!!あ、頭ん中真っ白にぃ!!んにぃー!!んに、あああぁぁぁ!!」
叫ぶと同時に、フェルパーの体が弓なりに反り返り、ガクガクと震える。
膣内が精液で満たされる感覚。それはすぐに快感に変わり、全身へと広がっていく。それと同時に、発情期になってから満たされなかった
疼きが、快感で満たされていくのを感じた。
やがて、フェアリーは全てフェルパーの中に注ぎ込み、その余韻に十分浸ってから、ゆっくりと自身のモノを引き抜いた。
「んにぁ…」
小さな鳴き声を上げ、フェルパーの体がピクンと震える。そして、彼女はフェアリーをじっと見つめる。
「はぁ……はぁ……ふぅ。フェルパー、どうだい?気持ちよかったかい?」
「………」
返事はない。疲れているか、快感の余韻に浸っているのだろうと判断し、フェアリーは特に気にしなかった。

291:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(13/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:43:59 3SMjIhlK
だが、改めて彼女の顔を見たとき、フェアリーは背筋がゾクリとするのを感じた。
フェルパーの目は、さっきまでのそれではなかった。その目に満ちているのは、快感の余韻でも恥じらいでもなく、強い狂気だった。
射精後の冷めた頭で、フェアリーはそれまでの状況を思い返した。
彼女は自分の欲求に、限りなく忠実である。今のフェルパーは発情期であり、性的な快感の欲求が殺人の欲求を上回るほどに強まっていた。
だからこそ、彼女は今までのように自分を殺しにかかってきたりは一切しなかった。だが、今その欲求を、自分は満たしてしまった。
ならば、それがなくなった今、今度は何を考えるか。そして、彼女は自分をどう見ているか。
その答えが出るより一瞬早く、フェルパーが跳びかかった。
「うわっ!?」
両腕を足で押さえこみ、フェルパーはフェアリーの腰に座る。イノベーターと呼ばれるだけあり、そこらのバハムーンよりも強靭な
筋力を持つ彼女に、ただのフェアリーである彼が抵抗することは不可能だった。
獲物をいたぶる猛獣の目で、フェルパーは彼をじっと見下ろす。そして、ゆっくりと背中に手をやった。
「な、何するんだ!?おいフェルパー、放…!」
闇の中で、金色の目が爛々と光り、その隣でダガーの刃がぎらりと光った。手当たり次第に物を投げた時も、これだけは
手放さなかったのだ。
「お、おい……何するつもりだよ…!?じょ、冗談きついぜ…!?なあ、おい、よせ……や、やめてくれ!頼むよ!おいフェルパー!」
フェルパーは答えず、代わりにぞっとするような笑みを浮かべた。
ゆっくりと、刃がむき出しの胸に押し当てられる。冷やりとした感触が、フェアリーに強い恐怖感を与える。
「や、やめろ!!やめろぉ!!フェルパーやめてくれ!!助けてくれ!!おいフェル…!」
刃を一層強く押し当てる。それに押され、胸の皮が凹んだ所で、フェルパーはすぅっとダガーを引いた。
「うあっ……ぎゃあああぁぁ!!!」
部屋の中に、フェアリーの絶叫が響く。ダガーが引かれた後には微かな線が入り、やがて血が丸くぷつぷつと浮かび上がり、それらが
繋がって一つの線となっていく。その線はゆっくりと伸びていき、胸を通り、腹へと移っていく。
「うあああぁぁぁ!!!やめろぉ!!!やめてくれえぇぇ!!!ぎゃああぁぁ!!!」
極めてゆっくりと、腹が切り裂かれてく。じわじわと広がる激痛にも、フェアリーは抵抗もできず、ただ叫ぶことしかできない。
その声を聞きながら、フェルパーはますます狂気に満ちた笑みを浮かべる。しかしダガーの動きだけは、変わらずゆっくりと腹を
切り裂き続ける。
臍の上まで刃を進めたところで、フェルパーはようやくダガーを離した。フェアリーの体には真っ赤な血の線が刻まれ、苦痛の脂汗が
全身に浮かんでいる。
「い……たい…!フェルパー……頼むから、もう、やめてくれ…!」
「………」
必死の哀願にも、フェルパーは答えない。代わりに、猫特有の柔らかさでグッと体を屈め、フェアリーの臍の辺りに顔を付けた。
ひたりと、腹に湿った感触。見ればフェルパーが舌を出し、腹につけている。だが、その感触は柔らかいだけでなく、なぜかチクリと
微かな痛みを伴っていた。
その理由を探ろうと、フェルパーの舌を見た瞬間、フェアリーはぞっとした。そこには、猫と同じく真っ白な棘が大量に生えていたのだ。
「な……何をするつもりっ…!?」
言い終える前に、フェルパーは舌全体を使って、ダガーで切り裂いた傷口を強く舐め上げた。
「うあっ……ぐあああぁぁぁ!!!」
再び、フェアリーの絶叫が響く。やすりのような舌で傷口を舐められ、それこそ肉をこそげ落とされる激痛が走る。しかも、
フェルパーは舌で傷口を押し開き、中の肉を削ぐように舐めているのだ。

292:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(14/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:44:31 3SMjIhlK
気絶すら許されない激痛に、フェアリーはただただ悲鳴を上げる。やがて、フェルパーは傷の終わりまで舐め上げると、ゆっくりと
顔を離した。その舌は真っ赤に染まり、棘には削がれた肉片が僅かに付着している。さらに、終始浮かんでいる狂気の笑みは、
彼女が快楽殺人者だと示すのに十分なものだった。
「やめ……て、くれ…!フェルパー……頼むから……助けて…!」
息も絶え絶えになりつつ、フェアリーは何とか口を開く。もはや命乞いをすることに躊躇いなどなく、ただただ助かりたいという
思いだけが彼の心を支配していた。
そんな彼を、フェルパーは笑みを浮かべたまま見下ろしていた。が、不意にその笑みが消え、代わりに唇を尖らせ、頬を膨らませた、
不機嫌な女の子の顔になった。
「……つまんないー。つーまーんーなーいー!」
「……は、はい?」
突然の言葉に、フェアリーは思わず間の抜けた声で聞き返した。
「つまんないのー!つまんないー!」
「な……何、が…?」
「だって!君、強いのにすぐ諦めちゃうんだもんー!抵抗しない相手殺してもつまんないのー!危ないときの方が楽しいのにー!
抵抗しなくなるのダメ―!危ないの楽しもうよー!」
「あ……そ、そう……それは……悪かった、ね…」
抵抗しなかったからこそ助かったのだと思うと、フェアリーは改めて背筋がぞっとした。必死の抵抗をしていれば、恐らくは今頃
これ以上の激痛の中で嬲り殺されていただろう。
その時、ふとフェルパーの目から狂気が消えた。
「……でもね、変な気分なの。君のこと、すっごく殺したいの。でも、殺したら君いなくなっちゃう。だから、殺したいのに、
殺したくないの。すっごくすっごく殺したいのに、君がいなくなるのはすっごく嫌」
そっと、フェルパーが足をどける。そして、フェアリーの顔を両手で優しく包み込んだ。
「だからね、もっともっと強くなって。もっともっと殺したくなるくらい。もっともっと殺せなくなるくらい。それで、
危ないのを楽しめるようになるくらい。ね、約束だよ?」
「……わ、わかったよ」
「ほんとだよ!?だからね、約束の…」
言いかけて、なぜかフェルパーは顔を赤くすると、フェアリーから視線を外す。
「……な、何でもない!あ、でも……えっと、あの……う~、やっぱり何でもない!」
「な、何だよ?言いかけてやめないでくれよ。気になるだろ?」
少しずついつもの調子を取り戻し、フェアリーが尋ねる。すると、フェルパーは耳を倒し、横目でフェアリーを見つめる。
「あの、だから……んみぅ~……あの、えっとね?えっと、約束……だからね?」
「いや、それはわかったって…」
「だ、だからっ!約束のっ……えと、約束の……約束っ、だからっ……約束したいの!」
「だからわかったって…」
「や、約束なんだからっ、誓いのことするのーっ!!」
そう叫ぶと同時に、フェルパーはフェアリーに飛び付き、唐突に唇を重ねた。

293:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(15/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:45:04 3SMjIhlK
フェアリーが呆気にとられている間に、フェルパーはささっと離れると、頭から布団に包まってしまった。
「やっちゃったぁー!チューしちゃったよぉー!!んにーぃ!!」
「………」
今更それが恥ずかしいのか、とフェアリーは聞きたかったのだが、もうそんなことをする気力すら失われていた。
「あ、あのねあのね!チューしたのね、今のが初めてなんだよ!」
「……僕もだよ…」
初めてのキスが自分の血の味になったと考えると、フェアリーは非常にやるせない気分になった。しかも、とても強引に唇を奪われ、
雰囲気も何もあったものではない。
「あ、でも、もう帰ってほしいな…!」
「こ、こんな傷作って、好き勝手しておいて、帰れって…!?」
「だってぇー!君が部屋から出てくの見られたら、恥ずかしいんだもんー!だから帰ってー!もう帰ってー!」
「………」
断ってもよかったが、それはそれで危険な臭いがした。それに、自分の部屋でゆっくり休みたいという気持ちも、少なからずある。
仕方なく、フェアリーは傷の痛みを堪え、何とか立ちあがった。流れる血をハンカチで拭い、服を身につけ、部屋のドアを開ける。
そこで、彼はふとフェルパーの方へ振り返った。
「……なあ」
「んー?」
「明日はちゃんと、ご飯食べに来るかい?」
「ん、行くー!うずうずしてたの、もうないもん!だからね!多分もう平気!」
「そっか、ならいいんだ。じゃ、おやすみ」
「おやすみー!」
あながち、無駄なことでもなかったかなと、フェアリーは思った。少なくとも、この危険人物の行動が把握できなくなるようなことは、
しばらくないだろう。発端は自分の欲望を満たしに行っただけだが、収穫らしきものはあった。
おまけに、フェアリーの懐き具合が、良くも悪くもさらに深まってしまった。とはいえ、さっきの態度を見る限り、この先今までのように
命を狙われることは減るかもしれない。
「……やっぱり、魔が差すのも悪くはないよな~」
そんなことを呟きながら、フェアリーはただ一人、部屋へと向かって飛んで行くのだった。

294:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(16/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:45:37 3SMjIhlK
翌朝、一行は転科の済んだエルフを加え、久々に六人揃っての朝食をとっていた。問題児三人はともかく、風紀委員の二人としては、
やはりエルフがいた方がホッとする。
「いやー、それにしてもその恰好。精霊使いっていうよりは、まるで吟遊詩人みたいだね」
フェアリーが言うと、エルフもまんざらではないらしく、嬉しそうな笑みを浮かべる。
「まだ、ハープの扱いは練習中ですわ。でも、月夜に湖の畔で弾き語りでもできるようになれれば、最高ですわね」
「ああ、いいねえそれ。私もそれ聞いてみたいよ」
「……下手くそが何やったって、下手くそにゃ変わりねえよ」
せっかくの和やかな雰囲気を、ドワーフがあっさりと破壊する。
「うるさいですわ!第一、まだ聞いてもいないのに下手だなんて…!」
「じゃ、うまく弾けるのかよ」
「それはっ……まだ、練習中ですわ…」
「下手くそ」
「あなたこそ、最初はその斧をまともに扱えなかったのではなくって?それこそ、戦士という割には、下手くそな扱いでしたわ」
「……んだと?」
スペアリブの骨が、ガリっと噛み砕かれる。セレスティアが慌てて間に入ろうとしたが、ドワーフは手を出したりはしなかった。
「言ってくれるじゃねえか、このくそ妖精が。今日はいつにも増して、くっせえ臭いさせてやがるくせによぉ」
「またそれですのね。香水の一体どこが…」
「香水じゃねえよ。さっきから、この辺が精液臭えのに気づいてねえのか」
「なっ、なななっ…!?」
思わずうろたえるエルフ。それと同時に、フェルパーがガタンと音を立てて立ち上がった。
「っ…!」
その顔は真っ赤に染まり、やはり耳の内側まで真っ赤になっている。一行はまた彼女が部屋に逃げ帰るかと思ったが、フェルパーは
しばらくドワーフの顔を見つめ、そのまま静かに席についた。
ドワーフは彼女を見つめていたが、やがて気のない風に視線を逸らした。そして、ぽつりと呟く。
「……しっかり洗わねえからだ」
「ちゃ、ちゃんと洗ったもんー!」
それを聞いた瞬間、ドワーフの顔に意地の悪い笑みが浮かんだ。
「かかりやがった、馬鹿が」
「あ…」
途端に、フェルパーの腕までが真っ赤に染まった。自分から秘密をばらしてしまったという事実に、フェルパーは泣きそうな顔に
なってしまう。
「さっすが、盛ってただけあるなあ?相手は誰だ?セレスティアか?」
ゆっくりと、エルフがセレスティアを睨みつける。
「いや~、私、口で言うより行動で示す方が好きなんだけど、神に誓って違うよ、ほんとに。だから委員長も、その目やめて」
「……おい、ドワーフ。一体何が『かかった』んだ?」
そう尋ねるのはバハムーンである。彼一人、一体何の話をしているのかわかっていなかったらしい。
「てめえは、ほんっとにおつむの足りねえ野郎だな……てことは、てめえでもないか」
「おい、俺の質問に…」
「わかったわかった。こいつがヤッてなかったら、精液臭えのはしっかり洗ってねえからだって言っても、してないって言うだろ?
なのに、こいつはしっかり洗ったって返したんだ。てことはつまり、ヤッたってことだろ」

295:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(17/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:46:11 3SMjIhlK
「……なぜそうなる?」
「てめえの頭は飾りか!?中身入ってねえのか!?……ちっ、いいか!?説明してやるからよっく聞け!」
誘導尋問の講義を始めたドワーフとバハムーンを無視し、エルフとセレスティアはフェアリーを見つめる。その本人は、誰とも目を
合わさないようにしながら黙々と食事を続けている。
「……フェアリー」
エルフの声に、フェアリーの肩がビクッと震える。
「あなた……何か覚えがあるんですの…?」
「……魔が差した」
「恋の時期を利用するなんて、最低だと思いませんの?」
「……委員長と副委員長だって、することはしてるだろ?そこの二人だってそうだし、僕一人責められるのはどうなのよ」
「でもねえ、君のそれは明らかにずるいでしょ。せめて、正面から堂々といくぐらいはさぁ…」
その時、フェルパーがエルフの袖を引っ張った。
「い、いいの!別にいいのー!だって、その、別に悪いことしてないもん!」
「フェルパー……あなたは、彼に利用されたんですのよ?それを…」
「だ、だから平気なのー!だ、だって、だって…!」
フェルパーはちらりとフェアリーを見つめ、そしてギュッと目を瞑ると、大きな声で言った。
「わ、私!フェアリーのこと好きだもんっ!」
一瞬、学食の中がシンと静まり返った。ややあって、誰かがひゅう、と口笛を吹くのが聞こえた。
「……やりやがった……この子やりやがった……ははは~、魔が差したんだろうな~…」
魂が抜けたような顔で呟くフェアリーに、エルフは呆れたような笑みを送る。
「……大変そうですわね。まあ、好かれているというなら問題ありませんわ。ついでに、フェルパーのことはあなたに任せますわね」
「ははは~、絶対そう来ると思ったよ……あ~、幸せってどっか落ちてないかな~…」
セレスティアは慈愛と同情の入り混じった笑みを浮かべ、翼でぱたぱたと自分の顔を煽いでいる。
「お熱いねえ、はは。ま、君なら何とか、うまくやれるでしょ。フェルパーのこと、よろしく頼むよ」
「ははは~、副委員長にまで頼まれちったぁ。ああみんな、僕強く生きるよ…」
「……んみぅー、フェアリー、大丈夫?」
不安そうなフェルパーの声に、フェアリーは一瞬にして我に返った。

296:流れ星の英雄 第三章~満月の北極星~(18/18) ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:46:43 3SMjIhlK
「え?あ、ああ。平気平気。うん、もう大丈夫」
「よかったぁ!だってさ!元気ないの殺してもさ!面白くないもんね!」
「……そうだね、面白くないね。でも、君には絶対殺されないからな」
「私以外にも、絶対ダメだからね!君殺すのは私なの!」
殺伐とした二人の会話に、セレスティアとエルフは顔を見合わせる。
「……これ、本当に大丈夫かな…?フェアリー、クロスティーニで留守番してた方がいいんじゃないかい?」
「今更遅いですわ……自業自得の面もありますし、今以上に強くなってもらえばいいだけの話ですわ」
その時、ようやくバハムーンへの講義を終えたドワーフが、エルフの方へ向き直った。
「おっとー、うやむやで終わらしちまうとこだったけどな。てめえ、昨日一発ヤッてるだろ」
「ぐっ……そ、そんなのあなたには関係ないですわ!このけだもの!」
「へーえ?風紀委員長様が風紀を乱すような真似してるのに、そんな口を利くのかよ」
「うぐっ…!ふ、風紀を乱すような真似ではありませんわ!在学中の結婚は禁じられていても、それ以外は禁じられていませんわ!」
「ほー。さっすが規則を守る委員長様だなあ。規則になけりゃ、何やってもいいわけだ」
「誰もそんなことは言ってなくってよっ!」
相変わらずの喧嘩を始める二人。それを止めるセレスティア。我関せずのバハムーン。そこまでは、いつもの光景である。
だが、今ではフェルパーがフェアリーを見つめる視線に、今までにはない熱が篭っている。それに対するフェアリーも、以前ほどには
軽い態度ではない。
その関係は、ほぼ狩るものと狩られるものに近い。だがそこには確かに、一つの絆が生まれていた。
ぼんやりと、しかし確かにそこにある。ともすれば見失いそうなほどに薄い、だが揺らぐことのないもの。
それぞれ理由は違えども、今の彼等は同じ一つの指標を目指していた。
愛する者のため、自身を高みへと上げるため、身を守るため、獲物を狩るため、ただ、強く。
目指すものが一つとなったこの日以降、彼等は急速に力を付けていく。その飛び抜けた力ゆえに、英雄と呼ばれるほどに。

297: ◆BEO9EFkUEQ
10/05/15 23:49:17 3SMjIhlK
以上、投下終了。
名前欄は長すぎると弾かれるんですねえ……本当は「満月の夜の~」だったんですが、ギリギリ入らなかったようで。
後の方のサブタイトル、どうしたものか。ま、後で考えようw

それではこの辺で。

298:名無しさん@ピンキー
10/05/16 04:18:43 SB+YL5pO
GJです!軽薄かつ誠実なフェアリーがイイ!骨にかじりつくドワ子可愛い!

299:>>38 フェルパー♂×セレスティア♀(1/3)
10/05/16 11:51:40 myjhHyIX
 この話はGWに入って1日目の話
 恋愛に疎いフェル男と恋するセレ子の話です。

 GWに入ってに1日目の夜―。
 フェル男のクラス全員がジェラートタウンにある宿を貸切での大騒動。
 食い物を食べ尽くし、飲み物を飲み尽くし、挙句の果てには歌いだすものまでいる
 「いよっしゃー!!俺の歌を聴けーー!!」
 真っ先に歌いだすのはバハムーン男のバハ男(職業:アイドル)
 「なにをーー!!僕だって負けないぞーー!!」
 バハ男に負けず歌いだすフェアリー男のフェア男(職業:アイドル)
 「いつもの事ですけどいつも以上に騒がしいですね、そう思いませんか?フェル子さん」
 フェル子に話しかけているセレスティア男のセレ男(職業:魔法使い)
 「そうでござるな…全く少しは落ち着かないものか…」
 フェル男と同じ職業のフェルパーの女の子がまるで当たり前のように言う、名はフェル子(職業:剣士)
 「これは、ここの主人は哀れになってくる気がするな…」
 「せやな…こら明日は廃墟になる恐れがあるで…」
 そういいながら、残っていたジュースを飲み干し、おかわりしようとすると…
 「おい、大変だ!ディア男とディア子とドワ男とノム男が乱闘を始めたぞ!!」
 ヒュム男がそう言って、外を見てみると確かに4人が乱闘している。しかし何故外でやる…
 ドワ男の突撃に対してディアボロスの女の子のディア子(職業:人形遣い)の魔法壁で跳ね返される。
 ディアボロスの男の子のディア男(職業:死霊使い)の死霊攻撃に対して、ノム男の軽いフットワークでかわす。
 「近所迷惑で訴えられそうやな…わいら」
 「そうならない事を祈ろう…」
 そう言いつつ、さっきの場所まで戻ろうとすると
 「あれ?セレ子はん…寝てはるな…」
 「ヒュム子まで寝てるな」
 セレ子とヒュム子のいるテーブルを見ると、寝息を立てて熟睡しているセレ子とヒュム子の姿があった
 「2人とも疲れたんかいな…よー寝てられるわ」
 「あれ?セレ子お姉ちゃん寝ちゃってるよ~?」
 「ヒュム子さんまで…2人ともちょうどよかったですわ」
 「ん?なんや」「なんだ?」
 「お二人を部屋まで運んでくださらないかしら?セレ子さんはフェル男さん、ヒュム子さんはエル男にお願いしますわ」
 「わかった」
 そういって、エル男はヒュム子を抱いて2階にある部屋に向かっていった
 一方フェル男はまだ実行してなく…
 「わいがセレ子はんをでっか!?」
 「逆というわけにはいかないでしょう?」
 「そらそやけど…はいはい、わかりやしたしっかり寝かせてあげへんとな…」
 「ついでに襲っちゃえ~!!」 
 「なんでそうなるんや!?」
 この2人もバハ子やノム子のようにいうなぁと思いつつセレ子をお姫様抱っこの形で2階へと上がっていった。

300:>>38 フェルパー♂×セレスティア♀(2/3)
10/05/16 11:52:53 myjhHyIX
 「これでよし…っと」
 宿屋の布団にセレ子を寝かせ、フェル男は肩を回す
 下ではまだ宴会騒ぎ。特にバハ男とフェア男の歌声にアンコール!やブーブーが聞こえ
 外ではまだ、4人の乱闘が続いている。
 「しっかし、あん時はちゃんと見れへんかったけど…」
 今のフェル男にとっては、この騒ぎはどうでもいい事だが…
 「ちゃんと見ると…わいも春が来たんかなと思ってまうわ…」
 そう彼は彼女はいない。これまではずっと一人身だったのだ。
 あの事件以降のバレンタインで実は彼女は出来ていた。彼には自覚がないのだが…
 しかしフェル男とセレ子の進展はフェル男の恋に関して疎いせいで、あまり進展なし。
 あったとすればホワイトデーの彼女の見舞いぐらいか。
 しかし、クラ子の先程…
 (ついでに襲っちゃえ~!!) 
 の無茶苦茶な言葉が、ぐるぐると頭をループする。
 (襲うんか…?いやだめやろ…いくらなんでもいきなり襲うってのは…)
 正直フェル男も少しセレ子を気になり始めていた。同じ戦士系のせいか?
 しかし、フェル男とセレ子のパーティーは別々。別々というのが嘆かわしい。
 「くだらん事考えてもた…続きやりますか…」
 これ以上変な事考えてると本当にセレ子に襲いかねない…
 襲いかねないように、一刻も外に出ようと歩き出そうとするが…
 「ん・・・う~ん」
 なのに彼女は絶妙なタイミングで眼を覚ます。
 「ん?」
 「あれ?フェル男さん…?如何して私布団の上に…」
 「よお、起きはったか」
 「もしかして…私寝てました?」
 「ああ。下じゃまだ宴会や」
 そこまで喋ってから、彼は回れ右で振り向く。
 眠気眼を向ける彼女は、さらに可愛らしく映った。
 「あっと…じゃ、わい戻るから」
 「あ、あの、行っちゃうんですか?」
 「ん?」
 「えと…一人じゃ寂しいんです…」
 「……へ?」

301:>>38 フェルパー♂×セレスティア♀(3/3)
10/05/16 11:54:00 myjhHyIX
 引き止められたフェル男は、まだこの部屋にいたが
 (えっと、わい…どないしたらええんやろ?)
 恋愛に関して疎いフェル男にはどうしたらいいかわからない…
 ホワイトデーの時は夕方で看病&バレンタインデーのお返しだったが
 今はなにもなく、しかも夜もふけた深夜である。
 (多分エル男やったら、ヒュム子を襲ってるんやろな…)
 しかしエル男とヒュム子の声は聞こえない、その様子だとエル男もヒュム男と同じ状況だろう
 「あの…」
 「あ、ああ!なんや!?」
 沈黙を破ったのはセレ子の方だった。
 「さっき…フェル男さんは何を考えてたのですか…?」
 「へ!?(まさか、わいがセレ子はんを襲おうとした事を聞かれてた!?)」
 フェル男は一瞬驚きはしたものの
 「い、いや何、くだらん事や…気にせんでええ…」
 「そうですか…でもこの状況だと…男性は襲うとなんかの本に書いてあったので…」
 「い!!??」
 「襲われるのは嫌です…でも相手がフェル男さんなら、私襲われてもいいです…」
 「い、いや…そんな事せーへんから…という保障はあらへんけど…」
 「それじゃあ、私待ってます…いつかあなたに襲いに来る事を…」
 「いやいやいやそれじゃあ、わいが変態みたいやで!?」
 そういう会話しつつ、夜も更けていく…
 フェル男とセレ子の恋まではまだまだ遠い…

 一方、宴会場では…
 「何も声がない…フェル男さん、失敗しましたね…」
 「いやいや、恋はまだ始まったばかり、これからも見守っていこうじゃないか」
 「いつのまに、ノム子さんまで加わってるの…?」
 そう、今回の企みもノム子。エル子とクラ子まで混じっての計画。
 「俺の歌を聴けーーー!!」
 「うるさいですわ!!」
 「ふごっ!?」
 また、別の話…。

302:名無しさん@ピンキー
10/05/16 11:56:02 myjhHyIX
どうも>>38の者です。前回は流石にgdgd過ぎました…
フェル男とセレ子の後の展開はどうするか…
その時はその時でいいや(なげやり気味)

今日はこの辺で失礼します~。

303:名無しさん@ピンキー
10/05/17 17:46:54 H2uZEOSs
方言キャラはいいんだけどさ。いろいろ妄想膨らむけどさ。実際新しい扉が開きそうなくらいなんだけど。
伺いたいのだがウプ主(で合ってる?)は一人称が“わい”のフェルパーの絡みを見て胸がときめくのか?

304:名無しさん@ピンキー
10/05/17 20:32:41 0k7s4F7x
>>297
GJ!フェル子がんにんに言うのがすごくかわいい
それにしても8スレ目終盤にして、とうとうフェア男に春が来たw

>>302
登場人物が多いからなのか、どれが誰のセリフかわかりづらいかも
さあつべこべ言わずに続きを書くんだ!全力で楽しみにしてる


規制のせいで本スレにもキャラスレにも書き込めない
アスティもカテリーナもGJ先生すらも仲間にならない2Gなんて…

305:1
10/05/17 21:39:17 SkZu5BKr
ただいま458kb使ってます。残り50kb切ってしまったようなので、
御用とお急ぎの無い方は、次スレの用意をお願いします。

ちなみに私は「このホストでは云々」でした。
お役に立てず申し訳ありません。

306:名無しさん@ピンキー
10/05/17 22:42:27 cJMGBDYR
>>38の者です。今回は質問に答えるタイムです。
>>305は質問とは関係ありません。

>>303
うーん?おかしいですかね…?1人称がわいのフェルパーは…?
女フェルパーにやらせてもおかしく感じますし…男フェルパーが適してると思ったんですよ。
なにか変えたほうがいいですかね?

>>304
キャラがわかりにくくてすみません。
ほとんどは出番があまりないキャラなんですが…
登場キャラを絞ったほうがいいですかね?

>>305
ありゃ?もう少ないのか?新しいスレじゃ8スレ>>38と名乗るか…

307:名無しさん@ピンキー
10/05/18 00:32:37 xw5jEOQn
立ててみる

308:名無しさん@ピンキー
10/05/18 00:35:29 xw5jEOQn
立ててきた

【ととモノ。】剣と魔法と学園モノ。9【エロパロ】
スレリンク(eroparo板)


309:名無しさん@ピンキー
10/05/18 01:03:13 UGSJPkdb
>>38さんがイケルんならアリ。俺が悪い。
ただ関西弁はグロンギ語なんかと違って実際に使ってる人のいる言語だって事は伝えたい。
例えば“ウチ”って言う女の子じゃダメなのか?
>>38さんの出身地がどこか知らないけどそこの方言では?

不慣れな言葉使ってそのせいでストーリーの本質と関係ない部分に違和感持たれんのは損だと思う。

310:名無しさん@ピンキー
10/05/18 03:26:11 xw5jEOQn
エルフはドワーフ語が嫌いって設定あるし
方言ドワーフを「田舎臭い」とか言って罵るエルフとか面白そうかも。
・・・ちょっとほとばしってきた。>>38がいいって言ってくれたらこれで書いてみたい。

311:名無しさん@ピンキー
10/05/18 07:51:18 T2csWRWU
好みは人それぞれだろ
好みに合わなかったらそこだけ脳内変換するのが吉

>>308
乙!

312:マジック・ウォー(1/4)
10/05/19 19:46:33 9xxdrWR1
次スレの>>2です。こちらの埋め立て用に、次スレ2以降の続編を投下します。

初夏のけだるい昼下がり...

 ノームはフェルパーとの待ち合わせ場所である食堂へ急いでいた。
(はぁ、はぁ、フェルパーさん、いつも時間前に来てるから急がないと。待たせちゃいけない..)
ところが渡り廊下を抜け、食堂へ曲がる角を回った瞬間何者かに殴られ、気を失ってしまった。
「ぐわ!!」
不意をつかれ、相手を確認する間もなくばったり倒れるノーム。
「..悪いな、ノーム。少しの間だけおねんねしててくれよ...」

 目を覚ますと、自分が実験室の柱に縛られていることに気がついた。
「う、うーん..」
「気がつきましたか、ノーム君」
「..ヴェーゼ先生にガレノス先生..それにお前!!」
「すまん、ノーム。これも依頼された仕事なんだ。依頼主が依頼主だから断れなくて..」
目の前にはヴェーゼ先生、ガレノス先生、そして両手を合わせて苦笑いするノームのクラスメイトが
並んでいた。
「何をするつもりですか?僕は何も悪いことはしていない!!」
もがきながら抗議するノーム。
「そう..あなたは何も悪いことはしていない..むしろ良いことをしてくれました。その件で
用があるのです」
 ヴェーゼ先生の言葉の意味を今ひとつ飲み込めないノームにガレノス先生が説明する。
「キシシシ..先日治療したフェルパーさんの件です。あれだけの重傷ならば、いくら生命力に優れている
フェルパーと言えど、動けるようになるまで2-3週間はかかります。しかしあの子は1週間で通常の練習に
復帰できるほど回復してしまいました。その原因について、あなたは何か知っているのではありませんか?
キシシシ..」
「その秘密が解明されれば医学の進歩に大きく貢献することになります。さあ、ノーム君..、知っている
ことがあれば話してください。私はこの疑問が気になって夜も眠れないのです」
「そんなこと言われても..僕は特に何も..」
と言いかけたところで、二人きりの保健室でのフェルパーとの秘め事を思い出し、真っ赤になって
言葉を失うノーム。
「..?なにか心当たりがあるようですね。キシシシ..」
「どうしても話してくれないのなら、私たちも相応の手段をとらなければなりません。もし話してくれたのなら
その功績で、次期錬金術科主任教授のポストをお約束しましょう。さあ、ノーム君、早く..」


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