10/02/21 09:44:13 3KpGJzvS
魔王ハイデカルについて、ここで説明しておく。
この世界は剣と魔法の世界なので、いったん都市を離れ野や山に行けば、野生動物と遭遇するのと同じ要領でモンスターが出現する。
そのモンスターの内訳に関しては、ほとんどがいわゆる普通の、クマが大きくなったものやシカが大きくなったもののような
野生生物的なモンスターが主であるけれど、中には特殊な、この世界とは別の、『魔界』という異世界からきた魔物も少なからず存在する。
で、『魔王』ってのは、そういう魔界からやってきた魔物のスーパーハイグレード版というか、もう超絶すごいバージョン。
実質に『王』だからといって『王国』を作って国民を養ったり国債を発行したりはしてるやつばっかりじゃないのだけど、
最低限とにかく自分の『眷属』を配下として従えている。
『眷属』ってのは、自分の親だったり子供や孫ひ孫、いとこやはとこなどの血縁的な種族だったり、何らかの理由で従う、たとえば吸血鬼みたく
血液感染的な要領で増やした仲間なんかの総称ね。
で、魔王ハイデカルは、一月ほど前に出現した魔王。
魔王は何体も存在していて、過去に何度か、ほかの魔王の出現はあったのだけど、ハイデカルはこのときが初めて。
タコのような頭部を持ち、ぬめる吸盤が無数に付いた触手を持つ巨大な魔物。言葉のオトだけを聞けば『巨大ナマモノ』とも聞こえるけれど、
まぁ間違っちゃいない。
コイツが、バカラスタ山の洞窟を根城にして、この世界に侵攻してきた。大小様々な眷属が無数に出てきて、村や町を襲う。
大小様々とは言ったけど、基本みんなタコで、しかし肉食、人を食う。
パールァライス国の兵隊たちも懸命に応戦したが、この眷属たちがかなり強いおかげで、被害が増えるばかり。
この世界でこの魔王の侵攻にあったパールァライス国の国王は、「やべ、このままじゃタコに滅ぼされちゃうじゃん!」とばかりに国の未来を憂い、
魔王を倒すべく精鋭を呼び寄せた。
過去、幾度か魔王を撃退し、若いながらも国を救った英雄。
その四人が、どうやら彼女らのようである。
「おっかしいなぁ、ちゃんと麓の村のひとに聞いたんだけどなぁ。」
勇者パルメさんが、首を傾げて言う。
「俺たち、バラカスタ目指して歩いてたのに、なんで隣の山に来ちまったんだろう?」
戦士ゴーダさんも腕を組んで呟く。
「エダムさんが、絶対こっちだーーーっって自信満々で進んでいくから、もう。」
あきれたように言う神官チェダー。
「って、あたしのせい? 村人が『この先が魔王の洞窟だ』っつーから、言われたまままっすぐ進んできたのよ!! 悪いのは村人だーーーーっ!」
責任を押しつけられ、それをさらにトスして村人に転嫁する魔法使いエダム。
「この先、ってつまり、この山を越えた隣の山のことを言ってたんだねぇ。」
やれやれ、といった風に話をまとめた勇者のパルメさん。どうやら彼女がリーダーのようだ。
488:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 09:45:58 3KpGJzvS
「とにかく、勘違いで押し込んじゃってごめんなさい。」
そして彼女は、男に向かってぺこりと頭を下げた。
押し込み強盗まがいの行為で安眠を妨害されて、とにかくかなり怒りまくっていた男であるが、可愛い女の子が素直に謝罪してきたのであれば、
割とあっさり怒りも萎む。
「とにかく、勘違いもいいとこだ。」
はぁ、と大きなため息ひとつ。
男は冴えない表情で、寝起きの髪をがりがり掻きながら言った。
「ちなみに、俺の名前はラグニル、ここでいろいろな研究をしている者だ。」
すいません、と何度目かの謝罪をした勇者ちゃんのパルメ。どうやらなかなかの苦労人のようだ。
「で、あんたはどうしてこんな山奥に住んでるんだい?」
ゴーダが、不躾に部屋の中を眺めながら訪ねてきた。
この部屋には今、三つほどのランタンが灯されていて、うすぼんやりと部屋の中央を照らす。そこそこの広さがあり、その程度の明かりでは
この洞窟の一室の全容はつかめないようだ。
「俺はここで、古い書物の研究とか、いろいろな実験をしてるんだ。できるだけ人里から離れたほうが集中できるからね。」
ちらり、と男が振り返った部屋の奥には、本のぎっしり詰まった本棚が、いくつも並べられていた。
「へぇ、どんな書物なのかしら。」
書物と聞くと興味が湧いてきたビブリオマニアの魔法使いエダム。ランタン片手に本棚の方に歩いていった。
「・・・・・・うわっ! 『英文の書』だっ! 『有名祭祠書』も! 『恋のおまじないネクロノミコン』まで!? しかも全部原本ときた!!」
その稀書や奇書などのラインナップがよっぽど彼女の琴線に触れたらしく、きゃーとかひぇーとかの奇声をあげながら本棚を漁り始めた。
そして戻ってきた彼女、ラグニルの手を取って、
「あなたが神かっ!?」
瞳をキラキラさせながらすり寄ってきた。
「魔王退治なんか後回しにして、あたしここに残る!」
とか言い出したエダムをなだめ、なんとか我慢させた勇者たち。
それにしても、男の蔵書や研究に興味はあったみたいで、パルメが恐縮しながら訊ねてきた。
「ラグニルさん、あの蔵書の中に、魔王について書かれたものとかはありませんか?
もし、魔王ハイデカルとの戦いに有効な策とか術があったら、教えてほしいんです。」
すると彼は、しばらく考えたあと、
489:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 09:47:33 3KpGJzvS
「ハイデカルには、特別有効な魔術とかはないみたいだよ。もう、正面から力押しで、がつんがつん削っていくしかないな。」
そして、彼女たちを引き連れて、本棚の奥にあるテーブルまでやってきた。そこには所狭しといろいろな材料が並び、
さまざまな薬品実験が行われていたことがわかる。
「だから、弱点とかではないけれど、君らの力を増すための手伝いだったらできるかもな。」
そこでラグニルは、テーブル側の薬棚を見繕って、いくつかの薬品を取り出した。
「この丸薬は、丹田を活性化させて生体エネルギーを強化するから、打撃力とかダメージ耐性が上がったりする効果が期待できるよ。
それとこの粉薬は、あらかじめ服用しておくことで精神を鋭敏化出来るから、戦闘中の集中力があがる。魔術師向きだね。
ほかには、この塗り薬。これを胸元に塗っておくと、気化した成分を鼻から吸い込んで風邪が治る。」
そんな感じでラグニルが譲ってくれる薬やアイテムを、彼女たちはありがたく受け取った。
試しに少量、使ってみた薬の効き目がすばらしく、街で仕入れてきた市販のアイテムよりも効果が期待できる特上の代物ばかりで、
四人の女たちは大変感謝した。
「とてもご親切にしていただいて、ありがとうございます。」
ぺこーりと深く頭を下げる勇者ちゃん。
ほか一同も併せて礼をする。
「出来れば、お礼とかさせていただきたいところですが、私たちはこれからハイデカルを倒しにいかなければいけないので、あまり持ち合わせも、
差し上げるものもないのです。」
なかでも神官のチェダーさんが、申し訳なさそうに申し上げてきた。
まぁなんつーか、カネもいらんモノもいらん、君ら綺麗どころといろいろエッチなことさせてくれれば十分だよな、とかふつうの男だったら思うところだけど、
その辺でちょいふつうからハズレたラグニルは、
「じゃあ、美味いもんでもおごってもらおうか。君らがハイデカルを倒したあとにさ。」
などとまたキザなことを言う。
だが未練が全くないのかと言えばそうではないらしく、5秒後には後悔し、前金でチューの一つでも、とか考えたようだが、無様なところを見せる前に思いとどまった。
「なぁ、あれ、なんだ?」
ゴーダが何かを見つけたようだ。
部屋の奥、複雑な配管の蒸留器を見つけた。
加熱された液体が少しずつ蒸発しガラス管を通って別のところに溜められたり、濾過されたり、上澄みと沈殿に分離されたり、
いろいろな方法で特定成分だけを取り出せる仕組みになっている。
そしてその装置、ただいま現在何かの液体を精製中のようだ。
最初はなんだか赤い色をした液体だったが、それがだんだん色を抜かれて、どんどん透明になっていく感じだ。
「ああ、これは、『人体強化薬』の試作品だ。」
男の何気ない言葉に、女たちは驚きで応える。
「人体強化って、どんな風に?」
勇者ちゃんがおそるおそる聞いてきた。その、期待にわくわくするような声に、ラグニルはつい調子に乗る。
蒸留器のそばにある、精製済みの液体が入った小瓶をかざしながら解説を始めた。
490:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 09:48:28 3KpGJzvS
「これは、服用するだけで、けた違いに戦闘力があがる。」
おおーっ、と乙女たちから感嘆の声が上がった。
「頭で敵を倒すビジョンを描いたら、そのときにはもうすでに相手を倒してしまっているくらい、すごい。
さすがにこんな無茶な攻撃はできんだろう、とかの思春期の子供が妄想するような特殊能力が発現するくらい、すごい。
エターナルフォーストルネード、相手は死ぬ、くらいすごい。」
乙女たちの感嘆もトーンダウン。
一気に胡散臭くなった。
その辺、本人も自覚しているらしく、最後は自嘲的に締めた。
「・・・・・・予定なんだけどね、まだ最後の検査もしてないし、あくまでも『試作品』だよ。
いまのまんまで服用したら、もしかしたら命に関わる副作用があるかもしれないしね。」
そして小瓶を軽く振ってみる。中身が少量すぎて、ちゃぷんだとかの水音もない。
「それに、用法も目的も特別な薬だから、気軽に譲れるもんでもない。
残念だけど、君たちには勧められないなぁ。」
「ふうん、たしかに、そういう事情があるんだったら気軽に薬を譲ってくれとは言えないしなぁ、残念。」
ゴーダが残念そうに言った。
「ご迷惑をおかけした上に、お力まで貸していただいて、ありがとうございました。」
ぺこりん、と勇者さんが頭を下げた。
「じゃあな、がんばって。もう場所を間違えるなよ?!」
ラグニルが手を振ってお見送り。
そして、勇者様一行は、目的の魔王ハイデカルが棲むバラカスタ山の洞窟にたどり着いた。
さぁ、いよいよ魔王と対面だ。
魔王ハイデカルの姿を簡単に表現すると、巨大なタコである。
大きさで言うと、おおよそ全高8メートル、足の先まで合わせると20メートルくらい。
ここは洞窟の奥だが、特に水辺というわけでもないのでいわば彼は丘タコといったところだろうか。
タコの外見とは裏腹に知能は高く、頭の中では魔王らしくいろいろと悪辣なことを考えているのだが、
残念ながら発声器官が人間のものと異なるため、人語としてコミュニケーションすることができない。
491:名無しさん@ピンキー
10/02/21 09:48:44 2TRpPVoP
wktk
492:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 09:49:07 3KpGJzvS
彼の配下もまたタコで、人間の大きさくらいある大型のものから、犬猫くらいの大きさの標準な雑兵まで、とにかくタコばかりである。
こいつらはまぁ、強さはそこそこであり、勇者たち一行であれば倒すのにさほど力は使わない。確かに数が多いことが一番の難点で、
いかにそこをやりくりするかが問題。
そういう、雑魚にばかりかまけている訳にはいかない。
問題はもちろん、魔王の強さだ。
見た目はタコだがそこはさすがに魔王。
突いても切っても、ぬるぬるとそれを受け流す。
木火土金水、様々な魔法もたいした打撃にならない。
そしてハイデカルが誇る八本の腕はすさまじいスピードと質量で振り回され、恐ろしい攻撃力で勇者たちを苦しめた。
口から吐き出す墨は彼女らの視力を奪い、ついでとばかりに毒と腐食と呪いを与えていくもんだから、これがまたイヤらしくじわじわ効いてくる。
パルメたち勇者パーティは、間違いなく強い。
勇者の称号は伊達ではないし、装備にしてもおそらく彼女らが持ち得る最高のものを持っている。
術者である神官と魔法使いも、もちろん大陸最強クラスの二人だ。
しかしそれでも苦戦する、さすがは魔王だ。
見た目はタコでも。
どうやら、今まで彼女らが戦ったことのある魔王よりも、格段に強い。
戦いが始まってから、かなりの時間が経過した。
後から後から湧いてくる魔王の眷属たちを倒しつつ、魔王に攻撃を加えていく。
ちまちまと戦士たちが魔王の身体を削り、魔王のすさまじい攻撃を神官の魔法が軽減する。
強大な破壊力を誇る戦士の大剣が攻撃しても、タコの皮をちょい削る程度にしか効かないし、勇者の宝剣だって、
魔を退けるホーリーパワーがタコ墨の威力を軽減できるという程度で、あとは鮫皮ヤスリ程度にもタコの身を削れないのだ。
二人はヘコみそうになりながらもなんとか攻撃を続けた。
魔法使いの攻撃は雑魚にはてきめん効果があるもののさすがに魔王にはたいして威力が通らず、彼女のプライドを打ち壊すし、
神官の防御にしてもたいして効かないものだから、危うく信仰を失いかけるところだった。
戦況はかなり不利。
それでもなんとか頑張った。
しかし実際はジリ貧で、長引けば長引くほど勇者たちが不利になっていく。
とうとう魔法使いが倒れ、神官が倒れ、戦士が、そして勇者が倒れた。
「タコーーーーーーーーーーーー!!」
魔王ハイデカルが勝利の雄叫び。
勇者一行は倒れたが、彼女らもよくやった。
なにせ、八本の足のうち、なんとか一本を切り落とせたのだから。
493:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 09:50:34 3KpGJzvS
「ちくしょう、ここまでか・・・。」
ゴーダが、懸命に立ち上がろうと足掻いたが、力つきて崩れ落ちた。
「魔王ハイデカル・・・、強い・・・・・・。」
パルメが悔しそうに。
四人のパーティーはみな力尽き、その命も風前の灯火であった。
「ラグニルさんとの約束、果たせそうにありませんね・・・・・・。」
チェダーが寂しそうに呟く。その言葉に、うつ伏せで倒れていたエダムが、
「こんなことなら、もう少しあの人の部屋で、本を読んでおきたかった・・・。」
と、最後の心残りを口にした。
「ラグニルさんには、本当に感謝しないと。」
パルメが言う。
「本当に、あのひとの薬は効果抜群でした。」
勇者の彼女が言うとおり、ラグニルが与えた薬はかなりの効果でもって彼女らを助けた。
丹田が活性化されることで攻撃に勢いが加わった。
精神が鋭敏化されることで呪文の深淵までが顕在化し、威力の底上げが成された。
強化された打撃力でなければ通らなかった攻撃も多々ある。底上げがなければ無駄に散っていたであろう魔法力もある。
魔王の呪いでかかる重度の風邪は高熱を生じさせて戦闘の集中力を奪い、身体の動きを鈍らせるが、
それもラグニルから与えられた薬を胸元に塗っていたおかげであっさり治った。
なにより、彼女ら自身、自分たちの能力が普段よりも格段に向上するのを高いレベルで自覚できた。
事実として魔王の足を一本落とせたのは、彼からもらった薬のおかげといっても過言ではない。
「もしも、あの『人体強化薬』をもらえていたら、もうちょっと頑張れたかもしれないね・・・・・・。」
パルメが、残念とか悔しいとかそういう気持ちでなく、おどけるような言葉を発した。
他愛のない『もしも話』。
命潰えようとしている今だからこそ、まるでそれすらも仲間と話す馬鹿話のように語る。
しかし。
「あのさ、『それ』、今ここにあるんだよ。」
ゴーダが、ばつが悪そうに言った。
「実はさ、あの話の後、こっそりくすねて来ちまったんだ。」
そして、ポケットの中から例の小瓶を一本、取り出した。戦いの衝撃の中、なぜか少しの亀裂も入ることもなく、
一滴も中身がこぼれていない不思議な小瓶だ。その中身は、無色透明な液体が少々。
「このままじゃどうせ俺たちは死ぬ。だったら駄目元で、この試作品にかけてみないか?」
494:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 09:56:58 3KpGJzvS
彼と知り合ったのもほんの少し前、わずかの時間。果たしてそこまで信用できる人物なのか。
そんなことを考えてもみるが、それでも彼の技術に関しては間違いなく信用できる。
ゴーダが言うとおり、彼女らの命も後わずかで消え去ってしまう。
だったら、たとえその試作品が命にかかわる欠陥を持っていたとしても、あまり関係がない。
どうせ死ぬなら、魔王に一矢報いてからだ。
それができるなら、その後のことはどうなってもかまわない。
四人の女たちは、覚悟を決めた。
ゆっくりと。
小瓶に指をかける。
こぽん、と小瓶の栓を抜く。
小指の先程度しかない少量の液体。
それを、ちびちびと舐めるように廻し飲んだ。
はじめは、舌先がじんわりと温かくなるような感じ。
しだいに唾が湧き、分け合った微量の液体がそれに溶ける。
そしてその液体は、こくりと嚥下され、唾液とともに胃の腑へ落ちる。
戦闘前にほとんど空になっていた胃の中身、じわりとその液体を吸収した刹那。
彼女たちの身体に、『爆発』が起こった。
間違いなくその液体は、彼女らの肉体が生まれてこの方摂取したことのない、異質の成分。
それは、胃壁から吸収されると同時にその細胞を変質させた。ひとつひとつの細胞が、強い力を持つ。
その細胞の変容は、隣り合う普通の細胞をも巻き込んで、電撃的に伝播し、すさまじいスピードで全身くまなく行き渡った。
熱い熱に苦しみうなされる女たちの全身が朽ちるように乾き、ひび割れたと同時に、ぼろぼろと剥がれる老廃物の下からまっさらな姿が現れた。
「うあああああああああああああああああっっ!! なにこれなにこれーーーーーーーーっ!!」戸惑いすら力強く、有り余るエネルギーと共にパルメが蘇る。
「あはははははははははははははははっ! スゲーーーーーーーーーー!!」まるで泥の中から生まれ変わったようなゴーダが、テンションの高い笑いと共に出現。
「きゃあああああああああああ!! 熱いーーーーーーっっ!!」脱皮の残り皮を剥がすように肌を掻き、その下に現れたのは新たな、神官チェダーの真っ白く艶めかしい肌。
「だめぇーーーーーーーーーー!! 漏れちゃうーーーーっっ!!」漏れるのは魔法力。身体の奥底から湧き上がる魔力が体内に収まりきらず激しく漏れ出し、エダムを業火が包み込む。
魔法使いエダムの身体から噴出した魔法力は業火となって、本人はおろか四人まとめて燃え広がった。しかし、その炎が焼き尽くすのは四人の体に残る古い細胞、そして衣服のみ。
新しく生まれ変わった細胞は、少しのダメージも受けていない。むしろ、体表、体内の余分な細胞をまとめて焼き尽くしたおかげで、きれいさっぱりリフレッシュ。肌もつやつや、アニメ塗り。
装備も、勇者の宝剣と盾、そして魔法で鍛えた戦士の大剣は残ったが、それ以外の装備は跡形なく焼けて灰となってしまった。神官の衣服やロッド、魔法使いのローブにワンドなども
魔法の加護を受けていたのだが、二人のオーバースペックな魔法力に耐え切れず、自壊してしまったようだ。
つまり、四人は真っ裸。
495:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 09:58:58 3KpGJzvS
「すごい、すごすぎるよ、これ。」
興奮を抑えた声で言うパルメは、全裸のまま立ち上がり宝剣を構えた。可憐な少女の裸体は、クリスタルの宝剣とあいまって神秘的な美しさだ。
その身には、先ほどまでの戦いで受けたダメージなど少しも残っていない。戦士らしからぬ細い四肢にもエネルギーが満ちていて、
今にも踊りだしてしまいそうな生命の輝きがあった。
「なんてーか、体中から力があふれて、どうしようもない感じだ。うおおおっ、漲ってきた!!」
いまだ興奮収まらぬ戦士ゴーダは、大剣を軽々と、おもちゃを扱うように振り回した。もちろん彼女も素っ裸。
見事な釣鐘型のおっぱいを隠すことなく、堂々としたものだ。
褐色の肌、長身の彼女は、もちろん男のような筋肉ムキムキではなく、しなやかなバネに優れた瞬発パワー型の肉体を持っている。
今の彼女は、さらにそのパワーに磨きがかかっているようだ。
「まるで、生まれ変わったみたいです!」
深い感嘆とともに、大きなおっぱいの人が言う。当然彼女も真っ裸。はしゃぐように身体を揺らすとそれに弾みをつけてブルンブルンと大きく揺れる巨乳。
新しく生まれ変わり、そのでかい乳房も一回り大きくなったような錯覚すらある。巨大な胸の人、チェダーからは、弾けるような生命のエネルギーが満ち溢れていた。
なんだか「おっぱいおっぱい」しか言ってないような気がするが、聖職者の衣服も焼けてホーリーシンボルすら砕けてしまった彼女、神官といっても説得力がない。
みたままで言えば、巨乳美少女、としか。
「身体の奥から魔力があふれてくる!! 今までみみっちく節約してたのが馬鹿みたい、とにかく無尽蔵!!!」
生まれたままの姿となった魔法使いの美少女、エダムが言う。魔法使いの美少女、略して魔法少女。生まれたままの姿であるからして、
当然その胸も肌も女の子の大事なところも、隠すものがなく堂々としている。
潔いまでに膨らみのない胸。ない乳は振れない、文句があるか、とばかりの威風堂々の貧乳。
四人の衣服を焼いた業火の火元である彼女は当然、身につけていたものはすべて焼けてしまっている。ワンドもローブも、当然下着なんかも。
しかしいまだにあふれる魔法力が彼女の周りで、火となり水となり、あるいは雷、風となって暴れまわり、そして彼女自身の足元の土をみしみしと揺らす。
装備がなくても間違えようがない、新たなパワーを得た魔法使いである。
とにかく四人とも一糸纏わぬ全裸姿なのであるが、恥ずかしいなどという羞恥心はどうにも無縁らしい。
おそらく、周囲に異性がいないこと、そして体中の細胞が一新して、生まれ変わったような高揚感に、裸をさらしていることなどたいして恥ずかしいとも思わないのだろう。
「もう、今なら誰にも負けないぜ!」
戦士がいう。
「じゃあ、やってしまいますか。」
巨乳の人(神官)がいう。
「ぱーっと派手に!」
魔法使いがいう。
三人の女たちの言葉に、残る一人、勇者の少女が力強く頷いた。
「それじゃあさっさと、ハイデカルを倒してしまいましょう!」
そうして四人が振り返った先には、足を一本失った巨大なタコがいた。
今の四人にとってそれは、もうすでに魔王ではなく、ただの丘タコでしかなかった。
496:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:00:10 3KpGJzvS
先ほど四人を清めた業火によって、ほとんど大方の眷属は焼けてしまったらしく、炭のひとつも残っていない。
広い洞窟の空間には、わずかに生き残った眷族の大タコと、魔王ハイデカル、そして四人の女だけである。
「邪魔ね。」
そういって全裸の魔法少女がウィンクひとつ。魔術媒体なしで出現させた炎が洞窟内に充満し、あっという間に残った眷属たちを消滅させた。
「さて、どう料理してやろうか?」
「やはり、タコさんだったらタコ焼きがいいんじゃないですか?」
褐色の女戦士と、おっぱいの人の会話。なんかずれてるね。
そのズレた会話に、魔法少女も加わった。
「んじゃあ、いっちょ派手に燃やしますか。」
そんなに燃やすのが好きか魔法使い。よっぽど炎の魔法がお気に入りのようだ。
彼女はきっと、魔法使いにならなかったら放火魔になっていたに違いない。
「まってよ、みんな!」
なんだかどんどんずれていってしまいそうになる一同の会話に、待ったの声。パーティの良心、勇者のパルメさんがみんなを制した。
「ただ燃やしただけじゃ、それはタコ焼じゃなくて焼きダコよ!」
すでに良心も崩壊していた。
「とにかくまずは、ちゃんと茹でないと。チェダーさん、塩を用意してあれの『ぬめり』を取っちゃおう。」
あいあいさ~と気軽に答えた巨乳の人、巨大タコに向かって神聖魔法をかけた。
神の忠告を無視して、見たらあかんといわれてたものをみて塩の柱になったという、あれだ。
呪文詠唱と同時に、タコの表面の滑り、そしてその周りを覆っていた邪気が一気に塩になった。
そして塩はぼろぼろと剥がれ落ち、タコのぬめりが一気に取れた。
「次はエダムさん、ハイデカルを熱湯につけて茹でましょう。」
らーさー、とこれまた気楽に答えた魔法少女の人が、火と水の魔法を合成していとも簡単に熱湯を作り出した。
この、タコの根城の広い洞窟をあっさり熱湯で満たし、ぐつぐつと茹で上げること数分間。
もちろん、その熱湯の中には術者本人を含む四人の女もいるわけだが、タコも茹で上がる温度の湯に浸かっていても、なんともない。
気楽に拝借してきた神の加護で、水中呼吸だって何とかなってる模様。
「よし、次はタコの身をぶつ切りにしましょう。」
茹でていた熱湯が引いて、真っ赤になった魔王ハイデカル。あとはそれを、戦士がぶつ切りにしていく。
「あははははっ! おもしれー!!」
戦士ゴーダが、巨大な鉈のような剣を振って魔王の足をぶつ切りにしていく。
つい先ほどまではあんなに苦労して一本の足を落としたというのに、今は軽々とぶつぶつぶつ切りに。
「じゃあ、私は頭のほうを裂きましょうか。」
そういって勇者パルメさんが水晶の宝剣に闘気を込める。
すると唐突に、ぱりん、と剣が割れた。
497:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:01:42 3KpGJzvS
「あらら、剣が保たなかったみたい。」
一応かなりレアで強力な、由緒正しく威力も折り紙付きな伝説の聖剣だったのだけど、折れて砕けてしまってはもう使えない。
柄だけになった聖剣を、ぽいす、と捨てる。しかたがないか、と簡単にあきらめて気持ちを切り替えた勇者パルメさんは、しゅっと手刀を一振り、
闘気を集めてオーラブレードをこさえてしまった。
そして、タコの目の上は頭じゃなくてお腹です、そこをざくざくと切り裂き始めた。
「あー、しまった。茹で上げる前にワタ(内蔵)を先に取り出しておくんだった。失敗したなぁー。」
魔王の腹からワタを取り出しながら、しまったしまったと後悔する勇者さん。
「で、これからどうしよう?」
華奢な裸体で、腕を組むパルメさん。
タコはバラされた。
しかしこの段になって、小麦粉やら卵やらダシ汁、タコ焼きを作る生地の材料がないことに気が付いた。
出来ればネギや天かす、青ノリかつお節も欲しいところ。
いやまて、それよりも、この魔王サイズのタコで作るタコ焼きプレート通称タコプレがないのでは?
「まぁいっか、タコ焼きはやめて、焼きダコにしよう。」
それで納得したらしい。
うぃー、と了承した魔法少女のエダムちゃんが、最後にさっと強火で焼いて、焼きダコの出来上がり。
表面に焼き目が入り、茹でられた身が締まって美味しそう。醤油なんかをかけて焼くと、酒の肴にもいいよね。
この状況、なんというか、「タコ焼きを作るつもりで焼きダコを作ったら、いつの間にか魔王を倒していた」みたいな感じ。
タコと言えば女体に絡む吸盤触手だ、とかそういうシチュを期待していた向きには、申し訳ないとしか言いようがない。
「任務完了! 寿司でも喰いいっか!」
かなりハイになっている勇者様一行。
四人が、何も身につけないすっぽんぽんのまま、その洞窟をあとにしようとしたとき。
どさり。
「あ、あれ?」
パルメが倒れた。
足が縺れた絡まった、とか、何かに躓いた、とかそういう倒れ方ではなく、全身の力が抜けて、崩れ落ちた。
どさり、どさり。
「な、なんじゃこりゃあ・・・。」
「え、ええええ・・・・・・。」
498:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:02:41 3KpGJzvS
先に倒れたパルメを不審に思うまもなく、続けてゴーダとチェダーが倒れた。
二人とも、いったい何が起こったのかわからない、驚きと不安の表情で。
どさり。
そして最後、エダムが倒れた。
誰も立ち上がれず、手足ももがけず、ただかろうじて言葉を話す程度に唇は動く。
「あ、あはは、これってもしかして、あの薬の副作用?」
四人が最後に飲んだあの薬、造り主のラグニル曰く『試作品』。
命に関わる副作用があるかもしれないと言われ、四人もそれを覚悟して飲んだ薬だったが、そのパワーに興奮して、
それら都合の悪い部分はすっかり忘れていたようだ。
「体中の力が、ものすごい勢いで消えていきますね。」
「空っぽどころか、底が抜けて、みんな落ちていっちゃうって感じ。」
「てことは、俺たちここで死んじまうのか・・・。」
「まぁ、元々駄目元だったし、魔王は倒せたから良しとしますか。」
パルメが、ハハハと乾いた声で笑いながら、そういった。
もうあとは、死を待つのみ。
だが、四人は割と、心穏やかであった。
使命を果たした達成感や、先ほどまでの全能感、そういった昂揚の余韻がまだ残っているからだろう。
もちろん彼女らは若い身空、これからの人生に未練がないわけではない。
女の子らしく素敵な結婚をして可愛らしいお嫁さんを夢見るものもいれば、自分専用の巨大な図書館を建造する夢、国中を巡礼して1327店の教会を建てる夢、
静かな田舎で一日一組限定の小さな料理店を営む夢といった、それぞれがそれぞれ胸に秘めたり公言したりする夢があった。
「『食堂でんでん虫』とか、そういう店の名前にしようかと思ってるんだけど。」
パルメがそういうと、あはは、と皆が力なく笑う。
臨終間際、叶わぬ夢を肴に最後の会話を楽しんでいるのだ。
しかしそのとき、またまた新たな変化が起こった。
「ひっ!」
びくん、と身体が跳ねた。
四つの裸体が痙攣を始める。
「な、なに、これ・・・!」
痙攣、というよりも、震え。
四人の、死すら楽観した彼女らの心に、しばし忘れていたひとつの感覚が蘇った。
それは、『恐怖』。
499:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:03:43 3KpGJzvS
「な、何か、とてつもなく恐ろしいものが近づいてくる!!」
パルメが、かつて無いほどの恐怖に打ち震え、何かの接近に恐怖した。
一時は魔王すら見下せるほどの高みにいた彼女たちが、それでも経験したことのない恐怖。
ハイデカルなど比較にならない、『恐怖』などという言葉では表現できない、絶望的な感覚。
「あ~あ、やっぱりこうなってたか。」
そこには男がいた。
てくてくと、のんきに歩いてくる男。
「薬瓶が足りないなと気が付いて、まさかと思って来てみれば、案の定。
まったく、忠告を無視するからだよ。」
そして彼、ラグニルは、倒れている四人の側に腰をかけた。
「・・・・・・、あ、あなたは、いったい・・・・・・。」
身体を支配する絶望感に、かろうじて唇を動かすことが出来たパルメが問う。もちろん知りたいのは、その正体だ。
「おぉ、そうか。もう俺がただの人間じゃないって解るんだな。」
自分より強い相手には、その差が開きすぎているとかえってその強さに気が付かないものだ。
普通の人から見ればただのスケベじいさんにしか見えないが、武道の心得を持つものが見れば達人級の老師範だと解る、そんな感じだろうか。
今の彼女らは、先ほど彼と出会った頃に比べて、薬の影響で急激に強くなった。今だからこそ、彼がただ者でないことが解る。
「まぁ、俺の正体なんて、この際どうでもいい。
問題は、これから君らをどうするかだ。」
そういって彼は、じろりと彼女らを一瞥し、
「黙って薬を持ち出した罰だ、しばらくみんなの裸、眺めさせてもらおうかね。」
にやにやとスケベ笑いをうかべて、四人の裸体をじろじろ眺め始めた。
そして、「おおう、やっぱり巨乳ちゃんのおっぱいは壮観だねぇ」とか、「エダムちゃんの貧乳は素晴らしい、これ以上発育しないように呪いでもかけとくか!」とか、
「ゴーダちゃんの褐色おっぱいも、見事なもんだ!」、「パルメちゃんのおっぱいは、特別キレイだねぇ!! もう芸術品の域に達してるよ!!」のような『ちちくらべ』に興じたり。
先ほどまでは素っ裸でもなにも恥ずかしがることなく、平然としていた四人の乙女たちだが、さすがにそのころの高揚感も落ち着いて、
しかも異性にじろじろ観察されてしまえば、羞恥心も盛大に蘇ってくる。
しかも、いくら恥ずかしくとも、手で隠したり身をよじって視線から逃れることも出来ない。
しばらくそんな風に彼女らの裸を堪能したあと、人心地つけたラグニルが言った。
「さて本題の、君らの身体のことだけど。」
深刻、というにはまだ緊張感が足りない彼ではあるが、それでも四人のことを軽く見ているわけではない。彼なりに親身になって、その身のことを考えている。
500:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:05:16 3KpGJzvS
「あの薬、なにせ試作品だから、どういう副作用でこうなったのかとか、俺にもまだ解らん。助けてあげたいのは山々だけど、すぐにと言うわけにはいかないんだよ。」
ううむ、と考え込む彼。だがしばらくして長考をやめた。
「それでも一時しのぎ、でよければ、少しのあいだ延命させてあげることは出来る。
その間に、元に戻る方法を探してあげることは出来るかもしれない。」
そして彼は、パルメ、ゴーダ、チェダー、エダムの四人に、ゆっくりと問いかけた。
「生きたいかい? それともここで、死んでしまうかい?」
ここで唐突に、少々場面転換。
「うにゃーん、ラグニルさまぁ、早くアタシの新しい剣、作ってくれよう~。」
「今、計算中だよ、邪魔すんなって~っ!!」
羊皮紙にかりかりペンを走らせ、ラグニルが複雑な計算式を組み立てていると、背中に褐色の女がすりよってきた。
それを男、ラグニルが邪険に払い、再び計算に没頭した。新たな『魔剣』を一振り、新規に作り出そうというのだ、材質強度や魔力循環比など、
いろいろとバランスを見て計画的に造らないと、またすぐに壊されてしまう。
「はいはいゴーダさん、邪魔しない!」
「ちぇっ、パルメはいいよな、もう自分専用の魔剣を造ってもらってるんだから。」
ラグニルに追い払われたゴーダを、パルメがたしなめる。
このふたり、確かに戦士ゴーダと勇者パルメなのだが、どこかが何か、違っている。
「パルメの魔剣って、もう出来てるんだっけ?」
「いえ、まだ、床下の樽の中に漬け込んであったと思いますよ?」
「私の魔剣を、漬け物みたいに言わないで~っ!!」
パルメが涙目で抗議する相手は、魔法使いのエダムと神官のチェダー。
しかしこの二人も、以前と全く同じではない。
ハイデカルを討伐し、薬の副作用で倒れた四人をラグニルが助けてからおおよそ一年が経過していた。
さて、問題の薬、『人体強化薬』がなんであったか。
一年の時間をあっさり経過させておいてなんだが、やっぱり戻ることにしよう。彼女らの『その後』を、ちょっとだけ見せておきたかっただけなんだ。
では、ちょうど先ほどの続きに時間を戻して、その頃の会話より。
501:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:06:22 3KpGJzvS
ハイデカルの根城である洞窟に散らばる焼きダコは、ラグニルが『処分』した。簡潔に言うと『喰った』わけだが、その光景はここで明かすまい。
「このまま、ここで腐らすには惜しい。作った料理はちゃんと食べてあげることが、食物に対する最大の礼儀だよね。」
彼は、豆を原料とするソースを持ってきていたので、おそらくそれを使ったものと思われる。いいよね、ソイソース。
「君らも、『魔王』を倒したらちゃんと食えよ?」
ラグニルは、爪楊枝で歯の隙をせせりながら、倒れ伏す四人に警告する。
「俺たち『魔物』は、相手を食べることで吸収し、自分の『強さ』にする。覚えておくように。」
なるほど、つまり栄養ってことか。
・・・って、そんなことよりなんか、聞き逃せないこといってますよ、この人!!
「『俺たち』・・・・・・?」
おそるおそる、その言葉に突っ込んだのはエダムさん。
「そう。君らも、いまはとりあえず『魔物』だよ。」
軽く、実に気軽な口調で、ラグニルは答えた。
できればここで四人には、「な、なんだってーーーー!?」とかのリアクションしてほしいところだけど、残念ながら死にかけ寸前、
自由に身体も動かないのでそれもできない。
「・・・・・・な、なん、だって・・・・・・ぇぇーーーーっ・・・。」
おお、ゴーダさんが死力を尽くして突っ込んだ。
そして、その突っ込みに対して、ラグニルが解説を始めた。
「実はあの薬、俺の『眷属』を作りだすためのものだったんだ。
これからいろいろとやるためには、強い部下が必要だからね。
魔物相手じゃ相性が悪いみたいだから、人間で作ることにしたんだ。」
彼の解説をかいつまんで説明すると、こういう感じになる。
あの薬には、魔物である彼、ラグニルの血液が含まれている。
その血を飲んで、受け入れたものは魔物化し、彼の『眷属』となる。
実際、ラグニルの血は強力すぎて扱いが結構難しい。
どうにも特殊すぎて、魔族相手では魔物の遺伝子が反作用して、かなり苦しんだあげく狂い死んでしまうのだ。
他の魔王たちは、同じ魔界の住人であっても眷属化は可能なのに、ラグニルだけがそういう理由でそれをできないでいた。
では、こちらの世界の人間ではどうかというと、これもまた難しい。
魔族の体液は、たいていの場合普通の人間には毒であったり、強酸であったり、麻薬であったりと、有害なことこの上ない。
ラグニル自身、慎重なのでまだ人間に血を与えたことはないが、動物実験では速攻で死なれてしまった。そのあたりの実験結果からすると、
人間相手だってまず間違いなく命が危ない。
502:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:09:01 3KpGJzvS
わざわざあんな大仰な蒸留器を使って精製したりしてるのは、ショックを起こしやすい成分を取り除き、
普通の人間が摂取できるようにマイルドにしているのだそうな。魔族相手のように、根本的に不可能、というわけではないらしいので、
そこに望みをかけているのだ。
「いま、こうやって君らがまだ死んでいないということは、なんとかマイルド化に成功しているみたいだなぁ。」
というわけで、はい、四人とも『魔物』の仲間入り。
「でも、このままだと確実に死んでしまう。」
ラグニルはいった。
彼女たちの身体を占めるのは、新しい魔物としての細胞。だがそれは、まだまだ出来合いの、ラグニルの血を受けて作ったかりそめの細胞だ。
今こうして、力を失い倒れてしまっているのがその証拠。自分自身が魔物の血を完全に作り続けることができない以上、死ぬしかない、というわけだ。
「というわけで、この薬を飲みなさい。」
そして取り出した薬瓶。
先ほど飲んだ問題の薬よりも、やや、本当にごくわずかに赤の成分が残る、だがほとんど無色に近い液体。
こんなことになるんじゃないかと思って、蒸留器から抜いてきたのだという。
「まだ精製途中だけど、仕方がない。さすがに俺の血液を直接のませるわけにはいかないからなぁ。
さっきの薬よりちょっと強いけど、直接俺の血を飲むよりは遙かにマシだろう。」
そして、その薬を見せながら、四人にもう一度問いかけて確認した。
「生きたければ、飲みなさい。飲んだからといって確実に生き残れるかはわからないけど、生きる可能性に懸けるなら飲みなさい。
飲まなかったら、確実に死ぬんだからね。」
そういって、薬瓶を開け、まず一人目のパルメの口元に持ってきた。
「どうする?」
パルメは。
しばらくの間、口元を動かすことすらしなかった。
それは死にかけで、力が尽きていたからなのか。
彼の言葉を信じるか、迷い、決断をしあぐねているからなのか。
やがて、彼女は力を振り絞り。
こくり、と頷いた。
パルメに続いて、残り三人も同様に受け入れ、その薬を飲んだ。
実際、その薬を重ねて服用するということは、魔物の血を少しずつ体内に蓄積することになり、人間に戻る際の障害になる。
命をつなぐためとはいえ、危険な賭だ。
503:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:10:25 3KpGJzvS
その薬を摂取した彼女らに、ひとまずは、先ほどのような劇的な変化はなかった。
身体に力が蘇る。
しかし、先ほどまでのように、元気にハイテンション、とはいかないようだ。なにせ、彼女らを恐怖させた存在がすぐ側にいるからだ。
しかし、二度目の服用で、少しずつ完全な魔物に近づいていっている彼女等は、その恐怖も少しずつ和らいできている。あくまでも少しずつね。
そしてその、残る恐怖に支配され、まだそれほど自由に動かない体ではあるが、とりあえずは自分の裸体を隠すべく、身をよじり、大事な部分に腕を寄せた。
とりあえず、先ほどちちくらべをされたときの羞恥がよみがえり、目の前の異性からうら若い肌を隠すことにしたわけだ。
幸いなのは、ラグニルの存在からは力の差こそ感じるものの害意を感じなかったところなのだが、自分たちより遙かに高次な存在なので、
だから安全、と素直に落ち着いてもいられない。彼に害意が無くとも、そのなにげない振る舞いは彼女らの命を軽く巻き込んでしまいそうだからだ。
象が普通に歩いてるだけで、足下の蟻が踏みつぶされてしまうような。
とにかく彼女らは、なるようにしかならない、と半ば投げやりに腹をくくるしかなかった。
少しだけ落ち着いた彼女らの身体。ラグニルは、彼女らの指先に刃を入れて少量の血液を採取すると、水晶を磨いて造った顕微鏡のようなもので観察を始めた。
ここに来るときに背負っていた背負子の中に入れていたものだ。
「ううむ、魔物化の進行は、思っていたよりも早いなぁ。」
そんな声に、とりあえず彼から与えられた上着で身を包んだパルメが、おずおずと訊ねてくる。
「やっぱり、私たちはあなたの眷属になるんでしょうか?」
のぞき込んでいた水晶レンズから顔を上げたラグニルは、少々困った顔になって、答える。
「確かに、君らは人間の中じゃあ最強クラスの強さを持ってるから、眷属の素体としては最適なんだけど、そう簡単にもいかない。」
なにが問題なのか。
「君らは、この人間の世界では勇者で、この世界を魔界の侵略から守る使命を持っている。
そういう人間を、俺の都合だけで簡単に眷属にするわけにはいかない。
君らがいなくなったら、この世界も困るだろう。
あまり、こっちの世界に迷惑をかけたくないからなぁ。」
と、ずいぶんお人好しな言葉。
「それでも、俺の血と魔界の住人は相性が極端に悪くてね。素体としては人間が望ましい。
だから、素体としては、身よりのない子供を集めて育てて、その中からスカウトするつもりだったし、
薬の実験は今は、死んでも困らないような悪党なんかを適当に捕まえてきてやってるからな。
別に、俺自身がこっちの世界を守る義理はないけど、だからって好き放題やる権利もないからね。」
こちらに出現する魔物が基本的に侵略目的なのに対して、彼はずいぶんと生ぬるい。
誉め言葉で言えば『いいひと』で、駄目なところを揶揄すれば『いいひと』ということになる。
「だから、君らは出来るだけ、人間に戻してあげる。」
そういってから、溜息ひとつ。
「さっきは、『君らはもう魔物だ』、とか言っちゃったけど、さすがにそれは、可哀想だしね。
君らだって、これから人間としてやりたいことも、将来の夢だってあるだろうし。」
そうして再び、水晶レンズを覗き、解析作業に没頭していった。採取した血液に、いくつかの試薬を加えて反応を観察し、
時には自分の血液を加えて中和を試みた。
504:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:11:04 3KpGJzvS
しばらくラグニルが研究作業に没入したあと、ふと女たちの様子をみると、なんだか空気が変わってきていることに気が付いた。
「・・・・・・・・・はぁ、・・・・・はぁ、ぁん、あはぁ・・・・・・。」
パルメが、身体の中の異変に戸惑い、あらがっている。しかし、懸命に押さえてはいるものの、どんどんと高まる熱に耐えきれず、
細い喉を震わせて、うわずった声と一緒に熱い吐息をはく。
そしてほかの三人も同じように、甘い熱にうなされるように、身をよじり、震わせていた。
四人の女たちは、皆一様に、肌をピンクに染めて、悩ましい吐息を漏らしている。
これぞ、ザ・発情。
「えええっ、なんでみんなそんなエロい声だしてんの!?」
想定外の事態に慌てたのはラグニル。
「まさか、薬のせいなのか?」
心当たりを探ってみる。
(そーいや昔、俺の血を吸った女魔王が、発狂死する前にスゲー欲情してたことがあったっけ。)
心当たり検索終了。
(そーか、俺の血ってば、女が発情する成分が含まれているのか。)
あとから飲ませた薬、そちらの方は精製が不十分で、そういった成分がわずかに残っていたのだろう。
「あーーーーー、諸君、すまなかった。
どうやら、さっきの薬には、ちょっぴりエッチになる成分が含まれていたみたいでした。」
ぺこり、と頭を下げるラグニル。
「そのままほっとくと気がふれてしまうから、適当にオナニーするか、女の子同士で慰め合ってください。
俺は席を外しますんで、どうぞお気になさらずに。」
おおっ、この人、レズビアン容認派なのか!?
それとも、発情した女を前に後込みするようなヘタレ男なのか?!
ともかくラグニルがそういって、くるり反転その場を離れようとすると、がっしとその足を誰かが掴んだ。
パルメだ。
「だめ、いかないでください・・・・・・。」
頬を上気させながら、すがるような目で。
「だめ、なんです。そんなんじゃあ、だめなの、わかるんです。」
せつなく、うるんだ瞳で。
「わたしのからだのぜんぶが、あなただけをほしがってるんです!!」
どういうことよ、それ!
ラグニルよ、君はそんなにモテキャラだったのか?!
作りの悪い顔立ちではない。が、しかしイケメンというわけではない、断じて、無い。決定的に断定すると気の毒だが、その辺は曲げられない事実。
505:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:12:16 3KpGJzvS
そこで、思い当たり検索結果、追補。
(そーいえば、俺の血を飲んだ女魔王って、発情してから他の男とやりまくったけどぜんぜん満たされなくて、結局最後に俺が満足させてやったんだっけ・・・・・・。)
つまり、どういうことかというと。
(つまり、俺の血で発情すると、俺の身体でしか満足しない?)
その可能性に思い当たってラグニル、裏付けのための記憶検索開始、しかしあまり有効な記憶が検索されなかった。
そうこう頭の中で記憶と考察をぐるぐる回していると、自分の足を掴む手が増えた。
「あ、あたしも、ほしいよぅ、がまんできない・・・・・・。」
エダムが、口から涎まで垂らして哀願。もうだいぶ、やばそうな感じだ。
ここまできたら、抱いてやってもいいんじゃないか、いやむしろ、抱いてやるべきなのではなかろうか。
しかしこのラグニルという男、まだ手を出そうとはしない。
「いや、見たところ君ら、未通娘(おぼこ)だろう? 女の子の初めては、ちゃんと好きな人にあげないと!」
未通娘て、あんた、古いな、言い回しが。
確かに、ラグニルの言い分はもっともだけど、いま実際苦しんでる彼女たちを楽にしてやるためにも、抱いてやった方がいいのではないだろうか。
バージンがどうとかよりも、生きるためには仕方がないはずだ。
しかしまだ、それでも手を出さない訳がある。
「俺が抱いて、君らに直接俺の精液を与えるのは、俺の血を直接与えるのと同じぐらい危険なんだ!」
どうやら彼はレズビアン肯定派でもヘタレでもなく、彼女らの身を案じて我慢していたようだ。
魔物の血や精液、つまり体液全般は、共に眷属を造るのに有効だ。だが、それぞれに違いがあり、効果も違う部分がある。
当たり前の話だが(そうであって欲しいのだが)、精液は男相手には効かない。
逆に、女を眷属にするには非常に効果的である。
もちろんラグニルもこの例に漏れない。
魔族とは相性が合わない彼の精液であっても、人間相手には有効なはずだ。
彼に抱かれるということは、血よりももっと強力な魔物化の成分を彼女らに摂取させるということなのである。
血液での実験結果と同じように、ショック死してしまう可能性だってある。
だから、抱けない、ラグニルはそう言った。
しかし、その声に、もう一人の声が続いた。
「だ、だったら、いいほうほうがあるぜ・・・・・・。」
ゴーダが、ラグニルの迷いに、苦悶の表情で応じる。
そして、そのあとの言葉は、もう一人おっぱいのひとが引き継いだ。
「『そういうときは膣内射精(なかだし)せずに外に出せ(ぶっかけろ)』、と神もおっしゃっております。」
チェダーも、大きなおっぱいを持て余し、疼きを懸命にこらえながらいった。
つまり、精液を吸収させるのが駄目なら、外に出せばいいだけの話である。
いやあ、簡単な話だよ。普通に考えると当たり前のように出てくる対策のように思う。
506:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:14:06 3KpGJzvS
しかし、
「そ、その手があったか!!!」
ラグニルは思いも付かなかったようだ。
「女を抱いたら子宮に精液を出すのが当たり前、女も、精液は子宮で受け止めてなんぼが当たり前だと思ったが、なるほどそういう手もあったか!!」
大きな驚きのあとは、深い感嘆。
「いやあ、さすがは人間だ、セックスに関する技術は長けているな!!」
・・・・・・いや、別にこの程度、人間だけでなく魔物だって心得ているはず。
たんに、ラグニル個人が、彼自身の特異な常識として膣内射精しか選択肢がなかっただけのこと。
そうと決まれば、ラグニルに迷いもなく。
先ほど調べた結果に基づいて、彼女らの中にある魔物の細胞を中和する手段も、時間はかかるもののあらかた見当は付いている。
今はまだ、完全に魔物化していないから、まだぎりぎり間に合うだろう。
とりあえずは、彼女らの身体の疼きを押さえるべく、セックスに応じてやればいい。最後はちゃんと外に出せば無問題。
魅力的な女の子とセックスしたい、でも出来ない、そのジレンマに苦しんでいた彼だが、ここにようやく制限付きではあるが解放を得ることが出来るのだ。
「ようし、じゃあ最初は勇者さん、きみだ。」
ラグニルが選んだ最初の女の子、それが勇者パルメさん。実際、性欲に気がふれてしまいそうな状態としては、四人ともほぼ同程度だ。
そうすると彼がパルメさんを選んだ基準はなんだったのか。
そのあたりは、彼の胸の内ってことで。
「は、はい、おねがいします・・・。」
そういってパルメは、自分の裸体を覆うシャツを強く掴んだ。膝を引き寄せるようにして小さく固まるものの、身体が疼いてもじもじと身をよじっている姿が悩ましい。
身体は発情して男を求めているのだが、それでも初めてのセックスを前に緊張しているのだろう、なんとも初々しくいやらしい。
「いっとくけど俺は、やるとなったらかなりスケベだからな、覚悟しとけよ?」
先ほど、裸の彼女らの身を覆うためにコートや上着、シャツの類を与えていたために上半身裸のラグニル、あと残るズボンに手をかけた。
男の脱衣描写に文字数を割いても仕方がないので簡潔に書くと、『さっくり脱いだらもう臨戦態勢でした』といった感じ。もうすでにチンコもビキビキに勃起済み。
「まぁ、俺は人間に近い体つきをしてるから、こいつだって人間並みだよ、安心しな。」
そういってチンコをパルメに見せ付けた。
いやいや、確かに人間並みだけどさ。
それはあくまでも、たとえば魔王ハイデカルの生殖器みたいに、巨大なタコの足のうち、一本が実は生殖器でした、みたいなのに比べれば遙かに人間サイズではあるけどさ。
それでも十分でかいよ、そのチンコ。
『人間並み』ではあっても、『人間の並』ではないんだよ。
相手のパルメさんは処女で、おそらくは男のチンコなんてほとんど見たことないだろう。
安心させるために『人間並み』とかいってても、その大きさはかえって怖がらせてしまうんじゃないだろうか。
507:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:15:35 3KpGJzvS
「かっ、かわいいです!」
おおっと、意外な反応。
「なんだか、子供のころに飼っていた、ヘビのスネ太郎に似ています!」
『カワイイ(kawaii)』は、男のペニスに対する褒め言葉としては、あまりふさわしくない。
処女の相手に気を使って、相手をリラックスさせてあげようとしていたラグニルだけど、この反応はちょっと凹む。
「ええい、もう手加減なしだ!」
ラグニルは半ばキレ気味に、パルメを組み伏せた。彼女にしては大きめの男物シャツを、びびびっ、と乱暴に破り裂く。
きゃっ、とパルメが可愛らしい悲鳴を上げるのを心地よく聞きながら、ラグニルはもう一度、彼女の裸体をつぶさに眺めた。
発情した少女の身体、元は白い肌が桜色に染まり、玉のような汗がいくつも浮かぶ。
おっぱいももちろん火照って、さぁ触れ今すぐ触れと、男を求めてプルプルと震えている。
その乳房の先端には、火照ることでようやく浮き上がる淡い色の小さめ乳輪と、可愛らしくも懸命に膨らんだ乳首がある。
「やっぱり、パルメちゃんのおっぱいは芸術品だ。」
「や、やぁん、そんなにおだてないでください・・・。」
これをおだての言葉というならば、これ以上いったいどれだけ言葉を凝らせばラグニルの感動が彼女に伝わるのか。
そのあたりを残念に思いながらもラグニルは、これ以上彼女を焦らすわけにはいかないことを思い出した。
とにかくいまは、彼女の肉体を満足させて、落ち着かせることが先決だ。
そして、彼女のおっぱいに手をあてがう。
ぷに。
「ひあぅん!」
「うは!」
驚きの混じったパルメの嬌声と、これまた驚きの混ざったラグニルの歓声が重なった。
パルメは、発情して乳房全体が敏感になっていたところに、男の手の感触。触られた、それだけでものすごい性的刺激が全身を駆けめぐった。
ラグニルにしても、その触り心地に感嘆の声。その瑞々しさ。指を動かすと、張りのある乳肉がそれに抵抗するものの、すぐに男を受け入れて形を変える。
手の平は乳の上で、さらりと滑ったりむにょりと食い込んだり、戯れにコネればそれに応じた感触を返してくる。
「ひ、あ、ああ、おっぱいが、おっぱいがおかしくなりそう!!」
パルメ自身、いままで感じたことのない胸刺激に戸惑いつつも、身体はそれを喜んでどんどん高まっていく。
調子に乗ったラグニルはピンクの砂糖菓子のような乳首を舐め、吸い付いたり舌でコネたりと、パルメのおっぱいを存分に堪能した。
「ああっ、やあっ、だめ、だめえっ、おっぱいいじめすぎですっ!」
苛めすぎたから、それがイヤなのかというわけではない。
彼女のあえぎ声の言葉から、それを「おっぱい以外も苛めて欲しい」という意味だと受け取れるくらいには、ラグニルも女を抱くのに経験がある。
そして今度は、いよいよ彼女の秘所に手を伸ばす。薄目だがきれいに生え揃った陰毛を軽く撫でてから、いよいよ肝心の部分に。
ぬちゃり。
「おおっ、メチャ濡れだ。」
「は、はずかしい~・・・・。」
いやいや、処女の女の子でここまで濡れるのも、血の薬のせいだから、決してパルメさんが特別淫乱とかそういうことはないはずなのであるが。
508:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:16:40 3KpGJzvS
「いや~、パルメちゃん、この濡れ具合はタダゴトじゃないよ。
勇者さんなのに、すげー淫乱なんだな~!」
実際そのぬかるみ具合を知ってしまうと、やはり言わずにはいられない。
「い、いわないでください、いじわるです・・・。」
発情しながらも恥じらいを忘れない、そのあたりがこの勇者さんの素性の良さか。
おっぱいから顔を離したラグニルが、今度は彼女の股間に顔を近づける。
「さてそれじゃあ、勇者さんのオマンコ拝見。」
膝を合わせて閉じられていた股間を、大きく太腿を裂くように開いて、よく見えるようにM字開脚。
「や、ああっ、だめっっ、みないでください~っ。」
いやいやいや、そんな声で見るなといわれて、ハイ見ませんと諦める男はそうそういない。
もちろんラグニルも例外でなく、むしろ見ないでと言われるとより見たくなってしまう質である。
「パルメちゃんのまっさら処女マンコ、すごいきれいだ。」
「いわないでくださいってば~っ!」
彼女にいわれるがまま、仮に口に出さなくとも、彼がそのように思っているのは変えられない事実で、そのあたり彼はエロに対して正直だ。
パルメの身体全体が発情で火照っているために、股間の肌も鮮やかに色づいている。
媚肉の合わせ目も溢れる愛液にぬかるみ、わずかにはみ出した小陰唇がまるで花開く寸前のつぼみを思わせる。
「最後の処女マンコだから、ちゃんと目に焼き付けておこう、うん。」
などといったラグニルの台詞だったが、あまりマジマジとやり過ぎるとパルメが羞恥で本気泣きしそうだったので適当な頃合いで切り上げた。
ラグニルは両の指をそこにあてがい、左右に大きく開いて粘膜を露出した。
控えめな小陰唇の内側は、鮮やかな桜色の粘膜だ。男の視線にひくひくと震える膣口と、めいっぱいふくらんで、でもこじんまりとささやかなクリトリスがある。
ラグニルはそのまま、それ以上無駄口も叩かずにそこへむしゃぶりついた。
「ひっ!」
突然の口唇愛撫に、パルメさんは短く悲鳴を上げてのけぞった。
じゅる、じゅぱ、ぴちゃぴちゃ。
「あっ、あっあああーーーーーーーっ!」
舌先で膣口をほじるように、あるいはざらついた舌の腹で豆をつぶすように、そして止めどなく溢れる愛液を、こぼさずに吸い上げるように。
ラグニルは思うまま、彼女の処女に貪り付いた。
そのたびにパルメは短く、あるいは長く嬌声をあげて身を震わせた。時折びくびくと、軽いアクメも受け入れて、彼女は恥じらいながらも喜び、悶え狂った。
「も、もうだめぇ、は、はやく、はやく・・・。」
秘部への刺激は確かに気持ちがよくて、何度もアクメを味わった。しかし、自分の身体が求めているのはこれではない。
パルメは何度も上り詰めながらも、そのたびに切ない気持ちが募るのを感じていた。
もちろんそのわけは、彼女自身もよくわかっていた。
これで我慢が出来るなら、始めにラグニルに言われたように、オナニーでもレズ遊技でもしていればいい。
しかし、そんなものではダメなのだ。
509:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:18:07 3KpGJzvS
「はやく、はやくほしい・・・・・・。はやく、わたしのなかに、ラグニルさんのがほしいんです・・・。
らんぼうにしていいですから、おねがいします!」
ここまで言われて、まだそれでも焦らすほどラグニルはドSというわけでもなく。
また、彼自身がまだ我慢できるほど情欲静かというわけでもなく。
つまり、彼も限界なのだ。
「ああ、これから君の処女、いただくぜ。」
そして身を起こしたあと、再び覆い被さるようにして組み伏せ、勃起したペニスを彼女の秘唇にあてがった。
「きて、・・・・・・はやく、きてください・・・。」
悩ましく眉根を寄せて、小さなアクメの積み重ねでへとへとになった表情で、それでも身体の疼きにあらがえず、パルメがラグニルを求めた。
そして彼も、それに応えて、強く腰を打ち込んだ。
「ああああああっ!!」
狭い膣口、そして乙女の証の処女膜。それらの抵抗が作ったタメを、力尽くでブチ込んだペニスが勢いに変えて、一気に膣奥まで届いてしまった。
ぬぐりっ、と、生まれてからいままで何者の侵入も知らなかった膣奥、その子宮口がペニスによって強く突き上げられ、揺すられた。
「ひ、ぐ、うんんんんんっ!!!」
処女を失った感慨もいまはまだなく、ただただ自分の体内に新しく芽生えた肉の感覚に戸惑うばかり。しかしそれも、そう時間もかからずに馴染んでしまう。
「あ・・・、は、ぁ、はいってますぅ・・・。おくまで、ぎちぎちにうまってます・・・・・・。」
初めて受け入れた男のものを、パルメの膣は健気に締め付ける。
破瓜の痛みはもちろん強く彼女を苛んだが、十分に濡れてふやけ、柔らかくこなれていたために裂傷とまではいかず、幸いにも尾を引くことはなかった。
その分、待ちこがれていた男の挿入に、はあぁっ、と厚い歓喜の溜息が漏れる。
「やっと、やっときてくれました・・・。」
痛みの表情を浮かべることもなかった彼女、切なくうるんだ瞳がようやく安堵に緩んだ。
ラグニルは、彼女のその表情になんだか奇妙な感覚をおぼえるものの、それを深く検証するほどの余裕もなかった。
とにかく、早く彼女を満足させてやらねばならなかったし、自分の快楽だって大事なことだ。
破瓜の感傷に深く浸らす間も与えず、ラグニルは腰の動きを開始した。
「あっ! ああん、はあっ、ああっ! き、きもちいいですっ!」
初めてのセックスでいきなり快感を得られるのは、まず間違いなく薬の成分のおかげだと思う。
が、それでも現実に、いま抱いているバージン卒業直後の女の子がよがり始めたら、たとえ陳腐な台詞であっても、どうしても言いたくなるだろう、男ならば。
「初めてで感じるとは、なんという淫乱勇者!」
「らああっ、ラグっ、ニルさぁん、いひゃあっ、いっ、意地悪ですっぅああん!」
仮に薬の影響がなかったとして、本当にバージンで感じることが出来るような淫乱ッ娘なのか、という真偽は、もう永遠に確認することが出来なくなった。
まーじっさい、どうでもいいよね、そんなこと。
大事なのは今。
ラグニルとパルメさん、どっちもお互いが気持ちいいセックスが出来れば、それでよし!
510:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:19:09 3KpGJzvS
「きっ、きもちひい、いんあああっ! あはぁあっ! きもち、ひーれすっ!」
「パルメちゃん、気持ちいい? 俺のチンポ、気持ちいい?」
「あうん! はっはいっ! ちんぽきもちいーれす!!」
おっさんか、あんたは。
まぁ、なにも知らない無垢な女の子に淫語を教え込むのは楽しいし、清い心をイヤらしく染めるのは男のロマンでもある。気持ちは分かる。
そんな感じで、ラグニルは激しくずんずんと子宮を小突くような荒々しいピッチで責め立てたかと思えば、膣の最奥をペニスで押し込み押さえながら、
腰をぐーるぐーるとまわして膣壁を回転でこすりたてる。
毎秒数回の小刻みなピストンでパルメさんを小刻みに泣かせたかと思えば、じっくりゆっくりの挿入で彼女を切なく咽び泣かせたり。
とにかくラグニルは、処女を相手に行う気遣いのたぐいをいっさい無視し、パルメさんをヨロコばせることだけに励んだ。
パルメさんも、女の子の締め付けでラグニルをヨロコばせながら、何度も何度も絶頂した。その間絶えず気持ちよさそうに泣き続け、よがり狂う様はラグニルを楽しませた。
「ああひあああーーっ! ひゃら、ひもひいいいぃっっ!!」
「俺も、すげー気持ちいいぜっ!」
もう、身も世もなくよがり狂うパルメさん。汗と涙、そして涎でびしょびしょになった顔であるが、それでもエロ可愛らしいってのは反則だよなぁ。
そして、お互いの最後が近づいてきていることを、お互いがそれぞれ感じ始めたとき。
羽織っていたシャツの、破れた布切れを握りしめていたパルメさん、その手を伸ばし、自分に覆い被さるラグニルの肩、そして首の後ろにまわして、抱き寄せた。
眉を寄せ、男にすがる表情のパルメさんが、ふと一瞬だけ、視線をラグニルの、瞳の奥に投げかけた。
キス、して欲しい。
唇の言葉ではなく、瞳の言葉で。
彼女は彼を求めた。
しかし、ラグニルには躊躇いがあった。
一瞬のその言葉は、ラグニルの躊躇いで逸らされた。
(なに考えてんだ、俺! 唾液だってこの子にとっちゃ、毒だろうが!!)
そうだ、今のセックスは、彼女の身体の疼きを押さえるためのものだ。
精液は外に出すし、唾液だって与えない、それだけのセックスだ。
ラグニルは、ほんの少しよぎった迷いを振り払い、最後のスパートに入った。正常位で彼女を組み伏せたまま、激しく腰を打ち付ける。
「ああっああああああっあっあっああああーーーっっ!!」
もう、言葉らしきものはパルメさんの頭の中で、真っ白な世界に吸い込まれていく。ただただ、身体がヨロコぶままに声を上げ、獣のように吠える。
ラグニルだって、腰に溜まったマグマがもう、限界を超えて吹き出す直前だっ!
「ひゃあああああああーーーーーーーーーっっっ!!!」
そしてとうとう、パルメさんが盛大な絶頂を迎えた。
それと同時に、膣襞を震えさせながらの激しい収縮がおこり、それに刺激されたラグニルにもとうとう最後がやってきた。
ここでラグニルは腰を引き、彼女の膣の外に射精する。
511:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:20:13 3KpGJzvS
・・・・・・はずだったんだけど。
「ええっ!?」
びゅぅーーーっ!びゅうーーーーーっ、びゅうううううううーーーーーーーっ!!!
膣内大射精!!
チンコを膣から抜くどころか一番奥深い、子宮の口に直接流し込む形でびゅーびゅーと。
少女の子宮が、初めての精子をこれでもかと流し込まれて、それでもまだ飽きたらず、とにかくもっと注ぎ込めとばかりにびゅーびゅーと。
二人の結合部から溢れたザーメンがこぼれてもまだまだいけるぜってな勢いでびゅーびゅーと。
とにかく、これ以上無いってくらいに膣内射精。
「ええっ、なんで!?」
それもそのはず。
ラグニルは射精の直前、チンコを膣から抜き放とうと腰を引いたものの。
がっしと、それを逃すまいと。
パルメさんの足が、彼の腰にからみついて、逃がしてくれませんでした。
「なんで!?」
ラグニルの言う言葉は、『なぜ膣外射精に失敗したのか』という疑問ではなく、『どうして膣外射精を拒んだのか』という、彼女への問いかけである。
しかし、彼女、パルメさんからの答を得るには、もう少し待たなければならなかった。
彼女は、最後の絶頂のまま、気を失っているからだ。
ひくひくと身体を痙攣させながら、それでも、ふわーっと、なんとも幸せそうな顔をして。
そして彼女は、気絶しながらも彼に足を絡めたまま、離してくれないのだった。
「おはよう、勇者さん。」
「・・・・・・・・・お、おはようございます。」
パルメさんが目が覚めた。おはようございます。それほど長くはなかったけどね。
ラグニルの声は、なんだかちょっと、お疲れ気味。
そりゃあ、気遣いが空回りして、なんだか自分が馬鹿みたいに思えてくる疲労感満載だからだ。
「死ぬ気か、君は、馬鹿野郎。」
とにかく言ってやりたかったことを言ったラグニルは、はー、と大きく溜息をついた。
「とりあえず、大丈夫か?」
いまだに合体したままで訊ねる。乱暴にふりほどくことも出来るけど、もうこうなってしまえば後の祭りだから、力尽くも無駄に思えてきたのであえて合体継続中。
まぁ、確かに彼女のそこは気持ちよすぎて、抜くには忍びなく思う気持ちも分かる、男なら。
現実、気絶してるあいだだってひくひくにゅるにゅるとチンコを刺激してくれてるもんだから、射精したあとだって萎えさせてくれない。
512:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:21:53 3KpGJzvS
ああ、そうだ、本当に大丈夫だったんだろうか。即死しなかったとはいえ、キツめのザーメンをナカダシされたんだから、カラダにイヘンとか。
「だいじょうぶですよ、たぶん。」
落ち着いてる、少なくともラグニルよりは。
実際そのあたり大丈夫だろうことは、おそらく彼女らに新しく生まれた魔物の遺伝子が、事前にそれとなく感じ取っていたのだろう。
「もう、覚悟を決めちゃったら、あとはもう、だいじょうぶみたいです。」
覚悟を決める、その言葉にラグニルはぎょっと驚いて。
「って、まさか?」
「はい、もうわたし、魔族になってもいいです。」
そして、いまだ力の抜けた顔の筋肉で、ほにゃらと笑いながら、
「わたしを、ラグニルさんの眷属にしてください。」
そう言った。
それから、慌てたラグニルによって、彼女の説得が始まった。
人間として生きる喜び、生命賛歌から始まって、『ダメ、ゼッタイ』と魔族がいかに危なくヤバいものか、軽い気持ちで決めた選択がいかに人生を破滅させるかといった、
魔族の暗黒面を話して聞かせ、説得しようとチャレンジした。
しかし当のパルメは、ラグニルから膣内射精されてすっかり満足したのか、先ほどのようなせっぱ詰まった発情も穏やかになり、にこにこと笑っている。
自分の力だけでは彼女の考えは変えられない、と悟ったラグニルは、パルメを説得しようとほかの三人にも協力をお願いしようとした。
「うん、俺もいいぜ、あんたの眷属になっても。」
「あたしもいいよ、ってか、ぜひなりたい。」
ゴーダもエダムも、結構乗り気で、説得どころか同意されてしまった。
ならばおっぱいのひと、もとい、神官のチェダーならば必ずやほかの三人を説得し、人間に戻るよう説き伏せてくれるだろう、とラグニルは考えた。
何せ、神様に使える身のひとなんだから。
「ええ、私もなりたいですね、魔族に。」
えらくあっさりと。
「たとえ魔族でも、心までは変わりません。たかだか魔族に堕ちた程度で私を見限る神様だったら、こっちから三行半、たたきつけてあげますわ。」
世の中には同じ宗派でも表の顔と裏の顔があるんですよ、綺麗なように見えても、裏で相当汚いことをやってる宗教もあるんだから、ぜんぜん無問題ですから! と、
現代宗教事情を持ち出されて、逆に説得されてしまった。
513:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:23:00 3KpGJzvS
ラグニルは、ううむ、と考え込んだ。
彼女らが望むのなら、別にそれでもいいんじゃなかろうか。
冷静に考えてみると、ナカダシブッカケのどちらかを問う前に、セックスに及んだ時点でこうなってしまうことは決まってしまったのかもしれない。
細かいことを言い出せば、ラグニルの舌による愛撫だって、唾液という体液の塗布になるし、彼の流した汗が彼女の肌に滴ってもいる。
そしてもちろん、チンコを挿入している際にも、カウパー氏腺液(のようなもの。魔物にウィリアム・カウパーさんがいてそう名付けたかどうかは定かではない。)は
彼女の膣内に流れていたはずである。
血や精液ほどでないにしろ、体液すべからく毒性を持つというのなら、彼女に触れたことすら罪となる。
ようは、「なにをいまさら」ということだ。
そのあたり、ラグニルは迂闊すぎた。生来、そのあたりの思慮は浅くない彼だが、人間の眷属化自体が初めてのことであり、ノウハウが少なかった。
魔族化実績の浅さと、目の前の女の子たちの魅力に負けて、思考が短慮になってしまった、ということかな。
結果的には、「精製済みのマイルド血液薬(四人で分け分け)」→「精製途中のやや強いマイルド血液薬(四人で分け分け)」→「唾液や汗、
カウパーなどの弱い体液(いちおう遠慮)」→「精液(こってり)」という、段階を踏んで摂取させたことが、彼女らの生命をつなげることになった。
「唾液や(略」と「精液(がっつり)」の間に大きな開きがあるようにも思うのだが結果オーライ。
そんなふうにぐるぐるぐるぐると、混乱する思考の中でラグニルは、これからのこととかなんとかをいろいろいろいろと考えていた。
すると、いまだラグニルの下で組み伏せられていたパルメさんが、不安そうな表情で訊ねてきた。
「もしかして、ご迷惑でしたか?」
「いや、別に迷惑とかじゃないよ。
むしろこっちとしては、心強い眷属が出来てうれしい限り。
・・・・・・なんだけど、本当に君らはこれでよかったのかなって。」
彼の答えに少しだけ安堵した表情になって、パルメさんは答えた。
「それは、もう、気にしないでください。
幸いといってはなんですが、私たちみんな、身寄りがない独り身ですから。
いなくなっても、悲しんでくれるひとは少ないはずです。」
それはそれで寂しい話だね。しかしまぁ、冒険者なんて職業はそんなものなのかもしれない。
「大事な人はいませんでしたけど、それはこれから作っていけばいいんだと思います。」
「へ?」
彼女の言葉に、要旨をつかめず間抜けな声を出してしまったラグニル。するとパルメさん、はにかみながらこう言った。
「さっきラグニルさんが言ったこと、私のお母さんも言ってました。『初めては、好きな人に』って。
だから、今からでも遅くないから、わたし、ラグニルさんのこと、好きになりたい。
この人にあげてよかったぁって、あとから思えるように。」
パルメさんははにかみながらも落ち着いて、しっかりと、言葉を続けた。
「でもそれって、たぶん簡単なことだと思うんです。」
なんというか、迷いがない。
たかだか十数年、たったそれっぽっちしか生きていない小娘の癖に、それでもやはり彼女は迷いがない。
というか、信じている。
「だってラグニルさん、いい人なんだもん。」
514:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:23:58 3KpGJzvS
いいひと、その言葉はいろんな音を持つ。
褒めているようでいて、その実、見くびるような意味であることも多い。
しかし、彼女の言葉は、憧れというか尊敬というか。
会ってそれほど時間がたったわけでもないが、彼女なりに感じたラグニルのひととなり。
とにかく、素直でまっすぐな心の彼女が、ラグニルのことをいいひとと言うからには、少なくともひねくれた意味ではないはずだ。
そして、そんな言葉を向けられたラグニル、実はかなり動揺していた。
何せ、いままでそんな風に言われたことがない。
彼を指して言う『いいひと』はたいていがお人好しという意味で、殺伐とした魔界の住人たちからすればそれは蔑みの言葉であったからだ。
「・・・・・・・・・そんなのは、買いかぶりだぜ。」
言いつつも彼は、不覚にも胸が熱くなってしまった。女に慣れていないわけではないが、こうも真っ正直にこっ恥ずかしいことを言われるのには、
慣れていない。なものでもう、照れる照れる。
そんな様子の彼を柔らかい微笑みでパルメが見つめ、言った。
「やっぱり、優しい、いいひとです。」
そしてそのあと、なぜだかパルメは瞳を伏せ、寂しそうな顔をした。
不意に起こった表情の変化にラグニルが戸惑っていると、しょんぼりとした口調でパルメが言った。
「さっき、キス、してくれませんでした・・・。」
行為の最中、彼女が求めたキスを、ラグニルは目をそらせて応じなかった。
もちろんそれは、唾液を彼女に飲ませたらマズい、などといった、中途半端にも偏った自制からであったのだが、今にして思えば彼自身、
彼女たちに深入りするのを避けていただけなのかもしれない。とにかくいまは、何とも彼女につれなく応じてしまったことに罪悪感がわく。
「キス、してください。
キスのないエッチって、なんだか寂しい気がしますから。」
唾液でさえ彼女にとっては危険な体液。しかしもう、魔族になる決意を知ったいまとなっては些細なこと。
精液をすら望んで子宮に受け止めた彼女だから、キスにおののく理由もまるでない。
ラグニルはそっと、パルメの唇を舐めてから、口づけを交わした。
重ねられた唇は次第に、ゆっくりゆっくりと強さを増して触れ合いながら、自然と開き、お互いの舌を絡ませていった。
515:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:25:29 3KpGJzvS
「そ、そこまでーーーーーーーっ!!」
互いの存在のみに没入する甘いキスだったが、それを引き戻す声ありけり。
「パルメばっかり、ずるいよっ!!」
エダムさんだった。
そうだ、ラグニルの血によって発情したのはパルメだけではない。
神官チェダー、もとい、おっぱいのひとや、戦士ゴーダもいる。
この魔法使いエダムさんだって、ラグニルの眷属として魔物になってしまうセックスを望んでいるわけだ。
「はーやーくーっ!」
エダムさんの再二再三の催促で、ラグニルは慌ててパルメさんの身体から離れた。
もう彼女の足はラグニルの腰から解かれていたので、チンコだってすんなり・・・・・・、いや、ちょっとだけ名残惜しかったけど思い切って合体解除。
巨根に塞がれて限界まで広がっていた膣口はすぐに元の締まり具合で窄まるが、その収縮で膣奥の精液がトロリとこぼれだした。
「やっ、だめです!」
慌ててパルメさん、それを両手で押さえ、それ以上漏れるのをふさいでしまった。
せっかく出してもらった精液、こぼれてしまうのがもったいないらしい。
男から見ても、情後に膣から流れる精液はエロいよね。これもひとつの、膣内射精(なかだし)の醍醐味だよなー。
ラグニルはそんな動作についつい目を奪われ動きを止めてしまったが、頭を振って気持ちを切り替え、エダムを抱くことに集中した。
双方同意で、精液を受け入れてくれる彼女が相手なら、今度こそラグニルだって最後まで純粋にセックスを楽しめるというものだ。
エダムさん、もう待ちきれないで、がばっ! と大股開き。
「なんですかっ、嫁入り前の女の子がはしたない!!」
「うるさいっ! あんたが焦らすからいけないんでしょーがっ!」
よっぽど我慢が出来なかったらしい。
エダムさん、彼女は魔法少女であるが、決してロリっ娘ではない。幼女ではなく、かろうじて少女。
しかし、間違いなく『幼い』部分があるわけだが。
「おおっ、エダムちゃん、やっぱりおっぱいちっちゃいなぁ!!」
「殺ス! あたしが死ぬ前には絶対殺ス!!」
さっきまでは、絶対的な力の差に怯えていたエダムさんだったが、乳への冷やかしはその閾値を越えてしまったようだ。
とにかく、大股開きで早く挿入をせがむエダムさんだったが、ラグニルはあえてその股間には向かわず、先ほど指摘のちっぱいおっぱいに向かった。
「いやいや、小さなおっぱいだって魅力的だよ。なんというか、儚いというか、ささやかというか、健気というか、謙虚というか、慎ましいというか、繊細というか。
未成熟ってことは、成熟の可能性を秘めながらも未だ小さいってことなんだけど、むしろこのまま小さいままでいてくれた方が、
明日への希望をちりばめた夢のような存在ってことで素晴らしいよ貧乳。」
「うがーーーーーーっ! いったいいくつ小さいとかその類義語を並べたのよっ!」
さぁ? 厳密には類義語とも言えない表現もあるし。
とにかくラグニルは、未だ人類が訪れたことのない約束の地、エダムさんの貧乳に手を伸ばした。
516:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:26:54 3KpGJzvS
「きゃん!」
指先が、房と言うほどの膨らみのない乳房に、ぴと、と触れた。ただそれだけで、電気に撃たれたように激しく反応。
「おお、エダムちゃんのちっちゃいおっぱいは敏感だなぁ。ちょっと触れただけなのにこんなに感じちゃって。
豆粒みたいな乳首が、健気に頑張ってるよ。
やっぱり、小さいおっぱいって敏感なんだなぁ。」
「あんたが焦らすからでしょうがっ!」
泣きそうでいて、しかし怒った顔で、ラグニルの言葉にいちいち突っかかってくるエダムさん。
「あと! チイサイとかササヤカとか、そういう言葉は禁止!!」
「ええーっ!? エダムちゃんのおっぱいの魅力を語る上で欠かせない言葉なのに。」
「語らんでもいいっ!」
「じゃあ、大きくないおっぱい、豊かでないおっぱい、バインバインしてないおっぱい。」
「否定語もだめっ!!」
じゃあいったい、どうしろっていうんだっ!
エダムさんの言語統制『言葉狩り』に、ラグニルはすこぶる不満だったが、それでも目の前のおっぱいの魅力が失せるわけでもなく、唇での愛撫に切り替えた。
「にゃっ! だ! だめっ、だめっていってんでしょっ!!
おっぱいはもういいから、早くアソコにいれてよっ!」
聞こえないフリ。
「あっあっ、あああっ! や、だめん、ちょっ、すっちゃだめえっ!!」
聞こえない、聞こえない。
「だめっ!あんっひあっ! おっぱいさきっちょ、じんじんくるっ、やああ~っ!」
可愛らしい乳首を、ちゅうちゅう吸い上げながらもう片方の乳首を指で摘んでコリコリコリと指先でこね回してやる。
「だめっ! マジでだめっ! やだやだっ、おっぱいでいっちゃうってばっ!!」
いいことを聞いた、とばかりに責めを強化。ラグニルさん、本気でエダムさんをおっぱいアクメに追い上げるつもりみたいだ。
「やあっ、やだあっ!! あそこっ、あそこでいきたいのにっ! せーえき欲しいのにっ!!」
かなりせっぱ詰まった、絶頂寸前のあがきで、ラグニルの頭を掴んでがりがりと引っかき、あらがっているのだが。
「あっ! んーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・・・ッ!!」
びくん、と全身を緊張させて、絶頂した。
517:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:31:30 3KpGJzvS
女の子に意地悪をするのは楽しい。
だけど、あんまりやりすぎると怒られるんで程々にしないとね。
「ばかばかばかーーーーーーーーーーっ!!」
おう、もう怒られてた。
「はやくほしいのにっ! いじわるーーーーっ!!」
やはり彼女たち、身体が疼いてはいるが、ただ絶頂出来ればいいというわけではないらしい。
ちゃんと、ラグニルの精液を膣内射精してもらわないと、本当の満足とは言えないんだと。
「はやく、あたしのあそこにっ! あたしのオマンコに、ラグニルのチンコ入れてよっ!!」
なりふり構わないというか、もう言葉を選んでいるわけにもいかないようで、スケベな言葉を口にして必死に男を誘った。
「あらら、嫁入り前の女の子がなんてはしたない。」
二度目かな、同じ言葉を言ったのは。天丼ネタだとエダムさんは「あんたが焦らすからでしょうがっ!」ってなかんじで切り返すはずなんだけど。
「あ、あたしっ! あんたのお嫁さんになるからっ!! もう意地悪しないでえっ!!」
とまぁ、何とも可愛らしい弱音を吐いた。
「しょうがないなぁ、エダムちゃんは~。」
そう言って、ラグニルはエダムさんを抱き上げて、自分はあぐらを掻いて座る。
対面座位という奴だが、身長差もそこそこにある二人、目線を合わせると彼女の腰はラグニルの腰よりも少し高い位置にくる。
しかし、座位といってもただの対面座位ではなく、エダムさんの足は大きくV字開脚のまま、ほっそりした太腿を二人の身体で挟むようにして抱き抱えられている。
足をあげた姿勢なので腰も自然と曲げられて、彼女のシンプルな縦筋がラグニルに押しつけられる格好だ。
「じゃあ、エダムちゃんの処女、一気にもらっちゃうぞ?」
エダムさんは言葉ももどかしく、こくこくと頷いて男の挿入をせがむ。
追いつめすぎたことに反省して、ラグニルはエダムの唇にキスをする。そして、言葉通り一気に、ペニスを彼女の中に挿入した。
「んんーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!」
キスで唇を塞がれて、喉で叫ぶエダムさん。数秒前までまごうことなき処女だったマンコは、今ではずっぽりと男のチンコを埋め込まれている。
果たして先ほどの叫びは、破瓜の痛みの絶叫か、待ち望んだものを迎えた歓喜の声か。
それを確認することもしない、だってキスがやめられないから。
ちょうど、エダムさんの腰を抱えるように手を回していたラグニルは、そのまま彼女のお尻を引き寄せるようにして、チンコを彼女の奥に、
奥にとめり込ませていった。
「んんっ! んんんんっんん~ッ! ンンンーーーーーーーッ!!」
喉だけで上げる嬌声は、やっぱりどうやらうれしい悲鳴らしい。喉元を震わせて呻くその音に、悩ましく鼻を鳴らしてヨロコんでいる。
ラグニルは、掴んだ彼女の腰を、先ほどから一度も持ち上げずにいる。エダムさんの膣の奥、子宮の入り口に押しつけられたペニス先端を、
それでもまだ、ぐいぐいと押しつけてくる。
518:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:33:28 3KpGJzvS
「ぷはっ、はああっあああっ、んああああああっ、そんなに、そんなに押しつけられたら、あながあいちゃうっ!」
とうとう我慢できなくて、エダムがキスを中断、ラグニルに訴えてきた。
「はやくズポズポしてぇっ! ガンガン抜き差ししてっ!!
あたしのマンコで、思いっきりチンコをこすってえっっ!」
エダムさん的にはもうラグニルのお嫁さんになっているらしく、嫁入り前には咎められた淫語も言いたい放題。
エダムさんの腰はラグニルの手で押さえられて自由に動くことが出来ず、またもや焦らされることになってしまったわけで。
ラグニルとしては、本格的なピストン運動の前に、エダムさんの膣をしっかり拡張しておこうという算段だったわけだから、これで準備万端。
「よーし、それじゃあいくぞっ!」
ラグニルがそう宣言し、いよいよピストン運動に入った。今まで押しつけるだけで十分に広げていた膣道を、今度は逆走。彼
女の腰を持ち上げてペニスが抜け落ちる寸前のところまで引き抜いた。
「きあっ!!」
引きつけを起こしたような奇妙な悲鳴で、エダムさんは震えた。ラグニルのペニス、その大きく開いた傘が、彼女の膣襞をえぐるようにひっかき、
そしてまた、勢いよく突き刺さる銛のように膣奥を突き上げた。
「ああっ! あーーーーーーーーっ、ああーーーーーーーーーーっ!」
もう、意味のある言葉を話すことも出来ず、ただただ叫ぶのみ。
ラグニルのピストンによってこすり倒されるエダムさんの膣は、彼女自身の意志か反射か、悩ましく捻るような動きが加わった。
「うおおっ、エダムちゃん、それ、効くぜ!」
ラグニルも呻く、そしてエダムも喜ぶ。これがラグニルとそのお嫁さんになったエダムさんの、夫婦初めての共同作業なのか!?
「ひにゃあああーーーーーーーーーーっ、あっはっあああっああーーーーーーーーーーーっ!!!」
普段は割と論理的で頭の回る彼女だが、セックスで追い込まれるとこれこのとおり、まるでバカになったみたいによがりまくる。
ラグニルは、そんな彼女の嬌態に気分良く高まりながら、いよいよ最後のトドメをささんとフルスロットル。
「ーーーーーーーーーーーーーッ!!」
とうとう最後に、限界のか細い悲鳴を上げて、エダムさんが絶頂した。
同時に、今度は遠慮も無しの、最初っから決め打ちの膣内射精で、ラグニルも果てた。
ビュゥーーーーッ、ビュゥーーーーーーーッと勢いよく、エダムさんの子宮に流れ込むラグニルのザーメン。
ビュクッ、ビューーーーーーッ!と際限なく、大量に射精された白濁流は、ぴっちりと隙間もないほどにエダムさんの胎内を満たし、
そして逆流して外にあふれ出した。
エダムさんは絶頂に意識を手放すその間際、自分の身体の内側から、射精された精液が染み込んでくる幸せな感覚を味わっていた。
気を失ってもなお、咥え込んだペニスをきゅんきゅん刺激し続けているエダムさんの膣は、最後の一滴までも彼の精液を絞り出そうと脈動している。
ラグニルは、彼自身も射精直後の恍惚に浸っていたが、最後に大きく一呼吸してからペニスを抜いた。このまま入れっぱなしにしていたら、
なし崩しにもう一発ハメてしまいそうだったからだ。
あと、二人。
まずはあと残る二人の膣内に射精してやらなければいけない。
いや、『いけない』ではなくて、『射精していい』んだよ。
パルメさんやエダムさんの身体は気持ちよかったが、彼女らの身体を再び味わうのは、またあとだ。
ひとまずは先に一巡すること。
519:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:36:16 3KpGJzvS
「さぁ、はやくはやく!」
「もう、待ちくたびれてしまいましたよ~。」
ゴーダとチェダーが、二人並んで待っていた。
並んで、といっても、一列縦隊に行儀よく順番待ちをしていた訳ではなく、二人で横に並んで、行儀悪くお尻を突きだして、
早く入れてくれとせがんでいたのだ。
「うは!」
ラグニルは思わず唸った。
チェダーさんゴーダさん、身体の発育は十分以上に良好で、丸く形のよいお尻が何とも美味しそうだったからだ。
チェダーの、真っ白で柔らかそうなお尻と、ゴーダの、褐色で張りのあるお尻。
「はやく、俺のマンコからハメてくれ!」
「ああん、私のオマンコの方が先です!!」
それら二つのお尻を並べられて、早くどっちか選んで食べてくれと迫られては、どちらも捨てがたくどちらから食べようか、迷うよね、男だったら。
「うおおおおっ、けしからん! なんてけしからんお尻なんだ!!」
二人の尻をまとめて、がっしと掴む。そしていっしょに、ぱん、ぱんと叩いてみるラグニル。
ぱしん、と叩かれたゴーダの褐色尻たぶは、きゅっとしまった張りのある肉で、叩かれた衝撃が掌に跳ね返ってくるように響く。
ぱしん、と叩かれたチェダーの純白尻肉は、ふわりとした軟らかさのある肉で、叩かれた衝撃が柔肉を波打たせるように響く。
「よし、じゃあ、まずはチェダーからだ!」
並べられた二つの、魅力的な尻を見ていると、二人まとめていただきたい衝動に駆られたラグニルだったが、さすがにそれは思いとどまった。
もちろん3P、4P、5Pのハーレムセックスは大好きだけど、あいてはバージンなんだから、最初くらいちゃんと一人一人向き合ってセックスしてやりたい。
ほかの女と十把一絡げにしてロストバージン、ってのはちょっと可哀想だ。
とりあえず次はチェダーさんに決めたラグニル。ゴーダさんを待たせることになるのは勘弁してもらおう。
今度は、チェダーさんを仰向けに寝かせた。
その、デカいおっぱいは、仰向けになるとさすがに自重に負けて、左右に開くように広がってしまうのだが、そこはそれ、まだ十代の若いおっぱい。
おばさんのおっぱいみたいにだらしなく垂れてしまうのではなく、若く瑞々しいおっぱい力と世界の引力がせめぎ合った結果、
引力に少しだけ花を持たせて妥協した程度の広がり具合。間違いなく、引力におっぱいが勝利した瞬間だ。
「やっぱり、気になりますか、私の胸。」
あんまりまじまじおっぱいばかり見つめるものだから、さすがに気付かれてしまった。
彼女の問いには、ラグニル正直。
「もちろん。これほど大きくて魅力的なおっぱいは、魔界にもそうそうないよ。」
大げさに言っているようにも聞こえるが、あながち間違いとは言い切れない。
チェダーのおっぱいのサイズは、ちょうど、程良く熟した大玉のメロンがふたつ、なめらかにくっついているような感じだ。
柔らかそうな体つきではあるが、ぽっちゃり型ではなく、どちらかというと線も細い。大柄な女性の体格に応じた巨乳ではなく、成長途中の少女に与えられた巨乳だ。
もちろん、広い魔界を探すまでもなく、この人間の世界にだって、これ以上の大きいおっぱいはほかにもあるだろう。
しかし、ただ闇雲に大きければいいというものではない。
柔らかすぎて垂れることなく、それでいて女の子らしい綺麗な丸みを帯びた形を維持。
少女らしい可憐さと、大人顔負けのボリューム、そしてバストの形を司る腱と重力の調和。
その奇跡的ともいうべきバランスを保ったおっぱいなど、そうそうお目にかかれるものではない。
「よし、形はよし、申し分なし。次は手触りだ。」
520:名無しさん@ピンキー
10/02/21 10:36:30 a7LlLjEO
wktk
521:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:37:35 3KpGJzvS
そう言ってラグニルは、いよいよチェダーさんのおっぱいに手をあてがった。
「ひんっ!」
チェダーさんが、おっぱいを包むラグニルの掌の刺激に、甘い声を上げた。
彼女が生まれてこの方、自分の胸で得られると思っていた快楽の上限など、あっさり上書きの気持ちよさ。触られただけで。
「んんっああっ!!」
ラグニルの掌が、その指が巧みに、柔らかく動く。そのたびに乳房の唇が甘く燃えるような、熱い快楽がわき上がる。
「ふあっ、やっ、むねっ、むねが~っ!!」
指の力が強くなれば、そのぶん乳房に深く食い込んで、指のあいだからも柔らかく乳肉がはみ出す。
「や、いけませんっ、いけませんですよぅ~!」
まるで、大きな乳房ごともぎ取られそうになるくらい、荒々しくラグニルの掌が動く。もう掌だけではない、腕ごと動かさなければ乳房に見合わない。
「あっ、ああっ、ああああーーーーーーーーーーーーーっ!」
チェダーさんが、おっぱいアクメ。
しかし、ラグニルの掌は止まらない。
「あああっ、ひいいっ、ふあああっ、いったばかりなのにっ! またいくっ!」
連続おっぱいアクメ。
これでもラグニルは止まらない、いや、むしろ激しくなる動き。
「もうっ! もうかんにんしてくださいっ! ひ! あひあっ! またっ、また~~っ!!」
際限ない。
いったいいつまで責められるのか、チェダーさんが泣きながらイキまくるおっぱいアクメ。
しかしここで、ようやくラグニルが息を吐いた。
「ぷはあっ!!!」
おっぱい揉み始めてから、その感触に取り付かれ呼吸さえ忘れていた!
最初は「もみ、もみ」くらいのピッチが次第に「もみもみ、もみもみ」に変わり、「もみもみ、ぎゅむっ!もみゅもみ、もみゅううううっ、
もみもみっ!!」のような激しさを加えていった。
あまりにもその感触が気持ちよくて、さっきまでの軽口すら出てこない。
これは、美味いカニ鍋を食べているときには口数が減るというのに似た性質をもつ、恐ろしい乳だ。あまりにも夢中になりすぎてヤバい。
「お、恐ろしい胸だぜ・・・・・・。」
と、チェダーさんのおっぱいのすごさに畏怖しているラグニルだったが、自分を睨む彼女の視線に気が付いた。
「らっ、らぐにるさんっ、ひどいですよっ!!!」
「うわっ、ごめん!!」
あまりにもおっぱいを堪能しすぎて怒られてしまった。
さっきもいわれたけど、おっぱいだけでイカされても、彼女たちの辛さが晴れるわけではないんだよね。
さっさと膣内射精キメてあげないと!!
522:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:39:34 3KpGJzvS
「もう、こっち奈準備万端だよね、ハハハ・・・。」
「さっき誰かさんに、さんざんおっぱいでイカされちゃいましたから!!」
なんだか恨み言。
それも仕方がないね。
ラグニルがチェダーさんのアソコに手を伸ばし、濡れ具合を確認してのやりとり。
チェダーさんは、もう我慢が出来ない、といった具合で顔を真っ赤にしている。先ほどイキまくったおかげで顔の締まりが抜けてはいるものの、
そんな表情で怒られたりすると、申し訳ないやらゾクゾク欲情してしまうやら。
彼女のおっぱいは危険な存在で、ラグニルが自制を失えば永遠に揉み続けていたんじゃないかというくらい、とにかくヤバかった。
とにかく、早く先に進んで、彼女を開放してやるが吉。
「じゃあ、行くぞ。」
ラグニルは、チェダーさんを仰向けから半身を起こさせて、側臥位の姿勢をとった。
そして、上側に向いている左の太腿を抱えるようにして身体を重ねた。
先ほどから立て続けに射精してはいるものの、少しも硬度を落とさない。
人間のように「射精しては萎み、また勃起しては射精してまた萎む」といったあっぷあっぷの自転車操業などしないのだ。
そして、ラグニルはチンコをチェダーさんの股間にあてがい、狙いを定め、一気に腰を押し込んだ。
「ひぐっ!!」
破瓜の痛みにうめくチェダーさん、しかしそれはほんのわずか。
痛みにしかめた表情が、みるみる歓喜に変わっていく。
「ぅっああああっ!!」
一時かみしめた奥歯も、あえぎの声に緩く開いた。
そして、その唇も、さらに奥深く膣奥をチンコで突かれて、大きく開いた、
「ああああああっ、き、きたああああっっ!!!」
ずぶり、とチェダーさんの膣内をラグニルのペニスが埋め尽くし、その押し込まれた体積分を何倍もしたような声を上げた、
みっちりと、膣奥まで押し込まれたチンコに密着するような膣襞は、チェダーさんの腰のよじれによってひねるような動きを見せる。
その気持ちよさにラグニルはうめきつつ、それでも、それだからこそ、より深く、より強く、腰を押しつけていく。
「チェダーちゃん、処女を失った感想は?」
ラグニルが、側臥位のまま彼女の太腿を抱き、そして彼女に覆い被さると、ちょうどチェダーさんの横顔の上に顔がきた。
口元が彼女の耳のそばにあって、何かを囁きたくなる衝動。
そしてその衝動のまま、ロストバージンの感想を聞くなどという、なんともデリカシーのない言葉を囁いた。
チェダーさん、ここは怒っていいところですよ!!
「あはぁ、はい・・・、うれしいですぅ・・・・・・。」
お、怒らない・・・。
「さっきからもう、ずっとこれがほしいって、わたしのカラダが疼いてたんです・・・・・・。それなのに、胸ばっかりいじって焦らすなんてっ!!」
って、怒るところが変ですよ!?
「でもこれで、神官失格なんじゃない?
神様を裏切って、魔物にバージンあげちゃったんだから。」
523:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:40:46 3KpGJzvS
調子に乗ってつぶやくラグニルの言葉に、チェダーさんは視線を彼に向け、後を追うようにして肩越しに顔を横に向けた。
ラグニルの発した言葉は意地悪で、彼女の信仰をからかう、たちの悪いものだ。
しかし、彼に向けられた彼女の表情はそれを咎めるどころか、とろんと蕩けた笑みを浮かべている。
「べつに、かまいませんよ、そんなの。」
そう言って、彼女の方から顎を上げ、唇を押しつけてきた。
舌も差し込まず、ただただ唇を押しつけるだけのキスだったが、ラグニルもそれに倣い、ずいぶんと甘いキスを重ね合った。
「んむ、ん、んん・・・・・・。」
唇が離れたとき、チェダーさんの舌が小さく、ラグニルの唇を舐めた。
「わたし、これでもう堕ちちゃいましたね。」
神官が、神様を捨てて魔物と契約のキスをする、ってのは十分堕ちてるってことなんだろう。
神に背いて堕ちることを堕天というならば、その堕ちる先は地獄?
それがどこであろうと、とにかく彼女が堕ちるって言うならば、そこでちゃんと受け止めてやらないとね。
だれが? もちろんラグニルが。
だからラグニルは、それを聞いて満足そうに言った。
「おう、どんどん堕ちてきなさい!」
ラグニルは、先ほどのキスでもてあました舌先で、チェダーの鼻先をぺろりとなめた。
くすぐったそうに喜ぶチェダーさんは、なんとも淫蕩な表情で。
「じゃあさっそく、たっぷり膣内射精(なかだし)で、わたしを堕としきってくださいね。」
というわけで、膣内射精。
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!」
がくがくと身体を揺すって、チェダーさんが絶頂した。
それに合わせて、同時に射精。
都合三発目の射精だけれども、もちろんそれは、勢いが衰えたとかの半端な射精ではない。
亀頭先端を子宮口にねじ込んで、子宮内部に直接射精。
チェダーさんの子宮を満たし、満たし、満たし、大量のザーメンで子宮を内側から押し膨らませるくらいの射精。
これで堕天が完了したというのなら、それこそキャット空中三回転くらいの勢いで、堕天先であるラグニルのところに着地した感じかな。
ラグニルが一息ようやく吐き終えて、気持ちよかったーってな射精の名残を惜しみながら、チンコをずるりと抜き出した。
満足げに気を失ったチェダーさん、チンコが抜けたあとの膣口から、潮吹きみたいにぶびゅうっと勢いよく精液が噴き出した。
524:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:42:15 3KpGJzvS
「す、すげえな、あんた・・・・・・。」
これで三人、立て続けに犯され、絶頂とともに射精される光景を見続けたのは、残る一人のゴーダさん。
さていよいよ自分の番かと、疼く尻をもじもじ振りながら期待のまなざし。
「ああ、これから君も、こんな風にイカせてあげるよ。」
ぐったりと横たわる三人の女の子。彼女たちは少し前までは男を知らない乙女だったのだが、今となってはこれこのとおり。
「はやく、もう我慢できないんだ。さっきから焦らされっぱなしで、でももうマンコも濡れぬれなんだから。」
そうしてゴーダさんは四つん這いになって、自分から尻肉を掴み、ぐい、とマンコを開いて見せた。
褐色肌のゴーダさんだったが、そうやってさらされた粘膜は驚くほどきれいなピンク色で、あふれる愛駅でキラキラと光っていた。
「じゃあ、あんまり前戯とかはいらない?」
ラグニルがそれを確認するとゴーダさん、うん、とせわしなく頷いてから。
「あっ、ちょっとまって!」
とラグニルを制した。
「や、やっぱり、順番通りにしてほしい・・・・・・。」
「順番?」
なんのことやら、ラグニルは意味を掴みかねて、ゴーダさんに問いかける。
するとゴーダさん、褐色の頬に、ピンク色の羞恥を追加して、ぼそりと言った。
「さ、最初は、キスから、してほしいの・・・・・・。」
荒っぽい素行からは想像付かない、何とも乙女らしいつぶやき。
えらく可愛らしい、ゴーダさんの意外な一面を見たような気がして、ついついにやけてしまうラグニルであったが、
なんとかそれを押さえて彼女のご要望に応じてあげましたとさ。
たっぷりのキスのあと、それでもまだキスをせがむゴーダさんに応じてやりながら、ラグニルは四つん這いのままの彼女の腰にのし掛かっていく。
長身の彼女だが、ラグニルはそれよりも背が高く、四つん這いの上に身体を重ねても十分キスと挿入を併行できそうだった。
「うう、はあっ、ちゅっ、ん、・・・きす、きすすきぃ・・・・・・。」
回文を楽しむわけでもなく、ただ純粋に、優しいキスが好きなゴーダさん。ラグニルはそんな接吻を与えながらも、普段は気の強い彼女の媚態を快く楽しんでいる。
そしてそのまま、濡れ濡れの秘部に、チンコをあてがった。
「じゃあ、いくよ?」
ゴーダさんも、自分のマンコにあてがわれたラグニルのチンコを待ち望んでいる。彼の問いに、キスに酔いながらもこくりと頷く。
ゴーサインが出たところで、ラグニルは位置を合わせて、ずぶ、ずぶずぶと処女地にチンコを埋め込んでいった。
「うぐっんん・・・・・・。」
顔をしかめてラグニルを受け入れるゴーダさん。ラグニルは、そのまま待ちきれないといった感じで、ピストン運動を開始。
「あっ、ぐうん、すごい、これがせっくすか・・・・・・。」
「いやいや、まだまだ、こんなもんじゃない。」
525:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:43:36 3KpGJzvS
身体の中、ラグニルのチンコに蹂躙される子宮を中心に、女にしか味わえない快楽が広がっていく。
それに心酔わせるまもなく、ラグニルの攻めが激しくなる。
ずぐ、ぐちゅう、と愛液にぬめった膣内をチンコがかき回す。
「あっはあああっ、あっあっ、ふあっ!!」
「さらにいうが、まだまだこんなもんじゃないよ?」
ラグニルは、ゴーダさんとつながったまま、上半身を起こした。四つん這いのゴーダさんを後背位で犯す形になった。
獣同士の交尾の姿勢から、女を屈服させる支配者のような姿勢に。
「よしっ、ガンガンいくぜ!!」
そして、ラグニルは褐色の尻たぶを掴み、激しく抜き差しを開始した。
ずん、ずんとチンコがその長大なストロークで出入りする。少女の拳骨くらいはある亀頭が、ごりごりと膣壁をこすり立て、彼女を責め立てていく。
「あああっ!!あっ!あひぃっ!! がぁっ! す、すご、すごい、すごすぎる、チンコで突かれるの、凄すぎるぅーーーーーっっ!!」
もう、ラグニルにも、あまり余裕はない。彼女を焦らしたりして可愛がってやるほどの余裕はない。
とにかく、この女のまっさらな子宮に、たっぷりと魔物の精を植え付けてやりたくて仕方がない。
「ゴーダちゃんのマンコも、スゲエ気持ちいい、ものすごく締まるぜ!」
歯を食いしばりながらラグニルが言うと、それが褒め言葉に聞こえたのか、ゴーダさんは嬉しそうに笑った。
「俺のオマンコの奥に、早くオマエのザーメンを出してくれ! いっぱいいっぱい、ザーメン漬けにしてくれぇっ!!」
ピストンも、もうラストスパート。あとはもう、腰の奥にたまったザーメンを、どれだけ堪えて、どれだけ助走をつけさせるかといった最後の我慢。
「もうだめっ、だめっ、だめだめだめだめーーーーーーーーーーーーっっっ!!!」
ゴーダさんもとうとう限界、大きなアクメがやってきた。びくん、と強く背をそらして、獣のような悲鳴。
そして、ぎゅぎゅうと強く、艶めかしく、ラグニルのペニスを包む膣壁に強烈な締まり。その締まりの中に、最後の、とどめの一突き!!
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ・・・・・・・・・・・・・・・」
声にならない、なんだか可聴域すら超えたような絶叫で、ラグニルの精液を受け止めたゴーダさんは、そのまま息が途切れると同時にドサリと倒れ込んでしまった。
その間もラグニルは、まるで子宮の中を射貫くような勢いで、何度も何度も脈動を繰り返し、溜めていたザーメンをはき出し続けた。最後の射精を終えたあと、
自分のザーメンで満たされた膣内を軽くペニスで揺すってみると、ぐちゅりとぬめったきつい締め付けが何とも心地よくて、ついついもう一度本気になりそうなラグニルだった。
526:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:44:31 3KpGJzvS
四人の女に、一度ずつ、きっちりと膣内射精(なかだし)を極(き)めた。
ラグニルのペニスは、それでもまだ出したりないかのような様だったのだが、さすがに女の方が起きてこないので、これ以上連チャン、というわけにはいかないな。
・・・・・・・・・って、起きてこない?
それって、やばくないか?
「う、うう・・・・・・。」
ラグニルが、不安になり出した頃、パルメさんが呻きだした。
そして、エダムさんやチェダーさん、ゴーダさんも、皆、苦しそうに身をよじりだして。
その様子に、ラグニルが慌てて彼女らの状態をチェックしていくと、それぞれの身体に変化が。
「い、いたいです、ラグニルさん・・・・・・!」
パルメとエダムが、額から少量の出血。
「ぐ、ああっ、いてぇ・・・・・・。」
そして、ゴーダが腰骨の付け根あたり、チェダーが背中、肩胛骨のあたりから出血が見られる。
「これは、魔物化が進行してるんだ。」
ラグニルが言うとおり、おそらく外観的な変化が現れているのだろう。
しばらくすると、痛みも一段落したようで、みんなの意識も回復した。
「みんな、大丈夫か?」
ラグニルが、四人の女の子それぞれの様子を見ながら声をかけると、彼女らも一様に大丈夫、と返事を返してきた。
出血も収まり、息も普段のように落ち着いてきた。
いろいろと危惧していた血の影響も、少なくとも即死とかいった感じではないようだし、一安心といったところだろうか。
ただ、なんといいますか。
「ラグニルさん、あの、その・・・・・・。」
パルメさんが、頬を赤く染めながら、もじもじと何か言いたそうだ。で、その先の言葉を、エルだが引き継いだ。
「・・・・・・まだ、もうすこし、ほしいんだけど。」
続いて、チェダーとゴーダも、熱い吐息をはきながら。
「『毒をくらわば皿まで』と申しますか、」
「つまり、まだまだヤリたいってこと。」
そして四人は、ラグニルの、未だ屹立するその股間に顔を寄せた。
彼女たちはそれぞれ、彼のペニスにキスをしていく。ラグニルは、美少女たちのそんな求愛に、俄然燃えてやる気も倍増!!
「うおおおっ! やったるぜ!!」
ってなかんじに吠える彼だけど、まぁほどほどになー。
527:『いかにして勇者一行は魔界に攻め込んだか』
10/02/21 10:46:02 3KpGJzvS
とまぁ、そんなわけで時間を戻します。
つまり、それから一年がたったころ、さっきの続き。
机に向かって、懸命にペンを走らせて計算中のラグニルと、彼の邪魔にならないよう少し離れたところでくつろぐエダムさんとおっぱいのひと。
それでもまだラグニルにちょっかいをかけようとしているゴーダと、それをたしなめるパルメさん。
先ほどは、彼女らのことを「何かが違う」と表したけど、なにが違うのかは、もうおわかりだよね。
あれから一年たって、その間に何度も何度も、毎日毎日可愛がってもらった四人の女たち。
すっかり彼の眷属として馴染み、立派な魔物になりました。
パルメは額から長いツノが生えた。真っ白で綺麗な、長くてシャープな一本ヅノ。
まるで、気高いユニコーンのようなツノ、『元』勇者である彼女にぴったりの姿だ。
ゴーダは、長いしっぽが生えてきた。そして耳の形も長くすらりと伸びて、褐色の獣人へと変貌を遂げたわけだ。
豹のようなしなやかな身体、鋭い爪と、すっかり獰猛な獣の彼女、まぁ、先ほどのようにラグニルには、猫のように甘えるんだけどね。
おっぱいのひとチェダーには、コウモリのような羽が生えている。まるで、神を裏切った烙印を押されたような形かな。
だけど当の本人はそれほど気にならない様子で、大きなおっぱいをたゆたゆと揺らしながら、その羽をはためかせてふわふわのんびりと浮かんでいる。
エダムにはもう一つ、額に目が出現。
普段は×印の絆創膏で封じているが、書物に目を通すときにはそれを解放して、三ッ目で素早く読了してしまう、スピードリーディング。
少し前まで本人は、読書効率向上のためにもう一つくらい目玉があってもいいと思っていたのだが、ラグニルに「三ッ目が可愛い」と褒められてからは、
このままでもいいかと満更でない様子。
魔物として、ラグニルの眷属となった四人は、そのまま彼の元に居着いてしまった。彼の目的である、『魔界統一』を助けるためだ。
『魔界統一』について語りだすとまた長くなるので簡潔にまとめると、
・ラグニルは魔界でもかなり強い魔物だったが、眷族を作れないため『魔王』になれなかった。
・彼を自分の眷属に加えようとするほかの魔王たちが交渉したが、彼はどこにも与さなかった。
・ほかの魔王に奪われるくらいなら、と多くの魔王が団結、騙し討ちでラグニルは魔界から追放された。
・腹が立ったのでやり返してやろうと心に決めた。
以上のような顛末である。
こうやって簡潔に書くと、えらく単純な動機のようにも思えるが、そこはそれ、魔物同士の深く陰惨でどろどろとした確執があると思ってください。