保健室の死神でエロパロ 入室者1人目at EROPARO
保健室の死神でエロパロ 入室者1人目 - 暇つぶし2ch250:名無しさん@ピンキー
10/05/31 20:50:12 3nzOvfI3
まさかの続きGJ!!!

藤が鬼畜で終わらなくて尚更嬉しい

251:名無しさん@ピンキー
10/05/31 22:39:29 IclnrTrA
藤、イケメンじゃなきゃただのレイプなのに…くそっ、イケメンこじらせて死ね!

藤花GJ!!!

252:名無しさん@ピンキー
10/05/31 23:42:39 UHeeokaB
>>242-247
わしの乙は108まであるぞ

253:名無しさん@ピンキー
10/05/31 23:54:02 6UKGOfWa
最近職人GJすぎる
今週の読んだが最近神回(女子が可愛い回)が続くなぁ
しかし今回こそアシタバ主役回かと思ったがそんなことなかったんだぜ!

254:名無しさん@ピンキー
10/06/01 02:38:58 3SJEGLLA
久しぶりに来たら作品増えてて嬉しい、全て職人さん乙です

それにしても、もし藤が中で出して花巻さんがにんっしんっしたら14才の母か…
ちょっとゾクゾクするね

255:名無しさん@ピンキー
10/06/01 09:07:40 NkFUVnn0
毎回思うが病魔のエロパロに対する適応性と応用性が異常。

256:名無しさん@ピンキー
10/06/02 17:23:08 MmnlFfWS
職人GJすぎる
最近面白いからかな
読んでる人が増えたって意味でも嬉しい

257:名無しさん@ピンキー
10/06/02 18:44:16 pdSYR+QK
マジで最近は面白い話が続いてる。
軌道に乗ってしまえば、作品的にも勢いがつくんだけどな。
てなことで祈願を兼ねて投下。

258:魔女が囁く 1
10/06/02 18:50:45 pdSYR+QK
昼休みの校長室、昼食後に暇を持て余してしまった三途川千歳は何か面白そうなものかないか、
そんな勢いで窓から身を乗り出さんばかりに校庭を眺めていた。目を皿のようにするまでもなく、
退屈しのぎのネタはすぐに見つかった。
「…ほう、これは使えるな」
三途川が見つけたのは、今にも頭から火を噴きそうに怒り狂いながら校庭を物凄い勢いで直進
していく才崎美徳だった。
「また逸人くんと喧嘩でもしたか…やれやれ」
とは言いつつも、黒手袋の指を頬に当てる表情は明らかに何かを企んでいる。

「全く、あの人は何度言っても…」
校舎に入ってからも美徳は怒りが収まらないままだ。
別にいつも怒りたい訳じゃないが、ハデスに対してはいつもこんな風になってしまう。ついさっきも
掲示板に無許可のポスターを貼っていたところに遭遇したばかりだ。とはいえ、それぐらいでいち
いち目くじらを立ててしまうのも大人気ないのは分かっている。
なのにどうしても理解できないことをしていると、つい声が荒くなってしまうのだ。
こんなやたらとうるさい女は誰だって嫌だろう。そう思ったら急に気分が落ち込んでしまう。外見
からは決して分からないが。
「才崎先生」
肩を何か硬いもので叩かれた気がして振り向くと、杖を持った三途川がいた。
「…校長先生。何か?」
「相変わらず威勢のいいことだな」
ピンクのウイッグの下の童女のような顔がにやりと笑う。突然のことで、何を言われたのかすぐ
には分からなかった。
「な、何のことだか」
「逸人くんを許してくれたまえよ、あれで悪気はないのだ」

259:魔女が囁く 2
10/06/02 18:51:37 pdSYR+QK
「御覧になっていらしたのですか」
「うむ。しかし職員同士の交流がスムーズにいかねば何かと支障が出る。早急に仲直りをして
貰いたいのだ」
「はあ…」
やはり外見からは分からないが、美徳は更に落ち込んでいた。衝動的で短気なのは早く直して
おかないと、教職に就いている以上は確かに色々とまずい。そんな心の隙を突くように、三途川
は魔性の囁きを告げた。
「良いことを教えてやろう。逸人くんは深酒をすると記憶が飛ぶことがあるぞ」
「…は?」
「君も大人なら多くを言わずとも察せられるだろう。健闘したまえ」
それだけ言い残すと、三途川は何やら意味ありげな微笑を浮かべて立ち去ってしまった。
「な、何だろう今のは…」
ハデスといい三途川といい、この学校には何故か美徳の理解を超える者がいる。暗喩のような
言葉が頭の中で融けていくに従って、とんでもないことを言われていたのだと理解した。途端に
思考がパニックを起こしかける。
「それって、つまり…ああもう!」
どのみち悩んでいるだけでは今の状態から一歩も抜け出せない。ここは目上の意見を聞くべき
だという結論を持ち前の律儀さから導き出して、まだどこかで迷っている心に言い訳をした。

清水の舞台から何度も飛び降りるイメージで心を決めながら保健室のドアを開けると、昼休み中
にはいつもここでだべっている生徒三人が珍しいものでも見るような目で迎えた。中でも美作は
真っ先に声をかけてくる。
「よー、みのりちゃん。何か用か?」
「ハデス先生がいると思ったんだけど。さっき勝手に保健室のポスターを貼ってたので」
「だったらまたすぐに分からないところに貼りに行ったんじゃね?変なトコに労力使ってるしさ」
「あ、僕ポスター書くの手伝ったけど、悪かったかな…」
並んで弁当を開いていた藤とアシタバもどこに行ったか本当に知らないようだ。せっかく決意
して来たというのに早速挫かれるのも癪で、美徳は気が逸ってしまった。
「…もう、許可も得ずに勝手なことをして貰っては困ります!探さなきゃ」
保健室を出たところで、ハデスが別棟の視聴覚室の入口にいるのが窓から見えた。五時間目
の授業の予鈴まであと五分。
それまでに言っておかなければいけないことを懸命に頭の中で反芻しながら、追いかける足が
次第に早くなっていく。

260:魔女が囁く 3
10/06/02 18:52:34 pdSYR+QK
「ハデス先生!」
「…あ」
「あ、じゃありません、何ですか。こんなところで」
別棟三階の視聴覚室のドア前にポスターを貼ろうとしていたハデスは、美徳に見つかって驚いて
いるようだ。まさかここまで追って来るとは思ってもいなかったらしい。
「見つかりましたか」
「見えました」
「じゃ、これは諦めます。残念ですが」
がっくりと長身を屈めて、見るからに落胆した様子で引き下がろうとするハデスに、美徳はここ
に来た理由を思い出して近付いていく。
「…私も、このようなことは言いたくないのです。うるさいと思われても仕方がありません。そう
いう自分があまり好きではないのですけど」
「うるさいなんて、そんな。才崎先生はいつも常識的な方ですよ」
「それでしたら…ご相談に乗って、頂けますか?よろしければ今夜にでも」
「あ、はい。僕はいつでも構いませんが」
ハデスは何も知らずにすぐ了承をした。何か言われたら返すつもりだった幾つもの言い訳を頭の
隅に押し込めて、美徳はまっすぐに見つめる。
「嬉しいです、断られるとばかり思っていましたから」
「才崎先生の頼みを断る男なんて、いませんよ」
「そうなんですか?」
これはあくまでも三途川の助言に従っただけ、何の他意もないのだと自分に言い聞かせる美徳
の気も知らず、ハデスは無邪気に問いかけてくる。
「あ、ついでにこのポスターは貼ってもいいですか?」
「それはいけません」

261:魔女が囁く 4
10/06/02 18:53:15 pdSYR+QK
三途川に言われるまで、ハデスは全く飲めないのだと思い込んでいた。多分調子に乗って飲み
進むタイプではないのだろう。
「…という訳なんです。私、どうしていいのか分からなくて…」
相談事の内容が内容ですから出来るだけ静かな場所でと言ったお陰で、二人が今現在いるのは
随分落ち着いた雰囲気のバーだ。美徳はグラスを傾けながらも待ち合わせの時間まで何とか作り
上げた嘘の相談事の辻褄を、一生懸命合わせながら言葉を続けていく。
その間ハデスにもしきりに酒を勧めた。カウンター席ということもあって、随分二人の距離の近い
ことがどんどん美徳を大胆にさせていく。
「こんなこと、とても素面じゃ言えませんもの。分かって頂けますね」
「ええ、もちろん。才崎先生にそんなお悩みがあったなんて存じ上げませんでした」
ここに来てから美徳と同じだけ、いやそれ以上に飲んでいる筈なのに、ハデスの様子は普段と
少しも変わらない。いや、変わった部分があるとすれば、年齢なりの大人の男性らしさがこの夜
の雰囲気に合っていることぐらいだ。そう思えてしまうのは、ほんの少し酔っているからなのかも
知れない。
「分かって頂けて嬉しいですわ」
嘘を見抜かれないようにと気を昂らせているせいか、それとも出来るだけ共感させようとわざと
話を大袈裟にしているせいか、美徳は涙を滲ませている。それが余計に悲しむ女に見せている
のだろう。
「よくお話をして下さいましたね」
危惧する必要はなかったのか、ハデスはやたらと真剣に聞き入り、美徳の作り話をそのまま受け
入れている。罪悪感さえ覚えるほどに。
「それはハデス先生だからですわ」
もう一押し、とばかりにグラスを握っていた手を取る。一瞬驚いたような顔がすぐに柔和に戻ると
強めの力で握り返されてきた。
「冷たい手ですね…」
「そんな…女だったら多分誰でも」
「いいえ。才崎先生の手はびっくりするほど冷たいですよ。今までお辛かったことでしょう」
身を寄せて見つめてくる表情はひどく真摯だった。

262:魔女が囁く 5
10/06/02 18:53:57 pdSYR+QK
「僕はいつでも味方ですから、ご安心下さい」
「ええ、ありがとうございます…」
あまりにも事が上手く進み過ぎていることに疑問を持つこともなく、美徳は涙を拭った。思えば
この場の雰囲気に呑まれていただけなのだろうが、企みと酒の力が思わぬ相乗効果をもたら
している。
「才崎先生、僕は…」
「ハデス先生」
その時。
何か言おうと至近距離で顔を寄せていたハデスが突然がくりと頭を垂れたかと思うと、美徳に
倒れ込んできた。
「きゃ…!」
幸い、咄嗟に抱き留めたのでバランスを崩すことはなかったが、ハデスは眠り込んでしまっている。
いつも深酒をしがちな美徳以上に飲んでいたのだから、今夜はよほどのことだったのだろう。
「こんなところで眠っては困りますわ」
突然のことに、他の客たちがちらちらとこちらを見ている。その視線に辟易しながらも何とか体勢
を立て直そうと足掻く。けれど無駄だった。長身のハデスは美徳の胸元に頭を預けている。今夜
着ているワンピースは思い切って胸元の開いたものにしていた。
傍目からは随分関係の進んだカップルに見られていることだろう。そこまで考えて、美徳ははっと
自分のしようとしていることがどんなものか、改めて気付かされた。
「まさか今夜…いいえまさか。そんなすぐには」
最初こそは三途川にそそのかされたと幾らでも言い訳が出来た程度のものだ。しかし全くの作り
話を相談事と言ってこんな妖しい場所に誘い出したのは、間違いなく美徳の意思だ。そこまでして
欲しいものがあるとすれば、それはもちろんたった一つだ。
「ハデス先生、こんなところじゃ何ですから、場所を変えませんか?」
とにかく何にしても、この体勢ではいられない。必死で身体を揺さぶり続けるうちにようやくハデス
は目を覚ましたようだ。

263:魔女が囁く 6
10/06/02 18:54:51 pdSYR+QK
「お目覚めになりました?」
がばっと身を起こしたハデスは、幼児のようにきょろきょろ周囲を見回した。
「あの、ここは…。僕はどうしてここにいるんですか?」
「はあ?」
あまりのことに美徳は呆然とするしかなかった。そういえば三途川は深酒をすると記憶が飛ぶ
ことがあると言っていたが、まさか今ここで全部が飛んでしまうとは思ってもいなかった。
「あー…何か失礼なことを言ったりしてたら謝ります」
「あ、あ、あなたという人はあーーー!!!」
今日一日、一人で色々と気を揉み、策略を巡らせていた美徳のどこにも行き場のない怒りは
凄まじいもので、遂にメルトダウンを起こした。

数日後の昼休み、保健室でアシタバは妙にびくびくしながら弁当を開いていた。食欲もあまり
ないようだ。
「才崎先生、最近どうしたのかなあ。なんか怖いよ」
「イライラする女ってのは、大抵アレだろ。じゃなきゃ更年期が来たとかさ」
弁当を食べ終わり、ちゃっかり用意されているお菓子にも手を伸ばしていた藤が興味なさげに
吐き捨てるついでに、隅でどんよりと落ち込んでいるハデスに問う。
「あんた知ってる?理由」
「多分僕が才崎先生を怒らせたと思うんだけど、何がどうなってそうなったのかさっぱり分からな
くて…」
「自覚がないってのは最悪だな。いくらみのりちゃんでも、意味なく怒っているとは思わないけど」
美作の一言が更に追い討ちをかけたのか、ハデスは更に身を屈めた。
顔の怖いデカい男がめそめそしているのは非常に鬱陶しい。短い昼休みでもあるし、関わらない
方が良いと判断したのだろう。生徒たちは空気を読んで黙り込んでしまった。

264:魔女が囁く 7
10/06/02 18:55:28 pdSYR+QK
美徳の悪いのは、意識してしまうとかえって墓穴を掘ってしまうところだ。事実、最初に助けて
貰ったお礼を何だかんだでハデスにはまだ言ってもいない。謝ろうとしてうっかり背負い投げを
したり、些細なことで腹を立てたりとろくな結果になっていないのがいい証拠だ。
この前のことも元は美徳が下手な策略をしたからで、忘れてしまったからといってハデスには
何の罪もない。それは分かっている。
「だからといって!」
生徒は立ち入り禁止の屋上で一人で弁当を食べながら、美徳は長い間つらつらと考え、悩み、
落ち込み、立ち直りを何度も繰り返していた。
あの夜、一度は貞操の危機を覚悟しただけに、すぐに元には戻れない気持ちが怒りのフィルター
をかけ続けているのだ。けれどさすがにこのままでは生徒たちの教育にも良い筈がない。教師
がこんな八つ当たりをするものではないのだ。
「…やっぱり私が謝らないと」
今回のことは、似合わないことをしたから罰が当たった。次があるとしたら正攻法で当たってみる
しかないと何度目かの立ち直りでようやく心が決まった。
「よし、放課後にでも」
立ち上がった美徳の表情は見違えるほどすっきりとしていた。

「…やれやれ」
校長室から双眼鏡で屋上を見ていた三途川は、興をそがれたような顔で窓から離れた。魔女
の一言程度では人の心は操れない。それがいたく不満のようだ。






265:名無しさん@ピンキー
10/06/02 18:57:14 pdSYR+QK
さっき貰い物のチーズケーキ食ってたら、使っている牛乳の名前が「乳しぼり」
だった。ホントにこんな名前あるんだな。

266:名無しさん@ピンキー
10/06/02 19:06:45 FkDi7GMd
なんなんだこのゴールデンウイークはww

267:名無しさん@ピンキー
10/06/02 21:16:34 Z9TBLdQj
乙牙天衝ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!

268:名無しさん@ピンキー
10/06/02 21:56:15 nUubmq1d
GJ!
ハデみの増えて来て嬉しい!!
職人さんありがとう!

しかしやっぱりハデス先生は落ちないなw
自分も書いてみようと構想練ってるが、どうしてもエロまで持っていけん。

269:名無しさん@ピンキー
10/06/02 22:28:34 565dFWrW
ハデみのGJ!!

270:名無しさん@ピンキー
10/06/02 23:21:25 akrIytSO
職人さんマジGJですわ

271:名無しさん@ピンキー
10/06/02 23:39:39 XBeXkeJH
職人だがごめん。ホンマごめん。
勿体をつけている訳でも何でもなく、ハデスはエロに持っていき辛いキャラ
なんだ。知っての通り、設定そのものがエロ耐性ありすぎで。
でも、だからこそどうにかしてエロにするつもりはありありなんで、もう少し
頑張ってみる。

272:名無しさん@ピンキー
10/06/03 00:37:28 gE6hRm1O
自分はその落ちそうで落ちないところも楽しんでる。
ハデスらしさが失われず、みのりらしさも合わせていくと
なかなか難しいよね。
職人さん無理せんでな。

273:名無しさん@ピンキー
10/06/03 21:53:24 1lTs4XmI
久々に来たらなんてこった!
GJGJGJGJ!!!!!!

274:某スレの残念絵師
10/06/03 22:07:21 UdNGNFsA
くそっ! くそっ! 自分もハデス×みのりんを書きてえっ…!
しかも校長を絡めた奴を!
だが規制が! 永久規制という名の病魔が!
だが手ぶらなのもなんなので、ちょっとこのスレをいやらしい雰囲気にしてきます!

「ハァハァ…、んっ!」
 ビク、と美徳の体が、歓喜に震える…。
「こ、こんなことっ…、しちゃいけないのに…」 
 荒い息と快楽の余韻の中、透明な液体が滴る自らの指を見つめる。
 彼女は夜、自室で一人寂しく火照る自分の秘部を慰めていたのだ。
 夢想の相手は「保健室の死神」とまで呼ばれる顔の怖い養護教師…。
 彼に抱かれる自分を想像して昇天してしまったのだ。
「…逸人さん…、私…」
 ぎゅ、と相手の名を呼び、自分の体を抱きしめる。
 彼の事が気になってから、やるせなくて、愛しくて、ついには夢にまで見てしまうようになった…。

 ちくしょう仕事の時間だ 続きはWEBで!
 暇つぶしにでもしてくだされノシ


275:名無しさん@ピンキー
10/06/03 22:40:05 D+h74Qj9
GJ!もっとエロくなっていいんだぜ…

276:名無しさん@ピンキー
10/06/03 23:18:01 b8DBXUVD
ちょww

脳内メーカーみたいなやつの広告のバナー、彼氏と彼女の誕生日がアシタバとシンヤだったという奇跡

URLリンク(imepita.jp)

277:名無しさん@ピンキー
10/06/03 23:30:32 ab+1uT9U
>>274
GJ…自慰というてもあるな…

278:名無しさん@ピンキー
10/06/03 23:52:18 vIOJP6zA
みのりちゃんの自慰でもいいよホント

279:名無しさん@ピンキー
10/06/04 02:39:05 SEUKS2fW
シンヤ自慰あり。
訳あって続いてる。

280:ナイトメア 1
10/06/04 02:39:57 SEUKS2fW
午後九時半。
入浴を終えて部屋に入った真哉は、何気なく入口の鏡を眺めた。
いつもの顔、いつもの自分。
「…こんなものなのかなあ」
この頃、真哉は出来るだけ早く大人になりたくて仕方がなかった。その原因はもちろん例の養護
教諭にある。
いつも保健室に行けば優しく迎えてくれるその人は、顔は怖いけれど不思議な力があった。その
力で真哉も救われた。
それから恋をして、ずっと想い続けてきた。オバケ先生と他の生徒たちには怖がられているから、
きっと誰にもこの恋は邪魔されることはないと思っていたのに、到底適わなそうなライバルが出て
きたから正直を言えば焦っている。
年齢も近い、同僚同士で色々と話すこともあるだろう。ちょっとしたきっかけでいつ急接近しても
おかしくない。だけど生徒の立場でそれを見ているだけになるのはどうしても嫌だった。
「何で私、まだ子供なんだろう…」
鏡の中の真哉は何度眺めても大人にはならない。焦っても、ハデスとの年齢差は一秒たりとも
縮まらないのだ。どんなに好きでも、たとえ想いを告げたとしても、ハデスの性格を考えるなら
お互いの立場を考えて諭されるだけだろう。
「もっと早く生まれて来れば良かったのに…」
自分ではどうしようもないことに悩んでいるのは、解決法がないだけに頭が疲れるだけでとてつ
もなく空しい。
することもなくベッドに寝そべっているうちに、一日の疲れがとろりと意識を押し包んでいく。心地
の良い眠気の中で、突然聞き慣れた優しい声がした。
『鏑木さん』
「…ハデス先生?」
はっと起き上がっても、もちろん誰もいない。ただ、幻聴のような声だけが響くだけだ。けれど、
それだけで身体の芯が何故か熱く疼いた。

281:ナイトメア 2
10/06/04 02:40:42 SEUKS2fW
胸が痛い。
あの一見怖い、だけどどこか寂しげな顔を思い出すと切なくて鼓動が早まるばかりだ。ベッドに
横たわってタンクトップに手を差し入れ、乳房に触れてみる。
「あ…」
身体に篭っていた熱が一気にそこに快感となって集中した。これまであまり自分でも触ったこと
などなかっただけに、こんなに気持ちがいいものだと思ってもいなかった。
『綺麗な身体だね』
声はまるで耳元で囁いてでもいるように近い。あの穏やかな声音が更に真哉を煽る。育ちかけて
いる膨らみを揉み、興奮の為か硬く尖っている乳首を指先で撫でているうちに、すっかり行為に
没頭してしまう。
「先生…そこがいいの、もっと触って…」
真哉の意識の中では自分の指が完全にハデスのものとなっていた。いつも憧れを持って眺めて
いるあの細くて長い指が、今はこうして身体を這い回っていると思うだけで嫌なことは全て忘れ
られた。
『ここだけでいいのかな?』
「ううん、もっと別のところも…」
真哉はもうすっかり湿っているショーツを足から抜いて、ずくずくと疼いて刺激を欲しがっている
陰部の中心に指を滑らせた。
「…あっ…」
乳首と同じぐらい硬くなっている芯が、爪先が掠めるだけでも痺れるほどの快感を生む。今の
姿を恥じることもなく、真哉はただ快感の中に浸っていた。声は一層優しく、甘く、耳を蕩かす
ほどに魅惑的になった。
『随分、いやらしいね。鏑木さん』
「そんな…私先生だからこんな風に…」
『それは嬉しいよ、じゃあもっと感じてくれないかな』
幻の声に誘惑されて、真哉は一人ベッドの上で身悶える。こんなことはないだろうと思っていた
ハデスとの情事を夢想して、膣壁を擦る指の動きが一層早くなった。

282:ナイトメア 3
10/06/04 02:41:18 SEUKS2fW
「あぁ…先生…」
真哉の頬は紅潮し、唇はわなないている。そろそろ絶頂も近いようだ。
『いい子だね、鏑木さん』
あと少し、というところで糖蜜の毒のような声がじんわりと脳髄に沁みた。途端に凄まじい快感が
背筋を駆け抜け、愛液でびしょ濡れになった指が思いきり膣内を抉る。
「うあああっ!!」
これほどに激しく感じたことはなかった。
全てが終わって熱が引いてからも、真哉はしばらくベッドの上で身を屈めていた。自慰をしている
間ずっと聞こえていた声は確かにハデスのもので、だからこそ自分の指をハデスのものと認識
することが出来た。
現実で叶わない夢なら、夢想するぐらいは構わないだろう。
真哉はささやかな悲しい幸せの方を真実だと思い込もうとしていた。
何が夢で何が現実でも、確実に得られるものの方がましだからと。

翌日から真哉が保健室に現れることはなかった。
そうして三日後の昼休み、美作がしきりに首を捻る。
「シンヤの奴どうしたんだろうな」
「どう…って?色々と忙しいんじゃないのかなあ」
相変わらず保健室に集まっている生徒たちのお茶汲みをしていたハデスが、別段何の疑問も
持たないまま答える。
「んな訳ないだろ。あれだけ何かにつけて来てたのによおっ」
奇妙なこともあるものだと、美作も不思議がるばかりだ。

それが何だか心に引っ掛かっていたハデスは、放課後に真哉の姿を見かけたので話しかけて
みた。
「鏑木さん」
「…はい?」
声に振り返った真哉の表情は、いつもの生き生きとしたものではなかった。まるで人形のように
表情が貼り付いたような、奇妙な顔。その異様さに息を呑んだ。
たちの悪い病魔に罹って、心を失っている。

何が夢で、何が、現実……?




続く

283:名無しさん@ピンキー
10/06/04 02:42:40 SEUKS2fW
次はようやくエロが書けそうなので、続けてみた。

284:名無しさん@ピンキー
10/06/04 18:11:04 YdV3s7Nw
みのりちゃんの年齢25歳だってよ
25歳であれだと・・・・サイコーじゃないか
あとどうでもいいがシャドハーツのカレン思い出した

285:名無しさん@ピンキー
10/06/04 19:23:42 O1MA1Fdb
GJが追い付かんww

286:名無しさん@ピンキー
10/06/04 23:58:27 fTpcxpwY
コミックスはまだ買っていないのだが、みのりちゃんの
乳首が加筆されているそうだな?なぜ売り切れなんだ近くの本屋www

287:名無しさん@ピンキー
10/06/05 01:18:03 9Zo18kXM
鈍ちゃんのエロエロを全裸待機!

288:名無しさん@ピンキー
10/06/05 02:07:30 enqs1+Zm
相手はハデス?経一?

289:名無しさん@ピンキー
10/06/05 11:12:38 o0OTnwBH
いつの間にたくさん来てるーGJ
花巻ちゃんもみのりちゃんもしんやも可愛いよ

290:名無しさん@ピンキー
10/06/05 15:03:26 3H55cB3g
続きを書いた。

291:ナイトメア 4
10/06/05 15:04:45 3H55cB3g
三途川は校長室にやって来たハデスを苦々しげに眺めている。
「君がそこまで不甲斐ないとは思わなかったぞ」
「…こればかりはどうしようも」
ハデスは俯いたままだ。
「鏑木くんが罹った病魔がどういうものかは分かっているのだろう」
「ええ…瞬く間に精神を食い尽くし、廃人化させる私利(リターン)だと思います。ただ、この病魔
の厄介なところは、憑いた人間そのものがその状態を望むが為に、精神の根深くまで支配され
やすいことにあります。どうして鏑木さんがそんな病魔に…」
「心当たりはあるのか?」
「ありませんよ。もし何か糸口でもあれば、すぐにでも対処するところです」
万事休すといった態のハデスを見遣りながら、三途川は長い間何事かを思案していた。そして
口を開く。長い睫の下の瞳が鈍く光る。
「その手の病魔の特徴とよく似た罹患例を見たことがあるぞ」
「本当ですか?」
「ああ。そういう病魔に罹る人間というものは決まってある種の強い欲を持っている。だからこそ
最悪の場合は死に至るまで自分から病魔を逃さない…たとえ病魔を退治したとしても精神的に
かなりの悪影響が残りかねない。分かるな」
「何が仰りたいのです」
普段以上に言下に意味を含める三途川に、ハデスはいぶかしみながらも続きを促した。直接的
なことを言われているのではないだけに、解釈を間違えたりしたら大変なことになるとでも言い
たげに。
「ただ、私は君がそれによってどのように対処を決めようとも、それが決して正しいことでなかろう
とも、反対をする気は一片たりともない。それは誓ってやろう」
三途川はあまりにも曖昧なる謎めく言葉で持論を締めくくったきり、後はもう何も余計なことを言わ
なかった。
そして、そういう言い方をするしかなかったことも、ハデスには分かっていた。

292:ナイトメア 5
10/06/05 15:05:30 3H55cB3g
時刻は午後五時をとうに過ぎている。
もう少しで部活の時間が終わる頃で、下校を急ぐ生徒たちが廊下を行き来するだろう。今日の
うちに何とかしなければと気が急くハデスの前に、探すまでもなく真哉が現れる。
「鏑木さん?」
「先生…」
微かに笑う顔は明らかにいつもの表情ではない。

真哉の意識は夢と現実の挟間にあった。
最初にハデスの声を聴いてからずっと、醒めることのない長い夢を見ているような心地が続いて
いる。それで幸せだった。
今、目の前にハデスの姿があるのは分かっているが、現実でなくても構わなかった。
「ここにいたんですね、先生」
「鏑木さん、正気に戻るんだ」
何を言っているのかはっきりとは理解することが出来ない。ただぼんやりと立っている真哉の目
の前で、ハデスの手が異形のものになる。
「さあ、出てくるんだ私利(リターン)!」
「えっ…いやああっ!!」
異形の手が目前に魔物のように襲い掛かり、真哉を包み込んでいた甘い夢が一瞬にして崩れ
去る。耳元で囁いていた優しい声も、幸せな記憶も、全てが凄まじい地獄の咆哮を上げて手の
中に吸い込まれていく。
病魔が咀嚼されてしまった後の世界は漆黒の闇となってしまった。
「あ…」
全てを失って、真哉は床に倒れ込んでしまった。
「…鏑木さん、大丈夫?」
抱き起こされても、まだ目の焦点が合わないままだ。ハデスはいつも優しい筈なのに、どうして
こんな意地悪をするのだろう。たった一つ、真哉が掴まえていた幸せをここまで残酷に潰し去って
まで。それが信じられなくて、涙が溢れた。
「ハデス先生は、こんなひどいことしない…」

293:ナイトメア 6
10/06/05 15:06:28 3H55cB3g
冷たい床に座り込んで真哉は泣き続けた。もう誰も助けてくれない、この報われない心は二度と
救われることがないのだという深い絶望しか残されてはいなかった。
「落ち着くんだ、鏑木さん」
「私は、私は…ただ先生が…」
現実のハデスの声は忌まわしいものでしかなくなっていた。真哉は錯乱の極みの中で、狂気の
淵を覗いていたのだろう。
「とにかく、気を落ち着けないと。さ、保健室へ」
駄々っ子のようにかぶりを振る真哉に業を煮やしたのか、ハデスは軽々と抱き上げると保健室
へと向かった。タイミングが良かったのか、廊下には他に生徒の姿もない。

ソファーに座らされて、真哉は室内の様子を伺った。テーブルの上が散らかっている。いつもここ
で自由にくつろいでだべっている三人は、もう帰ったのだろう。
「先生」
落ち着かせようとお茶を淹れていたハデスに声をかけるが、返事がない。声が小さかったので
聞こえなかったのだろうが、無視をされたようでまた悲しくなった。
「先生!」
「ん?ああ…ごめんね。はい、お茶」
湯呑みがテーブルに置かれるが、そんなものは見えていなかった。少しでも気にかけて欲しい、
壊れてしまった夢の代わりに何か確かなものが欲しかったのだ。湯呑みから離れた手を掴んで
引き寄せる。
「えっ?」
「私、先生が好きなんです」
もう、どうなっても構わなかった。大事な夢を失った今、あれ以上に幸せなことなどもうないように
思えたからだ。
「うん、ありがとう…でも僕はここに勤めていて」
「分かっています、でも先生は私が何より大切にしていた夢を壊した…それは絶対に許せない
から埋め合わせをして欲しいんです。でないと私、きっとおかしくなる…」
再び目の焦点が合わなくなってくる。ハデスの声をした病魔に完全に心を奪われていた為に、
容易には正気に戻れそうもなかった。

294:ナイトメア 7
10/06/05 15:07:35 3H55cB3g
長い沈黙が続いた後、ハデスが口を開いた。
「それは僕でなければダメかな」
「もちろんです」
「それで本当にいつもの鏑木さんに戻る?」
「私にも分かりません、ただ、他に方法を知らないのです」
答えてから随分時間が経ってから、迷い続けただろうハデスの手が髪を撫でる。
「…何もかも僕が至らないせいだから、君は何も気に病むことはないからね」
穏やかな声音が耳元で囁かれていた病魔のそれと重なった、と思っているうちに大きな影に
視界が閉ざされて唇を塞がれる。
「ン…」
何が起こっているのか、最初は分からなかった。夢と同じことが現実でも起ころうとしているの
だと悟った時、ようや病魔に浸食されて曖昧にブレていた意識が覚醒する。
「…先生」
触れていただけの唇が離れてから、また涙が溢れた。さっきとはまた別の涙だった。
「悪いのは僕だ、いいね」
「先生は、ずるい…わがままを言ったのは私なのに」
また唇が重なってきた。今度は唇の間から舌が入り込んでくる。何も知らないまま応えている
間に抱き上げられてベッドに運ばれた。ずっと憧れていた場面に、胸がときめく。
「病魔の悪影響が残っているなら、きちんと対処するのも僕の責任だからね」
やはり大人はずるい、と思った。どのみちこうなるにしても、いちいち理由をつけたがる。けれど
そんな無駄なほどに律儀なこの人だから好きで堪らないのだろう。

295:ナイトメア 8
10/06/05 15:08:49 3H55cB3g
シーツの白さが目に眩しいほどだ。
横たわった真哉を見下ろしているハデスの大きな手が、制服の上からまだ迷ってでもいるように
ぎこちなく身体を撫でている。
「先生、ここ」
手を取って胸に押し当てる。
「鼓動、聞こえるでしょ?こんなにドキドキしてるの…」
布越しではない手の温みをもっと感じたかった。ベストとシャツのボタンを片手で外して、ブラを
ずらすと直に乳房に触らせる。心なしか、手に力が篭ったように感じた。それがようやく決意を
したように思える。
「ずっと、こうなりたかった…嬉しい」
ハデスは何も言わなかった。あくまでも壊れかけている真哉の心を救う為だと心中で言い聞か
せているのかも知れない。それでも良かった。夢に現実が追いついてきているのが嬉しくて堪ら
ない。どんな形であろうと、望んだ結果になっている。それが大きな喜びになった。
夢の中で触れられた箇所をそのまま追うように、現実のハデスが指を這わせる。肌身を合わせ
ていることで記憶を覗かれてでもいるのかと思えるほどに、そっくり同じだった。
「先生、あれはやっぱり先生だった、の…?」
愛撫を受けて燃え上がりながらも真哉は何度も錯乱した。夢の中に立ち現れて囁き、身体中を
探り尽くして指で犯したのは、紛れもなく現実の中にいるこの人だったのではないかと。夢と憧れ
と現在のこの状態が頭の中で形もなく混ざり合ってしまい、目眩がするほどだった。
「嬉、しい…」
下腹を撫でていた手がショーツに触れた。一瞬戸惑ったように止まったが、すぐに隠されている
奥へと滑っていく。
「あ、んっ…」
思えば当然のことだが、ここからは現実の感触の方が夢想していた時よりも生々しくて、わずか
ながらに恐れを覚えるほどだった。手管そのものは別段慣れているように感じられなかったが、
それがまた別格の快感を生み出す。

296:ナイトメア 9
10/06/05 15:09:33 3H55cB3g
現実の指がゆっくりと硬く充血した女の芯を撫で、擦り、すっかり濡れきっているだろう陰部の
襞をなぞる。力は決して強いものではないだけに、じらされているようで余計に待ち焦がれている
内部が熱くなった。
「そこがいいの…もっと触って」
夢うつつに声を漏らす真哉の表情はとても幸せそうだった。現実でもこうして膣内を探られている
悦びが溢れている。行為を始めてからずっと無表情、無言のままだったハデスの顔がわずかに
苦しげに歪んだ。
その顔に一瞬だけ正気が目覚める。腕を持ち上げて硬くひび割れた頬を撫でると無理に笑って
見せた。
「先生、お願い…私を負担に思う必要はないの…今だけでいいから…」
「鏑木さん、本当にいいんだね?」
「…はい、私この時をずっと待ってました」
ハデスの顔は更に泣いてでもいるように変化した。ショーツを足から抜いてしまうと、真哉の目に
決して映らないようにした男の圧倒的な熱を塗れそぼった膣に押し当ててくる。
「責められるべきは、僕だ」
「うっ…」
経験のない真哉の身体を気遣うように、少しずつ浸入してくる硬いものの圧迫感が凄まじくて
息が途絶えそうだった。初めて男を怖いと思った。それでも必死に両手で白衣を握り締めて耐え
続ける。
「あ、ぁ…」
こればかりはさすがに、夢の中でも知らなかった。だから確かに今が現実の中なのだとはっきり
認識出来る。真哉はようやく現実を取り戻した。
ゆっくりとながら、全てを収めてしまったハデスが哀れむように見下ろしている。そんな顔は見たく
なかった。気遣わせているのも心が苦しい。
「苦しく、ない?」
「気にしないで…下さい、先生」
「君は強いね…」
顔が近付いてきてキスをされた。疼き続ける内部が互いに馴染んだ頃合を見計らって緩やかに
動き始めると、また圧迫感が蘇ってきて鈍く声が漏れる。

297:ナイトメア 10
10/06/05 15:10:26 3H55cB3g
「んっ、うっ…」
「苦しいなら、声を出していいから」
次第に早まる動きに耐えきれずに漏らす声があまりにも苦しそうに聞こえるのだろう。実際に
ひどく苦しい。ハデスは少しでも心身の負担を軽減するようにと促す。
「大丈夫、です…」
滲んだ涙が頬に流れ落ちた。
どんなに苦しくても、それがこの人に与えられているものなら何でも受け止めたかった。それが
一人で夢の中に閉じ篭っていた自分の務めのように思えた。真哉にとってはこうしている今の
時間が全てとなっていた。
背中に腕を回して必死で耐える真哉の耳元で、夢でも幻でもない本物のハデスの声がした。
「いくよ」
次の瞬間、それまでの感覚を一気に粉々に砕くほどの激痛が襲いかかった。行為に慣れても
いない膣内を一杯に満たすものが更に激しく内部を擦り上げる。
「んんっ…」
あまりの衝撃に懸命に声を殺したまま達してしまった真哉の内部から、ハデスは愛液でぬめる
ものを抜き出した。それをどうするのかと思う間もなく、限界まで張り詰めきっていた精神が安堵
に包まれて、ふっと意識を手放してしまった。

窓の外がもう暗くなっていた。
気がつくと、真哉は濡れタオルで身体を拭われている最中で、そのせいか、妙にさっぱりとした
気分だった。
「…先生」
「あ、目が覚めた?良かった…元に戻ったみたいだね」
あんなことがあったばかりなのに、ハデスの様子は何も変わらない。それが何だか微笑ましく
なって真哉はくすくすと笑った。

298:ナイトメア 11
10/06/05 15:11:23 3H55cB3g
「何?」
「いいえ、何も。ただ、私先生を好きになって良かったなって」
その言葉で、またハデスの表情がわずかに曇る。成り行きが特殊なものとはいえ、教職員が
生徒を抱いたことを気にしているのだろう。
「…言ったじゃないですか。私の為にここまでしてくれる先生だから、その負担には絶対なりたく
ないんです。このことは誰にも言わないし、先生だけが責を追う必要もありませんから」
「だけど…」
「いつか私が大人になって、その時にまだ先生が一人だったらもちろん再アタックしますけど」
濡れタオルを持っているハデスに抱きついてキスをすると、真哉はさっさと制服の乱れを直して
ベッドから降りた。
そして今までになかった大人の顔で笑う。
「お腹空いちゃったから、帰ります。じゃあまた明日」

翌日からの真哉は何事もなかったように保健室を訪れ、例の三人と他愛もない話をしては笑う
いつもの日々をまた繰り返すようになっていた。ハデスへの恋心はもちろん続いている。だけど
妙な焦りやこだわりはなくなっていた。
何かが綺麗さっぱり吹っ切れたのだ。
大人になった自分なら、好きな人をきっと逃がさない。そんな自信も芽生えていた。

「はい、鏑木さん」
当然のようにお茶が目の前に置かれる。
「ありがとうございます」
他の三人には知られないようにアイコンタクトを送る真哉に、ハデスはちょっと困ったような笑みを
浮かべた。本当に、どこまでも律儀で真面目な人なのだろうと笑みが漏れる。
だからこそ、大人になるまで忘れません。
真哉は改めて決意して、湯呑みを手に取った。




終わり

299:名無しさん@ピンキー
10/06/05 15:14:52 3H55cB3g
正直、こんなことでもない限り、ハデスはエロを絡められない。
今後どうなるかはまた別として今の段階では。

300:名無しさん@ピンキー
10/06/06 01:07:03 CAh5JJIn
GJでしたー。
ハデスのエロ、特にシンヤ相手は想像しづらいっすよね。
上手い展開だったし、シンヤ切ないけどかわいい。

301:名無しさん@ピンキー
10/06/06 09:25:44 GAkWF3is
すげーよかった

302:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:01:16 DRM5TEJo
だから俺はアシタバ君と美玖ちゃんのびくびくしながらエッチするのを書きたかったはずなんだが…

無理矢理が苦手な人はスルーでお願いします。



「まだ、ハデス先生なの?」
「えっ?」
二人きりの保健室、鏑木真哉はアシタバの突然の質問にあっけを取られて、簡
単に押し倒されるのを許してしまった。
「きゃ!!?」
恥ずかしいほどかわいらしい声をあげてしまったが、真哉はそんなことを気に
している暇は無かった。
「ちょっと!放してって!これはやり過ぎだって…!!」
「…本当に嫌なら、僕なんて簡単にどけられるでしょう?」
確かにそうだ。下に敷かれ、両手首を掴まれていたが、この体勢からアシタバ
相手に逃げることは容易い。だが、目の前のアシタバの悲痛さが見え隠れする
表情のせいなのか、真哉の抵抗する気持ちが萎んでいた。


「アシタバくん…ちょっと落ち着こう?お願い…おかしいよ…」
「おかしいのはシンヤの方じゃないか…!!先生との恋愛なんて…そんなの…変
だって分かってるだろ!?」
情けないと思ったが、涙が止まらない。明らかに動揺した真哉の顔に、粒にな
って落ちるたび、申し訳ないと思う一方で征服したような錯覚に興奮していた。
「前からずっと見てた!シンヤの事…でも……一度くらい気づいてくれたって…
良いじゃないか…!!」
呆気に取られているのを良いことに、強引に唇を奪った。押し付けすぎたせい
で唇の内側を切り、じんわりと血の酸味が広がる。それどもアシタバは止まら
なかった。
「っう…ん…!」
真哉の柔らかな唇を、何度も何度も口に入れる。ただ苦しいだけであろうが、
真哉が漏らす小さな声が、官能的でアシタバの身体を熱くした。
「はぁっ…や…ってやる……!」
意を決して右手を離すと、ブレザー越しに胸をわしづかみにしてやる。何層か
重なった布の上からでも伝わる、未知の柔らかさ。ドクドクと脈打つ感覚まで
伝わってくる。


303:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:01:46 DRM5TEJo
ブレザーを広げ、シャツをたくし上げると、真哉の胸元はブラジャーが乳房を
守るだけになった。
「駄目だよ…アシ…タバ君!!ねぇ、もうやめよ!?」
真哉の落ち着かせようと冷静さを装う声も、今のアシタバにとっては神経を逆
撫でする以外の何物でもなかった。
「僕だってッ!」
乱暴にブラジャーを引っ張ると、真哉の胸が露になる。肩紐が食い込む痛みと
恥ずかしさと恐怖。それらが入り混じり、真哉は泣きそうになってしまった。
「…マヤ」
「えっ?…ぁく…!!ア、アシタバ君!!?」
アシタバは大胆にも真哉の胸に顔を埋め、赤子のように乳房をしゃぶった。
「っあ…な、な、な…」
「はっ…!!んむ、ちゅっ…ん…ぱはっ!!」
出るはずもない母乳を求めるかのように、先端を何度も吸う。真哉が気持ち良
いかは気にしない。ただ、身体の奥から沸く劣情のままに動くだけだ。
「マヤ」
何度かアシタバは真哉をマヤと呼んだ。真哉の正式な名前なのだが、真哉自身、
身内以外からもあまり呼ばれないせいか、不気味ささえ感じた。
「っあ…!!」
そんな思考も、アシタバの粗雑な愛撫であっても徐々に蓄積される性的な感覚
に焼き切られていってしまう。
「~っふぅ~っ…!」
恥ずかしさに紅くなった顔を両手で隠した。口をふさぎ、声が出ないよう尽く
す。
「もっと聞かせてよ。可愛いよマヤ…先っぽ、硬くなってる」
歯で擦るように充血した乳首を噛むと、真哉の視界は真っ白な光に包まれ、何
もかもを忘れた。
「っは!!あぁぁんん!!」
ソファーの上でよじれて叫んだ。何かが消えた気がしたが、今は考えていられ
なかった。

304:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:02:58 DRM5TEJo
「マヤ、イっちゃったんだ…可愛いよ」
真哉は頭がうまく働かず、全身が痺れている。アシタバは荒い息遣いで真哉の
唇を貪ると、頬へ、頬から耳たぶへ舌を這わせた。
「気持ち良かったんだよね?」
耳たぶを甘噛みする合間にかけられる言葉を真哉は否定出来なかった。
気持ち良かったのだ、信じられないくらいに。自慰をいつから始めたかは覚え
ていないが、今までのどれよりも、アシタバの強引な愛撫は気持ち良かった。
「ひっ!?」
「んっ…ず…」
尖らせた舌が、耳の穴に侵入してくる。全くの予想外な行動と、その異常さ。
真哉は恐怖で何も出来なくなった。
ずぽずぽと聴覚が犯されるような錯覚が、さらに真哉の感覚を壊す。
「あっ!…だ、駄目」
アシタバの指がスカートをめくる。何をされるのか、男女の仲に疎い真哉でも
察して手で股を隠した。
「マヤ、いい子にして」
驚くほどすんなりと、真哉の精一杯のガードは破られた。身体がまるで言うこ
とを聞かない。
「素直になってよ、こんなに濡れてるんだから」
いきなり、指が直に触れた。愛液を垂らしている自分の身体が恐かった。
「っあ…あぁ…やめ…ん!!」
「凄い…あったかい……。マヤ、こんなに感じてくれてたんだ。嬉しい…」
「恥ずか…しい……ひぃ!…も、もう…」
初めてのはずなのに、真哉は随分と感じ、アシタバは手慣れたように指を抜き
差しした。
「僕もマヤと一緒に…」
アシタバが、目を血走さらせながらズボンをガチャガチャといじる。ベルトを
外し、パンツごと一気にズボンを下ろすと、張り詰めたモノが外気に晒される。


305:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:03:58 DRM5TEJo
「マヤ…マヤッ!!」
入る訳がないと思った。挿れられてしまえば、あとは流れで奥まで突かれた。
必死に叫んで誰かに知らせようとしたが、『死神』が居ると恐れているのか、
誰もいないのか、保健室のドアを開ける者はなかった。もうこの口は助けを叫
ぶこともなく、今はなされるがままに喘ぎ声をあげるだけだ。
「うぁ…あ、あぁん!!ひぅ!!」
一度、膣内に射精されると、何かが壊れた。もう何もないのだ。虚しさに近い
何かが心をさらい、代わりに目の前の快感に見を委ねてしまおうと、諦めがつ
いてしまった。
二発目のときに精を飲むよう口に捩込まれても抵抗はさして感じなかった。
いまも、精液と愛液でぐちゃぐちゃに濡れた秘処をアシタバが乱す。求めるら
れればキスをして、声を聞きたいと言われたら抑えることなく鳴いた。
従順でしとやか女になりたい-コンプレックスから来ていた願いが、皮肉にも
こんな形でなされるとは、思ってもみなかった。
「あん!!ぃ、あひぃ!!あああ…!!」
「出すよマヤ…!!」
まどろむ。溶けていく。熱い奔流を感じながら、真哉は意識を手放した。

306:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:04:39 DRM5TEJo
「………えっ?」
気がつくと、服は綺麗に整っていた。それどころか、押し倒された跡も、犯さ
れた痕跡もない。真哉は行儀良く座ったままだ。すると今までのは…
「病魔だったの?」
アシタバの背から、何かが抜けていくのが見えた。アシタバの精神力が追い出
したのだろう。本当ならば退治すべきだろうが、生憎派出須は出払っているの
で、どこかに逃げて行くのを見ているしか無かった。
「アシタバ君…わ、私は気にしてないから…!!」
アシタバは顔を手で覆って泣いた。ひそかな恋の相手に、嗚咽を漏らしながら
泣く様を、歪んだその恋心をさらけ出したのだ。
「最低だよね…友達だと思ってた相手がこんな目で見てたんだ……っ…うぐぅ」
「でも病魔…」
「嫌じゃなかった!!利用しようとしちゃったっ!!……全部本音だったんだ…」
畳みかけるように叫ぶアシタバは、自己嫌悪で今にも命を絶たんという勢いだ。
「でも……本当のアシタバ君は泣いてくれてるよ…」
「…?」
「私は大丈夫だから…」
同情したつもりはない。泣く姿が、貧弱だが可愛い弟によく似ていたからかも
しれない。案外、こういった優男に弱いのだろう。
真相は自分も知らない。ただ、たった今まで自分を犯していたアシタバに魅力
を感じていているという事実が残るだけだ。
「ゴメンね…私、見てあげられなかった……。アシタバ君が、こんなに思って
くれてたのに」
「シンヤ…」
赤くなったアシタバの目の周りを指で拭ってやると、少しだけ冷静さを取り戻
したようだ。
「…だから、その……」
「…?」
「…………お、おち…大きくなってるから…隠してくれると………嬉しいかな」
「え?…!!~っ!!」
いつもよりズボンが張っていることに気づき、アシタバは慌てて飛びのいた。
「ごめん!」
「う…ううん…そんな」
やはり気弱で優しいアシタバだ。真哉は慌てて股間を抑えるアシタバを見て、
おかしさすら感じていた。

307:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:06:26 DRM5TEJo
「今まで、女の子として見てくれる人そんなにいなかったから…嬉しいかった
って言うか、ほっとしたな…うん」
真哉は続けた。妄想での勢いはどこへ行ったのか、アシタバは赤面して股間を
抑えている。
「あ~…けどまぁ、もうちょっと力の加減とかね。や、やっぱり、男の子に優
しくして欲しいとか、そういうのあるから…」
「…」
「あとさ…マヤって言う呼び方なんだけど…シンヤよりマヤ?」
「そっちのほうが、可愛いから…」
可愛い-そう言われるとやはり胸が高鳴る。そして素直に嬉しかった。
「じゃあ二人の時だけ、ね?郁くん」
不意打ちを狙ってアシタバにキスをしてやる。夢の中での乱暴で血の味がした
ものよりをずっと稚拙なものだったが、どこまでも甘い。
「じゃ!じゃ、じゃあ、帰ろっか!!」
もっとゆっくりだが、自分は女の子らしくなれるかも知れない。そして、それ
は甘く楽しい時間になるだろう。
小柄で力もなくて、でも誰よりも優しい男と手を繋ぎ、真哉はひそかに胸を膨
らませた。



(い、今の子はやっぱり進んでる…!!)
手を繋ぐ二人を見かけた体育教師が、妙な焦燥感を感じたのはまた別の話。

308:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:07:47 DRM5TEJo
>>299GJ!!

なんで初志を遂げられないのか…
今度こそは小動物交尾を

309:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:14:40 VmtBSwLh
GJ!!にやにやがとまらん
小動物も期待

310:名無しさん@ピンキー
10/06/07 01:20:44 OYx2cT2x
まさかの強引アシタバ、しかもかっこええ・・・GJでした!

311:名無しさん@ピンキー
10/06/07 03:35:24 PnC43ChD
GJ!
小動物可愛いだろうなあ、今から期待。

そしてこんな時間に投下。
一回エロ書いたらなんか平気になったけど、続けざまはどうかとも思うので
また続く。

312:約束 1
10/06/07 03:36:24 PnC43ChD
昼休み、校内を巡回していた美徳は体育館の脇を通り過ぎようとした時に、入口側で何人もの
男子生徒が集まって騒いでいるのを見つけた。
休み時間にはよくあることだし他愛もないものだと見過ごそうとしたのだが、中心にいる生徒が
持っている本は持ち込み禁止にしている類のものだと気付く。
『巨乳女教師調教』と下品で派手なロゴが踊っている、所謂エロ本だ。
「あなたち、そこで何をしているんです!」
さすがに見過ごしておくことは出来ず、声を上げて近付いていく。
「あ、みのりちゃん…」
生徒たちは美徳を見た途端、バツの悪そうな顔をして急に元気をなくしてしまった。まだ数に勢い
づいて食ってかからないだけ可愛いものだと思う。その辺はやはり中学生だ。
「こういう本は学校に持って来ないこと、と校則にはありますね。これは没収します!」
言うなり、本を取り上げてしまう。
「今度からは気をつけること、いいですね」
「…はい」
本を丸めて小脇に抱え、遠ざかりかける美徳の耳に小声で呟き合う生徒たちの声が微かに聞こえ
たが、反応はしないことにした。そういうことに興味の出る年頃だ、いちいち気にしていたらキリが
ない。
「相変わらずお固いなあ、みのりちゃん」
「あれで案外まだバージンだったりしたらヤベーよな」
「有り得たりして」
全くもう、と途中で立ち止まって深呼吸をする。気にしないようにしているものの、やはり自分が
そういう目で見られていることには我慢ならない。体育館の角を曲がったところで生徒たちに見え
なくなってから、どんな本かと表紙を改めて見てみると、嘘のように巨乳の若い女性が全裸に近い
姿で挑発的なポーズを取っている。
「うわ…」
さすがに中まで見る勇気はなかった。


313:約束 2
10/06/07 03:37:09 PnC43ChD
あの生徒たちにとって、自分はこの扇情的な女性と同じように見えているのかと屈辱的な気分に
なる。学生の頃からそういう目で見られてきただけに、いい加減慣れたつもりになっていたがそう
ではかなったようだ。むしろ不快感と男性不信が増すばかり。
美徳はこれでもかと存在を誇示している大きな胸を見下ろして、溜息をついた。好きでこんな風に
生まれた訳ではない。こんな大きなものはただ邪魔なだけだ。
せめて普通のサイズならこれほど嫌な思いをしなくて済んだのにと思うと、つい両親に恨み言の
一つも言いたくなるが、それはもちろんお門違いなのも分かっている。
「あーあ…」
雲のない青空を見上げているうちに、何となく空しい気分になってまた溜息をつく。せめてもっと
普通ならと望んでももう仕方がない。とはいえこれからもずっとあの視線に晒されることに開き直れ
もしない。美徳の気分は八方塞がりになっていた。
「…あの人なら、どうなのかな」
何の意味もなくハデスの顔を思い浮かべてしまう。全てのことにおいて深い欲求のなさそうなあの
男なら、こんな気分にはならないのだろうかと。男なんてみんな同じと決め付けてしまえば簡単な
ことだが、それでは美徳自身が惨めなままだ。
せめて一人ぐらいは何も思わずにいて欲しかった。それがハデスだったらと想像するのは、美徳の
希望でしかないが。

「えっ…?」
その日、ようやく周囲に人がいないのを何度も確認して話しかけた美徳に、ハデスは心底驚いた
ように目を見張った。
「ですから、もしお時間があればと…」
これまで何度も二人きりで話しがしたくて食事や映画にハデスを誘ってはみたものの、何故か
事が上手く運ばない。その度に嫌われているのではないか、あまりしつこくしても逆効果ではと
迷い続けた。
迷った上で、何度目かの清水の舞台である。


314:約束 3
10/06/07 03:38:00 PnC43ChD
「…嬉しいです、才崎先生にはきちんと謝らなければと思っていましたから」
「そんなこと…」
「正直、嫌われていると思っていましたので」
「それは仰らないで。何か不愉快な思いをさせたことがあるとすれば、私が悪いのです。謝る
べきは私です」
ここまで上手くいかないのは、きっとこの変に頑固で頑なな性格によるものなのだろう。ある程度
は自覚しているからこそ、素直に吐き出してしまえた。
「…そうですか、嫌われていないのであれば幸いです」
ハデスの表情は、相変わらず怖いが随分柔らかく見える。
「私には、教師として足りないものがあり過ぎるのです。ですからハデス先生の教育方針には
興味がありまして…是非ともまたお伺いしたいのです」
「ええ、それはもちろん。才崎先生の為になることがあるかは分かりませんが」
「では今夜…よろしいですね」

金曜日の夜ということもあり、待ち合わせの時間は少し遅めの午後八時にした。
その時間が来るまで美徳はどれだけ必死で服を選び、化粧に気を遣い、身だしなみを整えたか
分からない。これまでの重なり続けた失敗がより慎重にさせているのだ。これでまた上手くいか
なかったとしたら、次はもうない気がした。
三十分早く待ち合わせの場所に着いた美徳は、行き交う人の波や他の待ち合わせをしている人
たちをただ眺めていた。誰かを待っているのはそう悪い気分ではない。自分にも、これから連れ
立って一緒に歩く人がいる。そう考えるだけで心が躍った。
「待ち合わせですか?」
時々、一人で立っている女にナンパ目的なのかそんな声をかける輩もいる。美徳にもそんな男が
近付いてきた。
「お気遣いなく、もうじき来る筈ですので」
だが、男はにやにやしながらも立ち去らない。待ち人来たらずだったりしたら、すかさず腕を取って
どこかへ連れて行く気なのだろう。

315:約束 4
10/06/07 03:38:31 PnC43ChD
「あの、迷惑です」
以前よりも少し着飾っているせいもあって、強引に振り払うことが出来ない。それをいいことに、
男は馴れ馴れしく腕を引いた。
「離して!」
「どうかしましたか?」
堪らずに叫んだ瞬間、背後から聞き慣れた声がした。
「あっ…」
美徳の腕を引いていた男が、ハデスの姿に言葉を失った。慣れていなければ昼間でも怖いと
思う顔が、夜目では更に怖くなる。男は威勢をそがれて慌ててどこかへ逃げてしまった。状況が
良く分かっていないハデスは、男が逃げた方向をずっと見ている。
「僕は、何かしましたか?」
「…いいえ、助かりました」
危機を脱して思わず胸を撫で下ろしている美徳を、改めて眺めたらしいハデスはなぜか急に無言
になった。
「どうかしました?」
「いえ、何だかいつもの才崎先生とは違うように見えまして」
「そんな、いつもと変わりませんわ」
「いつも以上にお綺麗ですよ」
「えっ…」
まさかハデスがそんな気の利いた台詞を言うとは思ってもいなかった。確かに今夜はお洒落も
化粧も随分気を遣ったし、綺麗だと思われたいとは望んでいた。だけどこんな言葉をかけられる
ことは全くの予想外で、思わず頬が染まる。
それは夜の雰囲気が言わせているのだろうかと思うほどだ。
「嫌だ、そんな…」
はにかむ美徳に、ハデスは手を差し出す。
「さあ、行きましょう」
「…はい」
今夜は絶対に失敗なんかしない。ハデスの隣に寄り添いながら、美徳は星のない夜空を一瞬
振り仰いだ。




続く

316:名無しさん@ピンキー
10/06/07 03:41:38 PnC43ChD
前にも書いたように、ハデスは過去に例を見ないほどエロ書くのが難しいキャラ
なんだ。でも、意外に慣れたら何とかなるかもだ。

317:名無しさん@ピンキー
10/06/07 04:29:53 XDVECl4m
ハデみのキタ!GJ

318:名無しさん@ピンキー
10/06/07 05:49:43 zoF20TRA
乙です。ハデみの待ってましたです

319:名無しさん@ピンキー
10/06/07 13:40:53 Z9icSEGJ
きちんと鈍好きなんだね

320:名無しさん@ピンキー
10/06/07 18:55:42 mmG076xw
ハデみのwktk

経一→鈍が確定したな
こいつら同居してんだっけ?

321:名無しさん@ピンキー
10/06/07 19:58:48 Z9icSEGJ
多分?

朝っぱらから裸でうろついてたの注意してたし、ユグドラシルに住んでんじゃないかな

322:名無しさん@ピンキー
10/06/07 22:08:51 S22zaVOF
>>316
みのりちゃんきたか。乙

323:名無しさん@ピンキー
10/06/07 23:26:16 u7Th4nKd
全裸でハデみの続き期待

324:名無しさん@ピンキー
10/06/07 23:35:36 RYOVFnLD
続き楽しみに待ってます!!

325:名無しさん@ピンキー
10/06/08 04:30:19 WWGSNzpF
書いた、眠い。

326:約束 5
10/06/08 04:32:03 WWGSNzpF
決して粗相などないようにと気を張っていたせいで、入ったレストランでも料理の味などほとんど
感じられなかった。食前酒も軽く口をつけただけだった。これまでのように慌てたり怒ったりする
みっともない姿を見せたくなくて、美徳は慎重に話題を選び、話を進めていく。
ハデスは料理も酒もほとんど手をつけないまま、美徳の言葉にただ穏やかに頷いて的確な返事
を返すばかりだ。
もしかしてハデスの方も気を遣っているのだろうかと考えると、妙に心苦しい。こうして一緒に同じ
時を過ごしているだけで楽しいと思えるだけに、もしもそんな気遣いがあるのなら一切忘れて欲し
かった。
緊張で喉が渇く。
会話が途切れてしまうのが怖くて、グラスワインを一杯頼んだ。
「ごめんなさい、いつもの癖で」
「いいえ…才崎先生はそうして普段通りにしている方がいいですよ」
ハデスは優しく微笑む。それが他人には寝付けなくなるほどの恐ろしい笑みでも、美徳にとって
は癒しの微笑となった。
本当に、どうしてこれほどまでにこの人に魅かれるのかと不思議なほどだった。ほとんどの生徒
たちにはオバケ先生だと、死神だと怖がられるほど怖い顔をしているのに、人当たりは驚くほど
優しく異常なほどに周囲を気遣う。その為に数多の奇行もあるが、数は少ないもののハデスを
慕って保健室に入り浸る生徒がいるぐらいだ。
美徳も最初は怖い人だと思うあまり意識的に避けていたように思う。
それが、一度助けられた時に優しさや不思議な力を持つことなど色々な面があることを知るよう
になってから、否が応でも気にかかるようになった。気になるからこそ目に留まれば突っかかった
し、数々の無体なこともしてしまった。
私はきっと、この人が好きなのだろう。
恋など今まで淡い片思いしか経験がないだけに、今まで何も分からないまま失敗ばかりを繰り
返していたのだと二杯目のグラスワインが空になる頃にようやく思い至った。

327:約束 6
10/06/08 04:33:44 WWGSNzpF
夜空はやはり地上の煌きのせいか星が見えない。
けれど美徳の心には星よりも小さく眩い煌きがあった。
レストランを出るとワインで火照っていた頬に微かな風が当たって心地が良くて、つい微笑みが
漏れた。
「…ふふっ」
「才崎先生?」
ハデスが不思議そうに見る。
「いえ、何でもありません」
言葉だけで誤魔化しながらも、美徳は楽しそうに行き過ぎる恋人たちを眺めてはますます気分が
高揚していく。こんなにたくさんの恋人たちの中に紛れている自分たちも、他の人には同じように
見えているのかと思うと恥ずかしくも嬉しい。
「今度は、どこに行きましょうか」
時刻はまだ深夜にも差しかかってはいない。もっと話がしたかった。
「どこでもよろしいですよ。僕はどこにでもお付き合いしますから」
「じゃあ…側にいて下さい」
ほんのりと酔っているせいで、口が勝手に本音を乗せる。
「えっ…」
その言葉に、あくまでも柔和に従順に、今夜の美徳のペースに合わせていたハデスが絶句して
いるのが伝わってきた。
「すみません、仰っていることが良く…」
その対応は、聞こえなかった振りをしてなかったことにしようとしているように思えた。それだけ
で、これまで少し浮かれていた楽しい気分があっさりと消え去っていく。
「私の側に、いて欲しいんです…分かって頂けますよね?」
「それは…」
必死で言葉を繋ごうとする美徳の努力をあえて無にしようとでもいうように、ハデスの態度は妙に
曖昧なままだ。ここで腹をたてたら、またいつものようにダメになってしまう。何とかここで全てを
終わらせないように、その一心で美徳は遂に核心の言葉を口にした。

328:約束 7
10/06/08 04:34:46 WWGSNzpF
「ハデス先生、私、ずっとあなたのことが気になっていたんです…でも素直になれなくて、思った
ことが言えなくて…自分でもどうしていいのか分からなくて…」
「僕を?」
突然の告白に、ハデスは本当に驚いているようだった。
「そうです、何故そうなったのか私にも…ただ、今の本当の気持ちを言うのであれば、あなたの
ことがとても好きなんです」
「そんな…」
清水の舞台どころか、ナイアガラの滝から落下するほどの勇気で告白したというのに、ハデスは
ますます浮かない表情になっていく。
「いけません、才崎先生。あなたにはもっと相応しい人がいます。僕なんかを相手にしては…」
「お分かりになって頂けないのですか?私は、誰にどう言われようとも、あなたのことが誰よりも
…」
急に道の真ん中で立ち止まり、言い争いを始めた二人に構うこともなく他の恋人たちはそれぞれ
の思いを抱えて通り過ぎていく。人並みの中洲の中で、どうしてもここから先には進めないのか
とひどく悲しくなって涙が溢れた。
「私は、どんな人よりもハデス先生の方がいいんです…ただそれだけです」
美徳には分からないことではあったが、美女の涙というものは男にとって絶大な武器になるもの
のようだった。現に、涙に暮れる美徳の姿に目を奪われたらしい男がちらちらと盗み見ている。
もちろん、それはハデスも同様らしい。
「…泣かないで下さい、才崎先生にそんな顔をされると僕は…」
ためらうようにぎこちない指先で涙を拭われた。はっとして見上げると顔が近付いてくる。
「ハデス先生…」
さっきとは別の意味の抑えきれない涙が零れ落ちた。痛いほどに噛み合わされた唇の温みと
感触だけで、怒りも悲しみも全てを忘れることが出来た。これを人は幸せというのだろう。
唇が離れてから、道の真ん中でこんな振る舞いをしていたことに今更気がついたのか、ハデス
はやたらと神妙な顔になった。美徳はもう、まともに目を合わせられなくなっている。


329:約束 8
10/06/08 04:35:26 WWGSNzpF
「こんなところで、すみません」
「…いいえ」
恥ずかしさで目を逸らす美徳の耳に、信じられない言葉が飛び込んできた。
「場所を変えましょう、いいですね」
「ええ、もちろん…」
紆余曲折はあれ、男と女がここまで来たなら行き着く先はもうひとつしかない。ハデスにもやはり
普通の男の部分はあったのだと嬉しく感じながら、美徳は恋の炎に髪の先を焦がすほどの思い
を抱えて促されるままに歩を進めていった。

いつもは冷たい指や爪先が、今夜はひどく火照っている。
ほとんど水のように冷たいシャワーを浴びながら、美徳の心だけが少しも冷えることなく燃え上
がっている。ここから出たら間違いなく何度も想像していた場面が実際のものになるのだと思う
と、胸が震えた。シャワーの冷たさすらほとんど感じないほどだ。
このホテルの部屋に入ってから、ハデスはやたらと饒舌になった。ベッドが丸くて回るもので、
部屋の中にはプールやブランコがあると思っていたとか、一体いつの時代の情報なのかと思う
ことを早口でまくし立てた挙句、冬眠前の熊のようにうろうろしながら珍しそうに部屋の中を見回
しては落ち着きなく振舞っていた。
さすがに切れそうになるのを何とか堪えて、クールダウンする為にシャワーを浴びに来たのだが、
それは正解だったようだ。今はこんなに気分が落ち着いている。
「やっと…私これから…」
シャワーを止めて簡単に身体の水滴を取ると、ぎゅっと自分を抱き締めた。何も知らないからこそ
怖い気持ちもあるが、多分武者震いというものに違いない。

330:約束 9
10/06/08 04:36:32 WWGSNzpF
ガウンを羽織って部屋に戻ると、ハデスは傍らのソファーで眠り込んでいた。
擁護教諭なのだから保健室にいさえすればいのに、何かと動き回っているから当然かも知れ
ない。けれど、何もこんな時にとも思う。
「…ハデス先生」
遠慮しながら揺り動かしても、目覚める気配はなかった。
「こんなところで、眠らないで下さい」
思い切り強く揺さぶって、ようやく死人のような瞼が開く。
「…ああ、才崎先生。つい…」
また癇癪を起こしそうになるのを耐えながら、美徳は慎重に声をかける。
「お疲れなのですか?」
「ええ、まあ…だけどそれよりも」
完全に目が覚めたらしいハデスは、美徳と並んでベッドに腰を下ろした。間近で見つめてくる顔に
何を言われるのかと身構えていると、不意に視線を逸らされた。
「…やはり僕では…才崎先生は間違いを起こしてはいけない」
「何を仰っているんですか?一体まだ何を迷っているのです?」
ようやくここまで漕ぎつけたというのに、ハデスにはまだ迷いが残っている。部屋に入ってから
少し時間が経ったことで冷静さを取り戻したのだろう。根気良く待って次の言葉を引き出そうと
しているうちに、とんでもない言葉が出た。
「僕は人を愛せません。誰かを大切に思うことがあれば、必ず不幸にさせるでしょう」
「…そんなこと…」
まさかこんなところで、そんな告白を受けるとは思ってもいなかった。先ほどまでの高揚した気分
が一気に冷めていくのが分かる。
「僕には、あなたにはまだとても言えないことがたくさんあります」
「それは、私を助けてくれた、そして生徒たちを助けている、あの力のことですか?」
「…そうです。御覧になりますか」
そう言うと、ハデスは黒いシャツのボタンを外して普段は服で隠されている身体を晒した。顔に
深く入っている亀裂が身体にも走っている。まさかここまでは、と思っていただけに美徳は息を
呑んだ。それをどう捉えたのだろう、ハデスは哀しそうに笑う。

331:約束 10
10/06/08 04:38:12 WWGSNzpF
「僕は普通ではありません。この亀裂はその力ゆえのものです。関わればあなたも辛い目に遭う
かも知れません。そんな事態に立ち会わせたくはないのです」
ハデスはますます哀しそうな顔になった。そんな様子に、つい腹立たしさが先にたって声を上げて
しまう。
「私を見くびらないで下さい!」
「才崎先生?」
「そんなに普通の人がいいと思うなら、最初からハデス先生には目もくれません。ハデス先生に
何か秘密があることなんて、何となく察していました。多分これから先に新たに知って驚くことも
あるかも知れませんけど、私、決して怯みませんから。不幸になんか、なるならなれです!」
決してもう目を逸らされないように間近で目を見つめると、どこか色を失っていた目に再び生気が
宿ったように思えた。
「それだけは、絶対に誓えますから」
「才崎先生…」
「約束しても、構いません。それでハデス先生が孤独でなくなるのであれば」
聞き分けのない子供に言い聞かせるようにして互いに額を合わせると、ハデスは軽い溜息と
共に小さな笑い声をたてた。
「…あなたには、適いませんね」
「ハデス先生?」
「僕が思っていたより、才崎先生は随分変わり者のようです」
「ええ、今頃お気付きでしたか?ハデス先生をこんなに好きになれるのは、私ぐらいのものです」
「かも、知れませんね」
ようやく元気を取り戻したのか、額が離れてすぐに唇を啄ばまれた。何の前置きもないうちだった
ので、内心で驚きながらもまた鼓動が高まる。触れては離れを繰り返していた唇の感触に酔い
かけているうちに、舌先が唇の形通りにじっくりと撫で、心地良さに開きかけていた唇の間に入り
込んでくる。

332:約束 11
10/06/08 04:39:03 WWGSNzpF
「…っ」
口腔に入り込んだ舌はハデスのものとは思えないほど淫らに内部を探った。唇にしたと同じよう
に巧みに歯列をなぞり、動かないままの美徳の舌を探り当てて撫でながらも絡ませ、柔らかい
口腔内の粘膜の隅々までを犯していく。
頭の中が蕩けてしまうようだった。生徒に童貞と揶揄されるほど女性経験はなさそうだったのに、
こればかりは予想を外れていたようだ。
その間にも、留守になっている両手はガウンの胸元から乳房に触れている。
最初からあまりにも濃厚なキスは、思わず呼吸さえ忘れるほどだった。唇が離れてからようやく
大きく息をつく。
「…はっ」
「大丈夫ですか?」
「ハデス先生が、随分慣れてらっしゃるので驚いています」
「それは…才崎先生がそう思っただけでしょう」
一瞬だけ言葉を濁したのを美徳は聞き逃さなかったが、この場で追求するのはやめた。まだ知ら
ないことばかりがあるのは当然のことで、それを今どうこう言っても仕方がない。
「そうかも知れません」
呟いて身を預けながら目を閉じると、ガウンが肩から滑り落ちた。瞬時にして緊張した気配が
伝わってくる。最初は遠慮がちに乳房に触れていた手の動きが、次第に強まっていく。同時に
瞼や頬に落としていた唇が顎の線から耳、そして首筋へと下がっていく。
「あ…」
軽く首筋を吸われて、未知の感覚に自分のものとは思えない声が漏れた。大胆になっていく手
が形を愉しみでもするように、ゆっくりと揉み始める。時折指先が悪戯でもするように乳首を弄ぶ
ことすら感じ入ってしまってどうかしてしまいそうだ。
「やっ、そんな…」
無意識に緩く身を捩って逃れようとするも、既に身体は疼き始めて思うようにはいかなかった。
まだ何も知らないのに、たやすくこんな風になってしまうことが自分でも信じられなかった。そして
世の中の女はみんなこうして男を知るのだろうと思うと、何だか不思議だった。

333:約束 12
10/06/08 04:41:22 WWGSNzpF
「横になって貰えますか」
耳を蕩かすような声が響く。頷いてベッドに横たわると、もう用を成さないガウンの紐が解かれた。
それを恥じる余裕はもうなくなってしまった。包み隠すものがなくなった途端に乳房を大きな手で
鷲掴みにされ、舌でなぞりながらも噛みつきでもするように歯を立てられて、その激しい刺激に
あられもない声が上がる。
「やあぁっ…」
シーツを握って耐えながらも身悶え続ける美徳の肌の上を、ハデスの長い指が這い回る。その
指先が臍からまっすぐに下がって陰部の中心にある女の核を捉えた。反射的に閉じようとした
膝の間にはハデスの身体が挟まる形になっていて、叶わなかった。
「…やだ」
まるで戯れるように核をいじり、爪の先で引っ掻いては指の腹で撫でる。そのわずかな動きが
凄まじく強い刺激となって身体がびくびくと震えた。こんなに感じている姿を見られることに何度も
恥ずかしさが湧くのだが、それ以上に快感を煽られて全てが無駄になっていく。
「そこは、もう…いやぁ…」
「では、ここならどうですか?」
あまりにも感じ過ぎてしまう核をいじっていた指が更に移動する。もうどうしようもなく濡れきって
いる膣に軽く指先が差し入れられた。
「ひゃっ…」
ほんの入口で軽く抜き差しをしながらも滲み出す愛液を襞に絡め、わずかずつ浸入する深さを
変えていく指が急に膣壁を強く擦った。
「あんっ!」
「才崎先生、ここならどんなに声を上げても他人に聞かれることはありません。どうぞご存分に
愉しんで下さい」
指であられもなく美徳を乱れ狂わせながらも、乳房に吸いついていたハデスが満足そうに声を
かけてくる。
「あ、ぁ…ハデス、先生っ…」

334:約束 13
10/06/08 04:42:18 WWGSNzpF
髪を振り乱しながら悶える美徳は、もう意識が飛んでしまいそうだった。自分ですら触れたことの
ない女の敏感な内部が、男の指先で巧みに切り開かれて淫らな快感に馴染んでいく。まだ頭の
中で理解しきれていない部分が砂糖菓子のように溶けていった。頑なな女でしかなかった自分
がこうして変わっていく。
「はぁ、ぁ…んっ…」
何本もの指が膣内で蠢いてそれぞれが自在に快感を引き出しているのが分かる。柔らかい壁が
馴染んでいく度にまるで生き物のように悦んで指に絡みついていることも。ほんの短い間にここ
まで身体が変化しているのだ。
乳房を波打たせながら大きく喘ぐ美徳の目に、異様なものが飛び込んできた。スラックスをくつろ
げたハデスが握っているものは、紛れもなく彼自身だ。全てにおいて欲求の薄いイメージがある
ハデスのそれとは思えないぐらい、硬くそそり勃っている。
「もう、いいですね。才崎先生」
平然としているように見えてもやはり同じだけ興奮をしていたのだと嬉しくなって、微笑む。
「…はい、いらして下さい」
「嬉しいです…」
存分に指で蕩かされたそこに、今見たばかりのものの圧迫感を感じた。来る、と思った途端に
粘膜が悲鳴を上げるほどの衝撃が走る。
「ああああっ!!」
これまで想像していたよりも遥かに大きな激痛だった。無理もない。そこに触れたのはさっきまで
の指だけだったのだ。今内部を犯そうとしているものは、指など比較にならないほどに大きく張り
詰めている。
「うぁあ…」
喉を絞るように苦しい声を上げる美徳の唇が塞がれた。宥めるように絡み付いてくる舌に頭の
芯がぼんやりと霞んでくる。そうしているうちにも、痛みで軋む膣内は異物を少しずつ受け入れ
ていった。
やがて根元まで収めてしまってから、ハデスは安堵したように息をつく。その吐息に唇を撫で
られて涙が零れそうになった。痛みではなく、嬉しさの涙だ。

335:約束 14
10/06/08 04:43:23 WWGSNzpF
「苦しいでしょうから、ゆっくりします。我慢出来なければ、殴ってもいいですよ」
「そんな…大丈夫ですから」
髪を撫でられる。そのタイミングでようやく馴染み合ってきた内部がまた引き攣れたように痛んだ。
圧倒的な質量で膣内を犯すものがずるりと蠢き出す。
鈍い痛みを耐えきれずに、思わず声が漏れた。
「んっ、い…たっ…」
「我慢は、なさらないで下さい」
「い、いんです…耐えられます…」
女なら誰でも知る時が来るこの苦しくも幸せな感覚を、今こうして自分も経験しているのだと思え
ば幾らでも我慢が出来た。軋むように引き攣れた痛みは動きが早まる度に少し薄れていく。痛み
はもちろん続いているものの、擦れ合う粘膜の刺激で愛液も充分に溢れているからだろう。その
うちに行為にも慣れていく、痛みも消える、身体が馴染み合っていく。
本当に一人の為の女になっていくのだ。
「ハデス、先生…」
息も絶えだえに、美徳は心に決めた人の名を呼んだ。
「ここにいますから」
空を探る指が長い指に絡められる。そろそろけりをつけようとするように、内部を擦る動きが更に
早くなった。また声が痛みで掠れる。
「や、あぁぁ…」
まるで津波に襲われたように激しく身体が揺さぶられた。膣の奥まで深々と突き立てられて、
なけなしの声すらも途切れる。内部を犯しているものは一層大きさを増して侵略の限りを尽くし
ていた。痛いのに嫌じゃない、それよりもむしろ気持ちがいい。こんな風にめちゃくちゃに突か
れてすべてを奪われているのに。
これが絶頂なのだと認識するより先に、美徳は気を失ってしまった。

336:約束 15
10/06/08 04:45:03 WWGSNzpF
「…あ」
目が覚めると、ハデスの腕に抱き締められていた。
「ハデス先生…」
「どうしました?」
あやすように髪を撫でられ、頬に手を添えられる。今はそれだけで不思議と安心出来た。
「さっき言った約束、有効、ですよね…?」
「ええ、とても嬉しかったです。あなたのような方にそう言って貰えて」
「では、一緒にいてもいいのですね」
「僕でよろしければ」
ここに至るまでに、何度も醜態を晒した。失敗もした。慌てたり怒ったり取り乱した。それらが全て
ようやく今夜報われたと思った。思いが叶うまで諦めなくて良かったと心から嬉しかった。
「…もう一つ、私の願いを聞いて頂けますか?」
「ええ、構いませんよ」
今夜のハデスはいつにも増して優しい。せめて今だけは世の中の恋人同士のように甘えきって
わがままを言ってみたかった。
「二人でいる時は、逸人さんと呼んでもいいですか?」
「もちろん…では僕も美徳さんとお呼びしましょう」
「…嬉しい」
本当に、こんな素晴らしい夜はなかった。幸せだった。急にひどく泣き虫になった美徳の涙を
長い指が何もかも心得たように拭う。

数日後、また凝りもせずに集まってエロ本を回し読みしている男子生徒たちがいた。こればかり
はもうどうしようもないと呟きながらも、美徳は近付いていく。
「あななたち!」
「うわ、みのりちゃん、鋭すぎ」
生徒たちの顔にはまたうるさいのが来たと書いてある。構うことなくその手から本を取り上げると、
パラパラ一通りめくってからぽんと突き返した。
「こんなものは、隠れて見るものよ。よく考えなさい」
今度は特に没収することもなく、注意だけをした。唖然とする生徒たちの視線を浴びて立ち去る
美徳の後ろ姿からはもう怒りも焦燥も感じられなかった。




終わり

337:名無しさん@ピンキー
10/06/08 04:47:02 WWGSNzpF
今週の話で占い師が大切な人をどうこう言っていたので、急遽内容に絡めてみた。

338:名無しさん@ピンキー
10/06/08 06:38:16 4nKfq/E8
マジGJ!

339:名無しさん@ピンキー
10/06/08 07:14:12 qIpaGX08
>>337
ハデみのGJでした!

340:名無しさん@ピンキー
10/06/08 07:30:04 6TBxqTgu
出勤前に、間違い発見。
ガウン→バスローブだった。
なんかああいう形状のもの、で書いてる時に言葉が出てこなかった。
どっちもあまり変わらないものみたいだけど、一応訂正。

341:名無しさん@ピンキー
10/06/08 18:34:41 Fb3HkTAz
そんくらいいいってことよ
乙した!

342:名無しさん@ピンキー
10/06/08 18:41:26 aUieXW+o
>>340
出勤前にGJ!!

343:名無しさん@ピンキー
10/06/08 19:45:48 BWlKtM9D
出勤前てwとにかくGJ

344:名無しさん@ピンキー
10/06/08 20:20:14 gHeJwE0o
GJ!!
ハデみの自体も嬉しかったけど、文章そのものが凄いレベル高いな

345:名無しさん@ピンキー
10/06/08 20:59:45 5mXWDe3C
帰って来た。
そしてまた再チェックしたら自分で間違いを見つけた。
15での美徳の台詞「あななたち!」…orz

やっぱ眠くて朦朧としながら書くと、こんなもんだな。他にも間違いがあったら
こっそり笑ってくれ。

346:名無しさん@ピンキー
10/06/08 23:50:31 rpMgY0mG
雰囲気にひたってるからちっとも気付かんかったよ、GJでした!
みのりちゃんの芯の強さが素敵だ!

347:名無しさん@ピンキー
10/06/09 00:17:27 6iQtKpJ1
>>345
細けぇ事はいいんry乙!

348:名無しさん@ピンキー
10/06/09 00:20:50 BMJ4lekA
今週のジャンプ
「待ってイくイくイきます!!」
「フッちょろい娘だこと」
「シンヤはここ刺激すっと弱いよね」
すみませんでした

349:名無しさん@ピンキー
10/06/09 01:10:30 Negr2UQK
>>348
大丈夫俺も同じこと思った

ところでハデス先生はちんこにもヒビ入ってるのか?
もしそうだとしたら挿れられた女はヒビがこすれると痛いのか気持ちいいのか。

350:名無しさん@ピンキー
10/06/09 01:12:24 UINTsGlZ
ヒビだと痛そうな気がする
その前に普通に勃起できるんだろうか?

351:名無しさん@ピンキー
10/06/09 01:23:08 9smEiZV5
実際、好きな食べ物も特にないぐらいだ。
三大欲求全般に渡って興味が薄いと考えられる。
とはいえ、アラサーにしてバレンタインデーのチョコをまだ一個も貰えてない
ことは気にしていた様子なので(石炭は貰ったが)ある程度の欲求ぐらいは
あるのかも知れない。

下の話になるが、男が気にするほど女はナニの大小長短にこだわってない。
そして形状もこだわらない。
真珠とかリングとか色々施したとしても、それほど感覚的には変わらない。

352:名無しさん@ピンキー
10/06/09 01:29:29 UINTsGlZ
真珠埋めた先生想像してドン引きしたw
鈍ちゃんを喜ばそうと勘違いしたパチンカー経一なら…

先生一応生理現象あるんだよな

353:名無しさん@ピンキー
10/06/09 02:22:09 AzxYxZ/i
>>345
神様有難う。お仕事頑張って下さい。おやすみ

354:名無しさん@ピンキー
10/06/09 02:39:23 IReASuf2
みのりちゃんのエロあったのか
職人GJ

355:名無しさん@ピンキー
10/06/09 02:51:36 jVBQtCug
ハデみのたまらんですGJ。本誌でもはよ絡んでほしい。
そっけない鈍ちゃんを辛抱たまらん経一が襲うシチュも見てみたい。


356:名無しさん@ピンキー
10/06/09 02:59:18 45fnpONN
こんなスレがあったとは…。
鈍ちゃんにどっぷりハマったのと、神SSの数々に触発されて数年ぶりにSS書き始めてみたんだが、
割りと甘々な経鈍って有りかな…

357:名無しさん@ピンキー
10/06/09 03:03:57 jVBQtCug
このスレ初の鈍ちゃんSS投下の予感にwktk
全裸で待機してます

358:名無しさん@ピンキー
10/06/09 15:22:42 45fnpONN
よし経鈍頑張ります。
今日は休みなんで夜にはうp出来ると良いな…

それにしても勘違いパチンカー経一に吹いて萌えたw

359:名無しさん@ピンキー
10/06/09 15:37:24 vhAd7GdM
「鈍ちゃん聞いてくれよ。指輪はまだ先になりそうだけど、その代わりもっといいこと
考えてさ。実は今日アレに真珠埋めたんだよ。これでもっと鈍ちゃん喜ばせてやれると
思うんだ、だから結」
「帰ったらすぐ荷物纏めて出て行ってね」
ピッ
ツーツーツー

こうですねわかります

360:名無しさん@ピンキー
10/06/09 22:03:27 Y6LLIQVX
遅ればせながらハデみのGJ!!
しかもかなり幸せな話で読後感も良かった。
心に決めた人、とか言い回しも好きだ。

361:名無しさん@ピンキー
10/06/09 22:30:42 OGorViWI
>>359
GJ過ぎる。後半はこれを糧に頑張りました。
経鈍完成したので今から投下します。
しかし凄い長いかも知れんこれ…

362:甘々経鈍 1
10/06/09 22:36:06 OGorViWI
鈍ちゃんまさかのMっ子注意報。
経一もあんまりヘタレてない。二人はセフレ。
美っちゃんの『ああいうのに限って気を許した相手にはry』な内容です。


時は夕刻、サロンの営業時間も終わり一段落着いたものの彼女にはまだ仕事が残っていた。
夕食の支度。洗濯や風呂掃除といった物は同居人の男に頼めるが、こればかりは彼に任せる事は出来ない。
特別料理好きという訳では無いが、手先が器用な彼女は料理の腕も素晴らしい物だった。
今日のメニューはハンバーグ。下拵えを済ませ、後は手作りのタネを焼くだけといった所でタイミング良く男が帰ってきた。

「にっぶるちゃーん!ただいまー!」
「…お帰り。その様子じゃ今日は勝てたみたいね…」

居間に勢い良く帰ってきた男は片手に菓子の入った袋、もう片方にも紙袋を持って満面の笑みを浮かべている。
今日は元々、訳有りでは無い普通客の予約しか入っていなかった為朝からずっとパチンコ屋に入り浸っていたのだろう。
わざわざ聞かずとも結果は明白だった。

「そりゃあもう、今日は大勝ちだぜ!充電切れちまって連絡出来なかったんだよなー。んで、今日の土産はと言うと…」

まだ興奮が冷めていない彼は楽しそうに瞳を輝かせながらテーブルに荷物を置く。
金が完全に無くならない限り何かしら土産を買ってくる彼の今日の土産はどうやら紙袋の方で、ガサガサと其れを漁る小さな音が聞こえた。
傍から見たら全く興味無さそうな無表情のまま、それでも内心気になっているのか彼女はキッチンを出て彼の傍にやってきた。

「何…?」
「じゃーん!新しいエプロンだぜー。これ絶対鈍ちゃんに似合うと思ってよォ」

両手で広げ目の前で掲げてくる。その手に持つのは真っ白なエプロン。…しかし一般的な普通のエプロンでは無い。
ヒラヒラとフリルが付いた、肝心な手を拭く部分もやたら短く丸い物で、どう見てもメイド喫茶の店員が身に着ける様な物であった。

「何よこれ…。あんた私にメイドにでもなれって言うの?ふざけないでよ」

少しでも期待した自分が馬鹿だった。可愛い女の子が好きでこう言った類の物も勿論好きだが、自分自身がと言うと話は別。
甘ったらしい物は自分には似合わないと、可愛い物を身に着ける事は避けてきた。
彼女は盛大に溜息を吐いたが、彼は柔らかい表情で同じく小さく息を吐きエプロンをテーブルに置いた。

363:甘々経鈍 2
10/06/09 22:39:44 OGorViWI
「まぁ鈍ちゃんが俺のメイドになってくれたらすげー嬉しいけど、そうじゃ無くて……ほら、エプロンっつーとアレだろ?…裸エプロン」

大きな身体との距離が近くなったと思った頃にはもう、彼女の身体は彼に抱きすくめられていた。柔らかかった笑みが邪な物に変わる。
ニヤリと口端を吊り上げた男が耳元で直接囁いた言葉に、彼女はビクリと小さく身体を震わせた。

「なっ…!…何言ってんのよ馬鹿…。冗談言ってないで、早くご飯……あっ」
「…だからこれ着て飯作れって。鈍ちゃん普段すっげーエロい下着付けてる癖に、可愛いモンって着ねぇんだよな。たまには良いだろ…可愛い鈍ちゃんが見たい」

最初こそ声を上げてしまったものの、冷静に、普段通りのトーンで呆れ気味に言いながら両手を彼の胸板に当てて離れようとするがびくともしない。
男と女、只でさえ差があると言うのに体格の良い彼相手ではこうなってしまうと自らの力で逃げる事は出来ないのだ。
彼は彼で彼女が逃げられない事を充分知っていて、意地の悪い笑みを浮かべながら片手で彼女のズボンのファスナーを下ろす。
彼女が今身に着けているエプロンを捲くり隙間が出来たズボンの中に両手を忍ばせ、彼は彼女の尻をやわやわと揉んだ。殆ど覆う物が無い状態。
予想通り紐の様な下着を穿いているであろう彼女の生尻をさすりながら、情欲的な目で男は彼女の瞳を見つめた。

「や……ぁ、んんっ…」

その熱い視線と手の動きにドクンと胸が鳴り彼女の頬は微かに赤みを帯び身体の力が抜けた。そんな彼女を見過ごす訳も無く、彼はすっと瞳を細めて彼女の唇を奪った。
ぎゅうっと瞳を閉じて再び力が入ってしまった彼女が可愛く、一度は緩んだ表情を押さえ小さなリップ音を立てながら彼は彼女の唇を愛撫する。
舌を口腔に優しく挿し入れ、何時の間にか両手はズボンの中から離れ彼女を優しく抱いていた。

温かい彼の唇と舌の熱、そして己を抱き締めるその温もりが心地良い。普段外では冷たい態度を取っているが、彼の事が嫌いなのでは無い。
外では素直になれないが、プライベートの時間、彼と二人きりの時だけは甘えてしまいたくなる。何だかんだ言いつつも、彼の事を好いているのだろう。
彼女もまた、彼の背中に腕を回し自ら舌を絡ませた。

「…ん、ぁ…。…もう、経一のばか。今日だけだからね…着替えてあげるから待って…」
「んーにゃ。俺がやる。俺が着替えさせてやるぜー」
「………好きにすれば」

緩慢に顔を離す。唇はどちらの物か分からない唾液で濡れていて、頬の赤みも先程より若干濃くなっている様だ。
濡れた唇をぺろりと一舐めし、ほんの少しだけ恥ずかしさを滲ませた視線を外しそのまま彼に背中を向けたが、待っててと言い終える前に再び彼に捕らわれてしまった。
すり、と首筋に顔を擦り付けられる。触れる髪が擽ったい。くすくすと笑いながらじゃれてくる彼はまるで大きな犬の様。
小さく溜息を吐き肩を落とすもそれは嫌な物では無く、彼に見られていないのもあってか彼女の口許は無意識に小さな笑みを浮かべていた。

364:甘々経鈍 3
10/06/09 22:41:58 OGorViWI

己の腕の中でおとなしく身を任せてくれる彼女が愛しくて仕方が無い。甘やかし甘えてくれる可愛い彼女の姿は自分しか知らない事に優越感を覚える。
髪や耳に触れるだけの優しいキスを降らせながらエプロンを解くと、そのままシャツのボタンも一つ一つ外し彼女の衣服を脱がして行った。

「久しぶりだからか?鈍ちゃんのおっぱいが前よりでかくなった気がする」
「…っ、知らないわよ…。もう成長期は終わってるんだから、気の所為でしょ…」

脱がした服と下着はテーブルの前の椅子に掛け、露になった彼女の乳房を両手で持ち上げる。
大きい掌だと言うのに、零れ落ちそうな其れには男の夢でも詰まっているのだろうか。
そんな馬鹿な事を考えながら柔らかい胸をそっと揉みしだくと、彼女の吐息に熱が篭るのが分かった。
このまま今直ぐにでもベッドに連れ込んで可愛がってやりたい衝動に駆られるが、それでは今日の野望が達成出来ない。
お楽しみはこの後に…と彼は己自身に言い聞かせ、その後は特に悪戯はせず全てを脱がし新しいエプロンを着せてあげた。


「随分短いのね…」
「……やっべ、鈍ちゃん凄ぇ可愛い。半端無く可愛い。可愛すぎて俺死ぬかも…」
「じゃあ死になさいよ」

着てみると、予想以上にエプロン部分が短い。胸が大きい分そちらに取られてしまっている様だ。
フリルの下に隠れてはいるもののそれはギリギリのラインで、彼女は恥じらいながらエプロンの裾を引っ張った。

彼はと言うと、これまた予想以上に彼女の裸エプロン姿が可愛く恥らう姿もあって思わず片手を口許に当て感動した様に呟いた。
その呟きにすかさず反応し唇を尖らせた彼女がまた可愛い。

「……私お腹空いてるの。いい加減ご飯にするから…手出してくるんじゃないわよ。火、使うんだから…」
「分かった分かった」

これで満足しただろうと、己の姿を食い入る様に見つめてくる彼の視線から逃げ彼女はキッチンに戻ってしまう。
腹が減っているのは彼女だけでは無い。ロクに食事を取らなかった彼もまた空腹で、それでも普段の様に椅子に座って待っているのでは無く、
裸エプロンを堪能しようと彼女の元にやってきた彼は食器類が入ったキャビネットに背中を預けた。

「後ろで見てるだけなら良いだろ?その姿で料理してる鈍ちゃんが見たかったんだしな。裸エプロンは男のロマンだぜ!」
「女の子に夢見過ぎね…」

呆れながらも、楽しそうに話す彼が何だか可愛くついふふっと小さく笑ってしまった。
フライパンを火に掛け油を薄く引き、ハンバーグのタネを二人分其処に入れるとパチパチと小さな音が聞こえ始め、次第にジュージューと大きな音が二人の耳に届く。
食欲をそそられるその音に機嫌を良くしながら焼いてる合間皿に野菜を盛ったりと彼女は黙々と食事の準備をしていたが、彼はむずむずと身体を疼かせながらその後ろ姿を眺めていた。

365:甘々経鈍 4
10/06/09 22:43:46 OGorViWI

流石裸エプロンと言った様に後ろは殆ど裸状態で、彼女が動き長い髪が靡く度可愛らしくいやらしい尻が形を主張して己の理性を刺激する。
好きな女が裸エプロンで料理をしていると言う事実。男に取ってはこの上ない幸せだ。まるで新妻のよう、彼は食欲よりも性欲が高まって行き爆発しそうだった。

「あー…ホント、すっげー可愛いしすっげーエロい。鈍ちゃん新妻みてぇ…。俺鈍ちゃんのその格好見てるだけでイっちまうかも」
「…馬鹿な事言ってないでよ……経一のえっち」

つい、頭の中で考えていた本音を口にしてしまう。強すぎる欲求。また冷ややかな悪態を吐かれてしまうと思った彼の耳に届くのは予想外の物だという事が、この後直ぐに分かる。
ハンバーグを焼き終え、火を止めた彼女はそのまま手を洗い小さな笑みを浮かべたままポツリと呟いたのだ。

その言葉を聞くなり彼は一瞬瞳を見開いて、何かがぷっつりと切れてしまった。

「鈍ちゃん…!もう駄目だ我慢出来ねぇ。飯より先に鈍ちゃんが食いたい。つーか食う!ベッド行くぞベッド!」
「何!?やだ、ちょっと待ってよ…経一…!」

興奮した男は彼女の身体を担ぎ有無を言わせぬ勢いで居間の扉を開け一直線に自室に向かう。
突然の事に瞳を丸め声を上げるも、彼女はやはり逃げられない。じたばたと両足を動かし抵抗するだけしか出来ない彼女を、彼は強引に自室のベッドに連れ出した。

「ちょっとぉ~~…」

流石に強引過ぎたか、むっと小さく頬を膨らませながら彼女は不満そうに彼の目を見つめる。
しかし仰向けに下ろされた身体を隠す様にエプロンの裾を引っ張りながらのその姿は、またそそる物だった。
彼は我慢ならずベッドに上がり、彼女の上に跨いで性急にズボンのファスナーを下ろすと、既に充分な熱を持ち雄雄しく猛る肉棒を露にさせた。

「見ろよこれ…。鈍ちゃんの姿見てただけでこんなになっちまったんだぜ…?我慢汁だって、ほら」
「…やだ、やめ…」

熱っぽく吐息混じりの低音で言いながら、彼は根元を掴み先端を彼女の頬に擦り付ける。
尿道から滲み出た透明な先走りの所為で彼女の頬を滑る彼の性器、そしてこの行為がいやらしくて仕方無かった。
瞳を細め小さく抵抗を口にするも、こんな事をされては彼女もどうにかなってしまいそうで。
思考が鈍り始めてきた彼女の口許にそれは滑り込んできた。

「鈍ちゃん…舐めて。先に食わせてやるから。俺のザーメンで腹一杯になれよ…」
「…うん…。ん…経一の…本当におっきぃ…。そんなに興奮した…?」
「興奮しねぇ訳ねーだろ?鈍ちゃんがこんな格好でよ…。…可愛い格好も似合うぜ、鈍」
「ぁ…。ばか…」

366:甘々経鈍 5
10/06/09 22:45:29 OGorViWI


雰囲気に飲まれ、彼女ももう余計な事は考えられなくなっていた。促されるままに、するりと両手を伸ばし彼の代わりに根元にそれを沿え、舌が届く範囲から先端までを舐め上げる。
ちゅうっと先端を唇に挟むと、その大きさを実感した。くすりと小さく笑みを浮かべ彼を見上げる。
揶揄かったつもりだったのに、同じ様に笑みを浮かべた彼の最後の言葉に、トクンと胸が疼いて恥ずかしくなってしまった。
目を逸らし頬を染めながら、彼女は彼のモノを本格的に愛撫し始める。
竿から先端へを何度も舐め上げたり雁首を舌先でチロチロと刺激したり、何時の間にか質量を増した気がするその先端を、再び咥えて舌をねっとりと絡めた。

彼女の舌遣いはとても巧みでゾクゾクと快感が押し寄せてくる。しかし体勢的に動き難いのだろう。決定的な刺激を求め、彼は上着を脱ぎ捨て彼女の顔の両脇に手を付いた。

「…鈍ちゃん、すっげぇ気持ちいい…。もうイキそうだから、動くぜ?全部受け止めろよ…」
「んっ…ぁ、あっ!んん…っ…」
「っ…は、やべ、マジ鈍ちゃんの口ン中気持ち良過ぎッ……イクぞ?…くっ、出る…!!」
「っ、ん!んーーッ…!」

ガンガンと遠慮無しに肉棒で喉奥を突き上げてくる彼の行為にキツく目を瞑りながら、もう自分から舌を絡める余裕は無くされるがままに口腔内を犯される。
歯を立てない様にするのが精一杯で、ゾクゾクと身を震わせながら頭の中はぼうっとし、彼女は吐き出されるであろう彼の熱に備えて身体を緊張させた。
ビュルっと舌の上に吐き出された精液を、彼女はぶるりと大きく震えながら飲み込んだ。

「んっ…は、はぁ…苦いぃ…」

独特な味を咥内に広げた其れは飲み込んでも尚彼女の中に名残を残す。肉棒を引き抜いて彼女の上から退くと、隣に座って彼女を慈しむ様な目で見下ろした。
彼もまだ、達した余韻で若干胸を上下させている。

「…ごめん、鈍ちゃん。でもすげー良かった。今度は俺が気持ち良くさせてやるぜ。沢山乱れろよ…?」

彼に良い様に扱われた後の余裕そうなその視線。ほんの少しだけ悔しさを覚えるが、悪態を吐ける余裕はもう残っていない。
彼女の膣からは愛液が滲み、身体も心も、彼が欲しくて堪らなくなっていたのだ。

「うん…。気持ち良くして…経一…」

とろんと惚けた表情で見つめられ、それだけでまた下半身が反応してしまいそうになった。ドキドキと胸を高鳴らせながら、彼は彼女の上に覆い被さりエプロンの下に隠れた乳房に片手を忍ばせる。
隠れた、と言っても大きすぎる其れはエプロンを少しずらすだけで乳首を露にしてしまう物だった。
片胸をやわやわと揉みしだき、指先で乳首を弄りながら、もう片方の胸に顔を近付け露にさせた乳首に舌を押し付ける。
手と舌の両方で弄ってやると、小さな身体がびくびくと震えるのが分かって思わず表情が緩んだ。

「ぁん……あ、経一…気持ちぃ…こっちも…して…?」

367:甘々経鈍 6
10/06/09 22:46:58 OGorViWI


相変わらず動きを止めず、硬くなった乳首を指では強く擦り、舌では熱い粘膜で刺激を与える。
我慢出来ずに下半身を捩らせた彼女は、もじもじと太股を擦り合わせながら片手でエプロンを握り締めていた。

「…こっち?…あぁ、鈍ちゃん。こんなに濡れちまってたんだなァ…。ホント、エロくて堪ンねーぜ。…淫乱」

可愛らしくお願いされては断る事等出来る筈が無い。彼女に促されるまま身体を移動させ両足を広げてみれば、膣口は愛液でテラテラと濡れ煌き、足を広げた衝撃で穴の方までとろりと垂れて行きそうになった。
すかさずそれを舐め取り、味わうように舌を咥内へ擦り付けてからニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべ呟くと、彼は改めて彼女の膣口に熱い舌を押し付けた。

「やっ、あんっ…あ、ぁ…淫乱じゃ…ないわよぉ…」

入口を擦る様に強く押し付けてくる舌がやたらと熱い。敏感な陰核にまでその舌が伸ばされると、彼女の身体は大きく震え更なる愛液を滲ませた。

「淫乱だろ。只でさえエロい身体付きしてんのに、直ぐ濡れちまって…。普段冷てーくせにセックスしようとすると簡単に流されちまうもんなー…今だってほら、腰動いてんじゃねぇか」
「えっ…や、ばか…っ!嘘言わないで…」

嘘では無い。彼女は無意識に腰を揺らしていた。ヒクヒクと震える膣口や彼女の口から溢れ出る甘い声、素直に感じてくれているのが嬉しく、可愛すぎる彼女にもっと意地悪してやりたくなってしまった。

「…あんまり馬鹿馬鹿言う奴には、これ以上してやらねぇぜ?」
「へ?…あ、やだ…そんな、止めないで…。私…こんなになってるのに…ちゃんと最後までシてよぉ…」

離れてしまった彼を見て、彼女は戸惑い眉を垂れ下げた。中途半端に止められてしまい、どうしようも無く疼く身体。
もじもじと蹲り太股を擦りながら、彼女は切なげに彼を見つめる。その視線に負けそうになりつつも、彼は彼女の身体を抱き上げ優しく退かし、代わりにその場に座ってベッドの端に背中を預けた。

「じゃあほら、自分で挿れてみろよ。可愛くおねだり出来たら、これで鈍ちゃんの中ガンガンに突いてやるぜ?」

そう言って意地の悪い笑みを彼女に向けながら、再び熱を持って勃ち上がる肉棒を片手に彼女に見せ付けた。
我慢が出来ない彼女は、その熱に誘われ彼に近付く。邪魔なズボンと下着を引っ張り脱がせると、彼の上に跨り肩に片手を置いた。もう片方で根元をそっと掴む。
彼の瞳を見つめながら、彼女は先端を入口に擦り付けた。

「おねだりするから…いっぱいシて…。私…経一がしてくれないとイけないもん…。…ぁ、あん、んんっ…」

全く可愛い事を言う。そんな可愛い事を言われながらの挿入に、彼の熱は簡単に質量を増してしまった。

「あっぁ、おっきい……経一ぃ…」
「っ…鈍ちゃん…ッ…」
「ひあっ、あぁん…っ…!」

368:甘々経鈍 7
10/06/09 22:48:15 OGorViWI

先端を膣内に埋め、彼女は両手で彼の肩に縋る。硬く大きな其れを緩慢な動きで埋めて行くと、我慢出来ずに両手で彼女の腰を掴んだ彼が思い切り奥へと突き上げた。
いきなり奥を刺激され彼女は大きな嬌声を上げる。身体全体も膣壁も、ビクンビクンと激しく震え肉棒をキツく締め付けた。

「あんっ、あ、経一…きもちぃ…凄い気持ち良いの……経一は…?経一も気持ち良い…?」
「…あぁ。凄ぇイイぜ。鈍ちゃんン中…俺のに絡み付いてくる…凄ぇビクビクしてんな…」

彼女はいやらしく惚けた表情で笑みを浮かべながら、自ら腰を動かし始める。
はぁはぁと熱い二人の吐息が絡み合い、それに加え、ベッドが軋む音と繋がる秘部からの水音に二人の気持ちはどんどん昂って行った。

「経一ぃ…もっと、もっと気持ち良くなって…。私のエッチな姿を見て…もっと興奮して…?」

彼の両手で尻を揉みしだかれる中、彼女はペロリと舌舐め擦りをし、艶やかな表情で彼を見つめながら両手を離しエプロンを捲くり上げる。
妖艶な彼女、隠れていた下半身を見せ付けられれば彼の余裕は一瞬にして消え去ってしまった。

「鈍っ…!っは、もう余裕ぶってらんねぇ……お前ン中犯しまくってやるから…覚悟しろよ…!」

完全に理性が無くなり、獣の様にギラ付いた瞳で彼女の身体を見つめながら、彼は口端を吊り上げた。
勢い良く身体を起こしそのまま彼女を押し倒すと、両手で太股を掴み大きく足を開かせながら力任せに腰を打ち付けて行く。
激しい動き、限界まで膨れ上がった肉棒で膣内を犯され、彼女の中は悲鳴を上げる様に愛液を溢れさせながらぎゅうぎゅうに彼を締め付けた。

「ひぁぁあっ!あ、あっ…!激しっ…経一っ、そこ、だめぇっ…」
「…くっ、ハハッ、俺の喰いちぎりそうな程締め付けてくるぜ、鈍ン中…」
「あう、あっ…あぁんっ…も、もうイっちゃう……イクっイクっ…あ、あっ!あぁぁーッ…!」
「…ッ…!!!」

369:甘々経鈍 8
10/06/09 22:51:16 OGorViWI

乱れきって惜し気も無く声を上げる。涙目の彼女が限界に達し絶頂を迎えるとビクンビクンと快感に支配され痙攣した膣壁がより一層彼に絡みついた。
その強い快感に堪えられる筈も無く、彼も直ぐに絶頂を迎え彼女の中に熱い欲望を吐き出した。
ビュル、ビュル…っと残った精液を全て注ぎ込む。あぁそう言えば、今日は安全日かと確認する間も無く中に出してしまったと、そう彼が思ったのは一瞬で、達した余韻に飲まれ直ぐにまた頭の中は真っ白になってしまった。

「ん…ぁ、経一…。凄い気持ち良かった…」
「鈍ちゃん…俺も、興奮したぜ…。エロくて可愛い鈍ちゃんを堪能出来て、すげー腹いっぱい…」

胸を上下させ余韻に浸り、まだ繋がったまま二人はぎゅうっと抱き締め合った。ふふっと小さな笑みを浮かべながら彼女は彼に擦り寄る。
そんな彼女を愛しそうに見つめながら、彼はゆっくりと身体を離す。ずるりと肉棒を引き抜き、彼女の身体も起こそうと手を伸ばしたその時、予想もしない音が二人の耳に届いた。

…ぐう。…ぐうぅ。

それは紛れも無い、彼の腹の音。一瞬にして雰囲気を打ち壊したその音は一度では終わらなかった。

「あー…やっぱ腹減ってるみてー。ははは」

彼は片手を頭に乗せて髪を掻き乱しながら、バツが悪そうに笑みを零す。

「……最低」

そんな彼に対し、彼女は盛大に肩を落とし溜息を吐いた。





終わり。

370:名無しさん@ピンキー
10/06/09 23:12:29 jVBQtCug
ありがとう!ありがとう神!!こういうの求めてた!!

本誌の経一は可哀想なのに、こっちの経一は美味しすぎるw

371:名無しさん@ピンキー
10/06/10 00:51:51 Lqh6ri8v
乙乙!

372:名無しさん@ピンキー
10/06/10 02:28:41 pZu/Ay28
GJ!
エロ甘くていいね。>>359を勝てにしてくれてありがとう。

何かが降ってきたので投下する。

373:それでも空回る女 1
10/06/10 02:34:29 pZu/Ay28
入浴を終えるといつものように冷たいものが欲しくなった。
冷蔵庫を開けて500mlのロング缶を取り出し、歩きながら空けて一口飲む。
「はー」
満足そうに声を上げると、ベッドの淵に腰を下ろした。まだ火照っている身体にビールの冷たさが
心地良く沁み込んでいく。この部屋の中では毎日のように繰り返されている光景だ。
しかし、今夜はどこか違っていた。
一缶飲み干してしまうと、美徳はベッドにごろんと転がる。
「…こんな筈じゃ…」
声は空しかった。

思いを遂げる為に散々慣れないことに苦闘した挙句、ハデスとの幸せな夜を過ごしたのはもう
かれこれ一週間前のことだ。あの時は本当に幸せだったし、それでずっと二人の関係は上手く
行くに違いないと思っていた。
しかし、相手があの鈍いにも程があるハデスだからこそ何かと勝手が違う。美徳も恋愛経験値の
圧倒的な少なさから、なかなか心の中を察することが難しい。
要するに、簡単に言えば、ぶっちゃけ、次に会って一緒に過ごす予定を聞けないままなのだ。
学校では決して公私混同などしてはいけない、というポリシーを持ってこれまできただけに、完全
な私情になってしまうような事柄をあえて尋ねることは出来そうもなかった。
なら、今までのことは何だったのかというのは、もちろんすっぱり美徳の頭の中から消えている。
我ながら面倒臭い女だとは思う。
また二回目の約束を取り付ける為にドタバタ慌てなければいけないのかと思うと、溜息が出そう
になった。
ハデスは相変わらず何も変わらない。目が合えば会釈をするし軽く言葉も交わす。ただ、その先
にどうしても言葉が続かないのだ。恋愛は緩やかなスロープではなくて、一段一段悪戦苦闘しな
がら昇っていく高い階段のようなものなのだろうか。
息を切らしてやっと一段昇ったばかりの美徳には、まだまだ遥か先が見えないままだ。
考えてもこんがらがるばかりで、もうどうしようもない。
「もう一本、飲もうかな」
答が見つからないことに悩んでいるうちにまた喉が渇いた気がした。それを言い訳にして、また
本数を重ねてしまうのだろう。

374:それでも空回る女 2
10/06/10 02:35:19 pZu/Ay28
「才崎先生、おはようございます」
翌日、出勤してすぐにハデスが声をかけてきた。
「あ…ええ、おはようございます」
不意を突かれてすぐに対応出来なかったせいで、変な返事になってしまった。慌ててしまう美徳
だったが、ハデスは特に気にならないらしく平然としている。
「今日は朝からとても日差しが強いですね、お気をつけて下さい。では」
「…はい、そうですね…ありがとうございます」
遠ざかる後ろ姿を見送りながらも、慌てているせいで定型通りの言葉しか出て来なかった堅物
の自分を殴りたくなった。
こういう時にこそさり気なく空いている時間を尋ねて約束を取り付けるのが恋愛上手の女という
ものだろう、とどこかのマニュアル本に書いてあるようなことで頭の中が一杯になった。一応は
それなりの仲になったというのに、また元通りじゃ話にならない。
美徳はまた焦り始めていた。

昼休み。
表面上は何も変わらないように思えても漂う空気感で察するものがあるのか、凡庸な見た目
に寄らずやたらと洞察力のあるアシタバは不思議そうに首を捻った。
「なんかこう…みのり先生って最近変わったよね」
「そうかー?相変わらずうるせーしいちいち迷惑なんだよ全く…あれってマジ若年性の更年期
入ってんじゃね?」
隣で今日も豪勢な弁当を掻き込んでいる藤は面倒そうに吐き捨てた。
「そうかなあ…」
何となく解せない顔をしながらも、確証のないことにこだわる気はないらしくその場は追求する
ことをやめた。こんな時間は甲斐甲斐しく生徒たちのお茶汲みをしているハデスもこれといって
何も変わった様子がない。ただの気のせいかとも思っているのだろう。

375:それでも空回る女 3
10/06/10 02:36:10 pZu/Ay28
美徳は今日も屋上にいた。
悩みは日毎に募るばかりで、下手に誰かの顔を見たら八つ当たりの一つもしそうになってしまう
のが嫌だったのだ。人から見ればこの悩みなんてほんの些細なものでしかないだけに、そんな
嫌な自分にはなりたくなかった。
「あーあ」
ろくに食べないままずっとつついているだけだった弁当をまた包み直して、美徳は壁にもたれる。
もう昼休みが終わるまでこのまま眠ってしまいたかった。
「…ここにいたのですね、美徳さん」
うとうとしかけていたのに、突然耳にあの声が飛び込んできた。反射的に飛び起きると目の前に
ハデスが立っている。
「…えっ?」
「探しました、三途川先生がきっとここにいると言うので来てみたんです」
「そんな…逸人さん。わざわざそんなことしなくても…」
「いえ、きっと美徳さんがお悩みになっているのは僕のせいだと思いましたので」
驚いて立ち上がると、泣きたくなるほど優しい顔が間近にあった。側に寄ろうとする間もなく強く
抱き締められて息が詰まりそうになる。
「…あれからあまり話が出来なかったのは、僕の不徳です」
「そんな、お気になさらないで」
「そして美徳さんを苦しめたのも僕のせいです」
「ですから…」
「今日は何曜日か、分かりますね?」
「…あ」
そういえば今日が金曜日だったことを思い出す。あれからちょうど一週間だ。
「ですから、今夜は僕からお誘いをしようと思っていました。でも、つい言えずにいて…それが
あなたを悩ませていたなら謝ります」
「逸人、さん…」

376:それでも空回る女 4
10/06/10 02:37:01 pZu/Ay28
堪えていた涙が溢れた。
何もあれほどまでに悩む必要などなく、以前のようにしていれば良かった。けれどそんなことは
こうして言葉を交わしてみなければ分からなかったことだ。
「や、やだ、私ったら…」
涙は見られたくなくて、思わず腕の中から離れてしまう。
「美徳さん?」
「私、みっともない女なんです。ずっと一人で足掻いていました、そして悩んでいました。本当は
そんなことしなくて良くても、あなたのことを思うと…」
言いながら涙を拭う美徳を、優しい目が見ていた。
「そういう美徳さんだから僕は」
「えっ?」
言葉の続きは残念ながら聞こえなかった。ただ、別の言葉が勢いを継ぐ。
「本当はいけないことですが、ここでしてもいいですね?」
驚くほど真剣な目の色が心を射る。そのまま近付いてくる顔に無言のまま反射的に目を閉じた。
こうしてキスをされただけで、これまでずっと悩んでいたことが綺麗に消えていく。
この人を好きでいられる気持ちがあれば、どんなに悪戦苦闘しながらこの恋の階段を昇ろうとも、
一番上に広がりゆく世界が自分にとって望むものであろうとなかろうと、構わないと思った。
真昼だというのに、心が蕩かされていく。

屋上の出入り口で、無粋な物音がした。
はっとその方向を向いた二人の目に、段差につまづいたのか転んで顔をしかめているアシタバが
映った。
「あ」
「「えっ」」
三人三様に声が上がったのは、ほぼ同時だった。次の瞬間、何かに弾かれたようにアシタバは
言葉を濁し始める。

377:それでも空回る女 5
10/06/10 02:37:41 pZu/Ay28
「ぼ、ぼ、僕は何も…何も見てません、ここにはいませんでしたからっ…ごめんなさいっ」
そして転がるように階段を下りていく。
「ちょっ、アシタバくん…待ちなさい!」
さすがにこのまま放っておくことは出来ないのだろう、ハデスは慌てて追いかけて行った。一人
残された美徳は呆然としながら、それでもあの生徒が不用心に二人のことを誰かに話すことなど
決してないのだろうと何故だか確信していた。
今は、それよりも。
「これから先、何段…あるのかなあ…」
梅雨間近の青空は心が痛むほどに澄んでいる。どこまで昇れば望む未来が待っているのか、
今はそれだけが気になっていた。

余談

美徳がしばらく屋上で空を眺めている頃、ハデスとアシタバは体育館の影に並んで体育座りを
していた。
「…ごめんね、えらいもの見せちゃって」
「いいえ、先生がどこに行ったのか気になったので、後をつけた僕が悪いんです」
「ホントは学校じゃ出来ないのに…つい」
「いや、そんなに気にしないで下さい。まさかみのり先生までいたのはびっくりしたけど…」
そこに根が生えてしまったように落ち込んでいるハデスを、アシタバは何となく状況の流れから
励ましたり慰めたりする羽目に陥っていた。






378:名無しさん@ピンキー
10/06/10 04:45:52 pFx3TMpv
おお、経鈍もハデみのもGJ!

379:名無しさん@ピンキー
10/06/10 06:39:46 MMfgh8VD
鈍ちゃん、みのりちゃん両方きてるとは俺歓喜


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