10/05/27 03:52:24 ggOPyNVa
「…うーん、気持ちいい」
久し振りに好きなだけ飲み、日頃腹の中に溜め込んでいたストレスを全部吐き出したお陰で
珍しくすっきりした気分になったのか、才崎美徳は店を出てからも浮かれていた。こんな美女が
踊るように歩いているだけで、擦れ違うカップルの男がことごとくしばし見蕩れては足を止めて
いる。
「それは良かったですね、やはりあのような場は必要なのでしょう」
隣では、結局ドリンク一杯だけしか飲まなかったにも関わらず快くワリカンを申し出た派出須逸人
が、傍目にはすごく分かりにくいが優しく微笑んでいる。
「そうかも、今夜は思ったよりたくさん話せて嬉しかったー」
「ええ、僕も才崎先生と腹を割って話す機会を持てて光栄です」
「それホント?」
「ええ、それはもちろん」
「本当なら、もっとお話がしたいの…」
「それは嬉しいですね」
「…でも、その前に…」
普段は常に張り上げている美徳の声が、夜に溶ける蜜のようにとろりと揺れている。随分飲んで
いたことで足がふらつくのか派出須に縋りつく。
「大丈夫ですか?」
「ええ、やっぱり少し飲み過ぎたかも…少し気分が…」
ふらふらと近くの路地に入り込んで座り込む美徳を心配して、派出須がしきりに声をかけた。
「ご気分が悪いのでしたら薬を買って来ましょうか、それとも冷たいものでも飲みますか?」
「…いいえ、どうぞお気になさらず…こうしていれば楽になりますから」
ゆっくりと立ち上がった美徳の目の奥が鈍く光った。
「こうして側にいて欲しいんです、いいでしょう?」
201:カラマワルカラ 3
10/05/27 03:53:30 ggOPyNVa
「さ、才崎先生!?」
何か手助け出来ることがあるかと近付いた派出須の胸にするりと寄り添い、背中に腕を回して
潤んだ目で見上げる美徳の声が震えていた。
「今晩は側に…ね。私のお願いを聞いて頂けるのでしょう?」
ウェッジソールのサンダルの爪先を立てて、キスをねだるように目を閉じる表情は完全に恋する
女だった。
「才崎先生…」
これほどの美女を前にして落ちない男などいない。なのに派出須は躊躇している。
「いけません、僕たちは教師で」
「私が構わないと言っているのに?」
「いえ、そういう訳では…」
「今夜だけは忘れて下さい、お願い」
男なら誰でも真っ先に目を奪われる巨乳をぐいぐいと押し付けてせがむ美徳にようやく観念した
のか、派出須の両手が頬を包んだ。
「才崎先生、いいんですね」
「ええ、この時を『ずっと待って』いましたから」
唇が触れ合う寸前、美徳の声が何者かの声とブレた。
「待っていたのはこっちの方だ、正体を現すんだな『深酒(ヘビードリンク)』!」
急に声を張り上げた派出須につられるように、美徳が頭を抱えるように悶絶して倒れ込んだ。
その身体から何かが幻影のように現れる。これが美徳に取り憑いて悩ましい言動をさせていた
病魔なのだろう。
『…くそっ、いつから勘づいていた?』
『深酒』は悔しげに顔を歪ませて派出須を睨みつける。
「最初からさ。とはいえ隙がなければお前に攻撃が出来ないし、下手をすれば才崎先生の精神
が病む危険もあったから言うなりになってただけのことだ…相手が悪かったな」
スウ、と派出須の手が禍々しいものに形を変えていく。
『フン、俺は人の本心を引き出すだけだ。お前も満更じゃなかっただろう』
「それが望まざることであるなら、それはただの害悪で罪だ!」
『やめ、やめろ!俺はこの女の望みをヲをを……!!』
『深酒』は罹人の力を前にして、凄まじい叫び声を上げて抵抗しながらもあえなく吸収されて
いった。
202:カラマワルカラ 4
10/05/27 03:54:25 ggOPyNVa
美徳はしばらく目を覚まさなかった。
隣に座った派出須は普段の癖が出て色々と考え込む。
どうしてこんな強い女性が、あんな病魔に罹ってしまったのかはどう考えても分からない。酒の
力を借りなければ言えないほどのことなど、特になさそうに見えるのだ。これほどに美しい女性
でも悩みがあるというなら、それは派出須の考えが及ぶものでもない。
「さあ、どうして帰ろうか…」
呟いた時、声が聞こえたのか美徳が目を開いた。
「…ん」
「あ、目が覚めたようですね」
「……えっ」
「はい?」
「派出須先生?私、どうしてこここ…」
動揺しきっている美徳は、どうやら泥酔してからのことを全く覚えていないようだった。
「え、あの、才崎先生…」
「いやあああーーーーー!!!」
その後、悲鳴を聞きつけた通行人が通報するやら警官が駆けつけるやらで派出須は帰るどころ
ではなくなってしまって、すっかり酔いが醒めて少し思い出した美徳によって誤解が解けたのは
明け方のこととなってしまった。
美徳はそれからほんの少しの間、反省の意味を込めて禁酒したという。
終
203:名無しさん@ピンキー
10/05/27 03:56:05 ggOPyNVa
今後の課題はエロだな。
204:名無しさん@ピンキー
10/05/27 07:12:29 C9bh4hW/
GJ!いいぞ、もっとやれ
205:名無しさん@ピンキー
10/05/27 11:33:36 yc+1/KL/
最近の賑わいはどうしたんだww
いいぞ、もっとやれ!
藤と花巻来い!
206:名無しさん@ピンキー
10/05/27 12:27:09 FsyCEEET
ハデスとみのりちゃんGJ!!
>>205
同じく藤と花巻待ちだ
207:名無しさん@ピンキー
10/05/27 17:45:48 ybmMneYC
アシタバと美玖ちゃんの間には何か芽生える気がする
208:名無しさん@ピンキー
10/05/27 18:16:09 AlzP84uA
>>198-203
ハデみのGJです
209:名無しさん@ピンキー
10/05/27 21:05:12 /XFGWtYB
ハデみのをありがとう。
楽しませて頂いたよー
しかしやっぱハデス先生はなかなかエロにいかないね。
そこが、らしくて良いんだけど。
ガンバレみのりちゃん!
210:名無しさん@ピンキー
10/05/28 03:55:01 wIxvvefQ
>>205-206
書いたよ。これでいいかな。
211:女の子ってなんでできてる? 1
10/05/28 03:59:59 wIxvvefQ
「わ、きれーい…」
放課後、文房具屋に行く為に商店街を歩いていた花巻美玖は、数日前にオープンしたばかりの
ブライダルショップの前で思わず足を止めた。
ウィンドウの中には、夢見る少女なら誰でも憧れるような美しいドレスがディスプレイされていて、
誰もがいずれ訪れる日に胸をときめかせるのだ。
「あ、でも」
脳裏をよぎる面影が、そんな日は来ないと告げる。
そんなことは嫌というほど分かっている。でも夢を見るぐらいはいいじゃない。もう書く欄のなく
なったノートを鞄に忍ばせた少女が、そういった半分諦めの色を表情に浮かべてしばらくドレス
を眺めていた。
保健室では、すっかり一角に居住区を作ってしまった藤が今日も煎餅を齧りながら漫画を読み
耽っていた。
「そーだ、先生。悪いけどアレ捨てといて」
「アレ?ああ袋の中のものだね」
お茶をもう一杯と催促されて早速新しいお茶を淹れていたハデスが、床に置かれたままの袋の
中に乱雑に折り重なっているものをちらりと見る。それは手紙のようだった。
「藤くん、これもしかして…?」
「あ?ああ…気にすることねーよ。どうせ読まないし」
そう、手紙とはラブレターだった。しかしどれも開封すらされていない。さすがにこれはとハデスが
躊躇していると、面倒臭そうに頭を掻いた。
「いや、しかし折角書いてくれた子たちの気持ちも…」
「最初は読んでた。でも大体文章同じだし、飽きた」
「そう…?じゃあ誰にも見つからないように捨てておくからね」
「サンキュー、自分で捨てるのも面倒でさ」
212:女の子ってなんでできてる? 2
10/05/28 04:01:09 wIxvvefQ
ハデスがとりあえず人目につかない物影に律儀に袋を隠していると、物凄い勢いでドアが開いて
美作が駆け込んで来た。何があったか知らないが、やたら怒っている。
「藤、オマエなあ!」
「何だようっせーな」
相変わらず気のない返事をするだけの藤に、掴みかかりそうになってハデスに止められながらも
美作は更に声を荒げる。
「オマエB組の佐伯を振っただろ。今佐伯が泣きながら帰ってったぞ。あんな可愛い子に何てこと
すんだよこのド鬼畜!」
「あ、ま、まあ落ち着いて…お茶でも飲まない?」
ハデスが仲裁にもならない仲裁を懸命にしている傍らで、藤は嫌そうに方眉を上げただけだった。
「振ってなんかいねーよ、手紙ぐらいはあったかもな。読んでないけど」
「返事も出してないのか。で、どうする気だよ」
「別にい。放っておけばそのうち諦めるだろ」
「…今更だけど、ホント最低な、オマエ」
あまりにも気のない藤の態度に、さすがの美作も毒気を抜かれたようだ。頭を抱えてソファーに
座り込むと、淹れたばかりのお茶が置かれる。B組の佐伯という少女は、藤のファンの中でも
かなり熱心にアピールしていたから美作も覚えていたのだろう。どうして泣いていたのかは定か
ではないが、彼女の恋が成就することがないのは確かだ。
「んじゃ、俺はそろそろ帰るわ」
「言っちゃ何だけど、今のうちにその性格は矯正しといた方がいいな。女の子っつーのは男と
違ってデリケートなんだからよ」
「んー、覚えてたらな」
藤は居住区に放り投げていた鞄を抱えると、大あくびをしながら保健室を出て行く。そのだらり
とした後ろ姿を眺めて、美作が呆れたように呟く。
「イケメンの持ち腐れだな、ありゃ…」
213:女の子ってなんでできてる? 3
10/05/28 04:02:13 wIxvvefQ
家に帰って文房具屋で買った新しいノートに真っ先に花巻が書き込んだのは、少しでも親しくなる
きっかけの計画だった。
「大丈夫、藤くんだって別に私のこと嫌いじゃないんだから…好きでもないだろうけど…」
子供の頃から極度のあがり症の為に、何かにつけて計画を立てていかないとテンパって大変な
ことになってしまう。ずっとそれで慌ててきて、長い間随分損な思いもしてきているからノートだけ
は手放すことが出来なくなっていた。
「初めは朝の挨拶で、次はお天気の話題…っと。これぐらいなら出来るよね」
机に向かってノートにペンを走らせている花巻の姿は、明日実現するだろう予定を夢想して幸せ
そうだった。放課後に見た純白のドレスのことは、もうすっかり忘れていた。
翌日。
何度もシミュレーションしたのに、朝の挨拶は言えなかった。
何か話題を出すどころか、話しかけることすらいつものように出来ないまま遂に放課後を迎えて
しまい、またいつものように落ち込む。
毎日、このいつものようにを繰り返すだけだ。何も変化はない。何かきっかけがあればまた違う
のかも知れないが、飛び越えることが出来ないでいる。
「私、ずっとこのままなのかなあ…」
もう何もする気がなくなって、誰もいなくなった教室の中で机に突っ伏してぼんやりしているだけ
だった。
どのぐらいそうしていたのか。
しばらくすると教室に誰かが入って来る足音が聞こえた。
「お、花巻。お前何してんの」
「え、藤…くん?」
昨日からずっと話すきっかけをシミュレーションして、ノートに台本を何度も書いて、それでも全然
何も出来なかったのに、今になって藤の方から現れたのだ。
テンパらない方がおかしい。
214:女の子ってなんでできてる? 4
10/05/28 04:03:21 wIxvvefQ
「あ、あの、あの、藤くん…どうして」
「重いんで教科書は置いてくつもりだったけど、家の奴が持ち帰れってうるせーからさ」
さっさと自分の机から教科書を取り出して鞄にしまう藤をただ見ているだけで、言葉の続きが
出て来ないのがもどかしい。
「あ、藤くん。私…」
どもりながら何度も言葉を搾り出していると、どうした訳か教室を出ようとしていた藤がくるりと
踵を返して花巻に近付いてきた。そして額が触れるほどの至近距離でじっと顔を見つめてくる。
「…あの…」
ここまで近くに来られたのは初めてのことで、それだけでも舞い上がりそうに嬉しい。ここでもっと
気の利いたことを言わなければ、と気ばかりが焦る。
しかし藤の方はいつものつまらなそうな顔で何度か首を傾げ、周囲を見回し、何事かを決心した
ように微かに笑った。
「お前でいいか。少なくとも知ってる奴だし」
「え?」
一体何を、と言えないでいるうちに唇に柔らかい感触を感じた。キスされているのだと知覚した
時はもう床に押し倒されていて、制服の上から胸を掴まれていた。まさかこんなことがある筈
ないと思っていたのに。
花巻の頭は状況に全くついていかなくなって、瞬時にしてショートしてしまう。
「え、ちょっと…」
「嫌か?」
「あの、私こんなこと初めてだから…」
「嫌、じゃないみたいだな」
鼻を擦り合わせるほど近くで囁かれる声は、ずっと聞きたかった優しいものだった。心がどうで
あってもこの場からは絶対に逃げたくなかった。
215:女の子ってなんでできてる? 5
10/05/28 04:04:10 wIxvvefQ
こんな、いつ誰が入って来てもおかしくない教室で突然こんなことになってしまったのはもちろん
予定外だったけれど、今は素直に受け止めようと花巻は目を閉じた。
「よし、そのままじっとしてろよ」
抵抗すらしないことをどう思ったのか、藤の態度は素っ気無いままだ。ゲームでもしているように
あっさりとショーツを脱がせ、あらわになった秘部に指を差し入れてくる。自分でも触ったことが
ない部分を乱暴に擦られて、痛みだけではない奇妙な感覚から声が上がった。
「あっ…」
「痛いのか?まあ慣らすだけだから我慢しな」
「…ン」
指の動きは乱暴だったが、決して内部を傷つけるものではないのは経験のない花巻でも何故か
分かった。それが本能というものなのだろう。今はただその本能に従っていればそれでいいと
思った。
そのうちに、指が擦る部分が熱を持って疼いてくるのが感じられるようになった。恥ずかしいほど
ぬめりを持った音もそこから聞こえる。
「藤くん…」
両手で顔を覆ったまま、もう花巻は何も出来ない。消えてしまいたいほど恥ずかしいのに、まだ
その先に何があるのかを知りたくなっているのだ。
「悪いな、花巻。お前がここにいたからなんだよ」
散々内部を掻き回した指が抜かれて、指先から何か透明なものが滴っているのが指の間から
見えた。
「もうちょっと、我慢してろよ。なるべくゆっくりするから」
藤の声音はわずかだが上擦っている。それなりには興奮しているのだろう。ジッパーを下げる
音が鈍く響く。
「ぁあっ…」
それをはっきりと見ることは出来なかった。
けれど、きっとこういうものだとイメージしていたものが、ずっと指で蕩かされた秘部に押し当て
られる。信じられないほど熱くて、何もかも飛んでしまいそうだった。
216:女の子ってなんでできてる? 6
10/05/28 04:05:11 wIxvvefQ
「よし、いくぞ」
両脚を抱え込んだ藤の声が届く。はいと頷く前に熱の塊がずるりと内部を強引に這いずった。
「うっ…い、た…」
「だろうな、でも声はあんま上げんなよ」
「あぁあ…」
指とそれは質量があまりにも違う。経験がないのもあって簡単にいく筈がない。それでも言った
通りに何度も退きながらゆっくりと、藤は汚れざる聖域を犯していった。
「へえ、血は出ないモンなんだな」
変なことに関心したような声を上げはしても、互いの粘膜が馴染むまでは細心を払っているのが
伝わってくる。だから激痛に心が軋んでも耐えられた。
ようやく根元まで収めて、ぬめる愛液の助けでそれなりに痛みを忘れるようになる頃、それぞれの
快感にけりをつける為に藤が動き出した。
「もうちょっとだから、声殺してろよ」
「…!あぅうう…」
それまでとは全然違う、内部を打ち壊そうとでもするような激しい突き上げに花巻の意識は遂に
ぶつりと切れた。後は何も覚えていない。
目が覚めた時には、窓の外がわずかに翳っていた。
「あ…」
突然、全てのことを思い出して飛び起きる。制服もショーツも何もかもが元通りで、藤は自分の
席に座って何食わぬ顔で漫画を読んでいた。
「あ、藤くん、私…」
気を失うまで何をしていたのか考えると恥ずかしくて、やっとのことで声を出した。藤はその声に
反応して近付く。
217:女の子ってなんでできてる? 7
10/05/28 04:06:18 wIxvvefQ
「やっと起きたか」
「う、うん…」
「じゃ、もう帰ってもいいよな。起きるまでは待ってやったんだからさ」
「うん、ありがとう…」
「中には出さなかったから、気にしなくていい」
気になることを言い残して、藤は来た時と同じように帰って行った。本当ならああいうことは相思
相愛じゃないと意味がないのは花巻にも分かっている。それでも、こんなことがなければ巡っても
こなかった機会でもあった。
だから幸せなのだろう。
色々と思考が乱れるのは事実だけど、今はそれだけ考えていればいい。それでいいと思える
ようになったことが花巻のわずかな進歩だった。
「ありがとう、藤くん」
何だか、明日からは新しい自分になれる気がした。
翌日の放課後、保健室は相も変わらず騒がしい。
美作がまた女がどうのと講釈を垂れている。
「女ってのはこう、守ってやりたいモンなんだよ。いいか」
「うっせーなぁ」
藤はやはり退屈そうに出されたお菓子を食べ尽くし、お茶を啜っている。ただ、時折何かを考える
ように窓の外に目を向けていた。
「あんな柔らかいんなら、そりゃすぐに傷もつくよなあ…」
ぼそりと呟いたそんな言葉は、美作にもハデスにも聞こえることはなかった。
終
218:名無しさん@ピンキー
10/05/28 11:31:24 4/UBdYyG
藤鬼畜だなww
GJ!ハデスも見習え。
219:名無しさん@ピンキー
10/05/28 11:42:35 TGybIdt2
まさにイケメンこじらせて死ねだなwww
いやしかちょっと見ないうちに作品が4つもあるなんて
胸(ry股間が熱くなるな
220:名無しさん@ピンキー
10/05/28 18:06:00 8jrUo3wP
>>210
乙乙。
221:藤花1
10/05/28 21:22:53 EZqywSE5
オナニー×オナニー。藤→←花?
「じゃーな、花巻」
すれ違いざま、藤に肩を叩かれて、美玖はどきりと体を強張らせた。
もつれる舌でなんとか「さ、さようなら……!」と返して、真っ赤になった顔を隠すように伏せて足を速める。
その慌てた背中に藤は呆れた表情で「コケんなよ」と声をかけた。しかしその言葉はかえって美玖を驚かせ、美玖は自分の足につまずいてしまう。
「ふわっ!?」
ノートを胸に抱えこんで、手すら前に出せずにつんのめる美玖を、藤は後ろから抱きとめた。
長身に見合うしっかりとした二本の腕が美玖の胸元と腹を締めつける。
服越しとはいえ人肌と密着する独特の触感に、美玖の体が震えあがった。
「ひあ……っ! お、おなか……ぁ」
腕の中で身をよじった美玖の弱々しい声に、藤は慌てて彼女を放す。自分の頬も彼女ほどではないものの赤いことは自覚していた。
そのことがまた恥ずかしくて、思った以上に厳しい言葉が口をつく。
「い、言うそばからコケてんじゃねーよ!」
「すみません……」
「……気をつけて帰れよ」
しょげてしまった美玖を慰めるつもりで、できるかぎり優しい声音で藤は言った。
改めて二人は別れのあいさつをし、あとはただ、何事もなかったかのようにそれぞれの帰途につく。
表向きは。
222:藤花2
10/05/28 21:29:11 EZqywSE5
美玖も藤も、あの一瞬の抱擁を、無かったことにはできなかった。
家に着いても、夕食を終えても、入浴を済ませ、布団に入っても。常に意識の傍らにはあの瞬間が寄り添い、時折隙をついてすり寄ってくる。
藤の、筋肉のついた、硬くて熱い大きな体と太い腕。すべてを隙間なく包みこみ締めつけられる息苦しさと安心感。
美玖のか細い体は回した腕が余るほどで、しかし痩せぎすに骨ばっているわけではなく、むしろその肌のやわらかさに驚いた。
布団の中で美玖は、藤は、身じろぎをした。時が経つほどに膨らんでいく胸の疼きが、熱とともに体中に巡っていくのを、感じていた。
美玖は気付けば掛け布団を股に挟み込んで、内腿をこすりつけていた。布地が肌とすれあって、疼きは収まるどころか増していく。
やがてこらえきれずに、美玖は細い指先をするりと下着の中に滑りこませた。
藤は暗闇の中で起き上がり、硬くなった自身を取り出した。指で包みこむようにして、きゅ、と握り締める。ぞくりと背筋が震える。
「ふっ……」
指の腹でくびれをなぞるようにこする。この指がもしも美玖だったら、と思う。
ノートの細やかで整った丸文字。それを書き出す彼女の指は、自分の不器用な指と違って、器用に細やかに動けるのだろう。
あの細くてやわらかいきれいな手指が、小刻みにこの欲を愛撫する―そう思い描いた途端、背筋を抜ける快感が強さを増して、藤は思わず声が漏れ出た。
美玖は左手の指を口にくわえこんで声を抑えながら、慣れない手つきで自分を慰めた。
愛液を指にからめてぬるぬるとぬめらせながら、小刻みに陰核を愛撫する。
びくびくと痙攣する脚はつりそうなほどぴんと伸びていた。
右手で耐えず敏感な箇所を刺激しながら、唾液にぬれた左手はそろそろと腹部に移動していった。
おへそのあたりに触れると腰がふるえるほどくすぐったく、そのもどかしい疼きは性感にとてもよく似ていた。
「ふぁっ、んん……っ」
腹痛のときのように撫でさする。この掌がもしも藤だったら、と思う。
男の子らしく、大きくて少し武骨で熱い彼の掌。あの掌がこの腰を掴み、手首から一の腕がこの腹をぐいと締めつけた―あの一瞬を思い出した途端、腰にたまるくすぐったさが刺激を増して、美玖は思わず泣きそうな嬌声をあげた。
223:藤花3
10/05/28 21:30:11 EZqywSE5
藤は、美玖の感触を思い出しながら、掌全体で自身をしごきあげていた。
腕を回した細い胸元と腹。
胸元はノートに阻まれていたが、腹のふくふくとしたやわらかさと、それを象徴するようなやさしい体温は今なおじんじんと藤の腕に残っていた。
弾力のあるその感触は、藤の腕を押し返すようでもあり吸いついてくるようでもあった。
そこに触れた途端、彼女は甘い声で鳴いた。腹が彼女の弱点なのだろうか。
藤は想像の中で美玖を後ろから抱きしめ、ふっくらとあたたかい腹を掌でくすぐるように撫でさする。
彼女はいつもの甲高い、泣きそうな嬌声をあげるだろう。顔はいつもの困り顔よりきつめに眉を寄せた、苦悶の表情だ。
彼女の声は絶頂が近づくにつれて、いつも以上に切羽詰ってくる。すがりつくように何度も呼ぶのだ、藤の名を。
「ん、やっあ、あぅ、んっんっんぅ……っふ、じく……ふじくん、藤くん……っ!」
美玖は激しく陰核を摩擦しながら、すがりつくように何度も彼の名を呼んだ。
想像の中では、藤が美玖を後ろから抱きしめ、絶頂へと誘ってくれている。
けれど現実には熱にうかされながらもベッドに自分ひとりしかいないむなしさを知っていて、自分の体温が移っただけの羽毛布団に彼の熱さと硬さを求めて抱きしめた。
藤の、美玖の指が、互いを求めて自身を刺激し続ける。相手を思って昇りつめる。
「藤く、あぁっや……っ!」
「花、巻っ……」
二人が絶頂を迎えたのは、図らずも全くの同時だった。
くったりと脱力して、まどろみに似た倦怠感に沈む。
体を突き動かしていた熱が引いていき、ゆるゆると理性が帰ってきた。
それとともに、今まで自分が一体何をしていたかを自覚して赤面した。
美玖はぼふんと枕に顔をつっこみ、藤は力いっぱい布団握り締めて悶絶する。
二人とも、自分を慰めること自体は初めてではない。
けれど、身近な誰かを思いながら耽ったことはなかった。
暗い部屋でふたりともひとりきり、ぐるぐると焦っている。
体のほてりが冷めても、頬の熱さは一向引かない。
どうしよう。明日、どんな顔で会ったらいい?
終了
花巻の性感帯を一発で探り当てたアシタバは天才
224:名無しさん@ピンキー
10/05/28 22:50:07 fF16MRql
藤花が2つも!
どちらもGJ!
225:名無しさん@ピンキー
10/05/28 23:14:13 Ru5cUo9t
一日に二つだと…?GJ
226:名無しさん@ピンキー
10/05/28 23:43:44 6zh7CLii
>>210>>223
ナイスデース
227:名無しさん@ピンキー
10/05/29 00:49:54 +4EHFs0+
一体今週のこの勢いどうしたしww
GJ!!
228:名無しさん@ピンキー
10/05/29 01:28:05 5fYg1E6g
先週今週と、神的に面白かったので創作意欲が刺激された。とか。
自分はそのクチ。
229:凶器と戦う女 1
10/05/29 04:12:32 5fYg1E6g
鏡の前で、才崎美徳は悩んでいた。
数日前に買ったばかりの新しいブラのサイズが何となく合わない。もちろん何度も確認したし、
表示に間違いはない。
けれど実際に着けてみるとキツいのだ。
「…また大きくなった?」
考えられるのは、それしかない。
日頃の忙しさにかまけて、つい試着の時間を惜しんだのがまずかったらしい。とはいえデザイン
が気に入ったのも事実だし、これ以上のサイズとなると急にオバサン臭いものばかりになるから
嫌だった。
「仕方ないな、明日はこれで我慢しよう」
鏡の中の美徳はブラにギュウギュウに収められた豊満過ぎる胸がやたら窮屈そうで、苦しそうに
見えた。
「こんなモノ、いらないのに…」
そんな自分の姿がひどく不恰好に思えて溜息をつく。
思春期を迎えた頃から、何故か胸ばかり異常に発達した。牛乳も煮干もあまり好きじゃないのに
だんだん胸が重くなってきて中学生にして肩が凝るようになった。体育の時間は男子がいつも
いやらしい目で見ているから嫌だった。そのうちに制服の上からでもはっきり大きさが分かるよう
になってきて、ますます悩みが大きくなった。
夏は薄着になりたいのに、それが出来ない。うっかり選んだブラが小さかったりすると、すぐに
ホックが壊れる。道を歩いているだけで胸が揺れて、通りすがりの男たちがみんないやらしい目
で見ているように思えてしまう。
胸が大きいことなんて、全然嬉しくなかった。
それでも、重くて邪魔な胸があるなりに学生の頃は柔道で活躍出来た。さすがに何かの縁で
体育教師になった今、また中学時代のように男子生徒にそういう目で見られる羽目になったのは
予期すらしていなかったけれど。
「あー、明日も気が重いなー」
美徳の悩みは大人になっても増すばかりだ。
230:凶器と戦う女 2
10/05/29 04:13:21 5fYg1E6g
失敗だった。
キツいブラのせいで胸が苦しい。
普段の動作なら問題はないのだが、少しでも運動をすると無理に押し込めた胸がはちきれそう
になるのだ。
それでも何とか六時間目までの授業は無難にこなしたのだが、放課後ともなるともう無理が
きかなくなりそうで、いつになく焦ってしまう。
「…どうしよう」
こんなキツくて苦しいものは、早く外してしまいたい。もう少しの辛抱をすれば済むことだとは思う
のに、そのもう少しが出来そうになかった。運動部の顧問をどこもやっていなかったことに、この時
ばかりは感謝するしかない。
「才崎先生、どうされました?」
体育館の壁にもたれたまま動けないでいる美徳の前に、偶然ハデスが通りかかった。またいつも
のようにうろうろと怪我をした生徒を探していたのだろう。
「…派出須先生。いいえ別に何も」
締め付けられた胸が苦しくてどうかしてしまいそうなのに、それでも普段から作り上げている虚勢
が邪魔をしていた。
「でも、苦しそうですよ。具合が悪いのでしたら少し休まれては如何でしょう」
「え、だけどご迷惑では…」
「遠慮なさらず」
最近、ようやく見慣れてきた顔が笑う。この機会に以前助けて貰ったお礼も言っておこうと思い
直して、素直に保健室に連れられて行った。
231:凶器と戦う女 3
10/05/29 04:14:20 5fYg1E6g
「さ、どうぞ横になって下さい」
保健室に着くと、ハデスは真ん中のベッドに導いた。
「すみません、では…」
やっと楽になれる。そんな開放された気分でカーテンを引いて一人きりになってしまうと、急に
胸を締め付けているブラが邪魔に思えてきた。横になっている間だけ、こんなものはもう外して
しまおう。そんな気持ちになってジャージを脱ぎ、ブラを外そう…とした時に一日中負担をかけて
いたブラのホックが壊れて弾け飛んだ。
「きゃあああっ!」
思ってもいなかった事態にすっかりパニックを起こしてしまい、外と遮断していたカーテンを渾身の
力で開けてしまう。
「何かありましたか?」
テーブルの上を片付けていたハデスが、固まっていた。美徳は自分がどんな姿でいるのか思い
出して、真っ赤になってカーテンの陰に隠れるしかなかった。
「ご無理は禁物ですよ。後でお茶を淹れますから」
一旦固まったものの、ハデスはすぐに復活していつもの穏やかな口調だ。内心どうかはともかく、
いやらしい目で見もしなければ特に関心を持たれていない様子なのも何となく腹立たしい。
女心はかくも複雑だった。
終
232:名無しさん@ピンキー
10/05/29 06:17:43 6HXarSES
ハデみのGJ!
みのりちゃんかわいいよみのりちゃん
マジ最近賑わい過ぎだろこのスレ
233:名無しさん@ピンキー
10/05/29 09:09:25 nN2vkYzC
ハデス先生は変人と言う名の紳士だよ!!
234:名無しさん@ピンキー
10/05/29 12:17:29 5Efmn85F
ハデスでエロは難しそうだなw
アシタバもラッキースケベ以外は難しそうか?
本好は病魔の力を借りない限りは板違いの方向にしかいけないし
エロだとやっぱり安田と藤か
美っちゃんや1年コンビもありか
でもやっぱり安田に期待
235:名無しさん@ピンキー
10/05/29 14:58:23 zfNMsIMh
安田が病魔の力でハーレムをry
236:名無しさん@ピンキー
10/05/29 15:17:12 h+v/Udbz
>>235
という夢を見たってオチなら
237:名無しさん@ピンキー
10/05/29 19:01:50 Fgdv7bkC
精気をくれる代わりに見たい淫夢を自由に見せてくれるサキュバス型病魔とか……どう考えても安田さんは精気をあげすぎて枯死しそう。
238:名無しさん@ピンキー
10/05/29 21:54:14 Mv8lK0o9
先週号の話で、既に安田は3回目の罹患だからな。しかも全部エロ絡み病魔w
藤みたいに、安田の内なるエロワールドを旅するシリーズが出てきてもおかしくはない。
239:名無しさん@ピンキー
10/05/29 22:17:04 8HDRaLMy
はでみのGJ
スレが賑わってきて嬉しい
安田でハーレムとか面白そうだなw
あと色欲の麓助がくると信じてる!
240:名無しさん@ピンキー
10/05/30 09:12:40 JDCj3rb+
シンヤも花巻もみのり先生も校長も鈍も妹尾姉妹も
全員安田の奴隷に…
241:名無しさん@ピンキー
10/05/30 10:38:19 J+NAe1AX
なる寸前で目が覚めて、安田をボコボコにする訳だ
242:名無しさん@ピンキー
10/05/31 04:11:20 z75cFxTg
藤×花巻 続き
243:悪戯 1
10/05/31 04:13:13 z75cFxTg
吹く風は夏の匂いがする。
まだ梅雨の時期でもないから本格的な夏はまだまだ先だけど、来たる季節の予感は毎年何故
か胸をワクワクさせた。
花巻は駅前にある銅像の前で、蓮向かいのショッピングセンターの屋上をぼんやりと眺めては
頬を紅潮させていた。子供たちが賑やかに騒ぐ声が微かに聞こえてくる。あの賑やかさはどこか
懐かしい思い出を記憶の奥から連れ出してきた。
幼い頃は毎週両親に連れられてここに来たっけ、と感傷に似た気分に浸っているうちに、つい
ここで待ち合わせをしていることを忘れていたらしい。
突然後ろから肩を叩かれて、身が竦む。
「…うひゃっ!」
「なに呆けてるんだよ、腹でも減ったか?」
特に気を悪くもしていないように呟いたのは藤。今日の昼休みが終わる頃に廊下で擦れ違い様、
『放課後にちょっと付き合わね?』と言われたのだ。急なことだったので、嬉しかったのは事実だ
けど、どんな反応をしたかまではよく覚えていない。
きっと、さぞかしテンパっていたに違いない。
「ど、どこ行くの?藤くん」
「漫喫」
「…え?」
時刻は夕方に近い。少し混み始めた駅前の商店街の中、後ろを振り返りもしない藤を見失わ
ないように花巻は必死で後を追う。藤との繋がりは細い糸のようにほんの些細なものでしか
なく、追いかけ続けなければ簡単に切れてしまうと思った。
「着いたぞ」
すぐに藤は足を止めて振り返る。早くも息が切れ始めていた花巻を無表情で眺めながらも待って
いる。
244:悪戯 2
10/05/31 04:13:51 z75cFxTg
「あ、ご、ごめんね…」
「お前大丈夫か?駅前からそんなに距離ねーぞ」
「…うん、私体力ないから…」
「ま、いいや。入るぞ」
漫画喫茶の入口の階段の前で、花巻は手を握られた。びっくりしているうちにどんどん階段を
昇っていく藤に引っ張られるように、今まで立ち入ったこともなかった店の奥に足を踏み入れる。
はぐれたりしないで本当に良かった、と心から思った。
「お席はどこになさいますか?」
フロントで藤から会員カードを受け取った店員が、事務的に尋ねてくる。
「二人用の席で」
「それではxx番のお席でよろしいですね。場所はこちらです」
やはり事務的に、店内の見取り図に座席番号が振られたリーフレットを差した。花巻は自分が
一体どこにいるのかあまり理解出来ないまま、きょろきょろと周囲を見回している。すぐ側には
漫画の単行本がぎっしりと詰まった棚が幾つもあり、反対側の壁に沿うように小さく仕切られた
部屋のようなものがある。
こんなところでみんな何をしているのだろう、と分かりきったことを考えた。
「行こうぜ」
また手を握られて促されるまま歩き、店の一番奥の席に入って更に驚くことになった。
「…ここ?」
席にはデスクにパソコンが一つ。椅子が二つ。そして身長ほどの高さの仕切りのドアを閉じて
しまえば個室になってしまう作りになっている。一応は外から遮断された空間にこれから二人
きりでいるのかと思うと、嫌でも意識してしまうのは当然だ。教室でのことがあったのはほんの
数日前でもある。
「この店は全室個室になってるから、仕方ないだろ」
「それはい、いいんだけど…」
「…そっか、女は気にするよな」
口にした言葉こそ殊勝だが、鞄も置かないままドアの側で立ち尽くしている花巻に焦れたように、
さっさとドアを閉じた藤の手が花巻の肩を掴んだ。
245:悪戯 3
10/05/31 04:15:07 z75cFxTg
挑むように見つめてくる表情は、怒っているように思えて恐怖が湧き上がってくる。藤をこんなに
不機嫌にさせるほどの何をしたのか、全く分からないまま花巻は心までが竦み上がった。
「何怖がってんだよ、花巻」
「怖いなんて…そんな」
目を逸らせない。怖いのに、こんな時にも関わらず涙は一滴も出ずにいる。
「私はただ、藤くんが行くところはどこでもついて行きたかった。それだけだから…」
そして、言いたかったことがどもりもせずにするりと口から出る。それを聞いて、藤は急に勢いを
なくしたように視線を落とした。
「…じゃ、この前のことは怒ってないんだな」
「そんな、全然怒ってなんか…」
「そっか」
気が抜けたような声を出して顔を上げた藤に何か言おうとしたが、何も出て来ない。あわあわ
しているうちに唇を塞がれた。
目を閉じた方がいいのかどうか目眩を覚えながら考えているうちに、短いキスは終わった。
「…ヤリ捨てるような奴だと思われてたら嫌だからさ」
「考えたこともなかったよ、私…」
「そっか、なんかカッコ悪いよな、俺」
「そんな、こと…」
花巻にとって、この間のことは一度きりの奇跡だと思っていた。仲良くなれたらと思ってはいた
けど、まさかそこまでは考えていなかったし、あれがその後に続くものという思考には至って
いなかった。だから、目の前で一人で怒っていたり、うろたえたりしている藤なんて見たことが
ないだけに不思議な心持ちになっていた。
まさかとは思うが、あの時も終始平気そうな態度だったのに、少しは動揺していたりしたのだろう
か、と。
246:悪戯 4
10/05/31 04:15:45 z75cFxTg
ドアのすぐ外側を、誰かが通り過ぎる。
「やっ、ここで…?」
花巻は精一杯声を殺して、仕切りにもたれていた。
「声出すと聞かれるぞ。あと、たまに店員が覗きに来る。変なことしに来る客ってのも中にはいる
しな」
耳元で藤が囁く。その手はショーツの中に潜り込んでいた。
「こんなトコ、じゃ…」
声が漏れてしまわないように、花巻は両手で口を押さえて耐えている。全意識を手に集中して
いなければ、今にも快感に負けてしまいそうだった。
「最後まではしない、この前ン時、お前はイってなかっただろ」
「だ、からって…」
「イっちまえよ」
性感帯を探り当てた指が、執拗にそこを攻めてくる。既に硬くしこっているそこを指先で擦られ、
爪でつつかれるだけで気持ちが良くて腰がもじもじと動いた。だからこそこんなところで立った
ままされているのが苦しくて仕方がない。膝がもう崩れてしまいそうだった。
「そんな、の、嫌…っ」
「嫌だったら、そんなに濡らすなよ」
「…んっ」
指先が内部を強く抉った。どこをどうすれば喘がせ乱せるのかを見知った悩ましい動きが更に
花巻を悩ませた。
こんなところでは嫌なのに、それでかえって追い上げられてしまう。もうどこにも欲望の逃げ場は
なかった。追撃するように、指が奥深くまでを激しく擦り、引っ掻く。身体の中を渦巻く血流が音を
たてて一点を駆け上がる。
「あ、ぁ…やぁ…」
両手で押さえている筈の口から細い声が漏れる。もうダメ、そう思った途端に頭の中が真っ白に
なるほどの衝撃が襲いかかった。まるで凄まじい波に飲まれるようだ、と思った。
247:悪戯 5
10/05/31 04:16:59 z75cFxTg
「…何がいい?」
「…え?」
床に崩れ落ちた花巻を近くの椅子に座らせて、藤は尋ねる。
「飲むモンだよ。ここはフリードリンクだから何でもあるぜ。喉渇いただろ?」
「あ…じゃあアイスコーヒー」
「よし」
早足でドリンクコーナーに向かう藤の足音が遠ざかっていく。のろのろと身支度をしながらも、少し
ずつ頭の中がはっきりしていくに従って、ここで何をしていたのか思い出して顔から火が出るほど
恥ずかしくなった。
同時に、少しはこの恋は報われるのかも知れない、とも思った。
終
248:名無しさん@ピンキー
10/05/31 19:51:14 skva+08g
乙×10
249:名無しさん@ピンキー
10/05/31 20:22:59 eoFM8O5r
藤花GJ!
職人さんがんばってくれて嬉しい!
250:名無しさん@ピンキー
10/05/31 20:50:12 3nzOvfI3
まさかの続きGJ!!!
藤が鬼畜で終わらなくて尚更嬉しい
251:名無しさん@ピンキー
10/05/31 22:39:29 IclnrTrA
藤、イケメンじゃなきゃただのレイプなのに…くそっ、イケメンこじらせて死ね!
藤花GJ!!!
252:名無しさん@ピンキー
10/05/31 23:42:39 UHeeokaB
>>242-247
わしの乙は108まであるぞ
253:名無しさん@ピンキー
10/05/31 23:54:02 6UKGOfWa
最近職人GJすぎる
今週の読んだが最近神回(女子が可愛い回)が続くなぁ
しかし今回こそアシタバ主役回かと思ったがそんなことなかったんだぜ!
254:名無しさん@ピンキー
10/06/01 02:38:58 3SJEGLLA
久しぶりに来たら作品増えてて嬉しい、全て職人さん乙です
それにしても、もし藤が中で出して花巻さんがにんっしんっしたら14才の母か…
ちょっとゾクゾクするね
255:名無しさん@ピンキー
10/06/01 09:07:40 NkFUVnn0
毎回思うが病魔のエロパロに対する適応性と応用性が異常。
256:名無しさん@ピンキー
10/06/02 17:23:08 MmnlFfWS
職人GJすぎる
最近面白いからかな
読んでる人が増えたって意味でも嬉しい
257:名無しさん@ピンキー
10/06/02 18:44:16 pdSYR+QK
マジで最近は面白い話が続いてる。
軌道に乗ってしまえば、作品的にも勢いがつくんだけどな。
てなことで祈願を兼ねて投下。
258:魔女が囁く 1
10/06/02 18:50:45 pdSYR+QK
昼休みの校長室、昼食後に暇を持て余してしまった三途川千歳は何か面白そうなものかないか、
そんな勢いで窓から身を乗り出さんばかりに校庭を眺めていた。目を皿のようにするまでもなく、
退屈しのぎのネタはすぐに見つかった。
「…ほう、これは使えるな」
三途川が見つけたのは、今にも頭から火を噴きそうに怒り狂いながら校庭を物凄い勢いで直進
していく才崎美徳だった。
「また逸人くんと喧嘩でもしたか…やれやれ」
とは言いつつも、黒手袋の指を頬に当てる表情は明らかに何かを企んでいる。
「全く、あの人は何度言っても…」
校舎に入ってからも美徳は怒りが収まらないままだ。
別にいつも怒りたい訳じゃないが、ハデスに対してはいつもこんな風になってしまう。ついさっきも
掲示板に無許可のポスターを貼っていたところに遭遇したばかりだ。とはいえ、それぐらいでいち
いち目くじらを立ててしまうのも大人気ないのは分かっている。
なのにどうしても理解できないことをしていると、つい声が荒くなってしまうのだ。
こんなやたらとうるさい女は誰だって嫌だろう。そう思ったら急に気分が落ち込んでしまう。外見
からは決して分からないが。
「才崎先生」
肩を何か硬いもので叩かれた気がして振り向くと、杖を持った三途川がいた。
「…校長先生。何か?」
「相変わらず威勢のいいことだな」
ピンクのウイッグの下の童女のような顔がにやりと笑う。突然のことで、何を言われたのかすぐ
には分からなかった。
「な、何のことだか」
「逸人くんを許してくれたまえよ、あれで悪気はないのだ」
259:魔女が囁く 2
10/06/02 18:51:37 pdSYR+QK
「御覧になっていらしたのですか」
「うむ。しかし職員同士の交流がスムーズにいかねば何かと支障が出る。早急に仲直りをして
貰いたいのだ」
「はあ…」
やはり外見からは分からないが、美徳は更に落ち込んでいた。衝動的で短気なのは早く直して
おかないと、教職に就いている以上は確かに色々とまずい。そんな心の隙を突くように、三途川
は魔性の囁きを告げた。
「良いことを教えてやろう。逸人くんは深酒をすると記憶が飛ぶことがあるぞ」
「…は?」
「君も大人なら多くを言わずとも察せられるだろう。健闘したまえ」
それだけ言い残すと、三途川は何やら意味ありげな微笑を浮かべて立ち去ってしまった。
「な、何だろう今のは…」
ハデスといい三途川といい、この学校には何故か美徳の理解を超える者がいる。暗喩のような
言葉が頭の中で融けていくに従って、とんでもないことを言われていたのだと理解した。途端に
思考がパニックを起こしかける。
「それって、つまり…ああもう!」
どのみち悩んでいるだけでは今の状態から一歩も抜け出せない。ここは目上の意見を聞くべき
だという結論を持ち前の律儀さから導き出して、まだどこかで迷っている心に言い訳をした。
清水の舞台から何度も飛び降りるイメージで心を決めながら保健室のドアを開けると、昼休み中
にはいつもここでだべっている生徒三人が珍しいものでも見るような目で迎えた。中でも美作は
真っ先に声をかけてくる。
「よー、みのりちゃん。何か用か?」
「ハデス先生がいると思ったんだけど。さっき勝手に保健室のポスターを貼ってたので」
「だったらまたすぐに分からないところに貼りに行ったんじゃね?変なトコに労力使ってるしさ」
「あ、僕ポスター書くの手伝ったけど、悪かったかな…」
並んで弁当を開いていた藤とアシタバもどこに行ったか本当に知らないようだ。せっかく決意
して来たというのに早速挫かれるのも癪で、美徳は気が逸ってしまった。
「…もう、許可も得ずに勝手なことをして貰っては困ります!探さなきゃ」
保健室を出たところで、ハデスが別棟の視聴覚室の入口にいるのが窓から見えた。五時間目
の授業の予鈴まであと五分。
それまでに言っておかなければいけないことを懸命に頭の中で反芻しながら、追いかける足が
次第に早くなっていく。
260:魔女が囁く 3
10/06/02 18:52:34 pdSYR+QK
「ハデス先生!」
「…あ」
「あ、じゃありません、何ですか。こんなところで」
別棟三階の視聴覚室のドア前にポスターを貼ろうとしていたハデスは、美徳に見つかって驚いて
いるようだ。まさかここまで追って来るとは思ってもいなかったらしい。
「見つかりましたか」
「見えました」
「じゃ、これは諦めます。残念ですが」
がっくりと長身を屈めて、見るからに落胆した様子で引き下がろうとするハデスに、美徳はここ
に来た理由を思い出して近付いていく。
「…私も、このようなことは言いたくないのです。うるさいと思われても仕方がありません。そう
いう自分があまり好きではないのですけど」
「うるさいなんて、そんな。才崎先生はいつも常識的な方ですよ」
「それでしたら…ご相談に乗って、頂けますか?よろしければ今夜にでも」
「あ、はい。僕はいつでも構いませんが」
ハデスは何も知らずにすぐ了承をした。何か言われたら返すつもりだった幾つもの言い訳を頭の
隅に押し込めて、美徳はまっすぐに見つめる。
「嬉しいです、断られるとばかり思っていましたから」
「才崎先生の頼みを断る男なんて、いませんよ」
「そうなんですか?」
これはあくまでも三途川の助言に従っただけ、何の他意もないのだと自分に言い聞かせる美徳
の気も知らず、ハデスは無邪気に問いかけてくる。
「あ、ついでにこのポスターは貼ってもいいですか?」
「それはいけません」
261:魔女が囁く 4
10/06/02 18:53:15 pdSYR+QK
三途川に言われるまで、ハデスは全く飲めないのだと思い込んでいた。多分調子に乗って飲み
進むタイプではないのだろう。
「…という訳なんです。私、どうしていいのか分からなくて…」
相談事の内容が内容ですから出来るだけ静かな場所でと言ったお陰で、二人が今現在いるのは
随分落ち着いた雰囲気のバーだ。美徳はグラスを傾けながらも待ち合わせの時間まで何とか作り
上げた嘘の相談事の辻褄を、一生懸命合わせながら言葉を続けていく。
その間ハデスにもしきりに酒を勧めた。カウンター席ということもあって、随分二人の距離の近い
ことがどんどん美徳を大胆にさせていく。
「こんなこと、とても素面じゃ言えませんもの。分かって頂けますね」
「ええ、もちろん。才崎先生にそんなお悩みがあったなんて存じ上げませんでした」
ここに来てから美徳と同じだけ、いやそれ以上に飲んでいる筈なのに、ハデスの様子は普段と
少しも変わらない。いや、変わった部分があるとすれば、年齢なりの大人の男性らしさがこの夜
の雰囲気に合っていることぐらいだ。そう思えてしまうのは、ほんの少し酔っているからなのかも
知れない。
「分かって頂けて嬉しいですわ」
嘘を見抜かれないようにと気を昂らせているせいか、それとも出来るだけ共感させようとわざと
話を大袈裟にしているせいか、美徳は涙を滲ませている。それが余計に悲しむ女に見せている
のだろう。
「よくお話をして下さいましたね」
危惧する必要はなかったのか、ハデスはやたらと真剣に聞き入り、美徳の作り話をそのまま受け
入れている。罪悪感さえ覚えるほどに。
「それはハデス先生だからですわ」
もう一押し、とばかりにグラスを握っていた手を取る。一瞬驚いたような顔がすぐに柔和に戻ると
強めの力で握り返されてきた。
「冷たい手ですね…」
「そんな…女だったら多分誰でも」
「いいえ。才崎先生の手はびっくりするほど冷たいですよ。今までお辛かったことでしょう」
身を寄せて見つめてくる表情はひどく真摯だった。
262:魔女が囁く 5
10/06/02 18:53:57 pdSYR+QK
「僕はいつでも味方ですから、ご安心下さい」
「ええ、ありがとうございます…」
あまりにも事が上手く進み過ぎていることに疑問を持つこともなく、美徳は涙を拭った。思えば
この場の雰囲気に呑まれていただけなのだろうが、企みと酒の力が思わぬ相乗効果をもたら
している。
「才崎先生、僕は…」
「ハデス先生」
その時。
何か言おうと至近距離で顔を寄せていたハデスが突然がくりと頭を垂れたかと思うと、美徳に
倒れ込んできた。
「きゃ…!」
幸い、咄嗟に抱き留めたのでバランスを崩すことはなかったが、ハデスは眠り込んでしまっている。
いつも深酒をしがちな美徳以上に飲んでいたのだから、今夜はよほどのことだったのだろう。
「こんなところで眠っては困りますわ」
突然のことに、他の客たちがちらちらとこちらを見ている。その視線に辟易しながらも何とか体勢
を立て直そうと足掻く。けれど無駄だった。長身のハデスは美徳の胸元に頭を預けている。今夜
着ているワンピースは思い切って胸元の開いたものにしていた。
傍目からは随分関係の進んだカップルに見られていることだろう。そこまで考えて、美徳ははっと
自分のしようとしていることがどんなものか、改めて気付かされた。
「まさか今夜…いいえまさか。そんなすぐには」
最初こそは三途川にそそのかされたと幾らでも言い訳が出来た程度のものだ。しかし全くの作り
話を相談事と言ってこんな妖しい場所に誘い出したのは、間違いなく美徳の意思だ。そこまでして
欲しいものがあるとすれば、それはもちろんたった一つだ。
「ハデス先生、こんなところじゃ何ですから、場所を変えませんか?」
とにかく何にしても、この体勢ではいられない。必死で身体を揺さぶり続けるうちにようやくハデス
は目を覚ましたようだ。
263:魔女が囁く 6
10/06/02 18:54:51 pdSYR+QK
「お目覚めになりました?」
がばっと身を起こしたハデスは、幼児のようにきょろきょろ周囲を見回した。
「あの、ここは…。僕はどうしてここにいるんですか?」
「はあ?」
あまりのことに美徳は呆然とするしかなかった。そういえば三途川は深酒をすると記憶が飛ぶ
ことがあると言っていたが、まさか今ここで全部が飛んでしまうとは思ってもいなかった。
「あー…何か失礼なことを言ったりしてたら謝ります」
「あ、あ、あなたという人はあーーー!!!」
今日一日、一人で色々と気を揉み、策略を巡らせていた美徳のどこにも行き場のない怒りは
凄まじいもので、遂にメルトダウンを起こした。
数日後の昼休み、保健室でアシタバは妙にびくびくしながら弁当を開いていた。食欲もあまり
ないようだ。
「才崎先生、最近どうしたのかなあ。なんか怖いよ」
「イライラする女ってのは、大抵アレだろ。じゃなきゃ更年期が来たとかさ」
弁当を食べ終わり、ちゃっかり用意されているお菓子にも手を伸ばしていた藤が興味なさげに
吐き捨てるついでに、隅でどんよりと落ち込んでいるハデスに問う。
「あんた知ってる?理由」
「多分僕が才崎先生を怒らせたと思うんだけど、何がどうなってそうなったのかさっぱり分からな
くて…」
「自覚がないってのは最悪だな。いくらみのりちゃんでも、意味なく怒っているとは思わないけど」
美作の一言が更に追い討ちをかけたのか、ハデスは更に身を屈めた。
顔の怖いデカい男がめそめそしているのは非常に鬱陶しい。短い昼休みでもあるし、関わらない
方が良いと判断したのだろう。生徒たちは空気を読んで黙り込んでしまった。
264:魔女が囁く 7
10/06/02 18:55:28 pdSYR+QK
美徳の悪いのは、意識してしまうとかえって墓穴を掘ってしまうところだ。事実、最初に助けて
貰ったお礼を何だかんだでハデスにはまだ言ってもいない。謝ろうとしてうっかり背負い投げを
したり、些細なことで腹を立てたりとろくな結果になっていないのがいい証拠だ。
この前のことも元は美徳が下手な策略をしたからで、忘れてしまったからといってハデスには
何の罪もない。それは分かっている。
「だからといって!」
生徒は立ち入り禁止の屋上で一人で弁当を食べながら、美徳は長い間つらつらと考え、悩み、
落ち込み、立ち直りを何度も繰り返していた。
あの夜、一度は貞操の危機を覚悟しただけに、すぐに元には戻れない気持ちが怒りのフィルター
をかけ続けているのだ。けれどさすがにこのままでは生徒たちの教育にも良い筈がない。教師
がこんな八つ当たりをするものではないのだ。
「…やっぱり私が謝らないと」
今回のことは、似合わないことをしたから罰が当たった。次があるとしたら正攻法で当たってみる
しかないと何度目かの立ち直りでようやく心が決まった。
「よし、放課後にでも」
立ち上がった美徳の表情は見違えるほどすっきりとしていた。
「…やれやれ」
校長室から双眼鏡で屋上を見ていた三途川は、興をそがれたような顔で窓から離れた。魔女
の一言程度では人の心は操れない。それがいたく不満のようだ。
終
265:名無しさん@ピンキー
10/06/02 18:57:14 pdSYR+QK
さっき貰い物のチーズケーキ食ってたら、使っている牛乳の名前が「乳しぼり」
だった。ホントにこんな名前あるんだな。
266:名無しさん@ピンキー
10/06/02 19:06:45 FkDi7GMd
なんなんだこのゴールデンウイークはww
267:名無しさん@ピンキー
10/06/02 21:16:34 Z9TBLdQj
乙牙天衝ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
268:名無しさん@ピンキー
10/06/02 21:56:15 nUubmq1d
GJ!
ハデみの増えて来て嬉しい!!
職人さんありがとう!
しかしやっぱりハデス先生は落ちないなw
自分も書いてみようと構想練ってるが、どうしてもエロまで持っていけん。
269:名無しさん@ピンキー
10/06/02 22:28:34 565dFWrW
ハデみのGJ!!
270:名無しさん@ピンキー
10/06/02 23:21:25 akrIytSO
職人さんマジGJですわ
271:名無しさん@ピンキー
10/06/02 23:39:39 XBeXkeJH
職人だがごめん。ホンマごめん。
勿体をつけている訳でも何でもなく、ハデスはエロに持っていき辛いキャラ
なんだ。知っての通り、設定そのものがエロ耐性ありすぎで。
でも、だからこそどうにかしてエロにするつもりはありありなんで、もう少し
頑張ってみる。
272:名無しさん@ピンキー
10/06/03 00:37:28 gE6hRm1O
自分はその落ちそうで落ちないところも楽しんでる。
ハデスらしさが失われず、みのりらしさも合わせていくと
なかなか難しいよね。
職人さん無理せんでな。
273:名無しさん@ピンキー
10/06/03 21:53:24 1lTs4XmI
久々に来たらなんてこった!
GJGJGJGJ!!!!!!
274:某スレの残念絵師
10/06/03 22:07:21 UdNGNFsA
くそっ! くそっ! 自分もハデス×みのりんを書きてえっ…!
しかも校長を絡めた奴を!
だが規制が! 永久規制という名の病魔が!
だが手ぶらなのもなんなので、ちょっとこのスレをいやらしい雰囲気にしてきます!
「ハァハァ…、んっ!」
ビク、と美徳の体が、歓喜に震える…。
「こ、こんなことっ…、しちゃいけないのに…」
荒い息と快楽の余韻の中、透明な液体が滴る自らの指を見つめる。
彼女は夜、自室で一人寂しく火照る自分の秘部を慰めていたのだ。
夢想の相手は「保健室の死神」とまで呼ばれる顔の怖い養護教師…。
彼に抱かれる自分を想像して昇天してしまったのだ。
「…逸人さん…、私…」
ぎゅ、と相手の名を呼び、自分の体を抱きしめる。
彼の事が気になってから、やるせなくて、愛しくて、ついには夢にまで見てしまうようになった…。
ちくしょう仕事の時間だ 続きはWEBで!
暇つぶしにでもしてくだされノシ
275:名無しさん@ピンキー
10/06/03 22:40:05 D+h74Qj9
GJ!もっとエロくなっていいんだぜ…
276:名無しさん@ピンキー
10/06/03 23:18:01 b8DBXUVD
ちょww
脳内メーカーみたいなやつの広告のバナー、彼氏と彼女の誕生日がアシタバとシンヤだったという奇跡
URLリンク(imepita.jp)
277:名無しさん@ピンキー
10/06/03 23:30:32 ab+1uT9U
>>274
GJ…自慰というてもあるな…
278:名無しさん@ピンキー
10/06/03 23:52:18 vIOJP6zA
みのりちゃんの自慰でもいいよホント
279:名無しさん@ピンキー
10/06/04 02:39:05 SEUKS2fW
シンヤ自慰あり。
訳あって続いてる。
280:ナイトメア 1
10/06/04 02:39:57 SEUKS2fW
午後九時半。
入浴を終えて部屋に入った真哉は、何気なく入口の鏡を眺めた。
いつもの顔、いつもの自分。
「…こんなものなのかなあ」
この頃、真哉は出来るだけ早く大人になりたくて仕方がなかった。その原因はもちろん例の養護
教諭にある。
いつも保健室に行けば優しく迎えてくれるその人は、顔は怖いけれど不思議な力があった。その
力で真哉も救われた。
それから恋をして、ずっと想い続けてきた。オバケ先生と他の生徒たちには怖がられているから、
きっと誰にもこの恋は邪魔されることはないと思っていたのに、到底適わなそうなライバルが出て
きたから正直を言えば焦っている。
年齢も近い、同僚同士で色々と話すこともあるだろう。ちょっとしたきっかけでいつ急接近しても
おかしくない。だけど生徒の立場でそれを見ているだけになるのはどうしても嫌だった。
「何で私、まだ子供なんだろう…」
鏡の中の真哉は何度眺めても大人にはならない。焦っても、ハデスとの年齢差は一秒たりとも
縮まらないのだ。どんなに好きでも、たとえ想いを告げたとしても、ハデスの性格を考えるなら
お互いの立場を考えて諭されるだけだろう。
「もっと早く生まれて来れば良かったのに…」
自分ではどうしようもないことに悩んでいるのは、解決法がないだけに頭が疲れるだけでとてつ
もなく空しい。
することもなくベッドに寝そべっているうちに、一日の疲れがとろりと意識を押し包んでいく。心地
の良い眠気の中で、突然聞き慣れた優しい声がした。
『鏑木さん』
「…ハデス先生?」
はっと起き上がっても、もちろん誰もいない。ただ、幻聴のような声だけが響くだけだ。けれど、
それだけで身体の芯が何故か熱く疼いた。
281:ナイトメア 2
10/06/04 02:40:42 SEUKS2fW
胸が痛い。
あの一見怖い、だけどどこか寂しげな顔を思い出すと切なくて鼓動が早まるばかりだ。ベッドに
横たわってタンクトップに手を差し入れ、乳房に触れてみる。
「あ…」
身体に篭っていた熱が一気にそこに快感となって集中した。これまであまり自分でも触ったこと
などなかっただけに、こんなに気持ちがいいものだと思ってもいなかった。
『綺麗な身体だね』
声はまるで耳元で囁いてでもいるように近い。あの穏やかな声音が更に真哉を煽る。育ちかけて
いる膨らみを揉み、興奮の為か硬く尖っている乳首を指先で撫でているうちに、すっかり行為に
没頭してしまう。
「先生…そこがいいの、もっと触って…」
真哉の意識の中では自分の指が完全にハデスのものとなっていた。いつも憧れを持って眺めて
いるあの細くて長い指が、今はこうして身体を這い回っていると思うだけで嫌なことは全て忘れ
られた。
『ここだけでいいのかな?』
「ううん、もっと別のところも…」
真哉はもうすっかり湿っているショーツを足から抜いて、ずくずくと疼いて刺激を欲しがっている
陰部の中心に指を滑らせた。
「…あっ…」
乳首と同じぐらい硬くなっている芯が、爪先が掠めるだけでも痺れるほどの快感を生む。今の
姿を恥じることもなく、真哉はただ快感の中に浸っていた。声は一層優しく、甘く、耳を蕩かす
ほどに魅惑的になった。
『随分、いやらしいね。鏑木さん』
「そんな…私先生だからこんな風に…」
『それは嬉しいよ、じゃあもっと感じてくれないかな』
幻の声に誘惑されて、真哉は一人ベッドの上で身悶える。こんなことはないだろうと思っていた
ハデスとの情事を夢想して、膣壁を擦る指の動きが一層早くなった。
282:ナイトメア 3
10/06/04 02:41:18 SEUKS2fW
「あぁ…先生…」
真哉の頬は紅潮し、唇はわなないている。そろそろ絶頂も近いようだ。
『いい子だね、鏑木さん』
あと少し、というところで糖蜜の毒のような声がじんわりと脳髄に沁みた。途端に凄まじい快感が
背筋を駆け抜け、愛液でびしょ濡れになった指が思いきり膣内を抉る。
「うあああっ!!」
これほどに激しく感じたことはなかった。
全てが終わって熱が引いてからも、真哉はしばらくベッドの上で身を屈めていた。自慰をしている
間ずっと聞こえていた声は確かにハデスのもので、だからこそ自分の指をハデスのものと認識
することが出来た。
現実で叶わない夢なら、夢想するぐらいは構わないだろう。
真哉はささやかな悲しい幸せの方を真実だと思い込もうとしていた。
何が夢で何が現実でも、確実に得られるものの方がましだからと。
翌日から真哉が保健室に現れることはなかった。
そうして三日後の昼休み、美作がしきりに首を捻る。
「シンヤの奴どうしたんだろうな」
「どう…って?色々と忙しいんじゃないのかなあ」
相変わらず保健室に集まっている生徒たちのお茶汲みをしていたハデスが、別段何の疑問も
持たないまま答える。
「んな訳ないだろ。あれだけ何かにつけて来てたのによおっ」
奇妙なこともあるものだと、美作も不思議がるばかりだ。
それが何だか心に引っ掛かっていたハデスは、放課後に真哉の姿を見かけたので話しかけて
みた。
「鏑木さん」
「…はい?」
声に振り返った真哉の表情は、いつもの生き生きとしたものではなかった。まるで人形のように
表情が貼り付いたような、奇妙な顔。その異様さに息を呑んだ。
たちの悪い病魔に罹って、心を失っている。
何が夢で、何が、現実……?
続く
283:名無しさん@ピンキー
10/06/04 02:42:40 SEUKS2fW
次はようやくエロが書けそうなので、続けてみた。
284:名無しさん@ピンキー
10/06/04 18:11:04 YdV3s7Nw
みのりちゃんの年齢25歳だってよ
25歳であれだと・・・・サイコーじゃないか
あとどうでもいいがシャドハーツのカレン思い出した
285:名無しさん@ピンキー
10/06/04 19:23:42 O1MA1Fdb
GJが追い付かんww
286:名無しさん@ピンキー
10/06/04 23:58:27 fTpcxpwY
コミックスはまだ買っていないのだが、みのりちゃんの
乳首が加筆されているそうだな?なぜ売り切れなんだ近くの本屋www
287:名無しさん@ピンキー
10/06/05 01:18:03 9Zo18kXM
鈍ちゃんのエロエロを全裸待機!
288:名無しさん@ピンキー
10/06/05 02:07:30 enqs1+Zm
相手はハデス?経一?
289:名無しさん@ピンキー
10/06/05 11:12:38 o0OTnwBH
いつの間にたくさん来てるーGJ
花巻ちゃんもみのりちゃんもしんやも可愛いよ
290:名無しさん@ピンキー
10/06/05 15:03:26 3H55cB3g
続きを書いた。
291:ナイトメア 4
10/06/05 15:04:45 3H55cB3g
三途川は校長室にやって来たハデスを苦々しげに眺めている。
「君がそこまで不甲斐ないとは思わなかったぞ」
「…こればかりはどうしようも」
ハデスは俯いたままだ。
「鏑木くんが罹った病魔がどういうものかは分かっているのだろう」
「ええ…瞬く間に精神を食い尽くし、廃人化させる私利(リターン)だと思います。ただ、この病魔
の厄介なところは、憑いた人間そのものがその状態を望むが為に、精神の根深くまで支配され
やすいことにあります。どうして鏑木さんがそんな病魔に…」
「心当たりはあるのか?」
「ありませんよ。もし何か糸口でもあれば、すぐにでも対処するところです」
万事休すといった態のハデスを見遣りながら、三途川は長い間何事かを思案していた。そして
口を開く。長い睫の下の瞳が鈍く光る。
「その手の病魔の特徴とよく似た罹患例を見たことがあるぞ」
「本当ですか?」
「ああ。そういう病魔に罹る人間というものは決まってある種の強い欲を持っている。だからこそ
最悪の場合は死に至るまで自分から病魔を逃さない…たとえ病魔を退治したとしても精神的に
かなりの悪影響が残りかねない。分かるな」
「何が仰りたいのです」
普段以上に言下に意味を含める三途川に、ハデスはいぶかしみながらも続きを促した。直接的
なことを言われているのではないだけに、解釈を間違えたりしたら大変なことになるとでも言い
たげに。
「ただ、私は君がそれによってどのように対処を決めようとも、それが決して正しいことでなかろう
とも、反対をする気は一片たりともない。それは誓ってやろう」
三途川はあまりにも曖昧なる謎めく言葉で持論を締めくくったきり、後はもう何も余計なことを言わ
なかった。
そして、そういう言い方をするしかなかったことも、ハデスには分かっていた。
292:ナイトメア 5
10/06/05 15:05:30 3H55cB3g
時刻は午後五時をとうに過ぎている。
もう少しで部活の時間が終わる頃で、下校を急ぐ生徒たちが廊下を行き来するだろう。今日の
うちに何とかしなければと気が急くハデスの前に、探すまでもなく真哉が現れる。
「鏑木さん?」
「先生…」
微かに笑う顔は明らかにいつもの表情ではない。
真哉の意識は夢と現実の挟間にあった。
最初にハデスの声を聴いてからずっと、醒めることのない長い夢を見ているような心地が続いて
いる。それで幸せだった。
今、目の前にハデスの姿があるのは分かっているが、現実でなくても構わなかった。
「ここにいたんですね、先生」
「鏑木さん、正気に戻るんだ」
何を言っているのかはっきりとは理解することが出来ない。ただぼんやりと立っている真哉の目
の前で、ハデスの手が異形のものになる。
「さあ、出てくるんだ私利(リターン)!」
「えっ…いやああっ!!」
異形の手が目前に魔物のように襲い掛かり、真哉を包み込んでいた甘い夢が一瞬にして崩れ
去る。耳元で囁いていた優しい声も、幸せな記憶も、全てが凄まじい地獄の咆哮を上げて手の
中に吸い込まれていく。
病魔が咀嚼されてしまった後の世界は漆黒の闇となってしまった。
「あ…」
全てを失って、真哉は床に倒れ込んでしまった。
「…鏑木さん、大丈夫?」
抱き起こされても、まだ目の焦点が合わないままだ。ハデスはいつも優しい筈なのに、どうして
こんな意地悪をするのだろう。たった一つ、真哉が掴まえていた幸せをここまで残酷に潰し去って
まで。それが信じられなくて、涙が溢れた。
「ハデス先生は、こんなひどいことしない…」
293:ナイトメア 6
10/06/05 15:06:28 3H55cB3g
冷たい床に座り込んで真哉は泣き続けた。もう誰も助けてくれない、この報われない心は二度と
救われることがないのだという深い絶望しか残されてはいなかった。
「落ち着くんだ、鏑木さん」
「私は、私は…ただ先生が…」
現実のハデスの声は忌まわしいものでしかなくなっていた。真哉は錯乱の極みの中で、狂気の
淵を覗いていたのだろう。
「とにかく、気を落ち着けないと。さ、保健室へ」
駄々っ子のようにかぶりを振る真哉に業を煮やしたのか、ハデスは軽々と抱き上げると保健室
へと向かった。タイミングが良かったのか、廊下には他に生徒の姿もない。
ソファーに座らされて、真哉は室内の様子を伺った。テーブルの上が散らかっている。いつもここ
で自由にくつろいでだべっている三人は、もう帰ったのだろう。
「先生」
落ち着かせようとお茶を淹れていたハデスに声をかけるが、返事がない。声が小さかったので
聞こえなかったのだろうが、無視をされたようでまた悲しくなった。
「先生!」
「ん?ああ…ごめんね。はい、お茶」
湯呑みがテーブルに置かれるが、そんなものは見えていなかった。少しでも気にかけて欲しい、
壊れてしまった夢の代わりに何か確かなものが欲しかったのだ。湯呑みから離れた手を掴んで
引き寄せる。
「えっ?」
「私、先生が好きなんです」
もう、どうなっても構わなかった。大事な夢を失った今、あれ以上に幸せなことなどもうないように
思えたからだ。
「うん、ありがとう…でも僕はここに勤めていて」
「分かっています、でも先生は私が何より大切にしていた夢を壊した…それは絶対に許せない
から埋め合わせをして欲しいんです。でないと私、きっとおかしくなる…」
再び目の焦点が合わなくなってくる。ハデスの声をした病魔に完全に心を奪われていた為に、
容易には正気に戻れそうもなかった。
294:ナイトメア 7
10/06/05 15:07:35 3H55cB3g
長い沈黙が続いた後、ハデスが口を開いた。
「それは僕でなければダメかな」
「もちろんです」
「それで本当にいつもの鏑木さんに戻る?」
「私にも分かりません、ただ、他に方法を知らないのです」
答えてから随分時間が経ってから、迷い続けただろうハデスの手が髪を撫でる。
「…何もかも僕が至らないせいだから、君は何も気に病むことはないからね」
穏やかな声音が耳元で囁かれていた病魔のそれと重なった、と思っているうちに大きな影に
視界が閉ざされて唇を塞がれる。
「ン…」
何が起こっているのか、最初は分からなかった。夢と同じことが現実でも起ころうとしているの
だと悟った時、ようや病魔に浸食されて曖昧にブレていた意識が覚醒する。
「…先生」
触れていただけの唇が離れてから、また涙が溢れた。さっきとはまた別の涙だった。
「悪いのは僕だ、いいね」
「先生は、ずるい…わがままを言ったのは私なのに」
また唇が重なってきた。今度は唇の間から舌が入り込んでくる。何も知らないまま応えている
間に抱き上げられてベッドに運ばれた。ずっと憧れていた場面に、胸がときめく。
「病魔の悪影響が残っているなら、きちんと対処するのも僕の責任だからね」
やはり大人はずるい、と思った。どのみちこうなるにしても、いちいち理由をつけたがる。けれど
そんな無駄なほどに律儀なこの人だから好きで堪らないのだろう。
295:ナイトメア 8
10/06/05 15:08:49 3H55cB3g
シーツの白さが目に眩しいほどだ。
横たわった真哉を見下ろしているハデスの大きな手が、制服の上からまだ迷ってでもいるように
ぎこちなく身体を撫でている。
「先生、ここ」
手を取って胸に押し当てる。
「鼓動、聞こえるでしょ?こんなにドキドキしてるの…」
布越しではない手の温みをもっと感じたかった。ベストとシャツのボタンを片手で外して、ブラを
ずらすと直に乳房に触らせる。心なしか、手に力が篭ったように感じた。それがようやく決意を
したように思える。
「ずっと、こうなりたかった…嬉しい」
ハデスは何も言わなかった。あくまでも壊れかけている真哉の心を救う為だと心中で言い聞か
せているのかも知れない。それでも良かった。夢に現実が追いついてきているのが嬉しくて堪ら
ない。どんな形であろうと、望んだ結果になっている。それが大きな喜びになった。
夢の中で触れられた箇所をそのまま追うように、現実のハデスが指を這わせる。肌身を合わせ
ていることで記憶を覗かれてでもいるのかと思えるほどに、そっくり同じだった。
「先生、あれはやっぱり先生だった、の…?」
愛撫を受けて燃え上がりながらも真哉は何度も錯乱した。夢の中に立ち現れて囁き、身体中を
探り尽くして指で犯したのは、紛れもなく現実の中にいるこの人だったのではないかと。夢と憧れ
と現在のこの状態が頭の中で形もなく混ざり合ってしまい、目眩がするほどだった。
「嬉、しい…」
下腹を撫でていた手がショーツに触れた。一瞬戸惑ったように止まったが、すぐに隠されている
奥へと滑っていく。
「あ、んっ…」
思えば当然のことだが、ここからは現実の感触の方が夢想していた時よりも生々しくて、わずか
ながらに恐れを覚えるほどだった。手管そのものは別段慣れているように感じられなかったが、
それがまた別格の快感を生み出す。
296:ナイトメア 9
10/06/05 15:09:33 3H55cB3g
現実の指がゆっくりと硬く充血した女の芯を撫で、擦り、すっかり濡れきっているだろう陰部の
襞をなぞる。力は決して強いものではないだけに、じらされているようで余計に待ち焦がれている
内部が熱くなった。
「そこがいいの…もっと触って」
夢うつつに声を漏らす真哉の表情はとても幸せそうだった。現実でもこうして膣内を探られている
悦びが溢れている。行為を始めてからずっと無表情、無言のままだったハデスの顔がわずかに
苦しげに歪んだ。
その顔に一瞬だけ正気が目覚める。腕を持ち上げて硬くひび割れた頬を撫でると無理に笑って
見せた。
「先生、お願い…私を負担に思う必要はないの…今だけでいいから…」
「鏑木さん、本当にいいんだね?」
「…はい、私この時をずっと待ってました」
ハデスの顔は更に泣いてでもいるように変化した。ショーツを足から抜いてしまうと、真哉の目に
決して映らないようにした男の圧倒的な熱を塗れそぼった膣に押し当ててくる。
「責められるべきは、僕だ」
「うっ…」
経験のない真哉の身体を気遣うように、少しずつ浸入してくる硬いものの圧迫感が凄まじくて
息が途絶えそうだった。初めて男を怖いと思った。それでも必死に両手で白衣を握り締めて耐え
続ける。
「あ、ぁ…」
こればかりはさすがに、夢の中でも知らなかった。だから確かに今が現実の中なのだとはっきり
認識出来る。真哉はようやく現実を取り戻した。
ゆっくりとながら、全てを収めてしまったハデスが哀れむように見下ろしている。そんな顔は見たく
なかった。気遣わせているのも心が苦しい。
「苦しく、ない?」
「気にしないで…下さい、先生」
「君は強いね…」
顔が近付いてきてキスをされた。疼き続ける内部が互いに馴染んだ頃合を見計らって緩やかに
動き始めると、また圧迫感が蘇ってきて鈍く声が漏れる。
297:ナイトメア 10
10/06/05 15:10:26 3H55cB3g
「んっ、うっ…」
「苦しいなら、声を出していいから」
次第に早まる動きに耐えきれずに漏らす声があまりにも苦しそうに聞こえるのだろう。実際に
ひどく苦しい。ハデスは少しでも心身の負担を軽減するようにと促す。
「大丈夫、です…」
滲んだ涙が頬に流れ落ちた。
どんなに苦しくても、それがこの人に与えられているものなら何でも受け止めたかった。それが
一人で夢の中に閉じ篭っていた自分の務めのように思えた。真哉にとってはこうしている今の
時間が全てとなっていた。
背中に腕を回して必死で耐える真哉の耳元で、夢でも幻でもない本物のハデスの声がした。
「いくよ」
次の瞬間、それまでの感覚を一気に粉々に砕くほどの激痛が襲いかかった。行為に慣れても
いない膣内を一杯に満たすものが更に激しく内部を擦り上げる。
「んんっ…」
あまりの衝撃に懸命に声を殺したまま達してしまった真哉の内部から、ハデスは愛液でぬめる
ものを抜き出した。それをどうするのかと思う間もなく、限界まで張り詰めきっていた精神が安堵
に包まれて、ふっと意識を手放してしまった。
窓の外がもう暗くなっていた。
気がつくと、真哉は濡れタオルで身体を拭われている最中で、そのせいか、妙にさっぱりとした
気分だった。
「…先生」
「あ、目が覚めた?良かった…元に戻ったみたいだね」
あんなことがあったばかりなのに、ハデスの様子は何も変わらない。それが何だか微笑ましく
なって真哉はくすくすと笑った。
298:ナイトメア 11
10/06/05 15:11:23 3H55cB3g
「何?」
「いいえ、何も。ただ、私先生を好きになって良かったなって」
その言葉で、またハデスの表情がわずかに曇る。成り行きが特殊なものとはいえ、教職員が
生徒を抱いたことを気にしているのだろう。
「…言ったじゃないですか。私の為にここまでしてくれる先生だから、その負担には絶対なりたく
ないんです。このことは誰にも言わないし、先生だけが責を追う必要もありませんから」
「だけど…」
「いつか私が大人になって、その時にまだ先生が一人だったらもちろん再アタックしますけど」
濡れタオルを持っているハデスに抱きついてキスをすると、真哉はさっさと制服の乱れを直して
ベッドから降りた。
そして今までになかった大人の顔で笑う。
「お腹空いちゃったから、帰ります。じゃあまた明日」
翌日からの真哉は何事もなかったように保健室を訪れ、例の三人と他愛もない話をしては笑う
いつもの日々をまた繰り返すようになっていた。ハデスへの恋心はもちろん続いている。だけど
妙な焦りやこだわりはなくなっていた。
何かが綺麗さっぱり吹っ切れたのだ。
大人になった自分なら、好きな人をきっと逃がさない。そんな自信も芽生えていた。
「はい、鏑木さん」
当然のようにお茶が目の前に置かれる。
「ありがとうございます」
他の三人には知られないようにアイコンタクトを送る真哉に、ハデスはちょっと困ったような笑みを
浮かべた。本当に、どこまでも律儀で真面目な人なのだろうと笑みが漏れる。
だからこそ、大人になるまで忘れません。
真哉は改めて決意して、湯呑みを手に取った。
終わり
299:名無しさん@ピンキー
10/06/05 15:14:52 3H55cB3g
正直、こんなことでもない限り、ハデスはエロを絡められない。
今後どうなるかはまた別として今の段階では。
300:名無しさん@ピンキー
10/06/06 01:07:03 CAh5JJIn
GJでしたー。
ハデスのエロ、特にシンヤ相手は想像しづらいっすよね。
上手い展開だったし、シンヤ切ないけどかわいい。
301:名無しさん@ピンキー
10/06/06 09:25:44 GAkWF3is
すげーよかった
302:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:01:16 DRM5TEJo
だから俺はアシタバ君と美玖ちゃんのびくびくしながらエッチするのを書きたかったはずなんだが…
無理矢理が苦手な人はスルーでお願いします。
「まだ、ハデス先生なの?」
「えっ?」
二人きりの保健室、鏑木真哉はアシタバの突然の質問にあっけを取られて、簡
単に押し倒されるのを許してしまった。
「きゃ!!?」
恥ずかしいほどかわいらしい声をあげてしまったが、真哉はそんなことを気に
している暇は無かった。
「ちょっと!放してって!これはやり過ぎだって…!!」
「…本当に嫌なら、僕なんて簡単にどけられるでしょう?」
確かにそうだ。下に敷かれ、両手首を掴まれていたが、この体勢からアシタバ
相手に逃げることは容易い。だが、目の前のアシタバの悲痛さが見え隠れする
表情のせいなのか、真哉の抵抗する気持ちが萎んでいた。
「アシタバくん…ちょっと落ち着こう?お願い…おかしいよ…」
「おかしいのはシンヤの方じゃないか…!!先生との恋愛なんて…そんなの…変
だって分かってるだろ!?」
情けないと思ったが、涙が止まらない。明らかに動揺した真哉の顔に、粒にな
って落ちるたび、申し訳ないと思う一方で征服したような錯覚に興奮していた。
「前からずっと見てた!シンヤの事…でも……一度くらい気づいてくれたって…
良いじゃないか…!!」
呆気に取られているのを良いことに、強引に唇を奪った。押し付けすぎたせい
で唇の内側を切り、じんわりと血の酸味が広がる。それどもアシタバは止まら
なかった。
「っう…ん…!」
真哉の柔らかな唇を、何度も何度も口に入れる。ただ苦しいだけであろうが、
真哉が漏らす小さな声が、官能的でアシタバの身体を熱くした。
「はぁっ…や…ってやる……!」
意を決して右手を離すと、ブレザー越しに胸をわしづかみにしてやる。何層か
重なった布の上からでも伝わる、未知の柔らかさ。ドクドクと脈打つ感覚まで
伝わってくる。
303:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:01:46 DRM5TEJo
ブレザーを広げ、シャツをたくし上げると、真哉の胸元はブラジャーが乳房を
守るだけになった。
「駄目だよ…アシ…タバ君!!ねぇ、もうやめよ!?」
真哉の落ち着かせようと冷静さを装う声も、今のアシタバにとっては神経を逆
撫でする以外の何物でもなかった。
「僕だってッ!」
乱暴にブラジャーを引っ張ると、真哉の胸が露になる。肩紐が食い込む痛みと
恥ずかしさと恐怖。それらが入り混じり、真哉は泣きそうになってしまった。
「…マヤ」
「えっ?…ぁく…!!ア、アシタバ君!!?」
アシタバは大胆にも真哉の胸に顔を埋め、赤子のように乳房をしゃぶった。
「っあ…な、な、な…」
「はっ…!!んむ、ちゅっ…ん…ぱはっ!!」
出るはずもない母乳を求めるかのように、先端を何度も吸う。真哉が気持ち良
いかは気にしない。ただ、身体の奥から沸く劣情のままに動くだけだ。
「マヤ」
何度かアシタバは真哉をマヤと呼んだ。真哉の正式な名前なのだが、真哉自身、
身内以外からもあまり呼ばれないせいか、不気味ささえ感じた。
「っあ…!!」
そんな思考も、アシタバの粗雑な愛撫であっても徐々に蓄積される性的な感覚
に焼き切られていってしまう。
「~っふぅ~っ…!」
恥ずかしさに紅くなった顔を両手で隠した。口をふさぎ、声が出ないよう尽く
す。
「もっと聞かせてよ。可愛いよマヤ…先っぽ、硬くなってる」
歯で擦るように充血した乳首を噛むと、真哉の視界は真っ白な光に包まれ、何
もかもを忘れた。
「っは!!あぁぁんん!!」
ソファーの上でよじれて叫んだ。何かが消えた気がしたが、今は考えていられ
なかった。
304:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:02:58 DRM5TEJo
「マヤ、イっちゃったんだ…可愛いよ」
真哉は頭がうまく働かず、全身が痺れている。アシタバは荒い息遣いで真哉の
唇を貪ると、頬へ、頬から耳たぶへ舌を這わせた。
「気持ち良かったんだよね?」
耳たぶを甘噛みする合間にかけられる言葉を真哉は否定出来なかった。
気持ち良かったのだ、信じられないくらいに。自慰をいつから始めたかは覚え
ていないが、今までのどれよりも、アシタバの強引な愛撫は気持ち良かった。
「ひっ!?」
「んっ…ず…」
尖らせた舌が、耳の穴に侵入してくる。全くの予想外な行動と、その異常さ。
真哉は恐怖で何も出来なくなった。
ずぽずぽと聴覚が犯されるような錯覚が、さらに真哉の感覚を壊す。
「あっ!…だ、駄目」
アシタバの指がスカートをめくる。何をされるのか、男女の仲に疎い真哉でも
察して手で股を隠した。
「マヤ、いい子にして」
驚くほどすんなりと、真哉の精一杯のガードは破られた。身体がまるで言うこ
とを聞かない。
「素直になってよ、こんなに濡れてるんだから」
いきなり、指が直に触れた。愛液を垂らしている自分の身体が恐かった。
「っあ…あぁ…やめ…ん!!」
「凄い…あったかい……。マヤ、こんなに感じてくれてたんだ。嬉しい…」
「恥ずか…しい……ひぃ!…も、もう…」
初めてのはずなのに、真哉は随分と感じ、アシタバは手慣れたように指を抜き
差しした。
「僕もマヤと一緒に…」
アシタバが、目を血走さらせながらズボンをガチャガチャといじる。ベルトを
外し、パンツごと一気にズボンを下ろすと、張り詰めたモノが外気に晒される。
305:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:03:58 DRM5TEJo
「マヤ…マヤッ!!」
入る訳がないと思った。挿れられてしまえば、あとは流れで奥まで突かれた。
必死に叫んで誰かに知らせようとしたが、『死神』が居ると恐れているのか、
誰もいないのか、保健室のドアを開ける者はなかった。もうこの口は助けを叫
ぶこともなく、今はなされるがままに喘ぎ声をあげるだけだ。
「うぁ…あ、あぁん!!ひぅ!!」
一度、膣内に射精されると、何かが壊れた。もう何もないのだ。虚しさに近い
何かが心をさらい、代わりに目の前の快感に見を委ねてしまおうと、諦めがつ
いてしまった。
二発目のときに精を飲むよう口に捩込まれても抵抗はさして感じなかった。
いまも、精液と愛液でぐちゃぐちゃに濡れた秘処をアシタバが乱す。求めるら
れればキスをして、声を聞きたいと言われたら抑えることなく鳴いた。
従順でしとやか女になりたい-コンプレックスから来ていた願いが、皮肉にも
こんな形でなされるとは、思ってもみなかった。
「あん!!ぃ、あひぃ!!あああ…!!」
「出すよマヤ…!!」
まどろむ。溶けていく。熱い奔流を感じながら、真哉は意識を手放した。
306:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:04:39 DRM5TEJo
「………えっ?」
気がつくと、服は綺麗に整っていた。それどころか、押し倒された跡も、犯さ
れた痕跡もない。真哉は行儀良く座ったままだ。すると今までのは…
「病魔だったの?」
アシタバの背から、何かが抜けていくのが見えた。アシタバの精神力が追い出
したのだろう。本当ならば退治すべきだろうが、生憎派出須は出払っているの
で、どこかに逃げて行くのを見ているしか無かった。
「アシタバ君…わ、私は気にしてないから…!!」
アシタバは顔を手で覆って泣いた。ひそかな恋の相手に、嗚咽を漏らしながら
泣く様を、歪んだその恋心をさらけ出したのだ。
「最低だよね…友達だと思ってた相手がこんな目で見てたんだ……っ…うぐぅ」
「でも病魔…」
「嫌じゃなかった!!利用しようとしちゃったっ!!……全部本音だったんだ…」
畳みかけるように叫ぶアシタバは、自己嫌悪で今にも命を絶たんという勢いだ。
「でも……本当のアシタバ君は泣いてくれてるよ…」
「…?」
「私は大丈夫だから…」
同情したつもりはない。泣く姿が、貧弱だが可愛い弟によく似ていたからかも
しれない。案外、こういった優男に弱いのだろう。
真相は自分も知らない。ただ、たった今まで自分を犯していたアシタバに魅力
を感じていているという事実が残るだけだ。
「ゴメンね…私、見てあげられなかった……。アシタバ君が、こんなに思って
くれてたのに」
「シンヤ…」
赤くなったアシタバの目の周りを指で拭ってやると、少しだけ冷静さを取り戻
したようだ。
「…だから、その……」
「…?」
「…………お、おち…大きくなってるから…隠してくれると………嬉しいかな」
「え?…!!~っ!!」
いつもよりズボンが張っていることに気づき、アシタバは慌てて飛びのいた。
「ごめん!」
「う…ううん…そんな」
やはり気弱で優しいアシタバだ。真哉は慌てて股間を抑えるアシタバを見て、
おかしさすら感じていた。
307:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:06:26 DRM5TEJo
「今まで、女の子として見てくれる人そんなにいなかったから…嬉しいかった
って言うか、ほっとしたな…うん」
真哉は続けた。妄想での勢いはどこへ行ったのか、アシタバは赤面して股間を
抑えている。
「あ~…けどまぁ、もうちょっと力の加減とかね。や、やっぱり、男の子に優
しくして欲しいとか、そういうのあるから…」
「…」
「あとさ…マヤって言う呼び方なんだけど…シンヤよりマヤ?」
「そっちのほうが、可愛いから…」
可愛い-そう言われるとやはり胸が高鳴る。そして素直に嬉しかった。
「じゃあ二人の時だけ、ね?郁くん」
不意打ちを狙ってアシタバにキスをしてやる。夢の中での乱暴で血の味がした
ものよりをずっと稚拙なものだったが、どこまでも甘い。
「じゃ!じゃ、じゃあ、帰ろっか!!」
もっとゆっくりだが、自分は女の子らしくなれるかも知れない。そして、それ
は甘く楽しい時間になるだろう。
小柄で力もなくて、でも誰よりも優しい男と手を繋ぎ、真哉はひそかに胸を膨
らませた。
(い、今の子はやっぱり進んでる…!!)
手を繋ぐ二人を見かけた体育教師が、妙な焦燥感を感じたのはまた別の話。
308:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:07:47 DRM5TEJo
>>299GJ!!
なんで初志を遂げられないのか…
今度こそは小動物交尾を
309:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:14:40 VmtBSwLh
GJ!!にやにやがとまらん
小動物も期待
310:名無しさん@ピンキー
10/06/07 01:20:44 OYx2cT2x
まさかの強引アシタバ、しかもかっこええ・・・GJでした!
311:名無しさん@ピンキー
10/06/07 03:35:24 PnC43ChD
GJ!
小動物可愛いだろうなあ、今から期待。
そしてこんな時間に投下。
一回エロ書いたらなんか平気になったけど、続けざまはどうかとも思うので
また続く。
312:約束 1
10/06/07 03:36:24 PnC43ChD
昼休み、校内を巡回していた美徳は体育館の脇を通り過ぎようとした時に、入口側で何人もの
男子生徒が集まって騒いでいるのを見つけた。
休み時間にはよくあることだし他愛もないものだと見過ごそうとしたのだが、中心にいる生徒が
持っている本は持ち込み禁止にしている類のものだと気付く。
『巨乳女教師調教』と下品で派手なロゴが踊っている、所謂エロ本だ。
「あなたち、そこで何をしているんです!」
さすがに見過ごしておくことは出来ず、声を上げて近付いていく。
「あ、みのりちゃん…」
生徒たちは美徳を見た途端、バツの悪そうな顔をして急に元気をなくしてしまった。まだ数に勢い
づいて食ってかからないだけ可愛いものだと思う。その辺はやはり中学生だ。
「こういう本は学校に持って来ないこと、と校則にはありますね。これは没収します!」
言うなり、本を取り上げてしまう。
「今度からは気をつけること、いいですね」
「…はい」
本を丸めて小脇に抱え、遠ざかりかける美徳の耳に小声で呟き合う生徒たちの声が微かに聞こえ
たが、反応はしないことにした。そういうことに興味の出る年頃だ、いちいち気にしていたらキリが
ない。
「相変わらずお固いなあ、みのりちゃん」
「あれで案外まだバージンだったりしたらヤベーよな」
「有り得たりして」
全くもう、と途中で立ち止まって深呼吸をする。気にしないようにしているものの、やはり自分が
そういう目で見られていることには我慢ならない。体育館の角を曲がったところで生徒たちに見え
なくなってから、どんな本かと表紙を改めて見てみると、嘘のように巨乳の若い女性が全裸に近い
姿で挑発的なポーズを取っている。
「うわ…」
さすがに中まで見る勇気はなかった。
313:約束 2
10/06/07 03:37:09 PnC43ChD
あの生徒たちにとって、自分はこの扇情的な女性と同じように見えているのかと屈辱的な気分に
なる。学生の頃からそういう目で見られてきただけに、いい加減慣れたつもりになっていたがそう
ではかなったようだ。むしろ不快感と男性不信が増すばかり。
美徳はこれでもかと存在を誇示している大きな胸を見下ろして、溜息をついた。好きでこんな風に
生まれた訳ではない。こんな大きなものはただ邪魔なだけだ。
せめて普通のサイズならこれほど嫌な思いをしなくて済んだのにと思うと、つい両親に恨み言の
一つも言いたくなるが、それはもちろんお門違いなのも分かっている。
「あーあ…」
雲のない青空を見上げているうちに、何となく空しい気分になってまた溜息をつく。せめてもっと
普通ならと望んでももう仕方がない。とはいえこれからもずっとあの視線に晒されることに開き直れ
もしない。美徳の気分は八方塞がりになっていた。
「…あの人なら、どうなのかな」
何の意味もなくハデスの顔を思い浮かべてしまう。全てのことにおいて深い欲求のなさそうなあの
男なら、こんな気分にはならないのだろうかと。男なんてみんな同じと決め付けてしまえば簡単な
ことだが、それでは美徳自身が惨めなままだ。
せめて一人ぐらいは何も思わずにいて欲しかった。それがハデスだったらと想像するのは、美徳の
希望でしかないが。
「えっ…?」
その日、ようやく周囲に人がいないのを何度も確認して話しかけた美徳に、ハデスは心底驚いた
ように目を見張った。
「ですから、もしお時間があればと…」
これまで何度も二人きりで話しがしたくて食事や映画にハデスを誘ってはみたものの、何故か
事が上手く運ばない。その度に嫌われているのではないか、あまりしつこくしても逆効果ではと
迷い続けた。
迷った上で、何度目かの清水の舞台である。
314:約束 3
10/06/07 03:38:00 PnC43ChD
「…嬉しいです、才崎先生にはきちんと謝らなければと思っていましたから」
「そんなこと…」
「正直、嫌われていると思っていましたので」
「それは仰らないで。何か不愉快な思いをさせたことがあるとすれば、私が悪いのです。謝る
べきは私です」
ここまで上手くいかないのは、きっとこの変に頑固で頑なな性格によるものなのだろう。ある程度
は自覚しているからこそ、素直に吐き出してしまえた。
「…そうですか、嫌われていないのであれば幸いです」
ハデスの表情は、相変わらず怖いが随分柔らかく見える。
「私には、教師として足りないものがあり過ぎるのです。ですからハデス先生の教育方針には
興味がありまして…是非ともまたお伺いしたいのです」
「ええ、それはもちろん。才崎先生の為になることがあるかは分かりませんが」
「では今夜…よろしいですね」
金曜日の夜ということもあり、待ち合わせの時間は少し遅めの午後八時にした。
その時間が来るまで美徳はどれだけ必死で服を選び、化粧に気を遣い、身だしなみを整えたか
分からない。これまでの重なり続けた失敗がより慎重にさせているのだ。これでまた上手くいか
なかったとしたら、次はもうない気がした。
三十分早く待ち合わせの場所に着いた美徳は、行き交う人の波や他の待ち合わせをしている人
たちをただ眺めていた。誰かを待っているのはそう悪い気分ではない。自分にも、これから連れ
立って一緒に歩く人がいる。そう考えるだけで心が躍った。
「待ち合わせですか?」
時々、一人で立っている女にナンパ目的なのかそんな声をかける輩もいる。美徳にもそんな男が
近付いてきた。
「お気遣いなく、もうじき来る筈ですので」
だが、男はにやにやしながらも立ち去らない。待ち人来たらずだったりしたら、すかさず腕を取って
どこかへ連れて行く気なのだろう。
315:約束 4
10/06/07 03:38:31 PnC43ChD
「あの、迷惑です」
以前よりも少し着飾っているせいもあって、強引に振り払うことが出来ない。それをいいことに、
男は馴れ馴れしく腕を引いた。
「離して!」
「どうかしましたか?」
堪らずに叫んだ瞬間、背後から聞き慣れた声がした。
「あっ…」
美徳の腕を引いていた男が、ハデスの姿に言葉を失った。慣れていなければ昼間でも怖いと
思う顔が、夜目では更に怖くなる。男は威勢をそがれて慌ててどこかへ逃げてしまった。状況が
良く分かっていないハデスは、男が逃げた方向をずっと見ている。
「僕は、何かしましたか?」
「…いいえ、助かりました」
危機を脱して思わず胸を撫で下ろしている美徳を、改めて眺めたらしいハデスはなぜか急に無言
になった。
「どうかしました?」
「いえ、何だかいつもの才崎先生とは違うように見えまして」
「そんな、いつもと変わりませんわ」
「いつも以上にお綺麗ですよ」
「えっ…」
まさかハデスがそんな気の利いた台詞を言うとは思ってもいなかった。確かに今夜はお洒落も
化粧も随分気を遣ったし、綺麗だと思われたいとは望んでいた。だけどこんな言葉をかけられる
ことは全くの予想外で、思わず頬が染まる。
それは夜の雰囲気が言わせているのだろうかと思うほどだ。
「嫌だ、そんな…」
はにかむ美徳に、ハデスは手を差し出す。
「さあ、行きましょう」
「…はい」
今夜は絶対に失敗なんかしない。ハデスの隣に寄り添いながら、美徳は星のない夜空を一瞬
振り仰いだ。
続く
316:名無しさん@ピンキー
10/06/07 03:41:38 PnC43ChD
前にも書いたように、ハデスは過去に例を見ないほどエロ書くのが難しいキャラ
なんだ。でも、意外に慣れたら何とかなるかもだ。
317:名無しさん@ピンキー
10/06/07 04:29:53 XDVECl4m
ハデみのキタ!GJ
318:名無しさん@ピンキー
10/06/07 05:49:43 zoF20TRA
乙です。ハデみの待ってましたです
319:名無しさん@ピンキー
10/06/07 13:40:53 Z9icSEGJ
きちんと鈍好きなんだね
320:名無しさん@ピンキー
10/06/07 18:55:42 mmG076xw
ハデみのwktk
経一→鈍が確定したな
こいつら同居してんだっけ?
321:名無しさん@ピンキー
10/06/07 19:58:48 Z9icSEGJ
多分?
朝っぱらから裸でうろついてたの注意してたし、ユグドラシルに住んでんじゃないかな
322:名無しさん@ピンキー
10/06/07 22:08:51 S22zaVOF
>>316
みのりちゃんきたか。乙
323:名無しさん@ピンキー
10/06/07 23:26:16 u7Th4nKd
全裸でハデみの続き期待
324:名無しさん@ピンキー
10/06/07 23:35:36 RYOVFnLD
続き楽しみに待ってます!!
325:名無しさん@ピンキー
10/06/08 04:30:19 WWGSNzpF
書いた、眠い。
326:約束 5
10/06/08 04:32:03 WWGSNzpF
決して粗相などないようにと気を張っていたせいで、入ったレストランでも料理の味などほとんど
感じられなかった。食前酒も軽く口をつけただけだった。これまでのように慌てたり怒ったりする
みっともない姿を見せたくなくて、美徳は慎重に話題を選び、話を進めていく。
ハデスは料理も酒もほとんど手をつけないまま、美徳の言葉にただ穏やかに頷いて的確な返事
を返すばかりだ。
もしかしてハデスの方も気を遣っているのだろうかと考えると、妙に心苦しい。こうして一緒に同じ
時を過ごしているだけで楽しいと思えるだけに、もしもそんな気遣いがあるのなら一切忘れて欲し
かった。
緊張で喉が渇く。
会話が途切れてしまうのが怖くて、グラスワインを一杯頼んだ。
「ごめんなさい、いつもの癖で」
「いいえ…才崎先生はそうして普段通りにしている方がいいですよ」
ハデスは優しく微笑む。それが他人には寝付けなくなるほどの恐ろしい笑みでも、美徳にとって
は癒しの微笑となった。
本当に、どうしてこれほどまでにこの人に魅かれるのかと不思議なほどだった。ほとんどの生徒
たちにはオバケ先生だと、死神だと怖がられるほど怖い顔をしているのに、人当たりは驚くほど
優しく異常なほどに周囲を気遣う。その為に数多の奇行もあるが、数は少ないもののハデスを
慕って保健室に入り浸る生徒がいるぐらいだ。
美徳も最初は怖い人だと思うあまり意識的に避けていたように思う。
それが、一度助けられた時に優しさや不思議な力を持つことなど色々な面があることを知るよう
になってから、否が応でも気にかかるようになった。気になるからこそ目に留まれば突っかかった
し、数々の無体なこともしてしまった。
私はきっと、この人が好きなのだろう。
恋など今まで淡い片思いしか経験がないだけに、今まで何も分からないまま失敗ばかりを繰り
返していたのだと二杯目のグラスワインが空になる頃にようやく思い至った。
327:約束 6
10/06/08 04:33:44 WWGSNzpF
夜空はやはり地上の煌きのせいか星が見えない。
けれど美徳の心には星よりも小さく眩い煌きがあった。
レストランを出るとワインで火照っていた頬に微かな風が当たって心地が良くて、つい微笑みが
漏れた。
「…ふふっ」
「才崎先生?」
ハデスが不思議そうに見る。
「いえ、何でもありません」
言葉だけで誤魔化しながらも、美徳は楽しそうに行き過ぎる恋人たちを眺めてはますます気分が
高揚していく。こんなにたくさんの恋人たちの中に紛れている自分たちも、他の人には同じように
見えているのかと思うと恥ずかしくも嬉しい。
「今度は、どこに行きましょうか」
時刻はまだ深夜にも差しかかってはいない。もっと話がしたかった。
「どこでもよろしいですよ。僕はどこにでもお付き合いしますから」
「じゃあ…側にいて下さい」
ほんのりと酔っているせいで、口が勝手に本音を乗せる。
「えっ…」
その言葉に、あくまでも柔和に従順に、今夜の美徳のペースに合わせていたハデスが絶句して
いるのが伝わってきた。
「すみません、仰っていることが良く…」
その対応は、聞こえなかった振りをしてなかったことにしようとしているように思えた。それだけ
で、これまで少し浮かれていた楽しい気分があっさりと消え去っていく。
「私の側に、いて欲しいんです…分かって頂けますよね?」
「それは…」
必死で言葉を繋ごうとする美徳の努力をあえて無にしようとでもいうように、ハデスの態度は妙に
曖昧なままだ。ここで腹をたてたら、またいつものようにダメになってしまう。何とかここで全てを
終わらせないように、その一心で美徳は遂に核心の言葉を口にした。
328:約束 7
10/06/08 04:34:46 WWGSNzpF
「ハデス先生、私、ずっとあなたのことが気になっていたんです…でも素直になれなくて、思った
ことが言えなくて…自分でもどうしていいのか分からなくて…」
「僕を?」
突然の告白に、ハデスは本当に驚いているようだった。
「そうです、何故そうなったのか私にも…ただ、今の本当の気持ちを言うのであれば、あなたの
ことがとても好きなんです」
「そんな…」
清水の舞台どころか、ナイアガラの滝から落下するほどの勇気で告白したというのに、ハデスは
ますます浮かない表情になっていく。
「いけません、才崎先生。あなたにはもっと相応しい人がいます。僕なんかを相手にしては…」
「お分かりになって頂けないのですか?私は、誰にどう言われようとも、あなたのことが誰よりも
…」
急に道の真ん中で立ち止まり、言い争いを始めた二人に構うこともなく他の恋人たちはそれぞれ
の思いを抱えて通り過ぎていく。人並みの中洲の中で、どうしてもここから先には進めないのか
とひどく悲しくなって涙が溢れた。
「私は、どんな人よりもハデス先生の方がいいんです…ただそれだけです」
美徳には分からないことではあったが、美女の涙というものは男にとって絶大な武器になるもの
のようだった。現に、涙に暮れる美徳の姿に目を奪われたらしい男がちらちらと盗み見ている。
もちろん、それはハデスも同様らしい。
「…泣かないで下さい、才崎先生にそんな顔をされると僕は…」
ためらうようにぎこちない指先で涙を拭われた。はっとして見上げると顔が近付いてくる。
「ハデス先生…」
さっきとは別の意味の抑えきれない涙が零れ落ちた。痛いほどに噛み合わされた唇の温みと
感触だけで、怒りも悲しみも全てを忘れることが出来た。これを人は幸せというのだろう。
唇が離れてから、道の真ん中でこんな振る舞いをしていたことに今更気がついたのか、ハデス
はやたらと神妙な顔になった。美徳はもう、まともに目を合わせられなくなっている。
329:約束 8
10/06/08 04:35:26 WWGSNzpF
「こんなところで、すみません」
「…いいえ」
恥ずかしさで目を逸らす美徳の耳に、信じられない言葉が飛び込んできた。
「場所を変えましょう、いいですね」
「ええ、もちろん…」
紆余曲折はあれ、男と女がここまで来たなら行き着く先はもうひとつしかない。ハデスにもやはり
普通の男の部分はあったのだと嬉しく感じながら、美徳は恋の炎に髪の先を焦がすほどの思い
を抱えて促されるままに歩を進めていった。
いつもは冷たい指や爪先が、今夜はひどく火照っている。
ほとんど水のように冷たいシャワーを浴びながら、美徳の心だけが少しも冷えることなく燃え上
がっている。ここから出たら間違いなく何度も想像していた場面が実際のものになるのだと思う
と、胸が震えた。シャワーの冷たさすらほとんど感じないほどだ。
このホテルの部屋に入ってから、ハデスはやたらと饒舌になった。ベッドが丸くて回るもので、
部屋の中にはプールやブランコがあると思っていたとか、一体いつの時代の情報なのかと思う
ことを早口でまくし立てた挙句、冬眠前の熊のようにうろうろしながら珍しそうに部屋の中を見回
しては落ち着きなく振舞っていた。
さすがに切れそうになるのを何とか堪えて、クールダウンする為にシャワーを浴びに来たのだが、
それは正解だったようだ。今はこんなに気分が落ち着いている。
「やっと…私これから…」
シャワーを止めて簡単に身体の水滴を取ると、ぎゅっと自分を抱き締めた。何も知らないからこそ
怖い気持ちもあるが、多分武者震いというものに違いない。
330:約束 9
10/06/08 04:36:32 WWGSNzpF
ガウンを羽織って部屋に戻ると、ハデスは傍らのソファーで眠り込んでいた。
擁護教諭なのだから保健室にいさえすればいのに、何かと動き回っているから当然かも知れ
ない。けれど、何もこんな時にとも思う。
「…ハデス先生」
遠慮しながら揺り動かしても、目覚める気配はなかった。
「こんなところで、眠らないで下さい」
思い切り強く揺さぶって、ようやく死人のような瞼が開く。
「…ああ、才崎先生。つい…」
また癇癪を起こしそうになるのを耐えながら、美徳は慎重に声をかける。
「お疲れなのですか?」
「ええ、まあ…だけどそれよりも」
完全に目が覚めたらしいハデスは、美徳と並んでベッドに腰を下ろした。間近で見つめてくる顔に
何を言われるのかと身構えていると、不意に視線を逸らされた。
「…やはり僕では…才崎先生は間違いを起こしてはいけない」
「何を仰っているんですか?一体まだ何を迷っているのです?」
ようやくここまで漕ぎつけたというのに、ハデスにはまだ迷いが残っている。部屋に入ってから
少し時間が経ったことで冷静さを取り戻したのだろう。根気良く待って次の言葉を引き出そうと
しているうちに、とんでもない言葉が出た。
「僕は人を愛せません。誰かを大切に思うことがあれば、必ず不幸にさせるでしょう」
「…そんなこと…」
まさかこんなところで、そんな告白を受けるとは思ってもいなかった。先ほどまでの高揚した気分
が一気に冷めていくのが分かる。
「僕には、あなたにはまだとても言えないことがたくさんあります」
「それは、私を助けてくれた、そして生徒たちを助けている、あの力のことですか?」
「…そうです。御覧になりますか」
そう言うと、ハデスは黒いシャツのボタンを外して普段は服で隠されている身体を晒した。顔に
深く入っている亀裂が身体にも走っている。まさかここまでは、と思っていただけに美徳は息を
呑んだ。それをどう捉えたのだろう、ハデスは哀しそうに笑う。
331:約束 10
10/06/08 04:38:12 WWGSNzpF
「僕は普通ではありません。この亀裂はその力ゆえのものです。関わればあなたも辛い目に遭う
かも知れません。そんな事態に立ち会わせたくはないのです」
ハデスはますます哀しそうな顔になった。そんな様子に、つい腹立たしさが先にたって声を上げて
しまう。
「私を見くびらないで下さい!」
「才崎先生?」
「そんなに普通の人がいいと思うなら、最初からハデス先生には目もくれません。ハデス先生に
何か秘密があることなんて、何となく察していました。多分これから先に新たに知って驚くことも
あるかも知れませんけど、私、決して怯みませんから。不幸になんか、なるならなれです!」
決してもう目を逸らされないように間近で目を見つめると、どこか色を失っていた目に再び生気が
宿ったように思えた。
「それだけは、絶対に誓えますから」
「才崎先生…」
「約束しても、構いません。それでハデス先生が孤独でなくなるのであれば」
聞き分けのない子供に言い聞かせるようにして互いに額を合わせると、ハデスは軽い溜息と
共に小さな笑い声をたてた。
「…あなたには、適いませんね」
「ハデス先生?」
「僕が思っていたより、才崎先生は随分変わり者のようです」
「ええ、今頃お気付きでしたか?ハデス先生をこんなに好きになれるのは、私ぐらいのものです」
「かも、知れませんね」
ようやく元気を取り戻したのか、額が離れてすぐに唇を啄ばまれた。何の前置きもないうちだった
ので、内心で驚きながらもまた鼓動が高まる。触れては離れを繰り返していた唇の感触に酔い
かけているうちに、舌先が唇の形通りにじっくりと撫で、心地良さに開きかけていた唇の間に入り
込んでくる。
332:約束 11
10/06/08 04:39:03 WWGSNzpF
「…っ」
口腔に入り込んだ舌はハデスのものとは思えないほど淫らに内部を探った。唇にしたと同じよう
に巧みに歯列をなぞり、動かないままの美徳の舌を探り当てて撫でながらも絡ませ、柔らかい
口腔内の粘膜の隅々までを犯していく。
頭の中が蕩けてしまうようだった。生徒に童貞と揶揄されるほど女性経験はなさそうだったのに、
こればかりは予想を外れていたようだ。
その間にも、留守になっている両手はガウンの胸元から乳房に触れている。
最初からあまりにも濃厚なキスは、思わず呼吸さえ忘れるほどだった。唇が離れてからようやく
大きく息をつく。
「…はっ」
「大丈夫ですか?」
「ハデス先生が、随分慣れてらっしゃるので驚いています」
「それは…才崎先生がそう思っただけでしょう」
一瞬だけ言葉を濁したのを美徳は聞き逃さなかったが、この場で追求するのはやめた。まだ知ら
ないことばかりがあるのは当然のことで、それを今どうこう言っても仕方がない。
「そうかも知れません」
呟いて身を預けながら目を閉じると、ガウンが肩から滑り落ちた。瞬時にして緊張した気配が
伝わってくる。最初は遠慮がちに乳房に触れていた手の動きが、次第に強まっていく。同時に
瞼や頬に落としていた唇が顎の線から耳、そして首筋へと下がっていく。
「あ…」
軽く首筋を吸われて、未知の感覚に自分のものとは思えない声が漏れた。大胆になっていく手
が形を愉しみでもするように、ゆっくりと揉み始める。時折指先が悪戯でもするように乳首を弄ぶ
ことすら感じ入ってしまってどうかしてしまいそうだ。
「やっ、そんな…」
無意識に緩く身を捩って逃れようとするも、既に身体は疼き始めて思うようにはいかなかった。
まだ何も知らないのに、たやすくこんな風になってしまうことが自分でも信じられなかった。そして
世の中の女はみんなこうして男を知るのだろうと思うと、何だか不思議だった。
333:約束 12
10/06/08 04:41:22 WWGSNzpF
「横になって貰えますか」
耳を蕩かすような声が響く。頷いてベッドに横たわると、もう用を成さないガウンの紐が解かれた。
それを恥じる余裕はもうなくなってしまった。包み隠すものがなくなった途端に乳房を大きな手で
鷲掴みにされ、舌でなぞりながらも噛みつきでもするように歯を立てられて、その激しい刺激に
あられもない声が上がる。
「やあぁっ…」
シーツを握って耐えながらも身悶え続ける美徳の肌の上を、ハデスの長い指が這い回る。その
指先が臍からまっすぐに下がって陰部の中心にある女の核を捉えた。反射的に閉じようとした
膝の間にはハデスの身体が挟まる形になっていて、叶わなかった。
「…やだ」
まるで戯れるように核をいじり、爪の先で引っ掻いては指の腹で撫でる。そのわずかな動きが
凄まじく強い刺激となって身体がびくびくと震えた。こんなに感じている姿を見られることに何度も
恥ずかしさが湧くのだが、それ以上に快感を煽られて全てが無駄になっていく。
「そこは、もう…いやぁ…」
「では、ここならどうですか?」
あまりにも感じ過ぎてしまう核をいじっていた指が更に移動する。もうどうしようもなく濡れきって
いる膣に軽く指先が差し入れられた。
「ひゃっ…」
ほんの入口で軽く抜き差しをしながらも滲み出す愛液を襞に絡め、わずかずつ浸入する深さを
変えていく指が急に膣壁を強く擦った。
「あんっ!」
「才崎先生、ここならどんなに声を上げても他人に聞かれることはありません。どうぞご存分に
愉しんで下さい」
指であられもなく美徳を乱れ狂わせながらも、乳房に吸いついていたハデスが満足そうに声を
かけてくる。
「あ、ぁ…ハデス、先生っ…」
334:約束 13
10/06/08 04:42:18 WWGSNzpF
髪を振り乱しながら悶える美徳は、もう意識が飛んでしまいそうだった。自分ですら触れたことの
ない女の敏感な内部が、男の指先で巧みに切り開かれて淫らな快感に馴染んでいく。まだ頭の
中で理解しきれていない部分が砂糖菓子のように溶けていった。頑なな女でしかなかった自分
がこうして変わっていく。
「はぁ、ぁ…んっ…」
何本もの指が膣内で蠢いてそれぞれが自在に快感を引き出しているのが分かる。柔らかい壁が
馴染んでいく度にまるで生き物のように悦んで指に絡みついていることも。ほんの短い間にここ
まで身体が変化しているのだ。
乳房を波打たせながら大きく喘ぐ美徳の目に、異様なものが飛び込んできた。スラックスをくつろ
げたハデスが握っているものは、紛れもなく彼自身だ。全てにおいて欲求の薄いイメージがある
ハデスのそれとは思えないぐらい、硬くそそり勃っている。
「もう、いいですね。才崎先生」
平然としているように見えてもやはり同じだけ興奮をしていたのだと嬉しくなって、微笑む。
「…はい、いらして下さい」
「嬉しいです…」
存分に指で蕩かされたそこに、今見たばかりのものの圧迫感を感じた。来る、と思った途端に
粘膜が悲鳴を上げるほどの衝撃が走る。
「ああああっ!!」
これまで想像していたよりも遥かに大きな激痛だった。無理もない。そこに触れたのはさっきまで
の指だけだったのだ。今内部を犯そうとしているものは、指など比較にならないほどに大きく張り
詰めている。
「うぁあ…」
喉を絞るように苦しい声を上げる美徳の唇が塞がれた。宥めるように絡み付いてくる舌に頭の
芯がぼんやりと霞んでくる。そうしているうちにも、痛みで軋む膣内は異物を少しずつ受け入れ
ていった。
やがて根元まで収めてしまってから、ハデスは安堵したように息をつく。その吐息に唇を撫で
られて涙が零れそうになった。痛みではなく、嬉しさの涙だ。