保健室の死神でエロパロ 入室者1人目at EROPARO
保健室の死神でエロパロ 入室者1人目 - 暇つぶし2ch166:名無しさん@ピンキー
10/05/24 19:13:50 H54qhLz5
「姿が見えないのでおかしいと思ったら…!」

ハデスの姿探してたのかみのりん

167:名無しさん@ピンキー
10/05/24 19:29:41 kWs4S1HD
本当にアシタバと競技交換してたら、藤は花巻と卓球だったのか

それはそれでおいしいな

168:名無しさん@ピンキー
10/05/24 23:07:54 zU79DXlT
消しゴムあげたり熱子の時に心配したりと、藤は病魔にかかる前から花巻さんに対して妙に積極的だと思う
恋愛感情とまでは行かないけれど、無意識のうちに気になる異性なのかも、と妄想。

169:名無しさん@ピンキー
10/05/25 01:15:11 Ol5Jstgk
>>166
いい兆候だな

170:名無しさん@ピンキー
10/05/25 02:08:01 jOWeOF15
今週のラストでアシタバと花巻の組み合わせも
なかなかいいと思った

ただエロどころか手を繋ぐまでも道が果てしなく長そうだが

171:名無しさん@ピンキー
10/05/25 14:04:53 MwZbVFw3
一つ書いた
チャレンジは認めて欲しい

172:生徒Sの恋慕 1
10/05/25 14:05:59 MwZbVFw3
騒ぎが収まって数日。
ある日の放課後、シンヤは保健室の前を何度もうろうろしていた。
以前は気軽に扉を開けて中に入って行けたのに、今は何だか気まずい。いくら病魔に罹って
いたからといっても、ハデスに『私の裸を見て下さい』なんて言ってしまったのだ。
幸い、ただの冗談のように取られただけだったが、あれからずっと顔が見られないままだ。

その後も保健室の前でたっぷり五分悩んだ。
これでは何も変わらないのは分かっているし、自分の柄ではない。
ええい、なるようになれと意を決して勢いをつけて扉を開けた。
「…あれ、鏑木さん?」
「あ、あははは」
力余るあまりに扉は物凄い音を立ててしまって、さりげなくいつものように入るつもりがすっかり
タイミングが狂ってしまった。どうしようと内心極限までパニクっているシンヤに、ハデスは全く
変わらない様子で笑いかける。他の生徒たちには怖いといわれる笑顔だったが、恋する乙女の
シンヤにとっては神の微笑だ。
「あの、私、私…」
「今、お茶淹れるよ。このところ顔を見なかったから気になってたし」
「え?」
「そうだ、昨日買ってきたお菓子があるから…」
シンヤがこの数日悩んでいたことも、何一つなかったことのようにしているのがほんの少しだけ
癪に障った。この優しい、いつも生徒たちのことを気にかけていて病魔が現れれば人が変わった
ように毅然と対処してくれる人の心の中には、シンヤのことなど微塵もないのだと知らされている
ようで。

173:生徒Sの恋慕 2
10/05/25 14:07:06 MwZbVFw3
「先生!」
シンヤは思いきって、湯呑みを用意しようと棚に近付いたハデスの正面に回った。
「どうしたの?具合が悪いんなら診るけど」
「お話しておきたいことがあって…」
「うん、何かなあ?」
最初に病魔から助けてくれた時からずっと思い続けている人は、やはりシンヤの態度からは何も
感じ取ってはいないようだ。
「この間の、裸を見て欲しいって言ったことは…」
「ああ、あの時は大変だったよね。結局それほど大したことにならなくて良かったけど、ああいう
病魔は」
「本当なんです!」
つい言葉を遮るようにして叫んでしまったせいで、驚いたのか棚に伸ばしていた手が並んでいた
湯呑みに当たって床に落ちていく。
「あっ!」
「おっと」
割れる、と思った湯呑みはひょいと大きな手に掴まれて無事に済んだ。
「割れたら大変だからね」
ハデスは何ということもないように笑う。偶然のこととはいえ、また聞かなかったことにされたと
思った。
「先生!」
せっかく決心してここまで来たのにと急に腹立たしくなって、思いきり抱きついた。ほんの少し
だけエタノールの匂いがした。
「か、鏑木さん…?お茶が淹れられないんだけど」
「先生、私の話をスルーしないで下さい」
「え、ちょっと言ってる意味が…」
これだけは言おうと何度も練習したのに、肝心なところで思ったように言葉が出ないもどかしさで
涙が零れる。

174:生徒Sの恋慕 3
10/05/25 14:08:14 MwZbVFw3
「…バレンタインデーに、チョコを贈ったの私です」
しばらく言わずにいようと思っていたことを、遂に言ってしまった。また顔を見られなくなって抱き
ついたまま胸に顔を埋める。
「ええと、鏑木さん。ちょっと落ち着いてくれないかな」
こんな時でもハデスの口調は変わらずに優しいままだ。その優しさは今、決して受け入れては
くれない強固な壁となっているのが悔しい。
「あれは確か石炭だったよね。誰かから物を貰ったことなんてなかったから、まだ飾ってあるん
だけど…」
「私が作ったんです」
「あ、そうか。すごく立派に出来たから見せたくなったとか?だよね」
「あれはホントはチョコだったんです!」
また涙が溢れた。激情が胸の奥から突き上げてきて、抱きついたまま力の限りとばかり思い人
の身体を揺さぶる。
「鏑木さん?」
突然のことで驚いたのか、手にしていた湯呑みが落ちて割れる音が室内に響いた。
「あ…」
「やだ、ごめんなさい…すぐに片付けますから」
「欠片を触ったら怪我をするから、手は出さないで。ここは僕に任せなさい」
こんなことには慣れているのか、欠片を拾って片付ける手つきは妙に素早い。そんな様子を傍ら
で眺めているうちに次第に冷静さを取り戻していく。悩んだ挙句にこんなところまで来て、一人で
わがままを言って、大好きな人を困らせていることに今更ながら気がついて顔から火が出るほど
だった。

175:生徒Sの恋慕 4
10/05/25 14:09:07 MwZbVFw3
湯呑みの欠片を片付けた後、すっかり萎縮して椅子に座るシンヤの前にお菓子の箱と淹れた
ばかりのお茶を置いたハデスは、テーブルを挟んだ向かい側に座るとやっぱり泣きたくなるほど
優しく話しかけてきた。
「さあ、これ飲んで」
「…ごめんなさい…」
いつも保健室に入り浸っているバカ三人は、どうしてこんな時に限って入って来ないんだろう。
気まずい気分のままシンヤは湯呑みを手にとってお茶を一口飲んだ。
「僕が勝手に勘違いしていただけだったんだね」
チョコのことを言っているのだろう。
「そりゃ、食べられる代物じゃなくなったから、仕方ないです」
「それって、都合のいい解釈をしてもいいのかな」
「…えっ?」
「いや、バレンタインデーにチョコだっていうなら…」
これで何もかもおしまい、と思っていたのに展開が思ってもいなかった方向に進んでいる。シンヤ
は頭がついていかなくなっていた。けれどこれは喜ばしいことなのだろう。
「え、そ、そうです。私…そのつもりでチョコを作ったんです」
言いたいことは山ほどあった。病魔から救われたことで長年抱え込んでいたコンプレックスからも
少しは開放された感謝や、日々積み重なっていく思い。それらが頭の中でごちゃごちゃと交じり
合って何を言えば一番良いのか分からない。
そんな極限カオス状態の頭を抱えているシンヤの前で、長身の身体を折り曲げて俯いたハデスが
ぽつりと呟く。
「嬉しい、と言っていいのかな」

176:生徒Sの恋慕 5
10/05/25 14:10:03 MwZbVFw3
「…先生」
やっと思いが伝わった。それだけしか心に伝わって来なかった。けれど舞い上がりそうに嬉しい
気持ちを次の言葉が牽制する。
「今の僕は病魔を宿していて、生徒たちを助けられる僕の力はそのせいでもある…。そうしたいと
思ったから後悔は一切ないけど、こんな僕では人を愛することは叶わないんだよ。でも、あれが
チョコだって分かったのは本当に嬉しかった」
「そんなこと言わないで下さい!」
思わず立ち上がってしまった。
どのみち成就する可能性を考えない方がいい恋だった。それでも思いが届いたことだけで嬉しい
と思わなければ報われない。今はこの優しい人を少しでも傷つけないようにしたかった。
「私、助けて貰ったことは忘れてません。他のみんなもきっとそうです。そんなすごい力、誰でも
持てるものじゃないでしょう?先生を思うのは私のわがままです。ご迷惑ならもう言いません。
でも、これからも思い続けることぐらいはいいですよね?」
驚いたのか目を見開いていたハデスが、再びいつもの表情にゆっくりと戻っていく。そしてシンヤ
の方に手を伸ばしてきた。
「僕は僕がやりたいことをやってるだけだよ。だから君もその気持ちは持ち続けて欲しい。そう
したらいつか…」
指先がかすかに頬に触れた。
「いつか…?私は待っててもいいんですか」
「ごめんね、それは保障出来ない。ただ、病魔が根絶される時が来ればその時は」
それは決して約束ではないが、遥か遠い先のことでも希望がある。色恋沙汰に疎いハデスに
とっても、これが最大級の言葉なのだろう。
「先生、私も嬉しい…と言っていいですよね。もう治らない病気に罹っているけど、それはいつか
ちゃんと診て貰いますから」
「えええっ!??鏑木さん病気って?」
「大丈夫、本当の病気でも病魔じゃありません…でも先生じゃなきゃダメなんです」

177:生徒Sの恋慕 6
10/05/25 14:10:53 MwZbVFw3
保健室の中では静寂が続いていた。
他の生徒たちの元気に張り上げる声があちこちから聞こえてくる。
「病気では、ないんだね?」
「病気だけど病気じゃありません。お医者様でも治せない病ですから」
何故かバレンタインデーとチョコとこの病気の因果関係が頭の中で全然繋がらないらしく、本気で
思案しているハデスが何だか子供のように見えた。喉がカラカラになっていたのですっかり冷めた
お茶を飲んでしまうとシンヤは立ち上がってハデスに近付いた。
「『いつか』の時が来たら、分かると思います」
勿体をつけるように耳元で囁いてみた。どんなに焦っても先を急いでも、この人に普通の手段は
通じる筈がない。けれど望みが叶う時までは待っててもいいのだ。思えばハデスのこの鈍感さは
そう悪くない。きっと他の誰かが入り込む隙には決してならないだろうから。
今はそれでいいかと納得をするだけだった。
その時、廊下の方から賑やかな声が聞こえてきた。あの三人がやって来たのだろう。
立ち去り際に思いのありったけを込めて頬にキスをした。
「忘れませんからね」
驚いて固まったままのハデスを視界の隅に残して、シンヤはスカートを翻した。







178:名無しさん@ピンキー
10/05/25 14:11:55 MwZbVFw3
エロくならなかった敗因はハデスを出したことかも知れない

179:名無しさん@ピンキー
10/05/25 14:16:34 uN+6u6Xc
リアルタイムGJ!
シンヤがいい子すぎて
ハデスが性別・教師すぎて泣けた

180:名無しさん@ピンキー
10/05/25 20:01:32 bGnKpgMZ
うおおGJすぎる!
こういう感じは原作の雰囲気が出てて好きだよー

181:名無しさん@ピンキー
10/05/25 23:55:58 8fJsv+aR
エロくなくてもほけがみキャラがいれば良い!
ハデス先生もシンヤもらしかった、GJ!!

182:名無しさん@ピンキー
10/05/26 00:42:44 qT1T3qj5
>いつも保健室に入り浸っているバカ三人は、どうしてこんな時に限って入って来ないんだろう

この一文で噴いたw いかにも原作で言いそうだw
しかし切なくてGJ!

183:名無しさん@ピンキー
10/05/26 01:30:03 o4Vn8r1a
こんな素晴らしいのが来た直後に恥ずかしいモノを少しだけ




「どうかしましたか?」
三途川校長は養護教諭派出須逸人をじっと眺めた。昼休みに保健室に貯蔵され
た菓子を取りに来てから、かれこれ一時間ほど居座っている。
「しかし君は本当に残念だな」
「…開口一番がそれですか?」
「才崎君とはうまくいっているのか?」
「えっ?才崎先生…ですか?」
どうやら質問の意図を全く理解してないようだ。深くため息をつくともう一度
残念だなと呟いた。
「君が悪食に罹った際も快く助けてくれただろう」
「あ、まぁ…」
「春酔が蔓延したときも、懸命に鎮火に協力していたぞ」
「それは…確かに」
「こんなに協力してくれる異性(ヒト)を放っておくだなんて…教師間で孤立
無縁になってしまうのもそう先の事でもないかもしれないな」
「そ、それは…!!」
派出須は急に嫌な汗をかき始め、頭を抱え込んだ。一見狂気に満ちた科学者の
ようでもあるがどうということはない。職場の人間関係を深刻に考えすぎてい
るだけなのだから。
「ぼ、僕はどうすれば…!?」
「ふふふ、そうだな…」
相変わらずいじりがいのある教え子だ。三途川は小さな笑みを浮かべた。



最近、珍妙な事件が増えている。指導が行き渡っていないのか…才崎みのりは
教師の鏡のような悩みを抱えていた。
(この前だって…)
男女関係なく突然脱ぎはじめる生徒たち。自分も危うく裸体を晒す羽目になり
そうだった。不幸中の幸いか、派出須は何も見ていなかったようだが。
(不幸中の…幸い…?もし…見られていたら…派出須先生もやっぱり…男性と
して………って何考えて…)
「才崎先生」
「キャアッ!!」
あらぬ事を考えていた最中、その妄想の対象だった派出須が後ろから声をかけ
て来るから、ついつい正拳突きをだしてしまった。ただそれだけの事だ。

184:名無しさん@ピンキー
10/05/26 01:30:40 o4Vn8r1a
「……」
風を裂く音を響かせた拳は派出須の寸前で止まってくれた。
「ス、スイマセン!!わ、わ、私ったら!!」
「い…いえ。瞬発力のある良い筋肉だと思います…」
引こうとした拳に一枚の花びらが乗った。見れば派出須は右手に花を抱えてい
るではないか。実に似合わない。みのりはそう考えてしまった自分を叱責した。
「花…ですか…」
「えぇ、そう。それで声をかけたんです。才崎先生の机の花、枯れてきてたで
しょう。ですからこれを代えにと」
決して素敵な笑顔とは言えないが、思わず胸が高鳴る。交換する備品をくれた
だけだ。そう言い聞かせようとすればするほど、この花に他意があるのでは、
と勘繰りをしてしまう。
「どうぞ?」
「あ!ありがとうございます」
「あ、それとですね…」
「な、なんでしょうか?」
「最近才崎先生にはお世話になっていますから、お礼にと思いまして…」
白衣のポケットから取り出したのは映画のペアチケット。
(こ、これは…本当に…!!)
「三途川先生が教育者として勉強なるからと下さったのですが、今度の日曜日
あたりいかがですか?」
「は、はい!!是非…!」
いやぁ、良かった。と派出須は嬉しそうにしてから保健室に戻ると言って立ち
去った。恐らく向こうは、こちらが教育に熱心であることと思っているのだろ
う。勿論みのりは真剣に生徒の事を考えているが、今回の快諾の動機かと言う
と大いに怪しい。
(ち、違っ…!!私はさっきから何を…これは教師として成長するための…)
必死に心を隠そうとした。
一人、渡り廊下であたふたとしている様を、見られているとも知らずに。

185:名無しさん@ピンキー
10/05/26 01:33:11 o4Vn8r1a
花は渡した。映画にも誘った。言われた通り、大人しくスマートな服を着た。
(これで助かる…のか?)
派出須が真剣なのはもうひとつ理由があった。



「30才になると死ぬ!?」
「普通は死なん。永続的に病魔に罹っている君の場合は、だ」
「どうしてです!?」
「魔法使いになるからだ」
「そんな無茶苦茶な…」
「三十路までにある経験を持てない男は、その経験で失われるチェリドテリン
という成分が体内で変容してしまい、一種の超常的な能力を獲得するのだよ」
「聞いたことありませんよ、そんな話…
「当たり前だ。それこそ保健室勤めの君すら知らない、表に出ない内容だから
こそ異端とされ『魔法』と呼ばれるんだ」
「それで…なんで僕は?」
「それでその魔法の成分は病魔が大変嫌うのだそうだ。体内で拒絶反応が出て
しまったら…と言うことさ」
「……じゃあ、僕はどうしたら…!?」
「安心しろ。私の言う通りにすれば助かるさ」
………
……


およそ信じがたい話だ。しかし万が一真実だったなら、と思うと心配性な派出
須は従わざるをえない。曰く、『とにかく才崎君と仲良くなること』だそうだ。
「お、お、お、お待たせしました…!!」
(ここは、言われた通り…)
「いえ、僕も来たばっかりですし。その服、お似合いですね」
典型的な無難な挨拶。ただ派出須もみのりもそれぞれの思惑からそんなことを
気にかけることもない。
「あ、ありがとうございます…」
(『似合ってる』って…!!ちょっとだけ頑張って良かった…!!)
様々な思いと建前が交わりながら二人は映画館に向かった。


186:名無しさん@ピンキー
10/05/26 01:34:05 o4Vn8r1a
『メモ4、可能ならば手を繋ぐこと』
三途川の表現はもっと積極的であったが、派出須が可能な範囲でまとめるとこ
うなった。
「あっ!」
「ど、どうしました!?」
「いえ、階段が。濡れてますし、転びやすく…」
我ながら良い口実だ。さりげなく、自然に(メモ1)を心掛けながら、みのり
に手を差し延べる。
「危ないですから…」
「!!?…あ、ありがとうございます……」


 一体今日の派出須先生はどうしたのだろうか。そっくりな別人なのでは、と
すらみのりは疑った。
遠目で見つけたときの紳士然としたたたずまい。気配りが出来て優しい態度。
どれもがみのりの心を掻き乱す。
出来るなら、ずっと階段が続けば良い。繋いだ手を離したくない。そう言いた
い衝動に駆られたが、羞恥心か何かが喉まで来た言葉を押し返してしまった。
『言っちゃいなさいよ…!!抱いてほしいって!向こうもその気なんだから!!』
「だ、誰!?」
「才崎先生?」
『恥ずかしいからやめてよ。私は貴女の協力者よ…はしたなくて、卑猥で、背
徳的で、何よりも甘美な色欲(ラスト)…』
「才崎先生…!?大丈夫ですか?」
「え、えぇ…大丈夫です」
頭の奥から響く声。明らかに異常な事態なのに、声の主を心が受け入れようと
している。
(気のせいか?才崎先生から病魔の気配がした気が…)
『そう♪素直になって、昨夜のベットで何をしたの?あの指は誰を想って動い
たの?ねぇ?ねぇ?ねぇ?ねぇ?ねぇ……』
心が、理性が溶ける。息苦しいはずなのに、頭がぼんやりとして気持ちが良い。
もうこの時みのりは病魔に罹っていたが、心を蝕まれている罹人が理解する術
もない。
「本当に大丈夫ですか?なんだか熱もありそうですよ?」
「大丈夫です…それより……」
「それより?」
「まだ手を繋いでいて頂けないでしょうか…?」

187:名無しさん@ピンキー
10/05/26 01:35:06 o4Vn8r1a
『何だそれはぁぁ!!がっつきなさいよ!ヤリたいって!寝たいって!!!いくら2●歳
で0人だからってアンタねぇ!!』
先程の声が、頭の内側から罵倒して来たが、みのりは幸せだった。色欲の力を
借りてか、映画が終わったあとも派出須に身を寄せ、ささやかな恋人気分を満
喫していた。
「あのぉ…才崎先生…?」
「はい?」
「いえ…今日は楽しんで頂けましたか?」
「はい勿論♪……派出須先生とでしたから」
(やっぱり何か変だ。♪なんて付けて話すキャラではなかった筈……)
しかし、人より強いみのりの精神が中途半端に病魔を抑えているために、派出
須も感知出来ずにいた。
「派出須先生」
「はい?」
少しだけ甘えた声でみのりが尋ねる。いつもなら考えられないことだ。
「二人きりのときは、下の名前で呼んでも良いでしょうか?」
「え…えぇ、構いませんよ才ざ」
「私のことも『みのり』と…」
『あああ!!!じれったいの!!あんたのプロポーションなら一発なんだから!』
みのりの眼球を通して色欲が見つけたのは、曲がり角のラブホテル。
『な~んだ。あんたも上手いこと誘導するじゃない…愉しみましょう♪』
淫靡な協力者が、侵略者に豹変する一瞬を浮ついたみのりが捉えられるはずも
なく。
「良かった。これで少し親しくなれた気が!?かはっ!!?」
「才崎先生!?」
(な、何!?体が…熱い…!!やだ…何!?…痛い…こわ…い…た、助け…)
「逸人さん…」
「分かりますか!?頭痛は?」
胸を抑えてしゃがみ込んだみのりがぼそぼそと喋るのを、派出須は一言一句聞
き逃すまいと神経を集中させた。
「すいません…さっきから心配してくださって……少し、疲れてるみたいで…
ちょっとだけそこで休んでいきたいのですが…」
健気に、はかなく、弱々しく。先程の品のない罵声とは打って変わって、みの
りの体を支配した色欲は男心をくすぐる女性を見事に演じてみせた。
「それは大変だ!!すぐにいきましょう!!」
(ほ~らね♪こんなにすんなり喰いついたゃってこの身体が欲しくて仕方なか
ったのよ)

188:名無しさん@ピンキー
10/05/26 01:38:13 o4Vn8r1a
「代金は僕が払っておきますから、気にせず休んで下さい」
部屋についても派出須は一向に手を出す気配もなく、慌ただしく水やらタオル
やらを用意して回った。
(…こいつ、何なの?)
「才ざ、みのり先生、何か欲しいものとかはありますか?」
(やっとかよ…ま、その分しっかり愉しんじゃお♪)
みのりの身体を借りた色欲は、眼を潤ませて喋る。
「逸人さんが隣にいてくだされば…他には何も」
「僕…ですか?」
誘導されるがままに、ベットの側まで行くと、駄目押しの一手を繰り出した。
「逸人さん…身体が、熱い…」
ゆっくりと胸元のボタンを外し、その豊かな胸が露わになっていく。派出須は
いつもより眼を開いている。色欲は勝ったと悟った。
「手伝ってくださる…?」
「い、いけません!!」
「既成事実…作っちゃいましょう?私と逸人さんで…。二人だけの…秘み…」
「熱があるからといってむやみに身体を冷やすのはよくありません!」
「…はい?」
「今は苦しいかも痴れませんが、濡れタオルだけで冷やしましょう。…?みの
り先生?震えてますけど、もしかして吐き気が!?」
「こっの…くそ馬鹿がぁあ!!!」
叫び声は色欲のものか、みのりのものか。インターハイ経験者の投げ技を綺麗
に食らった派出須には考える余裕もなく…


「…でもさすが才崎先生ですよね。自身の精神力で打ち勝っちゃうんですから。
僕も形無しですよ、ははは……?三途川先生?」
「………もう死んでしまえ」

189:名無しさん@ピンキー
10/05/26 01:39:42 o4Vn8r1a
おしまい。
アシタバ君と花巻さんのペアが素晴らし過ぎて書いた筈が、こんな馬鹿らしいものに…
では。

190:名無しさん@ピンキー
10/05/26 01:52:35 xdFLQVT8
ハデみのキタ!GJ!!

191:名無しさん@ピンキー
10/05/26 02:08:11 vOADxNIe
>>189
みのりちゃんをずっと待ってた…GJ!

192:名無しさん@ピンキー
10/05/26 02:19:52 TdEGj0dz
GJ!
さすがはハデス先生、リアクションが期待を裏切らないぜ!
確かにこのままいったら魔法使いになるだろうな

193:名無しさん@ピンキー
10/05/26 18:16:18 HByg+jMS
>>189
色欲がアシタバではなくみのりちゃんに…?
素晴らしい

194:名無しさん@ピンキー
10/05/26 19:09:47 LaXURv5U
>>189
騎乗位は…騎乗位はないんですか!?

195:名無しさん@ピンキー
10/05/26 19:51:56 tAKoFTw5
>>194
病魔『深酒(ヘビードリンク)』に取り憑かれたみのりちゃん。
救おうとするも酒に弱いハデスは飲まされて早々にダウンし、
それをいいことにみのりちゃんが騎乗位逆レイプ・・・
とまでは考えたが、文章にまとまらぬわorz

196:名無しさん@ピンキー
10/05/26 22:45:46 G55eXuC9
ハデス先生もみのりちゃんもらしすぎて笑った!
メモ・・・メモって・・・酷すぎる・・・www
みのりちゃんドンマイだw

197:名無しさん@ピンキー
10/05/26 23:18:29 d3bOoarG
微エロでも中々良かった、gj

198:名無しさん@ピンキー
10/05/27 03:50:23 ggOPyNVa
>>195
出来る限り課題を取り入れようとしたのだが、どうしてこうなった
とりあえず、別物になったけど書いた。

199:カラマワルカラ 1
10/05/27 03:51:29 ggOPyNVa
とある日の夜、繁華街の居酒屋の一角にどう見ても不釣合いな二人の姿があった。
「だからぁ、私はいつもこう言ってるんです。なのに誰も…」
「ええ、そうですね。才崎先生」
「でしょおお?そう思いますよねえ」
一人はモデルと見まがうばかりの輝くような美貌の女性、しかも男なら思わず目を奪われてしまう
素晴らしい巨乳の持ち主だ。そんな美女がずらりと空になったビールのジョッキを並べてすっかり
酔っ払い、くだを巻いている。
もう一人は、男だ。若いのだろうがどうにも顔つきが不気味で、普段はこういう店に立ち入るとも
思えない。ソフトドリンクを口にしながら、もう出来上がってしまっている美女の言葉にいちいち
頷いて不気味に笑っている。黒ずくめの服装も不気味さに拍車をかけている。
正直、その一角はカオスと化していた。

「ねーちょっと!」
気分が良いのか、才崎先生と呼ばれた美女は側を通りかかった店員を呼ぶ。
「ちょっとこのジョッキ片付けてよー、それと新しいジョッキもう二杯ね!」
「そ、それはいけません。飲み過ぎですよ」
「いいじゃない、あんまりこういう店に入らないんだもの。ねえ派出須先生」
派出須先生と呼ばれた不気味な男は、それでも止めようとしていたが無駄だったようだ。その
後もどんどん追加されるビールジョッキの数は途方もないものだったと、その店の店員たちの
間では都市伝説化したほどだ。

200:カラマワルカラ 2
10/05/27 03:52:24 ggOPyNVa
「…うーん、気持ちいい」
久し振りに好きなだけ飲み、日頃腹の中に溜め込んでいたストレスを全部吐き出したお陰で
珍しくすっきりした気分になったのか、才崎美徳は店を出てからも浮かれていた。こんな美女が
踊るように歩いているだけで、擦れ違うカップルの男がことごとくしばし見蕩れては足を止めて
いる。
「それは良かったですね、やはりあのような場は必要なのでしょう」
隣では、結局ドリンク一杯だけしか飲まなかったにも関わらず快くワリカンを申し出た派出須逸人
が、傍目にはすごく分かりにくいが優しく微笑んでいる。
「そうかも、今夜は思ったよりたくさん話せて嬉しかったー」
「ええ、僕も才崎先生と腹を割って話す機会を持てて光栄です」
「それホント?」
「ええ、それはもちろん」
「本当なら、もっとお話がしたいの…」
「それは嬉しいですね」
「…でも、その前に…」
普段は常に張り上げている美徳の声が、夜に溶ける蜜のようにとろりと揺れている。随分飲んで
いたことで足がふらつくのか派出須に縋りつく。
「大丈夫ですか?」
「ええ、やっぱり少し飲み過ぎたかも…少し気分が…」
ふらふらと近くの路地に入り込んで座り込む美徳を心配して、派出須がしきりに声をかけた。
「ご気分が悪いのでしたら薬を買って来ましょうか、それとも冷たいものでも飲みますか?」
「…いいえ、どうぞお気になさらず…こうしていれば楽になりますから」
ゆっくりと立ち上がった美徳の目の奥が鈍く光った。
「こうして側にいて欲しいんです、いいでしょう?」

201:カラマワルカラ 3
10/05/27 03:53:30 ggOPyNVa
「さ、才崎先生!?」
何か手助け出来ることがあるかと近付いた派出須の胸にするりと寄り添い、背中に腕を回して
潤んだ目で見上げる美徳の声が震えていた。
「今晩は側に…ね。私のお願いを聞いて頂けるのでしょう?」
ウェッジソールのサンダルの爪先を立てて、キスをねだるように目を閉じる表情は完全に恋する
女だった。
「才崎先生…」
これほどの美女を前にして落ちない男などいない。なのに派出須は躊躇している。
「いけません、僕たちは教師で」
「私が構わないと言っているのに?」
「いえ、そういう訳では…」
「今夜だけは忘れて下さい、お願い」
男なら誰でも真っ先に目を奪われる巨乳をぐいぐいと押し付けてせがむ美徳にようやく観念した
のか、派出須の両手が頬を包んだ。
「才崎先生、いいんですね」
「ええ、この時を『ずっと待って』いましたから」
唇が触れ合う寸前、美徳の声が何者かの声とブレた。
「待っていたのはこっちの方だ、正体を現すんだな『深酒(ヘビードリンク)』!」
急に声を張り上げた派出須につられるように、美徳が頭を抱えるように悶絶して倒れ込んだ。
その身体から何かが幻影のように現れる。これが美徳に取り憑いて悩ましい言動をさせていた
病魔なのだろう。
『…くそっ、いつから勘づいていた?』
『深酒』は悔しげに顔を歪ませて派出須を睨みつける。
「最初からさ。とはいえ隙がなければお前に攻撃が出来ないし、下手をすれば才崎先生の精神
が病む危険もあったから言うなりになってただけのことだ…相手が悪かったな」
スウ、と派出須の手が禍々しいものに形を変えていく。
『フン、俺は人の本心を引き出すだけだ。お前も満更じゃなかっただろう』
「それが望まざることであるなら、それはただの害悪で罪だ!」
『やめ、やめろ!俺はこの女の望みをヲをを……!!』
『深酒』は罹人の力を前にして、凄まじい叫び声を上げて抵抗しながらもあえなく吸収されて
いった。

202:カラマワルカラ 4
10/05/27 03:54:25 ggOPyNVa
美徳はしばらく目を覚まさなかった。
隣に座った派出須は普段の癖が出て色々と考え込む。
どうしてこんな強い女性が、あんな病魔に罹ってしまったのかはどう考えても分からない。酒の
力を借りなければ言えないほどのことなど、特になさそうに見えるのだ。これほどに美しい女性
でも悩みがあるというなら、それは派出須の考えが及ぶものでもない。
「さあ、どうして帰ろうか…」
呟いた時、声が聞こえたのか美徳が目を開いた。
「…ん」
「あ、目が覚めたようですね」
「……えっ」
「はい?」
「派出須先生?私、どうしてこここ…」
動揺しきっている美徳は、どうやら泥酔してからのことを全く覚えていないようだった。
「え、あの、才崎先生…」
「いやあああーーーーー!!!」

その後、悲鳴を聞きつけた通行人が通報するやら警官が駆けつけるやらで派出須は帰るどころ
ではなくなってしまって、すっかり酔いが醒めて少し思い出した美徳によって誤解が解けたのは
明け方のこととなってしまった。
美徳はそれからほんの少しの間、反省の意味を込めて禁酒したという。






203:名無しさん@ピンキー
10/05/27 03:56:05 ggOPyNVa
今後の課題はエロだな。

204:名無しさん@ピンキー
10/05/27 07:12:29 C9bh4hW/
GJ!いいぞ、もっとやれ

205:名無しさん@ピンキー
10/05/27 11:33:36 yc+1/KL/
最近の賑わいはどうしたんだww
いいぞ、もっとやれ!

藤と花巻来い!

206:名無しさん@ピンキー
10/05/27 12:27:09 FsyCEEET
ハデスとみのりちゃんGJ!!

>>205
同じく藤と花巻待ちだ

207:名無しさん@ピンキー
10/05/27 17:45:48 ybmMneYC
アシタバと美玖ちゃんの間には何か芽生える気がする

208:名無しさん@ピンキー
10/05/27 18:16:09 AlzP84uA
>>198-203
ハデみのGJです

209:名無しさん@ピンキー
10/05/27 21:05:12 /XFGWtYB
ハデみのをありがとう。
楽しませて頂いたよー

しかしやっぱハデス先生はなかなかエロにいかないね。
そこが、らしくて良いんだけど。
ガンバレみのりちゃん!

210:名無しさん@ピンキー
10/05/28 03:55:01 wIxvvefQ
>>205-206
書いたよ。これでいいかな。

211:女の子ってなんでできてる? 1
10/05/28 03:59:59 wIxvvefQ
「わ、きれーい…」
放課後、文房具屋に行く為に商店街を歩いていた花巻美玖は、数日前にオープンしたばかりの
ブライダルショップの前で思わず足を止めた。
ウィンドウの中には、夢見る少女なら誰でも憧れるような美しいドレスがディスプレイされていて、
誰もがいずれ訪れる日に胸をときめかせるのだ。
「あ、でも」
脳裏をよぎる面影が、そんな日は来ないと告げる。
そんなことは嫌というほど分かっている。でも夢を見るぐらいはいいじゃない。もう書く欄のなく
なったノートを鞄に忍ばせた少女が、そういった半分諦めの色を表情に浮かべてしばらくドレス
を眺めていた。

保健室では、すっかり一角に居住区を作ってしまった藤が今日も煎餅を齧りながら漫画を読み
耽っていた。
「そーだ、先生。悪いけどアレ捨てといて」
「アレ?ああ袋の中のものだね」
お茶をもう一杯と催促されて早速新しいお茶を淹れていたハデスが、床に置かれたままの袋の
中に乱雑に折り重なっているものをちらりと見る。それは手紙のようだった。
「藤くん、これもしかして…?」
「あ?ああ…気にすることねーよ。どうせ読まないし」
そう、手紙とはラブレターだった。しかしどれも開封すらされていない。さすがにこれはとハデスが
躊躇していると、面倒臭そうに頭を掻いた。
「いや、しかし折角書いてくれた子たちの気持ちも…」
「最初は読んでた。でも大体文章同じだし、飽きた」
「そう…?じゃあ誰にも見つからないように捨てておくからね」
「サンキュー、自分で捨てるのも面倒でさ」

212:女の子ってなんでできてる? 2
10/05/28 04:01:09 wIxvvefQ
ハデスがとりあえず人目につかない物影に律儀に袋を隠していると、物凄い勢いでドアが開いて
美作が駆け込んで来た。何があったか知らないが、やたら怒っている。
「藤、オマエなあ!」
「何だようっせーな」
相変わらず気のない返事をするだけの藤に、掴みかかりそうになってハデスに止められながらも
美作は更に声を荒げる。
「オマエB組の佐伯を振っただろ。今佐伯が泣きながら帰ってったぞ。あんな可愛い子に何てこと
すんだよこのド鬼畜!」
「あ、ま、まあ落ち着いて…お茶でも飲まない?」
ハデスが仲裁にもならない仲裁を懸命にしている傍らで、藤は嫌そうに方眉を上げただけだった。
「振ってなんかいねーよ、手紙ぐらいはあったかもな。読んでないけど」
「返事も出してないのか。で、どうする気だよ」
「別にい。放っておけばそのうち諦めるだろ」
「…今更だけど、ホント最低な、オマエ」
あまりにも気のない藤の態度に、さすがの美作も毒気を抜かれたようだ。頭を抱えてソファーに
座り込むと、淹れたばかりのお茶が置かれる。B組の佐伯という少女は、藤のファンの中でも
かなり熱心にアピールしていたから美作も覚えていたのだろう。どうして泣いていたのかは定か
ではないが、彼女の恋が成就することがないのは確かだ。
「んじゃ、俺はそろそろ帰るわ」
「言っちゃ何だけど、今のうちにその性格は矯正しといた方がいいな。女の子っつーのは男と
違ってデリケートなんだからよ」
「んー、覚えてたらな」
藤は居住区に放り投げていた鞄を抱えると、大あくびをしながら保健室を出て行く。そのだらり
とした後ろ姿を眺めて、美作が呆れたように呟く。
「イケメンの持ち腐れだな、ありゃ…」

213:女の子ってなんでできてる? 3
10/05/28 04:02:13 wIxvvefQ
家に帰って文房具屋で買った新しいノートに真っ先に花巻が書き込んだのは、少しでも親しくなる
きっかけの計画だった。
「大丈夫、藤くんだって別に私のこと嫌いじゃないんだから…好きでもないだろうけど…」
子供の頃から極度のあがり症の為に、何かにつけて計画を立てていかないとテンパって大変な
ことになってしまう。ずっとそれで慌ててきて、長い間随分損な思いもしてきているからノートだけ
は手放すことが出来なくなっていた。
「初めは朝の挨拶で、次はお天気の話題…っと。これぐらいなら出来るよね」
机に向かってノートにペンを走らせている花巻の姿は、明日実現するだろう予定を夢想して幸せ
そうだった。放課後に見た純白のドレスのことは、もうすっかり忘れていた。

翌日。
何度もシミュレーションしたのに、朝の挨拶は言えなかった。
何か話題を出すどころか、話しかけることすらいつものように出来ないまま遂に放課後を迎えて
しまい、またいつものように落ち込む。
毎日、このいつものようにを繰り返すだけだ。何も変化はない。何かきっかけがあればまた違う
のかも知れないが、飛び越えることが出来ないでいる。
「私、ずっとこのままなのかなあ…」
もう何もする気がなくなって、誰もいなくなった教室の中で机に突っ伏してぼんやりしているだけ
だった。
どのぐらいそうしていたのか。
しばらくすると教室に誰かが入って来る足音が聞こえた。
「お、花巻。お前何してんの」
「え、藤…くん?」
昨日からずっと話すきっかけをシミュレーションして、ノートに台本を何度も書いて、それでも全然
何も出来なかったのに、今になって藤の方から現れたのだ。
テンパらない方がおかしい。

214:女の子ってなんでできてる? 4
10/05/28 04:03:21 wIxvvefQ
「あ、あの、あの、藤くん…どうして」
「重いんで教科書は置いてくつもりだったけど、家の奴が持ち帰れってうるせーからさ」
さっさと自分の机から教科書を取り出して鞄にしまう藤をただ見ているだけで、言葉の続きが
出て来ないのがもどかしい。
「あ、藤くん。私…」
どもりながら何度も言葉を搾り出していると、どうした訳か教室を出ようとしていた藤がくるりと
踵を返して花巻に近付いてきた。そして額が触れるほどの至近距離でじっと顔を見つめてくる。
「…あの…」
ここまで近くに来られたのは初めてのことで、それだけでも舞い上がりそうに嬉しい。ここでもっと
気の利いたことを言わなければ、と気ばかりが焦る。
しかし藤の方はいつものつまらなそうな顔で何度か首を傾げ、周囲を見回し、何事かを決心した
ように微かに笑った。
「お前でいいか。少なくとも知ってる奴だし」
「え?」
一体何を、と言えないでいるうちに唇に柔らかい感触を感じた。キスされているのだと知覚した
時はもう床に押し倒されていて、制服の上から胸を掴まれていた。まさかこんなことがある筈
ないと思っていたのに。
花巻の頭は状況に全くついていかなくなって、瞬時にしてショートしてしまう。
「え、ちょっと…」
「嫌か?」
「あの、私こんなこと初めてだから…」
「嫌、じゃないみたいだな」
鼻を擦り合わせるほど近くで囁かれる声は、ずっと聞きたかった優しいものだった。心がどうで
あってもこの場からは絶対に逃げたくなかった。

215:女の子ってなんでできてる? 5
10/05/28 04:04:10 wIxvvefQ
こんな、いつ誰が入って来てもおかしくない教室で突然こんなことになってしまったのはもちろん
予定外だったけれど、今は素直に受け止めようと花巻は目を閉じた。
「よし、そのままじっとしてろよ」
抵抗すらしないことをどう思ったのか、藤の態度は素っ気無いままだ。ゲームでもしているように
あっさりとショーツを脱がせ、あらわになった秘部に指を差し入れてくる。自分でも触ったことが
ない部分を乱暴に擦られて、痛みだけではない奇妙な感覚から声が上がった。
「あっ…」
「痛いのか?まあ慣らすだけだから我慢しな」
「…ン」
指の動きは乱暴だったが、決して内部を傷つけるものではないのは経験のない花巻でも何故か
分かった。それが本能というものなのだろう。今はただその本能に従っていればそれでいいと
思った。
そのうちに、指が擦る部分が熱を持って疼いてくるのが感じられるようになった。恥ずかしいほど
ぬめりを持った音もそこから聞こえる。
「藤くん…」
両手で顔を覆ったまま、もう花巻は何も出来ない。消えてしまいたいほど恥ずかしいのに、まだ
その先に何があるのかを知りたくなっているのだ。
「悪いな、花巻。お前がここにいたからなんだよ」
散々内部を掻き回した指が抜かれて、指先から何か透明なものが滴っているのが指の間から
見えた。
「もうちょっと、我慢してろよ。なるべくゆっくりするから」
藤の声音はわずかだが上擦っている。それなりには興奮しているのだろう。ジッパーを下げる
音が鈍く響く。
「ぁあっ…」
それをはっきりと見ることは出来なかった。
けれど、きっとこういうものだとイメージしていたものが、ずっと指で蕩かされた秘部に押し当て
られる。信じられないほど熱くて、何もかも飛んでしまいそうだった。

216:女の子ってなんでできてる? 6
10/05/28 04:05:11 wIxvvefQ
「よし、いくぞ」
両脚を抱え込んだ藤の声が届く。はいと頷く前に熱の塊がずるりと内部を強引に這いずった。
「うっ…い、た…」
「だろうな、でも声はあんま上げんなよ」
「あぁあ…」
指とそれは質量があまりにも違う。経験がないのもあって簡単にいく筈がない。それでも言った
通りに何度も退きながらゆっくりと、藤は汚れざる聖域を犯していった。
「へえ、血は出ないモンなんだな」
変なことに関心したような声を上げはしても、互いの粘膜が馴染むまでは細心を払っているのが
伝わってくる。だから激痛に心が軋んでも耐えられた。
ようやく根元まで収めて、ぬめる愛液の助けでそれなりに痛みを忘れるようになる頃、それぞれの
快感にけりをつける為に藤が動き出した。
「もうちょっとだから、声殺してろよ」
「…!あぅうう…」
それまでとは全然違う、内部を打ち壊そうとでもするような激しい突き上げに花巻の意識は遂に
ぶつりと切れた。後は何も覚えていない。

目が覚めた時には、窓の外がわずかに翳っていた。
「あ…」
突然、全てのことを思い出して飛び起きる。制服もショーツも何もかもが元通りで、藤は自分の
席に座って何食わぬ顔で漫画を読んでいた。
「あ、藤くん、私…」
気を失うまで何をしていたのか考えると恥ずかしくて、やっとのことで声を出した。藤はその声に
反応して近付く。

217:女の子ってなんでできてる? 7
10/05/28 04:06:18 wIxvvefQ
「やっと起きたか」
「う、うん…」
「じゃ、もう帰ってもいいよな。起きるまでは待ってやったんだからさ」
「うん、ありがとう…」
「中には出さなかったから、気にしなくていい」
気になることを言い残して、藤は来た時と同じように帰って行った。本当ならああいうことは相思
相愛じゃないと意味がないのは花巻にも分かっている。それでも、こんなことがなければ巡っても
こなかった機会でもあった。
だから幸せなのだろう。
色々と思考が乱れるのは事実だけど、今はそれだけ考えていればいい。それでいいと思える
ようになったことが花巻のわずかな進歩だった。
「ありがとう、藤くん」
何だか、明日からは新しい自分になれる気がした。

翌日の放課後、保健室は相も変わらず騒がしい。
美作がまた女がどうのと講釈を垂れている。
「女ってのはこう、守ってやりたいモンなんだよ。いいか」
「うっせーなぁ」
藤はやはり退屈そうに出されたお菓子を食べ尽くし、お茶を啜っている。ただ、時折何かを考える
ように窓の外に目を向けていた。
「あんな柔らかいんなら、そりゃすぐに傷もつくよなあ…」
ぼそりと呟いたそんな言葉は、美作にもハデスにも聞こえることはなかった。






218:名無しさん@ピンキー
10/05/28 11:31:24 4/UBdYyG
藤鬼畜だなww
GJ!ハデスも見習え。

219:名無しさん@ピンキー
10/05/28 11:42:35 TGybIdt2
まさにイケメンこじらせて死ねだなwww
いやしかちょっと見ないうちに作品が4つもあるなんて
胸(ry股間が熱くなるな

220:名無しさん@ピンキー
10/05/28 18:06:00 8jrUo3wP
>>210
乙乙。

221:藤花1
10/05/28 21:22:53 EZqywSE5
オナニー×オナニー。藤→←花?


「じゃーな、花巻」
 すれ違いざま、藤に肩を叩かれて、美玖はどきりと体を強張らせた。
 もつれる舌でなんとか「さ、さようなら……!」と返して、真っ赤になった顔を隠すように伏せて足を速める。
 その慌てた背中に藤は呆れた表情で「コケんなよ」と声をかけた。しかしその言葉はかえって美玖を驚かせ、美玖は自分の足につまずいてしまう。
「ふわっ!?」
 ノートを胸に抱えこんで、手すら前に出せずにつんのめる美玖を、藤は後ろから抱きとめた。
 長身に見合うしっかりとした二本の腕が美玖の胸元と腹を締めつける。
 服越しとはいえ人肌と密着する独特の触感に、美玖の体が震えあがった。
「ひあ……っ! お、おなか……ぁ」
 腕の中で身をよじった美玖の弱々しい声に、藤は慌てて彼女を放す。自分の頬も彼女ほどではないものの赤いことは自覚していた。
 そのことがまた恥ずかしくて、思った以上に厳しい言葉が口をつく。
「い、言うそばからコケてんじゃねーよ!」
「すみません……」
「……気をつけて帰れよ」
 しょげてしまった美玖を慰めるつもりで、できるかぎり優しい声音で藤は言った。
 改めて二人は別れのあいさつをし、あとはただ、何事もなかったかのようにそれぞれの帰途につく。
 表向きは。

222:藤花2
10/05/28 21:29:11 EZqywSE5
 美玖も藤も、あの一瞬の抱擁を、無かったことにはできなかった。
 家に着いても、夕食を終えても、入浴を済ませ、布団に入っても。常に意識の傍らにはあの瞬間が寄り添い、時折隙をついてすり寄ってくる。
 藤の、筋肉のついた、硬くて熱い大きな体と太い腕。すべてを隙間なく包みこみ締めつけられる息苦しさと安心感。
 美玖のか細い体は回した腕が余るほどで、しかし痩せぎすに骨ばっているわけではなく、むしろその肌のやわらかさに驚いた。
 布団の中で美玖は、藤は、身じろぎをした。時が経つほどに膨らんでいく胸の疼きが、熱とともに体中に巡っていくのを、感じていた。
 美玖は気付けば掛け布団を股に挟み込んで、内腿をこすりつけていた。布地が肌とすれあって、疼きは収まるどころか増していく。
 やがてこらえきれずに、美玖は細い指先をするりと下着の中に滑りこませた。
 藤は暗闇の中で起き上がり、硬くなった自身を取り出した。指で包みこむようにして、きゅ、と握り締める。ぞくりと背筋が震える。
「ふっ……」
 指の腹でくびれをなぞるようにこする。この指がもしも美玖だったら、と思う。
 ノートの細やかで整った丸文字。それを書き出す彼女の指は、自分の不器用な指と違って、器用に細やかに動けるのだろう。
 あの細くてやわらかいきれいな手指が、小刻みにこの欲を愛撫する―そう思い描いた途端、背筋を抜ける快感が強さを増して、藤は思わず声が漏れ出た。
 美玖は左手の指を口にくわえこんで声を抑えながら、慣れない手つきで自分を慰めた。
 愛液を指にからめてぬるぬるとぬめらせながら、小刻みに陰核を愛撫する。
 びくびくと痙攣する脚はつりそうなほどぴんと伸びていた。
 右手で耐えず敏感な箇所を刺激しながら、唾液にぬれた左手はそろそろと腹部に移動していった。
 おへそのあたりに触れると腰がふるえるほどくすぐったく、そのもどかしい疼きは性感にとてもよく似ていた。
「ふぁっ、んん……っ」
 腹痛のときのように撫でさする。この掌がもしも藤だったら、と思う。
 男の子らしく、大きくて少し武骨で熱い彼の掌。あの掌がこの腰を掴み、手首から一の腕がこの腹をぐいと締めつけた―あの一瞬を思い出した途端、腰にたまるくすぐったさが刺激を増して、美玖は思わず泣きそうな嬌声をあげた。

223:藤花3
10/05/28 21:30:11 EZqywSE5
 藤は、美玖の感触を思い出しながら、掌全体で自身をしごきあげていた。
 腕を回した細い胸元と腹。
 胸元はノートに阻まれていたが、腹のふくふくとしたやわらかさと、それを象徴するようなやさしい体温は今なおじんじんと藤の腕に残っていた。
 弾力のあるその感触は、藤の腕を押し返すようでもあり吸いついてくるようでもあった。
 そこに触れた途端、彼女は甘い声で鳴いた。腹が彼女の弱点なのだろうか。
 藤は想像の中で美玖を後ろから抱きしめ、ふっくらとあたたかい腹を掌でくすぐるように撫でさする。
 彼女はいつもの甲高い、泣きそうな嬌声をあげるだろう。顔はいつもの困り顔よりきつめに眉を寄せた、苦悶の表情だ。
 彼女の声は絶頂が近づくにつれて、いつも以上に切羽詰ってくる。すがりつくように何度も呼ぶのだ、藤の名を。
「ん、やっあ、あぅ、んっんっんぅ……っふ、じく……ふじくん、藤くん……っ!」
 美玖は激しく陰核を摩擦しながら、すがりつくように何度も彼の名を呼んだ。
 想像の中では、藤が美玖を後ろから抱きしめ、絶頂へと誘ってくれている。
 けれど現実には熱にうかされながらもベッドに自分ひとりしかいないむなしさを知っていて、自分の体温が移っただけの羽毛布団に彼の熱さと硬さを求めて抱きしめた。
 藤の、美玖の指が、互いを求めて自身を刺激し続ける。相手を思って昇りつめる。
「藤く、あぁっや……っ!」
「花、巻っ……」
 二人が絶頂を迎えたのは、図らずも全くの同時だった。
 くったりと脱力して、まどろみに似た倦怠感に沈む。
 体を突き動かしていた熱が引いていき、ゆるゆると理性が帰ってきた。
 それとともに、今まで自分が一体何をしていたかを自覚して赤面した。
 美玖はぼふんと枕に顔をつっこみ、藤は力いっぱい布団握り締めて悶絶する。
 二人とも、自分を慰めること自体は初めてではない。
 けれど、身近な誰かを思いながら耽ったことはなかった。
 暗い部屋でふたりともひとりきり、ぐるぐると焦っている。
 体のほてりが冷めても、頬の熱さは一向引かない。
 どうしよう。明日、どんな顔で会ったらいい?

終了
花巻の性感帯を一発で探り当てたアシタバは天才

224:名無しさん@ピンキー
10/05/28 22:50:07 fF16MRql
藤花が2つも!
どちらもGJ!

225:名無しさん@ピンキー
10/05/28 23:14:13 Ru5cUo9t
一日に二つだと…?GJ

226:名無しさん@ピンキー
10/05/28 23:43:44 6zh7CLii
>>210>>223
ナイスデース

227:名無しさん@ピンキー
10/05/29 00:49:54 +4EHFs0+
一体今週のこの勢いどうしたしww
GJ!!

228:名無しさん@ピンキー
10/05/29 01:28:05 5fYg1E6g
先週今週と、神的に面白かったので創作意欲が刺激された。とか。
自分はそのクチ。

229:凶器と戦う女 1
10/05/29 04:12:32 5fYg1E6g
鏡の前で、才崎美徳は悩んでいた。
数日前に買ったばかりの新しいブラのサイズが何となく合わない。もちろん何度も確認したし、
表示に間違いはない。
けれど実際に着けてみるとキツいのだ。
「…また大きくなった?」
考えられるのは、それしかない。
日頃の忙しさにかまけて、つい試着の時間を惜しんだのがまずかったらしい。とはいえデザイン
が気に入ったのも事実だし、これ以上のサイズとなると急にオバサン臭いものばかりになるから
嫌だった。
「仕方ないな、明日はこれで我慢しよう」
鏡の中の美徳はブラにギュウギュウに収められた豊満過ぎる胸がやたら窮屈そうで、苦しそうに
見えた。
「こんなモノ、いらないのに…」
そんな自分の姿がひどく不恰好に思えて溜息をつく。

思春期を迎えた頃から、何故か胸ばかり異常に発達した。牛乳も煮干もあまり好きじゃないのに
だんだん胸が重くなってきて中学生にして肩が凝るようになった。体育の時間は男子がいつも
いやらしい目で見ているから嫌だった。そのうちに制服の上からでもはっきり大きさが分かるよう
になってきて、ますます悩みが大きくなった。
夏は薄着になりたいのに、それが出来ない。うっかり選んだブラが小さかったりすると、すぐに
ホックが壊れる。道を歩いているだけで胸が揺れて、通りすがりの男たちがみんないやらしい目
で見ているように思えてしまう。
胸が大きいことなんて、全然嬉しくなかった。
それでも、重くて邪魔な胸があるなりに学生の頃は柔道で活躍出来た。さすがに何かの縁で
体育教師になった今、また中学時代のように男子生徒にそういう目で見られる羽目になったのは
予期すらしていなかったけれど。
「あー、明日も気が重いなー」
美徳の悩みは大人になっても増すばかりだ。

230:凶器と戦う女 2
10/05/29 04:13:21 5fYg1E6g
失敗だった。
キツいブラのせいで胸が苦しい。
普段の動作なら問題はないのだが、少しでも運動をすると無理に押し込めた胸がはちきれそう
になるのだ。
それでも何とか六時間目までの授業は無難にこなしたのだが、放課後ともなるともう無理が
きかなくなりそうで、いつになく焦ってしまう。
「…どうしよう」
こんなキツくて苦しいものは、早く外してしまいたい。もう少しの辛抱をすれば済むことだとは思う
のに、そのもう少しが出来そうになかった。運動部の顧問をどこもやっていなかったことに、この時
ばかりは感謝するしかない。
「才崎先生、どうされました?」
体育館の壁にもたれたまま動けないでいる美徳の前に、偶然ハデスが通りかかった。またいつも
のようにうろうろと怪我をした生徒を探していたのだろう。
「…派出須先生。いいえ別に何も」
締め付けられた胸が苦しくてどうかしてしまいそうなのに、それでも普段から作り上げている虚勢
が邪魔をしていた。
「でも、苦しそうですよ。具合が悪いのでしたら少し休まれては如何でしょう」
「え、だけどご迷惑では…」
「遠慮なさらず」
最近、ようやく見慣れてきた顔が笑う。この機会に以前助けて貰ったお礼も言っておこうと思い
直して、素直に保健室に連れられて行った。

231:凶器と戦う女 3
10/05/29 04:14:20 5fYg1E6g
「さ、どうぞ横になって下さい」
保健室に着くと、ハデスは真ん中のベッドに導いた。
「すみません、では…」
やっと楽になれる。そんな開放された気分でカーテンを引いて一人きりになってしまうと、急に
胸を締め付けているブラが邪魔に思えてきた。横になっている間だけ、こんなものはもう外して
しまおう。そんな気持ちになってジャージを脱ぎ、ブラを外そう…とした時に一日中負担をかけて
いたブラのホックが壊れて弾け飛んだ。
「きゃあああっ!」
思ってもいなかった事態にすっかりパニックを起こしてしまい、外と遮断していたカーテンを渾身の
力で開けてしまう。
「何かありましたか?」
テーブルの上を片付けていたハデスが、固まっていた。美徳は自分がどんな姿でいるのか思い
出して、真っ赤になってカーテンの陰に隠れるしかなかった。
「ご無理は禁物ですよ。後でお茶を淹れますから」
一旦固まったものの、ハデスはすぐに復活していつもの穏やかな口調だ。内心どうかはともかく、
いやらしい目で見もしなければ特に関心を持たれていない様子なのも何となく腹立たしい。
女心はかくも複雑だった。





232:名無しさん@ピンキー
10/05/29 06:17:43 6HXarSES
ハデみのGJ!
みのりちゃんかわいいよみのりちゃん

マジ最近賑わい過ぎだろこのスレ

233:名無しさん@ピンキー
10/05/29 09:09:25 nN2vkYzC
ハデス先生は変人と言う名の紳士だよ!!

234:名無しさん@ピンキー
10/05/29 12:17:29 5Efmn85F
ハデスでエロは難しそうだなw
アシタバもラッキースケベ以外は難しそうか?
本好は病魔の力を借りない限りは板違いの方向にしかいけないし
エロだとやっぱり安田と藤か
美っちゃんや1年コンビもありか
でもやっぱり安田に期待

235:名無しさん@ピンキー
10/05/29 14:58:23 zfNMsIMh
安田が病魔の力でハーレムをry

236:名無しさん@ピンキー
10/05/29 15:17:12 h+v/Udbz
>>235
という夢を見たってオチなら

237:名無しさん@ピンキー
10/05/29 19:01:50 Fgdv7bkC
精気をくれる代わりに見たい淫夢を自由に見せてくれるサキュバス型病魔とか……どう考えても安田さんは精気をあげすぎて枯死しそう。

238:名無しさん@ピンキー
10/05/29 21:54:14 Mv8lK0o9
先週号の話で、既に安田は3回目の罹患だからな。しかも全部エロ絡み病魔w
藤みたいに、安田の内なるエロワールドを旅するシリーズが出てきてもおかしくはない。

239:名無しさん@ピンキー
10/05/29 22:17:04 8HDRaLMy
はでみのGJ
スレが賑わってきて嬉しい
安田でハーレムとか面白そうだなw
あと色欲の麓助がくると信じてる!

240:名無しさん@ピンキー
10/05/30 09:12:40 JDCj3rb+
シンヤも花巻もみのり先生も校長も鈍も妹尾姉妹も
全員安田の奴隷に…

241:名無しさん@ピンキー
10/05/30 10:38:19 J+NAe1AX
なる寸前で目が覚めて、安田をボコボコにする訳だ

242:名無しさん@ピンキー
10/05/31 04:11:20 z75cFxTg
藤×花巻 続き

243:悪戯 1
10/05/31 04:13:13 z75cFxTg
吹く風は夏の匂いがする。
まだ梅雨の時期でもないから本格的な夏はまだまだ先だけど、来たる季節の予感は毎年何故
か胸をワクワクさせた。
花巻は駅前にある銅像の前で、蓮向かいのショッピングセンターの屋上をぼんやりと眺めては
頬を紅潮させていた。子供たちが賑やかに騒ぐ声が微かに聞こえてくる。あの賑やかさはどこか
懐かしい思い出を記憶の奥から連れ出してきた。
幼い頃は毎週両親に連れられてここに来たっけ、と感傷に似た気分に浸っているうちに、つい
ここで待ち合わせをしていることを忘れていたらしい。
突然後ろから肩を叩かれて、身が竦む。
「…うひゃっ!」
「なに呆けてるんだよ、腹でも減ったか?」
特に気を悪くもしていないように呟いたのは藤。今日の昼休みが終わる頃に廊下で擦れ違い様、
『放課後にちょっと付き合わね?』と言われたのだ。急なことだったので、嬉しかったのは事実だ
けど、どんな反応をしたかまではよく覚えていない。
きっと、さぞかしテンパっていたに違いない。

「ど、どこ行くの?藤くん」
「漫喫」
「…え?」
時刻は夕方に近い。少し混み始めた駅前の商店街の中、後ろを振り返りもしない藤を見失わ
ないように花巻は必死で後を追う。藤との繋がりは細い糸のようにほんの些細なものでしか
なく、追いかけ続けなければ簡単に切れてしまうと思った。
「着いたぞ」
すぐに藤は足を止めて振り返る。早くも息が切れ始めていた花巻を無表情で眺めながらも待って
いる。

244:悪戯 2
10/05/31 04:13:51 z75cFxTg
「あ、ご、ごめんね…」
「お前大丈夫か?駅前からそんなに距離ねーぞ」
「…うん、私体力ないから…」
「ま、いいや。入るぞ」
漫画喫茶の入口の階段の前で、花巻は手を握られた。びっくりしているうちにどんどん階段を
昇っていく藤に引っ張られるように、今まで立ち入ったこともなかった店の奥に足を踏み入れる。
はぐれたりしないで本当に良かった、と心から思った。

「お席はどこになさいますか?」
フロントで藤から会員カードを受け取った店員が、事務的に尋ねてくる。
「二人用の席で」
「それではxx番のお席でよろしいですね。場所はこちらです」
やはり事務的に、店内の見取り図に座席番号が振られたリーフレットを差した。花巻は自分が
一体どこにいるのかあまり理解出来ないまま、きょろきょろと周囲を見回している。すぐ側には
漫画の単行本がぎっしりと詰まった棚が幾つもあり、反対側の壁に沿うように小さく仕切られた
部屋のようなものがある。
こんなところでみんな何をしているのだろう、と分かりきったことを考えた。
「行こうぜ」
また手を握られて促されるまま歩き、店の一番奥の席に入って更に驚くことになった。
「…ここ?」
席にはデスクにパソコンが一つ。椅子が二つ。そして身長ほどの高さの仕切りのドアを閉じて
しまえば個室になってしまう作りになっている。一応は外から遮断された空間にこれから二人
きりでいるのかと思うと、嫌でも意識してしまうのは当然だ。教室でのことがあったのはほんの
数日前でもある。
「この店は全室個室になってるから、仕方ないだろ」
「それはい、いいんだけど…」
「…そっか、女は気にするよな」
口にした言葉こそ殊勝だが、鞄も置かないままドアの側で立ち尽くしている花巻に焦れたように、
さっさとドアを閉じた藤の手が花巻の肩を掴んだ。

245:悪戯 3
10/05/31 04:15:07 z75cFxTg
挑むように見つめてくる表情は、怒っているように思えて恐怖が湧き上がってくる。藤をこんなに
不機嫌にさせるほどの何をしたのか、全く分からないまま花巻は心までが竦み上がった。
「何怖がってんだよ、花巻」
「怖いなんて…そんな」
目を逸らせない。怖いのに、こんな時にも関わらず涙は一滴も出ずにいる。
「私はただ、藤くんが行くところはどこでもついて行きたかった。それだけだから…」
そして、言いたかったことがどもりもせずにするりと口から出る。それを聞いて、藤は急に勢いを
なくしたように視線を落とした。
「…じゃ、この前のことは怒ってないんだな」
「そんな、全然怒ってなんか…」
「そっか」
気が抜けたような声を出して顔を上げた藤に何か言おうとしたが、何も出て来ない。あわあわ
しているうちに唇を塞がれた。
目を閉じた方がいいのかどうか目眩を覚えながら考えているうちに、短いキスは終わった。
「…ヤリ捨てるような奴だと思われてたら嫌だからさ」
「考えたこともなかったよ、私…」
「そっか、なんかカッコ悪いよな、俺」
「そんな、こと…」
花巻にとって、この間のことは一度きりの奇跡だと思っていた。仲良くなれたらと思ってはいた
けど、まさかそこまでは考えていなかったし、あれがその後に続くものという思考には至って
いなかった。だから、目の前で一人で怒っていたり、うろたえたりしている藤なんて見たことが
ないだけに不思議な心持ちになっていた。
まさかとは思うが、あの時も終始平気そうな態度だったのに、少しは動揺していたりしたのだろう
か、と。

246:悪戯 4
10/05/31 04:15:45 z75cFxTg
ドアのすぐ外側を、誰かが通り過ぎる。
「やっ、ここで…?」
花巻は精一杯声を殺して、仕切りにもたれていた。
「声出すと聞かれるぞ。あと、たまに店員が覗きに来る。変なことしに来る客ってのも中にはいる
しな」
耳元で藤が囁く。その手はショーツの中に潜り込んでいた。
「こんなトコ、じゃ…」
声が漏れてしまわないように、花巻は両手で口を押さえて耐えている。全意識を手に集中して
いなければ、今にも快感に負けてしまいそうだった。
「最後まではしない、この前ン時、お前はイってなかっただろ」
「だ、からって…」
「イっちまえよ」
性感帯を探り当てた指が、執拗にそこを攻めてくる。既に硬くしこっているそこを指先で擦られ、
爪でつつかれるだけで気持ちが良くて腰がもじもじと動いた。だからこそこんなところで立った
ままされているのが苦しくて仕方がない。膝がもう崩れてしまいそうだった。
「そんな、の、嫌…っ」
「嫌だったら、そんなに濡らすなよ」
「…んっ」
指先が内部を強く抉った。どこをどうすれば喘がせ乱せるのかを見知った悩ましい動きが更に
花巻を悩ませた。
こんなところでは嫌なのに、それでかえって追い上げられてしまう。もうどこにも欲望の逃げ場は
なかった。追撃するように、指が奥深くまでを激しく擦り、引っ掻く。身体の中を渦巻く血流が音を
たてて一点を駆け上がる。
「あ、ぁ…やぁ…」
両手で押さえている筈の口から細い声が漏れる。もうダメ、そう思った途端に頭の中が真っ白に
なるほどの衝撃が襲いかかった。まるで凄まじい波に飲まれるようだ、と思った。

247:悪戯 5
10/05/31 04:16:59 z75cFxTg
「…何がいい?」
「…え?」
床に崩れ落ちた花巻を近くの椅子に座らせて、藤は尋ねる。
「飲むモンだよ。ここはフリードリンクだから何でもあるぜ。喉渇いただろ?」
「あ…じゃあアイスコーヒー」
「よし」
早足でドリンクコーナーに向かう藤の足音が遠ざかっていく。のろのろと身支度をしながらも、少し
ずつ頭の中がはっきりしていくに従って、ここで何をしていたのか思い出して顔から火が出るほど
恥ずかしくなった。
同時に、少しはこの恋は報われるのかも知れない、とも思った。






248:名無しさん@ピンキー
10/05/31 19:51:14 skva+08g
乙×10

249:名無しさん@ピンキー
10/05/31 20:22:59 eoFM8O5r
藤花GJ!
職人さんがんばってくれて嬉しい!

250:名無しさん@ピンキー
10/05/31 20:50:12 3nzOvfI3
まさかの続きGJ!!!

藤が鬼畜で終わらなくて尚更嬉しい

251:名無しさん@ピンキー
10/05/31 22:39:29 IclnrTrA
藤、イケメンじゃなきゃただのレイプなのに…くそっ、イケメンこじらせて死ね!

藤花GJ!!!

252:名無しさん@ピンキー
10/05/31 23:42:39 UHeeokaB
>>242-247
わしの乙は108まであるぞ

253:名無しさん@ピンキー
10/05/31 23:54:02 6UKGOfWa
最近職人GJすぎる
今週の読んだが最近神回(女子が可愛い回)が続くなぁ
しかし今回こそアシタバ主役回かと思ったがそんなことなかったんだぜ!

254:名無しさん@ピンキー
10/06/01 02:38:58 3SJEGLLA
久しぶりに来たら作品増えてて嬉しい、全て職人さん乙です

それにしても、もし藤が中で出して花巻さんがにんっしんっしたら14才の母か…
ちょっとゾクゾクするね

255:名無しさん@ピンキー
10/06/01 09:07:40 NkFUVnn0
毎回思うが病魔のエロパロに対する適応性と応用性が異常。

256:名無しさん@ピンキー
10/06/02 17:23:08 MmnlFfWS
職人GJすぎる
最近面白いからかな
読んでる人が増えたって意味でも嬉しい

257:名無しさん@ピンキー
10/06/02 18:44:16 pdSYR+QK
マジで最近は面白い話が続いてる。
軌道に乗ってしまえば、作品的にも勢いがつくんだけどな。
てなことで祈願を兼ねて投下。

258:魔女が囁く 1
10/06/02 18:50:45 pdSYR+QK
昼休みの校長室、昼食後に暇を持て余してしまった三途川千歳は何か面白そうなものかないか、
そんな勢いで窓から身を乗り出さんばかりに校庭を眺めていた。目を皿のようにするまでもなく、
退屈しのぎのネタはすぐに見つかった。
「…ほう、これは使えるな」
三途川が見つけたのは、今にも頭から火を噴きそうに怒り狂いながら校庭を物凄い勢いで直進
していく才崎美徳だった。
「また逸人くんと喧嘩でもしたか…やれやれ」
とは言いつつも、黒手袋の指を頬に当てる表情は明らかに何かを企んでいる。

「全く、あの人は何度言っても…」
校舎に入ってからも美徳は怒りが収まらないままだ。
別にいつも怒りたい訳じゃないが、ハデスに対してはいつもこんな風になってしまう。ついさっきも
掲示板に無許可のポスターを貼っていたところに遭遇したばかりだ。とはいえ、それぐらいでいち
いち目くじらを立ててしまうのも大人気ないのは分かっている。
なのにどうしても理解できないことをしていると、つい声が荒くなってしまうのだ。
こんなやたらとうるさい女は誰だって嫌だろう。そう思ったら急に気分が落ち込んでしまう。外見
からは決して分からないが。
「才崎先生」
肩を何か硬いもので叩かれた気がして振り向くと、杖を持った三途川がいた。
「…校長先生。何か?」
「相変わらず威勢のいいことだな」
ピンクのウイッグの下の童女のような顔がにやりと笑う。突然のことで、何を言われたのかすぐ
には分からなかった。
「な、何のことだか」
「逸人くんを許してくれたまえよ、あれで悪気はないのだ」

259:魔女が囁く 2
10/06/02 18:51:37 pdSYR+QK
「御覧になっていらしたのですか」
「うむ。しかし職員同士の交流がスムーズにいかねば何かと支障が出る。早急に仲直りをして
貰いたいのだ」
「はあ…」
やはり外見からは分からないが、美徳は更に落ち込んでいた。衝動的で短気なのは早く直して
おかないと、教職に就いている以上は確かに色々とまずい。そんな心の隙を突くように、三途川
は魔性の囁きを告げた。
「良いことを教えてやろう。逸人くんは深酒をすると記憶が飛ぶことがあるぞ」
「…は?」
「君も大人なら多くを言わずとも察せられるだろう。健闘したまえ」
それだけ言い残すと、三途川は何やら意味ありげな微笑を浮かべて立ち去ってしまった。
「な、何だろう今のは…」
ハデスといい三途川といい、この学校には何故か美徳の理解を超える者がいる。暗喩のような
言葉が頭の中で融けていくに従って、とんでもないことを言われていたのだと理解した。途端に
思考がパニックを起こしかける。
「それって、つまり…ああもう!」
どのみち悩んでいるだけでは今の状態から一歩も抜け出せない。ここは目上の意見を聞くべき
だという結論を持ち前の律儀さから導き出して、まだどこかで迷っている心に言い訳をした。

清水の舞台から何度も飛び降りるイメージで心を決めながら保健室のドアを開けると、昼休み中
にはいつもここでだべっている生徒三人が珍しいものでも見るような目で迎えた。中でも美作は
真っ先に声をかけてくる。
「よー、みのりちゃん。何か用か?」
「ハデス先生がいると思ったんだけど。さっき勝手に保健室のポスターを貼ってたので」
「だったらまたすぐに分からないところに貼りに行ったんじゃね?変なトコに労力使ってるしさ」
「あ、僕ポスター書くの手伝ったけど、悪かったかな…」
並んで弁当を開いていた藤とアシタバもどこに行ったか本当に知らないようだ。せっかく決意
して来たというのに早速挫かれるのも癪で、美徳は気が逸ってしまった。
「…もう、許可も得ずに勝手なことをして貰っては困ります!探さなきゃ」
保健室を出たところで、ハデスが別棟の視聴覚室の入口にいるのが窓から見えた。五時間目
の授業の予鈴まであと五分。
それまでに言っておかなければいけないことを懸命に頭の中で反芻しながら、追いかける足が
次第に早くなっていく。

260:魔女が囁く 3
10/06/02 18:52:34 pdSYR+QK
「ハデス先生!」
「…あ」
「あ、じゃありません、何ですか。こんなところで」
別棟三階の視聴覚室のドア前にポスターを貼ろうとしていたハデスは、美徳に見つかって驚いて
いるようだ。まさかここまで追って来るとは思ってもいなかったらしい。
「見つかりましたか」
「見えました」
「じゃ、これは諦めます。残念ですが」
がっくりと長身を屈めて、見るからに落胆した様子で引き下がろうとするハデスに、美徳はここ
に来た理由を思い出して近付いていく。
「…私も、このようなことは言いたくないのです。うるさいと思われても仕方がありません。そう
いう自分があまり好きではないのですけど」
「うるさいなんて、そんな。才崎先生はいつも常識的な方ですよ」
「それでしたら…ご相談に乗って、頂けますか?よろしければ今夜にでも」
「あ、はい。僕はいつでも構いませんが」
ハデスは何も知らずにすぐ了承をした。何か言われたら返すつもりだった幾つもの言い訳を頭の
隅に押し込めて、美徳はまっすぐに見つめる。
「嬉しいです、断られるとばかり思っていましたから」
「才崎先生の頼みを断る男なんて、いませんよ」
「そうなんですか?」
これはあくまでも三途川の助言に従っただけ、何の他意もないのだと自分に言い聞かせる美徳
の気も知らず、ハデスは無邪気に問いかけてくる。
「あ、ついでにこのポスターは貼ってもいいですか?」
「それはいけません」

261:魔女が囁く 4
10/06/02 18:53:15 pdSYR+QK
三途川に言われるまで、ハデスは全く飲めないのだと思い込んでいた。多分調子に乗って飲み
進むタイプではないのだろう。
「…という訳なんです。私、どうしていいのか分からなくて…」
相談事の内容が内容ですから出来るだけ静かな場所でと言ったお陰で、二人が今現在いるのは
随分落ち着いた雰囲気のバーだ。美徳はグラスを傾けながらも待ち合わせの時間まで何とか作り
上げた嘘の相談事の辻褄を、一生懸命合わせながら言葉を続けていく。
その間ハデスにもしきりに酒を勧めた。カウンター席ということもあって、随分二人の距離の近い
ことがどんどん美徳を大胆にさせていく。
「こんなこと、とても素面じゃ言えませんもの。分かって頂けますね」
「ええ、もちろん。才崎先生にそんなお悩みがあったなんて存じ上げませんでした」
ここに来てから美徳と同じだけ、いやそれ以上に飲んでいる筈なのに、ハデスの様子は普段と
少しも変わらない。いや、変わった部分があるとすれば、年齢なりの大人の男性らしさがこの夜
の雰囲気に合っていることぐらいだ。そう思えてしまうのは、ほんの少し酔っているからなのかも
知れない。
「分かって頂けて嬉しいですわ」
嘘を見抜かれないようにと気を昂らせているせいか、それとも出来るだけ共感させようとわざと
話を大袈裟にしているせいか、美徳は涙を滲ませている。それが余計に悲しむ女に見せている
のだろう。
「よくお話をして下さいましたね」
危惧する必要はなかったのか、ハデスはやたらと真剣に聞き入り、美徳の作り話をそのまま受け
入れている。罪悪感さえ覚えるほどに。
「それはハデス先生だからですわ」
もう一押し、とばかりにグラスを握っていた手を取る。一瞬驚いたような顔がすぐに柔和に戻ると
強めの力で握り返されてきた。
「冷たい手ですね…」
「そんな…女だったら多分誰でも」
「いいえ。才崎先生の手はびっくりするほど冷たいですよ。今までお辛かったことでしょう」
身を寄せて見つめてくる表情はひどく真摯だった。

262:魔女が囁く 5
10/06/02 18:53:57 pdSYR+QK
「僕はいつでも味方ですから、ご安心下さい」
「ええ、ありがとうございます…」
あまりにも事が上手く進み過ぎていることに疑問を持つこともなく、美徳は涙を拭った。思えば
この場の雰囲気に呑まれていただけなのだろうが、企みと酒の力が思わぬ相乗効果をもたら
している。
「才崎先生、僕は…」
「ハデス先生」
その時。
何か言おうと至近距離で顔を寄せていたハデスが突然がくりと頭を垂れたかと思うと、美徳に
倒れ込んできた。
「きゃ…!」
幸い、咄嗟に抱き留めたのでバランスを崩すことはなかったが、ハデスは眠り込んでしまっている。
いつも深酒をしがちな美徳以上に飲んでいたのだから、今夜はよほどのことだったのだろう。
「こんなところで眠っては困りますわ」
突然のことに、他の客たちがちらちらとこちらを見ている。その視線に辟易しながらも何とか体勢
を立て直そうと足掻く。けれど無駄だった。長身のハデスは美徳の胸元に頭を預けている。今夜
着ているワンピースは思い切って胸元の開いたものにしていた。
傍目からは随分関係の進んだカップルに見られていることだろう。そこまで考えて、美徳ははっと
自分のしようとしていることがどんなものか、改めて気付かされた。
「まさか今夜…いいえまさか。そんなすぐには」
最初こそは三途川にそそのかされたと幾らでも言い訳が出来た程度のものだ。しかし全くの作り
話を相談事と言ってこんな妖しい場所に誘い出したのは、間違いなく美徳の意思だ。そこまでして
欲しいものがあるとすれば、それはもちろんたった一つだ。
「ハデス先生、こんなところじゃ何ですから、場所を変えませんか?」
とにかく何にしても、この体勢ではいられない。必死で身体を揺さぶり続けるうちにようやくハデス
は目を覚ましたようだ。

263:魔女が囁く 6
10/06/02 18:54:51 pdSYR+QK
「お目覚めになりました?」
がばっと身を起こしたハデスは、幼児のようにきょろきょろ周囲を見回した。
「あの、ここは…。僕はどうしてここにいるんですか?」
「はあ?」
あまりのことに美徳は呆然とするしかなかった。そういえば三途川は深酒をすると記憶が飛ぶ
ことがあると言っていたが、まさか今ここで全部が飛んでしまうとは思ってもいなかった。
「あー…何か失礼なことを言ったりしてたら謝ります」
「あ、あ、あなたという人はあーーー!!!」
今日一日、一人で色々と気を揉み、策略を巡らせていた美徳のどこにも行き場のない怒りは
凄まじいもので、遂にメルトダウンを起こした。

数日後の昼休み、保健室でアシタバは妙にびくびくしながら弁当を開いていた。食欲もあまり
ないようだ。
「才崎先生、最近どうしたのかなあ。なんか怖いよ」
「イライラする女ってのは、大抵アレだろ。じゃなきゃ更年期が来たとかさ」
弁当を食べ終わり、ちゃっかり用意されているお菓子にも手を伸ばしていた藤が興味なさげに
吐き捨てるついでに、隅でどんよりと落ち込んでいるハデスに問う。
「あんた知ってる?理由」
「多分僕が才崎先生を怒らせたと思うんだけど、何がどうなってそうなったのかさっぱり分からな
くて…」
「自覚がないってのは最悪だな。いくらみのりちゃんでも、意味なく怒っているとは思わないけど」
美作の一言が更に追い討ちをかけたのか、ハデスは更に身を屈めた。
顔の怖いデカい男がめそめそしているのは非常に鬱陶しい。短い昼休みでもあるし、関わらない
方が良いと判断したのだろう。生徒たちは空気を読んで黙り込んでしまった。

264:魔女が囁く 7
10/06/02 18:55:28 pdSYR+QK
美徳の悪いのは、意識してしまうとかえって墓穴を掘ってしまうところだ。事実、最初に助けて
貰ったお礼を何だかんだでハデスにはまだ言ってもいない。謝ろうとしてうっかり背負い投げを
したり、些細なことで腹を立てたりとろくな結果になっていないのがいい証拠だ。
この前のことも元は美徳が下手な策略をしたからで、忘れてしまったからといってハデスには
何の罪もない。それは分かっている。
「だからといって!」
生徒は立ち入り禁止の屋上で一人で弁当を食べながら、美徳は長い間つらつらと考え、悩み、
落ち込み、立ち直りを何度も繰り返していた。
あの夜、一度は貞操の危機を覚悟しただけに、すぐに元には戻れない気持ちが怒りのフィルター
をかけ続けているのだ。けれどさすがにこのままでは生徒たちの教育にも良い筈がない。教師
がこんな八つ当たりをするものではないのだ。
「…やっぱり私が謝らないと」
今回のことは、似合わないことをしたから罰が当たった。次があるとしたら正攻法で当たってみる
しかないと何度目かの立ち直りでようやく心が決まった。
「よし、放課後にでも」
立ち上がった美徳の表情は見違えるほどすっきりとしていた。

「…やれやれ」
校長室から双眼鏡で屋上を見ていた三途川は、興をそがれたような顔で窓から離れた。魔女
の一言程度では人の心は操れない。それがいたく不満のようだ。






265:名無しさん@ピンキー
10/06/02 18:57:14 pdSYR+QK
さっき貰い物のチーズケーキ食ってたら、使っている牛乳の名前が「乳しぼり」
だった。ホントにこんな名前あるんだな。

266:名無しさん@ピンキー
10/06/02 19:06:45 FkDi7GMd
なんなんだこのゴールデンウイークはww

267:名無しさん@ピンキー
10/06/02 21:16:34 Z9TBLdQj
乙牙天衝ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!

268:名無しさん@ピンキー
10/06/02 21:56:15 nUubmq1d
GJ!
ハデみの増えて来て嬉しい!!
職人さんありがとう!

しかしやっぱりハデス先生は落ちないなw
自分も書いてみようと構想練ってるが、どうしてもエロまで持っていけん。

269:名無しさん@ピンキー
10/06/02 22:28:34 565dFWrW
ハデみのGJ!!

270:名無しさん@ピンキー
10/06/02 23:21:25 akrIytSO
職人さんマジGJですわ

271:名無しさん@ピンキー
10/06/02 23:39:39 XBeXkeJH
職人だがごめん。ホンマごめん。
勿体をつけている訳でも何でもなく、ハデスはエロに持っていき辛いキャラ
なんだ。知っての通り、設定そのものがエロ耐性ありすぎで。
でも、だからこそどうにかしてエロにするつもりはありありなんで、もう少し
頑張ってみる。

272:名無しさん@ピンキー
10/06/03 00:37:28 gE6hRm1O
自分はその落ちそうで落ちないところも楽しんでる。
ハデスらしさが失われず、みのりらしさも合わせていくと
なかなか難しいよね。
職人さん無理せんでな。

273:名無しさん@ピンキー
10/06/03 21:53:24 1lTs4XmI
久々に来たらなんてこった!
GJGJGJGJ!!!!!!

274:某スレの残念絵師
10/06/03 22:07:21 UdNGNFsA
くそっ! くそっ! 自分もハデス×みのりんを書きてえっ…!
しかも校長を絡めた奴を!
だが規制が! 永久規制という名の病魔が!
だが手ぶらなのもなんなので、ちょっとこのスレをいやらしい雰囲気にしてきます!

「ハァハァ…、んっ!」
 ビク、と美徳の体が、歓喜に震える…。
「こ、こんなことっ…、しちゃいけないのに…」 
 荒い息と快楽の余韻の中、透明な液体が滴る自らの指を見つめる。
 彼女は夜、自室で一人寂しく火照る自分の秘部を慰めていたのだ。
 夢想の相手は「保健室の死神」とまで呼ばれる顔の怖い養護教師…。
 彼に抱かれる自分を想像して昇天してしまったのだ。
「…逸人さん…、私…」
 ぎゅ、と相手の名を呼び、自分の体を抱きしめる。
 彼の事が気になってから、やるせなくて、愛しくて、ついには夢にまで見てしまうようになった…。

 ちくしょう仕事の時間だ 続きはWEBで!
 暇つぶしにでもしてくだされノシ


275:名無しさん@ピンキー
10/06/03 22:40:05 D+h74Qj9
GJ!もっとエロくなっていいんだぜ…

276:名無しさん@ピンキー
10/06/03 23:18:01 b8DBXUVD
ちょww

脳内メーカーみたいなやつの広告のバナー、彼氏と彼女の誕生日がアシタバとシンヤだったという奇跡

URLリンク(imepita.jp)

277:名無しさん@ピンキー
10/06/03 23:30:32 ab+1uT9U
>>274
GJ…自慰というてもあるな…

278:名無しさん@ピンキー
10/06/03 23:52:18 vIOJP6zA
みのりちゃんの自慰でもいいよホント

279:名無しさん@ピンキー
10/06/04 02:39:05 SEUKS2fW
シンヤ自慰あり。
訳あって続いてる。

280:ナイトメア 1
10/06/04 02:39:57 SEUKS2fW
午後九時半。
入浴を終えて部屋に入った真哉は、何気なく入口の鏡を眺めた。
いつもの顔、いつもの自分。
「…こんなものなのかなあ」
この頃、真哉は出来るだけ早く大人になりたくて仕方がなかった。その原因はもちろん例の養護
教諭にある。
いつも保健室に行けば優しく迎えてくれるその人は、顔は怖いけれど不思議な力があった。その
力で真哉も救われた。
それから恋をして、ずっと想い続けてきた。オバケ先生と他の生徒たちには怖がられているから、
きっと誰にもこの恋は邪魔されることはないと思っていたのに、到底適わなそうなライバルが出て
きたから正直を言えば焦っている。
年齢も近い、同僚同士で色々と話すこともあるだろう。ちょっとしたきっかけでいつ急接近しても
おかしくない。だけど生徒の立場でそれを見ているだけになるのはどうしても嫌だった。
「何で私、まだ子供なんだろう…」
鏡の中の真哉は何度眺めても大人にはならない。焦っても、ハデスとの年齢差は一秒たりとも
縮まらないのだ。どんなに好きでも、たとえ想いを告げたとしても、ハデスの性格を考えるなら
お互いの立場を考えて諭されるだけだろう。
「もっと早く生まれて来れば良かったのに…」
自分ではどうしようもないことに悩んでいるのは、解決法がないだけに頭が疲れるだけでとてつ
もなく空しい。
することもなくベッドに寝そべっているうちに、一日の疲れがとろりと意識を押し包んでいく。心地
の良い眠気の中で、突然聞き慣れた優しい声がした。
『鏑木さん』
「…ハデス先生?」
はっと起き上がっても、もちろん誰もいない。ただ、幻聴のような声だけが響くだけだ。けれど、
それだけで身体の芯が何故か熱く疼いた。

281:ナイトメア 2
10/06/04 02:40:42 SEUKS2fW
胸が痛い。
あの一見怖い、だけどどこか寂しげな顔を思い出すと切なくて鼓動が早まるばかりだ。ベッドに
横たわってタンクトップに手を差し入れ、乳房に触れてみる。
「あ…」
身体に篭っていた熱が一気にそこに快感となって集中した。これまであまり自分でも触ったこと
などなかっただけに、こんなに気持ちがいいものだと思ってもいなかった。
『綺麗な身体だね』
声はまるで耳元で囁いてでもいるように近い。あの穏やかな声音が更に真哉を煽る。育ちかけて
いる膨らみを揉み、興奮の為か硬く尖っている乳首を指先で撫でているうちに、すっかり行為に
没頭してしまう。
「先生…そこがいいの、もっと触って…」
真哉の意識の中では自分の指が完全にハデスのものとなっていた。いつも憧れを持って眺めて
いるあの細くて長い指が、今はこうして身体を這い回っていると思うだけで嫌なことは全て忘れ
られた。
『ここだけでいいのかな?』
「ううん、もっと別のところも…」
真哉はもうすっかり湿っているショーツを足から抜いて、ずくずくと疼いて刺激を欲しがっている
陰部の中心に指を滑らせた。
「…あっ…」
乳首と同じぐらい硬くなっている芯が、爪先が掠めるだけでも痺れるほどの快感を生む。今の
姿を恥じることもなく、真哉はただ快感の中に浸っていた。声は一層優しく、甘く、耳を蕩かす
ほどに魅惑的になった。
『随分、いやらしいね。鏑木さん』
「そんな…私先生だからこんな風に…」
『それは嬉しいよ、じゃあもっと感じてくれないかな』
幻の声に誘惑されて、真哉は一人ベッドの上で身悶える。こんなことはないだろうと思っていた
ハデスとの情事を夢想して、膣壁を擦る指の動きが一層早くなった。

282:ナイトメア 3
10/06/04 02:41:18 SEUKS2fW
「あぁ…先生…」
真哉の頬は紅潮し、唇はわなないている。そろそろ絶頂も近いようだ。
『いい子だね、鏑木さん』
あと少し、というところで糖蜜の毒のような声がじんわりと脳髄に沁みた。途端に凄まじい快感が
背筋を駆け抜け、愛液でびしょ濡れになった指が思いきり膣内を抉る。
「うあああっ!!」
これほどに激しく感じたことはなかった。
全てが終わって熱が引いてからも、真哉はしばらくベッドの上で身を屈めていた。自慰をしている
間ずっと聞こえていた声は確かにハデスのもので、だからこそ自分の指をハデスのものと認識
することが出来た。
現実で叶わない夢なら、夢想するぐらいは構わないだろう。
真哉はささやかな悲しい幸せの方を真実だと思い込もうとしていた。
何が夢で何が現実でも、確実に得られるものの方がましだからと。

翌日から真哉が保健室に現れることはなかった。
そうして三日後の昼休み、美作がしきりに首を捻る。
「シンヤの奴どうしたんだろうな」
「どう…って?色々と忙しいんじゃないのかなあ」
相変わらず保健室に集まっている生徒たちのお茶汲みをしていたハデスが、別段何の疑問も
持たないまま答える。
「んな訳ないだろ。あれだけ何かにつけて来てたのによおっ」
奇妙なこともあるものだと、美作も不思議がるばかりだ。

それが何だか心に引っ掛かっていたハデスは、放課後に真哉の姿を見かけたので話しかけて
みた。
「鏑木さん」
「…はい?」
声に振り返った真哉の表情は、いつもの生き生きとしたものではなかった。まるで人形のように
表情が貼り付いたような、奇妙な顔。その異様さに息を呑んだ。
たちの悪い病魔に罹って、心を失っている。

何が夢で、何が、現実……?




続く

283:名無しさん@ピンキー
10/06/04 02:42:40 SEUKS2fW
次はようやくエロが書けそうなので、続けてみた。

284:名無しさん@ピンキー
10/06/04 18:11:04 YdV3s7Nw
みのりちゃんの年齢25歳だってよ
25歳であれだと・・・・サイコーじゃないか
あとどうでもいいがシャドハーツのカレン思い出した

285:名無しさん@ピンキー
10/06/04 19:23:42 O1MA1Fdb
GJが追い付かんww

286:名無しさん@ピンキー
10/06/04 23:58:27 fTpcxpwY
コミックスはまだ買っていないのだが、みのりちゃんの
乳首が加筆されているそうだな?なぜ売り切れなんだ近くの本屋www

287:名無しさん@ピンキー
10/06/05 01:18:03 9Zo18kXM
鈍ちゃんのエロエロを全裸待機!

288:名無しさん@ピンキー
10/06/05 02:07:30 enqs1+Zm
相手はハデス?経一?

289:名無しさん@ピンキー
10/06/05 11:12:38 o0OTnwBH
いつの間にたくさん来てるーGJ
花巻ちゃんもみのりちゃんもしんやも可愛いよ

290:名無しさん@ピンキー
10/06/05 15:03:26 3H55cB3g
続きを書いた。

291:ナイトメア 4
10/06/05 15:04:45 3H55cB3g
三途川は校長室にやって来たハデスを苦々しげに眺めている。
「君がそこまで不甲斐ないとは思わなかったぞ」
「…こればかりはどうしようも」
ハデスは俯いたままだ。
「鏑木くんが罹った病魔がどういうものかは分かっているのだろう」
「ええ…瞬く間に精神を食い尽くし、廃人化させる私利(リターン)だと思います。ただ、この病魔
の厄介なところは、憑いた人間そのものがその状態を望むが為に、精神の根深くまで支配され
やすいことにあります。どうして鏑木さんがそんな病魔に…」
「心当たりはあるのか?」
「ありませんよ。もし何か糸口でもあれば、すぐにでも対処するところです」
万事休すといった態のハデスを見遣りながら、三途川は長い間何事かを思案していた。そして
口を開く。長い睫の下の瞳が鈍く光る。
「その手の病魔の特徴とよく似た罹患例を見たことがあるぞ」
「本当ですか?」
「ああ。そういう病魔に罹る人間というものは決まってある種の強い欲を持っている。だからこそ
最悪の場合は死に至るまで自分から病魔を逃さない…たとえ病魔を退治したとしても精神的に
かなりの悪影響が残りかねない。分かるな」
「何が仰りたいのです」
普段以上に言下に意味を含める三途川に、ハデスはいぶかしみながらも続きを促した。直接的
なことを言われているのではないだけに、解釈を間違えたりしたら大変なことになるとでも言い
たげに。
「ただ、私は君がそれによってどのように対処を決めようとも、それが決して正しいことでなかろう
とも、反対をする気は一片たりともない。それは誓ってやろう」
三途川はあまりにも曖昧なる謎めく言葉で持論を締めくくったきり、後はもう何も余計なことを言わ
なかった。
そして、そういう言い方をするしかなかったことも、ハデスには分かっていた。

292:ナイトメア 5
10/06/05 15:05:30 3H55cB3g
時刻は午後五時をとうに過ぎている。
もう少しで部活の時間が終わる頃で、下校を急ぐ生徒たちが廊下を行き来するだろう。今日の
うちに何とかしなければと気が急くハデスの前に、探すまでもなく真哉が現れる。
「鏑木さん?」
「先生…」
微かに笑う顔は明らかにいつもの表情ではない。

真哉の意識は夢と現実の挟間にあった。
最初にハデスの声を聴いてからずっと、醒めることのない長い夢を見ているような心地が続いて
いる。それで幸せだった。
今、目の前にハデスの姿があるのは分かっているが、現実でなくても構わなかった。
「ここにいたんですね、先生」
「鏑木さん、正気に戻るんだ」
何を言っているのかはっきりとは理解することが出来ない。ただぼんやりと立っている真哉の目
の前で、ハデスの手が異形のものになる。
「さあ、出てくるんだ私利(リターン)!」
「えっ…いやああっ!!」
異形の手が目前に魔物のように襲い掛かり、真哉を包み込んでいた甘い夢が一瞬にして崩れ
去る。耳元で囁いていた優しい声も、幸せな記憶も、全てが凄まじい地獄の咆哮を上げて手の
中に吸い込まれていく。
病魔が咀嚼されてしまった後の世界は漆黒の闇となってしまった。
「あ…」
全てを失って、真哉は床に倒れ込んでしまった。
「…鏑木さん、大丈夫?」
抱き起こされても、まだ目の焦点が合わないままだ。ハデスはいつも優しい筈なのに、どうして
こんな意地悪をするのだろう。たった一つ、真哉が掴まえていた幸せをここまで残酷に潰し去って
まで。それが信じられなくて、涙が溢れた。
「ハデス先生は、こんなひどいことしない…」

293:ナイトメア 6
10/06/05 15:06:28 3H55cB3g
冷たい床に座り込んで真哉は泣き続けた。もう誰も助けてくれない、この報われない心は二度と
救われることがないのだという深い絶望しか残されてはいなかった。
「落ち着くんだ、鏑木さん」
「私は、私は…ただ先生が…」
現実のハデスの声は忌まわしいものでしかなくなっていた。真哉は錯乱の極みの中で、狂気の
淵を覗いていたのだろう。
「とにかく、気を落ち着けないと。さ、保健室へ」
駄々っ子のようにかぶりを振る真哉に業を煮やしたのか、ハデスは軽々と抱き上げると保健室
へと向かった。タイミングが良かったのか、廊下には他に生徒の姿もない。

ソファーに座らされて、真哉は室内の様子を伺った。テーブルの上が散らかっている。いつもここ
で自由にくつろいでだべっている三人は、もう帰ったのだろう。
「先生」
落ち着かせようとお茶を淹れていたハデスに声をかけるが、返事がない。声が小さかったので
聞こえなかったのだろうが、無視をされたようでまた悲しくなった。
「先生!」
「ん?ああ…ごめんね。はい、お茶」
湯呑みがテーブルに置かれるが、そんなものは見えていなかった。少しでも気にかけて欲しい、
壊れてしまった夢の代わりに何か確かなものが欲しかったのだ。湯呑みから離れた手を掴んで
引き寄せる。
「えっ?」
「私、先生が好きなんです」
もう、どうなっても構わなかった。大事な夢を失った今、あれ以上に幸せなことなどもうないように
思えたからだ。
「うん、ありがとう…でも僕はここに勤めていて」
「分かっています、でも先生は私が何より大切にしていた夢を壊した…それは絶対に許せない
から埋め合わせをして欲しいんです。でないと私、きっとおかしくなる…」
再び目の焦点が合わなくなってくる。ハデスの声をした病魔に完全に心を奪われていた為に、
容易には正気に戻れそうもなかった。

294:ナイトメア 7
10/06/05 15:07:35 3H55cB3g
長い沈黙が続いた後、ハデスが口を開いた。
「それは僕でなければダメかな」
「もちろんです」
「それで本当にいつもの鏑木さんに戻る?」
「私にも分かりません、ただ、他に方法を知らないのです」
答えてから随分時間が経ってから、迷い続けただろうハデスの手が髪を撫でる。
「…何もかも僕が至らないせいだから、君は何も気に病むことはないからね」
穏やかな声音が耳元で囁かれていた病魔のそれと重なった、と思っているうちに大きな影に
視界が閉ざされて唇を塞がれる。
「ン…」
何が起こっているのか、最初は分からなかった。夢と同じことが現実でも起ころうとしているの
だと悟った時、ようや病魔に浸食されて曖昧にブレていた意識が覚醒する。
「…先生」
触れていただけの唇が離れてから、また涙が溢れた。さっきとはまた別の涙だった。
「悪いのは僕だ、いいね」
「先生は、ずるい…わがままを言ったのは私なのに」
また唇が重なってきた。今度は唇の間から舌が入り込んでくる。何も知らないまま応えている
間に抱き上げられてベッドに運ばれた。ずっと憧れていた場面に、胸がときめく。
「病魔の悪影響が残っているなら、きちんと対処するのも僕の責任だからね」
やはり大人はずるい、と思った。どのみちこうなるにしても、いちいち理由をつけたがる。けれど
そんな無駄なほどに律儀なこの人だから好きで堪らないのだろう。

295:ナイトメア 8
10/06/05 15:08:49 3H55cB3g
シーツの白さが目に眩しいほどだ。
横たわった真哉を見下ろしているハデスの大きな手が、制服の上からまだ迷ってでもいるように
ぎこちなく身体を撫でている。
「先生、ここ」
手を取って胸に押し当てる。
「鼓動、聞こえるでしょ?こんなにドキドキしてるの…」
布越しではない手の温みをもっと感じたかった。ベストとシャツのボタンを片手で外して、ブラを
ずらすと直に乳房に触らせる。心なしか、手に力が篭ったように感じた。それがようやく決意を
したように思える。
「ずっと、こうなりたかった…嬉しい」
ハデスは何も言わなかった。あくまでも壊れかけている真哉の心を救う為だと心中で言い聞か
せているのかも知れない。それでも良かった。夢に現実が追いついてきているのが嬉しくて堪ら
ない。どんな形であろうと、望んだ結果になっている。それが大きな喜びになった。
夢の中で触れられた箇所をそのまま追うように、現実のハデスが指を這わせる。肌身を合わせ
ていることで記憶を覗かれてでもいるのかと思えるほどに、そっくり同じだった。
「先生、あれはやっぱり先生だった、の…?」
愛撫を受けて燃え上がりながらも真哉は何度も錯乱した。夢の中に立ち現れて囁き、身体中を
探り尽くして指で犯したのは、紛れもなく現実の中にいるこの人だったのではないかと。夢と憧れ
と現在のこの状態が頭の中で形もなく混ざり合ってしまい、目眩がするほどだった。
「嬉、しい…」
下腹を撫でていた手がショーツに触れた。一瞬戸惑ったように止まったが、すぐに隠されている
奥へと滑っていく。
「あ、んっ…」
思えば当然のことだが、ここからは現実の感触の方が夢想していた時よりも生々しくて、わずか
ながらに恐れを覚えるほどだった。手管そのものは別段慣れているように感じられなかったが、
それがまた別格の快感を生み出す。

296:ナイトメア 9
10/06/05 15:09:33 3H55cB3g
現実の指がゆっくりと硬く充血した女の芯を撫で、擦り、すっかり濡れきっているだろう陰部の
襞をなぞる。力は決して強いものではないだけに、じらされているようで余計に待ち焦がれている
内部が熱くなった。
「そこがいいの…もっと触って」
夢うつつに声を漏らす真哉の表情はとても幸せそうだった。現実でもこうして膣内を探られている
悦びが溢れている。行為を始めてからずっと無表情、無言のままだったハデスの顔がわずかに
苦しげに歪んだ。
その顔に一瞬だけ正気が目覚める。腕を持ち上げて硬くひび割れた頬を撫でると無理に笑って
見せた。
「先生、お願い…私を負担に思う必要はないの…今だけでいいから…」
「鏑木さん、本当にいいんだね?」
「…はい、私この時をずっと待ってました」
ハデスの顔は更に泣いてでもいるように変化した。ショーツを足から抜いてしまうと、真哉の目に
決して映らないようにした男の圧倒的な熱を塗れそぼった膣に押し当ててくる。
「責められるべきは、僕だ」
「うっ…」
経験のない真哉の身体を気遣うように、少しずつ浸入してくる硬いものの圧迫感が凄まじくて
息が途絶えそうだった。初めて男を怖いと思った。それでも必死に両手で白衣を握り締めて耐え
続ける。
「あ、ぁ…」
こればかりはさすがに、夢の中でも知らなかった。だから確かに今が現実の中なのだとはっきり
認識出来る。真哉はようやく現実を取り戻した。
ゆっくりとながら、全てを収めてしまったハデスが哀れむように見下ろしている。そんな顔は見たく
なかった。気遣わせているのも心が苦しい。
「苦しく、ない?」
「気にしないで…下さい、先生」
「君は強いね…」
顔が近付いてきてキスをされた。疼き続ける内部が互いに馴染んだ頃合を見計らって緩やかに
動き始めると、また圧迫感が蘇ってきて鈍く声が漏れる。

297:ナイトメア 10
10/06/05 15:10:26 3H55cB3g
「んっ、うっ…」
「苦しいなら、声を出していいから」
次第に早まる動きに耐えきれずに漏らす声があまりにも苦しそうに聞こえるのだろう。実際に
ひどく苦しい。ハデスは少しでも心身の負担を軽減するようにと促す。
「大丈夫、です…」
滲んだ涙が頬に流れ落ちた。
どんなに苦しくても、それがこの人に与えられているものなら何でも受け止めたかった。それが
一人で夢の中に閉じ篭っていた自分の務めのように思えた。真哉にとってはこうしている今の
時間が全てとなっていた。
背中に腕を回して必死で耐える真哉の耳元で、夢でも幻でもない本物のハデスの声がした。
「いくよ」
次の瞬間、それまでの感覚を一気に粉々に砕くほどの激痛が襲いかかった。行為に慣れても
いない膣内を一杯に満たすものが更に激しく内部を擦り上げる。
「んんっ…」
あまりの衝撃に懸命に声を殺したまま達してしまった真哉の内部から、ハデスは愛液でぬめる
ものを抜き出した。それをどうするのかと思う間もなく、限界まで張り詰めきっていた精神が安堵
に包まれて、ふっと意識を手放してしまった。

窓の外がもう暗くなっていた。
気がつくと、真哉は濡れタオルで身体を拭われている最中で、そのせいか、妙にさっぱりとした
気分だった。
「…先生」
「あ、目が覚めた?良かった…元に戻ったみたいだね」
あんなことがあったばかりなのに、ハデスの様子は何も変わらない。それが何だか微笑ましく
なって真哉はくすくすと笑った。

298:ナイトメア 11
10/06/05 15:11:23 3H55cB3g
「何?」
「いいえ、何も。ただ、私先生を好きになって良かったなって」
その言葉で、またハデスの表情がわずかに曇る。成り行きが特殊なものとはいえ、教職員が
生徒を抱いたことを気にしているのだろう。
「…言ったじゃないですか。私の為にここまでしてくれる先生だから、その負担には絶対なりたく
ないんです。このことは誰にも言わないし、先生だけが責を追う必要もありませんから」
「だけど…」
「いつか私が大人になって、その時にまだ先生が一人だったらもちろん再アタックしますけど」
濡れタオルを持っているハデスに抱きついてキスをすると、真哉はさっさと制服の乱れを直して
ベッドから降りた。
そして今までになかった大人の顔で笑う。
「お腹空いちゃったから、帰ります。じゃあまた明日」

翌日からの真哉は何事もなかったように保健室を訪れ、例の三人と他愛もない話をしては笑う
いつもの日々をまた繰り返すようになっていた。ハデスへの恋心はもちろん続いている。だけど
妙な焦りやこだわりはなくなっていた。
何かが綺麗さっぱり吹っ切れたのだ。
大人になった自分なら、好きな人をきっと逃がさない。そんな自信も芽生えていた。

「はい、鏑木さん」
当然のようにお茶が目の前に置かれる。
「ありがとうございます」
他の三人には知られないようにアイコンタクトを送る真哉に、ハデスはちょっと困ったような笑みを
浮かべた。本当に、どこまでも律儀で真面目な人なのだろうと笑みが漏れる。
だからこそ、大人になるまで忘れません。
真哉は改めて決意して、湯呑みを手に取った。




終わり

299:名無しさん@ピンキー
10/06/05 15:14:52 3H55cB3g
正直、こんなことでもない限り、ハデスはエロを絡められない。
今後どうなるかはまた別として今の段階では。

300:名無しさん@ピンキー
10/06/06 01:07:03 CAh5JJIn
GJでしたー。
ハデスのエロ、特にシンヤ相手は想像しづらいっすよね。
上手い展開だったし、シンヤ切ないけどかわいい。

301:名無しさん@ピンキー
10/06/06 09:25:44 GAkWF3is
すげーよかった

302:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:01:16 DRM5TEJo
だから俺はアシタバ君と美玖ちゃんのびくびくしながらエッチするのを書きたかったはずなんだが…

無理矢理が苦手な人はスルーでお願いします。



「まだ、ハデス先生なの?」
「えっ?」
二人きりの保健室、鏑木真哉はアシタバの突然の質問にあっけを取られて、簡
単に押し倒されるのを許してしまった。
「きゃ!!?」
恥ずかしいほどかわいらしい声をあげてしまったが、真哉はそんなことを気に
している暇は無かった。
「ちょっと!放してって!これはやり過ぎだって…!!」
「…本当に嫌なら、僕なんて簡単にどけられるでしょう?」
確かにそうだ。下に敷かれ、両手首を掴まれていたが、この体勢からアシタバ
相手に逃げることは容易い。だが、目の前のアシタバの悲痛さが見え隠れする
表情のせいなのか、真哉の抵抗する気持ちが萎んでいた。


「アシタバくん…ちょっと落ち着こう?お願い…おかしいよ…」
「おかしいのはシンヤの方じゃないか…!!先生との恋愛なんて…そんなの…変
だって分かってるだろ!?」
情けないと思ったが、涙が止まらない。明らかに動揺した真哉の顔に、粒にな
って落ちるたび、申し訳ないと思う一方で征服したような錯覚に興奮していた。
「前からずっと見てた!シンヤの事…でも……一度くらい気づいてくれたって…
良いじゃないか…!!」
呆気に取られているのを良いことに、強引に唇を奪った。押し付けすぎたせい
で唇の内側を切り、じんわりと血の酸味が広がる。それどもアシタバは止まら
なかった。
「っう…ん…!」
真哉の柔らかな唇を、何度も何度も口に入れる。ただ苦しいだけであろうが、
真哉が漏らす小さな声が、官能的でアシタバの身体を熱くした。
「はぁっ…や…ってやる……!」
意を決して右手を離すと、ブレザー越しに胸をわしづかみにしてやる。何層か
重なった布の上からでも伝わる、未知の柔らかさ。ドクドクと脈打つ感覚まで
伝わってくる。


303:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:01:46 DRM5TEJo
ブレザーを広げ、シャツをたくし上げると、真哉の胸元はブラジャーが乳房を
守るだけになった。
「駄目だよ…アシ…タバ君!!ねぇ、もうやめよ!?」
真哉の落ち着かせようと冷静さを装う声も、今のアシタバにとっては神経を逆
撫でする以外の何物でもなかった。
「僕だってッ!」
乱暴にブラジャーを引っ張ると、真哉の胸が露になる。肩紐が食い込む痛みと
恥ずかしさと恐怖。それらが入り混じり、真哉は泣きそうになってしまった。
「…マヤ」
「えっ?…ぁく…!!ア、アシタバ君!!?」
アシタバは大胆にも真哉の胸に顔を埋め、赤子のように乳房をしゃぶった。
「っあ…な、な、な…」
「はっ…!!んむ、ちゅっ…ん…ぱはっ!!」
出るはずもない母乳を求めるかのように、先端を何度も吸う。真哉が気持ち良
いかは気にしない。ただ、身体の奥から沸く劣情のままに動くだけだ。
「マヤ」
何度かアシタバは真哉をマヤと呼んだ。真哉の正式な名前なのだが、真哉自身、
身内以外からもあまり呼ばれないせいか、不気味ささえ感じた。
「っあ…!!」
そんな思考も、アシタバの粗雑な愛撫であっても徐々に蓄積される性的な感覚
に焼き切られていってしまう。
「~っふぅ~っ…!」
恥ずかしさに紅くなった顔を両手で隠した。口をふさぎ、声が出ないよう尽く
す。
「もっと聞かせてよ。可愛いよマヤ…先っぽ、硬くなってる」
歯で擦るように充血した乳首を噛むと、真哉の視界は真っ白な光に包まれ、何
もかもを忘れた。
「っは!!あぁぁんん!!」
ソファーの上でよじれて叫んだ。何かが消えた気がしたが、今は考えていられ
なかった。

304:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:02:58 DRM5TEJo
「マヤ、イっちゃったんだ…可愛いよ」
真哉は頭がうまく働かず、全身が痺れている。アシタバは荒い息遣いで真哉の
唇を貪ると、頬へ、頬から耳たぶへ舌を這わせた。
「気持ち良かったんだよね?」
耳たぶを甘噛みする合間にかけられる言葉を真哉は否定出来なかった。
気持ち良かったのだ、信じられないくらいに。自慰をいつから始めたかは覚え
ていないが、今までのどれよりも、アシタバの強引な愛撫は気持ち良かった。
「ひっ!?」
「んっ…ず…」
尖らせた舌が、耳の穴に侵入してくる。全くの予想外な行動と、その異常さ。
真哉は恐怖で何も出来なくなった。
ずぽずぽと聴覚が犯されるような錯覚が、さらに真哉の感覚を壊す。
「あっ!…だ、駄目」
アシタバの指がスカートをめくる。何をされるのか、男女の仲に疎い真哉でも
察して手で股を隠した。
「マヤ、いい子にして」
驚くほどすんなりと、真哉の精一杯のガードは破られた。身体がまるで言うこ
とを聞かない。
「素直になってよ、こんなに濡れてるんだから」
いきなり、指が直に触れた。愛液を垂らしている自分の身体が恐かった。
「っあ…あぁ…やめ…ん!!」
「凄い…あったかい……。マヤ、こんなに感じてくれてたんだ。嬉しい…」
「恥ずか…しい……ひぃ!…も、もう…」
初めてのはずなのに、真哉は随分と感じ、アシタバは手慣れたように指を抜き
差しした。
「僕もマヤと一緒に…」
アシタバが、目を血走さらせながらズボンをガチャガチャといじる。ベルトを
外し、パンツごと一気にズボンを下ろすと、張り詰めたモノが外気に晒される。


305:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:03:58 DRM5TEJo
「マヤ…マヤッ!!」
入る訳がないと思った。挿れられてしまえば、あとは流れで奥まで突かれた。
必死に叫んで誰かに知らせようとしたが、『死神』が居ると恐れているのか、
誰もいないのか、保健室のドアを開ける者はなかった。もうこの口は助けを叫
ぶこともなく、今はなされるがままに喘ぎ声をあげるだけだ。
「うぁ…あ、あぁん!!ひぅ!!」
一度、膣内に射精されると、何かが壊れた。もう何もないのだ。虚しさに近い
何かが心をさらい、代わりに目の前の快感に見を委ねてしまおうと、諦めがつ
いてしまった。
二発目のときに精を飲むよう口に捩込まれても抵抗はさして感じなかった。
いまも、精液と愛液でぐちゃぐちゃに濡れた秘処をアシタバが乱す。求めるら
れればキスをして、声を聞きたいと言われたら抑えることなく鳴いた。
従順でしとやか女になりたい-コンプレックスから来ていた願いが、皮肉にも
こんな形でなされるとは、思ってもみなかった。
「あん!!ぃ、あひぃ!!あああ…!!」
「出すよマヤ…!!」
まどろむ。溶けていく。熱い奔流を感じながら、真哉は意識を手放した。

306:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:04:39 DRM5TEJo
「………えっ?」
気がつくと、服は綺麗に整っていた。それどころか、押し倒された跡も、犯さ
れた痕跡もない。真哉は行儀良く座ったままだ。すると今までのは…
「病魔だったの?」
アシタバの背から、何かが抜けていくのが見えた。アシタバの精神力が追い出
したのだろう。本当ならば退治すべきだろうが、生憎派出須は出払っているの
で、どこかに逃げて行くのを見ているしか無かった。
「アシタバ君…わ、私は気にしてないから…!!」
アシタバは顔を手で覆って泣いた。ひそかな恋の相手に、嗚咽を漏らしながら
泣く様を、歪んだその恋心をさらけ出したのだ。
「最低だよね…友達だと思ってた相手がこんな目で見てたんだ……っ…うぐぅ」
「でも病魔…」
「嫌じゃなかった!!利用しようとしちゃったっ!!……全部本音だったんだ…」
畳みかけるように叫ぶアシタバは、自己嫌悪で今にも命を絶たんという勢いだ。
「でも……本当のアシタバ君は泣いてくれてるよ…」
「…?」
「私は大丈夫だから…」
同情したつもりはない。泣く姿が、貧弱だが可愛い弟によく似ていたからかも
しれない。案外、こういった優男に弱いのだろう。
真相は自分も知らない。ただ、たった今まで自分を犯していたアシタバに魅力
を感じていているという事実が残るだけだ。
「ゴメンね…私、見てあげられなかった……。アシタバ君が、こんなに思って
くれてたのに」
「シンヤ…」
赤くなったアシタバの目の周りを指で拭ってやると、少しだけ冷静さを取り戻
したようだ。
「…だから、その……」
「…?」
「…………お、おち…大きくなってるから…隠してくれると………嬉しいかな」
「え?…!!~っ!!」
いつもよりズボンが張っていることに気づき、アシタバは慌てて飛びのいた。
「ごめん!」
「う…ううん…そんな」
やはり気弱で優しいアシタバだ。真哉は慌てて股間を抑えるアシタバを見て、
おかしさすら感じていた。

307:名無しさん@ピンキー
10/06/06 23:06:26 DRM5TEJo
「今まで、女の子として見てくれる人そんなにいなかったから…嬉しいかった
って言うか、ほっとしたな…うん」
真哉は続けた。妄想での勢いはどこへ行ったのか、アシタバは赤面して股間を
抑えている。
「あ~…けどまぁ、もうちょっと力の加減とかね。や、やっぱり、男の子に優
しくして欲しいとか、そういうのあるから…」
「…」
「あとさ…マヤって言う呼び方なんだけど…シンヤよりマヤ?」
「そっちのほうが、可愛いから…」
可愛い-そう言われるとやはり胸が高鳴る。そして素直に嬉しかった。
「じゃあ二人の時だけ、ね?郁くん」
不意打ちを狙ってアシタバにキスをしてやる。夢の中での乱暴で血の味がした
ものよりをずっと稚拙なものだったが、どこまでも甘い。
「じゃ!じゃ、じゃあ、帰ろっか!!」
もっとゆっくりだが、自分は女の子らしくなれるかも知れない。そして、それ
は甘く楽しい時間になるだろう。
小柄で力もなくて、でも誰よりも優しい男と手を繋ぎ、真哉はひそかに胸を膨
らませた。



(い、今の子はやっぱり進んでる…!!)
手を繋ぐ二人を見かけた体育教師が、妙な焦燥感を感じたのはまた別の話。


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