10/07/29 15:20:13 Q2m8ngZ4
「それ何ですか?クロスロードさん」
「ぇえ?」
整備作業が一段落したサジは休憩中になんとなくあやとりをしていた。
「こ、これは、あの、手持ち無沙汰だったから、つい、」
サジはあやとりしているのをマリーに見られた恥ずかしさのあまりしどろもどろになりながら慌てて糸を外した。
「あ!どうして壊しちゃうんですか?きれいだったのに…」
「い、いや、だっていい年した男があやとりなんて…恥ずかしいっていうかっ…」
サジが赤面しつつ言い訳すると、マリーは不思議そうに首を傾げた。
「それアヤトリっていうんですか?どうして恥ずかしいんですか??」
「いや、だって普通は小さい女の子がする遊びだから…」
「…《普通》は小さいうちにアヤトリするものなんですか?」
マリーは明らかに普通はと言われて落胆しているようだった。
(ヤバい!失言だったかも!)
サジは詳細は知らないが、マリーが超人機関という所で生まれ育ったということは聞いていたので
「あ~~いや、えっと日本の昔の遊びだから!最近は知らない人のが多いですよ!」
と慌ててフォローすると、マリーはにっこり笑った。
「ふふっそんなに気をつかわなくて大丈夫ですよ。…優しいんですね。」
「ぇえっ?いやぁそんな…はは、まいったな」
そして思わずお互いに顔を見合わせて笑った。
「やってみますか?あやとり」
「はい! 私にもできるかしら」
「コツさえつかめばすぐできますよ!まずはこの指に糸をかけて…」
そう言ってサジはマリーの手をとり指に糸を引っ掛けてやる。
「これが基本形なんです。まず簡単なホウキからやりますね。この指でこの糸を引っ掛けるんです」
「…こうやって…こう?」
真剣にあやとりするマリーを見て微笑むサジ。
「そうそう、うまいですよ、次はこの指でこの糸を引っ掛けて…」
「…この指で…ここに引っ掛けるんですね……あら?なんか変ですよ??」
「あ~そこは下からすくい上げるように…こうですよ」
サジはマリーの指からもつれた糸を取ってかけ直してやる。
「…最後にこの糸を引っ張って…完成です!」
「まぁ!かわいい!」
完成してふと気づくと、あやとりに熱中するあまり、お互いの額が触れる至近距離で思わず手を取り合っていた。
「ぅわっ…つい夢中で、すみませんっ」
サジとマリーは慌てて手を離して赤面し、お互いにペコペコ頭をさげあった。
「ぃいいぇっ、こちらこそっ」
そして眼があって思わずに笑ってしまう。
「ふふふっ、アヤトリ教えてくれてありがとうございました」
「いやあはは、失礼しました」
「また教えてくださいね」
「おやすいご用ですよ!それまではホウキで練習しておいてください」
「はい!教官」
にこやかに会話しながら、次は超難解なものを教えようと思うサジだった。