◆女性に捕食されるされるスレ◆ 二口目at EROPARO
◆女性に捕食されるされるスレ◆ 二口目 - 暇つぶし2ch200:名無しさん@ピンキー
09/12/20 14:25:54 ka0C5Mpm
wktk

201:名無しさん@ピンキー
09/12/21 19:53:53 L93gWCUb
>>195
それいいな

ラミアさん「またなのぉ? しょうがないわねぇ」

みたいな感じで何回も呑んでほしい

202:名無しさん@ピンキー
09/12/22 20:31:52 dfzA6Usl
食べてくれそうな娘を見つけたけど貼ってもいいんだろうか…

203:名無しさん@ピンキー
09/12/22 22:34:01 y2Uer3i8
貼ってくれないと判断できん

204:名無しさん@ピンキー
09/12/22 22:56:41 LdFaY4sR
h抜いて貼ればおk

205:名無しさん@ピンキー
09/12/22 23:34:34 dfzA6Usl
URLリンク(mrank.tv)
ここのオリジナルにいる「なんとかからの物体くろこ」ってところにいる娘

206:名無しさん@ピンキー
09/12/23 08:42:10 BWWKU+xq
なんていうか非常にがっかりした
j e n

207:名無しさん@ピンキー
09/12/23 12:30:22 GCixeA0Q
>>205
16位の子か

ケータイの画像掲示板?

画像がケータイ向けでクリックすると広告が出てくるって

注意を書いたほうがいいかも

208:名無しさん@ピンキー
09/12/23 18:06:09 g8l7k0sH
いろいろ酷いな

209:名無しさん@ピンキー
09/12/23 23:17:11 GCixeA0Q
FF13なかなか面白いんだけど

FF4みたいにラミアさんやアラクネさんが出てコナインダヨ

人食い美女モンスターを出してクレー

210:名無しさん@ピンキー
09/12/25 12:47:48 q7OOFyv7
INHUMAN!! , INHUMAN!!

こ、この、
ジャ、ジャンルの、
ス、スレは、
非人間的なんだな。。。

だ、だから、
こ、これで、
か、完結して、
つ、潰れなきゃ、
な、ならないんだな。。。

さ、さようなら。。。



211:名無しさん@ピンキー
09/12/25 19:18:07 gEjkRv2k
>>210
もう星へ帰るんだね、バイバイ

212:名無しさん@ピンキー
09/12/25 19:30:35 8+iVmKrx
ベッキー・クルーエルに喰われたい

213:腐肉(P.N.)
09/12/27 06:11:08 WNw7SqMx
佳奈はカッターナイフをその場にぽとりと落とした。急に膝ががくがくと震えだし、思わず濡れた地面に尻餅をつくように腰を下ろした。
深く息を吸い込むと、水溜りの水をばしゃばしゃと掬い、顔にかかった血を流した。
「…鉄臭い。」
そんな言葉が口を突いて出た。
これまで千絵と行動を共にし、人の死は散々見てきたが、今、佳奈は初めて自らの手で人を殺めたのだ。
それなのに、随分とつまらない感想しか出てこないんだな。
「はは…。」
佳奈は力なく笑い、しばらくその場にへたり込んでいた。雨はますます強くなるし、水溜りも広がっていて冷たいはずだったが、
今の佳奈は不思議とその冷たさを感じなかった。
そうだ…千絵…。
やがて佳奈は自分の悪魔的所業の動機を思い出した。クラスメイト全員を死に追いやった理由。
千絵…。
肉体的にも精神的にも佳奈は疲れ切っていたが、その名前を心の中で呟くたびに、不思議と力が沸いて来るような気がした。
佳奈は、壁の向こうに居る千絵の鼓動を感じるような気がした。まるで千絵の心臓が、自分の心臓のすぐ隣にあるかのようなに。
佳奈は体育倉庫の窓枠に手を掛け、陸上部で鍛えた跳躍を生かして自分の身長よりも高い窓枠をひょいと飛び越えると、再び体育館内に侵入した。
念のため窓の鍵を閉めると、佳奈は恐る恐る倉庫を出た。途端に、吐き気をもよおす悪臭が鼻を突く。
そこに広がっていたのは、地獄のような光景だった。
ガラス窓やステージの暗幕、バスケットボールのリングにいたるまで、ありとあらゆる箇所に血や肉片やどろどろした液体が塗りたくられており、
床の面積の半分が血溜りに覆われていた。
肉を削がれて骨が剥き出しになった死体がいくつも、食い荒らされた臓物を散乱させて血の池に浮かんでいる。
中央には、バスケットボールコート半分を埋め尽くすほどに触手を広げた触手の群れが巨大なピンクのイソギンチャクのように鎮座していた。
その一本一本に生徒たちが捕らえられており、中には四肢をばらばらに千切られ弄ばれている者、口や肛門から触手に侵入され内側から肉体を破壊され
赤いぼろ雑巾のようになった者もいた。
だが人の形をしていなくとも、彼らはまだ幸せだろう。
多くの生徒はまだ生きたままだった。
裂けるまでペニスを嬲られ、それでも尚も射精し続けている男子が居た。
尻の穴から口までを触手に貫通された状態で自慰をしている男子も居る。
女子の殆どは犯されていた。千絵の舌によって膣口を裂かれ、丸太が入るほどの大きさに広げられながら、
それが至高の快楽であるかのように喘ぎ声を上げ続けている者もいる。
佳奈は口に手を当てた。そうでもしないと、胃の中の物が込上げてきそうだったからだ。
それら残酷絵巻の中心に、肉の玉座に座るように、どこでものを感じているのか分からないような虚ろな目をした千絵の姿があった。
陵辱されるクラスメイトたちを恍惚の表情で見下ろしながら、口から延びた舌で自らの性器を一定のリズムで弄っている。
千絵にとって、もはや食欲と性欲との間に差は無くなっていた。血の匂いは彼女の股間と乳首を疼かせ、肉の味は彼女をエクスタシーに導いた。
千絵は、自分の舌に絡みつく感触を全て味わった。
最初に呑み込んだ唯香が、次第に抵抗する力を弱めながら胃の中で溶けて行く感覚。
壊れてぐちゃぐちゃになってもなお硬くなるペニスを握り潰す感触、そこから垂れ流される血の混じった精液。
女子生徒の膣口を押し広げ子宮をずたずたに裂く快感も、臓器を絡め取り体内から引きずり出す時の手応えも、
その全てを絶頂へ至るための糧とした。


214:腐肉(P.N.)
09/12/27 06:12:46 WNw7SqMx
「千絵…。」
佳奈は、今しがた息絶えた女子生徒を跨いで千絵に近寄った。
足元に転がる遺体は、まるで腹を裂いて皮膚を裏返したように、一見したところ人だと分からない程に見るもおぞましく変形させられている。
「ち…え。」
佳奈は吐き気を堪えながら親友を呼ぶ。千絵はぼんやりとした目のまま、ゆっくりと佳奈の方を顧みた。
「あぁ… 佳奈かぁ。」
千絵はにやりと笑みを浮かべた。その微笑みは佳奈の背筋を凍りつかせた。恐怖に顔を引きつらせる佳奈に、千絵はそっと手を延ばして言った。
「だいじょうぶ、佳奈はたべない。」
それから延ばした手で優しく佳奈の頬を撫でた。千絵の手にべっとりと付いていた血が、佳奈の頬に線を描いた。
「んっ…!」
千絵は喘ぎ声を上げ、佳奈から手を離した。どうやら今の千絵は感覚器官の全てが性感帯となっているようだ。
佳奈の皮膚の“味”が触覚から伝わり、千絵を絶頂に至らしめたのだった。
「くっ… はぁっ、はぁ…。」
千絵は喘ぎながら身を捩った。長く白い四肢が、膨らんだ胴体に巻き付くのを見て、佳奈は頬を赤らめた。性器が疼く。
千絵と交わりたい、と思った。今の千絵の身体なら、叶わぬ事では無い様に思えた。
だが佳奈がそんな事を考えて居る間に、千絵はするすると舌を腹に開いた第二の口へ収めてしまった。
まるで巨大な蛸を呑み込んでいるようだ。触手に絡み付いていたクラスメイトたちの残骸は血の池の上にぼとぼとと無残な音を立てて落下した。
触手を全て仕舞っても千絵は巨大に見えた。大きく膨れた腹のせいで、身長もいつもの倍ほどに見える。
「みんな、食べちゃった…。」
それでも、生徒の殆どは虐殺して肉だけ食い荒らしたから、丸呑みしたのはほんの数人だったのだが、
千絵は腹の重みで、立っているのがやっとというように肩を落とした。
しばらく、体育館に沈黙が流れる。屋根を叩く雨の音が大きくなった。
「逃げようか…。」
やがて佳奈が言う。
「逃げ切れるかな…。」
千絵はいつもの、人事の様な口調で呟いた。
「この世界のどこにも、怪物の居場所なんて無いんだよ。」
そう、最初から分かっていた事だ。千絵は諦めたように笑った。
「でも、一緒に居るもん。」
佳奈が言う。千絵はその言葉がとても嬉しかった。
「家に帰って、荷物取って来る。その間、どこかに隠れて居られる?」
「本気?家出するつもり?」
千絵は戸惑った。恐れていた通りだ。
「あのね、」
佳奈は千絵の目を真直ぐ見て、諭すように言った。
「環境庁もいるんだよ?この状況で私だけ無事に済む訳無いでしょ。共犯なんだよ?」
佳奈の目は揺ぎ無い。
「千絵が怪物なら、私ももう怪物の仲間入りなの、分かった?」
千絵は唖然としていたが、やがて諦めたように笑った。

2人は体育館の惨状をそのままにして、誰にも気付かれずに学校を後にした。
佳奈が小山内家に荷物を取りに戻っている間、千絵は裏の森の中に隠れていた。
裸だったが、今や福沢に撃たれた腹の傷も例の吐き気も消え、満腹感で身体は温かく気持ちが良かった。
木々の合間を縫って落ちてくる雨の雫でさえ、心地よく感じた。
重たい身体を巨木の間に寝かせ、千絵は横になった。日が暮れ始めており、ただでさえ悪天候で暗い空は刻々と闇へと変わりつつあった。
こうしていると、まさに獣だな、と千絵は思った。いつかこんな暮らしをする日が来るかも知れない。森の中で、裸で… 佳奈と一緒に。
その妄想に、千絵は恥ずかしくなって顔を赤らめた。そんな羞恥も秋の夜は無言で包み込み、やがて千絵は眠りに落ちた。


[続]

215:名無しさん@ピンキー
09/12/28 02:02:40 bs3AZ7bb
続きキター!!

216:名無しさん@ピンキー
09/12/28 23:28:29 kRxLpbRp
貫通された状態でオナニーする男子パネェ
俺もペニス潰れるまで嬲られた後食べられたい

217:腐肉(P.N.)
09/12/30 05:00:57 e8o9RbMz
小山内小枝子は調理場に立ち、夕飯の支度をしていた。
明日は、娘たちの学校の文化祭がある。今日は準備で帰りは遅くなるだろう。
お腹を空かせて帰ってくる娘たちのために、小枝子は切りそろえた野菜を、まな板から鍋の中に注ぎ込むように入れた。
“娘たち”。
小山内小枝子は微笑んだ。
この4月に長男が大学へ進学し家を出てからというもの、1人で家に居る時に一抹の寂しさが心を過ぎるようになった。
おかしなものだ。佳奈は学校に行っているし、それは圭介が高校生だった頃も同じだと言うのに。
母親とはそういうものだ。
だが千絵が来てからのこの数ヶ月、小枝子はそんな寂しさを感じなくなった。娘が2人になったようだ。
尤も、千絵がいつまで小山内家の娘で居られるのかは分からないし、遅かれ早かれ来年には2人も進学やら就職やら、それぞれの道を歩み出す。
今までとは別の道を。母親が添って歩くことの出来ない道を。
だがそんな事は考えなかった。佳奈は、千絵が一緒だととても楽しそうだ。
年頃になるにつれて減って行った口数と笑顔が、最近は毎日見ることが出来る。今はそれで十分だった。
ある意味、母小枝子も、娘同様、将来への不安から目を背けていたのである。
スープの味見をしようと、湯気の立つ黄金色の液体を御玉で掬い上げた時、ふと2階から物音が聞こえた。
小枝子はびくりとして、思わず御玉を取り落とした。その様は娘そっくりだった。
何だろう?掃除の時に、窓を閉め忘れたのだろうか…?
小枝子は、まるでそうすれば天上が透けて2階の様子が見えるかのように、天上を凝視した。
再び物音がする。風ではない。誰かが、何かを探しているようだ。母の脳裏に、この所頻発している猟奇事件の報道が過ぎる。
小枝子は、まな板の上の、野菜の汁が付いた三徳包丁を手に取ると、ゆっくりと台所を出た。

-----------------------------------------------------------------------

佳奈は薄暗い自分の部屋で、部活の合宿用のスポーツバッグに手当たり次第に下着を詰めていた。
千絵の荷物も、彼女が最初に小山内家にやって来たときに持ち込んだ、父親の旅行用トランクから、持ち運びが便利なバックパックに詰め替えた。
修学旅行用に買った物だ。その時、階段の軋む音が聞こえた。佳奈はびくりとして、ショーツを握ったまま手を止めた。
何者かが、足音を殺して2階の廊下を近づいてくる。
今の佳奈は五感が研ぎ澄まされているらしく、スリッパがフローリングを擦るほんの微かな音が聞こえた。
母に見つかってしまった…。どうしよう?隠れようか?でも今からでは間に合うまい。
それに佳奈の部屋には、不信感を抱いた母親をやり過ごせるようなスペースは無い。
佳奈は、手の平が不気味に硬くなったように感じた。この感覚は初めてではない。そう、つい一時間ほど前に、カッターナイフを握った感触。
それを肉に突き刺したときの手応え…。
娘は決意していた。新たな道を歩み出す事を。新たな世界に飛び込む事を。怪物の世界に、親友と2人で。その世界に母親の居場所は無かった。
その時ゆっくりと扉が開いた。部屋に廊下の光が挿し込み、娘は母親と対面した。
小枝子は状況が飲み込めずきょとんとした顔で、手から包丁をぶら下げて戸口に立っていた。
なぜ娘が部屋に居るのだ?いつ帰った?なぜ下着が部屋中に散乱している?小枝子はそれらの疑問を総括する質問をした。
「ど、どうしたの… 佳奈?」
暗がりの中で、娘はすっくと立ち上がった。その時母は何かがおかしいと気付いた。
娘の顔からは、いつもの困ったような笑みや、可愛らしい瞳に滲み出る優しさが消えていた。


218:腐肉(P.N.)
09/12/30 05:07:21 e8o9RbMz
「ちょっと、佳奈… どうしたの?」
母はうろたえ、繰り返した。娘は黙ったまま母の方へ歩み寄る。小枝子は思わず後じさった。
暗がりの中で、娘の輪郭が幽霊のようにゆらゆらと揺らいで見えた。それは、恐怖だった。
佳奈の顔が廊下を照らす電灯の光の下に現れた。小枝子ははっと息を呑んだ。一瞬、確かに娘の目の中に別の生き物が宿っているのを見たのだ。
「誰…?」
母は無意識にそんな言葉を口に出した。手が勝手に動き、小山内小枝子は、実の娘に向かって、包丁を突き出した。
考える余裕など無かった。冷たい包丁の柄を握り締めた手が、がたがたと震えている。
その時、佳奈の目から一筋の涙が零れ落ちた。その目は優しい少女の目に戻り、突きつけられた刃を透かして母親の目を真直ぐ見据えた。
「おかあさん…」
佳奈は呟く。
「ごめんなさい。」
次の瞬間、佳奈は母親の手を掴むと物凄い力で捻り挙げた。手首の骨がへし折れる音に続き、ステンレスの刃が肉を貫く不気味な音が廊下に響いた。
小山内小枝子は何が起こったのか分からなかった。瞳を涙で濡らした娘の愛しい顔が視界から消え、フローリングの床しか見えなくなった。
小山内小枝子は、廊下に倒れた。腹から突き出た包丁から、関節が一つ増えた腕が離れ、倒れた時の衝撃で刃が更に深く子宮を抉った。
おびただしい量の血が溢れ、静かに床を濡らしていく。遠のく意識の中、小枝子のぼやける視界に、自分を置き去りにして遠のいていく娘の足が映った。
娘は道を歩み出した。そうか。
そう思うと、小枝子は何故か、この結末を納得した。まあ、母親とはそういうものだ、と。
次の瞬間、彼女の人生で最大の哀しみと寂しさ、孤独と恐怖が押し寄せてきた。小枝子は声を上げて泣きたかった。
だがそうしようと息を吸い上げたのを最後に、彼女は動かなくなった。量の瞳から毀れた涙が、静かに頬を伝い、冷たくなっていく血の海にひたと落ちた。

--------------------------------------------------------------------

雨上がりの森の中は、日が暮れると同時に急に寒くなった。
千絵は少し前に目を覚まし、巨木の根元に腰掛け佳奈が戻ってくるのを待っていた。
そろそろ帰ってきても良い頃だ。何か、あったのだろうか…。途中で捕まったりしていなければ良いが。
千絵はやきもきしながら、木々の間の暗闇を眺めていた。生き物の気配がしない。当然だろう。本能に従う獣なら、千絵のような怪物には近寄らない筈だ。
千絵はむき出した白い腹を撫でた。夜露で少し濡れて、どこからか射す僅かな光を受けててらてらと艶かしく光っている。
「げふぅっ。」
辺りに誰も居ないのを良い事に、千絵は臆面も無くげっぷをした。級友たちを消化する音が、遠くの雷鳴のように森の静寂を破った。
「ん… 良い音。」
千絵は満足そうに呟いた。
本当なら体育館に留まってクラスメイト全員を存分に味わいたかったのだが、泣く泣くいくつかの死体は齧っただけで残して来てしまった。
これからどんな生活が待ち受けているのか…
しばらく人の肉は食べれない、どという事にもなりかねないのだから、無理してでも食い溜めしておけば良かったと、千絵は後悔した。
「もう2,3人なら入ったのにな…。」
その時、人の気配を感じた。そう遠くない。
佳奈だろうか?
目を凝らすと、藪の向こうにちらちらと何か光るものが見える。続いて、男の声。
「こっちの方だ。」
「本当に何か聞こえたのか?」
もう一人居る。千絵は藪の中に身を隠した。次の瞬間、懐中電灯の光が彼女の頭上を掠めた。


[続]

219:名無しさん@ピンキー
09/12/30 11:10:04 OtKIyWgU
GJ!!

220:名無しさん@ピンキー
09/12/31 01:37:12 U0rlwkAk
GJ!

221:腐肉(P.N.)
09/12/31 05:46:33 lr8o2dW7
「熊じゃないだろうな…。」
片方の男が脅え声で言う。
「この辺にゃ犬よりでかい動物は居ないよ。」
千絵は少し首を伸ばして男たちの姿を見ようとした。その時、目の前がぱっと明るくなったかと思うと、男の叫び声が響き渡った。
「誰だ!?」
見つかってしまったようだ。千絵が目を瞬かせ、ライトの向こうの様子を見ようとしていると、男は相棒を呼んだ。
「おい、坂本!ちょっと来てくれ!」
もういいや。
千絵はやけっぱちになってすくと茂みから立ち上がった。
「あー… 何か、羽織るもの持ってきてくれないか?」
懐中電灯の男が困惑したように相棒に叫んだ。
「何だよ羽織るものって?そんなもん… おおっと…。」
相棒がやって来て千絵の姿を見るなり、足を止めて目を背けた。その隙に千絵は2人の男を観察した。
闇に溶け込む黒い制服は、一目瞭然、警官だった。
銃を持っていないだろうか?
千絵は男たちの手元に目をやったが、手にしたのは懐中電灯だけのようだ。
「えぇっと… こ、こんな時間に何してる?その… こんな所で?」
最初の男がどもりながら尋ねた。藪の中に裸の男が隠れて居やしないかと、懐中電灯を下に向ける。どうやら、この2人は高校で何が起こったかまだ知らないようだ。
しめた、と千絵は思った。腹の隙間を埋めるチャンスだ。
「君、1人か?」
「服を着ろ。」
坂本と呼ばれた相棒が横から口を挟んだ。
「あ、あの、道に迷ってしまって…。」
千絵は徐に藪を掻き分け、警官たちの方へ歩み寄った。
以前の千絵は演劇部などにはまるで興味は無かったが、演技力はこの身体になってから身に付いたものの一つだった。
「おっと…。」
「ちょっと、君…!」
うろたえる間抜けな警官たちを他所に、千絵はその身体を単三電池で点灯する光の下へ現した。
「良かったら、案内してくれませんか…?」
千絵は息がかかるほど坂本に近づいた。近くで見るとまだ若く小柄で、千絵と同じくらいの背丈だ。
「こらこら、君ね、」
最初の警官がそう言いながら千絵の肩に手をかけた瞬間、千絵は牙をむき出し、警官の顔面に被り付いた。警官の悲鳴が闇を劈く。
遠くの方で、その音に驚いた鳥たちが木々から飛び立つ音が聞こえた。
千絵が警官から離れると、男の顔は鋭利な刃物でまるまるそぎ落とされたように綺麗になくなっており、骨や脳の断面をむき出し、
血を噴出しながら枯葉の中にどさりと倒れた。
「う、嘘だろ…。」
坂本は唖然とした顔で、無様に倒れた相棒と、口の周りに飛び散った血をぺろりと舐める千絵の顔を交互に凝視した。
「確かめてみたい?」
千絵は満面の笑みで坂本に語りかけると、目にも留まらぬ速さで彼の身体を押し倒した。あまりに一瞬の事で、坂本は地面に打ち付け
られた痛みも感じず、軽い脳震盪に似た症状を起こした。頭がくらくらし、ピントを調節している最中のように時々視界がぼやける。
そこへ千絵が現れた。坂本の腰の辺りに、むき出しの恥部を押し付け、のしかかる。少女とは思えない異様な重さに、坂本はうめき声を漏らした。
「どこから齧って欲しい?」
千絵は白く美しい手で坂本の顔を撫でた。
「ここかな?」
坂本は涙を流し、哀願するような目で首を横に振った。
「一番好きな処にしなよ?だって、多分最初の一口で死んじゃうから。」
千絵は嬉しそうな目で坂本の身体を、首から腹にかけて指でなぞる。するとその鋭利な爪で、漆黒の制服にすっと切れ目が入った。
「やっぱりここかな?」
千絵の指が、股間のふくらみで止まった。
坂本は首をぶんぶんと横に振った。恐怖と、声が出ない苛立ちから顔をくしゃくしゃに歪めて、金魚のように口をぱくぱくさせている。
そうしている間に少女は凄まじい力で、ズボンを毟り取るようにしてあっと言う間に脱がせてしまった。縮み上がったペニスがむき出しになる。
千絵はぺろりと舌を出し、悪戯っぽくにやりと笑うと、その可愛らしい顔を恐怖に戦く一物へ近づけた。
「ひゃぁうっ!!」
坂本は情けない悲鳴を上げる。
その時千絵の小さな口が、かぷりと彼の小さな陰茎を優しく挟んだ。
「あっ… あうっ…。」
坂本は安堵で身体中の力がみるみる抜けていくのを感じた。ただ一箇所、少女の口に含まれたペニスを除いて。
千絵はあっと言う間にいきり立った坂本から口を離した。唾液が糸を引く。少女は坂本の上に覆いかぶさるようになると、顔を覗き込んだ。


222:腐肉(P.N.)
09/12/31 05:47:55 lr8o2dW7
次の瞬間、彼女の下顎から恥部にかけての腹ががばっと縦に裂け、ずらりと並んだ鋭く残忍に光る無数の歯が現れた。
「きゃああああああああ!!!!!!!!!」
坂本は声の限り叫んだ。巨大な第二の口は糸を引く唾液を散らし、坂本の身体を包み込んだ。
「ギャあああああああああああ!!!!!!!!!!!」
坂本はまだ悲鳴を上げている。千絵はけたけたと笑い声を上げながら、その身体を銜えたまま持ち上げ一気に呑み下した。
それから彼女は落葉に埋もれた顔の無い男の身体の首根っこを掴み、片手で軽々と持ち上げた。
「ちょっと、何してんの!?」
その時、甲高い声が木々の間に響いた。
「信じらんない、あんなに食べたのに…。」
巨大なバッグを抱えた佳奈が、ぷりぷりしながら木々の間をこちらへやって来る。
「夜食だよ。」
千絵はそう言うと、顔無し死体をぱくりと口に放り込んだ。
佳奈は茂みの前にどさりと荷物を降ろすと、打ち捨てられたままの坂本のズボンを拾い上げた。
「警察…?」
「そうみたい。でも学校の事はまだ知らないみたいだった。」
佳奈は顔をしかめた。どうやらズボンに付いたべとべとの唾液に触れてしまったようだ。
「でも、そんな訳無いよ。学校の横通ってきたけど、グラウンドがパトカーとか消防車みたいなので一杯だったよ。」
千絵は返事の代わりにげっぷをした。
「もう、汚いな!」
「だって出ちゃうんだもん!」
千絵は早速自分のバッグを漁って着るものを引っ張り出していた。
「でも、もしかしたら気付いてないのかもしんないよ?」
ふと思いついたように千絵が言う。
「何に?」
「私が犯人だって。だって、死体の半分は呑んじゃったし、誰が犠牲者か識別するのも時間がかかる。」
「そうか… じゃあ案外、しばらく自由に行動できるかも!」
「でも何にせよ、まだ村雨が居るから、今夜中に街を出た方が良いかも。」
「そうだね。」
膨らんだ腹の前で、きつくなったジーンズのボタンを留めようともがいている千絵に向かって、佳奈が楽しげに尋ねる。
「で、どこに行く?北?南? 王道なのは北だよね! あ、でもメキシコって南か…。どっちが良い?」
「どこでも良いの?」
千絵はジーンズを諦めてワンピースに着替えたようだ。夏用なので少し肌寒そうだ。
「ちぃちゃんの好きなところ、どこでもっ。」
「じゃあ私、東京行きたい。」
千絵は興奮気味に言う。頭の中にあったのは、例の少女の事だった。
何故かまだ、東京近辺に潜伏しているような気がしていた。例え違っても、近くへ行けば、また何か消息が分かるかも知れない。
そうしたら…。
「東京かぁ。」
佳奈はスポーツバッグを肩に掛けると、千絵に先立って歩き出した。
「修学旅行以来だね。」
「良い?」
「うん、良いよ!人も多そうだし、食べるのにも困らないしね。」
佳奈はにやりと千絵を振り返った。その時千絵は、親友のその笑みにどことなく違和感を覚えた。
何となくだが、今までとは違うものを。
だが2人で並んで歩きながら、東京へ行ったら何をしたい等と話して居る内に、そんな考えは脳裏の奥へと鳴りを潜めた。


[続]

223:名無しさん@ピンキー
09/12/31 14:32:45 LwC0TjjD
gj

224:名無しさん@ピンキー
09/12/31 14:56:24 WxVuo0FG
来年就活迫る実家暮らしの俺からしてみると、母親殺しはエグかったぜ。
幸せな家庭が一瞬で奪われる、親子関係の話になると胸がキュンとなる。

225:名無しさん@ピンキー
09/12/31 18:44:30 gBAZ7cLV
しかも千絵はそれ知らないんだよな・・・

226:腐肉(P.N.)
10/01/02 13:59:17 pu/Xsm+A
[幕間]
第一南高校の校庭及びグラウンドはお祭りのような騒ぎだった。
無論、本番を翌日に控えた文化祭の前夜祭などではない。企画されていた前夜祭は中止され、生徒は文化祭実行委員も含め全員、速やかに帰宅を命ぜられた。
代わりに櫓の周りに詰め掛けたのは、警察、消防、いち早く情報をキャッチした日本中のマスコミと、近所の野次馬連中だった。
遅れて到着した村雨定夫は、悲痛な面持ちでカメラに向かい事件の惨状を述べるレポーターを尻目に、ビニルシートで一面覆われた体育館へと向かった。
さながら巨大なビニルハウスのような建物に近づいたその時、透明のカーテンの向こうから鑑識の制服を纏った男が駆け出して来たかと思うと、その場にへたり込んで激しく嘔吐した。
村雨は彼を無視し、カーテンの脇に立つレインコート姿の捜査官からゴム手袋を受け取ると、張り付いたゴムを引っぺがしながらカーテンをくぐった。
「これはまた派手にやらかしたな…。」
体育館内の様子を一目見るなり、村雨は思わず口に出して言った。
装着したゴム手袋をパチンとはじきながら、彼は血塗れのバスケットコートの下で指揮を執っている、しわくちゃのコートを着た男に近づいた。
足元で3年C組の哀れな生徒たちの固まりかけた黒い血がひたひたと撥ねて革の靴に付いたが、村雨は気に留めなかった。
「環境庁です。状況は?」
村雨はコートの男に話しかけた。
「吉祥警部です。状況は…まぁ見ての通りです。」
コートの男は自己紹介し、辺りを見渡した。
「ええ、さながら血池肉林と言ったところですかね。」
村雨のジョークは、吉祥警部を不快にさせたようだったが、彼はこの痩せた黒縁眼鏡の男を睨んだだけで、すぐに仕事にかかった。
「損傷が激しく、個人の特定はおろか人数すら定かではありません。確認できる遺体は計16体。内男性7、女性9。ですが… 3年C組の生徒が全員、行方不明になっており、恐らくは…」
「ええ、血の量からして、全員ここで死んだのでしょう。」
そう、恐らく、1人を除いて…。
村雨は赤一色に染まった体育館を見渡した。あちこちで、ビニル製の滅菌服のようなものを着た男たちが、肉や骨の破片を拾い、本来なら遺体を乗せる筈の担架の上に集めている。
先ほどの若い鑑識同様、口を手で押さえては外へ飛び出していく者もちらほら見えた。
「ご苦労様。後は我々が引き継ぎます。とりあえずこの場を片付けてください。」
村雨は吉祥警部に指示を出した。
「ちょっと待ってください。まだ鑑識が…。」
吉祥は抗議する。
「この場合、重要なのは“喰われた側”ではないんです。食べ粕に用はありません。」
村雨は冷たく言い放った。
「あんたら…何を隠している?」
吉祥は村雨を睨み付ける。
「…あなた方警察は、誰も彼も同じ事を言うんですね。そう言えば彼、福沢刑事、でしたか?彼はどこです?見当たりませんね。」
吉祥の顔色が変わった。
「…福沢も行方不明だ。昼にこの学校を訪問していた事が分かっているが…目的は不明だ。」
「ではお悔やみを申し上げます。」

227:腐肉(P.N.)
10/01/02 14:02:19 pu/Xsm+A
村雨の冷酷な言葉に、再び吉祥は怒りで顔を歪ませた。
「我々には何も話せない、と?」
「話せないのではなく、話しても無駄だから話さないのですよ。」
「…では、パトロール中の警官には何と伝えれば?」
「何も伝える必要はありません。“ここでは何も起きなかった”。分かりますか?今宵この場所で40人もの哀れな学童が、有望な前渡を絶たれ
無残にも肉の破片にされてしまったという事実を、抹消するのですよ。では、さっさとこの反吐を片付けてください。」
村雨はそう言い残すと、再び血の池の中、肉片を踏みしだきながら去って行った。
建物から出ると、上空をヘリが飛んでいた。サーチライトの光が眩しく辺りを照らし出す。
「あれはどこのヘリです?」
村雨はカーテンの外で待機していた黒服に尋ねた。
「民間です。恐らくテレビ局かと。」
黒服は答えた。
「今すぐ飛行禁止命令を出してください。それから、あちらの方々にもお引取り願うよう。」
村雨は遠巻きに校舎を取り囲みカメラのフラッシュを瞬かせている集団に目を遣り言った。
「本部に通達、対象は蓮杖千絵で確定。すぐに捜索を開始してください。尤も、もう遅いかも知れませんが…。」
村雨は遠ざかっていくヘリに一瞥くれると、車に乗り込んだ。
「発見しても手出しはせずに追尾するんだ。」
「しかし民間の犠牲は…。」
「この際、多少の犠牲は目を瞑りましょう。更に大勢を護るためだと思えば良い。」
車が動き出し、マスコミを押し出すように正門を突破した。
カメラのフラッシュが黒塗りの車体を光らせたが、ガラスには遮光がしてあるので外からは中が見えない。
フラッシュライトに照らされながら、村雨は興奮を禁じえなかった。待ち侘びた瞬間がついに訪れるのだと思うと、ぞくぞくする。
「うまくすれば、彼女がオリジナルの元へと導いてくれるかも知れない…。」

---------------------------------------------------------

その頃、千絵と佳奈は県境に達そうとしていた。
検問が敷かれている場合等を考慮した結果、歩いて行くのがやはり最も安全だという結論に至ったのだ。
かなりの距離だったが、スタミナを補給したばかりの千絵には何ら苦で無かった。佳奈も不平一つ言わずに付いて来る。
意外とタフなのだ、この子は、と千絵は何故か鼻が高い。
高速道路沿いに歩いて数時間すると、何も無いドライブインに辿り着いた。夏休みに、常舞病院へ行く2人がバスを降りた所だ。
時計を見るともう深夜3時を回っており、セルフの給油所も閉まっていた。その殺風景さは、2人に急激に疲労感を思い出させた。
自動販売機の他にはトイレしか無く、2人は仕方なくトイレの個室で身を寄せ合って朝まで眠る事にした。


[続]
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あけましておめでとうございます。
新年初の投稿が中途半端なところになってしまってすみません。

228:名無しさん@ピンキー
10/01/02 14:59:12 HWaoWsG/
最初は普通?の捕食系SSだと思ってたのにここからどこまで大きくなるんだろうか

しかし、どんどん書き方が上手くなってきて読んでて読みやすいし面白いな

229:名無しさん@ピンキー
10/01/02 16:30:43 O9dLQ3Io
GJ!!
今年もwktkさせていただきます。

230:名無しさん@ピンキー
10/01/02 19:38:16 wszWXsS7
GJ!
楽しませて貰いました

231:名無しさん@ピンキー
10/01/03 22:00:59 JSnwJq/i
久々に見にきたら腐肉さん復活!GJ!
今年もよろしくおねがいしやすぜ

232:腐肉(P.N.)
10/01/04 05:11:27 28XebKjS
じりじりと焼け付くような日差しが、フロントガラスを付き抜け、運転席の大蔵慎太郎の目を眩ませる。9月も半ばだと言うのに、夏が再来したように暑い日だった。
彼はダッシュボードから古臭いデザインの汚れたサングラスを取り出してかけた。
「パパ、クーラー上げて。」
後部座席から生意気な声が飛んできた。コンソールボックスの上に裸足の足をどんと乗せ、シートにだらりともたれた娘の輝子。
慎太郎は黙ってクーラーのスイッチを強に合わせた。娘の脚がちらりと目に入る。まだ小学生だと言うのに全く、いつの間に毛を剃る事など覚えたのだ。
「ママおっそい!」
輝子は苛立った。暑さのせいもあるが、恐らく今回の紀美子の急な帰省の巻き添えで、学芸会に出られなかった事をまだ根に持っているのだ。
それは慎太郎も同じだった。こんな半端な時期に有給まで使って妻の実家へ行くなんて。それについては妻紀美子とも散々口論になったが、結局彼が折れた。
だと言うのに、病院に駆け付けたら看護士に「峠は越えました」とあっさり言われ、翌朝には目を覚まして姪夫婦にいつもの嫌味と愚痴をぶちまけていた。
叔父の無事への安心と嫌気から、一家はこの週末妻の実家に滞在する予定をキャンセルして早々に引き上げてきたのだ。
全くあの調子では、あの爺は当分死なないだろう。
「パパ、ラジオ下げて。」
再び、後部座席からの指令。
慎太郎は相変わらず黙ったまま、昨日この近くの高校で1クラス丸まる全員が“行方不明”になった事件を伝えるアナウンサーの声を、車内から追い出した。
その時、殺風景なドライブインにぽつんと佇むトイレから誰か出てくるのが見えた。
紀美子の奴、やっと出てきたか。大方、功が愚図ったのだろう。功は4歳になるが、まだおむつが外れない。
慎太郎は時計に目をやった。もう30分以上も経っていたのか。
だが次に顔を上げた時、そこに居るのが妻と息子ではないと気付いた。女子高生くらいの少女が2人、大きな荷物を抱えてこちらに向かって歩いてくる。
ふと見ると、背の高い方の少女の腹が異様に膨張している。
妊婦だろうか?もしかして産気付いたとか…。
面倒事は御免だと念じる慎太郎の思いを他所に、少女の1人がこんこんと助手席の窓を叩いた。慎太郎は溜息を吐きながら窓を開ける。
後部座席で娘が「あれ誰?」と不満そうに尋ねている。
「すみません、乗せてもらえませんか?」
背の低い方の少女がにこやかに言った。慎太郎は内心苛立ちながら尋ねる。
「どうかしたのか?」
その時、突然後部ドアが開き、背の高い美少女が乗り込んできた。
「ちょっと、君…!」
慎太郎がそう言いかけた時、信じられない事が起きた。少女の服が、手も触れないのにはらりとはだけ、大きく膨らんだ腹がぱっくりと2つに裂けた。
後部座席に座っていた輝子は甲高い悲鳴を上げ逃げようとドアに手を延ばしたが、すぐに少女の細い腕にがちりと捕まってしまった。
だが何より慎太郎を恐怖させたのは、少女の腹の中にあったものだった。そこにはぐちゃぐちゃの死体が2つ。それぞれに、妻紀美子と息子功の頭が付いていた。
「う、うわぁっ…!!」
慎太郎は娘の前なのを忘れ、思わず悲鳴を上げた。その時、功がぴくりと動き、ゆっくりと頭をもたげた。
「パ…ぱ…。」
功は搾り出すような声で父を呼んだ。耐え難い苦痛から救い出して欲しくて、父に乞うた。その顔は解けたバターを被ったようにどろどろだ。
慎太郎は、それが骨だと気付くまでに時間がかかった。息子の目から、どろりとした赤い液体が流れ出た。
それが涙なのか血なのか判る前に、彼の目の前で肉の壁がバクリと閉じ、瀕死の息子を押し潰した。
「げぇ゙うっ!」
千絵は堅く閉じた第二の口の裂け目を満足げに撫でながら、耳を劈くような大音量のゲップをした。千絵の腕に捕らえられた輝子は悲鳴を上げた。
それに釣られて慎太郎も悲鳴を上げ、逃げ出そうと運転席のドアに手を掛けた。

233:腐肉(P.N.)
10/01/04 05:13:37 28XebKjS
「ちょっと、逃げないでよ、おとうさん。」
助手席から声がした。いつの間にか、背の低い方の少女が乗り込んで来ていた。こちらもかなりの美少女で、まだにこやかに微笑んでいる。
「逃げたら娘さんを餌にする。」
佳奈は凄んだ。先ほどまでの可愛らしさはどこへやらだ。
「大丈夫だよ、そんな大変なお願いじゃない。東京まで乗せて。でなければ、出来るだけ近くまででいい、次の拾うから。」
後部座席の怪物が、少女の声で言った。慎太郎は取っ手に手を置いたまま、ごくりと唾を飲み込んだ。
「い、言う事を聞いたら…。」
「そしたら食べないであげる。」
助手席の佳奈が続けた。
「パパ…。」
怪物に首を締め上げられた輝子が涙を流した。慎一郎は、久々に娘の顔を真直ぐ見た気がした。
「大丈夫だ、必ずパパが助けてやる。」
慎一郎は掠れる声で娘に言った。
「じゃぁ、出発進行!」
佳奈が前を指差し、高らかに宣言した。慎太郎は震える手でエンジンを掛けると、車を発進させた。
かくして、焼けるような暑い日の昼下がり、2人の少女の逃走劇が幕を開けた。
車内は恐ろしく静かだった。実際には佳奈が勝手にラジオを入れていたし、時々流れる曲に合わせて鼻歌を歌っていたし、
運転手の妻子を消化中の千絵は時折小さくゲップをした。
その度に彼女の腕の中で、大蔵輝子は恐怖しすすり泣いた。だが、慎太郎にとっては無音も同然だった。
目の前で潰された、愛する息子の無残な姿が脳裏を過ぎる。初めての風呂、ハイハイ、歩行、初めてパパと呼んだ時の事を思い出した。
大きくなったらキャッチボールをしよう、山へキャンプへ行こう、やがて大人になったら息子と杯を交わす… そんな夢は、もう叶わない。
泣きたかった。だが涙が出ないのは、後ろで娘を人質にしている怪物への恐怖心のためだろう。
そして妻紀美子の死に対しては何の感情も起こらない自分に対する嫌悪のためだった。
だから慎太郎は、検問に気付かずに危うく前の車両に追突する所だった。大型のパジェロの尻が迫ってくるのを見て、慌てて急ブレーキをかけた。
「何?」
後ろから千絵が顔を出した。慎太郎は思わず身を引く。
「検問。」
「マジ?結構離れてるのに…。」
「ていうか、何の検問だろ?昨日の…まだバレてない筈だよね…。」
慎太郎は恐る恐る、助手席と運転席の間から覗いた怪物の顔を横目で見た。顔だけ見れば、先ほどのおぞましい光景を忘れるくらいの美少女だ。
慎太郎の心から一瞬恐怖が薄れ、彼は少女の横顔に見とれた。
「さて、作戦その一。」
その時突然少女がくるりと振り向いた。慎太郎はどきりとして身を縮めた。
「あんたがパパ、全員娘。作戦その二、あんたが先生で私たち生徒。」
「その子どうするの?」
佳奈が後ろの輝子を指差して尋ねる。
「…妹?」
千絵がそう言うと、輝子はひくりと身を震わせて泣き出した。
「さ、作戦、一で…。」
慎太郎は呟いた。
「だよねっ。じゃあよろしく、パパ。」
千絵は運転手に笑いかけ、顔を引っ込めた。慎太郎の顔に息がかかる。甘い、むかつくほど甘い香り。
それが息子と妻の肉の匂いだと分かっていたが、慎太郎は胸が高鳴るのを感じた。
それは、これから警官を騙そうとしているからなのか、それとも、あの少女に「パパ」と呼ばれたからだろうか。
「ね。」
慎太郎ははっと我に返る。助手席の少女が話しかけてきた。
「妙な事したら、殺すよ? …パパ。」
その残忍に輝く目に心底脅えながら、慎太郎は震えるように頷いた。


[続]

234:名無しさん@ピンキー
10/01/04 13:09:56 M9YurgLO
GJ

235:名無しさん@ピンキー
10/01/06 03:12:06 Tnv8MZYT
これまた面白い展開だな

236:腐肉(P.N.)
10/01/07 00:54:48 kRJVL5GE
休日とは言え9月のこんな半端な時期の昼間に、片田舎の高速を走る車などそう居ない。すぐに前の車が動き、千絵たちの車の番が来た。
警官が2人歩み寄り、慎太郎は運転席の窓を開けた。外からもわっとした熱気が車内に流れ込む。
「どうも、この近くで失踪事件がありまして…。」
警官の1人が額の汗を拭いながら言った。
「ご苦労様です。」
「高校生、なのですが… 失礼ですが、娘さんですか?」
警官は車内を覗き込んで尋ねた。
「そうです。」
千絵と佳奈は声を合わせて答えた。少し遅れて輝子が「…です」と呟く。
「どちらから?」
「盛岡にある妻の実家です。これから埼玉に戻ります。」
「そうですか…。」
警官は後ろに立つもう一人と顔を見合わせ、軽く合図すると再び向き直った。
「結構です。どうぞ。」
「あ、あのっ。」
慎太郎は警官に声をかけた。何を言うつもりか、自分でも分からなかった。だが、娘を救えるチャンスかも知れないと、必死だった。
助手席の少女の視線を感じる。後部座席から「ひっ」という短い悲鳴が聞こえる。
慎太郎が振り向くと、怪物が警官からは見えないように、娘の耳たぶに唇を這わせかぷりと噛み付いた。
「どうしました?」
「そ、その高校生、何かしたんですか?」
警官の声に、慎太郎は咄嗟にそう尋ねた。
「いいえ、そういうのではないです。ただ奇妙な事件がありまして、高校の一クラス全員が、突然行方不明になったらしいです。」
その時、後部座席から千絵が顔を出した。
「パパ、この子トイレ行きたいって。」
警官はどうぞ、というように進行方向へ向かって手を差し出した。
「すみません…。」
慎太郎は何に対して謝っているのか分からなかったがとりあえずそう言って車を発進させた。
「お気をつけて。」
警官たちの姿が遠のくと、助手席の少女が運転席に身を乗り出した。
「さっきのどういう事かなぁ、パパ?」
「い、いや…」
佳奈は言い訳しようとする慎太郎を遮った。
「その行方不明のクラスってね、私たちのクラスなの。」
再びひょっこりと顔を出した千絵が、にこりと微笑み言った。
「皆、喰った。」
それから2人の少女はくすくす笑いだした。
「あ、そこで停めて。」
ふと千絵がドライブインの看板を指差し言う。
「えっ?」
「言ったじゃない、この子トイレだって。」
「あ、ああ…。」
見ると輝子は本当にトイレに行きたそうに、千絵の膝の上でもじもじしている。慎太郎は急いで斜線を出てドライブインに入った。

237:腐肉(P.N.)
10/01/07 00:59:26 kRJVL5GE
佳奈が輝子をトイレに連れて行っている間、千絵と慎太郎は車内で2人取り残された。ラジオは消え、クーラーが冷気を吐き出す音だけが響いている。
慎太郎はバックミラー越しにちらちらと後ろの少女を覗き見た。もう腹は少ししか膨れていない。慎太郎は再び息子の最期を思い出し、目を背けた。
「気になる?」
その時後ろから声がし、慎太郎はびくりと震えた。シートの間から千絵がひょっこりと顔を出す。
「安心しなよ、食べないから。運転手居なくなると困るもん。」
「あ、ああ…。」
慎太郎は恐る恐る振り向くと、可愛らしい少女の顔が彼の脅えた目を覗き込んでいた。
「喉渇いたんじゃない?」
千絵は尋ねた。
「さっきから凄い汗だもんね?」
そう言うと、千絵はドアを開けて外へ出、運転席のドアを開けた。じめじめした空気の壁が押し寄せ、少女が背にした太陽の眩しさに慎太郎は目を瞬いた。
「売店、行こ?」
千絵が慎太郎の手を引いた。
「ちょっ…君、いいのか?君の友達が…。」
慎太郎は、助手席から向けられる殺意の籠もった視線を思い出し、背筋を振るわせた。
「千絵、っていうんだよ。あの子は佳奈。売店行こうよ、私も喉渇いた。」
千絵は慎太郎の手を引いてずんずん歩き出した。慎太郎は慌てて後ろ手にドアを閉めた。
慎太郎は売店で缶ジュースを2本買い、1本を少女に与えた。少女はものの数秒でそれを飲み干すと、下品なゲップをした。慎太郎は怪物に、もう1本買い与えた。
車に戻ると、千絵は2本目もさっさと飲み干し、手持ち無沙汰に缶をぺしゃんこに潰して遊び出した。
「き、聞いても良いかな…。」
何度も何度も潰されては引き伸ばされてぐしゃぐしゃにされたスチール缶をバックミラー越しに見つめながら、慎太郎が口を開いた。
「何?」
「君は…」
「千絵。」
「ち、千絵…さんは、何者なんだ?」
「随分ストレートに聞くんだね。」
慎太郎の顔から血の気がさっと引くのをバックミラー越しに見た千絵は、からからと笑った。
「だから、大丈夫だってば。 私自身よく分からないけど、とりあえず人間じゃ無いよ。人間の記憶はあるけど、生まれたときから人間じゃない。
まあ、まだ生まれて半年も経って無いんだけどね…。」
慎太郎は、余計分からなくなったがそれ以上突っ込んで聞くのは止めた。
「と、東京へ行きたいと言ったね。」
「ん。」
「どうしてだ…?」
千絵は少し考えるように鏡を見つめ、もごもごと呟いた。
「運命の人を探しに、とか…。」
「えっ?」
その時、後部と助手席のドアが同時に開き、佳奈と運転手の娘が戻ってきた。
「あちぃー…。」
佳奈がクーラーの前に顔を突き出して項垂れた。
「お姉ちゃん、あたしも…。」
後部座席から輝子が顔を出した。
「おぉ、じゃあおいで。」
佳奈は輝子の身体を後ろから引っ張りだし、自分の膝に座らせた。とりあえずこの佳奈という子がトイレの間娘を優しく扱ってくれたようで、慎太郎は安心した。
「おじさん、埼玉まで行くんだよね?」
佳奈が尋ねた。
「あ、ああ…。」
「後どれくらい?」
「一時間もかからない。夕方には着く筈だ。」
---------------------------------------------------------------------
その頃、時速270kmで山間を駆け抜ける新幹線の中で、村雨の部下、岡崎は一本の電話を受けた。通話後、岡崎はデッキから座席に戻った。
隣の座席で、村雨が数日振りの仮眠を取っていた。岡崎が村雨を起こそうと肩に手を延ばした瞬間、眼鏡の向こうの切れ長の目がぱちりと開いた。
「見つけました。」
岡崎は報告する。村雨の寝ぼけ眼は一瞬でいつもの鋭い眼光を取り戻した。
「よし。」
車内アナウンスが流れ、新幹線は一時間後に東京駅に到着すると告げた。

238:名無しさん@ピンキー
10/01/07 19:10:55 3DX4f+e8
GJ!!

239:名無しさん@ピンキー
10/01/07 19:19:17 Pzzs/8ZJ
[続]がないから続きを20時間待機してたがそんなことはなかったぜ

240:名無しさん@ピンキー
10/01/07 21:53:30 UVb5D1wd
>>239
ムチャしやがって・・・・

241:腐肉(P.N.)
10/01/10 06:02:13 wjDMwITd
>>239
本当にごめんなさい!お詫び(?)にいつもより多めに書きました。
---------------------------------------------------------------------
空が桃色へ移り行く頃、千絵と佳奈を乗せた大蔵家の自家用車は埼玉県郊外のインターチェンジ手前の待避するスペースで停車した。
「ありがと、ここからなら歩ける。」
千絵はそう言って、後部座席の下に置いてあった荷物を引っ張り出した。外は日中に比べれば幾分か涼しくなっていたが、湿度は相変わらずでべたべたと肌に纏わり付く様だ。
「東京まで歩かなくても、降りてしばらく行ったところに駅がある。大宮まで出て乗り換えれば良い。」
慎太郎が言った。
奇妙な感じだ。この数時間の間に、この怪物のせいで家族が半分になったと言うのに、なぜここまでしてやるのか自分でも分からなかった。
なぜ愛着を持つのか…。
その時、何か液体の飛び散る音がした。ふと見ると、フロントガラスに黒っぽい液体が飛び散っている。
血だ…!
慎太郎は急いで愛娘の方を振り返ろうとした。だがその時、ぐらりと首が揺らいだ。下を見ると、どす黒い血がシャツを染め、革のシートの縫い目に溜まっている。
「えっ…。」
これは俺の血なのか…?
なぜだ?
首から血の前掛けを垂らしたような姿の大蔵慎太郎は、その疑問に答えが見出せないまま、ハンドルの上に覆いかぶさるように倒れた。
力の抜けた身体の重みでクラクションが鳴り響いた。佳奈は急いで運転手の遺体を蹴ってハンドルから落とすと、後部座席の幼女の方を向いた。
大蔵輝子は何が起こったのか分からないという顔で佳奈を見上げた。その顔には、父親の血の飛沫が付着している。
輝子は顔についたそれを掌で拭うと、真っ赤に汚れた自分の手を見つめた。
「ふぇ…。」
喉からそんな音を漏らし、泣き声を上げかけたその時、佳奈の手にしたカッターナイフがびゅっと音を立てて幼女の視界を横切った。
次の瞬間、フェルト張りの車の天上に鮮血を吹き上げた。佳奈は返り血を防ぐために助手席の陰に身を隠した。幼女の身体は前のめりに倒れ運転席に支えて動かなくなった。
「佳奈…?」
開け放した後部ドアの向こうで、千絵がきょとんとして首をかしげた。薄暗い車内で、佳奈の目が異様な光を帯びているのが見える。
その向こうの車道を、ヘッドライトで前だけ照らした様々な車たちが、こちらで起こっている事には見向きもせずに過ぎ去っていく。佳奈はもぞもぞと助手席に戻ると、外へ出てきた。
「行こう。」
車を回って千絵の方へやって来た佳奈は、荷物を掴むともう片方の手で千絵の手を引いた。
「殺した?」
千絵は車の方を振り返りながら尋ねた。
「うん。“食べない”として言ってないし。行こう、気付かれるとやばい。」
佳奈はガードレールをひょいと乗り越え、茂みの中に着地した。
「佳奈。」
千絵は佳奈の肩を両手で掴んで振り向かせた。力を込めすぎて、佳奈の華奢な身体は持ち上がりそうだった。佳奈はびっくりしたような、脅えたような顔で千絵を見た。
「食べないものは殺しちゃいけないんだよ?」
千絵は諭すように言った。
無論大蔵親子に“人間的”同情を覚えたためなどではなく、単純にもったいないからだった。千絵は体育館に残してきた級友達の肉の事を口惜しく想った。
佳奈は黙って千絵を見つめていたが、次の瞬間、堰を切ったようにその目から涙が溢れ出した。
「だって… だって…。」

242:腐肉(P.N.)
10/01/10 06:03:17 wjDMwITd
千絵は佳奈の肩を放した。佳奈はスポーツバッグを叢の中にどさりと落としてガードレール越しに千絵に抱きついた。
「怖かったよぅ…。」
佳奈はしゃくり上げながら、罪を告白した。
「あっ、あっ… あたしねっ… ママ…ママをこ、こ…」
佳奈が何を言おうとしているのかが分かると、千絵はぎゅっと彼女の頭を抱きしめた。
服が涙と鼻水で湿り、佳奈の髪はくしゃくしゃになったが、2人ともそんな事は気にしなかった。
しゃくり上げるのが少し収まると、佳奈はやや落ち着いた声で小さく呟いた。
「殺したの…。」
千絵は佳奈の頭を撫でた。
「ごめんね佳奈。私のせいだ。」
千絵は呟いた。佳奈はすぐに千絵から離れると、落としたバッグを拾い上げ、千絵に手を差し伸べた。
佳奈の助けが無くとも、この位のガードレールは超えられるのにと、千絵は何だかおかしくて微笑んだ。
「私が、千絵をま… 護るもん。」
まだ少ししゃくり上げながら、佳奈が言う。
私も、全力でこの子を護ろう。もう夏の時のような思いをするのは嫌だ。今度こそ… 口にこそ出さなかったが、千絵はそう誓った。
もう後戻りは出来ないのだ。だから今は、残してきたもの全てから目を背けて逃げても良い時だと、少女たちは思う事にした。過去は消せないと分かっていながら。
2人は荷物を持って人が来る前にその場を離れた。酷く疲れていた。
東京の電車の事も分からないので、その日は駅の場所だけ確認して、近くのホテルに泊まる事にした。ついでに駅で路線図を一部貰ってきた。
ホテルの部屋は嫌いだった。
末永雅人と一緒に“死んだ”あの時の事を思い出すからだ。だが今回は、隣りに佳奈が居る。その分、少しは気が安らいだ。
これからこういう暮らしが続くかも知れないのだから、慣れなくては、と千絵は思った。未知の世界に脚を踏み入れたのだ。
だがそんな戸惑いも、夜のニュースに吹き飛ばされ一気に興奮へと変わった。
千絵がシャワーから出ると、佳奈はベッドに腰掛けてテレビを見つめていた。千絵が横に腰を下ろしても、振り向きもしない。
「シャワー良いよ。」
千絵は念のために宣言した。
「ニュース、やってない。」
佳奈が呟いた。
「んー?」
千絵はバスタオルで煩わしそうに長い髪をぐしゃぐしゃに乾かしながら尋ねた。
「高校の事も… 私の家の事も。」
佳奈はチャンネルをかちかちと変えながら苛立たしげに言った。
「どういう事だろう…。」
「環境庁が規制してるんだ。」
「でも警察は本当の事を知らないみたいだったよ?」
佳奈はザッピングを止めるとベッドの上に胡坐をかき、考え込むように唸った。
「んー… 怪物の存在は知ってるけど、それがちぃちゃんだとは気付いて無い?」
「うにゃ、村雨の口調だと、十中八九私は関係者って確信してた。」
佳奈は溜息を吐いて、胡坐のまま上半身をベッドの上に倒した。
「はぁーあ、大人の考える事は分からん!」
ふと、佳奈は千絵が裸なのに気付いて凄い勢いで目を背けた。
「ふ…服、着なよ…。」
「なぁにー?赤くなってんの?」
千絵は意地悪くにやにやと笑った。


243:腐肉(P.N.)
10/01/10 06:10:31 wjDMwITd
「…変かな。」
佳奈がぼそりと言う。
「ん?」
「昨日から何か変なの。身体が熱くて…ずっと。熱があるのかな?それで、自分の鼓動が凄く大きいの。」
「恋かにゃ?」
そう言って千絵は佳奈をベッドに引き倒した。佳奈は悲鳴を上げながらのた打ち回り、千絵はそれがくすぐったくて笑った。
その時、そのニュースが飛び込んできた。
「佳奈…」
千絵は呼びかけるが、復讐に燃える佳奈はくすぐるのを止めない。
「佳奈、しぃっ。」
「何だよ、ちぃちゃんから先に…」
そう言いかけて佳奈も、ブラウン管の中の眼鏡をかけたキャスターが何を言っているのか気付いた。千絵は勢い良くベッドから起き上がると、音量を上げる。
屈んだ時に恥部が露わになり、佳奈はまた目を背けた。
「警察では8月に起きた八王子市の事件との関連を調査しています。繰り返しお伝えしておりますのは、本日午後、地下鉄丸の内線で起きた事件の続報です…」
テレビ画面がキャスターの顔から、立ち入り禁止のテープの貼られた駅の映像に切り替わった。奥の方に、ホームに乗り上げて拉げた電車の車両が見える。
「本日午後、方南町駅で電車が停止せずにホームへ衝突する事故がありました。また、中野富士見町、方南町区間で走行中に車掌及び乗客が全員行方不明になったと見られ、
警察ではその人数の確認と個人の特定を急ぐと同時に、地下鉄丸の内線を前線運行停止し…」
「丸の内線!」
千絵は小さく叫ぶと、鞄から駅で貰って来た都内の路線図を引っ張り出してチェックした。新宿のそば。
「やっぱり、やっぱり居たんだ…。」
千絵の全身を興奮が駆け巡る。
「明日、近くに行ってみよう。」
千絵は目を輝かせて佳奈の方を向いた。佳奈はと惑うような視線をちらりとテレビに向けてから徐に口を開いた。
「もし… もしまた…出会ったら?」
「えっ…」
千絵は口ごもった。そう言えば、彼女がなぜオリジナルを探したいのか、佳奈にまだ話していなかった。
「もしかして千絵…そのために東京…」
「ごめん。」
千絵は殴られるのを避ける犬のように頭を下げその上で手を合わせた。
「どうしても、私はあいつを見つけ出したい。」
「見つけ出してどうするの…?」
千絵がどう答えようかと迷って佳奈の顔をちらりと見ると、その様子から佳奈は悟ったらしく、何故かぱあっと顔を輝かせて、
「食べるの!?」
と声を殺して叫んだ。
「すごい!」
何がすごいのか千絵には分からなかったが、怒られずに済みそうだと分かってほっとした。
「出来れば、ここはチェックアウトしたい。もっと近いところ、新宿の辺りに新しい“ねぐら”を見つけたい。」
「でも、もう近くに居ないかも知れないよ。」
「あいつが近くに居れば、私には分かる。だから佳奈も護れる。」
その時佳奈の中で先ほど感じた不安が再び首を擡げた。
あれ以来聞こえてくるのは、自分の鼓動だけではなかった。千絵の心臓の音も聞こえていた。まるで自分の心臓の隣りで鼓動しているように、凄く近くに…。
“あれ”というのは何の事か?佳奈には大体予想がついていた。大分時間が経ったように感じるが、まだ昨日の事なのだ。
佳奈は、福沢に撃たれて傷ついた千絵の傷口から、血を飲んだのだ。もしかすると…。
佳奈の懸念を他所に、千絵は明日の予定について喋り続けている。楽しげに(しかも全裸で)話す千絵を眺めているうちに、佳奈の不安は少し安らいだ。
ふと思い出したように千絵が言う。
「そう言えばシャワーは?」
「あぁ、うん…。」
テレビはもう別のニュースに変わっている。大都会では、毎日こうなのだろうか。佳奈は一瞬ぼぅっと画面に映る火事の映像を眺めてから、立ち上がってバスルームへ向かった。
千絵と一緒に入りたい… などと思う自分は、おかしいだろうか?
シャワーを浴びる間、千絵の事ばかり考えていた。身体が、湯の温度以上に熱く感じた。風呂から出ると、千絵は裸のまま布団の上で眠っていた。
佳奈は使っていないタオルを持ってきて上からかけてやった。それから気付かれないようにそっと、獣にしては静かな寝息を立てる親友の頬に口付けた。


244:腐肉(P.N.)
10/01/10 06:14:46 wjDMwITd
[続]
--------------------------------------------------------------------
という訳で東京にやって来ます。
何かリクエストがございましたら可能な範囲で(前回あった魔人ブゥ式は、千絵の身体の構造上どうやって良いのか分からずお応え出来ませんでした、すみません!)
応えますのでお聞かせください。

245:名無しさん@ピンキー
10/01/10 07:25:52 s7/x1YXu
くぱぁ

246:名無しさん@ピンキー
10/01/10 11:07:08 qa9ty9Ra
腐肉さんGJ!!
リクはある意味王道「セル式」キボン

千絵の触手でずるずる呑まれて腹まで逝きたい・・・

「和姦」ならぬ「和喰?」も好きなので病院の少年の話は好きです

>>245
どストレートワロタwwww

247:名無しさん@ピンキー
10/01/10 12:11:20 Hl3FmiBV
おちんちんを食べる系リクですー
あとはいつもばくばく食べちゃってるので「味わう」描写も

248:名無しさん@ピンキー
10/01/10 15:38:42 vsVVyxyb
ショタが嬲られた挙句食べられるのを希望

小学生や奏、謎の患者や巧って結構出てるけど、何気に描写は少ないという

249:名無しさん@ピンキー
10/01/10 15:53:31 LHJ65gSb
美味しそうな女の子を
腹の中で飴玉のようにじっくり舐め味わうとか……
その様子を見た佳奈たんが
中の様子を妄想して秘所まさぐりはじめちゃったら、もう!

あと、今度は食い残ししないよう
もっと多くの人間が喰えるように
触手(舌)でも丸呑み可能になる→セル式丸呑みとか
銃弾でも致命傷にならないように
不定形化可能になる→ブウ式丸呑みとか
そんな僕らの夢にむっちゃ都合の良い
獣の適応力が発動するといいなぁ。

そして佳奈たんまでフラグか……ほんと面白いです。

250:名無しさん@ピンキー
10/01/11 20:00:09 XgQHLBh0
中野富士見町~方南町ってめっちゃ近所やわ

251:名無しさん@ピンキー
10/01/12 00:26:28 5w4S8tPh
>>249と同じ意見だけど、腹の中でじっくり味わうのをやって欲しいな。
あと、腹の中の様子を呑まれた人視点で描いて欲しいかも。

252:名無しさん@ピンキー
10/01/12 23:36:24 zp2QfQpR
頑丈なドアを閉めて立てこもったら大丈夫ですよ

253:腐肉(P.N.)
10/01/13 04:35:32 A7WfDhgS
翌朝、2人は駅の表示を頼りに電車を乗り継ぎ首都東京へ向かった。
東京駅に着くと、2人は件の地下鉄丸の内線を探して、丸の内出口から外へ出てしまった。目の前には大都会が広がっていた。
千絵は眩暈を感じた。ぶつぶつ文句を言う佳奈に抗議して(「だって、丸の内って書いてあったんだもん!」)短い議論の末に少し歩いてみる事に決まった。
巨大なビルの間を右も左も分からないまま進むと、すぐに皇居が見えてきた。
2人は皇居をぐるりと周る様にして歩いたが、外苑の予想以上の広大さに、結局四ツ谷の辺りまで到着したのは午後になってからだった。
2人はファストフードのチェーン店で軽い昼食を取って少し腰を落ち着ける事にした。
佳奈に「目立たないように」と念を押された千絵は、ハンバーガーは10個で抑えておく事にした。それでも周囲からじろじろ見られたが、佳奈は何も言わなかった。
それよりも彼女は、どうして日曜日の昼に制服を着た女子高生がこんなにたくさんファストフードの店に居るのだろうという事を気にしていた。
腹が“少し”満ち足りると、2人は丸の内線の駅を見つけ、電車に乗り込んだ。
「完璧な閉鎖空間、しかも隣りの駅まで5分弱。乗客は年齢も性別も各種取り揃えております、か。理想の餌場だね。」
千絵は車両を見渡して感心したように言った。
「5分で済むの?」
佳奈が興味ありげに尋ねる。
「“あいつ”なら… 6両だし、午後の多分人の少ない時間帯なら。」
千絵は路線図を眺めながら、中野坂上で枝分かれした赤い線を辿った。路線が変わるのだろうか?なのに同じ丸の内線?
千絵と佳奈はあれこれ推測しあったが(「車両が分かれるのかな?東京の地下鉄はすごいね!」)中野坂上に到着すると乗換えが必要だと判明した。
「短い区間に駅が3つ…理想的な餌場だ。」
と千絵は再び感心した。当然ながら中野坂上から方南町間はまだ運休しており、ホームの半分は柵で仕切られ、その向こうは警察だらけで
暗い穴のような路線の向こうからは懐中電灯の光がちらちらと見える。
「本当に行方不明になった人たちが暗い地下でうろうろしてると思ってるのかな。」
佳奈は、新たに参入してきた捜索隊が、両脇のホームから、3つ並んだ線路のうち真ん中の方南町方面の線路に降りるのを眺めながら蔑む様に言った。
「“あいつ”が地下に潜んでるかも。」
「だとしても、この辺りにはもう居ない…。」
「分かるの?」
「何となく。同族が近くに来ると、分かる気がする。」
佳奈は首をかしげた。
「どうして?今までお仲間に出会ったことなんて無いでしょ?」
改札階へ向かう階段は東京駅以上の混雑ぶりだった。一段一段のろのろと上がって行く塊のような人間の集団について行きながら、千絵はどう説明して良いのか迷うように答える。
「何となくだよ。捕食動物は“縄張り”を侵しちゃいけないから、分かるように出来てるんだ、きっと。」
「どういう感じがするの?」
佳奈はわくわくしながら尋ねた。
「んー… その時が来れば分かるかな。」
佳奈は、やたらと大きく聞こえる千絵の鼓動に耳を傾けながら、その感覚を想像した。周囲の人間たちの匂いを強く感じた。佳奈には分かっていた。
自身の肉体が、人ならざる者へと確実に変成を始めているのだと。
中野坂上駅には改札が一箇所しか無いのがこの混雑の原因だった。その唯一の改札の半分は警察の出入り用に閉鎖されていたからだ。
地上出口へ続く階段も、片方は警察用に閉鎖されこちらも柵で仕切られており、地下鉄利用者らは改札を出ても、地上までぞろぞろと列になって階段を上らねばならなかった。
地下鉄と駅自体を閉鎖する、即ち東京都民の足を奪う事が、行方不明者らの命と秤にかけられた結果、通勤する学生やサラリーマンらの交通手段の確保が優先されたのだ。
千絵はますます、“理想の餌場”だと感心した。
地上出口付近にはマスコミが殺到しており、丸の内線の池袋-荻窪間での運行再開を報道するテレビクルーらがこぞって地下から脱出して来た乗客らにマイクを向けていた。
2人はそれらを避けようとしたが、結局怒涛のような人の波に押されるまま駅から離れるのが一番有効だった。

254:腐肉(P.N.)
10/01/13 04:36:46 A7WfDhgS
人ごみが減ると、2人は地図を見ながら目的地方南町を目指し神田川に沿って歩き出した。
「わーかーかーった、あのーころー、なーにーもーこわーくー、なかーった…」
方南通りに行き着き川から離れるまで千絵はずっとうろ覚えの歌詞を調子外れの音で口ずさんでいた。
「たーだー、あなたのーやさしさーがー、こーわーかーったー…」
--------------------------------------------------------------------
2人は方南町駅から少し離れた安ホテルを今日のアジトに定めた。
荷物を下ろすと、千絵はすぐに出かけたがった。時刻は4時を回っておりお腹がぺこぺこだった。
疲れたと言ってベッドにうつ伏したきりうめき声しか出さなくなった佳奈を残して、千絵は“食事”に出かける事にした。
9月だと言うのに、東京はまだべたべたと張り付くような暑さが残っている。
千絵はショートパンツとキャミソールというラフな服装に着替えながら、だるそうに布団の上に広がる佳奈に尋ねた。
「帰りに何か買って来ようか?食べ物とか。」
「うー…。」
千絵はキャミソールを脱ぎ捨て薄手のパーカーに着替えながら溜息を吐いた。“食事”の時、前の開く服でないと口を開けた時に駄目にしてしまうからだ。
「…適当に買ってくるよ。」
「うー…。」
しばらくはこの辺りを根城にするつもりだったので、千絵はホテルの周辺を一通り散策すると、少し離れた所まで出る事にした。
そうだ、私は今東京に居るのだ。ぱっと思いついたのが、渋谷だった。
地下鉄では乗継が面倒くさい事を知り、近くのタバコ屋で教えてもらったバス停からバスで行く事にした。
所要時間は30分強と言ったところで、意外と近かったという事実に驚いた千絵は、もう少し離れた場所にしようかと思ったが、東急前に降り立った瞬間あまりの人の多さに不安は消し飛んだ。
これでは、どこで誰が消えても分からない筈だ。だからオリジナルはこの街を選んだのだろう、とまた感心してしまった。
人の波に流されるままぶらぶらと歩いていると、109が見えてきた。思っていたより小さかった。千絵は階段の端に腰掛け人々を観察した。
道玄坂交差点の辺りには若い女の子が多く目移りする。だがこんな往来で襲うわけにも行かず、どうやって人気の無い場所へ連れ込もうかと考えていた。
そもそも、この辺りに人気の無い場所などあるのだろうかという気さえする。付けて行く?いやいや、行ったは良いが、こんな見ず知らずの街で帰れなくなったら嫌だ。
そんな時、通りの向こうからこちらを見ている男たちが居るのに気付いた。毛髪を明るい色に染めた3,4人の若者集団。千絵が顔を上げると、1人と目が合った。
目が合った彼は有頂天の様子で仲間たちにしきりに何かを訴えている。信号が変わると、若者たちは洪水のような往来を掻き分けこちらに向かってスキップするように歩いてきた。
「や、やぁ。」
目が合った1人が声をかけた。後ろで他の仲間が「おいなんだよその声のかけ方はよぉ」と冷やかす。
「君、今から暇?予定ある?」
唇に空いた穴から鎖の付いたピアスをぶらさげた男がずいと前に身を乗り出し尋ねた。口から甘ったるい人口香料の臭いがする。
「俺たちさ、これからクレアヴォーヤンスってクラブのイベント行くんだけど、どう?」
千絵が何も言わないうちに男たちはむかつく香りを撒き散らしながらこれだけの情報をまくし立てた。
「んー…」
「ああ、お金要らない、おごるよ、なっ?」
「おう。」
「良いけど、女の子私だけじゃないよね?」
千絵は男たちを見上げて尋ねた。自分を“女の子”と呼んだことで笑い出しそうになるのを堪えねばならなかった。
付いていけば女の子に出会えるかも。もし駄目なら、今日は我慢してこいつらを…。
「ないない、ないよ、なっ?女の子も居るよ?」
「い、いや、俺たちそんな、あれだから、別に変な事考えてないっつーか…ちょっと一緒に踊ったり楽しくしたいだけだから。」
最初に目の合った一番気弱そうな男がチンパンジーのように垂れ下がった鼻の下を指先で掻きながら言った。
千絵はこの集団に付いて行く事にした。立ち上がると、男たちは意外と小さく、千絵と大して変わらなかった。
先導はチェーンピアス男で、彼は千絵を隣りに並ばせあれやこれやと彼女の事を尋ねた。(「へぇ18なんだー高校生?えーまずくない?マジっすか、大胆っすねぇー」)
後ろで他の仲間たちが、千絵の露出した脚を凝視してでれでれと顔を弛緩している。千絵は何だか腹が立った。
機会があれば、こいつらも喰ってやる。

[続]

255:名無しさん@ピンキー
10/01/13 18:28:29 bbBkT7yM
千絵って味や対象の好みとかあるのだろうか

256:名無しさん@ピンキー
10/01/13 19:25:05 h6w0F3Nh
女の子ウマぁー

257:名無しさん@ピンキー
10/01/14 20:03:15 6DBlD7YY
久々にアク禁解除
たまには絵をうpしちゃうよ
年明け用に描いたやつだけど見てやってくださいな


URLリンク(girlfriend.is-a-chef.org)

258:名無しさん@ピンキー
10/01/14 23:34:51 Dt29XLg8
>>257

おお、GJ!!

259:腐肉(P.N.)
10/01/15 05:41:09 TH02qTDN
ホールは頭をガンガンと殴られるような爆音と、不規則に動く目を刺すような色とりどりの無数の光線に満ちていた。
千絵はダンスフロアの端のバールラウンジの小さな丸椅子に腰掛け、呆然とホールを眺めていた。
たくさんの若者たちが、この暴力的な音に脳みそを揺さぶられるかのように狂人さながら激しく揺れ動いている。
これではうまそうな餌を判別できたもんじゃない。皆同じ臭い…汗と、人口香料と、アルコールの臭いを放って狂って居る。だがそれ以前に千絵はまずその場の空気に圧倒されていた。
クラブって実在したんだ…都市伝説かと思ってた。
怪物はそんな事を思っていると、チンパンジー面の彼が何か飲み物を持ってやって来た。一口飲んで吹き出した。
「お酒、飲めないの?」
「いや飲んだ事無いんだけど…」
千絵は口からたらりと垂れた唾液を手の甲で拭いながらげっそりとして答えた。これは駄目そうだ。好き嫌いの問題ではない、この液体は私のとって毒だ、と悟った。
「へーえ、意外…。」
「何が?」
千絵はチンパンジーを睨みつけた。彼はおどおどしながら言い訳する。
「いや、君みたいな子だったら、一度くらい経験あるかと…」
「セックスの話?」
千絵は嫌がらせのつもりでにやりと笑って見せた。案の定チンパンジーはうろたえる。
「いや、だからお酒…」
この男はきっと童貞だなと千絵は確信した。臭いで分かる。
「べ、別の貰ってくる。ジュースが良いかそれとも…」
千絵は童貞を睨む。
「な、何でもいいよねっ、ソフトドリンク…」
チンパンジーが消えると、すぐ後ろで控えていた別の男がずいと歩み出て、勝手に千絵の向かいに座った。
「彼氏?ひでえよな、こんな可愛い娘放っておいてよ。」
「…誰だっけ?」
千絵は首をかしげる。
「おぉっと…。」
革のジャケットに身を包んだ男は、やられた、というように大袈裟に手を上げてみせる。
「自己紹介まだだったよね、俺、佐野河って言うんだけど。これでも一応、役者やってんのよ。」
「へぇ…映画ですか?」
千絵は少し興味を持った。
「まぁね。映画好き?」
「まぁね。」
千絵は男の言い方を真似て言った。
「どんなの好きなの?」
自称俳優佐野河は会話の糸口を見つけたとばかりに食いついた。
「ホラー映画とか。」
「へーえ、『リング』とか?」
「それまだ見てない。『死霊のえじき』が好き。クライマックスでゾンビたちが寄って集って人間の内臓を食い千切るの。映画史に残る名シーンだと思うな。」
佐野河はまるで悪い事でも聞いたように話題を反らそうとした。挙句、勝手に千絵の手を取り「踊ろう」とホールに引きずり込んだ。
バールから数メートルしか離れていないのに、たちまち音楽が肋骨を叩くような衝撃に変わる。千絵は振り回されまいとバランスを保ちつつ適当に腰をくねらせた。
だが怪物の筋力を以ってすれば普通のダンスになどなるはずも無く、いつの間にか千絵はアクロバティックな動きで自分より背の高い男をリードしている形となり、周囲からどよめきと歓声が上がった。
「ひょぅ、タフだね。」
佐野河が声を上げる。
千絵は焼けるようなむかつきを覚え、思わず胸に手を当てた。さっきのアルコールがまだ残っている。
佐野河は千絵の様子に気付かず今度は自分がリードしようと肩に手を延ばした。途端に、胃液が込上げてきた。
ここではまずい!
「ごめん無理!!」
随分省略したが、一応謝罪を述べ千絵は半ば佐野河を突き飛ばすようにして人ごみから駆け出した。
「千絵ちゃん!オレンジジュース!」
後ろからチンパンジーの間抜けな声がしたが、千絵は無視してトイレに駆け込んだ。

260:腐肉(P.N.)
10/01/15 05:43:06 TH02qTDN
ドアを吹き飛ばさん勢いで個室に飛び込むと、冷たい光を放つ金属製の便器に激しく嘔吐した。
「おぇ…」
千絵はトイレットペーパーで口を拭おうとして、便器から煙が立ち上っているのに気付いた。見ると、千絵の下呂と胃液を浴びた便器がどろどろに溶けていた。
「はぁ…」
千絵は溜息を吐くと、洗面台に立ち口を洗った。僅かに残っていた嘔吐物と唾液で、同じく金属製の洗面台も少し溶けた。散々だ、ここへ来たのが間違いかも知れない。
少なくともアルコールはもう止めよう。
その時、2人の若い女性がきゃっきゃと笑いながらトイレに入ってきた。2人とも化粧が濃いがアルコールの臭いがあまりしない。
これは良い所に…。
千絵は、後ろを2人が通り過ぎていくのを鏡越しに眺めると、鏡面に写った自分に向かって邪悪に微笑みかけた。
「うわっ、ちょっと何これ…!」
奥の個室の方で1人の女性が声を上げた。恐らく溶解した便器を見つけたのだろう。千絵はそっと、入り口のドアに鍵をかけると、そのまま力を込めてドアノブをへし折った。
怪力に負けた鉄のノブは思いの外大きな音をタイル張りの密室に響かせ、2人は戸口に立つ千絵を振り向いた。
この時初めてこの少女の存在に気づいたように、目を丸くする。
「あの、何か…」
1人が口を開きかけた時、千絵は徐にパーカーのファスナーを下ろし、その下で待ち構えていた怪物を解き放った。
艶かしくうねりながら飛び出した触手が、一瞬で1人の女性を捕らえる。悲鳴を上げる前に、口の中に入り込む。
もう1人は濡れたトイレの床に尻餅を付き、口を金魚のようにパクパクさせながら、引きつった顔を千絵と、ぴんと張ったピンク色の巨大な舌に交互に向けた。
「しぃっ…。」
千絵は指をそっと唇に当てた。
「そこから動かないで居られたら、君は食べないであげる。」
“食べる”という単語に、触手に囚われた方の女性の顔が恐怖に歪み激しく身悶える。千絵は意地悪く笑うと、しゃがみ込み、ゆっくりと舌を引き戻し始めた。
まるで金魚すくいでもする子供のように。
囚われた女性は必死に抵抗しようともがいたが、強靭な触手はますます彼女の身体を締め付け、みるみる戸口に居る怪物の方へ近づいていく。
彼女はつるした床にすがり付こうと手を延ばした。爪がタイルの隙間に引っかかったが、あっけなくぽっきりと折れた。
その痛みに身悶えるも、彼女は諦めずに死に物狂いで床を引っ掻いた。爪の破片が飛び散り、ぼろぼろになった指先が真っ白なタイルに10本の血の線を描いた。
千絵の手が女性の脚を掴んだ。
「んー!!!」
彼女は叫び(声はくぐもったうめきにしかならなかったが)、怪物が可愛らしい目を細めて彼女を見下ろすのを見た。
「いただきまぁす。」
千絵の唇から唾液が滴り落ち、腹の亀裂が喉元まで延び、やがて口とつながると、少女の身体が真っ二つに割れたかのような巨大な口が開いた。
鋭い牙が並んだそれは、ただの口ではない。いわば千絵の身体は、手足の生えた、知能のある巨大な胃袋なのだ。
千絵は女性の身体をひょいと持ち上げると、綿菓子を口に放るように、ぽいと口の中へ放り込んだ。
「いやっ…!」
その時、「動くな」と命じられていた残りの女性が掠れた声で小さな悲鳴を上げ、後ずさった。千絵は腹の中の肉を咀嚼しながら、彼女の方に目を遣ると、にぃっと笑って言う。
「君の負け。」
千絵は立ち上がった。女性は目に涙を溜め怪物を見上げる。人一人分、腹が膨れ上がっていて、蛍光灯の光を逆行にしたそのシルエットは異様に巨大に見えた。
膨れた腹はびくんびくんと痙攣するように不気味に動いており、時折くぐもった喘ぎ声が聞こえる。女性の前まで来ると、千絵は屈み込み彼女の顔を覗いた。
「お仕置き、だ。」


[続]

261:名無しさん@ピンキー
10/01/15 13:40:41 aSeODsuS
あいかわらずGJ

262:名無しさん@ピンキー
10/01/15 20:35:40 lpLu2D21
チンパン良い奴っぽくて好感だ
すぐ死ぬんだろうけど

263:名無しさん@ピンキー
10/01/15 22:31:21 Sy3PSycE
スプラッター系映画大好きな18歳女とか常人じゃまともに返せないわなw
元からそういう趣味があったのか、今からかが気になるところ

>>257
ヒャッハー!捕食絵だー!
俺も飛び込んで飲み込まれたい

264:名無しさん@ピンキー
10/01/15 23:36:14 eObAaeF7
死霊のえじきは泣ける

265:腐肉(P.N.)
10/01/16 00:55:31 bU4xMy5J
怪物は彼女の喉下から顎の下にすっと指を這わせると、彼女の耳に顔を寄せ、凄まじく大きなゲップをした。密室に反響したその不快な轟で、女性の鼓膜は一瞬で弾けた。
彼女は悲鳴を上げた。だが何も聞こえない。どちらにちろ、騒がしいホールには届くはずも無かった。だが千絵は悲鳴を上げる女性の顔を口元に持ってくると、黙らせるためにキスをした。
文字通り、死のキス。死と腐敗のキスを。
千絵は口から女性の中に強酸性の唾液を流し込んだ。女性の口内、舌や歯茎、頬の肉が煙を上げてどろどろのゼラチン質に変質した。礎を失った白い歯が、ぽろりと口から零れ落ちる。
唾液は喉へ下って声帯を焼いた。だが、それくらいで人は死なない。声を失ってぼろぼろになった女性は、床にどさりと倒れて後尚、逃げようとタイルを這った。
千絵の腹から再び触手がにゅるりと顔を出した。今度は、10本程の触手が絡み合い一本の巨大なチューブを形作った。
禍々しい肉で出来た掃除機のようなそれは、這い蹲る女性の脚を捕らえると、膝の辺りまで一気にすっぽりと呑み込んだ。
「んっ…」
千絵は舌の筒が感じる彼女の皮膚の感触を味わった。触手は女性の身体を持ち上げると、逆さ吊りにしてずるずると呑み込み始めた。スカートがめくれ、下着が露わになる。
千絵はその薄い布に爪を立ていとも簡単にびりっと引き裂き、秘所を露出させると、顔を近づけべろりと舐めた。独特の塩気が怪物の食欲を掻き立てる。
彼女は処女だ。人間は見かけによらないものだな。
千絵の中に邪な欲望が生まれた。チューブの奥から一本の細い触手が現れ、女性の膣にずるずると押し入った。抵抗を止めていた彼女はこの時ばかりは足掻こうとした。
だがすぐに訪れた絶頂が、彼女からその気力を奪ってしまった。初めてだった。触手は尚も彼女を嬲り続ける。やがて彼女の下半身が全てすっぽりとチューブに飲み込まれても、
肉の壁の中でまだ彼女を甚振った。
「気持ちーい?」
千絵が尋ねた。千絵の、食欲と性欲の融合した肉体もまた、絶頂を迎えて身悶えた。紅潮した頬、緩んだ唇、潤んだ目。
顔だけ見れば、人並みに性的快楽を感じるごく普通の少女のようだが、彼女の腹からは巨大な触手が伸び、成人女性を丸々1人呑み込んでいるのだ。
やがて、彼女の頭まですっぽりと触手に包み込まれると、彼女は窒息して死んだ。それまで、触手に秘所を犯され肉の壁に乳房を蹂躙され、彼女は普通の女性の一生分以上の
快楽を味わったことだろう。触手は、小動物を飲み込んだ蛇のように、肉の塊を奥へと押し込んだ。やがて千絵の中に達すると、触手は集合形態を解き、再びばらばらになって
彼女の中へと引っ込んでいった。千絵はゲップをすると、巨大な腹をぽんぽんと叩いた。
「さて…」
千絵はパーカーを羽織って呟いた。(当然、ファスナーは閉まらない。)
「どうやって出よう…。」
その時、奥の方でカタンと物音がした。千絵は初めて、6つある個室のうち1つのドアが閉まっている事に気づいた。誰かが入っている。
千絵はぺろりと舌なめずりすると、沈黙する木戸へ向かってのっしのっしと歩み寄った。
「出といでよ。」
千絵は優しく声をかけ、そっとドアに手を延ばした。当然、鍵はかかっている。返事は無いが、かたかたと震えるような音がする。
「ね、ちょっと話、しない?」
千絵は、ドアの向こうで脅えている生き物に話しかけた。相変わらず、返事は無い。
「出て来ないなら、今からこのドアぶち破る。危ないよ。」
次の瞬間、千絵の引き締った脚が宙を舞い、ドアに叩きつけられた。金属の蝶番はひとたまりも無く弾け飛び、砕けたドアの木片と一緒に飛び散った。
木の裂ける音と金属がタイルにぶつかる甲高い音が、便器の脇に蹲った女性の悲鳴をかき消す。勢い余った千絵の脚は壁の一部を抉り、大きく弧を描きタイルの床に着地した。
脅えた女性は目に涙を浮かべて、消えたドアの前に立つ怪物を見上げた。千絵は胸の奥がきゅっと反応するのを感じた。同い年くらい可愛らしい少女だ。
千絵には劣るもののスタイルは良さそう(しゃがんでいるので定かではないが)で、引き締った身体つき、それでいて胸や腿はふっくらと柔らかそうだ。口の中が唾液で満ちる。

266:腐肉(P.N.)
10/01/16 01:00:27 bU4xMy5J
「い、いや…」
少女は震えながら首を振った。
「た、食べちゃいやぁ…」
少女は泣き出した。千絵は今すぐその儚げな肉体をぐちゃぐちゃにして呑み込みたい衝動に駆られ、少女の首を掴み上げると口元に引き寄せた。
べろりと舌を出し、少女の滑らかな肌に這わせる。全感覚から彼女の“味”が千絵の中に入ってきた。その甘美さに千絵は身悶えた。
「かあいいね。」
舌をだらりと垂れ締まりの無い口で呟く。千絵の熱い息が、少女の肌を焼いた。
少女は喘ぎ声を上げて悶えたが、金属製の便座の上に押し付けられ身動きを奪われた。便座の縁が背中に食い込み、背骨に激痛が走る。
千絵は少女の首筋にかぷりと噛み付いた。細い首に宛がわれた千絵の口元から熱い唾液が毀れ少女の胸元を伝う。少女は短い悲鳴を上げびくんと震える。
千絵は少女の股間が徐々に濡れて行くのを感じた。怪物に陵辱されて、感じているらしい。ぞくぞくする。
臍の下の辺りから、ぬるぬると光る一際太い触手がぬちゃりと音を立てて現れた。触手は少女の下着の中に強引に押し入り、陰門に突き刺さった。
「ひあうっ!」
少女が悶え叫ぶ。涙が流れ、口の端から滴る唾液と一緒に千絵の頬にかかった。千絵はそれをぺろりと舐め取ると、触手を少女の中へぐりぐりとねじ込む。
少女は力尽きた犬のように舌をだらりと出してはぁはぁと息を荒げながらも、千絵に抗うような目を向けてくる。叫んでしまわないように、怪物に快感を
与えないように自分を抑えつけようとしている。それを見て、千絵の目が意地悪く細くなる。千絵は、呼吸と共に震える少女の舌に噛み付いた。
「ん゙ん゙―っ!!!」
少女は痛みに悲鳴を上げるが、千絵の唇に口を塞がれ声はかき消された。息が出来ない。その間にも更にもう一本の触手が少女の蛤をこじ開け、
少女の内部をめちゃくちゃにしながら彼女を犯した。血の混じった塩辛い粘液が怒涛のように溢れ出る。
やがて少女の反抗的な目が乞う様な眼差しに変わると、彼女の身体に密着された千絵の第二の口がゆっくりと開く。
口で言うなら唇に当たる淵の部分がもぞもぞと動き、ずらりと並んだ歯が少女の肉に食い込む。
「くぅっ… あっ…」
亀裂の淵がもそもそと少女の身体を千絵の体内へと引きずり込み始めた。ぽたぽたと数滴、真っ赤な血が滴ったが、少女は生きたまま千絵の胃袋に納められた。
胃の中には先客が居たが、彼女たちは大方消化されていた。どろどろになった悪臭を放つ肉に包まれ、しゅわしゅわと泡を上げて溶けている最中の
骨が時折少女の身体に当たる。すぐに、彼女の肉体も溶解し始めた。初めは皮膚が、まるで身体から煙が立ち上るようにして消えていった。
すると怪物の胃の中で、何かが蠢き少女の剥き出しになった筋肉に触れた。触手だ。無数の筋肉の束が、少女の身体を揉みくちゃにする。
たまねぎの皮を剥ぐように、少女の肉は少しずつ層に分けられるかのように溶かされ、その都度巨大な舌に舐め取られた。
物凄い苦痛を伴うはずだが、怪物の胃に入った瞬間から、強烈な酸の中に身を浸しており、痛覚は一瞬で消し飛んだ。性的な快感を除いて。
母親の胎内での成長を逆行するかのような分解は、心地よい快感だった。それは少女をオーガズムに近い状態に持ち上げ、それ以外のあらゆる感覚を麻痺させた。
押し広げられたヴァギナから体内に酸が入り込み、内部からも彼女を溶かした。脂肪の詰まった薄い膜のようになった乳房を、舌が蹂躙する。
膜のような皮膚は一瞬で弾け、白っぽい脂肪がクリームのようにどろりと流れ出たかと思うと、あっと言う間に蒸発したかのように消化された。
鍛えられた腹筋も、ものの数分でゼラチン質の塊に変えられ、内側から溢れてきた半分溶けた臓器と一緒に舌に弄ばれた。
一部、早くむき出しになった骨の消化が始まると、立ち上った気体はガスと一緒に巨大な胃に充満し、
やがて通常の人間のゲップより数倍濃縮されたガスとなって口から排出された。
千絵は腹の中で、キャンディのように転がりながらじわじわと溶け出していく少女の肉の味に酔いしれていた。
気付くと、先ほどドアを蹴破ったときの少女とまるで同じ格好で、便器の脇に蹲り1人身悶えていた。
彼女の膣は今や“第二の口”の一部と化しており、もはや性的快楽を得るために陰梃に刺激を与える必要は無かった。
彼女にとっては、いわば胃と舌が性感帯であり、味こそが最大の性的興奮をもたらすものだった。


[続]

267:名無しさん@ピンキー
10/01/16 01:38:29 oELFbvm6
捕食してる描写もエログロで素晴らしいけど、本当によく食べ方思いつきますね
まさかセル式をこんな形で実行するとはw
GJ

268:腐肉(P.N.)
10/01/18 00:48:40 r/YYm9j2
佳奈はベッドに仰向けに横たわり、首を思い切り反らしてテレビの画面(逆さまに見える)を眺めていた。
丁度番組が終わり、つなぎのニュースが始まったところだった。
「先ほど渋谷区道玄坂の雑居ビルで、爆発事故がありました。現場となったのはクラブ“クレアヴォヤンス”の3階のトイレですが、
原因は現在のところ不明とされています。幸いフロアにいた客に負傷者はありませんでしたが、ビルの壁が一部崩壊するなど…」
「クラブって実在したんだ…。」
佳奈はそう呟くと、腹筋に力を入れてよいしょと起き上がった。そろそろ頭に血が下りてきてぼんやりし始めたからだ。
その時、佳奈はトクンという鼓動の音を聞いた。自分のものではない。心臓の音はトクントクンとどんどん大きくなって行く。
その意味を理解した佳奈の顔が、嬉しさに明るくなる。佳奈はベッドから飛び起きると、ドアへ向かった。調度その時、チャイムが鳴る。
佳奈は覗き穴から来訪者の正体を確認もせずにチェーンを外しドアを勢い良く開けた。
「ただいま。」
そこには千絵が立っていた。
「おかえり。」
「買い物してきた。」
千絵は巨大な白いビニール袋を掲げ、部屋に入ると後ろ手にドアを閉めた。
袋の中身は主にお菓子だったが、佳奈の夕食用に色々な惣菜が詰め合わさったパックが一つ入っていた。
腹を空かせた佳奈がベッドの上に胡坐をかいてそれを食べている間、千絵は着替えながらあれやこれやと喋り続けた。
「109の筒の中って、実はただの階段なんだよ。あ、そうそう、クラブって実在するんだよ!」(「それは知ってる」と佳奈。)
千絵が、明らかに千絵のものではないゆったりとしたワンピースを脱ぎ捨てると、大きく膨れた腹が露わになった。
といっても、今は大分消化されて普通の妊婦ほどだ。
「こうしてると、電車に乗るとき皆、席譲ってくれるのね。」
千絵はぽんぽんと腹を叩いて佳奈の隣りにどさりと腰を下ろした。ベッドが軋みを上げて大きく沈み込む。
佳奈はぼうっと千絵の白い腹を眺めた。
「女の子でしょ。」
佳奈は不機嫌そうに呟く。
「よく分かるね。」
「…他の女の臭いがする。」
「んー?」
千絵は猫のように伸びをしながら間延びした声で尋ねた。
「あのね、千絵。」
佳奈は箸を置き、千絵に向き直る。
「一昨日の事、覚えてる?千絵が、撃たれた時の事。」
「ああ、あれ…まだ一昨日なんだっけ。」
千絵は寝転がったまま佳奈を見上げて呟いた。
「先月くらい前な気がしてた。でも、もう大丈夫だよ。」
「そうじゃなくて。」
千絵はきょとんとした顔で佳奈を見つめる。その真直ぐな視線に佳奈は思わず頬を染めて。
「あの時、私が千絵の傷の手当をして…その、しようと思って… その…」
千絵は佳奈が言おうとしている事を、一昨日から佳奈に現れた異常と結びつけて察し、はっと息を呑んだ。
「まさか…」
「もう始まってるの。」
千絵はがばっと起き上がると、佳奈の顔を覗き込む。佳奈は見つめられて思わず目が泳ぐ。
「だ、大丈夫。多分千絵と違って、完全なかたちにはならない。でも私ももう、人間じゃないんだ。」
「そんな…」

269:腐肉(P.N.)
10/01/18 00:50:15 r/YYm9j2
千絵は泣き出しそうなのを見て、佳奈は慌てて付け加える。
「わたしのせいだ…」
「わ、私嬉しいんだよっ?少しでも…」
言葉を切る。
「少しでも、ちぃちゃんに近づけるんだもん。」
そう言うと、佳奈は千絵の唇を奪った。その唇は柔らかく、とても冷たく、ほんのりと血の味が残っている。
千絵が抵抗しないので、佳奈は舌で唇をこじ開け、千絵の中に入り込んだ。千絵がびくんと震えるが、佳奈は止めない。
千絵の中に在るものを全部吸い取らん勢いで、佳奈の舌は彼女の口の中をまさぐった。千絵は次第に身体の力が抜けて行き、佳奈に迫られるに任せベッドの上に仰向けに倒れた。
その歳の割りに成熟した身体に覆いかぶさる佳奈は、まるで寝台の上に包帯を巻かれて横たわるクリーチャーとフランケンシュタイン博士のようだ。
佳奈はちゅっという音を立てゆっくり唇を離した。千絵の唾液が糸を引く。
千絵を見下ろすと、どれだけハードに肉体を酷使しても汗一つかかない怪物の額が薄っすら汗ばみ、頬を紅潮させて彼女を見返し、微笑んだ。
「…嬉しい。」
「私も。」
千絵の陰唇(今では歯が生えている)がもぞもぞと蠢き、くぱっと開くと中から、トイレで少女を犯したのと同じ舌が現れた。
佳奈が気付かないうちにその舌は背後に回りこむと、佳奈のショートパンツの裾から中に侵入した。
「あっ…」
熱く湿った舌の感触に佳奈は声を上げ、思わず飛び退く。陰部からまるでペニスのように舌をだらりと垂らした千絵は、置き去られた犬のような寂しげな顔を向けた。
「千絵、怖い…」
子供のような声で訴える。
「だいじょうぶ、やさしくする。」
千絵が佳奈の頬を優しく撫でると、千絵の下腹部で触手がいきり立つ。
「まって…まって…。今脱ぐから。」
佳奈はそう言うとベッドから起き上がり、あわただしくパンツのボタンを外しにかかった。
文字通りショーツを脱ぎ捨てると、子供のようにベッドに飛び乗り千絵に抱きついた。
その晩、2人は初めて行為に及んだ。ハードな捕食の後だったが千絵の体力は無尽蔵で、佳奈の肉体を壊さないようにする事だけに気を付けた。
だが佳奈は見かけによらずタフで、一本では飽き足らず千絵の腹の中から自らぬらぬらと光る触手を引き出すと、喘ぎ声を上げながら膣の中に挿入した。
佳奈は唾液と千絵の粘液で湿ったその小さな唇で、千絵の身体を貪るように愛撫した。千絵が、食べる事以外で絶頂に達したのは久しぶりだった。
千絵は佳奈に応えようと、その小さいが締まった肉体を食い尽くすほどの勢いで犯した。
佳奈の身体を撫で回す触手の数が9本になった時とうとう佳奈は根を上げ、息も絶え絶えに、よだれでべとべとになった身体をシーツの上に横たえた。
最後に千絵は、佳奈の腹筋にちゅっとキスをした。
千絵は佳奈をユニットバス付きのバスルームへ連れて行き(佳奈はもう自分の力で立つのが精一杯だった。)シャワーで身体を流してやった。
熱い湯を浴びると、佳奈は少し体力を取り戻した。
片方のベッドはよだれでぐしょぐしょになってしまったので、風呂から上がると2人は同じベッドの上で、千絵の買ってきたスナック菓子を開けた。
が、佳奈はぐったりしているので殆ど千絵が食べた。深夜映画を見ている時、千絵が先に眠りに落ちた。
「無理するから…」
佳奈は、自分の膝の上で眠る親友の顔を眺めながらそう呟くと、しばらく彼女の生乾きの髪を撫でながら映画の続きを見ていた。
だがすぐに佳奈も力尽き、くず折れるように倒れると千絵と重なり合う様にして眠った。


[続]

270:名無しさん@ピンキー
10/01/18 20:13:18 8QMl6NtF
GJ過ぎる
昨日初めてこの板来てこのスレ見つけて一気読みしたら夢に見たよ

271:名無しさん@ピンキー
10/01/18 22:40:45 5Fit4OZ1
GJ!!

>>270
ウラヤマシス

272:名無しさん@ピンキー
10/01/18 22:55:12 G7zbVAqd
セルとキャンディーきてたー!
こう実行するとは……なんというかもう凄いとしか。
あと胃と舌が性感帯って……まさに喰うために存在する生物だなぁ。

273:名無しさん@ピンキー
10/01/18 23:50:08 8QMl6NtF
>>271
母親を殺して警察から逃げるという、エロ無し悲しさ超大盛りの精神的にきつい夢だった…
でもそれはそれとして腐肉さんGJ!

274:名無しさん@ピンキー
10/01/18 23:59:33 5cMvIVvb
>>273
ハードすぎワロタ

俺は千絵に嬲って喰われる夢が見たいものだ
殺される夢は見たことあるのに、喰われる夢って見れないものだな・・・

275:名無しさん@ピンキー
10/01/19 00:33:00 FUjc0YTn
夢の終わりに朝が来る

276:名無しさん@ピンキー
10/01/19 12:23:23 schtNafN
ひぎぃ!

277:腐肉(P.N.)
10/01/19 14:42:30 DZKsd8Ev
目が覚めたのは正午を回ってからだった。
佳奈は全身がひどい筋肉痛で、疲れもきれいさっぱりとはいかなかったようで虚ろな顔をしている。
その日は遠出は止す事にして、千絵は近所で図書館を探した。無理しなくて良いから休んでいればと言ったのだが、佳奈も付いてきた。
タバコ屋で尋ねると、すぐ近くに区立の小さな図書館が見つかった。千絵の目的は8月に起きた団地の事件の新聞記事だった。
平日の日中なので図書館は空いており、目当ての新聞記事はコンピュータで管理されていたのですぐに見つけることが出来た。
基本的には、すでに知っている内容がほとんどだったが、千絵たちの住む地方で事件についての報道が減り出した頃の記事に驚くべき
内容が掲載されていた。
なんとあの事件には1人生存者が居たのだ。記事によると14歳の少女で、家族で団地に住んでいたらしい。無論家族は、全員消えている。
だが記事ではその後の消息までは載っておらず、少女の身元を知るには至らなかった。
「千絵、これって…」
「うん、“お仲間”…かも。」
千絵は舌なめずりする。興奮を隠し切れなかった。
8月の事件が例の怪物少女の仕業なら(千絵は十中八九そうだと確信しているが)、今度の現場にも千絵と同じ境遇、
即ち怪物にされた犠牲者が居ても不思議は無い。
「筋肉痛が治ったら、ここに行ってみよう。」
帰り道に、一歩遅れて付いてくる佳奈に向かって千絵が言った。
「うぅ…」
佳奈がうめく。
「中学から6年陸上やってて、こんな酷いの初めて…何でだろ、歯も痛い。」
とほほ、というように呟く佳奈の周りを、体力を持て余したようにうろうろしながら千絵が言う。
「でもびっくりだ。今まであんなハードなのに耐えた人、居なかったよ。」
ぽんぽん、と佳奈の頭を撫でて言う。
「おぬしやるなぁ、人間にしては。」
「もう違うって…」
佳奈が力無げに笑って言いかけた時、背後から大きな声がした。
「千絵ちゃん!?」
2人はびっくりして振り向く。この街に千絵の事を知っている人間がいる筈が無い。
「あ…。」
振り向いた途端、目の前にいる人物を見て千絵が気まずそうな声を漏らした。すかさず佳奈が千絵を睨む。
「あ、って事は知り合いなのね。」
佳奈は横断歩道を小走りにこちらへ向かって来るチンパンジーのような顔の男を顎で指し、殺した声で言った。

278:腐肉(P.N.)
10/01/19 14:45:37 DZKsd8Ev
「東京にも猿って居るのね。」
氷のような視線を男に向けた佳奈が言う。
「佳奈、その声怖い…」
チンパンジーが2人の目の前にやって来たので、佳奈の返事は聞けなかったが、まだ千絵とチンパンジーを交互に睨んでいた。
「や、やぁ千絵ちゃん…。」
チンパンジーは鼻の下をぽりぽり掻きながら愛想笑いを浮かべて言った。
「き、昨日無事だったんだね。」
「う、うん!ご、ごめんなさい、気分が悪くなって先に帰ったの。」
まるでカルタを読み上げるようにぎこちない会話が続く。
「い、いやぁび、びっくりしたよ。いきなりドーンてすっげぇ音がして、トイレから土煙みたいなのが溢れてきて。
しかも、後で警察が調べたら客が3人、行方不明だって言うからもしかしたら千絵ちゃんじゃないかと…」
その時佳奈がこれ見よがしに咳払いしたので、チンパンジーは喋るのを止め初めて佳奈の存在に気付いたかのような顔をした。
「ご、ごめんお友達…の居るところで。」
「あら、千絵さん、彼氏かしら?」
佳奈が変な声で言う。
「い、いいえ佳奈さん、違くてよ?」
千絵は強張った笑顔で答える。
「も、もし良かったらお茶でも、どう?」
チンパンジーが気を遣う。
「いいえ、家路を急ぐものですから。」
と佳奈(変な声)。
「この辺に住んでるの?」
「う、うん。ごめんね、今この子体調悪くて。」
「もし良かったら、後ででも、そ、その…2人で。」
「あー…」
千絵が言いかけた時、佳奈が小突いて言った(変な声で)。
「大丈夫です、私1人で帰れますゆえ。」
「でも…」
佳奈は千絵の肩に手を回すと、耳元でひそひそと何か囁いた。それを聞いて千絵は納得したように頷き、チンパンジーに向き直る。
「そうだね、そうしようか。」
「オ、オッケーって事!?」
チンパンジーの鼻息の音が大きくなる。
「うん、おっけ。ごめんね佳奈。」
「じゃあね千絵、また後で。」
佳奈はそう言うと手を振って別れた。2人きりになると、しばし沈黙が訪れ、やがてチンパンジーの方から口を開いた。
「どこ、行こうか。」
「んー、あんまり人が居ない所が良いなぁ。」
「お、俺ん家すぐそこなんだけどもし良かったらその… や、ヤだよね、そんな、2人きりで」
チンパンジーは早口言葉のようにそこまで言うと、甲高い声で猿のように笑う。
「あたしと2人じゃ、いや?」
千絵のその言葉で、哀れな猿は完全に虜にされてしまった。そこから自宅へ行くまでの間、彼はずっと喋り続けていたが、
話の内容を思い出せないし、話しているその瞬間にも理解していなかった。
だがその美少女は熱心に彼のへたくそな話に耳を傾け、相槌を打ち、笑った。
…疲れる。これが本音だったが。

279:腐肉(P.N.)
10/01/19 14:47:11 DZKsd8Ev

「片付けるからちょっと待ってて」と言われたきり悠に五分は経過するというのに、千絵はまだ、とあるアパートの3階の踊り場で待たされたままだ。
吹き抜ける風は生暖かく、建物と平行して並ぶ木々からは蝉の耳障りなわめきが聞こえる。9月にもなって鳴いている蝉は、よほどモテないのだろう。
あるいは他の蝉より長く土の中に居て、出てくるタイミングを誤ったか。
千絵も、ここへ来た事を若干後悔し始めていた。ひどく暑く、普段は氷のような千絵の身体もほんのりと汗ばんできた。
東京にも蝉、居るんだ…。
そんな事を考えながら、廊下の手すりに持たれて外を眺めていると、アパートの駐輪場の陰に佳奈が見えた。
隠れてこちらの様子を覗っている。計画通りに。千絵は「やれやれ」というように肩を竦めて見せた。
すると背後でドアが開く音がし、振り向くと汗びっしょりのチンパンジーが息を弾ませ立っていた。
「お、お待たせっ。」
「そんなに隠さなきゃいけないもの多いの?」
千絵は腰に手を当て、これ見よがしに不満を露わにした。
「ごごごめん。」
チンパンジーのうろたえ顔にほくそ笑みながら、千絵はサンダルをぽいと脱ぎ捨て部屋に上がった。
エアコンはつけたてらしく、独特の埃の臭いともわっとした淀んだ熱気が満ちている。風がある分外の方が涼しいのではないかと思うほどだ。
「お、お茶、飲む?」
「ほしーい。」
千絵はベッドにどさりと腰を下ろしながら、饐えた臭いのする台所へ向かって言った。ふと、足元に何かあるのに気付きベッドの下を覗き込むと、
アダルト雑誌が山のように乱雑に重なっていた。
「芸が無いなぁ…。」
千絵はその一冊を手に取り、ぱらぱらとめくった。途端に唾液が込上げてくる。美味そうな女性が誘うような目で紙面から見返してくる。
彼女にとってはグルメ本も同然だった。
そこへ麦茶を注いだコップを二つ持ったチンパンジーが現れ、千絵が手にしているものに気付くとコップを取り落とした。
「ちょ、ちょっとち、千絵ちゃんそれは…」
「なぁに?」
千絵は雑誌の女のような上目遣いで猿を見上げた。チンパンジーは顔を真っ赤にして「新たしいお茶持ってくる」と再び台所へ引っ込んだ。
酷く暑かった。千絵はパーカーを脱ぐとベッドの上に立ち上がり、丁度彼女の顔の位置くらいにあるエアコンの前でキャミソールの前を
はらはらと揺らして風を取り入れようとした。
チンパンジーが戻ってくる。キャミソールがめくれ、千絵の鍛え上げた腹筋とへそが丸見えになっていたが、
今度は平静を保ってコップを卓袱台に置く事ができた。(少し毀れたが。)
「大学生なの?」
千絵は尋ねた。
「あ、ああ。」
「へぇ。どこの?」
「い、一応、慶応…」
「え!?慶応って、慶応大学?」
「そ、そうだよ。」
「…頭良いんだ。」
「一浪だけどね。」
千絵は再びベッドに腰を下ろす。
「頭の良い人の脳を食べるとその人の頭脳がそっくり私のものになる、とかあればいいのに…。」
チンパンジーは冗談と取ったらしく、笑った。千絵は「大学って何してるの?」「出身どこ?」「彼女いるの?」「109の筒の中が階段て知ってた?」など矢継ぎ早に質問した。
彼はいちいち丁寧に答えた。それから千絵は尋ねた。
「巨乳好きなの?」
チンパンジーは飲みかけた麦茶を思わず零した。


[続]

280:名無しさん@ピンキー
10/01/19 18:50:35 FUjc0YTn
チンパン逃げてー

281:名無しさん@ピンキー
10/01/19 19:08:06 F1oIucST
チンパンキター
楽しみ

282:腐肉(P.N.)
10/01/20 02:10:30 AGNjBxH7
「何か悪い事言ったっけ?」
千絵はきょとんとして首を傾げる。
「だ、だってそんな…」
「しかも年下好みだよね。」
彼が向き直ると、千絵は先ほどの雑誌をひらひらと翳して見せた。
「これとか犯罪じゃないのかな。」
「やめっ…」
千絵は立ち上がろうとする男の股間にぴんと延ばした足を押し付け静止させた。
足の下で陰茎がひくんと振るえ、見る見る硬くなっていくのが分かる。
「そりゃぁさ、巨乳じゃ…ないけどっ。」
千絵は体躯の割りに控えめな自分の胸をちらっと見て言った。
「私、結構好みじゃないかな。」
足の下で猿のペニスがびくんびくんと唸る。千絵はその上に足を乗せたまま、前屈みになって手を延ばし彼のズボンに指を這わせた。
「ち、千絵ちゃ…」
千絵はチンパンジーの声を無視し、ズボンと下着を脱がせた。姿を現したぬらっと黒光りする一物に、千絵は直に足をぐりぐりと押し付けた。
チンパンジーは喘ぎ声を上げ、空虚に向かって腰を突き上げた。もうじき射精するという時に、千絵は足扱きを止めた。
「あっ…」
チンパンジーは無念そうな顔を彼女に向ける。
「答えてくれないから嫌―。」
千絵はぷいと顔を背けて見せる。
「私、好みかな? 答えてくれたら、続き、したげる。」
千絵は自分の脚を持ち上げて、先ほどまで男のペニスに宛がわれていた足の裏をぺろりと舐めた。
「ち、千絵さん…」
チンパンジーは起き上がった。その悶々とした様子は、今にも空気に向かって腰を振り出しそうなほどだ。
「す、好きっす、千絵さん…。」
千絵はチンパンジーの肩に手を掛けると、ベッドに引き寄せ、押し倒した。
素早く自分は上へ回り、練り上げた自慢の肉体を見せ付けるように男の上に馬乗りになる。そのまま寝そべると、千絵は猿の唇を奪った。
一方、パンツの下では陰門が口を開き、中から太い触手がにゅるりと這い出る。触手はパンツを押しのけ外へ出ると、男を襲った。
「うっ!」
チンパンジーは思わず声を上げる。更に数本の触手が現れ、寄り集まってチューブを形成した。肉の筒は、いきり立つ陰茎を虜にすると、
ぬるぬると這うナメクジのように肉棒を上下に貪った。
チンパンジーからは下半身の様子が見えないが、何かがおかしいことは気付いていた。
今自分を犯している肉の穴はどう考えてもヴァギナでは無く、まるで自分より大きなペニスに包み込まれているような心地だった。
だがそんな事はどうでも良かった。
「んぐっ!!」
男はチューブ状の触手の中に射精した。触手はその乳のように白い粘液をごくごくと飲み下した。
そして更に欲するように、彼の陽物をきゅっと締め付けた。
「ひぁあうっ!!!」
チンパンジーは甲高い悲鳴を上げ、再び果てた。チューブはまだ彼から精を搾り取ろうと吸い付いている。
千絵はじれったくなって、猿のようにひいひいと喘ぐ男の腿の辺りに腕を回すと、逆さまに持ち上げた。
チンパンジーは一瞬何が起こったのか分からなかった。気が付くと、頭を床に着け自分の臍を眺めていた。
頭に血が上り始めてやっと、自分が逆立ちさせられているのだと理解した。いや、理解したとは言い難かった。
高校生の少女が、腕の力だけでいとも簡単に成人男性の身体をひっくり返してみせたのだ。
そして彼は今やレイプされる女のように、少女に犯されている。そう考えただけで、彼はまた射精した。
千絵の腰の動きが、チンパンジーの身体をがくがくと揺さぶった。だが、動いているのは腰では無かった。
臍よりも上(つまり下半身)に視線を移した時、男の目にとんでもない光景が飛び込んできた。
少女の下半身から、彼のペニスの数倍はある巨大で妖艶なピンク色をした肉棒(のように彼には見えた)が延び、彼の倅を飲み込んでしゃぶっている!
千絵の目がちらりと下を向き、地べたの彼の顔を見下ろした。その目はもはや、彼の惚れた美少女の目ではなく、怪物。
彼を粉々に打ち砕き、その欠片を一つ残らず一呑みにしてしまうような、圧倒的な存在。

283:腐肉(P.N.)
10/01/20 02:14:22 AGNjBxH7
「ひ…あああっ…!!!」
チンパンジーは暴れた。男がバランスを崩した拍子にすっぽりとペニスがチューブから抜け落ちた。その瞬間、彼は空中に精を放った。
飛び散った精液は千絵の顔から腹にかけて線を描いた。
「きゃっ!」
千絵は短く悲鳴を上げ、思わず掴んでいた男の脚から手を離した。チンパンジーの身体はどざりと床に落下し、彼は背中に走る激痛に声を上げた。
「ちょっとぉ…いい度胸じゃん…。」
少女は異様に長い舌でぺろりと精液を舐め取るとごくんと飲み込み、チンパンジーに見せ付けるように拳を握るとボキンと骨を鳴らした。
その時、玄関のドアが凄まじい勢いで開いた。2人が顔を上げると、そこには階段を駆け上がってきたと思しき息を切らした佳奈が立っていた。
「…鍵、かけなかったの?」
千絵は、でんぐり返しに失敗したような体勢のチンパンジーを見下ろし文句を言った。
「ご、ごめん…。」
こんな状況なのに、彼は謝る。
「何やってんの…」
佳奈はショックを受けたような顔で立ち尽くし小さく呟く。ドアを開けたら、肌蹴た格好で精液に塗れた親友と、性器を露出した男が居たのだ。
「と、とりあえず、ドア閉めない?」
千絵が提案すると、佳奈は無言で前を見据えたまま玄関ドアを蹴って閉めた。それからサンダルを脱ぎ捨て、千絵に駆け寄って泣いた。
「ひどいよぅ、昨日あたしと…あたしと…!したばっかりなのに!!」
佳奈はぼろぼろと涙を流しながら千絵の薄い胸をばんばん拳で叩く。痛くは無かったが、佳奈を慰めようと千絵はおろおろとうろたえた。
「これは…違っ、ちょっと、佳奈、これが楽しそうに見える?」
状況から完全に置いてけぼりにされたチンパンジーは、ペニス(だと彼は思っている)の付いた美少女と泣きじゃくる新たな少女を交互に見つめながらぽかんと口を開けた。
「うぅ…嫉妬してやる。」
佳奈が呟く。その様が可愛くて何だか笑い出しそうになるのを堪えて、千絵はよしよしと頭を撫でようとしたが、その手を払いのけられた。
「私にもやって。」
佳奈は不貞腐れた顔で千絵を睨んで言った。
「はぁ!?」
「こいつにしたのを同じ事、私にもして。」
「それは…無理、じゃないかな。」
千絵はちらっと床に這い蹲る猿と、萎縮してしまった彼の陰茎に目を遣って答えた。
「いいからしなさい。」
佳奈はまだ詰め寄る。
「佳奈には…その、ほら、」
「何よ!」
佳奈は叫んだ。
「だって佳奈ちんちん無いじゃん!!」
千絵は叫んだ。
沈黙が訪れた。
だが何も動きが無かったわけではなく、千絵は言ってしまってからもっと別の言い方があったのではと後悔して目を背けたし、佳奈は千絵をまっすぐ見据えたまま
だったが、その顔はみるみる赤くなって、終いには佳奈も目を反らした。
沈黙を破ったのはチンパンジーだった。あわあわと喘ぎながら、玄関ドアに向かって這い出したのだ。
立ち上がろうとしながら同時にズボンとパンツを上げようとして、すっ転ぶ。千絵と佳奈は顔を見合わせ、こくりと頷いた。
それは「先ずはあいつを始末してから」という合意だった。
「折角好みの女の子が見つかったのに、置いて逃げちゃうなんてあんまりじゃない?」
千絵はそう言いながら男の脚首を掴んだ。男は悲鳴を上げる。
「私も好みかも…君の悲鳴。」
千絵は力いっぱい足首を捻り上げる。ぼぎん、と嫌な音が響き、ふくらはぎの辺りに関節が一つ増えた。血が噴出し、皮膚を貫いて骨が露わになる。
男の悲鳴が泣き声に変わる。
「ちょっと千絵掃除するの私なんだから…」
後ろで佳奈がぼやく。
「じゃあお風呂場でやるよ。」
千絵はそう言うと、折れた脚をぐいと持ち上げた。男の身体がぶらりと宙に浮き、今にも千切れそうな脹脛の苦痛に絶句する。
千絵は魚市場の魚のように男を逆さに持ち上げたままバスルームの電気を点けた。
「おっ、見て佳奈、シャワーと湯船が分かれてるよ。後で一緒に入ろっか。」
佳奈は顔を赤くしながらこくりと頷き、千絵の後ろでドアを閉めた。“食事”は見ない事にしていたからだ。


[続]

284:腐肉(P.N.)
10/01/20 02:19:07 AGNjBxH7
まだ応えられていない分にはこれから対応していきますが、引き続きご要望ありましたら聞かせてくださいね。

285:名無しさん@ピンキー
10/01/20 08:27:17 jbko6jst
GJ!!
内側からチェストバスター食いなんてどうでしょう?

286:名無しさん@ピンキー
10/01/20 09:34:06 3xwhqscO
嗚呼…チンパン…(合掌

287:腐肉(P.N.)
10/01/21 04:10:10 AFUOPLud
千絵は脚の折れた男の腰と首の辺りに腕を回し、姫を抱く勇者のように哀れな男を抱かかえた。男はひゅうひゅうと隙間風が漏れるようなかすかな息をする。
「今まで色んな人とエッチしたけど、顔にかけられたの、初めて。」
チンパンジーにその声が届いたかは定かではなかった。目は虚ろで、顔中に脂汗が浮いていた。
「光栄な事だと思うと良いよ。」
千絵は楽しそうに言うと、男をお姫様抱っこしたままその陰茎に齧り付いた。千絵の柔らかい舌に包まれると、これだけぼろぼろになり意識が朦朧と
していても、下半身は正直に勃起した。
「たっぷり仕返ししてあげる。」
千絵はそのまま勢い良くペニスに吸い付いた。どくんどくんと震え、すぐに射精する。まだ残っていたとは驚きだ。だがすぐに精液は血の味に変わった。
「あ… あ…ああ…」
チンパンジーは掠れた喘ぎ声を上げる。どうやら、苦痛と恐怖への悲鳴のようだ。千絵の口の中で、ペニスが弾けた。彼女があまりに強く吸うので、表皮が破れたのだ。
血が滲み出る。毛細血管で出来たスポンジはあっと言う間に弾け、海綿体が崩壊した彼のペニスは枝からぶら下がる枯葉のようなみすぼらしい萎びた残骸と成り果てた。
「げふぅっ」
千絵はペニスから口を離すと、哀れな猿にゲップを吹きかけ、彼を風呂場のタイルの上に横たえた。
もはやチンパンジーというよりミイラのような顔だが、まだ息はしていた。
「まだ死なないでね?これからなんだから…。」
千絵は両手の甲を合わせると、男の胸に指先を立てた。それをずぶりと胸に付き立てる。チンパンジーのミイラは悲鳴を上げた。
もう声も出ないと思っていたが、どこにそんな体力が残っていたのかと千絵も若干驚いた。だが彼女は滞りなく仕事を始めた。“解体”だ。
胸に両の手を突き刺すと、肋骨の間にうまく指を入れてガバッと左右に押し広げる。肋骨が砕け、貧弱な胸板もろとも押し潰され、彼の胸は両開きの扉のように開かれた。
丁度、千絵の“第二の口”の亀裂のようだ。ただし断面はぐちゃぐちゃに引きちぎられた繊維や骨がむき出しで、中に在るのは触手ではなく
てらてらと光り悪臭を放つ臓器だが。千絵は男の胃を掴み取ると、それをぽいと口に放り込んだ。
食道がぶちっと音を立てて千切れ、男の首ががくんと下がる。反対側につながっていた胆嚢や小腸がずるずると本来あるべき場所から引きずられて出てきた。
千絵はそれをスパゲティのようにちゅるちゅると吸い込んだ。あっと言う間に男の体にはぽっかりと空洞が現れた。
千絵は折れた脚をぶちっと引きちぎり、脹脛の筋肉にむしゃぶりついて肉を毟り取った。口に収まる大きさになると骨ごとばりばりと噛み砕く。
当然ながら、男はいつの間にか死んでいた。千絵は男の頭を抱かかえると、腕に力を込める。上腕筋が盛り上がり、次の瞬間ぺきょっという音と共に頭蓋骨が砕けた。
卵を握り潰した時の様に、中から脳漿と脳味噌がどろりと溢れた。千絵はそれを手一杯に掬い取ると、ぺろりと舐め取った。
これでIQ上がるかな…。そんな事を考えながら。
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佳奈は廊下にぺたりと腰を下ろし、慰みにバスルームのドアを眺めていた。乳歯を引き抜かれた時のような不快感を伴う歯の痛みは頂点に達していた。
スモークがかかった半透明のドア越しに、千絵の罪作りな肢体が男の肉体をばらばらに引き裂く様が見える。
鮮血が飛び散り、次第に視界は赤く染まっていく。千絵の身体も真っ赤になる。
佳奈はもう我慢できなくなり、ぐしょぐしょに濡れた下着の中に指を這わせ、包皮を捲るとそっと陰核に触れる。
「ひくっ…」
思わず小さく声が漏れ、しびれるような感覚がつま先から背中まで駆け抜けた。ついでに歯に激痛が走る。


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