09/11/11 00:08:18 VZkI3W+/
「ひかり、起きていいよ」
瞬きさえせずに天井を見つめていたひかりだが、俺の声で目に意思が灯った。
「ん…今度は…なに?」
状況を把握できずにぼんやりとしているひかりを尻目に、俺は彼女のブレザーをはだき、ブラウスのボタンに手をかける。
「いやぁ!何してるのよ!」
「椅子のカバーを外しているだけだ」
「…カバー?」
「そう。お前は椅子でこれはカバーだろ?」
悪びれもなく答えた俺は、一気に第三ボタンまで弾きブラジャーに包まれた彼女の胸をあらわにする。
「いやぁ!」
涙を流してひかりは抵抗しようとするが、残念ながら椅子は自ら動くことはない。綾子さんと紗耶香に支えられ、ひかりはただ板のように固まっていることしか出来ないのだ。
「何がいやなんだよ」
ブラジャーの上からやわやわと胸を揉み上げ、俺は意地悪く聞いてやる。柔らかい膨らみが、手の中で面白いくらいに形を変えて心地よい。
「だってぇ…うぅ、やだぁ…」
「ひかり、お前は椅子だろ」
「そう…だけど…」
「椅子に羞恥心なんてある訳無いだろ」
その言葉に、ひかりの泣き顔が少しずつ和らいでいった。
彼女の意識なんて、シールの力を使えば一瞬で書き換えることが出来る。しかし、こうやって少しずつ彼女を書き換えるのも楽しいものだ。
「私…椅子で…恥ずかしくない…?そうね、椅子は…恥ずかしいことなんて…」
「椅子になりきれないお前は椅子失格か?」
「…っ!違うもん!恥ずかしいわけないでしょ!」
もはや完全に普段の勝ち気さを取り戻した彼女が、勢いよく言い放った。
「私は、れっきとした椅子よ」
自らの言葉に何ひとつ疑いを持たず、ひかりはそう断言した。先程まで嫌がっていた彼女がまるで嘘のように、その表情は晴れ晴れとしていた。
「そうか。ならせいぜい椅子らしくするんだな」
俺の言葉に、ひかりは再び目から光りを消す。今度は自分の意思で、ひかりは椅子になるべく自らの意識を閉ざしたのだ。
再びただの椅子と化したひかりは、もはや俺の愛撫にもなにひとつ文句を言わないただの人形だ。
そんな彼女を眺めながら、俺は自分にサディストの気があっただろうかと苦笑してしまう。
なんにせよ、このシールがある限り俺の生活は退屈しそうにない。可愛い家具に囲まれ、俺はこれからも様々な快楽を見出だすだろう。
これから続く楽しみに心を躍らせ、俺は『椅子』の『カバー』を勢いよく剥ぎ取ったのだった。
人形遊びシール編(完結)