10/05/26 07:30:20 jm5pdCJj
>680
君もうこのスレに来る必要無いと思うんだけど…
682:名無しさん@ピンキー
10/05/27 07:09:48 wOJlU9w5
あの
ナナの作者なんですが
荒れると投下するにも、し辛いんで
仲良くいきましょうよ
こっちゃハム並みのハートなんですから
ね、あんまり雑談ウザいなら控えるんで
明日くらいには投下できると思うんでね
仲良くいこうよ仲良く
>>660
応援ありがとですよ
こんなヒゲの濃い女居たら大変ですがな
俺の中では、ナナはツンではないです
女の子って、綺麗なものだけで出来上がってると気持ち悪いです
ほんの少しわがままなくらいが可愛いと思うんで
それが反映されてるんだと思います
>>672
ありがとうございます
定職についてるんで
どうしても眠いときがあるのでご理解いただけるとありがたいっス
>>673
うん、ごめん
たぶん俺皆が想像してるようなミレーユは書いてないと思う
エロゲだったら何人かはディスクへし折られてると思う
でも頑張るんで、読んでみてください
あとすんません。こっちもスゲェ長くなりました。
>>676
ウザくてごめんね
ある程度自重するから許したって?
でもレスくれた人にある程度返事するのは許してください
応援してくれるのは
ほんとに嬉しいものなんでね?
皆なかよくいこうよ
それでは今度は続きを投下のときに
683:名無しさん@ピンキー
10/05/27 07:48:31 QCsg7fbN
とりあえず続き投下待つ
684:名無しさん@ピンキー
10/05/27 08:35:03 PsAujkHp
作品は好きだが全レスはうざい
685:名無しさん@ピンキー
10/05/27 08:39:33 mvwZkb+N
作品も酷い
オリキャラオリ設定臭しかなくて
ドラクエ作品を読んでいる気がしない
686:名無しさん@ピンキー
10/05/27 12:26:48 d6/k0uwm
作者ちょくちょく書き込むなら、コテつけてくれNGするから
687:名無しさん@ピンキー
10/05/27 13:44:47 Rb4Y4phy
なんで定期的に注文のうるさい奴がくるんだ
どのスレも初期の頃はまったりしてるのにスレが長く続くににつれてどんどん空気が悪くなる
それだけ、痛い人にも知られるようになるのかね
688:名無しさん@ピンキー
10/05/27 13:50:08 L7ltGI27
だな、このスレに来るなよと言いたくなるわ。
そういう、自分では書かない、注文だけの奴こそ、コテとか付けろよ。
689:名無しさん@ピンキー
10/05/27 16:53:57 VCOOvxsL
興味ないならスルーすればいいだけ。
俺は楽しみだから大人しく待ってる。
690:名無しさん@ピンキー
10/05/27 19:44:40 DmmU4xj2
私も大人しく待ってる
691:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:17:40 uKxwlrvo
官能小説というよりは
ただの淫乱。
692:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:41:48 PdegG6i1
ナナの作者です
>>689
>>689
ありがとう
基本スルーで行きましょ
とりあえずミレーユのほうが軽くできたんで
エロとかあんまり無いんですが
とりあえず投下しときます
続きはまた後日になりますがご勘弁を
結構な鬱展開かもしれません
苦手な方はスルーでよろしく
693:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:42:39 PdegG6i1
わたしは皆が楽しむ様子を遠くに眺めていた。
今日は珍しくわたしもお酒を飲んだ。お酒には弱いから、あまりたく
さんは飲めないけど、今日は嬉しいことがあったから。
ほんの少し、ほんの少しだけ。
それにお酒の匂いは嫌い。
酔った誰かの吐く息も嫌い。
嫌でもあの頃を思い出してしまうから。
「夜風……きもちいい」
ほんの少しだけふらふらする。バルコニーの手すりに上半身を預
けて、ほぅっと深く息を吐く。
あんなこと、思い出さなきゃよかった。
いつまで経っても忘れられない悪夢。
折角、ほんの今さっきまで楽しい気分でいられたのに。
「どうしたの、こんなところに一人で?」
その声に、とくんと胸が躍る。
「あ……なんでもないの。ちょっと酔っちゃって」
長い髪を指で耳にかけてから、ちょっと失敗したかもしれないと思
った。わたしの耳は不意打ちに赤くなっているに決まっている。
知らないでしょう、貴方は。
「主役がこんなところにいてもいいの?」
「それがさ、まだ実感が湧かないって言うか。僕がこの国の王子な
んだって言われても、ね」
困ったように微笑む貴方。
やっぱり貴方は素敵。眩しくて、まっすぐに見られないくらい。
そう、貴方は本当に素敵。
ほら、だから、どうしていいかわからないなる。
どんな顔で貴方に接していいかも、わからなくなる。
「本当の自分を見つけられたんですもの、素敵なことよ」
だからどうしても貴方の前では言葉少なになってしまう。
わたしは貴方のその目にどんな風に映っているのかしら。
陰気な女?
無愛想な女?
「うん、だけど、いいことばかりじゃないよ」
「ひょっとして、ターニアちゃんのこと?」
「どうしてもね。どっちの僕にとっても、ターニアは大切な人だった
んだね」
あぁ、そしてまたわたしはどんな顔をしていいかわからなくなる。
そんな顔をしないで?
抱きしめたくなってしまうから。
そんなことできっこないから。
そしてわたしはまた自分が嫌いになる。
「会いに行って、あげたら?」
694:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:43:20 PdegG6i1
「ターニアに?」
「本当に大切な人がいるなら、決してその手を離しては駄目よ」
嫌い。自分が嫌い。
何もかも嫌い。
嫉妬するだけで、自分からは何もできない自分が大嫌い。
言いたくも無い言葉を告げる唇も。
冷たく見える瞳も。
男の目を惹きつける体も嫌い。
長い髪もこんなときはさわさわと体に触れていらいらする。
「じゃあ、僕はやっぱりここに居るほうがいいと思うんだけど」
「ターニアちゃんとここで待ち合わせしてるの?」
なんて羨ましいことを。
でも、あの子って今日は呼ばれてないような……。
ずるいわよ。わたしだって妹に生まれていたら、義理でもいいから
妹でいられたら……。
『今日もいいお天気よ、にぃさんっ♪』
あ、それ、ちょっといいかも……。
『ご、ごめんなさい。いつも付いてきてもらって。だって、夜のお手
洗いって恐いんだもの……』
きっと貴方は優しく手を引いてくれるわ。
『にぃさんっ、お願いだから耳を塞いでいてね。絶対よっ、絶対
の絶対ですからねっ?』
でもいいわ。貴方ならいいわ。
聞かれたっていいっ!
でも恥ずかしいっ!
わたしもう死んじゃいたいくらい恥ずかしいっ!
でも……ど・き・ど・き♪
「えっと……気分でも悪いの?」
「少しだけ。心配しないで」
「なんで鼻をつまんで首をとんとんしてるのさ?」
「くせなの。気にしないで」
「それで、どうかな、君の答えを聞かせてほしいんだけど……」
答え?
なんのこと?
あぁ、ターニアちゃんとのこと?
「いいんじゃないかしら。どんな間柄であれ、愛があるなら」
「あぁ……よかった。ありがとう、君も同じ気持ちでいてくれたんだね」
そう言って、貴方はわたしの手を握った。
あぁ、なんて暖かい手。
剣を振り続けて硬くなってしまった、ごつごつして力強い手。
誰かを守るために、守ろうとして、たくさんの血に濡れた手。
時々、わたしの傷に触れて、それとは知らずに癒す手。
なんて素敵なのかしら。こんなに素敵な手ってあるの?
695:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:43:54 PdegG6i1
ないわ。あるはずないじゃない。他の人と比べるべくもないわ。
比べるだけバカらしいわよ。
たまに盛りのついた勘違い野朗に触られることがあるけど、全然違う。
藁の御座と、極上も極上の絹布くらい違うわ。下着にしたいくらい違
うわ。上下一揃えで、いつでも身に着けていたいくらい違うわ。
ちょっと汗ばんでいるのがまた素敵。
潤いは大事よね。かさついていたら、触れられたときに痛むもの。
きゃっ♪
わたしったら、どこを触らせるつもりなのっ、もうっ!
どこを……。
そうね、まずほっぺたかしら!
包み込むみたいに優しく、そっと撫でられたら……!
死ぬわ。きっとわたし死ぬわ♪
そしてあなたはそっと唇を寄せてくるの。
そう、こんなふうに、ゆっくりと目を閉じて……。
「ん……」
「ぅんっ♪」
あぁ……このまま、いっそ誰か殺してほしい。
貴方の唇のぬくもりを感じたままで……うちころしt
「っ……きゃーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
今起きたことを言うわ。
妄想に溺れていたら本当にキスされていたの。
幸せすぎて死にそうよ。
何を言っているかわからないと思うけど、幸せだからどうでもいい♪
神様……。
わたし
いま
はなぢ
ふいてませんよね?
「たっ、大変だっ、ひどい血だよっ、本当に具合が悪いなら言って
くれたらよかったのにっ!」
「なんでもないわ。ちょっと幸せだっただけのことよ」
「なんでもなくないよっ。破裂音させて鼻血出す人初めてみたよ!」
「大丈夫よ。ほら、こうして一枚のハンカチの両端を捻って、ほらき
ひんほほっはは、へ?」
「しゃべらないでっ。今すぐベッドまで運ぶから!」
696:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:44:19 PdegG6i1
あぁ、貴方の腕のたくましさに抱かれて、どこに行くの?
ベッドだなんて、なんて積極的なのかしらっ♪
されちゃうの?
わたし、されちゃうの?
えへへ……おっぱいおおきくてよかった♪
かわいく生まれてきてよかった♪
だから奴隷にされたんだけど、オールオッケーよね。
練習よ練習!
あれは貴方に喜んでもらうための練習だったのよ。
どんな経緯でこうなったのかさっぱりまったくわからないけど、全部
良しとしましょう♪
さぁ、行きましょう。
チャペルの彼方へ!
妙に痛む頭に顔をしかめながらわたしは目を覚ました。
見知らぬ部屋。ふかふかのベッド。とても豪華でまるでどこかの王
宮みたい。
「気がついたんだね、よかった」
貴方の声に我に返る。
わたし、そういえば宴の時に……。
星降るバルコニーでキス。
「ごめんなさい。取り乱しちゃって、もう大丈夫だから」
「ダメだよ体起こしちゃ。一晩ここでゆっくりするといいよ」
貴方に促されて、わたしはゆっくりと導かれるままに枕に頭をつける。
「なぜわたしにキスしたの?」
「え、だって君が受け入れてくれたから」
わたしが妄想の国に飛んでいっている間に何かがあったのね。
「ひょっとして、わたしに……」
「まだ混乱してるんだね。なら、もう一度言おうか?」
「まっ、待って!」
お願いだから少しだけ待って欲しかった。
ひょつとしてこれから起こることも、さっきあったことも、本当はわた
しにだけ都合のいい夢なんじゃないかって。
ひょっとして、よくあるただの妄想なんじゃないかって。
「いいわ。もう一度、お願い」
「うん。君に恋人になってほしいんだ」
「恋人……」
「大好きだよ。きっと幸せにするから」
「だって、貴方は王族で……」
「そうだね。重い、よね」
王族からの求愛。
つまりここでわたしが頷けば、わたしは未来の王妃様。
軽々しい気持ちで告げていい言葉じゃないのはわかっている?
697:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:45:14 PdegG6i1
「やっぱり、重たいよね。いきなり将来のこと決められるわけないし」
「だっ、ダメっ。絶対、ダメ!」
「そうだよね。明日になったら僕はいつもどうりだから、君も……」
「そうじゃないの、そうじゃなくて」
「いいんだよ。無理しないで。僕なんかが君みたいに綺麗な人と、
なんて、やっぱり釣り合わないし」
どうしてわたしはこんな時にこんなにももどかしいの!?
嬉しくて、こんなに、ほらっ!
ぽろぽろ泣いちゃうくらいなのに!
でもなんて言えばいいのかわからなくて。
どんなに貴方に焦がれているかっ。
どうして、わたしの唇は動いてくれないの。
ねこさんにだっていぬさんにだって、言えたわ。
可愛いって。
頭も撫でてあげられる。
「いいんだよ。君が泣くことなんてない。どうしても伝えたくて。君の顔
見てたら、我慢できなくなっちゃって」
違うの!
大好き。
誰よりも大好き。
こんなわたしに、貴方だけが、何より、誰より……。
「おやすみ。ゆっくり休んでね?」
行かないで!
でも何て言えばいいのかもわからない。
ううん、わかってる。
だけど、どうしていいのかもわからないだけなの!
そう、この胸の内を見せられたら。
この鼓動をわかってもらえたら!
「えいっ!」
失敗した。
わたしにとりあえずできたのは、このどきどきをわかってほしくて、貴方の手を押し付けただけ。
谷間じゃなくて、左胸の真ん中に。
これじゃ痴女じゃない!?
「ちっ、違うの、そうじゃないの」
あぁ、ほら、ぽかんって顔してる!
スライムに噛まれたみたいな顔してる!
「行かないで」
「あの……」
「何してもいいから」
「え?」
「何、されても、いいから」
698:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:45:38 PdegG6i1
それくらい好き。
貴方の子供、生んでもいいくらい好き。
「ごめんなさい。わたし、うまく言えないから」
いっそ襲ってほしい。
そうすれば、きっと貴方に伝わるから。
きっとわかってもらえるから。
そうしたら、きっとわたし嬉しくてバカみたいになっちゃうから。
「あの、それってつまりどういう……」
そうよ。こっちからいっそ襲っちゃえばいいじゃない!
慣れてるじゃない。だっていろんなことしてきたもの。たくさんたくさん
いろんなことされたもの。
どうして目の前の貴方にそれができないの?
わたしは有無を言わせぬ勢いで彼の首に手を回して、ベッドにな
だれ込んだ。唇に吸い付いて、舌を差し入れて、たくさんねぶって
飲み込んで、飽き足らなくて、何度も何度も口付けた。
「貴方は……何もしなくていいから」
唇を舌でぺろりと舐めあげて、ゆっくりと服を脱いでいく。
そう、彼の欲情を誘うよう。その方法は叩き込まれているから。
下着を外すとき、たぷんと胸が震えるようにわざとひっかけた。小さ
く声をあげて、腕を当てて、押し上げて強調すると貴方の喉元がこ
くりと上下したのが見えた。
貴方がそこに触れようとした手を掴んで、指をゆっくりと口に含む。
まだダメ。もっともっと焦れて、我慢して、我慢できなくなるまで。
うっとりと貴方を見つめながら、反応を確かめて、ゆっくりと時間を
かけて綺麗にしていく。
人差し指が終われば中指へ。指の股は敏感なところ。手のひらも。
あとは間接。手首の内側から肘の内側へ。
皮膚が薄くて、血の管が浮くような場所が人は感じやすい。
彼の腕を持ち上げて、わきの下から、下っていく。
腰骨、おへそ、今度は上がって、乳首へ。
教え込まれたとうりに、丁寧に、気持ちのあるように見えるように。
わたしがどれだけ淫らな女なのか男に見せ付ける。
下手なら殴られる。酷いことをされるから、きちんとしないと。
乳首に舌を這わせている間に、彼の下穿きは脱がしてしまう。
そそり立った肉棒を、ゆっくりとしごきながら、硬さを確かめる。
大丈夫。もう爆発しそうになってる。わたしはきちんとやれてる。
これなら殴られない。今日は大丈夫だった。よかった。
この間来た子はへたくそだったから。鼻血が止まらなくなるまで殴
られた。それ以来、あの子を見なくなった。
大丈夫。今日は大丈夫。
だから、御主人様の御不興を買う前に繋がってしまおう。
そうすれば後は喘いでいれば終わってしまう。
獣ののように腰をぶつけられて、痛みをこらえているだけでいい。
針を刺されたり、鞭で打たれたり、息もできなくなるくらい縛られるく
らいなら、ずっとまし。
「それじゃあ、わたくしの体で、今日もたくさんたくさん遊んでくださ
いね」
御主人様。
699:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:46:04 PdegG6i1
肉棒に手を添えて、またがったわたしの膣へと導き、腰を降ろす。
「ひぐっ!」
あぁ、どうしよう。濡らすのをすっかり忘れていた。これじゃ入るわけ
ない。
そう、お口で奉仕している間に唾液でこっそりと膣を濡らしておか
なきゃいけないのに。
今日はあんまり順調だったからすっかり忘れていた。
「あの、これは違うんです御主人様。すぐに入りますからっ!」
どうしよう、急がなきゃ。こんなに御主人様が上機嫌なことなんて、
滅多にあることじゃないのに。
「えっと、あの、あぁ、入らない。し、少々、ほんのすぐですので」
いっそ乾いたまま力任せに入れてしまおうか。
数日は使い物にならなくなるけど、折檻されるくらいなら!
「あ、あぁ、あの、そうだ。お薬くださいっ。お薬飲めば、すぐですから。そう、あのお薬大好きなんですっ。ふわふわして、なんにもわかん
なくなっちゃうくらい気持ちよくて、だからっ!」
ほんとは嫌。きっとあの薬はいけないもの。
あの薬のせいでおかしくなってしまった女の子も何人も見た。
でも殴られるのは嫌っ!
もう痛いのやだっ!
どうしてっ、どうしてわたしこんな辛い目にあわなきゃならないの?
だけどこうしなきゃおじいちゃんもおばあちゃんも!
「あぁ、ごめんなさいゆるしてくださいすぐぬらしますから」
ダメだ。どうしても入らない。
いっそ狂ってしまえればよかったのに。わたしよりも後に入ってきた
子だってもう何人も壊れてしまった。
心の底からこんなことが好きになってしまった子もいる。
白痴のようになってしまった子もいる。
わたしもそうなれていたら、辛くないのに。
殴られることもないのに。
「だからたたかないでくださいいたいのやなのっ。いいこにできますっきちんときもちよくできますからっ」
もう嫌なの。痛いのだけは嫌。
いやいやいやっ!
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
あぁ、御主人様の手が伸びてくる。
殴られる。髪を掴まれて、めちゃくちゃになるまで……。
「あ……ごしゅじんさ……」
暖かい腕。
優しく抱きしめられる強さ。
ゆっくりと撫でられる頭。
700:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:46:37 PdegG6i1
「あ……あぁ」
わたし、今何を。
貴方の前でわたし。
取り返しのつかないことを!
「いやっ、いやぁぁぁぁっ、見ないでっわたしを見ないで!」
嫌われる!
絶対に隠しておかなきゃいけないことだったのに!
どうしよう。
どうしよう。
嫌われちゃう!
嫌われちゃう嫌われちゃう嫌われちゃう!
「もういやっ全部いやっ誰か殺してっわたしを殺して!」
もういや……。
なにもかも。
もういいの。
全部どうでもいい。
ほら、眠くなってきた。
このまま眠っちゃおう。
おやすみなさい。
おやすみなさい。
「ほぅ、そのようなことが」
「うん、僕には、何もできなくて」
「御身をあまり責めなさいますな、王子」
「だけど僕には……僕に、僕はっ!」
城づとめの歳のいった学者に全ての経緯を告げて、ランドは唇を
噛んだ。
喚き散らして気を失って、ミレーユはそれから二日眠り続けていた。
「爺の見立てでは、この娘さんは金で売られて男の慰みものにさ
れておったんでしょうなぁ。よほど……手ひどい扱いをされていた
と見える」
惨いことを。
歳経た学者はそう言って苦々しげに深い顔の皺をゆがめた。
彼はランドが生まれる前からこの城に召抱えられていた学者だった。
幼いランドの記憶にあるのは、もう少し若い彼で、様々な知識をラン
ドは彼から学んだ。それは勉学という形ではなく、楽しいおしゃべり
や遊びの一環としてもたらされた。側仕えのじいと同じく、ランド
にとっては祖父のように慕う者だ。
信用できるその学者にだけ、ランドはことのあらましを伝え、彼女を
診せた。
よう、この爺めに打ち明けてくださいました。
701:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:47:09 PdegG6i1
そう言って学者は、夜更けであるにも関わらず部屋に駆けつけた。
話を聞いた学者にできることは少なく、できた事といえば、簡単な
触診と、自らの住まいから妻を呼び、ミレーユの体を清めて、着替
えをさせること。
あとは彼女の目覚めを待つことだけしかしてやれないと言う学者に
、ランドはそれでも深く感謝していた。
自らではまるでお手上げだった。おろおろとする以外何もできなか
ったのだから。
「王子、人の心とは、時にひどく脆いものなのです。体がひどく傷
ついた時には傷跡が残りましょう。元のように動かなくなることもまた
しかり。心にも同じことが言えるのです」
「傷ついたまま、戻らないと?」
「左様です。やはり王子はあの頃のまま、利発でいらっしゃる」
「やめてよ爺。恥ずかしいよ」
場合が場合であったし、そう手放しに褒められるようなことでもない。
しかし、昔と同じように孫のように可愛がってくれるのが、ランドには
嬉しかった。
「僕は、どうしたらいいんだろう」
「側に居ておあげなされ。王子の愛を、注いでおあげなされ。支え
となり、日に影に。いずれ心からの笑顔を取り戻せるよう。それ、あそこの畑の花のように。水をやり、虫を取り、笑顔が咲くまで」
それはランドにしかできないことだと、学者は言って、優しい優しい目
で微笑んだ。
「僕にできるのかな。僕は、爺みたいに学があるわけじゃないよ。少
しばかり剣が振るえて、魔術の心得があるだけだ」
「愛とはッ!」
曲がりかけた腰をぴんと伸ばし、学者は声を張り上げた。
「与えるものですじゃッ。そこには学も力もありゃせんのです。ただ
己の信ずるままに、呼ばれるままに、心の向くほうへとお行きなされ。
そこに暖かさがあるなら、微笑むことができるのなら、そりゃあ間違
っておらんのです。それは掛け替えもなく、尊いものなのです。
王子になら、わしはできると学者としての命を賭けて言えますぞ!」
「できるのかな、僕に」
「できますともっ。王子の優しさはこの爺がよぉく存じ上げております
とも。そうあの時のように。あの頃の王子ときたらそりゃあもう!」
「じいの中で僕はどんなんなっちゃってるのさ……」
そう言ってランドは己もそうと知らずに二日ぶりに、少しだけ笑った。
やれるかもしれない。
いや、やるんだ。
彼女が笑えるまで。
そう、向日葵のような大輪の笑顔を見るまで、続ければいい。
生涯をかけてでも。そう、それにはそれだけの価値がある。
きっと、ある。
「やってみるよ、僕」
甘えた考えは今捨てよう。
できるさ、きっと。
何より、僕がそうしなくちゃいられない。
だって、僕の心は、彼女の笑顔に向いているんだから。