10/05/17 23:59:36 fcHqfXoY
三度ノックして、勇気を振り絞ったにも関わらず返答がない。
もう行ってしまったのかと扉を開くと、
「ルーラ」
ナナがちょうどあの光に包まれて消え行くところだった。
一足遅かったか。嘆息して、ふと思い出す。
「ナナ……いつのまにルーラが使えるようになったんだろう」
ルーラの感覚っていつまで経っても慣れないのよね。
小さく舌を出しておえっとえづく。
目を開けて場所を確認する。うん、いつもどうり「わたしの」部屋。
そう、ここはわたしの部屋。幾度も訪れ、寛ぎ、夜を過ごしたわたしの部屋。
あの日から、わたしは変わった。
おしりの穴でカレに抱かれ……、ううん、おしりの穴をカレに犯されてから、わたしは目覚めた。
もう尻尾を隠すこともやめた。体がうずく日は一晩中でも自分を慰め、昼に
は尻尾でおしりをいじりまわした。
この間からは自ら慰めることすらしなくてもよくなった。
呼べばいい。
魔物達はいつ何時であれ、わたしが呼べばそこに現れる。
わたしはナナ。ムーンブルクの王女であり多くの臣下と民草に傅かれた身。
それは今もそう。多くの魔物に傅かれ、自由にならないことなど何もない。
命じればいい。
『わたしを慰めなさい』と。
ホイミスライム、ゴーゴンヘッド、ポイズンキッス、マドハンド、ダークア
イ……わたしを悦ばせることに長けた者達は、数え上げればきりがない。
彼らは皆、喜んで奨んでわたしに奉仕する。
胸を、お大事をおしりを、首もとからつま先まで。
舐めろと言えば舐め、擦れと言えば擦る。
もちろん……
「入れろと言えば……」
入れる。
この間など、サーベルタイガーの子供に相手をさせたら、とてもかわいらし
かった。わたしのおしりに一生懸命におちんちんを突き立て、みゃふみゃふ
言いながらたくさん子種を出した。
601:名無しさん@ピンキー
10/05/18 00:00:09 fcHqfXoY
あの子……大人になったら人間の女を犯すようになるかもしれない。
そう思うとなんだか笑いがこみ上げてきた。
「ほんとどうしよう。こんなに淫らなことが楽しいなんて知らなかった♪」
笑いながら、ぽふんとベッドに身を投げ出す。
今日はなにをしよう。誰としよう。どこでしよう。
「もう……ルビス様に顔向けできないかも」
何人、ううん、何匹としたかな?
嫁入り前なのにね。普通は魔物となんて嫌がるのにね。
だって仕方ないじゃない。
わたしもう魔物だもの。
自分の体のことくらいわかるわよ。
尻尾を植えつけられてからこっち、わたしの体はどんどん変わっていった。
まず味覚が変わった。いつも食べているものが美味しくない。
ここでの食事は別だけど。
眠る時間が短くてもぜんぜん平気になった。
特に夜はいつでも元気いっぱいで、いやらしいことがしたくてたまらなくな
る。
「あ、それは昼間もおんなじかしら♪」
あとはそう、体がいやらしくなった。
乳房なんてふた周りは大きくなったし、肌も白さを増して、いつもつやつや
している。
おしりはおちんちんを入れられるくらい柔らかくなったし、恥ずかしいくら
いくちゅくちゅになる。
わたしのおしりは、もうただの排泄するところじゃない。
とてもとても気持ちよくなれて、殿方をとてもとても悦ばせるところ。
変わったところはまだある。
今まで使うこともできなかった魔術が、使えるようになった。
そして、呪文の詠唱には、ルビス様を選ぶよりシドー様を選ぶほうが集中も
しやすい。
だから何?
わたしはわたし。何も変わらない。
そう、たとえ魔物になっても何も変わらない。自信を持って言えるわ。
わたしはなにもかわっていない。
602:名無しさん@ピンキー
10/05/18 00:00:58 fcHqfXoY
アルハドは気がついていないみたいだけど、このムーンブルク城がどういう
仕掛けでこの現世に存在しているのかもわかっている。
これは幻。強力な魔術で作り上げたまやかし。
こんな大規模で永続的な幻術を扱えるのは、恐らくハーゴン。そしてシドー
様の御力。その力には恐れすら抱いてしまう。いったいどれだけの修練を積
めばそこまでになれるのか。
このまやかしはいたる所に仕掛けられている。
わたしが口にするもの全て。お茶から料理、そしてお酒にいたるまで。
ちょっと目を凝らして見れば、今のわたしには全てお見通しなんだから。
それらは人の食べ物に見せかけられているけれど、本当は魔物が好んで口に
するものばかり。
もしくは魔物の体そのもの。花であるとか、葉であるとか、実であるとか。
だからって食べないわけにはいかないじゃない。美味しいんだもの。
ひょっとしたらそれは人間を食らった上で蓄えられた養分なのかもしれない
けれど、見ず知らずの方々の死にまで悲しみは持てないものね。
それに、アルハドの解くことが正しいなら、魔物に殺された人々は、シドー
様の御許でひと時の悦びに身を浸すことになる。
そこは全てのしがらみから解き放たれた自由の野。
闇はその身を癒し、押さえ込めて来た欲に耽り、新たな生を迎えるまでの安
らぎの地。
地の獄でも天の獄でもなく、そこには安らぎだけがある。
人は、厳しいこの世の規律に耐え忍び、欲を押し殺し、審判を経て、地獄か
天国へと召される。
悪人は責め立てられ、善人はまた欲を押し殺し、耐え忍ぶ。
そんなところへ行くくらいならば魔物に殺されたほうがましかもしれない。
闇は暖かく傷を癒す。光に照らされるだけでは人は生きていけないのだから。
飢えに苦しむこともない。好きなだけ食べればいい。奪い合うこともなく満
たされているのだから。
交わりたい者も好きなだけ交わればいい。身の美醜に悩むことなどない。肉
の悦びは誰にも公平で、老いと飢えから開放された地。拒む者などありはし
ないのだから。
いつしかわたしは、それを始めとしたハーゴンが説くシドー様の教義に興味
を持つようになっていった。
この世は今ある姿で本当に正しいのか。万人が幸せと言えるのだろうか。
ハーゴン本人と会談してみれば、何かがわかるかもしれない。
603:名無しさん@ピンキー
10/05/18 00:01:39 p9THoDab
何故わたしを魔物へと変えてまで求めようとするのか。
第一わたしを花嫁として迎えたいなどと言っておきながら、本人は一度も
わたしと会ったことすらないなんて。
「ちょっとふざけてるかも……」
ぷくっと頬を膨らませてつぶやく。子供っぽいから辞めたいんだけど、昔か
らのクセはなかなか直らない。
ベッドの脇のハンドベルを手に、ちりんと振ってみる。
なんだか喉が渇いちゃった。冷たいお茶でも持ってきてもらおう。
「お呼びですか、殿下」
程なくしてアルハドが現れた。もちろんあの仮面は着けていない。
「喉渇いちゃった」
その一言だけでいい。
「承知いたしました」
カレはわたしが自らここを訪れても何も言わないし、驚きもしない。
だってここはわたしの部屋だから。
自分の部屋に持ち主がいつ戻ってこようが自由。
家臣に用を言いつけるのは当然のこと。
ほどなくしてサンチョが現れた。後ろにはブリザードも控えている。
かこかことお茶の準備を始めるパペットマンの執事にも見馴れてしまった。
たくさんの魔物達と触れ合って、そう、文字道理に触れ合ってきたけれど、
やっぱりこの子がわたしの一番のお気に入り。
ブリザードは銀のバケツにかろんかろんと氷を吐き出している。
うーん、便利な子。魔物達って、どの子も一芸に秀でているからバカにでき
ない。
例えばフレイムとブリザードなんかは言うに及ばず、飛べる子達は高いとこ
ろでの活動に、ギガンテス達なんかはとっても力持ちだし、キラータイガー
なんて背中にわたしを乗せて運んでくれたりする。
あとスライムはぷにぷにで癒されるしホイミスライムはまさに癒しだし、に
ょろにょろした子達は、とっても気持ちいい♪
手際よくサイドテーブルに氷の浮かんだ冷たいお茶が用意される。
「二人ともありがとね」
慈愛を込めて微笑むと、二匹は浮かれて小躍りしはじめる。
本当に……可愛い子達。
この子達はまだわたしに伽を命じられていない。そうね、今日はこの子達に
するのもいいかもしれない。
「殿下……お楽しみの前に少しお話が御座います」
604:名無しさん@ピンキー
10/05/18 00:02:10 p9THoDab
「どうしたのアルハド?」
そういえばカレともしばらくしてないかも。なんだかんだでわたしを一番悦
ばせてくれるのはカレだから、今日はやっぱりカレにしようかしら。
それともこの子達も交えて四人でしてみるのも気持ちよさそう♪
「こちらを」
そう言って袱紗から差し出されたのは……。
「これ……どこにあったの?」
「はじめて君と交わった森で」
「そっか……わたし、あの時あの場に」
邪魔にして……、千切って、捨てた。
「君にとって、大事なものでしょう?」
「うん、大事なもの」
そう、何度も探した大事なもの。
「君を、大切に想う人からの、贈り物でしょう?」
「うんっ、うんっ!」
これを失くしたと気付いたとき、わたしは泣き崩れた。失くしたことすら気
付かなかったことに気付いて、また泣いた。
「もう失くしちゃダメだよ?」
ぽろりと涙が落ちた。それを受け取り、胸にかき抱く。
「でも、アルハド、あなたにとってこれは……」
「そうだね」
「だったらどうして!」
「私は……僕は、君の騎士だからね」
「アルハド……」
照れくさそうに微笑むカレを、わたしは見ていることができなかった。
あとからあとから涙が零れてくる。
「ナナ、ここに来るのはかまわない。全ては君の望むままに」
泣き顔を見ないように、アルハドは背を向けて続ける。
「でも、きっと君を抱きしめたいと一番に願う者は、ここにはいないよ?」
「どっ、どう……してっアルハドっ、あ、あなたはわたしをハーゴンの……」
「そうだね。でも、誓っただろう、君を守るって」
「だったら、あなたがわたしを自分のものにしたって!」
「僕の望みは、君の幸せだ。それこそが大切なんだ。僕が、じゃない。誰が、
でもない。君が……望む人と。それだけは貫いてみせる。そのために僕はあ
りとあらゆる全てを排除しよう。喉笛に食らいついてでも、君の望みをかな
えよう」
605:名無しさん@ピンキー
10/05/18 00:02:44 fcHqfXoY
カレはわたしに背を向けたままで、続ける。
「だから、行っておあげよ。僕の可愛いお姫様」
嬉しかった。アルハドの心が嬉しかった。カレの忠義が嬉しかった。
「どうして……どうしてそこまでしてくれるの?」
アルハドの答えがもしどんなものでも、わたしはその通りにしよう。
もしも、わたしに恋しているというのなら、わたしには捧げられるものがあ
る。
たったひとつだけ、今まで大事にしてきたものが、たったひとつだけ。
「僕がそうすると誓ったからだ」
「誓った、から?」
「そう、君は魔物達にすら惜しみなく慈愛を与えてきた。闇に生きるものと
て、光無しでは生きられない。君は光だ。どれだけ魔に堕ちようと、君はこ
の世を遍く照らす光だ。君はきっとこの先世界のありようを変える。他の誰
にもできないことを君はやるだろう」
「アルハド……?」
「それと同時に君はどうしようもなくお転婆で、騙されやすくて、調子に乗
りやすくて……」
「ア、アルハド……?」
「影から見ていれば魔術でぽんぽんぽんぽんと王子達は吹き飛ばすし、弱い
くせに酒を飲んでは異性に無防備なところはさらすし、いくら年頃の女の子
とはいえ、路銀も少ない旅中にあれはねだるこれもねだるとだね……」
「あんた、全部見てたのね?」
「あぁ、見ていたともっ、最近王子達には同情の念が軽く沸いてきて……す
まなかった、すまなかったからそのトレイを降ろしてくれ。僕は君のところ
のバカ王子のように頑丈じゃないんだよっ!」
「もうちょっとあなたが続けていたら、『縦』でいくところだったわ♪」
つまりだ、と仕切りなおしてアルハドが言う。
「君を守ろうと思うんだよ。ほっとけないだろ、だって」
それが全てだと、言わんばかりにアルハドは口を閉ざしてにっこりと笑った。
606:名無しさん@ピンキー
10/05/18 00:03:22 p9THoDab
「あなたが、笑ったところ……はじめて見たわ」
「貴重だろう?」
「ふふふっ、そうね」
「とても貴重だろう?」
「はいはい、何が言いたいかはわかったわ。はいこれ、つけて」
私は髪を前に垂らして首筋をさらす。アルハドはしてやったりと鼻で笑って、
それを首につけてくれた。
「じゃあ、わたし行くね?」
「待ちたまえ、大切な夜なんだろう。ここにあるものを忘れてはいないか
い?」
ぱちんとアルハドが指を鳴らすと、扉から魔物達がなだれ込んで来る。
それはもう凄い勢いで、数えることすらできないほど。
手にはドレスから靴からアクセサリーからはたまた下着まで。
それこそ山のように。部屋を埋め尽くさんばかりに。
部屋は見る見る間にわたしが喜びそうなもので埋め尽くされていった。
「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♪」
「さぁ選ぶといいっ、どれだ、あれか、これか、僕としてはあっちの赤い透
けてるのがお勧めだ!」
「あんなの初めての夜に着て行ったらびっくりよ、あの世でお父様が腰抜か
すわっ!」
「なら、そこのレース網の白いドレスはどうだっ!」
「アレは婚礼衣装よっ。カインが腰抜かすわっ!」
「そ、そうなのか。じゃあそっちのきらびやかな金糸銀糸の……」
「アタシはどこの業つくババァよっ。あんなの着てたら重くてアタシが腰抜
かすわよっ!」
あー、ダメだ。こいつにまかせてたら夜が明けちゃうっ!
「そうねぇ、下着はこれっ、下品じゃない程度にセクシーにっ。季節的にも
爽やかなサマードレスがいいわ。できるだけ簡単に脱がせそうなのっ!」
初めての夜にまごまごまごまごされたら雰囲気も覚めちゃうもの!
「あとは嫌味じゃないくらいのアンクレットと……!」
ぽいぽいと裸になってその場で着替えていく。他人の目なんて気にしない。
どうせ何度もここでは見られてるんだからっ!
「そこのキラーマシンっ、香油を持ちなさいっ、ちがうわよ、きちんと人間
用の。全部バレてるんだからねっ。マドハンドとブラッドハンドはお化粧と
髪にブラッシングっ!」
てきぱきと指示を出して武装を整えていく。
607:名無しさん@ピンキー
10/05/18 00:05:24 fcHqfXoY
待ってなさいよカイン、普段とは違うわたしを見せてあげるんだからっ!
逃げられるなんて思わないことね、我慢なんてさせないわ。あんたのほうか
らさっくり襲わせてあげるっ!
「ほらっ、どうよアルハドッ!」
全てを整えて可愛らしくポーズを取ってみせる。
「クるものがあるでしょ。ムラっとくるでしょ。可愛いでしょっ?」
「んーあー、その言葉に萎えるな」
「ヒババンゴッ!」
指を鳴らすと、心得たもので、一匹のヒババンゴがアルハドを殴り飛ばす。
「と、とてもお綺麗です殿下」
「わかってんじゃない」
むふー、と鼻から息を吐いて、つかつかカレに歩み寄る。
「行ってくるわね」
ありったけの感謝を込めて、カレの額にキスをする。
「おにいちゃんっ♪」
照れくさくてカレの顔なんて見られなかった。
すぐに踵を返して、ルーラの詠唱に入る。
「いっておいで、ナナ」
霞む意識の中で、アルハドが言うのが聞こえた。
ほんのちょっと、泣けた。
608:名無しさん@ピンキー
10/05/18 00:06:54 p9THoDab
こんな感じで今日はここまでで
次回
二人がヤります
カイン視点で
オチが読めた方もいらっしゃるでしょうが
がんばって書きます
609:名無しさん@ピンキー
10/05/18 08:29:47 SK0wsMNG
いや読めないw
エロと違うけどシドーの教義とか面白かった
続きも期待してます!
610:名無しさん@ピンキー
10/05/18 18:05:35 MwNM8o61
素敵なアルハドに惚れたwww
二人がヤりますに噴いた!
頑張って下さいな~
611:名無しさん@ピンキー
10/05/18 20:39:22 erCMiRiR
ナナの作者です
>>609
ありがとう
よくあるエロENDですよ
エロゲとかにありがちな展開になると思うんですけどね
>>610
ですよね
アルハド二枚目すぎますよね
意外なほどバカだし
ようやくここまで来ました
あと半分くらい
お付き合いいただけたら光栄です
612:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:30:32 wfTQogJr
ナナの作者です
カインの動かしやすさにびっくり
続きを投下しようと思います
ナナがみんなに受け入れられるといいなと思います
エロはまた後日になりますが
とりあえずどうぞ
613:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:31:19 wfTQogJr
「ナナについてどう思う?」
はぁ?
なんだよ、お前アイツに惚れてんのか?
「いや、そりゃあナナは凄く魅力的だしさ、最近綺麗になったとは……」
はいはい。男が頬染めたって気持ちわりぃだけなんだよ。
まぁ、なんだな。デカくなったよな。
「ちょっ、カインお前いつもそんなとこ見てるのか!?」
ハァ?
俺は背丈の話してるんだぜ?
「あ、あぁ、背丈ね背丈っ。うん、それはまぁ確かにね。大きくなったよね
ぇ。あれから何年もたったもんなぁ、いやぁ時が経つのは本当に早いよね」
やましいものを抱えるときほど、多弁になるよなぁ?
「そそそそそそっそんなことなっ……うん、最近なんだかさ、色っぽくな
ったよね」
けけけけけっ、そうそう、素直にそう言やいいんだよ!
ま、今晩は鬼の居ぬ間のなんとやらだ。ほら、呑めよ、さっきから呑みが
足らないんじゃないのか?
風呂から上がると、珍しくこいつの方から誘いが来た。
ナナが墓参りに行ったし、下の酒場で一杯どうだい?
断る理由も無ぇし、俺はふたつ返事で頷いた。
ナナがこう度々墓参りに出掛けていくおかけで、こちらとしても羽を伸ば
せるってもんだ。
まったくあいつときたら、あの歳になって意外と潔癖なとこがありやがるか
らな。たまに男二人で夜の街をぷらついてただけで、
「あーら、遅いお帰りねぇ。で、楽しかったの、そう、楽しかったの。ふ
ぅんいいわねぇよかったわねぇ、さ・ぞ・か・し・た・の・し・か・った
・ん・で・しょ・う・ねぇ♪」
と来る。
614:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:32:53 wfTQogJr
オトメってのは皆あぁいうもんなのかね。
それとも男でも知れば多少は変わるのか?
ないな。ないない。まず相手がいない。
こう旅から旅への毎日じゃ、淡くてはかない恋のきっかけすら見当たらない。
第一、ナナはこいつのこと……。
「なんだよカイン、さっきからじっと見て」
なんでもねぇよ。あぁ、ねぇちゃん、つまみが切れちまった。乾きもんで
いいからなんか適当に頼むわ。え、俺達。いねぇよいねぇよ。なんなら一
緒に飲むかい。あぁそ、お子さんいらっしゃる。へぇ、若いお母さんなんだ?
「うわぁ……カインってよくそういう風に女の子に声かけられるよね」
天然野朗に言われたかねぇんだよッ!
ぽんぽんぽんぽん落としやがって!
あ~ん、なんつったっけかぁ?
……ミリア?
「ん、ミリアがどうかした。あ、すいません、この肉もう一皿」
え、お前なにそれ。素なの?
ルプガナ船団長の娘さんのミリアちゃんですよ?
「やだな、ぼくだって彼女のことは覚えてるよ。この魚いけるなぁ、追加
お願いします」
だーかーらぁ、二度も魔物に襲われてるところを助けた、ルプガナ船団長の
一人娘のミリアちゃんですよ、ってよく食うねお前?
「うん、運の悪い子だよね」
死ねよお前ッ!
「ちょっと、何怒ってるんだよカイン」
モテる男は死ねっ全員っ一人残らずここに並べ!
殺す。ザラキで殺すっ。ベギラマで焼く。隼の剣で四分割にしてやるッ!
「ははは、ならカインがまず死ぬべきだと思うんだけどね」
615:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:33:41 wfTQogJr
ハァ?
なんでそこで俺が出てくるんだよ。
「ナナは……きっとカインの事が好きだよ」
んなわけあるか。あいつはきっとお前のことが好きなんだよ。
それにお前、よっく考えろよ?
例えば俺とお前が夜遊びに行くとする。
「うん、たまにやるよね」
戻るだろ。
「うん」
お前ひっぱたかれたことあるか?
「ないけど?」
お れ は あ る !
それにだ、この間の森ひとつふっとばしたのは別としてだ。
たとえばナナのスカートがめくれるわな?
「うん、たまにあるよね」
色気のねぇ下着が……見えたかな、あ、いや、服の裏地かな?
ぐらいの一瞬があるだろ。
「うん」
お前イオナズンくらったことあるか?
「ないけど?」
お れ は あ る !
こないだなんかな、偶然あいつの尻に手が触れたんだよ。
わしづかみとかじゃねぇ。手の甲が尻の上のほうあたりに触っただけだ。
大泣きされたんだぞ?
いっそ殴れと。吹き飛ばせと。
泣くか普通常識的に考えて!?
「ごめんなさい、お姉さん、この肉もう一皿いいですか?」
ああそりゃあ、あんなんでも年頃の娘さんですからァ?
スカートん中ってのは秘めたる部分なんでしょうよ!
オトメのヒミツってのが隠れてるんでしょうよ!
だからって、ちょっと掠めただけで泣くかよ!?
アレか?
シッポでも生えてんのか?
まだそこだけ犬のままで尻尾でも生えてんのか?
まぁそうだとしたら怒るわな。隠してんだもんなァ?
もしアイツが俺に惚れてるなら、
『もぅ、ばか♪』
くらいで許されるだろ?
ほら、見てろよ?
616:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:36:08 wfTQogJr
こうやって給仕のねぇちゃんの尻触ったってなぁ、
『きゃっ、こらっ、ダメよおいたしch
「おい、カイン、生きてるか?」
……ヒババンゴになぐられたってここまでにゃならなかったよ。
「ぼく時々思うんだ。ひょっとしてカインは女の人に殴られるのが好きな
んじゃないかって」
んな訳あるかバカ!
マンドリル馬鹿!
あーもう腹たってきた!
寝る!
あんまり飲みすぎんなよ。ほれ、勘定。こんだけありゃ足りんだろ。
「ナナが俺に惚れてるだぁ?」
目が腐ってんじゃねぇのかあいつ。
俺は宿屋の自分の部屋に戻ろうと、階段を昇っていった。
酒場の喧騒を遠く聞きながら、部屋の扉にもたれかり、斜向かい、ナナの
部屋を見やりながら、打たれた頬を撫でる。
「……つまんねぇもん触っちまった」
どんな女もつまらねぇ。特に城に居た頃の女達なんざ最低だ。くだらねぇお
べんちゃらに、ありありの下心。
あいつだけなんだ。
あいつだけがあの頃からずっと胸に住んでいる。
617:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:37:20 wfTQogJr
何と引き換えにしてもかまわない。
一度だけでもいい。抱きしめたい。この胸の中の叫びをぶちまけてしまい
たい。お前がどんなに綺麗なのか教えてやりたい。どんな花よりも宝玉よ
りも、あの夜空の星でさえお前にはかなわない。
ルビス様だって、お前よりは美人かもしれないけど、お前よりも可愛くは
ねぇだろうよ。
いっそ出会わなければよかった。
ずるりと扉にもたれたまま、廊下に腰を降ろす。
あーあー、やだね、無様だね。
恋に酔って、報われない自分に酔って、こんなとこで半ベソかよ。
墓参りに行ってる?
こんな頻繁に?
そんなわけあるかよ。
誰かいい奴がいるんだろ、常識的に考えて。
それでもかまわない。
抱きしめたい。貪りたい。俺だけを見て欲しい。
わかってる。そりゃ欲だ。全部俺が気持ちよくなるためだけのもんだ。
だから、誓ったんだ。
たとえ誰があいつを射止めようと、どこに行こうと、俺は必ず守るんだって。
俺じゃなくてもかまわない。きっと報われない。
それがどうした。
守る。あいつを傷つけようとする全てから。そのためなら俺はあいつだっ
て殺す。ハーゴンも殺す。シドーも殺す。俺の力が敵わないのなら、この命
と引き換えにしてでも。
そのための覚悟も準備も、とうにできてる。
師匠、グランログザーには叱られちまうだろうけどな。
使うなって言われたし。なら教えるなよ。
「やべぇ、堂々巡りだ。くそ、酒なんか飲むんじゃなかっ……」
不意に、俺の上半身を支える力が消えた。
受身を取ることもできずに、後頭部から堕ちて行く。
がすん、と来た。
つまりは誰かが部屋の内側から扉を開けたということ。
刺客か!?
ちくしょう、酒なんか飲むんじゃなかった!
618:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:38:23 wfTQogJr
「もぅ、いつまで見てるのよばか」
知らない女だ。
真っ白で綺麗な足だった。灯りの無い暗い室内でもよくわかる。
いや、正直いい眺めですナ。もちっと足を開いてくれると嬉いんd
「いつまで覗いてんのよ大バカっ!」
ぐしゃりときた。銀のアミュレットの音も涼しく、サンダルの裏で視界が
埋めつくされる。
あぁ、この一切の力の加減を知らない一撃は……。
「……ナナ?」
「いいこと。目を開けたら殺す。いいって言うまで閉じてなさいよ?」
「……承知いたしました殿下」
足を払いのけるってのもありなんだけどな。まぁ、なんて言うかだ。惚れ
た女には弱いもんだよな、男ってのは。
「いいわよ」
足音がして気配が遠ざかる。
目を開けて起き上がると、やはりそこには知らない女がいた。
「あの、どちらさん。そういうご商売なら間に合ってるんだけど」
「はぁ、あんた何言って……ふぅん、そんなにわたしに見えないの」
見えないんだぁ、とかなんとか言いながらくすくす笑う女。
なんだなんだ、頭の中があったかい感じの女なのか?
こんなあほは刺客にはならんだろうな。普通なら毒を塗った短剣のひとつ
も飛んできてる頃だ。
ため息ひとつ、備え付けのランプに火を点し、まじまじと女の顔を見る。
「かわいい?」
「嘘だ。アイツはこんなじゃない」
「見違えた?」
「不覚ながら……誰だかわからかなった」
本気でどこの可愛いお嬢さんかと……。
「似合ってる?」
「くやしいがな」
「かわいい?」
「はいはい、可愛い可愛い」
なんなんだよなんなんだよ。酔っ払ってんのかこいつ。
つうか直視できねぇ。眩しすぎる。
「あははっ、カイン照れてるっ!」
619:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:39:44 wfTQogJr
ころころと笑ってベッドにぽふんと腰を降ろし、恐るべきことに、ナナは
空いた隣を叩いてみせた。
座れ、と?
そこに座れ、と!?
「あんたの部屋でしょ、いつまでつっ立ってるの?」
「あ、あぁ」
いや、正直それは辛くないか?
何考えてんだこいつ。何そんなに上機嫌なんだよ。
わかんねぇ、さっぱりわかんねぇっ!
とりあえず取り乱すな俺。そう、俺はいつだって斜に構えて皮肉小僧で、品のねぇ下ネタ言って殴られて……そう、それが俺!
大丈夫、大丈夫だ。
とりあえず人一人分の隙間を保てばなんとかなる。
何気ないふうを装ってゆっくりとベッドに腰を降ろす。
「あら、カイン、こっちのほっぺどうしたの?」
熱を持つ頬に、細い指が触れる。
「誰かに殴られたみたい」
ダメでしたッ!
一気に距離を詰められましたッ!
「いや、何、ちょっと酒場で、な」
「女の子のおしりでも触ったの?」
うわ、掌すげぇ気持ちいい。それに、すげぇ甘い匂い。こいつ香油かなん
か塗ってやがる。
……正直たまらない。
「偶然だ偶然」
「もう、ダメよ。女の子は、許した相手になら何されてもいいけど、それ
以外の奴には触ったり触られるのも嫌なものなんだから」
じゃあこの手はなんなんだよ。いつまで触ってんだよ。
「我らが癒し主、光を司る精霊ルビス様。心のお力により我が身を癒し
給え」
柔らかい光に、痛みが瞬く間に引いていく。
「あ、ありがとよ」
「だから、カインもそういう女の子を作っちゃえばいいのよ♪」
何を言っているんだお前は!?
つうかお前何しにきた!
「アホか。そんな事してる暇あるかよ。旅から旅の身でそんな相手作った
って」
620:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:41:06 wfTQogJr
「あら、それでもいいって女の子だっているわよ?」
柔らかい微笑みに、きゅっと胸が締め付けられる。
お前は、そういう相手を見つけたんだな。そうか。
くそっ、覚悟はしてたつもりでも、やっぱり堪えるな。
「お前は……そういう相手が、できたんだな?」
よし来い。いっそさくっと殺ってくれ。
「うん、居たわよ。ずっと前から」
キターーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
「そうかそうか。お前みたいなじゃじゃ馬でもいいって奴が居たんだな。
よかったじゃねぇか。なんだったらいっそそいつと暮らしちまえよ。旅な
ら俺とあいつに任せとけ。お前はそいつの子供ころころ産んで、笑い皺が
できるぐらい幸せにババァになれよ」
ルビス様。
俺は笑えていますか。
上手に笑えていますか。
どうか俺に力をください。
今この一時、涙をこらえる力をください。
もしも俺を少しでも哀れに思うなら、どうか。
「ん、別に旅はやめなくてもいいでしょ?」
「そりゃお前の好きにしろよ。そもそも俺はお前がついてくるのには反対
だったんだよ」
「ふふふっ、危ないから?」
「当たり前だ。そのつもりならなんの苦労も背負わずにいられた身だろ。
サマルトリアは、お前ひとりが贅沢に居候したくらいじゃ傾かねぇよ」
「うん、じゃあいずれお世話になるわね」
いかん、泣きそうだ。
「で、そいつはどんな奴なんだよ」
「んー、とってもカッコいいわ」
俺は何余計なこと聞いてますかね?
「あと、軽薄で、助平で、ひ弱で、中途半端で」
「どこのどいつだぁぁぁぁぁっ殺してやるぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「あなたのことに決まってるじゃない」
この肩口にかかる柔らかい重みはなんだ。
うそだ。うそだうそだ。
621:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:42:13 wfTQogJr
「あなたは確かにひよわだけど、頼りがいが無いわけじゃないわ」
あぁ、直視できない。
この肩に触れているのは、本当にナナの額なのか。
「ひよわなのに、いつだってわたしを後ろにかばってくれる」
柔らかい手が、きゅっと俺の肘を包み込んだ。
「軽薄なのも、意地悪なのも、助平なのも、全部ふりだけ。ぜんぶぜーん
ぶ優しさの裏返し。お父様が昔言ってたわ。本当の優しさは、言葉じゃな
くて行動で示されるものだって」
優しい強さで擦り付けられる額。
「どんなに雄々しい誓いも、詩的な愛の囁きも、わたしはいらない」
違うんだ。俺はそんなじゃないんだ。
「あなたの背中と、後ろから見える横顔を見ているだけで、全部伝わるから」
俺はそんな大層な奴なんかじゃない。
「あなたみたいな人と長い間一緒に居て、惹かれない女の子がいると思
うの?」
嘘だ。こんなの嘘だ。
どうしてこんなに……。
「旅が終わってからじゃ遅いの。きっと誰かに取られちゃうもの」
俺が望んだ言葉ばかり。
「いいよカイン。今、何してもいいよ?」
そう言って、俺の手を、ナナは自らの胸元へ導いた。
「カインがしたいことしていいよ」
「黙れクソ野朗」
一瞬で目が覚めた。
「途中までは上出来だ。よくもまぁ人様の心覗いてくれたじゃねぇか」
心の中がドス黒い嵐で満たされている。
「でもな、お前はやっちゃいけないことをしたんだよ」
殺せ。
「うまいこと化けたつもりなんだろうがな。色仕掛けだけはいただけねぇよ」
目の前のこいつを殺せ。
「あいつはな、ナナはそんな安い女じゃねぇんだ。何より俺なんかが触れ
ちゃいけねぇんだよ。いやぁ、本気で俺を怒らせてくれたのはお前が初め
てだぜ?」
ナナを汚す奴は許さない。俺の一番大切なものを汚す奴は許さない!
622:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:43:54 wfTQogJr
「憎しみで誰かを殺すのは初めてだ。俺の前であいつを貶めた罪、万死に
値する……楽に死ねるなんて思うなよ。一分刻みになりながら、ナナに詫
びて死んでいけ」
あーあー勇者にあるまじき行いだな。
でもな。それだけは許せねぇんだよ。
「ふふっ、うふふふふふふふふふっあはははははははははははっ!」
何笑ってやがる外道が。開き直りやがったか?
「そう、カインの中でのわたしはそんななんだ?」
っと、そんなにベッドの上で転げまわるんじゃねぇよ。ナナの足が見える
だろうが。
「そんなに、そんなに怒っちゃうんだ。わたしがそーーーんなに大切な
んだ?」
トチ狂ってやがるのかこいつ。
「あはははははっ、さいっこうっ!」
腹を抱えて笑い転げる。
いい度胸だ。
「あははははっ、お母様、可愛く産んでくれてありがとうっ。ナナは生涯
ただひとりの殿方を今見つけましたわっ♪」
「はぁん?」
「幸せにしてねっ、カイン♪」
有無を言わさぬ勢いで唇を奪われる。
「ねぇ、カイン、これなーんだ?」
そう言って彼女がサマードレスの胸元から取り出したのは、俺が贈ったペ
ンダントだった。
「……(声にならない悲鳴)」
「返品不許可よ。浮気も禁止。そのかわり、全部許すから。ぜーーーーん
ぶ許すからっ。ねぇ何したい。何してほしい。膝枕、頭なでなで、ほっぺ
にちゅう、どれからがいい?」
やっちまったなぁ。
623:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:45:30 wfTQogJr
「とりあえず、アタシはこれね、むぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ♪」
死にたい。
あぁ、死にたい。
「んーーーーーー、これよ、この鎖骨がまた、ん……ちゅっ♪」
あれか。
これが黒歴史ってやつか。
思い出すたびにのた打ち回る羞恥ってやつだな。
「カインカインカインカインっカインの匂いっカインのくびすじーカイン
のー、さーーこーーつーー♪」
うわ、こいつめっちゃくちゃ柔らけぇ。
つうか、どっから搾り出してんだよその可愛さは?
「うふふふふっ、いつも見てたのよ、この色っぽい鎖骨ちゃん♪」
てかお前どんだけ鎖骨好きだよ。
さっぱりわかんねぇよ。鎖骨ってそんな要素微塵もねぇだろ。
「もう我慢しないんだからっ。とっとと襲ってくればいいのに、カインが
バカなのがいけないんだからねっ?」
624:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:46:16 wfTQogJr
いや、待て、展開についていけねぇよ。
俺だけじゃねぇよ。
誰が想像するよ。こんな急展開。
普段の俺達知ってる奴がいたら、ぽかーんってしてるだろこれ。
「ひゃっほぅっ、服を全部脱ぎなぁっ、下着もだぁっ♪」
だからそれ作品違うってんだよ。
どこの世紀末だよ。
「あはー、可愛いの出てきたっ、胸のさきっぽさんにご挨拶っ、んー、ちゅっ♪」
あーもう、可愛いなぁこいつ。
てか性格違うだろ。
あれか、流行りなのか、最近こういうの。
なんつったっけか、普段はつんつんしてんのに、ある瞬間を境にこう。
「やだ、アタシばっかり恥ずかしいことしちゃってるじゃない。カインも
してっ、してしてっ♪」
受け止めよう。
ありがとう。
天国の母さん。俺……お と な に なりまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁすっ!
「ナナ……」
「ん、なぁに、カイン?」
「愛してる」
「……うん。わたしも。あなたの事、愛してる」
俺は、ゆっくりと体を入れ替えて、愛しい彼女におおいかぶさった。
きっと、忘れられない夜になる。
625:名無しさん@ピンキー
10/05/19 00:50:04 wfTQogJr
以上なんですが
すんませんいいとこで切って
つうか投下して読み終えてから
締め方に吹きました。
もうやり直しきかないし
どこの乙女だカイン
さて続きはまた後日で
少しふざけすぎたかもしれません
ではまた後日
626:名無しさん@ピンキー
10/05/19 01:04:29 4V+aetPQ
やったぁ!リアルタイム投下遭遇!起きてて良かった。
大人になってくださーい!www
丁度頂きますで〆てあったので次がたのしみだ。
627:名無しさん@ピンキー
10/05/19 01:15:59 wfTQogJr
ナナの作者です
>>626
そこまで喜ばれると照れちゃうんですけどね
でもがんばろうって気になるんですよね
ありがとうございます
628:名無しさん@ピンキー
10/05/19 18:34:59 lCNrdv6f
定番だけど、ビアンカとの愛の営みをJr.達に見られて聞かれる話が見たい
629:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:04:40 qWd916eS
ナナの作者です
続きが書きあがったので投下します
630:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:05:30 qWd916eS
そっと手を伸ばして、ゆっくりと頬に触れる。
こいつ顔小せぇな。柔らかくて、すべらかで。
情けない話、俺の手は震えていた。緊張と喜びと、畏れと、自分でも言い
表すことができない感情に、体が言うことをきかない。
くすぐったそうに目を細めるナナが、同じように俺の頬に手を触れてくる。
柔らかな指先が、俺の顔の形を確かめるように、耳元から、頬へ、そして
顎先へと。
それだけで幸せだ。
互いに、なんのしがらみもなく触れ合えるということ。
触れても許されるということ。
あぁ、少しだけだけど、わかる。
誰かに受け入れて貰える幸せ。
こんなに近くで、二人きりで、熱を感じながら、俺は今ナナに触れている。
無言でもいい。
第一、この喜びを、どんな言葉で表したらいい?
「その……抱きしめても、いいか?」
ナナは小さく笑った。
「言ったでしょ。何してもいいよって」
ランプの弱い明かりが照らしだすナナの顔その笑顔は、どこか幻想的ですらあ
った。
日に焼けにくい白い肌。和毛がうっすらと浮かんだ頬に、深い紫水晶の瞳は俺
を優しく見つめてくる。薄く引かれた口紅の乗った柔らかそうな唇。優美な頬
の輪郭。
何もかもが愛おしい。
サマードレスの背中に手を差し入れて抱きしめると、ナナが小さく息を漏らし
て、俺の首筋をくすぐる。
女にしかない柔らかさ、薄い生地越しの熱、吐息のひとつさえ愛おしい。
「もっと、ぎゅってして」
「だめだ。これ以上力なんか入れられない、お前が壊れそうだ」
お前は知らないんだ。
どんなにお前の体が柔らかいか。
まるで花みたいだ。強く握ればつぶしてしまう。花びらは強く触れただけでも
裂けてしまう。
631:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:06:17 qWd916eS
「カインの重さも、力も、全部が好きよ。強くぎゅってされると、『あぁ、わ
たしはこの人の恋人なんだな』って気分になれるんだから」
単純でしょ。そう言ってまた笑う。
でもな、俺には無理なんだよ。お前は、いくら可愛いからって猫を力いっぱい強
く抱きしめたりするか?
できないだろ、あんな柔らかい生き物。
「臆病だ、って笑うなら笑え。俺には無理だ」
「あなたもわたしを女神様扱いするのね」
ナナの唇がそっと俺の耳に寄せられる。触れるか触れないかの位置から、ちゅ
っと唇を吸う音が聞こえた。
「だったらわたしにも考えがあるんだから」
吹き込まれた言葉は堪らなく蠱惑的な声色で、一瞬別人かと疑ってしまう。
「ねぇ、カイン……」
俺にしか聞こえないだろう小さな囁き。
くちゅりと音をたてて、濡れた舌が俺の耳に差し込まれた。
「大好きよ」
とろけるような甘い声。
「大好き」
ぞくりと体に震えが走る。
「カインはナナのこと好き?」
子供の頃のように舌ったらずで、それでいてあくまで蠱惑的に、ナナは繰り返す。
くちゅくちゅと、俺の耳に舌を遊ばせながら、微かに乱れた吐息まじりに問う。
「好きだ。好きに決まってる」
そう。
笑ってナナはそう言った。
舌が這う。
何度も何度も。
吐息は常に俺をくすぐり、時にはわざと吹き込み、ナナは延々と囁き続けてくる。
「好き」
「大好き」
そのすべてが次第に俺を追い詰めはじめる。
632:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:06:53 qWd916eS
舌が、吐息が、濡れた音が、囁きが……頭の中を直接揉み解されているような
感覚。その刺激に、意識さえ陶然としてくる。
我慢していた瘧のような痙攣もいつしか激しさを増し、いつしか俺はナナの体
にしがみ付いていた。
ありえない。
刺激が強すぎて狂いそうだ。
緩やかに緩やかに狂わされてしまいそうだ。
そう、それを堪えるには、体裁も恥もないままに、強くしがみ付くしかない。
結可的にはナナの思うとうりに、彼女は俺に強く抱きしめられている。
ナナの指が、俺の下穿きをずらしているというのに抵抗することさえできない。
「カインったら、もう、こんなにしてる」
何がそんなに嬉しいのか、くすくすと笑い続けるナナに、俺は声さえ上げるこ
とさえできない。
もし今口を開いたなら、俺は間違いなくだらしなく声を上げていただろう。
ナナの手が、俺の性器を緩やかにしごきたてる。
「これも……熱い」
先を掠める爪の感触、くるくると指先でそこを弄ばれるだけで、根元からびく
りと震えてしまう。
「あぁぁあっ!」
あっけない終わり。我慢の効かない快楽に、弾けるように吹き出る子種。
無意識に腰を振りながら、俺はナナの背中に指を食い込ませている。
「出てる……カインの子種」
その手が汚れることもいとわないのか、ナナは俺の先端を包み込んでくれた。
信じられない。こんなにもあっけなく。奥から奥から噴出すなんて。
「嬉しい。たくさん出してくれたのね、カイン」
溢れ出た子種の感覚を確かめるように、ナナの手は萎えはじめた俺を弄う。
「だめだ……ナナ、きたない」
「なんで。カインのだもの。汚くなんてないわ」
「そんなことない。何かで拭わないと」
言いようのない羞恥。くそ、なんだって俺は。いくら初めてだからって、こん
な情けないことってあるかよ。
「あら、信じてないの。だったら……えいっ」
気だるい余韻に浸る俺は、あっけなくナナにひっくり返され、膝を両手に支
えられ、股を広げてしまう。
シャツ以外のすべてを剥ぎ取られても、頭の中のもやが消えない。
633:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:07:26 qWd916eS
「そんなに気にするなら、すぐに綺麗にしてあげる」
なんの躊躇いもなくナナがぱくりと俺をくわえ込んだ。
舌がこそぐように全体をぐるぐると這い回り、吸い上げるままに唇から引き抜
かれる。俺はそれがただただ信じられなくて、見ていることしかできない。
俺の反応を確かめるように視線を送り、子種まみれの指を、一本、二本と舐め
しゃぶるナナは、信じられない程に俺を興奮させた。
「んふっ♪」
俺の上に覆いかぶさり、至近に寄ってゆっくりと口を開く。
舌を蠢かせると、白い濁りがゆるりと揺らいだ。
「……あー♪」
声に出して舌を伸ばすナナ。
とろりと糸を引いて、胸の中心に唾液交じりの子種が垂れて行くのを、俺はし
びれた頭で見ていた。
「ほら、汚くないわ?」
知らなかった。こんなに淫らに笑う奴だったなんて。
「ちょっと苦くて……」
言いながら、ナナの指先が子種に浸る。
「しょっぱくって……」
くすぐるようにそれを俺の胸全体へと塗り広げていく。
「不思議な味♪」
楽しんでいる。ナナは俺という男とこういったことをすることを、心から楽し
んでいる。
「そんな目で見たって駄目よ?」
まさか、と思った。
「これは全部アタシのなんだもん」
指に残る残滓をぺろりと舐め上げて、
「カインにはあげない♪」
ナナは俺の胸に広がる子種に舌を伸ばし始めた。
悪戯な笑みを湛えて細められる瞳は、決して俺の目を離れない。
そう、淫らな自分を見て、俺がどう感じているか確かめるようだ。
右の桃にひやりとした感覚があるのに気付いた。
そこにはナナの股が押し付けられ、ゆるゆると擦られている。
「えへへっ気付かれちゃったわね」
笑う様が妙に得意げなのはなぜなのか。
「うん、そう。もうとろとろなの。この部屋に来て、カインの匂いがするって
思っただけで、きゅんってなっちゃって」
634:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:08:10 qWd916eS
ナナの太ももに触れている俺が、もう固さを取り戻している。先ほどとなんら
変わらない硬さでだ。
「もう、してもいいよカイン」
俺の子種をぺろりと飲み干した舌で、ナナが唇を舐めあげる。
「もう何にもしなくてもいいよ」
意味ありげに、俺の根元に指をあて、つうっと先端まで指を這わせていく。
「そのまま、ずぶってきて……」
「ナナを犯して」
もう限界だった。力任せにナナを押し倒し、首筋にむしゃぶりつく。
胸を鷲掴みにするとナナの口から甘い声が上がった。
「カインっ、カインカインっ。いいよ、乱暴でもいいからしてっ。犯されても
いいのっ、カインになら犯されてもいいよ。アタシよかったのにっ、乱暴に奪
われてもよかったのにっ!」
サマードレスのボタンが飛んで、下着越しの胸が飛び出た。
「なんで今日まで何もしなかったの!?」
「うるせぇよ。今からやってやるから覚悟しとけ」
「あぁ、カイン……嬉しい」
激しくナナの舌を吸い上げた。嫌がりもせずに応えられる舌に、俺は夢中で舌
をうごめかす。
「カインっ、来てっ、脱がさなくていいからっもう待ちきれないの!」
自ら下着を脱いで、ナナが指でそこを押し広げている。
あぁ、そこなのかと考えるまでもなく、俺は腰をそこへと突き入れていた。
「いたぁ……!」
苦痛にナナの顔がくしゃくしゃにゆがんだ。
「悪い、俺、もうやめられないっ」
しゃにむに腰を振った。こんなにいいことがあるなんて知らなかった。
「カイン、いいからっ、カインが気持ちよければそれでいいからっ!」
気遣いなんてしない。ナナもそれを望んでいる。
俺はただ吐き出すためにひたすらに動いた。
急激に子種が競りあがってくる。あっというまだ。
一番根元までずぶりと差し込んで、歯を食いしばる。
限界だった。
最高だ。
止まらねぇ。
635:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:08:38 qWd916eS
「ぁうっ……出てるよ。カインの、たくさん出てる」
出し終えてもひくひくと動いてやまない俺が、ゆっくりとしぼんでいく。
余韻にひたる俺の頭をナナの手がかき抱いた。
「カインは、気持ちよかった?」
「あぁ、最高だった」
それ以上の評価なんてない。まさに最高の一瞬だった。
「ならよかった……」
頭を撫でて来る手が優しい。
胸は柔らかくて、いい匂いがする。
このまままどろんでいるのも幸せかもしれない。
目を閉じると、ゆっくりと眠りの幕が頭の中に下りてくる。
あぁ、もう少し優しくしてやればよかった。
そんな少しの後悔と共に、俺の意識は緩やかに絶えていった。
だから。
俺は知らない。
この後、何があったのか。
俺は何も知らない。
わたしの胸の中で、カインが寝息を立てている。
くぅくぅと小さな寝息。とても可愛らしい寝顔。
でも今はそんなことはどうでもよかった。
「瞼の上と下は一つに。全ての生ける物は、母の腕の中のような安らぎの園へと。とく眠れかし。ラリホー」
念には念を入れて。だって起きるもの。そしたらできなくなっちゃう。
おしりくちゅくちゅできなくなっちゃう。
636:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:09:33 qWd916eS
「ごめんね、カイン。ちょっと痛いからね」
もう期待で体が震えちゃってる。
早くおしりいじりたくて、わたし震えちゃってる。
わたしはカインの内腿に手を伸ばし、爪をたてて思い切りつまみ上げた。
声ひとつあげずにカインは動かない。
よかった。だってカインに見られたら、わたしきっと嫌われちゃうもの。
それだけは嫌。
嫌なんだけど。
「そっ、それとこれとは別……だもん」
カインの体をベッドに預けて、わたしはしっぽを開放した。
「ふぁ……これ気持ちいい」
なんて開放感。カインに抱かれている間、よく我慢できたものね。
でも我慢しなきゃカインに嫌われる。
これから先カインに抱かれている間はずっと隠し通すんだから。それだけは絶
対。いくら窮屈でも我慢してみせる。
「は……ふっ」
胸をさらけ出して、右手は尖りきった胸の先っぽを軽く捻り、左手はお大事の
先っぽを。そしてしっぽは当然おしりの中に。
我慢も限界だった。いつもどうりわたしのしっぽは、わたしの一番気持ちいい
ところまでつるりと入ってしまう。
「あ、ダメっ、やっぱりここが一番気持ちいいのぉ」
カインに抱かれた。愛しい人に抱かれた。その証は確かに残っている。そう、
この粘り気を失いつつある子種がその証拠。
嬉しかった。カインがわたしを求めてくれているんだって、彼の行動ひとつひ
とつが教えてくれた。
わたしは、それが嬉しくて嬉しくて。
わたしの体がカインを魅惑しているのが嬉しくて嬉しくて。
いまだに仔袋がきゅんきゅんと切なく鳴き続けているのがその証拠。
でもちっとも気持ちよくなかった。
637:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:10:15 qWd916eS
女の子の初めては痛いっていうから、当然なのかも。
でもこっちで達せられるなら、達してみたい。
「明日も……カインとしよう、かな?」
どうしよう。本当におしりよりも気持ちいいの?
本当に?
こんなにおしり気持ちいいのに?
声が我慢できなくなっちゃうくらい気持ちいいのに?
枕に口元を押し付けて、声を殺す。
だらしなく突き出た舌先から、緩んだ口元から、あふれた唾液がそれを濡らし
て行く。
「あ……ふ、おしりきもちいい♪」
言葉に出すともっと良くなれることを、もうわたしは知っていた。
だから遠慮はしない。カインは寝ているし、いいわよね?
彼に抱かれている間も、本当はおしりをいじっていたかった。
お大事に走る痛みを、おしりの気持ちよさで紛らわしたかった。
「おしりに欲しかったよ……カイン」
愛するあなたにしてほしかった。
「おしりっ、寂しかったよぉ……カイン」
大丈夫だもの。わたししっぽでもきちんと達せるのよ?
あなたのだったらしっぽより太くて長いもの。
きっと大丈夫よ。
うん、大丈夫。
すぐ、終わっちゃったけどね。
うん、わたし、いやらしい女の子だから大丈夫。きっと達せるもの。
カレのより小さかったけどね。
だから、それは大丈夫なんだもん。しっぽでも達せるんだもん。
「や……だっ、わたし達しそう」
考えちゃダメなのに。
「うそっ、ぞくぞくきちゃうっ」
思い出しちゃダメなのに。
638:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:21:47 qWd916eS
「アルハドのっおちんちんっ思い出しながら達しちゃうっ!」
彼がいい。カインがいい。
でも入れてくれるならカレのがいい。
あの……。
「ごつごつしてるのがいっぱいついてるのがいいのにっ!」
やだ。
わたし、しっぽじゃ物足りなくなってきてる。
「ある……はど」
悪魔神官で、わたしの忠実な騎士。
そして兄のような人。
愛してはいない。愛してはいないけれど。
わたしの体を一番悦ばせてくれる人。
「らめ……ほしい」
ごつごつしたのがいくつもあって、それがたくさんわたしの中を擦ってくれる。
何度わたしが達しても、かちかちのままで。
わたしがおしっこ粗相しちゃうくらいになってもまだかちかちで。
最後にはわたしのおしりの中いっぱいに子種をご馳走してくれる。
「アルハドのがほしいっ!」
声に出して認めるともう止まらなかった。
あぁ、たまらない。やっぱりおしりがいい。
ほら、達してる。ぜんぜん終わらないよ?
さっきカインが子種出してたよりずっと長いよ?
「ん……ぁ」
余韻に体がぴくぴくしちゃってる。
「ねぇ、アルハド。見てるんでしょ」
ベッドにうつぶせになって膝を立て、とっておきの甘い声で問いかける。
もう、いいや。
「きて……おにいちゃん♪」
ほら、わたし、いやらしいわよ。
自分でわんこの格好しちゃってる。
自分でおしりの穴も広げちゃうんだから。
639:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:22:20 qWd916eS
ねっ。おちんちんおっきくなるでしょ?
だから犯して?
あのときみたいに犯して?
ぎしりとベッドがきしむ音がした。
期待にまた体が震えてくる。
「ふふふっ、やっぱり見てたんだ。お・に・い・ちゃ・ん♪」
無言のままに、わたしの腰に手が添えられる。
それだけで、カレの手が触れられた瞬間に、これからされることの期待に頭の
中が真っ赤に染まった。
欲しかった。いくらカインを愛しく想っても、肉の欲は満たされない。
カインに満たして欲しかった。欲しかったのに。
だからしょうがないわよね。
自分への言い訳に夢中になっている間におしりは深々と貫かれていた。
「ひっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♪」
嘘みたい……不意打ちで貫かれただけで達してる♪
ほらっ、やっぱりこれすっごく気持ちいい。
なんでカインのおちんちんはこんなじゃないの?
カインのにはこんなごつごつ……。
あぁ。アルハドって魔物だものね。
ほんとは人の形なんてもう捨てちゃってるんだものね。
そうなんだ。だからこれこんなに気持ちいいのね。
アルハドのおちんちんは、わたしが落ち着くまで動くことはなかった。
「入れられただけで達したんだね、ナナ」
「うん……わたし、はしたないわよね」
「あぁ。はしたなくて、とても素敵だよ?」
褒められた。それだけで、お腹の奥がきゅっと甘くうずく。
「ん……うれしい」
あぁ、アルハドのおちんちん久しぶり。すっごく久しぶり。
きっとわたしまた達しちゃう。たくさんたくさん気持ちよくされちゃう。
「アルハドは……わたしのおしり、気持ちいいの?」
640:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:22:57 qWd916eS
「知ってるだろう。何度も何度も絞り取っておきながら」
知ってる。だっていつも何度も出してくれるもの。
おいしくて、熱くて、どろどろしたの。
「アルハドは、わたしとしたいと思わなかったの。その、この間から」
「何度も君を思って自分を慰めたよ。今だって、見ていて嫉妬したさ」
その言葉に、また仔袋が鳴く。甘く甘く。
そしてわたしはその鳴き声に逆らえない。
ううん、とうに逆らうことなど考えもしなくなった。
犯したければ犯せばいいのに。
頭の中で、誰かが言った。ううん、それは当たり前だけどわたし自身。
だけど、いいの。誰かが言ったの。わたしじゃないの。
「カインのおちんちんね?」
だからこれも誰かが言わせてるのよ。
「とっても気持ちよかったわ」
嘘だけど。
「あなたよりも、よかったわよ」
さぁ、わかるでしょうアルハド?
わたしが何を言いたいか。
「左様ですか殿下」
冷たい……ううん、意地悪な声。
「えぇ、そうよ」
どうしよう。わたしどきどきしてる。
「アルハドなんかよりずっとずっと気持ちよくしてくれたわ」
カインのときより……どきどきしてる。
「そうまで言われては私の矜持が傷付きますね?」
ゆっくりとカレのおちんちんがおしりから引き抜かれていく。
何をするのアルハド。おちんちん、おしりから抜いてどうするの?
「だから、あなたはもういいわ。だってカインがいるもの」
きゅっ、と優しい力で両手をつかまれた。
わたしは四つんばい。拘束されちゃったらもう身動きが取れない。
「では殿下。どちらが良いのか、味わっていただきましょうか」
641:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:23:42 qWd916eS
「アルハド、あなた何をするつもりなの。この手を離しなさい?」
つん、とわたしのお大事の入り口に触れる何かがある。
びくりとわたしの体は震えた。
「あなたまさかっ、いやっ、いやよアルハド!」
逆らえばいつでも抜け出せるのに。
「いいえ、やめませんよ殿下」
わたしは逆らわない。
そして言葉の通り、ずぷりとわたしの中は埋め尽くされた。
「いやっ、いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
なんて充実感。
なんで?
どうしてこんなにわたしを満たすの?
痛いのに、痛いのに、入れられただけで痛いのに。
「き……ち、……い」
「何かおっしゃいましたか、殿下」
ぐりっと押し込まれると、奥の奥で淡い悦びが生まれてくる。
あぁ、これ、知ってる。仔袋を直にぐりぐりされてるんだ、わたし。
「い、いたいって、言ったのよ。それよりも早くっ」
動いてほしい。
カレの指が優しくわたしの顎を持ち上げる。
首を捻じ曲げられて、唇を奪われた。
当然のようにわたしは侵入してきた舌を受け入れる。
もう下手な芝居は必要なかった。
「アルハド?」
「なんでしょう」
「犯して」
「もちろんです」
そのやりとりだけで充分。
カレの舌に、ゆっくりと舌を伸ばして絡める。こうして、沢山舌に唾液を乗せ
て、お口のまわりをべとべとにするキスが好き。
目は閉じない。互いに見詰め合ったままでこんな風に舌を絡めていると、たま
らなくぞくぞくする。
642:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:24:34 qWd916eS
愛情よりも淫らで卑猥なことを確認するキスは、わたしを狂わせる。
ううん。本当はわかってる。
わたしが好きなのは、淫らに振舞う自分。
自分がどれだけ淫らなことを進んでしているのかと考えるだけで、わたしの中
の清らかな部分は塗り替えられていく。
それがたまらなく気持ちいい。
おちんちんをおしりに入れられるのは好き。
おくちでカレのおちんちんを咥えて、満足させてあげるのも好き。
でもそれは行為として快楽が伴うから。だから好き。
最近になって気付いた、それはわたしが気付かぬうちに求めているものとは違
う。
まだはっきりとはわたしもわからないけれど。
ゆっくりとカレのおちんちんが引き抜かれる。
わずかに戻されたそれが、くちゅりといやらしい水音で、また仔袋に触れる。
「ふぁ……何、これ?」
とっても甘い。中にはまだ純潔の名残が痛みを叫んでいるのに、仔袋からはと
てもとても甘い悦びが滲み出してくる。
あぁ、また抜かれてく。そのままでいてほしかったのに。
抜かれると痛むの。動かれると痛むの。
そしてまた、カレのおちんちんの先がわたしの仔袋に触れる。
「これっ、これなんなの、なんなのアルハド?」
「さぁ、僕は男だからね。これが奥に触れると、そんなに気持ちいいの?」
「うんっ、うんっすっごく気持ちいいっ♪」
「じゃぁ、もっと奥まで、いくよ?」
ぎゅぅっと仔袋が押されていく。
「っ……ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♪」
言葉にできない。なんで、どうしてこんなに気持ちいいの?
643:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:25:38 qWd916eS
仔袋ってこんなに気持ちいいものだったの?
だってさっきのカインのときはこんな風にならなかったわ。
相手がアルハドだから?
あぁ、カインの、ここまで届かなかったっけ。
一生懸命ごんごん腰を振ってたけど、わたしのここには掠りもしなかった。
「きもち……いぃ♪」
痛い。まだ痛い。でもこうして動かずにじっとしていると、すごくいい。
みちみちと音がするほど広げられて、満たされて、そのたくましさにうっとり
してしまう。この痛みさえ、この逞しさを受け入れるための代償なのだと納得
できる。
うん、しかたないわよ。こんなにすごいの入れてもらえるんだもん。
ちょっと痛いくらい我慢できる。
「あぁ、素敵だよ、ナナ。こうして入れているだけなのに、搾り取られそうになる」
「ほっ、ほんとっアルハド。嬉しいっわたし嬉しいっ!」
あぁ、アルハドが喜んでくれてる。
「いいよ、アルハド。好きなときに、びゅうってしていいよ?」
「だけど、ナナはまだ……」
「ばか……女の子はねっ、それだけが気持ちいいんじゃないのっ。女の子はね
、子種が大好きなんだからっ。殿方が自分の体で悦んでくれてるって思うだけ
でぞくぞくしちゃうんだからっ♪」
644:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:26:06 qWd916eS
だから遠慮なんてしなくていいのに。いつもみたいに、あっついのいっぱいい
っぱい出して、仔袋でどろどろ味わわせて?
あぁ、そんな風に思っただけで、わたしも達しそう……。
「でも、ナナ……せめて、せめて王子よりはっ長くっ!」
あ……ほんとに嫉妬してたんだ。
うわ、アルハド、一生懸命我慢してる。
ちょっと、ううん、凄くかわいいかも。
うん、とってもかわいい。
「ねぇ、にぃさまぁ。ナナね、にぃさまのあっついこだね、ほしぃの♪」
ほら……出しちゃった。
女の子はみーんな悪魔♪
わたしは仔袋に注ぎかけられる熱い雫を、余すところなく受け止めた。
自分からおしりを押し付けて、くちゅくちゅと揺り動かしながら、気持ちよく
カレが最後まで達せられるように刺激することを忘れない。
「やぁん、にぃさまの子種すっごいよぉ♪」
だからサービス。達してるときのだらしない声で、まだ演じてあげる。
「あぁ、凄いっ、凄いよナナっ!」
「うんっ、ナナもナナもすっごいのっ、幸せっ仔袋がとってもしあわせぇ♪」
カインよりも早かった。
でも、カインよりずっと気持ちいい♪
それに、なんだろう、この幸せな気持ち……。
ずっと、ずっとこうしていてほしい。
徐々に悦びがひいていくのに、幸せな気持ちだけは胸に残ってる。
「アルハド……ぎゅってして?」
後ろから抱きしめられる。息苦しくて、痛いくらい。
ずるずるとベッドに寝そべり、わたしはキスをねだって首を傾けた。
「ぅん……」
唇だけを優しく触れ合わせる。
645:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:26:49 qWd916eS
わたしの腿に、むくりと反応している何かがあたる。
「あ、アルハド……おおきくなってきてる」
「また、ほしいかい?」
「……うん、ほしい」
それを拒む理由なんてない。今度は仔袋を思い切りぐちゃぐちゃにしてほしい。
おちんちんを押し付けられただけであんなになっちゃうなら、いつもみたいに
おしりがぱんぱん鳴るまで打ちつけられたらどうっちゃうのかしら?
カレは抱きしめる腕を離して、膝立ちにわたしの顔へと腰を寄せた。
目の前に垂れ下がる半起ちのそれ。
「ぬるぬる、して……る」
カレの指先が、わたしの顎に触れた。
優しい強さで顔を向けられる。
「あ……♪」
それが何を意味するのか、もうわたしはわかっている。
わたしはなんのためらいもなく口を開いて、彼の腰に腕を回した。
引き寄せて、くわえこむ。
ゆっくりと子種を舐め落とし、口の中にいっぱいに広がったその味わいを、こ
くりと飲み込む。
口を離すと、ぶるりと震えて、いきりたったそれが上を向いた。
「素敵……」
それが愛おしくて、尖らせた舌で、根元からゆっくりと舐めあげる。
「今度はどっちにほしいのかな、ナナは」
そう言われてふと気付く。
そっか、普通の女の子は、お大事にしか入れてもらえないのよね。
あはっ、だったらわたしって凄く幸運な女の子なんじゃ?
「ちゅっ……んっ、ちゅぱっ。うん、と……アルハドがしたい所で、して♪」
今は、とりあえずこのおちんちんの逞しさをお口で感じていたい。
そう思って、わたしはカレのごつごつのひとつにまた舌を這わせた。
この瘤ひとつひとつがわたしのおしりを、かき回して、こね回して、おちんち
んに慣らしてしまった。
そう思うと愛着さえ湧いてくる。
646:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:27:23 qWd916eS
「すっかり上手になったね、ナナ」
あ、頭撫でられてる……。
褒められるのは好き。大好き。嬉しくてもっともっと頑張ってあげようと思う。
「うん。アルハドのたくさんしたもの」
根本よりももっと下、ぷらぷらした袋にも口付けて舌で転がすと、すごい勢い
でカレのおちんちんが跳ね上がる。これはカレがとっても気持ちいいってい
う証拠。このびくんっていうのがおしりの中でするたびに嬉しくなる。
「嫌じゃないのかい?」
「なんでぇ?」
どうしてそんな不思議なこと言うのかしら。
雄の匂いがして、汗と子種の味がする。あとはおしっこ。
「アルハドだってわたしのお大事とおしり舐めてくれるじゃない♪」
袋の中には、こりこりした玉が入っている。
ひとつひとつ口に柔らかく含んで吸ってあげる。こんな時いつもなら、指でお
ちんちんの胴を可愛がってあげるんだけど、カレの腰を抱きしめているから、
今は無理。お口だけで可愛がらなきゃならない。
このこりこりの中で子種が今も作られていると思うと、不思議な気持ち。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。
全ての玉を順番に可愛がって、わたしは身を起こした。
カレの体と密着したまま、ぬるぬると汗で身を滑らせてそこにたどりつく。
とろりと蜜をにじませた先端に吸い付いて、ちゅっと吸い出すと、雄の味が口
の中に広がっていく。
「これっ、んっ、おいひぃわよ?」
他の女の子はしないのかしら。もったいないのね。
あぁ、恥ずかしいのかも。ふふっバカみたい。恥なんて吹っ切っちゃえばとっ
ても気持ちよくなれるのに。
「ねぇ、アルハド。今日は何回する?」
「君が満足するまで」
「ありがと……たくさん気持ちよくなろうね♪」
さぁ、たくさん楽しもう。
まだまだ朝はこないから。
647:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:33:10 qWd916eS
ナナの作者です
こんな感じで今日のところは
ええと
カインを笑いものにする回でした
ちなみにナナの台詞のある言葉を真に受けての
レイプとかはしませんように
あの某エロ本所持規制とか大嫌いなので余計な一言でした
それではまた後日
次回
ナナ自分を振り返る
カイン天狗になる(笑)
ハーゴン様重い腰をあげる
の三本でーす♪
じゃーんけーん
なんでもありませんすいませんでした
648:名無しさん@ピンキー
10/05/21 21:47:58 bXBsp/o0
>>647
グー!
で、おまけにJも出しとくよ
行為中の生々しさがぞくぞく来てgj
予告ありでも先の展開が読めないし、投下中に立ち合えて嬉しいな
649:名無しさん@ピンキー
10/05/21 22:03:23 qWd916eS
>>647
くだらねーネタに付き合っていただいて
ありがとうございます
まぁ、ありていに言うとナナの恋心にカインが調子こいて
ハーゴン様がそろそろわしも動かなきゃ♪
ってだけの話ですたぶんエロとか無いです
でも頑張りますんで、みなさんまた見てやってください
650:名無しさん@ピンキー
10/05/21 22:36:46 A66HVuUH
おっと……リアルタイム投下に間に合わなかった……っ
GJ!
カインの大きさがどんなもんか気になったのは私だけではあるまい……。
次回予告がサザ○さん調でワロタ!
651:名無しさん@ピンキー
10/05/21 23:04:39 qWd916eS
>>650
実際の数字を出してしまうと
カインとか俺とか俺が悲しくなるでしょう?
実際ペットボトル大の友人がいて
風俗嬢に哀れまれたそうです
あまりふざけると怒る人が居るので、もう次回予告は控えます
雑談はこのへんにして
楽しみにしていただいているようで本当にありがとうございます
652:名無しさん@ピンキー
10/05/22 03:19:16 RGx7qabI
1.5リットルのペットボトル大の御立派様だと!?
653:名無しさん@ピンキー
10/05/22 04:51:54 DUJJEHGs
自分のおじいちゃんのサイズがそれくらいだった、ってのをどっかで見たことがあるなあ……
お父さんが500mlサイズとかいう……
654:名無しさん@ピンキー
10/05/22 09:34:58 8TGapNb2
>>387
リメイクの会話でバーバラ→主人公は確定でしょ。
バーバラ→テリーはむしろきっぱりと否定されてた。
655:名無しさん@ピンキー
10/05/22 10:01:35 aLcFQ5S2
でもバーバラ不人気だな
リメイクでSS増えるとか言ってた奴死ねよ
656:名無しさん@ピンキー
10/05/22 12:14:16 8TGapNb2
>>655
と言うか6自体の人気が大して盛り上がってない・・・
657:名無しさん@ピンキー
10/05/22 17:07:39 nIR/UMmR
あえて主人公×ミレーユ
ミレーユ×チャモロでもいいけど
658:名無しさん@ピンキー
10/05/22 17:52:25 q5k9e2zj
ミレーユ×チャモロ……考えたことも無かったわ!
チャモっさん受けか!
659:名無しさん@ピンキー
10/05/22 18:46:47 nIR/UMmR
オネショタ^^b
660:名無しさん@ピンキー
10/05/22 19:54:47 3Si28MSE
>>647
待ってたよ!
いつもグッジョブですね
ひょっとして作者の中の人は女の人ですか?
ツンデレとはちょっと違う可愛いさですよね
ひさしぶりに覗いたらこんな大作があったなんて
一気に読みました
続きを楽しみに待ってます!
661:名無しさん@ピンキー
10/05/23 13:27:21 fLir1JJA
久々のヨンクロです。
ナナの作者さんが湿り気あるエロシーンを見事に披露してくれた所で、そろそろ投下しようかと思います。
宴の4P編へ移行しますが、基本は三部構成で。前回は収まりきらずに続編と苦しい策をとりましたが(笑)
ちなみに前回の話の別ルートという形をとり、設定はそのまま、>>535からの続きという流れで行きます。
662:「宴の呼び水・前編(1/6)」byヨンクロ
10/05/23 13:31:00 fLir1JJA
宴の呼び水
青髪の少女は、夜空を見上げながら自らの身に起きた出来事を反芻していた。
あの時、私の身に何者かが入り込んできた。その間は覚えてはいないけど、しかし、何か懐かしい感じ・・・
そう、母なる胎内へと抱かれるような安らぎ・・・すべては青々とし、清々しく私を包んでくれたあの時・・・
「あれは一体、何だったのかしら・・・」
残念ながらランドの一件は片隅に、降臨体験ばかりに囚われていた。が、その思考は突如として遮られる。
「・・ィ~タキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタぁーーーーーっ!!!!!」
「きゃあっ!!」
突如、彼女の目前におぞましい動きを経て、人間らしき半裸の腰簑オヤジがターニアの行く手を妨げた。
「この私めのタキタキ踊りを無視してゆくとは50年早いですゾ!!」
シカトされたことが我慢ならなかったのだろう。目で追いきれないほど、手足が残像の軌跡を描いている。
「なっ・・・何ですか、あなたは!」
「儂は踊りの後継者を探すため、世界中をあちらこちら巡っておるのですじゃ」
「はあ・・・」
外観とは裏腹に強かな野望を持っているのね・・・青髪の少女は呆気にとられながらもそう思った。
「ところでお嬢ちゃん、踊りはいかがですかな?」
「嫌です!」
半裸にスネ毛・・・こんな格好をされて誘いを受けても「はい、そうですね」と言えるわけがない。
「ならば仕方がありませんな・・・お嬢ちゃんには何が何でも踊っていただきますゾ・・・はぁぁ~~っ・・・」
オヤジの背後から怪しい霧が立ち込め、どこからか気の抜けそうな笛の音がこだましてくる!
「な、何・・・」
手首をくの字に曲げ、振向き様に粒羅な瞳でターニアを捉えた瞬間、オヤジは奇妙な踊りを仕掛けてきた!
「っ!?」
ターニアの身体は何かに掴まれたかのように身動きできず、視線はオヤジの踊りへと注がれた。すると・・・
「あっ・・・そんな!勝手に身体が・・・」
もう自分の意志はことごとく無視され、身体はマリオネットと化してしまった!
「ほっほっほ、誘う踊りが効きましたかの・・・それでは、儂の動きについて来られますかな?」
突然オヤジの目が光った!なんと彼が動くに従い、ターニアも同じ動きを強いられてしまった!
「イヤァーーっ!こんなの嫌よ!」
「ほぉ~、お嬢ちゃんには踊り子としての適正がありそうですな?」
「全く嬉しくありません!」
彼の仕掛けた不気味な眼差しとは・・・対象を強制的に踊らせてラーニングさせるという端迷惑な技である。
「そうそう、腰はこんな感じで動かすんですゾ~」
「あうう・・・はしたないわ・・・こんな動き・・・」
663:「宴の呼び水・前編(2/6)」byヨンクロ
10/05/23 13:33:50 fLir1JJA
乙女にとっては屈辱的な仕打・・・華麗な舞いは欠片もなく、下品に滑稽な動きばかりを強いられてしまう。
「ううっ、もうお嫁にいけない・・・」
と、草むらからガサッと何かが飛び出し、宴の場へと飛込んだ。
「彼女を解き放て!」
青年Aはオヤジへ足払いをかけた!
「おわっ!?」
オヤジはすっ転んだ!
「はぁ・・・はぁ・・・」
ターニアはようやく踊り地獄から解放された。
「あ、ありがとうございます!」
「そんなことより、早くここから離れるんだっ」
そういい捨てると、彼は体制を建て直しつつあるオヤジの前へとおどり出した。
「でも」
「いいから・・・あと、君の兄さんによろしく!」
「?」
チョキを振りかざしながらの最後の発言に首を傾げつつも一礼をすると、ターニアはその場から離脱した。
「くうっ・・・せっかく後継者を探し当てたというに・・・それを邪魔立てするとは許しませんゾ!」
腰簑に付着した砂を払いながら、突然の訪問者に怒りを隠せぬオヤジ。
「何を訳の分からんことを・・・黙って私のステテコダンスの前にひれ伏せな!」
青年Aは手を腰に回し、どこからかステテコパンツを二丁取り出し構えをとる。
「ほほほ・・・笑止千万!(・・・まぁ細工は流々ですし・・・相手してあげましょう)」
そう言うやいなや、くの字に曲げた手つきで青年Aに百烈拳を放ってきた!
「・・ィ~タキタキタキタぁーーっ!・・・どうです、この手捌きは!」
「うわわっ!?」
しかし青年Aは二刀流パンツをマント代わりに、ひらりひらりと見事にオヤジの猛撃を受け流している!
「・・・よっ・・・はぁっ、なんと!・・・とんでもねぇ動きをするねっ!」
「お・・・おぬし、なかなかやりますな?」
「オヤジさんだって・・・とっても人とは・・・思えん動きで・・・こっちもびっくりだよ・・・」
半裸な腰簑オヤジにパンツを両手に構えた青年A・・・宴の場はますます神聖さを失いつつあった・・・
「ほほっ、久々に燃えてきましたゾ!」
「私に萌えてもらってもな・・・流石にオヤジは趣味じゃないから困るっ!」
二人の背後で焚き火が天まで届くかのように燃え盛る中、死烈な闘いが繰り広げられるのであった・・・
664:「宴の呼び水・前編(3/6)」byヨンクロ
10/05/23 13:36:17 fLir1JJA
「はあ・・・今日は何なのよ・・・」
自分の身に不馴れな事態が降りかかるので、ターニアは辟易としていた。
「でも、あの人は一体・・・見たことないけど、お兄ちゃんの友達かしら?」
危機から救ってくれた青年Aのことを考えながら歩いていると、目前に何かの影が見える。
「・・あれは?」
草場の上に誰かが横たわっている。近付いてみると赤い服を着た亜麻色のポニーテール・・・知った女性だ。
「ジュディさん!?」
「あるぁ~タ~ニアじゃあないの~」
ろれつが回りきらない口調からして、かなり酔っているようだ。
「どうしたのよ、こんなに飲んじゃって・・・って、まだ飲んじゃダメでしょ!」
「だってぇランドの馬鹿がぁいけないんだもぉん」
「ランド?」
自分だけでなく、ジュディにも・・・ターニアは少し腹立たしくなってしまった。
「う~なんか踊っちゃってぇ~一升瓶ガボガボ飲まされて~それからね・・・」
「と、とにかく水を・・・」
しかし、井戸は先程のところへ戻らないと駄目だ。
「・・・戻るのは無理ね」
「ねぇ~たぁにゃ~あなたも一緒にお酒飲もうよぅ」
「もう完全に駄目ね・・・」
何か諦めた感じでいうと、仕方なく彼女に右肩を貸した。
「どこ連れてくの~」
「どこかはわからないけど、とりあえず静かなところへ行きましょう」
こんなところで女性一人放っておいては危ないので、どこか安全なところへ・・・と思ったのだが、
「あはは~そんなこといってぇあたしのことが目当てじゃないのぉ?」
「なな、何を言うのよ!」
「ふふふ~じゃあねぇ・・・こうしちゃう!」
ジュディはターニアの上に覆い被さって来た!
「きゃ!?」
「ランドも当てにならないしぃ今宵はたぁにゃちゃんと一緒にあつあつしっぽりとでもいいや~」
「よくないわよ・・・って、ちょっと聞いているの!」
ターニアの制止も聞かず、ジュディは構わずにターニアの口許へ!
「ちょ・・ん!」
「はむ・・・ん・・ちゅ」
「あん・・んっ・・・」
「んんっん・・・」
お酒の味が混ざった甘い接吻がターニアに襲いかかる。突然のことに、顔を背けることもできなかった。
665:「宴の呼び水・前編(4/6)」byヨンクロ
10/05/23 13:38:04 fLir1JJA
「ちゅっ・・ん・・・はあ~」
「ジュ・・ジュディ・・・」
「うふふ、ターニアだぁ~い好きぃ♪」
「もうっ!知らないわよジュディなんか・・・」
友人の豹変に戸惑いながらジュディの手から抜け出ると、彼女を放って一人で歩き出した。
「あん、まってよぅ」
足をフラつかせながらも、ターニアに付き従って何とか追って行く。
「どこかに水はないかしらね?」
「だったらぁ、あたしが潤わせてあげるのにぃ」
「普通の女の子でいたいから、お断りするわ・・・」
「ぶぅ」
しばらく歩き・・・拓かれた場所に出ると、二人の前に酒場が見えた。
「あの馬鹿の家じゃん」
「そうね・・・でも飲み物があるはずだと思うから、少し寄ってみましょうよ」
「異議なぁ~し」
途中最中でランドとの件を打ち明け合った二人は、先の一件のことはよそに、意気投合していた。
「中は流石に暗いわね」
「いいじゃん、入っちゃおうよ」
静かにカチャリとドアノブを捻り、二人は入店する。
「ごめんください・・・って、やはり誰もいないわね」
「ねぇ二階に行ってみようよ」
「え、勝手に?」
「だったらランドを探していたってことにすればいいじゃない♪」
「そうね・・・」
空き巣でもないが、何故だか階段を静かに上がって行く二人。すると明かりがドアから洩れるのが見える。
「誰かいるようね・・・」
「じゃあ開けるよ~」
「ち、ちょっと!」
「ひらけ!ぽん○っ○ぃーーっ!!」
バンっとドアが開け放たれた。するとそこに、女主人と青髪の青年が向き合ってマッサージし合っていた。
「わわっ!ジュディ・・・・・・それにターニア!」
「やっほ~イイことしてるわねぇ~イザ?」
突然の訪問者に驚きを隠せないイザ。さらに妹がそこにいたことは、正直兄として立場がなく感じた。
「ご、ごめんなさい、何かお邪魔しちゃって・・・」
「じ、邪魔だなんてそんな・・・」
何故だか弁解を試みてしまうイザであったが・・・
「あらぁ?エッチ丸出しで喜んでたくせに♪」
「なっ!?」
酒場の主人は胸を隠すような仕草をして、嬉しそうに且つ残念そうに呟いた。
666:「宴の呼び水・前編(5/6)」byヨンクロ
10/05/23 13:39:26 fLir1JJA
「お兄ちゃん不潔よ・・・」
「きゃはははははは!」
「うぐっ・・・」
多勢に無勢・・・逆らうと何を言われるのか知ったものではない。これ以上の弁明は止めておいた。
「あっ、オザンナさん、水をいただきたいんですけど・・・」
「残念だけどないわよ?」
「ないんですか・・・」
「まあ炭酸水ならあるから、これでも飲みなさい」
二人にグラスが差し出され、シュワシュワっとした液体が注がれる。
「ありがとうございます!これで一息つけるわ・・・」
「わ~い飲むどぉ~」
「あっ、それは・・・」
イザは何かいいかけたが、それを無視して二人は枯渇した喉へと炭酸水を流し込み、一気に飲み干した!
「ふぅ、美味しい・・・これ味がついてますね」
「味・・・?あらら、これレモン酎とブレンドしちゃったやつだったわ」
「えっそんな、飲んでしまったじゃないですか!」
それをよそに、ジュディは一人で勝手にレモン酎のおかわりをしている。
「ごめんごめん、でもまあいいじゃない?ちょっと早いけど、これであなたも大人の仲間入りよ」
「な、なんかいい加減ですね」
普段のオザンナの性格とは打って変わって粗野だったので、少し驚いてしまう。
「ターニア、大丈夫か?」
「うん、ちょっとくらくらする・・・かな」
兄はいつでも優しい・・・だから、ターニアは彼にいつでも甘えたくなる。
「おっと・・・」
ターニアはその身を兄の腕に委ね、安らぎを求めた。
「しょうがないなぁ」
そう言うと、頭をくしくしっと撫でてくれる。これが彼女にとっての安息のひとときなのである。
「い~なぁ、あたしもお兄さんがほしぃ~」
物欲しそうに二人を眺めるジュディ。彼女もターニアと同様のことをしようとしたのだが・・・
「ダメっ、私だけのお兄ちゃんなんだから!」
と制止されてしまった。
「はいはい、ジュディちゃんはこっちに来なさいな。私がお姉さんになってあげるわよ」
「あん、お姉さまぁ~♪」
そのように甘えた声を出すと、オザンナのふくよかな胸の谷間へと顔を埋めた。
667:「宴の呼び水・前編(6/6)」byヨンクロ
10/05/23 13:46:26 fLir1JJA
「あらあら、相当に甘えんぼさんねジュディは」
「だってぇ、あたしんちにはお父様しか・・・不満はないけど・・・何だか寂しいんだもん・・・」
ジュディは三人と違い一人娘。心を委ねる家族が父だけでは、彼女にとって少し物足りなかったようだ。
「そうだったわね・・・」
オザンナは本当の妹のように、ジュディの頭をやさしく撫で撫でしてあげた。
「あはっ、いい子いい子されるって、いいなぁ・・・」
ターニアは羨ましそうにジュディを眺めている。
「なんだ、あっちに行きたくなったか?」
「う・・ううん、お父さんがいても、満たされないことがあるんだなって・・・」
主意はそこではなかったが、それも真意であった。
「それに、私はお兄ちゃんがいるだけで十分幸せよ」
「あ、ありがとう、ターニア・・・」
改めて言われると、つい照れてしまう。
「・・・なぁ、両親のこと覚えているか?」
「えっ・・・」
突然の問いだった。
前編 終
中編へ続く
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヨンクロです。
とりあえず前編を投下しました。中編は書き出したばかりで、まだ時間の猶予をいただきたく思います。
ということで、先を決めずに見切り発進しましたが、しばしのお付き合いの程、よろしくお願いします。
668:名無しさん@ピンキー
10/05/23 16:44:36 8/4GpOCG
キタキタ親父出過ぎwww
彼女を解き放て!ってwww
6を最初っからプレイしようと思ったのに宴のシーンでこの話を思い浮かべそうだ……
669:名無しさん@ピンキー
10/05/23 18:28:20 06UkrmZ7
4P楽しみじゃてw
670:名無しさん@ピンキー
10/05/24 01:23:13 HQmJnn8L
ナナの作者です
ヨンクロさんお疲れ様っス
ひょっとして控え室で顔を合わせてるかもしれないですね
俺はたまに覗いてるので
キタキタ親父とかネタに使うあたり
たぶん同年代なんだろうなぁ
Ⅵが盛り上がってないとか言うけど
盛り上げればいいじゃない?
だからなんか書きます
気晴らしになんか書きます
別に>>657のためじゃないんだからねっ勘違いしないでよバカっ!
ナナとミレーユの違いを味わってもらえたらいいなと思います
ではまた後日
671:名無しさん@ピンキー
10/05/24 09:31:38 ICt8iqou
ヨンクロです。
>>668
せっかくⅥを遊技されるのに、私のせいでイメージが・・・ホントすみません(笑)
確かに今回の話の1/3がオヤジ占めてますね~orz・・・でもちゃんと意図した役割を与えてるんでお許しを。
>>669
ありがたいです。まだモワっとしか構想できてないんですが何とか湿り気のあるように努めて行きますよ。
>>670
労いどうも。ナナの作者さんもお疲れ様です。あの乗りに乗った連続投下こそ、乙!と言わせてください。
ナナのおかげで手をつけなかったゲームブックを買っちゃいまして、なるほど・・・と併せて読んでますよ。
控え室は残念ながらまだ行ったことがないんです。ググって覗いてみようかな?
オヤジで世代が(笑)単行本で四巻辺りが初版で出た頃にはまりましたね。わんわんの呪いが懐かしい・・・
(たぶん)同世代として、お互い頑張りましょう。
世代やハードによるところもあるだろうけどⅥが盛り上がらない原因というのは・・・
・FC作品までで止めてしまい、SFCをやらなかった
・本作でも内容は十分なのに、あまりにも過去の作品の印象が強すぎた
・過去のリメイク作品が続出してⅥの存在感が薄れた又はそっちに時間を使った
・PS2でⅥを出さなかった
・遊んで詰まって途中orz
・高いので買わなかった
・親にⅥを無断売却された
・それどころではなかった
よくわからんけど、あらゆる不遇がⅥに降り掛ったんではないでしょうかね?と・・・長々と失礼しました。
672:名無しさん@ピンキー
10/05/25 00:48:15 jSOCpBwj
>>670
ナナの作者さんが書くミレーユ楽しみです
作者さんの無理にならないように頑張れ!
ヨンクロさんもGJです
たぶん私も同年代だと思います懐かしいですよね
673:名無しさん@ピンキー
10/05/25 11:10:49 B3oFQ9+0
ミレーユ楽しみです
金髪美人のフェロモン…
清楚だけどHなカラダ…
674:名無しさん@ピンキー
10/05/25 17:45:39 m3SJDmAq
どうやら私も同世代のようだ……
675:名無しさん@ピンキー
10/05/25 18:17:06 Qn35Yy1X
>>670
ツンデレ乙w
待ってるよ!
676:名無しさん@ピンキー
10/05/25 22:20:33 yGPZ/LCl
職人同士の馴れ合いウザい
677:名無しさん@ピンキー
10/05/25 22:34:39 qjlkVFwx
>>676
じゃあお前が書けよと言いたい
678:名無しさん@ピンキー
10/05/25 22:42:44 6M/cgR/R
>>676
なら見るなよ
別にお前のためにあるスレじゃねえよ
お前の理想のスレでも立ててさびしく1000まで埋めてろ
679:名無しさん@ピンキー
10/05/25 23:58:48 2wrpvQzB
>>671
バーバラ救済ルートがないから
680:名無しさん@ピンキー
10/05/26 00:29:45 QzLsKruq
>>671
・DS6のすれ違い通信が、ひょうたん島を手に入れるまで不可能だということを知り
ゲームそのものをやる気も、ついでにエロを書く気も失せてしまった。
・・・も追加で。w
せめて、下のムドーをやっつけた=ダーマ復活くらいで開放して欲しかったわ。
ひょうたん島までなんてモチベーションが持たん。
9のすれ違いが大ヒットしたのって
小一時間もやりゃすれ違い可能になるお手軽さもあったと思うんだ。
かくいう自分も、下のムドー討伐寸前で止まりっぱなし。w
681:名無しさん@ピンキー
10/05/26 07:30:20 jm5pdCJj
>680
君もうこのスレに来る必要無いと思うんだけど…
682:名無しさん@ピンキー
10/05/27 07:09:48 wOJlU9w5
あの
ナナの作者なんですが
荒れると投下するにも、し辛いんで
仲良くいきましょうよ
こっちゃハム並みのハートなんですから
ね、あんまり雑談ウザいなら控えるんで
明日くらいには投下できると思うんでね
仲良くいこうよ仲良く
>>660
応援ありがとですよ
こんなヒゲの濃い女居たら大変ですがな
俺の中では、ナナはツンではないです
女の子って、綺麗なものだけで出来上がってると気持ち悪いです
ほんの少しわがままなくらいが可愛いと思うんで
それが反映されてるんだと思います
>>672
ありがとうございます
定職についてるんで
どうしても眠いときがあるのでご理解いただけるとありがたいっス
>>673
うん、ごめん
たぶん俺皆が想像してるようなミレーユは書いてないと思う
エロゲだったら何人かはディスクへし折られてると思う
でも頑張るんで、読んでみてください
あとすんません。こっちもスゲェ長くなりました。
>>676
ウザくてごめんね
ある程度自重するから許したって?
でもレスくれた人にある程度返事するのは許してください
応援してくれるのは
ほんとに嬉しいものなんでね?
皆なかよくいこうよ
それでは今度は続きを投下のときに
683:名無しさん@ピンキー
10/05/27 07:48:31 QCsg7fbN
とりあえず続き投下待つ
684:名無しさん@ピンキー
10/05/27 08:35:03 PsAujkHp
作品は好きだが全レスはうざい
685:名無しさん@ピンキー
10/05/27 08:39:33 mvwZkb+N
作品も酷い
オリキャラオリ設定臭しかなくて
ドラクエ作品を読んでいる気がしない
686:名無しさん@ピンキー
10/05/27 12:26:48 d6/k0uwm
作者ちょくちょく書き込むなら、コテつけてくれNGするから
687:名無しさん@ピンキー
10/05/27 13:44:47 Rb4Y4phy
なんで定期的に注文のうるさい奴がくるんだ
どのスレも初期の頃はまったりしてるのにスレが長く続くににつれてどんどん空気が悪くなる
それだけ、痛い人にも知られるようになるのかね
688:名無しさん@ピンキー
10/05/27 13:50:08 L7ltGI27
だな、このスレに来るなよと言いたくなるわ。
そういう、自分では書かない、注文だけの奴こそ、コテとか付けろよ。
689:名無しさん@ピンキー
10/05/27 16:53:57 VCOOvxsL
興味ないならスルーすればいいだけ。
俺は楽しみだから大人しく待ってる。
690:名無しさん@ピンキー
10/05/27 19:44:40 DmmU4xj2
私も大人しく待ってる
691:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:17:40 uKxwlrvo
官能小説というよりは
ただの淫乱。
692:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:41:48 PdegG6i1
ナナの作者です
>>689
>>689
ありがとう
基本スルーで行きましょ
とりあえずミレーユのほうが軽くできたんで
エロとかあんまり無いんですが
とりあえず投下しときます
続きはまた後日になりますがご勘弁を
結構な鬱展開かもしれません
苦手な方はスルーでよろしく
693:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:42:39 PdegG6i1
わたしは皆が楽しむ様子を遠くに眺めていた。
今日は珍しくわたしもお酒を飲んだ。お酒には弱いから、あまりたく
さんは飲めないけど、今日は嬉しいことがあったから。
ほんの少し、ほんの少しだけ。
それにお酒の匂いは嫌い。
酔った誰かの吐く息も嫌い。
嫌でもあの頃を思い出してしまうから。
「夜風……きもちいい」
ほんの少しだけふらふらする。バルコニーの手すりに上半身を預
けて、ほぅっと深く息を吐く。
あんなこと、思い出さなきゃよかった。
いつまで経っても忘れられない悪夢。
折角、ほんの今さっきまで楽しい気分でいられたのに。
「どうしたの、こんなところに一人で?」
その声に、とくんと胸が躍る。
「あ……なんでもないの。ちょっと酔っちゃって」
長い髪を指で耳にかけてから、ちょっと失敗したかもしれないと思
った。わたしの耳は不意打ちに赤くなっているに決まっている。
知らないでしょう、貴方は。
「主役がこんなところにいてもいいの?」
「それがさ、まだ実感が湧かないって言うか。僕がこの国の王子な
んだって言われても、ね」
困ったように微笑む貴方。
やっぱり貴方は素敵。眩しくて、まっすぐに見られないくらい。
そう、貴方は本当に素敵。
ほら、だから、どうしていいかわからないなる。
どんな顔で貴方に接していいかも、わからなくなる。
「本当の自分を見つけられたんですもの、素敵なことよ」
だからどうしても貴方の前では言葉少なになってしまう。
わたしは貴方のその目にどんな風に映っているのかしら。
陰気な女?
無愛想な女?
「うん、だけど、いいことばかりじゃないよ」
「ひょっとして、ターニアちゃんのこと?」
「どうしてもね。どっちの僕にとっても、ターニアは大切な人だった
んだね」
あぁ、そしてまたわたしはどんな顔をしていいかわからなくなる。
そんな顔をしないで?
抱きしめたくなってしまうから。
そんなことできっこないから。
そしてわたしはまた自分が嫌いになる。
「会いに行って、あげたら?」
694:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:43:20 PdegG6i1
「ターニアに?」
「本当に大切な人がいるなら、決してその手を離しては駄目よ」
嫌い。自分が嫌い。
何もかも嫌い。
嫉妬するだけで、自分からは何もできない自分が大嫌い。
言いたくも無い言葉を告げる唇も。
冷たく見える瞳も。
男の目を惹きつける体も嫌い。
長い髪もこんなときはさわさわと体に触れていらいらする。
「じゃあ、僕はやっぱりここに居るほうがいいと思うんだけど」
「ターニアちゃんとここで待ち合わせしてるの?」
なんて羨ましいことを。
でも、あの子って今日は呼ばれてないような……。
ずるいわよ。わたしだって妹に生まれていたら、義理でもいいから
妹でいられたら……。
『今日もいいお天気よ、にぃさんっ♪』
あ、それ、ちょっといいかも……。
『ご、ごめんなさい。いつも付いてきてもらって。だって、夜のお手
洗いって恐いんだもの……』
きっと貴方は優しく手を引いてくれるわ。
『にぃさんっ、お願いだから耳を塞いでいてね。絶対よっ、絶対
の絶対ですからねっ?』
でもいいわ。貴方ならいいわ。
聞かれたっていいっ!
でも恥ずかしいっ!
わたしもう死んじゃいたいくらい恥ずかしいっ!
でも……ど・き・ど・き♪
「えっと……気分でも悪いの?」
「少しだけ。心配しないで」
「なんで鼻をつまんで首をとんとんしてるのさ?」
「くせなの。気にしないで」
「それで、どうかな、君の答えを聞かせてほしいんだけど……」
答え?
なんのこと?
あぁ、ターニアちゃんとのこと?
「いいんじゃないかしら。どんな間柄であれ、愛があるなら」
「あぁ……よかった。ありがとう、君も同じ気持ちでいてくれたんだね」
そう言って、貴方はわたしの手を握った。
あぁ、なんて暖かい手。
剣を振り続けて硬くなってしまった、ごつごつして力強い手。
誰かを守るために、守ろうとして、たくさんの血に濡れた手。
時々、わたしの傷に触れて、それとは知らずに癒す手。
なんて素敵なのかしら。こんなに素敵な手ってあるの?
695:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:43:54 PdegG6i1
ないわ。あるはずないじゃない。他の人と比べるべくもないわ。
比べるだけバカらしいわよ。
たまに盛りのついた勘違い野朗に触られることがあるけど、全然違う。
藁の御座と、極上も極上の絹布くらい違うわ。下着にしたいくらい違
うわ。上下一揃えで、いつでも身に着けていたいくらい違うわ。
ちょっと汗ばんでいるのがまた素敵。
潤いは大事よね。かさついていたら、触れられたときに痛むもの。
きゃっ♪
わたしったら、どこを触らせるつもりなのっ、もうっ!
どこを……。
そうね、まずほっぺたかしら!
包み込むみたいに優しく、そっと撫でられたら……!
死ぬわ。きっとわたし死ぬわ♪
そしてあなたはそっと唇を寄せてくるの。
そう、こんなふうに、ゆっくりと目を閉じて……。
「ん……」
「ぅんっ♪」
あぁ……このまま、いっそ誰か殺してほしい。
貴方の唇のぬくもりを感じたままで……うちころしt
「っ……きゃーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
今起きたことを言うわ。
妄想に溺れていたら本当にキスされていたの。
幸せすぎて死にそうよ。
何を言っているかわからないと思うけど、幸せだからどうでもいい♪
神様……。
わたし
いま
はなぢ
ふいてませんよね?
「たっ、大変だっ、ひどい血だよっ、本当に具合が悪いなら言って
くれたらよかったのにっ!」
「なんでもないわ。ちょっと幸せだっただけのことよ」
「なんでもなくないよっ。破裂音させて鼻血出す人初めてみたよ!」
「大丈夫よ。ほら、こうして一枚のハンカチの両端を捻って、ほらき
ひんほほっはは、へ?」
「しゃべらないでっ。今すぐベッドまで運ぶから!」
696:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:44:19 PdegG6i1
あぁ、貴方の腕のたくましさに抱かれて、どこに行くの?
ベッドだなんて、なんて積極的なのかしらっ♪
されちゃうの?
わたし、されちゃうの?
えへへ……おっぱいおおきくてよかった♪
かわいく生まれてきてよかった♪
だから奴隷にされたんだけど、オールオッケーよね。
練習よ練習!
あれは貴方に喜んでもらうための練習だったのよ。
どんな経緯でこうなったのかさっぱりまったくわからないけど、全部
良しとしましょう♪
さぁ、行きましょう。
チャペルの彼方へ!
妙に痛む頭に顔をしかめながらわたしは目を覚ました。
見知らぬ部屋。ふかふかのベッド。とても豪華でまるでどこかの王
宮みたい。
「気がついたんだね、よかった」
貴方の声に我に返る。
わたし、そういえば宴の時に……。
星降るバルコニーでキス。
「ごめんなさい。取り乱しちゃって、もう大丈夫だから」
「ダメだよ体起こしちゃ。一晩ここでゆっくりするといいよ」
貴方に促されて、わたしはゆっくりと導かれるままに枕に頭をつける。
「なぜわたしにキスしたの?」
「え、だって君が受け入れてくれたから」
わたしが妄想の国に飛んでいっている間に何かがあったのね。
「ひょっとして、わたしに……」
「まだ混乱してるんだね。なら、もう一度言おうか?」
「まっ、待って!」
お願いだから少しだけ待って欲しかった。
ひょつとしてこれから起こることも、さっきあったことも、本当はわた
しにだけ都合のいい夢なんじゃないかって。
ひょっとして、よくあるただの妄想なんじゃないかって。
「いいわ。もう一度、お願い」
「うん。君に恋人になってほしいんだ」
「恋人……」
「大好きだよ。きっと幸せにするから」
「だって、貴方は王族で……」
「そうだね。重い、よね」
王族からの求愛。
つまりここでわたしが頷けば、わたしは未来の王妃様。
軽々しい気持ちで告げていい言葉じゃないのはわかっている?
697:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:45:14 PdegG6i1
「やっぱり、重たいよね。いきなり将来のこと決められるわけないし」
「だっ、ダメっ。絶対、ダメ!」
「そうだよね。明日になったら僕はいつもどうりだから、君も……」
「そうじゃないの、そうじゃなくて」
「いいんだよ。無理しないで。僕なんかが君みたいに綺麗な人と、
なんて、やっぱり釣り合わないし」
どうしてわたしはこんな時にこんなにももどかしいの!?
嬉しくて、こんなに、ほらっ!
ぽろぽろ泣いちゃうくらいなのに!
でもなんて言えばいいのかわからなくて。
どんなに貴方に焦がれているかっ。
どうして、わたしの唇は動いてくれないの。
ねこさんにだっていぬさんにだって、言えたわ。
可愛いって。
頭も撫でてあげられる。
「いいんだよ。君が泣くことなんてない。どうしても伝えたくて。君の顔
見てたら、我慢できなくなっちゃって」
違うの!
大好き。
誰よりも大好き。
こんなわたしに、貴方だけが、何より、誰より……。
「おやすみ。ゆっくり休んでね?」
行かないで!
でも何て言えばいいのかもわからない。
ううん、わかってる。
だけど、どうしていいのかもわからないだけなの!
そう、この胸の内を見せられたら。
この鼓動をわかってもらえたら!
「えいっ!」
失敗した。
わたしにとりあえずできたのは、このどきどきをわかってほしくて、貴方の手を押し付けただけ。
谷間じゃなくて、左胸の真ん中に。
これじゃ痴女じゃない!?
「ちっ、違うの、そうじゃないの」
あぁ、ほら、ぽかんって顔してる!
スライムに噛まれたみたいな顔してる!
「行かないで」
「あの……」
「何してもいいから」
「え?」
「何、されても、いいから」
698:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:45:38 PdegG6i1
それくらい好き。
貴方の子供、生んでもいいくらい好き。
「ごめんなさい。わたし、うまく言えないから」
いっそ襲ってほしい。
そうすれば、きっと貴方に伝わるから。
きっとわかってもらえるから。
そうしたら、きっとわたし嬉しくてバカみたいになっちゃうから。
「あの、それってつまりどういう……」
そうよ。こっちからいっそ襲っちゃえばいいじゃない!
慣れてるじゃない。だっていろんなことしてきたもの。たくさんたくさん
いろんなことされたもの。
どうして目の前の貴方にそれができないの?
わたしは有無を言わせぬ勢いで彼の首に手を回して、ベッドにな
だれ込んだ。唇に吸い付いて、舌を差し入れて、たくさんねぶって
飲み込んで、飽き足らなくて、何度も何度も口付けた。
「貴方は……何もしなくていいから」
唇を舌でぺろりと舐めあげて、ゆっくりと服を脱いでいく。
そう、彼の欲情を誘うよう。その方法は叩き込まれているから。
下着を外すとき、たぷんと胸が震えるようにわざとひっかけた。小さ
く声をあげて、腕を当てて、押し上げて強調すると貴方の喉元がこ
くりと上下したのが見えた。
貴方がそこに触れようとした手を掴んで、指をゆっくりと口に含む。
まだダメ。もっともっと焦れて、我慢して、我慢できなくなるまで。
うっとりと貴方を見つめながら、反応を確かめて、ゆっくりと時間を
かけて綺麗にしていく。
人差し指が終われば中指へ。指の股は敏感なところ。手のひらも。
あとは間接。手首の内側から肘の内側へ。
皮膚が薄くて、血の管が浮くような場所が人は感じやすい。
彼の腕を持ち上げて、わきの下から、下っていく。
腰骨、おへそ、今度は上がって、乳首へ。
教え込まれたとうりに、丁寧に、気持ちのあるように見えるように。
わたしがどれだけ淫らな女なのか男に見せ付ける。
下手なら殴られる。酷いことをされるから、きちんとしないと。
乳首に舌を這わせている間に、彼の下穿きは脱がしてしまう。
そそり立った肉棒を、ゆっくりとしごきながら、硬さを確かめる。
大丈夫。もう爆発しそうになってる。わたしはきちんとやれてる。
これなら殴られない。今日は大丈夫だった。よかった。
この間来た子はへたくそだったから。鼻血が止まらなくなるまで殴
られた。それ以来、あの子を見なくなった。
大丈夫。今日は大丈夫。
だから、御主人様の御不興を買う前に繋がってしまおう。
そうすれば後は喘いでいれば終わってしまう。
獣ののように腰をぶつけられて、痛みをこらえているだけでいい。
針を刺されたり、鞭で打たれたり、息もできなくなるくらい縛られるく
らいなら、ずっとまし。
「それじゃあ、わたくしの体で、今日もたくさんたくさん遊んでくださ
いね」
御主人様。
699:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:46:04 PdegG6i1
肉棒に手を添えて、またがったわたしの膣へと導き、腰を降ろす。
「ひぐっ!」
あぁ、どうしよう。濡らすのをすっかり忘れていた。これじゃ入るわけ
ない。
そう、お口で奉仕している間に唾液でこっそりと膣を濡らしておか
なきゃいけないのに。
今日はあんまり順調だったからすっかり忘れていた。
「あの、これは違うんです御主人様。すぐに入りますからっ!」
どうしよう、急がなきゃ。こんなに御主人様が上機嫌なことなんて、
滅多にあることじゃないのに。
「えっと、あの、あぁ、入らない。し、少々、ほんのすぐですので」
いっそ乾いたまま力任せに入れてしまおうか。
数日は使い物にならなくなるけど、折檻されるくらいなら!
「あ、あぁ、あの、そうだ。お薬くださいっ。お薬飲めば、すぐですから。そう、あのお薬大好きなんですっ。ふわふわして、なんにもわかん
なくなっちゃうくらい気持ちよくて、だからっ!」
ほんとは嫌。きっとあの薬はいけないもの。
あの薬のせいでおかしくなってしまった女の子も何人も見た。
でも殴られるのは嫌っ!
もう痛いのやだっ!
どうしてっ、どうしてわたしこんな辛い目にあわなきゃならないの?
だけどこうしなきゃおじいちゃんもおばあちゃんも!
「あぁ、ごめんなさいゆるしてくださいすぐぬらしますから」
ダメだ。どうしても入らない。
いっそ狂ってしまえればよかったのに。わたしよりも後に入ってきた
子だってもう何人も壊れてしまった。
心の底からこんなことが好きになってしまった子もいる。
白痴のようになってしまった子もいる。
わたしもそうなれていたら、辛くないのに。
殴られることもないのに。
「だからたたかないでくださいいたいのやなのっ。いいこにできますっきちんときもちよくできますからっ」
もう嫌なの。痛いのだけは嫌。
いやいやいやっ!
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
あぁ、御主人様の手が伸びてくる。
殴られる。髪を掴まれて、めちゃくちゃになるまで……。
「あ……ごしゅじんさ……」
暖かい腕。
優しく抱きしめられる強さ。
ゆっくりと撫でられる頭。
700:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:46:37 PdegG6i1
「あ……あぁ」
わたし、今何を。
貴方の前でわたし。
取り返しのつかないことを!
「いやっ、いやぁぁぁぁっ、見ないでっわたしを見ないで!」
嫌われる!
絶対に隠しておかなきゃいけないことだったのに!
どうしよう。
どうしよう。
嫌われちゃう!
嫌われちゃう嫌われちゃう嫌われちゃう!
「もういやっ全部いやっ誰か殺してっわたしを殺して!」
もういや……。
なにもかも。
もういいの。
全部どうでもいい。
ほら、眠くなってきた。
このまま眠っちゃおう。
おやすみなさい。
おやすみなさい。
「ほぅ、そのようなことが」
「うん、僕には、何もできなくて」
「御身をあまり責めなさいますな、王子」
「だけど僕には……僕に、僕はっ!」
城づとめの歳のいった学者に全ての経緯を告げて、ランドは唇を
噛んだ。
喚き散らして気を失って、ミレーユはそれから二日眠り続けていた。
「爺の見立てでは、この娘さんは金で売られて男の慰みものにさ
れておったんでしょうなぁ。よほど……手ひどい扱いをされていた
と見える」
惨いことを。
歳経た学者はそう言って苦々しげに深い顔の皺をゆがめた。
彼はランドが生まれる前からこの城に召抱えられていた学者だった。
幼いランドの記憶にあるのは、もう少し若い彼で、様々な知識をラン
ドは彼から学んだ。それは勉学という形ではなく、楽しいおしゃべり
や遊びの一環としてもたらされた。側仕えのじいと同じく、ランド
にとっては祖父のように慕う者だ。
信用できるその学者にだけ、ランドはことのあらましを伝え、彼女を
診せた。
よう、この爺めに打ち明けてくださいました。
701:名無しさん@ピンキー
10/05/27 22:47:09 PdegG6i1
そう言って学者は、夜更けであるにも関わらず部屋に駆けつけた。
話を聞いた学者にできることは少なく、できた事といえば、簡単な
触診と、自らの住まいから妻を呼び、ミレーユの体を清めて、着替
えをさせること。
あとは彼女の目覚めを待つことだけしかしてやれないと言う学者に
、ランドはそれでも深く感謝していた。
自らではまるでお手上げだった。おろおろとする以外何もできなか
ったのだから。
「王子、人の心とは、時にひどく脆いものなのです。体がひどく傷
ついた時には傷跡が残りましょう。元のように動かなくなることもまた
しかり。心にも同じことが言えるのです」
「傷ついたまま、戻らないと?」
「左様です。やはり王子はあの頃のまま、利発でいらっしゃる」
「やめてよ爺。恥ずかしいよ」
場合が場合であったし、そう手放しに褒められるようなことでもない。
しかし、昔と同じように孫のように可愛がってくれるのが、ランドには
嬉しかった。
「僕は、どうしたらいいんだろう」
「側に居ておあげなされ。王子の愛を、注いでおあげなされ。支え
となり、日に影に。いずれ心からの笑顔を取り戻せるよう。それ、あそこの畑の花のように。水をやり、虫を取り、笑顔が咲くまで」
それはランドにしかできないことだと、学者は言って、優しい優しい目
で微笑んだ。
「僕にできるのかな。僕は、爺みたいに学があるわけじゃないよ。少
しばかり剣が振るえて、魔術の心得があるだけだ」
「愛とはッ!」
曲がりかけた腰をぴんと伸ばし、学者は声を張り上げた。
「与えるものですじゃッ。そこには学も力もありゃせんのです。ただ
己の信ずるままに、呼ばれるままに、心の向くほうへとお行きなされ。
そこに暖かさがあるなら、微笑むことができるのなら、そりゃあ間違
っておらんのです。それは掛け替えもなく、尊いものなのです。
王子になら、わしはできると学者としての命を賭けて言えますぞ!」
「できるのかな、僕に」
「できますともっ。王子の優しさはこの爺がよぉく存じ上げております
とも。そうあの時のように。あの頃の王子ときたらそりゃあもう!」
「じいの中で僕はどんなんなっちゃってるのさ……」
そう言ってランドは己もそうと知らずに二日ぶりに、少しだけ笑った。
やれるかもしれない。
いや、やるんだ。
彼女が笑えるまで。
そう、向日葵のような大輪の笑顔を見るまで、続ければいい。
生涯をかけてでも。そう、それにはそれだけの価値がある。
きっと、ある。
「やってみるよ、僕」
甘えた考えは今捨てよう。
できるさ、きっと。
何より、僕がそうしなくちゃいられない。
だって、僕の心は、彼女の笑顔に向いているんだから。