10/05/11 08:10:37 8p8Ii2sW
「ランド・・・結婚とか年のことなんかより・・・私ね・・・自分のことがよくわからないの」
ランドと呼ばれた金髪の青年に背を向け、茫然と述べる青髪の少女。
「何を言って・・・、一体何がわからないというんだい、ターニア?」
彼女の正面に回りこんで聞くランド。想いをぶつけても受け流されるので気が気でない。
「わからないわ・・・世界のことも、私自身のことも・・・少し考えさせて・・・」
首を振り、ターニアと呼ばれた少女はランドの元から、何かに引かれるようにして去っていった。
「ターニア・・・」
夜空を見上げて彼は何かを呟いたが、花火の爆音によってかき消された。
夜空の花が散るのを見届けると、彼もどこへとなく去っていった。
「・・・(可哀想にランド・・・反面ちょっこし安心してはいるが・・・
しかしターニアも僕と同じ様なことを考えて・・・何か関係が・・・それとも・・・)」
だが、その思考を隣人が打ち破る。
「いいなぁ、僕も青春したいし恋人が欲しいよ・・・」
「は!?」
いつのまにか青年Aの手はイザの肩へ伸びている。
「しかし、こうしているのも悪くはないねぇ、君?」
もう片方の手・・・どころか青年A自身がイザのほうへ覆い被さってくる!
「さ、△?●※な□×!~っ!!」
身の危険を察し、魔の手をかいくぐり猶且つひらりと身を翻し、
声にもならぬ悲鳴を上げつつズザザザザっと逃げ出した。
これを青年Aが瞬く隙の内にやってのけた。何とも器用なものだ。
「はっはっは、ウブだね・・・ちょっとまずったかな?さてと」
青年Aは標的が去るのを見送ると、夜空の花を独り愛でるのであった。
「はぁっはぁ・・・何だったんだあの人は・・・喉がカラっカラだよっ」
しかしすでに飲み物はなく、空瓶が散乱している。村人に聞こうとしたのだが・・・
厳かであるはずの宴の場が近付き難い雰囲気を発していた。