10/04/13 20:23:21 V75UrRkt
レックスとタバサ
むかしむかし、あるところにグランバニアと言う国がありました。
その国の王子と王女は双子でレックスとタバサといいました。
彼らはあるとき、お父さんとお母さんに内緒で妖精の森へ遊びに行ったのです。
そして、
「お兄ちゃん、ここ、どこ?」
「ごめん……。」
見事に迷ってしまいました。
「リレミトも使えないし……。」
2人が森の中をさらに進んでいくと、何か良い匂いがしました。
レックスは匂いにつられてそちらのほうへとふらふらと歩いていきます。
「お兄ちゃん、だめだよお。」
タバサはレックスを追って行きました。
「わあ……。」
レックスは思わず歓声をあげました。
そこにはお菓子の家があったのです。
屋根はチョコレート、窓枠と壁はビスケット、窓は水あめです。
「いただきまーす!」
走り出そうとしたレックスをタバサはひきとめました。
「駄目よ、お兄ちゃん。この家に人が住んでいるかもしれないでしょ。
中の人がいたら道を聞いてみましょう。」
「う、うん……。」
「ごめんくださーい!」
ビスケットのドアを開けると、レックスとタバサは同時に声を出しました。
が、返事はありません。
「誰もいないみたいだね。」
「帰ってくるまでここに居させてもらわない?」
タバサの提案にレックスは同意しました。
夜になってもだれも帰ってきません。
「それじゃ、私がご飯作ってあげる。」
タバサは1人で台所に行きました。
「ごめん、お兄ちゃん。実はリレミト使えないって言ったの嘘。」
タバサは独り言を言いました。
「ベッドは1つだけ……。」
お兄ちゃんに私をおいしく食べてほしいな……。
そう思って1人で顔を赤らめました。
タバサはちょっとだけ悪い魔女だったのです。
もうすでに人が帰ってくるかもしれないなどと言うことは忘れています。
レックスの前にうな重が出されました。
「デザートもあるからね。」
デザートは卵をたっぷりと使ったアイスクリームでした。
「お休み、タバサ。」
「うん、お休み。」
タバサはドキドキして止まりませんでしたが、レックスはいつもどおり眠りにつきました。