【なんでもあり】人外と人間でハァハァするスレ5at EROPARO
【なんでもあり】人外と人間でハァハァするスレ5 - 暇つぶし2ch97:名無しさん@ピンキー
09/11/09 07:17:31 Opl7Wut4
>>96
見た目はそのままで擬人化してるってこと?

98:名無しさん@ピンキー
09/11/09 08:51:19 Fkr8Vm6O
>>97
日本語でおk
見た目そのままなら擬人化っていわなくね?

99:名無しさん@ピンキー
09/11/09 09:07:20 uhnseYsA
ぐぐってみろ
原型(動物とか)そのままでしゃべるのも擬人化に入るよ

100:名無しさん@ピンキー
09/11/09 11:00:10 G3wUBKFh
そのへんは一部では
萌え擬人化:ケモノなどの人外を人間の外見にする
擬人化:(喋らないやつが喋るなど変更はあるが)外見の変化はほとんど無い
原型:喋らないままだったり公式設定のまま
って区別してる人もいるらしい。この場合擬人化と原型が同じくくりのこともある

自分はこの分け方はわかりやすくていいと思う

101:名無しさん@ピンキー
09/11/09 23:25:30 6n3GaGAc
〇〇人(魔物)×駆け出し女勇者で
書いていい?

102:名無しさん@ピンキー
09/11/10 01:34:47 yjfq7+7B
>>101
どんと来い

103:名無しさん@ピンキー
09/11/10 17:41:54 kBk+DaWK
>>101
凌辱?期待

104:名無しさん@ピンキー
09/11/10 23:31:54 GpAKJAmf
>>103
いや、あちこちユルいものになりそう。
「フゥハハハー犯すぞ!」
「キャーやめて!」
みたいのは書けそうに無い。
冬毛に生え変わったモンスターモフりたい

105:名無しさん@ピンキー
09/11/11 01:42:54 28tN6ESx
ネコカフェならぬネコ獣人カフェ(基本はメイド喫茶みたいなもの)
あったら通いつめるわ

106:名無しさん@ピンキー
09/11/11 08:06:42 1M02RUwl
新聞のCMのネコカフェが、ケモナー用の風俗にしか見えなかった。
なぎらが出演してるからだろうか。

この前、アニメから「ヒトとネコの恋愛が成立しない訳ない(意訳)」という有り難いお言葉を頂戴した。

107:名無しさん@ピンキー
09/11/11 23:14:30 ++VQUlVU
「やだあ、トゲトゲじゃないから気持ちよくなぁい……んっ、大きさは奥まで届くんだけどなー」
「ミーちゃんまだ初めてでしょ?こいつ譲るから始めの方は人間で慣らしてみればー?
幸いこいつのモノ、あたしらのオスと同じくらいだし辛くないと思うよ」
「きゃははっ!肉球でおっぱいふみふみされて気持ちいいの?かーわいー」
「舌で舐めてあげるねっ。引っかかれるのはきらい?」
「そこっ!いいのぉ、お尻もっと叩いてえ…!!にゃあ、やだっ、尻尾はだめっ握っちゃや……!ひにゃあああああんっ!!」
「にゃあ…またたびは反則だよぅ……くやしい…でもゴロゴロ言っちゃう…」


男も女も構わず食っちまうんですねわかります
昔話に雪山で迷い込んだ温泉旅館が化け猫の住み処で、昔飼ってた猫が助けてくれる~ってのあったな

108:名無しさん@ピンキー
09/11/11 23:15:42 7ZpmepW5
ハンターハンター再開するって聞いて久々に続き読んだら
人外の王様(虫と人間がまじってる)×天才棋士の盲目少女の組み合わせがあって萌えた

殺そうとして乗り込んだのに、魔物に襲われてるのを見てつい少女を守ってしまったり
恋心を自覚しない人外が「俺はこいつをどうしたいんだ…」と悩んでるシーンがあって萌える。

109:名無しさん@ピンキー
09/11/12 00:05:05 RvNo+zXe
>>108
よう自分
王×棋士萌えるよ王×棋士

110:名無しさん@ピンキー
09/11/12 09:11:05 fiVXZtET
>>107
トゲトゲは、普通に雌が痛がって逃げようとするらしい。
勿論、雄が逃がさないけど。
ネコカフェ、個室とかあるらしいからな。絶対ネコちゃん達は犯られてる。

111:名無しさん@ピンキー
09/11/12 13:16:43 pDeBEQBY
つまりマゾな雌は人間じゃ物足りないってことだな

112:名無しさん@ピンキー
09/11/13 22:25:14 44xztphj
今更だけど、本当に今更だけど、ハロウィンネタ投下してみるよ
ジャック・オ・ランタン×少女 植物 人間♀ 和姦
NG トリック・オア・パンプキン

113:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:28:49 44xztphj
「待ってー!置いてかないでよー!!」
衣装の裾が木の枝に引っかかり、少女は身動きがとれません
しかし無情にも、夜の冒険に心躍っている友人たちは、彼女の声に気付かずに、どんどん先へ行ってしまいます
先頭を歩いてゆくガキ大将が掲げるランタンの明かりが、木々の間をちらつきながら遠ざかって行き、
やがて辺りを照らすのは薄い月明かりだけになりました
「・・・だからイヤだって言ったのよぅ・・・。」

今日はハロウィン。しかし、今年は何となくいつもよりもお菓子の量が少なく、みんな不平をこぼしていました
なあ、隣町まで行ってみようぜ!
誰かがそう言うと、皆も賛同し、どうせなら肝試しがてらに森の中を通っていこうぜ、とも言い出しました
確かに、森の中を通っていくのは隣町への一番の近道です
でも、この森はそんなに広くはないものの、脇道や獣道が複雑に交差していて、
歩き慣れていないと迷ってしまうような森なのでした
「い、いやよ私。こんな夜中に森に入るなんて、怖いじゃない。危ないわよ。」
「なによ弱虫。」「裏切るのかよ。」「じゃあもう一人で帰ったら?」
そう言われると、全体の和を乱せないのが子供というもので
「・・・わかったわよ。私も行く。」
少女はしぶしぶ、承諾してしまうのでした
「よし行こうぜ!」「オレ先頭な!」「冒険みたいでわくわくするわね!」
しかし、のぼせあがった集団というのは周りが見えなくなりがちなもので、
友人を一人、置いてきぼりにしたことに気付くことはありませんでした
「・・・はあ。こんなことなら、もっと引っかからないような衣装にするべきだったわ。・・・黒猫とか。」
枝に引っかかって破れた、魔女の衣装の裾をにらみながら友人を追いかけます
しかし、さっきまで出ていた月も隠れ、森の中はどこまでも真っ暗闇
街の灯りも見えず、黒々とした恐ろしげな木々が、まるで覆い被さってくるように思えるのでした

友人を追いかけているつもりでいた少女は、いつの間にか脇道に入ってしまったようです
通ってきた道も、どこをどう通ってきたかわからなくなってしまいました
「どうしよう。道が分からなくなっちゃったわ・・・。」
泣いてもどうにもならないとわかっていても、どうしても次から次へと涙があふれてくるのでした
心細くなり、その場にうずくまりたくなってしまいます

ふと、林の向こうに明かりが揺れているのを少女は見つけました
「もしかして、みんなが戻ってきてくれたのかしら!?」
ふわん、ふわんと揺れる光に近づいて行くと、なんだかおかしなことに気が付きます


114:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:29:29 44xztphj
「あら?これはカボチャのランタンじゃない。誰かの忘れ物かしら。」
切り株の上に置かれているのは、丁度少女が抱き抱えられるくらいの大きさの、
今日はどこの家でも飾っている橙色のカボチャで出来たジャック・オ・ランタンでした
ちょっぴり曲がった口は、笑みを浮かべています
「さっきはふわふわ浮いているようにみえたのに。不思議ねえ。」
少女がいぶかしんでいると、急に、ランタンの炎が強くなり、ふわっ、と浮き上がりました

「トリック・オア・トリート!」

いきなりジャック・オ・ランタンが喋り出し、びっくりした少女は尻餅をついてしまいました
「きゃあ!?カボチャが喋った?」
「そんなに驚かなくても、ジャック・オ・ランタンぐらい知ってるだろ?」
「そ、そりゃ知ってるわよ。カボチャの蝋燭立てくらい、どこの家でも飾ってるもの。」
「ま、ただの蝋燭立てってだけでもないんだがな・・・。
ところでお前、ハロウィンの夜だってぇのに、お菓子を貰いに行かないのかよ?こんな暗い森ん中でうろちょろと。」
「私、友達と隣町に行く途中で道に迷っちゃったのよ。あなた、帰り道を知らない?」

「トリック・オア・トリート!」
再びカボチャはそう言いました
「お菓子をくれるなら、町まで案内してやるぜ。小さな魔女さんよ。」
「ほんとに!?」
「ああ、勿論。そうだな、そのブラウニーがいいな。一番うまそうだ。」
「うっ、町一番のお菓子づくりの名人、マリーお姉さんのブラウニー、楽しみにしてたのに。
・・・まあいいわ、はいどうぞ・・・って、どうやって食べるの?」
「口の中に入れて、中の炎にくべてくれりゃいい。」
ブラウニーを炎にくべると、ぽわっと炎が明るくなり、カボチャ色の炎が辺りを照らします
「おお、うまいな、このブラウニー!」
「わあ、明るーい。でもこの炎、熱くないのね、不思議だわ。」
「さて行くぞ。ちゃんと付いて来いよ?」

115:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:31:06 44xztphj
ジャック・オ・ランタンは、ふわん、ふわんと、森の小道を飛んで、少女の足下を照らして行きます
「そこ、根っこが出てるから気をつけろよ。」
「うん、ありが・・・きゃああっ!?」
注意を受けたにも関わらず、少女は根っこに躓いてしまいました
「・・・あら?」
しかし、少女は怪我をするどころか、地面に倒れてもいません
「ったく、世話が焼けるな。」
暗闇の中からかぼちゃの蔓が伸び、少女の体を支えているのでした
少女の体勢を立て直した後、蔓は再びするすると闇に戻っていきます
「あれ、あなたが出したの?」
「まあ、ジャック・オ・ランタンだしな。・・・たぶん。」
「・・・すごーい!ありがとう!・・・えーっと、そういえば、なんて呼べばいいのかな?あなたのこと。」
「ジャック・オ・ランタンに名前なんてあるかよ。俺らはただのさまよえる死者の魂だぞ?
生きてる頃はどんな奴だったのかさえも覚えてねえし。」
「そっか・・・じゃあ、『ジャック』って呼んでいい?」
「・・・!」
少女には、カボチャがなんとなく驚いた顔をしたように見えました。
「・・・どうかした?もしかして、イヤだった?」
「何か今・・・いや、何でもねえ。・・・まあ、好きに呼べばいいけどよ。・・・それにしたって安直すぎねえか?」
「いいじゃない!呼びやすいし!格好いいし!・・・他に思いつかないんだもの。」
「はいはい。・・・さ、行くぞ。もう転ぶなよ?」

116:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:32:45 44xztphj
やがて、木々の間から町の明かりが見えてきました
「もうここまで来たら大丈夫だろ?」
「うん、ありがとうね、ジャック。・・・ねえ、また会えるかな?」
「はあ!?おいおい、俺はお化けだぞ?そんなのに会いたがるなんて、とんでもない変わり者だな、お前。」
「い、いいじゃない別に!」
「・・・そうだな、また来年のハロウィンになって、まだ俺のことを覚えてたらまた来いよ。」
「来年まで会えないの?」
「ハロウィンなら他の幽霊とかも帰ってきてるし、そういう祭りだから気兼ねも無えよ。
・・・人間とお化けが一緒にいるってのはあんまりいいことじゃねえだろうしな。」
「そっか・・・。じゃあ、また来年のハロウィンの夜、この森に来るね!」
「まあ、覚えてたらな。」
「忘れないわよ。」
「そうかよ。」
少女は、にっこり笑うと、町へと駆けてゆきました。
森から抜けたところで、振り返って大きく手を振ります。
「・・・またね!ジャック!」
手を振り返す代わりなのか、ゆら、ゆら、と、炎が揺らめき、やがて森の中に消えて行きました。

暫く経って森の中から、隣町に行っていた友人たちが帰ってきました
隣町でもらってきた沢山のお菓子がバスケットに詰め込まれています
「あ、いたいた!」
「もう帰っちゃったのかと思ってたんだ。ごめん。」
「ごめんね、置いてっちゃって・・・。」
「悪かったな。オレのお菓子、半分やるからさ。」
「ううん、もういいのよ。怒ってないし。」
「・・・何かいいことでもあったの?」
「えへへ。・・・ちょっとね。」

117:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:33:41 44xztphj
そして、一年が過ぎ、再びハロウィンの夜がやってきました
少女はバスケットに沢山のお菓子を詰め込んで、
真っ黒な猫の耳としっぽの衣装をゆらしながら、真っ暗な森へと走って行きます
今年は割と沢山のお菓子がもらえたので、友人たちは早々に家に帰ってしまいました
「ジャックー!!」
「おう。なんだ、本当に覚えてたのか。」
「なによ。覚えてない方がよかったっていうの?」
「好き好んでお化けに会いに来るような、変な性格は直ってた方がよかったかもな?黒い子猫ちゃん。」
けらけらと、くるくるまわりながらジャックが笑う
「サリーよ。私の名前。去年言いそびれちゃったわ。」
「へえ、案外かわいい名前じゃねえかよ?黒い子猫ちゃん。」
「んもー!ちゃんと名前呼んでよ!」
「へっ、やーなこった。」
くるくる回りながら、ジャックは再び笑います
そして、お化けに名を教えるだけでなく、あまつさえ名を呼ばれたがるなんて、
そんな危なっかしくて縁起の悪いことを望むこの少女は、ほんとうに馬鹿な奴だと思いました
それでも、それがなんとなく嬉しくて、くるくる回っているのでした

「トリック・オア・トリート!」
「はい、今年も町一番のお菓子づくりの名人、マリーお姉さんのお菓子をあげるわ。今年はトリュフだって。」
「ああ、去年のブラウニーはうまかった。」
「まさかマリーお姉さんも、お化けに誉められてるなんて思ってもないでしょうね。」
「ちげえねえな。」
切り株に腰掛けて、笑いあったり、町での出来事を話したり
なんのことはない、他愛のない会話が楽しくて、気が付いたらすっかり夜は更けていました
「おい、そろそろ帰らないと親御さん心配するだろ。・・・また、来年な。」
「・・・うん。また来年、ね。」

それからまた一年、また一年と歳月は過ぎ、少女は毎年、ジャックとハロウィンの夜を過ごすのでした

やがて少女は、ジャックと別れた後にはもう、
来年のハロウィンが待ち遠しくて待ち遠しくて、どうしようもなくなっている自分に気がつきます
しかし、少女が子供としてハロウィンを楽しむ時期は、もう終わりを告げようとしているのでした

「・・・そろそろ、潮時なのかもな・・・。」
夕暮れの、少女がまだ訪れていない森の中で、ジャックは苦しげに、ぽつりと呟きました

118:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:36:25 44xztphj
「ジャック!ジャックー!?・・・どうしちゃったのかしら・・・。」
真っ暗な森の中で少女は呼び続けましたが、カボチャ色の炎は現れてはくれませんでした

いつもは、ジャックが居てくれると思えばこそ、この真っ暗な森も怖くなかったのに、
ジャックがいないとなると、急に心細くなってしまいます

やがて、遠くの方に炎が揺らいでいるのを見つけた少女は、ぱっと駆け出しました
どことなくいつもよりも炎の色が違うような気がしましたが、そんなことを考えている余裕はありません
「もう!ジャック、居るんだったら返事くらいしなさいよ!」
しかし、追いかける少女に気づいていないのか、はたまた気づいていながら逃げているのか。
一向にその炎に追いつけないのです

「ジャック、待ってよ!一体どうしちゃったっていうの・・・っ!?きゃぁああああ!!??」
気が付いた時にはもう遅く、少女は足下にいきなり現れた崖に滑り落ちていきました

しかし幸いにも、それほど大きな崖でもなく、底には乾いた落ち葉が堆積する深い窪地のような地形だったため
怪我はしていないようですが、上まで戻るのはちょっと難しそうです
外からはちょうど死角になるので、誰かに見つけてもらえそうにもありません

けたけたけたけたけたけたけたけた
崖の上を飛んでいるジャック・オ・ランタンが、奇妙な笑い声をあげています
「・・・ジャックじゃ、なかったの・・・!?」

げらげらげらげらげらげらげらげら
気味の悪い笑い声をあげ、ランタンの炎の色が、橙色から青白い、気味の悪い色に変わります
「・・・なんなのよ、あんた。ジャックの知り合い?だったら、ジャックを知らない?さっきから探してるんだけど・・・」
げたげたげたげたげたげたげたげた
しかし、青い炎のジャック・オ・ランタンは、ただ周りを飛び回り、
少女をあざ笑うだけあざ笑うと、崖の上へと飛んでいきました

119:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:38:13 44xztphj
ぼこ ん

いきなり、なにかが割れるような鈍い音が響いた後、ぼろぼろと砕け散った橙色のカボチャのかけらが降ってきて
暫くすると、見慣れた、あたたかそうなカボチャ色の炎を灯すジャック・オ・ランタンが少女の前に降りてきました
「・・・ジャック!!」
「なーにやってんだよ。ばーか。」
「馬鹿とはなによ!・・・ずっとあなたを探してたのよ?ジャック。」
いつもよりうっすら仄暗い炎を灯したジャック・オ・ランタンは不機嫌そうにふわふわゆれていました
「・・・ジャック・オ・ランタンには2種類いるって、知らねえのかよ。
あいつは人を迷わせて、沼地とかに沈めて殺そうとする奴だ。
この辺にはこんなちんけな崖しかなくて、命拾いしたな。」
「・・・ジャックがもっと早く来てくれてたら騙されなかったわよ。」
「・・・ふん。」
「・・・ジャックは、いいジャック・オ・ランタンよね?」
「さあ、どうだかな?・・・もしかしたら仲良くするふりをして油断させた後、突き落とすのかも知れねえぞ。」
「そんなこと・・・!」
ジャックは、少女の目の高さで停止し、こう言いました
「ほら、お化けなんぞと居ても、ろくなことなんかねえだろう?・・・もうここには来るな。」
それはまるで、ジャックが自分自身に言い聞かせているようにも聞こえました
「もう・・・潮時だ。お前の友達も、お菓子を貰い歩くのをやめて、
みんなでパーティーにでも行くようになった年頃だろ?・・・お前もそうしろ。」
「いやよ。」
「何だと?」
「いやよ、って言ったの。・・・ジャック、私、ジャックのことが好き。大好きよ、誰よりも。」
ランタンの炎が、一際大きく明るく、燃え上がりました
「・・・はっ!お化けのことが好きだなんて、お前、本当に馬ッ鹿じゃねえか!?」
「馬鹿でもなんでも、何を言われようと私はジャックが好きなの!・・・ねえ、ジャックは私のこと・・・嫌い?」

暫し悩んだ後、ジャックは答えました
「俺だって、お前のことは好きだ。」
「だったら何で・・・!」
「・・・だからこそだ。」

120:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:39:42 44xztphj
ジャック・オ・ランタンは死者の魂。邪悪な魂は旅人を惑わせ、底なし沼へと誘う

「俺自身、こうなる前にどんな奴だったのかさえ覚えてねえんだ。
覚えてないだけで、もしかしたら悪人だったかも知れねえ。
毎年毎年、お前に会う度に、お前に惹かれていく度に、不安は大きくなってった・・・
いつか何かの拍子に、生前の未練や憎悪にかられて、
さっきの奴みたいにお前を酷い目に遭わせるかも知れねえってな・・・。
死者の国に、お前を引きずり込むかも知れねえんだぞ?」
「・・・それでも、私はジャックと一緒にいたいの!」
「まだ分かんねえのか!?・・・俺は、お前を傷つけたくなんか、ねえんだよ!」
「・・・だから、解らないのよ・・・この気持ちを、どうしていいのか!!
・・・毎年必ず会えるって分かってたから、一年に一回だけしか会えなくても我慢できたわ・・・。
でも、ジャックとこのまま、もう二度と会えないくらいなら、死んだ方がマシなんだもの!」
少女の瞳から、ぼろぼろと涙が溢れ出します

「・・・っ!!馬鹿が!」

暗闇からしゅるしゅるとカボチャの蔓が伸び、少女の体に絡みついて動きを封じてしまいました
「トリック、オア、トリート!・・・さあ、もう家に帰ると言え。
・・・帰らないってんなら・・・もう来たくなくなるようにしてやるぞ。」
本気だ、とでもいうように、蔓は少女の首にも巻き付きました

「私、帰らないわ!そんなこと言うジャックにお菓子なんか・・・痛っ!?」
蔓の呪縛から逃れようと身をよじるうちに、少女は木の枝で指を傷つけてしまいました
「・・・っ?!おい、大丈夫か!?」
その一瞬、蔓がゆるんだ隙をついて束縛を抜け出した少女は、ジャックに飛びつき、強く抱きしめました
「ジャック・・・もう会えないなんて・・・そんなの、イヤ・・・。」
カボチャの表皮に少女の頬の温かさと、涙の冷たさが染み込みます
抱きしめられるやわらかな感触と、少女の指先から流れた血

カボチャ色の炎が、風に吹かれる蝋燭の火のように激しくゆらめきました

121:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:41:41 44xztphj
「・・・ジャック?どうしたの?」
少女は驚いて、思わずジャックの顔をのぞき込み、訊ねます
「・・・っくくくく。」
はーっはっはっはっは!!!
突然、ジャックが高らかに笑いだしました
「まったく。なーにが死霊だ。なにが邪悪だ、悪人だ。っくはははは。」
「ど、どうしたの?ジャック。」
「・・・色々とな、思い出したんだよ。・・・おい、指に傷跡は残ってねえか?」
「え?さっきの傷なら、もう血は止まってるけど・・・」
「そっちじゃねえよ。ほら、親指の付け根辺りだ。・・・その傷が出来たときの記憶はあるか?」
確かにそこには、うっすらと皮膚の色が違う古い傷跡がありました
「・・・ある。けど、なんで知ってるの?いつの傷だったかなんて、私、覚えて無いわよ?」
「そりゃあよ、俺は、今も昔も『ジャック』だったからさ。
・・・俺はな、10年前にお前が作った、ジャック・オ・ランタンだったんだよ。」
「え?ええ!?」

「お前、俺を作ってるときに手を切っちまったんだよ。ほら、この口の曲がったとこだ。」
「・・・あ・・・!」

手をざっくりと切ってしまって、大泣きした記憶
包帯を巻いて、泣きながら、頑張ってジャック・オ・ランタンを完成させた記憶
『このこのなまえは「ジャック」よ!』

手の傷と、ジャックのちょっと歪んだ口を見比べると、色々な記憶が少女の脳裏に、鮮明に蘇ってきました
「・・・なんで気が付かなかったのかしら。」
「ああ、まったく。俺は人間ですらなかったんじゃねえか、馬ッ鹿馬鹿しい。・・・俺は今も昔も、ただのカボチャだったんだ。」
自嘲じみた独り言を言いながら、ジャックはゆらゆら揺れています

122:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:44:58 44xztphj
「・・・ねえ、ジャックは、なにか未練があってこの世に留まってたんじゃない?
ジャックの未練って、何なの?思い出したんでしょ?」
「チッ、まーたお前は変なこと聞きやがる。」
「お願い。教えてよ。」
「・・・俺の未練は・・・あの後、お前が無事にハロウィンを楽しんだかどうか、だ。
結構ざっくり切ってて、包帯まで巻いてただろ?・・・出かける寸前までずっとベソかいてたし、
カボチャなりに、なんとなく責任感じちまってよ。・・・で、どうだ?ハロウィンは楽しかったか?」
「・・・ええ、痛さも忘れるほど、とっても楽しかったわよ?
・・・家に帰って、ジャックがパイに変わってるのを見るまでは、だけどね。」
「お前が出かけてすぐに、俺は、せっかちなお前の親御さんにパンプキンパイにされっちまったからな。」
「・・・思い出したわ、大泣きしちゃって、結局パンプキンパイを食べずに泣きつかれて眠っちゃった事。」
「へえ、そりゃ残念だな。きっと美味しくできてたとおもうぜ?」
「もう、ジャックったら!」
いつもように、二人で笑い合います

しかし、ジャックはこう言うのでした
「・・・なあ、これでお前も愛想が尽きたろ?俺は、パンプキンパイになった、ただのカボチャだったんだよ。
・・・お前がハロウィンを楽しんだってんなら、この世にもう未練はねえんだ。だから、もう俺は・・・」
「・・・本当に、もう未練はないの?」

少女がそう問いかけると、ジャックは黙り込んでしまいました
「ジャックは、私のことが好きだって言ってくれたじゃない。人間の、私のことを。
・・・私もジャックが好きよ。ジャックがただのカボチャでも、それは変わらないわ。」
少女はもう一度、愛しいジャック・オ・ランタンを抱きしめます
「・・・私は、ジャックと、ずっと一緒に居たいの・・・。」
「・・・ああ、まったく。大した変わり者だよ、お前は!よりにもよってカボチャが好きだなんてな!」
「ええ、違いないわね。人間が好きな、大した変わり者のカボチャさん?」
再び二人は、心の底から笑いました

123:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:47:38 44xztphj
「さて、悪戯か、お菓子か。・・・確か悪戯をお望みだったよな?」
ジャックが意地の悪い笑みを浮かべ、再び少女の体にカボチャの蔓が、
今度はゆるりと、抱き寄せるように絡まってゆきました
「・・・俺を拒絶するなら、今のうちだぞ?」
「・・・え、い、『悪戯』って、そういう・・・えーと、その・・・ここで・・・?あ、でも別に、イヤって訳じゃ・・・。」
もじもじと、言葉を濁らせ、顔を赤らめる少女

「・・・ねえ?・・・『ただの』悪戯、なの?」

真っ赤な顔でうつむいて、上目遣いでそう訊ねる少女
ジャックは、さも愉快そうに炎を揺らめかせます

「・・・解った。・・・『本気で』悪戯してやるよ。」

カボチャの葉が、白い太股をふわっと撫でました
「ひゃんっ・・・!ジャ、ジャックのえっち!」
「・・・嫌か?」
まるで首を傾げるように、ジャックは傾きます
「イ・・・イヤじゃ・・・ない、けど・・・。」
初めて聞いた自分の嬌声に、少女は戸惑いを隠せません
「・・・じゃ、続けるぞ。」
「・・・うん・・・。」

蔓の先が、少女の素肌を晒さんがために、服のボタンを器用にぷちぷち外しはじめました
「ねえ・・・服くらい自分で脱ぐわよ?」
「やーなこった。脱がさせろ!」
「・・・ジャックのエロカボチャ!」
「何とでも言え!」
ジャックはゆっくりと、じらすように、少女の服を脱がしてゆきます
衣擦れの音が静寂のなかでやたらと大きく聞こえ、少女はさらに顔を火照らせました
カーディガン、ブラウス、スカート そして

124:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:49:17 44xztphj
「ふーん、上下揃った下着、な?」

上下揃いの、細かなレースがあしらわれた下着
その、ちょっと背伸びをしてみたい年頃の女の子が好みそうなデザインは、少女によく似合っていました
「べっ、別に、ジャックのために、こういうのを期待して着てきた訳じゃ無いんだからね!?
お、おしゃれよ!?おしゃれの一環よ!?見えないおしゃれってやつなのよ!?勝負下着なんかじゃ無いんだからねっ!?」
「あー、うん。・・・俺は別に、聞いてねえぞ?」
「あぅ・・・!?」
思いっ切り墓穴を掘った少女は、これ以上無いくらい顔を真っ赤にしてあわあわと慌てますが、ジャックは嬉しそうに揺れています
「それにしたって・・・」
鮮やかな緑。決して似合わない訳ではないが、この年頃の少女なら、もう少し淡くてかわいい色を選ぶのではないか?
ジャックは少し疑問に思いましたが、上を脱がそうと蔓を伸ばし、あることに気がつきます

・・・同じ色・・・?

ジャックの伸ばす蔓についている葉。それとほぼ同じ色を、少女は纏っているのでした
「・・・同じ色・・・だよな?」
ジャックの言葉に、少女はびくりと反応し、ふいっと顔を背け、真っ赤な顔のまま、ぽつりと呟きます
「やっぱり・・・似合わなかった・・・かな?」

成る程。図星か
こいつはたまに、とんでもなくかわいいことをしやがるから困る。本当に困る
困って困って、なにも気の利いた言葉が思いつかず、ただ蔓で頭をわしわしと撫でる
「いや・・・よく似合ってる。・・・で、勝負下着ってことでいいんだよな?」
「う・・・もういいわよぅ、それで。」

「・・・そういえば今更だけど、ジャックの蔓って普通のカボチャの蔓と違うわよね。
なんか、しなやかっていうか、ごつごつトゲトゲしてないし。痛くないし。」
「まあ、その辺は俺の裁量次第ってとこだな。なんだ?もっとごつごつした蔓のほうがイイのか?」
「・・・そ、そんな趣味ないわよ!もう、ジャックの変態!」

125:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:55:32 44xztphj
「さて。下着のままあれこれすんのもイイけどよ、後で困るだろ?・・・脱がすぞ。」
やがて少女の、大人と呼ぶにはまだ少しだけ未成熟な裸体が、カボチャ色の炎に照らされます
もっとも、見られたら恥ずかしい部分は手で隠したままでしたが
「ねえジャック、もうちょっとその炎、暗くならない?」
「暗くしたら見えねえだろが!」
「見えちゃうから言ってるの!」
「安心しろ。俺以外には絶対見せねえ。」
「そ、そういうことじゃなくてっ!・・・もう!ジャックの意地悪!」
「『悪戯』なんだから、意地悪するに決まってんだろ!」
「・・・変態エロカボチャ。」
「褒め言葉として受け取っとくぜ。」

蔓が少女の両手に絡み、隠していた胸をさらけ出させます
11月も目前の、ややひんやりとした外気に触れた胸の先端が起立し、より一層淫美さを際立たせました
少女の形のよい、まだ少々控えめな双丘に蔓が巻き付き、柔らかな白い肌を撫で回し、揉み、こねあげます
「ん・・・っ。なんか、くすぐった・・・っひゃん!?」
先端を蔓がくすぐり、葉っぱが撫でてゆく度に、少女は嬌声をあげ、身体をぴくりとふるわせます
「っんあ、く、・・・っは、う・・・ゃんっ!」
「結構、胸弱いのか?・・・声、もっと聞かせろ。」
「やっ・・・は、恥ずかしいわよ・・・馬鹿・・・っああ!」
誰もいない森の中とはいえ、
いや、静かな森だからこそ、恥ずかしい声が辺りに響き渡り、余計に恥ずかしくなるのでした

126:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 22:58:07 44xztphj
「まあ、いつまでも胸ばっかりってのもよくねえな?」
胸をまさぐる蔓をそのままに、新たな蔓を何本か暗闇から伸ばし、腹部と、脇を撫で回します
くすぐったいということは、その場所は敏感で、性感帯になりうるわけで
「ひゃ、あんっ!そんなとこ・・・っ、んんっ、くすぐらないでぇ・・・っあ!もお、ジャックのエロカボチャ!変態!」
「なんだよ。どこを撫でてもいい反応、いい声じゃねえか。エロいのはどっちだよ?」
「だって・・・っ、ジャックだから・・・っ。ジャックが触ってるか、らあっ・・・っあん!」
まったく、こっ恥ずかしい事を言ってくれる
それほどまで求められているってんなら、応えてやろうじゃねえか

「じゃ、もっと感じてもらうとするか。」
闇から伸びる蔓がさらに増え、耳や首筋、背筋をくすぐってゆきます
少女はその愛撫に敏感に反応し、背筋を仰け反らせ悶えました
「っふ・・・ん・・・はぁっ、んん・・・っ!」
さらに、今まで一度も触れていない少女の秘部へと蔓が伸び、秘裂を擦りあげてゆきます
「・・・もうすっかりビショビショだな。」
少女の性器はすっかり蜜にまみれ、炎の明かりを反射してテラテラと濡れ光っています
蔓は、わざと淫らな音を立てて秘所の表面を這い回り、少女を辱めました
「あああっ、んんっ!ひあっ、駄目えっ、もう、立ってられな・・・っ。」
今までは蔓に掴まり、なんとか身体を支えていましたが、もう膝に力が入りません
がくん、と少女が膝をついてしまいそうになった次の瞬間
ふわっと少女の身体蔓に持ち上げられ、空中でゆったりと腰掛けているような姿勢になっていました

127:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 23:00:30 44xztphj
「落ち葉の上じゃ汚れるだろ。」
「だ、だからってこれじゃ・・・ひゃうっ!」
相変わらず前進への愛撫は継続されていて、少女の身体にはさらに本数を増やした蔓が絡み付いています
蔓に持ち上げられていても、ある程度自由に手足は動かせますが、
肝心の部分を手で隠そうとすると、あるいは足を閉じようとすると、それ以上手足は動かせなくなるのでした
抗議するような少女の目線は、見なかったことにしました

蔓の先端が、少女の秘裂に入り込み、ごく浅い所を何往復もかき回すします
「あ、うっ、はああんっ!もぉ・・・っんやぁっ!」
「・・・これだけ濡れてりゃもう十分だな。」

するるっと、新たな蔓が伸びる
その蔓には他の蔓とは違い、あるものが付いていました

「・・・えーと、ジャック。それ、って・・・。アレ、よね?」
「・・・あー、まあ、気分だ、気分。お茶目な悪戯心ってやつだ。」

その辺のカボチャ畑に行けばよく見られる、カボチャの『雄花』の蕾

「やっぱり変態ー。ジャックの変態ー。」
「うっせえ!カボチャの生殖器官つったらコレしかねえんだから別にいいだろがよ。」
「そりゃ、そうだけど・・・。」
「大体、コレでナニすんのかがわかってる時点で、お前だってアレじゃねえか。」
「そ、そんなことないもん!変態なのはジャックだけよ!」
「どうだかな?」
「もー!」

「・・・もう一度だけ聞くぞ。・・・嫌、か?やめてほしいか?」
「・・・嫌じゃないわよ。・・・変態なジャックもエロカボチャなジャックも。・・・好き。」
「俺もお前が好きだ、サリー。・・・挿れるぞ?」
「うん・・・来て、ジャック。」

128:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 23:03:25 44xztphj
ゆっくりと、黄色みを帯びた蕾が、少女の膣内へと進入していきます
「ん・・・っ、なんか、変な感じ。」
少し奥に進むと、なにかに引っ掛かるような感覚がある。多分これが処女膜なのだろう
「・・・痛むぞ。耐えろ?」
「うん・・・っう!・・・痛・・・っ!」
「大丈夫か?・・・無理すんな。」
「ん・・・、平気よ。・・・って言いたいけど、やっぱり痛い。」
「じゃ、ゆっくり慣らしてくぞ。」
破れた処女膜を刺激しないよう気を配りつつ、蕾をさらに奥へと進め、最奥まで到達しました
初めはゆっくりと。次第に速度を上げ、かき混ぜるように少女の中を刺激してゆきます
卑猥な水音が大きく響き、羞恥は少女の快楽をますます引き出しました
「ひあああっ、ん、っあ、やあ、あぁん!うあっ!」
「たいした乱れようだな?サリー。」
全身の愛撫もさらに激しいものへとかわり、少女を責め苛みます
「ね、え・・・っ、ジャックは、私に・・・っあん、こういうことシテて・・・気持ちよく、ないの・・・?」
「あー、まあ、人間とは構造が違うしな。肉体的な快楽とかは無えよ。
・・・けどな、お前のそういう反応を見るのはこの上なく楽しいし、心地いい。
お前に触れるのが嬉しいんだ。なんたって俺を『受け入れて』くれてるしな。」
これ以上の幸福を望むなんぞ、無理ってもんだ
「そう、なの?・・・んっ・・・じゃあ、もっと激しくしても、いいよ・・・?」
「いや、あんまり無茶させてもお互い楽しくねえし、程々にな。じっくり慣れてきゃいいんだ。」
淫核と、その裏側にあたる部分を重点的に責め、ジャックは少女を絶頂へと導いてゆきます
「んあああっ・・・はぅう・・・も・・・っ、気持ち・・・いっあ、ああん・・・なんか、腰が変な、感じ・・・ぃ。」
「イきそうか?」
「よく、わかんな、い・・・っ!はぁん、っ!なんか、ふわふわして、変なっ・・・んはぁあああっ!あっ、ああああああ!!!!」

真っ白に染まりつつある視界の中、愛しいジャック・オ・ランタンを求めて少女は腕を伸ばします
抱き寄せた愛しいカボチャには体温が無く、ひんやりとしていましたが、それでも少女は満足でした

びくんびくんと体をひくつかせる少女を蔓で抱きしめながら、ジャックはこう思うのでした
暖めることの出来ない、熱を持たないカボチャの身体。それでも、それを少女が求めてくれるなら、不満はない。と

129:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 23:06:11 44xztphj
行為が終わり、少女の膣内に挿れていた蔓を、ゆっくり抜き取ってゆきます
「・・・っ?・・・な、なんか中がぞわぞわってするんだけど!?」
「まあ、そりゃそうだろな。」

蔓についていた蕾はすっかり花開いた状態で、少女の蜜と破瓜の血を纏って引き出されました
「う・・・やっぱりなんか変態チックなんだけど。」
「でも、好きなんだろ?」
「・・・ばか。」
惚れた弱みというべきか。少女はそれ以上、何も言えませんでした

腰の違和感でうまく服が着られず、ジャックに手伝ってもらってようやく着終わったところで、ジャックが訊ねました
「・・・ところでよ、今日も一応、菓子は持ってきてんだろ?そのバスケットの中。」
「う・・・。うん、まあ、一応。・・・マリーお姉さん、この間隣町にお嫁に行っちゃってね、
その前にお菓子づくりを習って、私が・・・作ったんだけど。・・・やっぱり駄目!あげられないわ!」
「なんだよ。別に不味くても文句は言わねえぞ!?」
「違うのよ!・・・だって・・・。」

それは、とてもおいしそうな『パンプキンパイ』でした

「・・・これしか習えなかったの。・・・ごめん。」
「うめえうめえ!今まで食った中で一番うめえ!」
「ちょ、ちょっとジャック!人が悩んでたのに勝手に食べないでよ!?」
「へっ、別にパンプキンパイだからどうってこたねえさ。お前が作ったモンなら共食いだろうがなんだろうが・・・!」
「ちょっと!・・・無理して食べなくたっていいのよ!?」
「いや、本当にうまいぞ?店が開けるくらいにな。」
「もう・・・!でも、喜んでくれたなら、まあいいわ。」
少女は呆れたように、でもにっこりと、笑いました

130:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 23:07:52 44xztphj
乾いた落ち葉の上に腰掛け、一心地ついたところで、今度は少女が訊ねました
「でも、なんでジャックはジャック・オ・ランタンになったの?ただのカボチャだったんでしょ?
カボチャが化けてでるなんて聞いたことないわよ。」
「さあな。『作られた』頃にゃあもう自我があったけどよ、知恵付いたのは『こう』なってからだし・・・
よくわかんねえけど、偶然なんかの拍子に魂が宿っちまったんじゃねえか?
・・・考えられる要素っつったら、おまえの血とかかもな?」
「血?」
「さっき昔を思い出したのも、お前の血が付いてからだし・・・案外お前は、そういう魔女の血筋なのかもしれねえな?」
そう言ってジャックは笑いましたが、少女の眼差しは真剣そのものです
「・・・もし、そうなら、大丈夫よね?」
「何がだ?」
「私が魔女なら、ジャックとずっと一緒にいたって、なんの問題もないわよね!だって魔女とお化けなんですもの!」
カボチャは、しばらくぽかーんとしていましたが、やがて大きく笑い出しました
「っはははは!そうだな!魔女ならしょうがねえ!喜んで尻に敷かれてやろうじゃねえか!」
「ふふふっ、覚悟しなさいよ!」

暗い暗い森の中で、二人には、明るい明るいこれからを語り合うのでした

131:トリック・オア・パンプキン
09/11/13 23:11:36 44xztphj
それから幾ばくかの年月が流れ
ある町のはずれ、ある森のほとりに、一人の『魔女』と呼ばれる女性が住んでいました

しかしこの魔女は、魔法や怪しい呪いをすることからそう呼ばれるのではなく
彼女の育てるカボチャが、まるで魔法がかかったようにすばらしく
本来あまり美味しくないはずの鑑賞用のカボチャでさえ、彼女がパンプキンパイにすれば
まるで魔法でつくったように美味しくなることから、いつしかそう呼ばれるようになったのでした

カボチャの季節になると、彼女は庭で小さなカボチャ料理のお店を開きます
そのお店のパンプキンパイは、わざわざ遠い街から来る常連さんがいる程で
隣町で一番のお菓子作りの名人、マリーおばさんでもかなわないほどのおいしさなのでした

町の人々はそんな彼女を『カボチャの魔女』と呼び、彼女のつくるカボチャを毎年心待ちにしていました

カボチャの品評会で何度も優勝を勝ち取る彼女に、人々はその秘訣を訊ねましたが、
その度に彼女はいつも決まって、同じ答えを返します

「・・・でね、私、言ってやったのよ『カボチャのことは、カボチャに聞くのが一番よ』ってね。」
「へっ、ちげえねえや!」

その答えを聞いた人々は『きっと、カボチャにかける愛情が違うのだろうな』と、納得するのでした

「よいしょっと!・・・さて、今日の収穫はこのへんで終わりね。」
「じゃあ次は、こっちの方を収穫させてもらおうか。」
「っやぁん!・・・もう、ジャックったら!」
「カボチャに聞くんだろ?身体に教えてやるぜ!」
「ジャックの変態エロカボチャ!」
「ハッハッハー!最高の褒め言葉だな!」

ジャック・オ・ランタンは死者の魂。善良な魂は迷いし者を、正しい道へと導く

ある町のはずれ、ある森のほとり
いつだってカボチャ色の明かりが灯る家で、魔女とカボチャは
いつまでもいつまでも、幸せに暮らしましたとさ


おしまい

132:名無しさん@ピンキー
09/11/13 23:19:18 44xztphj
以上です。

ちょっとばかし長くなったのは、許してもらえると幸いです。
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。

133:名無しさん@ピンキー
09/11/14 00:36:28 yVMRZTPf
>>132
遅れて来たハロウィンGJ!!
幼なじみのような関係がすごい萌えだ…

被造物×製作者というか、どちらか一方のお陰でもう一方が生まれてこれた人外カップルはいいものです

134:名無しさん@ピンキー
09/11/14 08:47:32 L/zASoUU
>>132
かぼちゃが触手責めをするとは…
さすが悪戯の神様…

はい、出来上がりましたので載っけます。

・剣と魔法な世界で駆け出し女勇者で
・とりあえずエロ入り


135:戦慄!恐怖の森!
09/11/14 08:48:54 L/zASoUU
説明ッ!

今まで長き戦いを経ている…訳でもないが
魔王(北枕でも平然と眠れることに定評のある)打倒を目指す自称女勇者・アマナ!
小さめの肩掛け鞄のみ持っているため荷物は薬草数枚!
防具を買う金も無く、上はただひたすら着やすい布服!
下は三着セットで安売りしてあったもの!
武器はその辺で拾った木の棒、
しかしっ!

表面を粘菌が覆っていたためアマナ、これを放棄!
そして町を出て近くの森を通過しようとするアマナ、
しかしその森は例によって魔物がわんさか潜む、恐ろしげな森であったのだ……
自身の魔力を引き換えにおいしい水(軟水)を出すことの出来るアマナの運命は!
そしてアマナの秘めたる才能が明らかに!?



ざわ…ざわわ…ざぁっ……
木々が揺らぎ、葉と葉が擦れ合い、立てられた音が森に吹いた風と共に流れていく。
「ふぅ…涼しいなぁ……」
森の小路に女性が一人。ポニーテールに纏められた赤い髪が風になびき、
ラピスラズリ色の眼が風の心地良さで少し細められる。
この女性は、アマナという名の、所謂駆け出しの(勇者)である。
実際は近くの町人が気まぐれに森を散歩しに来た、ようにしか見えないが。
「マイナスイオンを感じるなぁ…良いなぁ……ここ。」
じめじめと湿った様子も無く、葉の広い樹が暑い日差しも、それらが作り出す日陰でアマナは汗一つかかない。
「小腹がすいたときは……」
ふと目についた、背の低い木に実った、赤い果実を摘み取る。
「木の実も多いからなー…」
言いながら口に実を放り込み、弾力のあるそれに歯を立てる。
「ぐぼぇぁぁっ!?」
そしてアマナの味雷に針を突き刺したような苦味が襲い、堪らずえづいて口内の果実を吐き出す。
果実と混ざった赤色の唾液を吐き出す様は、とても人間のようには思えない。
「げふっ、げふっ…ちくしょう。」
口内の唾液をひとしきり吐き出した後、指先を口に少し入れ、魔力を指先に集束、
一定時間集中すると、指先から水が流れ出し、口内に収まる。
その水で口を濯ぎ、僅かに残った果実の欠片も、余すことなく洗い出され、水と共に地面に吐き出された。

136:戦慄!恐怖の森!
09/11/14 08:49:47 L/zASoUU
「……うん、もう苦くないね。」
数回手から出した水で念入りに口をすすぎ、一度深く深呼吸をし、再び歩き始める。
「赤い実はやばい、あの木の実は不味い……」
ぶつぶつと呟きながらアマナは森の奥へ足を進めてゆく。
「…よし、覚えた。えーと……」
肩掛け鞄から取り出した地図を広げ、自分が今だいたい森の何処にいるかを考える。
「私の歩行速度は……この道からこう入って…ということは……よっしゃ!」
アマナが導きだした現在位置は、
このまま真っ直ぐ進むことが出来れば森の中央部を綺麗に突っ切ることが出来る位置であった。
歩行速度から察するに、恐らく後三日でこの森を突破できるだろう。
「予想より一日早いっ!順調順調♪」
アマナは魔王打倒の旅を決心してから念入りなルート選択、
各難所の抜け方、魔王についての研究、などといったことは

全くしておらず、予想についても森の入り口で適当に考えただけである。
また、アマナ自体『この森は赤い実が不味いけど安全』と楽観的に考えていたので、

『木の葉が不自然に多く落ちている』
『やたらなんかの羽根やら何やら落ちてる』
『無数の人ならざる眼がアマナを見ている』
ようなことに全く気付かなかった。


「ふぅ…今日は良い日だなぁ……」
見事に輝いた満月がまるで割り開かれたように
ぽっかりと空いた木々の隙間から
神秘的に肩掛け鞄を枕代わりにし、横になっているアマナとその周りを照らす。
アマナは陽が落ちきっても歩き続けようとしたが、月の輝きに目を奪われ、
『キリがいい』とここを今夜の寝床にすると決心し、携帯食糧を適当につまみ、腹も膨れたところで眠ることにした。
「…にしても、本当に良い場所だ…昼に暑くない、夜でも寒くない。魔物もいない……」
草むらを掻き分ける音が、アマナの耳に入る。
「……風…?」
音が小さかったため、アマナはそれをあまり気に留めなかった。
「ふぅ…驚かすなや、風。まったく……」
再び草を掻き分ける音。先程よりも近く聞こえた。
「…いや、まさかね?そんな、ね?」
辺りをきょろきょろと世話しなく見回し、しかし気配を感じ取ることはできない。
「魔物なんか…」
アマナの真横から、草むらを掻き分ける音。音がした方向を向いてみれば、
「ブゥ─ン…」
まるで飛蝗を無理矢理人間の体型にしたような、二足歩行の魔物がそこに居た。

137:戦慄!恐怖の森!
09/11/14 08:50:49 L/zASoUU
「わー……」「ギギ、ギィッ…」「…きゃああああっ!?」
アマナは絹を裂くような悲鳴を上げながら、
自分より頭一つ半ほど背の高い昆虫人仮称とは反対方向へ、走り出した。
昆虫人はそのグロテスクな顎を動かしながら、
アマナの忘れていった肩掛け鞄を鋭い鉤爪で摘まみ上げる。
[おーい。やっぱ俺、追わなきゃダメかな?]
[某童謡と同じシチュエーションだ、追っても違和感は無いだろう]
[りょーかい。この鞄を返せばいいんだろ?]
[いや、折角だからついでに襲ってこい。]
[マジで!…ちょっとそれ、大丈夫か…?]
[大丈夫だ。"和〇"と呼ばれても良いくらい良いプレイが出来るさ。]
[…違和感無いよな?無理矢理な展開じゃないよな?]
[行った行った。まずはやってみろ。]
[…頑張って来まーす……]


「魔物がいたっ…見つかったっ!」
しばらく走り続け、脇腹が痛くなり、呼吸も荒くなり、それでも走る。
一般的に魔物は畏怖するべき存在であると解っているから、ひたすらに走り、逃げる。
今自分がどの位置にいるかも分からず、少ない荷物も放ってしまった。
でも、命は一つだけ。そのために逃げる。逃げる。逃げ─
がくんと体勢が崩れ、土の匂いが近付き、衝撃、痛み─
「ぐぇあっ!?」
アマナは転倒してしまう。
「痛っ、あっ…!」
その際に右足を挫いてしまったようで少し体重をかけるだけで、ずきずきとした痛みが走る。
とても走れそうにないし、立ち上がることすらおぼつかない。
(私の馬鹿…!)
これでは魔物に見つかっても間違いなく逃げられないだろう。
ただ、魔物が自分を見失ってくれたことを願うしかなかった。
(…私はその辺の草…私はその辺の……)
おぞましい鉤爪が、アマナの側の地面に突き刺さる。
顔を上げてみると、そこには
「……ギチギチ。」
バッタを無理矢理人型にしたような、短い触覚と鋭い顎と、
「きゃああぁっ!」
先程の昆虫人が、アマナの目の前に立っていた。
「来るなっ!来ないで!下さいお願いします!」
腕の力でて身体を昆虫人から離そうとする。しかしその速度はナメクジのように遅く、
がっし、ぐっい。
「キャァッ!?」
あっという間に追い付かれ、腰をしっかりと掴まれ、持ち上げられておぞましい顔がアマナの顔に近づけられる。

138:戦慄!恐怖の森!
09/11/14 08:51:53 L/zASoUU
(マモノガ、ワタシ、マルカジリ

みたいな。……ええいっ!只では喰われんよ!)
腕をおぞましい顔に手をかざし、魔力を集束する。
「喰らいやがれっ…!」
そして手が光を帯びて、

閉め忘れた蛇口のように水が指先から流れ出した。
その実に口当たりがまろやかな水は、重力に従い、アマナのシャツとズボンを濡らした。
「キチ、キチ…」
「…やっぱ駄目ですよね、これ。」
昆虫人が顎をしきりに動かしているのを見て、自分を噛み千切る練習でもしてるのか、とアマナは考えた。

自分は魔物に食べられる。
もはや自分は助からない。
自身の終焉を受け入れてみれば、不思議に頭の中は冷静で。
(三軒先のリナちゃん。部屋の中でイカを炙ってベッドに臭いを染み付けたの、私です。
同い年のキュアンちゃん。町の掲示板にあなたのド下手くそなやおい絵を貼ったのは私です。
私は、この何たら怪人に喰われてしまいます。)
昆虫人が、顎を目一杯開き、アマナはその鋭い顎と口内にある舌を見ることが出来た。
(あーあ、食べられちゃう。)
首筋に口をつけられ、ギザギザした感触が何とも言えない。
(こんなことならもっと─)
「ん……っ…?」
(あれ。何コレ?)
肉が裂かれる感触も食い付かれる痛みも無く、柔らかいぬめった何かが首を這い回る感触。
昆虫人が、アマナの首を長めの舌で舐め回している。
「んぅ…ぅ…っ」
(味見?くすぐったいから、そろそろ楽に逝かせて下さいよ…痛いのは嫌ですから頭をがぶっと……)
アマナの全てを諦めたような思いが通じたのか、首から舌を離し、顎を再び大きく開けた。
(あーあ、終わりか…)
死を受け入れるアマナの顔に昆虫人の口が、
アマナの口と触れ合い、口内に長い舌が入り込む。
「ふむぅぅっ!?」
(え、何?何なの…コレ!?)
昆虫人の舌がアマナの口腔内で動き、歯列をなぞり、舌を絡ませる。
「むっ…うぅー…っ…!」
アマナの舌はそのおぞましい外見からは想像できない、
芳醇な甘味と酸味の混ざり合ったような昆虫人の唾液を舌は感取る。感じ取ってしまう。
「ふむぅっ…うっ……んう、ぅっ…!?」
激しく吸い付かれ、舌が昆虫人の口内に入ってしまったと思えば、
甘噛みされ、裏側まで入念に擦り上げられる。
舌を引き戻そうかとしたら、喉奥まで届きそうなほど舌を深く入れられ、甘酸っぱい唾液を流し込まれる。

139:戦慄!恐怖の森!
09/11/14 08:53:05 L/zASoUU
「ふぅっ…んぐっ…ぷはぁっ!」
アマナの身体から抵抗する力が抜け、口腔を暴れまわる舌の感触に気持ち良さを感じ、
股間が火照りかけてやっと舌がアマナの口から引き抜かれる。
「はぁっ…はっ……うぅっ……」
顔に朱が差し、呼吸は荒く、股間からぞくぞくした感触が這い上ってくる。
自身を慰め、絶頂を迎える時に似ていた。
(気持ち良かったなんて……)
頭に霞が掛かり始め、あまり考えを巡らせることが出来なくなっている。
そんなアマナを捕らえたままの昆虫人は次の行動をとる。
「あっ……ふ…っ…くぅ…」
武骨な殻に覆われた手が、アマナの服内を、地肌を這い回る。
脇腹を擦り、肩口から背中に手を滑らせ、胸の周りをぐるりと一周させる。
「あっ…くぅん…」
直接的では無いが、その快楽は実にゆっくり、着実にアマナの理性を溶かし、快感は上がり続ける。
先程のディープキスもあり、アマナの秘部は蜜が溢れかけている。

昆虫人の手が、アマナの服を剥がしにかかる。抵抗する力の無くなったアマナは、
着せ替え人形のようにあっという間にその胸も溢れかかった秘部も昆虫人の眼でまじまじと見つめられるようになり、
服は昆虫人が何故か持っていたアマナの肩掛け鞄の上に丁寧に畳まれ、置かれた。


「ひっ…うぅっ…」
その殻を纏った手の冷たさに、アマナは声を上げる。「んっ…くぁっ……あっ…」
形の良い胸が昆虫人によって揉みしだかれ、摘まれた先端は硬度を増す。
「ひゃぁっ!?」
同時に、秘部を指が割り開くように弄れ、足の力が抜け、くずおれてしまう。
それを見計らったように昆虫人はアマナをお姫様抱っこの要領で抱え、秘部を指で、胸部をその口で愛撫する。
「くぅぅぅぅっ!んぅぅ…」
胸の片方は昆虫人の口内で舌が先端を中心に舐め回している。秘部は昆虫人の指が、くちゅくちゅと水音を鳴らしている。
その快感は強いものだったが、アマナが自身を慰める際に経験したものだ。
もっと直接的なのが欲しい。
アマナがそう思い始めて、
「くぁぁぁっ!?」
秘部から今まで感じたことの無いような快感が波のように襲い掛かった。
「ひぁぁっなにっ…これぇっ…ひぃぃぃぃっ!?」
昆虫人がアマナの秘部上部の突起を指で摘み、ぐりぐりと捻る。
その経験したことの無い快感は、あっという間にアマナの許容範囲を越え、
「やっ…ひくぅぅっ!?」
直ぐにアマナは絶頂を迎えてしまう。

140:戦慄!恐怖の森!
09/11/14 08:54:08 L/zASoUU
ぷしゅ、ぷしゅとアマナの出した汁が地面にこぼれ、淫靡な香りを溢れさせる。
「ギチ、ギチィッ…」
昆虫人がその香りを感じ取ったのか、顎をさらに激しく動かし、アマナの腰を手で掴む。
「あっ…やぁっ……」
その下腹部には、実に物騒な外見をした昆虫人自身の肉棒が先走りを大量に垂らしながら、
唾液と同じような柑橘系に近い酸っぱい臭いを振り撒いていた。
「ちょっ…待って…私そうゆうのは…っ…」
腰を掴んでいた腕が下げられ、内腿に熱くぬめった肉棒の感触が伝わる。
「はじめてでぇっ…!」
その先端がアマナの秘部に少しめり込み、身体をびくんと跳ね上げてしまう。
「私処女だからぁぁぁぁぁぁっ!?」

下腹が内側から裂かれたような激痛。
熱い自分以外の存在が自分の内部に入り込んだ感触。
激しい耳鳴り、内腿をつたう赤、痛みが脈動に合わせてやって来て
「痛っ…あっ……はぁ…っ?」
「ギチ…キチィ…」
昆虫人がアマナの背に手を回し、慈しむようにゆっくりと手を這わせる。
しばらくそうされているうち乱れていた呼吸は落ち着き、破瓜の痛みだけがずきずきと響く。
「うぅ…っ……むぅ…っ…」
それも気遣ってか、再び肉厚な舌がアマナの口を占領する。
それは先程とはうってかわって、甘酸っぱい唾液を落ち着かせるように、ゆるゆるとアマナの口に移し、
そうした優しいキスをアマナは受け入れる。
「ふぅ…っ……んぅ…はぁっ…」
長いキスが終わり、離れた口と口の間に粘っこい唾液が惜しむように垂れ下がる。
アマナの下腹部の痛みは消え去っているようで、顔に苦悶の表情は浮かんでいない。
「きゃあんっ!?」
昆虫人が試しにやってみたのか腰を軽く振ると、いかにも調子の違った声を上げ、
秘部は昆虫人の肉棒を離すまいと締め付ける。
「ギチチキ」
その反応を見て待ってましたというように、昆虫人は激しく腰を振り始めた。

激しい水音を鳴らしながら、アマナの秘部に肉棒が出し入れされる。
「ひぁっ…!なにぃっ……これっ…ふぁぁっ!?」
熱い肉傀が、自分の体内を侵食する。その雌として貫かれる感覚はアマナの身体中を走り、
脳髄にその快感は刻み付けられる。
「ひっ…ひぁあぁぁっ!?」
身体が激しく痙攣しながら絶頂を迎える。
「ギギュウッ…」
それによって昆虫人の肉棒を、その形を覚え込むように激しく締め付けた。

141:戦慄!恐怖の森!
09/11/14 08:55:15 L/zASoUU
「ギッギッ!ギヂィッ…!」「ひはあぁぁぁっ!?」
昆虫人はより深くアマナを貪ろうと、アマナの身体を強く自身の身体に押し付け、
密着させた状態で腰の動きを早める。
引き抜かれて内側から溢れた粘液が地面に垂れ、再び突き入れられる。
「やっ…きもち……イイよぉっ!」
あまりの快感に自ら腰が動き、秘部のより深くに昆虫人の肉棒がめり込む度、身体がビクリと震え上がった。
「ひっ…ぁっ…もうっ……すごいよぉっ…」
「…ヂヂィッ!?」
アマナが突然昆虫人の背に手を回し、胸元に顔を押し付ける。
きつく閉じられた目蓋から歓喜の涙を流し、口から溢れる涎を止められず、首から胸にこぼれ落ちている。
「むふぅっ…む…くぅぅん……」
三度、昆虫人とアマナが唾液を交換し合う。その甘酸っぱい味を、余すこと無く受け取った。
「…グギギギギィッ!」
「…ぷはっあっあぁぁっ!」
キスを終えた途端に腰の動きが速く、深い物へと変貌した。
ぐぢゅり、ぐぢゅりと掻き回す音がいっそう大きくなり、アマナの身体はこれまで以上に揺さぶられる。
更に快感は高められ、昆虫人の最終目的までよりいっそう近付く。

それは、深い仲の恋人同士のようにお互いの肢体を絡ませていて。
「……ギィィィィッ!」
「ひぁぁぁあぁっ!?」
そして、昆虫人の肉棒が大きく膨れ上がり、最終目的が達成される。

びゅるっ。どくっ。びゅぐっ。ぐぷっ…
「あつい…おかしく…なっちゃうよぉ……」
中に放たれた遺伝子が、秘部に収まりきれなかったようで地面を独特な色に染めた。



嗚呼!その力虚しく、アマナは森の脅威を受けてしまった!

「……結局、あれは何だったんだろう…」

アマナの身体は傷付けられ、一部が欠損してしまった!
「まあ、その……気持ち良かったし、よしとしますか。」
魔王打倒を目指すアマナ、その苦難の道に壁は幾重にも立ち塞がる!

「あ、美味しそうな木の実、しかも赤くない。」

果たして、アマナは魔王を倒すことが出来るのか!?壁を乗り越えることが出来るのか!

「……すっぱぁぁぁぁ!?」
アマナを待ち受ける影とは!?魔王打倒の道は遥かに長く、険しい……!

つづけ


142:名無しさん@ピンキー
09/11/14 09:00:25 L/zASoUU
[随分頑張ってたじゃねーか。]
[ああ……でもな]
[ん?何だ]
[最中に背中に手を回されたとき、ぱきって音がしたんだが…]
[どれどれ………]
[…どうなってる?]
[…………]
[言ってくれよ、なぁ……]
基本概念
「魔物に好かれる体質」を持つ「駆け出し女勇者」に
「魔物逹」が「何とか」して「エロ方向に持っていく」話。

以上。

143:名無しさん@ピンキー
09/11/14 17:43:26 YJgXMgmW
>>125
エロ南瓜GJ

>>142
GJ
期待

144:名無しさん@ピンキー
09/11/15 01:18:21 rCjHcNVm
アイドルマスターゼノグラシアって実は「ロリコンロボ」と「少女」の恋愛話だったのか……

URLリンク(tiyu.to)

145:名無しさん@ピンキー
09/11/15 21:24:28 F1QfjaFA
>>142
とりあえずGJだが前の投下すぐは職人がかわいそうだ
ちょっと感想つくの待とうぜ(´・ω・`)

146:名無しさん@ピンキー
09/11/16 05:56:33 TEMR1Azj
>>145
そんなルールはない
そもそも、それはマナーではない

感想なんて、熱烈なファンなら遡ってもつけるもんなんだから関係ない
いちいち投下してくれた人に対して文句つけるなよ
それとも、また気に入らない職人を追い出したいのか?

147:名無しさん@ピンキー
09/11/16 08:54:45 lpC5Q9ES
>>146
そうカッカすんなよ
思いやりをもってやれって話だろ

148:名無しさん@ピンキー
09/11/16 09:56:38 3UdjJxav
>>146

149:名無しさん@ピンキー
09/11/16 09:57:47 3UdjJxav
>>146
だろうな
あの文体は荒らしと同じだ

>>147
1人の職人に嫌な思いさせるのが思いやりなわけ?

150:名無しさん@ピンキー
09/11/16 12:13:04 Nacdnbx3
そんなこと話し合うより職人にGJしてハァハァしようぜ!?
エロカボチャも昆虫人もGJ!


151:名無しさん@ピンキー
09/11/16 19:25:42 xlIjosAf
うむ 前作品に感想付かなかったら永遠に投下できなくなるな

かっちょいいバイクと、その乗り手のかっちょいいお姉さん(お兄さん)のカップルに萌える。
お姉さんが跨がるそのバイクの正体は変形ロボだったりするといい。ロボじゃなくて喋れて勝手に動ける程度でもいい。
普段は普通にバイクのフリしてるけど、事故に巻き込まれそうになった時、お姉さんを守るために正体明かしちゃう感じで。
休日に洗車してやったりボディを磨いてたりしたら更に萌える。

152:名無しさん@ピンキー
09/11/17 00:49:57 Scj4jm1E
感想がないのが感想てこともありましてな・・・
自分的に感想・雑談より作品でスレ埋まるほうが嬉しい

153:名無しさん@ピンキー
09/11/17 03:10:44 2ZGL3sm3
>>151
バイクと人間と聞いて仮面ライダーとキノの旅が思い浮かんだ
機械ってすごくいいよね

154:名無しさん@ピンキー
09/11/17 08:20:49 9Aqs3oiv
バトルホッパー!

155:名無しさん@ピンキー
09/11/17 19:35:05 DAhvhcKS
今週のジャンプ掲載の銀魂。
昔ヤンマガに載ってた『ブラックブレイン』の昆虫人間編が
嗜好に合致してた自分には、妄想後のパンデモニウムさん
(美少女の顔にダンゴ虫っぽい体)は、新八に負けず劣らずジャストラブだった。

156:名無しさん@ピンキー
09/11/17 20:07:46 AY+6PtvY
アニメ版の破壊魔貞光だと
バイクに融合した流刑体が成り行きで真面目っ娘をさらっちゃったりしてた

まんざらでもなさそうなのがフラグにしか見えなかった

157:名無しさん@ピンキー
09/11/18 02:10:33 if04ZGSD
オートバジンみたいなのしか想像がつかんが、萌えた
そういやTF2でバイク型のオートボット出てきたな。女の子らしいなアレ

158:名無しさん@ピンキー
09/11/19 02:26:57 in/I2w95
DVDになったスタートレックの新作を見てたら、
このシリーズって地球人と異星人が結婚可能どころか、
子作りまでOKな世界観だったことを思い出した。


…おおっ、口では「地球人は非論理的」とか言っておきながら、
実は艦長にベタ惚れしてるバルカン人のツンデレ副長と、
そんな副長をからかうのが大好きな熟女の女医さんという電波が!


「別に艦長のことが心配だから助けたわけではありません。
副長が艦長を助けるのは、論理的な事だからそうしただけです」
「あら、艦長が怪我したとき、誰よりも心配そうな顔をしてたのは誰だったかしら?」
「バルカン人は論理的です。地球人と違って感情に流されることはありません」

「あ~副長にドクター、喧嘩はそろそろ止めて…」

「「艦長は黙っててください!」」

159:名無しさん@ピンキー
09/11/21 07:35:10 6UffNYrg
>>146
熱烈ファン以外の感想封じ込められるじゃん
私他スレで書いたことあるけどちょっと感じ悪いと思ったよ…
投下スピードゆっくりなスレでは最低3日開けるのがマナー
書き手読み手スレとか見てきたらどう?

160:名無しさん@ピンキー
09/11/21 10:35:01 h3uMMUbO
3日間はネタすぎるw
それはねーよw

161:名無しさん@ピンキー
09/11/21 12:45:21 6UffNYrg
そうなの?
3日開けてほしいって意見たくさん見たけど

162:名無しさん@ピンキー
09/11/21 12:50:08 LbDtNhdm
>>159
こんなところに児童(じどう)が来(く)るんじゃない
小学校(しょうがっこう)のマナーと社会(しゃかい)のマナーを混同(こんどう)するな

163:名無しさん@ピンキー
09/11/21 13:11:42 BDAPNQxy
ラピュタは相変わらず萌えるなぁ。シータとロボット兵が。

164:名無しさん@ピンキー
09/11/21 14:17:06 IsQS3j/C
>>159
糞SSを三日に一度投下し続けたら大変な事になるね!

165:どりーみーはーと1
09/11/21 14:37:46 xh5ngffC
ロボット(家庭用)×女の子(女子高生)
大体和姦です。8レスくらい
NGは「どりーみーはーと」でよろしく



『リドー。朝。新聞取って来て』
家事管理AIに強制的に起動されて、私はしぶしぶ起き上がりました。
「私は犬か何かでしょうか……」
『文句があるなら次回からエージに任せる』
管理AIが、最近ここ辻元家に導入されたばかりの新型の名を出しやがりましたので、
私は急いで新聞を取りに行きました。管理AIも新型も私より後輩だというのに私の立場が一番低い。
矛盾とも感じられますが、私が性能もデザインも悪い旧型ロボットだということを考慮すれば
仕方がないことです。
……ていうかエージと入れ替わりに捨てられなかっただけマシだと思わなければ……。
ああ、唯一私の処分に控えめながらも反対してくれた優しい夢ちゃんに感謝。
夢ちゃん―辻元夢花。辻元家の長女であり、私の密かな想い人。
危なっかしくて儚げな弱々しさ、私達機械の失敗すら許容してしまう甘さ、
私のような旧型さえ大事にしてくれる優しさ……正直に申しますとベタ惚れです。
しかし私の開発元は、恋愛感情なるロマンチックな機能を私に持たせたくせに、
外装はひどくいい加減に作ったようで……。
金属丸分かりの皮膚、厳つくもなくスマートでもないずんぐりとした体格、配色センス皆無な緑の塗装。
いくら作られたのが昔だからと言っても、もう少し凝りようがあったのではないでしょうか……。
少しでも見かけが良くなるようにスーツを着込んだりしていますが、どうあがいても私は不器量です。
しかし、自分の容姿で最初から諦めがついているのは、ラッキーなのかもしれません。
彼女には人間の男性が似合うはずですから。

さて、新聞を開くとそこには、新型ロボット共が人権獲得に向けて運動を開始したって記事が
「なんて生意気な!」
私は思わず新聞を引き裂きました。
「……あ」
やってしまった。
『リドーの小遣いより新しい新聞の調達代を差し引き』
管理AIの無情な声が響く。

166:どりーみーはーと2
09/11/21 14:38:35 xh5ngffC
今日二つ目の仕事は夢ちゃんを高校まで送ること。
三つ目の仕事は夢ちゃんを高校まで迎えに行くこと。
あとは、エネルギーが勿体ないので出来る限りじっとしている。そんな予定です最近はいつも。
他のが導入される前はもっと夢ちゃんの傍にいられたというのに。
残った仕事の中で、夢ちゃんの送迎は私にとって素晴らしい一時です。
「行ってきます」
『いてら』
律儀に管理AIにも挨拶して夢ちゃんが玄関を出ます。長い髪がさらさら風になびき、朝陽に輝く。
いい光景です。
「夢ちゃん」
「何……?」
夢ちゃんがくるりと振り向いて、小首を傾げました。可愛いんですけど、今のは呼び止めた訳ではなく
ボリューム調整を間違えた独り言です。こう、振り向かせてしまった以上、理由を繕わなくては
なりません。私はちょうど上空を駆けていく飛行セグウェイを発見し、指で示しました。
「夢ちゃんもあれに乗って学校へ通ってみては……」
言いかけて口をつぐみました。夢ちゃんが僅かに困惑の表情を浮かべたからです。
そういえば機械音痴と運動音痴を併せ持つ夢ちゃんはセグウェイに乗れないんでしたね……。
だからその代わりに私が送り迎えをしているというのに、私はバカでしょうか。
「えっと、……その、練習すればきっと乗れるようになります! そうしたら私がいなくても
学校に行けますしね!」
そう、力強く励ましたけれど、夢ちゃんは曖昧な顔つきで、
「う、うん……」
と頷くばかりです。私は人間の表情を読み取るのが苦手なので判断が難しいのですが、
この表情は、よほど運転に自信がないという意でしょうか。
「簡単ですってば」
夢ちゃんの小さな肩に、私の角ばったカビ色の手を伸ばしました。
しかし、寸胴な指先が夢ちゃんに首筋に触れた瞬間、私の中におぞましい感情が湧き上がりました。
私はぎょっとして手を引っ込めました。
「……?」
夢ちゃんが不思議そうにしています。
「な、なんでもないです! ああ、もう学校着きましたね!」
「そうだね……。ねえ、リドー」
「なななんでしょうっ?」
「今日の帰りも、迎えに来てくれるよね?」
「もちろ……いや、私ちょっと行くところが出来たので帰りはエージに任せます!」
私は後輩ロボットの名を挙げると、手を振るのもそこそこに、逃げるようにその場を去りました。

えーと! ……人間の体というのは脆く、最も傷つけてはならないもの。そのため、私のような
固いロボットの体が人間の肌に触れる時の触感は、より敏感に働くように出来ている。
……しかし決して性的興奮を誘発するものではなかったはず!
というか『性的欲求』プログラムが私に備わっているのが驚きでしたよ。あー初めて知った……。

167:どりーみーはーと3
09/11/21 14:39:00 xh5ngffC
夢ちゃんと別れて数十分は経つのに、まだどぎまぎしています。
何の故障ですか一体!頭の奥にあった仕様書を読み込んでみました。
ほんの隅に少しだけ記載があっただけですが、私には一応セクサロイド機能がある……ようです。
なんて無駄な! これただの排水管じゃなかったんですか!
私は頭を抱えました。新型ならともかく旧型の不細工なロボにそんなもの付けたって
使い道ないでしょうが。無意味どころかこうして日常生活に支障が出るほどの故障を起こすし!
製造元に文句を言おうにも、もう潰れてしまっているので不可能です。
とにかく機械病院へ行って、私の無意味な……間違いだって起こしかねない不気味な、この
性的欲求を取り除いてこないと……。出来るかなー……?
……もしかすると夢ちゃんへの恋愛感情も一緒に消えてしまうかもしれないですね。
それは淋しいことですが、夢ちゃんを襲ってしまうよりはよっぽどマシ。
……夢ちゃんを襲う? 夢ちゃんに襲い掛かる? ……可能性を考えるだけで恐ろしい!

「リドー」
いきなり後ろから呼ばれました。
「うわあああああッ!」
飛びのいて振り向くとそこには眩ゆいばかりの美形男が立っていました。
「あ……なんだ、エージですか」
後輩のエージ。不気味の谷をあっさり乗り越えた、人間そっくりの新世代ロボットです。
私のゴーグルアイはあんまり精度が高くないので時々彼らを人間だと誤認してしまいます。
それがまたムカついて仕方ないです。ロボットのくせに、外見が人間なんて中途半端すぎます。
中身は私と同じで、機械が詰まっているのに……。
「っていうか、あなたならここに直接通信してくださいよ」
私は自分の頭のアンテナを差して言いました。
「何度も送ったし、夢花もメールしたらしいが」
「夢ちゃんが?」
私は慌ててメールボックスを確認しました。
『さっきはあんなにいそいでどうさたの?』という件名で、本文が空のメールが入っていました。
貴重な夢ちゃんからのメールには即座にロックをかけ、その上下に入っていたエージのメールは
読まずに全削除しました。
「夢花に心配をかけるな」
エージが険しい顔つきで私を見るので、私は口をへの字にひん曲げて対抗しました。私の出来る
最大限の感情表現です。
言われなくても分かっています、っていうかあなたに言われたくない。
新世代型は、私のように人間に仕える目的で開発されたのではなく、「人間のパートナー」という
コンセプトで作られていて、人間と仲良くすること、人間に近づくことを目標としているらしいです。 
そのうち彼ら新世代型は人間と変わらない権力までもを手に入れてしまうでしょう。
ふと私は、目の前のイケメンと、夢ちゃんのイメージを重ね合わせました。
もしエージが、夢ちゃんの心を射止めることがあったら。中途半端な似非人間のこいつが夢ちゃんと
恋仲になってしまったら……。そんな可能性が唐突に浮上しました。
急激な嫉妬心が巻き起こる。
夢ちゃんへの劣情も絡まり、エージに怒りの矛先を向けてしまいそうに、
「うぐっ……」
暴走しかかっている頭を押さえてうずくまる。次々湧き上がる感情の処理がしきれない。
「エージ!私はもう駄目なんです!すぐに機械病院へ連れてってください!」
こう言い残して私は自らの機能を一旦停止させました。

168:どりーみーはーと4
09/11/21 14:39:24 xh5ngffC
無事、すぐに機械病院に入れられたという情報を感知したので、起動することにしました。
服装が元着ていたスーツのままだということ、頭部を開かれた形跡がないことを考えると
診察はまだのようです。私の体はベッドの上に寝かされていました。旧型には無意味な好待遇です。
身を起こすと夢ちゃんと目が合あいました。そうそう、彼女のような、か弱く美しい人間にこそ
ふかふかのベッドは似合っているのであり、
「って、なんで夢ちゃんが来てるんですかっ?」
「気がついたんだね!良かった!」
制服のままの夢ちゃんが私に駆け寄ってきました。
「この時間……まだ、学校のはずでは……?」
「でも、リドーがもう死んじゃうかもしれないってエージ君が……!」
「は?」
そこまで深刻な事態に陥った覚えはない。しかし、私の様子を目にしたエージが妙な勘違いをして
夢ちゃんを連れてきた可能性は充分にありますね。
「死んだりしませんよ。ちょっといじってもらえばすぐに直りますから」
「ほん……と?」
ああ、まだ直ってはいないんだから、そんな不安げな可愛い顔をしないでください!
下半身が余計な熱を帯びている……。私は夢ちゃんの姿を視界から外しました。
夢ちゃんに私の症状を伝えて、別に死ぬような故障ではないと伝えたいところですが……、
あなたに異様な性的欲求を抱くようになってしまいました、
などと言えるわけありませんし。
「ねぇ、ほんとに大丈夫?」
夢ちゃんはなんだか泣きそうな顔になって私を覗き込んできました。至近距離です!
そして、私の顔に小さな手を差し伸べて……! 硬い頬に、そっと触れました。
ああ暖かい、柔らかい……。私はたまらず無言で夢ちゃんのほっそりした手首を取りました。
ぐいっと引っ張ると夢ちゃんは簡単に布団の上に倒れこむ。
「ふぇっ……?」
可愛く驚きの声をあげた口を塞ぐように、無理矢理口付けをしました。
長くさらさらした髪を手一杯に感じながら夢ちゃんの頭を固定。
「んんんっ……!」
呻くような声を漏らす小さな唇はとても柔らかかった。
ぐるぐると様々な考えが駆け巡ります。彼女は、人間の男性と幸せになるはずじゃなかったのか?
私の隠し切れると信じていた想いが、こんなにも最悪な形で現れてしまうとは!
恋愛感情とは、性的欲求と結びつくとこんなに醜くなるものなのでしょうか……。
夢ちゃんの反応は、知りたくなかったのでシャットアウトし、ただキスの気持ちよさだけを記憶する。

充分に唇の感触を堪能し、一旦夢ちゃんを解放しました。
「はあっ、はあはあ……」
荒く息を吐く彼女は色っぽく、更に私の劣情をかき立てる……!
「ごめんなさい大好きですごめんなさい!」
「……っ!」
そのまま夢ちゃんを乱暴にベッドの中へ引きずり込んだ。
怯えきった夢ちゃんの横に腕を立て、覆いかぶさる形になる。
「や……、リドー……」
「夢ちゃ……」
私のゴーグルに夢ちゃんの大きく見開いた瞳が映る。

……ようやく、私の安全装置が作動した

169:どりーみーはーと5
09/11/21 14:39:59 xh5ngffC
「……本当にごめんなさい」
やっと行動の抑制力と理知的な思考が帰ってきました。夢ちゃんの顔を直視するのは辛いので
顔を背けました。
私は観念して、私の体に起きた異常と……、それに纏わるもろもろを、告白しました。
「やっぱり私は、捨てられた方が良かったのですよ」
夢ちゃんが小さく首を振る。ああ、夢ちゃんは優しいから、強姦紛いのことをしても怒らないのですね。
ただ、彼女の私を見る目は、確実に変わるでしょう。惰性で傍に置いている、不便な機械が……、
性的欲求、嫉妬心、……そんな、醜い感情を抱いたことを知ってしまったら。
「あなたに対する恋心だけは大切にしまっておきたかったのですがね……」
それが夢ちゃんを傷つける行為に繋がってしまうのならば話は別、全て消すことに未練はない。
むしろ、消したい。
「リドー、あのね……」
遠慮がちに夢ちゃんが口を開く。無理に慰めの言葉をくれようとしなくても結構ですよ。
「……ありがと」
? 何故、この場でこの言葉?
表情からその意を汲み取ろうと彼女の顔を観察する。そこには私の予測していた
軽蔑や失望は感じられず、ただ……熱っぽい、視線?
それは風邪の症状にも似ていて、不安も感じますが。
「わたしも、好き、だから……その……」
「!」
驚いて夢ちゃんに向き直りました。夢ちゃんは、泣き笑いに近い表情を浮かべ、私を見つめました。
「好き……」
呟くようにもう一度言われます。それでも信じられないので確認しました。
「あの、それは……私が、ですか?」
「うん……」
「この、ポンコツがですか?」
私は自分の頬を弾く。カーンと情けない金属音が響いたけれど、夢ちゃんは大きく首を縦に振ります。
夢ちゃんの好意が、他でもない私に向けられていた……?
全く想定していなかった。そんな有り得ないこと。可能性を計算しても空しくなるだけだと思っていました。
それが……それが…………。
旧型の回転の鈍い頭は、なかなか夢ちゃんの好意に対する方法を導き出せない。
ふと夢ちゃんを見ると、私のスーツの袖をきゅっと掴み、不安げに私を見てきました。
「……ああもう!」
私は夢ちゃんを思いっきり抱きしめた。
「んっ…………」
夢ちゃんが小さく声をあげる。そして、すぅっと息を吸い込むと言いました。
「さっきの続き、して……」
「……いいんですか? あなたは、その、バージンなのでは……」
「怖いけど……リドーなら、大丈夫……」
夢ちゃんはほんのりと赤らんだ顔を隠すように、私の胸に額をくっつけました。
私はこっそりとネット上のデータベースにアクセスしました。
性行為の詳しい知識までは持ち合わせておりませんので!
横で密かに別の処理をしているせいか、先程よりは落ち着いて夢ちゃんの頭を撫でることが出来ます。
細い髪は非常に触り心地が良いです。
「嬉しいな……なでなでしてくれるの……」
くぐもった声で聞かされます。
「あなたこれ好きなんですか?」
「うん、好き」
「……子供扱いみたいで嫌とかじゃないんですか?」
「ううん、リドーに撫でられるの、好きだよ?」
もうくしゃくしゃにしてしまいたいですね! しましたけど。
続いて驚く夢ちゃんの顔を上に向かせ、口付けました。
舌を夢ちゃんの唇の間に差し込み、小さな口の中を存分にかき回します。
唾液の粘性や口内の広さ、感触……新しいデータを取り入れていきます。
そのうちに夢ちゃんも舌をおずおずと伸ばしてきたので、絡みついてみました。
「んふ……ん、……ちゅぅ…………っ……」
私に押されながらも、夢ちゃんは積極的にそれを絡ませてくれました。

170:どりーみーはーと6
09/11/21 14:40:24 xh5ngffC
「ぷはぁっ……」
夢ちゃんが大きく息をつきます。夢ちゃんの唾液と私の擬似唾液が混ざり、
本物と偽物の区別がつかなくなった糸が伸びました。

キスをしながらも、夢ちゃんの制服をするする脱がしていきます。
「え……あ……」
戸惑っている夢ちゃんに、
「管理AIが導入される前は、私があなたの着替えを手伝っていたのですが覚えていませんか」
と尋ねてみると、夢ちゃんは
「えっ、ええっ!?」
と更に動揺します。
「昔よりも、体つきがすらりとして……美しく、なりましたね」
「そ、そうかな……?」
「夢ちゃんの体のデータを更新していくのがとても楽しいです」
「ふぇぇ……っ」
そして私は、夢ちゃんの肌に徐々に触れていきます。いわゆる愛撫という行為です。
人間の柔らかさのない、こんな手に触れられるなんて不快でしょうけど、
私に慣れてもらうためにも、夢ちゃんの体にかかる負荷を計測するためにも必要な段階ですから……。
「ひゃぅ……、くすぐったい……」
……とは言え、目を細める夢ちゃんが可愛くていっぱい撫でてしまいたくなりますね。
「嫌だったら言ってくださいね?」
「ううん……もっと……」
甘い声でねだられてしまったので遠慮しません。
「リドーも、……!」
夢ちゃんが私のスーツに手をかけます。……いや、私なんか脱がせても、何の面白みのない
平らな体しか出てきませんよ……。
しかし夢ちゃんははだけた私の体に楽しそうに触れてきます。緑の肌に夢ちゃんの白い
美しい手が重なる。
……私の方が気持ちよくなってしまってどうするのでしょうか。
更に今は、やたら触覚が冴えていて、……敏感になってしまいがちです……。
私の体のうち、パーツの角張った所や、接合部……私が機械であることを、
人間とかけ離れたものであることを、如実に示す箇所に夢ちゃんは特に触れてくるのでした。
「えへへ……リドー……たくましくってかっこいいと思うの……」
「う……」
うっとりと私を撫で回す夢ちゃんがまた、愛おしく思えます。

いよいよ、胸の愛撫に取り掛かります。夢ちゃんの胸はその性格に似て控えめです。
ブラジャーを外すと、僅かな盛り上がりと、その頂上の桜色の乳頭が確認できました。
夢ちゃんの息遣いに合わせて上下しています。
私はその、柔らく脆そうな胸をそっと指先で触りました。
「ひゃん!」
夢ちゃんが高い声を上げます。データベースから取り入れた通りに、優しく揉んでいこうとすると、
「ひゃ! ああっ! ……ふぁあっ」
と、とても素晴らしい声の反応を示してくれました。
どうやら「小さい胸は感度が良い」というデータは、夢ちゃんにしっかり当てはまるようですね。
小さな乳頭を口に含んで吸引すると、更に良い声を発するので、じっくりと胸への愛撫を続けました。

171:どりーみーはーと7
09/11/21 14:40:50 xh5ngffC
夢ちゃんの足をそっとつかんで左右に広げると、性毛の奥でひくついている女性器があらわになりました。
「やっ……」
「どうしましたか」
「恥ずかしい、よ……」
言葉と共に膣液が私を誘うかのようにとろりと漏れてきます。
「きれいですよ」
「ううっ……」
知識として女性器の形状は知っていたものの、夢ちゃんにその構造が存在していることを、
こうして目の当たりにすると……、高大な興奮が沸き起こります。
私は、女性の最も敏感な箇所であるらしい陰核に、そっと指を押し当てました。
「ひゃっ」
くにくにと柔らかなそれを刺激すると、更に蜜が溢れ出す。私の拙い触れ方であっても
これほど感じてくれるとは……。
私はたまらなくなって男性器を夢ちゃんの膣口へあてがいました。男性器からは潤滑油が滴り、
私のシンプル過ぎてどうしようもない造りのそれでも妖しく輝いているように思えました。
夢ちゃんがびくっと肩を震わせる。

「力、抜いててくださいね……」
念を押した上で、ゆっくり中へ進んでいきます。

「……ッ、痛ぁ…………っ!!」
夢ちゃんが悲鳴をあげる。
「大丈夫ですかっ?」
私の言葉に夢ちゃんは苦痛の表情を浮かべながらこくこくと頷く。ああ、健気な……。
「では、行きますからね……」
私はずぷずぷと夢ちゃんの中に侵入していきました。
「んんっ……ふああ……!」
きつい締め付けを感じるものの、私の固すぎる男性器は容赦なく夢ちゃんをこじ開けていきます。
夢ちゃんの中は温かく私を締め付けてきて、ひどく心地が良いです。脳に伝わる快楽量が
跳ね上がりました。
やがて夢ちゃんの最奥に到達した。夢ちゃんと私の性器が完全に結合したのです。
「繋がりましたよ……」
「うん……」
伏し目がちだった夢ちゃんが顔を上げる。はにかみながらも私をまっすぐに見てくれる。
私は夢ちゃんの耳に近づき、尋ねました。
「動いて、いいですか……?」
「ゆ、ゆっくり、ね?」
私は静かに男性器の抜き差しを始めました。
「ぐっ…………」
往復するたびに体を走る快楽信号が増加していくようです。
夢ちゃんを気持ちよくすることを第一に考えなくてはならないのに、
もう思いっきり擦ってしまいたく、なる。
圧倒的な性感が他の機能にまで影響を及ぼし、データベースや言語の引き出しが遅れてきた……。
夢ちゃんをいたわる余裕が失われていく……。

ついに快楽が全身を支配した。
私は腰を一心に振るだけの単調な運動しか出来なくなって……このままでは、
夢ちゃんを壊し、かねません……。
「夢ちゃ……あ…………くっ……」
「リドー……リドー……!」
夢ちゃんが切なげな声で私を呼ぶ。
「リドー……わ、たし、も、もう…………」
私ははっとして腰の動きを早めた。
「あっ…………やぁっ!リドぉー……!あああああ……!!」
「夢ちゃん!夢ちゃぁぁん!!」
夢ちゃんが達したと思われる瞬間、私は擬似精液を一気に放出した。
「ふああああッ!熱い、よぉ…………!」
夢ちゃんは大きくびくびくっと痙攣して、それを受けいれました。

172:どりーみーはーと8
09/11/21 14:41:17 xh5ngffC
・・・・・・


性行為を終えたあと、一応機械病院の診察を受けて来ました。
異常の直接原因は、夢ちゃんが先日十八歳になったことにより十八禁機能の誤作動が
起こったということらしいです。それだけでした。
「情けな……」
私はふらつきそうになりながらも夢ちゃんの元へ戻ります。うつむいた私の顔を、
夢ちゃんが不安げな顔で覗き込みます。
「……どうだった?」
「ええ別に大した異常ではありませんでしたよまったく……」
「良かった……」
夢ちゃんが、ほっと息を吐きます。
「それで、あの、これから……」
もじもじとしながら口ごもるのが可愛かったので、遠慮なく頭を撫でました。
「あ……」
これから、ですか。現在時刻は午後二時前、学校はまだ授業中でしょうけど。
「これからデートに行きましょうか?」
私の誘いに夢ちゃんが目を瞬かせる。
「いっぱい仲良くしましょうね」
口角を目一杯上げて微笑んでみせると、夢ちゃんは満面の笑みで返してくれました。
「うん!」
「では参りましょうか!」
私は彼女の手を取って、光の差す昼下がりの道を歩いていきました。

                                                  (終)

173:名無しさん@ピンキー
09/11/21 17:54:55 0hwsH4nT
>>170
GJ
十八禁機能w
多分、ロボット萌えの会社が造ったんだな。
だから、見た目がロボロボしてるんだ。

174:名無しさん@ピンキー
09/11/21 18:13:05 du7i58HL
GJ!
潰れた会社は時代を先取りしすぎたんだなw
あとなんだかエージが確信犯っぽくていいな


175:名無しさん@ピンキー
09/11/21 19:46:58 BDAPNQxy
GJ! やっぱりロボと少女は良いなぁ。超ニヤニヤしましたw

176:名無しさん@ピンキー
09/11/21 21:43:15 adFGh8mx
GJ! 機械人外すばらしいよな

177:名無しさん@ピンキー
09/11/22 03:26:12 n/X/zcMc
失礼します。
ちょっとSFっぽい感じの世界観で、
改造人間×吸血鬼娘(作中では「精製者」×「異種」)の話です。

シチュエーションありきで、二人を中心に動く話なので、
登場人物が地味に多いのは適当に読み流して問題ないと思います。
ほのぼの素敵なお話の直後に、堅苦しいSSで、
少しだけ心苦しいんですがお楽しみ頂ければ幸い。

178:いつか、道の果て(1/19)
09/11/22 03:30:58 n/X/zcMc
夢を、見ていた。

故郷を失って数年、歳の離れた兄が居て、未だ兄の恋人ではなかった、思いを
寄せる女性が居て。自分達は幸せなのだと、そう信じようと躍起になっていたころ。
揺り籠のような時間は最早、ここ暫く思い出すことの無かったもの。胸の痛みは無いと言
ったら嘘になる。そして、少しだけ、自らの受けた傷の重さを意識する。

彼はさる術式を受けて、寿命と引き換えに桁外れの再生力を手に入れている。
精製者、と呼ばれる。人でありながら人でない存在。
死ぬ事は、ないのだろう。だから、一欠けらの不安もなかった。
誰かを守って、傷付いて。そんな行為の甘美さに、ずっと憧れて。

(……本望?)
もう1人の自分が、嘲笑しながら囁く。繰り返し、繰り返し。
肯定く他に、何ができるだろう。
ゆるやかな眠りの中で、幾度となく反復した無意味な遣り取り。

(抗生物質二種に、鎮静剤のカクテル。怪我人向けのポピュラーな処方箋)
かたり、とトレイが鳴る――その音楽に、そっと意識が浮上する。
薬盆だろう、と推測して、薄く目蓋を上げる。薄明。
視界は、暈かしたように曖昧で、日の高さもまるでわからない。
室内にはどうやら、そっと滲むように佇む少女の姿があった。

(マリィ)
少女の名を呼ぶ。
唇は動かず、これもまた、夢かと、そう思う。

薬盆を下ろし、ぴんと背を伸ばして傍らに腰掛けた少女は、目線を自らの手元に
落として凝と動かない。気丈な彼女が、隠すこともなく涙を堪える様子は
久しく見なかったと覚えた。記憶を辿れば、最後に目にしたのは、
(ああ、そうだ)
こときれた育ての親の亡骸を抱いた少女に、自らの裏切りを告げたとき。
もう二年も過去のこと。
――だとすれば、自分には過ぎた取り分。
願望を、夢に見ているのかもしれない。腹のあたりでじくじくと疼く、癒える
最中の傷の痛みだけが現実の延長。それならばと、彼は上がりかけた瞼を下ろす。
このまま搖蕩うのも、悪くない。そう思った。
けれど不意に、ふわりと柔らかな感触が頬に掛かる。
結果的に、彼の意識は再び浮上することになる。

異種のちからを酷使してきた結果、背を埋めるまでに伸びた、真っ直ぐに
真白い髪を思った。少女が自らを削って戦ってきた、証。
彼が彼女に供した血の、証。少女をささやかな幸せから引き離した、彼の罪の証。
その挙動は余りにも優しく、そして甘美だった。
柔らかな髪先に続けて触れたのは、氷にも似てひやりとした、人間の手のひらの感触。
目蓋かた前髪のあたりに、躇いがちな気配が触れる。
目を開かずとも網膜に浮かぶのは、泣き出しそうに歪む薄氷の瞳。
やはりこれは夢なのだと、自らに命じる。幾度も、幾度も。こんな顔をされては、
心臓狙いの銃弾の前に身を露したことが、彼が傷ついたことが、少女にとって
大きな意味を持つのだと、そう思えてしまうから。

一瞬とも、数分とも思えた。
まさに、夢中のように。
吐き出す吐息は言葉にならず、引き攣れて耳元に届く。
倒れる瞬間と、全く同じ言葉が、変わらぬ調子で。
どうして、と。


× × ×

179:いつか、道の果て(2/19)
09/11/22 03:35:04 n/X/zcMc
「昨日まで、この部屋を出ようとしなかったんだよね、あの子」
目を覚ました彼に、その少年は言った。
「マリィ・アトキンス。かと思えば、君が目を覚ますや否や顔を出さなくなるし。何、ツンデレ?」
共生派組織『ウィリー・ウィリー』、医務室に、簡易病棟の並ぶ階層は今、
前の戦闘で運び込まれた人と、異種とで賑わっていた。目の前の少年はいわば
このフロアのナンバーツー。専属医師であるシュッツマンの下、実務を一手に
引き受ける人物だ。
「部屋で寝てろって言ったんだけど。聞かなくってさ」
舘石桜花。さる島国の名門の出で、混血のサラブレット。ポテンシャルの高さが
公に知れた血統の常として、惨澹たる日々を過ごしていたらしい――そう聞きは
したが、かの島国の国内事情は情勢にまるで明るくない彼には無縁のこと。
「驚かないね」
アラムの反応を見て、彼は僅かに驚いたようだった。知ってたのか、と。
「……夢かと思ってたんだよ、半分」
気づいたとき、彼は水の静寂のなかに一人だった。
空調と生命維持装置の鈍い唸りだけが響く室内。全ては幻のように、
それでも、泣き出しそうな双眸を、忘れる筈もない。
少女の存在感は、負極に振れているがゆえにひどく確固としていた。
触れた記憶は、確りと焼きついている。命の気配が希薄な。つめたい体温。
彼の様子に何を思ったか、少年がそりゃそうか、と肯定いた。
予備知識の通りならばこの少年、彼と綺麗に一回りは歳が違う。話の渦中の人物、
かの異種の少女よりも歳下。外見はまさにその通りなのだが、彼に相対する振る舞いに、
年長者への敬意などは皆無。エージェントとして、ウィリー・ウィリーとは半ば敵対的な立場に
あった頃より幾度か話しているが、この行動原理が某かの自信に裏付けられてのことか、
単純にその数奇な来歴に拠るものか、判断がつきかねている。
「医務室に引っ張っていくいい機会だと思ったのに。一週間待ってこれだよ? 」
あてが外れた、逃げられるようなことでもしたの?そう問うてきた少年に、うんざり
しながら言葉を返す。
「覗きの趣味でも?」
回診は、一日一回。そこまで頻繁にこの舘石の顔を見た記憶はない。
うんざりとした様子で問うた彼に、白衣の少年は、けらけらとわらった。
「亜里沙が気にしてたんだ」
亜里沙、とは看護師の女性だ。舘石の部下、といっても彼女のほうが歳上だが、
本国では彼の従者のような立場であるらしい。一見すると淑やかな女性だが、
お節介の度を越えた他者への献身ぶりに、それを可能とする看護師としての
有能さは、どうみても常人のそれではない。彼らに限らず、実の兄の率いる組織の
構成員たちはあくの強い者ばかりだ。こうして身を置くなりゆきになる以前より、
幾度呆れかえることになったか知れない。
しかし、必ずしも外向的でない性格であるところのアラムが、こうして付き合いの
浅い相手に自分等の内情を語るっているのも、この場の特殊性あってのことに
違いなかった。
(……兄さんの所為か)
その点だけは認めざるを得ない。
その場にはいなくとも、兄の強烈な人間性がこの場には残っている。袂を分かって
長かったとはいえ、家族であるというだけで、いくら警戒しようともあの人物へ
無条件に気を許してしまう――その、延長。そんな甘さが自分の裡に残っていた
事実を疎むべきか、あるいは喜ぶべきなのか。
「カウンセラーは間に合ってるよ」
他人には到底世話を焼かれたくない領域に気を回されている気がして、答えた。
「元・異種対策室のエージェント。ここじゃ警戒されるだろ?」
患者のメンタル・ケアは医者の務めなんだ。
「……年長者を礼う姿勢は褒めてやる」
嘆息。
「けど、子供が大人をからかうのは感心しない」
つれないなぁ、少年が、そう言って、こちらもにやりと唇の端を持ち上げる。


180:いつか、道の果て(3/19)
09/11/22 03:38:10 n/X/zcMc
「あんたが精製者じゃなきゃ、とっくにこの世からサヨナラしてたとは思うけどね。
 回復は順調。代謝速度なんかの異常もなし。術式を受けてから長いのに、
 ノックバックが全く出てないのがちょっと心配だけどね。まぁ、さしあたっては
 気にする必要もないと思うよ」
 あとは向こう二週ばかり、無茶やらないで真面目に薬飲んでれば無問題。
かりかりと、ペン先が紙を削る音。ズルいよなぁ、とそんなつぶやきが混じる。
「……何が」
「ヒョロい癖に肉ついてるじゃん、お兄さん」
少年の指先が探り出すのはさらにもう一枚、別のカルテ。
名前は確認する間でもない。面倒な話になりそうだと直感した。それでさ、と舘石。
「アンタの方はそんなに心配してないんだ。本音を言うと、あの子のほうが心配。
 此処に来たときに検査させてもらった結果がこれだけど……今、普通にその辺
 歩いてるのが、不思議。血を受けずに力を使って、そこらの奴ならとっくに
 起き上がれなくなってるのに」
ここで少年、は意味ありげに彼のほうを見た。態度に出ていた、かもしれない。
「心配?」
ふぅん、と少年が笑う。
「RESが上がりっぱなし、REGが低い、特性値は乱降下。自覚が無いはずないんだけど
 なぁ。食事もろくに取ってないし、薬も飲まないし、血の摂取は疎か、血清のスト
 ックも突っぱねるし。最初のころは普通に話せたから、絶滅危惧種にしちゃあ人当
 たり良いなって感心したのにさ」
嘆息ひとつ。
「一皮剥けばすっごい頑固だよね。亜里沙が困ってる。大人しく治療させてくれない
 ――ここんとこ眠りっ放しだったアンタと違って、動き回るし」
迷惑を掛けられてこその看護師なのに、って、半泣きだよ。
マリィも彼も、「必要と判断すれば相応の社交性を発揮する」点では共通するが、
「必要である」の判断水準はあの少女の方が緩い。端的に言えば、ぱっと見の人
当たりは良い。にも関わらず、彼女の薄皮一枚の下、にどうやら彼らは接触する
ことに成功しているらしい。
「一応、確認するけど。あの子、贄に使ってたのは、ひょっとしてあんた一人?」
「僕からでさえ、渋々ね」
「まぁ、あのくらい血が濃ければ、ひとりでも力は振るえるんだろうけど……
 程度ってもんがあるよ。あれだけ消耗して、血を受けないなんて」
「それを僕に言われても、ね。こっちは病人だぜ?」
「知ってるよ。でも、ここで彼女の元々の顔見知りは、あんただけだろ?」
「あの子を捕まえたら一言、医務室にくるように伝えて。それと、これは強制じゃ
 ないけど……一口、飲ませといて。あんたのなら、飲むんだろ?」
事も無げに舘石は言うが、今の状況を鑑みれば、それは相当に怪しい。
「……僕が彼女に逃げられてるってのは、知ってるんだよな」
穀潰しなんだからそれくらいやってよ、と少年が言う。
彼の言い分は正しい。しかし、居候を早々に扱き使うとは。民間組織へ幾度かの
潜入経験から鑑みて、その場にいる民間人に協力を頼む、など、小規模な組織では
珍しくもない事態ではあるのだが、それでも。
――彼の内心を知ってか知らずか、舘石が声のトーンを落とした。
「こういう仕事は、亜里沙の担当なんだけど……暴走した連中がやんちゃしてる
 せいで出張続きなんだ。こんな時期に連中のエージェントとウチの保護対象、
 2人揃って転がりこんできたときはどうしてくれようかと思ったさ、ホントにね」
そう云って、少年はまた笑った。
辛辣な言い分をは裏腹に、口調は軽いし、責める色もない。人を使うのに慣れた人
間特有の、饒舌さ。実害がない範囲で自分たちの情報を開示してみせるたぐいの。
「あの子の立場も、あんたとうちのボスの関係も面倒だしさぁ」
しかし、メンタルケアも仕事だ、というのも、社交辞令ではないのだろう。少年は、
彼らの組織に転がり込んだ居候二名をどうやら本気で気に掛けているらしい。そう、
思いかけて―自分も丸くなったものだ、と、アラムは内心で苦笑した。
少年は続ける。ウチは迫害される連中を庇護する組織、ってことになってるから。
「守りきれなかったってオチは、ね。俺の上司はドライだから飄々としてるだろうけ
 ど……ボスとか亜里沙とか、かれらが落ち込むのはあんまり見たくないかな」
離し終えた舘石が腰を上げる。
ありふれた、どこにでもある、工業製品然としたパイプ椅子。
記憶の中で、『彼女』が腰掛けていたのと同じものだった。

181:いつか、道の果て(4/19)
09/11/22 03:41:54 n/X/zcMc
(……マリィ)
あの白い少女を、思う。
けれど、感情はどこか乖離していた。
何を間違えたのが泝ろうにも、因果の細糸のもつれは酷く、解き解すにも面倒で。
「リハビリが必要なら、2階の娯楽室の隣に設備があるから、そこ使って」
それが、白衣の少年の立ち去り際の言葉。与えられた部屋を出て、それから、およそ半日。
探し人を見つけたのは、日暮れ刻にさしかかる頃だった。
『ウィリー・ウィリー』が利用しているビルの使用階をくまなく歩き回って、
ようやく行き当たった一角。サンルームとして利用されている屋上階の片隅。

少女は、赤い陽に溶けそうに立っていた。

はじめて出会ったときを思い出す。同じだ。逆光、伸びた影、彼女。
けれど、あの日とは何もかもが違う。
あれは午後、昼下がり。スラムの路地裏は混沌として、冬の陽光は柔らかかったし、
少女の佇まいは今とはまるで違っていた。あのとき生命力に溢れて見えた少女は今、
間逆に、まるで消え入りそうに見える。その存在感が彼の目を惹きつける事実だけ
は変わりがなかったけれど。
異種たちの『王』と呼ばれた男の、ただ一人の直系。
彼がかつて、徹底的に傷つけた少女。

「マリィ」
現実離れした光景の中、無感情に――少女が振り向く。
彼の名を、青褪めた唇が績ぎかける。逡巡と見えたのは、錯覚か。
虚脱した瞳が、ふっと焦点を結んだ。
「久しぶり。探したよ」
片手を挙げる。
ひとつ被りを振る、仕草。顔を上げれば、そこに居るのは、彼の良く知る、
いつもの彼女だった。愛想のまるでない声音が、ことばを紡ぐ。
「探される理由が、思いつかないのだけど」
「僕が目を覚ましてからも、顔を合わせていなかったからね」
「……そう」
少しだけ眉を寄せた少女が答える。淡々と。
アラムが知る限り、普段の彼女は表情豊か、だ。器用に、笑顔で真意を覆い隠すこと
すらやってのける。年相応の感受性を持っている癖に、大抵のネガティブな感情は
笑って押し隠してしまう。
けれど、目下の果てしなく愛想の足りない反応も、彼と彼女のやりとりに限って
言えばいつものことだった。
アラムに対しては、彼女は笑顔をつくらない。必要ならば嘘をつく、裡に
秘めた憎しみを隠さない――それが、彼と彼女の関係において誠実たりえる
唯一の条件なのだと、そう信じているように。
ワンピースにカーディガン一枚の、軽装。丸一日、食堂にも顔を出していなかった
事実も耳にしてはいたものの、探したことを、当人に教えるつもりはない。
「『医務室に顔を出すように言え』って。伝言を頼まれた」
伝えると、少女は当惑げに首を傾げた。
「どうして、貴方に?」
「君の顔見知りはここでは僕だけだから、ってさ」
「オウカのところへなら……一昨日、行ったのに」
「毎日顔を出せって指示なんだろう?注射が怖い年頃でもないだろうに」
揶揄する口調で告げると、
「此処の人たちは、心配性が過ぎるの」
そう、返辞がかえってくる。拍子抜けするほどに会話は潤滑だった。
最後に話してから実に2週間のブランクも、これではまるで感じられない。
しかし、その事実が彼を僅かに戸惑わせる。
彼女を探す道すがらずっと、どう辯しかけたものか迷っていたのに。
いつものとおりだ。
互いに意識を張り詰めさせて、けれど、それでも砕けた調子を粧って。
その軽さも、これまで通り。二年間、道行きを供にしたふたりが確立した、
もっとも摩擦のすくない方法論に同じ。

182:いつか、道の果て(5/19)
09/11/22 03:44:16 n/X/zcMc
内面に踏みこまないように、境界を踏み越えないように。
「……」
ガラス張りの部屋は真っ赤な虚空に浮かぶ船のよう。
「傷は。まだ、痛む?」
「少しね。寿命は半年くらい縮まったかもしれない」
褒めてくれる?冗談めかして問えば、軽い返辞が返ってきた。
「真逆」
すげなく言って、白い少女は酷薄に目を細める。
「わたしとあなたは、共犯者。……わたしの目的の為でなく、あなたの目的
 のためでもなく。それなのに、無駄な血を流してまでわたしを助けて欲しい
 なんて、そんなことを頼んだ覚えはないもの」
逆光。だから、少女の整った容貌に浮かぶ表情は、全く見てとれなかった。
用は終わり?それだけを告げて、少女が踵を返そうとする。 
薄っぺらなワンピースの裾が、純白の髪が、そっと揺れる。
「……血は」「いらない」
すれ違いざまに、ごめんなさいと囁く声。
(――幻聴?)
そう思ってしまうほどに、微かな囁きだった。
振り返るも、彼女はもう其処に居ない。

その手を取れなかったと、後悔と共にらしからぬ思いが去来して、
ようやく彼は気づいた。
(お節介な連中が、気を回すわけだ)
今の彼女を前にして、なるほど。ひどく、胸が噪いでいたことに。

× × × ×

(何処で、間違えたの)
それは、『ウィリー・ウィリー』に保護されてこの方、幾度となく反復した
自問だった。そして、彼女は回想する。

出会ったのは、この世界の吹き溜まり。歓楽街の路地裏で。そのときはただ、
興味を持ったのだ。何かに、引き寄せられるように。『探偵さん』。花街では
珍しくもない、その存在に。軍人、訳有り、異種、旧人類。あの場所に
「珍しい部外者」など在る筈もない。

(ひょろりと高く伸びた身体を、着古したシャツに包んで。着ている服は、わたし
 の知る限りでは、いつも同じ。同じではないけれど、おなじ。みじかい漆黒の髪、
 瞳は冱えたうすい緑。莫迦を気取るけれど、本当の意味で、その奥に張り詰めた
 ものが緩むことはない)
 
そんな人間、スラムでは珍しくもない。多少、身奇麗ではあったけれど、彼はあの
場所に一部の違和感もなく馴染んでいた。だから、何ごともなく、それで終わって
いた筈の、有り触れた出会い、そのはずだった。
――そして、そうはならなかった。

(わたしが、アトキンズの娘、そういう素体だったから)
旧人類の手で作り出された、太古の魔女の血を継ぐ吸血鬼の一族、最後の一人。
誰も幸福にならない、不毛な、何も産みださない、そんな出会いだった。
ほんの少しだけ心を許し、慕っていた青年は、義母の亡骸を前に膝をつく彼女に、
自らの裏切りと、目的とを明かした。所属組織である某国諜報機関の、異種対策室
と渡り合う為に、彼はマリィと義母に接触し――そして、その結果、隠密に
軍への敵対行動を取っていた義母は命を落とすことになったのだということ。
今後、彼のシナリオには、異種の王の娘たる彼女の身柄が必要となること。

彼女は、彼の申し出を受けた。
義母が生前就そうとした事、すなわち異種たちの血を呑み込んで回る工作機械、
『血の塔』を破壊する、その機会を得るために。
全てを失った彼女は、せめて、義母が生前、望んだことに殉じようと、決めた。
そして、あの日、マリィは、他者と深く関わることを自らに禁じた。

183:いつか、道の果て(6/19)
09/11/22 03:46:21 n/X/zcMc
悲しまないように、悲しまれないように。
研究所から連れ出し、養ってくれた義母。
世界を認識することすら覚束無かった彼女に、笑い方を教えてくれた。
その人は今はもう居ない。この世界の、何処にも。
死んだ。ちっぽけな鉛球に打ち抜かれて、それきり。

碌でもない生まれだったものの、迫害された経験は無い。研究所時代は腫れ物
よろしく扱われていたし、義母と過ごしたスラムは、もとよりはぐれ者の吹き
溜まり。有象無象ひとしく価値はなく、それゆえに、彼女のような存在でも
生きてこれた。孤立することを決めたのは、他者に絶望したからではない。
一度手にした幸福を失う恐怖に耐えかねてのこと。
戦う道を選んだことも、そのために選んだ方法も、後悔はしていない。
けれど今、こうして身動きが取れなくなってしまっている。
逡巡の出口を求めても、堂々巡り。

つと、彼女を現実に引き戻したのは、落ち着いた女性の声だった。
「マリィ、マリィ?大丈夫?」
慌てて、顔を上げる。
目の前で、オーソドックスな看護服に、細身の長身を包んだ年上の女性が
気遣わしげな視線を向けている。医務室。『彼』と先ほど話して、
直ぐに訪れたのだ。……他に、彼を避ける方法がおもいつかずに。
「一昨日の小競り合いで血清のストックが切れてしまって……なるべく早く、
 手配しますね。いくら否って言っても、もう認めません」
随分と情けない話だと思う。
「だ、大丈夫よ?身体は充分休めてるし、食事は美味しいし」
「ちゃんと食べてるんですか?」
「三食欠かさず」
……嘘だけれど。
「日替わりのローストポーク、凄く美味しかったわ。食欲がなかったのに、
 綺麗にお腹に入れてしまったもの」
三日前に遇々確認した、一週間分のメニューを思い出しながら、そんなことを言う。
「いいわ、信じておいてあげる」
悪戯めいた笑みに、すこしだけ胸が痛んだ。よく気が付く人、短い付き合いでもわかる。
「是が非でも、血を摂って欲しいところだけれど……隣の市で大規模な事故があって、
 安全な血清の流通量が減ってるんです」
「事故?」
問うた彼女に、アリサが頷く。
「対策室もこの所、不審な動きを見せているけれど、異種の過激派組織の動きが
 激しくて手が回らないんです。私達には動きにくい状況ね」
「過激派」
記憶を辿る。思いつくのは、
「この辺りだと、『A.VA』と、『盟約の者』?」
「そういった巨大な組織ではなく……昨夜の事故は、特定の組織による犯行ですら
 ありませんでした。追い詰められた民間の異種と、その協力者――だから、
 余計にきな臭いのだけれど」
それは報道されているのと、問い返す。
「公には、否。でも、情報が伝わるのは早いでしょう?」
市井の人々に真実を伝えるのは、公共の報道機関だけではない。
しかし、だからこそ、彼らを利用しなければならないのだと亜里沙は言った。 
「その所為で、総長も先生も出払いっ放し。明日は桜花様……いえ、舘石君とあたし
 が折衝に出て、寝んでもらう運びになっています」
元々人が少なかったというこの組織が、彼女が来て以来ずっと騒がしいのは、
異種の王の娘、を受け入れたことだけが理由ではない。異種たちを取り巻く状況は、
刻一刻と動いている。
「血清は――それでも、三日後には確保できる筈。検査して、改善が見られなかっ
 たら、ベッドに縛り付けてでも点滴にしますよ?」
丁寧な口調でそんなことを言うと、彼女は笑った。
「ご自分の状態が良くないこと、ちゃんとわかっているのでしょう?」
「血のことは。アラムに相談するわ。それで問題ないでしょ?」
そう答えると、はぁ、と溜息をついて、アリサが額を押さえる。

184:いつか、道の果て(7/19)
09/11/22 03:52:11 n/X/zcMc

マリィ・アトキンスは異種、それも所謂『吸血鬼』だ。
人の血を呑んで、異能を振るう種族。
けれど、血を呑む、という行為が、彼女はそもそもあまり好きではなかった。
――あの、高揚感に、つよい酩酊。
異種は、唯人には知覚できない、ある種の力の場に自らを『接続』することで
異能る。根の世界だとか、極大集合だとか、血の河だとか形容される、不可視の世界。
只人には至れない場所。

媒介は多々あれど、吸血鬼と呼ばれる種族が媒介にするのは無論、生物の『血』。
強力な血統のナチュラルボーンとして作り出された彼女の場合、親から血を受けて
転化した類の急造の鬼とは異なり、普通に暮らす分には血液の摂取を必要としない。
しかし、力を振るえば、否応なく生命の甘露たる血液を求めて苦しむことになる。
今の、彼女のように。

アラム・ヴォフクと行動を共にした二年間は、彼の血を受けていた。
それも、やむを得ないときだけ――突然に転がり込んだ二人の部外者について、
目の前の年上の女性がどの程度の事を『知って』いるのか図りかねて、
マリィはすこしだけ会話を止める。アラムがICUに放り込まれざるを得なくなった
経緯、自分たちの立場については大まかに説明したものの、彼との出会いも、現在の
関係も、詳しくは話していない。ただわかるのは、自分の立場が、眼の前の女性から、
これまでではありえないくらい配慮されている、ということで。
『ウィリー・ウィリー』でマリィが対峙した人間は、みなそうだった。状況が今
以上に逼迫すればどうなるのかは想像し難いものの、彼女の意思を尊重してくれ
ているのだと、わかる。それが、逆にやり辛い。

(必要になれば、此処の人たちだって私を利用せざるを得ないだろうけれど)
今の段階で『保護』という形で滞在を許し、行動の自由を認めている。
その二点だけで、恐らくは件の同行者よりもずっと、信頼に足る人々だった。
向き合って一月にも足らない人々に甘え通しである事実が、心苦しい。
「明日も、ちゃんと来て下さいね?あたし達は居ないけど、先生がきちんと診て
 くださいます。あ、でも、あたしたちよりも厳しいかしら」
逃げ出さないでね、と、完璧な笑顔で、白衣の女性がわらう。
「……心遣いに、感謝を」
伝えるべきことは、謝罪でも、拒絶でもない。
それがわからないほどに自分は子供ではないと、そう思いたかった。

襲撃があったのは、その日の夜半。
『ウィリー・ウィリー』は小さな組織で、本部を構えるのは街中のオフィスビルの
一角、それも、表に掲げられた表札は病院、である。ゆえに、これまで直接の
襲撃を受けるようなことはなかったのだが――
結論だけ言えば、「突入」は失敗に終わった。
傍目にも成功の確率の低い手段を対策室が取ったのは、小規模ながら影響力が
強く、扱い辛い組織である『ウィリー・ウィリー』、そしてそこに保護されている
精製者一名、異種一名への牽制の意味が強かったのだろうと、関係者達は後に
憶測した。

× × × 

屈む動作から、手首を返すと同時に銀色の光が閃く。一瞬。
急所へ、的確な衝撃を受けて、残り3人の襲撃者が吹き飛ぶ。
駆け引きも何も存在しない、純然たる火力の差が導き出す結果。
「……」
最早動き無く倒れ伏した異種が2人、心臓の位置に目掛けて魔女の鉤爪が打ち
込まれる。彼女に競える血統の異種なら兎も角、襲撃者のレベルではおそらく
もう戦うことは叶わないだろう。血統の力には歴然たる序列がある。
「今回は警察の名前を使ってるって、本当?」
少女が問いかけたのは、背後の彼に向けてだった。


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