09/11/22 04:13:05 n/X/zcMc
肌蹴られた頂きに、舌先を当てる。
薄く色づいた先端の周囲をゆっくりと、ゆっくりとなぞる。
――震える。与えた刺激の量には似つかわしくない敏感さで。
ひく、と腰が跳ねる。
「や、ぁ……な、に」
もう一度。かたかたと笑い出した膝を割るのは容易で、少女のほうはというと、
彼の動きを阻もうと、脚を寄せようと試みたところでのっぴきならぬところまで
侵入されている事態に気がついたようだった。
愚かにも身体を引き剥がそうとして、けれど、未知の感覚の前に挫折する。唾液で
滑る指先で、更には反対の頂きを、弄る。そっと、円を描くように。
「あ。やッ………ん、ぁ、っ……!」
時折揶揄っては怒らせた、てんで質量のない性の証。
けれど、少女は、否、女は、そこで彼を感じている。
身を任せてしまおうと囁く本能の声と、理性との板挟みに、こんなにも声を上げる。
――見下ろして、彼はひとつ息を吐く。
彼の所作に、彼女が反応を返す、それだけの応酬。
アラムは、たったそれだけの事に、箍を失って往く自らを認める。
自嘲。「……っ、あ」
押し殺した声が、またひとつ。
「こんなことをして、意味、なんて」
――その言葉は、彼女自身が裏切っている。
「な……っ、ぅ」
弱い場所。左の耳元、喉元の、咽頭にほど近い場所、頂きの周囲、
背中のある一箇所。不慣れな癖に、彼のひとつひとつの所作に可愛らしい反応が
返ってくる。全ては、身体を密着させていれば筒抜けで。愛おしい、と感じる。
時折跡を残してすらいるのに、今でさえ、意識のたがをすべて外せば、貪りつく
せそうなほど。
これほどの衝動が自分の中にあることが意外だった。
限界の一線、押し停め続けることすら、苦しい。
――いっそ止めてくれないかと、心の片隅で念う。
彼を拒絶するカードなら、異種たる彼女の手元に、今はちゃんとあるのに。
「意味、か」
意味なら、ある。
「すぐにわかるよ」
言って。手を掛ける。砦。最後の。
「……!」
息を呑む様子に、怯えの気配。
(君が、止めないのなら)
この息を止めないのなら、容赦はしない。
く、と、彼の脚を阻む膝先に力が籠もる。当然のことながら効果はない。
拒絶の囁きを無視して、あるいは受け止めて、名無しの男はその場所を開いた。
体毛が無い、という事実に対しての驚きは薄い。僅かな背徳感はあったけれど。
この少女ならあるかもしれないと、そう思ってしまう。
「濡れている、か」
聞こえるように、それだけを告げた。
「――っ!」
羞恥に滲む呼吸。
中指が、ゆっくりと潜り込む。
いたづらに苦痛を与える気は無かったけれど、思い返せば、経験の無い相手、
というのは初めてかもしれない。かるく指を二本差し入れて、押し開く。少女が
きりと歯を噛み締めた。わずかに強張る四肢。これでは意味がないのだろう。
(痛みには強い、君だ)
突き崩すならば、ここまでと同じように。
もう一度、唇を塞ぐ。
口腔内をざらりと舐め回すと、それだけで面白いほどに反応が返った。
先の、ただただぎこちない反応とは違う。硝子の瞳に微かな欲情の色が翳して、
揺らめいて、消える。
じわりと潤む胎内。