【なんでもあり】人外と人間でハァハァするスレ5at EROPARO
【なんでもあり】人外と人間でハァハァするスレ5 - 暇つぶし2ch169:どりーみーはーと5
09/11/21 14:39:59 xh5ngffC
「……本当にごめんなさい」
やっと行動の抑制力と理知的な思考が帰ってきました。夢ちゃんの顔を直視するのは辛いので
顔を背けました。
私は観念して、私の体に起きた異常と……、それに纏わるもろもろを、告白しました。
「やっぱり私は、捨てられた方が良かったのですよ」
夢ちゃんが小さく首を振る。ああ、夢ちゃんは優しいから、強姦紛いのことをしても怒らないのですね。
ただ、彼女の私を見る目は、確実に変わるでしょう。惰性で傍に置いている、不便な機械が……、
性的欲求、嫉妬心、……そんな、醜い感情を抱いたことを知ってしまったら。
「あなたに対する恋心だけは大切にしまっておきたかったのですがね……」
それが夢ちゃんを傷つける行為に繋がってしまうのならば話は別、全て消すことに未練はない。
むしろ、消したい。
「リドー、あのね……」
遠慮がちに夢ちゃんが口を開く。無理に慰めの言葉をくれようとしなくても結構ですよ。
「……ありがと」
? 何故、この場でこの言葉?
表情からその意を汲み取ろうと彼女の顔を観察する。そこには私の予測していた
軽蔑や失望は感じられず、ただ……熱っぽい、視線?
それは風邪の症状にも似ていて、不安も感じますが。
「わたしも、好き、だから……その……」
「!」
驚いて夢ちゃんに向き直りました。夢ちゃんは、泣き笑いに近い表情を浮かべ、私を見つめました。
「好き……」
呟くようにもう一度言われます。それでも信じられないので確認しました。
「あの、それは……私が、ですか?」
「うん……」
「この、ポンコツがですか?」
私は自分の頬を弾く。カーンと情けない金属音が響いたけれど、夢ちゃんは大きく首を縦に振ります。
夢ちゃんの好意が、他でもない私に向けられていた……?
全く想定していなかった。そんな有り得ないこと。可能性を計算しても空しくなるだけだと思っていました。
それが……それが…………。
旧型の回転の鈍い頭は、なかなか夢ちゃんの好意に対する方法を導き出せない。
ふと夢ちゃんを見ると、私のスーツの袖をきゅっと掴み、不安げに私を見てきました。
「……ああもう!」
私は夢ちゃんを思いっきり抱きしめた。
「んっ…………」
夢ちゃんが小さく声をあげる。そして、すぅっと息を吸い込むと言いました。
「さっきの続き、して……」
「……いいんですか? あなたは、その、バージンなのでは……」
「怖いけど……リドーなら、大丈夫……」
夢ちゃんはほんのりと赤らんだ顔を隠すように、私の胸に額をくっつけました。
私はこっそりとネット上のデータベースにアクセスしました。
性行為の詳しい知識までは持ち合わせておりませんので!
横で密かに別の処理をしているせいか、先程よりは落ち着いて夢ちゃんの頭を撫でることが出来ます。
細い髪は非常に触り心地が良いです。
「嬉しいな……なでなでしてくれるの……」
くぐもった声で聞かされます。
「あなたこれ好きなんですか?」
「うん、好き」
「……子供扱いみたいで嫌とかじゃないんですか?」
「ううん、リドーに撫でられるの、好きだよ?」
もうくしゃくしゃにしてしまいたいですね! しましたけど。
続いて驚く夢ちゃんの顔を上に向かせ、口付けました。
舌を夢ちゃんの唇の間に差し込み、小さな口の中を存分にかき回します。
唾液の粘性や口内の広さ、感触……新しいデータを取り入れていきます。
そのうちに夢ちゃんも舌をおずおずと伸ばしてきたので、絡みついてみました。
「んふ……ん、……ちゅぅ…………っ……」
私に押されながらも、夢ちゃんは積極的にそれを絡ませてくれました。

170:どりーみーはーと6
09/11/21 14:40:24 xh5ngffC
「ぷはぁっ……」
夢ちゃんが大きく息をつきます。夢ちゃんの唾液と私の擬似唾液が混ざり、
本物と偽物の区別がつかなくなった糸が伸びました。

キスをしながらも、夢ちゃんの制服をするする脱がしていきます。
「え……あ……」
戸惑っている夢ちゃんに、
「管理AIが導入される前は、私があなたの着替えを手伝っていたのですが覚えていませんか」
と尋ねてみると、夢ちゃんは
「えっ、ええっ!?」
と更に動揺します。
「昔よりも、体つきがすらりとして……美しく、なりましたね」
「そ、そうかな……?」
「夢ちゃんの体のデータを更新していくのがとても楽しいです」
「ふぇぇ……っ」
そして私は、夢ちゃんの肌に徐々に触れていきます。いわゆる愛撫という行為です。
人間の柔らかさのない、こんな手に触れられるなんて不快でしょうけど、
私に慣れてもらうためにも、夢ちゃんの体にかかる負荷を計測するためにも必要な段階ですから……。
「ひゃぅ……、くすぐったい……」
……とは言え、目を細める夢ちゃんが可愛くていっぱい撫でてしまいたくなりますね。
「嫌だったら言ってくださいね?」
「ううん……もっと……」
甘い声でねだられてしまったので遠慮しません。
「リドーも、……!」
夢ちゃんが私のスーツに手をかけます。……いや、私なんか脱がせても、何の面白みのない
平らな体しか出てきませんよ……。
しかし夢ちゃんははだけた私の体に楽しそうに触れてきます。緑の肌に夢ちゃんの白い
美しい手が重なる。
……私の方が気持ちよくなってしまってどうするのでしょうか。
更に今は、やたら触覚が冴えていて、……敏感になってしまいがちです……。
私の体のうち、パーツの角張った所や、接合部……私が機械であることを、
人間とかけ離れたものであることを、如実に示す箇所に夢ちゃんは特に触れてくるのでした。
「えへへ……リドー……たくましくってかっこいいと思うの……」
「う……」
うっとりと私を撫で回す夢ちゃんがまた、愛おしく思えます。

いよいよ、胸の愛撫に取り掛かります。夢ちゃんの胸はその性格に似て控えめです。
ブラジャーを外すと、僅かな盛り上がりと、その頂上の桜色の乳頭が確認できました。
夢ちゃんの息遣いに合わせて上下しています。
私はその、柔らく脆そうな胸をそっと指先で触りました。
「ひゃん!」
夢ちゃんが高い声を上げます。データベースから取り入れた通りに、優しく揉んでいこうとすると、
「ひゃ! ああっ! ……ふぁあっ」
と、とても素晴らしい声の反応を示してくれました。
どうやら「小さい胸は感度が良い」というデータは、夢ちゃんにしっかり当てはまるようですね。
小さな乳頭を口に含んで吸引すると、更に良い声を発するので、じっくりと胸への愛撫を続けました。

171:どりーみーはーと7
09/11/21 14:40:50 xh5ngffC
夢ちゃんの足をそっとつかんで左右に広げると、性毛の奥でひくついている女性器があらわになりました。
「やっ……」
「どうしましたか」
「恥ずかしい、よ……」
言葉と共に膣液が私を誘うかのようにとろりと漏れてきます。
「きれいですよ」
「ううっ……」
知識として女性器の形状は知っていたものの、夢ちゃんにその構造が存在していることを、
こうして目の当たりにすると……、高大な興奮が沸き起こります。
私は、女性の最も敏感な箇所であるらしい陰核に、そっと指を押し当てました。
「ひゃっ」
くにくにと柔らかなそれを刺激すると、更に蜜が溢れ出す。私の拙い触れ方であっても
これほど感じてくれるとは……。
私はたまらなくなって男性器を夢ちゃんの膣口へあてがいました。男性器からは潤滑油が滴り、
私のシンプル過ぎてどうしようもない造りのそれでも妖しく輝いているように思えました。
夢ちゃんがびくっと肩を震わせる。

「力、抜いててくださいね……」
念を押した上で、ゆっくり中へ進んでいきます。

「……ッ、痛ぁ…………っ!!」
夢ちゃんが悲鳴をあげる。
「大丈夫ですかっ?」
私の言葉に夢ちゃんは苦痛の表情を浮かべながらこくこくと頷く。ああ、健気な……。
「では、行きますからね……」
私はずぷずぷと夢ちゃんの中に侵入していきました。
「んんっ……ふああ……!」
きつい締め付けを感じるものの、私の固すぎる男性器は容赦なく夢ちゃんをこじ開けていきます。
夢ちゃんの中は温かく私を締め付けてきて、ひどく心地が良いです。脳に伝わる快楽量が
跳ね上がりました。
やがて夢ちゃんの最奥に到達した。夢ちゃんと私の性器が完全に結合したのです。
「繋がりましたよ……」
「うん……」
伏し目がちだった夢ちゃんが顔を上げる。はにかみながらも私をまっすぐに見てくれる。
私は夢ちゃんの耳に近づき、尋ねました。
「動いて、いいですか……?」
「ゆ、ゆっくり、ね?」
私は静かに男性器の抜き差しを始めました。
「ぐっ…………」
往復するたびに体を走る快楽信号が増加していくようです。
夢ちゃんを気持ちよくすることを第一に考えなくてはならないのに、
もう思いっきり擦ってしまいたく、なる。
圧倒的な性感が他の機能にまで影響を及ぼし、データベースや言語の引き出しが遅れてきた……。
夢ちゃんをいたわる余裕が失われていく……。

ついに快楽が全身を支配した。
私は腰を一心に振るだけの単調な運動しか出来なくなって……このままでは、
夢ちゃんを壊し、かねません……。
「夢ちゃ……あ…………くっ……」
「リドー……リドー……!」
夢ちゃんが切なげな声で私を呼ぶ。
「リドー……わ、たし、も、もう…………」
私ははっとして腰の動きを早めた。
「あっ…………やぁっ!リドぉー……!あああああ……!!」
「夢ちゃん!夢ちゃぁぁん!!」
夢ちゃんが達したと思われる瞬間、私は擬似精液を一気に放出した。
「ふああああッ!熱い、よぉ…………!」
夢ちゃんは大きくびくびくっと痙攣して、それを受けいれました。

172:どりーみーはーと8
09/11/21 14:41:17 xh5ngffC
・・・・・・


性行為を終えたあと、一応機械病院の診察を受けて来ました。
異常の直接原因は、夢ちゃんが先日十八歳になったことにより十八禁機能の誤作動が
起こったということらしいです。それだけでした。
「情けな……」
私はふらつきそうになりながらも夢ちゃんの元へ戻ります。うつむいた私の顔を、
夢ちゃんが不安げな顔で覗き込みます。
「……どうだった?」
「ええ別に大した異常ではありませんでしたよまったく……」
「良かった……」
夢ちゃんが、ほっと息を吐きます。
「それで、あの、これから……」
もじもじとしながら口ごもるのが可愛かったので、遠慮なく頭を撫でました。
「あ……」
これから、ですか。現在時刻は午後二時前、学校はまだ授業中でしょうけど。
「これからデートに行きましょうか?」
私の誘いに夢ちゃんが目を瞬かせる。
「いっぱい仲良くしましょうね」
口角を目一杯上げて微笑んでみせると、夢ちゃんは満面の笑みで返してくれました。
「うん!」
「では参りましょうか!」
私は彼女の手を取って、光の差す昼下がりの道を歩いていきました。

                                                  (終)

173:名無しさん@ピンキー
09/11/21 17:54:55 0hwsH4nT
>>170
GJ
十八禁機能w
多分、ロボット萌えの会社が造ったんだな。
だから、見た目がロボロボしてるんだ。

174:名無しさん@ピンキー
09/11/21 18:13:05 du7i58HL
GJ!
潰れた会社は時代を先取りしすぎたんだなw
あとなんだかエージが確信犯っぽくていいな


175:名無しさん@ピンキー
09/11/21 19:46:58 BDAPNQxy
GJ! やっぱりロボと少女は良いなぁ。超ニヤニヤしましたw

176:名無しさん@ピンキー
09/11/21 21:43:15 adFGh8mx
GJ! 機械人外すばらしいよな

177:名無しさん@ピンキー
09/11/22 03:26:12 n/X/zcMc
失礼します。
ちょっとSFっぽい感じの世界観で、
改造人間×吸血鬼娘(作中では「精製者」×「異種」)の話です。

シチュエーションありきで、二人を中心に動く話なので、
登場人物が地味に多いのは適当に読み流して問題ないと思います。
ほのぼの素敵なお話の直後に、堅苦しいSSで、
少しだけ心苦しいんですがお楽しみ頂ければ幸い。

178:いつか、道の果て(1/19)
09/11/22 03:30:58 n/X/zcMc
夢を、見ていた。

故郷を失って数年、歳の離れた兄が居て、未だ兄の恋人ではなかった、思いを
寄せる女性が居て。自分達は幸せなのだと、そう信じようと躍起になっていたころ。
揺り籠のような時間は最早、ここ暫く思い出すことの無かったもの。胸の痛みは無いと言
ったら嘘になる。そして、少しだけ、自らの受けた傷の重さを意識する。

彼はさる術式を受けて、寿命と引き換えに桁外れの再生力を手に入れている。
精製者、と呼ばれる。人でありながら人でない存在。
死ぬ事は、ないのだろう。だから、一欠けらの不安もなかった。
誰かを守って、傷付いて。そんな行為の甘美さに、ずっと憧れて。

(……本望?)
もう1人の自分が、嘲笑しながら囁く。繰り返し、繰り返し。
肯定く他に、何ができるだろう。
ゆるやかな眠りの中で、幾度となく反復した無意味な遣り取り。

(抗生物質二種に、鎮静剤のカクテル。怪我人向けのポピュラーな処方箋)
かたり、とトレイが鳴る――その音楽に、そっと意識が浮上する。
薬盆だろう、と推測して、薄く目蓋を上げる。薄明。
視界は、暈かしたように曖昧で、日の高さもまるでわからない。
室内にはどうやら、そっと滲むように佇む少女の姿があった。

(マリィ)
少女の名を呼ぶ。
唇は動かず、これもまた、夢かと、そう思う。

薬盆を下ろし、ぴんと背を伸ばして傍らに腰掛けた少女は、目線を自らの手元に
落として凝と動かない。気丈な彼女が、隠すこともなく涙を堪える様子は
久しく見なかったと覚えた。記憶を辿れば、最後に目にしたのは、
(ああ、そうだ)
こときれた育ての親の亡骸を抱いた少女に、自らの裏切りを告げたとき。
もう二年も過去のこと。
――だとすれば、自分には過ぎた取り分。
願望を、夢に見ているのかもしれない。腹のあたりでじくじくと疼く、癒える
最中の傷の痛みだけが現実の延長。それならばと、彼は上がりかけた瞼を下ろす。
このまま搖蕩うのも、悪くない。そう思った。
けれど不意に、ふわりと柔らかな感触が頬に掛かる。
結果的に、彼の意識は再び浮上することになる。

異種のちからを酷使してきた結果、背を埋めるまでに伸びた、真っ直ぐに
真白い髪を思った。少女が自らを削って戦ってきた、証。
彼が彼女に供した血の、証。少女をささやかな幸せから引き離した、彼の罪の証。
その挙動は余りにも優しく、そして甘美だった。
柔らかな髪先に続けて触れたのは、氷にも似てひやりとした、人間の手のひらの感触。
目蓋かた前髪のあたりに、躇いがちな気配が触れる。
目を開かずとも網膜に浮かぶのは、泣き出しそうに歪む薄氷の瞳。
やはりこれは夢なのだと、自らに命じる。幾度も、幾度も。こんな顔をされては、
心臓狙いの銃弾の前に身を露したことが、彼が傷ついたことが、少女にとって
大きな意味を持つのだと、そう思えてしまうから。

一瞬とも、数分とも思えた。
まさに、夢中のように。
吐き出す吐息は言葉にならず、引き攣れて耳元に届く。
倒れる瞬間と、全く同じ言葉が、変わらぬ調子で。
どうして、と。


× × ×

179:いつか、道の果て(2/19)
09/11/22 03:35:04 n/X/zcMc
「昨日まで、この部屋を出ようとしなかったんだよね、あの子」
目を覚ました彼に、その少年は言った。
「マリィ・アトキンス。かと思えば、君が目を覚ますや否や顔を出さなくなるし。何、ツンデレ?」
共生派組織『ウィリー・ウィリー』、医務室に、簡易病棟の並ぶ階層は今、
前の戦闘で運び込まれた人と、異種とで賑わっていた。目の前の少年はいわば
このフロアのナンバーツー。専属医師であるシュッツマンの下、実務を一手に
引き受ける人物だ。
「部屋で寝てろって言ったんだけど。聞かなくってさ」
舘石桜花。さる島国の名門の出で、混血のサラブレット。ポテンシャルの高さが
公に知れた血統の常として、惨澹たる日々を過ごしていたらしい――そう聞きは
したが、かの島国の国内事情は情勢にまるで明るくない彼には無縁のこと。
「驚かないね」
アラムの反応を見て、彼は僅かに驚いたようだった。知ってたのか、と。
「……夢かと思ってたんだよ、半分」
気づいたとき、彼は水の静寂のなかに一人だった。
空調と生命維持装置の鈍い唸りだけが響く室内。全ては幻のように、
それでも、泣き出しそうな双眸を、忘れる筈もない。
少女の存在感は、負極に振れているがゆえにひどく確固としていた。
触れた記憶は、確りと焼きついている。命の気配が希薄な。つめたい体温。
彼の様子に何を思ったか、少年がそりゃそうか、と肯定いた。
予備知識の通りならばこの少年、彼と綺麗に一回りは歳が違う。話の渦中の人物、
かの異種の少女よりも歳下。外見はまさにその通りなのだが、彼に相対する振る舞いに、
年長者への敬意などは皆無。エージェントとして、ウィリー・ウィリーとは半ば敵対的な立場に
あった頃より幾度か話しているが、この行動原理が某かの自信に裏付けられてのことか、
単純にその数奇な来歴に拠るものか、判断がつきかねている。
「医務室に引っ張っていくいい機会だと思ったのに。一週間待ってこれだよ? 」
あてが外れた、逃げられるようなことでもしたの?そう問うてきた少年に、うんざり
しながら言葉を返す。
「覗きの趣味でも?」
回診は、一日一回。そこまで頻繁にこの舘石の顔を見た記憶はない。
うんざりとした様子で問うた彼に、白衣の少年は、けらけらとわらった。
「亜里沙が気にしてたんだ」
亜里沙、とは看護師の女性だ。舘石の部下、といっても彼女のほうが歳上だが、
本国では彼の従者のような立場であるらしい。一見すると淑やかな女性だが、
お節介の度を越えた他者への献身ぶりに、それを可能とする看護師としての
有能さは、どうみても常人のそれではない。彼らに限らず、実の兄の率いる組織の
構成員たちはあくの強い者ばかりだ。こうして身を置くなりゆきになる以前より、
幾度呆れかえることになったか知れない。
しかし、必ずしも外向的でない性格であるところのアラムが、こうして付き合いの
浅い相手に自分等の内情を語るっているのも、この場の特殊性あってのことに
違いなかった。
(……兄さんの所為か)
その点だけは認めざるを得ない。
その場にはいなくとも、兄の強烈な人間性がこの場には残っている。袂を分かって
長かったとはいえ、家族であるというだけで、いくら警戒しようともあの人物へ
無条件に気を許してしまう――その、延長。そんな甘さが自分の裡に残っていた
事実を疎むべきか、あるいは喜ぶべきなのか。
「カウンセラーは間に合ってるよ」
他人には到底世話を焼かれたくない領域に気を回されている気がして、答えた。
「元・異種対策室のエージェント。ここじゃ警戒されるだろ?」
患者のメンタル・ケアは医者の務めなんだ。
「……年長者を礼う姿勢は褒めてやる」
嘆息。
「けど、子供が大人をからかうのは感心しない」
つれないなぁ、少年が、そう言って、こちらもにやりと唇の端を持ち上げる。


180:いつか、道の果て(3/19)
09/11/22 03:38:10 n/X/zcMc
「あんたが精製者じゃなきゃ、とっくにこの世からサヨナラしてたとは思うけどね。
 回復は順調。代謝速度なんかの異常もなし。術式を受けてから長いのに、
 ノックバックが全く出てないのがちょっと心配だけどね。まぁ、さしあたっては
 気にする必要もないと思うよ」
 あとは向こう二週ばかり、無茶やらないで真面目に薬飲んでれば無問題。
かりかりと、ペン先が紙を削る音。ズルいよなぁ、とそんなつぶやきが混じる。
「……何が」
「ヒョロい癖に肉ついてるじゃん、お兄さん」
少年の指先が探り出すのはさらにもう一枚、別のカルテ。
名前は確認する間でもない。面倒な話になりそうだと直感した。それでさ、と舘石。
「アンタの方はそんなに心配してないんだ。本音を言うと、あの子のほうが心配。
 此処に来たときに検査させてもらった結果がこれだけど……今、普通にその辺
 歩いてるのが、不思議。血を受けずに力を使って、そこらの奴ならとっくに
 起き上がれなくなってるのに」
ここで少年、は意味ありげに彼のほうを見た。態度に出ていた、かもしれない。
「心配?」
ふぅん、と少年が笑う。
「RESが上がりっぱなし、REGが低い、特性値は乱降下。自覚が無いはずないんだけど
 なぁ。食事もろくに取ってないし、薬も飲まないし、血の摂取は疎か、血清のスト
 ックも突っぱねるし。最初のころは普通に話せたから、絶滅危惧種にしちゃあ人当
 たり良いなって感心したのにさ」
嘆息ひとつ。
「一皮剥けばすっごい頑固だよね。亜里沙が困ってる。大人しく治療させてくれない
 ――ここんとこ眠りっ放しだったアンタと違って、動き回るし」
迷惑を掛けられてこその看護師なのに、って、半泣きだよ。
マリィも彼も、「必要と判断すれば相応の社交性を発揮する」点では共通するが、
「必要である」の判断水準はあの少女の方が緩い。端的に言えば、ぱっと見の人
当たりは良い。にも関わらず、彼女の薄皮一枚の下、にどうやら彼らは接触する
ことに成功しているらしい。
「一応、確認するけど。あの子、贄に使ってたのは、ひょっとしてあんた一人?」
「僕からでさえ、渋々ね」
「まぁ、あのくらい血が濃ければ、ひとりでも力は振るえるんだろうけど……
 程度ってもんがあるよ。あれだけ消耗して、血を受けないなんて」
「それを僕に言われても、ね。こっちは病人だぜ?」
「知ってるよ。でも、ここで彼女の元々の顔見知りは、あんただけだろ?」
「あの子を捕まえたら一言、医務室にくるように伝えて。それと、これは強制じゃ
 ないけど……一口、飲ませといて。あんたのなら、飲むんだろ?」
事も無げに舘石は言うが、今の状況を鑑みれば、それは相当に怪しい。
「……僕が彼女に逃げられてるってのは、知ってるんだよな」
穀潰しなんだからそれくらいやってよ、と少年が言う。
彼の言い分は正しい。しかし、居候を早々に扱き使うとは。民間組織へ幾度かの
潜入経験から鑑みて、その場にいる民間人に協力を頼む、など、小規模な組織では
珍しくもない事態ではあるのだが、それでも。
――彼の内心を知ってか知らずか、舘石が声のトーンを落とした。
「こういう仕事は、亜里沙の担当なんだけど……暴走した連中がやんちゃしてる
 せいで出張続きなんだ。こんな時期に連中のエージェントとウチの保護対象、
 2人揃って転がりこんできたときはどうしてくれようかと思ったさ、ホントにね」
そう云って、少年はまた笑った。
辛辣な言い分をは裏腹に、口調は軽いし、責める色もない。人を使うのに慣れた人
間特有の、饒舌さ。実害がない範囲で自分たちの情報を開示してみせるたぐいの。
「あの子の立場も、あんたとうちのボスの関係も面倒だしさぁ」
しかし、メンタルケアも仕事だ、というのも、社交辞令ではないのだろう。少年は、
彼らの組織に転がり込んだ居候二名をどうやら本気で気に掛けているらしい。そう、
思いかけて―自分も丸くなったものだ、と、アラムは内心で苦笑した。
少年は続ける。ウチは迫害される連中を庇護する組織、ってことになってるから。
「守りきれなかったってオチは、ね。俺の上司はドライだから飄々としてるだろうけ
 ど……ボスとか亜里沙とか、かれらが落ち込むのはあんまり見たくないかな」
離し終えた舘石が腰を上げる。
ありふれた、どこにでもある、工業製品然としたパイプ椅子。
記憶の中で、『彼女』が腰掛けていたのと同じものだった。

181:いつか、道の果て(4/19)
09/11/22 03:41:54 n/X/zcMc
(……マリィ)
あの白い少女を、思う。
けれど、感情はどこか乖離していた。
何を間違えたのが泝ろうにも、因果の細糸のもつれは酷く、解き解すにも面倒で。
「リハビリが必要なら、2階の娯楽室の隣に設備があるから、そこ使って」
それが、白衣の少年の立ち去り際の言葉。与えられた部屋を出て、それから、およそ半日。
探し人を見つけたのは、日暮れ刻にさしかかる頃だった。
『ウィリー・ウィリー』が利用しているビルの使用階をくまなく歩き回って、
ようやく行き当たった一角。サンルームとして利用されている屋上階の片隅。

少女は、赤い陽に溶けそうに立っていた。

はじめて出会ったときを思い出す。同じだ。逆光、伸びた影、彼女。
けれど、あの日とは何もかもが違う。
あれは午後、昼下がり。スラムの路地裏は混沌として、冬の陽光は柔らかかったし、
少女の佇まいは今とはまるで違っていた。あのとき生命力に溢れて見えた少女は今、
間逆に、まるで消え入りそうに見える。その存在感が彼の目を惹きつける事実だけ
は変わりがなかったけれど。
異種たちの『王』と呼ばれた男の、ただ一人の直系。
彼がかつて、徹底的に傷つけた少女。

「マリィ」
現実離れした光景の中、無感情に――少女が振り向く。
彼の名を、青褪めた唇が績ぎかける。逡巡と見えたのは、錯覚か。
虚脱した瞳が、ふっと焦点を結んだ。
「久しぶり。探したよ」
片手を挙げる。
ひとつ被りを振る、仕草。顔を上げれば、そこに居るのは、彼の良く知る、
いつもの彼女だった。愛想のまるでない声音が、ことばを紡ぐ。
「探される理由が、思いつかないのだけど」
「僕が目を覚ましてからも、顔を合わせていなかったからね」
「……そう」
少しだけ眉を寄せた少女が答える。淡々と。
アラムが知る限り、普段の彼女は表情豊か、だ。器用に、笑顔で真意を覆い隠すこと
すらやってのける。年相応の感受性を持っている癖に、大抵のネガティブな感情は
笑って押し隠してしまう。
けれど、目下の果てしなく愛想の足りない反応も、彼と彼女のやりとりに限って
言えばいつものことだった。
アラムに対しては、彼女は笑顔をつくらない。必要ならば嘘をつく、裡に
秘めた憎しみを隠さない――それが、彼と彼女の関係において誠実たりえる
唯一の条件なのだと、そう信じているように。
ワンピースにカーディガン一枚の、軽装。丸一日、食堂にも顔を出していなかった
事実も耳にしてはいたものの、探したことを、当人に教えるつもりはない。
「『医務室に顔を出すように言え』って。伝言を頼まれた」
伝えると、少女は当惑げに首を傾げた。
「どうして、貴方に?」
「君の顔見知りはここでは僕だけだから、ってさ」
「オウカのところへなら……一昨日、行ったのに」
「毎日顔を出せって指示なんだろう?注射が怖い年頃でもないだろうに」
揶揄する口調で告げると、
「此処の人たちは、心配性が過ぎるの」
そう、返辞がかえってくる。拍子抜けするほどに会話は潤滑だった。
最後に話してから実に2週間のブランクも、これではまるで感じられない。
しかし、その事実が彼を僅かに戸惑わせる。
彼女を探す道すがらずっと、どう辯しかけたものか迷っていたのに。
いつものとおりだ。
互いに意識を張り詰めさせて、けれど、それでも砕けた調子を粧って。
その軽さも、これまで通り。二年間、道行きを供にしたふたりが確立した、
もっとも摩擦のすくない方法論に同じ。

182:いつか、道の果て(5/19)
09/11/22 03:44:16 n/X/zcMc
内面に踏みこまないように、境界を踏み越えないように。
「……」
ガラス張りの部屋は真っ赤な虚空に浮かぶ船のよう。
「傷は。まだ、痛む?」
「少しね。寿命は半年くらい縮まったかもしれない」
褒めてくれる?冗談めかして問えば、軽い返辞が返ってきた。
「真逆」
すげなく言って、白い少女は酷薄に目を細める。
「わたしとあなたは、共犯者。……わたしの目的の為でなく、あなたの目的
 のためでもなく。それなのに、無駄な血を流してまでわたしを助けて欲しい
 なんて、そんなことを頼んだ覚えはないもの」
逆光。だから、少女の整った容貌に浮かぶ表情は、全く見てとれなかった。
用は終わり?それだけを告げて、少女が踵を返そうとする。 
薄っぺらなワンピースの裾が、純白の髪が、そっと揺れる。
「……血は」「いらない」
すれ違いざまに、ごめんなさいと囁く声。
(――幻聴?)
そう思ってしまうほどに、微かな囁きだった。
振り返るも、彼女はもう其処に居ない。

その手を取れなかったと、後悔と共にらしからぬ思いが去来して、
ようやく彼は気づいた。
(お節介な連中が、気を回すわけだ)
今の彼女を前にして、なるほど。ひどく、胸が噪いでいたことに。

× × × ×

(何処で、間違えたの)
それは、『ウィリー・ウィリー』に保護されてこの方、幾度となく反復した
自問だった。そして、彼女は回想する。

出会ったのは、この世界の吹き溜まり。歓楽街の路地裏で。そのときはただ、
興味を持ったのだ。何かに、引き寄せられるように。『探偵さん』。花街では
珍しくもない、その存在に。軍人、訳有り、異種、旧人類。あの場所に
「珍しい部外者」など在る筈もない。

(ひょろりと高く伸びた身体を、着古したシャツに包んで。着ている服は、わたし
 の知る限りでは、いつも同じ。同じではないけれど、おなじ。みじかい漆黒の髪、
 瞳は冱えたうすい緑。莫迦を気取るけれど、本当の意味で、その奥に張り詰めた
 ものが緩むことはない)
 
そんな人間、スラムでは珍しくもない。多少、身奇麗ではあったけれど、彼はあの
場所に一部の違和感もなく馴染んでいた。だから、何ごともなく、それで終わって
いた筈の、有り触れた出会い、そのはずだった。
――そして、そうはならなかった。

(わたしが、アトキンズの娘、そういう素体だったから)
旧人類の手で作り出された、太古の魔女の血を継ぐ吸血鬼の一族、最後の一人。
誰も幸福にならない、不毛な、何も産みださない、そんな出会いだった。
ほんの少しだけ心を許し、慕っていた青年は、義母の亡骸を前に膝をつく彼女に、
自らの裏切りと、目的とを明かした。所属組織である某国諜報機関の、異種対策室
と渡り合う為に、彼はマリィと義母に接触し――そして、その結果、隠密に
軍への敵対行動を取っていた義母は命を落とすことになったのだということ。
今後、彼のシナリオには、異種の王の娘たる彼女の身柄が必要となること。

彼女は、彼の申し出を受けた。
義母が生前就そうとした事、すなわち異種たちの血を呑み込んで回る工作機械、
『血の塔』を破壊する、その機会を得るために。
全てを失った彼女は、せめて、義母が生前、望んだことに殉じようと、決めた。
そして、あの日、マリィは、他者と深く関わることを自らに禁じた。

183:いつか、道の果て(6/19)
09/11/22 03:46:21 n/X/zcMc
悲しまないように、悲しまれないように。
研究所から連れ出し、養ってくれた義母。
世界を認識することすら覚束無かった彼女に、笑い方を教えてくれた。
その人は今はもう居ない。この世界の、何処にも。
死んだ。ちっぽけな鉛球に打ち抜かれて、それきり。

碌でもない生まれだったものの、迫害された経験は無い。研究所時代は腫れ物
よろしく扱われていたし、義母と過ごしたスラムは、もとよりはぐれ者の吹き
溜まり。有象無象ひとしく価値はなく、それゆえに、彼女のような存在でも
生きてこれた。孤立することを決めたのは、他者に絶望したからではない。
一度手にした幸福を失う恐怖に耐えかねてのこと。
戦う道を選んだことも、そのために選んだ方法も、後悔はしていない。
けれど今、こうして身動きが取れなくなってしまっている。
逡巡の出口を求めても、堂々巡り。

つと、彼女を現実に引き戻したのは、落ち着いた女性の声だった。
「マリィ、マリィ?大丈夫?」
慌てて、顔を上げる。
目の前で、オーソドックスな看護服に、細身の長身を包んだ年上の女性が
気遣わしげな視線を向けている。医務室。『彼』と先ほど話して、
直ぐに訪れたのだ。……他に、彼を避ける方法がおもいつかずに。
「一昨日の小競り合いで血清のストックが切れてしまって……なるべく早く、
 手配しますね。いくら否って言っても、もう認めません」
随分と情けない話だと思う。
「だ、大丈夫よ?身体は充分休めてるし、食事は美味しいし」
「ちゃんと食べてるんですか?」
「三食欠かさず」
……嘘だけれど。
「日替わりのローストポーク、凄く美味しかったわ。食欲がなかったのに、
 綺麗にお腹に入れてしまったもの」
三日前に遇々確認した、一週間分のメニューを思い出しながら、そんなことを言う。
「いいわ、信じておいてあげる」
悪戯めいた笑みに、すこしだけ胸が痛んだ。よく気が付く人、短い付き合いでもわかる。
「是が非でも、血を摂って欲しいところだけれど……隣の市で大規模な事故があって、
 安全な血清の流通量が減ってるんです」
「事故?」
問うた彼女に、アリサが頷く。
「対策室もこの所、不審な動きを見せているけれど、異種の過激派組織の動きが
 激しくて手が回らないんです。私達には動きにくい状況ね」
「過激派」
記憶を辿る。思いつくのは、
「この辺りだと、『A.VA』と、『盟約の者』?」
「そういった巨大な組織ではなく……昨夜の事故は、特定の組織による犯行ですら
 ありませんでした。追い詰められた民間の異種と、その協力者――だから、
 余計にきな臭いのだけれど」
それは報道されているのと、問い返す。
「公には、否。でも、情報が伝わるのは早いでしょう?」
市井の人々に真実を伝えるのは、公共の報道機関だけではない。
しかし、だからこそ、彼らを利用しなければならないのだと亜里沙は言った。 
「その所為で、総長も先生も出払いっ放し。明日は桜花様……いえ、舘石君とあたし
 が折衝に出て、寝んでもらう運びになっています」
元々人が少なかったというこの組織が、彼女が来て以来ずっと騒がしいのは、
異種の王の娘、を受け入れたことだけが理由ではない。異種たちを取り巻く状況は、
刻一刻と動いている。
「血清は――それでも、三日後には確保できる筈。検査して、改善が見られなかっ
 たら、ベッドに縛り付けてでも点滴にしますよ?」
丁寧な口調でそんなことを言うと、彼女は笑った。
「ご自分の状態が良くないこと、ちゃんとわかっているのでしょう?」
「血のことは。アラムに相談するわ。それで問題ないでしょ?」
そう答えると、はぁ、と溜息をついて、アリサが額を押さえる。

184:いつか、道の果て(7/19)
09/11/22 03:52:11 n/X/zcMc

マリィ・アトキンスは異種、それも所謂『吸血鬼』だ。
人の血を呑んで、異能を振るう種族。
けれど、血を呑む、という行為が、彼女はそもそもあまり好きではなかった。
――あの、高揚感に、つよい酩酊。
異種は、唯人には知覚できない、ある種の力の場に自らを『接続』することで
異能る。根の世界だとか、極大集合だとか、血の河だとか形容される、不可視の世界。
只人には至れない場所。

媒介は多々あれど、吸血鬼と呼ばれる種族が媒介にするのは無論、生物の『血』。
強力な血統のナチュラルボーンとして作り出された彼女の場合、親から血を受けて
転化した類の急造の鬼とは異なり、普通に暮らす分には血液の摂取を必要としない。
しかし、力を振るえば、否応なく生命の甘露たる血液を求めて苦しむことになる。
今の、彼女のように。

アラム・ヴォフクと行動を共にした二年間は、彼の血を受けていた。
それも、やむを得ないときだけ――突然に転がり込んだ二人の部外者について、
目の前の年上の女性がどの程度の事を『知って』いるのか図りかねて、
マリィはすこしだけ会話を止める。アラムがICUに放り込まれざるを得なくなった
経緯、自分たちの立場については大まかに説明したものの、彼との出会いも、現在の
関係も、詳しくは話していない。ただわかるのは、自分の立場が、眼の前の女性から、
これまでではありえないくらい配慮されている、ということで。
『ウィリー・ウィリー』でマリィが対峙した人間は、みなそうだった。状況が今
以上に逼迫すればどうなるのかは想像し難いものの、彼女の意思を尊重してくれ
ているのだと、わかる。それが、逆にやり辛い。

(必要になれば、此処の人たちだって私を利用せざるを得ないだろうけれど)
今の段階で『保護』という形で滞在を許し、行動の自由を認めている。
その二点だけで、恐らくは件の同行者よりもずっと、信頼に足る人々だった。
向き合って一月にも足らない人々に甘え通しである事実が、心苦しい。
「明日も、ちゃんと来て下さいね?あたし達は居ないけど、先生がきちんと診て
 くださいます。あ、でも、あたしたちよりも厳しいかしら」
逃げ出さないでね、と、完璧な笑顔で、白衣の女性がわらう。
「……心遣いに、感謝を」
伝えるべきことは、謝罪でも、拒絶でもない。
それがわからないほどに自分は子供ではないと、そう思いたかった。

襲撃があったのは、その日の夜半。
『ウィリー・ウィリー』は小さな組織で、本部を構えるのは街中のオフィスビルの
一角、それも、表に掲げられた表札は病院、である。ゆえに、これまで直接の
襲撃を受けるようなことはなかったのだが――
結論だけ言えば、「突入」は失敗に終わった。
傍目にも成功の確率の低い手段を対策室が取ったのは、小規模ながら影響力が
強く、扱い辛い組織である『ウィリー・ウィリー』、そしてそこに保護されている
精製者一名、異種一名への牽制の意味が強かったのだろうと、関係者達は後に
憶測した。

× × × 

屈む動作から、手首を返すと同時に銀色の光が閃く。一瞬。
急所へ、的確な衝撃を受けて、残り3人の襲撃者が吹き飛ぶ。
駆け引きも何も存在しない、純然たる火力の差が導き出す結果。
「……」
最早動き無く倒れ伏した異種が2人、心臓の位置に目掛けて魔女の鉤爪が打ち
込まれる。彼女に競える血統の異種なら兎も角、襲撃者のレベルではおそらく
もう戦うことは叶わないだろう。血統の力には歴然たる序列がある。
「今回は警察の名前を使ってるって、本当?」
少女が問いかけたのは、背後の彼に向けてだった。

185:いつか、道の果て(8/19)
09/11/22 03:56:36 n/X/zcMc
「連中がここまでの強硬手段に出るとはね。相当焦っているらしい」
「亜里沙が言ってた、『不審な動き』っていうのはこれの根回し……」
一体どんな論理を用いて警察を動かしているのかは、今は不明だけれど。
「行く気なのか」
彼女の意図を、アラムは正確に悟る。
「どのみち時間はないんだもの」
マリィ・アトキンズの手には、義母に託された一葉のプログラムがある。
『血の塔』のコントロールシステム、その根幹に侵入するための。
この二年間、彼女がアラムと道行きを共にした理由がそれだった。
全ては、このプログラムを実行するに有利な条件を獲得する、そのための道行き。
(『捕縛』ではなく、任意同行されて、機を斥う)
だからこれもまた、以前から二人の間で、ひとつの可能性として浮上していた選択肢
では、ある。しかし、だからこそ、その致命的な欠点をマリィも理解していたと思しい。

「連中が異種には人権を認めない。任意同行のアドバンテージは得られない、
 君は知ってる筈だろう」
「だって。此処の人たちに迷惑を掛けるわけには……!」
「兄さんも『ウィリー・ウィリー』の連中も、そう柔じゃない」
小規模ではあるが、名だたる異種と、その協力者の集う組織だ。拙速な一手、
小回りのきかない公権力相手であれば尚のこと、立ち回るに不足はない。
「優しくされて、情が移った?……目的を達成することを考えれば、今は焦って
 動くべきじゃない」
「でも」
何かを言い募りかけた少女が、そこで、がくりと膝をついた。
慌てて、駆け寄る。すぐにわかった。
(血、か)
――こんな状況は、はじめてではなかった。
ポテンシャルから考えれば稚戯に等しい小競り合い。それでも、消耗したまま
血を受けていない、今の彼女には、大きな負担であったに違いない。
「血が、欲しい?」
返答は無い。
しかし、身体を支える彼を抵むだけの余力もないのか、少女はぐったりと身体を
預けていた。見下ろして、嘆息。ポケットからナイフを取り出して、少女の背に
腕を回したまま、手首に刃を立てる。
そして、黙って首を振る少女を上向かせて、呼吸を封じた。
耐え切れずに開かれた唇に、傷口を押し当てる。異種といえども、
日常的に肺呼吸を行っている以上、そうそう耐えられるものではない。
原始的な方法だが、それだけに効果的と知っていた。
「みっともない思いをしたくなければ、素直に受け入れた方が賢明だ」
面倒なので、痛覚の遮断は行わない。
「っ、あ」
熱に浮かされたように、少女の瞼が降りた。
長い睫毛が震えるさまを、凝視する。荒い呼吸が、ひとつ、ふたつ、
「ぅ……」
生暖かな感触が、傷口に潜り込む。痺れるような激痛。
同時に、僅かな悦楽。
『精製』を受けたとはいえ、精神構造的には常人の範疇に収まる彼には、少女が
彼の血を通して感知しているものを知る術はない。けれど、人形じみて綺麗な
少女が、自らの与えるものに息を喘がせる様に、何も感じない男が居よう筈もない。
舌を鳴らして、白い少女が血を舐め啜る。
(そうだ)
ぞくりと這い登る感覚と共に思いだす。
あの時の感情に、よく似ている。腹を裂かれた直後、彼の背を受け止めた少女の、
驚いた表情を見上げていた、あのとき。
跪いた少女が、恐る恐るのように、彼の腕に手を伸ばす。精製者たる彼の治癒力が
傷口が塞ぐまでの、暫しの間。痛みと悦楽に塗れた静寂が、その場を支配して
――やがて、血を啜り終えた少女が、ぐったりと彼に身を預けた。
軽い体温。すっぽりと、細い体躯が腕の内に収まる。

186:いつか、道の果て(9/19)
09/11/22 03:58:54 n/X/zcMc
透けてしまいそうに、儚い存在感。紛れもなく腕の中に在るのに、
掴めた実感はまるでなかった。手を離せば彼女が消えてしまいそうな、
所在のない焦燥感ばかりが高まる。血を啜らせている最中のほんの少しの充足感さえ遠いほど。
「与えた」あとは、いつもこうだった。血を啜る過程にどれだけ浅ましい姿を見せ
ようとも、その行為によって活力を取り戻したとは思えない程に、少女は憔悴する。

以前、何故、血を呑むことを拒むのか、問うたことがある。
同じ問いを無視されること数度、4回目にして、彼女はぽつりと答えた。
『異種の力の源が、"接続"にあるって事は知ってる?』
聞いたことはあるよ。アリスから、だったか――もう覚えてないけど。
『あの感じが、嫌いなの。それだけ。それだけよ』
嫌い、の意味するところを悟ることは叶わなかった。これまでずっと。

離して、と、細く少女が囁いた。
「……断る」
応じながらも、勿論、気付いていた。
(違う、今、しがみついているのは)
言葉にはしない。既に傷の塞がった彼の右腕に、冷たい指先の感触。
「離したら、階下へ行くんだろう、君は」
返答はない。
「だって、また。居なくなってしまう」
小さく震える上体。
「みんな、居なくなってしまう」
泣いているのかもしれない。
「言っただろう、ここの連中はそう柔じゃない」
気休めではなく単純な事実として、目の前の少女に告げられる事に、ほんの少しだけ兄たちに感謝する。
「明日の朝には綺麗に片付いてる」「でも」
「君を保護することを決めたのは、彼ら。相応の利害を鑑みての判断だし、この
 襲撃だって責任は向こう持ち。だから、居候が気を回す必要はない」
後髪に指先を絡めながら、繰り返す。この手の論理が理解できない少女ではない。
こんな状況で、理性的に諭すことに意味がある自信もなかったけれど。
「忘れないで。私たちは、ただ、目的を果たすためにここに来たんだよ」
噛み締めるように呟く声は、何所へ向けられているのか。
「目的。……君の、目的は?」
ふと問うたのは、滅多に弱みを見せない少女が取り乱す様子に、普段と
違う答えが聞けるかもしれないと期待してのことだった。
何故、そんな意識が働いたのか、自分にもわからない。
彼は、過去の自分の過ちを償う為に。彼女は、義母の遺志を継ぐために。
自分を、互いを、そしてほかの他者を、たえず傷付けながら、その為だけに、
ここまで来た、そのはずで、

「守りたい、の」

――毎度と違う答え。
義母の遺志を継ぐことだと、いつもの彼女なら答えたはずなのに何故か胸がずきりと痛んだ。
みんないってしまう、と少女が繰り返す。胸元を震えながらかきむしっているのは今、彼女の指先。
縋りつくように、刳りとるように、シャツ越しの細い指に力が込められる。

「貴方も、……!」

嗚咽。一言二言、ことばにならない吐息が漏れる。
泣き出しそうな、一対の琥珀。今きっと同じものが腕の中にある。
掴み取れた筈だというのに、少女の存在感は、抱きかかえてなお希薄だった。
それはつめたい体温故か、華奢な体躯ゆえか、否。
――おそらくは違う。もっと、どうしようもない、何か。
とっさに腕に力を込めたのは、ひどく不吉な直感に突き動かされてのこと。
(違う。そんなはずはない)
この少女の能力を考えれば、今しがたのそれは、遊戯にひとしい戦闘だ。
血は、与えた。これ以上、消耗する理由がない。

187:いつか、道の果て(10/19)
09/11/22 04:01:47 n/X/zcMc
「マリィ?」
返答は、ない。ただ、荒い呼吸がひとつ。
「へ……き。立てる」
少女を引き剥がして、その表情を観察してしまったのは、どちらかといえば不随意の
所作だった。かがやきを失くした金色の瞳が、覚束無く揺れている。
(――糞)
歯噛みひとつ、力ない肢体を抱えあげる。
この部屋は、今しばらくは使えないなと、そんなことを冷静に考えながら。

× × ×

互いが、ただ、目的を達する為だけの道具となる道程。
(同じ道を歩んであげる。だけど、わたしは絶対に許さない)
協力者、あるいは、共犯者。その立場があれば、近付きすぎることはないと思っていた。
(ひとは、弱いから)
かの青年は『精製』と、相応の訓練とを受けている。多少の怪我ならば直ぐに癒えるし、
常人ならば命を落とすような傷を負っても、命に関わりはない。けれど、それでも。
それは、時計の巻きを早めているだけで、異種の頑健さとは別物だ。
だから、刃と銃弾を受ける役割は、自分のものだと思っていたのに。

(……また)

根の世界。血の国。極大集合。
異種たちは、その世界をさまざまな言葉で語る。
深い深い血の色は、あつまれば、漆黒にも、群青にも似て。
(――わたしが、義母さんに、外の世界を教えてもらうより、前は)
未だ、自分が研究素体として、番号で呼ばれていたころは、
この世界が全てだった。この世界しか、知らなかった。
ほかにはなにも、この目には映らなかった。
ほかにはなにも、きこえなかった。
匂いもなく、熱もなく。
全てを飲み込む、虚無の世界。
何もかもがあるのに、何もないところ。
全てが還る場所。どれほど叫んでも、どれほど足掻いても。
全てを飲み込む虚無の空。
異種の王、その娘。根の世界に、もっとも愛された者。

(……嫌い)
夢を見る。
(嫌い。)
特に、血を呑んだ、力を得た、その直後は。

「……と、逆か」
言葉の、途中。
ぽつりと枕元で囁く声を聞いた。続けて、何故、と囁く声も。
すこしだけ安心する。彼が、未だに近くあることに。
「『お迎え』を、ここの連中が追い返すまで、三時間ってとこか――」
独白が止まる。あるいは突破された、その先のことに考えを巡らせているのだと、
つと気付いた。その可能性はけっして高くはないと理解していても、そこまで想
定せざるを得ない。こういった一つ一つの経過が、ふたりの二年間の道程を可
能にした。細い細い糸の上を歴るように、そうでなければとっくに終わっている。
異種と人間たちの世界を牛耳る、巨大な悪意を向こうに回した、二人きりの、
たたかいは。今は、そうでないかもしれなくとも。
同時に、自分が意識を手放してからそれほど時は過ぎていないのだと、知った。
「……アラム」
もう目を覚ましたのか、と、彼が名を呼ぶ。
そこに含まれる驚きも、不安も、マリィは聞き取っている。
気付いていることに、気付かないふりをする。
ここまでの二年間と同じように。感謝してもしきれないことは知っていた。
けれど、手を伸ばしたら、きっと損なわれてしまうから。

188:いつか、道の果て(11/19)
09/11/22 04:06:02 n/X/zcMc
呟く。
「アラム」
名前だけを呼ぶ声は、あからさまに、みっともないほどに心細げだった。
「わたしの、やりたいこと、は」
……何を、話しているんだろう。
心と躯が離れてしまったように、言葉が零れ落ちる。
「かあさんのやろうとしてたこと、あの、塔を」
ああ、と首肯の気配。すこし安心した。
「こわすことで。それだけで。貴方のやりたかったことは、然るべきタイミングで、
 わたしを、『彼』に引き渡すこと、で。そう、だよね……?」
確かめる間でもないこと、その筈だった。
それが、たったひとつの契約。
そうだね、と、もうひとつ頷く気配に、安堵する。こころの底から。
「そうだね。然るべきタイミングで君を引き渡して、ホルボーンと取引。
 アリス・ハドスンの身柄を取り戻すことが僕の目的だった」
アラム・ヴォフクは、淡々と認める。
けれど、そこに続くのは逆接の言葉。でも、と言ってアラムは笑う。
「――僕は一度、彼らを裏切った」
「いまからでも、わたしを連れて行けばいい。結果が全て。そうでしょ?」
「無駄なことはしない主義だ、知ってるだろう?」
事実だけを並べる調子で、彼。
「ここで君がのこのこ出て
 行っても、恐らく先手を打たれる。何の意味もない」
「………」
尤も、だった。返す言葉もない。
ここまで事態が動いてから首を差し出しても、
後手に回った行動にしかならない。
「それに」
階下の喧騒。他人事ではない。他人事ではありえない。
それなのに。
「今更。もう、決めたからね」
――思わず、顔を背ける。
彼が何を伝えようとしているのか。本当は気付いている。
不意に、視界が揺れた、気付けば、覆いかぶさるようにアラムの影。
生きた人間の、体温。彼女のそれとはまるで違う。今も、じわじわと、死の世界に
惹かれて、熱を失って行くこの身体とは。
やむを得ず、目線を合わせた。
(だめ)
声に出さず、語りかける。まだ自らの出自も立場も何も知らなかった頃、ほんの少し
だけ思いを寄せていた相手に語りかけるように。
(貴方は、ここにこないで)
胸中では狂おしいほどにこの人を求めていても。
辛うじて囁く。
「……近すぎるよ、アラム」
「距離は先刻とそんなに変わらないと思うけど」
「屁理屈だわ、それ」
こつん。
「………っ」
額が合わさっている。風邪を引いた子供と、その親のように。
そのまま、一拍。
(あ、かあさんが、前に)
すこしだけ気が緩むその間隙を撞いて、
「ん………っ、ん」
触れる。
はじめに、短く切りそろえた前髪のすこしだけ固い感触、つぎに、生暖かく乾いた、
温もりが触れる。同じ場所に。額と同じ場所に。止める暇もなかった。
唇をあっさりと割り開いて、潜り込んでくる。彼の、舌先が。

189:いつか、道の果て(12/19)
09/11/22 04:07:18 n/X/zcMc
接吻はごく短く。
「――!」
児戯のようにあっさりと離れた。架け橋ひとつ。
「斬り殺されたいの。さっきの連中みたいに」
「殺していなかったと見えたけど」
「……黙って」
ひとつ、息を吸う。努めて、浅くならないように意識しながら。
「子供に興味はないって」
「ん」
「手を出すほど女には困っていないって」
「ああ」
「言っていたのは、誰?」
「さあ、誰だろう」
「ふざけないで」
青年が一度、上体を持ち上げる。き、と硬材が軋む音。当然だ。決して柔らかくは
ないけれど、そもそもこれは、二人分の体重を支えるためには作られた寝台では
ない。おそらくは。
「……僕の、これも」
もう一度、視界が翳った。
「市警の連中の前に両手を差し出すのと同じ程度には馬鹿な行動、かな」
半分笑いながら、青年が言う。
「抵抗する?」
「さっき言ったけど。斬り殺されたいの」
「君が、それを出来るなら悪くない提案だ」
手を、絡め取られる。
彼は捉えた少女の指先を、自らの喉元にあてた。
――息を呑む。
「悪く、ない」
振り払おうにも、腕力の差は歴然。青年は、目を逸らさない。
口元に、嗜虐的でありながら、どこか自嘲じみた笑み。
(このひとは、嘘をつく)
信じる根拠なんて何も――何も?
この期に及んで、それを問えるのか。
彼女の抵抗を肩先で押さえ込んでそのまま、男はゆるく笑っている。
身を切られるように、心が痛んだ。
背に腕が回り、身体が、もう一度傾ぐ。
彼が何を意図しているのかは悟っていた。けれど。
「どうして」
「嫌なら、力を込めればいい」
簡単だろう?
そう告げる口調は軽い。言葉を失って、見上げる。
「や、だ」
ひどく優しく。壊れそうなものを扱うように。背に、そっと腕が回る。
湧き上がる感情は怒りと恐れと、そして困惑。それと、悲しみ。それと、
(――どうして)
どうして。
彼は、少女が手を下さないことを、回答と受け取ったようだった。
「なら、君が、後悔するだけだ」
ぎしりともう一度、2人分の体重に、寝台が軋む音が響く。

× ×

滑稽な話だった。それはもう、声を上げて笑い出したい程に。
利用して、利用されて、そんな名分を固辞したまま傍らに居て、
願ってしまったことはおそらく、鏡合わせのように同じ。
ただ、耐え切れなかったのだ。おそらくは。孤独に。ただの孤独に。
彼と彼女の違いは一つ。少女の側は何よりも、彼を傷つけることを恐れていた
けれど、その結果が余計に彼を苦しめることは、意識の外に押しやって。
そして、彼は、それまでふたり過たず守り続けた境界線を、踏み越えることを
選んだ。確実に、その行為が、更に傷付けることだと知っても。

190:いつか、道の果て(13/19)
09/11/22 04:11:47 n/X/zcMc
思い起こすのは、ほんの少し幸せだった遠い時間のこと。兄がいて、傍らには
あの女性がいて。笑うことが出来た。今とは違うやり方で。彼も、今、触れている
少女も忘れてしまったやり方で。だから――手を離したら後悔することも、
また、知っていた。いや、全ては釈明、釈明に過ぎない。

激しい所作に、癒えきらない傷口がじわりと熱を持つ。構うまい、と思った。
少女の震えが、指先からそのままに伝わる。
――この、白い少女にならば殺されても構わない。
それもまた、半ば本心だった。倒錯した願望に、ぞくりとする。
(近付きすぎてしまった。君も、僕も)
力が平衡を失っている今ならば、尚のこと、彼女が本心から拒絶すれば、何者も
彼女に触れることなど叶わない。けれど今、彼は彼女に触れられてしまう。こんな
にも容易に。埋め得ない距離があった筈なのに。

(君はきっと、覚えていない)
それは、彼がまだただの人であったころ。

強化硝子の向こうに、彼女は居た。世界に産みおとされたばかりの小鹿を思わせて
ふらりと首を傾げる姿を見た、そのとき、彼は、自分が居るべきではない場所に足
を踏み入れたのだと、知った。無垢な瞳に宿る、底なしの虚無に恐怖した。
――そうやって、そのときは未だ名を持たない、白い少女に出遇った。
ときを経て再会した少女は、陽だまりのなかで笑っていた
一向に焼けない白磁の肌も、殆ど白に近い、プラチナブロンドも、無機物じみた
、異端たることを宿命づけられた琥珀の瞳も、その姿を構成する要素はそのままに、
けれど花開くように。。
彼女自身の裡にあるものなど、すっかり忘れてしまったように。曇りのない笑顔で。
憎んだ。自分が既に失ってしまったものを、何も保たないはずの少女が手にしている
ことを、只管に憎悪した。

忘れもしない、あのとき。

組み敷いた肢体、銀糸が古いシーツの上に、冗談の続きのように広がっている。
未だ塞がりきらない疵の痛みを、ふたたび意識する。
彼女を守り、そして今、害している。勲章ではない。只の執着の報酬。
(階下の、戦闘は)
意識の端で分析する。回の襲撃は、恐らくは牽制。或いは、標的を誘きだすための
もの。構う事はないと、直感は判断を下していた。まぁ、此処の人々は異種と人との
関わりで鍵となる人物のひとりを保護する為に戦っているのであって、こんな茶番を
許す暇をつくるために、血を流しているのではなかったろう。けれど、
――構うこともない。生きる時間が、彼らには必要だ。その欺瞞を、彼は笑う。
自身の悲しみに閉ざされて、そこに耽溺することを覚えてしまった眼下の少女も、
覚えて滑稽。ひどく滑稽だ。
それでも、熱は生まれる。
「こんなときに……!」
「今だから、だ」
癒しもなく、救いもなく。唇を被せて、もう一度、舌で、歯列を割る。
不意打ちだった先ほどと違い、受け入れさせるのは容易ではない。
それでも受け入れられてしまうのは、他者を求める、心と肉体ある生物の性か。
「っ、ん」
ベッドが軋む、少女の肢体が、半ば以上までシーツに埋まる。触れ合った下半身
の熱に息が詰まる、昂ぶる。どうしようもなく。
指先、舌、それ以上のものまでが、自分の意識から巻き取られてゆく。
「ん、ッ!」
つと、乾いた感触が胸元に触れて、直後、肌が外気に触れる。
目を薄く開けば、淀みない動作に、外衣を暴かれていた。
「――!」
暴れる。否、少女は、暴れようとした。
経験の浅い少女を陥落させることは容易い。
後ろ髪を掻き分けてやれば、彼を押し停める上腕の力が失われ。
感じやすい耳元をなぞれば、きつく立てられた膝先が解ける。

191:いつか、道の果て(14/19)
09/11/22 04:13:05 n/X/zcMc
肌蹴られた頂きに、舌先を当てる。
薄く色づいた先端の周囲をゆっくりと、ゆっくりとなぞる。
――震える。与えた刺激の量には似つかわしくない敏感さで。
ひく、と腰が跳ねる。
「や、ぁ……な、に」
もう一度。かたかたと笑い出した膝を割るのは容易で、少女のほうはというと、
彼の動きを阻もうと、脚を寄せようと試みたところでのっぴきならぬところまで
侵入されている事態に気がついたようだった。
愚かにも身体を引き剥がそうとして、けれど、未知の感覚の前に挫折する。唾液で
滑る指先で、更には反対の頂きを、弄る。そっと、円を描くように。
「あ。やッ………ん、ぁ、っ……!」
時折揶揄っては怒らせた、てんで質量のない性の証。
けれど、少女は、否、女は、そこで彼を感じている。
身を任せてしまおうと囁く本能の声と、理性との板挟みに、こんなにも声を上げる。
――見下ろして、彼はひとつ息を吐く。
彼の所作に、彼女が反応を返す、それだけの応酬。
アラムは、たったそれだけの事に、箍を失って往く自らを認める。
自嘲。「……っ、あ」
押し殺した声が、またひとつ。
「こんなことをして、意味、なんて」
――その言葉は、彼女自身が裏切っている。
「な……っ、ぅ」
弱い場所。左の耳元、喉元の、咽頭にほど近い場所、頂きの周囲、
背中のある一箇所。不慣れな癖に、彼のひとつひとつの所作に可愛らしい反応が
返ってくる。全ては、身体を密着させていれば筒抜けで。愛おしい、と感じる。
時折跡を残してすらいるのに、今でさえ、意識のたがをすべて外せば、貪りつく
せそうなほど。
これほどの衝動が自分の中にあることが意外だった。
限界の一線、押し停め続けることすら、苦しい。
――いっそ止めてくれないかと、心の片隅で念う。
彼を拒絶するカードなら、異種たる彼女の手元に、今はちゃんとあるのに。
「意味、か」
意味なら、ある。
「すぐにわかるよ」
言って。手を掛ける。砦。最後の。
「……!」
息を呑む様子に、怯えの気配。
(君が、止めないのなら)
この息を止めないのなら、容赦はしない。

く、と、彼の脚を阻む膝先に力が籠もる。当然のことながら効果はない。
拒絶の囁きを無視して、あるいは受け止めて、名無しの男はその場所を開いた。
体毛が無い、という事実に対しての驚きは薄い。僅かな背徳感はあったけれど。
この少女ならあるかもしれないと、そう思ってしまう。
「濡れている、か」
聞こえるように、それだけを告げた。
「――っ!」
羞恥に滲む呼吸。
中指が、ゆっくりと潜り込む。
いたづらに苦痛を与える気は無かったけれど、思い返せば、経験の無い相手、
というのは初めてかもしれない。かるく指を二本差し入れて、押し開く。少女が
きりと歯を噛み締めた。わずかに強張る四肢。これでは意味がないのだろう。
(痛みには強い、君だ)
突き崩すならば、ここまでと同じように。
もう一度、唇を塞ぐ。
口腔内をざらりと舐め回すと、それだけで面白いほどに反応が返った。
先の、ただただぎこちない反応とは違う。硝子の瞳に微かな欲情の色が翳して、
揺らめいて、消える。
じわりと潤む胎内。

192:いつか、道の果て(15/19)
09/11/22 04:14:26 n/X/zcMc
「……アル」
きり、と胸が痛む。なつかしい呼び名。
初めて会ったとき、彼女が知るのは彼の偽名のみだった。
縮めて、アル。本名と殆ど変わらなかったのは偶然とも必然とも。
「これ以上、は」
「久しぶりにそう呼ばれたな」
そして、マリィは目を見開く。
自嘲めいた口調の裏に、寂しさと、安堵。
感じ取って一瞬、言葉を失った。
(だめ)
彼女は、気付かないふりをする。
腕がら逃れんと、足掻く。まるで意味はない。意味はないどころか、
(何、これ――作り物のからだ、なのに)
以前、戯れに触れたことはあってもまるで実感が沸かなかったはずの場所だった。
なのに、そこが身の裡なのだと、はっきりとわかる。
異物を受け入れる、その為の身体器官。そして、耳元でぬちゃりと音がして、耳朶を生暖かい感触が撫ぜる。意識が散る、その隙に一層深く男の指が食い込んだ。
「っ」
く、と爪を立てられて、思わず声が漏れる。ぎりぎりの力加減で、繰り返し。
其処が『いい』のだと、とっくに気付いている調子で。
「ひぁ」
突き放そうと腕に力を込めても、びくともしない。次第に力も殺げるはじめて、
「っあ、や、うぁ、や、め」
耐え切れずに腰が、浮く。
直後、痛みと共に、入り込む彼の指が数を増やしたのだと理解した。
つと、意識が揺れて、白む。
(おかしくなる)
「アル」
今しがたまで少女の内壁を刳っていた彼の指先は、ぐっしょりと濡れていた。
「っ、あ」
もっとも敏感な場所を、抓る。追い込まれた身体が、跳ねた。上り詰めるには至らない。ごぼりと溢れだしたのは、指先を濡らすものと同じ。
薄氷の双眸に、理性が戻る。
「っ――は」
「欲しい、だろう?」
「っ、っ……!」
熟れて、綻んで、弾ける、その一歩手前。
少女は理性の上では、未だ、あくまで彼を拒まんとしていた。
少なくとも、その意思だけは。マリィの掌と、彼の汗とでぐっしょりと濡れた
シャツから、ゆるりと掌が落ちる。達したから、それだけではなく。
裡に押し込められた彼の指が、今度は抜き取られる苦痛に、少女が小さく喘ぐ。
「……く」
まだ、自らが己を取り繕うことはできている事を、アラムは確かめる。
余裕が削がれている。ひょっとしたら、或いは少女以上に。
強すぎる愛着と背中合わせの嗜虐心を、今の少女の姿は否応なく煽る。
助けて、と、半ば譫言めいて呟く声。
「助けて欲しい?」
入り口をなぞる。ゆるい力で、繰り返し。
「……っ」
反駁しようとするも、声にならず――そして、マリィは漠然と、かつて仲の
よかった若い娼婦の言葉を思い出していた。遠い遠い日。それは、スラムで義母と
生計を立てながら、自らの無邪気な好意をほんの少し意識していた、
それだけだった頃。
『あの人、上手いし、一回寝てみるのも、悪くないかもよ?』
冗談めかして告げられた、そんな言葉。
(そんなの)

193:いつか、道の果て(16/19)
09/11/22 04:16:05 n/X/zcMc
そんな、事。
もう、遥か遠い。あの頃の自分も。想っていた人のことも。
今、こんなに近くにいても。
(だから、今の、これは)
これは、なに。わたしたちは、何を?
軋む軋む、意識。
……かちゃり、と小さく金具が鳴る。
(ああ、これが)
この行為が、何を意味するのかは勿論知っている。曝け出された彼の半身は
視界の隅。心の用意をする時間も、彼女には寄越さないつもりらしい。
許される予感、けれど、それがそうではないこともまた、気付いていた。
張り詰めたそれが触れて、入り口を押し開く。
これは、次の、はじまりに過ぎない。

「あ」
そして、彼は哀しげな声をひとつ、聞く。
構わずこじあける。身を、肉の塊を沈める。
体液に塗れて、粘膜が擦れる。
――まずは、最後まで。
「ぅ、あ、くッ」
組み敷いた少女が、苦痛を訴える。真っ白い喉が曝け出される。
男を知らなかったことは、明白。指で慣らしたとはいえ、受け入れることを
まだ知らない秘所へ、痛むほどに張り詰めた醜い己の半身を、
進める。脳漿が焼けるに等しい苦行。
「く」
それでも、ずっと望んでいたこと、その筈だった。
押し込む毎に、華奢な、少女の身体が跳ねる。
「あ……」
声にならないのか、堪えているのかは定かでない。
吐息に快感中枢を叩かれて、思わずぶちまけそうになった。
摩擦に、表皮がつよく張った。堪えて、進める。
不意に、半身が行き当たる。
あ、と、動きを止め掛けるも、その前に少女が反応した。
「あ」
――止まるな。
「っ……や、痛ぁ、めくれて、っ、っは、かは」
強張って暴れる華奢な身体を、貫く。
「っ、ア……!」
断続的な悲鳴が途切れた。
狭く、けれどもどうしようもなく泥濘んだその場所は、
びっちりと快感の中枢を包み込んでいる。不思議な感覚だった。
赤い色が僅かに滲む秘所に、半身が収まっている。
「っ」
びくりと少女の肢体が引き攣って、彼を包む肉壁が震える。
濡れた氷の双眸がぼうっと見上げてくる……と思った直後、歪む。
「……く」
そして思わず零したのは、彼のほうだった。荒い、少女の呼吸が耳につく。
熱い。どうしようもなく、熱い。
「っは、ど、して」
苦しげに囁くのは、マリィの声。
「やだ、おかしく――っあぁ、ひぁッ」
喘ぎに呼応するように、接触は一層に深くなる。つぷ、と、湿った音の反復。
柔らかな場所と場所が擦れあう。腰を前後させる動作は何かに突き動かされる
ように、人形同士の営みのように。だとすれば、糸を引くのは一体、
誰なのだろう。
「っ……ふぁ」
この瞬間、彼女に触れているのが自分だけであることに安堵する。
今、この少女を傷つけているのは、彼ひとり。他の誰でもない。
捻じ込まれる快感に、少女の四肢から刹那、力が抜ける。

194:いつか、道の果て(17/19)
09/11/22 04:17:52 n/X/zcMc
そして、強張る。繰り返し。
(――君を)
間違えていたのは、きっとはじめから全て。
間違えた関係と、間違えた距離。間違えた契約。
守りたいものを決断する強さが、自分にあったなら。
何かが違っていたのだろうか。

「あ、る」
少女が、彼を呼ぶ。彼女の瞳が、彼を見ている。
ああ、今も泣きそうに揺れて。
交差させて握り締めた指先に、そっと、帰る力があった。
………あぁ。
囁きかえす言葉、一つ。
しがみつくように、驚くほどに強い力で、肉茎が抱かれる。
無茶な行為の果てだというのに、少女から返されたものは、あまりにささやか
で、けれど、強すぎる酒がもたらす酔いのように、甘く、暴力的だった。
戻れない場所に駆けて行く、ように。

――炸ける。

瞬間、懐かしい光景を、
目蓋の裏に見た気がした。

× × ×

苦しげに眉を寄せた、無防備な彼の顔を脳裏に残して、しばし。
しん、と部屋が冷えていることに気付いたのはほんの少しあとだった。
途切れて、千切れた直後の意識は、手狭な客室で、宙に浮かんだきり。
傍らにまだ、彼の体温が在ることに安堵する。まだ、ほど近く。
滲むような下腹の倦怠感は、不可解な切なさは、行為の残したもの。
男女の営み。血を受けることとも違う行為。

それでも、異種、元・被実体、歓楽街育ち。
(優しくされていた、ことはわかる)
さいごの瞬間、見たものを。身体の奥、胸の奥で未だ消えない熱を思う。
けれど、きっとこれは、自分を守る為には、忘れてしまうべきもの。
そのくせ未だ手放せないそれは、
(愛着。執着……それとも)
ずっと、おそらくは彼女の内側にあったもの。
言葉にすることが誠実なのかそうでないのか、わからなかった。
(階下、は)
思いを巡らせる。
今もふたりが無事なのだから、何もなかったのだろうけれど。

何故いまになってこんな場所で。
ずっと、近くにいたのに。疑問を、口に出して問うたわけでもない。けれど、
「どうして、だろうね」
独白だろう。意識が戻ったことは知らせずに、マリィは黙って、低く紡がれる
彼の声に耳を済ませる。そうでなければ消えてしまいそうな言葉。
「こんな、まるで路地裏の子供みたいに、流されるまま」
好きだ。
最後は、独り言葉の続きのように。
聞かないふりをすべきだと思った。
(――卑怯でも)
否、卑怯なのはどちらだろう?
無茶な二者択一を迫って、彼女に触れた彼か。逃げ続けてきた癖に、
最後の最後まで拒絶し続ける頑なさを固辞できなかった彼女か。

195:いつか、道の果て(18/19)
09/11/22 04:18:51 n/X/zcMc
「聞かない」
滑り出たのは拒絶。けれど、紛れもない返答。
「どうして、今、そんなこと言うの」
辛うじて言葉を、繋ぐ。
「なんで、今になって」
……やっと、全部諦めて、なのに。そんな筈はなかったのに。
憎しみも悔しさも重ねられた悲しみも、消えない。
消えないままで、けれど、相容れないものもまた、積みあがって行く。
傍で時間を重ねた、よく似た種類の孤独を抱えていた、たったそれだけの理由で。
「ごめん」
けれど、耳元にじかにアラムの声が響いて、息を詰める。
背を手繰る、手のひらの感触。幾度となく。
全身の力が抜ける。人間の熱量に安堵してしまう。息を、吐く。
「私はきっと、貴方を」
私の存在は――殺す。殺してしまう。
(あのときの、ように)
吐息だけで、そう告げる。覚えている。何もかも。

そして、アラムは、腕の中の彼女を、見下ろす。震えていた。
折々の負傷、『反動』の悪化、そういった事はあっても、
行為に至ったのは初めてだった。しかし、肌に触れる近さに至ったのは
もとより初めてではない。彼女がその身に傷を負う度、血を与えた回数は
数知れず。けれど、
「僕がそんなに柔じゃないことは、君だって知ってるだろうに」
――思い起こすのは、彼を抱きとめた少女の、彼の為に泣いた彼女の、こと。
そして、最後のときに見た、少女の、世界。
からっぽだった頃の彼女が、瞳に映していたとおそらくは同じもの。
(君は、あれに怯えるのか)
それならと彼は思う。それなら。
マリィが抱く虚無は今も、彼女を苛んでいるのだろうけれど。
白い少女に出会ったとき、正しく恐怖の根源だった「あれ」を垣間見ても、彼は、
今の彼は、何も感じなかった。
――時間は過ぎたのだ。彼女の中でも、彼の中でも。
彼女が変わったように、彼もまた変わった。それは、幸か不幸か。
「簡単には死なない」
だから、簡単に口にできる。
異種と人間、彼と彼女を取り巻く全てを理解すれば、
未来のない言葉と知っていても。

「貴方の約束なんて信じない」
宜も無い返答。このときにはもう、いつものマリィだった。
彼のよく知る彼女。だから、笑って返す。
「なら、無しでいい」
ふと、光景が音を失う。
肌越しに伝わる体温だけが、世界の全てであるかのような錯覚。
――ああ、ここなら。
きっとこの世界なら、最後に見たあの光景が、彼女を苦しめることは無いだろう。
何の根拠もなく、思った。それから、少女が額をぎゅっと押し付けて、
そのまま二人、黙り込む。小さく白い少女が、マリィが囁く。
驚きか。少女が目をひらく気配があった。

思い出す。
ほぼ絶えず傍らにありながら、互いに、ずっと1人だった。
終わりのある道行きと知って。
それから、マリィの頭を掻き抱いた。
僅かに熱を宿した、華奢な身体を。自らの両腕で。

× × × ×

196:いつか、道の果て(19/19)
09/11/22 04:44:25 n/X/zcMc

事態が落ち着いたと、アラム・ヴォフクが聞かされたのは翌朝。
兄の呼び出しだった。掻い摘んで、説明する。余計なことには触れずに。
襲撃を前に、意見を違えたこと。そして話した、これからのこと。
二人のスタンスは、ウィリー・ウィリーに保護される以前と同じ。

「お前らの目的がそれなら、俺らは――いや。今はまだ、言えねぇか。悪い」
兄は。おそらくは協力する、と言い掛けて、一度止めた。
中立共生派、としての立場がある。対策室への明確な敵対行為にあたる決断は、
未だ下せないのだろう。彼自身の思いとは、別に。
「マリィ・アトキンズに何かあったら、あいつにも顔が立たねぇからなあ」
呻るように、ウィリー・ウィリー総長たる人物が言った。
マリィの父方の遺伝子提供者は、兄の親友だった人物。だからなのだろう、
叔父、だとか親戚の娘に対するような有り様に苦笑する。
「クリスも懐いてる」
「あの子は……誰にでも、懐くからね」
「いや?遊んでもらうんだから何が何でも助けろって、昨日もすっげぇ煩くてな」
母親によく似た趨きの、兄の娘を思い出す。
アラムにすら屈託なく接する、くるくるとよく笑う少女。とはいえ、
(全く―僕が一番ないがしろにされている)
冗談まじりにそんなことを考えられるようになった、自らの余裕に驚く。
二度とこうして話をすることもないと思っていたのに。
言葉を交わすのは、眼を覚まして数度目。執務室を訪れる度に驚く。
―がさつな性格で、弟や恋人にはしょっちゅうからかわれていた兄の仕事場とは、
思えないほどに整然としていて。時は過ぎたのだ。

アラムも、兄も、これだけ変わってしまうほど。
彼が損なったあの女性の面影を感じても、彼も兄も、何もない振りをして
対話できてしまう、その程度には。
「いいよ、わかってる。僕も、恐らく、マリィも」
――だからこそ、あの少女も意地を張る。
それぞれの事情があることも、一方で、心から気遣われていることも、
理解している。

「……結局、お前らの関係って何なんだ?」
真顔で、兄。
「お前も変わったよな。彼女を保護したとき、お前が昔のままなら、俺ぁ――」
そのまま、放り出そうと思っていたらしい。
直情な、兄らしいあけすけな言葉にアラムは笑う。
「さぁ。余裕がないしね、僕も、彼女も」
道行は目的を果たす、そのときまで。
そう、昨夜、決めた。

× × ×

『……あなたを、許さない』
『ああ』
『信用はしてるけど、信頼はしない』
『ああ』

知っている。
それが、自分たちのルールだから。
「だけど」
かすかな声が、囁く。
細く細く、睦言のように。

願う、願う。
この世界の何処にも存在しない、彼らの神に向けて。

197:いつか、道の果て(終)
09/11/22 04:47:31 n/X/zcMc
おしまい。

一部改行ミスりました、
あと投下に手間どってごめんなさい。

198:名無しさん@ピンキー
09/11/22 09:10:18 jVI8tZgO
>>191
GJ

199:859 ◆93FwBoL6s.
09/11/22 16:57:20 PeVycMuh
この流れに乗じて投下。
人外アパートのキャラの話ですが、連中の住むアパートは一切出てきません。
ちょっとダウナーで流血描写もありますが、昆虫人間×人間の和姦です。
NGはヘラクレスオオカブトとソープ嬢で。

200:ヘラクレスオオカブトとソープ嬢 1 859 ◆93FwBoL6s.
09/11/22 17:00:30 PeVycMuh
 吸いたくもないタバコを吸い、体液を濁らせる。
 昆虫人間は呼吸器官が上半身には備わっていないのだから、顎にタバコを挟んで吸ったところで何の意味もない。
本当にタバコを吸いたいのなら、腹部の両脇に並ぶ気門のどれかにタバコを差し込んで吸い込み、体内に回すべきだろう。
だが、それをしたことは一度もない。人間の真似事のように口で吸い、味覚器官で味だけを吸い尽くし、残りは吐き捨てる。
我ながら無意味だとは思うが、どうにも止められなかった。タバコの灰を落としてから、曲がったフィルターを顎に挟んだ。
 ヘルは、人型のヘラクレスオオカブトである。頭と胸から太いツノが生え、外骨格は黒と金、全長は三メートル近くある。
乗用車など軽く持ち上げられ、爪を振るえば鉄板をも叩き潰せ、至近距離から鉛玉を撃たれても掠り傷しか付かない。
昆虫人間の中でも並外れたパワーとタフさを誇るが、有り余る力を真っ当な方向に生かせているとは思っていなかった。
というより、ヘル自身が生かす術を見出そうとしていない。長らくヤクザの用心棒に落ち着いているのも、そのためだった。
 夜更けの歓楽街は、猥雑だが居心地が良い。ヘルのような、収まりどころを見出せない人外も多く歩いているからだ。
己の知性や理性を否定した文句で春を売る獣人の娘達。従順さを売りにしている機械の娘達。そんな娘達を買う男達。
呼び込みの男が通り掛かった男を捕まえては格安の値段を持ち掛けるが、それが嘘であることは誰もが知っている。
どこもかしこも金と性が入り乱れ、卑猥な言葉が並ぶ看板が淫靡に輝き、酒と女の生臭い空気が雑居ビルから流れていた。
 その雑居ビルの間から垣間見えた路地裏に、ヘルは触覚を向けてから複眼を向けた。甲高く引きつった声がしたからだ。
頭上で瞬く赤と青のネオンサインを上右足で遮ってから闇に目を凝らすと、何人もの男達が固まって何かを蹴っていた。
それが蹴られるたびに呻きが上がり、肉が叩かれる鈍い音が繰り返されているが、ヘルの他は誰も目を留めなかった。
歓楽街では見慣れた光景であり、日常の一部だからだ。下手に助けて面倒事に巻き込まれるのは、誰だって嫌だ。
ヘルはそう思い、二本目のタバコを吸おうとしたが、風体の悪い男達が揃って上げた下品な笑い声がビルに反響した。
それが外骨格の表面に生えた体毛をくすぐり、音として伝わってきたが、全身の神経が逆立つような不快感が募った。

「…ああ、くそ」

 別に助ける気はない。ただ、鬱陶しいのだ。ヘルはぎちぎちと顎を軋ませて苛立ちを吐き出しながら、大股に歩いた。
ビルとビルの間に転がっていた空き缶を蹴散らしながら近付いていくと、人間の男の匂いが触覚をごってりとなぞった。
それが更に不快感を呷り、ヘルは本格的に苛立った。それでなくても、今日はヤクザの若頭に顎で使われて機嫌が悪い。
若頭が囲っている女に組の力量を見せつけるためだけに呼び出され、荷物持ちもさせられ、一日中連れ回されてしまった。
だから、今日は酒も飲まずにさっさとアパートに帰るつもりでいたのだが、このまま放っておくのは何か後味が良くなかった。
 わざとらしく足音を立ててヘルが近付くと、男達が振り返った。路地裏に押し込められていたのは、薄物を着た女だった。
衣服としての意味を成さないキャミソールを一枚着て紐同然のパンツを履いているだけで、裸足の足の裏は汚れていた。
仕事を終えて間もない淫売の女だろう。ヘルは吸いかけのタバコを顎で噛み潰し、ツノを見せつけるように頭をもたげた。

「おい」
「ヘルさん!」

 男達の中の一人が歩み出し、ヘルに近付いた。ヘルが雇われている組の下っ端だった。

「今、お帰りっすか」
「おう。んで、そいつはなんだ」

 ヘルが顎をしゃくると、ぐったりしている女は近くの男に腕を掴まれて引き摺り上げられた。

「ぅ、あ…」
「こいつ、借金も返しちゃいねぇのに逃げようとしたんですよ。んで、締めておこうかと」

 下っ端はヘルに擦り寄り、いやらしく笑った。

「バラす気か?」
「すぐにはバラしませんよ、マワしてからじゃねぇと勿体ないじゃねぇっすか」
「どういう女だ?」
「大した女じゃないですよ。顔はそこそこだけど体はショボいし、客を取るのも下手で、本番始めるようになっても稼ぎが悪くって」
「大体解った」

 ヘルは下右足の爪先を女の顎に引っ掛け、その顔を上げさせた。

201:ヘラクレスオオカブトとソープ嬢 1 859 ◆93FwBoL6s.
09/11/22 17:02:02 PeVycMuh

「あ…」

 反射的に唇を開いた女は、頬や額にいくつも痣の出来た顔を向けてきた。辺りの暗さも手伝って、その表情は窺えない。
助けを求めるようなこともせず、震えることもせず、己を諦観しているようだった。言葉も発さず、逃げ出すような気配もない。
ヘルの背後からどぎついネオンの光が差し込み、女の顔を縁取っていた。しばらく眺めて、ふと、誰かに似ていると思った。
 若い頃に好きだった人間の女に、面影が似ていた。その女はこちら側の人間ではなく、明るい日差しが似合う女性だった。
用心棒としてヘルが出入りしていた、バーを装った違法賭博場の近所にある花屋の店員で、見かけるたびに挨拶してくれた。
それがただの社交辞令だと解っていても嬉しくて、ヘルも挨拶を返していたら、顔見知りになって言葉も交わすようになった。
彼女は、ヘルが知る女達に比べれば純粋で清潔で、立ち上る匂いも化粧や酒のそれではなく、心地良い花の匂いだった。
だが、知り合って半年も経たないうちに、彼女は幼馴染みと結婚してその街を去ってしまい、ヘルとの接点も完全に失った。
顔を合わせている時はなんとも思わなかったが、彼女がいなくなってから、ヘルは少しだけ彼女が好きだったことを知った。
 この女は、その女性に似ている。だが、彼女ではない。彼女は目元に愛嬌のあるホクロがあり、この女よりも背が低かった。
別人だと認識しても、尚、ヘルの胸中はざわめいた。決して爪の届かぬ、穏やかな世界への羨望が振り払えていないからだ。

「俺が飼う」

 ヘルはタバコを吐き捨てて踏み躙ると、上右足で女の腕を掴んだ。

「飼う? 飼うって、そいつをですか?」

 男達がざわめいたが、ヘルは抵抗すらしない女を担ぎ、一笑した。

「お前ら人間は、俺の同族をカゴに入れて飼うだろう。だから、その逆をしてやるだけだ」

 ただ、それだけのことだ。ヘルは生温い体温を滲ませる女を肩に載せると、繁華街から程近い自宅アパートに向かった。
その間も、女は黙り込んでいた。それが少しばかり物足りなかったが、暴れられて泣き喚かれるよりも余程楽だと思った。
 部屋に戻ったら、まず何をしよう。酒を浴びるか、適当な物を胃に詰め込むか、気晴らしに拾ってきた女を犯してみるか。
そういえば、人間の女を抱くのは久し振りだ。だが、体格に相応の逸物が備わっているヘルが相手では壊してしまうだろう。
昔に囲った女も、慣らして慣らしてようやく挿入出来たほどだ。すぐに出来ないのが残念だが、それもまた面白いかもしれない。
 どうせ飼うなら、慣らしてやらねば。



 女の名は、葉月と言った。
 だが、女は自分の名前以外のことを話さなかった。ヘルも知りたいとも思わなかったので、問い詰めることもなかった。
ヘルは葉月を飼い始めたが、普通に囲っているのとなんら変わらず、接し方も飼い主と愛玩動物というわけではなかった。
服を欲しがればいくらでも買わせ、外に出たければ連れ出し、物を食べたければ食べさせるが、ただ一つ制限を与えていた。
 いついかなる時も、ヘルが求めてきたら拒むなと。月経を迎えていようが、空腹だろうが、眠かろうが、疲れていようが、
お構いなしに組み伏せて服を引き剥がす。その中で葉月の体を慣らし、ヘルの逸物を受け入れられるように仕立て上げた。
人間の体は、外骨格に覆われた昆虫人間に比べれば融通が利く。皮も伸びれば肉も広がるので、回数を重ねて拡張させた。
 ヘルにとって、女とは暖かな袋だ。血と脂肪がたっぷりと詰まった肉の固まりでしかなく、執着を抱くほどの存在ではない。
花屋の店員のような例外は彼女一人だけで、後は皆、同じだ。相手にしてきたのが水商売や淫売だからかもしれないが。
 その日も、ヘルは朝方に帰宅した。用心棒の仕事は夜の仕事なので、夜行性であるカブトムシにとっては好都合だった。
他の組から目を付けられているキャバクラに入り浸り、いい加減な味の酒を飲み、店で起きる些細なトラブルをねじ伏せる。
そんなことを繰り返しているうちに夜が明け、判で押したように同じ化粧をした娘達が退勤したので、ヘルも帰ることにした。
 アパートに戻ると、葉月は寝室である和室で大人しく眠っていた。水を求めて冷蔵庫を開けると、夕飯が作られていた。
腹は減っていなかったので皿を手に取ることもなく、ミネラルウォーターのボトルを取ってキャップをねじ切り、流し込んだ。
酒で膨張した胃袋に水が馴染み、染み渡ると、夜の間に煮詰まった体液も薄まったので、ヘルは腰を下ろして胡座を掻いた。

「落ち着かねぇな」


202:ヘラクレスオオカブトとソープ嬢 3 859 ◆93FwBoL6s.
09/11/22 17:02:57 PeVycMuh

 葉月を飼い始めたのはヘル自身だが、部屋に誰かが居るということに未だ慣れない。

「ああ、くそ」

 冷蔵庫の中の夕食。他人の体温で僅かに暖まった空気。かすかな気配。それが、狂おしいほど息苦しい。

「おい」

 空のペットボトルを投げ捨てたヘルは立ち上がり、乱暴に襖を開けた。

「あ…」

 葉月は物音で目を覚まし、布団から身を起こしてヘルを見上げた。

「お帰りなさい、ヘルさん。ご飯、あるけど」
「いらん」
「そう、じゃあ…やっぱり、アレ?」

 葉月は布団の上に座り、寝乱れた髪を指で整えた。ヘルが買い与えたパジャマを着ているが、大きすぎて袖が余っている。
連れ込んだ当初は痩せぎすだった体も、まともに食べて寝させたおかげで肉付きが良くなり、顔付きもふっくらと優しくなった。
人目を引くほどの美人ではないが、穏やかで愛想のある顔をしている。雰囲気も表情も、薄汚い淫売には似合っていない。
日中の明るい公園で我が子の手を引いて歩いていたり、夕方の商店街で買い物をしていたりする方が、余程しっくり来る顔だ。

「そのままでいい」

 ヘルは葉月を引き倒し、葉月の体温が強く残る布団に押し付けた。

「うん」

 葉月は抗うこともなく、ヘルに覆い被さられた。大きすぎる襟元から覗く白い首筋に顔を埋め、舌を伸ばしてざらりとなぞる。
カブトムシの舌は、元々は樹液を吸うための口が発達したものである。だから、舐めることよりも吸い取ることに長けている。
葉月自身も意識していないほど薄く滲んだ汗を吸い、首筋から耳を舐め、髪に隠れた襟足をまさぐりながら、パジャマをめくる。
肌着も着けずに寝ていたのか、すぐに乳房が現れた。乳房にも腹部にも、ヘルの顎によるいびつな噛み痕が付いている。
たっぷりと丸い乳房には赤黒い線があり、まだカサブタが剥げていない。首筋から顔を上げたヘルは、その噛み痕を舐めた。

「ひうっ」

 ざらり、ざらり、と硬い毛のような味覚器官が生えた舌をなぞり、ずりゅりとカサブタを引き剥がす。

「んぎっ」

 古い血の下から新しい血が膨らみ、細く抉れた傷口が開いて肉の切れ目が露わになる。

「あ、ぁあ、いぁ、あっ…んっあぁっ」

 少しずつ滲み出る血を吸うと同時に乳房の傷口を擦り取るように舐められ、葉月は両手足を突っ張ってシーツを歪めた。
白い肌は痛みが生じた脂汗が伝い、葉月はきつく目を閉じていたので、ヘルはツノを上げて上左足で葉月の顎を掴んだ。

「俺を見ろ」
「ご、ごめんな、さいぃ…」

 唇を歪めながら葉月が謝ると、ヘルはその頬に爪先を食い込ませてから、口元に一本の爪を差し出した。

「ん…」


203:ヘラクレスオオカブトとソープ嬢 4 859 ◆93FwBoL6s.
09/11/22 17:04:11 PeVycMuh
 葉月は素直に口を開き、ヘルの爪を口に含んだ。鋭利な部分に触れると舌を切ってしまうので、側面を丁寧に舐めた。
葉月の唾液が滴るほど潤ったことを確かめてから、ヘルはその爪を下げ、既に脱がしておいた葉月の下半身に添えた。
爪の先端で抉ってしまうと陰部もろとも肉が裂けてしまうので、べとべとに濡れた爪の背を葉月の性器に擦り付けてやった。
乳房を舐め回している際に分泌された愛液が唾液に混じり、ぢゅぶぢゅぶと粘ついた泡を立て、葉月は甘い声を殺した。

「ん…ぁ…」
「どら」

 ヘルは葉月の性器から爪を外すと、足を広げさせ、その太股に噛み付いた。

「ぐぇあっ!」

 唐突に訪れた激痛に葉月は仰け反り、目を見開いた。ヘルは脂肪の付いた内股を噛み締める顎に、更に力を込めた。
葉月は声にならない声を上げて自由の利く片足を撥ねたが、ヘルはその足を難なく押さえ付け、骨と筋の存在を感じた。
このまま思い切り力を込めれば、筋肉も骨も噛み千切れるだろう。ヘルにはそれだけの力があり、葉月には防ぐ術はない。

「あ、ぅああああっ」

 ヘルの顎を伝い、血が落ちる。赤黒い飛沫がぼたぼたとシーツに散り、汗の匂いに蛋白質と鉄の匂いが重なる。

「へぇ、へるさぁん、痛い、痛いよ、痛いよおおおっ!」

 悲鳴にも似た愉悦を上げ、葉月は乳房を揺らして胸を上下させた。

「この辺はまだ噛んでなかったからな。痛覚が傷んでねぇんだろ」

 楽しくなってきたヘルが笑みを交えて零すと、葉月は自由の利く左足を曲げ、ヘルの下右足に絡めてきた。

「ヘルさん、お願い…」
「言われるまでもねぇよ」

 ヘルは葉月の内股から顎を外して血をぞんざいに拭ってから、陰毛の下でひくついている膣と赤く充血した肉芽を認めた。
血と等しい温度の澄んだ体液がとろりと一筋溢れていて、血の飛沫がいくつも出来たシーツに無色の染みを新たに作った。
恥じらいすらなく、葉月はヘルを見つめた。ヘルは食欲を呼び起こさせる血を飲み下してから、生殖器官を体内から出した。

「ああ、痛いんだ、痛いんだぁ…」

 これから訪れる苦痛を期待し、葉月は弛緩した。妙な性癖だとは思うが、ヘルにとっては都合が良いので文句はなかった。
色も形も大きさもビール瓶のようだと称された生殖器官を見せつけると、葉月は目を輝かせ、ヘルの下腹部に顔を埋めた。
外骨格そのものを円筒形にしただけの生殖器官に何度もキスをし、舌を這わせながら、葉月は自身を淫らに慰めていた。
だが、その方法は荒っぽい。三本の指を突っ込んでは引き摺り出し、を繰り返しているだけで、ヘルの方が余程丁寧だった。

「んふ」

 顔や顎までべとべとに汚しながら口淫した葉月は、赤く濡れた唇を舐めた。

「足、開け」

 ヘルが命じると、葉月は横たわり、真新しい傷口から血が溢れる太股を躊躇いもなく広げた。そこに、生殖器官を添える。


204:ヘラクレスオオカブトとソープ嬢 5 859 ◆93FwBoL6s.
09/11/22 17:06:07 PeVycMuh
「ぅがあああぁっ!」

 ずぶり、と一息で押し込むと葉月は汗ばんだ喉を反らし、目尻に涙を滲ませた。だが、まだ半分ほどしか入っていない。
ヘルの生殖器官は、葉月の二の腕よりも一回りも太いからだ。全部収めたとしたら、葉月の腹は容易く割けてしまうだろう。
現に、半分入れただけで葉月の下腹部には縦長の膨らみが出来ている。葉月はその膨らみを見、だらしなく頬を緩めた。

「あは…」
「そら、行くぞ」

 ヘルは粘液の絡み付いた生殖器官を前後させると、葉月の上げる声が甲高くなり、涙と汗に涎を混ぜるようになった。
シーツに縋っていた手をヘルに回し、物理的に奥まで入らない生殖器官を最深部に導くように、腰に足を巻き付けてきた。

「ヘルさぁん、ああ、ヘルさぁんっ!」
「お前は物好きだ」

 呼吸も乱さずに葉月を責めながら、ヘルはその頬の汗と涙と舐め取った。

「痛いのがそんなにいいなら、いずれ手足を喰い千切りながら犯してやろうじゃねぇか」
「それ、きっと凄く気持ちいい…」

 うっとりとした葉月は、ヘルの首に腕を回してしがみついた。

「だが、手も足もなくなっちまったら、誰がこの部屋を片付ける?」
「ひいんっ!」

 ヘルが中両足で葉月の腰を掴んで捻ると、葉月は体を強張らせた。陰部から異音がし、拡張された入り口が少し裂けた。

「あ、あぐぁっうっ」

 裂けても尚、ヘルが腰を捻り続けると、上半身を横に曲げた葉月は息を荒げた。

「そういうの、嬉しいの?」
「解らん」

 捻った腰を元に戻したヘルは、葉月の体の上に這い蹲った。

「私も、解らない」

 葉月は目を上げ、間近に迫ったヘルの漆黒の複眼を見つめた。

「そうか」

 ヘルは触覚を揺らして汗の匂いを存分に味わってから、上両足で葉月を抱き寄せた。こうしなければ、深く入らないからだ。
葉月はヘルの背に汗でぬるついた手を回し、苦痛を待ち受けた。中両足で腰も抱き寄せてから、ヘルは下半身をぐっと曲げた。
足の中から上がる葉月の悲鳴が高ぶり、強烈な快楽に掠れていく。幾度も幾度も前後させると、葉月はヘルに噛み付いてきた。
人間の顎では昆虫人間の外骨格に傷も付けられないので、いつも放っておく。よがるのは良いが、泣き叫ばれては面倒だからだ。
 葉月は泣きながら、幸せそうに達する。一度だけで終わらせるのは惜しくなってしまったので、それからも何度も責め立てた。
葉月の内股の傷から流れる血が止まっても、シーツに付いた体液が乾いても、カーテンから差し込む日差しの色が変わっても。
 事を終えたのは、再び夜が始まりかけた頃だった。布団の上に横たわる葉月は傷だらけで、新たな傷がいくつも出来ていた。
ヘルは血も体液も拭い取らずに葉月の傍に胡座を掻き、水の入ったコップを渡すと、葉月は怠慢に起き上がってコップを受け取った。
喉を鳴らして水を飲み干した葉月は、涎と涙が乾き切っていない頬を手の甲で擦り、枕元に投げ捨てられたパジャマを取った。

「そういえば、今日、何も食べてなかった」

 パジャマの上だけを着た葉月は、全身の虚脱感に紛れそうになっていた空腹に気付いた。


205:ヘラクレスオオカブトとソープ嬢 6 859 ◆93FwBoL6s.
09/11/22 17:08:06 PeVycMuh
「俺もだ」

 酒が抜けていなかったせいで、感じなかったのだ。タバコに火を灯しながらヘルが呟くと、葉月は言った。

「でも、お腹一杯」
「何がだ」
「痛いのが」

 葉月はとろりと顔を緩め、真新しい噛み痕が目立つ内股に触れた。

「色んな人に一杯お金をあげて、一杯一杯痛くしてもらったけど、ヘルさんのが一番痛くて大きいから好き」
「お前、どうしてそこまでされたがるんだ? 散々しておいて何だが」
「私、空っぽだから。何も出来ないのに、色んなことが怖いから。だから、痛いと嬉しいの。生きてるって感じるから」
「解らないでもない」

 ヘルは触覚を汚す紫煙を感じながら、平坦に答えた。外骨格が焼け付くような危険に身を晒していれば、生を感じられる。
だから、いつまでたっても足を洗えない。ヤクザ同士の抗争や縄張り争いに噛むのは、危うい世界に浸っていたいからだ。
この世界には、ヘルの身の置き場はない。元々は観賞用として日本に密輸入された幼虫で、羽化した直後に脱走したのだ。
親の顔も知らず、故郷の土の味も知らず、同胞の名も知らない。我が身にあるのは凶暴さと強靱さだけで、他は何もない。
争いを求めるのは、せめて痛みは知りたいからだ。共通項が出来たな、と、ヘルは妙なところで喜んだが、腹の内に止めた。

「立てるか」

 ヘルが葉月を見やると、葉月は腰をさすった。

「まだ、だるい」
「だったら、しばらく休んでろ。昨日の夕飯でも温めてやる」
「え、でも…」

 葉月が意外そうに目を丸めると、ヘルは襖を開けた。

「俺はお前を飼ってるんだ」

 襖を閉め、ヘルは一人恥じ入った。酒は抜けたはずなんだが、と自嘲したが、きっと性交の高揚感が抜けていないのだ。
これまで、葉月を慣らすために何度か抱いたが、時間が経つのも忘れて犯したのは初めてだ。だから、それだけのことだ。

「ヘルさん」

 襖が細く開き、葉月が顔を覗かせた。疲れ、汚れてはいたが、葉月は嬉しそうだった。

「んだよ」

 照れ隠しにヘルが語気を荒げると、葉月は襟元を直して肌を隠した。

「ご飯、一緒に食べよう?」
「…仕方ねぇな」

 ヘルが苦々しげに吐き捨てると、着替えるね、と葉月は襖を閉めた。ヘルはタバコを噛み潰し、灰皿にぐりぐりと埋めた。
余計なことを言うんじゃなかった、と後悔したがもう手遅れだ。仕方なく、一日遅れの夕食を準備しようと冷蔵庫を開けた。
二人とは裏腹に一日中冷え切っていた料理を取り出し、電子レンジで温め返しながら、ヘルは葉月が出てくるのを待った。
 葉月の体温によって暖められたヘルの体温が入り混じった生温い空気を、火を消し損ねたタバコから上る紫煙が汚した。
温まりつつある夕食。葉月の体温で緩やかに温まった空気。確かで甘ったるい気配。そのどれもが、狂おしいほど悩ましい。
 飼い慣らされたのは、葉月だけではなさそうだ。

206:859 ◆93FwBoL6s.
09/11/22 17:14:20 PeVycMuh
以上。また通し番号をミスってしまった。


207:名無しさん@ピンキー
09/11/22 19:12:31 fK6TVwdJ
超GJ
相変わらずの神だ

208:名無しさん@ピンキー
09/11/23 01:09:35 GwLnOcSH
GJ

209:名無しさん@ピンキー
09/11/23 01:57:52 sec9oSsD
角がどれだけ長いのか分からんけど満員電車には乗れなさそうだなあ

210:名無しさん@ピンキー
09/11/23 03:28:36 NE4bs4Fe
電車の天井が高いんじゃね?

211:名無しさん@ピンキー
09/11/23 17:20:15 sS7QmwdX
>>202
GJ

212:名無しさん@ピンキー
09/11/25 02:25:15 ANbQrBTd
人外スシ詰め状態のぎゅうぎゅう満員電車、
年端もいかぬ女の子に不埒な真似をする痴漢を捕まえてくれた触手男とな

毛皮系人外がいっぱい乗り込んでるときに乗り込みたい

213:名無しさん@ピンキー
09/11/25 17:50:35 SOq4tpvr
>>212
触手×少女の純愛いいな。

214:名無しさん@ピンキー
09/11/25 18:29:00 Cw7TBJ+l
真夏でクーラーのない車両に毛皮系が満員という状況を考えただけでムワッとくる

215:名無しさん@ピンキー
09/11/25 19:46:00 EbTViYRj
それとはちょっと違うけど… 
つ『某ジブリのネコバス』

216:名無しさん@ピンキー
09/11/26 17:02:09 T/xx02zA
ピクシブで人外ジャンル絵探すと擬人化と人型人外ばっか

217:名無しさん@ピンキー
09/11/26 17:40:21 1dfNKV+f
>>215
化け物の中に女の子がいる画は、それだけで興奮する。
窓枠のせいで檻みたいに見えるのもポイント高い。
おまけに、ぐにゃぐにゃ動くんだから。
流石はジブリ。ロリコンのツボが解ってる。

218:名無しさん@ピンキー
09/11/26 18:47:23 HRQcMlJ3
ジブリ作品は穏やかな人外×幼気な少女でいうと神だもんな‥‥
ロボ×シータとかカルシファー×ソフィーとか脇キャラにもしっかり萌えられる

219:名無しさん@ピンキー
09/11/27 22:59:09 WrJlT0b6
なんかキモスレに晒されてるんだけど
最悪……

220:名無しさん@ピンキー
09/11/27 23:15:38 u955fSJi
いつもの人でしょ

>>216
擬人化したイケメンはカッコイイから好き~って思ってるのかな
ぶっちゃけ人外好きなら擬人化とか嫌うに決まってるわけだが

221:名無しさん@ピンキー
09/11/28 02:27:45 0LAg/rLe
角煮のモンスター娘好きみたいな
人型でも人外だからこそ萌えるんであって
人間には萌えないんだって人もいると思うんだが…

222:名無しさん@ピンキー
09/11/28 04:56:18 rG6c4d7/
映画泥棒みたいな異形頭ジャンルが好きなんだが、これは擬人化か?

223:名無しさん@ピンキー
09/11/28 06:23:31 oG7QiUa/
>>216
>>220
人外という属性が好きな人と、人外という種族が好きな人がいるって言ってた人がいた。
やり方が違うだけで目的は一緒、人外萌え。
より良い人外萌えを手に入れるために仲良くしていこうじゃないか。

224:名無しさん@ピンキー
09/11/28 11:12:36 hd2nlCY7
人型人外は、人の部分と人外の部分の対比が萌えるんだよ。
「部分的にグロデスク」というのが妖しくていい。

どうでもいいが映画泥棒のエロ絵を見たときは世の中ってすごいなと思った。

225:名無しさん@ピンキー
09/11/28 12:35:58 NJkm+40R
清水に魚住まずみたいなもんかな
美の中の醜、醜の中の美がいいんだ

226:名無しさん@ピンキー
09/11/28 18:12:30 dnOESaRJ
擬人化と人化は違うと思う。

227:名無しさん@ピンキー
09/11/29 10:16:47 bNKaxoet
今日のシンケンジャーの血祭ドウコク(ボス怪人)と薄皮太夫(元人間の女性怪人。花魁)には超萌えた。
ドウコクは太夫がアクマロに攻撃されたことにブチ切れて三途の川から御大自ら飛び出してアクマロを追い返すわ、
太夫に三味線を自分の皮で直して手渡しするわのデレっぷり。おまけに、ドウコクは恋愛感情を認識していないっぽい。
でも、太夫が好きなのは昔自分が殺した男だってんだから、擦れ違いっぷりがたまらない。
ドウコク萌えるよドウコク。

228:名無しさん@ピンキー
09/11/29 14:08:59 RwT6PIe6
スレチ

229:名無しさん@ピンキー
09/11/29 16:19:36 RwT6PIe6
ごめん誤爆だ

230:名無しさん@ピンキー
09/11/29 19:46:17 MLuDwiTz
>>227
男の皮の三味線を自分の皮で直したって事は、太夫の男への未練を上書きする暗喩か。

231:名無しさん@ピンキー
09/11/29 20:32:53 sNXpG4iq
>>227
俺もだ
朝から素晴らしいもん見せてもらった‥‥

232:名無しさん@ピンキー
09/12/02 21:00:05 gE4NSz4g
ここの人外アパートってピクシブと同じ企画扱いで
誰でもウェルカムということでよいのだろうか?

233:名無しさん@ピンキー
09/12/02 21:57:42 eKzigw3j
人外×人間であれば来る者拒まずだよ

234:名無しさん@ピンキー
09/12/03 00:19:22 13M0EOGm
>>232
てか違う企画だったん?
同じだと思っててピクシブのカプのエロ話待ってるんだけど

235:名無しさん@ピンキー
09/12/03 11:44:31 yxNL3UlI
たまたま開催の時期が被っただけで厳密には別企画な希ガス
両方見てる人はいるだろうけどね

236:名無しさん@ピンキー
09/12/03 13:36:16 h/FAYrGT
別企画ではあるけれど、内容は似たようなもんと考えていいのかな?
ピクシブのと同じように、ここの職人さんが誰でも参加できるってこと?

237:名無しさん@ピンキー
09/12/03 19:10:12 +jZ0vjmn
まずピクシブの企画がわからない。

238:名無しさん@ピンキー
09/12/03 19:31:48 x34lkTvk
ピクシブの企画は「アパートにオリジナルの人外と人を住ませちゃおう」って企画。
そして、誰でも参加できる設定。R-18は禁止。

ここの人外アパートは「859 ◆93FwBoL6s」さんだけのオリジナル設定で、企画物ではないのか?
ということだと思う。

239:名無しさん@ピンキー
09/12/03 21:04:07 13M0EOGm
じゃあピクシブのやつの人=859様なの?

240:名無しさん@ピンキー
09/12/03 21:37:49 x34lkTvk
いや、ピクシブの企画と859さんは関係ないんじゃないかな?
ピクシブのほうの企画者さんは絵板にも投稿してくれた人ではあるみたいだが。


241:名無しさん@ピンキー
09/12/03 21:41:55 WlT0CYAg
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
誘導しとく

242:名無しさん@ピンキー
09/12/04 20:56:10 jw4dsevB
でもスレの絵師何人も参加してるから結局スレと同じ企画になってない?
pixivでエロ絵禁止ならスレでカプエロ書けばいいし

243:名無しさん@ピンキー
09/12/04 21:25:08 SLPJLm9P
関係無くても、人外と人間のエロSSなら、ここに投下していいんじゃないの?

244:名無しさん@ピンキー
09/12/05 00:13:54 s3SS4ZuX
ピクシブの企画とは元は違うが今は似てる感じ
人外アパートという設定は誰でも使用して良い。(キャラクターは別)
ってことだよね?
とりあえず自分が知りたかったのは人外アパートの設定を859さん以外でも使用してよいか
だったんだけど良いみたいだね

245:名無しさん@ピンキー
09/12/05 10:39:57 0jPpXNVA
>>242
まさかとは思うが企画の方のキャラを勝手に使うって意味じゃないよな…?
キャラ作った本人ならアパートだろうとそうでなかろうと
勝手にすればいいと思うけど

246:名無しさん@ピンキー
09/12/05 12:12:43 JBqimTd7
他の人が書いたor描いたキャラクターを使用する→×
人外アパートという共有設定を使用する→〇
で、いいんでない?

247:名無しさん@ピンキー
09/12/06 12:39:28 NEtzUWjL
人外サイト発見!→擬人化…→発見!→擬人化…→発(ry
擬人化サイトみんななくなればいいのに

248:名無しさん@ピンキー
09/12/06 13:47:07 fqVfVxV3
鳥獣戯画
百鬼夜行

249:名無しさん@ピンキー
09/12/06 18:27:15 fqVfVxV3
少しでも擬人化を好きになってもらおうと思って。

250:名無しさん@ピンキー
09/12/06 19:14:31 NEtzUWjL
それ擬人化ちゃう(´・ω・`)

251:名無しさん@ピンキー
09/12/06 19:41:45 yBWEnur+
お前らがかわいいということは分かった

252:名無しさん@ピンキー
09/12/06 19:53:34 CXpIpRgK
そりゃ、単語の意味だけ言えば言葉話したり二足歩行なだけでも擬人化だから。
つまり、このスレはすでに擬人化だったんだよ!

253:名無しさん@ピンキー
09/12/07 02:31:15 NbMP82Ab
>>252
ヤンマみたいな昆虫人間は違わない?
設定が普通の虫じゃなくて人型に進化した別種族だから
ケモノは擬人化じゃないよね?

254:名無しさん@ピンキー
09/12/07 03:44:00 VJPfrLPC
>>253
昆虫「人間」って自分で言ってんじゃないの

255:名無しさん@ピンキー
09/12/07 07:09:25 fI3ONdGc
見た目が人間じゃなかったら人外だと思ってる。

256:名無しさん@ピンキー
09/12/07 14:17:51 NbMP82Ab
投下ねぇなー
クリスマスネタの時期なんだが

257:名無しさん@ピンキー
09/12/07 17:51:02 IGJTuvLF
サンタは人外?
まあ、トナカイがいるけど。

258:名無しさん@ピンキー
09/12/07 21:14:41 pTU0hiGO
トナカイ×サンタ少女ですね、解ります。

259:名無しさん@ピンキー
09/12/08 08:43:47 7wvC6CWJ
>>258
プレゼントを渡してばかりのサンタ少女に、トナカイがホワイトクリスマスをプレゼントするんですね。

260:名無しさん@ピンキー
09/12/08 09:50:07 rAePiVqa
少しはやいけど正月ネタもあるよな~と考えて真っ先に思い浮かんだのが
「笑ってはいけない人外アパート」だった

261:名無しさん@ピンキー
09/12/08 20:01:12 7wvC6CWJ
>>260
笑うと色んな人外に尻を叩かれるんですね。

24時間耐久イってはいけない○×

262:名無しさん@ピンキー
09/12/08 22:48:26 t+cxEo+7
笑ってはいけない人外アパート
笑うとお尻に触手が挿される

263:名無しさん@ピンキー
09/12/09 03:21:22 zoIXEON4
アッー

264:名無しさん@ピンキー
09/12/09 15:11:37 +21DzrjC
最近人外属性に目覚めて、SS書きを始めたのですがちょっとご相談をば。

天使の様な翼持ちや、尻尾持ち獣人の正常位って
どう描写すればいいですかね?
どこかで尻尾は尾骶骨の位置からベッドで仰向けになる際
邪魔にはならないと読んだような気がしなくもないのですが。

265:名無しさん@ピンキー
09/12/09 16:31:22 yrX60+10
>>264
身近にいる尻尾持ちの動物を、仰向けにしてみればいいんじゃないか?

266:名無しさん@ピンキー
09/12/10 10:06:21 +7ziRFTP
うちのぬことかは仰向けに寝ることがあるので大丈夫かと

しかし人外娘のパーツが痛くならないように気を使う人間とかもいいと思います

267:名無しさん@ピンキー
09/12/10 21:48:00 I1Lbl+ZP
>>265-266
なるほど、ありがとうございます。

尻尾持ちはそのままで良いとして……
翼持ちをどうしようかなぁ。
>266さんがおっしゃるように気を使って対面座位。
っていうのも有りだと思いますが。

268:名無しさん@ピンキー
09/12/11 08:40:00 B07zz1RY
翼も畳んでしまえば問題無い気ガス
人も正座したまま寝れるくらいだし

269:名無しさん@ピンキー
09/12/12 03:39:43 qCjPanFV
座位が好きだ

270:名無しさん@ピンキー
09/12/12 12:09:08 DQ9QLhOb
女の子の翼や尻尾を責めるのが好きだ。

271:名無しさん@ピンキー
09/12/12 13:26:54 +IT2LGjd
>>270
お前とはいい酒が飲めそうだ

当然性感帯だよな

272:名無しさん@ピンキー
09/12/12 16:01:10 qCjPanFV
絵チャとかしたいんだが暇な奴いるか?

ずっと待ってるんだが

273:名無しさん@ピンキー
09/12/12 17:48:15 Wpj+EBd5
避難所の絵茶スレに「今入ってる」とか書けば、誰か来るんでない?

274:名無しさん@ピンキー
09/12/12 19:17:07 kVmsl0xz
じゃあ俺今から絵茶行ってみるわ
土曜日の夜くらい誰かいるよな?

275:名無しさん@ピンキー
09/12/13 02:43:44 Ex2QTAlS
絵茶厨は避難所行け

276:名無しさん@ピンキー
09/12/14 03:04:58 uFXmkbSJ
映画アバター
スレ住人的にどうよ

277:名無しさん@ピンキー
09/12/14 06:16:08 bZWH5s9Z
人型人外だし

278:名無しさん@ピンキー
09/12/14 08:08:16 b4Us6WCe
今週からジャンプで連載開始の逢魔ヶ時動物園なかなか良さげだよな

久々にジャンプを購入する理由が出来たわ

279:名無しさん@ピンキー
09/12/14 18:55:30 7ZTj3/i3
読み切りですがw

280:名無しさん@ピンキー
09/12/14 21:55:21 b4Us6WCe
おk アンケ葉書書いてから吊ってくる

281:名無しさん@ピンキー
09/12/15 13:44:44 IqyOctUu
>>275避難所を見ない権利もある
というか絵チャ勝手に使うのはどうかと
まとめ管理人が借りてんだからさ・・・
亀レススマソ

282:名無しさん@ピンキー
09/12/15 22:37:39 mQ5rGFur
ケンタウロス×人間書いているけど体位が難しい。
やっぱ後背位しかできないよなぁ。

283:名無しさん@ピンキー
09/12/16 21:30:32 eMhvYz5S
>>282
テーブルの上とか車のボンネットとかに押し倒して
その上に乗り上げる形なら正常位もいけるのでは?

284:名無しさん@ピンキー
09/12/16 23:07:55 WQBiuUQ/
>>282
反則気味だがモノを人の位置に持ってくれば対面も可かと

285:名無しさん@ピンキー
09/12/17 10:49:36 EVP3LGqh
ケンタウロス側が♀の場合は…
更に難しそうだな

286:保管庫
09/12/17 23:17:04 lKCvZ8L0
>>281
絵茶は住人の方に自由に使ってもらうつもりで設置したので
このスレに関連した用途であれば
断りなく好きなように使って頂いて大丈夫ですよ

287:名無しさん@ピンキー
09/12/19 13:55:50 BCfBZo3R
異種間恋愛を奨励する活動を続けた人は、いずれイシュカンダルという聖地に行けると信仰しています。

そこでは、獣と女の子が仲睦まじく共同生活を営んでいたり、短時間しか海の外にいられない人魚が水辺で陸の恋人と逢瀬していたり、
メカメカしいロボットと少女が皆に祝福されながら結婚して、新婦はこれ以上ないほど幸せそうで、表情のないはずの新郎の顔がどこか照れくさそうだったり、
不器用な触手生物が言葉を話せない代わりに恋人の手にそっと触手を絡ませて愛を囁いていたり、狩人の青年がツンデレなハーピィさんを口説いていたり、
鳥人の女戦士と彼女の主の少年が主従を超えた信頼関係を築いていたり、植物の体の少女と木こりの男が日向ぼっこしながら眠っていいたり。
そんな幸せな光景が、随所で繰り広げられています。
そして、もちろん新たにこの地に降り立ったあなたにも……
かけがえのない存在が、生涯隣を預けられる伴侶が現れることでしょう。

ここはイシュカンダル。本来相容れぬ筈のもの同士が交わり、助け合い、離れ難い絆を築く楽園なのですから。


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