11/02/13 23:29:00 IL5aqqTJ
>>500-502
何か変な方向になりましたが、ご容赦くだされたく。
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アキハバラがオシャレ系の店舗で侵食され始めたのは、いつ頃のことだっただろうか。
駅前デパートがatreに変わり、建て直されたラジオ会館にはかつて入居していたテナントが
一つも戻ってはこず、100円ショップの類は全て姿を消した。
道を行く人々も装いも、いわゆるアキバ系から原宿系へと移っていった。
そんな時代の流れの中にあっても、長年の間にこの土地に染み込んだ妄執は、そう簡単に
消え去ってしまうものではないようで、立ち並ぶ華麗なビルの隙間のそこここに、アキバ独特の
雰囲気を醸す怪しげな店が細々と営業を続けている。淘汰の末に生き残っただけあって、他の
土地では決して見ることができない、限りなく特異な性格を持った店々が。
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中央通りの信号を一つ越えた路地裏の、ビルとビルに挟まれた幅2メートル程の細い道。
道の両脇に立てられた網ラックには、質素なパッケージに包まれた商品が無数にぶら下がって
いる。
気泡アリB級品義眼 (ヘイゼル) \30,360
補修用人工皮膚 (Y28%/M16%) 30cmx45cm \580
生セルバッテリー 24V 8.0Ah \18,226
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……
…
第二次世界大戦後の真空管ラジオから始まって、家電製品、アマチュア無線、マイコン、
家庭用ゲーム機と、この街には常に先端テクノロジーに属する商品が集まって来た。
そして今、この街の商品で主流を占めるテクノロジーと言えば、「義体」。