10/02/24 22:34:55 tJozdcPI
それは廃墟と呼ぶに相応しい場所で起きた、ある日の出来事―
ある町の寂れた場所の、とある建物の奥、冴えない格好の男と、
それなりに整った姿形をした女性が、不釣り合いにも寄り添いあい、
情事に及んでいた―
「うっ……ン」
「マスター」
「マスターはよせ、名前で呼ぶんだ」
「イエス、マスター」
「だから!」
冴えない格好の男は博士で、この女を製造した本人。
女は、いわゆる機械人間(ロボット)だった。
情事に及んでいたのは、自分の作った作品は、如何なる場面でも、適切な対応ができるのか?
と、純粋に性能を確かめる為の実験でもあった。
「女性局部を正確に再現はしたが、どうも…」
「アッ…アッ」
「音声に感情が無いし、会話も何処か不自然な感じが拭えないな…」
「モット、オクー!」
「喧しい」
博士は、女の首の付け根にある、それを知らない者には決して分からない程の、
小さなスイッチを触り、電源を切った。
「ふぅ…」
博士はズボンをあげ、普段着に着替える。
「とてもじゃないが、現段階では、ハニートラップなんて役目には使えんな」
博士は、動かなくなった女の体を軽く足で蹴った。 「失敗作(クズ)め」