09/11/15 02:03:42 MdCjeRMK
私は手足を切り落とされ、首を撥ねられて……死んだ……はず。
咄嗟に首筋に手を当てる。
何かの軋む音がして、首筋に硬くて冷たい物の触れる感触がした。
首筋に当てているはずの指先からは、何も伝わってはこなかった。
混乱して目の前に差し上げた右手は人形のように白く、天井からの光を反射して輝いていた。
◇◇◇
「まさか殺されてから助けられるとは……」
改めて左手で触れた首筋には大きな傷跡が付いていた。
左腕と右足には、記憶にある斧の刃が落ちた場所に首筋と同じような傷跡が残っている。
「手足の一部は作り物なのですね」
開いたり閉じたりしてみる度に、作り物の右手がカチャリと金属音をたてる。
「あ~、ごめん。首とか胴体以外は四方に散ったから見つからなくて~」
私が死んだ後、切り刻まれた身体は投石器で城外に投げ出され、錬金術師さまと後見人の元へと戻っていた。
巨石を数十メートルも飛ばす投石器で、人間の身体のような軽い物を狙った場所に届かせるのは難しい。
二人して夜中まで捜してくださって、それでも見つからなかった部分は諦めざるを得なかった。
多分、その場に居合わせた獣にでも持ち去られてしまったのだろう。
「それと、身体の中身も結構とっかえたから~」
「え? そうなのですか……?」
「地面に叩きつけられた時に、かなり潰れたりしてたからね~。心臓とか肺とかも~」