09/08/13 01:27:20 67mw04b7
バイクのような騒音を出しながらやってくるやいなや襖を開けた人物は最早お約束とも言うべき人物。
人間バイク陣内翔太その人だった。
「…………」
健二と夏木は体勢はそのまま顔だけ翔太に向けている。
その見つめられている本人も、予想していた事態とかけ離れた状況に顔が叫んだ状態で止まっている。
が、その直後
「お前は、夏希にナニしとんじゃぁぁぁぁ!!!!」
復活した翔太が家全体に轟く程の大声で吼えると、蚊帳に入って健二に掴み掛かった。
我を忘れ馬乗りになって健二につかみかかる翔太とそれを静止しようとする夏希の声に親戚一同が集まってくる。
「あらあら、夏希ちゃんどうしたの?」
「こいつが俺の夏希をぉぉぉ!!」
別にお前のじゃねえだろ!と数人に言われた後、レスキュー三兄弟に取り押さえられあえなく撃沈する馬鹿一名。
「新婚さんの邪魔をするんじゃないよ全く!」
「ちがっ……!新婚さんじゃないからー!」
「そうよ、新婚さんはそこにいるし」
じゃあダブル新婚さんだ、あっそうか。めでたいねーなどと息のあった掛け合いをする女性達にに『お、俺まで巻き込むなよ!』と翔太の腕
を極めた形で 顔を赤らめながら講義する邦彦。
もー!、と言って赤くなる夏希に再三茶々を入れるとずるずるとノックダウンした翔太を引きづって、一同は散らばっていった。
一連のやりとりからようやく立ち直った夏希は、気が抜けて畳に女の子座りで座り込んだ。
皆が去ってからも、夏樹はあーもう、と後悔の混じった息を吐く。
しかし、この変わらない流れが、これからも変わらない絆を確認させてくれることであると夏希はそう感じた。
(もう大丈夫だよ。おばあちゃん。あたしのことを守ってくれる人、見つけたから)
そう月に向かってつぶやくと、夏希はまだ倒れている健二に声をかけた。
「ふぅ……ごめんね、健二くん。翔太兄はこれだから……って健二くん?健二くん!?ちょっと万作おじさーん!!来てーー!!」
どたどたと、夏希が急いで万作の部屋まで走っていく。
その現場には、泡を吹き白目になって倒れている健二の姿があった。
その目からはどうしてこんなことに、という悲痛な叫びが表れた涙が流れていたとか。
おしまい