10/01/30 16:48:29 TTTawQ/S
「財府、ちょっと手加減してやってくれ…。ヒヨッコ達がやる気を無くす。」
新兵一人一人の訓練を終えた後、
新兵達の教官であり、元同僚の『家路 重三(いえじ じゅうぞう)』が話しかけて来る。それに対して
「これくらいでやる気を無くすようなら戦闘機乗りとしては失格だよ」と返す。
実際、仮想戦で乗っていたのは日本の主力戦闘機で、俺はともかく相方のイーグル・イェーガー相手では、照準が合わさった時点で即死だ。
彼女の機体からは、ターゲットアラートもミサイルアラートも出て来ない。
彼女は、強い。飛行戦闘技術関係なく、反射神経、反応速度、動体視力だけで戦ってきている。
生まれ持って決められた身体能力を、飛行技術 戦闘技術に磨きをかけて補う俺とは違って彼女の能力は羨ましく思う。
まあ、さっきの一人は結構よかったな。
訓練生達の名簿をめくる。
訓練生『旗本 勝利(はたもと しょうり)』という名前か。
誰かがこちらに駆けて来る。
「先ほどは有難うございました!傭兵オベロン!」
噂をすれば その訓練生が俺のもとにやってきて敬礼をした。
彼が憧れの瞳で俺を見つめる。
「飛行センスはいいが、格闘戦がまだまだだな。勉強するように。」
ややアバウトなことを言い、旗本訓練生に返す。俺は傭兵だから敬礼はしない。
「はい、精進します!それでは失礼しました!」
カカトを返して旗本訓練生はもどっていった。
コテンパンにやられても更に強くなろうとする。
彼のことは覚えておこう。