09/10/09 19:40:58 8Yv+rwaa
レオは、ぽつり、ぽつりと言葉を重ねだした。秋一にとっては驚
きの連続の話しであった。レオは、自分の経緯を正直に述べた。
中学に上がってから、妹と共に闇のブローカーに売られたこと。
そこで幾重もの蹂躙を受けたこと。体を使って金を稼いだ事、主人
に調教されていたこと、体を壊した妹を人質にとられ、何度も強姦
されたこと…。妹が亡くなり、自暴自棄になって町を彷徨ったこと。
そしてアパートの前で行き倒れたこと…。
「でも私は心は屈しなかった。屈する事ができなかった。百獣の王
としてのプライドがそれを許さなかったんだ。」
秋一は真剣にレオの話しを聞いていた。視線をレオの瞳から離さ
ず、何度も頷いて耳を傾けていた。
「ただ、いろいろされていた時の後遺症で…たまに自分でも性欲を
押さえきれなくなるときがあって…。」
レオはそういうと、恥ずかしげに目を伏せて続ける。
「秋一の事…好きだから…耐えられなくなったみたいだ…。本当に
申し訳ない事をした。」
すると、秋一は目を見開いて、ぼんっと顔を真っ赤にさせた。
「もし、こんなのがイヤならすぐにでもここを出ていく。これ以上
迷惑はかけられないからな。でも…。」
レオは凛とした表情に戻るとまっすぐに言った。
「私は秋一が好きだ。だから離れたくない。まだ会って何日も経っ
ていない。けれど、この気持ちに偽りは無い。」
―外はすっかり明るく、あたたかな陽射しが世界を彩っている。
秋一とレオはその柔かい光の中で、互いに身を寄せ合って、ぎゅっ
と抱き合っていた。
秋一の瞳はレオの瞳を。レオの瞳は秋一の瞳を。互いが互いの心
を開き、ふたりは笑顔を交わしていた。
相変わらず、秋一は顔を赤くさせてあたふたし、それを見てレオ
は気持ちの良い笑い声を上げていた。
~終わり~