09/09/11 06:20:52 JgMrCk0H
エピローグ
大あくびをして俺は澪と寺の門をくぐる。腹の子の供養をしたいんだと。
無神論者の俺様は拒否したんだが、土下座されたので、心の広い俺様はきてやったのだ。俺やさしー。
水なんたらかんたらの前で澪が合掌したので、俺様もそれにあわせてやる。
ねみい。まったく、休日労働なんて俺の主義じゃないぜ。
「ごめんね。産んであげられなくて、ごめんね……」
ボタボタ涙を垂らしているこいつの隣で、俺は盛大にため息を吐いた。
着メロが鳴っているのに気付き、携帯を取り出す。おお、わが友ではないか。
「おはろぉ」
『おはようございます。クリスマスパーティのお誘いです』
「ほうほう。メンツは?」
『もちろん四人で』
「オーケーオーケー」
へー。よくあのカタブツたちが納得したねえ。
『つきましては打ち合わせも含めて二人で会いませんか?』
基本的にこういうイベント関係の作業は俺とこいつの役回りだ。
あの二人じゃコーディネートが不安で不安で。
「わかった。今からそっち行くわ」
『よろしいのですか?』
「いいのいいの。どうせ暇だったし。んじゃまたな」
『ええ。それではお待ちしております』
ケータイをしまい、俺はいまだにだらだら落涙している女をそのままに、寺をおさらば。
まあ、ここまで付き合ってやったんだ。感謝はされても恨まれることはあるまい。特別手当が欲しいくらいだぜ。
ふと、空を見上げる。
そこにはまるで俺の行く末を照らすように、燦然と太陽が輝いている。
俺はその祝福のような陽光を浴びつつ、来る宴会を思い浮かべながら、上機嫌で石段を下った。
ベースルート ~ハッピーエンド~
【おしまい】