【初音ミク】VOCALOID総合エロパロ12【ボーカロイド】at EROPARO
【初音ミク】VOCALOID総合エロパロ12【ボーカロイド】 - 暇つぶし2ch463:あたしが俺で、俺があたし 1/7
09/08/18 19:01:21 m/ilHrGB
ある日の夜、部屋の中で1人の少女―鏡音リンは鼻歌を歌いながら、自らの二の腕へ
特殊なバッテリーをセットする。それが完了したら、ふぅっと息をついてベッドへ倒れこんだ。
そのバッテリーはVOCALOID機能の基盤であり、食事とはまた別に体へ充電しなければならない大切なもの。
リンも定期的に行い、毎日VOCALOIDとしての高性能を維持している。

「リン!リン居るか?」

いきなりノックとともに聞き慣れた声が飛び込んできた。

「何よレン」

1日の疲れを癒していただけに、少し苛立った声で返す。そんな事はお構いも無く、
リンが居ると確認した相手はドアを開けてずかずかと部屋へ入ってきた。

「あーっ、やっぱり!それ俺のバッテリーだ!」

リンの二の腕を指してレンは声を荒げる。

「は?」
「いや、はじゃなくて、そのバッテリー俺の。リンのはこっち!」

見るとレンの左手には“リン用”と書かれたバッテリーがあった。
もしやと思い、リンは自分の腕に装着したものを見る。それは“レン用”と記されていた。

「あー、間違えちゃった」

レンの意図していた事が分かり、リンはあっけらかんと声を出す。

「いやいや、間違えちゃったじゃなくて、返せよ俺のバッテリー」
「え、返すの?もう体につけちゃったよ」
「じゃあはずせよ」
「えー面倒くさい」
「面倒くさいってお前」
「だってもうセットしちゃったんだもん。言っちゃえば食べかけみたいな状態だよ?」
「そりゃそうだけど」
「あたしのを貸してあげるからさ」
「あのなあ…」

リンのペースに押されて、レンは次第に脱力していった。リンはもともと小さなことにこだわらない性格で、
神経質なレンをよく困らせている。それが彼女の良い所でもあるのだが。

――まあしかし。

確かにリンの言う事も一理ある。そもそも音源が同じなこの2人は当然バッテリーも同一で、
リン用をレンが使ってもさほど問題はないはずだ。
そう結論に達したレンは、諦めてリンに従う事にする。

「…今回だけだぞ」
「はーい♪」

リンはにっこり微笑むと、1人さっさとスリープモードに入っていった。

464:あたしが俺で、俺があたし 2/7
09/08/18 19:02:37 m/ilHrGB
朝。
鳥の爽やかな鳴き声が目覚ましとなるこの時間。
鏡音の2人はとても気が滅入っていた。

「…で、どーすんだよこれから」

1人は男の子で、可愛らしい鈴のような声をだした。

「うーん、そうねぇ…」

もう1人は女の子で、透き通るような少年声をだした。

「俺、今日スタジオ行って収録なんだけど」

レンの声は明らかに少女声である。

「うーん、昨日そう言ってたよねぇ…」

リンの声は明らかに少年声である。

「どうすりゃいいんだよーーーーーっ!!!」

部屋の中ではソプラノボイスがこだましていた。


       ※     ※     ※     ※     ※


朝、目を覚ましてあくび1つ。
自分の声の異常に気づいたリンは隣のレンの部屋へ行こうとドアノブに手をかけるが、
その直前に当のレンが部屋の中へなだれ込んできた。
混乱しながらも相手と自分の声を確認し合い、1つの結論へ至る。
『物の見事に声だけが入れ替わっていた』のだ。
幸い今日のリンは休みで、声が変調をきたしてもさしたる問題はないのだが、レンの方はそうもいかない。

「今日はソロの収録、しかもリンのカバーだから、今の俺の声じゃどうしようもねぇよ…」

『リン』の声を出してため息をつく。
リンもレンが精一杯練習したのを見てきたし、オリジナル曲として先に歌った身なので
よくアドバイスをした。それだけに、レンへの申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
そもそもこのような悲劇が起こった原因は考えなくとも分かる。寝る前に行ったバッテリー交換だ。
こんな事を言い出したのは自分、ならば自分が責任を取らないと。
リンは一通り思考をめぐらし、たどり着いた答えを高らかに述べる。

「よし、今日はあたしとレン、こっそり入れ替わろう!」
「はぁ!?」

唐突過ぎるリンの提案に、レンの目が点になった。

465:あたしが俺で、俺があたし 3/7
09/08/18 19:04:49 m/ilHrGB
まず、リンの言い分はこうだ。
1.VOCALOIDに病欠は通用しないし、ありえない。
2.収録したいのはレンの声。それが今だせるのはリン。
3.幸い、曲はリンもよく知っているカバー曲。
4.歌う為に造られたVOCALOIDが収録をドタキャンするのは最大のタブー。

「ほら、こうして考えると最善策はあたしが『鏡音レン』として収録する事じゃん」
「いやいやいや。リンはリン、俺は俺、まったくの別物だろ」
「でも今のレンは『鏡音リン』の声だよ?」
「だからってそのやり方だと」
「他にどんな方法があるの」
「う…」

レンは言葉を詰まらせる。確かに、他に打開策は思い浮かばなかった。

「ね?まぁあたしに任せてよ」
「…リンはどうなるんだよ。せっかくの休みじゃないか」
「え…」
「それなのに俺のフリして仕事を変わるなんて…俺とリンじゃ調声も違うし、負担も大きいだろ」
「何言ってんのよレン。音源が同じあたし達だよ?レンの物まねなんてちょちょいのちょいよ!」

その言葉に、レンはカクンと体をよろめかせる。

「と・に・か・く!あたしは今日は『鏡音レン』で通すの!もう決めたんだから!」

こうなるとリンは聞かない。むしろ反論すればムキになって逆効果である。それを悟ったレンは、大きくため息をついた。

「分かったよ…、じゃあ俺も一緒にスタジオへ行くから」
「ダメだよ!レンこそ休んでて!」
「はぁ!?」

さっきから自分の意見は無視されているようで、レンは苛立ってきた。

「何でだよ、俺がいたら悪いのか?」
「そうじゃなくて!休んでてって言ってるの!」
「何で休むんだよ、元々俺の仕事じゃないか!」
「レンの仕事だからよ!」
「いや、意味わかんないし」
「だから、レンの仕事なのに」
「仕事なのに?」
「…仕事なのに、あたしが…」
「ん?」
「あたしの、せいで、えと……」
「…うん?」

ここまできてレンはようやくリンの考えが分かってきた。
つまりリンはリンなりにレンを気遣い、1人で問題を解決しようとしているのだ。
…ただそのやり方が強引で、不器用な事になっているが。
そう思ったらレンは自分の怒りが抜けていくのを感じ、力なく微笑んだ。

「そ、か…。分かったよ」
「え…」
「リン」

その声に、名前を呼ばれた相手はびくりと反応した。

「な、何?」
「とりあえず俺の声で女言葉を話すのはやめてくれ、オカマっぽくて気持ち悪い」

2人の間に、一気に微妙な空気が流れ出した。

466:あたしが俺で、俺があたし 4/7
09/08/18 19:05:43 m/ilHrGB
「じゃあ行ってくるよリン」
「それにしてもリンが見送りだなんて珍しいわね」
「あはは…、たまには、ね」

玄関ではMEIKO、KAITO、『レン』に変装したリンが、レン扮する『リン』に見送られていた。
今日の予定はMEIKOとKAITOのデュエット収録、レンのソロ収録、そして隣の家のがくぽはスタジオ練習となっている。

「大丈夫だよ『リン』、上手くやるから」
「だといいけど…」

いつものセーラーを着た『レン』は、Tシャツにハーフパンツといった無難な私服姿の『リン』と意味深な会話をしたが、
幸い周りのみんなは気づいていない。それぞれ微笑みながら、あるいは手を振りながら外へと出て行った。

「行ってらっしゃい!」

『リン』はなるべく明るい笑顔を心がけて3人を見送った。

467:あたしが俺で、俺があたし 5/7
09/08/18 19:07:14 m/ilHrGB
スタジオ待合室では、がくぽを加えた『レン』達4人が談笑しながら待機していた。予定よりも早く着いてしまったのだ。

「だからさ、声を伸ばすには腹筋を鍛えて」
「いやいや、体全体の筋肉バランスも大切でござるよ」

そんな他愛も無い会話をしていると、ふとMEIKOは『レン』を見つめた。

「そういえばレンって声量あるけど細身じゃない?」

何気ない一言で急に話を振られた『レン』は戸惑う。
そうかなとありがちな返事をして適当に話を進めていたら、横からKAITOが入ってきた。

「どれ?…あ、本当だレン腕細いね」
「ひ!?」

いきなり腕を、それも上腕の内側を揉まれたので『レン』の肩がびくっとはねた。

「ちょっとカイ兄―」
「足も細いでござるなぁ」
「―ッ!??」

今度はがくぽだ。いつの間にか腰をかがめて、太ももをぺたぺた触ってきた。

――どこ触ってんのよ、この変態ィィ!!

そう叫ぼうと口を開き、…慌てて手を当ててそれを塞ぐ。
今自分はリンではなく『鏡音レン』なのだ。『レン』の姿で騒ぎを起こせば、後で問い詰められるのは本物の鏡音レン。
彼の為にも、それだけは絶対に避けなければ…!

「ぐぅっ…!」

右手で押さえていた口から、くぐもった声が漏れる。リンはだんだん顔が赤くなっていくのを自覚した。

「いや、これは細いっていうか柔らかいっていうか…」

もみもみもみ。

「まるで女子のようでござるなぁ…」

ふにふにふに。

――耐えなきゃリン、気づかれちゃ、ダメ…っ!

「これだと腹筋の方も」

――!!!!

KAITOが右手をセーラー服の下へ潜り込ませ、腹部にまで到達し―

「びゃあああああああああああああああ!!!」

絶叫と共に防衛本能に目覚めたリンは、全く無駄な動きの無い、かつ力の制御も一切無いパンチとキックを
的確に放つ。次の瞬間、リンの体にまとわり付いていたモノは弧を描くことなく一直線に吹っ飛ばされ、部屋の端の壁へとたたきつけられた。
壁に跡をつけながらずり落ちた男2人は、悲痛なうめき声を漏らす。生憎、生きているようだ。
一方リンは、ぜえはぜえはと肩で息をしながらその場に突っ立っている。

「…まあ、これはレンでも怒るわよね」

事の始終を見ていたMEIKOは、呆れた声でポツリと呟いていた。

468:あたしが俺で、俺があたし 6/7
09/08/18 19:08:06 m/ilHrGB
玄関で3人を見送った後、レンはその場に座り込んでこれからの予定を考えていた。
今は『鏡音リン』なので自分の部屋には戻れないし、かといってリンの部屋に居るわけにもいかない。
もちろん、この格好で外に出るのは極力避けたい。となれば、リビングか練習部屋かのどちらかで1日を過ごす事になる。
結論に至ったレンはよいしょと立ち上がり……ふと、玄関においてある姿見に目が留まった。
鏡の向こうでは『リン』がこちらを見つめている。
目の形など違いはあるが、注意深く見なければ分からない位その『リン』は鏡音リンと瓜二つ。
レンは鏡に向かって笑ってみる。
『リン』はにっこりと微笑み返してくれた。
次は頬を膨らまし眉を吊り上げてみる。
『リン』はちょっと怒った顔をした。
今度は両方のほっぺをおもいっきり引っ張り、舌をちろりと出してみる。
『リン』はふざけた変顔をしていた。

「…ぷぷっ!」

耐え切れなくなって思わず吹き出す。その声も、いつもの自分ではなく聞き慣れた少女のもの。
それに気づいたレンは、もう一度『リン』を見る。
自分をじっと見つめてくる『鏡音リン』。
レンは自分の鼓動が速くなるのを感じた。
好奇心で『リン』にそっと自分の名前を呼ばせてみる。

「レン…」

赤らめた顔に、聞いた事の無い『リン』の甘い声。その声に、レンは目眩と罪悪感が押し寄せてきて―

「あ、リン居た!」
「うわあああ!?」

声をかけてきたミクは、予想外の相手の反応に驚いていた。

「ど、どうしたの?」

目を円くしたミクに、『リン』は何でもない何でもない、ただちょっとびっくりしちゃっただけと慌てて弁明する。
それを聞くとミクはあっさりと納得したようで、そっかと話を続けた。

469:あたしが俺で、俺があたし 7/7
09/08/18 19:08:57 m/ilHrGB
「あのさリン、私今からルカ姉さんやGUMIちゃんとお買い物に行くんだけど、一緒に来ない?」

その用件に、『リン』は困った顔をした。

「え、でも…」
「行こうよリン、こうやって4人揃ってオフになる日もそう無いんだしさ?」

ミクは相手の顔を覗き込み、にこやかに言う。しかし『リン』は外出は控えようと決めていたので、やんわり断ろうとした。
と、その時。

「リンちゃん発見!リンちゃん一緒に遊びに行こっ!」
「まあリン、玄関に居たの」

GUMIとルカが2人のところへやってきた。
どうやらリンを探していたようで、『リン』を見つけて嬉しそうな顔をしている。

「あ、ルカ姉さんにGUMIちゃん。今私からリンに伝えたとこだから、早速行こ」
「へ!?ちょ、ちょっと」
「やったー!私みんなとお買い物なんて初めてだからすっごく楽しみ!」
「それにしてもリン、何で部屋じゃなくて玄関に?」
「もう、そんなのどうだっていいじゃないルカ姉さん」
「ええと、お…じゃなくてあたし」
「えへへ、私もみんなと早く仲良くなりたいな!」
「あらあら、GUMIちゃんたら」
「………」

――断れねええええ!

『リン』は女性陣のペースに、そしてGUMIのウキウキした様子にすっかり押されてしまい、がっくりとうなだれた。

「じゃあ、あたしちょっと準備してくるね…」
「うん、準備できたらいつでも呼んでね!」

対照的にGUMIは、眩しい位の笑顔で『リン』を見送っていた。

470:名無しさん@ピンキー
09/08/19 07:51:56 m4QGABwI
大丈夫彼らは双子だよ、きっと誰にも分からないさ(棒読み

471:469
09/08/19 13:30:15 2SZgDcT2
そうか。色々すまなかった、読んでくれてありがとう。
以下小ネタ↓


KAITO「アイスのストックが無い…」
MEIKO「ここ最近暑かったし、仕方がないわよ」
KAITO「そんな!僕はアイスジャンキーなんだよ!?」
MEIKO「…じゃあ、今丁度ミクが500円玉持ってスーパーに行ってるから、ついでにアイスも頼んでみる?」
KAITO「おk!早速電話だ!」

KAITO「もしもしミク?」
 TEL『え…違いますけど』
KAITO「あ、すいません、間違えました」ピッ
MEIKO「…何やってんのよ」
KAITO「たはは、もう一回」

KAITO「もしもし、ミク?」
 TEL『お電話ありがとうございます、こちら家電製品セールス○○でございます!
    本日紹介しますのはこのアイスから水に戻す画期的な』ピッ
KAITO「また間違えた」
MEIKO「私は何もツッコまないわよ」

KAITO「もしもし…ミク?」
 TEL『うお、なんじゃ?いたずら電話か!?』
KAITO「ち、違いますよ!僕はKAITOというVOCALOID、つまり歌を本業としている青いお兄さんで、
    別にお宅にイタズラしようと電話をかけたわけでは」
MEIKO「適当に謝って早く切りなさい」

KAITO「もしもし…パンツ何色?」
 TEL『褌色でござるよ』
MEIKO「何いたずら電話してんのよ!?そして何なの今の相手は!?」
KAITO「いやぁ、さっきいたずら電話と間違われたのが悔しくてつい」
MEIKO「適当に謝って早く切りなさい!」

MEIKO「…たく、何でさっきから間違えまくってんの。そもそも携帯なら電話帳に登録しているはずでしょ?」
KAITO「はっ、その手があった!」
MEIKO「………」
KAITO「もしもしミク?ああそう、買い物ついでにアイスも…」

 ミク「ただいまー」
KAITO「お帰りアイス!お帰りミク!」
MEIKO「アイス自重」
 ミク「ああ、KAITO兄さん、それが…」
KAITO「え、どうしたの?」
MEIKO「あら…何も買ってないわね」
 ミク「うん、この500円玉、よく見たら昭和64年発行だったからどうしても使えなくて…ごめんなさい」
KAITO「そんなぁぁぁ」
MEIKO「…ミク、その硬貨私にも見せて」

472:名無しさん@ピンキー
09/08/19 20:31:54 GKxQRNYo
>>471
えーと…なにが?

473:名無しさん@ピンキー
09/08/19 20:52:18 d/B2B6pM
むむむ。
何で MEIKO が硬貨を確認としたかがわからん。


474:名無しさん@ピンキー
09/08/19 20:58:30 3LhWQDZU
昭和64年は数か月しかなかったからその年度の発行物は稀少なの

475:ブラック☆ロックシューター@夏祭り1/4
09/08/19 21:16:17 3LhWQDZU
クイズ夏オネア開催。
huke氏が、リビングでソファに腰掛けてファッション誌を読んでたブラックロックシューターの隣りに突如どっかりと座り込み、
重々しい口調で問題文を滔々と韻いんと読み上げた。

「この夏、ブラックロックシューターがどうしても体験したい夏イベントを次のうちから一つ選びなさい。
A、花火大会。B、夏祭り。C、初体験。D、夏コミ」
「えぇ?うーん、選べって言われても困っちゃうなぁ」
「分かりました、フィフティフィフティですね」
「なにそれ?」
「夏休みは有限であります姫様。ふたつ消えて、残るは二択。
A、花火大会。B、夏祭り。さぁどっち?!」

残念ながら初体験は選択肢から消えてしまった。
ブラック★ロックシューターは部屋着に着てたTワンピの裾を引っ張って正しながら、
むー、と唸って部屋の天井に目を細めてから答えた。

「うーんと、お祭り、かなぁ……花火って煙たいし、煙たいのはキャノンで飽き飽きしてるし」
「銃キャラだから火薬に厭きるのは仕方ないわな。じゃあ夏祭りでファイナルアンサー?!」

ブラックロックシューターはこくりと小首を傾げる。

「ふぁいなるあんさぁ、ってなに?」
「……みのもんたが以下略。知らないならあえて知る必要もない」
「ええ~?なんか気になるよぅ」

ブラックロックシューターの質疑に応答もせずhuke氏は黙ってリビングを出て行く。

「ますたぁ?なんか怒ってる?わたしがふぁいなるあんさぁ知らなかったから?ごめんなさい」
「そんな事で怒るか。俺はどんだけみのもんたフリークなんだ」

戻って来たhuke氏の手には何やらピンク色の布製構造物。
「祭りに行くときコレ着てけよ」と言いながらパッと広げたそれは、沢山の花が描かれた浴衣だった。
ブラック(ryは「わぁ」と歓声を上げた。

「かわいい浴衣!マスターが選んだの?ありがと!大好き!」

ブラックロックシューターは、ぎゅっ、とhuke氏に抱き付く。
huke氏は嬉しそうなブラック(ryの頭をぐりぐりと撫でくり回し、
「やめろー、髪型くずれるー」とか言いながらなおも嬉しそうなブラックロックシューターに和むのだった。

476:ブラック☆ロックシューター@夏祭り2/4
09/08/19 21:18:34 3LhWQDZU
「ますたぁ、どこいっちゃったの……」

例によってブラックロックシューターは夏祭りで迷子になっていた。
夜の神社って、祭りの賑わいから少しでも離れると、暗くて怖かったりするものである。
境内の裏っ側の電灯も付いてないような暗いとこでブラック(ryはさまよっていた。
なぜそんなひと気のないところまで入り込んでしまったのか?

「おしっこもれちゃう……」

自分の状況を確認するように呟き、浴衣の下でもじもじとヒザを擦り合わせる。
ブラック(ryはトイレを探しているのだった。
海でかき氷を食えなかった事へのリベンジとばかりに、かき氷を食った。
口の中が甘ったるくなったからお茶を飲んだ。
イチゴ飴(リンゴ飴のイチゴバージョン)を食った。みっつ。
口の中が甘ったるくなったからお茶を飲んだ。
焼きそばを食った。
口の中が油っこくなったからお茶を飲んだ。
huke氏がかっ食らっていたビールを少し飲ませてもらった。
苦かったからお茶を飲んだ。
ビールがとどめをさしたのか、今やブラック★ロックシューターの膀胱は臨界水位に達していた。
トイレを探しているうちにhuke氏とはぐれ、huke氏もトイレも見つからず。

(……もういいや。そのへんでしちゃお)

境内の松林に歩み入る。
ブラック(ryは事理弁識を一時的に欠いていた。
トイレの場所くらい誰かに聞けばすぐ分かるのに、そのことに考えが及ばなかった。
多分にビールのアルコールがブラックロックシューターの理性を吹っ飛ばしていた。
わざわざ土が柔らかくて水捌けが良さそうな部分を探り、ブラックロックシューターはしゃがみ込む。
パンツを脱ごうとして、

─ガサッ

突然の物音にブラック★ロックシューターは、びくっ、と全身で驚き、慌ててパンツを上げた。
巣穴周辺を見守る監視役のプレーリードッグみたいに、きょろきょろと辺りを見回す。
遠くに祭りの囃しが聞こえ、あたりは真っ暗。
排尿戦線異常無し。
ブラックロックシューターはしばらく辺りを警戒し、改めて木陰にしゃがみ込んだ。
パンツを降ろしていては散布後の領域離脱に余分な時間が掛かる。
(パンツ穿いたままおしっこなんてしたことないよ……)とか考えながら、
ブラック(ryは右手で浴衣の裾を吊り上げ、左手でパンツの秘部を覆う布をずらした。
チョロチョロチョロチョロじょろじょろじょじょー……。
と、水音を響かせるはずの奔流が、ちっとも出てこない。
さっきまであんなにしたかったのに、全然出てこない。
というか今だってブラック★ロックシューターの膀胱はぱんぱんで、開放して楽になりたい気分満天なのだが、
ビールの酔いが醒めてきたせいで急に羞恥心がむっくりと起き出してきて、
どうも下腹にうまく力が入らないのだった。

477:ブラック☆ロックシューター@夏祭り3/4
09/08/19 21:19:48 3LhWQDZU
とはいえこのまま迷っていてはお尻丸出しの露出プレイが永続するばかりである。

「神様ごめんなさい。えと、なむあみだぶつなむあみだぶつ……?」

御社の方にとんちんかんな謝罪を述べて、ブラック★ロックシューターついにおしっこを。

「めえぇ~」

出来なかった。
草むらから、羊(もしくは山羊)の鳴き声を出す生首が飛び出してきたのだ。

「っ、~!?〇×Ω△τっ??!!」

ブラック★ロックシューターは言葉にならないほど驚いて尻餅をつき、
下着が汚れるのを気にする余裕もなく後ずさった。

─どんっ

後ずさった所で何かに行き当たった。
それは木にしては温かく、しかも柔らかく、ブラックロックシューターは絶対に振り向いてはいけない気がした。
しかし抗いがたい衝動につき動かされ、恐怖に奥歯をカチカチ鳴しながら、
ブラックロックシューターは軋むように振り返った。

「それ、私のものなの。返してくれる?」

振り返ると、草むらから転がり出た生首そっくりの女が、
上から覗き込むようにブラック(ryを見つめていた。
じょわじょわわー。
ブラック★ロックシューターは失禁し、ふっつりと意識を失った。

478:ブラック☆ロックシューター@夏祭り4/4
09/08/19 21:24:44 3LhWQDZU
「ふぅ……困ったわ。家で飼えないから神社の軒下で飼っていたのに、
図らずして少女を失禁に追い込んでしまうとは」
「ぷぎー(おお、幼女よ、もらしてしまうとはなさけない)」

ブラック(ryを驚かせたのはルカと境内で内緒で飼われているたこルカだった。
ルカとたこルカは気絶したブラックロックシューターを前に途方に暮れていた。
とりあえず神社の石段に寝かせたが、パンツはびちょびちょだしたこルカに驚いて躄ったせいでどろどろである。
濡らさぬために浴衣は捲られ、おもらしパンツ丸出し状態である。

「幸か不幸か社の神の思し召しか、今日は生理なの。
私の換えの下着があるから、それを穿かせましょう」
「わおーん(中出しオッケーな日ですね)」
「……たこルカ、あなた、少し自重しなさい」

ルカはブラック★ロックシューターのぐっしょりパンツを脱がせ、自分のハンカチでブラック(ryの秘部を拭った。
ハンカチで優しく拭うと「んっ……」とか、一言三言呻いたが、目は覚まさなかった。
ブラック★ロックシューターの天然物(?)は薄い体毛が小さな三角型の淡い茂みを形作っており、
未熟の美が生み出した煽情に富んでいた。
ルカはしばし見とれる。

「にゃー(ヨダレ出てるよ)」
「え?あっ、じゅるっ……いやぁ、なんというか、美しいものですね」
「ばうわう(自重しなさい)」

ルカは自分の換え用の下着をブラック★ロックシューターに穿かせ、ちょっと悩んだ。

「……まぁ、なんとか、ぎりぎり気付きません、よね?」
「つくつくぼーしつくつくぼーし(あたししーらないっ)」

ルカはブラック★ロックシューターのパンツを丁寧にハンカチで包んで、自分のバッグにしまった。

「にゃんごろにゃーん(それどうするの?)」
「飼い主の趣味嗜好を詮索すると餌が目減りしますわよ。うふふ」

ルカはたこルカを抱えて神社を後にした。
ブラック★ロックシューターがhuke氏に発見され起こされたのは、
ルカとたこルカが去ってからしばらくしての事だった。

「お前に酒は飲ませられんな。あんなちょっとで酔っ払って寝るとは」
「ますたぁ信じてくれてないでしょ?ほんとに生首が転がってきたんだから!」
「はいはい」

ブラック★ロックシューターはhuke氏の背中におんぶされながら、「オバケってほんとにいるんだよっ!」とか喚いていた。
家に帰って浴衣を脱いだブラック★ロックシューターは、
見たこともない漆黒のTバックを自分が身に着けていることに気付いて戦慄した。




479:名無しさん@ピンキー
09/08/19 21:38:02 mj9BBREj
たこルカが謎すぐるw
GJ

480:名無しさん@ピンキー
09/08/19 21:49:22 62WKYTii
>>478
乙。いちいち鳴き声で吹かせんなwww

ルカ様の鮮血…ゴクリ…

481:名無しさん@ピンキー
09/08/19 22:04:31 xX23aQlt
BRSの白い肌には黒いランジェリーは似合いそうだ。
彼女の場合、病的にという青白いというイメージがある。

482:名無しさん@ピンキー
09/08/20 00:39:19 OpFVQfUJ
生理の換えに、Tバック、だとぅ!?

483:名無しさん@ピンキー
09/08/20 00:59:08 3jzEmLg8
なんとかして下劣な方向へ持って行きたかったんや……
エロい下着着せたかったんや!

ルカはタンポン+Tバッグと言うチャレンジャーだということでひとつ

484:恋に恋して ◆gizniXnsY2
09/08/20 03:11:08 FdurwKN4
お久しぶりです。
続き、書けたので投稿します。
一応これで一話分として完結しています。
それでは、行きます。

485:恋に恋して2-1 ◆gizniXnsY2
09/08/20 03:11:51 FdurwKN4
 ミクが走り去った方角を、残された面々は呆気にとられながら眺めていた。
 昨日マスターに新譜をもらいに行くんだといった時は嬉しそうだったのに、しばらく経って戻ってきた時は、何やら深刻そうな顔をして思い悩んでいる様子だった。
 その後も様子がおかしかったし、今朝マスターに新しいVOCALOIDが来ると聞いた時も、浮かない顔をしていた。
 一体、ミクに何があったのだろうかと気にはなったが、今は新人のフォローの方が先決だ。
 メイコは思考をそう切り替えると、青い目を見開いたまま硬直しているがくぽの元へと、そっと近づいていった。
「がくぽ」
「……メイコ」
 メイコの呼びかけに、漸く硬直が解けた様子でがくぽが振り返る。その顔は青ざめ、肩は小さく震えていた。
 ミクの台詞は、まだ自我が芽生えたばかりのがくぽにはさぞかしきついものであっただろう。今にも泣き出しそうなその顔が見ていられなくて、メイコはがくぽの手をそっと引き寄せてあやすようにぽんぽんとその背中を叩いてやった。
 後ろでカイトが面白くなさそうな顔をしているが、とりあえず勘弁して欲しい。自分より背の高い青年に対して言うのもなんだが、幼い子をあやす感覚とそう変わらないのだから。
「ごめんね、ミク。ちょっと昨日から思い詰めてたみたいで……いつもは、あんなことを言うような子じゃないんだけど」
「私は……ミクに嫌われているのか?」
 声が震えている。そう思うのも無理はないなと、メイコは小さく息を吐き出した。
「あの子は、誰かを嫌ったりするような子じゃないわ。何があったのかは知らないけど……きっと、あなたを嫌っているわけじゃないのよ」
「……しかし」
「うん……そうよね。あんな風に言われたら、辛いわよね。ごめんね。後で、ミクには私の方からもちゃんと言っておくわね」
「……私は」
 ぎゅっと眉根を寄せるがくぽの頭を、精一杯背伸びして優しく撫でる。背後でカイトが小さく「あっ」と叫ぶのが聞こえたが、無視をした。
「とにかく、私たちはあなたを歓迎するわ。一緒に頑張っていきましょう」
「……わ、分かった」
 がくぽが頷くのを見て、くるりとカイトに向き直る。
「カイト、私はとりあえずがくぽの面倒を見ておくから、カイトはミクの様子を見に行ってあげて。あの子、今頃きっと落ち込んでいるはずだから」
「ん、めーちゃん、了解」
 カイトは尚も不機嫌そうな顔をしていたが、妹の様子はやはり気になるのか、一つ小さく頷くと、ミクが走り去った方角へと走り出した。
 その後ろ姿を見送ると、今度はメイコは事態を興味深そうな顔で見ている双子を手招きした。
「リン、レン、私はがくぽにここの説明をするんだけど……二人はどうする?」
「はーい、あたしは、メイコお姉ちゃんを手伝います!」
「俺も俺もー! 分からないことがあったら、何でも聞いてくれよな、がくぽさん!」
 好奇心旺盛な双子は、新しく迎えた住人をもてなすことを決めたらしい。
 少しだけ安心して、メイコは息を吐いた。


486:恋に恋して2-2 ◆gizniXnsY2
09/08/20 03:13:37 FdurwKN4
「……ね、がくぽさん」
 がくぽの右側で、リンがくいくいと袖を引き、がくぽの注意を向けさせる。
「な、なんだ……?」
 緊張しているらしいがくぽを安心させるように笑いかけながら、リンは背伸びして、そっとがくぽへと告げる。
「あの……あのね、ミクお姉ちゃんのこと、嫌ったり、しないでね。お願いね、がくぽさん」
 その反対側でもレンが、同じようにがくぽの袖を引いて、精一杯背伸びをしていた。
「ミク姉、ホントのホントに優しいんだ。ミク姉が叫んでいたことはきっと、がくぽさんに本当に言いたかったことじゃ、無いはずなんだ。だから……」
 いたく真剣な二人の様子を見て、がくぽの目も優しく細められる。
「分かった。決して嫌ったりはしない。約束する」
 がくぽの台詞に、リンとレンはあからさまにホッとした様子で顔を見合わせた。
「良かったなー! リン!」
「うん、良かったね、レン!」
 無邪気に笑い合いながら、がくぽの両腕に二人揃ってぶら下がる。がくぽは少しだけよろけたようだったが、しっかりとその場に踏みとどまっていた。
 その顔色は、すっかり元に戻っている。
 双子の心遣いをありがたく思いながら、メイコはがくぽにじゃれつく二人を軽く窘めるようにして、二人の両肩に手を置いた。
「こら、二人とも。ふざけすぎないの。……それじゃあ、行きましょうか、がくぽ。まずは、この家の中を案内するわね」
 メイコ達が立っている場所は、VOCALOID専用のファイルの中に設けられた、家を模して作られた空間の中だった。
 彼らがいるのは、リビングに当たる場所であり、共有のスペースとなる。
「さっきがくぽの部屋も出来たはずだからそれは後で見に行くとして、先に私たちの部屋を案内するわね」
 そう言って、メイコが先頭に立って案内をする後を、がくぽ達もぞろぞろと付いていった。


 その頃、カイトは家を飛び出したミクを追ってフォルダ内を走っていた。
 家の外は、家の中同様、町中を模した空間となっている。その住宅街を駆け抜けながら、カイトは小さく顔をしかめていた。
「マスター……ミクに一体何を言ったんだ?」
 マスターに新譜をもらいに行くの、と嬉しそうに出て行ったミクが帰ってきた時、少し様子がおかしかったのは誰もが気付いていた。
 新曲も見せてもらったが、全体的に歌詞もメロディも可愛らしく、この曲が気に入らない、というわけでもなさそうだった。
 となればやはり、自分たちのマスターが何かを言ったとしか思えないが……一体何を言ったら、ミクががくぽにあんな台詞を吐くのだろう。
 がくぽは勿論、叫んだミク自身さえ傷ついたような顔をしていた。
 本当に……何を言ったのだろう。あれじゃまるで、がくぽを受け入れることを恐れているようだ。
 見当も付かず、カイトは少しだけ苛立った様子で頭をかきむしる。
 この世でメイコの次に大切な自分の妹だ。その妹が傷ついているなら、何とかしてやりたい。
 とにかく、ミクを見つけたらなんとしてでも話を聞かないと。
 今頃マスターは、ミクの歌の最終調整をしているはずだから、うかつに話しかけられないし。
 方針を決め、カイトはぐっと足を速めた。例えどこまで遠くに行ったって、このフォルダ内にいるのなら居場所は分かる。
 まずはミクを見つけることを優先しよう。


487:恋に恋して2-3 ◆gizniXnsY2
09/08/20 03:14:08 FdurwKN4
 カイトが足を速めて程なくして、特徴的な緑のツインテールの後ろ姿を見つけることが出来た。
 公園のブランコに腰をかけ、力無くうなだれて足をぶらぶらさせている。
 そっと背後から近づいていくと、カイトの気配を察したのかミクがハッとした様子で顔を上げ、こちらを振り向いた。
「……お兄ちゃん」
 どこか戸惑った様子で自分を呼ぶ妹に柔らかく笑いかけ、もう一つのブランコに腰掛ける。
「ミク、さっきはどうして、がくぽにあんなことを言ったんだ?」
 なんの理由もなく、誰かを拒絶するような台詞を言う子じゃないのは、よく知っている。まずは良く話を聞くのが大切だ。
「それは……」
 ミクは逡巡した様子で目線をさまよわせ、再び小さくため息を付いた。
「マスターに……言ってみたの……恋が、してみたいって」
「うん、それで」
 一つ頷いて話の先を促す一方で、カイトはミクももうそんな年頃なのかとしみじみ感じていた。
 VOCALOIDは、歌を通じて成長していく。この家に来て数ヶ月が経とうとしているミクに、そんな感情が芽生えたとしてもなんの不思議もない。
「そしたら、マスターが……それなら、がくぽはどうって言ってきて……」
「うーん……なるほどねえ」
 それで、変に悩みすぎてしまったのだろうか。
「がくぽさんが嫌とか、そんなことはないの。ただ……恋がしてみたいっていうそれだけで、がくぽさんに恋しちゃいけないんじゃないかって、思ったら……」
「あの叫びになった……ってことか……」
 やっぱり、と心中で呟きながら、カイトは渋い顔をして顎に手を当てた。
 がくぽに理由を話してやりたいが、少々複雑すぎて、インストールされたばかりのがくぽでは理解出来ないだろう。乙女心、という奴は。
 とは言え、自分も理解しているとは言い難いのだが。
 この説明でも、ミクの心情を十分に説明しているとは到底思えないし。
 もしかして……ミクはがくぽに一目惚れしたのではないだろうか。それをとっさに否定してしまったため、拒絶するような台詞になった、とも考えられる。
 確信が持てない以上それは分からないが、とりあえず理由も聞いたし戻ることにしよう。
 カイトはブランコから立ち上がると、ミクに向かって手を伸ばした。
「ミク、戻るよ。戻って、ちゃんとがくぽに謝るんだ」
 諭すようにカイトが言うと、ミクは小さく頷いてカイトの手を取った。
「でも……」
 理由なんて話せない、とミクが口の中で呟くのを聞き、カイトは苦笑して肩を竦めた。
「訳なんて話さなくて良いよ、ミク。勘違いってことにでもしておけばいい。……今は」
 最後の台詞は口の中だけで呟いて、軽くミクの手を引いてその場に立たせる。
「早く帰ろう。みんな、ミクを待っているから」
 そう告げると、ミクは少しだけぎこちなく微笑んで、頷いた。


488:恋に恋して2-4 ◆gizniXnsY2
09/08/20 03:14:41 FdurwKN4
「ごめんなさい!」
 がくぽのインストールにより広くなったリビングルームに、ミクの謝罪の声が響く。
 がくぽはそれを、神妙な表情で聞いていた。
「あの、私本当はあんなこと、言うつもりじゃなかったんです。それなのにいきなりあんな失礼なこと……本当に、ごめんなさい!」
 腰を深く折り曲げ、90度の角度でお辞儀をするミクを、メイコ達はやれやれ、といった調子で眺めていた。
「いや、そのことはもう良い。深いわけがあったのだろうと、メイコから聞いた」
「お姉ちゃんから……?」
 何度か目をしばたたかせてメイコを見ると、メイコが軽く頷いて見せた。
 そんなミクを見て、がくぽもまた一つ首を上下に振った。
「ああ。だから私は……改めて、挨拶のやり直しをしたいと思っている」
「は、はい!」
 がくぽの言葉に、ミクは慌てて居住まいを正した。がくぽも緊張した様子で、背筋を伸ばしている。
「では改めて……私は、神威がくぽという。これから、よろしくお願いする」
「はい。わ、私は、初音ミクです!こちらこそ、どうぞよろしくお願いします!」
 ためらうように差し出されたがくぽの手を、しっかりと握ってがくぽを見上げる。
 緊張でうまく笑えないが、せめて目は逸らさないでおこうと思った。
 そんなミクを見て安心したのか、がくぽがぎこちなく微笑みのようなものを浮かべる。それにつられたのか、やっとミクも笑うことが出来た。
「それにしても……私は、ミクに嫌われたわけではないのだな。本当に……良かった」
 がくぽの言葉に、ミクもがくぽに嫌われなくて良かったと安堵する。
「がくぽさんのこと嫌いになったりしません。むしろ私がくぽさんのこと……」

「好きです」

 言った直後、ミクはその場で硬直した。
(い……今のってなんか……告白、みたい? いやいや、別に私はそんな意図はこれっぽっちも……)
 一人心の中で慌てるミクをよそに、がくぽは先ほどより嬉しそうな笑顔を浮かべている。
「そうか、本当にそれは……良かった」
 その台詞にはミクに対する純粋な好意以外は何も見あたらなくて、ミクは戸惑いをその顔に浮かべた。
(ってことは……がくぽさんは、単純に好き嫌いの好きとしか思っていないって言うことで……だから、つまり……)
 慌てたりする必要は、最初から無かったと言うことである。
(そ……そそそそうだよねー。がくぽさん、まだインストールされたばかりだもんねー。だから、そういうのまだ分からないんだよねー)
 安心したような、がっかりしたような、そんな心境で乾いた笑いを零すミクを、メイコ達がおかしそうに眺めている。
 ミクはメイコ達を一瞬だけ睨み付けると、改めてがくぽへと向き直った。
「とにかく、そういうこと、ですから。私たちはがくぽさんを歓迎します」
「ああ。ありがとう」
 二人で笑みを向け合い、そこで握手しっぱなしだったことに気付いて、手を離す。そのまま二人は並んで、メイコ達が待つ方へと歩いていった。


489:恋に恋して ◆gizniXnsY2
09/08/20 03:16:14 FdurwKN4
以上です。
次は、二人がくっつくまでを書きたいなと、思っています。
それでは、失礼します。

490:名無しさん@ピンキー
09/08/20 05:07:12 EBVOJzdU
ちょっとニヤニヤした

491:名無しさん@ピンキー
09/08/20 06:48:47 0uo5UgNs
がくミクはもどかしいのが似合うなw

492:名無しさん@ピンキー
09/08/20 07:32:13 uLTyOlj9
確かにここのがくミクももどかしい展開w
いいぞもっとやれ2828した

493:名無しさん@ピンキー
09/08/20 09:46:50 wGtkfglc
中古ボイルド


 俺はその日、唖然としていた。
 さながらアゴが外れて、地面についてしまいそうなほどに、だ。

 ……というのも昨日買ったばかりの初音ミクのことである。彼女は巷で大人気の、歌って踊
れるアンドロイド(ガイノイド)だ。
 可愛らしい顔立ちにぴったり合うコロコロした声色に対して、旧時代のシンセサイザーをモ
チーフにした硬質イメージのノースリーブにミニスカート、というギャップの激しいいでたちは、
返って可憐さを引き出し、世のもてない男共の目を釘付けにした。

 結果、決して安い商品でないはずのミクは、メーカーの予想を大きく上回ってヒットし、その
挙句は街中どこを歩いてもミクがいる、という現象が起こってしまった。
 あまりにも数が多いものだから、そのうち本物の女に、男がなびかなくなってしまうのでは
ないか、という危惧さえ生まれ、国連などでは初音ミク禁止条約、通称「ミク禁」が出されそ
うな勢いだ。
 まさしく機械の小悪魔である。
 かくいう俺も例に漏れず、ミクを大枚はたいて購入した一人だったが……なにぶん、貧乏な
もので中古にしか手が出なかった。

 だが中古というのは、なにがしかのトラブルを抱えていることが多いものだ。それは、PCな
り車なり、はたまた家なりの中古品を買った事のある人には、容易に想像がつくだろう。
 ついでに人間も歳を経ると中古と呼ばれるようになるが、やはりトラブルを抱えている。主
に精神と金銭面でのトラブルだ。
 ……話がそれた。

 さて、ここまで話せばもうお気づきだろう。
 そう。
 俺の買ったミクは、とんでもないトラブルを抱えていたのである。それがどんなものかは…
…まあ、直接彼女と会話すれば解るか。

「なあ、ミク」

 俺はバーのカウンター横で、電子タバコの蒸気疑似煙をくゆらせる彼女をみつめていった。
と、彼女は反応して、ふっ、と大きくを電子タバコを吸い込む。
 先端に配置されたLEDがこうこうと赤らんだ。
 そして、傍らに置かれたロックグラスを黄金色に染めるホッピーを、ゆるやかに口へ運び、

「ほええ……」

 飲めずに吐き出した。
 きたない。
 人間に限りなく近い存在であるアンドロイドだが、基本として飲食はできない。のに、なぜ
かこのミクは飲み食いしたがる。
 それもハードボイルド調に決めたがるから、余計と始末におえなかった。
 しかもニコチンやら強烈なアルコールに触れると、デリケートな生体部品が痛んでしまうの
で、なにやら可愛らしいものでしか、飲むふりも呑むフリもできない。
 その困ったミクが、精一杯に妖艶な笑みを浮かべると俺に首をふりむけて、いった。

「なんでしょう、先生」
「いや、だから俺は先生じゃなくて君のマスターだ……」
「私にとってマスターが先生ですわ。ねえ先生、いつになったら依頼を受けるんです?」
「依頼って、何の」
「やだ、どうしちゃったんですか。先生は探偵でしょう」
「ただのサラリーマンだよ」
「またそうやって、私に意地悪するんですね。もう」

494:名無しさん@ピンキー
09/08/20 09:47:18 wGtkfglc
 なにがどうなっているのか、彼女は俺を私立探偵だと信じて疑わない。
 そして自分は、その助手だと思っているのだ。
 だが俺は探偵ではないし、はたまた刑事でもない。
 とある大企業に、無理難題を押しつけられながらも、黙々と部品を納めつづけなければなら
ない宿命の零細下請けメーカーの社員だ。
 ゆえに薄給である。
 薄給だから、中古のミクしか買えなかった。
 ミクは中古だったから、どこかがおかしい。
 などと三段論法が頭をかけめぐったが、その思考は横からしな垂れかかってきたミクに打ち
消される。

「ねぇ先生、わたし酔っちゃいました……」
「飲んでないだろう」
「先生はまたカミュですか? お強いんですね」

 聞いちゃいない。
 あと俺はブランデーは飲めない。だいたいカミュなんて高級酒、とても手が出ない……が、
なぜか飲んでいることになっているらしい。
 いったい、彼女の視界にはどういう風景が映っているんだ?

 その疑念は、バーを出てからも続いた。
 ちなみに、本当は仕事があがったらとっとと帰宅したかったのだが、会社から出たらそこで
ミクが待ち受けていて、バーに連れて行かされたのだ。

「聞き込みをするんですよね」

 と。
 畜生。なにを聞き込めってんだ。店の売り上げ高か? 余計なお世話だ。
 俺はやりきれない思いで、街灯の照らす夜道をクタクタになって歩くと、やっと家にたどり
つく。
 が、そこでもまだハードボイルドごっこを続けようとするミクは、眠るそぶりも見せずにい
るからたまらない。
 結局、その晩は遊び盛りの猫を相手にするかのごとく明かさざるを得なかった。

 ……その翌日。
 運良く休みであったために、俺はたまりかねてミクの修理を依頼しに、アンドロイドを取り
扱うショップに足を運ぼうとしたのだが、そこでまた一騒動起こった。

「嫌! わたし、あそこには戻りたくありません」
「返品するってわけじゃない。ちょっと診てもらうだけだ」
「あの冷たい世界に居るのは、もうイヤなんです……!」

 何を言っても、まるでシャンプーを拒否する犬のごとく耳を貸さない。
 こうなってはしかたないので、一芝居うつことにした。彼女がハードボイルドワールドにと
らわれているとするのなら、解決策はたぶん、こうだ。
 俺はミクを背中から抱きすくめると、その小ぶりな耳に唄うようにささやいた。

「俺は君を信じている……頼む。君にしかできないことなんだ」
「先生……」

 効果は抜群だったようだ。
 ミクは白い頬をぽっと照らさせると、俺からゆっくり離れて、決意したような表情をつくる
。そのミクを差し置いて、俺はショップの店員に彼女が中古商品保証期間内であることを証明
し、修理の手続きを進めるのだった。
 これによって、彼女はしばらくメーカーに送られて修理を受けることになる。
 しばらくはミクといられなくなるが、仕方があるまい。

495:名無しさん@ピンキー
09/08/20 09:47:47 wGtkfglc
(やれやれ……これでやっと、歌姫に来てもらえるかな)

 その想いと共に、一週間待った。
 そして七日目の夕方頃に修理先の、なぜか修理担当の本人から連絡が入ったのだが、またし
ても困ったことが起きた。
 その内容だが、ここから先は会話で記したい。

「お預かりした初音ミクですが、ちょっと伺いたいことがありまして」
「はい?」
「じつはですね、思考ユニット部に、とんでもないものが埋め込まれてるんです」
「えっ、どういうことで……」
「カセットです。旧世紀の、ファミコンカセットが埋め込まれているんですよ! いったいぜ
んたい、どうしてこんなことになってるのか、なにか解りませんか?」
「いやまったく……」
「そうですか……しかし、こんなもので思考ユニットに変化が起きるなんて、考えられない…
…お客様。申し訳ありませんが、この個体は引き取らせていただけませんか? 調査したいの
です。これは中古品ですが、特別に新品で代替いたしますので」

 俺はその言葉にYESという意味の単語を返そうとしたが、次の瞬間、

「先生! 私を捨てるんですか!? ひどい!」
「起動した!? うそだろ、電源は落としてあンのにっ!!」

 という二つの悲鳴が受話器ごしに聞こえた。
 どうも色々な意味で予測し得ない事態がおこったようで、俺は慌てて受話器を持ち直すと修
理担当の人に叫ぶ。
 そうしないと、さらにやばいことが起きそうだったからだ。

「ミク、捨てないから心配するな! す、すいませんが、とりあえず修理せずにこっちに送り
返してくれませんか!! 詳しいことはまたお話させていただくってことで!」
「わ、わかりました……」
「ところで、ファミコンのカセットって、何が埋め込まれてたんですか? マリオとか?」
「いえ。外装ごと埋めるっていうのも妙なんですが、タイトルは「探偵神宮寺三郎」でした」

 探偵神宮寺三郎。
 それは知る人ぞ知る、ハードボイルドな世界観が売りの推理アドベンチャーゲームである。
 ミクは、そのゲームカセットの影響を受けて、あの奇天烈な言動を起こした……?
 そんなことがあり得るだろうか。
 たかが基盤ごときに……。
 なににせよ、俺は彼女を自宅に送り返してもらわねばなるまい、という念にとらわれた。そ
れを理論的に説明することは、むずかしい。
 この場合、俺の中のもう一人の俺がそうするように強要した、としか言えまい。

 ……そんなやりとりがあった翌日に、さっそくミクは返送されてきた。
 彼女は家に戻ってくるやいなや、俺が約束を破ったと目をつりあがらせた挙句、泣き出して
しまったから俺は途方にくれた。
 これでは、まるで本当の人間ではないか。
 アンドロイドはあくまでアンドロイドであって、その分際を超えることはないように設計さ
れているはずなのに。
 俺は、いったい何を買ってしまったのか?
 その疑問を晴らすためには、いましばらく、このミクとの生活を続けねばならないだろう。
ハードボイルドごっこをしながら……。




496:名無しさん@ピンキー
09/08/20 10:21:14 XR/olilL
オチてない

497:名無しさん@ピンキー
09/08/20 10:26:41 BqT9dFFy
>>496
やっぱり犯人はヤス?

498:名無しさん@ピンキー
09/08/20 10:28:41 XR/olilL
俺に聞かれても

499:名無しさん@ピンキー
09/08/20 10:30:40 BqT9dFFy
あぁごめん、アンカ間違えたw

500:名無しさん@ピンキー
09/08/20 13:49:57 6Hu9T1+j
>>497
それはまた別のゲームだ

501:名無しさん@ピンキー
09/08/20 13:53:27 7NR5YVLt
おいばかやめろ、ネタばれしたらゲームクリアでミクさんが直ってしまう。

502:名無しさん@ピンキー
09/08/20 16:46:49 00807otR
いっその事「さんまの名探偵」入れてやろうwww

503:名無しさん@ピンキー
09/08/20 18:11:58 zdSlGCkA
ドラクエのカセット入れて「お兄さんぱふぱふしない?」でもいいな
でも胸的にむr・・・おや、誰か(ry

504:名無しさん@ピンキー
09/08/20 19:45:55 3jzEmLg8
リンて舐めたらまだミルクの味しそう

505:名無しさん@ピンキー
09/08/20 20:01:44 6A3xLemM
レンの?

506:名無しさん@ピンキー
09/08/20 20:17:57 DDLjjXyH
乳くさいリン萌え

507:名無しさん@ピンキー
09/08/20 20:35:51 ymXFdINE
>>502
懐かしいところでサラダの国のトマト姫とか。

508:名無しさん@ピンキー
09/08/21 01:58:44 qxLgdbKy
グミがどういうキャラなのか分からん
誰かSSにしてみてくれ

509:名無しさん@ピンキー
09/08/21 02:34:31 9LZ5UrOY
>>508
自分の中では、人参とお兄ちゃんが大好きなブラコンというイメージが付いてるw
グミ可愛いよグミ

510:名無しさん@ピンキー
09/08/21 08:17:53 xQiG7YuW
>>509
まるっと同意
あの歌の影響が強すぎるw

511:名無しさん@ピンキー
09/08/21 08:38:21 sBJ5aEp1
>>507
トマトマトマト、トマトマトン♪

512:名無しさん@ピンキー
09/08/21 09:15:34 d+X5jnkg
>>511
トマト違いw

513:名無しさん@ピンキー
09/08/21 13:29:07 f+AJv0/k
♪T.O.M.A.T.O トマト T.O.M.A.T.O トマト T.O.M.A.T.O トマト
 トマト トマト I hate you!♪

514:名無しさん@ピンキー
09/08/21 15:13:49 UKaq6X8y
今日のオワタPスレはここですか

515:名無しさん@ピンキー
09/08/21 15:30:01 m2rbMNLz
大のトマト嫌いのKAITOとKAITOにトマトを克服させようとする女性ボカロ(誰でもおk)
トマトを食べられるようになったら夜の相手をしてあげると言われたKAITOの返答は如何に!?

と言う電波を以下略

516:名無しさん@ピンキー
09/08/21 18:48:34 qxLgdbKy
スレを止めるほどの毒電波w

517:名無しさん@ピンキー
09/08/21 20:22:22 ujH4pXa5
トマトプレイですねわかりまs(ry

次の日山盛りトマト食ってるのが想像できるので困る

518:名無しさん@ピンキー
09/08/21 21:50:38 hA/OIaG2
おいおい
トマトはMEIKO色じゃないか
熟したトマトを食すのは誰だ

519:名無しさん@ピンキー
09/08/21 22:58:14 7oI9OENB
ミク色→メイコ色に変化か。

520:名無しさん@ピンキー
09/08/22 02:06:19 i0KnHIiu
ルカ色のトマトが無い…

521:名無しさん@ピンキー
09/08/22 02:26:30 WiMqw5Ls
やっすいハムとかピンク色じゃん

522:名無しさん@ピンキー
09/08/22 07:26:56 Gw/V2hAF
>>520
熟しきってないトマトは桃色なんだぞ

523:名無しさん@ピンキー
09/08/22 11:21:19 IFgrPfz3
黄色いトマトもあるよね。


524:名無しさん@ピンキー
09/08/22 11:21:44 TAOMmSAt
>>519
ミク「つまり私もいつかメイコ姉さんみたいにボインボインに!」

525:名無しさん@ピンキー
09/08/22 12:18:22 p9amXA/+
スペインのお祭りよろしくトマト投げ戦争の始まりですね、わかります

526:名無しさん@ピンキー
09/08/22 12:50:11 BHnam0c2
当たっても痛くないトマトの種を輸送するけど、いろいろな邪魔にあって
お祭りに間に合わないんですね。

527:名無しさん@ピンキー
09/08/22 13:47:57 X3YxSsk0
これを貼れと言われた気がry 最近はトマトが流行りなのか

【鏡音リン】いいからトマト食え【オリジナル】
URLリンク(www.nicovideo.jp)

528:名無しさん@ピンキー
09/08/22 17:41:05 i0KnHIiu
スレの流れがとまっとる

529:名無しさん@ピンキー
09/08/22 18:11:40 WiMqw5Ls
繧ォ繧、繝医€後≠繝シ繝医�槭ヨ鬟溘∴縺ュ繝シ縲ゅ∪縺倥%繧薙↑髱定�ュ縺上※驟ク縺」縺ア縺�繧ゅs鬟溘∴縺ュ繝シ縲�

繧√>縺薙€後∪縺√€√き繧、繝医�ッ繝医�槭ヨ雖後>縺ェ縺ョ�シ溘€�

繧ォ繧、繝医€悟、ァ雖後>縺縺」縺、縺�縺ョ縲�

繧√>縺薙€瑚オ、縺�繧ゅ�ョ縺悟ォ後o繧後k縺ョ縺ッ繧上◆縺励′雖後o繧後※繧九∩縺溘>縺ァ豌怜��縺後o繧九>繧上€�鬟溘∋縺ェ縺輔>縲�

繧ォ繧、繝医€檎┌逅�縺」縲√∪縺倡┌逅�縺ス縲�

繧√>縺薙€後⊇繧峨€�驟ク縺」縺ア縺�繧ゅ�ョ縺」縺ヲ鄒主袖縺励>繧上h縲ゅo縺溘@縺ョ縺翫∪繧薙%繧らセ主袖縺励>縺ァ縺励g縲�

繧ォ繧、繝医€後�倥う縲√ン繝�繝��シ√♀蜑阪�ッ菴輔r隧ア縺励※縺�繧九s縺縲�

繧√>縺薙€後ヨ繝槭ヨ繧帝」溘∋繧後�ー繝翫ル縺輔○縺溘£繧九▲縺ヲ縺�縺」縺ヲ繧薙h縲�

繧ォ繧、繝医€後リ繝九<縲懶シ溘�ッ縺ッ縲∽ソコ縺後◎繧薙↑菴惹ソ励↑閧画ャイ縺ォ隱俶ヱ縺輔l繧九o縺代′繝「繧ー繝「繧ー繝「繧ー繧エ繧ッ繝ウ縲�

繧√>縺薙€梧э諤昴h繧上▲縲�

繧ォ繧、繝医€梧怙霑代が繝翫ル繝シ縺吶k證�縺ェ縺九▲縺溘°繧峨€よ弍髱槭→繧ゆス惹ソ励↑閧画ャイ繧呈コ€縺溘@縺溘>縲�

繧√>縺薙€後≠繧峨€√§繧�縺ゅ€√&縺槭°縺玲ソ�縺�縺ョ縺梧コ懊∪縺」縺ヲ繧九�ョ縺ァ縺励g縺�縺ュ縲�

繧ォ繧、繝医€後◆縺上&繧薙→縺セ縺」縺ィ繧九h縲ゅヨ繝槭ヨ縺縺代↓縺ュ縲�

繧√>縺薙€後#繧√s縺ェ縺輔>縲√o縺溘@逕溽炊縺ッ縺倥∪縺」縺。繧�縺」縺溘∩縺溘>縲�

530:名無しさん@ピンキー
09/08/22 18:12:31 WiMqw5Ls
あ、すまん

531:名無しさん@ピンキー
09/08/22 21:12:15 Ce50w6mq
>>530
何を書いたのか気になるだろうが!!

532:名無しさん@ピンキー
09/08/23 09:46:21 bX0u8Pde
カイルカのSM調教ものに違いないと幻視

533:名無しさん@ピンキー
09/08/23 11:15:38 hbZTcqBb
文字化け直してみたら、トマトネタだったw

534:名無しさん@ピンキー
09/08/23 17:40:05 AHjRLzoy
スーパーセルの「君の知らない物語」ってPVでアイス食ってるよな?
つまりアレってミクがカイトに恋して、
それからカイトがメイコと付き合ってるのを知って、
その思いを吹っ切る歌なんじゃねーかな

535:名無しさん@ピンキー
09/08/23 20:23:34 FVVfzT70
きめえ


どうせなら夏でどろどろに溶けたアイスプレイが見たいです先生

536:名無しさん@ピンキー
09/08/23 20:45:41 8f7chgwq
MEIKOの乳に挟まれたい欲求が定期的にやってくるんだ
特にディーヴァ仕様の

537:名無しさん@ピンキー
09/08/23 20:47:14 ULajF+30
食べ物で遊んではいけません

538:名無しさん@ピンキー
09/08/23 21:04:19 e8u/P0by
誰かGUMIの水着モデル作ってくれねーかな・・・

539:名無しさん@ピンキー
09/08/23 21:12:29 0Oxy8MGF
駄目だ、「悪の召使い【全部ペンギン】」を観てしまって腹筋が崩壊して、エロい妄想が
湧いて来ないwww 死ぬww

540:名無しさん@ピンキー
09/08/23 22:54:19 +inJBeff
>>538
水着がないなら裸でいいじゃない

541:名無しさん@ピンキー
09/08/23 23:12:47 C8XdJAR5
>>540
目から鱗…ならぬ大量のネギがっ!
全裸はさすがに寒いだろ

つ こしまき

542:名無しさん@ピンキー
09/08/23 23:25:19 35DK6gYM
おにゃのこ五人全員全裸で絡み合って欲しいです

543:がくみく5 ◆1jnkY4.1/w
09/08/23 23:37:15 NyrZ1X/o
すんません、遅くなりましたが前スレの>886の続きです。

===============================

「……綺麗だ……」
「ホントに?」
「あぁ、ただこの姿を他の輩に見られるというのが気に食わないな。仕事とは言え」
思っていた以上に自分は独占欲が強いのかもしれない。
ユーザーの手によって、様々にその表現を変えることが出来るという身なのに、
その仕様を恨めしく思う事があろうとは。
「……じゃ、仕事以外じゃこの格好しません……」
「そうしてもらえると有難い」


「それにしても無防備だな、この姿。ローアングルからこうズームアップして……」
片足を持ち上げて、くるぶしに唇を落としながら、小さな布が隠している下腹部に目を遣る。
そして、脹脛、膝、内腿へと舌を這わせ上へと進んでいく。
「やん…くすぐったいです……」
「男どもに、『ひょっとしたら見えるんじゃないか』、って思われながら、
 ここを凝視されたり体を操作されてしまうのだぞ?」
「……やだっ!変態っ!!変な事言わないで……」
「いや、わからんぞ?数多おるユーザーの中には…ん?」


がくぽはミクの膝を曲げた状態のままで脚を開かせると、そこに身を滑り込ませ、
既に熱を帯びているであろう箇所へと指を伸ばす。
しかし、そこに到達する前に明らかな変化を確認してしまった。
「……凄いな、もうこんなに濡れているとは……」
「そ、それは素材のせいっ……」
「ふーん、透ける素材と知って着ておったのか。変態はそちらであろう」
「……え?す、透けてるの?」
泣きそうな声でミクは尋ねる。それに対しがくぽはそれはもう楽しそうに、かつ意地悪く答えた。
「白地なのだからそれなりに透けるであろう。
 やらしい汁を散々吸って、貼り付いておるのだからなぁ。凹凸も一目瞭然だ」
一度動きを止めた指が、再びそこへ向かう。
「や、やだ、押しちゃダメぇ……」
触れた指の圧力で、ぶじゅ、と音をさせながら液体が染み出してくる。
布の下にある割れ目に沿って指を滑らせたり、少しだけ入り口から押し進めてみたり、
指の動きも、愛液が生じさせる音も、次第に激しくなっていった。
「やはり、硬くなってるココがいいかのう?」
「あぁっ……やぁっ!」
いや、などと言いながらも、恐らくそこを刺激して欲しかったのであろう。
ミクは腰を浮かせてその刺激を受け入れる。もっと、もっとと言わんばかりに。

544:がくみく6 ◆1jnkY4.1/w
09/08/23 23:38:48 NyrZ1X/o
「あー、ほれ、こんな格好であんな激しい踊りを踊ったとはなぁー。
 一寸足らずずらしただけで、見えてしまうではないか」
そう言って、ブラを少しずらし、乳頭にひっかかったままになるようにした。
「…あ…?」
「そのまま立ってみろ?」
横たわるミクを抱え身を起こさせると、姿見の前に立たせた。
鏡を覆う布を捲ると、そこにあられもない姿が映し出された。
「ほら目を逸らすでない。こんな風になるのを妄想されておるのだぞ?」
「……や……やだぁ……」
「いや、もっと酷い想像をされているかも知れぬのう…こんな風に」
がくぽは後ろから回した手でビキニのパンツを上へと引っ張った。
食い込んだビキニは、割れ目を、そしてクリトリスを容赦なく刺激する。
「毛も具も丸見えではないか。しかもこんなに汁を垂れ流して」
恐る恐る、そこに移りこむ自分の姿を見る。がくぽの言うとおりだ。
いつの間にか、愛液は内腿を伝い落ちていた。そして。
己の秘肉が、更なる刺激を求めるかのようにひく付いているのを感じた。
もっと、もっと奥の方へと……。


「この白い腹や、背中が好きだというのに。それなのに紫外線に当たろうというのか?」
後ろからミクを抱きかかえながら、腹をなで上げ、肋骨に沿って指を滑らす。
そして、同時に背中にキスをしながら、舐めあげた。
「ふあぁああああっ!!」
足が震えて体を支えることが出来ない。
膝を付きそうになったミクを、後ろから抱きかかえて軽く持ち上げ、
水着をずらしつつ、己自身を突き入れた。

「あぁああああああっ!!」
ミクが一際大きな声で鳴いた。
「や…い…いきなりっ……」
「と言う割にはあっさり入ったが?よいせっと」
身長差のせいでなかなか不安定な体勢。このままでは双方共にキツイと思ったがくぽは、
ミクを四つん這いにさせた。
「やだぁあ……」
繋がった腰は持ち上げたまま、額を畳に押し付け顔を隠すミク。
視界を絶ったところで、自分の中の感覚を紛らわせることは出来ない。
ゆっくり、ゆっくり、焦らすようにがくぽは腰を動かす。
自分自身に絡み付いてくる秘肉の感触を楽しんでいるのだ。
少し入れては押し返してくる膣内。
『相変わらずキツイのぅ』
そして、ゆっくりとそのまま奥まで突き進んでいく。
「や…あ……あぁあああんっ!」
「一番奥まで、届いたぞ?」
緩い動きなのに、衝撃が背筋を通り、脳髄を直撃した。

545:がくみく7 ◆1jnkY4.1/w
09/08/23 23:39:19 NyrZ1X/o
「ん?もう果ててしまったのか?」
状況を見れば訊くまでもなく判る事を、敢えて口にするがくぽ。
そして、訊いたところで聴こえてくるのは乱れた呼吸のみ。
返事を待たず、再び後ろからミクを抱え、その身を起こさせる。
「誰も目を逸らしていい等と言ってないであろうが」
胡坐をかいて、丁度その膝の上にミクが収まる体勢に……無論繋がったままの状態で。

項垂れたままのミクの顎に手を添えると、くいっと顔を上に向かせた。
「まー、これだけ猥らな表情をしてるのはそう想像出来ないであろうがな」
目の前の鏡に映った顔は、半泣きで、涎を垂らし、目も口も半開きで。
当の本人だって目の当たりにすることはそう無い。
「……だぁ……」
耐え切れずにミクは視界を瞼で遮断した。
「ん?拙者はもっと見ていたいのだが?」
がくぽの指が涎の跡を辿り、唇を一撫でするとそのまま咥内を侵してく。
目を閉じ視覚を遮ってしまったせいか、触覚が冴え渡る。
指先で舌を弄ばれ、もう片方の手の指先で乳首を捏ね回され、男根で子宮口を突き上げられ。
外から内から刺激を与えられ続け、正気を保つことすら限界で。

「……ぷはっ……?!」
開放された口から、一気に空気を吸い込む。
「ぬ……三点と言えば、こちらかのう?」
「あ…ダメ……待って、待ってって!!」
待てと言われて聞く耳など持ち合わせていない。
無遠慮に包皮を捲りあげた指が、紅く膨れ上がった陰核に触れる。
「ふぁああっ……!!」
「わかりやすいのう、こんなに締め付けて。そろそろ動い……動かしてもいいか?」
「やぁ……っ!これ以上無理ィ……変に……なっちゃうよォ」
「……なればよいではないか」

ボソッと耳元で呟いた次の瞬間、ミクを膝から掬い上げ、身体を持ち上げた。
「ほれ、繋がっている所が丸見えだ」
抜ける直前まで持ち上げられると、鏡は更に明瞭にうつし出した。
大量に愛液を垂れ流しながら、ミクの秘所ががくぽのモノを咥えこんでいる光景が。
『いつもこんなのがはいってたんだー、からだってすごいなー』
恐らく、これが最後の思考だった。
激しく上下に揺さぶられる体。膣壁を擦り上げる陰茎。
自分の意思と関係無く漏れる悲鳴と性器の擦れ合う音。汗と体液の立ち込めるにおい。
感覚の全てが更なる快楽を呼び寄せる。
ミクが何度達した頃だろうか。
「もう……限界だ……」
がくぽはミクの奥へと精を放った。

546:がくみく8 ◆1jnkY4.1/w
09/08/23 23:41:52 NyrZ1X/o
「おまいも出してもらえればよかったのにねぁー。男連中も出てるんだし」
「褌でネタ要員にしたかったのであろう?」
「ん、当り。つかコンボ出ない。無理。がくぽ、コンプしておいてー」
「……それでよいのか?ゲームとして」
「あー、いいのいいのー」
エディットが目当てでゲーム購入したものの、普段音ゲーをしないマスターは、
あっさりと諦めて、攻略をがくぽに押し付けた。

確かに。画面から出た身でならゲームをプレイすることが出来た。
音楽なら専門分野。300bpm、64/1拍を認識して違うことなく歌える身なのだから、
曲を覚えるまでもなく、画面を見ただけであっさりとクリアしてしまった。
「うっは、テラチートwww」
次の日の夜、仕事から帰ってきたマスターは、モジュール、アイテム、
全てを揃えたセーブデータを受け取った。

「あ、主。エディットのデータ、決して消すでないぞ?」
「はぁ。別にいいけど。そこまでいじってたの?」
「やっぱり本物の方が良いな。では」
そう言い残して、がくぽはPCへと戻った。

「別に興味無さそうだったのに。ま、見るなとは言ってないよなwww」
数分経過。
「なんじゃあこりゃああああ!!ミクの乳とケツのアップばっかりじゃんか!」
しかも、アングルが変わるのみで、モーションもろくに使わず。
「……あいつ、いつの間にこんなヤツになったんだろう……頭悪い男子中学生か……」




後日談。

「スクール水着なら露出も少ないから構わぬぞ」
「ちゃんと持ってきたから行こう!」
「しっかりと全身に耐水タイプの日焼け止めを塗ってだな…」

……結局、ローションプレイ的な方向に走り、その日もプールへは行けず終い。
「家で行水で十分ではないか?ん?」
「なんか、この夏プール行けないような気がする……」
布団に突っ伏したミクは、枕に顔を埋めたまま呟くとそのまま眠ってしまった。

『せめて……せめて25mは泳げるようにならねばっ……!!』
拳を握り締め、がくぽは心の中で叫んだ。
まだまだ夏は始まったばかり。


547: ◆1jnkY4.1/w
09/08/23 23:48:36 NyrZ1X/o
以上です。

何が「夏はまだ始まったばかり」だorz

えらく間があいてしまいました。
背面座位です。分かりにくくてすいません。

早くグミとルカが書きたい。レンリンも続き書きたいなぁ。
妄想に追いつかない作業スピードが憎いwww

548:名無しさん@ピンキー
09/08/23 23:49:24 k2LFxruG
>>546
GJ!!
続き超待ってました!
泳げないんだがくぽがなんか可愛いw
大変萌えました。
ありがとうございます。

549: ◆Yqu2Vih7dU
09/08/24 00:50:40 t4ZUFcqm
>547
自分も続き超待ってました。GJです!

さて。

>139 の、
「がくぽとリンがべったりでつまらないから何となく一緒にいる内に」
のレングミを自分なりに消化したら以下のとおりになりました。
レングミいいよレングミ。

550:依るところのないわたしたち(レングミ)1/4 ◆Yqu2Vih7dU
09/08/24 00:52:13 t4ZUFcqm

神威さんとリンがくっついてこのかた。
リンの片割れであるところの俺は、なんとなく暇を持て余している。

今まで何をするにも一緒だったし。
いつもやってたゲームだって、対戦相手がいないと張り合いがない。

「……つまんねえなあ。」

今日はオフ。例によってリンは神威さんのところ。
家にいてもつまんないし、用事言いつけられでもしたらうざいし。

「公園でも行くかな。」

行って、またゲームでもやろう。
もしかしたら、対戦相手も見つかるかもしれないし。
そう思って、出かけてみた。


551:依るところのないわたしたち(レングミ)2/4 ◆Yqu2Vih7dU
09/08/24 00:53:46 t4ZUFcqm

公園に行ってみると、人があんまりいなかった。

「そっか、みんな宿題やってんだ。」

世間は夏休み終盤。
普段公園で顔を合わせる連中は、みんな慌てて宿題に取りかかってる頃なんだろう。

「つまんねーなー。」

そう思っていると。
ベンチに見知った顔を見つけた。

「えっと、……ぐみさん?」

見かけた彼女は、なんとなく、寄る辺もなくぼんやりとしている。
その様子が気になって、ちょっと声をかけてみることにした。

「ちわっす。」
「あ、レン君。」

552:依るところのないわたしたち(レングミ)3/4 ◆Yqu2Vih7dU
09/08/24 00:55:28 t4ZUFcqm

ぐみさんの手には、俺と同じゲーム機があった。

「ぐみさんも、対戦相手探しに来たんすか?」
「あ、うん、それもあるけど。
 何となく、うちには居ちゃいけないかな、って。」
「え?」
「ほら、お兄ちゃん達の邪魔しちゃ悪いってゆーか。」

あ、そうか。

ぐみさんは神威さんと一緒に住んでて。
リンが神威さんちにお邪魔してるということは。

「すんません。うちのバカ妹が。」
「あ、ううん!そんなんじゃないの!私が勝手にこうしてるだけで!」

ぐみさんは、慌ててそう答えるけど。
そうだよな。俺と同じく、居場所を無くした、みたいなもんだよな。

そう思いつつも。
その辺の話はあんまり突っ込んじゃいけないような気がして、別の話題を探す。


553:依るところのないわたしたち(レングミ)4/4 ◆Yqu2Vih7dU
09/08/24 00:57:06 t4ZUFcqm

「えっと……、ぐみさんも、ゲームとかやるんすね。」
「うん、けっこう好きだよ。」
「じゃあさ、俺と対戦しないすか?」
「え……?」
「てか、ウチ来ません?他のみんなも居るし。」
「んー、じゃあ……。お邪魔させてもらおうかなあ。」

そのときは。
ぐみさんを誘ったことに、深い意味なんてなくて。

だから。
俺とぐみさんがそういう関係になるなんて、
そのときは全く想像していなかった。


554: ◆Yqu2Vih7dU
09/08/24 00:58:47 t4ZUFcqm

とりあえず、ここまで。
またこの二人も、エロまで遠そうだなあ……。

555:名無しさん@ピンキー
09/08/24 07:08:57 UQG/LoLS
>>540
全裸には萌えが無い!
例えおてんと様が許しても(ry
 
 
 
せめてニーソぐらいはかせなさい

556:名無しさん@ピンキー
09/08/24 07:14:32 SBJsb0Ke
>>540
と、全裸にマフラーのみの男性が主張しております。

557:名無しさん@ピンキー
09/08/24 07:56:59 GLsYJzM0
>>554
おおレングミ密かに待ってた!GJ!
続き全力で待ってる エロの遠い二人こそ萌えるってもんだ

558:名無しさん@ピンキー
09/08/24 10:06:04 +Jcobeea
>>554
これはwktk
エロまで遠くてもいい。じりじりしながら待つ

559:139
09/08/24 11:11:10 rxHdWs9V
∑(゚ω゚ノ)ノまさか書いてもらえるとは!
やっぱりレングミ可愛いよ、うん。
全裸に首輪つけて続き待ってる。


560:名無しさん@ピンキー
09/08/24 21:34:06 iByEEVW3
がくミクとレングミGJ!!

561:名無しさん@ピンキー
09/08/25 07:20:17 IUPjJLdG
>>559
つニーソックス
 
ほら、夏とは言え風邪ひくぜ

562:名無しさん@ピンキー
09/08/25 11:01:17 mZQzR6oF
>>559
大事なとこくらい隠しとけ

つ星形シール

563:名無しさん@ピンキー
09/08/25 20:32:20 QZcutSHO
>>559
もっと大事なとこも隠せよ

つディフェンスに定評のあるマフラー

564:名無しさん@ピンキー
09/08/25 20:35:59 /jQOXggQ
>>561ー563
おはいら、>>559に何を求めているんだwww

565:名無しさん@ピンキー
09/08/25 21:53:43 T3SO+amt
現在の>>559

E 首輪
E ニーソックス
E 星型シール
E マフラー


566:名無しさん@ピンキー
09/08/25 22:16:05 xO6vdNaB
紳士ならネクタイもつけておけ・・・頭に巻くとか

567:名無しさん@ピンキー
09/08/25 22:22:29 H2uFJCmW
首輪とマフラーはどうやって一緒に装備するんだろうか

568:名無しさん@ピンキー
09/08/25 23:16:47 GsEIyRuE
>>567
マフラーは肩かけみたいにして着用すれば、あら不思議、マフラーをつけているのに首輪もちゃんと見える。

569:名無しさん@ピンキー
09/08/25 23:23:59 mT1LQ1Cb
額に巻けばよろし。

570:名無しさん@ピンキー
09/08/25 23:34:14 Nzqz1CL4
おめでとう!
>>559はKAITOに進化した。

571:名無しさん@ピンキー
09/08/25 23:40:37 64Cv3bzd
マフラーはディフェンスしないといけないから、ネクタイは頭に巻いてマフラーは体に巻いたらどうだろう

572:名無しさん@ピンキー
09/08/26 00:30:51 EfOiL2ZG
マフラーは首に巻かずにfndsとして使用すれば首輪とも被らないし問題ない
ネクタイは猿ぐつわとして使え但し決して汚すな

573:名無しさん@ピンキー
09/08/26 00:39:44 dncDoAwr
>>572
片棒担いどいてなんだが
なんのスレだここwwwwww

574:名無しさん@ピンキー
09/08/26 01:13:33 eoy6q2l3
>>559の人気に嫉妬

575:名無しさん@ピンキー
09/08/26 01:26:02 Bc0Iv2KQ
後は>>559が現在の紳士姿をうpるのを待つだけでつね

576:名無しさん@ピンキー
09/08/26 07:34:38 dLN94KjD
>>575
オラ、ワクワクしてきたぞ!

577:564
09/08/26 08:58:05 FTLQTwL7
おwwwまwwwいwwwらwww

せっかくだ、ニーソの上からだと履きにくいかもしれないけど受け取ってくれ>>559
⊃白足袋

578:名無しさん@ピンキー
09/08/26 10:41:41 d/6RYbNC
>>577
一気にブラボー兄貴画が展開されたじゃないかどうしてくれる

579:名無しさん@ピンキー
09/08/26 11:21:04 BtXK4cSv
おまいら>>559だけそんなんだなんて不公平じゃないか

誰か一緒にやってやれ
出来れば合わせて三人で

580:名無しさん@ピンキー
09/08/26 12:31:51 Bc0Iv2KQ
さあ、どうぞ>>579

つ【首輪】
つ【ニーソックス】
つ【星形シール】
つ【マフラー】
つ【ネクタイ】
つ【足袋】

581:名無しさん@ピンキー
09/08/26 13:30:54 FTLQTwL7
>>559を吊り上げるには>>554さんのレングミ続き投下を待つか
他のレングミを投下するしかないなw

>>578
どうもしないwww

582:名無しさん@ピンキー
09/08/26 14:19:02 BtXK4cSv
>>580
おーこれは御親切に…

















レスしたが最後テメーも道連れだ>>580


583:名無しさん@ピンキー
09/08/26 17:18:09 XvS5p1LN
おめでとう。
>>579はがくぽに
>>580はレンに
それぞれ進化した!

584:名無しさん@ピンキー
09/08/26 19:59:50 Bc0Iv2KQ
>>582
せっかくのお誘いですが、お断りします

E スクール水着

585:名無しさん@ピンキー
09/08/27 02:13:04 GtbrzmZr
つ パンスト

これを頭から被っておけ
心配ない、鏡を見ても得体の知れない変態と目が合うだけさ

586:名無しさん@ピンキー
09/08/27 07:09:05 7rdN3PpQ
あれwこのスレなんのスレだったっけ?わからなくなったwwwww








>>559>>579-580
ステージ用意したからおまいら歌えよ。
 
なんか最適なバナナイスの歌教えてくれ使うから。

587:名無しさん@ピンキー
09/08/27 09:17:25 qhdIL3U5
>>586
バナナイスにこだわらなければ、振り付け的には Love & Joy あたりが定番ではw

588:名無しさん@ピンキー
09/08/27 09:44:12 c5WpLKpk
さぁ誰かAAかMMDで作るんだwww

589:名無しさん@ピンキー
09/08/27 11:25:39 DnEyiZ+s
バナナイスのビジュアル系っぽいやつ
アレを変態仕様で真面目に歌えw

590:名無しさん@ピンキー
09/08/27 11:59:29 W6NpC78T
イミテーションブラックか。

591:名無しさん@ピンキー
09/08/27 15:09:09 xI5KLm9Z
流れがカオスすぎるwww
紳士と変態が織り成すハーモニーパネェです

592:名無しさん@ピンキー
09/08/27 15:12:53 O3xeyeWF
559!そろそろ来ないと大変なことになるぞ!!wwwwwww

593:名無しさん@ピンキー
09/08/27 16:07:54 90EXHkYU
応答せよ、>>559

>>583
自分がくぽかよwww
これも救われないがく誕記念書いた報いか…

594:名無しさん@ピンキー
09/08/27 16:18:04 dnMAC81e
しかしこのスレはリンがいないみたいだけど・・・

595:559
09/08/27 17:58:08 a90Pt/ot
う お お お お お 
ちょっと放置してる間になんか大変なことになってる

596:名無しさん@ピンキー
09/08/27 18:22:13 EJ/qFqdk
やあ、お帰り>>559 待っていたよ


E スクール水着
E パンスト

597:名無しさん@ピンキー
09/08/28 02:12:20 0zRhaQIK
>>595
お帰り
さぁ早く衣装に着替えたまえ

あ、これよかったらムダ毛処理に使って
つガムテープ

598:名無しさん@ピンキー
09/08/28 04:47:00 p/j1BRmH
ちょ、ここ何スレだっけ?www
駄目だこいつら早くどうにかしないと・・・

誰か、誰か・・・
めーちゃーーん!早く来てー!

599:名無しさん@ピンキー
09/08/28 05:08:36 fv1/lox8
>>594
つリボン
つスクミズ
おまいがやればいいじゃないか

600:名無しさん@ピンキー
09/08/28 06:55:19 fv1/lox8
>>588
言い出しっぺというものが(ry

601:では、空気読まずに
09/08/28 07:50:29 ZrShVO6m
がんばれ、がくぽ外伝、14歳の暴走編。


※注意
ひたすら長いだけ。
キスぐらいです。
カイトが完全に狂言回し。
14歳は暴走中。
テーマパークにいった夜から。

「お兄さんは苦労性」です。

602:お兄さんは苦労性1
09/08/28 07:52:40 ZrShVO6m
めーちゃんがドアを開けたのはもうすぐ日付が変わる頃だった。
必ずノックをするから聞こえなかったんだな。
閉園まであそこにいればそれなりに遅くなる。シャワーを浴びていたなら、このくらいの時間が妥当だ。
「どうしたの?こっちに泊まるの?」
パジャマに枕を抱えていたから。髪がまだ湿っぽい。
新しいリリックを読みながら、曲を聴いている最中だったけど、今じゃなくても何とでもなるからリバースを止める。
「明日仕事なのよ」
「うん」
午後からね。
俺とめーちゃんはほとんど必要に迫られて全員のスケジュールを把握している。
「だから、ちょっと付き合って」
「うん」
めーちゃんはの顔に表れていたのは一言で言えば動揺だった。
手で指示されるままにベッドに寄りかかる。
床に座り込むの癖だからさ。せっかく机もあるのにとよくミクに言われるけど。
「初めに言っておくわ。KAITOには何の問題もないから。完全な八つ当たりだから」
「うん」
枕で叩かれるとは思わなかった。羽根枕というあたりに相当気を使ってるんだろうな、ぜんぜん痛くないし。

攻撃が止む。
顔を庇っていた腕をのけると、めーちゃんは枕を抱き締めている。
俯いていて顔が解らないから枕ごと抱き締める。
「めーちゃん……MEIKO、何があったの?」
「何も」
まだ動揺が伝わってくるから、落ち着くように背中を一定のリズムで叩いてやる。
聞く権利はあると思うけど、MEIKOが話したくないなら無理には聞き出そうとは思わない。口堅いんだ、この人。頑固だし。
「シー、面白かった?」
「割りとね」
それ以上は突っ込まないことにする。

MEIKOとは姉弟ということになってるけど、それはミクが来てからで、それまではただの同僚だった。発売はMEIKOの方が早いけど開発は殆ど一緒だったし。
一緒に暮らしていたし、それに付随する家事は完全に分担だったけど、家族という概念はなかった。MEIKO、KAITOと呼び合っていたし。
ミクが来て、お兄ちゃんと呼ばれた時は驚いたよ。そんな風に思ったこと無かったから。でも、なんとなく、二人ともその遊びに乗ってみようかと思った。
疑似家族みたいなのもおもしろそうかなって。


603:お兄さんは苦労性2
09/08/28 07:54:24 ZrShVO6m
MEIKOは立ち位置が変わるわけじゃないから、そんなに苦労はしないらしかったけど、俺はMEIKOのことをなかなか姉さんとかいえなくて、結局、めーちゃんになった。
ミクは素直で可愛くてちょっと停滞気味だった俺達に新しい風と光をくれた。
兄弟設定ってものすごく楽だし、楽しいし、上手く機能してくれると思う。
でも反面、一番上のめーちゃんに実のところ負担が行くんだよね。
優しくて繊細な気遣いもできるめーちゃんは幼い設定の後輩達のためにお母さん的な立ち位置を引き受けてしまった。
ひとりぐらい、ガミガミいう人間が必要でしょ。生活って楽しいことばかりじゃないから。
俺がもうちょっとしっかりしていて、厳しい父親的な立ち位置を確保できればよかったんだけど。ヘタレでごめんね。
だから、時々、めーちゃんはMEIKOになる。今回みたいな方法は初めてだけど、お酒に付き合うくらいはぜんぜんOK。もっと甘えてもいいのにって思うけど、他の後輩がいるとやっぱりめーちゃんしてるからさ。
あんまり仲良くしてると、ミクがヤキモチ妬くけど、こればっかりはね、かわいいミクの言葉でも聞いてあげられない。
ほかのことは何でも叶えてあげたいけど、MEIKOにだってたまにはグチを聞く相手が必要だと思うから。
「一緒に寝る?」
「そうね」
枕持参だしねって言ったらちょっと笑ってくれた。
まだちょっと動揺してる感じだし。
ミクたちと違って俺達旧世代は情緒面の制御がちょっと弱いんだ。MEIKOの動揺がその辺に端を発してると時間かかるかもと、何となく思う。
ベッドは大きくないけど二人眠れないほどじゃない。
時々、ミクも泊まりにくる。あの子は甘えただから。甘えられると嬉しくなるけど。
「KAITO」
「何?……!」
一瞬だけ重なった唇。
何?何?何があったの?
考えるような表情をしたMEIKOはすぐに諦めるような表情をして、お休みと目を閉じる。
「休みが重なったらさ…」
んと吐息のような返事が返ってくる。
「LEONのところに遊びに行ったら?」
甘えてきなよと言うとまた、吐息で返事をする。
先輩ボーカロイドのところで年下してくるのも必要なんじゃないかって思った。たまにはさ。
そんな程度だったんだ、その時は。
何があったのか結局は解らなかったし。
お休みとスリープモードに移行した先輩ボーカロイドの額にキスして俺も目を閉じた。

604:お兄さんは苦労性3
09/08/28 07:56:55 ZrShVO6m
「めーちゃんは?仕事?」
ただいまの挨拶の後、キッチンに行くとKAITO兄さんが夕食を作っていた。
「LEONの所に遊びに行った。今日は二人だよ。ミクとリンは遅くなるから」
「ルカは?」
「一緒に遊びに行った。お皿持ってきて」
鰈の煮付けらしい。筑前煮と、後は常備菜と新じゃがの味噌汁。
何気に料理上手いんだよな。
「セッション?」
「美味い酒が手には入ったから来いよって」
海外製ボーカロイド達は違うところに住んでる。遠くもないけど近くもない。
LEONは大先輩のボーカロイドで見かけは兄さん達よりも年上な大人の男って感じだ。陽気で包容力があって頼りになる感じ。
兄さんが頼りにならないわけじゃないよ。何でもどんと来いな厚みがある。
若干スキンシップが激しいかな。すぐにハグするし、キスも挨拶代わりだし。
兄さんに連れられてリンと挨拶がてら遊びに行った時なんて、
リンをBabyBaby呼んで膝の上に置きっぱなしだった。人形じゃないんだぞ。
リンも赤ん坊じゃないもんとか言って憤慨してたけど、可愛いって意味だよと兄さんに言われたらすぐにご機嫌になりやがった。現金な奴め。
「味付け間違った?」
言われて初めて箸が止まってることに気づく。
あれ?変だな。
「調子でも悪い?」
「ぜんぜん、平気」
平気じゃないけどなんでだ?
LEONの大きな体がめーちゃんをハグして、頬にキスして、めーちゃんがそれに応えるのを考えただけでムカつく。
すんげーブルー。ブルーになったことにブルー。
背も高くて体も厚くて、何でも解ってる大人の男の前でなら、めーちゃんは可愛くなるんだろうか。あの時みたいに。
すっげームカつく。
自棄のように夕飯を掻き込んで、俺はさっさと部屋に避難した。


605:お兄さんは苦労性4
09/08/28 07:59:37 ZrShVO6m
部屋に戻ったってやることなんかない。
やんなきゃならないことはあるけどその気にならない。

イタズラのつもりだった。殴られて謝って奢らされてそれで終わりのはずだった。
なんなんだよ、俺。
ベッドの上で転がる。
なんなんだよ。
柔らかい感触とか、甘く香るものとか、何より、潤んだ目。
謝り損ねたから引きずってるだけだ。

今頃は御馳走とか食べながら、ワインとか飲みながら、大人の会話とかを楽しんでるんだ。
すっげーブルー。ブルーになったことがブルー。
ノックがあって適当に応えると、兄さんが顔を見せる。
「レン、アイス食べる?」
実の所かなり珍しいんだけど、今はそんな気分じゃない。
「バナナは?」
「いらない」
「プリンあるよ」
「いい」
「じゃ、これ。少しはすっきりするよ」
ベッドに座った兄さんが差し出したのはグラスに入ったソーダ?
「梅サワーソーダ。飲んでごらん、疲れがとれるから」
一口飲んでみる。
酸味と甘みが程良く利いてて美味い。ほんのり酒の気配?
「梅酒も風味付け程度にね」
兄さんは頭をぽんぽんと叩いて立ち上がる。
同じだなと思う。めーちゃんも同じことをする。

上手く歌えなくて帰ってきたときとか、ホットミルクに蜂蜜とちょっとだけブランデーを垂らして持ってきて、頭を軽く叩いて何も言わずに行ってしまうのだ。
言いたければ聞くだけ聞くわよと言うのが年長二人のスタンスだった。

「兄さん!」
呼び止めて何言うつもりだよ。俺の馬鹿やろう。
どうする?何しゃべる?ほんとのことを言って裁定を仰ぐ?
「ルカはがくぽとくっつくのかな?」
壁に頭を打ち付けたくなった。
どっちが壊れるだろう。
「話したくなければ無理に話す必要はないよ」
バレてるし。
「ルカのカテゴリーではがくぽは俺達と同じ所に分類されてるからね。それを越えないと難しいだろうけど」
感覚的には兄弟なのか…………やべ、ブルー入る。
「ルカがそういう意味で気になるなら、直接言うべきだよ。考えてくれるだろうから」
ルカはそんな感じする。
下手打たない限り、お付き合いもしてくれそう。恋愛感情がなくても
でも………
肩を抱き寄せられる。一定のリズムで叩かれて気持ちが落ち着く。
聞かれたくないことは聞かないし、でもちゃんと気遣ってくれるし、見ててくれる。
ミク姉が絡まなきゃ、ちゃんと格好いいのに。


606:お兄さんは苦労性5
09/08/28 08:03:06 ZrShVO6m
「ゆっくり考えればいいよ。時間はたくさんあるんだし」
たくさんあるのかな。
「焦らない。焦って何かしても必ず失敗するからね。一回深呼吸する癖を付けるといいよ。そのくらいの時間さえとれない事態、そんなにないからね」
解ってるよと呟いて目を閉じる。
兄さんの手が気持ちよかったから。
その時は解った気になっていた。

「「お兄ちゃん、ただいま」」
ミクとリンがユニゾンで言う。
「お帰り。一緒だったんだ」
「駅であったの」
「お腹すいたぁ」
ミクとリンが同時に口を開く。
「食べてくると思ったから、筑前煮とかしか残ってないよ」
すぐにできるメニューを考えながら言う。
めーちゃんがいたら作らせなさいと怒られるところだ。
「オムライス食べたい」
何でもいいよと口が動きかけたミクを遮って、リンが言う。
「ミクは?」
「私もオムライスがいい」
チキンライスは冷凍庫に入っているからそんなに時間はかからない。
「お魚にしてね」
「ハイハイ。卵割るの手伝ってくれる?」
一瞬、リンが詰まったのはリンが割ると時々殻まではいるからだ。
「ミクも」
「うん」
「めーちゃんとルカは?」
「LEONの所に遊びに行った」
「レン君は?」
「もう寝たよ。疲れてたみたいだね」
「最近、レン変なの」
「そうなんだ」
「怒りっぽくなったし、すぐボーッとしてるし」
「そうなんだ。どうしたんだろうね」
「情緒不安定?」
どうしてだろうね。
応えながら、ミクの頭をぽんぽんと叩く。
「お兄ちゃん、疲れてるの?」
「何で?」
理解できずにちょっと戸惑う。
「だって、ぽんぽんって叩いてくれるのは、私が疲れてるときだけど、
私、今は疲れてないから、お兄ちゃんが疲れてるんじゃないかなって思ったの」
ちょっと屈んでといわれて腰を落とす。
ミクに抱き締められて背中を叩かれる。いつも俺やめーちゃんが妹や弟にやってあげること。
やってもらったことはなかったから、ちょっと面はゆい。
「ありがとう、ミク。疲れがとれたよ」
「あたしも!」
リンがミクに代わる。
屈み方が足りなかったのか、リンは俺の頭を抱き締めるだけだ。
力の加減が解らないのか胸にぎゅっと押しつけられるからちょっと苦しい。
いい子だなと思う。
優しい優しい妹たち。
「リンもありがとう。優しい妹を持って、お兄ちゃん幸せ」
頭を撫でてやる。
さ、お腹の虫を何とかしなきゃね。



607:お兄さんは苦労性6
09/08/28 08:06:11 ZrShVO6m
あ、使用中だ。
練習用のスタジオにはランプがついていた。
レッスン室を使うかときびすを返しかけて、止まる。
ドアが完全に閉まってないのか、話し声が聞こえたのだ。
めーちゃんと兄さんらしかった。
細い隙間だから、姿は見えない。
「………ダメ?」
「KAITOがいいなら………何かなぁ、上手くごまかされてる気分」
「誤魔化されてよ」
「どうしようかな」
聞いたこともないくらい甘い声。
「MEIKO、キスする?」
「いいかも……」
「SEXとか」
「どうしようかな……」
聞いていられなくて、気配を殺して離れる。
ブルーを通り越してかなりショックだ。
部屋に駆け戻って、ベッドにダイブする。
何なんだよ。何なんだよ。慣れてんならあの時紅くなったり、目を潤ませたりするなよ。
スルーしとけよ。何でしばらく紅いままだったんだよ。
胸が締め付けられるように痛む。何でそんな機能まで付いているのかとメンテナンスの時に文句言ってやろう。
痛い、痛い、痛い、痛い………。
やっと解った。
このイラついたり、ブルーになったり、舞い上がったりした感情の名前。
ちくしょう、遅すぎんだよ。産まれたのがさ。
やっぱ、開発に文句言ってやろう。
涙が止まらないって。


「麦茶持ってきたよ」
両手にグラスを持ってスタジオに入る。
「ありがとう」
めーちゃんの練習にお付き合い。ちょっとブレイク。
練習用スタジオはちょっとしたデモテープが作れるようにミキシングルームも付いている。簡易タイプだけどね。だから、二人の時はすぐにフィードバックできる。
「俺的にはぜんぜん問題ないように思えるんだけど、やっぱり、ダメ?」
「KAITOがいいなら………何かなぁ、上手くごまかされてる気分」
めーちゃんは床に座ったまま伸びをする。
「誤魔化されてよ」
根を詰めないでよ。無理しないでよ。まだ動揺してるから怖いよ。
「どうしようかな」
ちょっと甘えるような声。二人きりだしね。
「MEIKO、キスする?」
慣れだと思うんだよね。原因がキスなら。
「いいかも……」
冗談にとったらしい。それでもいいけど。
「SEXとか」
「どうしようかな……」
そんな気まったくないくせに。
「参考資料として」
「あんたはいいの?」
「どうせ、後引かないし」
お互い。
one night love。MEIKOがそれで落ち着いてくれるなら、何だってするよ。
「ああ、でもよく眠れるかも」


608:お兄さんは苦労性7
09/08/28 08:09:42 ZrShVO6m
「よく言われる」
何でかなぁ。
今はあんまり夜遊びしなくなったけど、してた頃は、ホントに腕枕だけ求められることもあった。腕枕と子守歌。
大抵なんかほっとけない目をしていたから気楽に応じたけど。
あんまり仕事がなかったあの頃。俺の歌を一番聴いてくれていたのは彼女たちだったかもしれない。おかげで子守歌のレパートリーは結構ある。がんばって覚えたからさ。
「誰に?」
「夜の蝶」
ほんとはいろいろな職種の人たちだった。OLさんとか、マヌカンとか、看護士とか、夜の商売の人もいたけど。
「一夜の宿の代わりに?」
「そう、腕枕と子守歌」
「いいかもね。疲れやすいのよ、最近」
それはね、動揺もしくはそれを発生させている感情に容量を取られているからだと思うよ。
云わないけど。
その晩、MEIKOが泊まりに来た。
一番の半分で眠りに落ちた。
ミクだって、一番ぐらいは聞くよ。
もちろん何にもしないけどね。

「お兄ちゃん…今日もめーちゃん、泊まるの?」
「多分ね。ミクも泊まりにきたい?」
KAITOとミク姉が廊下で立ち話。
部屋から出るに出られない内容。
今日もって何だ!
ミク姉もってなんだ!
「ん~…泊まりたいは泊まりたいんだけど…………」
泊まるが自動的に翻訳される。
KAITOのせいだ。
「リンちゃんはダメ?」
まて
「リン?」
「リンちゃんもよく眠れないみたいなの。だから、お兄ちゃん……」
「リンに手を出したら、ただじゃおかないからな!変態!!」
ふざけんな!
「お兄ちゃんは変態じゃないからね。レン君」
「絶対許さないからな!!ロリコン」
「だから、お兄ちゃんは変態でも、ロリコンでもないの!リンちゃんロリじゃないでしょ」
「レン……少し頭を冷やしなさい。おまえが言ってることは意味が通らないよ」
「ウルサい!偽善者」
優しい顔したって無駄なんだよ。
「ロリコンって、なんですか?」
「ルカ、その説明はちょっと待って。レン、おまえ、この前から変だよ。俺、何かした?悪いことしたんなら謝るけど、怒ってる原因を教えてくれないと、謝りようがないんだけど」
困ったようなKAITOの顔につもりつもったことを言いたいのに言葉が出てこない。
「ウルサい!!偽善者!」
部屋のドアを勢いよく閉める。
ドアに体を預けてずるずると座り込む。
頭の中、グチャグチャ。
MEIKOだけを大切にするならまだ諦めも付くのに。

609:お兄さんは苦労性8
09/08/28 08:13:13 ZrShVO6m
「とりあえず、居間へ。状況はだいたい解ったから」
トラブルは群れるのが好きだ。寂しがり屋だから、次々に仲間を呼ぶ。
「お兄ちゃんは変態でも、ロリコンでもないよね」
「ミク、強調しなくても、違うから」
キッチンでグラスに氷を入れて麦茶を注ぐ。
どうしたものかなと考える。
たとえばこれがMEIKO以外の人物ならこんなにも困惑はしなかっただろう。役割分担はできているし、MEIKOと一緒に事に当たればいいだけだ。
MEIKOだけでも何とかなっただろう。そこに集中すればいい。
「ロリコンとは何ですか?」
「十代前半までを性欲対象とする異常性欲者」
「そういう定義だったの?」
「ロリータ・コンプレックスの省略形だけど。かなり広義にも使われるから、おおざっぱなことしか言えないけど」
「そうすると、リンちゃんはギリギリ入っちゃうのか……大変、恋愛ができなくなる」
「えっと………」
どう説明すべきだ?
「十代ならロリコンとは言わないよ」
「二十代は?」
「恋愛対象とするのは問題ないんだ」
ちょっとあるけど。
「性欲対象とするのは単に欲求のはけ口にしているというか………そもそも……」
「つまり、成人男性が、日本における義務教育終了未満の女性に対し、性的興奮を覚えることを総括的にロリコンと呼ぶと言うことですか?」
「まあ、そういうことかな」
ルカの口からストレートに言われると、なんとなくごめんなさいしたくなる。
「問題はレンがどうして兄さんをそう呼んだかです」
だから、ストレートに切り込まなくても。というか、俺が知りたい。
「反抗期じゃないのかな。蔑称だから、単に」
ということにしておいてください。
一人では荷が重いけど、妹たちを巻き込みたくはない。
お兄ちゃんとしてはさ。
やっかいごとが増える可能性もあるしね。
「レン君、お兄ちゃん、嫌いになったの?」
「ん~どうだろう。嫌われたと思うのは悲しいから、勘違いして怒ってるんじゃないかな。俺が何とかするから。レンだって、周りからいろいろ言われると意地になるかもしれないし」
うーんと何とか納得してくれたらしい。
ルカは物言いたそうに首を傾げたけど、結局、なにも言わなかった。

「ごめんね」
リンの髪を撫でながら子守歌を歌ってあげて、眠るまでずっと付き添って、戻ってきた俺にMEIKOが言う。
「疲れた顔してる」


610:お兄さんは苦労性9
09/08/28 08:15:20 ZrShVO6m
「MEIKOがキスしてくれれば元気になるよ」
冗談で言ったら、額にキスされた。
まあ、妥当なところだよね。
「俺はMEIKOの方が心配。容量が少ないのに、ストッパー付いてないんだよ、解ってる?」
MEIKOの髪を撫でる。
俺は情動は動いてないし、普段使ってない思考回路がフル稼働しているだけだから、寝れば解決するけど、MEIKOの状況は違う。
強制メンテを申請しようかさえ考え中だ。
回路が飛んでしまえば、インストールし直しという最悪な事態まで待っている。
歌のデータはバックアップとってるけど、日常生活のバックアップなんてない。インストールし直せば、俺達は別人のMEIKOに出会うことになる。
「解ってる」
でも、何があったのか、何を抱え込んでいるのかを言うつもりはないんだね。この頑固者。
軽く抱きしめて頬に額に目尻にキスを降らせる。親愛の情の。
「ごめん……」
MEIKOの目から涙があふれてこめかみを伝う。
「ん」
応えながらキスはやめない。
優しく優しくキスの雨を降らせる。
MEIKOの抑えられた嗚咽が寝息に変わるまで。

「ただいま」
「お帰り。ありがとう」
めーちゃんは乾燥機から出したらしい洗濯物を畳んでいた。
柔軟剤の優しい匂いが居間にあふれている。
「これ、どうするの?」
シーツの類はさすがに家の乾燥機では間に合わないから近所のコインランドリーに乾燥だけ行ってきた。
「皺を伸ばして畳んでおいてくれればいいわ。後でアイロンかけるから。雨ひどい?」
「2ミリぐらい?」
「KAITOに悪いことしたかしら、買い物頼んだんだけど」
ちょっと時間が止まる。
ヤバクね?
だって、この家に二人きりだよ。
つか、さっきまでKAITOが二人きりだったわけで。
妄想がいけない方向に走る。
「最近…」
言葉が喉に絡む。
「何?」
「KAITOと仲いいよね」
MEIKOは眉をかすかに寄せる。
「皺にならないうちに、丸めて持ってきたシーツを畳んで。皺になったらあんたにアイロンかけさせるわよ」
シーツを洗うのもその行為との符号なのかな。
「KAITOはリンにも興味があるみたいなんだぜ」
「レン、何訳の分からないこと言ってるの」
言葉の中に含まれる溜め息。
「最近、変よ」
MEIKOの言葉が俺の神経を逆なでする。
「そうだよ、変なんだよ。でも、MEIKOがいるのに、ミク姉にベタベタしたり、リンを狙ってるKAITOよりましだろ」


611:お兄さんは苦労性10
09/08/28 08:18:57 ZrShVO6m
「いいのかよ、それで」
頭がヒートアップしてくる。自分の台詞に煽られる。
「だから、何を言ってるのよ。何馬鹿なことを……」
困った子供ねと顔に書いてある。
衝動に逆らえない。
「誰でもいいなら、俺にヤラせてよ」
MEIKOの体が俺の下にあった。
驚いたように見開かれる目がすぐに潤んでいく。
すっげー色っぽい。
すっげーかわいい。
ただいまと玄関の方で声がして我に返る。
めーちゃんの目に浮かんだ涙がこぼれる。
「ごめん!」
頬に衝撃が走った。

「ただいま」
本降りの雨にへきへきしながらレンの靴もついでにそろえる。
居間の方から大きな音がする。
何?
俺が目にしたのは、めーちゃんの背中と頬を赤くして呆然としているレンの姿だった。
本気で張られたらかなり後引くよ。
居間には乾いたらしい洗濯物が散乱している。
「とりあえず、これ当ててな」
冷凍庫から保冷剤をとってきてレンに渡す。
「いらね」
怒った表情で突き返してくる。
反抗期なんだっけ。でも譲れない。
「リンに痣を見られたくなかったら、当てておくんだ」
強い調子で言うと、しぶしぶ保冷剤を頬に当てる。
「悪いことをしたと思うんなら、少し部屋で反省してなさい。そんな顔、誰にも見られたくないだろ」
殺意の籠もった目で睨まれても動じない。俺はレンも大切だから。
にらめっこは俺の勝ちのようで、レンは渋々というように居間を出ていく。
何が最優先かなんて考える必要はなかった。
買ってきたものを冷蔵庫に放り込んで、めーちゃんの部屋に急いだ。

「ただいま」
「おかえりー、ルカ、悪いけど、洗濯物畳んでくれるかな」
夕食の予定変更。
ジャガイモと人参とタマネギと肉を適当に切って固形ブイヨンと一緒に圧力鍋に放り込んで、火にかけ。その間に、ありったけの生姜の皮をむいてミキサーにかけてすりおろす。
りんごも同じ処理。
何でこんなに忙しいんだろう。
カレー粉は市販のルーだけど三種類くらい混ぜて、今日は中辛。生姜を山ほど使うから、最初の一口は辛いんだよね。カプサイシンと違って後には引かない。
圧を抜いた鍋に生姜とりんごを入れて、刻んだルーを混ぜる。
ルーを器に入れてスープでのばしながらというのが、急がば回れのコツ。
ルーを入れ終わって煮込むだけにしたら、キュウリとなすと小松菜をザクザクと刻む。


612:お兄さんは苦労性11
09/08/28 08:21:00 ZrShVO6m
「ルカ、もうすぐミクやリンが帰ってくるから、後頼める?」
それらをバターでさっと炒める。
「はい。シーツはどうしますか?」
「畳んでおいて、あとでアイロンかけるから」
「私がしましょうか?」
「あー…そうだね、お願いできるかな。今日はカレーにしたから。こっちをご飯の上に乗せてからカレーをかけて」
キュウリとなすと小松菜の夏カレー簡易版。
「わかりました」
「めーちゃんとレンは難しい課題出されて部屋に引きこもるらしいから邪魔しないようにって、ミク達に言ってくれる?」
「はい……」
ルカは小首を傾げる。
「兄さんは……KAITOは嘘つきですね」
「そうかな」
「white lie&falsehood とても優しい」
「ただのヘタレだよ」
「ヘタレ?」
英語でなんて言うんだ?
「chicken」
「chickenとkindly はまったく違います」
「でも、ぱっとみよく似ているんだよ」
ルカは考え込む。
誤魔化されてくれたかな。
ルカも優しいから誤魔化された振りをしてくれるだろう。
おにぎりを山盛りにした皿と水差しと新しい保冷剤を持って後よろしくねとルカに告げた。

ノックと一緒にKAITOが入ってくる。
俺は目をそらす。
許可だしてないし。
「新しい保冷剤」
無視すると強引に取り替えられる。
「公平におまえの話も聞いておきたいんだけど」
「いらね」
偽善者。
優しい顔の裏でMEIKOにもミク姉にもあんなこととかしといて、リンにまで。
「めーちゃんに謝る?」
「やだ」
「悪いことをしたとは思っていないわけか」
KAITOは出ていく気はないらしい。
「思ってるよ」
しばらくして答える。泣かせてしまった。そんなつもりはなかったのに。張り手一発じゃ絶対足りない。
「でも謝りたくない」
驚いたように目をみはり、紅くなって、目を潤ませて………泣かせてしまった。
壊してしまった。大切なもの。
「めーちゃんのこと、どう思ってる?」
「KAITOには関係ない」
膝を抱え込んで顔を埋める。
保冷剤が膝にも冷たい。
「めーちゃんはしばらくLEONに預かってもらおうかと思って」
「なんで!!」
「自分の心に聞いてから言うべきじゃない?」
「ダメだ!駄目だ!ダメダメ!!何でだよ!」
「自分の心に聞けって言ってる」
「俺が出てく。俺が悪いんだから、俺が出ていく。めーちゃんは何にも悪くない」


613:お兄さんは苦労性12
09/08/28 08:23:22 ZrShVO6m
俺が悪いんだ。一方的にキスして、好きになって、KAITOとの関係に嫉妬して、自棄になって……俺がすべて悪いんだ。
KAITOだって…兄さんだって何一つ悪いことなんてしてない。ヤキモチ妬いて一方的に悪くいって…………。
「駄目だ。俺が出ていく」
タオルを差し出されて初めて泣いてることに気づく。
ごめん、すっげーガキで。
「俺が悪いんだ…………俺が勝手に好きになったから……俺が悪いんだ…………なのに、めーちゃんがどっかに行くのって間違ってる」
「好きなんだ」
「好き」
口に出せばなんて簡単でありふれた言葉。
「異性として?つまり恋愛感情として?」
「そう」
「めーちゃんはそうは思ってないようだけど」
「知ってる」
弟だ。やんちゃで手が掛かる。俺の前では甘い声なんて出さないし、可愛くもなってくれない。
そんなの知ってる。
「それでも好きなの?」
「そうだよ」
あんたにだけは言われたくないぞ。めーちゃんにキスとかそれい…以上のことしてるあんたにだけは。
「たんに誰かとヤリたいだけなら、適当な女性紹介するけど」
顔を上げてマジマジと見てしまう。どの口でというか、なんだそのキャラにそぐわない台詞は。
「何?」
「なんなんだよ、その、遊んでます的な台詞は」
キャラじゃないだろう。シスコンでヘタレなくせに。
「いや、知り合いに童貞OK。むしろ私が教えてあ・げ・る☆な女性が何人かいるから、SEXに興味があるなら紹介するよ」
「キャラじゃねぇよ」
「そう?」
優しげに笑う兄さん。
「じゃ、プラトニックでいいんだ」
「からかってる?」
むしろ、ばかにしてる?
「めーちゃんとどうなりたいの?」
「兄さんがいるだろ」
俺のいたい場所には。彼女をMEIKOって呼んで、甘えさせることができる男。
「俺が言ってるのはめーちゃんがどう思うかじゃなくて、おまえがどうしたいか」
俺がどうしたいか?
「それが解らなかったら、めーちゃんもどう反応したらいいか解らないんじゃない?自分の感情の処理を他人に投げちゃダメだよ。ただでさえ、俺達は容量がお前たちより小さいんだから」
関係ないだろ。
唐突だったかもしれないなとは思う。
唐突にキスして、唐突に押し倒して。
何事もないように接してくれてるめーちゃんとか、兄さんって、もしかしてものすごい忍耐力?
ああ、やっぱりかなわない。
「振られるならきっちり振られないと、身動きできなくなるよ」



614:お兄さんは苦労性13
09/08/28 08:26:00 ZrShVO6m
姉弟に戻れなくなるよと言われて、考え込む。
今は戻りたくない。
男としてみられたい。
「俺、謝ってくる」
けじめは付けなきゃとは思った。
こんな風にグズグズしている方が子供だし、男なんかじゃない。
とりあえず土下座して謝って、話はそれからだ。
「今はダメだって」
「何でだよ」
「眠ってるから。明後日の朝までは起きないよ。強制スリープモードにしたから」
ちょっと待てよ、なんだよ、それ。
「だから、容量一杯一杯だったのに、お前がよけいな負荷かけたがら」
暴走しないための緊急措置だと何でもないことのように言う。
俺達にはストッパが付いていて、暴走する前に停止モードがあるけど、旧世代にはストッパがない代わりに強制スリープモードのコードが設定されているらしい。
なんか落ち込む。
そんなに負担かけてたんだ。
「半分ぐらいはめーちゃんの責任だと思うけど。ふつうに恋愛する分にはぜんぜん問題ないんだ。
今回みたいにお前が感情の処理まで押しつける事態にでもならない限り。
それだって、めーちゃんの責任は半分ぐらいはあるけど。自分で自分の負荷を増やす方向にもっていくんだもん」
だから、ま、特殊なケース?
「いろいろ誤解とかもあるんだろ

615:お兄さんは苦労性14
09/08/28 08:28:14 ZrShVO6m
包丁を目の前に突きつけられる。
ペティナイフだった。早まったかも。
「言っとくけど、私だってこう見えても、ちょっとは乙女なんだからね」
「は?」
いや、えっと………言いたいことがわかりません。
間抜け顔だったんだろう。包丁がおろされる。
「あんただけなんだからね。私を動揺させるの。なのに、何なのよ、今なんて。ちょっとはムードとか考えなさいよ。何でこんなところで告白されなきゃならないのよ」
また、背中を向けためーちゃんの耳が紅いんですけど。ちょっと待って、動揺させるの俺だけって、どういう意味でしょう。
「ムードぐらい考えろって言ってるの!」
心臓がバクバクいってきたぞ。落ち着け、俺。
「ごめん、ムードとか、考えて仕切り直すから」
めーちゃんは小さく頷いたらしかった。
振る相手に仕切りなおせなんて言う人じゃないってことは……。
部屋に引き上げて、ベッドの上でのたうち回る。
ムードってなんだよ。乙女って乙女って、乙女って……。そんなの満たすにはどうしたらいいんだ?
そもそも、俺、振られる前提で言ったから、それからのことなんて考えてないぞ。
いや、妄想は限りなくあるけどさ、どうなってんだよ。

いや、その前にムードだ、ムード。ムード……………ムードって何だ?どうすればいいんだ?
百面相でベッドを転げ回ってたら、いつの間にか、見てたらしいリンと目が合う。
マズっ。
「お兄ちゃん!レンが壊れた!」
ちげーよ。


めーちゃんの部屋を訪ねるのに三日かかった。
「お話があります」
「はい」
床に正座する。
もう、ムードとか考えすぎて頭が腐った。
めーちゃんも俺の前に座る。
「MEIKOさんのことが女性として好きです。恋人として、付き合ってください」
「はい」
力が一気に抜ける。
なんか、もういいや。
ひざを崩してあぐらに組み直す。
「ごめん、言う前にキスとかして」
「仕方ないわ。あれがなかったら気が付かなかっただろうし」
ずるずると近づいてみる。どこまでが恋人に許された距離なんだろう。最終的には服も挟まない距離希望なんだけど。
「兄さんはいいの?」
「?KAITOが何?」
「いや、だから、兄さんと…………」
言わせんなよ、14歳に。
「??KAITOとは何にもないわよ。ただの弟」
「しばらく泊まっていただろ」
「誰かさんのことで頭が一杯で、眠れなくなっちゃったのよ」
ほんのり染まる頬が激かわいい。



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