イナズマイレブンでエロパロpart2at EROPARO
イナズマイレブンでエロパロpart2 - 暇つぶし2ch150:名無しさん@ピンキー
09/07/21 17:05:19 UA31d8r9
思いつき一発書き。
武方三兄弟×豪炎寺。
エロ描写ちょっと雑です、本当に申し訳ない。


木戸川清修との試合を数日後に控えたある日、突如訪れてきた武方三兄弟。
豪炎寺は、去年のフットボールフロンティアに妹夕香の事故で行けなかった事を悔やんでいたが、同じように彼らも決勝を全力で戦えなかった事を悔やんでいた。
その思いは豪炎寺への恨みとなり、打倒豪炎寺を目標に日々特訓を積んでいたのだろう。
円堂達と雷雷軒に寄りラーメンを食べた後、豪炎寺は一人もうすっかり暗くなった堤防を歩いて数日後に迫った古巣との試合の事を考えていた。
「お~や、豪炎寺くん。一緒に帰るお友達もいないのかな?みたいな~?」
「お前達は…!」
先ほど二階堂監督に諌められ帰って行ったはずの武方三兄弟が、堤防の階段を登りながら声をかけてきた。
「監督がいたから助かったようなものの、俺達のお前への恨みはまだまだ晴らせてないんですよ」
「ちょっとこっちまで来てもらおうか」
抵抗する間もなく、友と努の二人に腕をとられ、半ば引きずられるようにして橋桁の下へと連れて行かれた。
ドン!と放り投げるように腕を離され、その場に尻餅をつく豪炎寺。
「…試合で決着をつけるんじゃないのか」
「それとこれとは話が別。みたいな~?」
勝がニヤニヤと口の端を上げ、豪炎寺を見下ろしている。友と努の二人は座り込み、豪炎寺の顔を覗き込んで同じような顔で同じような笑顔を浮かべていた。
「俺達がどんなにお前に憧れてサッカーをしていたかなんてわかるわけないじゃん?」
「だからちょっと俺達の気持ちでもわかってもらおうかと思ってるんですよ」
「そんなわけで、これからしばらくお付き合いしてもらおうかな、みたいなぁ?」
言葉の意味を理解できずにいた豪炎寺だったが、再度ガッチリと腕を掴まれ、歩み寄ってきた勝の顔を見てこれから起こるであろう事を予測した。

151:名無しさん@ピンキー
09/07/21 17:08:47 UA31d8r9
「やっ…やめろ!」
「やめろと言われてやめられる訳ないでしょ。みたいな~?」
引きちぎられるかのような勢いで、学ランのボタンが外された。シャツをズボンから抜き、指が胸を這い回る。
「…っく!お前たち…!」
「あれあれ?もしかして、感じちゃってる?」
「ポーカーフェイスのクセに、結構エッチ~」
隣で囃し立てる弟達を睨むも、近づいてきた勝の口に力を奪われる。分厚い唇が豪炎寺の口に重ねられ、無理やり割り込ませてきた舌がねっとりと口腔内を移動していく。
きつく目を閉じるが、はぁはぁという荒い息が両耳にまとわりついて離れない。気持ち悪さと胸を刺激されている事による妙な感覚とが入り混じる。
その時聞こえた、カチャカチャという金属音。まさか、と見開いた目に映ったのは、勝のむき出しにされた下半身だった。
「ちょっと痛い目にでもあってもらっちゃおうかな、みたいな?」
みたいな、という部分をやたらゆっくり言いながら、豪炎寺のズボンに手をかける─「やめろ!」という声は、友の手のひらの中に押し込まれた。
「さすが豪炎寺修也。持ってるモノもご立派ですねぇ」
「ていうか、立っちゃってるし?やっぱりエッチ~?」
ゲラゲラと笑いながら、友と努の唇も豪炎寺の頬や耳を蹂躙していく。ぞわぞわと鳥肌が立つような口づけに必死に暴れようとするが、その体を勝が押さえ込んだ。
「さ~て。いただいちゃいますよ。みたいな?」
「─っ!!」
激しい痛みが豪炎寺の体を突き抜けた。熱いそれが、遠慮なしに豪炎寺の中で移動する。ガクガクと揺らされながら両腕の拘束が解かれていた事に気づくが、
それは友と努もまた自身を取り出し扱いていた事によるもので、目の前に突き出された2本の黒い物体がもうすぐ爆ぜるだろうという状況に、更なる恐怖を募らせた。
「いいねぇ!すっごい、締めつけてくるんですけど!みたいな!」
一言ずつ区切りながら、ズンズンと抽挿を繰り返す勝。豪炎寺のものも一緒に扱かれ、不快感と快感とが頭の中で葛藤する。
「兄ちゃん!俺もう出そうなんだけど!」
「俺も!」
「3人一緒にいくぞ!」
「おう!!!」
一段とサイズを大きくした勝のペニスを締め付けながら豪炎寺は自らの精を腹の上に思い切り飛ばした。
勝は豪炎寺の中で果て、友と努は思い切り白濁した液体を豪炎寺の顔に向けて吐き出した。
ぐったりと力なく横たわるその体に、今度は自分の番だとでもいうかのように友が覆いかぶさってきたが、歌いながら歩いてきた酔っぱらいの気配に、3人はそそくさと服を調える。
「今度の試合が楽しみだぜ、みたいな?」
「次は俺達も相手してもらうからな」
「よろしくお願いしますよ」
「俺は…サッカーでお前たちと闘う…。こんな事で俺は負けない…そして、雷門も…」
「はぁ?意味わかんないんですけど~?」
ひゃひゃひゃという笑い声を残し立ち去った3人。豪炎寺はその声を聞きながら、しばしの間その場を動けずにいた。

試合後、木戸川清修の監督、二階堂の言葉で去年のあの日何が起こっていたのか初めて知る事となった武方三兄弟。
自分達の今までの言動を詫び、握手をして和解した。しかし。
「でもまだ俺達やらせてもらってないんですよね~」
「これからますます豪炎寺くんと仲良くさせてもらいたいなんて思ったりして」
「という訳で、よろしくお願いしますよ、みたいな?」
頭上から打ち込まれたファイアトルネードが3人の顔面を移動していく様を遠くから見つめた目金が小さく「ファイアトライアングルの完成ですね…」と呟いた。

終わり。
相変わらずの拙文で申し訳ないです。

152:名無しさん@ピンキー
09/07/21 17:29:31 UA31d8r9
エロ描写どころか全体的に雑ですみません。
「みたいな?」ってのが書きたかっただけです。
最後のくだりは何となく書いて、消すの忘れて投下してしまいましたorz
これからも精進します。
またよろしくお願い致します。

153:名無しさん@ピンキー
09/07/21 20:29:01 VvQFxJR4
>>151
みたいな?で笑ってしまったw
GJGJ

154:名無しさん@ピンキー
09/07/21 21:24:46 bc5XncGj
GJ!! 豪炎寺好きなんで、すごい萌えたw

155:126
09/07/21 22:53:08 lT9i91Xx
>>122-125に感想ありがとうございます非常に励みになります
マネ2人による豪炎寺攻めを投下したいと思います

156:【夏未×秋×豪炎寺】1/5
09/07/21 22:54:03 lT9i91Xx
【夏未×秋×豪炎寺】~身代わり~1/5

練習の合間、渇きを癒しにベンチへと上がってきた豪炎寺に夏未が話しかける。
「豪炎寺君。ちょっといいかしら?」「――…。」
「円堂君のことで相談があるの。練習が終わってみんなが部室を出たらそのまま待っていてくれるかしら?」
「…円堂のこと?」「ええ。」

円堂―豪炎寺が心を許し信頼を置く仲間。
様々な事柄が頭をよぎったが、フィールドに戻り何事もなく練習を再開した。

練習終了後、仲間は次々に部室を後にし、それぞれ帰路へ向かう。
帰宅の準備を終えて長椅子に腰を掛ける。しばらくすると夏未と秋が入ってきた。

「お待たせ、豪炎寺君。」「豪炎寺君、お疲れさま…」
「…円堂のことで相談というのはなんだ。」豪炎寺が立ち上がる。

「実はね、豪炎寺君…」と秋が口を開くと背後から夏未の腕が豪炎寺の両脇と肩をすくい取った。

「早く!木野さん!!」「…な、何をする!?やめろ!!」

豪炎寺は抵抗するが、意外と背後から捉えられると男とはいえさすがにかなわない。
「ごめんね!豪炎寺君!!」と言いながら秋は制服のズボンのベルトを外し、トランクスと共に勢いよく下げた。

157:【夏未×秋×豪炎寺】2/5
09/07/21 22:54:41 lT9i91Xx
【夏未×秋×豪炎寺】~身代わり~2/5

「私達、実は円堂君のことが好きなの!!
…でもどうしたら彼が悦ぶかとか全然わからないし、その…あ、でも…その、決して豪炎寺君が……」

夏未が言い終わらないうちに秋は豪炎寺のペニスを手に取り舐め始める。
「うっ、く…!やめろ…こ、こんなことは…!!
…円、堂に惚れ、ている、なら…直接…本、人に…んあぁっ!!」

「……あら?本当にやめろと思っていて?」

瞬く間に秋の口内で膨れ上がった豪炎寺のペニスを見て夏未が言う。
「う、うぅ…」

秋は唾液と先走る体液の混ざるいやらしい音を立てながら両手でしごき始めた。
「あぁぁぁ…んぁ…!!」

「すごく感じているようね。さぁ木野さん、豪炎寺君を長椅子に寝かせましょう。絶対に口を離してはダメよ。」
夏未は豪炎寺を横たえ、学ランのボタンを外していく。続いてワイシャツも脱がせた。

すると透き通るように色白で均整のとれた上半身が現れた。

続いて秋の元へ寄りリボンを取り、ブラウスのボタンを外す。
中からは淡いピンク色のブラジャーが現れた。

「木野さん、とてもお上手だこと!見える?豪炎寺君のあの表情を!苦しがっているけどすごく気持ちがよさそうよ。」

そう言うと秋の背後に周りブラジャーのホックを外した。白くてかわいらしい胸が現れた。

夏未は何のためらいもなく背中から手を回して秋の乳房を揉み始める。
手にすっぽりと収まるその乳房の先端には次第に硬い突起が姿を見せる。その突起を執拗に指でいじくり回す。

「あぁん…ああっ!!」興奮し、つい豪炎寺の先端に強く吸い付いてしまった。
「あぁっ、うぅっ…!!」かつて経験したことのない性欲と闘う豪炎寺。

夏未は秋のスカートを脱がせ、パンティをも取り去った。

「それじゃ、私も…」と夏未は自らブラウスを脱ぎ、ブラジャーを外した。
そしてスカートとパンティを脱ぎ全裸で豪炎寺の顔へと跨り四つん這いになった。

「さぁ豪炎寺君、私のを舐めてちょうだい!!」

158:名無しさん@ピンキー
09/07/21 22:54:52 vTHTbtnO
>147
姉ショタってお姉さんキャラは誰になるんだ?
瞳子はお姉さんって感じじゃないし…
サリーさん×円堂なら萌えるけどサリーさんはママだしな

159:【夏未×秋×豪炎寺】3/5
09/07/21 22:57:00 lT9i91Xx
【夏未×秋×豪炎寺】~身代わり~3/5

豪炎寺は、もはや抵抗するすべもなく身も心も全て夏未に支配されてしまっている。

夏未に言われるままに舌を這わせてみる。
「あぁん、あぁ…もっと強く!!んん、あぁっ!!」次第に豪炎寺の舌遣いが激しくなっていく。

「今度は強く吸ってみて!…あぁ!…そうよ!…木、野さん…今度は私と…交、代よ…んはぁ…」

秋は夏未と交代し豪炎寺の上へと跨る。今度は夏未がペニスを弄ぶ。
夏未は舌全てを使って全体を舐め回し、激しく先端を吸いながら両手でしごき続ける。

豪炎寺のペニスはねっとりといやらしい音を立てながら、
夏未の手の中でまるで生き物のようにされるがままになっている。

「ん…んあぁ…ハァ、ハァ、あぁぁ!!」豪炎寺は苦しそうに声を漏らす。
秋は小刻みに身体をくねらせて快感を味わっていた。

「…豪炎寺君、そ、そろそろいくわよ…覚悟してちょうだい…」
夏未が言うと、腹部に届きそうな程勢いよく勃起したペニスの上に大胆に足を開いて覆いかぶさる。

グチョグチョに濡れている夏未の秘部は、
2人の唾液と透明な液体がいやらしく混ざり合ったペニスを包むようにくわえ込んでいく。

「はあんっ!あぁぁぁ…んんぁ…」
「うっ、うぐ…あぁ…ハァ、ハァ…」
夏未は動かない豪炎寺の上で腰を動かし始める。

「ど…う?気持ち、い、いでしょ…?もしかして…こんな、経験は…初めて、なのかしら?ぁあんっ…!」
「……うっ、」
「ねぇ…気、持ち…いい、って…言ってちょう、だい…!」

そう言うと夏未は動くのをやめて身体を密着させた。

「……んあぁ、ハァ、ハァ」

快楽へ昇りつめようとする衝動を突然遮断された豪炎寺の身体は、
まるで勢いのある炎が噴出されぬまま内部で果てしなく流動を続けているようだ。

「ねぇ、どうなの!?気持ちいいんでしょ!!早く言ってちょうだい!!!」

夏未自身で動きを止めたはずだが、一刻も早く再開したいといった様子で苛立ちを隠せない。

「木野さん…私の前に来てちょうだい。」
秋は夏未の前に向き合って跨った。

160:【夏未×秋×豪炎寺】4/5
09/07/21 22:58:20 lT9i91Xx
【夏未×秋×豪炎寺】~身代わり~4/5

秋は夏未の豊満な乳房を揉み、舌先で乳首の先端を丁寧に愛撫した。
「あ、あぁん!あ、いいっ…!」

感じている夏未はペニスを無意識に締めつける。
「…あぁっ!…ううっ」
「…気持ち、いいって…言わ、ないから…私、たち…だけで、気持ち、いい…こと、して、るのよ!
いい?…あ、なたが、言わ…ない限り、ずっと…そのままよ…!んあぁっ…!!」

夏未も秋の乳首を吸ったり舌先で転がしたりしながら弄んでいる。
横たわる男の上で女二人が時折激しいキスをしながら快楽に身をゆだねている。

豪炎寺は我慢できず秋の白い尻を両手で引き寄せ、先ほどより一段と激しく舐め回した。
「はぁぁ…ん!あっ、いやっ、…あぁぁん!!」

舌を溝に沿って何度も這わせ、膣の中に奥深く舌先を挿入し内壁のあちこちに舌を押しつける。
そして思いっきり吸いこんだ。湿り気を帯びた淫らな音が部室内に響き渡る。
「あっ、いやぁ…ん!あぁっ、はぁっ…!いっ…」

「ちょっと…!?木野さん、気持ち…よさそうじゃない!私だって…早、く!!」
下半身に力をこめて故意に締め付ける。

「ああぁぁぁ!!!」豪炎寺は激しく身悶えた。
「どう?これで…終わりにする?それとも、まだ…続けるつもり?」

今度はそのまま手を後ろに回し、ペニスの根元と袋の辺りを撫で回す。
「き、もち、……うぅっ!」
「何!?聞こえないわ!もっと大きな声で言ってちょうだい!」

夏未は執拗に攻め続ける。


「――気、持ち…い、い…!!!」
「そう、いいわ!よく…言えたわね。」

豪炎寺の上で馬乗りになったままの夏未は徐々に腰を振り始めた。

「んぐっ…んあっ、あぁ、はぁ…」
「あん、あぁん、ハァ、ハァ、あぁ…んんっ…あぁーんっ!」
夏未の秘部は、愛液や先走り液に唾液にと全てが混ざり合ってグチョグチョに濡れており、
それは激しい腰の動きと共に徐々に溢れ出ていた。それがペニスの根元周辺を悪戯に汚している。

「あぁん、いい!…あはっ、んんっ…あぁっ…あんっ、あぁぁ、んぁ…!」
「んあぁ!あぁ…うぐっ、うぅ、ハァ…ハァ…」

ますます動きが激しくなり、下にいる豪炎寺も自ら動き夏未を何度も突き上げている。

「あぁん、ダメ…!わ、私…、もう…あ、あっ!!あああぁぁ~!!!…ハァ、ハァ、あん、あぁ…」夏未は果てた。

161:【夏未×秋×豪炎寺】5/5
09/07/21 22:59:41 lT9i91Xx
【夏未×秋×豪炎寺】~身代わり~5/5

「…木野さん!、今度はあなたが豪炎寺君を犯してしまいなさい!」
今度は秋のものがヌルヌルとくわえ込む。

「豪炎寺君、あなたはまだイッてはいけません!当然木野さんを先にイカせてあげること!
もし先にイッてしまったら罰としてこの痴態を写真に撮ってバラまくわよ!!」

脅迫まがいに言い放ち、床に落ちたズボンからベルトを引き抜き豪炎寺の両手首を縛った。

「それからあなたは自分からは動いてはいけません!これは理事長の言葉と思ってもらってかまいません!」
「り…理事長……!?」

完全に夏未によって服従させられている豪炎寺。

秋のぎこちない動きと自分からは動けないもどかしさが一層豪炎寺を苦しめる。
お互いに絶頂まで到達するのにはそう時間を必要とはしない。

夏未は秋の乳房を激しく揉みしだきながら乳首をクチュクチュと愛撫する。

「あっ、あぁん、ハァ…!あ、ああぁ、あぁっ!夏、未…さん…!!ダ…メ、あっ、ああぁぁぁ!!!」
秋も達してしまった。

「うぅぅ…くうっ!ううっ、…んあぁぁぁ!ああぁぁぁ…!!!ハァ、ハァ、ハァ、んハァ、ハァ……」
欲求を満たされず我慢を強いられていた豪炎寺も一気に昇りつめてしまった。
ドクドクと大量の精液が放出し続け、到達した。

2人の女に執拗に苛められ、彼女達の優位に扱われ続けた豪炎寺。

穢れを知らずにいた思春期真っ只中の肉体は、夏未と秋の手によって快楽の悦びを知ることになってしまった。



162:156-157,159-161
09/07/21 23:16:13 lT9i91Xx
御拝読有難うございました
推敲に推敲を重ねましたが喘ぐ場面が多すぎたかと反省の念に駆られております
以後益々精進するのみですそれでは失礼致します

163:名無しさん@ピンキー
09/07/21 23:58:50 zXSRruWE
豪炎寺受け小説が続けて2作品も…!!
作者さん達すごいGJ!!!!!




164:名無しさん@ピンキー
09/07/22 00:26:19 smbTa9lo
まとめサイトが最近更新されてない・・・・・
>>162GJ!!!!

165:名無しさん@ピンキー
09/07/22 00:35:08 hAbJGAGx
大分遅くなっちゃったけど
木暮と吹雪のやつ書いてくれた職人さんマジで乙&感謝!!
木暮が大好きだからホントに楽しく読ませて頂きました
これからもよろしくお願いします

166:名無しさん@ピンキー
09/07/22 01:04:13 MDK0gSJ1
>>158監督以外にいないだろうが!!
お前は今までイナズマイレブンの何を見てきたんだ!!

167:名無しさん@ピンキー
09/07/22 01:14:41 G4EKlf9e
そういえばイナズマってお姉さんキャラが瞳子くらいしか居ないんだな。他の男児アニメだと美人ママンとか出てるのに円堂ママンは微妙だからな。(個人的には可愛いと思うけど)あとはリカママンか?
おっさんならたくさん居るのにw
好みがあるだろうけど、おねショタしたいならオリジナル♀×ショタがいいんじゃね?

168: ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 01:33:27 0tx8XCN8
>>164
すまん
投下作品作成中なのでもうちょっと待ってくれ

169:名無しさん@ピンキー
09/07/22 01:44:00 pD+eH46J
>167
サリーさん(マコママ)は美人なんだけどアニメに
でてないんだよな

170:名無しさん@ピンキー
09/07/22 01:45:00 0Nlf3z49
初めっからwikiにすりゃいいのにと言いながら全裸待機

171:名無しさん@ピンキー
09/07/22 03:35:14 0kby2Gs8
>>162
GJ!
結局本命に告白しないままずっと豪炎寺で遊んでそうだ(*´Д`)

172:トリプルラブアタック(1/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 07:58:32 0tx8XCN8
やっと完成したので投下。
・円堂×夏未 円堂×秋 円堂×風丸…のハーレム状態、かも?
・エロはほとんどないです
・設定ゲーム寄り、キャラはアニメ寄り
・オリキャラ注意
長くなり過ぎたので連投規制を避ける為に3回に分けます。



 それは、いつもの通りの朝だった。
 変わらない日常、変わらない校舎、変わらない仲間たちの笑顔。
 いや、正確に言えば、フットボールフロンティア関東予選を見事制覇した、雷門中サッカー部にとって、本戦へ向けて練習に勤しむ日々は意気揚々としたものだった。
 今日もサッカー部キャプテン・円堂守は爽やかな目覚めで朝を迎え、心身共に軽快な気分で通学路を歩いていた。
「よう、円堂おはよう」
 右の曲がり角から小学校の頃からの友人、風丸がやって来て円堂に声をかけてくる。
「よっ、風丸。炎の風見鶏の調子はどうだ?」
「バッチリだよ。本戦では必ず決めてやるから、安心しろ。円堂、お前の為にな」
「期待してるぜ」
 風丸の背中をぽんと軽く叩くと、円堂は二人並んで雷門中へ向かう。
「円堂君、風丸君。おはよう!」
 左の曲がり角からマネージャーの秋が駆けてきた。
「おはよう、木野」「木野さん、おはよう」
「もうすぐ、フットボールフロンティア第一戦だね。みんな頑張ってる?」
 円堂を挟むようにして、風丸と秋が三人で並んだ。
「勿論さ! う~、もうすぐ本戦かと思うとわくわくして止まらねえ~」
 小さくガッツポーズをして試合への意欲を語り出す円堂に、風丸と秋が微笑ましげに笑った。
「あら? 三人ご一緒で登校? 仲が良いのね」
 雷門中の門をくぐると、生徒会長でやはりサッカー部マネージャーの夏未が話しかけた。
「おはよう」「おはよう、夏未さん」
 と、挨拶する風丸と秋を尻目に、円堂は夏未に突っかかった。
「何だよ、夏未。嫉妬か?」
「だ、誰があなたたちに嫉妬なんかするものですか! 勘違いしないでちょうだい!」
 顔を真っ赤にして円堂を怒る夏未に、風丸と秋が互いに顔を見合わせて苦笑した。
「そんな事は兎も角、試合の方は大丈夫でしょうね? 練習はちゃんとやってる?」
「あったりまえだ。俺もみんなも調子は絶好調だぜ!」
「本戦となると今までと同じようには行かないのよ? 雷門の名を汚す試合にはならないようにね」
「お前に言われなくても、頑張ってるさ」
 本当にいつも通りの朝だった。但し、四人を物陰からじっと見つめる影さえなければ……。
 そして、円堂にとって今日という日が、あんな大変な目に合う最初の日となろうとは。未だ予想もできないのだった─。



173:トリプルラブアタック(2/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 07:59:06 0tx8XCN8
 授業が終わり、待ちに待った放課後の時間。
 掃除もそこそこに円堂は教室を飛び出すと、サッカー部部室に向かう。そこへ夏未が待ち伏せるように立っていた。
「円堂君、お話があるの」
「何だよ、夏未。今朝の続きか?」
 溜め息をついて円堂は夏未の顔を見る。はっきり言って余計な話をするよりは、少しでも早く練習がしたい。
「で、なんだよ」
「ここじゃできない話よ。ちょっと来てくれないかしら」
「ええ?」
 ついて来いと、夏未は円堂を手招くと校舎へ逆戻りする。円堂はもう一度溜め息をした。
「だからなんなんだよ、一体?」
 夏未が招いたのは、本校舎3階にある彼女専用に作られた部屋だ。広さは優に教室ひとつ分あり、いくら理事長の娘だろうと、その明らかな優遇っぷりに円堂は舌を巻く。
「もうすぐフットボールフロンティア本戦ね。どう? 頑張ってる?」
「その話はもう、今朝したばっかだろ?」
 円堂は呆れた顔で夏未を見た。彼女はじっと円堂から目を離さない。
「あなた自身の調子はどう? 何処も、何ともないのでしょうね?」
「なんともないって。何が言いたいんだよ、夏未」
 うんざりして円堂は夏未に答える。こうしている時間さえ惜しい。
 だが夏未は視線をそらさないまま円堂にゆっくりと近寄ると、両手をとって胸元へ寄せる。
「私は……あなたが心配でたまらないのよ!」
「はあ? 俺の何が心配なんだよ。俺、さっきから練習がしたくてうずうずしてるんだ。話がそれだけなら、俺はこれで……」
「待って!」
 彼女を置いて両開きの出入り口へ向かおうとすると、夏未は塞ぐように扉を背にし、ノブの鍵をかちゃりと閉めた。
「どいてくれよ。みんな待ってる」
「だめ。行かせない」
「なんでだよ!?」
 訝しげに円堂は彼女を見ると、眉を寄せて困った風な思い詰めた顔をしている。じっと円堂を見つめると意を決したように声を絞り出した。
「だって私、……あなたの事が好きだから」
「……え?」
 ぽかんとして円堂が夏未を見つめ返すと、いきなり彼女は指を首元のリボンに伸ばすとホックを外し、下のボタンも慎重に外し始めた。
「え? ええ?」
 全てのボタンを外し終わると、袷の下から白い素肌とピンク色のブラジャーが覗く。そのまま今度は両手を右腰に動かして、スカートのカギホックを外し始めた。
「お……お、おいっ、夏未っ。な、なんでいきなり脱ぐんだよっ」
 慌てふためく円堂の顔をじっと見たまま、夏未はジッパーを下げ、膝までのスカートをばさりと床に落とす。彼女はスカートを跨ぐと、一歩ずつ円堂に詰め寄った。動く度に白くて柔らかそうな太腿と、ブラジャーと対になっているピンク色のショーツが見える。
「なな、何やってんだよっ! お前」
「あなたの事考えるだけで、私とても切なくなるの。この気持ち、分かって欲しい……」
 胸元に手をやると、フロントホックのブラジャーをぷちっと外した。カップの両側が脇に溢れ、形の良い乳房が現れた。
「わあああああ!」
 近づいてくる夏未を退け、円堂は次第に壁際まで追い詰められた。それでも夏未は構わずに円堂に体を寄せてくる。
 遂に壁に退路を遮られ円堂は、夏未にぐっと体を押し付けられる格好になる。
「おおお、落ち着けよ、夏未。な?」
「いいのよ……円堂君」
 彼女の両肩に手を置き、円堂は止めるように促す。尤も落ち着いていないのは、円堂の方だったが。
「いいのよ。私の体、円堂君の好きにして……。本戦出場のお祝い。だから……」
 夏未は乳房を円堂の胸に押し付ける。ほの紅い上向きの乳首がきゅっと立っていた。ますます円堂は慌てふためいた。
「や、やめろよ……!」
 だが、彼女はゆっくりと瞼を閉じると、濡れた唇をすぼめキスを促した。
「やめてくれ─っ!」
 その時、円堂の視界がぐるんと回った。後頭部に何か凄い衝撃が走り、鈍い痛みを感じる。と、共に意識が急速に失われていった。



174:トリプルラブアタック(3/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 07:59:35 0tx8XCN8

「はっ……!」
 気が付けばそこは自分の教室だった。白い天井の所々にうっすらと染みが見える。起き上がると、頭が酷く痛む。
「痛てててて」
 後頭部を押さえて顔をしかめた。途端に気を失う前の事を思い出した。いきなり服を脱ぎ出して、自分に迫ってきた夏未の肢体。
「あれは……一体全体なんだってあんな事が」
 目を白黒させて考えていると、教室の引戸ががらっと音を立てて開けられた。
「円堂! もう練習始まってるぞ?」
 ユニフォーム姿の風丸が教室に入ってくる。床に座り込んでいた円堂を見て、呆れた顔をした。
「何やってるんだよ。みんな待ってるんだぜ? 今まで寝てたのかよ?」
「え、……いや」
 教室の壁にかけられた時計を見ると、針は午後4時過ぎを指していた。
「余裕だなぁ。早く行こうぜ。キャプテンのお前がいないと、みんなの士気に関わる」
「あ、うん」
 頭を擦りながら立ち上がったが、先程の事考えると、どうにもすぐに気持ちを切り替えられない。
「あのさ……、風丸」
「なんだ?」
 夏未に迫られた事を、風丸に言うべきか。だが、彼女の部屋にいたはずなのに、今自分がいるのは2階の見慣れた教室だ。
 一体いつ自分はここにいたのか、それらの事を風丸にきちんと説明できるのか。
 自問自答すると全てを彼に言ってしまうのは憚れる。それに、一方的に女子に迫られただなんて、ちょっと恥ずかしい。
「……いや、なんでもない」
 円堂は風丸への言葉を飲み込んでしまった。
「変な円堂……。さあ、行こうぜ」
 風丸は首を傾げると、サッカー部室に同行するのを促す。
 気にかかる事が多過ぎるが、今はそれどころではない。円堂はなんとか気持ちを切り替えると、足早で急ぐ風丸の後をついて行った。
 本校舎の玄関を出、サッカー部へと急ぐ。そこへ逆方向から女生徒が歩いてきた。夏未だ。
「あっ」
 円堂は思わず立ち止まって夏未を見る。彼女に直接訊くべきなのか。
 部室が見えてきたのか、風丸は振り返ると円堂の肩に手を置く。
「早く着替えて来いよ。俺は先にグラウンドに行ってるから」
「ああ」
 円堂の返事を聞くと、風丸はグラウンドへと走り去った。親友が行ってしまうのを見届け、円堂は夏未へと視線を移す。
「まあ。まだ着替えてもいないの? 随分と余裕ですこと」
 夏未はさっきの事など素知らぬ顔で円堂の顔を見る。その表情に違和感を覚えた。
「……なあ、夏未。さっきの事だけど」
「さっきって何の事かしら?」
 眉をくゆらせ夏未は鼻に小皺を寄せた。
「いや、お前の部屋での話だよ。一体お前、どういうつもりで……」
 円堂は彼女に先程の真意を訊こうとした。だが、帰って来た答えは意外過ぎるものだった。
「何を言ってるの? 私は今まで生徒会の会議で忙しかったのよ。部屋になんか行ってないわ」
「……え?」
 円堂の背中に冷たいものが走った。
「う、うそだろ? それとも恥ずかしいから知らんぷりしてるのか」
「嘘なものですか。何よ、寝ぼけてるの円堂君?」
 夏未は冷たい視線を円堂に投げつけた。
 確かに起きた時は自分の教室だった。となると、彼女が言うようにあれは夢の中の出来事だったのか?
「え……、いやその……」
「もうっ、ちゃんと練習に身を入れてよね。あなたが怠けた所為で、一回戦負けだなんて雷門中の恥だわ」
 夏未はつんと横を向くと、校舎へと歩き去ってしまった。
「どういう……事なんだよ?」
 円堂は訳が分からず、首を捻るばかりだった。




175:トリプルラブアタック(4/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 08:00:15 0tx8XCN8
 翌朝、やはりいつもの日と同様の穏やかな朝。
 昨日と同様、風丸と秋と一緒に登校する。昨日あったことなどのとりとめのない会話を交わす。
 だが雷門中の校門が見えてきた時、円堂は咄嗟に身構えてしまった。また夏未が待ち構えているのではないかと。
「どうした? 円堂」
 風丸がぎこちない足取りの円堂に振り返った。
「いや、別に」
「昨日といい、おかしいぞ。大丈夫か」
「なんともないって」
 どうやら今朝は夏未はいないようだ。円堂はほっと胸を撫で下ろした。
(今日はなるべく夏未と顔を合わせないようにしよう。昨日みたいなのはゴメンだ)
 そう心に決めると、正面玄関に入り上靴に履き替えた。小さくガッツポーズをして気分を入れ替える。
 別のクラスの風丸と分かれると、秋と一緒に自分の教室に入った。
「あ。円堂君、今日日直だよ」
 黒板の当番表を秋が指差した。
「日直か~。今日もサッカー部で猛特訓しなきゃならないのに」
「だったら、私。手伝ってあげようか?」
 秋がにこやかな顔をして提案する。
「いいのか?」
「いいよ、いいよ。私マネージャーだもん。できるだけの事はするから、円堂君は部活に専念して」
 心強い彼女に、円堂は心底安堵した。
「悪いなぁ。じゃ、ちょっとだけな」
 拝むように右手を垂直に上げ、円堂は彼女に感謝のポーズを取った。

 そしてその日の放課後。クラスの皆から集めたプリントを職員室へ運ぶのを、秋に頼み、円堂は学級日誌を広げてシャーペンを取った。これさえ終わらせれば、日直の仕事は終了する。
 教室には皆もう帰ってしまったかそれぞれの部室に移動して、誰も居ない。西へ傾き始めた太陽が午後のうららかな陽射しを窓辺から送り込んでいる。
「ただいま~、円堂君。あとはもうそれだけ?」
 職員室から戻ってきた秋が引戸をがらがらと開けると、ゆっくりと閉めた。
「ああ。ありがとう、木野。お陰で助かった」
 秋はゆっくりと、席に座って日誌に書き込んでいる円堂の元へ近寄って来る。
「いつも……頑張ってるんだね。円堂君は」
「うん。まあな」
「フットボールフロンティア、本戦に行けて良かったね」
「みんなと木野たちのおかげさ」
「ううん。円堂君が頑張ってたおかげだよ」
 秋の手がシャーペンを握っている円堂の右手にそっと触れる。
「木野……?」
 何故だか彼女の妙な視線を感じ、円堂は顔を上げた。秋の小さく可愛らしい顔がすぐそばにあった。
「本当。円堂君が一番頑張ってた。誰よりも」
 彼女の視線は熱っぽく、円堂の顔に注がれている。小さめのふくよかな唇が微かに震えている。
「私……私ね。感謝してるの。円堂君がいなきゃここまで出来なかったって。だから、私……円堂君にあげたいの」
「あげたいって、……な、何を?」
 何故だか嫌な予感がする。昨日の夏未と秋とが重なって見える。
「私を…………」
 そう告げると、秋はブラウスのボタンを上から順に外し、首元のリボンを取り去った。ブラウスの身頃の隙間から、小振りの胸の膨らみとそれを覆う純白のブラジャーが覗いた。
 円堂の手を取ると、ブラジャーと素肌のあいだの隙間に差し入れる。柔らかな丸みの感触に、円堂は思わず手を引っ込めようとした。だが、彼女はその手をぎゅっと握って離さない。
「ちょっ……、な、何してんだよ、木野!」
「いいんだよ。円堂君の事、大好きなんだもの! 私の処女……もらって」
 見上げたすぐそばにある秋の顔。彼女の頬は赤く染まっている。唇を寄せると、ゆっくりと瞼を閉じる。
「ダメだってば、木野─!」
 その時、昨日と同じようにガツンと後頭部に何かの衝撃を感じて、円堂の視界がぐるりと曲がった。意識が急激に遠ざかる。
 本当に、昨日の夏未の時と全く一緒だった。



176:トリプルラブアタック(5/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 08:01:10 0tx8XCN8
「……円堂君。円堂君ってば!」
 柔らかい手が円堂の体を揺り起こした。ふっと意識を取り戻した円堂は、目の前にある巻き毛に驚いて飛び起きた。
「うわっ? な、夏未!?」
 夏未は眉間に皺を寄せて、円堂の顔を睨んでいる。
「何よ? 起こしてあげたのに。って言いますか、あなたこんなところで何サボってるの? もうみんな練習してるじゃない!」
 夏未が窓の外のグラウンドを指差す。開かれた窓から部員たちの声が聞こえてきた。
「あ……、ああ。すまない。どうも寝ちまったようだ」
「全く、キャプテンのくせに居眠りとは余裕ね? こんな事で本戦で戦えるのかしら?」
 立ち上がると、夏未は腕を組んで円堂に嫌味を言う。ぎこちなく苦笑いして、円堂も立ち上がった。
 これもやはり、昨日と同様。起こす役が風丸から夏未に変わっているだけだ。
 秋はどこへ行ってしまったのか。彼女がいれば、夏未にちゃんと理由を話せたはずなのだが……。
 だが彼女の姿はない。さっきは円堂に乳房を触らせて、キスをねだったはずなのに。
 そこまで考えて、流石に夏未にそんな事があったなどとは言えないと気付いた。
「もうっ、さっさと着替えて練習しなさいよね。こんなんじゃみんなの士気に関わるわよ」
「わ、悪い!」
 夏未の叱咤も昨日の風丸と一緒だな……。そう思って円堂は頭を振ると、サッカー部室へと走り出した。

「あら? 円堂君。日直終わった?」
 校庭を横切って部室へ向かうと、両手に大量のタオルを抱えて、ジャージ姿の秋がドアを開けて出てきた。
「き、木野……。さっきは」
「うん? どうかした?」
 目の前の秋はにこにこした笑顔を向けている。やはり、これも昨日と同様なのだ。そう思うと円堂の背に冷たいものが走る。
「もしかして、俺が学級日誌書いてた時の事、覚えてない……のか?」
「何言ってるの、円堂君。私、職員室からまっすぐ部室に行ったんだよ?」
「そ、そうか。は、……はは」
 目の前が真っ暗になってきて、ぐるぐる回りそうになる。秋はきょとんとした目を円堂に向けた。
「変な円堂君……。もしかして、練習のし過ぎじゃない?」
 小首を捻ると、秋は
「じゃ。私、先に行ってるね」
と言い残すと、タオルを抱えてグラウンドの方へ行ってしまった。
「どういう事だ。どういう事なんだよ……」
 昨日と全く同じ現象。自分に迫って来る二人の少女。でも決定的なその瞬間、自分の意識は飛んでしまい、目覚めたら全くその痕跡はなくなってしまったいる。
 昔、母親が居間で観ていたテレビの映画で、同じような内容があったのを思い出した。
 確か、自分がピンチになると、タイムリープして事故が起こる直前に戻ってしまう少女を描いたSFものだった。
 自分にも、もしかしたらそんな能力があったのか?
 だがそれとは違う事がある。その場合は時間が戻ってしまうのに、今、自分の身に起こっているのは時間がそのまま過ぎているという事だ。
 円堂は首を振った。何度も振って、自分の頭がからからと音を立てない事を確認して、失望する。
 いっその事音でも鳴って、自分の頭から外れたネジが見つかってしまえばいいのに。
 だが、ごく普通の現実は非現実な現象を受け入れはしない。その事に円堂は溜息をついた。
 こんな状態でサッカーの練習に身が入るワケがない。
「どうすりゃいいんだよ! 俺……」



177:トリプルラブアタック(6/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 08:02:29 0tx8XCN8
 そして更に翌日。やはり昨日と同じようなうららかな朝だ。
 だが円堂の目覚めは最悪だった。昨日と一昨日の事を一晩中考えて、あまり眠れていない。
 ぼんやりとした頭で朝食をとり、両親への朝の挨拶もそこそこに雷門中への通学路を歩く。
「円堂! おはよう」
 風丸が小走りに近寄って、挨拶を交わしてくる。
「風丸……」
 円堂の顔色が悪い事に気付いたのか、風丸が小首を傾げた。
「どうかしたのか?」
「あ、いや。あのさ……」
 次の路地の曲がり角から、いつも通りに秋がやってくる筈だ。だが、今の円堂にはまともに彼女の顔を見れる気がしなかった。
「風丸。悪いけど、俺、先に行ってるから」
「え」
 円堂は風丸に背を向けると、曲がり角を越して、通学路を走り過ぎる。入れ違いに秋がやって来た。
「おはよう、風丸君。あれ? 円堂君は?」
 円堂の姿が見当たらないので、彼女は不思議そうな顔で風丸に尋ねる。
「さぁ……?」
「さぁ、って?」
「俺にも分からないよ」
 風丸は彼女に肩を竦めてみせた。

 その日の授業をなんとかやり過ごした円堂は、時折心配そうに見る秋の視線を躱し、掃除の時間もそこそこにしてサッカー部室へと向かった。
 とりあえず、大会はもう近いのだ。いい加減昨日までの事は忘れて、練習に専念したい。
 早々にユニフォームに着替え、グラウンドへ出て行く。やがて、他の部員たちもやってきて一緒にランニングやストレッチなど、日々のメニューを次々にこなしていった。
 今日は夏未もあまり姿を見せないし、秋とは顔を見合わせないようにしたから、昨日一昨日とは違って、存分に練習が出来た。
「みんな、今日はお疲れ!」
 夕刻を過ぎその日の練習を終え、部員たちはそれぞれ疲れた体を引きずりながら各々の自宅へ帰って行く。
 秋と春奈のマネージャー二人も先に返してしまい、部室に残ったのは、円堂と風丸の二人のみだ。
「はぁ~っ! 今日はいっぱい練習したなぁ!」
 存分な練習で体は心地良い疲れを抱えている。制服に着替え、大きく伸びをすると、ロッカーの前でユニフォームを脱いでいる風丸に声をかけた。
「どうだ? 風丸。お前の方は」
「ああ、バッチリだよ」
「そっか。なら安心して大会行けそうだな!」
 風丸はシャツを脱いで、タオルで上半身の汗を拭っている。その細めの体は脂肪があまりなく、しなやかだ。
 大きめのタオルを肩にかけて拭っている所為なのか、両胸の辺りが丁度隠れて、風丸の少女めいた顔立ちも手伝い、まるで上半身裸の女生徒と二人きりでいるような感覚が円堂を襲った。
(へ、変だな……。風丸の裸なんて見慣れてるはずなのに。多分昨日のせいだ……)
 溜め息をついて、つい思い出してしまった夏未と秋との出来事を、ぶんぶんと首を振って頭から追い出そうとした。
「なぁ……、円堂」
「な、何だ?」
「俺さ。サッカー部に入ってホント、良かったって思ってる」
「そうか」
「お前のお陰かな?」
「そうかぁ?」
 苦笑いして、円堂は風丸に応える。だが振り向く風丸の顔は真剣そのものだった。
「ホントさ……。お前がいるから、俺、頑張れた……」
 そう言うと風丸はボトムパンツに両手をかけ、下着ごと脱ぎ捨てた。
「……風丸……?」
 風丸はストッキングとシューズ以外何も付けてない状態で、円堂にゆっくりと近寄っていった。
 夕闇で暗くなった部室に、風丸の裸体が白く浮き上がる。
「俺、ずっと思ってるんだ。お前の事……。こんな事言うと、お前ヒくかもしれないけど、お前の顔思いながら毎晩オナってる」
「は、はは……。冗談だろ? 風丸」
 いきなり打ち明けられた告白に、円堂の顔面が引き攣った。まるで昨日と一昨日の再現だ。しかも相手は女子ではなく、親友の風丸である。
「冗談なんかでこんな事言えるワケないだろ。俺、真剣なんだよ」
 風丸は円堂の手を取ると、己の股間に誘導した。そのまま股間のペニスを握らせる。まだ成長しきってない肉茎は屹立の兆しがあった。
「ままま、待てよ、風丸!」
「分かるだろう、円堂。俺、お前の事考えるだけでこんなになっちまう。もう親友のままでいられないんだ!」
 切羽詰まった調子の風丸は頬を真っ赤に染めている。切ない表情で円堂の顔を見上げていた。
「だ、ダメだ。ダメだって! 風丸!!」
 裸体をぐいぐいと押し付けてくる風丸に、円堂はぎゅっと目を瞑ると叫んだ。
 その時鈍い異音が響いた。昨日一昨日と、覚えのある音。だが倒れたのは円堂ではなく、風丸の方だった。


178:トリプルラブアタック(7/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 08:03:44 0tx8XCN8
「か、風丸!?」
 自分の目の前で崩れ落ちた風丸に驚き、円堂は一体何が起こったのかと訝しんだ。風丸を助け起こそうとした時、すぐそばの床に何者かの足が見えたのに気付いた。
「あっぶなかったなぁ! 一人に抜け駆けされると困るんだよ、全く」
 見上げると、一人の少年の姿が暗闇に浮かぶ。ブルーのユニフォームのような上下に、変わった形のシューズを履いている。
 だがその顔はまるで自分がいつも鏡で見ているように、円堂に瓜二つだった。
「だっ、誰だ、お前!」
「誰だ、って……。そっか、初めてだもんな。話するのは。俺は……」
 少年は苦笑いして頭を掻くと、にっこりと右の親指を立てた。
「俺はカノン。円堂カノン。2140年からやって来た、ひいじいちゃんのひ孫さ!」
 一瞬の間が空いた。
「はぁ!? カノン? 2140年? ひ孫??? ……って、なんだそりゃああああぁぁ!!!」
 足元に転がっている半裸の風丸の事など吹き飛んで、円堂は叫んだ。頭が混乱する。
「ああ~……。そりゃいきなり言われたって、信じられないよなぁ。でも、これはホントの事!」
「円堂カノン……俺のひ孫?」
「そう! 俺、エレメントサッカーの選手なんだ」
「サッカー?」
 いきなり飛び出た言葉に、円堂は即座に反応した。どこまでもサッカーバカである。
「そっか。お前も俺と同じ、サッカーやってんのか!」
「そう。でもひいじいちゃんが知ってるサッカーとは全然違うけどね」
「ふ~ん」
 意気投合しようとして、円堂はとある違和感を覚えた。一体何故、未来から来た人間がここに居るのか。
「カノン。お前なんでこの時代に来たんだ?」
「それがさ……」
 カノンは眉を曇らせると、しゅんと肩を落として下を向く。
「一大事なんだよ。2140年の俺が存在している未来が崩れそうなんだ」
「どう言うことだ?」
「話せば長い事になるよ、いい? ひいじいちゃんは将来結婚もせず、一生サッカーに打ち込む事になり、そして晩年独り身で死んだのさ」
「え、俺結婚しないの?」
 自分を指差して円堂はカノンに尋ねる。
「そう」
「あれ、でもそれじゃ」
「だけど、円堂守の息子は存在した。それが俺のじいちゃん。じいちゃんは所謂デザインベイビーだった……」
「でざいんべいびー? 何だそれ?」
「遺伝子操作によって作られた新たなる人類の事さ。
 ひいじいちゃん、つまり円堂守の遺伝子は国家の特別プロジェクトに委ねられて、新たなる人類の可能性の発展の為、使用される事となった。
 その遺伝子に協力する事になったのは、三人の人間さ。
 一人は雷門夏未、もう一人は木野秋、そしてもう一人は……ホラ」
 カノンは円堂の足元に転がったままの風丸を指差した。
「風丸が!?」
「そう。俺のじいちゃんは、ひいじいちゃんである円堂守とその三人の誰かの子供って事なのさ」
「いや、ちょっと待て、カノン」
 思わず円堂はカノンに掌を向けて、押し止める格好をした。ちょうどゴッドハンドを繰り出すように。
「俺、お前の言ってる事さっぱりよく分かんないけど、これだけは確実に言える。風丸は男だ。いくら何でも俺の子供なんて生めるワケがないだろ?!」
「ああ~~、それは……」
 カノンは額を撫でて、やれやれという顔をした。
「つまりさ。今、この時代では無理だけど、来るべき未来では妊娠や出産の自由が確立されているんだ。
 それは男も女も関係なくなって、遺伝子さえあれば卵子も精子も必要ない。
 要するに、未来では男同士だろうと女同士でだろうと子供を作れるんだよ」
「じゃあ、カノン。お前は俺と、夏未か木野か風丸の子孫ってことなのか?」
「そう。でもその三人のうち誰かまでは、どう調べても分からなかったんだ」
「う~、やっぱりよくわからねぇ……」
 頭を掻きむしる円堂に、カノンは苦笑いで応えた。
「で。お前の何が一大事なんだよ?」
「うん、それがさ。過去の円堂守の事を知った影山ってヤツが、じいちゃんが生まれるのを阻止しようとして、この時代に刺客を送り込んだのさ」
「影山! 影山だって!?」
 カノンの口から出た男の名前に、円堂は驚愕した。


179: ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 08:06:13 0tx8XCN8
悪いがここで一旦切ります
続きは昼くらいかな?

投下したい方は遠慮せずにどぞ~

180:名無しさん@ピンキー
09/07/22 08:21:21 G4EKlf9e
>>179
GJです。
ただ、もうかなり出てる情報だからネタバレってほどじゃないけど、カノンが出てるなら一言書いて欲しかったかも。
続き待ってます。

181: ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 08:30:43 0tx8XCN8
>>180
すまん言い忘れ
カノンに関してはかなり独自設定とゆーか…
オリキャラ注意の方に入るかも…ね
詳しくは続きにご期待下さい

182:名無しさん@ピンキー
09/07/22 08:58:31 uhPfSlCf
>>179
GJ!
SF物好きだからかなり期待
続き待ってる!

183:名無しさん@ピンキー
09/07/22 09:18:05 jay5dTQX
>>179
GJ!!
まさかカノンをこんな形で絡めてくるとは
続き期待!

184:名無しさん@ピンキー
09/07/22 09:20:22 GOuI5jFi
まさかカノンとは‥すごい!!
とにかくGJ!

185:トリプルラブアタック(8/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 12:11:17 0tx8XCN8
 影山零治……。帝国学園の総帥、だった男。フットボールフロンティア優勝の為ならどんなあくどい手をも使う男……らしい。
 しかし、今は警察に逮捕され取り調べを受けている筈だ。
「うん。そいつの先祖もこっちの世界では悪名高いヤツらしいんだけど」
「影山は何故そんな事を?」
「そりゃ自分の野望を成し遂げる為だろ」
「俺の息子が生まれるのを阻止する、ってどんな手段を使うんだ?」
「さぁ……、それが分からないから困ってる」
「う~~ん」
 カノンと二人して溜息をついた。
「ま、ともかく。じいちゃんが生まれなかったら、俺自身も未来の世界では存在しないって事になっちまう。俺、そんなの嫌だよ!」
 悲しげな顔のカノンを見て、円堂は心底彼が気の毒になった。
「そうか……。わかったぜ、カノン。俺で役に立つならいくらでも協力する。だから安心しろ」
「ありがとう! 流石、ひいじいちゃんだ!」
「で、何をすればいいんだ?」
「じゃ、とりあえず……」
 カノンは床に倒れたままの風丸を覗き込むと、ポケットから小型の見たこともない機械を取り出した。
「風丸の記憶消すから手伝ってくんない?」
「えっ?」
 カノンは手の中の機械のボタンを押した。ジジッと音がして先端から火花が飛び出る。それを風丸の頭に近づけようとした。
「な、何やってるんだよ? 記憶を消してどうするんだ!?」
「だってマズいじゃないか。こいつ、ひいじいちゃんに告白してたじゃん。そういう余計な記憶はなかった事にした方が良いんだよ」
「まさか……、夏未と木野の記憶もお前が……?」
 カノンはこくんと頷いた。
「そうさ。もし告白でもされて付き合うことになって、ひいじいちゃんと結婚でもされたら、それだけでも未来が変わっちゃう」
「で、でも……」
「記憶を消すと言っても、ほんの30分くらいのぶんだし。全部の記憶が吹っ飛ぶワケじゃないからさ」
 円堂はカノンが現れるまでの、さっきまでの真剣な告白をする風丸を思い浮かべた。頬を真っ赤に染めて、切羽詰まったような表情。
 きっと一大決心での告白だったんだろう。そしてそれは夏未も秋も同様だった筈だ。その思いすらも消し去ってしまおうというのか。
「ダメだ……」
「え?」
 カノンがきょとんとした顔で円堂を見上げた。
「ダメだ、カノン。少しだろうと人の記憶を消しちまうなんて、そんな事は許されないはずだ! それこそ影山がやってることと変わらないじゃないか」
「じゃ、どうすりゃ良いって言うんだよ」
「それは……」
 いざそう言われても、上手いやり方なんて思いつく訳はない。頭を掻きむしってみても、何をやっても無理だった。
「……ひとつだけ、ひとつだけなら方法がある」
 カノンがぼそりと呟いた。
「あるのか? 記憶を消さなくてもすむ方法が!」
「でも、それにはひいじいちゃんの負担が大きいよ。あんまり……奨められないな」
「何だよ? 俺どんな事もするよ! だから教えてくれ、カノン!」
「じゃあ、今から言う事、聞いてくれるかい? ひいじいちゃん」 
 厳かな声で、カノンは円堂に語り始めた。



186:トリプルラブアタック(9/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 12:11:49 0tx8XCN8

「まず……。風丸を起こしたら、こいつの告白に応じるんだ」
「応じる、って?」
「つまり、ひいじいちゃんは風丸と恋人として付き合うんだよ」
「へっ? だって風丸は……」
「これでひいじいちゃん狙いの女の大半が消える。男同士で付き合うなんて、大抵の女は引くからな」
 風丸は幼馴染みだぞ、今更そんな事言われても……。そう言おうとして円堂は言葉を飲み込んだ。
「それでも二人だけ諦めないヤツがいる。雷門夏未と木野秋だ。この二人だけはやっぱりひいじいちゃんに迫ってくる。そうしたら」
「そしたら?」
「何でも良いから理由付けて、その二人ととも付き合うんだ」
「はぁっ?」
 あんぐりと口を開けて円堂はカノンを見た。だが彼の顔は真面目そのものだ。
「うん。つまり、ひいじいちゃんは風丸と雷門夏未と木野秋の三人とも自分の恋人にするんだ」
「ははっ、ジョーダンきついぜ。いくら何でも三人いっぺんに、って……」
「だからひいじいちゃんの負担が大きいって言ったのに。ま、恋人っつったって、振りだけで良いんだ。本気で好きになんかならなくていい。
 一番大切な事は、このうちの誰か一人だけを選ぶのはダメ、ってことだ。これさえ守ってくれれば」
「つまり俺は三人と付き合いながら、一生独身を貫け、ってワケか?」
「そう。できる? ひいじいちゃん」
 カノンは真剣な眼差しで、円堂を見る。下げた両手の拳はぎゅっと握られ、それだけでカノンの言っている事が本物なのだと伝えていた。
 その気迫に押され、円堂はゆっくりと頷いた。
「……分かった。お前の言う事、やってみよう」
「そっか! ありがとう、ひいじいちゃん! 俺、思い切ってこの時代に来てホントに良かった」
 破顔したカノンが円堂の両手を握りしめて、何度も上下に振る。心底嬉しそうな顔だ。
「あ、やるときはちゃんとゴム付けろよ」
「ゴムって?」
「避妊しろ、って事だよ、ひいじいちゃん。ホラ、これ使って」
 カノンはポケットからコンドームの束を引っ張り出すと、円堂の手に握らせた。
「あ~、風丸は男だから、好きなだけ中出しして結構だから。じゃあ、ひいじいちゃん。頼むよ!」
 そう言うとカノンは、軽く手を振って部室のドアから出て行ってしまった。残されたのはコンドームを押し付けられた円堂と、未だ気絶したままの風丸だけだ。
 まるで一陣の台風のようだった。ふうと一息つくと、手の中のコンドームを、どうやって使うのだろうと迷いながらズボンのポケットに押し込む。
「まずは……風丸を起こして、だな」
 円堂は屈んで、床に転がった風丸の肩を抱き起こすと、ゆっくりと揺すりだした。
 がくがくと風丸の頭が揺れたが、軽く呻き声がすると、やがて瞼が反応して開く。
「あ……、円堂……?」
 ぼんやりとした表情で、腕の中の風丸が円堂を見上げた。
「びっくりしたぞ、風丸。いきなり倒れるからさ」
 慎重に笑いかけると、風丸ははっと口を開けた。
「円堂、俺……っ」
「うん。お前の気持ち、よく分かったよ。俺いきなりお前に告白されたから驚いたけど、でも」
 ごくんと息を呑み込むと、円堂は風丸の顔をまっすぐに見つめた。
「お前が親友よりも恋人になりたいんなら、俺……お前と付き合ってもいい……」
「えん……」
 風丸は何度も瞼を瞬かせると、一瞬顔を崩し、その次に喜びの表情に変わった。
「ホントか、ホントに? 円堂!」
「……ああ」
 頷いてみせると、風丸がぎゅっと円堂の背を抱き締めた。頬と頬が擦れあう。
「俺……、嬉しい。嬉しいよ」
「だ、だからさ。もう服着ろよ、風丸」
 抱き締められて何故だか妙に息苦しくなった円堂は、未だ半裸のままの風丸の今の状態を指摘する。
 風丸はぱっと裸の自分を見下ろすと、赤くなって頷いた。
「ゴメン」
 すぐさま立ち上がると、脱ぎ捨てられた下着を拾い上げ、円堂に背中を向けて服を着け始める。
 それをぼんやりと見ながら円堂は心の中で一人ごちた。
(これでいいんだな、カノン……)



187:トリプルラブアタック(10/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 12:12:17 0tx8XCN8

 次の日から、円堂に対する風丸の態度が急変した。
 まずは登校時。会うなり、いきなり手を握られ腕を組まれた。
「あのさ……、風丸。ちょっとくっつき過ぎじゃねぇか?」
「何故だ? 俺たち恋人同士じゃないか」
「いや、そりゃそうなんだけど……」
 握られた手も組まれた腕も、妙にくすぐったい。
(あ、そっか。風丸とは公然と付き合わなくちゃならないんだった)
 カノンの言う通りなら、風丸と付き合う事で、自分を好きになる人間はあと二人に絞られる筈なのだ。
「円堂君、風丸君、おはよう」
 曲がり角から秋が顔を出した。腕を組みやけに親密な円堂と風丸を見て、彼女はびくっと肩を震わせる。
「あ、あの……」
「おはよう木野さん。俺たち今日から恋人になったんだ」
「え……?」
 秋が眉を曇らせて円堂を見る。円堂は苦笑いで応じた。
「おはよう、木野。いやその、こ、こういうことなんだ……」
「円堂君……」
 悲しげな表情が秋の顔を彩った。本当の事を彼女に言えないのがもどかしい。
「行こう、円堂。ぼんやりしてると授業に遅れる」
 腕を引いて、風丸が登校を促す。二人連れ立って歩く後を、秋が肩を落として続いた。それを時折振り返り、円堂は内心彼女に謝る。
(……木野、ごめんな……)
 校門に着くと、夏未が待ち伏せしていた。腕を組んでいる円堂と風丸を見て、彼女も顔を曇らせた。
「あの、あなたたち……」
「おはよう。夏未さん」
 曰くありげに微笑むと、風丸が夏未に挨拶した。円堂は困ったように、彼女に手を挙げる。
「お、おはよう、夏未」
 頷いたが、彼女は信じられない顔で円堂を見つめた。後からついてきた秋に話しかける。
「木野さん。一体どうしたのよ、あの二人は」
「私、私……知りません」
 それだけ言うと秋は顔を伏せて玄関へと走り出してしまった。
 彼女を引き止めようと思ったが、風丸がぐっと腕を掴んで円堂を行かせないようにしてしまう。
 仕方なくちらりと夏未の方を見たが、彼女も愕然とした表情を隠せないままでいた。

 その日の授業中は最悪で、クラスメイトや廊下ですれ違う生徒たちが円堂を見るなり、ひそひそと噂をし出した。
「あいつだっけ、風丸と付き合ってるのって」
「男同士だなんて不潔ー」
「風丸って女みたいな顔してるからさ。顔さえ良けりゃヤリ放題ってカンジじゃね?」
 くすくすと、時には下卑た笑いが円堂の背中に突き刺さる。針のムシロに座らせられるとはこういう事なのかと、円堂は実感した。
 同じ教室で、秋が時折悲しげな顔で円堂を見つめている。
 だが彼女の顔を円堂はまともに見られなかった。それは昨日とは全く違った意味で、だった。

 やっとの体で授業が終わると、逃げ込むようにサッカー部室へと走った。
 急いでユニフォームに着替える。こんな事で悩んでなんかいられない。サッカーをやってさえいれば、不安も吹き飛ぶ筈だ。
 だがノックと共に扉から現れたのは、秋だった。既にジャージに着替え、深刻な顔をしている。
「あの……、円堂君。話があるの」
 カノンが言った通り、彼女は諦めていなかったのだ。



188:トリプルラブアタック(11/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 12:12:50 0tx8XCN8

「な、何だよ? 木野」
 部室から人目のつかない木陰へと場所を移すと、いきなり秋に質問攻めにされた。
「ねぇ、どうして? どうして円堂君は風丸君と……」
「いや、それがその」
「そりゃ、風丸君は真面目だし成績も良いし、顔だって女の子みたいに綺麗だし、非の打ち所のない人だと思う。
 でも風丸君は男の子でしょ? 円堂君って、女の子より男の子の方が好きなの?」
「すまん。ちょっと黙って俺の話聞いてくれないか、木野」
「だって……!」
「実はさ」
 ここが正念場だな、そう思いながら昨日のカノンの言葉を思い出す。
「風丸と付き合ってるのは……、カモフラージュなんだ」
「えっ?」
「俺が風丸に頼んで、恋人の振りをしてもらってるだけなんだ。俺、サッカーに打ち込みたいから、女の子と付き合うとかそういう時間が惜しいからさ」
「そ、そう……なの?」
「うん。朝ホントの事言えなくて、ゴメンな」
 円堂が頭を下げると、秋はほっと安堵の表情になった。
「なんだ、そうだったんだ」
「木野は……、なんでそんな事気になったんだ?」
 慎重に言葉を選ぶと、秋はぱっと顔を赤く染めた。
「え? だ、だって、私……」
「ははっ、まさか木野が俺のこと好きだから……なんてワケないよな!」
「私…………」
 体をもじもじとさせて秋が顔を俯けた。
「……好き、だよ私。円堂君の事……」
 それは実は一昨日、君の口から直接聞いたんだ。そんな事さえ円堂には彼女に言えなかった。
 秋の告白の記憶は、既にカノンに消されている。
 再びの、彼女に取っては初めての愛の告白。それを円堂は黙ったまま聞いていた。
 それが彼女にできる精一杯の詫びだから。
「ごめんね。迷惑かもしれないね。でも私は円堂君の事好きだって、その気持ちに嘘はつけないの」
「木野、俺さ……」
 正念場は正にクライマックスだった。
「俺、知らない女の子と付き合うのはムリだけど、木野だったら良いかな、って思う……」
「えっ」
「木野はマネージャーだし、サッカーの事よく分かってるし、木野さえ良ければ……」
「円堂……君」
 彼女の目尻から涙がぽろりと溢れた。口元に手を当て、鼻をすすり上げる。
「本当? 本当に? 私、円堂君と付き合っても良いの?」
「あ、ああ。でも風丸の事は勘弁してやってくれ」
「分かったよ、円堂君。風丸君とは恋人の振りで、本当に付き合うのは私と、なんだね?」
 頷くと、秋は円堂の腕に縋り付いて、頭を肩に凭れさせた。二の腕に秋の胸の柔らかな膨らみが押し付けられ、円堂は硬直した。
「嬉しいよ……円堂君」
 だが二人の抱擁を木陰で見つめる者があったのを、円堂は知らなかった。



189:トリプルラブアタック(12/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 12:15:12 0tx8XCN8
 その日、夕暮れも近くなってやっと練習が終わった。
 練習中も風丸の円堂への態度は相変わらずで、いちいちべったりとくっ付いてくる。
 そしてベンチからは秋が円堂に向けて、熱っぽい視線を投げ掛けてくるのだ。
 他の部員たちの間に妙な空気が流れていたが、言い訳をすると余計に不味くなりそうなので、円堂は黙っていた。
 部活の終了を皆に告げると、グラウンドに夏未がゆっくりと近づいてきた。
 やはり来たか、と身構えると、夏未は円堂にまっすぐ向かってくる。
「円堂君、いい? お話があるから私の部屋に来てちょうだい」
 頷くと、風丸が話に割り込んできた。
「俺も行って良いか?」
「あなたは来ないで。話があるのは円堂君に、です」
 つんと夏未は風丸に横を向いた。
「じゃあ。俺終わるの待ってるよ、円堂」
「いや、風丸は先に帰っててくれ」
 円堂は風丸に帰るよう促した。今日は長い間彼と一緒に居た所為か、流石に息が詰まってきていた。
「でも俺」「明日、明日にしようぜ」
 肩を軽く叩いて、食い下がる風丸を宥めた。溜息をつくと、やっと風丸は頷いた。
 円堂に時折振り向いては部室に戻る風丸を、横目で夏未が、そして秋が見ていた。
 校舎の3階にある夏未の部屋に通される。実際は二度目だ。だがそれも夏未の記憶からは消されているに違いない。
「何だよ、話って」
 慎重に夏未に尋ねる。カノンの言う通りなら、彼女も自分を諦めてはいない筈だ。
「円堂君。あなた……、誰が好きなの?」
「誰って」
「もう! あなた、風丸君と木野さんのどっちが好きなの、って訊いてるの。私見たんだから! あなたと木野さんが抱き合ってるとこ!」
 夏未は真っ赤に顔を染めている。それは羞恥なのか、それとも怒りなのか。円堂は溜息をつくと、ぽつりぽつりと話始めた。
「そっか、見てたんだ、お前。はは……困ったな」
「ちゃんと答えてちょうだい」
「実を言うとさ。風丸とはカモフラージュだ」
「何ですって?」
 夏未が眉間に皺を寄せる。ぱちぱちと瞬きした。
「木野とは……、う~ん。彼女の方から一方的に」
「何よ、それ」
 円堂は夏未の反応を確かめながら、慎重に言葉を選ぶ。
「木野がどうしても、って言うからさ。まあ俺、別に彼女とは付き合いたいってワケじゃ」
「あなた、意外にちゃらんぽらんなのね。風丸君とは隠れ蓑のくせに、近寄ってくる女の子とは付き合おうだなんて!」
「いや~、俺に近寄ってくる女の子なんてそうはいないぜ?」
「そうかしら?」
「ははっ、じゃあ夏未も俺と付き合ってみるか?」
「えっ……?」
 途端に夏未の頬が赤くなった。
「な、何よ……。別にあなたとなんか」
「俺は……、お前となら付き合ってもいい」
 実はお前にはもう告白されてるんだぜ? 一昨々日の彼女の告白を思い出しながら、円堂は頷く。
 彼女にその記憶はなくなってはいるが。だから今度は俺の方から引導を渡してやる、そう円堂は思った。
「嘘……。からかってるんでしょ、私を」
「ウソなもんか」
「嘘よ……!」
 夏未は耳の先まで真っ赤になっている。意外に折れないんだな。苦笑すると円堂は彼女の方を抱くと、耳元で囁いた。
「ホントさ……」
「わ、私…………」
 言葉よりも、肩を抱き締めた円堂の手の方に夏未は反応したらしい。円堂のキーパーシャツを握りしめそのまま胸に手を当ててくる。
「本当? ……本当なの?」
「ホント。本気の本気」
「だったら……付き合ってあげてもよくってよ」
 やっと折れた。
「一応聞いておくわ。風丸君とはカモフラージュで、木野さんとは仕方なく付き合ってるのよね?」
「ああ」
「本気で付き合うのは私だけ、なのね?」
「そうだ」
 答えると夏未ははにかんだ表情で、円堂にぎゅっとしがみついた。
(カノン……。これでもう、お前は大丈夫だ)

190:トリプルラブアタック(13/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 12:15:37 0tx8XCN8
 そしてそれからが円堂にとっての本当の地獄の日々の始まりだった。
 まず、登校時と帰り道、部活の最中は風丸がべったりと円堂に寄り添ってくる。
 教室に入れば、秋が熱っぽい視線を送ってくる。それはサッカーの練習中にも、だ。
 休み時間には、まるでストーカーのように夏未が近寄ってくる。
 それぞれ人目を盗んでは、キスをねだったり、柔らかな乳房に触れさせたり、股間を体に押し付けてきては、肉体関係を誘ってくる。
 でも円堂には、どうしても三人と深くまでは付き合えなかった。キスすら交わすまでには至らなかった。
 夜も深く寝付けなくなり、日中寝不足の日が続いた。
 フットボールフロンティアの本戦の日が近づいているというのに、ますますサッカーの練習どころではなくなっている。
 へとへとになり、うっかり授業中もうつらうつらとしてしまったが、その最中にも三人は円堂の心に忍び寄る。
「円堂! 俺たちとひとつになりたくないか?」
「心も体もひとつになりたい?」
「それはとてもとても気持ちのいいことなのよ……」
 裸体の風丸と秋と夏未とが想像の中でぐるぐる回り出し、解け合って円堂を誘う。
「……うわっ!」
 自分の驚き声で目が覚める。教室の黒板にチョークを走らせている教師の後ろ姿で、やっと我に返った。
(カノン……。三人いっぺんに付き合うのって、相当大変だぞ)
 頭を抱えて、白昼夢に弱り果てた。

 その日の放課後も、部室でユニフォームに着替えていると、風丸がそっと近寄ってきた。
「……円堂」
 風丸は学ランを脱いで、シャツ一枚の姿だった。裾の下から引き締まった太腿が見える。
「何だよ、風丸……」
「なあ。そろそろキスくらいしようぜ。俺たち恋人同士なんだし」
「その前に練習しなくちゃ、だろ?」
 やんわりと断ると、尚も顔を寄せてくる。
「だって円堂。お前中々、恋人らしい事してくれないじゃないか。俺……流石に悲しいぜ」
 そう言うと俯いて、悲しげな眼差しを円堂に向ける。
「う……」
 普段そんな事を言うと、たいてい怒りだすので口にはしないのだが、他の皆が言うように風丸の整った顔は少女のように愛らしい。
(まつげ……長いな。それに唇なんかも柔らかそうだ。風丸ってこんなに可愛かったっけ?)
 そう意識すれば、妙に風丸の事が愛おしくなってくる。いつもなら小学校からの付き合いだった所為か、そんな事全く気にも止めなかった筈なのに。
(キス……してぇ……)
 円堂は思わず風丸に向かいあって両の肩を掴んだ。顔を突き合わせると、ぱっと頬を染める。風丸は理解したのかゆっくり瞼を閉じ、唇を突き出した。
(ホントに可愛い……。でも夏未も木野も同じくらい可愛い。……あれっ?)
 風丸にキスしようとすると、何故か目の前に秋と夏未の顔が浮かんだ。
 はっと円堂は顔を上げた。風丸とキスするという事は、同時に彼女たちを裏切るという事だ。
 そしてそれは逆に、風丸自身をも裏切っているという事になる。
 誰とキスしようと、それ以上の関係になろうと、同じ事なのだ。
(俺、……俺にはムリだ!)
「ゴメン!」
「えっ」
 風丸に頭を下げると、円堂はユニフォームを整え部室を飛び出した。シャツ一枚のままの風丸が円堂を呼んだが、構わずグラウンドへ走った。
(俺……、三人とも同じくらい好きなんだ。そんな事があるのかよ! 三人いっぺんに好きになるだなんて……! そんな事あってたまるのか!?)



191: ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 12:18:08 0tx8XCN8
ここで二度目の切りです
残りは夕方までに
途中で改行エラー出てハラハラしたぜおい

あと…SFものだと思って読んでると後で泣き見るかもよ?

192:名無しさん@ピンキー
09/07/22 12:24:18 smbTa9lo
まさかと思うがBADエンドじゃ・・・・・

193:名無しさん@ピンキー
09/07/22 12:44:29 +zcD+276
何というエヴァンゲリオンw
続き楽しみにしてます!

194:名無しさん@ピンキー
09/07/22 13:17:07 Ds8pr0Bk
カノンと円堂がこのようなかたちで出会うとは!?
風丸切なすぎだ…面白いです!続きを楽しみにしています

195:名無しさん@ピンキー
09/07/22 13:46:33 MDK0gSJ1


196:名無しさん@ピンキー
09/07/22 14:34:04 xELWevEV
夕方まで全裸で待機

197:トリプルラブアタック(14/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 15:00:06 0tx8XCN8

「あれさ……。どう思うよ?」
 練習の合間のサッカー部員たちの間で、こそこそと話が始まった。
「あれって?」
 マックスが半田に訊く。
「風丸の事だよ。最近さぁ、練習もろくにしないで、円堂にべったり」
「けっ」
 染岡が唾を地面に吐き出した。
「あいつは確か、円堂の頼みでうちに助っ人で入ったんだろ。元々円堂狙いだったって事だろ!」
「お……男同士で、かい……?」
 影野がぼそりと呟いた。
「いや~、僕は風丸君とはアリだと思いますね」
 目金がずり落ちるフレームを指で跳ね上げながら会話に入る。
「何がアリなんだよ?」
「風丸君て所謂男の娘じゃないですか」
「男の娘って?」
「風丸君のような女の子みたいな外見の男子の事を、我々オタクのあいだでは『男の娘』って言って、最近では萌え属性として一大勢力を誇っているんですよ」
「けっ、お前のオタク談義なんか聞きたくもねぇんだよ!」
 染岡が目金を睨むと、他の皆も同意して頷いた。
「僕……、最近の風丸さん、なんだか嫌です」
 少林寺がしゅんとしてこぼし始めた。
「そうでやんす。ついこの間前までなら、俺たちの練習に付き合ってくれたのに、今はさっぱりでやんす!」
「俺……、昨日練習メニューの件で風丸先輩に相談したら、『テキトーにやっとけば』って言われたッス」
 栗松が言うと、壁山が巨体を揺らせて続いた。
「なんだ、そりゃ。サッカーの練習を『テキトー』扱いかよ!」
 ますます染岡が頭に血を上らせる。地面をシューズで蹴った。途端に土ぼこりが舞う。
「はは……、参ったねこりゃ。今まではそんな風には見えなかったけどな。俺には」
 土門が頭を掻きながら、同意するのか、否定するのか迷っていた。
「おかしいですよ。今までの風丸さんなら、もっと真面目にやってくれたのに。何だか別人みたいだ」
 宍戸が皆を見回すように訴える。すると今まで黙っていた豪炎寺が突然口を出した。
「俺も最近の風丸には違和感を覚える。ついこの前まで俺と炎の風見鶏の特訓をしてたんだが、ここ二、三日は特訓を避けるようになった」
「どういう意味だ、豪炎寺」
「あれは、本当の風丸なのか……?」
「そうですよ。風丸さんはいつも、自分の練習を後回しにしても俺たち一年の面倒を見てくれたよ。もしかしたら豪炎寺さんの言う通りに……」
「んなワケあるかよ!」
 宍戸の言葉を染岡が遮る。
「色ボケになっただけだろ! 円堂といちゃつき始めてからあいつは変わっちまった、それだけの事だ。……風丸の野郎。俺はあいつを見損なったぜ」
「しかし」
 豪炎寺が染岡の言葉を否定しようとした時、またもや影野がぼそりと呟いた。
「変わったの、風丸君だけじゃ、ないね……。実は……木野さん、も」
「ええっ!?」
 一同が驚きの声を上げた。
「へへ……、俺、目立って、る?」
 皆の注目を浴びたので、影野が鼻を頭を赤く染めながらにやにやと口元を歪めた。
「木野のどこが変なんだ?」
「うん……。あれ、を見て」
 影野はベンチに高々と積まれている純白のタオルを指差した。ふたつのタオルの山のうち、ひとつを指差す。
「こっち、が音無さんが畳んだ奴、で……」
 そしてもう一方を指差した。
「こっちが、木野さん、の方」
「なんだこりゃ!?」
「グチャグチャでやんす!」
 影野が指差したタオルの山はよれよれに畳まれており、端っこがはみ出したり今にも崩れそうで、隣の春奈が畳んだものとは、雲泥の差があった。
「俺……いつもベンチ、だからね。こういうの、すぐ分かる」
「どういうことだよ。風丸だけじゃなく、木野にまで何かあるってのかよ……」
 部員たちの間に、言い様の知れぬ不穏な空気が流れ出した。


198:トリプルラブアタック(15/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 15:00:38 0tx8XCN8

 部員たちがサッカー部内の異変に気付き出した頃、校庭の人目のつかない隅でこっそりと集まった、三人の男女の姿があった。
 一人はサッカー部のユニフォーム姿、一人はオレンジのジャージ姿、そして一人は他の女生徒とは違う色の制服を着けている。
「どうだ……。お前らの方は」
「さっぱりね。まさかあれ程一杉縄ではいかないなんて」
「あたしもさ」
 彼らの会話の内容を他の皆が聞いたら、思わず目をむくに違いない。それ程までに"彼ら”には違和感があった。
「約束の大会の日まで時間がない。クライアントの要求をそれまでに実行しなくては……」
「あ~あ。あたし、ブリッコの振りもいい加減疲れてきたよ」
 "秋”がうんざりしたように腕を組んだ。
「俺だって、クソがつく程の真面目ちゃんだぞ。一年の奴らが一々慕ってきやがんの。ウザッたくてしょうがねェ!」
 "風丸”が唾を地面に吐き捨てた。
「あらあら、あんたたちには荷が重過ぎたようね。私は平気よ。……でもちょっと男日照りで体がたまんないわ」
 色っぽい声で"夏未”が胸をぷるんと震わせる。
「お前はヤリマンだからなぁ」
「ふん。ところで、あんたは処女を捨てる覚悟、出来てるのかしら……?」
 "夏未”が"秋”に、曰くありげな視線を送った。
「うっさいわね。あたしはあんたみたいに安っぽい女じゃないんだよ!」
「ドSの癖に処女だなんて、お前も変だよな」
「そういうあんたこそ、どうなのよ?」
 "秋”が"風丸”に苛つく態度を示す。
「……ちっ、ケツを掘られる覚悟くらい出来てらァ!」
「どうだか。声が震えてるよ? あたしが慣らしてあげようか? あとでアナルビーズでもぶち込んでやるからさぁ!」
 高笑いする"秋”に"風丸”が顔を歪めて睨みつけた。
「いい加減にしてよ。仲間割れしてる場合じゃないわ。問題は如何にして円堂守を攻略する事にあるんだから」
「俺さっき、キス寸前まではいったんだが、あの男いきなり『ゴメン』って逃げ出しやがった」
「あたしも何度胸を触らしてやっても、中々自分から手を出して来ないんだよね」
「まったく、この私の魅惑のボディを見ても何も反応しないだなんて。どんだけ純情ボーイなのよ、あの円堂守って奴は!」
 三人は口々に円堂への誹謗を口にする。その中には明らかな焦りが見え隠れしていた。
「……けど、どうするの? クライアントご要望の大会までにはもう日がないよ。このままじゃ」
「ああ。何としても既成事実は作らねェと」
 焦る”秋”と"風丸”に"夏未”はほくそ笑むと、ぷりんとした胸を強調するように突き出した。
「こうなったら、三人同時で襲っちゃうのはどう?」
「三人で?」
「そう。みんなで押さえつけて、無理矢理童貞奪っちゃうの。そうすれば、すぐに私たちの体に夢中になるに決まってる」
「なるほど、俺たちで逆レイプってとこか?」
「だったらあたし、自慢の足コキで悩殺しちゃうよぉ! うふふふふふ!」
「さしもの円堂守も私たち三人の魅力の前では、陥落ってとこね。おほほほほほ!」
「大会までサッカーの事忘れるくらい、SEX三昧にしてやろうぜ。あっはははは!」
「……おお~い、お前ら!」
 下卑た調子で高笑いを始めた三人に、突如走って近づく者の姿があった。
「大変だ! 不味い事になったぞ」
 三人の前に走り込んできたのは、誰あろう円堂カノンだった。
「……お前! 円堂守の前だけに出てくる約束だぞ。こんなとこ、うろついてんじゃねェよ!」
「なぁに、不味い事って?」
 両膝に肩で呼吸していたカノンは、三人を見渡すと息を切らしながら告げた。
「あいつらが逃げ出した!」
「なんですって!?」


199:トリプルラブアタック(16/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 15:01:05 0tx8XCN8

「おい。サボってないで練習、やろうぜ!」
 手洗い場で顔を洗って一旦気分を冷やしてから、グラウンドにやって来ると、妙な異変に気付き始めた部員を前に、円堂は喝を入れて練習を促した。
「……円堂。お前は何か気付いてないか?」
「何が?」
 豪炎寺が円堂に尋ねる。すかさず染岡が続いた。
「風丸と木野だよ」
 その名前に円堂の胸がどきんと高鳴る。
「あいつら最近変じゃないか?」
「ど、どこが……? どの辺りが、だよ」
 具体的に何処が、と言われると部員たちのあいだでも返答に詰まる。
 その時不意に、校門の方から一心不乱に駆けてくる姿を目にし、部員たちのあいだにどよめきが起こった。
「お─い! みんな!!」
 右手を振りながら駆けてきたのは件の風丸だ。だが、皆は部室のある場所の奥からやはり近寄ってくる三人の姿に動揺する。
「え……? 俺目が変になったかな?」
「ままま、待つでやんす! 風丸先輩が二人いる!?」
「奥の方からも校門の方からも同時に風丸さんが!」
「どうなってやがる……?」
 風丸だけではなかった。校門からは彼に遅れて二人の女生徒が駆けてくる。夏未と秋の姿だ。
「木野と夏未さんもだ!」
 口をあんぐりと開けて、半田がきょろきょろと双方向の三人を交互に見る。
 先に走ってきた風丸が部員たちに、息を切らせながら打ち明けた。
「お前ら、心配かけてすまない! 俺たち今まで閉じ込められてたんだ!」
「えっ……?」
「閉じ込められてた、だと!?」
 追いついた夏未が更に皆に言う。
「私たち、変な男たちに数日間捕われてたのよ。風丸君が機転を利かせてくれたから、こうして逃げて来られたけど」
「そうだよ。風丸君がいなかったら、私たちまだ閉じ込められてたままだったよ」
 やはり皆の元へ走ってきた秋も続けた。
「いや俺、大したことしてないよ」
 二人の女子の言葉に、風丸は両手を振って否定の態度を取る。
「何ですかそれっ? 詳しく教えて下さいっ! スクープの匂いがしますっ!」
 元新聞部の血が騒いだのか、春奈がメモを片手に三人の周りで騒ぎ出した。
「あの……、風丸先輩達がどっかに閉じ込められてたんなら、アレは一体なんなんッスか?」
 壁山が巨体を揺らせて、グランドへ近づいてくるやはり三人の姿を示す。風丸たちが思わず息を呑んで見た。校内に自分たちと同じ顔の人間が存在するのを。
「そうか。俺たちがどうして閉じ込められてたのか、ずっと分からなかったけど、こういう事だったのか……」
 冷ややかな顔の“風丸”と“夏未”と”秋”は、同じ姿の自分たちを指差すと部員たちに向かって命じた。
「そこにいる私たちは真っ赤なニセ者よ。さっさと追い出してちょうだい!」
「なっ……!」
「ひどいわ!」
 夏未が“夏未”に近寄り、きっとして睨むと右手を高々と上げる。次の瞬間、パシンと音がして“夏未”の頬が鳴った。
「いい加減にしてよ! 偽者はあなたたちの方。……それに、私はこんなにツリ目じゃないわよ!」
 頬を張った夏未は、“夏未”の目元をぎゅっと指でつまみ上げた。
「いや、どっちも同じくらいツリ目でやんすよ?」
「なんですって!」
 否定する栗松に、二人の夏未が怒り出した。
「やめてよ! 私と同じ格好なんかしないで!」
「あんたこそやめなさいよ! ジャージが脱げちゃう!」
 ”秋”の着ているジャージを、秋が引きずり下ろそうとした。
 二組の同じ顔の女子の姿に、部員たちはおろおろして、顛末を見守る。
 そしてにやりと薄笑いを浮かべている“風丸”と、訝しげに眉を震わせている風丸の姿を。
「ど、どっちが本物の風丸だよ?」
「俺……、流石に、分からない」
 その時校門から駆けてきた風丸は、静かに俯くと、豪炎寺に呼びかけた。
「豪炎寺、炎の風見鶏だ」



200:トリプルラブアタック(17/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 15:01:39 0tx8XCN8

 はっと顔を上げて、豪炎寺は風丸の顔を見た。
「……分かった。染岡! ボールを寄越せ!」
「えっ」
 染岡が一瞬戸惑ったがすぐに頷き、そばにあったサッカーボールを豪炎寺と風丸の間にめがけて打った。
「行くぞ、豪炎寺!」
「おう!」
「炎の風見鶏!!」
 ほぼ三日ぶりの間が空いていたにもかかわらず、二人の息はぴったり合っていて、炎を纏った必殺シュートはしたり顔の“風丸”の足元で炸裂した。
「うわああああっ!」
 その威力に、“風丸”はもんどりうって、その場に倒れ込んだ。
「風丸……」
 円堂が地面に着地した風丸を見て、思わず彼に走り寄る。
「みんな、これで分かったろう。炎の風見鶏を打てる方が本物の風丸だ」
 豪炎寺が戸惑う部員たちの顔を見回して、そう宣言する。途端に風丸の周りに一年たちが取り囲んだ。
「そうだ。こっちが本物の風丸さんだ!」
「風丸せんぱぁぁぁい! ちゃんと俺たちの練習見てくれるッスよね?」
 壁山がうるうるした瞳で見ると、風丸はにっこり笑って頷く。一年たちが思わず泣きじゃくりだした。
 風丸の肩に円堂が手をぽんと置くと、振り向いた風丸ははにかんだ顔で応えた。
(こっちがホントの風丸……? じゃあ、今までずっと俺に迫ってきた風丸は……?)
 夏未と秋も同じ顔の自分から離れて、部員たちの方に寄り添ってきた。倒れた“風丸”を“夏未”と“秋”が助け起こす。
「何故、お前が俺と炎の風見鶏の特訓を避けたのか、やっと分かった。お前はシュートのやり方を知らなかったんだな?」
 “風丸”に豪炎寺が立ちはだかるとそう訊く。“風丸”は苦々しい顔をすると唾を地面に吐き捨てた。
「ニセ者はお前たちの方じゃないかよ!」
「おい! なんで風丸たちに化けやがったんだ!? ワケをさっさと言えよ!」
 部員たちが偽物たちを取り囲んで非難の声を上げ始めた。
「……ふう、もう潮時か。ま、折角閉じ込めといたのにあいつら逃げ出しちゃたんだから、しょうがないね」
 偽者の三人の背後から、一体いつからそこに居たのか一人の少年がひょいと姿を現した。
「あっ!」
 その少年の顔を見て、部員たちが驚きの声を上げた。その顔は服装さえ違うものの、円堂にそっくりな顔をしている。
「今度はキャプテンのニセモノが!?」
「カノン! どうなってるんだよ、これは!?」
 当の円堂が思わず叫んだ。元はと言えばこの混乱も、自分のひ孫だと言うカノンが現れてからだった。
「円堂……? 知ってるのかあいつを」
 豪炎寺が訝しげな顔で訊く。
「ああ。あいつは未来からやって来た俺のひ孫で……」
「あっははははは! まだそんなデタラメ信じてるのかよ! そんなの、俺がついたウソっぱちだっての!」
「ウソ……だって??」
 円堂が信じられない顔でカノンを見た。
「仕方ねェな。ホントの事、教えてやろうじゃねェかよ!」
「あたしらはクライアントの要望に応え、裏の社会で秘密の活動を行う実行部隊」
「その名も戦国伊賀島中・諜報部部員、人呼んで“黒い三連星”……よ!」
「俺は“黒い三連星”見習い!」
 名乗りを上げる“風丸”と“秋”と“夏未”に、カノンが一言付け加えた。
「戦国伊賀島中って、まさか!」
「フットボールフロンティア第一戦での、うちの相手校じゃないですか!」
「なんだと! お前ら卑怯な手使って俺たちを陥れようって魂胆だな!?」
 部員たちがその正体を知り、口々に叫び、慌て出す。だが“黒い三連星”たちはにやにやとした笑いをその顔に浮かべていた。
「はははははっ! な~んだ、全部ニセモノの仕業かよ! あはははははは!」
 突然円堂の笑い声がグラウンドに響いた。何事かと部員たちが円堂に振り向く。
(なんだよ。俺、バカみてぇ。風丸も夏未も木野も、全部ニセモノじゃないかよ。
 って事は三人いっぺんに好きになったのも、ウソだったって事じゃないか。ホント、バカみたいだ!)



201:トリプルラブアタック(18/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 15:02:12 0tx8XCN8

「何だって、お前たちは風丸たちに化けたんだ?」
 円堂が“黒い三連星”に尋ねた。
「簡単だ。お前ら雷門中サッカー部はストライカーの豪炎寺が決め手のチーム。……に見えて、ホントはキャプテンの円堂守がいなきゃただの弱小チームって事さ」
「そこであたしらは円堂守一人を潰す作戦に出た」
「ハニートラップであなたを骨抜きにして、サッカーどころじゃなくならせてしまおうって、ワケ。ま、純情君には全く効かなかったけどね」
 “黒い三連星”たちがブチま けた話を聞き、円堂は耳慣れない言葉に目を白黒させた。
「ハニートラップ、……ってなんだ?」
「色仕掛けって事よ、円堂君」
 夏未が顔を顰めて教える。
「ええ~っ。って事は、私のカッコで円堂君に迫ったのね!?」
 秋が真っ赤な顔で慌て出した。
「そういう事。全くいやらしいったらありゃしない」
「……あれ? じゃあ何で俺にまで……?」
 きょとんとして風丸が自分を指差す。円堂を見て、次に部員たちの顔を見た。
「いやさ、風丸。それは……」
 円堂が顔を赤くして俯く。
「え? 俺が? 俺が円堂に迫った??」
 部員たちが気まずい顔をして、風丸に嫌々と手を振ったが、目金だけが誇らしげな顔で頷いた。
「そうです。風丸君のBLっぷりは半端なかったですね」
「ビーエル、ってなんだよ!?」
「……兎も角! お前らは戦国伊賀島のサッカー部に頼まれたんだな? そんな卑怯な手を使わずに、堂々とサッカーで勝負しろよ!」
 円堂は流れを変えるように咳払いすると、“黒い三連星”たちに手を振り上げて叫んだ。部員たちもそれに続く。
 だが、“黒い三連星”はにやにやとした笑いを崩さない。
「うふふふふ……。うちのサッカー部とは全く関係ないわ」
「俺たちのクライアントはもっと闇の世界の御方さ」
「あなたたちなんかが知る必要はない話なのよ」
「ま、そんなワケだからさっさと撤収!」
 カノンが叫んで地面に何かを投げつけると、途端に地面からもうもうと煙が立ち上った。
 その煙はどす黒く大きくなり、“黒い三連星”たちの姿を隠してゆく。
「あっ! 待てよ! ホントの姿を表せよ!!」
 円堂が叫んだが煙の中の彼らの姿は急激に見えなくなってしまう。
「あたしらの素顔なんて見せるワケないじゃない!」
「だが覚えておけ、お前たち。いつかこの借りは返すぜェ!」
「もしかしたらまた会えるかもね。でも全然別の姿で、だけど」
 煙はすぐに広がって、やがて徐々に消えてしまった。その後には誰ひとりの姿も残されてはいなかった。
「なんだったんだ、あいつらは……?」
「俺たち、あいつらにまんまと騙されてってワケか」
 部員たちが消えた“黒い三連星”たちにそれぞれを文句を言い始めた。
「それにしてもクライアントって一体誰だったんだ?」
「その事なんだけど」
 誰かが口にした言葉に、夏未が眉を顰めて呟く。
「私たちを閉じ込めていた連中は黒服にサングラスの男たちだったわ」
「……黒服!」
 ピンと来たのか、豪炎寺と土門が同時に顔を上げる。
「まさか、あいつらに依頼したのは影山……?」
 部員たちの間に動揺が走った。
「影山って、この間の帝国学園の総帥の?」
「でも逮捕されたんじゃ……」
 またしてもその男の名前が……。だが円堂は皆の顔を見渡すと、言い含めるように諭す。
「もうやめにしようぜ。そんな事考えてるヒマがあったら、その分練習に打ち込もう! 大会はもうすぐなんだからさ」
「円堂の言う通りだな」
 風丸がふっと微笑むと頷く。同時に部員たち皆も緊張から解放されて、やっとほっと息をついた。



202:トリプルラブアタック(19/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 15:02:43 0tx8XCN8

「染岡さん。やっぱり豪炎寺さんが言った通り、あの風丸さんはニセモノだったじゃないですか」
 宍戸が話しかけると、染岡は顔を引き攣らせて応える。
「バ、バカ野郎。俺だってあの風丸が変な事くらい気付いてたさ!」
「どうだか……」
 そう呟く宍戸に、染岡が首根っこを捕まえて締め上げた。それを見て他の部員たちがぷっと噴き出す。
 やっと戻ってきたいつもの日常に、円堂は平穏な気分を噛みしめた。だが突然あることに気付く。
(……あれ? 俺はあいつらがニセモノだったと分かったけれど、でも、あいつらに対する気持ちは本物に対する気持ちじゃないのか?
 つまり、俺は本物の風丸と夏未と木野として好きになったんだから……)
 円堂は本当の風丸と夏未と秋を改めて見る。奇妙な程に、皆それぞれ愛らしく映った。
(ヤバいっ! みんな同じくらい可愛いっ! お、おかしいぞ俺。3人いっぺんに好きになるなんて……)
「そう言えば、俺の偽者は円堂だけじゃなく、お前らにも何かしたのか?」
 ふと投げかけた風丸の疑問に、部員たちが表情を強張らせた。気まずい雰囲気が流れ出す。
「いや~、その……」
「何ていうか、さぁ」
「もういいじゃないですか。ここにいるのは本物の風丸さんなんだし」
 少林寺がそう言ったが、栗松が続けて言い出した言葉が不味かった。
「全くでやんす。本物の風丸先輩はキャプテンに恋心なんて抱いてないでやんすからね!」
「バ、バカ! 栗松、余計な事を……!」
 他の部員が止めたが、既に遅かった。
「……な。何でお前たち、俺が円堂の事を好きだって知って……、あっ!」
 しまったと言う顔で、風丸が自分の口を塞ぐ。見る見るうちに顔が真っ赤に染まった。
 途端に部員たちの間に、諦めと失望がないまぜになった感情が流れた。
「何だよ……。本物も色ボケかよ!」
「おやおや、こちらもBLの世界でしたか」
「だからビーエルって何だよ!?」
 染岡がこめかみを引き攣らせ、目金がにやにやと笑い、風丸は慌てて否定し始めた。
「ち、違う! 今のはそういう意味じゃないぞ。俺はつまりその、親友として好きだって言ってる訳で……」
「もういいじゃん。だって今校内では、風丸が円堂の恋人って事になってるし」
 マックスが真ん丸な目を曰くありげに風丸に向けた。
「な、なんだって!?」
 真っ赤になった顔を今度は青ざめさせ、風丸は悲鳴を上げた。
「ど、どうなってるんだ!? 俺と円堂が恋人って? 一体どうして……!!?」
 赤らめたり青ざめたり忙しい顔の風丸が思わず円堂の顔を見やる。
「か……風丸…………」
「円堂…………?」
 互いに火を吹く程に頬を染めて、円堂と風丸の視線が合った。
「俺、本物の風丸さんとだったら、キャプテンとの交際、応援しますよ!」
 全く空気を読まずに、宍戸が風丸の手を取ると上下に振った。
「は? 何言ってるんだ、宍戸」
 そして豪炎寺がぼそりと呟く。
「……俺は、風丸がちゃんとサッカーに身を入れてくれるんなら、円堂との交際を認めてもいい……」
「いや、だから! どうして俺と円堂が交際するのが前提になってるんだ!?」
 風丸が顔を真っ赤にしながら部員たちを見回した。一年はにこにこと頷き、二年の連中は苦笑いしたり素知らぬ振りをしている。
「ほほ~ぅ。<スクープ・風丸先輩と円堂先輩の恋は本物! 部員の皆さんは応援中>……っと」
 春奈が今までの皆の会話を元に、熱心にメモを取っていた。
 部員たちの視線に怯え、あまりにもの羞恥に目尻に涙を浮かべ、風丸は円堂に走り寄った。
「え、円堂! た、助けてくれ~~!」
「うわ! 風丸!? こっちくんなよ!」
 思わず円堂が飛び退った。
「どうしてだ!? 俺たち親友だろう?」
「もういやだ! 俺に迫ってくるな、風丸!!」
 ここ数日の経験の所為で、すっかりお色気恐怖症気味になっていた円堂が思わず風丸から逃げ出す。
 必然的に追いかけっこを始めた二人を見て、夏未が頭を抱えた。
「もう……。ホント、男の子ってバカみたい!」
「うふふ。そうだね」
 夏未に秋がくすくすと微笑むと空を見上げる。部員たちの笑い声が聞こえる。空は突き抜けるような快晴だった。
 
<終わり>


203:(19/19) ◆gYCSAIVZniW6
09/07/22 15:05:07 0tx8XCN8
以上です
展開的に騙されちゃった人たちごめんねえぇ
ウッシシシシシ!

ちょっと長過ぎたけど、ここまで読んでくれた人にマジで感謝!

これで心置きなくまとめの人に戻ります
これにて撤収!

204:名無しさん@ピンキー
09/07/22 15:23:43 why3PbvV
>>203
な、なんということだー!これはGJと言わざるをえない
読み応えもありどんでん返しもあり、凄く楽しめた
あんたの書く風丸さんは毎回可愛くて仕方ないぜ

205:名無しさん@ピンキー
09/07/22 15:33:24 xELWevEV
>>203
長かったけど読み応えがあって凄く面白かった
マジで感謝!

206:名無しさん@ピンキー
09/07/22 15:34:32 uhPfSlCf
>>203
なん、だと…?
つまりSF(少し 不思議)じゃなくてSF(思考が 吹っ飛ばされた)だったのか!
騙された…でも面白かった!GJ!

207:名無しさん@ピンキー
09/07/22 15:35:05 G4EKlf9e
全部読んだけど、なんかお嬢と秋が風丸の引き立て役みたいだな。
てか◆gYCSAIVZniW6は腐女子だよね?素直に風丸×円堂にして801スレに投下した方が良かったんじゃない?
まあ乙でした。

208:名無しさん@ピンキー
09/07/22 15:44:11 4t816LKh
>>207
>>72=>>36=>>57=>>76ですよね?
セクハラのターゲットをコテハン氏から>>203に変更ですか?

209:名無しさん@ピンキー
09/07/22 15:44:38 tPbzmN0Y
GJ!
面白かったw
でも黒い三連星にレイプされる円堂も見たかったな~w

210:名無しさん@ピンキー
09/07/22 15:57:19 why3PbvV
>>207
またコテハン叩きか
腐女子を語り種にして色々言うのはいい加減やめろよ
しかもこれは円堂×風丸だろ、腐女子にしたって投下してくれる事にありがたみを持ったら?

211:名無しさん@ピンキー
09/07/22 15:59:40 tw2Se/5s
まとめサイト管理人は後書き前書きのノリからして腐女子だよ
ついでに801スレの>>1らしいわ

463 :風と木の名無しさん:2009/06/18(木) 15:13:10 ID:S4vW2WDsO
帝国祭りの中豚切るが、
某所に投下された小説を書いたのって、このスレの住人じゃないかと思うんだけど。
自分、風丸スキーだし、エロいし上手いしGJだ。
466 :風と木の名無しさん:2009/06/18(木) 15:45:54 ID:7BIoiFGo0
>>463
バレたかw
ごめん、実はこのスレを立てたのも俺
やっぱ801小説読み慣れてる人には分かっちゃうかw

534 : ◆gYCSAIVZniW6 :2009/06/25(木) 13:24:52 ID:A/LrW0sL0
>>532
ちょwおまww
俺がこのスレの住民だってのにその発言か
さくーしゃだから言える事だけど、アレのあとアフロディにもいただかれちゃってます
535 :風と木の名無しさん:2009/06/25(木) 15:23:41 ID:Ze7NdEPcO
>>532,534
その辺にしとけ
またヲチしてるって言われるぞ
536 :風と木の名無しさん:2009/06/25(木) 17:05:46 ID:Kkl5OZr3O
ヲチしてるって言われてるのは作者本人が原因か
痛いな
537 :風と木の名無しさん:2009/06/25(木) 18:13:06 ID:A/LrW0sLI
うん、痛いね
それは重々承知する
だが他人の振りしてレスするのは矜持に反する

それよりも他人にツッコミ入れるよりは萌え話する方が平和だよ
538 :風と木の名無しさん:2009/06/25(木) 20:12:15 ID:d+mtKKoJO
>>237
さらっと開き直ってないで
半年ROMれよ

212:名無しさん@ピンキー
09/07/22 16:09:01 FmunFNYA
分かったからこれ以上職人を追い出そうとしないでくれ

213:名無しさん@ピンキー
09/07/22 16:18:38 lceidroW
>>211
聞かれてもいないのに「このスレを立てたのも俺」とか言っちゃう
一人称「俺」
他スレで鳥晒しちゃう
「さくーしゃ」
他スレで後書き語っちゃう
始終同人サイトノリ
注意されても謝るどころか開き直る、反省の色が全くない
          ____
       / \  /\  キリッ
.     / (ー)  (ー)\    うん、痛いね
    /   ⌒(__人__)⌒ \   それは重々承知する
    |      |r┬-|    |    だが他人の振りしてレスするのは矜持に反する
     \     `ー'´   /
    ノ            \    それよりも他人にツッコミ入れるよりは萌え話する方が平和だよ
  /´               ヽ
 |    l              \
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))


          ____
        /_ノ  ヽ、_\
 ミ ミ ミ  o゚((●)) ((●))゚o      ミ ミ ミ
/⌒)⌒)⌒. ::::::⌒(__人__)⌒:::\   /⌒)⌒)⌒)
| / / /     |r┬-|    | (⌒)/ / / //        だっておwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
| :::::::::::(⌒)    | |  |   /  ゝ  :::::::::::/
|     ノ     | |  |   \  /  )  /
ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、         バン! バン!
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))

214:名無しさん@ピンキー
09/07/22 16:33:57 t6PU7l/f
>あと…SFものだと思って読んでると後で泣き見るかもよ?
>展開的に騙されちゃった人たちごめんねえぇ

読者をおちょくってるの?作品は凄く良いのに不愉快だよ…
あとなんか自分に酔ってる感がするんだけど…
いくら貴女がまとめサイト管理人だからとはいえ、ここは共有の場で私物じゃないんだよ?

でも作品はとても楽しく読みました
大作乙でした!

215:名無しさん@ピンキー
09/07/22 16:41:18 /TVGpYxd
さっきから叩いてる奴何が目的なんだよ…
職人追い出したいの?過疎スレにしたいの??

216:名無しさん@ピンキー
09/07/22 16:48:38 OE5V0aOc
職人だろうと住人だろうと痛い奴は痛い
職人だからなんでもありがたがらなくちゃいけないって訳じゃない

217:名無しさん@ピンキー
09/07/22 17:03:48 Y2Y/b7lC
何が痛いって作品も描けねぇしマスもかけねぇ馬鹿が
頼まれてもいないのにあちこち飛び回ってレス晒して叩いてる気になってるって事かな

218:名無しさん@ピンキー
09/07/22 17:21:03 jSCbMX80
>>214
別に読者をおちょくってるとか自分に酔ってるとかそういうわけじゃないと思うよ
SFだと思ってwktkした人がいるかもしれないけど展開がそうならないかもしれないからがっかりしないでねってことじゃないの?
確かに書き方に誤解をまねくところはあったのかもしれないけどそこまで悪く受け取ることもないんじゃないかな

219:名無しさん@ピンキー
09/07/22 17:36:00 Hkf0dnbP
最近何かにつけて突っかかる人が多すぎ

>>203楽しかったよGJ!いつもまとめもありがとう。
心ないことを言う人も居るがどうか気にしないでほしい!
ただ腐だからって理由でこうなってるんだと思う。

自分は作品が楽しけりゃ職人さんは腐でも全くOKだけど、なんか目の敵にしてる人がいるね。

220:名無しさん@ピンキー
09/07/22 17:48:04 IW5BlcAY
>>203意外な展開の連続で楽しめた!乙です!

>>211>>213過去レスまで持ち出してくるのが疑問
ぶっちゃけ作品そのものと関係ないような希ガス

221:名無しさん@ピンキー
09/07/22 17:57:17 G4EKlf9e
このスレはマンセーしか書き込んじゃいけないのか?
てか◆gYCSAIVZniW6も、2ちゃんに作品を晒してる時点で酷評もあると思って投下してるよな?
自分は◆gYCSAIVZniW6に期待していたからこそ、思った事を書き込んだまでだけど。

222:名無しさん@ピンキー
09/07/22 18:07:17 tPbzmN0Y
ってかスレの雰囲気悪くなるからもうやめてください

223:名無しさん@ピンキー
09/07/22 18:08:56 why3PbvV
空気読めよ

224:名無しさん@ピンキー
09/07/22 18:12:38 OE5V0aOc
>>221
マンセー以外の意見を書き込むと>>208みたいにセクハラ(笑)って言われるよ
職人擁護が異常すぎて怖いよこのスレ…

225:名無しさん@ピンキー
09/07/22 18:26:18 Y2Y/b7lC
>>221
・カノン出すならネタバレと書け
・腐女子は801スレ行け

さっきから随分偉そうな事言ってるが少なくともコレ二つは酷評じゃなくて只の難癖だろが
エロパロっては黙って口開けてりゃ好みの餌が入ってくる場所じゃねぇし、
気に喰わないからってどこまでも叩いて許される場所でもないんだよ
ちったあ考えて発言しろ

226:名無しさん@ピンキー
09/07/22 19:10:07 KFhF3boZ
これじゃまた最初の頃と同じジャマイカ・・・
ガッチリ決まり作った方が良いのかね?


227:名無しさん@ピンキー
09/07/22 19:12:04 trhnnri6
>>207
腐女子アンチうざい

228:名無しさん@ピンキー
09/07/22 19:13:46 fed6fUPI
確かにこのスレ今まで作品のなかみ自体には酷評っていうほどの
レスする人なかったと思う
でもそれが逆に作品を投下しやすかったんじゃないか?

職人さんたちにとって勉強になることならまだしも、
あのキャラの扱いが~、このカプにしたら~
とかいう主観的なものは言っても空気悪くなるだけだし
>>221は自分で書いてみればいいと思うよ


229:名無しさん@ピンキー
09/07/22 20:03:10 0kby2Gs8
嫌ならスルーがルールだろ
職人GJ!

230:名無しさん@ピンキー
09/07/22 20:07:11 4LAlEXJj
職人さん長編お疲れ様。GJ!

231:名無しさん@ピンキー
09/07/22 20:58:59 l9HkcVoK
>>207>>221>>224
「夏未と秋が風丸の引き立て役みたいだ」の一行で終わってたら>>203を読んでの感想ってことでここまで話が膨らむことはなかった
その後に「腐ですか?」といらん一言言っちゃったのがアウト
助言のつもりならおせっかい、ここはイナズマキャラに萌えられたら百合だろーがホモだろーがなんでもOKの場所だしそのことでROMが横から文句言う筋合いは無い

232:名無しさん@ピンキー
09/07/22 21:04:22 jZy38QP1
夏休みだしな
変なの湧いてくるだろw


今日のアニメで円堂に萌えたw

233:名無しさん@ピンキー
09/07/22 23:00:23 9rCp/wZu
職人を庇うとかそう言うんじゃなくて、下手だろうが文章作品初めてだろうが、勇気出して作品投下してくれること自体にマジで感謝だな!

234:名無しさん@ピンキー
09/07/22 23:26:43 G4EKlf9e
荒らし紛いのレスをしてすみません。自分にこのスレは合わなかったんだとつくづく思いました。
ただ、女キャラを当て馬にするのは読後感が悪く、それならばいっそのこと完全な801にしてしまえばいいのに。と思った勝手な感想でした。
それと、まとめ人◆gYCSAIVZniW6さん、お手を煩わせますが、まとめサイトにある自分の投下作品を削除して下さい。
・女女の夏未×秋
・混合のガングロ×一之瀬&秋×一之瀬&土門×一之瀬
上記2作品です。
あと>>145は誰かが勝手に転載したやつだからまとめサイトには載せないで下さい。
あと途中まで書いた豪炎寺+円堂×鬼道さんを今から投下します。まとめサイトには載せないで下さい。未完です。
ただ、このスレに投下する為に書いてるものだから行き場が無いんです。
それではお騒がせしました。

235:1/6
09/07/22 23:28:01 G4EKlf9e
フットボールフロンティアで帝国学園が世宇子中に大敗をして数日が経っていた。
その屈辱を晴らす為に鬼道は雷門中に転校した。
この数日間、鬼道の事を認めてくれないメンバーも中にはいた。だが元々の実力や指導力、何よりも仲間を思う強い気持ちが伝わったのか、鬼道はいつしか雷門中の仲間達に打ち解け始めていた。
─そんなある日。
 
 
「歓迎会…?」
「そんな大げさなモンじゃないけどさ、もっとお前と仲良くなりたいって言うか、お前の事を知りたいって言うかさ…。な、いいだろ?」
こんな満面の笑顔を向けられれば誰だって悪い気はしないだろう。少し前までは帝国学園の司令塔として良きライバルであった鬼道も例外ではない。
この、真っ直ぐな円堂の力強い言葉と屈託のない笑顔には敵わない。それに、自分を仲間と認めてくれた事が素直に嬉しかった。
鬼道は断る理由もなく、一つだけ小さく頷いた。
「じゃ、オッケーだな!っと、豪炎寺も大丈夫だよな?」
「ああ…。」
円堂が振り返って尋ねると、腕を組んだままの豪炎寺が無表情で答えた。
豪炎寺は鬼道を雷門中に誘ってくれた張本人だ。鬼道にとって、再びサッカーをする場を与えてくれた、感謝してもしきれない人物だった。
「決まりだな。じゃあ、今日の練習が終わったら部室に残ってるように。以上!」
そんな言葉を残して円堂は自分のポジションであるゴール前に走っていった。
「…円堂、本当に良い奴だな」
「……」
心の底からそう思って、鬼道は無意識に呟いていた。それが聞こえたのか聞こえなかったのか、何も言わずに豪炎寺もまたセンターラインまで戻っていった。
 
 
「じゃあな」
「また明日!」
「何か食べて帰るか?」
練習が終わった後、部室で着替えを済ませるとみんなそれぞれ帰路につく。
鬼道は制服に腕を通しながら「歓迎会をする」と言った円堂の言葉を思い返していた。彼は嘘をつくような人間じゃない。それは鬼道にも良く分かっている。
それに、大勢でわいわいやるのが苦手な鬼道にとって、少人数の方が安心できるのも事実だった。
暫くして円堂と一緒に帰るつもりでいた風丸を何とか追い出すと、結局部室に残ったのは円堂と豪炎寺と鬼道の三人だった。
「さてと…そろそろ始めるか」
口火を切ったのは簡素な椅子に座っていた円堂だ。かといって、何をどうしたら良いのか鬼道には分からない。
二人の動向を伺おうとした矢先、鬼道は不覚にも背後から両腕を取られて羽交い締めにされていた。藻掻いても、思いの外強い力で振りほどけない。

236:2/6
09/07/22 23:29:13 G4EKlf9e
「…な!?豪炎寺か?」
「少しの間、大人しくしていろ」
相変わらずの無表情で豪炎寺が静かに答える。
「何で…こんな事!」
「こうでもしないと鬼道、ヤらせてくれないだろ?」
背後の豪炎寺に気を取られている隙に、円堂がいつもと変わらない笑顔で鬼道の前に立っていた。
「…だから、何の…」
「歓迎会、するって言ったよな。忘れたのか?」
「…ふ、…んんっ?」
拘束されて動けない鬼道の口を円堂は自分の口で塞いだ。鬼道は一瞬何が起こったのか分からなかった。
呆けている鬼道の口内にぬるり、と生暖かいモノが侵入すると、首を激しく左右に振った。それが今できる精一杯の抵抗だった。
「な…何をするんだ…円堂!」
「…キス、だけど」
「円堂、鬼道はキスが好きじゃないみたいだな」
「そっかぁ。じゃ、しょうがねーや」
無邪気というか、悪びれる様子の無い円堂に、豪炎寺が言葉槍を入れる。そんな二人のやり取りに鬼道は目眩を覚えた。
今のこの二人には何を言っても無駄なのだ、という絶望にも似た感情と共に。これから何をされるのか、鬼道は想像するのも恐ろしくなっていた。
 
豪炎寺に背後を取られたまま、鬼道は床に座らされる。膝を立てて広げられた足の間には円堂が入り込む。
円堂はどこか楽しそうに鬼道のズボンのファスナーを下ろす。それには流石の鬼道も、左右の足をばたつかせて暴れた。
「円堂、やめろ…!」
「うわ!危ないだろ、鬼道!」
円堂も鬼道のキック力を知っている。この足でまともに蹴られたらいくら丈夫な円堂でも怪我をしかねない。どうしたものかと考えあぐねていると、豪炎寺が円堂に目配せしてきた。
「…大人しくしていろと言ったはずだ」
抑揚の無い豪炎寺の低い声が鬼道の背後から響く。それと同時に生暖かい舌がピチャピチャと耳の穴を舐められる音がした。
至近距離からの豪炎寺の息づかいや慣れない感覚に鬼道の背筋が震える。
「う…あっ」
豪炎寺が鬼道の耳を嬲る間に、円堂はズボンと下着を剥ぎ取る事に成功していた。
太ももの間には、半分ほど皮を被ったまだ幼さの残るペニスが頭を垂れていた。中学二年生の男子としては未熟な方だろうか。
それを円堂が間近で見つめる。
「へえ…。まだ皮被ってんじゃん」
「…くっ!人の勝手だ。放っといてくれ!」
特に気にしていたわけでも無いが、そんな部分を人に指摘されたのは始めてだった。悔しさと恥ずかしさで次第に顔が熱くなる。
「気にすんなって!俺だってこの前まで、こんな感じだったんだぜ。な、豪炎寺」
「ああ、そうだったな」

237:3/6
09/07/22 23:30:12 G4EKlf9e
また天気の話でもするような、二人の会話が交わされる。確かに中学生くらいの男子は下半身の話が好きだ。しかし、この情況では些か不相応に感じるが。
「ま、その話はまた後でな」
そう話を切ると、円堂はおもむろに鬼道の陰茎を掴み、皮から少しだけ頭を出している亀頭にちゅ、と吸い付いた。
その光景に鬼道の両足がビクンと震える。無意識に四肢が強張っていく。鬼道を背後から押さえている豪炎寺だけが、それに気づいていた。
「…や、やめろ、円堂っ!」
上擦った声で円堂を叱咤する。それでも円堂は止めない。
先端をぱくりとくわえると、包皮の隙間を広げるように舌先でぐるり、となぞる。陰茎の余った皮を上下に擦りながら、時折、陰嚢を緩く揉む。
自分以外の誰にも与えられた事の無い刺激に、いつも冷静な鬼道の呼吸が忙しく乱れてくる。
「…はぁ…やめ、ろ…!」
自分の意思とは裏腹に、鬼道のペニスは次第に形を変えていく。裏筋をゆるり、と舐め上げると先端から滲み出た透明な汁を円堂は舌で丁寧に絡め取り、喉までくわえ込む。
じゅぷじゅぷ、と卑猥な音を立てながら口淫を続けると、鬼道の体が大きく弓なりにしなった。
「くっ…!あぁっ……!」
「…んん?」
円堂の口内へと勢いよく精液が吐き出された。温かくて独特の匂いのする、その白濁の液を円堂は喉を鳴らして飲み込んだ。
はぁはぁ、と肩で呼吸を整えながら、悔しげに噛み締めた鬼道の奥歯がギリ、と鳴る。
「…ぷはっ。いきなり射精すんだもんなあ。ビックリしたぜ」
飲みきれなかった精液を手の甲で拭いながら、円堂は笑っていた。まるでこの情況を楽しんでいるような、いつもの笑顔だった。
そんな円堂の様子を鬼道は歯を食い縛り睨む事しかできない。だが、表情を崩さない鬼道の様子に、その笑顔が段々と曇っていく。
「…気持ち良くなかったか?」
鬼道は酷く混乱していた。こんな辱しめを受けて、どうして“気持ち良く”なれるのか、と。
「…円堂」
鬼道は射精をして力の抜けた体を知らずのうちに豪炎寺に預けていた。その豪炎寺が、再び円堂に何か合図を送る。
不思議な事に円堂の表情は明るさを取り戻していた。勿論、事が飲み込めない鬼道には不安の材料でしかない。
「…俺はさ、その…下手くそだけど豪炎寺はすごく上手いからさ!」
この期に及んで尚、この二人はまだ何かするつもりだろうか?不安は募るものの、二人掛かりで押さえられてはこの通り逃げ出すのは不可能だ。到底勝ち目はない。
鬼道は混乱する頭でそんな事を考え始めていた。
暫くして豪炎寺に拘束を解かれる頃には、大人しく従う方が得策なのでは?と、考えるようになっていた。

238:4/6
09/07/22 23:31:16 G4EKlf9e
羽交い締めされた腕を解かれると、鬼道は力無く床に俯せに倒れてしまった。射精をした後の気怠さと、ずっと同じ姿勢で硬直していた事。それと、何よりも緊張が緩んだ事が大きかったようだ。
「おい、大丈夫かよ?鬼道」
頭上から鬼道を気遣う円堂の声がする。
まだ思うように体が動かない鬼道は顔だけを上げると、本当に心配そうに眉を下げている円堂の顔が目に入った。
そんな円堂を見ていると何故か安心する。仲間を第一に考えてくれるいつもの円堂だった。
鬼道は床に肘をついて、円堂の制服に痺れた腕を伸ばしていた。すると、円堂も鬼道の腕を取り、そして強く掴んだ。
「どうやら、大丈夫そうだな」
「…?!」
そんな二人のやり取りを鬼道の後方から眺めていた豪炎寺が、静かに口を開いた。
振り返る間も無く、豪炎寺に強く腰を掴まれて尻を高く上げられる。いきなり鬼道を襲う浮遊感。
だが、腕を円堂に掴まれ、腰を豪炎寺に抱えられていては鬼道に逃れる術は無い。
鬼道は四つん這いの姿勢を取らされており、普段決して他人に見られる事の無い場所を、豪炎寺に晒す事になる。
尋常ではない恥ずかしさで一気に頭に血がのぼる。
「なっ、何の真似だ…?!」
俯せの姿勢でうまく呼吸ができない鬼道は、それだけ言うのがやっとだった。
「さっき円堂が言った通り、上手いかどうかは…お前の判断に任せる」
豪炎寺は鬼道の尻の肉を鷲掴みにすると、ゆっくりと左右に開く。一瞬にして鬼道の全身の筋肉が緊張する。
その奥にある窄まった場所、排泄器官も例外ではない。鬼道のアナルは、きつく閉ざされていた。
豪炎寺は躊躇うことなく顔を寄せると、そこに舌を這わせた。ゆっくりと、撫でるようにねぶる。皺の一本一本をなぞる。
「…くっ、…!」
時折、鬼道の短い呻き声が聞こえる。
だが、その緩やかな行為にに鬼道の感覚は麻痺させられていった。温かいような、擽ったいような。不思議な感覚だった。
その、不思議な感覚に飲まれないように堅く目蓋を閉じる。
次第にくちゅくちゅと、唾液の混ざる音が、鬼道の鼓膜に響いた。
「んっ…はぁ…」
呻き声が溜め息に変わる。
鬼道の口から快楽の混じる溜め息が漏れはじめると、それを見計らったように豪炎寺の尖らせた舌が鬼道の中に、ぬるり、と差し込まれる。
「…はっ、や、やめろ…!そんな…!」
今更抗議の声を上げても、散々焦らされた場所は簡単に侵入を許してしまう。
入口の襞を広げるように、掻き回され、内部の肉壁を舐められる。更に注ぎ込まれた唾液が、鬼道の太ももを伝う。


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