【田村くん】竹宮ゆゆこ 18皿目【とらドラ!】at EROPARO
【田村くん】竹宮ゆゆこ 18皿目【とらドラ!】 - 暇つぶし2ch550:名無しさん@ピンキー
09/06/18 18:42:43 uGzFicTg
久々来たら何かいつかのギアススレみたいになってるな
職人さんは気にせず自分のペースで頑張ってくれ

551:名無しさん@ピンキー
09/06/18 19:49:38 7LxjrxUl
ギナザバグゲバ、ザグベダグレギブンバゾ!(笑)

552:名無しさん@ピンキー
09/06/18 19:50:34 7LxjrxUl
グレギブンバゾ!(笑)
ビグベグボンザ、ザグベダグレギブンバゾ!(笑)

553:名無しさん@ピンキー
09/06/18 19:54:26 VFWTWRtr
一通りログ集まったら規制依頼する

554:名無しさん@ピンキー
09/06/18 19:59:16 k/fjezMn
マジで頼む、こいつはエロパロの癌、速攻始末すべき

555:名無しさん@ピンキー
09/06/18 20:04:17 6onFgEk6
プロバイダ丸ごと無期限規制とかありえないからそれは勘弁

556:名無しさん@ピンキー
09/06/18 20:25:14 lj2dmr8E
腹黒様のえらいひとありがとう
奈々子嬢の魅力に気づかせてくれて本当にありがとう

557:名無しさん@ピンキー
09/06/18 21:12:34 eFBWnud+
九皿目の「香椎奈々子の憂鬱」っていうのだけ読んだ事ないから、気になって今読んでみたんだけど…
あれ?これ日記だよ…な?サミット作者=日記作者とか言ってた奴いたけど、あれマジだったの?

558:名無しさん@ピンキー
09/06/18 21:26:23 wSgmgoVj
おい俺毎日日記つけてるんだけど読んだ事ないから、気になって今読んでみたんだけど…
あれ?これ日記だよ…な?俺=日記作者だったの?マジ?

559:名無しさん@ピンキー
09/06/18 21:31:40 vSBE12pv
一読して分かったけどな
日記=サミット
表現に、この書き手特有の変なクセがあるんだよ
ネタにつまって、焼畑農業みたいに、色々書いては放棄を繰り返すのは
いい加減にしたほうがいい
それが本人のためでもあるんだが、ま、聞く耳もたんだろ

560:名無しさん@ピンキー
09/06/18 21:42:27 k7xAOUTx
>>559
俺たち乞食が言っていいことじゃあないぜ

書き手が書きたいように書きたいだけ書けばよいのだ

561:名無しさん@ピンキー
09/06/18 21:44:35 mtB2K/EI
一応擁護しとく
スレリンク(eroparo板:378番)-
378 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2009/05/13(水) 23:27:20 ID:HWz0d6gI
まとめで奈々子様日記形式を見て、思いつき書き出し。
SSとは微妙に形式ちがうかなぁと思うんで、不安もありますが、行かせてください。
次レスで投下行きます。
379 名前: 日記。徒然に。。 [sage] 投稿日: 2009/05/13(水) 23:28:35 ID:HWz0d6gI

562:名無しさん@ピンキー
09/06/18 21:45:30 vSBE12pv
>書き手が書きたいように書きたいだけ書けばよいのだ

本人か? 
だとしたら、やはり馬耳東風か

563:名無しさん@ピンキー
09/06/18 21:57:40 kEFORgSp
>>562
書き込んでんのはお前と作者以外にもいるんだぞ
一目で見抜いたとか批評家ぶるより
もっと心に余裕をもてよ

564:名無しさん@ピンキー
09/06/18 22:02:35 QQHo4SPA
>>562
その読解力の無さ。さては日本人じゃないな?


565:名無しさん@ピンキー
09/06/18 22:02:41 almUC3rs
このスレ頻繁に偉そうな評論家が出るね

566:名無しさん@ピンキー
09/06/18 22:06:26 dHzaDUuK
>>534
改めて、まとめて読んでみました。 なるほど、独特の空気をお持ちですね。
大胆無敵~みたいなぶつっと切れてるようで、話がきちっと終わってる所、
独特な情緒感があって、面白い表現だなと思いました。
全体的に短編の方が良い感じかも。



567:名無しさん@ピンキー
09/06/18 22:21:23 7tMx4yFh
アク禁の可能性もあると思う。

568:名無しさん@ピンキー
09/06/18 22:22:31 7LxjrxUl


569:名無しさん@ピンキー
09/06/18 22:24:27 7LxjrxUl
インリン・オブ・ジョイトイ♪

570:名無しさん@ピンキー
09/06/18 22:26:17 7LxjrxUl
作家もこまめに作品投下しないとスレが荒れるか過疎る事をいい加減理解しなちゃい。ヾ(=^▽^=)ノ

571:名無しさん@ピンキー
09/06/18 22:27:10 7LxjrxUl
グベダグレギブンバゾ!(笑)

572:名無しさん@ピンキー
09/06/18 22:32:58 k/fjezMn
>>555
こいつと一緒のプロパイダの奴には運が悪かったと諦めてもらうしかない

こいつはもう永久追放されても文句言えないレベルの荒らしだし

573:名無しさん@ピンキー
09/06/18 22:34:55 AzJYEygo
自分の好きな場所を自分で駄目にしてるんだな
まぁ、俺はもう書かないけどね

574:名無しさん@ピンキー
09/06/18 22:55:11 vSBE12pv
まさに焼畑農業だな
これが、自分の首を締めているとも知らずにね

575:名無しさん@ピンキー
09/06/18 22:57:31 almUC3rs
今荒してるの携帯厨だから規制しても被害は軽微じゃね?
パソコンからは・・・に見える所は携帯からだと絵文字連打だし

576:名無しさん@ピンキー
09/06/18 23:05:04 k/fjezMn
どちらにしてもさっさと運営には何とかしてほしいわ
他のスレにも被害が出てるんだし、早く汚らしい膿は摘出してほしい

577: ◆SKzthWrpk6
09/06/18 23:07:00 Eqwecg2o
念の為に是正しておきますと「日記。徒然に。。 」は私の作品では無いです。
私としては、あえて主張する様な事では無いのですが、やはり、本当の作者さんに申し訳ないのでキチンと言っておきます。
と、いうか私も日記さんのファンの一人でして、つまり、早く続きが読みたいのです。(未完作品の多い私が言うのもなんですが)

578:名無しさん@ピンキー
09/06/18 23:21:02 eFBWnud+
>>577
今、過去スレ確認してきたら、日記が初めて投下された日に、チワPを投下されてますね。
どうみても別人です本当にありがとうございました。

俺と>>559とんだ赤っ恥だ。なあ、今夜、一緒に吊ろうぜ?

579:13
09/06/18 23:33:28 ucDU+cvd
579

580:名無しさん@ピンキー
09/06/18 23:48:16 8NyE6hX2
「辞書にそんな意味は載ってないお(キリッ)」
とかなんとか言って比喩の理解もできんような馬鹿を晒して恥かいた奴がずっと粘着してるのか。
ニヤニヤしながらスルーするのが一番っぽいな。

581:名無しさん@ピンキー
09/06/18 23:57:31 ZtyT7dMq
普通に作品投下されてるし荒らしとかどうでもいいわ

582:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:22:59 bZyxIX3t
こんばんは やっと書けたんで投下させて頂きます。
概要は以下です。よろしくお願いします。

題名 : Happy ever after 第1回
主役 : 竜児、亜美
時期 :とらドラ!P 亜美ルート100点End後
方向性:まったりゆっくりラブコメを目指し、1話完結の連作もの


583:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:23:52 bZyxIX3t

Happy ever after 第1回

「これからゆっくり、話していこうね、竜児」
こうして、高須竜児と川嶋亜美は末永く、幸せに暮らしました。めでたし、めでたし

とは簡単には行ってなかった。

「予想はしてたけどね、まさかここまでゆっくりって、どういう事よ」
川嶋亜美は自販機の間に身をおいて、一人反省会を行っていた。

一度は大橋高校を離れた彼女であったが、「「高須竜児を落とすため」」と高校3年の5月に戻ってきた。
いや、やっと帰って来る事が出来た。

学校を離れている間、彼女は不安で一杯だった。

もし、既に逢坂 大河や櫛枝 実乃梨が高須と付き合っていたら、
そこまでで無いにしても以前のように彼女が入る余地の無いほどの仲になっていたら、
数えれば切りが無いほど嫌な想像が浮かんでは消えた。

だが、彼女は耐えた。
自分が選んだ仕事を中途半端にしては、胸を張って戻る事が出来ない。
彼の前を歩き、導ける自分でありたい。
自分が居ていい、いや自分自身もその一部である世界が待っていてくれる事を、
そして、目つきの悪い、心根の優しい少年の事を信じて

結果として、映画の仕事は一定の評価を得、ドラマの仕事も勝ち取った。その上での転校である。
もっとも、北村祐作を通して近況の確認は常にしていたのだが。

「そりゃ、私だってそんな簡単に行くとは思っていなかったわよ、あの高須くんなんだから」

そうは言っても、転校前日の川嶋亜美は遠足前の小学生よろしく、希望的観測を膨らませていた。
もう、自分にはチャンスは無いと諦めかけていたはずなのに、あの高須竜児がキスまでした。
とあれば、期待しない方が嘘というものだろう。

-実乃梨ちゃんとも、タイガーとも付き合ってないって事は私を待っててたくれたと思っていいよね。
 営業用の顔でも、演技でもない、本当の私がいいって・・・・、キスをしてくれた。
 
 だとしたら、再会の時、高須くんは何って言ってくれるのかな。もしかしたら付き合ってくれとか言われたりして。
 ううん、もっと凄い事かも、例えば
  「嫁に来いよ!」とか
  「死ぬまでの俺の人生をお前にやる!」とか超言いそう。
 早すぎだよね、私の芸能人人生考えたら。でもスキャンダル的に取り上げられるよりいいのかな。

 ってさすがに高須くんに夢見すぎか、そんな純情一直線男、今時居ねって。理想押し付けすぎだろ、私は。   
 兎に角、私を待っていてくれた事は間違い無いとして、高須くんが言い出し易いようにリードしないと。
 鈍感な高須くんにも判るように、しっかりとスタートラインを切れるように、みんなの前で宣戦布告して。
 最初が肝心だから、呼び方も変えよう。高須?ううん、これだと余計友達感覚だし、竜児くん、竜ちゃん、もう一歩か、
 竜児! これいいな、これにしよう。
 ちょっと、タイガ-の事羨ましがってたとか思われそうだけど、これから二人の関係を作っていけばいいだけだし、楽・し・み -

転校前日の亜美の頭の中は正にお花畑状態だった。だが現実はサボテンしか生えてない荒野である。

584:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:24:45 bZyxIX3t

「はい、はい。私が馬鹿でしたたよ。ほんと、ばっかみたい。気の利いた言葉はあの口からは出てこないだろうなと思ってたけど、
 いくら私がアクションとっても「おぅ」とか「あぁ」とかばかり。マジ酷い。
 なんか前までは楽しかった会話も、空気重いし。
 あれかな、久々にあって思わずキスしちゃって、引いちゃった?でも、ほっぺだよ。マジチューとかじゃないじゃん。恥ずかったけど。
 もしかして、タイガや実乃梨ちゃんと条件が同じどころか距離広がってる? 

 なんでだろ、高須くんは融通は利かないからかな、
 その分嘘はつけないけど、誠実だし。
 びっくりする程鈍くて、色恋沙汰に関して馬鹿だから?
 だから相手の事を一生懸命理解しようとしてくれるんだけどね、優しいし.....」

亜美は物思いにふけりながら静かに目を瞑った。自然と口元がにやけてしまっている。
恋する少女は無理やりにでも、サボテンの花をさかせてしまう。
モデルとして、人様には見せられないあられもない表情になってしまているが。

その静寂を一つの音が破った。誰かの足音がする。それは聞きなれた足音だった。
-高須くん!どうする。どうしよう?
 とりあえず、軽く挨拶して、えーと、今日のスケジュールは、ラッキー、夜の撮りまで時間空いてるから放課後は大丈夫。
 スドバにいく流れに持っていって、お茶したいな。
 んー、でも高須くんはゲーセンの方が喜んでくれるのかな、それなら、それで......、
 嘘、足音止まった。もう目の前じゃん。とりあえず声かけないと、元気ないって心配されるかも -

急いで、しかし、柔らかく、上目遣いを意識して顔を起こし亜美は声を掛けた。
「竜児。おは・・・よ・・・・う?」

そこには
後ろ足に体重を掛け、上体をそらし、目を異常に開き、凶悪な眼光を眼底に湛えたチンピラが
いまにも”ここは誰の島か解ってるんかい”と言いそうな感じで口を半開きにし立っていた。

「はぁー、あんた何キョドってるの。キモイんですけど」

高須竜児は微動だにせず、いや出来ずに返答する。
「い、いやー、吃驚しちまって、固まちまった」

「なにを今更、ここで亜美ちゃんと会うなんて、いつもの事じゃない」
亜美はイライラした様子で、右手で髪を掻き揚げながら言った。

「そうか、いや、俺は誰も居ないと思ってたんだが、そしたらお前が」


-すごくカチンと来た。何だそれ。無理、もう無理-
亜美は勢い良く立ち上がると、そのまま立ち去ろうとした。
それを引き止める様に竜児は問いかける。

「川嶋?どうした、おい」
「さあ~、なにかな、なんだろうね」

手をヒラヒラと振りながら、竜児の問い掛けには答えず、亜美は振り向かないまま、その場を立ち去った。



585:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:25:50 bZyxIX3t

     ***

放課後までの授業中、亜美はずっと考えていた。
命題は、「「なぜ竜児の態度が変わってしまったか」」 だ。

その解は
高須くんは何かしらの事情があって、今現在!一時的に!元気がない
それを調べて、問題を解決してあげれば、いつもの高須くんに戻るはず。

という都合のいい結論に至った。何だかんだで高須竜児に甘い亜美だった。
まずは調査をしないといけない。そこで友達たちに聞いてみた。

質問
 みんなと一緒に高校生活を送ろうと思ってたのに、少しでも離れ離れになちゃってすごく寂しかったよ~
 大橋高校に居ない間、みんなが元気だったかすごく心配しちゃった。
 元気でよかったよ。亜美ちゃん超うれしい。 
 ところでさ、高須くんだけ、なんか近づき難さ当社2割増しなんですけど~、何かあったのかな~

回答者1 木原麻耶ちゃん
「高須くん?すごいんだよ。2年の3学期から、すご~く成績よくなっちゃって。
 まるおを抜いた時もあるんだよ。まるおも凄いんだけどね、まるおは元から頭いいのに....」
 以下祐作の事、興味が沸かない

回答者2 能登くん
「高須?普通だったよ、むしろ気合入ってるって感じ、例えばさ、4月って新入生歓迎レクとかやるんだけど、
 その実行委員って人気ないんだよ。春休み潰れるし。誰も遣りたがらなくて困ってる時にさ、
 あいつ、自分からやるって、そんなキャラじゃなかったんだけどな。で、その仕切りが病的にキッチリしてて、
 結果レク大成功。それで.........」
 あまり役に立つ情報じゃない、能登君使えない

回答者3 アホの春田君
「高っちゃん、忙しそうだったよ、もうビュンビュン音がなる感じ、違うかな、ビューかな、ゴアーかも、
 もう教室にもほとんど居なくってさ、あんまり遊んでくれなくてさって、あれ話もういいの?亜美ちゃん?」




586:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:27:34 bZyxIX3t

     ***

「祐作どう言う事よ!」
-元2-Cのみんなに聞いたが、高須くんが変わった理由がまったく解らない。
 そもそも近況を祐作に聞いていたが、何も変わりないと言っていたのに!-

「よう、亜美。生気がみなぎってるな表情だな。いいぞ。24時間ぐらい働けそうだな」
「何それ、意味わかんねえし」

亜美は、いつもお気楽そうな幼馴染を生徒会室で捕まえた。
ちょうど北村祐作以外誰もいなかった。亜美はクレームで食っている悪徳業者のような勢いで、噛みついていった。

「あんたさ、私に適当な事を言ったでしょう?」
「心外だな、俺は適当な事は言わないぞ」

 -さも、私は善人ですって顔で返事をする男だ、この顔が昔からムカつく。なんだそのしたり顔は-
「あ、あれよ。私が居ない間、メールでみんなの近況聞いたでしょ、で、特に変わった事ないて書いてあったけど、
 でも、変じゃない。たとえば高須くんとか」

北村は携帯を取り出すと、メルメルと操作をした。

「メールってこれか、ええと

 Hello 祐作。そっちはどう 
 こっちはすごく順調、ってか大絶賛、やっぱ才能のち・が・い?
 大橋高校もみんなは元気?なんかあったら教えてね♪
 特に高須くんなんだけど、インフルエンザで入院するわ、
 記憶喪失になるわで不幸続きだから大丈夫かなって
 まぁ、タイガーや実乃梨ちゃんとかいるから大丈夫だとは思うけど
 とにかく何でもいいから返信するように、どんな細かい内容でもいいから
 PS
 絶対返信する事、なるべく早く、急ぎなら電話でOK、しなきゃ一生恨む」


「うぜーから、声だして読むな、真似るな。それ恥ずかしい
 一応言っておくけど、そのメールだけじゃないからね、他にも出してるでしょ、ちょと、読まなくていいから!」

「他のメールったて、ほとんどコピーの手抜きメールだろ。しかも3日に1回、酷いときは半日に1回って、
 お、そうかこれはお前のバイオリズムと連動してるのか、生理とか」
「だから、うぜーての」

「それに全部返信しただろ」
「同じ内容でね、世は全てこともなし だっけ」

「ちゃんと毎回、手打ちだ」
「そういう事じゃなくて、これって正確なの、高須くん明らかに変わったよ」

「高須自身は変わってないと思うが、どっちにしろ、お前が心配してる事は起きてないぞ、亜美」
「別に心配なんて」


587:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:28:21 bZyxIX3t

「それにしても、亜美可愛くなったな」
「ふん、なにその露骨な話のすり替え、やめてよね」
「高須を紹介してよかったよ」
「!!」

 亜美は顔を赤らめて、一瞬フリーズする。彼女の頭の中でいろいろな関連付けと、過去の反芻を行っていた。
 余計、顔の赤みが増していく事から、内容は推して知るべし

 -なんで、ここで血液が集まる私の顔、体、あんなにメンテしてやってるのに-
「い、意味解かんねぇし。いいやもう、祐作と話してらんない」

「いいから、本人に聞いてみろ」
「言われなくても、そうするわよ」

亜美は、怒りの表情をつくり、そそくさと生徒会室を出て行く亜美、幼馴染の生徒会長が笑顔で見送る。



     ***

-とは、言ったものの、さてどうしたものかと廊下を歩いていると高須くんに会ってしまった。
 というか、私を探してたの?高須くん-

廊下で向かい合う二人
不満そうな表情を作って高須を眺める亜美と、どうしても睨みを効かせてるよう見える竜児
この二人の迫力に廊下を通る僅かな生徒も、その雰囲気に追われて知らぬそぶりで早足で歩き去ってしまう。

「川嶋、すまん。何か怒らせちまったか、俺」
「ふ~ん、竜児でも怒らせた事くらいわかるようになったみたいね。」
-心の準備無しに高須くんに会ってしまった。どうすればいいかな、もういいや、取りあえず聞くしかないか-

「で、怒らせた理由、見当はついた?」
-無茶な言い方だよね、怒った直接の原因は置いといて、
 根本的な原因はキスまでしてくれた高須くんが私の事をどう思ってくれてるのか解らないってことだもの-

「正直、お前が怒ってる理由がよくわからん、だが、お前が怒るんだから、もっともな理由があるんだろうし、
 知りたいと思う。」

「そう、ならヒントをあげる」
-口先だけで謝られてもしょうがないし、正直に言ってくれた事と、知りたいと思ってくれた事
 すごくうれしいよ、高須くん-

「じゃ、これからの質問に答えて下さい」
-ごめんね、高須くん、君の事を知りたいだけなんだ、そして私が思ってることを知ってほしい。
 少しでも今の私の事を見てくれるんだったら、もう一回からかわせて、それでチャラにさせて-


588:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:29:43 bZyxIX3t

「一つ目の質問、みんなが嫌がるレクの実行委員の仕事を率先して竜児は行ったそうですが、
 文化際の実行委員を決めるとき、亜美ちゃんが竜児に手伝って欲しいから、実行委員になって
 頼みましたが、断りました。何故ですか」

「春田が既になってたろ」
「じゃんけんの結果、春田君になっただけじゃない。レクの実行委員立候補するくらいだったら
 あの時、代わってくれても」

「おまえなら、春田をコントロールして要領よくやれると思ったから、実際うまくやれたと思うぞ」

「む~」
-ちょっと冷静になろう、ここはあまり深く考えない考えない-

「2つ目の質問、クリパとかレクとかの実行委員をやって苦労をしった竜児は、今思うと、
 亜美ちゃんに悪かったなとか謝罪の言葉は浮かぶと思いますが、どうでしょうか」

「本当、クラスやグループまとめるのって大変だよな。実際やって痛感した。その上
 おまえ実行委員と、プロレスショーの主役とミスコンの司会同時にこなしたのな、すごいと思うよ。」

「いや、だから、そうじゃなくて。いいや、別な質問
 竜児は2年の3学期から、成績が上がったそうですが、なにか理由がありますか。
 例えば、タイガ-の世話する時間を少なくしたから、勉強の時間が増えたとか」
「いや、大河と一緒にいる時間はそんなに変わってないぞ、というか、あれだ。
 たんにやる気が出ただけだ。」

「3学期って、私転校した後だよ」
「そうだな。?」

「む、む では最後の質問です」
 今日、自販機スペースで会った時、なんで私がいないはずって思ったの」
「なんだろう。何時もそうだったから?」


「今は一人の場所なんだ、私の知りたい事が解ったよ。ありがとう高須くん」
-その時の私はなんの感覚も沸かなかった、意識して言葉も選べない。
リミッターが切れた時はこんな感じなんだろうか。てっきり、ストカー騒ぎのように、ブチ切れるかと思ったが-

高須くんの顔を見ることもなく、下駄箱に向かった。



     ***

-下駄箱で、上履きから、靴に履き替えてる。
 なんで、こんな私の動作は緩慢なんだろう、そうでは無い、時間の流れが遅く感じるのだ。
 なんか時間感覚がかなりおかしい。-

夜の撮りまで、このテンション戻るかな
なんで、今日は夜まで撮りがないんだろ、最悪だ
放課後すぐに仕事なら良かったのに、時間が空いてる分もっと落ち込みそう

そうやって、外に出ようとしている時、亜美は外に香椎奈々子がいる事に気づいた。


589:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:30:20 bZyxIX3t

「奈々子、奈々子にお願いがあるの。今日、帰りスドバに寄らない」
「どうしたの、調子悪そうだけど」

「ちょっとね、私の我侭だって解ってるんだけど、期待してた事と、実際起きてる事があまりにも違って、
 私が確信してた事も私の単なる思い込みじゃないんじゃないかって、自信なくなっちゃった」
「仕事の話?」

「そんな感じ、とっても大事だと思ってた事なんだけど、それも勘違いかも」
「大変そうだね。ちょっとまってて麻耶ちゃんも誘ってみるから」
奈々子は携帯を取り出すと、アンテナが立ってなかったのか小走りで校舎の影に走っていった。

スドバへの道を奈々子と二人で歩く、麻耶ちゃんは少し時間がかかるので、
二人で先に行ってて欲しいとの事だった。

「麻耶ちゃんから、亜美ちゃんが転校している間のみんなの事、気にしてたって聞いたんだけど」
「そうだね、みんな普段通りだったみたいだね」

「それで、高須くんの事も心配してたって聞いたけど」
「聞いた聞いた。元気だったって、私がいる時よりもずっと」
「元気なかったと思うよ」

「うそ、だってみんな、成績が上がったとか、実行委員やってたって」
「私の感想だけど元気なかったと思う、だけど頑張ってた」

「どういうこと?」

「亜美ちゃん転校してから、高須くんが他の人と教室で騒いでるのあまりみてないんだ。
 春田君とか能登君は、高須くんが遊んでくれないってぼやいてた。
 高須くんが成績上がったり、実行委員やったりしてるから我慢してたみたいだけど」

「・・・・・」

「それにね、高須くん教室にいる事自体が少なくなったと思う。
 休み時間になるといつのまにかいなくなって、次の授業までには戻ってくるんだけど、
 缶ジュースとか手にもって入ってきちゃうから、よく先生に怒られてたっけ、
 昼休み以外は自販機つかったちゃだめだとか」

 ふと、小走りな足音が聞こえて来た。聞きなれた足音だった。麻耶ちゃんと後もう一人
「亜美ちゃん、奈々子お待たせ。急いで高須くん連れてきたよ」


590:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:31:50 bZyxIX3t
     ***

須藤コーヒースタンドバーに向かう道の途中の住宅街、香椎が裏道を選んでいた為、人通りはほとんど無い。
亜美と竜児が対峙する形で向き合い、距離をおいて二人を見守る香椎と木原。

「竜児、で何の用なの」
平静な面持ちで言葉を発する亜美、声色からも特に感情の揺れは感じられない。

「川嶋、すまん、お前が怒ってる理由、結局、自力では解らなかった」
一方、竜児は顔の筋肉に無為に力が入っている、だが言葉の一言、一言は落ち着いた感じ。

「それで?誰かに教えてもらったの?」
「いや。 ただ香椎からアドバイスをもらった」

「なんて」
「お前に心配掛けたく無い と思ってる事を伝えた方が良いって」

 亜美の目が少し見開かれ、僅かに唇が震える。
「言って」
「俺は、お前が映画撮影なんて、すげー所で、自分のやりたい事を果たそうと努力してるのをみて
 お前との距離を広げられたくないと思った。いや違うな、お前に心配されるのが嫌だった。
 後ろにちゃんと居るのか、ついてこれるのか、
 結局はお前に届かない男だと、その程度だと思われるのが嫌なんだ。
 たしかにお前は俺の前を行ってるんだろう、
 だが、俺は今の俺に出来ることを精一杯やって、いつかお前に追いつこうと思っている。

 まぁ、なんだ、お前が俺の事を心配するなんて確定事項のように考えてる事自体が
 俺の思い込みでしかないんだが、呆れてるか?」

「.....うっ......」
 亜美の瞳から、1粒の涙が落ち、亜美の声色が変わる。か細く、泣き声のように



591:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:32:17 bZyxIX3t

「心配した。
 高須くんが私の言う事、私自身の事を気に掛けてないんじゃないかって心配した。
 高須くんが考えてる事、私には言ってくれないと思って心配した」

「すまない」

「蜂蜜金柑」
「それがどうした?」

「あれ飲んだとき、ちょっと落ち着いた。だから蜂蜜金柑のお湯割りが飲みたい。
 そしたら許してあげる」
「あぁ」

「これからも心配掛ける度に作って、そうしたら安心出来るから」
「あぁ、お安い御用だ」

静かに振り向くと、亜美は少し気まずそうに、困ったように香椎と木原の方を見た。
「奈々子、麻耶ちゃん ごめん」

香椎は静かな微笑で亜美に答える。
「いいよ、そのつもりで麻耶ちゃんに高須くん連れて来てもらったんだから。
 スドバはまた今度3人で行こうよ」

「ありがとう」
亜美はその言葉を聴き、亜美の顔はほどける様に満面の笑み変わった。
その笑顔を見て麻耶は思わず感嘆の声を上げてしまう。そして小さな声で奈々子に囁く

「女優の仕事ってすごいね。モデルの時の亜美ちゃんも可愛かったけど
 仕事で磨かれたのかな、すごく、すご~く、亜美ちゃんの笑顔、可愛いくなってる」


END


592:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:32:47 bZyxIX3t
以上で、メインのお話終わりです。
連投なんですが、エピローグ的な話を、別SSとして投下させて頂きます。

題名: Happy ever after 第1回 追伸
主役: 竜児、亜美
方向性:山も谷もありません


593:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:33:16 bZyxIX3t
Happy ever after 第1回 追伸

「川嶋、座ったか?邪魔だから新聞はどけていいぞ」
「ありがとう、竜児」

焼けた畳の居間に亜美を座らせると、竜児は台所に立ち、手早く薬缶に水を入れ、お湯を沸かしに入った。
高須家では、電気ポットはあるがあまり使われることはない。
ポットで保温するより、毎回沸かす方が少々手間だが経済的だし、環境に優しい。

ふぅー、台所に立つと落ち着く。
川嶋と二人きりで帰ってる時は死ぬかと思った。
櫛枝の時といい、本当に俺ってTOO SHY SHY BOYだぜ、すげー落ち込む。
学校でも、川嶋に不意に会うと言葉を失う。
意識するだけでこんなに変わるとは、こんな事が川嶋にばれたら一体どんな罵声をくらうか知れたものではない。
いや、嘲笑うだけ、嘲笑って、ねっちこくからかいそうだ。あいつは意地悪姑の素質があるから。

そっと、居間の川嶋を覗き見る。心の声を聞かれてないか不安になった。
何故か台所を見ていた川嶋と目があう、只でさえ緊張するのに、あいつはニッコリ笑いやがった。
照れ隠しに言葉を掛ける。

「川嶋、本当に、金柑の蜂蜜付けの付け汁の方でいいのか?
 蜂蜜入りホットミルクも割とお勧めだが」
「うん、蜂蜜金柑の方でいい。私はあの味ここでしか飲めないもの」
「あぁ、これは高須家自家製の味だからな」

「そうだね、あまり飲める所ないよね」

やっと最近になって解ってきた。こいつは時々、寂しそうな顔をする。
俺が気づかなかっただけで、今までも一人でこういう顔してきたんだろう。
と言っても、またこういう顔をさせている訳だし、その理由も解らない訳だが。
くそ、精進足りねえな、俺も。

「ねぇ、竜児、私に近づくために努力したって言ってくれたよね
 それは私が帰ってくるて思ってたから?」

「それはちょっと違うな、お前が戻ってくるとか、来ないとかじゃなく
 お前に、期待外れな男だと思われるのがしゃくでかな、あと精進が足りねえ!」

「私は頭がいいとかそんなの期待してる訳じゃないのに」
「何か言ったか」

「ううん、なんでもない。でも私が期待するのは、そうだな。
 映画撮影中でも、私を迎えに来てくれる男の子、竜児はそうしてくれた?」

 寂しそうな顔をさせたお詫びに頑張ってみた。
「そうしたかもな、例えば、お前がイタリアで映画撮影中に、男を上げた俺と偶然出会って」
「私を虜にするって、あは、竜児、すごくロマンティク!90点あげる」

そこで丁度お湯が沸いた。俺みたいに蒸気を上げて。

594:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:33:46 bZyxIX3t

飲料用に別にしているタッパから、前回の蜂蜜金柑の漬け汁を出し。
2つのコップにスプーンで入れる、川嶋は割りと甘いのが好きだが、
カロリーの事を考えて、2杯ぐらいにしておいた。そして沸かしたばかりの熱いお湯を注ぐ

「ほら、川嶋」
「ありがとう」

川嶋は、両手でカップを受け取ると、そっと香りを嗅いだ。
「ふふ、金柑の香り」

一口飲み、亜美は長い息をついた。
「うん、これがいい」

そして、カップを置き、懐かしそうに部屋を見渡す。
「この部屋も久しぶりだな、何度かお邪魔したけど竜児と二人きりなんてあの時以来だね。
 やっとここまで戻ってこれた」

ふと、目に入った亜美の横顔は、差し込む夕日のせいで淡い橙色にかすかに染まり、茶色の瞳も琥珀のように透き通っていた。
あの日の亜美のままに

「ねぇ、竜児。竜児は私には慣れた?すごく歪んでいて、超腹黒で、意地悪っ子な素の亜美ちゃんに。
 嫌いになってない?」
自嘲の色を瞳に浮かべ、こちらを伺うように尋ねてくる。

その瞳を正面に見据えて、からかう様に言葉をつむいでみた。ちょとした逆襲のつもりで
「ならねぇよ、素直じゃなくて、無駄に悩んで気使って、意地っ張りな女だろ、本当の川嶋亜美は」

ちょっと驚いた顔を川嶋はしたが、なにか企んでるニヤリ笑いをしやがった。やばいな藪を突っついちまった。

猫のように身を屈め、手を畳につけるとそっとテーブルを迂回してくる。
そして亜美は体を寄せてきた。金柑が香る。
「竜児は、私が、本当の私を見せたら・・・・・どうするんだっけ・・・」

川嶋の顔が静かに近寄ってくる。30cm、10cm、瞳が目の前に.....
「ねぇ・・・・ほら、早くしないとまたタイガ-が来ちゃうよ」

再び触れた川嶋亜美の唇は、やはり熱く甘かった。

END


595:0Jp+V6Mm
09/06/19 00:34:33 bZyxIX3t

以上で全て投下終了です。
今後、シリーズものとして続編投下させて頂きたいと思っております。
お粗末さまでした。


596:名無しさん@ピンキー
09/06/19 00:51:01 qpf5G3Qx
御馳走様でした。GJ

597:名無しさん@ピンキー
09/06/19 00:54:41 QzZGytuS
>>595
うおおお!GJ!あーみん可愛いよあーみん(;´д`)ハアハア

598:名無しさん@ピンキー
09/06/19 01:19:19 EpiLAKCJ
甘すぎる・・・
なんだこのちわドラは!1

大好物です超GJ

599:名無しさん@ピンキー
09/06/19 01:20:24 QGj8XmpV
あんだけ自信満々に「一読すれば解る(キリッ)」
とか言ってた奴どこいったんだ?
今頃、顔真っ赤なんだろうな。俺だったら恥ずかしくて二度と書き込めないけど、書き込んじゃうんだろうね。

600:名無しさん@ピンキー
09/06/19 01:33:38 Mbk3tLaz
>>595
前回投下時より随分良くなってると思います。
ただ、-は無くてもいいかもしれません。
話は面白かったです。 同じPSP亜美アフターものを投下している身としては、
応援せざるを得ないw GJを送らせていただきます。
それでは、次回作も楽しみにしています。

601:名無しさん@ピンキー
09/06/19 03:57:07 qTU6k35u
仮面ライダー>>555

602:名無しさん@ピンキー
09/06/19 11:10:09 rVTQN/ga
>>593の、90点endの小ネタに思わずニヤニヤ。
GJ!!


……ああ、青春の日々……

603:名無しさん@ピンキー
09/06/19 15:53:18 qTU6k35u
>>603かげがえのない日々は、おっくせん!おっくせん!
過ぎ去りし日々はグラフィティ

604:名無しさん@ピンキー
09/06/19 18:00:10 aA9ywCGW
ここらでみのりんのガッツな逆レイプものがよみたいです><

605:名無しさん@ピンキー
09/06/19 19:37:03 tTmfxrtd
エロSSでは少ないみのりんの奥手なエロも読みたいw

606:名無しさん@ピンキー
09/06/19 21:00:26 ptZcU7a0
【堅牢】トリップの新方式を考えてみませんか【互換性】
スレリンク(operate板:352番)

352 名前:動け動けウゴウゴ2ちゃんねる[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 13:16:16 ID:bgXqg9KD0
#に続けて1~1024文字を入力するとトリップに変換される

"#1~11文字"で従来の10桁トリップ("##16進8桁の10進表示とsalt2桁"でも指定できる)
"#12~1024文字"では12桁の新型トリップが発生
"##12文字以上"と"#$12文字以上"は未定義として◆???に変換

つまり
#abcd1234XYZ   → 従来トリップ10桁
##DEADBEEF00 → 従来トリップ10桁
#abcd1234WXYZ → 新トリップ12桁

##hogehogehogehoge → ◆???
#$hogehogehogehoge → ◆???

これでおk?

607:名無しさん@ピンキー
09/06/19 21:20:54 iRFDlcu7
>>599
変に絡んでる奴と
連投荒らしは一緒には現れないんだ
不思議だよね。何故だろうね

608:名無しさん@ピンキー
09/06/19 21:30:14 iewr8OJ/
はぁ…結局日記の頃がいい感じの流れだったんだな

609:名無しさん@ピンキー
09/06/19 21:44:29 AlOeOK9n
ここってわたしたちの田村くんSS投下してもいいの?

610:名無しさん@ピンキー
09/06/19 21:46:46 YKTq89Kg
スレタイと>>1も読めんのか

611:名無しさん@ピンキー
09/06/19 21:47:32 qTU6k35u
>>609いいよね?答えは聞いてない!

612:名無しさん@ピンキー
09/06/19 21:48:15 AlOeOK9n
ああスマン
出直してくるわ

613:名無しさん@ピンキー
09/06/19 21:50:58 P800VrND
>>612
出直す前に投下忘れてるぞ!

614:名無しさん@ピンキー
09/06/19 22:36:58 1N338s1z
今の方が落ち着いてていいんじゃね?
むしろいろんな作者が投稿してるし
作品の質だって向上している


615:名無しさん@ピンキー
09/06/20 00:05:36 QKxTU/gQ
ギズバザグンババ、グレギブンバゾ!(笑)

616:名無しさん@ピンキー
09/06/20 00:15:46 RF5MOdoP
日付変わってすぐにあぼんしやすいようにIDを出すとは
何がしたいのかわからん荒らしだな

617:名無しさん@ピンキー
09/06/20 00:16:39 MgpdH7pI
日記とかに否定的な雰囲気だと、キチガイが出るんだな
なるほど…

618:名無しさん@ピンキー
09/06/20 00:32:47 v4I9in+H
何が「なるほど」なんだろ

619:名無しさん@ピンキー
09/06/20 00:32:53 QKxTU/gQ
グギグハ、グググバソバグレギブンバゾ!(笑)

620:名無しさん@ピンキー
09/06/20 00:38:27 SGc/MMg6
早く規制されねーかなぁ、この糞餓鬼
このスレだけならいざ知らず、お前ルミナススレを丸々一つ荒らして潰したんだから
永久規制も覚悟しておけよ糞餓鬼荒らし

621:名無しさん@ピンキー
09/06/20 00:39:10 Yql6dOcm
>>617
日記とかに否定的なのはお前1人だけ
そしてキチガイはお前

622:名無しさん@ピンキー
09/06/20 00:52:51 Yql6dOcm
一読して分かったけどな
粘着=キチガイ
批評に、この粘着特有の変なクセがあるんだよ
嫉妬に狂って、焼畑農業みたいに、色々知ったかしては恥の上塗りを繰り返すのは
いい加減にしたほうがいい
それが粘着のためでもあるんだが、ま、聞く耳もたんだろ(きりっ)

てか焼畑農業みたいってどんな表現なんだよ。意味が解らん。

623:名無しさん@ピンキー
09/06/20 00:54:41 JN25DIe3
こんな雰囲気でも投下してくれてる職人さんもいるんだから、荒し云々の話はここまでな

以下いつも通り独神の幸せを見守るスレで

624:名無しさん@ピンキー
09/06/20 00:57:45 wCJQz+4V
1レスごとにID代えてくるわけでもないのに
このスレのスルー能力のなさは異常

625:名無しさん@ピンキー
09/06/20 02:21:45 fLeptQD2
>>582
ええで・・・
続きまたお願いします!

626:名無しさん@ピンキー
09/06/20 02:22:52 RF5MOdoP
>>624みたいなこと書く奴って自分も同じって理解してないよな

627:名無しさん@ピンキー
09/06/20 03:33:13 3qbGOuOf
PCなら専プラ入れてあぽん一択でそ。

628:名無しさん@ピンキー
09/06/20 03:42:43 QKxTU/gQ
>>620(?_?)は?

629:名無しさん@ピンキー
09/06/20 03:43:45 QKxTU/gQ
( ̄~ ̄)ξ

630:名無しさん@ピンキー
09/06/20 03:46:06 QKxTU/gQ
>>620グギグハ、グググズバブンザゾグベダグレギブンバゾ!(笑)

631:名無しさん@ピンキー
09/06/20 04:25:03 sJi52Fmh
スルーしろよってレスに対してお前もスルーしろよってのは
まあ、定番だが馬鹿っぽい返しだよな

632:名無しさん@ピンキー
09/06/20 07:08:11 MnlJseKs
なんで>>609>>612は帰っちゃったの?

633:名無しさん@ピンキー
09/06/20 09:24:08 QKxTU/gQ
>>631ドライブスルー
ヨガスルー
グレギブンバゾ!(笑)

634:名無しさん@ピンキー
09/06/20 09:49:52 1Dqbf3gC
はぁ……気分悪い。

635:名無しさん@ピンキー
09/06/20 10:59:29 nFWvfiQU
>>620
一昨日・昨日と、面白半分に少しイジってみた者の感想だが……
ありゃ只のアホだ。ここのとは別物だよ。

636:名無しさん@ピンキー
09/06/20 11:10:52 wmRgoqYK
マジレスすると今日のレス(615以降)の中でスルー対象でないものは625だけ
後は全部荒らしと、荒らしの相手をした(荒らしに準じる)レスだけ
もちろんこのレスもあぼーん対象だ

637:名無しさん@ピンキー
09/06/20 11:32:31 SGc/MMg6
>>635
だから前スレ見て来いって
レスがここのと丸々同じ奴だから

638:名無しさん@ピンキー
09/06/20 11:35:14 SGc/MMg6
ああ、なんだ把握した
マジであいつビビって止めたのか、ざまぁ、一生規制に怯えて引っ込んでろ

639:名無しさん@ピンキー
09/06/20 13:28:19 QKxTU/gQ
>>638ゲザブバゴブガ、ズバブンザゾグベダ、グレギブンバゾ!(笑)

640:名無しさん@ピンキー
09/06/20 13:28:55 QKxTU/gQ
>>634吐け、吐くと楽になるぞ。

641:名無しさん@ピンキー
09/06/20 13:32:46 QKxTU/gQ
なるぞ。(笑)

642:名無しさん@ピンキー
09/06/20 18:32:38 KNRBrx8x
「あらしはしねばいい」と、きたえりは言った。
僕は射精した。
「そう」と、きたえりは言った。

643:名無しさん@ピンキー
09/06/20 19:35:56 uV4Tx7WR
「もうあっっっったまきた。ぶっ倒して来る。」「やめろ大河、お前がいっても何時ものドジのせいで荒らしを増長させるだけだ。俺が行く。コイツのせいでスレが無駄遣いだ。MOTTAINAIだろ。」
「やめて竜司、あんたがいったら洒落になんないから、警察に捕まって刑務所に入ったら私寂しい。」
「大河・・・・」
むしゃくしゃして書いた。後悔はしていない。

644:名無しさん@ピンキー
09/06/20 19:53:50 QKxTU/gQ
>>642うりょっちに喧嘩売ってるのか?
キタエリ。(笑)

645:名無しさん@ピンキー
09/06/20 20:40:02 PQTGX3K5
荒らしが何人かいてそいつらが釣りと釣られでサクラ
> 我慢できなくなった住人が注意レス
> 荒らしor別の我慢できなくなった住人の注意レス
> えんd(ry

今の状況連投荒らし以外の荒れてる原因はこれだろ
とりあえず我慢できなくなっても自分から我慢してなきゃ
次の人が我慢できなくなるからエンドレス

646:名無しさん@ピンキー
09/06/20 22:01:05 YRd27l4A
とりあえず誰か投下するのを待とうぜ。
話はそれからだ。

647:名無しさん@ピンキー
09/06/20 22:36:19 QKxTU/gQ
>>645ヾ(=^▽^=)ノブルーレイディスコー♪o(^∇^o)(o^∇^)o

648:名無しさん@ピンキー
09/06/21 00:01:05 9foctlbq
専ブラで自動あぼーん設定にしているからか、
何が起こっているのかさっぱり分からん。

649: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:11:04 V5hnNc4O
皆さんこんばんは。
[伝えたい言葉]
の続編を投下させて頂きに来ました。
前作の感想を下さった方々、並びにまとめて下さった管理人の皆さんありがとうございます。
注:今回のSSはちわ×ドラで[伝えたい言葉]の続編。
長編になると思いますので御容赦。
では次レスから投下します。



650: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:12:07 V5hnNc4O
[言霊(1)]

「ねぇねぇばかちー、ちょっと話があるからコッチに来て?」
もう数日もすれば修学旅行というある日の放課後、席の後ろから聞こえる声。
聞き覚えのある生意気な口調で私のあだ名を呼ぶ。
私をこんな呼び方をするのは一人しか居ない。
逢坂大河…。人読んで『手乗りタイガー』である。
珍しくて、虎の英語読みを連想させる名前、愛らしいフランス人形の様な容姿、車検ぎりぎりローダウンな身長…容姿とは真逆な凶悪凶暴な振る舞い。etc.
「えぇ~?亜美ちゃんマジ忙しいしぃ~、てかチビ虎に用事なんか無いんですけどぉ」
本当は『用事』はあるにはあるけど……人前で話す様な内容じゃ無いの。
……高須君と私、実乃梨ちゃんに……そして、この生意気なチビ虎。
複雑に絡み合った人間関係を一本に纏める。
かれこれ半月前に高須君と約束した『しがらみ』を解決するという『用事』。
でも…それって難しいんだ。
誰もが納得するハッピーエンドになんかなりっこない…。一対が幸せになれば、残りは……。
だから、今の今まで行動に移せず考えを巡らせていただけ。
大河が私に何を言わんとしているか…恐らくは私の予想通りだろう。



651: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:13:46 V5hnNc4O
あんたの得意な…実乃梨ちゃんとの『譲り合いごっこ』についてでしょ。
「干されモデルが忙しい訳無いじゃない。暇だからって妄想に逃避しちゃ駄目だよ?辛くても、それが現実なんだし、
ま…そんなのどうでも良いから、黙って早く来い」
と、この生意気なクソチビは腕を組んで哀れそうに私を見やり、大きく溜息をついて右手の親指で教室の戸を指差す。
「私は干されてなんかねぇ!!あ~っ!!む・か・つ・くっ!!今月はスケジュールが緩いんだよ!」
その物言い、態度…、大河が辛辣な口の聞き方をする娘と分かってても腹が立つ。
「はいはい…緩いのはばかちーの脇腹と頭のネジ。世間一般では、そうして徐々に干されていくのよ。そんな事も知らないの?」
血管が一、二本切れてしまいそうになる。
…が、無駄な応酬をしていては時間がもったいない。
さっきまで奈々子と麻耶と話してて、高須君は先に帰っちゃったし……私も早く『帰らなきゃ』
「だ~っ!!わかったわよ!行けば良いんでしょ!?マジうぜぇ!」
口調とは裏腹に内心は焦っていた。
高須君の所に一刻も早く行きたい、そして…考えさえ纏まっていないのに大河の方からアプローチしてきた事。



652: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:14:44 V5hnNc4O
ほぼ毎日、高須家に上がり込んで、日付が変わる前とはいえ夜中に帰る。
隣人の大河が気付かない筈が無い。
恐らくは私達の『触れ合い』を勘づいたのだろう。
灯の落ちた部屋の中から漏れる私の…あの声、とか、ベッドの軋む音なんかを聞いたりして…さ。
「で、何よ?亜美ちゃんは、あんたと違って忙しいんだから簡潔に言ってよね」
連れて来られたのは非常階段の扉の前だった。
まあ良いや。出たとこ勝負だ。
当事者の高須君を差し置いて、傷付けて、掻き乱した奴等なんかに言い負かされたりしない。
屈しないよ…、高須君をこれ以上傷付けさせない。
「ふん。確かにばかちーに難しい事を言っても理解出来ないだろうから、三行に纏めてあげる。
………
竜児を
弄ぶのは
止めろ」
そう真剣な目差しで言う。淡々と…そして低い声で。
この娘の言った『三行』はある程度、予想通り。
私は一言も発さずに、ただ彼女の目を見据える。
顔をしかめたり、怒りも浮かべず……ただ無表情に。
「竜児は好きな人が居るの。その相手もバカ犬の事が…好き。
両想い…だから邪魔しないで」
下から睨付けながら大河がそう言った。
相手を射殺さんばかりの怒りを込めて。



653: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:15:45 V5hnNc4O
「アンタは"遊び" "暇潰し"のつもりかもしれない……、みの……うぅん。その相手と竜児は結ばれるべきなの。…今なら"無かった事"にしてあげるから……」
「無かった事ぉ?………ふざけんな」
大河の吐いた言葉『無かった事』…それは聞き捨てならない。
彼女の言葉を遮る様に私は唸る。
このまま最後まで大河の戯言を聞くつもりだった……けど私は黙っては居られなかった。
「高須君が振り回された挙げ句、傷付いた…その事実も、無かった事、にしたいの?
バカにしてんの?
それに私、本気だから。
あんた達、二人と違って…」
腹の奥底から搾り出す様に…私は目の前の虎に言い放つ。
激昂してしまいそうな感情をなるべく出さない様に…。
「とぼけるな!竜児を振り回してるのはソッチ…!上手く行けそうなのに…バカチワワが発情してサカってんじゃないわよっ!」
「はあ?上手く行けそう?何が?高須君の気持ちを置いてけぼりにして成就する訳無いじゃん!
その"相手"が彼に何をしたか理解して言ってんのかよ!」
私達は拳を握って対峙する。
大河の言い分も解る。
『異分子がでしゃばるな』
そう言いたい訳だ。
そう、確かに私は『異分子』だ。



654: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:16:38 V5hnNc4O
私がこの状況の一端を作った当事者だと嫌って程…理解している。
だけど、もう私は『異分子』では居たく無い。
強くなるんだ…。
仮面を被らずに居て良い。
そう教えてくれた高須君の『一番』になりたい。
変な意地を張らずに好きな相手と居たい。
その気持ちが私をつき動かす。
だから大河を煙に撒いたりしない、本心を包み隠さずぶつけて…糸を解いてやる。
「想いすら告げれ無かった…。宙ぶらりんにされて"無かった事に"された。誰にも言えなくて、泣けなくて、頼れ無かった。
頼れる唯一の相手は大怪我しても助けてなんかくれなかったっ!自分の傷が深くなるのが嫌で逃げ出した!
そんな事をした奴が言う言葉じゃない!
大河!あんたの方こそ、これ以上高須君を玩具にしないでよ!!!」
そう私は大河に言い放つ。
小さくても芯は強い虎に…勇気を出して噛み付く。
一言放つ度に感情が高ぶって…オブラートなんかに包まず、ストレートに事実を述べていく。
良いよ…上等だ。
大河は実乃梨ちゃんと高須君を天秤に掛けて、実乃梨ちゃんの方に傾いた。
結果、高須君の気持ちは差し置いて、親友が"幸せ"になれる様に動いている。



655: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:17:47 V5hnNc4O
なら、私はそんな好き勝手な攻撃から高須君を守る。
焦がれた相手を放って、友情の押し付け合いをする二人から守ってみせる。
「あんたも勘づいてるだろうけど…私は……高須君と寝た。うぅん…何回も寝てる」
例え、何かを失ってでも掛け替えの無い大切な人を選ぶ。
そう。それに関しては私も、大河も、実乃梨ちゃんも…高須君だって同じ。

「言葉なんかで慰めれない位に傷付いてた。
身体を許したら卑怯?
でも辛そうで放っておけなかった…少しでも助けたかった。
好きだから…高須君が大好きだから、私の全身全霊で守ってあげたいって…そう想ってした事を"弄ぶ"って言うんなら、
あんた達は"高須竜児"の気持ちを無視して周りをウロチョロしてるだけだよ」
私は一息で自分の意見を紡いだ後、何も言えずに俯いて唇を噛み締める彼女を一瞥して踵を返す。
その姿に心がズキっとしてしまいそうな気持ちを押し殺して、足速にその場を立ち去る。
誰だって傷付きたくない。
正論でまくし立てられて言い返せず、情けなくて…。
でも私だって痛いんだ。
何だかんだ大河の事は気に入っている。
あの娘も素の私だけを相手してくれるから…。



656: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:18:30 V5hnNc4O
そんな相手を言い負かして、負った傷を抉って、塩まで擦り込んで…何かを得る為に傷付けた。
だから痛いよ。…凄く痛いんだ。
けど、覚悟無しに噛み付いた訳じゃない。
いつか…絶対に大河だって解ってくれる。
そう信じているよ。
.
理想とはかけ離れた形で一つの糸は解けた。
そう。無理矢理…引きちぎったのだ。
現状では落しどころなんか無くて、互いに怪我をした。
大河の匂いが薄れてきた高須家の居間で私はうなだれていた。
後悔はしてない、けど言い様の無い喪失感に襲われていた。
「おぅ…川嶋、どうしたんだ?今日は元気ねぇな」
そんな声が聞こえ、顔を上げると高須君が腰を屈めて私を見ていた。
「ん…まあ色々あって…ね。それよりやっちゃんは、もう仕事行ったの?」
私は詮索される前に別の話題を切り出す。
高須君のお母さんを
『やっちゃん』
なんて呼ぶのは気が引けるけど、そう呼べと本人から言われているので仕方無い。
「おぅ、丁度お前と入れ替えりでな。泰子の奴、川嶋と一緒に晩飯食え無くて残念だとよ」
その話題にあっさり食い付いてきた彼に安堵し、私は表情を和らげる。



657: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:19:44 V5hnNc4O
やっちゃん…そんな事を言ってくれたんだ…って。
嬉しいよね…。だって、それって受け入れて貰えているという事なのだから。
『大河の代わり』じゃなく『川嶋亜美』として見てくれているのだから。
「そっかぁ…うん。明日は一緒に食べようって伝えておいてよ」
「了解」
そう言って彼は私の横に腰を降ろし、何も言わなくなる。
居間の壁に二人してもたれ掛かるのは、もはや『日常の光景』と化していた。
何も言わず、ただ寄り添うだけの日もあれば、戯れ合う日もある。
そして必ず最後は…高須君の部屋で……。
それは今日とて同じだろう。
でも、こんな落ち込んだ気分で出来るかな。
私は迷っていた。今日の出来事を高須君に話すべきか否か。
言うのは簡単。でも…わざわざ言うのはおかしい…よね。
うん。そうだよ、それを言って何になるのだろうか?
「川嶋…何かあったのか?」
そう自問していると、高須君が私に問い掛ける。
「…別にぃ、亜美ちゃんは至って普通ですし~」
彼が心配してくれているのだとは分かっている。
だけど私は煙に撒こうとする。
言えないもん。大河を傷付けたなんて、そして私も傷付いたなんて。
気を引こうとしているとか思われたく無い。



658: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:20:42 V5hnNc4O
高須君は優しいから、言えば慰めてくれる。
だから言いたくない。
「…そうか。ほら…」
前を見詰めたまま彼が呟き、私の肩を抱いて引き寄せてくれる。
「言いたくないなら言わなくても良い。…けど、これくらいはさせてくれ」
「…うん」
私は彼の肩に頬を寄せて返事し、紡ぐ言葉を探す。
やっぱり言わなきゃ駄目。
今日の出来事は彼にとって無関係な話では無い。
何より…心苦しい、無償に与えられる優しさ…考えとは逆に、より心配させていると気付いたから。
直接に言わなければ良いのだ。濁しておけば……。
「……痛かったんだ」
私はポツリと一言呟く。
「おぅ?」
疑問符を頭の上に浮かべ、高須君が私を見る。
「絡まった糸…今日、一つ解いた…うぅん、切っちゃったの。
そうしたら痛かったんだ」
私は右手を目の前に緩やかに突出し、人差し指と中指で鋏を扱う仕草をする。
「これで良かった…のかなぁ?後悔はしてない……筈だけど、やっぱり考えちゃうんだ」
グッと拳を握って、私はその拳を見詰める。
「本当は絡まった糸って解けなくて、切る以外に方法なんて無くて、切ったら……そのままなのかなって…」



659: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:21:49 V5hnNc4O
立てた膝を自分のお腹の方に寄せ、顎をその上に乗せた。
「……なんてね。ごめん、訳の分からない話しちゃった」
そうだよ、ほら、空気が重くなったじゃん。
高須君の前で弱味は見せたくないもん、強い娘で居たい。
守るって決めたんだ。…だからこんな姿を見せたら駄目。
そう思い直し、私は明るい声で彼に謝罪する。
「……いや直る。『形』さえ覚えていれば、どんなモンでも時間が掛かってもよう、最後には元通りになるんじゃねぇか?」
「え…?」
私は彼が紡いだ言葉の意味を理解出来なかった。
「解けなくて切っまったんなら……繋げば良い。
絡まった部分は駄目でも、残った糸を結び直したら、
歪でも……直ったって言えるんじゃないか?」
高須君が私の頭を撫でて…言葉を探しながら、精一杯に考えて答えてくれる。
「っ!……で、でも…結び直せ無い位にグチャグチャだったらどうする?
切っても切っても、こんがらがってて…最後に残ったのは短い糸でさ、
……それって結べないじゃん」
そんな彼に対して私は問う。
『そんなの無理だよ。理想論だ』
と…。

「短すぎるなら
新しい糸で、また繋ごう。
今度は絡まり合わない様に…」



660: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:23:03 V5hnNc4O
そう言った高須君の目は真直ぐ、迷いなんかなくて…。
羨ましいな。
素直にそう想った。
私は怖くて出来ない…。
例え、彼の言う通りに紡ぎ直すも、また絡まるのが嫌で、違う策が無いかと巡らせて…見つからなくて。
心の中で『理想論』を否定しようと試みても………もう無理。
何故なら、彼の横顔に希望を見出してしまったから…。
「……出来るかな、私にも………」
弱々しく私は聞き返す。
そんな事をしなくても、私はその考えに魅入られていた。
聞き返したのは……誰かに……ううん、高須君からの同意が欲しいから。
失敗してコケても、立ち上がれる様に手を差し延べてくれる人が居るんだ。
そう想いたい……弱いチワワが掛けた保険。
「おぅ。絶対に出来る、それに川嶋だけにはさせねぇ。…俺もするから一人じゃない、二人で一緒に…結び直して行けば絶対に良い方向に向く、そうだろ?」
『一人で紡ぎ直す』
そう決意したのに…私は揺らいでしまう。
直面した痛みを高須君となら…和らげれる。
そんな自分本意な考えが生まれてしまう。
それは…嫌、高須君に辛い想いはさせたくない。何回だって言ってやる、好きだから傷付いて欲しく無いんだもん。



661: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:24:31 V5hnNc4O
「…そうかも、ね。うん………でも痛いよ、きっと。
実乃梨ちゃんにフラれた時と同じ位にズキズキするよ。
それでも良いの?」
でも、考えとは真逆な事を私は口にする。
弱ってしまった私は縋ってしまう…。
彼は優しいから、絶対に『良い』と言うと分かってて…縋り付く。
まだ傷心を抱いたままの彼に……。
「痛くても治るんだろ?いつかは…。それに俺は目の前で怪我してる奴が居たら放っておけねぇぞ、…………好きな奴なら尚更に」
私の頬を数度撫でながら紡ぎ、最後の一言はポツリと呟く。
その言葉はしっかりと私の耳に届き、暖かい気持ちになる。
先を進んでいた彼が、私に歩み寄ろうと手を差し延べてくれた事が嬉しくて…。
「ありがとう」
頬を撫でる少しガサガサ、ゴツゴツしてて……大きくて暖かい手。
それを取って、手の平で包み私は囁く。
「また"おまじない"してあげる。次のズキズキが少しでも和らぐ様に…、だから高須君も亜美ちゃんのズキズキが治る様に…
おまじない……して?」
弱った竜がまた翔べる様に…。
そして弱いチワワが、また強くなれる様に…。
そんな願いを込め、私は背伸びして高須君に顔を近付けていく……。

続く


662: ◆KARsW3gC4M
09/06/21 01:25:45 V5hnNc4O
以上。
今回は導入なのでエロ無しですみません。
続きが書けたらまた来させて貰います。
では
ノシ

663:名無しさん@ピンキー
09/06/21 01:38:46 ++TPJnh9
乙 続き期待してます

664:名無しさん@ピンキー
09/06/21 02:05:35 Dl/wzxfZ
>>662
SS書いてて、ふとスレみたら新規投下が!
しかも、「伝えたい言葉」の続編ですか、前作すごく面白かったです。
今作は最初から修羅場な上、今後の展開が難しそう。
次回も期待して待ってます。

665:コピペ改変
09/06/21 03:36:21 GPFlElEY
ある目つきの悪い男が、自分を愛している3人の女の中で
誰を結婚相手にするか長いこと考えていた。
そこで彼は3人に5万ずつ渡し
彼女らがその金をどう使うか見ることにした。
一人目の女は、高価な服と高級な化粧品を買い、最高の美容院に行き、
自分を完璧に見せるためにその金を全て使って こう言った。
「私はあなたをとても愛しているの。だから、
あなたが町で一番の美人を妻に持っているとみんなに思ってほしいのよ」
二人目の女は、夫になるかも知れないその男のために掃除用具を買って、残らず使いきる と、こう言った。
「私にとってはあなたが一番大切な人なの。だからお金は全部あなたのために使ったわ」
最後の女は、振り込まれた生活費から五万円を倍にして男に返した。
「私はあなたをとても愛しているわ。 お金は、私が浪費をしない、
賢い女であることをあなたに分かってもらえるように使ったのよ」
男は考え、3人の中で一番おっぱいの大きい女を妻にした。

666:名無しさん@ピンキー
09/06/21 03:40:00 NV60hQMq
いい男だなあ…
そりゃモテるわ、器量が違うぜ

667:名無しさん@ピンキー
09/06/21 04:32:12 QDL1eKzc
なんか、無駄にあみドラが多い気がする。
もっとみのドラが読みたいよ。

668:名無しさん@ピンキー
09/06/21 04:41:23 btHUyJIJ
>>667
読みたいと思ったときが自ら筆を取るとき。


個人的には三人の中じゃみのりんが一番話を広げにくい・・・
卒業後進路がほぼ確定なのが要因なのかな・・・?

669:名無しさん@ピンキー
09/06/21 05:02:19 t8K6bfFh
>>668
個人的にみのりんは会話が難しいなぁ。

670:名無しさん@ピンキー
09/06/21 05:16:09 Dl/wzxfZ
>>667
無駄など無い!とあみドラを今書いてる俺が言いますよ
というか勘弁してね、それが今書きたいので

>>669
みのりんから話広げるの面白そうなんだけど、
ゆゆぽが書く、みのりん口調は再現難しいよな
実力不足でいつも嘘くさくなるよ、俺は。



671:名無しさん@ピンキー
09/06/21 07:28:11 iDSj0dvc
>>668
Afterとかなら別として、彼女は竜児の想いを受け入れないからじゃね?
想像しにくいんだろ

672:名無しさん@ピンキー
09/06/21 08:42:00 kucWaRLj
>>667
アニキャラ板のみのドラSSスレは投下多いよー。

673:名無しさん@ピンキー
09/06/21 09:55:16 f9ZcwD3O
>>665
一番目の女=大河、亜美
二番目の女=実乃梨、ゆり
三番目の女=奈々子、すみれ
おっぱい=亜美、奈々子

というイメージなんだけど、正解を教えてくれ

674:名無しさん@ピンキー
09/06/21 10:20:47 JrB7nD4+
こうした亜美派の汚い工作によって とら・みの派は僻地へ追いやられる。
さすが汚い、亜美は汚い。俺はこれで亜美が嫌いなった。

675:名無しさん@ピンキー
09/06/21 10:23:09 0p8OdpWw
大河と亜美は書きやすいと思う
みのりんは・・・

676:名無しさん@ピンキー
09/06/21 10:29:55 RNz4SnqM
>>673
大河=おっぱいって言ってるでしょ、この駄犬!

677:名無しさん@ピンキー
09/06/21 10:33:32 oeWKr/eC
大河タソの未熟な蕾をちゅっちゅ!!ハフッハフッ!!したいお…

678:名無しさん@ピンキー
09/06/21 10:55:50 IeSPsayT
亜美は、女性キャラの中で一番現実に存在していそうな感じだからね
だから、二次創作を書こうという気になるし、
書き上がったものもリアルで違和感がない


679:名無しさん@ピンキー
09/06/21 12:01:31 SitqYTeZ
笑うところか?

680:名無しさん@ピンキー
09/06/21 12:12:31 c5qbFKDX
女性キャラの中で一番現実に存在していそうな感じ
……木原じゃね?

681:名無しさん@ピンキー
09/06/21 12:33:20 f9ZcwD3O
独身みたいな先生もたまに居る。

682:名無しさん@ピンキー
09/06/21 12:40:52 bf8xbuzt
「伝えたい言葉」の作者さんて何と呼べば良いのでしょう?
前に住人からKARsさんと呼ばれてましたが……(カーズさん?)
それとも大文字だけ取ってKAR(カー)さん?

683:名無しさん@ピンキー
09/06/21 14:37:48 oeWKr/eC
>>681
俺二十歳だけど、理恵様みたいな三十路なら明日にでも結婚したい
あ、もちろん田中の方です


684:名無しさん@ピンキー
09/06/21 14:51:18 6fjsgyjm
>>667
書きたいヤツが書きたいモノを書きたいだけ書けばよいのだ
無駄に多いなんてことはない


685:名無しさん@ピンキー
09/06/21 16:45:10 y4N7sq5G
>>667
アニキャラ個別に専門スレあるようだぞ

大河もみのりんも個別にあるから自然とここは亜美が多いのかも

686:名無しさん@ピンキー
09/06/21 16:57:30 V5hnNc4O
>>682
御自由にどうぞ。


687:名無しさん@ピンキー
09/06/21 16:58:26 V5hnNc4O
スマン。ageちまった、吊ってくる

688:名無しさん@ピンキー
09/06/21 18:11:05 QDL1eKzc
(・∀・)ノ彡みのりん、みのりん!

689:名無しさん@ピンキー
09/06/21 19:00:37 btHUyJIJ
>>681
ウチ男子校だったから独身(と同じ高2時30歳)の家庭科の
先生はみんなに持て囃されてたぞ。
ゆゆぽと違って可愛い30歳とかむしろ独身歓迎だった。


あれ、女子に飢えてただけ?


690:名無しさん@ピンキー
09/06/21 19:03:20 Ywy+sHsj
>>689
友達いないからって自分語りしないでください
誰もあんたに興味ないしうざい

691:名無しさん@ピンキー
09/06/21 20:03:53 a6lDPDsK
>>690
だったらスルーしろよマンカス

692:名無しさん@ピンキー
09/06/21 21:20:27 1sA799B/
……お前らちゃんと成人してるよな?

693:名無しさん@ピンキー
09/06/21 21:37:06 W1yqM/SH
お前の倍は生きてる自信があるぞ

694:名無しさん@ピンキー
09/06/21 21:53:38 bT1d3KrA
>>662
GJです。
亜美の性格を維持しながら、『亜美がふっきって攻勢に出たら?』
という、比較的ありそうなifを上手く描いていらっしゃる。

695:名無しさん@ピンキー
09/06/21 21:53:53 GnLuCnuW
ふと思ったんだが

木原→まるおに告白→フラれる
竜児→みのりに告白→フラれる

時系列ずらして、ここで失恋同盟が出来るとか、そういう話があってもよさそうじゃないか??
いや、書くだけの技量はないわけなんだが…

696:名無しさん@ピンキー
09/06/21 22:40:30 btHUyJIJ
>>695
「そんなこんなとらドラ」が近い作品ではある。
まぁ↑はちわドラ作品ではあるけど・・・

697:名無しさん@ピンキー
09/06/21 22:50:00 px2ld4IG
大河が生きるか死ぬかの病気にかかったら
竜児のことを託すのはみのりんじゃなくばかちーじゃないかって気がするんだよな
実乃梨にしても竜児にしても凄く大切だった人の分身みたいな存在を見ながら
二人の絆をあたらしく作っていくのは無理な気がするんだ
そんな病室SSを書こうとして、力尽きまちた(´・ω・`)無理

698:名無しさん@ピンキー
09/06/21 23:03:27 f9ZcwD3O
>>697
タイトル忘れたけど前に保管庫で読んだやつで大河が
「みのりんはさ、もう終わった女なんだよ」
とか、言ってるやつ思い出した。
みのりん話が書きにくい理由はそれもあるんだろうな

699:名無しさん@ピンキー
09/06/21 23:33:49 0p8OdpWw
みのりんは良くも悪くも大河最優先だからね

700:名無しさん@ピンキー
09/06/22 01:02:39 IuwJiAvD
>>662
GJ

701:名無しさん@ピンキー
09/06/22 03:11:34 KkjLFgdC
>>699でも、みのりん絡みの良作が多いのも事実。
つか、竜児×実乃梨は二十分にあると思います。
とことこで、とらドラ!Pのみのりんルートでの設定を活かしたみのドラSSをプリーズフリー( ̄人 ̄)m(__)m

702:名無しさん@ピンキー
09/06/22 04:48:45 EhFt9KuX
>つか、竜児×実乃梨は二十分にあると思います。
「二十分にあると思います」って、何だよwww
「十二分にあると思います」だろ

703:名無しさん@ピンキー
09/06/22 05:56:19 KkjLFgdC
>>702それ以上だから二十でイインダヨーミノリーンダヨー!(´∀`)

704:名無しさん@ピンキー
09/06/22 06:17:00 EhFt9KuX
お前は、書き込む前に基本的な国語能力から見直せ

705:名無しさん@ピンキー
09/06/22 09:26:55 ww6ErsRy
なんでそんなことぐらいで必死に噛み付いてんのかわからない
SSでもないし、ネタ的な強調だろうにわざわざ

706:名無しさん@ピンキー
09/06/22 10:02:15 TE9E6VyK
竜児ありであみドラとかみのドラとか言われると、なんか違う気がするのだがw

707:名無しさん@ピンキー
09/06/22 12:03:30 YGGkE4Yl
( ゚д゚)?

708:名無しさん@ピンキー
09/06/22 12:17:49 TE9E6VyK
いや、一瞬、百合かノマカプどっちよって身構えちゃうんだわw

709:名無しさん@ピンキー
09/06/22 12:23:19 AjBEbZ56
○○ドラって○○×竜児の事だろ?


710:名無しさん@ピンキー
09/06/22 12:51:44 iB/nAwyw
何が何だかわからない……

711:名無しさん@ピンキー
09/06/22 12:54:52 YGGkE4Yl
ドラドラ!

竜児がおなぬーしながらネット麻雀

712:名無しさん@ピンキー
09/06/22 14:24:27 KkjLFgdC
>>707☆ヽ(▽⌒*)

713:名無しさん@ピンキー
09/06/22 14:35:43 ksB1l46w
さっさと規制されろウジ虫

714:名無しさん@ピンキー
09/06/22 19:07:49 imxEsp8a
りゅーじ×青狸

715:名無しさん@ピンキー
09/06/22 19:33:43 ZdZJMzQr
>>673

一番目の女=亜美
二番目の女=高須
三番目の女=奈々子
おっぱい=奈々子

つまりだな(ry



716:名無しさん@ピンキー
09/06/23 03:24:19 wAnBpttl
>>713あぎゃぎゃぎゃぎゃw

717:名無しさん@ピンキー
09/06/23 12:57:01 RwfOeSO2
tesu
u

718:名無しさん@ピンキー
09/06/23 13:47:02 rLLguFBs
   , ノ)
  ノ)ノ,(ノi >>ID:KkjLFgdC
  (    (ノし
 ) ∧,∧  ノ  まだ!まだいける!
.( ( ....:::::::) (
U⊂/ ̄ ̄7 ) ヽ lヽ,,lヽ
 (/ 川口 /ノ   (    ) やめて!
   ̄TT ̄    と、  ゙i

719:名無しさん@ピンキー
09/06/23 14:30:03 kMpDYq2V
細々と書いて中頃まで完成してようやく25kbほどになったのだが、少し気になったことが。
投下前にレス数を予告する人がいるけどあれってどうやって換算してるんだろう?
そういうツールとかあるんですかね? 原稿用紙換算のはあるみたいだけど。

720:名無しさん@ピンキー
09/06/23 14:34:50 Bzp8H6rs
ツールなんてねーよ
足し算できれば誰にでも計算できる

721:名無しさん@ピンキー
09/06/23 14:46:17 Wq2gvwqk
1レス60行だからエディタ上で分けとけばわかる

722:名無しさん@ピンキー
09/06/23 17:21:38 Fax2HF8N
久々に覗いたらミラー保管庫は消し飛んだのな

723:名無しさん@ピンキー
09/06/23 21:02:04 Prz6RStL
>>719
ここできくよろし
URLリンク(s.s2ch.net)

724:名無しさん@ピンキー
09/06/23 21:23:27 LS3z6nFm
>>719
60行以内で区切りのいい場所を作ってそこで切る。
一文の長さはあまり長くならないようにする。
誤読の多そうな漢字は極力避ける。
難しすぎる慣用句などは避ける。
テキストエディタ上で切る部分は印をつけて、投下後イメージで
読み直す。
私が気をつけているのはこんなところでしょうか。

725:名無しさん@ピンキー
09/06/23 22:58:24 JvH5WqWE
ID:KkjLFgdC は、やっぱ、荒らし(多分、書けなくなった職人)だったか


726:名無しさん@ピンキー
09/06/23 23:05:58 K2W6R+r/
そんな奴がルミナススレにまで来るのか

727:名無しさん@ピンキー
09/06/23 23:57:08 CIIG4wxL
>>723
携帯用のリンクそのまま貼るとかどんだけ馬鹿丸出しなんだお前は

SS書きの控え室94号室
スレリンク(eroparo板)

728:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:08:39 XMyiJQwc
4皿目、44LTzffTさんの「虎と竜と、幸せと」の後半を、違う展開で書いてみた。
こういう事をssでやっていいのか分からないが、書いてしまったから貼ってみる。
ちなみに、内容としては4月バカ騒動のネタバレ以降、北村の「高須、今日は何月何日だ?」 から。
前半の内容はSS保管庫で確認を。
「虎と竜と、幸せと」書かれた方、勝手な事して申し訳ない。この場を借りて謝罪と感謝を。

729:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:10:50 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 1>
「高須、今日は何月何日だ?」

何月─何日─?

北村の単純な問いかけに、しかし、痺れきった竜児の頭は、すぐには答えを紬ぎ出せない。

「何だ高須、そんな事も分からなくなるくらい、動転しているのか?」

答えを出せず、ただ棒立ちのまま、無為に口をモゴつかせるだけの竜児の様子に、少し心配そうな表情の北村。

「こりゃあ、ちっとばっかり薬が効きすぎちまったのかねぇ?」

実乃梨も「あちゃ~」っと右手で自分の後頭部を掻きながら、しかし、こっちは満更でもない表情。
「ま、それだけ大河の事が大切だったって事さね」と、事も無げに付け加える。

何月何日? 薬が効きすぎた? 何を言ってんだ、この二人は?
いや、そんな事はどうでもいい。それよりも……

未だ、放心状態から抜け出せない竜児は、まるで熱病にでもかかったような頼りない足取りで、ノロノロと教室の入り口に立つ大河の元まで歩み寄る。
竜児の接近に比例するように、真っ赤に焼けたヤカンは今にも自熱で溶け出してしまいそうになるほど、さらにその赤みを増していく。

「なななな、にゃによ……」

目の前までたどり着いた竜児に対し、回らないろれつと共に、精一杯の虚勢をはる大河。
先だっての竜児の絶叫が、大河にとって嬉しくないわけはなく、本当のところは、小躍りしながらこのまま抱きついてしまいたいほどの心持ではあるのだが……
しかし、「公衆の面前でそんな事できるか」と言う、最後に残された小さなプライドの欠片でもって、飛び出しそうになる小さな身体を、どうにか押さえ込み、無理やり作った鋭い眼光を、精一杯の虚勢を張って竜児にたたきつける。

もっとも、形を模されただけの攻撃的な視線の中には、彼女の象徴たる「虎」を思わせる破壊性は垣間見えず、
その代わりに何とも、こっぱずかしい心情が込められている事は、実乃梨や北村だけでなく、
今年一年、共に手乗りタイガーの恐怖に晒されてきた他のクラスメートたちにも、容易に見て取る事が出来た。

竜児はおもむろに腰を折って屈み、目の前の自分よりも随分と背の低い少女と同じ高さの視線を作る。

竜児の行動に、その場にいたクラスメート達の間から、「おおー」だの「うそ、マジ?」だのと、ザワメキが静かに巻き起こる。

「えええ……」

竜児が自ら腰を下げた事により、余りにも顔が近く、その近さに大河ヤカンは融点を通り越して沸点まで上り詰める。
しかし、そんな蒸発間近状態の大河の様子など気にする素振りもなく、竜児の右手はゆっくりと大河の顔に近づいていく。
唐突な展開に、動けず固まる手乗りタイガー。意外な展開に、先ほどまでのざわめきがウソのように、シンと静まり返るクラスメートたち。
竜児の腕が大河の顔に触れそうな距離まで到達する頃には、大河自身はもう何も言う事が出来ず、何も考える事が出来ず、ただギュッと両目を硬く閉じる事しか出来ないでいた。

誰もが竜児の行動の行き着く先を、固唾を呑んで見守った。もっとも、大河だけは固唾呑むどころか、呼吸すら出来ない状況に陥っていたが……

そして……

730:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:11:57 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 2>

ツン……

竜児の指先は、大河のおでこ辺りを軽く突付く。

………

ツンツン……

さらに、頬、顎と場所を変え、二度三度と大河をつつく竜児。誰もが予想していた結末とはいささか異なる彼の行動に、その場にいた全員の頭上に渦巻くクエスチョンの大群。

ツンツンツンツン……

竜児の攻撃はとどまるところを知らず、顔から肩、身体と、とにかくひたすら突っつきまくっている。この場にいる誰にも、竜児の行動の意図が汲み取れない。

指先が腰の辺りに到達する頃には、当の大河自身も固く閉ざしていた目を開き、眉間にしわを寄せながら、現在の自分の置かれている状況を、出来るだけ冷静に分析しようと試みる。分析しようとして……

「何しとんじゃーーーエロ犬がぁぁぁぁぁぁあ!!!」

分析の結果が出るよりも早く、華麗な回し蹴りが竜児の即頭部にめり込んでいた。無抵抗なまま吹っ飛び、手近にあった机や椅子を派手に巻き込みながらそのまま壁に激突する。

「ききき、きま、きさま……こんな所で、なお、なななにをおおおおお!?」

今度こそ「猛虎」の怒気を孕んだ視線が、壁に背を寄りかけるようにしてへたり込んでいる竜児に、容赦なく浴びせられる。
おおよそ、精神と言う物を持ち合わせているであろう物質のすべからくが震え上がりそうな、凶暴で凶悪な視線の中心にすえられた当の本人。だが、しかし……

「は……はは、ふははははへは……」

竜児の口から漏れ出すのは、途切れ途切れに響く、乾いた笑い声だった。
「た、高須が壊れた……」などと言う言葉がささやかれる。

「お、おい高須、しっかりしろよ……」と声をかけた北村も、常軌を逸しているような竜児の状況に、少々腰が引けているようだ。しかし、そんな北村の声が聞こえているのかいないのか、竜児の独り言は続く。

「はははははは……死んでなかった……はははは……よくわかんねぇけど、生きてた……」

放心状態のまま、ただただそう呟きながら、再び涙を流し続ける元二大番長の片割れ。

「よかった……何かわかんねぇけど、よかった、本当に……」


731:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:12:47 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 3>
==================================================================

「すまん高須!」

大げさな身振りで謝罪の意を示す北村。同じように実乃梨、能登、春田などと、この一件に加担したと思わしき面々が、しきりに押し付けがましい謝罪の意を表現し続けている。

大河のみ、少し離れた場所で、竜児に背を向け腕組みしたまま突っ立ている。
その立ち姿は全身で、「あまやかしたら付け上がるだけ」と言い放っている様でもあるが、しかし、チラチラと背後を気にして視線を送っているせいか、いまいち説得力を持てない。

「今日は4月1日。つまり、俗に言うエイプリルフールというやつなワケだよ。」
「それで─こんな真似か─」
「いや、だから本当にゴメンってば! ほら、この通り!」
「…………」

「あ~あ、だから言ったのに……」

竜児の暗く沈んだ表情に、呼応したかのように、亜美が口を挟む。

「絶対、シャレになってないって思ってたのよね~。タチ悪すぎって言うの?」
「でも、そんな事言ったって、アーミンだって結局は手伝ってたジャン─」
「アタシは見てただけ。実際には何もしてないもん。」
「あっ、ずっけーぞ!」

自分のすぐ側で、櫛枝と亜美のにわかに熱を帯びた言い争いが聞こえていた。が、今の竜児にはそんな事はどうでもいい事でしかない。

「ギリ……」と、竜児は目の前に置かれた机の角を、強く握り締める。

死んでしまった。
もう、手を伸ばす事も出来ない場所に、アイツを一人で行かせてしまった。

二度と放しはしない。そう誓ったあの時から、自分なりに出来る事を精一杯してきたつもりだった。
だが、ああも簡単に、何の前触れもなく、大河は竜児の手の中から隙間を縫うように零れ落ち─消えた。
何の努力をさせてももらえず、何を叫ぶ事もできず、あいつが伸ばした手に気付く事もなく、消えてしまった事すら、ついさっきまで知る事も無く……

あの時は、そんな後悔の念と、申し訳なさと情けなさと、そしてどうにも抑えきれない衝動で、爆発して絶叫した。

だが、それらが全部ウソだという……

「ギリギリギリ……」と、まるで心のバランスを取るために必要であるかのように、机を握る指先に力が入り続ける。


732:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:13:23 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 4>

アイツと一緒になると決めた時から、もう二度と一人ぼっちにはさせないと誓った。俺は一番近くで逢坂大河という奴を見てきて、そして、きっと誰よりも、そいつの喜びや痛み、そして優しさや強さや弱さや……
とにかく、他のやつ等が知りえる事のないものを、直接見聞きしてきつもりだった。
アイツが死んだと聞き、どこにもその姿が見つからなくて、それでも俺には信じられなくて……
でも、この教室の扉を開けた瞬間、俺以外の全員がそれを現実だと受け入れていて……
俺と他の人間の差が、そこにはハッキリと感じられて……
それがまたやるせなかった。
「いっそ、このままアイツを一人で行かせちまうくらいなら……」
冗談抜きで、かなり真剣にそこまで考えてしまっていた。後追いなんざ、情けない話でしかない。そんな事は分かっている。それでも……
あの時は、正直そこまで追い詰められていた。そう。俺は追い詰められていたんだ……

だが、それらが全部ウソだという……

既に机をつかんだ手の指先は白く変色し、完全に血の気を失っているのが傍目にもハッキリ分かる。だが、それでも力を込めずにはいられなかった。

考えられねえ。そいつは人として、やってはいけない事じゃないのか? タブーってヤツじゃないのか?

「そんな事も分からないのか、お前ら!?」と、よっぽど口に出してしまいたかった。しかし、元来、竜児の持った性格上、そうする事は難しい。

それを言えぬからこそ、机に八つ当たりしているといっても過言ではないだろう。すでに指先にはなんの感覚も感じなくなってきていた。

北村も櫛枝も亜美も能登も春田もそれ以外の奴らも、この件に参加していた誰も彼もが腹立たしく思えてならない。しかし、それ以上に……

「……!?」

黙ったままでいる竜児が気にかかり、先ほどからチラチラとその様子を盗み見ていた大河の視線が、ギラリと光る竜児の視線とぶつかる。
ガンの飛ばし合いでは竜児に対して無敵を誇っていた大河も、今回ばかりはバツが悪いのか「……う」と、慌てて視線をそらす。

今一番気に食わないのは─アイツだ。

お前が死んだなんて事を俺に見せつけて、それでアイツはどうしたかったのか。さっきの俺の絶叫を聞き出すためにか? それとももっと単純に、俺が悲しむかどうか試したかったのか? 俺が悲しまないとでも思っていたのか? それとも、単に面白半分でやったのか?

ざけてやがる、ありえねぇ……

お前が死んだと聞いた時、それを目の前に突きつけられた時、俺がどれほど心をえぐられたか、お前に分かるか?
分かるよな? いや、分かるはずだ。分からないワケがない。だって、それで受ける悲しみは、俺もお前も同じはずなんだ。もしも俺が死んだ時、お前はきっと悲しむ。俺はそんな悲しみをお前に味合わせるなんて事、少し望まねぇ。

なのに、アイツはそれを望んだ。それが─俺には辛いんだ。


733:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:13:53 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 5>

竜児は、自分の中に吹き上がってくる暗い感情と必至に格闘していた。こんな気持ちは嫌いだった。早く飲み下してしまいたかった。
本当ならば、クラスメイト達の些細なイタズラに「やりすぎだっての、お前ら」と軽い感じで調子を合わせてしまいたかった。そうする事が出来れば、どんなに楽だろうか。
だが、どうしても今はそんな気分にはなれない。それはきっと─

アイツ……

すでに大河の視線は竜児ではなく、自分の目の前の壁に向けて注がれている。心なしか、背を向けたその姿は小刻みに震えているようだ。

どんどんと輪をかけて不機嫌になって行くその様を目ざとく悟ったのか、「おい高須、そろそろ機嫌を直してくれよ。な、頼む……」と、北村。

「………」
「なあ、頼むよ……」
「ああ、そうだな。いつまでもこうしていても、しゃーねー……」
「だろ?」

今ここにいる中で、一番それを願っているのは竜児本人だ。早くいつもの調子に戻りたい。早く、いつも通りの、騒がしくて騒々しくて、それでいて居心地のよい空間に戻りたい。
竜児はそれを切に願いながらも、それでいて「どうにも収まりが付かない」そんなジレンマに苦しんでいた。

「悪いが、しばらく一人にしてくれ─」

竜児はそう小声でつぶやくと、そのまま立ち上がり、黙って教室から出て行く。
後に残された面々はおのおのに困り顔を披露し、自分達の悪ふざけが、一人のクラスメートに与えた影響を、それぞれ思案していた。

「あれは、相当キズ付いてるわね。ああ見えて、高須君て結構ナイーブなとこあるみたいだし……」

亜美の発したその言葉は、他のクラスメートたちの表情を一様に重く曇らせ、そして、誰にも顔を見られぬよう、壁と向き合い立っている大河の目尻に、小さな涙を呼び込んでいた。




734:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:15:11 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 6>
==================================================================

「やはり、もう一度あやまろう!」

竜児が教室を出て行った後、空間中に垂れ込んだ重々しい空気を払拭するかのように、北村が声を上げる。

「冷静になって考えてみれば、高須が怒るのも当然だ。俺たちは冗談にしてはいけない事をやってしまったんだ。それも面白半分でな。」
「うん、そだね。私もどうかしてたよ─」
北村の言葉に続けるように、実乃梨が口を開く。
「大河が、まだハッキリと高須君に気持ちを聞けていないって聞いて……」
その言葉に、大河の心がズキリと痛む。
「そんでもってエイプリルフールが近いってんで、よく考えずにノリだけで突っ走っちゃったもんね。」

─やりすぎた─

この場にいる誰もが、それを痛感していた。まさか、あの竜児があれほど取り乱すとは考えても見なかった。いや……
取り乱す事自体は分かっていたのかもしれない。標的である彼を盛大に取り乱させた上で、彼の本当の気持ちを隠れている大河に聞かせるのが、今回のタチの悪いイベントの終着駅のはずだった。
そう、ただのイベントのつもりだった。文化祭や修学旅行や、退屈な日常に、ホンのささやかな花を添えるだけの……
だが、そんな軽い気持ちで振るった刃は、その標的となった少年の心を一瞬で引き裂き、彼の心を鮮血で染め抜いた。

「必要とあれば、俺は高須に土下座、いや土下寝でもなんでもする! それでも足りないなら、地面にめり込んででも、許しを請うぞ!」
そんな事で、すぐに許してくれるかは、いつも通りの関係に戻れるのかは分からない。だが、そうせずにはいられない、と言う北村の瞳には、ハッキリとした強い意志の光。だが……

「そんな事、しなくていいよ北村君。」

ついさっきまで壁と向かい合い、溢れて来る涙を必死にその眼球で飲み込んでいた大河が、北村の決意に水をさす。どうやら目に溜まる雫をうまく消し去る事に成功したのか、振り返って他の面々に顔を向けた大河の目にはその痕跡すら残ってはいなかった。
コレまでの人生で、ただただ泣く事しか出来なかった数々の局面を、「こんなツラ、誰にも見せてたまるか」と、意地を張って生きてきた。その上で会得した「この涙、なかった事にしよう」的な特殊能力が、こんなところでも役に立つ。
それは竜児に会い、自分を支えてくれる人間に出会うまでに、「人に頼らない」「人に弱みを見せない」とかたくななまでのプライドでもって培われてきた特殊能力だと言えるかもしれない。

「そうは言ってもさ、タイガー……」
モノ言いたげな表情で大河の瞳に目を合わせる実乃梨の言葉を「いいんだってば、みのりん」と遮る大河。


735:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:18:41 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 7>

「あいつの事はよく分かってるもん。あのお人よしが、あんた達相手に本気で怒ったりするワケないじゃん。とにかく、あんなツラしてても人には強く出られないヤツなのよ。心配するだけ損ってもんだわ。」

自らの胸中に渦巻く本音とはまったく違った事を口走りながらも、それでも大河の口は止まらない。

「どうせ犬は畜生系列の哺乳類に属するわけだし、きっと三歩あるいたらさっきの事なんて忘れるって。ひょっとしたらもうその辺でケロッとしてたりするんじゃないかしら?」

三歩あるいて忘れるのは鳥類だぞ逢坂。と言う北村の突っ込みに「あはは、そうだっけ?」と気のない笑みで相槌を返してはいるのだが、内心は穏やかではない。
さっきの「あいつの事はよく分かってる」という言葉ではないが、確かに大河は竜児の事をよく理解していた。
自分が発端となった悪ふざけで竜児が激しく傷ついている事も、その竜児の怒りの矛先の中心に自分が据えられている事も、教室から出て行く前の彼の態度を見れば一目瞭然だ。「それだけの事を自分はしたのだ」という自覚もあった。本当なら、今すぐにでも謝りに行きたかった。


でも、みんなで行ってはダメ……


彼は自らの感じた不快感を表情に出す事を極端に嫌っている。
生まれ出る時に、神の戯れで取り付ける羽目になた凶悪な鬼面のせいで、人から怖がられたり、そのせいで無為に気を使われたりするたびに、激しく落ち込むのだから。
そうならないためにも、常に暗い気持ちを胸の奥で強く押し付けて、それを誰にも悟らせないようにするのが、ある種、彼自身の自己防衛本能といえた。
大河はそんな彼を、確かに理解していた。


きっと、今の竜児は怒っている。
だけど、その怒りが収まった時、竜児はきっと落ち込んでしまう。
クラスの皆の前で、押さえきれない感情を表に出してしまったと。
それがクラスの奴等に気を使わせてしまったと。
竜児はそう言うやつなのだ。馬鹿が付くほどのお人よしなのだ。



北村君やみのりんや馬鹿チワワ、それにメガネにアホなんかは、きっと心から竜児の事を心配していてくれるだろう。だけど、ここにいる人間全部がそうだと言うわけじゃない。

単に、「やっぱし高須こえーー。ここで謝っとかないと、後で高須になにをされるかわかんねーぞ。」なんて事を考えているヤツだっているはずだ。
一年という時間をかけて、竜児がこのクラスメイト達に必死に歩み寄ってきたのを見ている。
怖がられ、恐れられ、影でコソコソと何を言われようとも、決して苛立ちを表に出さず、我慢してググッとその感情を飲み込んできた。
そして、そうする事で、少しずつ近づいてきたクラスメイトたちと竜児の距離が、自分のためにまた振り出しに戻ってしまうのは耐えられない。

だからこそ、行くべきではないのだ。これ以上、竜児にキズを負わせないためにも……


736:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:20:09 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 8>

「でもタイガー。俺、高須とはこれからも仲良くやって行きたいし、このままじゃ俺自身ケジメがつかねーよ。」

珍しく、能登が大河の意見に口を挟んだ。同じクラスになったばかりの頃からは考えられない物言いだが、彼も一年の時間を共に共有する事で、多少なりとも手乗りタイガーにたいする免疫が備わっているようである。

「え、なに!? ひょっとしてこのままだとオレたちって、タカッちゃんと仲良くしてけないとかなワケ!?」

いまさら驚いたように口を開いたのは春田。生まれた瞬間から空気を読む事を拒絶し続けてきた、ある種の新人類に、教室中から「アイツは……」だの「でたよ……」だのと、野卑するような呟きが静かに飛び交う。
しかし、春田にとってはそんな言葉など、どこ吹く風。さして気に留めるでもなく言葉を続ける。

「やだよオレ! タカッちゃんとはずっとダチでいたいもん! なあ北村どうすればいいんだ? 謝ればタカッちゃん、許してくれるのか!?」

春田の必死の問いかけに、北村はあいまいに「ま、まあそうしたいのはヤマヤマなんだが……」と答えながらも、それをさせまいとしている大河に視線を向ける。
そして、北村の視線の行き先に、その視線の意味に気づく春田。珍妙な事に、その場の空気を読む事に成功したようだ。春田の開花である。

「なあタイガー! いいだろ行っても! オレ、このままじゃやだもん!」
「あ、あんたは相変わらず無駄にしつこいわねぇぇぇぇ……」

今にも教室から出て行きそうな意気込みの春田の首根っこを軽く飛んで鷲づかみにし、その行動を拘束する。
行かせてくれーーー! とジタバタもがく春田と、それを力ずくで押さえ込む大河。手乗りタイガーは健在である。と……

「いいんじゃない、行っても。」

それまで黙って事の成り行きを見ていた亜美が声を出す。

「はぁ? 何言ってやがんのバカチー? 行く必要なんて無いって言ったでしょ?」
「そりゃ、アタシだって、こういう時ってのは放っておく方が本人のためになるとは思うし、いま大勢で押しかけたら、それこそ高須君が後々「痛ってーな」的な事になるのは目に見えてんだけどさ……」
「後々痛いって、なんの話だ亜美?」
亜美の言葉の中に理解できない単語が含まれていたのか「何が言いたい?」と問いかける北村だが、「分かんねーヤツは黙ってろ!」と一蹴される。

「なんかこのまま行かないのは、アンタにナメめられてる気がして、どうにも釈然としないわけよ。」
「??? 舐める? 何だ? 何で逢坂が亜美を舐めてるというんだ? 話が見えん!」
「北村君! お喋り禁止! その口は塞がれた方がいいぜよ!」



737:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:20:43 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 9>

くじけずに亜美に再び問いかけたところを、実乃梨が強引に北村を押しとどめさせる。そして、「さあ、そう言う訳だから、行くよみんなー!」と言い放ち、実乃梨は他の面子たちを先導するように教室から出て行く。その右手には北村を引きずって……

「あっ! ちょっと! 行くなって─」

ぞろぞろと教室から出て行くクラスメートたちの姿に、慌てる大河。その隙を狙ってか「チャンス!」とばかりに春田も緩んだ大河の拘束を振りほどき、廊下へ駆け出していく。

「あ、コラ!?」と春田を再度捕獲しようとする大河の右手が、虚しく空をつかむ。
「くっ、バカチー、てめぇ……」と大河の瞳が亜美に向けられる。が、当の亜美本人は至って涼しげな表情のまま。そして……

「ほんと、あんた等いいコンビだわ。」と大河に投げかける。

「何ワケのわかんない事言ってんのよ! 行っちゃダメなの! 竜児はそんな事望まない!」

語気を荒げ、「ナゼ行かした!?」と問い詰めようとする大河に、「あんた、何か勘違いしてんじゃないの?」と答える亜美。

「いいかよ、よく聞けチビ虎。アンタは何も分かってない。一年前ならいざ知らず、今の高須君なら、こんな事でキズついたりしない。」
「そんな事無い! 竜児のことは何でも分かるもん! それとも何!? アンタ、まさか私よりも竜児の事分かってるつもりなの!?」
「んなワケねーだろ! あんな馬鹿男の事なんて、知らねーし、知りたくもねーよコッチは!」

「知りたくても、出来ないんだよ」と続けて口を付きそうになるも、最後の言葉だけは何とかギリギリで飲み込む。

「私に分かるのは、高須君の事じゃなくて、それ以外のヤツらの事……」
「どういう……事よ……」

「アンタがどう思ってるか知らないけど、このクラスの中には、もうアンタが心配するような手合いなんて、いないんだよ。」

心のどこかで、「高須はヤンキーだ」なんて馬鹿なこと考えてるヤツはいない。あいつは本当に頭の天辺からつま先まで、優しさ以外の成分が含まれていない。そんな事は、このクラスの奴なら全員分かってる。そして、今は全員が、心から高須を心配している。

静かに言葉をつなげる亜美を、大河はただ驚いたように見開いた目で見ている事しか出来ない。

「これは高須君自身が、地道にコツコツとそうしてきた結果よ。そしてそれは、アンタだって関係してんじゃない。毎日毎日、飽きもせずにアンタの事を守って守って……自分よりもアンタの事ばかり大切にして……」


738:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:22:25 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 10>

「そんな高須君の姿が、他のやつらの目にどう映ってたかくらい、アンタにだって分かるでしょ? 最初はマジでビビッてたやつも、手乗りタイガーっていうフィルターを通してヤンキー高須を見れば……。なーんだ、普通のヤツじゃんって事になるのよ。なったのよ。」
「で、でも……竜児はまだ気にしてるみたいだし……」
「たまに言ってるもん。まだ自分は他の奴等から何となく距離をとられている気がする時があるって……」
「そりゃ、周りが自分の事をどう思ってるか気づいてないだけでしょ?」
戸惑ったような大河の言葉に、亜美は「呆れた」とでも言いたげな表情で言葉を返す。
「アイツってば、本当に鈍感の代名詞みたいなヤツだしね。それに……。距離をとってるってのは、単に、アンタと高須君のクソ暑苦しい関係に近づきがたいってだけよ。
誰も高須君が怖いから近づかないんじゃない。むしろクラスのほぼ全員が、あんた達のラブラブッぷりに引きまくってんぞって話よ。」
「ラララララ、ブラブラ!?」

思わぬ単語の登場に、一瞬で真紅に染め上げられる大河の顔面細胞郡。否定の言葉を吐き出したいのか、口をパクパクと動かすも、残念ながら気の利いた言葉が出てきそうな気配ない。

「とにかくそう言うこと。もしもその事に高須君が気づいてないんだとしたら、アンタが伝えればいいだけの事じゃん。」
「手乗りタイガーフィルターのおかげで、クラスの皆に『本当の高須竜児』ってのが伝わったんなら、おんなじフィルター使って、本当のクラスメートの姿を高須君に伝える事だって出来るはずでしょ?」

「それ伝えるの、あんたの役目だと思うけどな~、あみちゃんは。」そう言うと亜美は大きく背伸びをし「何か、少ししゃべりすぎたかな」と一人ごちる。

739:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:22:58 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 11>
亜美の言葉に、「本当なの? 本当にそうなの?」と複雑な心境を目で問いかける大河。

「あ~あ、本当にアンタってば、高須君の事しか見えてないのね。」
「え、いや、当方としてはそう言うわけでは……」

思わず、言葉がどこぞの営業マンのような口振りになる。
なんだか、亜美に自分の全てを覗き見られた感じになり、何となく気恥ずかしそうに亜美から視線をそらす。
そんな大河の様子を視線の橋に捉えながら、亜美は「それにしても」とつぶやく。

「高須君もどうかしてるわ。あんなラブラブ状態だってのに、まだ本人に何も伝えてないってんだからさ。」

「その点に関してだけは、亜美ちゃんはタイガーの味方かもね。」とおどけてみせる亜美。
が、その言葉に大河の心がズキンと痛む。

「ま、今回のことで、高須君の本当の気持ちを聞けたわけだし、一応収穫ありってことね。後はあんた自身がケジメつければ、全部丸く収まるって。」

再びズキンと痛む大河の心。

「ま、こういうのも、付き合ってけば誰だって通る道だって。今回は高須君の気持ちがハッキリ分かっただけでもよしとすべきなんじゃねーの? って……」

亜美が大河に視線を向けると、そこには顔面真っ赤にしながらも、両目に大粒の涙を携えた虎の姿。思わず亜美の饒舌トークにストップがかかる。

「ねえバカチー……」
「な、なによ……」
「もしも……、もしもさ、その収穫ってのがなかったら……どうだと思う?」

不意に飛んできた大河の問いかけに、亜美の顔が「はぁ?」と思案顔に歪む。そして一瞬考え込んだ後─

「そんなの、単に高須君の傷つき損ってだけ……」

そこで、大河の言葉の意味に疑問を感じ、思わず言葉を切る。大河の大きな瞳から特大の雫が零れたのは、それと同時だった。
亜美の次の言葉を待つことなく、大河は身を翻して駆け出していた。

「今アイツなんつった? 収穫がない? 何言ってんだよ、ついさっき聞いたばっかりじゃねーか、高須君の本当の気持ちを。 まさか、聞こえてませんでしたってオチじゃ、いや、聞こえてないはずないし……」

教室に取り残された亜美は、今しがたの大河の言葉の意味を思索する。そして「まさか……」と小さくつぶやいた。


740:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:23:01 vXkcV+gl
sageて

741:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:26:45 XMyiJQwc
sageを今勉強してきました。申し訳ない。
以後気をつけます。

742:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:28:05 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 12>
==========================================================

私はバカだ! 本当に大バカだ!

教室を駆け出し、廊下を走る。どこへ向かえばいいのか分からないが、しかし目指すべき者はハッキリしていた。

本当に謝らなければいけないのはアタシ。他の誰でもない、アタシ!

先ほど目の当たりにした竜児の怒りの中心に自分がいるから……というわけではない。そんな事ではなく、単純に、竜児をだます事に加担した他の皆には、なんの罪もありはしなかった。そう思った。

あんなウソ、付くんじゃなかった!

数日前の昼食時、竜児が北村の用事に付き合うからと、席を外していた。

最初は実乃梨だった。日常の一コマのように、いつもと同じテンションで大河と雑談していた実乃梨が聞いた。
「んでさぁ、結局最近、お二人さんはDoなのよ?」
実乃梨らしいといえばまさにその通りの問いかけに、近くの席にいた木原と香椎が加わってくる。
「あ、そこんとこ私も気になるーー」
「ひょっとしてキス以上とか? 実はもっと先までまで行ってたりする?」
「ば、ばか言うな! んなワケないだろ! なんで私がアイツとキ、キキ、キジュ、キ、キスなんて!?」
「いや、なんでって、つきあてるんだよね二人?」
「し、しらん!」
キスはしていた。聖バレンタインの夜に二人で走ったあの日の夜の、あの橋の上で……
「なに、マジ? キスもまだって、ちょっと遅すぎじゃない?」
「まさか、ちゃんと告白もしてないとかないよね?」
「知らない! 聞いてない! 覚えてない!」
聞いていた。覚えていた。忘れるわけがない。あの時の竜児の真っ直ぐな言葉が、どれほど自分の中に強烈で鮮烈で鮮明で鮮やかな衝撃を与えてくれたのか、忘れろというほうが無理だ。
だが、そんな事コイツ等の前で言いたくないし、言う必要もない。
しばらくダンマリを決め込んでいる事にする。そうすれば、周りの野次馬根性丸だしなヤツらもすぐに飽きると思っていた。が……

いつの間にか増えてやがる。

気が付けば、その会話の中に、能登や春田も混ざり、なんやかんやと騒ぎ立てていた。
「そりゃ、高須もひどい事しやがるぜ。」
能登が知った風な口を利く。
「まさか、逢坂さんもまだ言ってないとか言わないわよね?」
「え、ええええ? あ、ああ、あたひゅは……」
赤面し、壊れたからくり人形みたいにカタカタ動く大河の様子を見て、「ああ、これは言ったんだな」と、誰もがその無言の回答を受け取っていた。
「しかし、だとしたら高須め、余計にゆるせん! オレなんて言いたくても言う相手がいないんだぞ!」
こぶしを握り締める能登の視線が一瞬、近くにいるクラスメイトの一人に向けられた事は、向けられた本人である木原を除いた全員の目に明らかだった。
「なにタイガー、まだタカッちゃんに好きって言われてないの~? ひで~じゃん、タイガーは言ってんのに、それってゆるせね~!」という春田の声はデカかった。
それに呼応するように、教室中の視線が大河を中心に結ばれていく。

そこからはアッと言う間に話がまとまっていった。「高須の本音を暴き出す組合」が結成された。


743:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:30:27 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 13>

教室の隅で、興味なさげにしていた亜美なんかは、「そう言うの、亜美ちゃん、趣味悪いと思うけどな~」などと言っていたようだが、変に盛り上がった状況下では、その言葉に耳を貸すものはいなかった。

そして、計画はあっと言う間に組みあがってしまった。

「高須のヤツ、きっとビビルぜぇーー」
「泣くかもよ? たいがーたいがーって、あの高須がだぜ?」
「もう何もいらないから、戻ってきてくれ~とか言ってさ。」
「あ、何かそれありそ~」

「高須の本音を暴き出しちゃえ連合部隊」は、まるで半年前の文化祭の時の一体感を彷彿とさせるように、驚くべき結束力を持っていた。

「なあ、タイガーも聞きたいだろ? タカっちゃんの本音ってヤツ?」と、どうしたものかと手をこまねいている大河に春田はノンキなものだった。
「いや、聞きたい聞きたくないじゃなくて、聞かなきゃいけない事だと思うぜ、俺は。」と能登が続く。

聞きたいかって言われたら、そりゃ聞きたいけど、でも……
あの時、すでに竜児の本当の気持ちは大河の中に伝えられていたのだ。しかし……

やめておけばよかった! いつかみたいに暴れて、机や椅子を吹き飛ばしてでも、皆を止めるべきだった!!!

だが、止めなかった。あの時に竜児から受け取った言葉は、あまりに甘美で、魅力的で……。だから、その時は本当に「もう一回くらい聞いておきたい」と思った。思ってしまった。

物心付いた頃から、誰に省みられる事もなく、ただ淡々と、もくもくと一人で生きてきた逢坂大河には、初めて自分を見てくれて、聞いてくれて、側にいてくれて、分かってくれる……
いや、分かろうとしてくれる竜児の存在は余りにも大きく、彼から発せられる言葉は、麻薬にも似た中毒性があった。

それをする事で、竜児が傷つく事が分からなかったワケではない。だが、それでも「もう一度……」と言う感情を捨てきる事が出来なかった。

廊下を全力で走る大河は、すでに自分がどこを走っているのかも、なんだか混沌としてあやふやになっていた。

とにかく謝る! 私が謝らなきゃダメだ! 謝って、そして……

「そして……」

そしてどうすればいいのだろう? 謝って許して貰って、許してもらえるのか、私は?

「でも!」

例え許して貰えなくても、謝らなければ! 今傷ついてるのはアタシじゃない! 今辛いのはアタシじゃない!

今、一番痛々しいキズを持って、そこから真っ赤で暖かい血を吹いているのは、アタシのキズを何度も何度もふさいでくれた、竜児。あの、バカが付くほどお人よしの竜児なのだ。

許して貰えなくても側にいる! 嫌がられても、拒絶されても、迷惑がられても、ずっとアイツがそうしてくれたみたいに、私はアイツの側にいる!


744:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:32:30 XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 14>

廊下の角をバランスを崩しながらも辛うじて曲がり……

ドガシャーーー

派手にこけた。腕やスネを打ちつけ、そこから血がにじむ。が、そんな事は気にしていられない、というか、気づいてすらいない。とにかく、竜児の姿を探して駆けずり回る。

いつもなら、すぐに見つかる。探さなくても、すぐに見つけられる。アタシが呼ばなくてもいつも側にいる。なのに!

どうして見つからないのか? もう、すごく遠くへいってしまったのか?

まるで、探し回るその時間が今の自分と竜児の距離のようで、見つからないという事に少なからず恐怖にも似た感情が生まれて、それを振り払うように、交互に出す二本の足にさらに力を込めて走る。

次の角を曲がった時だった。屋上に続く階段を下りてくる一団が目に留まる。大河はそこへ向けて突進していく。

「おわ! タイガーが!!」
突進してくるその猛々しい姿に、一団の動きが、一瞬びくつく。先立って、竜児に謝りに言ったクラスメート達だったのだが、その中に、なぜか実乃梨や北村、春田に能登の姿がみあたらない。

「竜児は!?」
「う、え、あ……」
開口一番、噛み付かんばかりの形相で聞く大河に男子生徒たちは慄き、満足な回答は出てこない。

「タイガー、怪我してんじゃん……」

その中で、木原がタイガーの状態に気づき、声をかける。が……

「こんなの、どうでもいいから、竜児は?」
「た、高須君なら屋上にいたけど。でも、なんだか、別にそんなに怒ってないみたいな感じで、なんていうか、拍子抜けって言うか、いつもどおりって言うか……」

大河はその言葉を聞き終えることなく階段を駆け上がって行く。全速力で屋上へ出る扉のドアノブに手をかけ、全速力でそれを回し、全速力で扉を開け放ち……



745:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:33:57 XMyiJQwc
一度、処理できてしまえばなんて事はない。喉を通り過ぎていった痛みは、その時こそ鮮烈に爪あとを残すが、しかしそれも一時的なもの。辛さやそれに伴う痛みなんてのは、時間の経過と共に薄らいでいくのみだ。

いつでも客観的で冷静な自分を頭のどこかに待機させておく事ができれば、そんなものは何とでもなるのだ。

しかし……

今回は、なぜか待機させておいたはずの冷静な自分は中々動き出そうとせず、その怠慢の隙を縫うように、飲み込み損ねた感情が漏れ出てしまった。自分としては、この結果はあまりいただける物ではない。

「ったく、さっきはミスったよな……」と考えたところで、「いや……」と、直前の考えを否定する思いが頭をもたげる。

さっきの事だけじゃないな……。最近は……、いや、特に2年に進級したくらいからは、さっきの様に不満を隠しきれなかった事が、度々あったような気がする。

大河に対して怒鳴った事があった。同じように櫛枝や北村に対して怒りもした。あのバレンタインの夜なんかは、泰子に対して筆舌に尽くしがたい暴言を吐き散らした。
それまでの自分では考えられないようなミスをセッセと積み上げてきていた。そして、そうなってしまった原因にも、薄々だが心当たりもあった。

竜児が怒った時には、必ずといって良いほど、その件の中心に、その件の端っこに、その件の延長線上に、必ず大河が関わっていた。
そして、そう言うときに限って、自分の感情をうまくコントロール出来ない。
竜児自身、それがどういう意味なのかと言うのは、分かっているつもりだし、理解できているつもりだ。



746:名無しさん@ピンキー
09/06/24 01:36:58 XMyiJQwc
745に投稿の際、ミスって、半ばからになってしまいました。再度、15を
<虎と竜と、もう一つの幸せと 15>
==================================================================

竜児は外周を取り囲む落下防止のための鉄柵に体重をもたれさせるように、屋上に座り込んでいた。

飲み込んだ物が痛かった。飲み込むハメになってしまったことが痛かった。

傷つく事には慣れているはずだった。傷ついた事によって生まれる憤怒や憤りなどは、いつでも自分の中で、自分の力で解決してきた。
いつでもそうしてきた。自分が生まれ持ってしまった呪われた仮面の邪悪な力を、少しでも緩和するためにはそうするしかなく、そうするのが当たり前だった。
それが出来る事が、数少ない自分の中にあるプライドの一つだった。

だが、それが出来なかった。

ただのイタズラ。それもエイプリルフールだ。ちょっとした茶目っ気だ。
あの時、クラスメイトたちの事をそんなふうに受け流す事が出来ていれば……

得意だったはずの、飲み込むべきだったはずの、あの感情を出してしまった。いつもの自分ならば、きっとうまくやる事が出来ていたはずだ。
だが、それがうまくいかなかった。
クラスメイトたちが、あの後こぞって謝罪に来た。だが、実際のところ、もうそんな事はどうでもよかった。

一人で教室を出た時まで持ち合わせていた、あの時の憤りは、既に喉の奥へと飲み下している。
一度、処理できてしまえばなんて事はない。喉を通り過ぎていった痛みは、その時こそ鮮烈に爪あとを残すが、しかしそれも一時的なもの。辛さやそれに伴う痛みなんてのは、時間の経過と共に薄らいでいくのみだ。

いつでも客観的で冷静な自分を頭のどこかに待機させておく事ができれば、そんなものは何とでもなるのだ。

しかし……

今回は、なぜか待機させておいたはずの冷静な自分は中々動き出そうとせず、その怠慢の隙を縫うように、飲み込み損ねた感情が漏れ出てしまった。自分としては、この結果はあまりいただける物ではない。

「ったく、さっきはミスったよな……」と考えたところで、「いや……」と、直前の考えを否定する思いが頭をもたげる。

さっきの事だけじゃないな……。最近は……、いや、特に2年に進級したくらいからは、さっきの様に不満を隠しきれなかった事が、度々あったような気がする。

大河に対して怒鳴った事があった。同じように櫛枝や北村に対して怒りもした。あのバレンタインの夜なんかは、泰子に対して筆舌に尽くしがたい暴言を吐き散らした。
それまでの自分では考えられないようなミスをセッセと積み上げてきていた。そして、そうなってしまった原因にも、薄々だが心当たりもあった。

竜児が怒った時には、必ずといって良いほど、その件の中心に、その件の端っこに、その件の延長線上に、必ず大河が関わっていた。
そして、そう言うときに限って、自分の感情をうまくコントロール出来ない。
竜児自身、それがどういう意味なのかと言うのは、分かっているつもりだし、理解できているつもりだ。




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