【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合38at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合38 - 暇つぶし2ch448:女王のヒメゴト ◆mQKcT9WQPM
09/08/25 23:48:05 qu8u0ZVb
女王シャルロット一世。
ガリアを統べる女帝の名である。
彼女は前王であり叔父であるジョゼフ一世をその手に掛け、王の座を手に入れた。
ガリアの貴族の大半は『狂王』と呼ばれたジョゼフの暗殺を受け入れたが、ジョゼフと繋がっていた一部の貴族たちからの突き上げは相当なものであった。
また、正式に譲り受けたものではないその王座は、教皇庁から返還を要求されている。それも、反対派の追い風となっていた。
さらに、国民の中にも彼女を『血塗れ女王』と呼び、蔑むものもいた。
だがしかし、彼女は負けなかった。
国民や貴族たちの誹謗中傷を浴びながら、それでも彼女は膝を折ることはなかった。
なぜなら、彼女には守るべきものがあったから。
それは、彼女の娘たち。愛する人との間に儲けた、三人の娘たち。
まだ幼く、自らを守る力を持たない娘たちを守るために。
母は、倒れるわけにはいかなかったのである。


「国賊、覚悟ぉ!」

それは、老朽化したプチ・トロワの改修完了記念式典での出来事。
匕首を構えた若者が、突然演台の脇から飛び出し、中央で工事の終了を祝う言葉の最中であった青いドレスの女王の背中めがけ、駆け抜けていく。
護衛の騎士が慌てて杖を抜くが、このままでは間に合わない。
男を捕らえることはできるが、匕首は確実に彼女の背中を貫くだろう。
しかし、そうはならなかった。
女王は細い右腕をす、と上げると、突進してくる若者に向けてその掌を開く。
その瞬間ごう、と凄まじい風が唸り、若者を吹き飛ばす。
吹き飛んだ若者は演台から放り出され、プチ・トロワの新たな名物となる予定の、薔薇の花壇に突っ込んで気を失う。
すぐさま護衛の騎士たちが若者を取り押さえる。
演台の周りの貴族たちは、その出来事に騒然となっている。
若者が襲い掛かってきたことにではない。
詠唱もせずに、烈風を巻き起こした、女王の力にである。

「あれが、詠唱破棄…!」「初めて目にしたが、なんと恐ろしい…」

そう、彼女はある程度の魔法なら呪文の詠唱抜きに魔法を行使できる。
その場面を目にした者は少ないが、彼らは口をそろえてこう言った。

『あの所業、人間の技ではない』と。

呪文の詠唱と杖が必要不可欠な一般的なメイジと、女王の差がまさにそこであった。
彼女がその力を身につけるに至ったのには、ある人物の協力が必要不可欠であった。


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