09/06/20 12:54:58 5jal1zh8
※危険感知
触手、変態、妄想百合、フィーのキャラ崩壊等に注意。
……それは、ちょっとした油断だった。
素材収集のために訪れた、滝の洞窟での事である。フィーと愉快な仲間達は、雑魚をなぎ払い水音響く洞窟を探索していた。
フラン、キレハ、テレージャの三人を連れたフィーは、ハーレムだウハハとテンションを上げている。意味もなく、コウモリを大いなる秘儀で吹き飛ばしたりしていた。
デネロスも、草葉の陰で泣いているだろう。
「ホント遺跡は死獄だぜッ! フゥハハハーハァーッッ!!」
「……あの、フィー様。精神力は……」
「放って置きなさい、フラン。今のアレに近付くと馬鹿が伝染るわよ」
「……まぁ精神力が切れたとしても、この洞窟の敵の強さなら問題ないだろう―っと?」
ランタンの光届かぬ洞窟の暗闇から、異形の者が跳び出して来る。
何だ、またニョロでも出たか―と、一同は気楽に構えていた。
……確かに、それはニョロだった。
ニョロ。
ニョロニョロ。
ニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロ。
「―な、ななななななな何これ!?」
キレハが驚愕する。
この洞窟の何処にこんなに潜んでいたのか思う程の、雲霞の如きニョロの大群であった。
細長いゼリー状の怪生物達は、数にモノを言わせてパーティへと襲い掛かる。
「テ、テレージャ、何とかしなさい! ああいう、気持ち悪いのは貴方の専門でしょ!」
「ふむ。どうやら君とは、腹を割って話し合う必要があるようだ」
「しかし、ニョロはニョロですから。一撃で全て倒してしまえば良いのでは」
言葉よりも速く、フランの手からは手裏剣が放たれていた。
極薄極小ながらも確かな殺傷力を備えた無数の暗器が、容赦なくニョロの大群を鏖殺する。
やった、フィー様に格好良いあたしを見て貰えた―などと、フランは内心で喜んでいたのだが。
「……!?」
倒されたニョロの屍を越え、お前達の遺志は俺達が継いだとばかりに、ニョロの大群が変わらぬ勢いで突撃して来る。
その士気は、衰えを知らない。
「あー、アレを思い出すね。アレ、町の奪還戦。倒しても倒しても伏兵が出て来るヤツ」
「フィー様、そんな事より逃げ―きゃっ!?」
MASTERニョロの巻き付き攻撃!
フランは動けなくなった!
「あ……!?」
フランの足に、妙に長いニョロが巻き付く。
否、足だけではない。別の細長ニョロが四肢に絡み、フランの動きを完全に封じてしまう。
……ニョロのぬとぬとした粘液が、フランのエプロンドレスを汚してゆく。
「く……っ」
「きゃああああああっっ!?」
キレハが、悲鳴を上げた。
彼女もフランと同じく、ニョロの大群によって捕らわれてしまっている。
ビックリして、狼の耳が頭から飛び出す―彼女の何時ものリアクションだが、ニョロ達は目敏くもそこを突いた。
「あっ!? ひゃ、だめ、その耳は弱―ふぁんっ!?」
ニョロの先端がキレハの獣耳に潜り込み、こりこりと刺激する。
それが快感なのか、キレハの目が力を失い、少しずつ蕩けてゆく。
「まったく。相変わらず彼女は、生存術以外は役に立たんな」
「……そう言うテレージャ様も、ばっちり捕らわれているようですが……」
洞窟の天井から下りて来たニョロの群れが、テレージャの五体を縛って吊るし上げていた。
しかし彼女は、フランやキレハとは違い笑顔である。ドレスの中を、ニョロが這い回る―彼女は、その感覚を楽しんでいた。
……この人は色んな意味でダメだ、とフランは思う。