09/05/04 17:19:16 +NxjeAjH
「これが最後に見る故郷の姿だ、しっかり目に焼き付けておくと良い」
メロダークさんがそう僕に言った
そう、僕はこれからホルムを離れてユールフレール島の大神殿へ向かうこととなる。
後悔が無いわけではない。
だけど、これが僕の選んだ道なのだから…。
エメク大神殿ルート
ユールフレール島は遠く、船の上で夜を過ごすことになった。
それなりに良い船だったらしく、船室も立派なものだった。
ベッドがふかふかして気持ち良い。
だけど…眠れない。
眠れる訳がない。
アダお婆ちゃんは大丈夫だろうか、エンダはしっかりアダお婆ちゃんの言う事を聞いているだろうか。
そんなことばかりを考えていると、無意識に船室の外に出ていた。
船上の夜風が気持ち良い。
ここから泳いで行けばホルムに帰れるのだろうか。
そんな馬鹿な考えが頭によぎる。
僕はこの道を選んだはずなのに…。
「眠れないのか?」
そこにメロダークさんがやってくる。
僕は無言でそれに応える。
「仕方ないだろうな。故郷に帰れなくなると言う事は相当なものだ。いくら自分で選んだ事とは言えな…」
メロダークさんは僕のことを言っているようにも見えるが、どこか遠い目をしながら悲しそうに言った。
まるで自分のことのように。
「しかし…今、こう言うのもなんだが、本音を言えばお前が素直に一緒に来てくれるとは思っていなかった。何がお前にこの道を選ばせたのだ?」
いつも無言なメロダークさんが僕に言葉を掛けてくれる。
「やはり私達が力で強引に脅したせいか?それならば私を怨んでいるのだろうが…」
「違います」
僕はメロダークさんの言葉をはっきりと否定する。
そう、違う。僕がこの道を選んだ理由は違うのだ。