10/09/11 00:25:30 NtG7uvua
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その後、女性ジョッキー・白水弥生は大躍進を遂げる。
逆転劇の申し子、天才女性騎手としてだ。
また本業以外でも写真集を出し、タレントとしても一世を風靡した。
世間には、かつて付き合いのあった調教師達と手を切り、ひたすらに金を稼ぎ出す弥生を批判する声もある。
しかしその声も謎の団体の圧力で揉み消された。
裏競馬界の女帝。
それが白水弥生の今の呼び名だ。
巨万の富と名声を得、時の人となった弥生。
だが、その彼女が今でも一人の男の元へ足繁く通う事実を知る者は少ない。
広域暴力団・静木組組長、黒川栄達。
ある時期を境に急激に勢力を拡大した、地方一の大組織の長だ。
「待ちくたびれたぜ」
浴衣姿で月を眺めながら黒川が言った。
その彼に後ろから抱きつきながら、あどけなさの残るポニーテールの女が笑う。
「仕方ないでしょ。あたしが速いのは、馬に乗っている時だけ……なんですよ」
黒川がゆっくりと振り向き、女の唇を奪った。
「うん……」
女、弥生は瞼を閉じて男の舌戯を堪能する。
月が静かに2人を照らしていた。
終わり