09/05/06 23:07:13 OY+zVYhX
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「橘君。来週の中間試験、あたしと勝負しなさい」
中間試験を1週間前に控えた放課後。
廊下を歩く僕の前に現れた絢辻さんは、開口一番命令口調で言い放った。
「え、勝負?」
「そ、勝負。そうそう、敗者は勝者の与える罰を1つ、無条件で受けなければいけない、って条件付きだから」
いきなり何という暴君発言をするんだ絢辻さんは。
「ちょ、ま」
「もちろん、心優しいあたしは橘君にハンデをあげるつもりよ」
抗議しようとした僕の言葉を遮り、勝手に自分ルールを提示していく絢辻さん。
「もしもあたしに1教科でも勝てたら、橘君の勝ちってことでいいわ」
「……それは全然ハンデになってない気がするんだけど?」
僕と絢辻さんの学力には、あまりにも大き過ぎる開きがある。
そして、試験まではあと1週間しかないわけで。
はっきりいって無理。どんなに頑張ったって勝てない。勝ち目ゼロ。
「とにかくハンデがあろうがなかろうが、僕はそんな勝負絶対」
「ストップ」