09/06/23 23:49:04 9SnkYdbo
深海に事情を説明すると、気難しい表情を見せながら、腕組みをする。
「どこかに置き忘れた、という事はないの?」
「無い。基本的に学校では、体育の授業以外で取り外したりしない」
「鞄に入れたのは確か?」
「ああ。間違いない。今日は特に暑かったから、弁当箱の袋に入れていた保冷材を載せていたからな」
一汗かいた後のひんやりとしたちんこは、何よりの清涼剤なのだ。
「じゃあ、やはり盗まれたとしか考えられないね」
「ちくしょう。一体どこのどいつが俺のちんこを……」
苛立ちのあまり、俺は自分の机を叩いた。
「犯人に心当たりはあるの?」
「いや……」
首を振る。そもそも、俺のちんこなんて盗んで誰が特をするんだ。
可能性その一。女子が盗んだ。
男性的な快楽を体験しようと、着脱可能である俺のちんこに目を付けた。
もっとも、他人が俺のちんこを付けた所で、正常に機能が作用するのだろうか、という疑問はさておき。
有りえない話ではない。
可能性その二。自分のちんこに自身の無い男子が、俺のちんこを盗んだ。
自慢に聞こえたら悪いが、俺のちんこはそんじゃそこらの並のちんことは違う。
屹立すれば、黒光りした全長28cmの弓長な大砲がお出ましになる(ただし未使用である)
日本人は平均的にちんこの長さが欧米と比較すれば小さい。コンプレックスを持っている輩はいくらでもいるだろう。
これも十分にあり得る話だ。
可能性その三。俺を困らせる為だけに盗んだ。
苛めである。俺は波風立たぬ様学生生活を過ごしてきたつもりだったが、人から恨まれたり妬まれたりされるのは正直へこむ。
……様々な可能性を頭に列挙してみたものの、どれもこれも、犯人を特定するには至らない。
誰が犯人であってもおかしくない状況だ。
「どうしよう……」
「とりあえず先生に相談してみたら」
俺は終礼のホームルームの光景を思い浮かべる。
クラスメイトが揃った時点で、担任の教師がおもむろに切りだす。
「ちんこが盗まれた」と
「正直に名乗り出ろ」と
名乗り出るわけがない。犯人も俺も立ち直れない。
「教師に納得いく説明が出来そうにない」
「それはそうだよね―とりあえず、教室を留守にしている間の時間帯に居た人を探してみようよ」
聞き込み捜査。事件の初動の基本だ。