09/05/22 15:41:37 HHvnarvy
「屋上、ですか?」
隆くんの言葉に私は首を傾げた。
うちの学校の屋上は危険だからという理由で普段閉鎖されていた。
「うん、鍵なら先生に貰ったからさ。行ってみない?」
「え、でもどうしてですか?」
「こんな事態なんだ、ひょっとしたら救助ヘリとか飛んでるんじゃないかなって思って」
「あ、……そうですね」
街が『奴ら』に覆われたと言っても全ての街がそうなったわけじゃないだろう。
救助が来るとすれば、空からヘリコプターというのは充分考えられた。
「だからさ、ほら」
半ば強引に私の手を引いていく。
えっちをする時もそうだけど、彼はちょっと強引だ。だけど、普段なら嫌悪さえするよう
な強引さに……私はどこか安心感を覚えていた。
異常な状況で頼れる存在である隆くんにそんな感情を抱くのか、……それとも別の
理由か……。
「そういうことでしたら……」
私は隆くんと手を繋ぎ屋上に向かう。
手を繋ぎあってる私たちは何だか恋人みたいで……私はどきどき胸を鳴らしていた。