09/04/06 00:16:26 DrYPhYTo
『・・・ハルカ・・・』
「ハルカ、ハールーカっ」
「う・・・ん・・・」
「ハルカっ、いつまで寝てるんだよっ」
夏奈に揺さぶられて、春香は目を覚ました。
「カナ・・・?」
「とっくに朝ご飯の時間過ぎちゃってるぞ!お腹減ったよ~!」
「ああ・・・ごめんね、カナ。うう・・・」
春香は重い体をなんとか動かし、ゆっくりと起き上がらせる。
その動きは、顔色が悪いのも相まってか、まるで病人のようだった。
「どうしたんだ、風邪でもひいたのか?」
夏奈は春香の額に手を当てた。
「冷たっ!いったいどうしたんだよ!?」
「ごめん、もうちょっとだけ休ませて・・・きっとすぐ良くなるから・・・」
「ホントに?病院行かなくていい?」
「大丈夫よ・・・多分・・・」
「そう・・・。あ、お粥でも作ってくるから、ちょっと待ってて」
春香のために、夏奈はお粥を作りにいった。
「はぁ・・・どうしちゃったんだろう、私・・・」
部屋に一人っきりとなった春香は、窓の外を眺めて重く溜め息をついた。
ふと、首元が気になり、近くに置いてあった手鏡で確かめてみる。
「・・・・・・」
首には怪我をした形跡も無いし、ゴミも何も付いてはいない。
どうやら気のせいだったようだ。
「そういえば、何か夢を見た気がする・・・」
だが、夢の内容が全然思い出せない。
いや、思い出さない方がいいだろう。
もしかしたら、怖い夢だったかもしれないから。
「えーっと、簡単レシピ本は・・・」
夏奈は台所に行く前に、料理本探しにリビングへと来ていた。
「あったあった!」
本棚から目的のものを取り出す。
「よーし、じゃあさっそく・・・いたっ!」
リビングを出ようとした時、何かを足の裏で踏んでしまい、思わず飛び上がってしまった。
「もーっ、なんだよ!」
踏んでしまった白い何かを拾い上げる。
「なんだ、歯か?」
夏奈が拾い上げたのは、人間の歯であった。
「チアキか内田の乳歯でも抜けたのか。こんな所に捨てるんじゃないよ、まったく!」
ふとベランダの方を見てみると、丁度良く窓が開けっ放しになっている。
「そーーっれ!!」
そして、夏奈は拾った歯を外に向かって思いっきり投げたのであった。
おしまい