09/03/31 19:49:07 rBrfXLIu
それから……
みんなで持ち寄ったごちそうや、ゲームを楽しんだ。
見慣れた人たちとの、気楽なパーティだ。肩の力なんか、入ってない。
パーティは遅くまで続いた。
とは言っても、小学生が普通に帰宅できる時間まで。
片付けはハルカがすると言ったが、「それじゃ大変だ!」と、こんどはカナが先頭切って動き始め、みんなそれに続いた。
もっとも、最終的にはカナは動き回っている「だけ」となってしまったが。
「はい、みんなありがと」
笑顔のハルカが礼を言った。
いつもの笑顔。
みんな友達だ、いつでも会えるハルカの笑顔だ。
「わたしは、昨日の夜マコちゃんに会えなくなる夢を見たんだ」
「へぇ」
「そんなこと、ないよな?」
「……………ごめん」
「え?」
チアキの顔から表情が消えた。
「もう、あんまり会えなくなっちゃうんだ」
「……」
「カナから聞いてないか? ほら、来年受験だし」
「それでも、たまには来れるよな?」
「……あんまり。ごめんよ、殆ど無理だよ、ごめんよ」
マコちゃんの目からは、涙があふれそうだった。
「そんなのないよ。マコちゃん、大好きだから、また来てよ!」
チアキは思わず抱きつき、「やだよー、やだー」と泣いた。
マコちゃんも目をまっ赤にしながら「ごめんよ」と、何度も言った。
「コラ、チアキ。マコちゃん困らせるな」
そこにカナが割って入った。
自分も泣きたいのだが、笑ってやるしか無かった。
「受験が終って、もっと大きくなったらまた会おうよ。ナ、二人とも」
「「うん」」
少し離れ、言葉を探す二人。
「オレ、ぜーったい大きくなって、チアキのこと迎えに来るから」
「ほんと、だな?」
「ぜったいだ。チアキのこと、ほら、大好きだから」
告白、というべきか。
マコトは産まれて初めて、女の子へ「好き」という言葉をかけていた。
「待ってるよ、マコちゃん」
それから―
マコトがその約束を果たすのは、十何年か後の後のお話で。